(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067930
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】米飯の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20220426BHJP
【FI】
A23L7/10 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176801
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】591065549
【氏名又は名称】福岡県
(71)【出願人】
【識別番号】000208787
【氏名又は名称】第一製網株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】506350252
【氏名又は名称】西日本長瀬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】坂田 文彦
(72)【発明者】
【氏名】奥薗 一彦
(72)【発明者】
【氏名】土居 繁
【テーマコード(参考)】
4B023
【Fターム(参考)】
4B023LC08
4B023LE11
4B023LG01
4B023LK02
4B023LK04
4B023LK08
4B023LL04
4B023LL05
4B023LP10
4B023LP20
(57)【要約】
【課題】 取り扱い性に優れ、酸性臭のような刺激臭の発生もなく無臭であり、安全かつ効率よく、米由来の枯草菌に対しても優れた静菌効果を有する米飯の製造法を提供する。
【解決手段】 本発明の米飯の製造方法は、米飯の炊飯の際に、炊飯物全量に対して、フマル酸0.02~0.1質量%と、酢酸0.01~0.03質量%添加して炊飯することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯の炊飯の際に、炊飯物全量に対して、フマル酸0.02~0.1質量%と、酢酸0.01~0.03質量%を添加して炊飯することを特徴とする米飯の製造方法。
【請求項2】
グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、キサンタンガムから選ばれる少なくとも1種を添加することを特徴とする請求項1に記載の米飯の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯の製造法に関し、さらに詳しくは、酸性臭のような刺激臭の発生や酸味もなく、米由来の枯草菌、また、食中毒菌となる大腸菌、黄色ブドウ球菌に対しても優れた静菌効果を有する米飯の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、白米、おにぎり、おこわ等の米飯食品においては、衛生管理をより徹底する観点から、保存・販売時における菌の増殖を抑えるために、酢酸やグルコン酸等の酸味料やpH調整剤を添加する技術などが数多く知られている。
これらに用いられている酢酸は、大腸菌、緑濃菌などの他、食品中のサルモネラ菌、黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌、エルシニア菌、カンピロバクター菌などの食中毒菌の増殖を抑制する効果を有することが知られている。そして、酢酸の濃度が高いほどこの菌の増殖抑制効果が高く、濃度が低いほど、この菌の増殖抑制効果は小さくなる。いずれにしても生菌数を増殖抑制もしくは減少させる性質を有するものである。
【0003】
酢酸を用いた米飯の製造法等としては、例えば、1)水洗白米を0.2~1.0%の酢酸溶液に浸漬後、加熱炊飯して酢酸を米粒の中心部にまで浸透せしめることを特徴とする炊飯米の保護法(例えば、特許文献1参照)、2)米に水を加えて加熱し米飯を製造する場合、酢酸、酪酸その他脂肪酸を除く脂肪族の有機酸(この有機酸を含む)を加えてpHを6.5以下として加熱することを特徴とする米飯の製造法(例えば、特許文献2参照)、3)炊飯用の米を酢酸溶液に浸漬して内部まで酢酸を浸透させて処理し、この酢酸処理後の米をクエン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムのような食品添加物である有機酸塩を含む溶液で中和し、酢酸の香り、味を除去することにより、炊飯用の米を品質改良することを特徴とする炊飯用米の品質管理方法(例えば、特許文献3参照)、4)酢ないし酢酸を使用して食品の保存性を高めながら、酢や酢酸の風味、酸味を舌に感じさせない食品保存料として、酢ないし酢酸と、アジピン酸、フマル酸、グルコン酸、グルコノデルタラクトン、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上の有機酸及び/又は有機酸塩とを混合してなる食品保存料、また、上記酢ないし酢酸と有機酸及び/又は有機酸塩との配合比が、酸濃度において1:0.05~1:10である食品保存料(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1~2において、用いる酢酸は、防腐力の点から優れているものであるが、揮発酸であるため、炊飯米に独特の刺激臭を付与してしまう傾向や酸味を付与してしまう場合があり、特に、この種の炊飯米を電子レンジ等で再加熱などすると、酢酸臭がより強く発生して風味を低下させるという欠点があった。上記特許文献3の中和処理するものでは、酢酸臭の発生を抑えるものとなるが、処理法が複雑化するなどの課題がある。
上記特許文献4は、本発明の近接技術を開示するものであるが、炊飯米についてのサポート等がなく、食品保存料(実施例はタケの子の水煮、豆腐の保存料等)であり、更に、pHが5以上であると、日持ちが悪くなり好ましくないことが記載されており、本発明とは技術思想が相違するものである。
【0005】
一方、枯草菌は、土中に存在する菌で、何処にでもいるものである。特に、イネ藁には普通に存在し、バチルス属に含まれる腐敗菌の1種である。この枯草菌は芽胞(がほう)と呼ばれる外皮を形成し、これが熱に強いため、炊飯時の熱(100~120℃)では生き残ってしまい、炊飯後には活動を開始し、変色や匂いを出したりする。しかも、厄介なことに精白米の段階では、これらの菌に汚染されているかどうかを確認することが目視ではできないものである。上記枯草菌は腐敗菌であるため、人体にはそれほど害は少ないものであるが、フードサービスではあれだけ変色や匂いが出てしまうと食べてくれる人は少なく大変な損害を生じかねないものとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭53-94044号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献2】特開平4-183365号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献3】特開平7-250629号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【特許文献4】特開平9-23860号公報(特許請求の範囲、実施例等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の課題などに鑑み、これを解消しようとするものであり、取り扱い性に優れ、酸味を感じることなく、かつ、酸性臭のような刺激臭の発生もなく無臭であり、安全かつ効率よく、米由来の枯草菌、また、食中毒菌となる大腸菌、黄色ブドウ球菌に対しても優れた静菌効果を有する米飯の製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記従来の課題等について、鋭意検討した結果、食品の酸味料として使用されている有機酸の中で、酢酸と特定の酸とを各所定量の範囲で、米飯の炊飯の際に配合して試験などを施したところ、上記目的の米飯の製造法が得られることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明は、米飯の炊飯の際に、炊飯物全量に対して、フマル酸を0.02~0.1質量%と、酢酸を0.01~0.03質量%とを添加して炊飯することを特徴とする米飯の製造方法である。
好ましくは、更に、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、キサンタンガムから選ばれる少なくとも1種を添加することが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、取り扱い性に優れ、酸味を感じることなく、かつ、酸性臭のような刺激臭の発生もなく無臭であり、安全かつ効率よく、米由来の枯草菌、また、食中毒菌となる大腸菌、黄色ブドウ球菌に対しても優れた静菌効果を有する米飯の製造法が提供される。
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。本明細書における前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、本発明の技術的範囲は、下記で詳述するそれぞれの実施の形態等に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
本発明の米飯の製造方法は、米飯の炊飯の際に、炊飯物全量に対して、フマル酸を0.02~0.1質量%と、酢酸を0.01~0.03質量%とを添加して炊飯することを特徴とするものである。
【0011】
用いるフマル酸は、米飯の製造の際に、主に米由来の枯草菌に対する殺菌成分として使用するものであり、構造式〔HOOC-CH=CH-COOH(トランス体)〕で表され、水難溶性の結晶性の粉末である。
用いるフマル酸は、特に限定されないが、好ましくは、体積平均粒子径30μm以下、より好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下であり、原料として市販されているフマル酸を乾式又は湿式の方法で粉砕して上記好ましい粒径のものを使用する。また、原料製造時に好ましい粒径になるよう結晶化させて取り出したものを使用しても良い。
【0012】
用いるフマル酸の含有量は、炊飯物全量に対して、0.02~0.1質量%(以下において、「質量%」を単に「%」として表記する)、更に好ましくは、0.025~0.08%とすることが望ましい。
このフマル酸の含有量が0.02%未満であると、用いる酢酸との相乗作用を発揮できなくなり、本発明の効果を達成することができないことがあり、一方、0.1%超過であると、酸味が発生し、好ましくない。
なお、本発明において、「炊飯物全量」とは、炊飯する際に用いる場合のお米、水、添加するフマル酸、酢酸、お米以外の食品原料、その他の添加成分を含めた全体量(100%)を意味する。
【0013】
また、用いる酢酸は、上記フマル酸との併用により、酢酸を用いた場合における酸性臭のような刺激臭の発生も生じさせずに相乗作用を発揮せしめて、米由来の枯草菌、また、食中毒菌となる大腸菌、黄色ブドウ球菌に対して殺菌成分として作用するものである。
用いる酢酸は、化学合成されたものでもよいが、米飯の製造に用いる点から発酵法により製造されたものを使用することが望ましい。
【0014】
この併用の場合における、酢酸の含有量は、炊飯物全量に対して、0.01~0.03%、好ましくは、0.015~0.025%であることが望ましい。
この酢酸の含有量が0.01%未満であると、用いるフマル酸との相乗作用を発揮できなくなり、本発明の効果を達成することができないことがあり、一方、0.03%超過であると、酸味・酸臭が発生し、好ましくない。
【0015】
また、本発明方法において、好ましくは、フマル酸の溶解性向上の点、フマル酸の分散性向上の点から、上記各所定量のフマル酸、酢酸と共に、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、キサンタンガムから選ばれる少なくとも1種を添加することが好ましい。
これらの成分は食品添加物として使用されているものであり、その安全性は確認されている。
【0016】
上記グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、キサンタンガムは、フマル酸の難溶性(水への溶解度:25℃、0.63g/100mL)を勘案し、好ましくは、炊飯物全量に対して、合計含有量を好ましくは、0.0001~0.05%、更に好ましくは、0.0005~0.01%とすることが望ましい。
【0017】
より好ましくは、フマル酸は、予め所定の体積平均粒子径となるフマル酸が、酢酸と共にグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、キサンタンガムで分散された水分散液を用いることが好ましく、特に好ましくは、炊飯物全量に対して、体積平均粒子径が20μm以下の上記所定量のフマル酸と、上記所定量の酢酸と、キサンタンガム
0.0002~0.002%、グリセリン脂肪酸エステル0.001~0.005%を、炊飯の際に用いる水とを合計したフマル酸+酢酸水分散液を用いることが望ましい。
【0018】
本発明方法において、炊飯に用いる原料となるお米は、通常の米飯食品に用いられるものであれば特に制限はなく、粳米、糯米、精白米、玄米、ジャポニカ米、インディカ米、餅米等その精白度合いや品種等に関係なく用いることができ、複数種の米を混合して用いてもよい。
また、本発明方法では、米飯の炊飯の際に、炊飯物全量に対して、フマル酸を0.02~0.1質量%、酢酸を0.01~0.03%添加して炊飯するものであれば、炊飯方法(炊飯温度、時間、炊飯機械、炊飯手段、炊飯工程等)は、特に制限はなく、例えば、家庭用や業務用の電気・ガスなどの加熱手段による所定の炊飯器、業務用炊飯機械などを用いて炊飯することができる。
また、白米以外の炊き込みご飯、釜飯、おこわ、赤飯等を製造する場合には米飯食品原料に米以外の原料を配合してもよく、また、おにぎり等の樹脂製の包装フィルムに包装する場合には、離型性の点から炊飯の際に食用油脂を添加してもよいものである。すなわち、本発明において、炊飯の際に用いる炊飯物の原料には、米の他に、必要に応じて、上記米以外の、調味料、糖質(トレハロース、異性化糖、ブドウ糖、乳頭、果糖等)、食用油脂、香辛料、出汁等を用いてもよいものである。
更に、本発明方法では、製造された炊飯米を容器や包装材に収容または包装する工程を含んでいてもよい。このような容器や包装材はマイクロ波加熱が可能な耐熱性材料から構成されていてもよい。すなわち、容器または包装材により収容または包装された米飯食品も、本発明の製造方法となる炊飯方法(炊飯物の製造法)の生産物の範囲内である。
【0019】
本発明方法では、米飯の炊飯の際に、炊飯物全量に対して、フマル酸を0.02~0.1%と、酢酸を0.01~0.03%添加して炊飯するものであり、更に好ましくは、上記炊飯方法により炊飯された、炊飯米のpHは5.0以上、特に好ましくは、5~6.5となるように炊飯することが望ましい。
ここで炊飯米のpHが5.0以上とすることにより、酸味や酸臭を感じない米飯となり、一方、炊飯米のpHが6.5以下とすることにより、枯草菌等の雑菌の増殖を抑制することができる。
上記炊飯米のpH範囲(5~6.5)の調整は、用いるフマル酸、酢酸の各含有量、更に、フマル酸塩・クエン酸塩・リンゴ酸塩・乳酸塩等の有機酸塩を添加することで、調整することができる。
【0020】
以上のよう、本発明方法で得られる炊飯米は、取り扱い性に優れ、酸味を感じることなく、かつ、酸性臭のような刺激臭の発生もなく無臭であり、安全かつ効率よく、米由来の枯草菌、また、食中毒菌となる大腸菌、黄色ブドウ球菌に対しても優れた静菌効果を有するものである。
このようにして炊飯された炊飯米は、適宜、必要に応じて、容器詰めされ、低温流通などを経て使用に供され、必要に応じて電子レンジ等での再加熱等を行って食されることになる。
【実施例0021】
次に、下記試験例1~4により本発明を更に詳細に説明する。
【0022】
〔試験例1:実施例1及び比較例1~4〕
米(令和元年度米、夢つくし米)150gに、水170ml及び下記表1に示す各濃度のフマル酸と有機酸との組み合わせ〔フマル酸(体積平均粒子径が10μm、以下同様))と、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコンとの組み合わせ)を添加し、炊飯器(NL-B805型(0.54Lサイズ)、象印マホービン社製)を用いて炊飯した。
炊飯した米10gを分取し、10~90CFU/0.1mlとなるように調整した菌種(B.subtilis NBRC3134)の枯草菌液を添加し、25℃にて72時間保存したのち、菌数を測定し、日持ち向上効果を評価した。25℃、72時間保存後の枯草菌数が、10の5乗台(105)以下を合格(評価:○)、105超過を(評価:×)とした。
また、炊飯した各米10gを分取し、それぞれ10~90CFU/0.1mlとなるように調整した調整した大腸菌(Escherichia coli NBRC15034)または黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp.aureus NBRC13276)液を添加し、25℃にて24および48時間保存したのち、それぞれの菌数を測定し、日持ち向上効果を調査した。25℃、24、48時間保存後の菌数が、10の3乗台(103)以下を合格(評価:○)、103超過を(評価:×)とした。
また、味(酸味)については、パネラー5名により、得られた炊飯米を飲食してもらい、官能評価(酸味又は刺激臭を感じる場合:×、酸味及び刺激臭を感じない場合:○)した。
更に、得られた炊飯米について、pHメーター:LAQUAact(HORIBA社製)を用いて、品温25℃で測定した。
これらの結果を下記表1に示す。
【0023】
【表1】
無添加:pH6.86
フマル酸、併用有機酸の濃度は、炊飯物全量に対する濃度である。
【0024】
〔試験例2:実施例2~7及び比較例5~8〕
米(令和元年度米、夢つくし米)150gに、水170ml及び下記表2に示す各濃度のフマル酸と酢酸とも組み合わせを添加し、試験例2と同様の炊飯器を用いて炊飯した。
炊飯した各米10gを分取し、10~90CFU/0.1mlとなるように調整した上記試験例2と同様に枯草菌(B.subtilis NBRC3134)液、大腸菌(Escherichia coli NBRC15034)液、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus subsp. aureus NBRC12732)液をそれぞれ添加し、保存したのち、各菌数を測定し、日持ち向上効果を上記試験例2と同様にして評価した。
また、得られた炊飯米のpH、米味(酸味)については、上記試験例1と同様にして評価した。
これらの結果を下記表3に示す。
【0025】
【表2】
フマル酸、併用有機酸の濃度は、炊飯物全量に対する濃度である。
【0026】
〔試験例3:実施例8〕
米(令和元年度米、夢つくし米)150gに、下記組成の水170ml及び下記配合組成の試験液サンプル1を0.75g添加し、試験例1と同様の炊飯器を用いて炊飯した。
炊飯した各米10gを分取し、10~90CFU/0.1mlとなるように調整した上記試験例1と同様に枯草菌液、大腸菌液、黄色ブドウ球菌液をそれぞれ添加し、保存したのち、各菌数を測定し、日持ち向上効果を上記試験例1と同様にして評価した。また、得られた炊飯米のpH、米味(酸味)については、上記試験例2と同様にして評価した。
試験液サンプル1の組成(全量100%):
フマル酸(体積平均粒子径が10μm、以下同様) 20.0%
酢酸 10.0%
キサンタンガム 0.2%
グリセリン脂肪酸エステル 0.5%
水(精製水) 69.3%
上記試験例3の結果は、枯草菌(25℃-72時間後)、大腸菌(25℃-24時間後)、黄色ブドウ球菌(25℃-48時間後)については、各評価は全て○であり、酸味もなく酢酸臭もないことが確認された。また、炊飯米のpH値は5.8であった。
【0027】
〔試験例4〕
米(令和元年度米、品種:夢つくし米)150gに、水170ml及び下記組成の試験液サンプル2を0.75g添加し、炊飯器(NL-B805型(0.54Lサイズ)、象印マホービン社製)を用いて炊飯した。
炊飯した米10gを分取し、枯草菌芽胞(芽胞形成枯草菌:B.subtilis NBRC3134)が300CFU/0.1mlとなるように調整したものを添加し、25℃にて72時間保存したのち、枯草菌数を混釈法により測定した。コントロールは、水(精製水)100%である。
これらの結果を下記表3に示す。
試験液サンプル2:
フマル酸(体積平均粒子径が10μm、以下同様) 30.0%
キサンタンガム 0.2%
グリセリン脂肪酸エステル 0.5%
水(精製水) 69.3%
【0028】
【0029】
上記表3の結果から明らかなように、フマル酸0.07%を含有する試験液サンプル2では、芽胞を形成する枯草菌について経時的にも菌数の増加が見られず、優れた静菌効果を備えることを確認した。
上記の試験例1~3において、該フマル酸と酢酸との併用による各濃度による枯草菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌の静菌効果、並びに官能評価(酸味、臭い)などについて試験評価した。なお、上記試験例4で用いた枯草菌芽胞と、前述する試験例1~3で用いる枯草菌液とは、耐熱性を有する芽胞状態で添加しているか否かの点で相違するものである。
【0030】
上記表1~表3の結果の比較考察などから明らかなように、フマル酸と有機酸の組み合わせにおいて、各所定量のフマル酸と酢酸との併用のみが、酸性臭のような刺激臭の発生もなく無臭であり、かつ、酸味もなく、枯草菌、大腸菌液、黄色ブドウ球菌に対して静菌効果を有することがわかった。
取り扱い性に優れ、酸味を感じることなく、かつ、酸性臭のような刺激臭の発生もなく無臭であり、酸味もなく、安全かつ効率よく、枯草菌、大腸菌液、黄色ブドウ球菌に対しても優れた静菌効果を有する米飯の製造法が提供される。