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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067959
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】縦型製袋充填装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 9/20 20120101AFI20220426BHJP
【FI】
B65B9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176845
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】391024744
【氏名又は名称】不双産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 保彦
【テーマコード(参考)】
3E050
【Fターム(参考)】
3E050AA02
3E050AB02
3E050CA01
3E050CB08
3E050DC01
3E050DD01
3E050FA01
3E050FB01
(57)【要約】
【課題】製袋フォーマを代替する構成を備えて、高度な熟練とカン、更には、現場での面倒な微調整を不要としつつ、包材の蛇行を抑制した筒状化機能を実現できる、新規且つ有用な縦型製袋充填装置の提供。
【解決手段】製袋充填シュート3の上端部の側方に包材Fの幅方向両側の縁部F1を合掌方向にガイドする一対の合掌ガイド片19、19を備える。この一対の合掌ガイド片19、19はガイド面が包材送り方向下流側が狭まる逆ハの字状に配置されている。合掌ガイド片19は包材送り方向に対して直交する方向が断面U字状をなし、製袋充填シュート3側と包材送り方向両側が開放されたガイド溝が設けられており、その間を包材Fの縁部F1が沿わされつつ下方に送られることで、包材Fの筒状化が進行すると共に、縁部F1の蛇行が自動的に抑制される。
【選択図】 図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包材リールから引き出された連続した帯状の包材が製袋充填シュートの円弧外面に沿わされつつ下方に送られる際に、前記包材の幅方向両側の縁部が合掌され縦シール機構により筒状化される縦型製袋充填装置において、
前記製袋充填シュートの上端部の側方に前記両側の縁部を合掌方向にガイドする一対の合掌ガイド片を備え、
前記一対の合掌ガイド片はガイド面が包材送り方向下流側が狭まる逆ハの字状に配置され、且つ、各合掌ガイド片は前記包材送り方向に対して直交する方向が断面U字状をなし、前記円弧外面側と前記包材送り方向両側が開放されたガイド溝が設けられており、
前記ガイド溝を画定する一対のガイド面の間を、前記縁部が沿わされつつ下方に送られることで、前記包材の筒状化が進行すると共に、前記両側の縁部の蛇行が抑制されることを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項2】
請求項1に記載した縦型製袋充填装置において、
合掌ガイド片のガイド溝の包材送り方向上流側に当たる包材受入れ側はテーパ状に拡大されていることを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載した縦型製袋充填装置において、
製袋充填シュートを挟んで一対の合掌ガイド片と反対側に、包材を外方に膨らませることで張りを調整する張り調整部材を備えていることを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項4】
請求項3に記載した縦型製袋充填装置において、
張り調整部材は製袋充填シュートからの起伏角度が調整可能になっていることを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項5】
請求項4に記載した縦型製袋充填装置において、
張り調整部材は製袋充填シュートの外面に沿って湾曲して、包材送り方向下流側に向かって収束した舌片板状に形成されていることを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載した縦型製袋充填装置において、
製袋充填シュートの上端部は、一対の合掌ガイド片と張り調整部材の被取付部として、その余の製袋充填シュートとは別体として形成され、当該その余の製袋充填シュートと軸状に連なるように接合されて一体化されていることを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載した縦型製袋充填装置において、
製袋充填シュートの上端部の上側開口に原料投入ホッパの下端部が殆ど直立姿勢になって入り込んでいることを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載した縦型製袋充填装置において、
縦シール機構は、一対の送りロールが上下に配され、その間に縦シール手段が配されており、上側の一対の送りロールはフリーロール、下側の一対の送りロールは駆動ロールになっていることを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項9】
請求項8に記載した縦型製袋充填装置において、
駆動ロールで構成された包材リールと、上下方向に往復移動するダンサーロールと、製袋充填シュートの上方に配置されたフリーのガイドロールを備え、縦シール機構側の駆動ロールと包材リール側の駆動ロールの択一的または部分的重畳を含む駆動による前記包材リールと前記ガイドロールとの間の包材の送り方向の長さの変化に追従して前記ダンサーロールが上下動することで包材の張りが保たれることを特徴とする縦型製袋充填装置。
【請求項10】
請求項9に記載した縦型製袋充填装置において、
包材リールに巻付けられた包材ロールの外周面に当たる当り棒と、前記当り棒の当り角度を指標として、モータ駆動を制御することで包材の引出し量を一定にするモータ調整手段を備えることを特徴とする縦型製袋充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋充填工程において連続した帯状の包材を下方に向かって縦送りすることを特徴とする縦型製袋充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
縦型製袋充填装置では、包材リールから引き出された連続した帯状の包材が製袋充填シュートに沿わされつつ下方に送られる際に、包材の幅方向両側の縁部が合掌され縦シール機構により筒状化され、原料が充填される前後にその筒状包材を横切る方向に間隔をあけて横シールが施されると共にその横シール部の中間でカットされており、連続的または断続的に原料が充填された袋体が製造される。
製袋充填シュートの包材送り方向上流側に製袋フォーマが連設されており、包材が先ずこの製袋フォーマに沿わされることで徐々に湾曲し、ほぼ筒状になった状態で製袋充填シュート側に送られるようになっている。製袋フォーマが理想形状になっていれば、幅方向両側の縁部が揃った状態で縦シール機構に送られるので、縁部ぎりぎりに縦シール部をもってくることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-096837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製袋フォーマは複雑な三次元形状で構成されており、その成形には板金職人の高度な熟練とカンに頼った手作業が必要になっているが、最近では製袋フォーマを作れるような板金職人は少なくなっており、近い将来製袋フォーマの供給が途切れることが確実視されている。
また、現在製作されている製袋フォーマでも、微小でも狂いが発生する場合があり、それを放置すると、包材が製袋フォーマに部分的に沿わずにテンションが弛んだ状態になって蛇行するため、縁が揃わずシール不良を発生させてしまう。そのため、装置の設置現場で製袋フォーマの向きを微調整することでその狂いを補正しているが、製袋充填シュートと一体化されて、サイズ、重量共に大きくなっており、その補正作業はなかなかに面倒でかつ神経を使うものになっている。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、製袋フォーマを代替する構成を備えて、高度な熟練とカン、更には、現場での面倒な微調整を不要としつつ、包材の蛇行を抑制した筒状化機能を実現できる、新規且つ有用な縦型製袋充填装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、請求項1の発明は、包材リールから引き出された連続した帯状の包材が製袋充填シュートの円弧外面に沿わされつつ下方に送られる際に、前記包材の幅方向両側の縁部が合掌され縦シール機構により筒状化される縦型製袋充填装置において、前記製袋充填シュートの上端部の側方に前記両側の縁部を合掌方向にガイドする一対の合掌ガイド片を備え、前記一対の合掌ガイド片はガイド面が包材送り方向下流側が狭まる逆ハの字状に配置され、且つ、各合掌ガイド片は前記包材送り方向に対して直交する方向が断面U字状をなし、前記円弧外面側と前記包材送り方向両側が開放されたガイド溝が設けられており、前記ガイド溝を画定する一対のガイド面の間を、前記縁部が沿わされつつ下方に送られることで、前記包材の筒状化が進行すると共に、前記両側の縁部の蛇行が抑制されることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した縦型製袋充填装置において、合掌ガイド片のガイド溝の包材送り方向上流側に当たる包材受入れ側はテーパ状に拡大されていることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載した縦型製袋充填装置において、製袋充填シュートを挟んで一対の合掌ガイド片と反対側に、包材を外方に膨らませることで張りを調整する張り調整部材を備えていることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載した縦型製袋充填装置において、張り調整部材は製袋充填シュートからの起伏角度が調整可能になっていることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載した縦型製袋充填装置において、張り調整部材は製袋充填シュートの外面に沿って湾曲して、包材送り方向下流側に向かって収束した舌片板状に形成されていることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1から5のいずれかに記載した縦型製袋充填装置において、製袋充填シュートの上端部は、一対の合掌ガイド片と張り調整部材の被取付部として、その余の製袋充填シュートとは別体として形成され、当該その余の製袋充填シュートと軸状に連なるように接合されて一体化されていることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0012】
請求項7の発明は、請求項1から6のいずれかに記載した縦型製袋充填装置において、製袋充填シュートの上端部の上側開口に原料投入ホッパの下端部が殆ど直立姿勢になって入り込んでいることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1から7のいずれかに記載した縦型製袋充填装置において、縦シール機構は、一対の送りロールが上下に配され、その間に縦シール手段が配されており、上側の一対の送りロールはフリーロール、下側の一対の送りロールは駆動ロールになっていることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0014】
請求項9の発明は、請求項8に記載した縦型製袋充填装置において、駆動ロールで構成された包材リールと、上下方向に往復移動するダンサーロールと、製袋充填シュートの上方に配置されたフリーのガイドロールを備え、縦シール機構側の駆動ロールと包材リール側の駆動ロールの択一的または部分的重畳を含む駆動による前記包材リールと前記ガイドロールとの間の包材の送り方向の長さの変化に追従して前記ダンサーロールが上下動することで包材の張りが保たれることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【0015】
請求項10の発明は、請求項9に記載した縦型製袋充填装置において、包材リールに巻付けられた包材ロールの外周面に当たる当り棒と、前記当り棒の当り角度を指標として、モータ駆動を制御することで包材の引出し量を一定にするモータ調整手段を備えることを特徴とする縦型製袋充填装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の縦型製袋充填装置では、製袋フォーマを代替する構成を備えて、高度な熟練とカン、更には、現場での面倒な微調整を不要としつつ、包材の蛇行を抑制した筒状化機能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る縦型製袋充填装置の全体の斜視図である。
図2図1の要部の拡大斜視図である。
図3図2の側面図である。
図4図2の製袋充填シュートに係る部位の拡大斜視図である。
図5図4の前面図である。
図6図4の分解斜視図である。
図7図6の合掌ガイド片の拡大斜視図である。
図8図7の側面図である。
図9図4の張り調整部材に係る部位を中心とした側面図である。
図10図2の製袋充填シュートと縦シール機構の配置関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態に係る縦型製袋充填装置1を図面にしたがって説明する。
図1図3に示すように、この縦型製袋充填装置1は包材を縦送りして三角錐形状または平袋形状のティーバッグを製造するものであり、縦方向に連続した帯状の包材の幅方向両端部が合掌され縦シールが施されて筒状に成形され、原料が充填される前後にその筒状包材を横切る方向に間隔をあけて横シールが施されると共にカットされて、連続的に原料が充填された袋体が製造される。
シールには超音波方式を利用しており、包材F(図3)としてはナイロン製不織布、ポリエチレン繊維製不織布等の超音波溶着可能なものの使用が想定されている。
【0019】
図4図6に示すように、製袋充填シュート3のシュート本体5は円筒状をなし、軸方向を上下方向とした状態で設置されている。このシュート本体5の円弧状の上端縁5aの一部はU字状に切り欠かれており、この切欠き縁に半割り状ホッパ7の縁が合せられ溶接により一体化されている。ホッパ7の上端縁7aは上端縁5aと段差なく連なっている。
シュート本体5の上側に上端部として被取付部9が連設され、溶接により一体化されている。被取付部9は半割り状円筒部11を備えており、それぞれの半割り縁からは一対の側面部13、13が溶接により一体化されている。一対の側面部13、13は、半割り状円筒部11から離れるに従って、上縁が傾斜して下がっている。この側面部13の下端縁13aは半割り状円筒部11の下端縁11aと段差なく連なっている。
【0020】
側面部13の下端縁13aは半割り状円筒部11の下端縁11aと同軸状に連なっており、下端縁11aが上端縁5aに、下端縁13aが上端縁7aにそれぞれ合せられ溶接により一体化されて、上下方向に開放された状態で軸状に連なっている。なお、側面部13はホッパ7よりも延びており、その分だけホッパ7に対してはみ出しているが、そのはみ出し部分の下端縁13aは下面部13bで閉塞されている。従って、被取付部9に投入された原料は全てシュート本体5側に送られるようになっている。
【0021】
対向する一対の側面部13、13のそれぞれの後側の凹縁にほぼ円柱状の連結部15が嵌め込まれた状態で横架されており、連結部15の両端部は側面部13、13より外方に突出している。連結部15が側面部13を後側で閉塞する後面部としての役割を果たしている。この連結部15は上下側が水平な平面になっており、下面は下面部13bに当接されている。上面は側面部13の上端縁よりも低くなっている。
以下、位置関係の説明の便宜のため、前後関係については、半割り状円筒部11を前側、連結部15を後側とする。
【0022】
下面部13bの下面には受け面部17が重ね合されて固定されている。この受け面部17は側面部13の外方に突出した部分17aを有しており、その突出部分17aの上面の上方には僅かな間隔をあけて連結部15の突出部分15aの下面が対向している。突出部分17aは突出部分15aよりも左右方向外方に延びており、その分だけ突出部分15aとの間に段差が形成されている。受け面部17はL字状に屈曲された一方の面部で構成されており、他方の面部は連結部15の後側に回り込んでいる。この他方の面部は装置筐体側への固定用に利用されている。
【0023】
この連結部15の突出部分15a、15aにそれぞれ合掌ガイド片19、19が取付けられている。図7図8に示すように、この合掌ガイド片19は、一枚の縦長長方形の金属板21の曲げ加工により立体的に成形されている。
上部側では後縁(図4の取り付けた状態で後側にくる縁)から切り込まれて、L字状の切込みが設けられており、その切込みの両側にそれぞれ横縁21a、21bとその先で上方に延びた縦縁21c、21dが形成されている。そして、この横縁21aと縦縁21cの境界近傍では横方向に延びる折曲げ部21eが設けられており、それに沿って折曲げられている。この折曲げ部21eを境界として上部側に連なる部分が取付部23、下部側に連なる部分がガイド部25になっている。
【0024】
取付部23は、横長の矩形状になっており、上側は斜め方向に延びた折曲げ部21fに沿って折曲げ部21e側とは山谷の関係で折曲げられている。
また、ガイド部25は、横縁21aと縦縁21cの境界では縦方向に延びる折返し部21gが設けられており、それに沿って断面U字状に折り返されている。
この折返しによって平行に対向する一対の内面が作られており、それらはガイド面25a、25aとなっている。
【0025】
合掌ガイド片19は上記したように構成されており、取付部23の横縁21bが受け面部17の突出部分17aの上面の段差に載せられ、連結部15の突出部分15aの端面に重ね合された状態で被取付部9の側方に取付けられている。
この取付けにより、ガイド部25は連結部15より前側にくる。
折曲げ部21eにより折曲げられたガイド部25の一対のガイド面25a、25aは逆ハの字状に傾斜している。
【0026】
また、一対のガイド面25a、25aの上方にくる取付部23と被取付部9の外面との間には隙間が確保されている。なお、取付部23の上部は折曲げ部21fにより折曲げられて隙間が広げられているが、この部分は包材Fのテーパ状に拡大された受入口27になっている。
ガイド溝25bは包材送り方向に対して直交する方向が断面U字状をなし、上記した上方を含めて三方が開放されて、包材送り方向になる上下方向と前側が開放され、かつ受入口27があるので、包材Fが製袋充填シュート3の円弧外面に沿わされて湾曲が進行しつつ下方に送られてきた際には、幅方向縁部F1がガイド溝25bの間に進入し、その内面に沿わされつつ下方にスムーズに送られるようになっている。
一対の合掌ガイド片19、19は被取付部9を挟んで対称的に取付けられており、それぞれのガイド溝25b、25bは包材送り方向下流側が狭まる逆ハの字状に配置された関係になっている。従って、幅方向縁部F1がガイド溝25bの間に進入し、その内面に沿わされつつ下方にスムーズに送られると合掌方向にガイドされていき、出た際には殆ど合掌状態になっている。
【0027】
被取付部9の半割り状円筒部11側には張り調整部材29が備えられている。
図6に示すように、この張り調整部材29は半割り状円筒部11の外面に沿って湾曲し、下側が収束した舌片状の張り面部31の凹曲面側に取付部33が設けられている。この取付部33は平板状になっており、凹曲面の径方向内方に向かって突設している。取付部33には張り面部31よりも上側に延出した部分があり、この延出部分にボルト挿通穴33aが形成されている。
半割り状円筒部11の上端には天面部11bが被せられているが、天面部11bから半割り状円筒部11に跨って切り欠かれて差込み溝11cが形成されている。また、天面部11bには差込み溝11cの縁に沿って被取付壁11dが立てられており、この被取付壁11dにもボルト挿通穴11eが形成されている。
【0028】
この差込み溝11cに取付部33が差し込まれると、図4に示すように、張り面部31の凹曲面が半割り状円筒部11の外面に隙間を開けて沿うように重なり、取付部33のボルト挿通穴33aが被取付壁11dのボルト挿通穴(タップ穴)11eと連通するので、ボルトを螺進させて締めることにより、張り調整部材29を被取付部9に対して固定できる。
ボルト挿通穴11e、33aに挿通させるボルトを回動支点として、取付部33は回動可能になっており、図9に示すように、張り面部31を半割り状円筒部11の外面に重なった状態から、所望の角度に起伏させることができる。
【0029】
シュート本体5の下側には複数のガイド棒35、35、……が等間隔で垂下されている。このガイド棒35、35、……により、シュート本体5の間で縦シールが施されて完全に筒状になった包材Fがシュート本体5を離れたときに重なり合うのが抑制されている。
【0030】
製袋充填シュート3には上記したように、一対の合掌ガイド片19、19と張り調整部材29が取付けられており、図3に示すように、テンションを掛けられて上方から送られてきた包材Fが製袋充填シュート3に沿わされつつ下方に送られるときに、その幅方向両側の縁部F1がガイド溝25b、25bをそれぞれ沿わされつつ合掌方向にガイドされながら移動することで、その上方の沿わされていないフリー状態の包材F側から湾曲化が始まる。包材Fが半割り状円筒部11の円弧外面側に沿わされた段階になっているときには、筒状化が進行している。
【0031】
包材Fが蛇行していると、ガイド溝25b、25bのそれぞれの溝底への包材Fの縁端の当りに偏りが出て、強く当たる側は押し返されるので、このガイド溝25bを通過する際に蛇行が抑制される。
包材Fが弛むと蛇行が生じ易くなるが、張り調整部材29の張り面部31を起伏させると、包材Fがその起伏された張り面部31の外面に沿わされていくので、包材Fの湾曲面が外方に膨らんで張りを出させることができる。
また、半割り状円筒部11の下端縁11aとシュート本体5の上端縁5aとの境界には溶接跡により多少なりとも凹凸が出ており、この凹凸は沿わされて送られる包材Fが引っ掛かり蛇行を生じさせる原因になるが、包材Fが起伏された張り面部31の外面に沿わされていくと、その張り面部31の周囲の包材Fは製袋充填シュート3から浮き上がった状態になり、上記した溶接跡上を間隔をあけて避けることになるので、蛇行がより効果的に抑制される。
【0032】
製袋充填シュート3に合掌ガイド片19、19等は一体化されているが、全体として形状が簡単なため、熟練した職人の技能を必要とせずに、機械加工された部品の単純な組み立てにより構成できる。
また、包材Fが沿わされる箇所には送りをスムーズにするために表面処理を施しているが、全体のサイズが小さくなっているので、この表面処理を施す面積も小さくなっている。
従って、コスト低減にも寄与する。
【0033】
図1図2に示すように、この製袋充填シュート3の被取付部9の上側開口に原料投入ホッパ37の下端部が入り込んでいる。被取付部9の上側開口の上方空間は開放されているので、この原料投入ホッパ37は殆ど直立姿勢になって入り込むことが可能になっている。
原料投入ホッパ37内を落下する原料は真っ直ぐに落下できれば速く落下できるので、原料投入ホッパ37が上記した直立姿勢にあれば、トータルのサイクル時間を短くできる。
また、製袋充填シュート3の全体の長さは製袋フォーマが無い分だけ短くなっており、被取付部9の上方に空間はできるので、その空間を他の部材の取付け等に利用可能になっている。
【0034】
縦型製袋充填装置1全体を、原料投入ホッパ37、製袋充填シュート3を含めて、包材Fの送り方向上流側から下流側に従って説明する。
先ず、ロール状に巻かれた包材Fが包材リール39から引き出されてくる。包材リール39のリール軸39aには、引出しモータ41の回転軸が連結されており、引出しモータ41の回転力を受けてリール軸39aが回転して包材Fが引き出されていく。
当り棒43は、L字状をしており、包材リール39側から突出したブラケットに基部43aが回転自在に連結されており、先端部43bが包材Fの外周面に当たるようになっている。包材Fが引き出されていくとロール径が小さくなっていくが、当り棒43が自重により回動してその先端部43bの当り角度が変わることで常に当り状態になっている。
【0035】
当り棒43の当り角度を検出する角度センサ45が設けられており、引出しモータ41はこの角度センサ45からの当り角度を指標として駆動制御しており、送り量を一定にしている。
符号46はダンサーレバー機構を示し、このダンサーレバー46aは包材リール39の取付スタンドに固定された揺動軸46bに揺動自在に軸支されている。このダンサーレバー46aの先端側には、ダンサーロール46cがフリー状態で突設されている。
符号47はガイドロールを示し、このガイドロール47はフリー状態で製袋充填シュート3の上方に配置されている。
包材リール39、ダンサーロール46c、ガイドロール47はそれぞれの軸方向が平行関係になるように配置されている。
【0036】
製袋充填シュート3には、一対の合掌ガイド片19、19の下側に縦シール機構49が配置されている。図10に示すように、上段の一対の金属製の送りロール51、51と下段の一対のウレタン製の送りロール53、53が上下方向に並んでおり、上段の送りロール51、51はフリーになっており、下段の送りロール53、53は送りモータ(図示省略)の駆動により回転するようになっている。製袋フォーマが無い分、包材Fの送り抵抗が小さくなっており、上段の送りロール51、51をフリー状態とすることが可能となっている。
上段の送りロール51、51と送りモータが繋がっていないので、その分だけ部品点数が減っている。
【0037】
上段の一対の送りロール51、51と下段の一対の送りロール53、53の間に配置された超音波ホーン57と受けロール59の間を通過することで縦シールが施されて筒状に成形される。
縦シール機構49の下側には横シール機構61が配置されており、間隔をあけて縦シールと同様のシール方式で横シールが施されると共にカットされ、その横シールの合間に原料投入ホッパ37から原料が落下投入されることで、連続的に原料が充填された袋体が製造されていくようになっている。
【0038】
図3に示すように、包材Fは包材リール39から引出され、ダンサーロール46c、ガイドロール47にガイドされて、製袋充填シュート3に対して上方から送られて、更に、上記したように、縦シール機構49を経由して、横シール機構61まで送られる。
縦シール機構49の送りモータが駆動して包材Fを送ると、その送り分だけ包材Fが引張られるので、ダンサーレバー46aが揺動して先端部が上がる。先端部が上がると、引出しモータ41が駆動して、その送り分だけ包材Fを包材リール39から引出すので、ダンサーレバー46aが上記とは逆方向に揺動して先端部が下がる。このように、矢印に示すように、ダンサーレバー46aが往復揺動することで、包材Fの張りが保たれている。
【0039】
縦シール機構49の上段側は上記したようにフリーロールになっており、更に、引出しモータ41を包材リール39側に取付け、包材Fの送り方向をダンサーロール46c、ガイドロール47の二段階のみで変えているという単純な構成になっている。
包材Fの筒状成形及び縁部F1の合掌化は一対の合掌ガイド片19、19で実現できること、更には、製袋フォーマに包材Fが大きな面状に沿わされることで一旦蛇行が発生すると大きく広がるが、この縦型製袋充填装置1では、製袋フォーマが無い分だけ、前段階での多段にわたる精度の高い位置調整を必要とせず、前段階で送り量や張りの変動により位置が僅かにずれても、ガイドロール47から製袋充填シュート3に至るまで包材Fが何にも沿わされずに比較的自由に横方向に動くことができる距離が確保されることや縦シール機構49の上段側がフリーロールになっていることも有利に作用して、一対の合掌ガイド片19、19や張り調整部材29に包材Fが沿わされるだけで蛇行が効果的に抑制される。
このように、製袋充填シュート3側の構成の工夫により、結果的に装置の全体の構成を単純化できており、コスト低減が期待される。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1…縦型製袋充填装置 3…製袋充填シュート 5…シュート本体
5a…上端縁 7…半割り状ホッパ 7a…上端縁 9…被取付部
11…半割り状円筒部 11a…下端縁 11b…天面部 11c…差込み溝
11d…被取付壁 11e…ボルト挿通穴 13…側面部 13a…下端縁
13b…下面部 15…連結部 15a…突出部分 17…受け面部
17a…突出部分 19…合掌ガイド片 21…金属板 21a、21b…横縁
21c、21d…縦縁 21e…折曲げ部 21f…折曲げ部 21g…折返し部
23…取付部 25…ガイド部 25a…ガイド面 25b…ガイド溝
27…受入口 29…張り調整部材 31…張り面部 33…取付部
33a…ボルト挿通穴 35…ガイド棒 37…原料投入ホッパ
39…包材リール 39a…リール軸 41…引出しモータ
43…当り棒 43a…基部 43b…先端部 45…角度センサ
46…ダンサーレバー機構 46a…ダンサーレバー
46b…揺動軸 46c…ダンサーロール 47…ガイドロール
49…縦シール機構 51…送りロール 53…送りロール 57…超音波ホーン
59…受けロール 61…横シール機構
F…包材 F1…縁部
図1
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