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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067913
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】外部給電用の接続装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/16 20060101AFI20220426BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20220426BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220426BHJP
   G01R 31/52 20200101ALI20220426BHJP
   G01R 31/56 20200101ALI20220426BHJP
   G01R 31/58 20200101ALI20220426BHJP
   G01R 31/66 20200101ALI20220426BHJP
【FI】
H02H3/16 A
H02J1/00 301D
H02J7/00 S
G01R31/52
G01R31/56
G01R31/58
G01R31/66
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176778
(22)【出願日】2020-10-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年8月27日 アトリスパーク刈谷にて記者会見で給電システムについて説明 令和2年8月27日 インターネット上のウェブサイト(アドレス:https://www.toyotahome.co.jp/corporate/pdf/p200827.pdf)で給電システムを掲載
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】北村 壮史
【テーマコード(参考)】
2G014
5G004
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AA04
2G014AA16
2G014AB35
2G014AB60
5G004AA04
5G004AB02
5G004BA01
5G004CA02
5G004DA01
5G165BB08
5G165CA02
5G165EA02
5G165GA09
5G165HA16
5G165LA02
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503FA14
(57)【要約】
【課題】建物に給電ケーブルの異常検出装置をリフォーム等により後付けしなくても、給電ケーブルにて異常が生じたことを検出することを可能とする外部給電用の接続装置を提供する。
【解決手段】外部給電機能を有する自動車23と、建物10において自動車23からの電力の取込口となるインレット31とを接続する外部給電用の接続装置40を備える。この接続装置40を介して自動車23とインレット31とを接続することで、自動車23からインレット31への給電を行うことが可能となっている。接続装置40は、自動車23に接続される給電ケーブル41と、インレット31に接続される接続ケーブル42と、各ケーブル41,42を接続して設けられる異常検出装置43とを備える。異常検出装置43は、自動車23からインレット31への給電中に給電ケーブル23において異常が生じたことを検出するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物において外部電源装置から供給される電力を取り込むための取込口と、
前記取込口に取り込まれた電力を前記建物内の電気機器に供給する外部給電経路とを備える建物の給電システムに用いられるもので、
前記外部電源装置から前記取込口に電力を供給すべく、前記外部電源装置と前記取込口とを接続するための外部給電用の接続装置であって、
前記外部電源装置に接続される給電ケーブル又は前記外部電源装置に外部給電ケーブルを介して接続されるケーブル接続部のいずれかである第1接続部と、
前記取込口に接続される第2接続部と、
前記各接続部を接続して設けられているとともに、前記外部電源装置から前記取込口への給電中に前記給電ケーブル又は前記外部給電ケーブルにおいて異常が生じたことを検出するための異常検出装置と、
を備えることを特徴とする外部給電用の接続装置。
【請求項2】
前記取込口は、前記建物の壁部に設けられ、
前記第2接続部は、前記異常検出装置の筐体部から突出して設けられ、前記取込口の差込口に差し込み可能な接続端子であることを特徴とする請求項1に記載の外部給電用の接続装置。
【請求項3】
前記第1接続部は、前記ケーブル接続部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の外部給電用の接続装置。
【請求項4】
前記第1接続部は、前記ケーブル接続部であり、
前記ケーブル接続部は、前記筐体部において前記接続端子の前記突出側とは反対側に取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の外部給電用の接続装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電源装置から建物に設けられた電力の取込口へ電力を供給すべく、外部電源装置と取込口とを接続するための外部給電用の接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、電気自動車やハイブリッド自動車が実用化されており、それらの自動車に搭載された車載バッテリを用いて、自動車側から建物側に電力を供給する技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。かかる技術によれば、災害等に伴い、建物で停電が発生した場合に、自動車側から建物側に電力を供給することで、建物内の電気機器を作動させることが可能となる。
【0003】
自動車側から建物側に電力を供給する際には、自動車側と建物側とを給電ケーブルを介して接続し、その接続状態で自動車側から建物側に給電ケーブルを通じて電力を供給することになる。そのため、こうした給電が可能な建物には、給電ケーブルの一端側を接続する給電用のインレットと、そのインレットと電気機器とをつなぐ外部給電経路とが設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-9521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、自動車側から建物側に給電ケーブルを介して給電を行う際には、給電ケーブルの一部が地面に垂れ下がった状態で配設されることが想定される。そのため、給電ケーブルの一部に、劣化や外傷等により絶縁被覆の破損が生じると、その破損した箇所で給電ケーブルが地面と電気的に接続(接地)し、地絡が生じることが考えられる。この場合、地絡が生じると、自動車側から建物側に給電ケーブルを通じて適正に給電できないといった事態が生じるおそれがある。
【0006】
そこで、こうした点に鑑み、給電ケーブルでの地絡の発生を検出するための異常検出装置を建物内の外部給電経路上に設けることが考えられる。例えば、既に建物に外部給電を行うための構成が設けられている場合、かかる検出装置をリフォーム等により後付けで外部給電経路上に設けることが考えられる。
【0007】
しかしながら、外部給電経路は、建物内において壁内や天井裏等の裏空間に配設されているため、その外部給電経路上に異常検出装置を後付けで設けるのは作業的に大変であると考えられる。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、建物に給電ケーブルの異常検出装置をリフォーム等により後付けしなくても、給電ケーブルにて異常が生じたことを検出することを可能とする外部給電用の接続装置を提供することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく、第1の発明の外部給電用の接続装置は、建物において外部電源装置から供給される電力を取り込むための取込口と、前記取込口に取り込まれた電力を前記建物内の電気機器に供給する外部給電経路とを備える建物の給電システムに用いられるもので、前記外部電源装置から前記取込口に電力を供給すべく、前記外部電源装置と前記取込口とを接続するための外部給電用の接続装置であって、前記外部電源装置に接続される給電ケーブル又は前記外部電源装置に外部給電ケーブルを介して接続されるケーブル接続部のいずれかである第1接続部と、前記取込口に接続される第2接続部と、前記各接続部を接続して設けられているとともに、前記外部電源装置から前記取込口への給電中に前記給電ケーブル又は前記外部給電ケーブルにおいて異常が生じたことを検出するための異常検出装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、外部電源装置と、建物における外部電源装置からの電力の取込口とが接続装置を介して接続される。そして、その接続状態で外部電源装置から取込口へ電力が供給され、その電力が取込口から建物内の電気機器に供給されるようになっている。これにより、本接続装置を用いれば、外部電源装置から建物内の電気機器に給電を行うことが可能となる。
【0011】
接続装置は、外部電源装置に接続される第1接続部と、建物側の取込口に接続される第2接続部とを備えている。第1接続部は、外部電源装置に接続される給電ケーブル又は外部給電ケーブルを介して外部電源装置に接続されるケーブル接続部のいずれかからなる。また、接続装置は、第1接続部と第2接続部とを接続して設けられる異常検出装置をさらに備える。この異常検出装置により、外部電源装置からの給電中に、給電ケーブル又は外部給電ケーブルにおいて異常が生じたことが検出される。この場合、建物に対してリフォームにより異常検出装置を後付けしなくても、給電ケーブルにおいて異常が生じたことを検出することが可能となる。
【0012】
第2の発明の外部給電用の接続装置は、第1の発明において、前記取込口は、前記建物の壁部に設けられ、前記第2接続部は、前記異常検出装置の筐体部から突出して設けられ、前記取込口の差込口に差し込み可能な接続端子であることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、異常検出装置の筐体部から突出した接続端子(第2接続部)が、壁部に設けられた取込口の差込口に差し込まれることにより接続される。この場合、異常検出装置を地面から上方に浮かした状態で設置することができるため、建物への給電中に異常検出装置が歩行の邪魔になるのを抑制することができる。
【0014】
第3の発明の外部給電用の接続装置は、第1又は第2の発明において、前記第1接続部は、前記ケーブル接続部であることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、外部電源装置がケーブル接続部に外部給電ケーブルを介して接続される。この場合、本接続装置の導入前に使用していた既存の外部給電ケーブルを用いて外部電源装置と取込口とを接続することができる。そのため、既存の外部給電ケーブルを有効利用することができ、しかも当該給電ケーブルにて異常が生じたことを検出することが可能となる。
【0016】
第4の発明の外部給電用の接続装置は、第2の発明において、前記第1接続部は、前記ケーブル接続部であり、前記ケーブル接続部は、前記筐体部において前記接続端子の前記突出側とは反対側に取り付けられていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、第1接続部がケーブル接続部とされているため、上記第3の発明と同様の効果を得ることができる。また、第2接続部が接続端子からなるため、第1接続部及び第2接続部ともにケーブルレスの構成とすることができ、接続装置のコンパクト化を図ることができる。
【0018】
また、外部給電ケーブルが接続されるケーブル接続部は筐体部において接続端子の突出側とは反対側に取り付けられているため、接続端子を建物の取込口に接続した状態で、ケーブル接続部を取込口と同じ向きに、かつ取込口とほぼ同じ高さ位置に配置することができる。これにより、外部給電ケーブルを建物側(建物側のケーブル接続部)に接続する際、本接続装置の導入前と同じように接続することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態における給電システムの全体構成を示す図。
図2】異常検出装置の電気的構成を示す図。
図3】第2の実施形態における給電システムの全体構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は、第1の実施形態における給電システムの全体構成を示す図である。
【0021】
図1に示すように、建物10は、例えば戸建ての住宅とされており、その建物10には分電盤11が設けられている。分電盤11には、商用電源(系統電源)から送られる商用電力が引き込み線12を介して供給される。引き込み線12は、電柱に設けられた柱上トランス(図示略)から建物10側に引き込まれている。柱上トランスでは、配電線を流れるAC6600Vの高圧電力(商用電力)がAC100/200Vの低圧電圧に変換される。そして、その変換された低圧電力が引き込み線12を介して分電盤11に供給されるようになっている。なお、柱上トランスの二次側は接地(アース)されている。
【0022】
分電盤11に供給されるAC100/200Vの商用電力は、分電盤11から建物10内の複数の回路(分岐回路)に分配供給される。これら複数の回路には、リビング用の回路であるリビング回路15が含まれている。リビング回路15は、照明16、照明SW17及びコンセント18等の電気機器と、これらの電気機器16~18に接続されたユニットケーブル19とを有している。分電盤11とリビング回路15とは給電経路22を介して接続され、その給電経路22を通じて分電盤11からリビング回路15に商用電力が供給される。また、図1では便宜上、建物10内の各回路のうち、リビング回路15以外の回路については図示を省略している。
【0023】
建物10には、リビング回路15に外部電源装置からの給電を可能とする外部給電系統が設けられている。これにより、本建物10では、災害等により建物10に停電が発生した場合(すなわち商用電力の供給が停止された場合)に、建物10に外部電源装置を接続し、その接続状態で外部電源装置からリビング回路15に電力を供給することが可能となっている。このため、停電発生時においても、リビングの電気機器16~18を使用することが可能となっている。
【0024】
なお、リビング回路15は、非常時にも給電が可能となっていることから、非常時給電回路ということもできる。また、非常時給電回路は、必ずしもリビング回路15である必要はなく、寝室用の寝室回路等、他の回路であってもよい。また、非常時給電回路を複数設定してもよい。
【0025】
続いて、外部電源装置からリビング回路15に給電を行うための構成について説明する。
【0026】
本実施形態では、外部電源装置として、外部給電機能を有する自動車23を想定している。自動車23は、例えば車載バッテリ24を搭載したプラグインハイブリッド自動車(PHV)となっている。自動車23には、その車内にコンセント25が設けられている。コンセント25は車載バッテリ24に電気的に接続され、車載バッテリ24に蓄えられた電力をコンセント25から取り出し可能となっている。コンセント25は、建物に設けられているコンセントと同じAC100V用のコンセントとなっている。そのため、コンセント25には、ドライヤ等の電気機器(家電機器)を接続可能となっている。
【0027】
自動車23は、外部給電用の接続装置40を介して建物10に接続可能となっている。接続装置40の詳細については後述するが、接続装置40は、自動車23のコンセント25に接続可能とされているとともに、建物10の外壁部29に設けられたインレット31に接続可能とされている。これにより、接続装置40が自動車23のコンセント25と建物10のインレット31とにそれぞれ接続されることで、自動車23と建物10(インレット31)とが接続装置40を介して電気的に接続されるようになっている。
【0028】
なお、屋外には建物10に隣接して自動車23の駐車スペース32が設けられ、その駐車スペース32に面した外壁部29(壁部に相当)にインレット31が設けられている。また、インレット31が外部電源装置からの電力を取り込む取込口に相当する。
【0029】
建物10には、インレット31と給電経路22とを接続する接続経路35が電気経路として設けられている。接続経路35は給電経路22の中間部に接続され、その給電経路22と接続経路35との接続部分には切替スイッチ21が設けられている。この場合、切替スイッチ21とインレット31とが接続経路35を介して接続されている。
【0030】
切替スイッチ21は、手動操作により、分電盤11とリビング回路15とを接続する第1位置と、インレット31(換言すると接続経路35)とリビング回路15とを接続する第2位置との間で位置切替可能となっている。切替スイッチ21が第1位置にある場合には、分電盤11からリビング回路15に給電経路22を介して商用電力が供給される。切替スイッチ21は通常、第1位置に設定され、図1では、切替スイッチ21が第1位置に設定された状態を示している。
【0031】
一方、自動車23(詳しくはコンセント25)が接続装置40を介して建物10側のインレット31に接続された状態で、切替スイッチ21が第1位置から第2位置に切り替えられると、自動車23とリビング回路15とが接続装置40と接続経路35と給電経路22の一部(詳しくは、給電経路22のうち、切替スイッチ21とリビング回路15とをつなぐ経路部分)とを介して電気的に接続される。この場合、自動車23側(詳しくは車載バッテリ24)からAC100Vの電力が接続装置40を介してインレット31に供給され、その供給された電力がインレット31から接続経路35と給電経路22の上記一部とを介してリビング回路15に供給される。なお、この場合、接続経路35と給電経路22の上記一部とを含んで外部給電経路が構成されている。
【0032】
続いて、接続装置40について説明する。
【0033】
接続装置40は、自動車23のコンセント25と建物10のインレット31とを接続するものである。自動車23から建物10のリビング回路15へ給電を行う際には、この接続装置40によりコンセント25とインレット31とを接続し、その接続状態で自動車23からリビング回路15へ給電を行うようになっている。接続装置40は、自動車23のコンセント25に接続される給電ケーブル41と、建物10のインレット31に接続される接続ケーブル42と、これら各ケーブル41,42を接続して設けられる異常検出装置43とを備える。
【0034】
給電ケーブル41は、その一端部に自動車23のコンセント25に着脱可能に接続されるコネクタ41aを有している。給電ケーブル41の他端部は異常検出装置43に取り付けられている。なお、給電ケーブル41が第1接続部に相当する。
【0035】
接続ケーブル42は、その一端部に建物10のインレット31に着脱可能に接続されるコネクタ42aを有している。接続ケーブル42の他端部は異常検出装置43に取り付けられている。接続ケーブル42は、そのケーブル長さが給電ケーブル41のケーブル長さよりも十分短くされている。これにより、異常検出装置43が地面の上に置かれた状態で、接続ケーブル42がインレット31に接続された際、接続ケーブル42が垂れ下がって地面に接触することがないようになっている。なお、接続ケーブル42が第2接続部に相当する。
【0036】
異常検出装置43は、自動車23から建物10のリビング回路15に接続装置40(給電ケーブル41)を介して給電を行う際に、給電ケーブル41における地絡(地絡異常)の発生を検出するものである。以下、異常検出装置43の構成について図2に基づいて説明する。図2は、異常検出装置43の電気的構成を示す図である。
【0037】
図2に示すように、異常検出装置43は、絶縁トランス51と、地絡検出部52と、駆動回路53と、警報器54と、漏電遮断器55とを有している。異常検出装置43は、金属製又は樹脂製の箱体からなる筐体部45を有しており、その筐体部45に上記各部51~55がそれぞれ組み込まれている。
【0038】
絶縁トランス51は、異常検出装置43において給電ケーブル41と接続ケーブル42とを接続する電気経路46上に設けられている。電気経路46において絶縁トランス51の一次側は、接地経路56を介して接地(アース)されている。接地経路56には、地絡検出部52が設けられている。地絡検出部52は、電流センサからなり、給電ケーブル41における地絡の発生時に接地経路56を流れる地絡電流を検出する。
【0039】
給電ケーブル41において地絡(一線地絡)が生じた場合には、その地絡した箇所Tと接地経路56とを通じて地絡電流が流れる。図2には、その地絡電流が流れる電流経路が点線矢印で示されている。この場合、地絡電流が流れる電流経路は絶縁トランス51の一次側に(のみ)形成される。
【0040】
警報器54は、地絡検出部52により地絡電流が検出された場合に、給電ケーブル41における地絡の発生を報知するものである。警報器54は、例えばブザーからなり、警報音を出力することで地絡の発生を報知する。なお、警報器54としては、ブザー以外に、発光することで報知を行うランプ等の発光部を用いてもよい。
【0041】
地絡検出部52は、警報器54を駆動する駆動回路53と接続されている。地絡検出部52により地絡電流が検出されると、その検出に基づき駆動回路53により警報器54が駆動される。これにより、給電ケーブル41で地絡が生じた場合には、警報器54より警報音が出力される。そのため、地絡の発生をユーザに知らせることができる。
【0042】
漏電遮断器55は、電気経路46における絶縁トランス51の二次側に設けられている。漏電遮断器55は、自動車23からリビング回路15に接続装置40を介して電力が供給されている際に、絶縁トランス51の二次側(リビング回路15側)で漏電が発生すると、電気経路46を遮断する。つまり、自動車23からリビング回路15への給電を遮断する。なお、図示は省略するが、電気経路46は、絶縁トランス51の二次側であってかつ漏電遮断器55の一次側となる箇所で接地されている。
【0043】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0044】
自動車23(詳しくはコンセント25)と建物10のインレット31とを接続する接続装置40を設け、その接続装置40を介して自動車23からインレット31へ給電を行うようにした。また、接続装置40を、自動車23に接続される給電ケーブル41と、インレット31に接続される接続ケーブル42と、それら各ケーブル41,42を接続して設けられる異常検出装置43とを有して構成した。そして、異常検出装置43により、自動車23からインレット31(建物10)への給電中に、給電ケーブル41にて地絡異常が生じたことを検出するようにした。この場合、建物10に対してリフォームにより異常検出装置を後付けしなくても、給電ケーブル41において地絡異常が生じたことを検出することが可能となる。
【0045】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、上記第1の実施形態と接続装置の構成が相違する。そこで、以下では、その相違点を中心に第2の実施形態について図3に基づき説明する。なお、図3は、第2の実施形態における給電システムの全体構成を示す図である。
【0046】
図3に示すように、本実施形態の接続装置60は、上記第1の実施形態と同様、異常検出装置61を備える。異常検出装置61は、上記第1の実施形態における異常検出装置43と同様の構成であるため、その詳細な説明については割愛する。異常検出装置61の筐体部62には、建物10のインレット31に接続される接続端子64が設けられている。接続端子64は、板状又は棒状の端子であり、筐体部62から突出した状態で当該筐体部62に取り付けられている。接続端子64は、インレット31の差込口31aに差し込み可能とされており、その差込口31aに差し込まれることでインレット31に接続されるようになっている。なお、接続端子64が第2接続部に相当する。
【0047】
筐体部62には、自動車23のコンセント25に給電ケーブル66を介して接続される接続口65が設けられている。給電ケーブル66は、接続装置60とは別体からなる外部給電ケーブルであり、その両端部に一対のコネクタ66a,66bを有している。各コネクタ66a,66bのうち、一方のコネクタ66aは自動車23のコンセント25に接続可能とされ、他方のコネクタ66bは接続口65に接続可能とされている。また、給電ケーブル66は、例えば本建物10にて接続装置60が導入される以前から使用されていたものとなっている。
【0048】
接続口65は、筐体部62において接続端子64が突出している側とは反対側に取り付けられている。接続口65には、給電ケーブル66のコネクタ66bが着脱可能に接続されるようになっている。接続口65は、例えば建物10のインレット31と同じ構成からなる。なお、接続口65が第1接続部及びケーブル接続部に相当する。
【0049】
自動車23のコンセント25と建物10のインレット31とが接続装置60を用いて接続される際には、まず接続装置60の接続端子64がインレット31の差込口31aに差し込まれることにより、当該接続端子64ひいては接続装置60がインレット31に接続される。この接続により、異常検出装置61ひいては接続装置60が地面から上方に浮いた(離間した)状態で設置される。そして、このように接続装置60がインレット31に接続された状態で、接続装置60の接続口65と自動車23のコンセント25とが給電ケーブル66を介して接続される。この場合、給電ケーブル66のコネクタ66aが自動車23のコンセント25に接続され、コネクタ66bが接続装置60の接続口65に接続される。これにより、自動車23のコンセント25と建物10のインレット31とが給電ケーブル66及び接続装置60を介して接続される。
【0050】
異常検出装置61は、上述したように、上記第1の実施形態における異常検出装置43と同様の構成であるが、その内部(筐体部62の内部)の構成について簡単に説明すると、筐体部62を挟んだ両側の接続口65及び接続端子64は、異常検出装置61内の電気経路46を介して接続されている。異常検出装置61においては、電気経路46上に絶縁トランス51と漏電遮断器55が設けられ、その電気経路46が地絡検出部52が設けられた接地経路56を介して接地されている。なお、異常検出装置61内の各部46,51~55の構成は、上記第1実施形態における異常検出装置43の各部46,51~55と同じ構成であるため、同じ符号を付している。
【0051】
ちなみに、本実施形態では、接続装置60がインレット31に接続された状態で、異常検出装置61が地面から浮いた状態で設置されるため、接地経路56が接続端子64及びインレット31を介して建物10内の接地経路を介して接地されている。
【0052】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0053】
自動車23(詳しくはコンセント25)と建物10のインレット31とを接続する接続装置60を設け、その接続装置60を介して自動車23からインレット31へ給電を行うようにした。また、接続装置60を、自動車23に給電ケーブル66を介して接続される接続口65と、インレット31に接続される接続端子64と、それら接続口65と接続端子64とを接続して設けられる異常検出装置61とを有して構成した。そして、異常検出装置61により、自動車23からインレット31(建物10)への給電中に、給電ケーブル66において地絡異常が生じたことを検出するようにした。この場合、建物10に対してリフォームにより異常検出装置を後付けしなくても、給電ケーブル66において地絡異常が生じたことを検出することが可能となる。
【0054】
異常検出装置61の筐体部62から突出する接続端子64を設け、その接続端子64を外壁部29に設けられたインレット31の差込口31aに差し込むことでインレット31に接続するようにした。この場合、異常検出装置61を地面から上方に浮かした状態で設置することができるため、建物10への給電中に異常検出装置61が歩行の邪魔になるのを抑制することができる。
【0055】
接続装置60を、自動車23と給電ケーブル66を介して接続される接続口65を有して構成した。この場合、建物10において接続装置60の導入以前から使用していた既存の給電ケーブル66を用いて自動車23とインレット31とを接続することができる。そのため、既存の給電ケーブル66を有効利用することができ、しかも当該給電ケーブル66にて異常が生じたことを検出することが可能となる。
【0056】
接続装置60において、自動車23が接続される第1接続部を接続口65とし、インレット31が接続される第2接続部を接続端子64としたため、接続装置60をケーブルレスの構成とすることができる。そのため、接続装置60のコンパクト化を図ることができる。
【0057】
また、給電ケーブル66が接続される接続口65を筐体部62において接続端子64の突出側とは反対側に取り付けたため、接続端子64を建物10のインレット31に接続した状態で、接続口65をインレット31と同じ向きに、かつインレット31とほぼ同じ高さ位置に配置することができる。これにより、給電ケーブル66を建物10側(建物10側の接続口65)に接続する際、本接続装置60の導入前と同じように接続することが可能となる。
【0058】
[他の実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0059】
・上記第1の実施形態では、接続装置40が第1接続部として給電ケーブル41を有していたが、これに代えて、接続装置40が第1接続部として自動車23に給電ケーブルを介して接続される接続口(ケーブル接続部)を有していてもよい。その場合、既存の給電ケーブルを有効利用することができるという、上記第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
・上記第1の実施形態において、異常検出装置43の筐体部45に給電ケーブル41を巻き取り及び繰り出し可能とするローラ等の巻取装置を内蔵してもよい。その場合、給電ケーブル41を巻き取った状態で筐体部45の内部に収納することができるため、接続装置40をコンパクトな状態で保管することが可能となる。
【0061】
・上記各実施形態では、異常検出装置43,61により給電ケーブル41,66の地絡異常を検出する構成としたが、給電ケーブル41,66の異常検出としては、これに限らず、漏電異常や断線異常等を検出する構成としてもよい。
【0062】
・上記各実施形態では、自動車23において給電ケーブル41,66が接続されるコンセント25(車両側接続部)が自動車23の車内に設けられていたが、給電ケーブル41,66が接続される車両側接続部は自動車23の側面部や後面部等、車外に設けられていてもよい。
【0063】
・上記各実施形態では、自動車23のコンセント25(車両側接続部)からAC100Vの交流電力が出力されるようになっていたが、自動車23の車両側接続部から直流電力が出力される構成であってもよい。
【0064】
・上記各実施形態では、外部電源装置としてプラグインハイブリッド自動車(PHV)を用いたが、電気自動車(EV)や燃料電池複合型自動車(FCHV)等、PHV以外の車両を外部電源装置として用いてもよい。また、外部電源装置としては必ずしも車両を用いる必要はなく、例えば発電機を用いてもよい。その場合、発電機を接続装置40,60を介してインレット31に接続し、その接続状態で発電機による発電電力を建物10側に供給することになる。
【符号の説明】
【0065】
10…建物、16…電気機器としての照明、23…外部電源装置としての自動車、29…壁部としての外壁部、31…取込口としてのインレット、31a…差込口、40…接続装置、41…第1接続部としての給電ケーブル、42…第2接続部としての接続ケーブル、43…異常検出装置、60…接続装置、61…異常検出装置、62…筐体部、64…第2接続部としての接続端子、65…第1接続部及びケーブル接続部としての接続口、66…外部給電ケーブルとしての給電ケーブル。
図1
図2
図3