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特開2022-67970モータ制御装置、モータ制御システムおよびモータ制御方法
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  • 特開-モータ制御装置、モータ制御システムおよびモータ制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067970
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】モータ制御装置、モータ制御システムおよびモータ制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 6/08 20160101AFI20220426BHJP
【FI】
H02P6/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176860
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】特許業務法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒巻 典之
(72)【発明者】
【氏名】仙波 大助
(72)【発明者】
【氏名】笛木 正弘
(72)【発明者】
【氏名】市原 怜
(72)【発明者】
【氏名】大兼 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】山田 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】中林 慶太
(72)【発明者】
【氏名】四ツ谷 和浩
【テーマコード(参考)】
5H560
【Fターム(参考)】
5H560BB04
5H560BB18
5H560DA07
5H560DA10
5H560DB20
5H560DC12
5H560DC13
5H560EB01
5H560UA05
5H560XA04
5H560XA12
5H560XA15
(57)【要約】
【課題】電源電圧の変化に応じて通電条件を適切に変化させる。
【解決手段】モータは、突極を有するステータコアと、ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイルと、突極を有するロータと、ロータの角度を検出する角度検出センサと、電源と複数相のコイルとに電気的に接続され、複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子を備える駆動回路とを備えており、当該モータ制御装置は、複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値と、ロータの回転速度情報と、電源の電源電圧情報とに基づいて、通電条件を設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを制御するモータ制御装置であって、
前記モータは、
突極を有するステータコアと、
前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイルと、
突極を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータと、
前記ロータの角度を検出する角度検出センサと、
電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子を備える駆動回路と、を備えており、
当該モータ制御装置は、
前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成部と、
前記ロータの回転速度情報を取得する回転速度情報取得部と、
前記電源の電源電圧情報を取得する電源電圧情報取得部と、
前記指令値生成部により生成された前記指令値と、前記回転速度情報取得部により取得された前記回転速度情報と、前記電源電圧情報取得部により取得された前記電源電圧情報とに基づいて、通電条件を設定する通電条件設定部と、
前記通電条件設定部により設定された前記通電条件に基づいて、前記複数のスイッチング素子を制御する電流制御部と、を備えたモータ制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ制御装置において、
前記電源電圧情報取得部により取得された前記電源電圧情報に基づいて、前記回転速度情報取得部により取得された前記回転速度情報を補正する回転速度補正部を更に備えており、
前記通電条件設定部は、前記指令値生成部により生成された前記指令値と、前記回転速度補正部により補正された前記回転速度情報とに基づいて、前記通電条件を設定するモータ制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載のモータ制御装置において、
前記指令値と、前記ロータの回転速度と、通電タイミングとの関係を定める情報を記憶する制御情報記憶部を更に備えており、
前記通電条件は、通電タイミングを含み、
前記通電条件設定部は、前記制御情報記憶部に記憶された前記情報に基づいて、前記指令値生成部により生成された前記指令値と、前記回転速度補正部により補正された前記回転速度情報とに対応する前記通電タイミングを算出するモータ制御装置。
【請求項4】
前記回転速度補正部は、ωを前記回転速度情報取得部により取得された前記回転速度情報に基づく回転速度とし、ωを補正後の回転速度としたとき、前記電源電圧情報取得部により取得された前記電源電圧情報に基づく電圧に応じた係数kと、ω=k×ωの関係式とに基づいて、前記回転速度情報取得部により取得された前記回転速度情報を補正する、請求項3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
前記係数kは、前記電源電圧情報取得部により取得された前記電源電圧情報に基づく電圧が高くなるほど小さくなるように設定される、請求項4に記載のモータ制御装置。
【請求項6】
モータと、
前記モータを制御するモータ制御装置と、
を備えるモータ制御システムであって、
前記モータは、
突極を有するステータコアと、
前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイルと、
突極を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータと、
前記ロータの角度を検出する角度検出センサと、
電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子を備える駆動回路と、を備えており、
当該モータ制御装置は、
前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成部と、
前記ロータの回転速度情報を取得する回転速度情報取得部と、
前記電源の電源電圧情報を取得する電源電圧情報取得部と、
前記指令値生成部により生成された前記指令値と、前記回転速度情報取得部により取得された前記回転速度情報と、前記電源電圧情報取得部により取得された前記電源電圧情報とに基づいて、通電条件を設定する通電条件設定部と、
前記通電条件設定部により設定された前記通電条件に基づいて、前記複数のスイッチング素子を制御する電流制御部と、を備えた制御システム。
【請求項7】
モータを制御するモータ制御方法であって、
前記モータは、
突極を有するステータコアと、
前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイルと、
突極を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータと、
前記ロータの角度を検出する角度検出センサと、
電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子を備える駆動回路と、を備えており、
当該モータ制御方法は、
前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成ステップと、
前記ロータの回転速度情報を取得する回転速度情報取得ステップと、
前記電源の電源電圧情報を取得する電源電圧情報取得ステップと、
前記指令値生成ステップにより生成された前記指令値と、前記回転速度情報取得ステップにより取得された前記回転速度情報と、前記電源電圧情報取得ステップにより取得された前記電源電圧情報とに基づいて、通電条件を設定する通電条件設定ステップと、
前記通電条件設定ステップにより設定された前記通電条件に基づいて、前記複数のスイッチング素子を制御する電流制御ステップと、を備えたモータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置、制御システムおよびモータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ロータに永久磁石を使用しないスイッチト・リラクタンス・モータ(Switched Reluctance Motor)が知られている(例えば、特許文献1参照)。このモータでは、ステータに設けられたコイルに通電することにより磁界を発生させ、この磁界による吸引力を利用して回転力を得ている。永久磁石を使用しないシンプルな構成とすることができるため、堅牢で高温や高速回転に対するロバスト性が高いモータを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-125096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電源電圧はSOC(State Of Capacity)や劣化度合い等に起因して変化しうるが、電源電圧が変化すると、電源から供給される電流の立ち上がりが変化するため、各相のコイルに対する最適な通電条件(例えば、通電タイミングに関する通電条件)が変化する。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、電源電圧の変化に応じて通電条件を適切に変化させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、モータを制御するモータ制御装置であって、
前記モータは、突極を有するステータコアと、前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイルと、突極を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータと、前記ロータの角度を検出する角度検出センサと、電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子を備える駆動回路と、を備えており、
当該モータ制御装置は、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成部と、前記ロータの回転速度情報を取得する回転速度情報取得部と、前記電源の電源電圧情報を取得する電源電圧情報取得部と、前記指令値生成部により生成された前記指令値と、前記回転速度情報取得部により取得された前記回転速度情報と、前記電源電圧情報取得部により取得された前記電源電圧情報とに基づいて、通電条件を設定する通電条件設定部と、前記通電条件設定部により設定された前記通電条件に基づいて、前記複数のスイッチング素子を制御する電流制御部と、を備えたモータ制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、電源電圧の変化に応じて通電条件を適切に変化させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】制御システムおよびモータ制御装置の構成を示す図。
図2】モータの一部の断面を示す概略的な断面図。
図2A】ロータ12の角度位置(電気角)と、力行領域および回生領域との関係を示す図。
図3】バッテリ電圧の変化に応じた通電条件の最適値の変化の説明図。
図4】回転速度の変化に応じた通電条件の最適値の変化の説明図。
図5】通電条件設定までの処理の概略フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、制御システムMおよびモータ制御装置1の構成を示す図である。図2は、モータ10の一部の断面を示す概略的な断面図である。
【0011】
図1に示すように、制御システムMは、モータ10と、モータ10を駆動する駆動回路20と、を備える。
【0012】
モータ10は、図2に示すように、スイッチト・リラクタンス・モータの形態である。モータ10は、突極11Aを有するステータコア11と、突極12Aを有するロータ12と、ステータコア11の突極11Aに取り付けられた各相(u相、v相およびw相)のコイル13u、13v、13wと、を備える。なお、モータ10の極数は任意である。
【0013】
互いに直列又は並列に接続された各コイル13u、13v、13wに電流を流すと、各コイル13u、13v、13wに対応する突極11Aには、ロータ12の中心軸に対して回転対象の磁場が形成される。
【0014】
ロータ12の回転角は、モータ10に設けられた回転センサ15(角度検出センサの一例)によって検出される。回転センサ15は、例えばレゾルバやロータリエンコーダ等であってよい。
【0015】
駆動回路20は、各相(u相、v相およびw相)の駆動回路20u、20v、20wを備える。駆動回路20uはコイル13uを、駆動回路20vはコイル13vを、駆動回路20wはコイル13wを、それぞれ独立駆動する。
【0016】
駆動回路20uは、直列接続又は並列接続されたコイル13uの一端に接続された高電位側スイッチング素子23uおよび低電位側スイッチング素子22uと、直列接続又は並列接続されたコイル13uの他端に接続された高電位側スイッチング素子21uおよび低電位側スイッチング素子24uと、を備える。
【0017】
本実施例では、各スイッチング素子21u~24uとしてn型FET(Field effect transistor)を用いた例を示しているが、任意の素子を用いることができる。駆動回路20v、20wを構成するスイッチング素子も同様である。
【0018】
駆動回路20vは、直列接続又は並列接続されたコイル13vの一端に接続された高電位側スイッチング素子23vおよび低電位側スイッチング素子22vと、直列接続又は並列接続されたコイル13vの他端に接続された高電位側スイッチング素子21vおよび低電位側スイッチング素子24vと、を備える。
【0019】
駆動回路20wは、直列接続又は並列接続されたコイル13wの一端に接続された高電位側スイッチング素子23wおよび低電位側スイッチング素子22wと、直列接続又は並列接続されたコイル13wの他端に接続された高電位側スイッチング素子21wおよび低電位側スイッチング素子24wと、を備える。
【0020】
図1に示すように、高電位側スイッチング素子21u、21v、21wおよび高電位側スイッチング素子23u、23v、23wのドレインは、電源25の正極に、低電位側スイッチング素子22u、22v、22wおよび低電位側スイッチング素子24u、24v、24wのソースは、電源25の負極に、それぞれ接続される。
【0021】
また、電源25にはコンデンサ26が並列に接続されている。電源25は、車載バッテリであり、例えば鉛バッテリやリチウムイオンバッテリ等であってよい。また、電源25は、複数種類のバッテリの組み合わせにより実現されてもよい。
【0022】
電源25から駆動回路20に供給された電流(以下、「バッテリ電流」と称する)の値は、バッテリ電流センサ27Aにより検出される。バッテリ電流センサ27Aは、モータ制御装置1に電気的に接続される。
【0023】
電源25の両端電圧(以下、「バッテリ電圧」と称する)の値は、バッテリ電圧センサ27Bにより検出される。バッテリ電圧センサ27Bは、モータ制御装置1に電気的に接続される。
【0024】
各相のコイル13u、13v、13wに流れる電流の大きさは、相電流センサ28により検出される。
【0025】
モータ制御装置1には、上位ECU(Electronic Control Unit)(図示せず)から各種の指令値が与えられる。なお、モータ制御装置1は、上位ECUの機能の一部または全部を実現してもよい。
【0026】
図1には、モータ制御装置1の機能がブロック図の形式で概略的に示される。
【0027】
モータ制御装置1は、バッテリ電圧検出部101(電源電圧情報取得部の一例)と、バッテリ電流検出部102と、相電流検出部103と、位置検出部104と、回転速度算出部105と、回転方向指令生成部110、相電流指令値生成部112と、駆動モード生成部114と、回転速度補正部116と、通電条件設定部120と、通電タイミング出力部130と、電流制御部140と、ゲート駆動部150と、を含む。
【0028】
バッテリ電圧検出部101は、バッテリ電圧センサ27Bからのセンサ情報に基づいて、バッテリ電圧の大きさを表すバッテリ電圧情報を生成する。
【0029】
バッテリ電流検出部102は、バッテリ電流センサ27Aからのセンサ情報に基づいて、バッテリ電流の大きさを表すバッテリ電流情報を生成する。
【0030】
相電流検出部103は、相電流センサ28からのセンサ情報に基づいて、各相に係る相電流の大きさを表す相電流情報を生成する。具体的には、相電流検出部103は、U相に係るU相電流情報と、V相に係るV相電流情報と、W相に係るW相電流情報とを生成する。
【0031】
位置検出部104は、回転センサ15からのセンサ情報に基づいて、ロータ12の角度位置を表す角度位置情報を生成する。
【0032】
回転速度算出部105は、位置検出部104からの角度位置情報に基づいて、ロータ12の回転速度を表す回転速度情報を生成する。
【0033】
回転方向指令生成部110は、上位ECUからの制御モード指令(図1の入力IN2)に基づいて、ロータ12の回転方向(正転方向または逆転方向)を指示する。
【0034】
相電流指令値生成部112は、上位ECUからのトルク指令(図1の入力IN1)に基づいて、トルク指令に係る要求トルクがモータ10により発生されるように相電流指令値(指令値の一例)を相ごとに生成する。
【0035】
駆動モード生成部114は、上位ECUからの制御モード指令(図1の入力IN2)に基づいて、駆動モードを指示する。なお、駆動モードの種類は、任意であり、例えば力行駆動モードや回生駆動モード等を含んでよい。
【0036】
回転速度補正部116は、回転速度算出部105から与えられた回転速度情報を通電条件設定用に補正して、補正後の回転速度(以下、「補正回転速度」と称する)を表す補正回転速度情報を通電条件設定部120に与える。
【0037】
回転速度補正部116は、バッテリ電圧検出部101からのバッテリ電圧情報に基づいて、回転速度算出部105から与えられた回転速度情報を通電条件設定用に補正する。具体的には、回転速度補正部116は、ω1を回転速度算出部105から与えられた回転速度情報に基づく回転速度とし、ω2を補正回転速度としたとき、以下の式により、補正回転速度ω2を算出する。
ω2=k×ω1
ここで、kは、バッテリ電圧検出部101からのバッテリ電圧情報に基づくバッテリ電圧に応じた係数である。係数kは、好ましくは、バッテリ電圧検出部101により取得されたバッテリ電圧情報に基づくバッテリ電圧が高くなるほど小さくなるように設定される。この場合、係数kは、バッテリ電圧の変化に対して線形的に変化してもよいし、非線形的に変化してもよい。
【0038】
通電条件設定部120は、回転速度補正部116からの補正回転速度情報と、相電流指令値生成部112からの相電流指令値と、駆動モード生成部114から指示された駆動モードとに基づいて、通電条件を相ごとに設定する。通電条件は、相電流および進角(通電タイミングの一例)に関する条件を含んでよい。図1では、通電条件設定部120は、進角マップ記憶部121(制御情報記憶部の一例)、通電角マップ記憶部122、相電流目標値マップ記憶部123、および相電流傾斜角マップ記憶部124を有し、これらのマップ記憶部121から124内の各種マップ(以下、「通電条件マップ」とも称する)を参照することで、通電条件を設定する。具体的には、通電条件設定部120は、相電流目標値や進角等を設定する。例えば、通電条件設定部120は、相電流指令値生成部112からの相電流指令値に基づいて、相電流目標値マップ記憶部123内の相電流目標値マップを参照して相電流目標値を相ごとに算出する。また、通電条件設定部120は、回転速度補正部116からの補正回転速度情報と相電流指令値生成部112からの相電流指令値とに基づいて、進角マップ記憶部121内の進角マップを参照して進角を相ごとに設定する。なお、他の実施形態では、相電流指令値生成部112からの相電流指令値は、相電流目標値としてそのまま利用されてもよい。この場合、相電流指令値生成部112からの相電流指令値は、相電流目標値として電流制御部140に与えられる。
【0039】
図2Aは、ロータ12の角度位置(電気角)θと、力行領域および回生領域との関係を示す図である。図2Aのグラフの縦軸に示すコイル13uのインダクタンスは、ロータ12の突極12Aとステータコア11との磁気的な結合の度合いに対応する。コイル13uのインダクタンスが最も高くなるθ=θ0の状態は、ロータ12の突極12Aと、コイル13uが巻装されたステータコア11の突極11Aとが正対する状態に相当する。
【0040】
図2Aに示すように、ロータ12の回転に従ってコイル13uのインダクタンスが増加する領域に力行領域が、ロータ12の回転に従ってコイル13uのインダクタンスが減少する領域に回生領域が、それぞれ位置付けられる。力行領域および回生領域はロータ12の回転角について、所定角度(120°から180°の間であり、例えば、約160°)ずつ確保され、基本的には力行領域においてコイル13uに通電することによりロータ12に正のトルクが与えられ、回生領域においてコイル13uに通電することによりロータ12に負のトルクが与えられる。
【0041】
コイル13uへの通電区間は、要求されるモータの特性等に応じて設定でき、例えば、力行動作に対して図2Aに示す通電区間100を、回生動作に対して図2Aに示す通電区間200を、それぞれ設定することができる。この場合、通電区間100は、力行領域の開始角(基準角)に先行する角度幅に相当する進角Δθ1と、通電区間100の長さに相当する通電角θ1とにより規定される。同様に、通電区間200は、回生領域の開始角(基準角)に先行する角度幅に相当する進角Δθ2と、通電区間200の長さに相当する通電角θ2とにより規定される。
【0042】
このように、コイル13uへ通電する通電区間100および通電区間200は、基準角、進角Δθ1、通電角θ1、進角Δθ2および通電角θ2により規定され、その最適値は、相電流指令値およびロータ12の回転速度(角速度)に応じて変化する。このような関係に基づいて、進角マップ記憶部121内の進角マップが生成される。これは、コイル13v、13wについても同様である。
【0043】
通電区間100の通電開始に対応する電気角は、
電気角=基準角-進角Δθ1 ・・・(1式)
で表すことができる。基準値は各相の通電区間100に割り当てられた固有値である。また、通電区間100の通電終了に対応する電気角は、
電気角=基準角-進角Δθ1+通電角θ1 ・・・(2式)
で表すことができる。
【0044】
同様に、通電区間200の通電開始に対応する電気角は、
電気角=基準角-進角Δθ2 ・・・(3式)
で表すことができる。基準値は各相の通電区間200に割り当てられた固有値である。また、通電区間100の通電終了に対応する電気角は、
電気角=基準角-進角Δθ2+通電角θ2 ・・・(4式)
で表すことができる。
【0045】
通電タイミング出力部130は、位置検出部104からの角度位置情報と、回転方向指令生成部110から指示された回転方向と、通電条件設定部120から設定された進角と通電角とに基づいて、通電タイミングを決定する。通電タイミング出力部130は、決定した通電タイミングを表す情報を電流制御部140に与える。
【0046】
電流制御部140は、PWM(Pulse Width Modulation)制御により駆動回路20を介してモータ10の通電を制御する。電流制御部140は、バッテリ電流検出部102からのバッテリ電流情報と、回転方向指令生成部110から指示された回転方向と、駆動モード生成部114から指示された駆動モードと、通電条件設定部120により設定された相電流目標値と、相電流傾斜角と、相電流検出部103からの相電流情報と、通電タイミング出力部130からの通電タイミングの情報とに基づいて、通電の際のデューティーを決定し、決定したデューティー(図1では、「Duty」と表記)をゲート駆動部150に与える。
【0047】
ゲート駆動部150は、電流制御部140により与えられたデューティーで駆動回路20が駆動されるように、駆動回路20の各スイッチング素子21uから24wのゲートにゲート信号を与える。
【0048】
図3は、バッテリ電圧の変化に応じた通電条件の最適値の変化の説明図であり、上側は、角度位置(横軸)に応じた相電流(縦軸)の波形301、302を、下側は、相電流指令値(横軸)と進角(縦軸)との関係を示す波形303、304を、それぞれ示している。波形301、303は、バッテリ電圧が比較的低い場合の各波形であり、波形302、304は、バッテリ電圧が比較的高い場合の各波形である。
【0049】
図3の上側に示すように、バッテリ電圧が比較的低い場合、バッテリ電圧が比較的高い場合に比べて、電源から供給される電流の立ち上がりが比較的遅くなり、その結果、相電流の立ち上がりが比較的遅くなる(すなわち角度位置の変化に対する相電流の増加勾配が小さくなる)。このため、バッテリ電圧が比較的低い場合と、バッテリ電圧が比較的高い場合とでは、最適な通電条件が異なる。具体的には、図3の下側に示すように、相電流指令値が同じであるとき、バッテリ電圧が比較的低い場合の最適な進角は、バッテリ電圧が比較的高い場合の最適な進角に比べて、大きくなる。
【0050】
図4は、回転速度の変化に応じた通電条件の最適値の変化の説明図であり、上側は、角度位置(横軸)に応じた相電流(縦軸)の波形401、402を、下側は、相電流指令値(横軸)と進角(縦軸)との関係を示す波形403、404を、それぞれ示している。波形401、403は、回転速度が比較的大きい場合の各波形であり、波形402、404は、回転速度が比較的小さい場合の各波形である。
【0051】
図4の上側に示すように、回転速度が比較的大きい場合、回転速度が比較的小さい場合に比べて、電源から供給される電流の立ち上がりが比較的遅くなり、その結果、相電流の立ち上がりが比較的遅くなる(すなわち角度位置の変化に対する相電流の増加勾配が小さくなる)。このため、回転速度が比較的大きい場合と、回転速度が比較的小さい場合とでは、最適な通電条件が異なる。具体的には、図4の下側に示すように、相電流指令値が同じであるとき、回転速度が比較的大きい場合の最適な進角は、回転速度が比較的小さい場合の最適な進角に比べて、大きくなる。
【0052】
ここで、図3および図4を比較するとわかるように、バッテリ電圧の変化に応じた通電条件の最適値の変化態様と、回転速度の変化に応じた通電条件の最適値の変化態様とは、互いに対して類似する。具体的には、バッテリ電圧が比較的低い場合が、回転速度が比較的大きい場合と同様であり、バッテリ電圧が比較的高い場合が、回転速度が比較的小さい場合と同様である。
【0053】
従って、バッテリ電圧が比較的低い場合に、通電条件設定用に回転速度を大きくなる方向に補正し、バッテリ電圧が比較的高い場合に、通電条件設定用に回転速度を小さくなる方向に補正することで、バッテリ電圧の変化を補償する態様で、通電条件設定用に回転速度を適切に補正できることがわかる。
【0054】
この点、本実施形態によれば、上述したように、回転速度補正部116は、バッテリ電圧検出部101により取得されたバッテリ電圧情報に基づくバッテリ電圧に基づいて、回転速度算出部105から与えられた回転速度情報を通電条件設定用に補正する。この際、回転速度補正部116は、バッテリ電圧検出部101により取得されたバッテリ電圧情報に基づくバッテリ電圧が大きくなるほど補正回転速度が小さくなるように、補正回転速度を算出する。
【0055】
従って、本実施形態によれば、バッテリ電圧が電源25のSOCや劣化度合い等に起因して変化した場合でも、当該変化が補償された通電条件を設定できる。すなわち、バッテリ電圧に起因した最適な通電条件の変化に対応できる。これにより、バッテリ電圧の変動に起因した問題点(作動音悪化や、効率悪化、トルク低下等)を低減できる。
【0056】
また、本実施形態によれば、バッテリ電圧検出部101により取得されたバッテリ電圧情報を、通電条件設定部120への直接的な入力として通電条件を設定する場合に比べて、通電条件を設定するためのパラメータ数を低減できるので、通電条件マップの簡略化を図ることができる。例えば、進角マップは、相電流指令値と補正回転速度の2つだけを入力パラメータとすることができる。すなわち、進角マップは、相電流指令値と回転速度と進角との関係を定める3次元マップとして構成できる。この場合、バッテリ電圧ごとに、相電流指令値と回転速度と進角との関係を定めるマップを設定する必要性を無くすことができる。この結果、進角マップを記憶するための記憶領域(進角マップ記憶部121用の記憶領域)を効率的に低減できる。なお、本発明は、バッテリ電圧ごとに、相電流指令値と回転速度と進角との関係を定めるマップを設定する構成を除外するものではなく、このような構成においては、当該マップへの入力パラメータである回転速度は、回転速度算出部105から与えられた回転速度情報が利用される。
【0057】
図5は、通電条件設定までの処理の概略フローチャートである。
【0058】
まず、モータ制御装置1は、回転速度算出部105が回転速度を算出し(ステップS50)、ついで、相電流指令値生成部112が相電流指令値を生成する(ステップS51)。ついで、バッテリ電圧検出部101がバッテリ電圧を検出し(ステップS52)、回転速度補正部116が、ステップS52で得たバッテリ電圧に基づいて、回転速度算出部105により算出された回転速度(ステップS50)を補正する(ステップS53)。そして、通電条件設定部120は、通電条件マップ(例えば進角マップ記憶部121内の進角マップ等)を読み込み(ステップS54)、ステップS51で得た相電流指令値と、ステップS50で得た補正回転速度とに基づいて、通電条件マップを参照して通電条件を設定する(ステップS55)。
【0059】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0060】
なお、以上の本発明の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0061】
(付記1)
モータ(10)を制御するモータ制御装置(1)であって、
前記モータは、
突極(11A)を有するステータコア(11)と、
前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイル(13u、13v、13w)と、
突極(12A)を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータ(12)と、
前記ロータの角度を検出する角度検出センサ(例えば回転センサ15)と、
電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子(21u~24u、21v~24v、21w~24w)を備える駆動回路(20)と、を備えており、
当該モータ制御装置は、
前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成部(例えば相電流指令値生成部112)と、
前記ロータの回転速度情報を取得する回転速度情報取得部(例えば回転速度算出部105)と、
前記電源の電源電圧情報を取得する電源電圧情報取得部(例えばバッテリ電圧検出部101)と、
前記指令値生成部により生成された前記指令値と、前記回転速度情報取得部により取得された前記回転速度情報と、前記電源電圧情報取得部により取得された前記電源電圧情報とに基づいて、通電条件を設定する通電条件設定部(120)と、
前記通電条件設定部により設定された前記通電条件に基づいて、前記複数のスイッチング素子を制御する電流制御部(140)と、を備えたモータ制御装置。
【0062】
付記1の構成によれば、電源電圧情報に基づいて通電条件を設定できるので、電源電圧の変化に応じて通電条件を適切に変化させることが可能なモータ制御装置を得ることができる。
【0063】
(付記2)
付記1に記載のモータ制御装置において、
前記電源電圧情報取得部により取得された前記電源電圧情報に基づいて、前記回転速度情報取得部により取得された前記回転速度情報を補正する回転速度補正部(116)を更に備えており、
前記通電条件設定部は、前記指令値生成部により生成された前記指令値と、前記回転速度補正部により補正された前記回転速度情報とに基づいて、前記通電条件を設定するモータ制御装置。
【0064】
付記2の構成によれば、バッテリ電圧の変化に応じた通電条件の最適値の変化態様と、回転速度の変化に応じた通電条件の最適値の変化態様とが、類似することを利用して、回転速度の補正によってバッテリ電圧の変化を補償できる。
【0065】
(付記3)
付記2に記載のモータ制御装置において、
前記指令値と、前記ロータの回転速度と、通電タイミングとの関係を定める情報を記憶する制御情報記憶部(例えば進角マップ記憶部121)を更に備えており、
前記通電条件は、通電タイミングを含み、
前記通電条件設定部は、前記制御情報記憶部に記憶された前記情報に基づいて、前記指令値生成部により生成された前記指令値と、前記回転速度補正部により補正された前記回転速度情報とに対応する前記通電タイミングを算出するモータ制御装置。
【0066】
付記3の構成によれば、回転速度の補正によりバッテリ電圧の変化による影響が低減(補償)された最適な通電タイミングを設定できる。また、指令値と、ロータの回転速度と、通電タイミングとの関係を定める情報を、バッテリ電圧ごとに設定および記憶する必要性がなくなる。これにより、かかる情報を記憶するための記憶領域を効率的に低減できる。
【0067】
(付記4)
前記回転速度補正部は、ω1を前記回転速度情報取得部により取得された前記回転速度情報に基づく回転速度とし、ω2を補正後の回転速度としたとき、前記電源電圧情報取得部により取得された前記電源電圧情報に基づく電圧に応じた係数kと、ω2=k×ω1の関係式とに基づいて、前記回転速度情報取得部により取得された前記回転速度情報を補正する、付記3に記載のモータ制御装置。
【0068】
付記4の構成によれば、補正後の回転速度によりバッテリ電圧の変化による影響が効果的に低減される態様で、回転速度を補正できる。
【0069】
(付記5)
前記係数kは、前記電源電圧情報取得部により取得された前記電源電圧情報に基づく電圧が高くなるほど小さくなるように設定される、付記4に記載のモータ制御装置。
【0070】
付記5の構成によれば、補正後の回転速度によりバッテリ電圧の変化による影響が更に効果的に低減される態様で、回転速度を補正できる。
【0071】
(付記6)
モータ(10)と、
前記モータを制御するモータ制御装置(1)と、
を備えるモータ制御システムであって、
前記モータは、
突極(11A)を有するステータコア(11)と、
前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイル(13u、13v、13w)と、
突極(12A)を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータ(12)と、
前記ロータの角度を検出する角度検出センサ(例えば回転センサ15)と、
電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子(21u~24u、21v~24v、21w~24w)を備える駆動回路(20)と、を備えており、
当該モータ制御装置は、
前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成部(例えば相電流指令値生成部112)と、
前記ロータの回転速度情報を取得する回転速度情報取得部(例えば回転速度算出部105)と、
前記電源の電源電圧情報を取得する電源電圧情報取得部(例えばバッテリ電圧検出部101)と、
前記指令値生成部により生成された前記指令値と、前記回転速度情報取得部により取得された前記回転速度情報と、前記電源電圧情報取得部により取得された前記電源電圧情報とに基づいて、通電条件を設定する通電条件設定部(120)と、
前記通電条件設定部により設定された前記通電条件に基づいて、前記複数のスイッチング素子を制御する電流制御部(140)と、を備えた制御システム。
【0072】
付記6の構成によれば、電源電圧情報に基づいて通電条件を設定できるので、電源電圧の変化に応じて通電条件を適切に変化させることが可能な制御システムを得ることができる。
【0073】
(付記7)
モータを制御するモータ制御方法であって、
前記モータは、
突極(11A)を有するステータコア(11)と、
前記ステータコアの突極に取り付けられた複数相のコイル(13u、13v、13w)と、
突極(12A)を有し、前記複数相のコイルにより発生する磁界により回転されるロータ(12)と、
前記ロータの角度を検出する角度検出センサ(例えば回転センサ15)と、
電源と前記複数相のコイルとに電気的に接続され、前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさを相ごとに独立して制御可能となる態様で複数のスイッチング素子(21u~24u、21v~24v、21w~24w)を備える駆動回路(20)と、を備えており、
当該モータ制御方法は、
前記複数相のコイルを流れる相電流の大きさに係る指令値を相ごとに生成する指令値生成ステップと、
前記ロータの回転速度情報を取得する回転速度情報取得ステップ(S50)と、
前記電源の電源電圧情報を取得する電源電圧情報取得ステップ(S52)と、
前記指令値生成ステップにより生成された前記指令値と、前記回転速度情報取得ステップにより取得された前記回転速度情報と、前記電源電圧情報取得ステップにより取得された前記電源電圧情報とに基づいて、通電条件を設定する通電条件設定ステップ(S55)と、
前記通電条件設定ステップにより設定された前記通電条件に基づいて、前記複数のスイッチング素子を制御する電流制御ステップと、を備えたモータ制御方法。
【0074】
付記7の構成によれば、電源電圧情報に基づいて通電条件を設定できるので、電源電圧の変化に応じて通電条件を適切に変化させることが可能なモータ制御方法を得ることができる。
【符号の説明】
【0075】
M 制御システム
1 モータ制御装置
10 モータ
11 ステータコア
11A 突極
12 ロータ
12A 突極
13u、13v、13w コイル
15 回転センサ
20 駆動回路
20u、20v、20w 駆動回路
21u~24u スイッチング素子
21v~24v スイッチング素子
21w~24w スイッチング素子
25 電源
26 コンデンサ
27A バッテリ電流センサ
27B バッテリ電圧センサ
28 相電流センサ
101 バッテリ電圧検出部
102 バッテリ電流検出部
103 相電流検出部
104 位置検出部
105 回転速度算出部
110 回転方向指令生成部
112 相電流指令値生成部
114 駆動モード生成部
120 通電条件設定部
121 進角マップ記憶部
122 通電角マップ記憶部
123 相電流目標値マップ記憶部
124 相電流傾斜角マップ記憶部
130 通電タイミング出力部
140 電流制御部
150 ゲート駆動部
図1
図2
図2A
図3
図4
図5