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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067894
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】車両用認証装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
E05B49/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176753
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】川島 直樹
(72)【発明者】
【氏名】牧野 浩樹
(72)【発明者】
【氏名】須行 洋平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 章悟
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB05
2E250CC11
2E250DD08
2E250FF08
2E250FF18
2E250HH02
2E250JJ03
2E250LL01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】静脈認証の精度を向上することのできる車両用認証装置を提供する。
【解決手段】車両用認証装置は、車両の外面パネル208に設けられた車両用認証装置であって、ユーザの静脈パターンを読み取る静脈センサ30と、外面パネルに形成された開口部206に向けて一端が開口され、他端に静脈センサが設けられた筒状部21を有する筐体20と、静脈センサに対向して筐体の開口22を塞ぎ、静脈センサによる静脈パターンの読み取りに必要な光のみを透過するように構成されたカバー40と、静脈センサで読み取った静脈パターンと車両に登録されたユーザの静脈パターンとを照合し、照合結果に基づいて車両のドア202の開錠及び施錠を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の外面パネルに設けられた車両用認証装置であって、
ユーザの静脈パターンを読み取る静脈センサと、
前記外面パネルに形成された開口部に向けて一端が開口され、他端に前記静脈センサが設けられた筒状部を有する筐体と、
前記静脈センサに対向して前記筐体の前記開口を塞ぎ、前記静脈センサによる前記静脈パターンの読み取りに必要な光のみを透過するように構成されたカバーと、
前記静脈センサで読み取った前記静脈パターンと前記車両に登録された前記ユーザの静脈パターンとを照合し、照合結果に基づいて前記車両のドアの開錠及び施錠を制御する制御部と、を備えることを特徴とする車両用認証装置。
【請求項2】
前記車両に接近する前記ユーザを感知する近接センサと、
前記ユーザに前記カバーの位置を報知する報知手段と、を更に備え、
前記制御部は、前記近接センサから受信したユーザ接近信号に基づいて、前記ユーザに前記カバーの位置を報知するための報知信号を、前記報知手段に送信するように構成されている、請求項1記載の車両用認証装置。
【請求項3】
前記報知手段は、前記カバーの少なくとも一部分において、前記ユーザの手の少なくとも一部分を載置するための位置決めガイドを形成するように構成されており、
前記報知信号は、前記ユーザの手を載置する位置を前記ユーザに報知するための位置決め信号を含み、
前記制御部は、前記ユーザ接近信号に基づいて、前記位置決めガイドを形成するための位置決め信号を、前記報知手段に送信するように構成されている、請求項2記載の車両用認証装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記車両の外板部材におけるBピラーに取り付けられており、
前記カバーは、前記ドアが閉鎖された状態において、前記車両の外部に露出している、請求項1から3までのいずれか1項記載の車両用認証装置。
【請求項5】
前記カバーは、前記静脈パターンの読み取りに必要な光のみを透過するフィルタガラスにより形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の車両用認証装置。
【請求項6】
前記筐体の前記開口は前記外面パネルの前記開口部に沿って設けられ、
前記カバーは、前記外面パネルと面一に設けられている、請求項1から5のいずれか1項記載の車両用認証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用認証装置、特に車両の外面パネルに設けられる車両用認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
乗用自動車等の車両には、生体認証により正規ユーザであると判断された場合に、制御対象の作動を許可するセキュリティシステムを備えたものがある。
例えば特許文献1には、指静脈認証により正規ユーザであると肯定判断された場合に、エンジン始動を許可するセキュリティ装置が記載されている。当該セキュリティ装置は、正規ユーザの基準指静脈パターンデータを記憶しており、静脈センサから入力された検出指静脈パターンデータを基準指静脈パターンデータと照合し、両データが一致したときに正規ユーザであると判断し、エンジン始動を許可するように構成されている。
【0003】
更に、特許文献1には、指静脈認証に代えて手のひら静脈に関する生体認証を採用してもよいこと、制御対象の作動はエンジンの始動に限らずドアロックの施錠及び開錠でもよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-58334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば手のひらの静脈パターンデータを取得する際には、手のひら全体を撮影できるように、静脈センサから所定距離だけ離れた位置に手のひらを保持することが求められる。また、例えば手のひら静脈認証によって車両ドアの施錠及び開錠を行う場合、ユーザは車外から認証作業を行う必要があり、当該認証作業に用いるセンサ等を車両の外面パネルに取り付けることが求められる。
【0006】
しかしながら、例えば手のひらを静脈センサから離れた位置に安定して保持し続けることは難しく、認証作業中に手のひらが動いてしまうと認証エラーが生じ、認証精度の低下を招くことがあり好ましくない。他方、例えば車両の外面パネルに手のひらを置くための台座を設けた場合、手のひらを安定して保持することはできるものの、当該台座を通して太陽光等の外乱光が静脈センサに入射し、認証精度の低下を招くことがあり好ましくない。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、静脈認証の精度向上を図る車両用認証装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用認証装置は、車両の外面パネルに設けられた車両用認証装置であって、ユーザの静脈パターンを読み取る静脈センサと、前記外面パネルに形成された開口部に向けて一端が開口され、他端に前記静脈センサが設けられた筒状部を有する筐体と、前記静脈センサに対向して前記筐体の前記開口を塞ぎ、前記静脈センサによる前記静脈パターンの読み取りに必要な光のみを透過するように構成されたカバーと、前記静脈センサで読み取った前記静脈パターンと前記車両に登録された前記ユーザの静脈パターンとを照合し、照合結果に基づいて前記車両のドアの開錠及び施錠を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様に係る車両用認証装置において、前記車両に接近する前記ユーザを感知する近接センサと、前記ユーザに前記カバーの位置を報知する報知手段と、を更に備え、前記制御部は、前記近接センサから受信したユーザ接近信号に基づいて、前記ユーザに前記カバーの位置を報知するための報知信号を、前記報知手段に送信するように構成されている。
【0010】
本発明の一態様に係る車両用認証装置において、前記報知手段は、前記カバーの少なくとも一部分において、前記ユーザの手の少なくとも一部分を載置するための位置決めガイドを形成するように構成されており、前記制御部は、前記ユーザ接近信号に基づいて、前記位置決めガイドを形成するための位置決め信号を、前記報知手段に送信するように構成されている。
【0011】
本発明の一態様に係る車両用認証装置において、前記筐体は、前記車両の外板部材におけるBピラーに取り付けられており、前記カバーは、前記ドアが閉鎖された状態において、前記車両の外部に露出している。
本発明の一態様に係る車両用認証装置において、前記カバーは、前記静脈パターンの読み取りに必要な光のみを透過するフィルタガラスにより形成されている。
【0012】
本発明の一態様に係る車両用認証装置において、前記筐体の前記開口は前記外面パネルの前記開口部に沿って設けられ、前記カバーは、前記外面パネルと面一に設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る車両用認証装置によれば、筐体は、車両の外面パネルに形成された開口部に向けて一端が開口され、他端に静脈センサが設けられた筒状部を有する。また、カバーは、静脈センサに対向して筐体の開口を塞ぎ、静脈センサによる静脈パターンの読み取りに必要な光のみを透過するように構成されている。このため、ユーザの静脈認証の作業を行う際、例えば車外から手のひらをカバーに接触させることで、ユーザは手のひらを静脈センサから離れた位置に安定して保持し続けることができる。これにより、認証作業中に手のひらが動いてしまうことが回避され、静脈認証の精度向上を図ることができる。更に、太陽光等の外乱光のうち、静脈センサによる静脈パターンの読み取りに不必要な光はカバーによって遮蔽される。これにより、静脈パターンの読み取りに不必要な光の静脈センサへの入射が回避され、静脈パターンの読み取りに必要な光のみが静脈センサに入射するため、静脈認証の精度向上を図ることができる。このようにして、本発明によれば、ユーザの静脈認証の精度向上を図る車両用認証装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置が設けられた車両の右側面図である。
図2図1に示す線A-Aに沿う断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るLEDにより位置決めガイドが形成された状態を示す概略図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置のシステム構成図である。
図5】本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置により実現される車両のドアの開錠動作処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置により実現される車両のドアの施錠動作処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。本実施形態では、車両用認証装置の一例として、車両用手のひら静脈認証装置10について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10が設けられた車両200の右側面図である。図2は、図1の線A-Aに沿う断面図である。図3は、本発明の実施形態に係るLED90により位置決めガイド95が形成された状態を示す概略図である。図4は、本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10のシステム構成図である。
【0016】
なお、説明の便宜上、車両200の進行方向を基準に着座乗員から見て「前」、「後」」、「左」、「右」をそれぞれ定義し、重力を基準に「上」、「下」を定義する。即ち、各図に示される矢印「前」及び「後」は、車両200の前進方向及び後進方向を示し、矢印「上」及び「下」は車両200の上下方向を示している。また、左右方向とは、前後方向及び上下方向に垂直な方向であり、車両200の車幅方向を示すものである。本実施形態の説明では、車両200は右ハンドルを備えており、車両用手のひら静脈認証装置10が車両200の右フロントドア202の開錠及び施錠を制御する場合について説明する。
[車両用手のひら静脈認証装置10の構成]
本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10は、ユーザの手のひらの静脈パターンを撮影して本人認証を行う装置である。図1図4に示すように、車両用手のひら静脈認証装置10は、筐体20と、手のひら静脈センサ30(静脈センサ)と、カバー40と、制御部としてのECU50と、近接センサ60と、ドア開閉状態検知センサ80、報知手段としてのLED90と、光照射手段100と、ドア開錠アクチュエータ110と、ドア施錠アクチュエータ120と、を備えている。図1図2に示すように、車両用手のひら静脈認証装置10は、車両200の外面パネル208に設けられている。外面パネル208は、車両200の外部に面する部材であり、例えば右フロントドア202などを含む。
[ECU50]
ECU(Electronic Control Unit)50は、マイクロコンピュータを含む計算機であり、車両200に取付けられている。ECU50は、CPU、記憶器(ROM及びRAM等)、入出力装置(A/D変換器やD/A変換器等)などを有しており、CPUがROMに記録されているプログラムを読み出し実行することで所定の制御を行うように構成されている。図4に示すように、ECU50には、手のひら静脈センサ30、近接センサ60、及びドア開閉状態検知センサ80が有線又は無線で接続されており、これらのセンサから所定の信号が入力される。また、ECU50には、LED90、光照射手段100、ドア開錠アクチュエータ110、及びドア施錠アクチュエータ120が有線又は無線で接続されている。ECU50は、入力された所定の信号に基づいて所定の演算を行い、LED90、光照射手段100、ドア開錠アクチュエータ110、及びドア施錠アクチュエータ120に所定の信号を出力する。
【0017】
ECU50は、手のひら静脈センサ30で読み取った手のひら静脈パターンと車両200に登録されたユーザの静脈パターンとを照合し、照合結果に基づいて車両200の右フロントドア202の開錠及び施錠を制御するように構成されている。また、右フロントドア202の開錠動作処理において、ECU50は、近接センサ60から受信したユーザ接近信号に基づいて、ユーザにカバー40の位置を報知するための報知信号としての第1発光信号、及びユーザの手の少なくとも一部が載置される位置決めガイド95を形成するための位置決め信号としての第2発光信号をLED90に送信するとともに、ユーザの手のひらに向けて照射光(近赤外線)を照射するための照射信号を光照射手段100に送信するように構成されている。また、右フロントドア202の施錠動作処理において、ECU50は、ドア開閉状態検知センサ80から受信したドア開放信号及びドア閉鎖信号に基づいて、ユーザにカバー40の位置を報知するための第1発光信号、及びユーザの手の少なくとも一部が載置される位置決めガイド95を形成するための位置決め信号としての第2発光信号をLED90に送信するとともに、ユーザの手のひらに向けて照射光(近赤外線)を照射するための照射信号を光照射手段100に送信するように構成されている。なお、ECU50を中心とした、車両用手のひら静脈認証装置10により実現される右フロントドア202の開錠動作処理及び施錠動作処理については後述する。
[筐体20]
図2に示すように、筐体20は、外面パネル208に形成された開口部206に向けて右側端21a(一端)が開口され(図2の右側開口部22参照)、左側端21b(他端)に手のひら静脈センサ30(静脈センサ)が設けられた筒状部21を有する。図2に示すように、筒状部21は、中空形状を成しており、当該筒状部21の右側端21aに形成された右側開口部22と、当該筒状部21の左側端21bに形成された左側開口部23と、当該筒状部21の左側端21bに形成され、左側開口部23を包囲する底壁部24と、当該筒状部21の右端21aに設けられ、右側開口部22を包囲する外側周面25と、を含む。また、図2に示すように、筒状部21は、左側端21bから右端21aに向けて末広がりとなる形状の筒状部内面21cを含む。なお、本実施形態では、外面パネル208の開口部206とは、右フロントドア202に形成された開口部206を意味する。
【0018】
図2に示すように、筐体20は、車両200の外板部材204におけるBピラー210に取り付けられている。外板部材204は、図2においては外面パネル208よりも車両内側に配置さており、例えばBピラー210などを含む。具体的には、筐体20は、筒状部21が少なくとも部分的にBピラー210に埋設されるように、当該Bピラー210に取り付けられている。図2に示すように、筐体20の右側開口部22(筐体20の開口)は外面パネル208の開口部206に沿って設けられている。具体的には、筐体20の右側開口部22は、外面パネル208の開口部206よりも左側において、当該開口部206に沿って設けられている。
【0019】
右側開口部22は、後述するようにカバー40に覆われる部分であり、矩形であってもよく、矩形以外の形状であってもよい。また、左側開口部23は、底壁部24の少なくとも一部分を左右方向に貫通しており、筒状部21を通じて右側開口部22と連通している。左側開口部23の形状は、手のひら静脈センサ30が露出し得る形状であればよく、その形状が特に限定されるものではない。底壁部24は、車両200のBピラー210に埋設されている部分である。
[手のひら静脈センサ30、光照射手段100]
手のひら静脈センサ30は、外板部材204に取り付けられ、左開口部23内に位置して、手のひらが手のひら静脈センサ30から所定の距離に位置し、ピントが合った場合にユーザの手のひら静脈パターン(静脈パターン)を読み取るように構成されている。具体的には、手のひら静脈センサ30は、例えば、外板部材204におけるBピラー210に埋設されている。手のひら静脈センサ30は、筐体20の左側開口部23を介して、カバー40及びユーザの手のひらと対向するように配置されている。
【0020】
光照射手段100は、例えばBピラー210に埋設されており、ECU50からの照射信号に基づいて、ユーザの手のひらに向けて、所定の照射光を照射するように構成されている。当該照射光は近赤外線光であり、その波長は、例えば0.75μm~1.4μmである。光照射手段100から出射された照射光は、カバー40を透過して手のひらに照射され、手のひらの内部に到達すると散乱し、その一部が反射光としてカバー40を透過して手のひら静脈センサ30に向かう。静脈を流れる還元ヘモグロビンは近赤外線光を吸収する性質があるため、手のひら静脈センサ30を用いて手のひらを撮像すると、手のひらの皮下にある静脈部分が周辺組織に比べて暗く写り、この明暗の差による紋様が静脈パターンとなる。なお、手のひら静脈センサ30及び光照射手段100の構成は公知であるため、これらの詳細な説明は省略する。
[カバー40]
図2に示すように、カバー40は、手のひら静脈センサ30に対向して筐体20の右側開口部22を塞ぎ、手のひら静脈センサ30による静脈パターンの読み取りに必要な光のみを透過するように構成されている。カバー40は、右フロントドア202が閉鎖された状態において、車両200の外部に露出している。カバー40は、手のひら静脈センサ30による静脈パターンの読み取りに必要な光のみを透過するフィルタガラスにより形成されている。カバー40は、車両の外面パネル208と面一となるように形成されている。具体的には、カバー40は、右フロントドア202と面一になるように形成されている。また、カバー40は、上記光のみを透過するものであれば、ガラス製に限定されるものではなく、例えばプラスチック製でもよい。
[近接センサ60]
近接センサ60は、車両200に接近するユーザを感知するするセンサであり、例えば右フロントドア202に設けられている。近接センサ60は、ユーザがリモコンキーを所有しているか否かに関わらず、右フロントドア202の開錠動作処理の際に車両200に対するユーザの距離変化を感知して、ユーザ接近信号をECU50に送信するように構成されている。なお、近接センサ60の構成は公知であるため、その詳細な説明は省略する。
[ドア開閉状態検知センサ80]
ドア開閉状態検知センサ80は、例えば右フロントドア202が開放されているか又は閉鎖されているかを検知する角度センサであり、例えば右フロントドア202に設けられている。ドア開閉状態検知センサ80は、右フロントドア202の施錠動作処理の際に当該右フロントドア202の旋回角度を検知し、当該右フロントドア202が開放されている場合のドア開放信号、及び右フロントドア202が閉鎖されている場合のドア閉鎖信号をECU50に送信するように構成されている。なお、ドア開閉状態検知センサ80の構成は公知であるため、その詳細な説明は省略する。
[LED90]
LED90は、カバー40の位置をユーザに報知する光源として、例えばカバー40に設けられている。LED90は、例えばカバー40の輪郭に沿って配置されており、ECU50からの第1発光信号に基づいて、所定の色で点灯又は点滅するように構成されている。又、LED90は、カバー40の少なくとも一部分において、ユーザの手の少なくとも一部分を載置するための位置決めガイド95を形成するように構成されている。例えば図3に示すように、位置決めガイド95は、下方に湾曲した形状となるように配置されたLED90によって構成されている。位置決めガイド95は、例えば親指から小指にかけて手首を経由する凡その軌跡で形成されており、これによりユーザの手のひらの輪郭の一部分に沿った形状が描かれている。なお、位置決めガイド95は、ユーザの手のひらの輪郭全体に沿った形状で描かれてもよい。そして、ECU50からの第2発光信号に基づいて、LED90が点灯又は点滅することによって、図3に示すような位置決めガイド95が形成される。なお、LED90の構成は公知であるため、その詳細な説明は省略する。
[ドア開錠アクチュエータ110]
ドア開錠アクチュエータ110は、右フロントドア202のロックを解除するためのものであり、例えば、右フロントドア202に設けられている。ドア開錠アクチュエータ110は、ECU50からの開錠信号を受信し、当該開錠信号に基づいて、右フロントドア202のロックを解除する。なお、ドア開錠アクチュエータ110の構成は公知であるため、その詳細な説明は省略する。
[ドア施錠アクチュエータ120」
ドア施錠アクチュエータ120は、右フロントドア202をロックするためのものであり、例えば、右フロントドア202に設けられている。ドア施錠アクチュエータ120は、ECU50からの施錠信号を受信し、当該施錠信号に基づいて、右フロントドア202をロックする。なお、ドア施錠アクチュエータ120の構成は公知であるため、その詳細な説明は省略する。
[車両用手のひら静脈認証装置10による開錠動作処理]
次いで、図5を用いて、本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10による右フロントドア202の開錠動作処理について説明する。図5は、本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10により実現される車両200の右フロントドア202の開錠動作処理を示すフローチャートである。
【0021】
車両用手のひら静脈認証装置10は、ユーザが車両200の外部から右フロントドア202のロックを解除する場合に使用されるものである。先ず、ECU50は、近接センサ60から送信されたユーザ接近信号を受信し、車両200に対するユーザの距離変化に応じて、ユーザが車両200に接近しているか否かの判断を行う(S200)。当該ユーザ接近信号に基づき、ECU50によってユーザが車両200に接近していないと判断された場合(S200のNo)、以後何ら処理されることなく車両用手のひら静脈認証装置10の開錠動作処理は終了する(エンド)。
【0022】
他方、ECU50によってユーザが車両200に接近していると判断された場合(S200のYes)、ECU50は、LED90に対して第1発光信号を送信し、LED90を点灯又は点滅する制御を行う(S210)。これにより、例えばカバー40の輪郭に沿って配置されたLED90が点灯又は点滅する。次いで、ECU50は、ユーザ接近信号に基づいて、車両200に対するユーザの距離変化に応じて、ユーザが車両200に更に接近しているか否かの判断を行う(S220)。ECU50によってユーザが車両200に接近していないと判断された場合(S220のNo)、以後何ら処理されることなく車両用手のひら静脈認証装置10の開錠動作処理は終了する(エンド)。
【0023】
ECU50によってユーザが車両200に更に接近していると判断された場合(S220のYes)、ECU50は、LED90に対して第2発光信号を送信し、位置決めガイド95を形成するようにLED90を点灯又は点滅する制御を行う(S225)。これにより、例えばユーザの手のひらの輪郭の一部分に沿った形状でLED90が点灯又は点滅する(図3)。
【0024】
次いで、ECU50は、光照射手段100に対して照射信号を送信し、光照射手段100から照射光を出射するための制御を行う(S230)。これにより、当該照射光はカバー40を介してユーザの手のひらに照射され、手のひらの内部に到達すると散乱し、その一部がカバー40を介して反射光として手のひら静脈センサ30に向かう。そして、手のひら静脈センサ30は、ユーザの手のひらが当該手のひら静脈センサ30に対し所定の距離に位置し、ピントが合ったときにユーザの手のひら静脈パターンを読み取る。
【0025】
次いで、ECU50は、手のひら静脈センサ30によって読み取られたユーザの手のひら静脈パターンを、予め記憶されたマスター静脈パターンと照合し、両静脈パターンが一致しているか否かの判断を行う(S240)。具体的には、ECU50は、ユーザ手のひら静脈パターン及びマスター静脈パターンの特徴(例えば静脈の枝分かれの数や位置等)を比較し、類似度が予め定められた閾値以上であった場合に両静脈パターンが一致していると判断し、カバー40に手のひらを置いたユーザを、ECU50にマスター静脈パターンが記憶されている本人であると判断する。
【0026】
ECU50によって2つの静脈パターンが一致していないと判断された場合(S240のNo)、カバー40に手のひらを置いたユーザは、ECU50にマスター静脈パターンが記憶されている本人ではないと判断され、以後何ら処理されることなく車両用手のひら静脈認証装置10の開錠動作処理は終了する(エンド)。
他方、ECU50によって2つの静脈パターンが一致していると判断された場合(S240のYes)、カバー40に手のひらを置いたユーザは、ECU50にマスター静脈パターンが記憶されている本人であると判断される。
【0027】
次いで、ECU50は、ドア開錠アクチュエータ110に対し、右フロントドア202のロックを解除する開錠信号を送信し、右フロントドア202のロックを解除する制御を行い(S250)、本動作処理は終了する(エンド)。これにより、車両用手のひら静脈認証装置10による右フロントドア202の開錠動作処理が終了した後、ユーザは当該右フロントドア202を手動で開放することができる。
[車両用手のひら静脈認証装置10による施錠動作処理]
次いで、図6を用いて、本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10による右フロントドア202の施錠動作処理について説明する。図6は、本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10により実現される車両200の右フロントドア202の施錠動作処理を示すフローチャートである。
【0028】
車両用手のひら静脈認証装置10は、ユーザが車両200の外部から右フロントドア202を施錠する場合に使用されるものである。先ず、ECU50は、ドア開閉状態検知センサ80からドア開放信号を受信し、右フロントドア202が開放されているか否かの判断を行う(S400)。具体的には、ECU50は、右フロントドア202の旋回角度が予め記憶されている閾値以上であった場合に、右フロントドア202が開放されていると判断し、当該閾値未満であった場合に、右フロントドア202が開放されていないと判断する。ECU50によって右フロントドア202が開放されていない、即ち閉鎖されていると判断された場合(S400のNo)、以後何ら処理されることなく車両用手のひら静脈認証装置10の施錠動作処理は終了する(エンド)。
【0029】
他方、ECU50によって右フロントドア202が開放されていると判断された場合(S400のYes)、ECU50は、ドア開閉状態検知センサ80からドア閉鎖信号を受信し、右フロントドア202が閉鎖されているか否かの判断を行う(S410)。具体的には、ECU50は、右フロントドア202の旋回角度が予め記憶されている閾値以下であった場合に、右フロントドア202が閉鎖されていると判断し、当該閾値以上であった場合に、右フロントドア202が閉鎖されていないと判断する。ECU50によって右フロントドア202が閉鎖されていない、即ち開放されたままであると判断された場合(S410のNo)、以後何ら処理されることなく車両用手のひら静脈認証装置10の施錠動作処理は終了する(エンド)。
【0030】
他方、ECU50によって右フロントドア202が閉鎖されたと判断された場合(S410のYes)、ECU50は、LED90に対して第1発光信号を送信し、LED80を点灯又は点滅する制御を行う(S420)。これにより、例えばカバー40の輪郭に沿って配置されたLED90が点灯又は点滅する。更に、ECU50は、LED90に対して第2発光信号を送信し、位置決めガイド95を形成するようにLED90を点灯又は点滅する制御を行う(S420)。これにより、例えばユーザの手のひらの輪郭の一部分に沿った形状でLED90が点灯又は点滅する(図3)。
【0031】
次いで、ECU50は、光照射手段100に光出射信号を送信し、光照射手段100に対し照射光を出射する制御を行う(S440)。これにより、当該照射光はカバー40を介してユーザの手のひらに照射され、手のひらの内部に到達すると散乱し、その一部がカバー40を介して反射光として手のひら静脈センサ30に向かう。そして、手のひら静脈センサ30は、ユーザの手のひらが所定の距離に位置し、ピントが合ったときにユーザの手のひら静脈パターンを読み取る。
【0032】
次いで、ECU50は、手のひら静脈センサ30によって読み取られたユーザの手のひら静脈パターンを、予め記憶されたマスター静脈パターンと照合し、両静脈パターンが一致しているか否かの判断を行う(S450)。具体的には、ECU50は、ユーザ手のひら静脈パターン及びマスター静脈パターンの特徴(例えば静脈の枝分かれの数や位置等)を比較し、類似度が予め定められた閾値以上であった場合に両静脈パターンが一致していると判断し、カバー40に手のひらを置いたユーザを、ECU50にマスター静脈パターンが記憶されている本人であると判断する。
【0033】
ECU50によって2つの静脈パターンが一致していないと判断された場合(S450のNo)、カバー40に手のひらを置いたユーザは、ECU50にマスター静脈パターンが記憶されている本人ではないと判断され、以後何ら処理されることなく車両用手のひら静脈認証装置10の開錠動作処理は終了する(エンド)。
他方、ECU50によって2つの静脈パターンが一致していると判断された場合(S450のYes)、カバー40に手のひらを置いたユーザは、ECU50にマスター静脈パターンが記憶されている本人であると判断される。
【0034】
次いで、ECU50は、ドア施錠アクチュエータ120に対し、右フロントドア202をロックする施錠信号を送信し、右フロントドア202をロックする制御を行い(S460)、本動作処理は終了する(エンド)。
[車両用手のひら静脈認証装置10による作用効果]
次いで、本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10の作用、効果について説明する。上述したように、本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10によれば、筐体20は、車両200の外面パネル208に形成された開口部206に向けて右側端21aが開口(右側開口部22)され、左側端21bに手のひら静脈センサ30が設けられた筒状部を有する。また、カバー40は、手のひら静脈センサ30に対向して筐体20の右側開口部22を塞ぎ、手のひら静脈センサ30による手のひら静脈パターンの読み取りに必要な光のみを透過するように構成されている。具体的には、カバー40は、当該光のみを透過するフィルタガラスにより形成されている。このため、手のひら静脈認証の作業を行う際、車外から手のひらをカバー40に接触させることで、ユーザは手のひらを手のひら静脈センサ30から離れた位置に安定して保持し続けることができる。これにより、認証作業中に手のひらが動いてしまうことが回避され、手のひら静脈認証の精度向上を図ることができる。更に、太陽光等の外乱光のうち、手のひら静脈センサ30による手のひら静脈パターンの読み取りに不必要な光(即ち近赤外線以外の波長の光)はカバー40によって遮蔽される。これにより、静脈パターンの読み取りに不必要な光の手のひら静脈センサ30への入射が回避され、手のひら静脈パターンの読み取りに必要な光のみが手のひら静脈センサ30に入射するため、手のひら静脈認証の精度向上を図ることができる。
【0035】
また、本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10によれば、ECU50は、近接センサ60から受信したユーザ接近信号に基づいて、ユーザにカバー40の位置を報知するための報知信号を、LED90に送信するように構成されている。このように、ECU50によってユーザが車両に200に接近していると判断された場合、LED90が点灯又は点滅するため、ユーザはカバー40の位置を容易に認識することができる。このため、例えばカバー40を右フロントドア202と同色に設定し、車両200全体の見栄えを向上させた場合であっても、ユーザはカバー40の位置を容易に把握することができる。
【0036】
また、本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10によれば、ECU50は、近接センサ60から受信したユーザ接近信号に基づいて、第2発光信号をLED90に送信するように構成されている。このため、位置決めガイド95に合わせて自身の手のひらをカバー40に載置することで、ユーザは、カバー40に対する手のひらの位置決めを容易に行うことができる。これにより、認証作業中、手のひらが動くことをより確実に回避することができ、当該認証作業の精度向上を図ることができる。
【0037】
また、本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10によれば、カバー40は、右フロントドア202が閉鎖された状態において、車両200の外部に露出している。Bピラー210は、ユーザが手のひらをカバー40に位置決めするのに適した高さに位置している。このため、認証作業を行うに際し、より自然な動きで手のひらをカバー40に置くことができるとともに、ユーザは手のひらを手のひら静脈センサ30から離れた位置に安定して保持し続けることができる。
【0038】
また、本発明の実施形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10によれば、筐体20の右側開口部22は、外面パネル208(右フロントドア202)の開口部206に沿って設けられている。また、カバー40は、外面パネル208(右フロントドア202)と面一に設けられている。このように、ユーザが手のひらを載置する場所(カバー40及び当該カバー40の周辺)に凹凸が存在しないため、手のひら静脈認証背センサ30のピントが合う位置に、自然な動きで手のひらをカバー40に載置することができる。このようにして、手のひら静脈認証作業の精度向上を図ることができる。更に、車両200の空力面への影響を抑制することができる。
【0039】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に係る車両用手のひら静脈認証装置10に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含み、各構成を適宜選択的に組み合わせても良い。例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的態様によって適宜変更され得る。
【0040】
例えば、上記実施形態では、車両用手のひら静脈認証装置10が車両200の右フロントドア202の開錠動作処理及び施錠動作処理を行う場合について説明したが、車両用手のひら静脈認証装置10は、別のドア、例えば右リアドアの開錠動作処理及び施錠動作処理を制御するものであってもよい。この場合、車両用手のひら静脈認証装置10は、例えばCピラーに取付けられていてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、近接センサ60が、車両200に対するユーザの距離変化を感知するいわゆる測距センサとして構成されている場合について説明した。しかし、近接センサ60は、当該近接センサ60に対して所定の距離にユーザが近づいた場合にユーザ接近信号をECU50に送信する、いわゆるエリアセンサとして構成されていてもよい。
更に、上記実施形態では、報知手段がLED90である場合について説明したが、報知手段は、例えばハロゲン球でもよいし、視覚以外に訴えて報知するものであってもよい(例えば、振動、音等)。
【0042】
また、上記実施形態では、車両用認証装置が、車両用手のひら静脈認証装置10である場合について説明した。しかし、車両用認証装置は、例えばユーザの指静脈によって認証作業を行う車両用指静脈認証装置として構成されていてもよい。上記実施形態では、LED90によって形成される位置決めガイド95として、ユーザの手のひらの一部分に沿った形状について説明したが、車両用認証装置が車両用指静脈認証装置として構成されている場合、位置決めガイド95は、例えばユーザの指先の形状を描くように構成されている。
【符号の説明】
【0043】
10 車両用手のひら静脈認証装置(車両用認証装置)
20 筐体
21 筒状部
21a 右側端(一端)
21b 左側端(他端)
22 右側開口部(開口)
23 左側開口部
25 外側周面
30 手のひら静脈センサ(静脈センサ)
40 カバー
50 ECU(制御部)
60 近接センサ
90 LED(報知手段)
95 位置決めガイド
200 車両
202 右フロントドア(ドア)
204 外板部材
208 外面パネル
210 Bピラー
図1
図2
図3
図4
図5
図6