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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067896
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】評価装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20220426BHJP
   B23Q 17/09 20060101ALI20220426BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20220426BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20220426BHJP
   G16Y 10/25 20200101ALI20220426BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20220426BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B23Q17/09 A
B23Q17/20 A
G06Q50/04
G16Y10/25
G16Y20/20
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176755
(22)【出願日】2020-10-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-03
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 静雄
【テーマコード(参考)】
3C029
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C029BB02
3C029CC03
3C100AA57
3C100AA68
3C100BB13
3C100BB15
3C100CC03
5L049CC04
(57)【要約】
【課題】ユーザが複数種類の工作機械の性能を適切に判断することができる技術を提供する。
【解決手段】複数種類の工作機械の性能を評価する評価装置は、所定の評価用ワークを前記工作機械にて所定の同一加工条件で加工した際に得られる所定の評価データを前記工作機械ごとに取得する取得部と、各前記工作機械の前記評価データに基づき、前記複数種類の工作機械の性能を比較可能な状態に処理する処理部と、を備える。前記所定の同一加工条件は、前記評価用ワークの材質と、前記評価用ワークの周速又は前記評価用ワークの加工に用いる工具の周速と、前記評価用ワークに対する前記工具の相対経路と、前記工具の種類と、を同一とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の工作機械の性能を評価する評価装置であって、
所定の評価用ワークを前記工作機械にて所定の同一加工条件で加工した際に得られる所定の評価データを前記工作機械ごとに取得する取得部と、
各前記工作機械の前記評価データに基づき、前記複数種類の工作機械の性能を比較可能な状態に処理する処理部と、
を備え、
前記所定の同一加工条件は、
前記評価用ワークの材質と、
前記評価用ワークの周速又は前記評価用ワークの加工に用いる工具の周速と、
前記評価用ワークに対する前記工具の相対経路と、
前記工具の種類と、
を同一とする、評価装置。
【請求項2】
前記複数種類の工作機械は、前記評価用ワークに対する前記工具の相対的な動きを同じく出来る軸構成を有する、請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
前記複数種類の工作機械は、各前記工作機械の構成要素の移動方向が互いに同じとなる同一の軸構成の工作機械である、請求項1又は2に記載の評価装置。
【請求項4】
前記所定の評価データには、前記所定の同一加工条件での加工時における、前記工作機械の主軸を回転させるモータの評価データと、前記所定の同一加工条件での加工により得られる加工済ワークの評価データと、前記所定の同一加工条件での加工時における前記工具の評価データと、のうちの少なくともいずれか一つが含まれる、請求項1から3のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項5】
前記処理部は、前記複数種類の工作機械の性能のランク付けを行って、前記複数種類の工作機械の性能を比較可能とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の評価装置。
【請求項6】
複数種類の工作機械の性能を評価する評価方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
所定の評価用ワークを前記工作機械にて所定の同一加工条件で加工した際に得られる所定の評価データを前記工作機械ごとに取得する手段と、
各前記工作機械の前記評価データに基づき、前記複数種類の工作機械の性能を比較可能な状態に処理する手段と、
として機能させ、
前記所定の同一加工条件は、
前記評価用ワークの材質と、
前記評価用ワークの周速又は前記評価用ワークの加工に用いる工具の周速と、
前記評価用ワークに対する前記工具の相対経路と、
前記工具の種類と、
を同一とする、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来においては、例えば、工作機械が備えるモータの特性や、工作機械の加工エリアによって、工作機械の性能の判断が行われていた。
【0003】
ところで、工作機械を用いた加工の分野では、ワーク(被加工物)を効率良く加工すること、並びに、加工コストを低減させることが永続的な課題となっている(例えば特許文献1参照)。すなわち、工作機械には、加工効率、加工コスト、および、加工精度の各要素を良好な状態で加工できる性能が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-22204号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、工作機械において、加工効率、加工コスト、および、加工精度は、いわゆる二律背反の関係にあることが知られている(例えば特許文献1参照)。このために、ユーザは、カタログ等に記載されるモータの特性や加工エリアだけを頼りとして、低コスト、高品位、且つ、高効率で加工を行うことができる工作機械を見つけ出すことが容易ではなかった。
【0006】
本発明は、ユーザが複数種類の工作機械の性能を適切に判断することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な評価装置は、複数種類の工作機械の性能を評価する評価装置であって、所定の評価用ワークを前記工作機械にて所定の同一加工条件で加工した際に得られる所定の評価データを前記工作機械ごとに取得する取得部と、各前記工作機械の前記評価データに基づき、前記複数種類の工作機械の性能を比較可能な状態に処理する処理部と、を備える。前記所定の同一加工条件は、前記評価用ワークの材質と、前記評価用ワークの周速又は前記評価用ワークの加工に用いる工具の周速と、前記評価用ワークに対する前記工具の相対経路と、前記工具の種類と、を同一とする。
【0008】
また、本発明の例示的なプロフラムは、複数種類の工作機械の性能を評価する評価方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記コンピュータを、所定の評価用ワークを前記工作機械にて所定の同一加工条件で加工した際に得られる所定の評価データを前記工作機械ごとに取得する手段と、各前記工作機械の前記評価データに基づき、前記複数種類の工作機械の性能を比較可能な状態に処理する手段と、として機能させる。前記所定の同一加工条件は、前記評価用ワークの材質と、前記評価用ワークの周速又は前記評価用ワークの加工に用いる工具の周速と、前記評価用ワークに対する前記工具の相対経路と、前記工具の種類と、を同一とする。
【発明の効果】
【0009】
例示的な本発明によれば、ユーザが複数種類の工作機械の性能を適切に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る評価システムの構成を示すブロック図
図2】工作機械がマシニングセンタである場合の一部の構成を示す模式図
図3】本発明の実施形態に係る評価装置の構成を示すブロック図
図4】複数種類の工作機械の性能を評価する評価方法の一例を示すフローチャート
図5】取得部により取得される取得情報の一例を示す図
図6図4に示すステップS3の処理の詳細例を示すフローチャート
図7】工作機械の性能をランク付けした結果を示す表
図8】工作機械の性能を示すレーダーチャート
図9】複数種類の所定の同一加工条件について説明するための図
図10】複数種類の工作機械の性能を評価する評価方法の別例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<1.評価システム>
図1は、本発明の実施形態に係る評価装置1を含む評価システム100の構成を示すブロック図である。図1に示す評価システム100は、工作機械を利用するユーザが、複数種類の工作機械の性能の差を把握するのに適したシステムとして構成されている。評価システム100は、評価装置1と、評価データ送信装置2と、表示処理装置3とを備える。
【0013】
評価装置1は、複数種類の工作機械の性能を評価する装置である。本実施形態において、性能を評価する対象となる工作機械は、NC工作機械であり、例えば、旋盤、フライス盤、マシニングセンタ等である。複数種類の工作機械は、例えば、ワークに対して同種の加工を行うことができるが、ユーザに別の種類の工作機械として認識される工作機械群で構成される。例えば、複数の工作機械は、ワークに対して同種の加工を行うことができるが、工作機械を製造するメーカが異なる工作機械群で構成される。また、例えば、複数の工作機械は、ワークに対して同種の加工を行うことができる同じメーカの工作機械であるが、軸構成に差を有する工作機械群で構成される。
【0014】
本実施形態では、好ましい形態として、複数種類の工作機械は、評価用ワークに対する工具の相対的な動きを同じく出来る軸構成を有する。すなわち、複数種類の工作機械は、評価用ワークに対する工具の相対的な動きを同じく出来る軸構成を有する工作機械群で構成される。このように構成することにより、軸構成が同じ、或いは、軸構成が全く同じではないが似ている工作機械同士の性能の比較を行うことを可能にできる。なお、評価用ワークは、工作機械の性能の評価を行うために予め準備された被加工物である。評価用ワークは、好ましくは、工作機械の性能の評価専用に準備された被加工物である。
【0015】
評価用ワークに対する工具の相対的な動きを同じく出来る軸構成の例について、図2を用いて説明する。図2は、工作機械5がマシニングセンタである場合の一部の構成を示す模式図である。図2において、XYZ座標系は、3次元直交座標系である。工作機械5は、不図示のモータによりZ軸方向に延びる軸線AX回りに回転駆動される主軸51を有する。主軸51には、評価用ワーク6を加工するための工具52が装着される。工具52は、例えばエンドミルやドリル等である。工具52は、不図示の自動工具交換装置(ATC;Automatic Tool Changer)により自動交換できる。また、工作機械5は、評価用ワーク6を保持可能に設けられるテーブル53を有する。
【0016】
例えば、第1のマシニングセンタは、主軸51をX方向、Y方向、および、Z方向の3方向に移動可能に設けられる構成であるとする。一方、第2のマシニングセンタは、主軸51をZ方向に移動可能に設けられると共に、テーブル53をX方向およびY方向に移動可能に設けられる構成であるとする。この場合、第1のマシニングセンタと第2のマシニングセンタとは、いずれも、評価用ワーク6に対して工具52をX方向、Y方向、および、Z方向の3方向に相対移動できる。このために、第1のマシニングセンタと第2のマシニングセンタとは、評価用ワーク6に対する工具52の相対的な動きを同じく出来る軸構成を有することになる。そして、第1のマシニングセンタと第2のマシニングセンタとは、軸構成に差があり、ユーザが別の種類の工作機械であると認識できるために、評価装置1による評価の対象となる複数種類の工作機械を構成することができる。
【0017】
なお、複数種類の工作機械は、各工作機械の構成要素の移動方向が互いに同じとなる同一の軸構成の工作機械であることがより好ましい。これにより、軸構成の差が原因となって生じる性能の差を無くして工作機械の性能の比較を行うことができ、例えば同じ用途に用いる工作機械の性能の比較をより適切に行うことができる。
【0018】
複数種類の工作機械について、軸構成が同じであることが要求される場合、上述の第1のマシニングセンタと第2のマシニングセンタとの両方が、複数種類の工作機械群に含まれることはない。第1のマシニングセンタと第2のマシニングセンタとは、工作機械の構成要素である主軸51およびテーブル53の移動方向が互いに異なり、軸構成が同一とは言えないためである。例えば、第1のマシニングセンタ或いは第2のマシニングセンタと同一の軸構成を有する複数のメーカの工作機械群によって、複数種類の工作機械を構成することができる。この場合、評価装置1を用いることによって、複数のメーカの同種の工作機械の性能の差を比較することができる。
【0019】
評価データ送信装置2は、評価の対象となり得る工作機械で評価用ワークの加工を行った場合に得られる評価データを、評価装置1に送信する。評価データは、例えば、工作機械によって評価用ワークを加工している最中に測定されるデータや、評価用ワークを加工して得られる加工済ワークを用いて測定されるデータ等である。評価データ送信装置2は、有線および無線の少なくとも一方により評価データを評価装置1に送信する。本実施形態では、図1に示すように、評価装置1および評価データ送信装置2は、いずれもインターネット等の通信網4に接続されている。評価データ送信装置2は、通信網4を介して評価データを評価装置1に送信する。
【0020】
評価データ送信装置2は、例えば、評価装置1の評価の対象となり得る工作機械であって、評価データの収集機能を有する工作機械に含まれる構成であってよい。また、評価データ送信装置2は、例えば、評価データを収集する評価機器に含まれる構成であってもよい。また、評価データ送信装置2は、評価データの入力機能を有するパーソナルコンピュータやタブレット等の端末装置であってもよい。
【0021】
なお、図1においては、評価データ送信装置2が1つしか示されていないが、通信網4に接続される評価データ送信装置2は複数であってよい。また、評価データ送信装置2は、評価装置1と有線又は無線により直接接続されてよい。また、評価データは、ユーザにより評価装置1に直接入力される構成としてもよく、このような構成が採用される場合には、評価データ送信装置2は不要である。また、評価データ送信装置2が、通信網4を介してサーバ装置に評価データを送信し、評価装置1がサーバ装置から評価データを取得する構成としてもよい。
【0022】
表示処理装置3は、評価装置1により得られた複数種類の工作機械の性能の評価結果を表示するための処理を行う。表示処理装置3は、例えば、液晶パネルや有機ELパネル等の表示パネルを利用して性能の評価結果を表示させる。表示処理装置3は、表示パネルと共に一台の装置を構成してもよい。
【0023】
本実施形態では、図1に示すように、表示処理装置3は通信網4に接続されている。表示処理装置3は、通信網4を介して評価装置1から工作機械の性能の評価結果情報を受信する。なお、図1においては、表示処理装置3が1つしか示されていないが、通信網4に接続される表示処理装置3は複数であってもよい。また、表示処理装置3は、評価装置1と有線又は無線により直接接続されてもよく、この場合には、通信網4を介することなく性能の評価結果情報を受信してよい。また、表示処理装置3は、評価装置1と通信網4を介して繋がるサーバ装置から、工作機械の性能の評価結果情報を受信してもよい。
【0024】
表示処理装置3は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット、又は、スマートフォン等の端末装置であってよい。また、表示処理装置3は、上述の評価機器や工作機械に含まれる構成であってもよい。また、表示処理装置3は、評価装置1に含まれる構成であってもよい。この構成の場合、表示処理装置3は、ハードウェアでなく、ソフトウェアにより実現される機能であってよい。評価装置1が表示処理装置3を含む構成である場合、評価装置1は、例えば、ノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等の端末装置であってよい。評価装置1が表示処理装置3を含む構成では、評価装置1と表示処理装置3との間の情報のやり取りに、通信網4は不要である。
【0025】
また、表示処理装置3は、評価装置1で得られる評価結果情報をUSBメモリ等の可搬型の記憶媒体を用いて読み込む構成であってもよい。この場合、表示処理装置3は、評価装置1と通信できない構成であってよい。
【0026】
<2.評価装置>
図3は、本発明の実施形態に係る評価装置1の構成を示すブロック図である。図3に示すように、評価装置1は、制御部11と、記憶部12と、通信部13と、入力部14と、を備える。
【0027】
制御部11は、評価装置1の全体を統括的に制御するコントローラであり、例えば集積回路を用いて構成される。制御部11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、および、ROM(Read Only Memory)等を含んで構成されるコンピュータである。記憶部12は、例えば、プログラム121や各種のデータを記憶する。記憶媒体を含む記憶部12は、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスクドライブ等の磁気ディスク装置、光ディスクの読み書きを行う光ディスク装置等で構成されてよい。
【0028】
通信部13は、評価装置1の外部の装置との情報のやり取りを可能とする。本実施形態において、通信部13は、通信網4と有線又は無線で接続される。通信部13は、通信網4を介して、工作機械にて評価用ワークを加工した際に得られる評価データを、評価データ送信装置2から受信する。通信部13は、通信網4を介して、複数種類の工作機械の性能の評価結果情報を表示処理装置3に送信する。なお、通信部13は必須の構成ではなく、評価装置1は通信部13を有さなくてもよい。
【0029】
入力部14は、評価装置1の外部から制御部11への指令を入力可能とする。入力部14は、公知の入力インターフェースであってよく、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス、タッチパッド等であってよい。なお、入力部14は必須の構成でなく、評価装置1は入力部14を有さなくてもよい。
【0030】
図3に示すように、評価装置1は、取得部111と処理部112とを備える。なお、図3に示す取得部111および処理部112は、制御部11のCPUが記憶部12に記憶されるプログラム121に従って演算処理を実行することにより実現される制御部11の機能である。別の言い方をすると、プログラム121は、複数種類の工作機械の性能を評価する評価方法をコンピュータに実行させる。
【0031】
なお、取得部111および処理部112の少なくとも一方は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路で構成されてもよい。また、取得部111および処理部112は、概念的な構成要素である。1つの構成要素が実行する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合させたりしてよい。
【0032】
取得部111は、所定の評価用ワークを工作機械にて所定の同一加工条件で加工した際に得られる所定の評価データを工作機械ごとに取得する。例えば、取得部111は、評価データ送信装置2から送信され、記憶部12に既に記憶されている所定の評価データを、性能の評価対象とされる複数種類の工作機械のそれぞれについて記憶部12から読み出す。なお、取得部111は、1つ又は複数の評価データ送信装置2から、性能の評価対象とされる各工作機械の所定の評価データを取得してもよい。また、取得部111は、ユーザに所定の評価データの入力を要求し、ユーザのデータの入力により所定の評価データを取得してもよい。
【0033】
所定の評価用ワークは、複数種類の工作機械の性能の評価を行うために準備された、性能の評価専用のワークである。所定の評価用ワークは、例えば、性能の評価専用のワークとして市場で取引される物(商品)であってよい。所定の同一加工条件は、複数種類の工作機械の性能の評価を行い易いように、予め工作機械間で同一とすることに決められた加工条件群で構成される。所定の同一加工条件は、少なくとも以下の4つ((a)~(d))の加工条件を同一とする。
【0034】
(a)所定の同一加工条件は、評価用ワークの材質を同一とする。すなわち、性能の評価を行うための加工に使用されるワークの材質は、性能の評価が行われる複数種類の工作機械間で全て同じに揃えられる。評価用ワークの材質は、例えば鉄材やアルミ材等である。なお、所定の同一加工条件は、評価用ワークの形状および大きさも同一とすることが好ましい。性能の評価を行うために各工作機械で使用される評価用ワークは、例えば、所定の材質および所定の辺長を有する立方体形状のワークであってよい。
【0035】
(b)所定の同一加工条件は、評価用ワークの周速又は評価用ワークの加工に用いる工具の周速を同一とする。すなわち、性能の評価を行うための各工作機械において、評価用ワークの周速、又は、評価用ワークの加工に用いられる工具の周速は同じである。評価用ワークの周速、又は、工具の周速としているのは、ワークを回転させる工作機械と、工具を回転させる工作機械とが存在することを考慮するものである。例えば、評価用ワークの周速(m/min)は、主軸の回転数(rpm)×評価用ワークの直径(mm)×3.14/1000で求められる。工具の周速は、主軸の回転数(rpm)× 工具の直径(mm) × 3.14/1000で求められる。なお、図2で説明した工作機械5では、主軸51が工具52を回転させる構成であるために、工具52の周速が性能の評価を行う他の工作機械と合わせられることになる。
【0036】
(c)所定の同一加工条件は、工具の種類を同一とする。すなわち、性能の評価を行うために各工作機械で使用される工具の種類は、同じ種類に揃えられる。工具の種類は、工作機械が行う加工の種類によって変えられる。換言すると、加工の種類が同じである場合、工具の種類は同じと言える。工具の種類としては、例えば、ドリル、エンドミル、タップ等が挙げられる。所定の同一加工条件においては、工具又は評価用ワークの周速が同一とされるために、工具の種類が同じであれば、工具径は必ずしも同じでなくてよい。ただし、工具の種類に加えて、工具の径も同じとされてよい。
【0037】
(d)所定の同一加工条件は、評価用ワークに対する工具の相対経路を同一とする。すなわち、性能の評価を行う複数種類の工作機械間で、評価用ワークを加工するために工具が評価用ワークに対して相対的に移動する経路(工具経路)は同じである。相対経路が同じであればよいために、ここに示す条件に限って言えば、工具と評価用ワークを載せるテーブルとうちのいずれが動くかは問題ではない。
【0038】
例えば図2に示す例において、工具52がドリルで、評価用ワーク6が立方体であるとする。この場合、同じ工具経路は、例えば、ドリル52が評価用ワーク6に対してZ方向の一方面から他方面に向けてZ方向に沿って相対移動する経路であってよい。また、例えば図2に示す例において、工具52がエンドミルで、評価用ワーク6が立方体であるとする。この場合、同じ工具経路は、例えば、エンドミル52が評価用ワーク6のX方向一方面をY方向一端から他端に向けてY方向に相対移動する経路であってよい。
【0039】
所定の同一加工条件は、例えば、材質が同じ評価用ワークを用いて、各工作機械において設定される加工プログラムを同じとすることにより実現できる。なお、所定の同一加工条件では、以上に述べた4つの加工条件(a)~(d)以外の加工条件も同一とされてよい。例えば、複数種類の工作機械がフライス加工を行う場合、切込深さ(mm)、切込幅(mm)、および、送り速度(m/min)が同一とされてよい。複数種類の工作機械が旋盤加工を行う場合、切込深さ(mm)および、送り速度(m/rev)が同一とされてよい。複数種類の工作機械がドリル加工を行う場合、送り速度(m/min)が同一とされてよい。
【0040】
所定の評価データは、複数種類の工作機械の性能の評価を行い易いように予め決められた評価項目の測定データである。所定の評価データには、所定の同一加工条件での加工時における、工作機械の主軸を回転させるモータの評価データと、所定の同一加工条件での加工により得られる加工済ワークの評価データと、所定の同一加工条件での加工時における工具の評価データと、のうちの少なくともいずれか一つが含まれることが好ましい。これによれば、従来使用される評価データを用いて複数の工作機械の性能の比較を行うことが可能になり、ユーザが工作機械の性能を把握し易くすることができる。
【0041】
工作機械の主軸を回転させるモータの評価データは、例えば、所定の同一加工条件での評価用ワークの加工時における、モータの出力の連続定格出力に対する比率(%)であってよい。当該比率が小さいほど、モータの余裕度が高く、性能が高いと判断される。なお、当該評価データを利用する構成の場合には、所定の同一加工条件において、上述の4つ((a)~(d))の加工条件に加えて、工具の径も同一とされることが好ましい。また、モータの評価データは、ここで示したものに限らず、例えばモータ負荷等であってもよい。
【0042】
加工済ワークの評価データは、例えば、加工済ワークの寸法データや、表面形状データである。寸法データには、単なる長さデータだけなく、真円度等の寸法測定から算出されるデータが含まれてよい。また、例えば、工具がドリルである場合には、ドリルによってあけられた複数の孔の中心間距離が評価データとして利用されてよい。表面形状データは、例えば、CADによる想定された設計値とのずれの大きさであったり、表面粗さであったりしてよい。加工済ワークの評価データの種類は、例えば加工に使用される工具の種類に応じて適宜決定されることが好ましい。
【0043】
工具の評価データは、例えば、工具の摩耗量や摩耗度合であってよい。工具の摩耗度合は、例えば、加工により摩耗した量を加工前の工具のサイズで除して得られる値であってよい。
【0044】
なお、所定の評価データには、以上に説明したものと異なる評価データが含まれてもよい。例えば、所定の評価データには、評価用ワークを加工した際に排出される切屑に関するデータが含まれてもよい。切屑の形状により、加工時の負荷を推測することが可能であり、評価データに切屑に関するデータを含めることで、工作機械の性能の評価を更に詳しく行うことができる。切屑に関するデータは、画像データそのものや、画像データ又は切屑の実測により求められる特定の評価値であってよい。特定の評価値は、例えば、加工時に使用する工具がドリルである場合、らせん状に形成される切屑のらせんのピッチ等であってよい。
【0045】
処理部112は、各工作機械の評価データに基づき、複数種類の工作機械の性能を比較可能な状態に処理する。このような構成とすることにより、複数種類の工作機械について、加工条件を揃えて加工を行わせた場合の性能の差を、比較可能に取得することができる。このために、ユーザは、各工作機械の性能を他の工作機械と比較しながら把握し易く、工作機械の選択を適切に行うことができる。
【0046】
比較可能な状態に処理することには、例えば、性能をランク付けすることが含まれる。すなわち、処理部112は、複数種類の工作機械の性能のランク付けを行って、複数種類の工作機械の性能を比較可能とする構成であってよい。性能のランク付けが行われることにより、複数種類の工作機械の性能を簡単に把握することができる。なお、性能を比較可能な状態にできればよいために、必ずしもランク付けを行う必要はない、性能比較を表やグラフで示す構成であってもよい。
【0047】
<3.評価方法>
図4は、複数種類の工作機械の性能を評価する評価方法の一例を示すフローチャートである。評価装置1において、複数種類の工作機械の性能を評価する評価方法は、記憶部12に記憶されるプログラム121にしたがってコンピュータが演算処理を実行することにより実現される。当該評価方法が行われる前に、性能の評価の対象となる複数種類の工作機械のそれぞれについて、上述した所定の評価用ワークを用いた所定の同一加工条件による加工処理が行われており、上述した所定の評価データが既に得られている。
【0048】
ステップS1では、取得部111が性能の評価を行う対象となる複数種類の工作機械(評価対象工作機械群)を決定する。なお、評価対象工作機械群に関する選択の余地がない場合には、ステップS1は設けられなくてよい。例えば、評価対象工作機械群は、取得部111が評価対象工作機械群を構成する工作機械の指定をユーザに対して要求し、当該要求に対してユーザが入力部14を用いて応答することにより決定される。
【0049】
詳細には、ユーザが評価対象工作機械群を構成する各工作機械を1つずつ個別に指定することにより、評価対象工作機械群が決定されてよい。別の例として、評価対象工作機械群が予め複数準備されており、それらの中から1つの群をユーザが選択することにより、評価対象工作機械群が決定されてもよい。また、別の例として、ユーザが性能の評価を知りたい1つの工作機械を指定した場合に、指定された工作機械と評価用ワークに対する工具の相対的な動きを同じく出来る軸構成の工作機械が、自動的に評価対象工作機械群を構成する工作機械に選ばれる構成としてもよい。また、別の例として、ユーザが性能の評価を知りたい1つの工作機械を指定した場合に、指定された工作機械と同一の軸構成の工作機械が、自動的に評価対象工作機械群を構成する工作機械に選ばれる構成としてもよい。なお、1つの工作機械を指定することにより、自動的に評価対象工作機械群を構成する工作機械が決定される構成の場合、例えば記憶部12に複数の工作機械の軸構成の情報が記憶されていることが好ましい。
【0050】
ステップS1により、評価対象工作機械群が決定されると、次のステップS2に処理が進められる。ステップS2では、取得部111が、所定の評価データを工作機械ごとに取得する。すなわち、プログラム121は、コンピュータを、所定の評価用ワークを工作機械にて所定の同一加工条件で加工した際に得られる所定の評価データを工作機械ごとに取得する手段として機能させる。例えば、取得部111は、記憶部12から、評価対象工作機械群を構成する各工作機械の所定の評価データを読み出す。
【0051】
図5は、取得部111により取得される取得情報の一例を示す図である。図5に示す例では、所定の同一加工条件として、評価用ワークの材質が鉄材に統一され、工具の周速が100m/minに統一され、工具がドリルに統一され、工具経路が評価用ワークに対してZ方向の一方面から他方面に向けてZ方向に沿って相対移動する経路に統一されている。
【0052】
図5に示す例では、取得部111により取得される所定の評価データは、モータの評価データと、加工済ワークの評価データと、工具の評価データである。モータの評価データは、例えば、加工時におけるモータの出力の連続定格出力に対する比率(%)の時間平均である。加工済ワークの評価データは、例えば真円度である。工具の評価データは、例えば摩耗度合である。ここでは、モータの評価データと、加工済ワークの評価データと、工具の評価データとのそれぞれについて、一種類のデータを取得する構成としているが、少なくともいずれか1つについて複数種類のデータを取得する構成としてもよい。
【0053】
ステップS2において、評価対象工作機械群を構成する全ての工作機械について所定の評価データが取得されると、次のステップS3に処理が進められる。ステップS3では、処理部112が、各工作機械の所定の評価データに基づき、複数種類の工作機械の性能を比較可能な状態に処理する。すなわち、プログラム121は、コンピュータを、各工作機械の評価データに基づき、複数種類の工作機械の性能を比較可能な状態に処理する手段として機能させる。ステップS3の処理(比較可能化処理)の詳細例について、図6を用いて説明する。
【0054】
図6は、図4に示すステップS3の処理の詳細例を示すフローチャートである。ステップS31では、処理部112は、取得した各工作機械の評価データについて、評価項目ごとに評価値を決定する。例えば、図5に示す評価データが取得された場合には、モータの評価データと、加工済ワークの評価データと、工具の評価データとのそれぞれについて、評価値を決定する。
【0055】
評価値は、評価データを複数の工作機械間で比較し易くするために求められる値である。評価値は、例えば、評価データをN(2以上の整数)段階で評価するものであってよい。例えば、評価データが5段階評価される場合、評価データは、「5」、「4」、「3」、「2」、「1」のいずれかの評価値に分類される。例えば、評価値が高いほど、性能が優れていることにされる。評価データを5段階の評価値に分類するために必要となる基準は、実験等によって予め決められている。全ての工作機械について、評価項目ごとの評価値が決められると、次のステップS32に処理を進める。
【0056】
ステップS32では、処理部112は、評価項目ごとの評価値に基づいて、各工作機械の性能のランク付けを行う。処理部112は、例えば、各工作機械において評価項目ごとに得られた評価値を単純に平均した値に基づいてランク付けを行う。例えば、モータの評価データから得られたモータ性能の評価値が「5」、加工済ワークの評価データから得られた加工精度の評価値が「4」、工具の評価データから得られた工具寿命の評価値が「3」であるとする。この場合、処理部112は、各評価値を平均して得られる総合評価値「4」に基づいて工作機械のランク付けを行う。
【0057】
例えば、総合評価値が、4より大きければ性能ランクA、3より大きく4以下であれば性能ランクB、2より大きく3以下であれば性能ランクC、2以下であれば性能ランクDとする。この例では、性能ランクA、B、C、Dの順に性能が高い。上述の総合評価値が「4」の場合、性能ランクはBとなる。処理部112は、全ての工作機械についてランク付けを完了すると、次のステップS33に処理を進める。
【0058】
なお、総合評価値は、各工作機械において評価項目ごとに得られた評価値に対して、評価項目ごとに決められた重み付け係数をかけた値を平均して算出されてもよい。例えば、モータ性能の評価値に対する重み付け係数が1.2、加工精度の評価値に対する重み付け係数が1.0、工具寿命の評価値に対する重み付け係数0.8とする。この場合、モータ性能の評価値が「5」、加工精度の評価値が「4」、工具寿命の評価値が「3」である工作機械の総合評価値は「4.1(=(5×1.2+4×1.0+3×0.8)/3)」となり、性能ランクAとなる。
【0059】
ステップS33では、処理部112は、ランク付け結果を一覧化する処理を行う。図7は、工作機械の性能をランク付けした結果を示す表である。図7に示す例では、処理部112は、ランク付けに従って、性能ランクが高い工作機械を上から順に並べ、各工作機械の性能ランクも併せて示す構成としている。処理部112は、ランク付け結果の一覧化を完了すると、図4に示すステップS4に処理を進める。
【0060】
なお、以上では、総合評価値からアルファベットを用いた性能ランクを導出する構成としているが、これは例示にすぎない。総合評価値そのものが性能ランクを示す構成であってもよい。また、総合評価値は、各評価項目の平均値ではなく、例えば各評価項目を加算した数値等であってもよい。
【0061】
また、図6に示す例では、工作機械の性能を比較可能とする処理としてランク付けを行う構成としたが、ランク付けは行われなくてもよい。例えば、工作機械の性能を比較可能とする処理として、図8に示すレーダーチャート等のグラフが作成される構成としてもよい。図8に示すレーダーチャートでは、評価対象工作機械群を構成する各工作機械について、モータ性能の評価値、加工精度の評価値、および、工具寿命の評価値が各軸にプロットされている。複数の工作機械の性能を一目で比べることができるために、ユーザが工作機械の選定を行い易くすることができる。また、ランク付け一覧の作成に加えて、レーダーチャート等のグラフを作成する処理が行われる構成としてもよい。
【0062】
図4に示すステップS4では、処理部112は、図6に示す比較可能化処理により得られた性能の評価結果情報(例えばランク付け一覧表やレーダチャート)を視覚化するために必要な処理を行う。視覚化に必要な処理は、例えば、評価結果情報を画面に表示させるために表示処理装置3に送信する処理であってよい。また、視覚化に必要な処理は、例えば、評価結果情報をプリンタで印刷させる処理や、タブレット、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の端末装置に評価結果情報を送信させる処理であってもよい。また、視覚化に必要な処理は、例えばUSBメモリ等の可搬型の記憶媒体によって情報を持ち運ぶこと等を前提とした、評価結果情報の記憶処理であってもよい。
【0063】
視覚化処理により、ユーザは、上述した図7に示すランク付け一覧表や、図8に示すレーダーチャートの少なくともいずれか一方を見ることが可能となる。これにより、工作機械の選定を行いたいユーザは、例えば軸構成が似た、或いは、軸構成が同一の複数種類の工作機械の性能を簡単に把握することができる。
【0064】
<4.変形例>
以上に示した実施形態では、評価対象工作機械群を構成する各工作機械にて所定の評価データを得るために採用される所定の同一加工条件が、一種類のみ用意されていることとした。ただし、これは例示であり、評価対象工作機械群を構成する各工作機械にて所定の評価データを得るために採用される所定の同一加工条件は、複数種類用意される構成としてもよい。
【0065】
図9は、複数種類の所定の同一加工条件について説明するための図である。図9において、タイプα、タイプβ、タイプγ、タイプδ、タイプε・・・は、互いに異なる種類の所定の同一加工条件である。例えば、タイプαとタイプβとでは、各工作機械間で同一とされる評価用ワークの材質が互いに異なる。タイプαとタイプγとでは、各工作機械間で同一とされる工具の周速が互いに異なる。タイプαとタイプδとでは、各工作機械間で同一とされる工具経路が異なる。タイプαとタイプεとでは、各工作機械間で同一とされる工具種および工具経路が異なる。
【0066】
なお、タイプδの工具経路は、ドリルが評価用ワークに対してZ方向の一方面から他方面に向けてZ方向に沿って相対移動することを、X方向の位置をずらしながら3回行う工具経路である。タイプεの工具経路は、エンドミルが立方体形状の評価用ワークの2つのYZ面のうちの一方をY方向に沿ってY方向一端から他端まで相対移動する工具経路である。
【0067】
本変形例では、性能の評価が行われる各工作機械について、複数種類の所定の同一加工条件にて得られた各所定の評価データが準備されている。このような場合には、取得部111は、入力部14で入力された所定の同一加工条件で加工した際に得られた所定の評価データを工作機械ごとに取得する構成とすることが好ましい。以下に、具体的な処理例について示す。
【0068】
図10は、複数種類の工作機械の性能を評価する評価方法の別例を示すフローチャートである。ステップS11は、図4に示すステップS1と同様であるために説明を省略する。ステップS11の処理が完了すると、次のステップS12に処理が進められる。
【0069】
ステップS12では、取得部111が、ステップS11で決定された評価対象工作機械群を構成する各工作機械の、どのタイプの加工条件で加工を行った場合の所定の評価データが欲しいのかをユーザに問い合わせる。換言すると、取得部111は、加工条件タイプ(図9に示す例ではタイプα等)の入力を要求する。取得部111は、要求処理が完了すると、次のステップS13に処理を進める。
【0070】
ステップS13では、取得部111は、要求にしたがってユーザが入力を完了したか否かを確認する。取得部111は、ユーザの加工条件タイプの入力完了を認識すると(ステップS13でYes)、次のステップS14に処理を進める。取得部111は、入力完了を認識するまでステップS13の処理を繰り返す。なお、入力完了が所定時間を超えて認識されない場合には、エラー表示を行う等、他の処理を行う構成としてもよい。
【0071】
ステップS14では、ユーザが入力した加工条件タイプにしたがって、評価対象工作機械群を構成する各工作機械の所定の評価データを取得する。例えば、図9に示す例でタイプαが選択された場合、ワーク材質が鉄材、工具周速が100m/min、工具種がドリル、工具経路が評価用ワークに対してZ方向の一方面から他方面に向けてZ方向に沿って相対移動する経路で評価用ワークを加工した際に得られた所定の評価データが、各工作機械について取得される。また、例えば、図9に示す例でタイプβが選択された場合、ワーク材質がアルミ材、工具周速が100m/min、工具種がドリル、工具経路が評価用ワークに対してZ方向の一方面から他方面に向けてZ方向に沿って相対移動する経路で評価用ワークを加工した際に得られた所定の評価データが、各工作機械について取得される。
【0072】
ステップS14における所定の評価データの、その他の取得処理は、図4のステップS4の場合と同様である。また、所定の評価データを取得した後に行わるステップS15、ステップS16の処理は、それぞれ、図4のステップS3、ステップS4と同様である。これら同様の処理については説明を省略する。
【0073】
本変形例の構成によれば、ユーザが行いたい加工条件、或いは、それに近い加工条件で加工が行われた場合の、複数種類の工作機械の性能を比較することができる。このために、ユーザが工作機械の選定を行い易くすることができる。
【0074】
<5.留意事項>
上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。当業者にとって変形および変更が適宜可能である。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲内と均等の範囲内での実施形態からの変更が含まれる。また、本明細書中に示される複数の実施形態及び変形例は可能な範囲で適宜組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0075】
1・・・評価装置
5・・・工作機械
6・・・評価用ワーク
111・・・取得部
112・・・処理部
121・・・プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10