(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067977
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】収容量推定方法、収容量推定装置およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01F 23/00 20220101AFI20220426BHJP
【FI】
G01F23/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176870
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000102212
【氏名又は名称】ウシオ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】藪田 泰伸
【テーマコード(参考)】
2F014
【Fターム(参考)】
2F014AB02
2F014AC06
2F014GA01
(57)【要約】
【課題】デブリ収容容器に収容される収容物が液相状態に維持されている場合においても、液面レベルの計測を不要としつつ、その収容物の収容量を推定する。
【解決手段】一態様に係る収容量推定方法は、収容物を収容する収容容器の温度が収束するように前記収容容器を温度制御するステップと、前記温度制御に伴って振動する振動データの特性に基づいて、前記収容容器に収容された収容物の収容量を推定するステップとを備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液相化された収容物が収容された収容容器の温度が収束するように前記収容容器を温度制御するステップと、
前記温度制御に伴って振動する振動データの特性に基づいて、前記収容容器に収容された収容物の収容量を推定するステップとを備えることを特徴とする収容量推定方法。
【請求項2】
前記振動データの特性は、前記収容容器の温度が目標温度となるように温度制御するときの前記収容容器の温度の振動の振幅、周波数および位相の少なくともいずれかひとつから選択されることを特徴とする請求項1に記載の収容量推定方法。
【請求項3】
前記振動データの特性は、前記収容容器を温度制御するときのPWM(Pulse Width Modulation)制御におけるデューティの振動の振幅、周波数および位相の少なくともいずれかひとつから選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の収容量推定方法。
【請求項4】
前記振動データの特性は、前記収容容器に収容された収容物の収容量に基づいて変化することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に収容量推定方法。
【請求項5】
前記収容容器の温度が目標温度に到達したときの前記収容物の収容量に応じた温度振動の振幅データを採取するステップと、
前記採取した振幅データと前記収容物の収容量との相関データを記憶するステップと、
前記相関データを採取したときと同じ温度制御条件で温度制御されているときの前記収容容器の温度の時間変化特性を採取するステップと、
前記収容容器の温度が前記目標温度に到達後、前記採取した前記収容容器の温度の時間変化特性から前記温度の振動の振幅を算出するステップと、
前記算出した振幅と前記相関データの振幅とを比較し、前記算出した振幅に対応する前記相関データの振幅に紐付けられた収容量を前記収容量の推定値とするステップとを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に収容量推定方法。
【請求項6】
前記収容容器内の収容物の収容量を推定後、前記収容物の収容量の推定値を閾値と比較するステップと、
前記収容物の収容量の推定値が前記閾値以上の場合、警告信号を外部に送出するステップとを備えることを特徴とする請求項5に記載の収容量推定方法。
【請求項7】
前記収容物の収容量の推定量が前記閾値より小さい場合、前記収容容器の温度の時間変化特性を採取するステップに移行することを特徴とする請求項6に記載の収容量推定方法。
【請求項8】
前記収容物として液体金属を収容する収容容器と、前記収容容器と加熱する加熱手段と、前記収容容器の温度を測定する温度計測手段と、前記加熱手段に電力を供給する給電手段と、前記温度計測手段からの温度情報に基づき前記収容容器の温度が目標温度となるように前記給電手段を制御する制御部とを備える金属収容装置における前記液体金属の収容量の推定に適用される請求項1から7のいずれか1項に記載の収容量推定方法。
【請求項9】
金属を含むプラズマ原料を励起して、極端紫外光を放射するプラズマを発生させる光源部と、前記プラズマから放散される金属を含むデブリを収容する収容容器と、前記収容容器を加熱する加熱手段と、前記収容容器の温度を測定する温度計測手段と、前記加熱手段に電力を供給する給電手段と、前記温度計測手段からの温度情報に基づき前記収容容器の温度が目標温度となるように前記給電手段を制御する制御部とを備える極端紫外光光源装置における前記収容容器内のデブリの収容量の推定に適用される請求項1から7のいずれか1項に記載の収容量推定方法。
【請求項10】
液相化された収容物が収容された収容容器の温度が収束するように前記収容容器を温度制御する温度制御部と、
前記温度制御に伴って振動する振動データの特性に基づいて、前記収容容器に収容された収容物の収容量を推定する収容量推定部とを備えることを特徴とする収容量推定装置。
【請求項11】
液相化された収容物が収容された収容容器の温度が収束するように前記収容容器を温度制御するステップと、
前記温度制御に伴って振動する振動データの特性に基づいて、前記収容容器に収容された収容物の収容量を推定するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容量推定方法、収容量推定装置および収容量推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路の微細化および高集積化につれて、露光用光源の短波長化が進められている。次世代の半導体露光用光源としては、特に波長13.5nmの極端紫外光(以下、EUV(Extreme Ultra Violet)光とも言う)を放射する極端紫外光光源装置(以下、EUV光源装置とも言う)の開発が進められている。
【0003】
EUV光源装置において、EUV光(EUV放射)を発生させる方法はいくつか知られている。それらの方法のうちの一つに、極端紫外光放射種(以下、EUV放射種とも言う)を加熱して励起することによりプラズマを発生させ、そのプラズマからEUV光を取り出す方法がある。
【0004】
このような方法を採用するEUV光源装置は、プラズマの生成方式により、LPP(Laser Produced Plasma:レーザ生成プラズマ)方式と、DPP(Discharge Produced Plasma:放電生成プラズマ)方式とに分けられる。
【0005】
DPP方式のEUV光源装置は、EUV放射種(気相のプラズマ原料)を含む放電ガスが供給された電極間の間隙に高電圧を印加して、放電により高密度プラズマを生成し、そこから放射される極端紫外光を利用する。DPP方式としては、例えば、特許文献1に記載されているように、放電を発生させる電極表面に液体状のプラズマ原料(例えば、スズ(Sn)またはリチウム(Li))を供給し、当該原料に対してレーザビーム等のエネルギービームを照射して当該原料を気化し、その後、放電によってプラズマを生成する方法が提案されている。このような方式は、LDP(Laser Assisted Discharge Plasma)方式と呼ばれることもある。
【0006】
一方、LPP方式のEUV光源装置は、レーザ光をターゲット材料に照射し、当該ターゲット材料を励起させてプラズマを生成する。
【0007】
EUV光源装置は、半導体デバイス製造におけるリソグラフィ装置の光源装置として使用される。あるいは、EUV光源装置は、リソグラフィに使用されるマスクの検査装置の光源装置として使用される。すなわち、EUV光源装置は、EUV光を利用する他の光学系装置(利用装置)の光源装置として使用される。
【0008】
EUV光は大気中では著しく減衰するので、プラズマから利用装置までのEUV光が通過する空間領域は、EUV光の減衰を抑制するために減圧雰囲気つまり真空環境におかれている。
【0009】
一方、EUV光源装置においては、プラズマからはデブリが高速で放散される。デブリは、プラズマ原料の粒子(プラズマ原料がスズの場合は、スズ粒子)を含む。また、DPP方式またはLDP方式でプラズマが生成される場合、デブリは、プラズマの発生に伴いスパッタリングされる放電電極の材料粒子を含む。
【0010】
デブリは、利用装置に到達すると、利用装置内の光学素子の反射膜を損傷または汚染させ、その性能を低下させることがある。そのため、デブリが利用装置に侵入しないように、放散されたデブリを捕捉するためのデブリ低減装置(DMT(Debris Mitigation Tool)とも言う)が提案されている(特許文献1)。
【0011】
デブリ低減装置により捕捉されたデブリの少なくとも一部は、加熱手段によって溶融されるように加熱され、重力によりカバー部材下部に集まり、カバー部材下部から排出管を介してカバー部材の外に排出されて廃原料となる。
【0012】
排出管を介してカバー部材の外に排出された廃原料(デブリ)は、廃原料(スズ)貯蔵部であるデブリ収容容器(Tin Dump)に溜められる。デブリ収容容器には、当該デブリ収容容器をプラズマ原料の融点以上に加熱する加熱部が設けられている。すなわち、デブリ収容容器によって受け止められた廃原料は、直ちに溶融され、液化した状態でデブリ収容容器に溜められる。
【0013】
また、デブリ低減装置とプラズマの間には、遮熱板が配置される。遮熱板に堆積したデブリは、やがてある程度の量に達すると液滴となり、重力により遮熱板の下方に集まり落下する。遮熱板からのデブリの落下位置にデブリ収容容器を配置することにより、遮熱板から離脱するデブリは、デブリ収容容器に溜められる。
【0014】
また、LDP方式のEUV光源装置においては、放電部(放電電極等)に供給されるプラズマ原料(スズ)の一部が漏出することがある。このような漏出原料は、プラズマ発生に寄与しないため、廃原料となる。上記した漏出原料は、例えば放電部を包囲する包囲部材によって捕集され、上記デブリと同様にデブリ収容容器に溜められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2017-219698号公報
【特許文献2】特許6241407号公報
【特許文献3】米国特許出願公開2015/0090907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
デブリ収容容器は、EUV光源装置本体に取り外し可能な状態で取り付けられている。EUV光源装置のメインテナンス時は、デブリ収容容器の加熱を停止し、当該デブリ収容容器に貯蔵される収容物(デブリおよび廃原料)を固化した上で、収容物が収容されたデブリ収容容器を、空のデブリ収容容器と交換する。あるいは、固化した収容物が収容されたデブリ収容容器を取り外した後、デブリ収容容器を加熱して収容物を除去し、空となったデブリ収容容器をEUV光源装置本体に再度取り付ける。
【0017】
上述したように、デブリ収容容器は、デブリ低減装置により捕集されるデブリ、遮熱板から離脱するデブリおよび放電部からの飛散原料を収容する。そのため、EUV光源装置の稼働時間が長くなるにつれ、デブリ収容装置に収容されるデブリおよび廃原料の収容量が増加する。
【0018】
デブリ収容容器の収容物が最大収容量を超えると、EUV光源装置のデブリ収容容器が取り付けられ当該デブリ収容容器と連通する空間に収容物が溢れ、その空間内の他の構成要素に不具合を与える場合がある。このような事態を回避するために、デブリ収容容器の収容物の収容量をモニタする必要がある。
【0019】
上述したようにEUV光源装置の稼働時には、デブリ収容容器は、加熱部によりプラズマ原料(スズ)の融点以上に加熱されているので、デブリおよび廃原料を含む収容物は、液化した状態でデブリ収容容器に収容される。このとき、デブリ収容容器の収容物の収容量をモニタするために、液体状収容物の液面レベルをセンシングする方法が用いられることがある。
【0020】
収容物の液面レベルの電気的なセンシングは、例えば、特許文献2に記載されているように、一般に金属等の導電性材料から構成されるデブリ収容容器と、スズなどの収容物が導電性であることを利用することが考えられる。すなわち、センシング部である金属棒(電極)をスズが収容されるデブリ収容容器内部に設置し、金属棒とデブリ収容容器との間における電流の通電の有無により液面レベルを検出する。このような電極式の液面レベルセンサは、回路の電気的な開状態/閉状態を検出する構成であるため、検出応答性が高い。
【0021】
あるいは、温度変化によってスズの液面レベルを検出する温度センサや、レーザ光の反射によってスズの液面レベルを検出するレーザ変位計を用いることもできる。
【0022】
しかしながら、デブリ収容容器は、EUV光源装置のメインテナンスの際、あるいは収容物の収容量が所定レベルを超えた際に取り外される。金属棒を用いて液面レベルをセンシングする場合は、液面レベルの検知時には、金属棒は、液体状の収容物の液面と接触した状態、あるいは一部が収容物内に浸漬された状態となる。
【0023】
デブリ収容容器の取り外しは、デブリ収容容器の加熱が停止され、当該デブリ収容容器に収容される収容物が固体となった状態で行われる。よって、固化した収容物により、金属棒は固定される。そのため、デブリ収容容器を取り外す場合は、液面レベルをセンシングするための金属棒も、EUV光源装置から取り外す必要がある。また、デブリ収容容器および金属棒をEUV光源装置から取り外した後も、固化したスズから金属棒を分離して、再度EUV光源装置に取り付ける必要がある。よって、デブリ収容容器のEUV光源装置への装着および脱着作業に時間がかかる。
【0024】
特許文献2における温度センサは、センシング部がプラズマ原料に浸漬しているときの温度情報、浸漬していない状態のときの温度情報から液面レベルを検出しているので、金属棒のときと同様の不具合が生じる。
【0025】
特許文献3においては、液体状収容物の液面レベルをセンシングすることなく、デブリ収容容器の収容物の収容量を推定する方法が開示されている。
上述したように、大部分がスズである収容物を液相状態に維持するために、デブリ収容容器は、内部に収容する収容物の温度がスズの融点(約232℃)以上となるように加熱される。
ここで、ある容量のデブリを収容するデブリ収容容器を室温相当温度から目標温度(例えば、270℃)まで加熱する場合、デブリ収容容器の温度が室温相当温度から徐々に増加して目標温度に到達する前に、プラトー期間(温度がほぼ一定の期間)が生じる。
また、ある容量のデブリを収容するデブリ収容容器を目標温度に維持する温度制御を停止すると、デブリ収容容器の温度が目標温度から徐々に減少して室温相当温度に到達する前に、プラトー期間が生じる。
【0026】
このプラトー期間は、デブリ収容容器が収容するデブリの相変化に対応する期間である。すなわち、デブリ収容容器を目標温度まで加熱してその温度を維持する場合、プラトー期間は、デブリが固相から液相へと相変化する時間に相当する。同様に、目標温度に維持するデブリ収容容器の温度制御を停止する場合、プラトー期間は、デブリが液相から固相へと相変化する時間に相当する。
【0027】
上記したプラトー期間は、収容物の体積量に依存する。よって、デブリの体積とプラトー期間との相関データを予め求め、プラトー期間を計測し、計測結果と、予め求めた相関データとを比較することで、デブリ収容容器内のデブリ収容量を推定することが可能となる。
【0028】
しかしながら、このような収容物容量推定方法は、液相と固相との間の相変化にかかる期間を利用しているため、EUV光源装置の稼働開始時もしくは稼働終了時にのみ採用可能な方法である。
EUV光源装置が稼働されている間は、デブリ収容容器の温度は目標温度付近に維持される。このため、デブリ収容容器内のデブリは液相状態を維持し、液相と固相との間の相変化が発生しないため、プラトー期間は生じない。言い換えると、EUV光源装置の稼働中は、プラトー期間を利用した収容物容量推定方法では、デブリ収容容器の収容物の収容量を推定することはできない。
【0029】
デブリ収容容器に収容される収容物の収容量は、EUV光源装置の稼働時間(連続動作時間)に依存する。すなわち、EUV光源装置の稼働時間が長くなると、デブリ収容容器に収容される収容物の収容量は大きくなる。そのため、EUV光源装置の稼働時間が長期間に及ぶと、デブリ収容容器に収容される収容物の収容量が許容値(閾値)を超える場合が生じる。この場合、プラトー期間を利用した収容物容量推定方法では、EUV光源装置の稼働中に収容物量を推定できないため、EUV光源装置の稼働中に収容物量が許容値を超えたことを検出できなかった。
【0030】
そこで、本発明の目的は、デブリ収容容器に収容される収容物が液相状態に維持されている場合においても、液面レベルの計測を不要としつつ、その収容物の収容量を推定することが可能な収容量推定方法、収容量推定装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の一態様に係る収容量推定方法は、液相化された収容物が収容された収容容器の温度が収束するように前記収容容器を温度制御するステップと、前記温度制御に伴って振動する振動データの特性に基づいて、前記収容容器に収容された収容物の収容量を推定するステップとを備える。
【0032】
これにより、収容容器の温度を収束させる温度制御系のデータを用いることで、収容容器に収容された収容物の収容量を推定することができる。このとき、温度制御系は、収容容器に収容された収容物の液相と固相との間の相変化の有無に依存することなく、収容容器の温度が収束するように収容容器を温度制御することができる。このため、収容容器に収容された収容物が液相状態に維持されている場合においても、液面レベルの計測を不要としつつ、その収容物の収容量を推定することができる。この結果、収容物を発生させる装置が稼働中の場合においても、収容容器内の収容物に温度センサまたは金属棒を浸漬させることなく、その収容物の収容量を推定することができ、収容容器から収容物が溢れ出すのを防止することが可能となるとともに、収容物が収容された収容容器の交換を効率化することができる。
【0033】
また、本発明の一態様に係る収容量推定方法によれば、前記振動データの特性は、前記収容容器の温度が目標温度となるように温度制御するときの前記収容容器の温度の振動の振幅、周波数および位相の少なくともいずれかひとつから選択されてもよい。
【0034】
これにより、収容容器の温度の計測結果に基づいて収容物の収容量を推定することができ、収容物を発生させる装置が稼働中である場合においても、液面レベルの計測を不要としつつ、収容容器から収容物が溢れ出すのを防止することが可能となる。
【0035】
また、本発明の一態様に係る収容量推定方法によれば、前記振動データの特性は、前記収容容器を温度制御するときのPWM(Pulse Width Modulation)制御におけるデューティの振動の振幅、周波数および位相の少なくともいずれかひとつから選択されてもよい。
【0036】
これにより、収容容器を温度制御するための指令値に基づいて収容物の収容量を推定することができ、収容物を発生させる装置が稼働中である場合においても、液面レベルの計測を不要としつつ、収容容器から収容物が溢れ出すのを防止することが可能となる。
【0037】
また、本発明の一態様に係る収容量推定方法によれば、前記振動データの特性は、前記収容容器に収容された収容物の収容量に基づいて変化する。
【0038】
これにより、振動データの特性の変化に基づいて収容物の収容量を推定することができ、収容物の収容量を推定するための複雑なアルゴリズムの構築を不要とすることができる。
【0039】
また、本発明の一態様に係る収容量推定方法は、前記収容容器の温度が目標温度に到達したときの前記収容物の収容量に応じた温度振動の振幅データを採取するステップと、前記採取した振幅データと前記収容物の収容量との相関データを記憶するステップと、前記相関データを採取したときと同じ温度制御条件で温度制御されているときの前記収容容器の温度の時間変化特性を採取するステップと、前記収容容器の温度が前記目標温度に到達後、前記採取した前記収容容器の温度の時間変化特性から前記温度の振動の振幅を算出するステップと、前記算出した振幅と前記相関データの振幅とを比較し、前記算出した振幅に対応する前記相関データの振幅に紐付けられた収容量を前記収容量の推定値とするステップとを備えてもよい。
【0040】
これにより、収容容器の温度制御時に採取された温度振動の振幅データの比較結果に基づいて収容物の収容量を推定することができ、収容物の収容量を推定するための複雑なアルゴリズムの構築を不要とすることができる。また、収容物の収容量を推定するために、収容容器の温度制御に用いられる温度センサを用いることができ、収容物の収容量の推定に用いられる温度センサを別途設ける必要がなくなることから、収容物の収容量を推定するために必要なリソースの増大を抑制することができる。
【0041】
また、本発明の一態様に係る収容量推定方法は、前記収容容器内の収容物の収容量を推定後、前記収容物の収容量の推定値前を閾値と比較するステップと、前記収容物の収容量の推定値が前記閾値以上の場合、警告信号を外部に送出するステップとを備えてもよい。
【0042】
これにより、収容容器から収容物が溢れ出す前の状態を外部に通知することができ、収容物が収容された収容容器の交換タイミングの判断材料を提供することができる。
【0043】
また、本発明の一態様に係る収容量推定方法によれば、前記収容物の収容量の推定量が前記閾値より小さい場合、前記収容容器の温度の時間変化特性を採取するステップに移行してもよい。
【0044】
これにより、収容物を追加して収容するスペースが収容容器に残っている場合、収容物の収容量の推定を繰り返すことができ、収容物を追加して収容するスペースがなくなる直前まで収容物の収容量の推定を継続することができる。
【0045】
また、本発明の一態様に係る収容量推定方法は、前記収容物として液体金属を収容する収容容器と、前記収容容器と加熱する加熱手段と、前記収容容器の温度を測定する温度計測手段と、前記加熱手段に電力を供給する給電手段と、前記温度計測手段からの温度情報に基づき前記収容容器の温度が目標温度となるように前記給電手段を制御する制御部とを備える金属収容装置における前記液体金属の収容量の推定に適用されてもよい。
【0046】
これにより、液相状態を維持させたまま液体金属を収容容器に収容させることが可能となるとともに、収容物の収容量を推定するために、収容容器の温度を測定する温度計測手段および給電手段を制御する制御部を用いることができる。このため、収容物の収容量を推定するために必要なリソースの増大を抑制しつつ、収容容器の温度を目標温度とするための温度制御時のデータに基づいて収容物の収容量を推定することができる。
【0047】
また、本発明の一態様に係る収容量推定方法は、金属を含むプラズマ原料を励起して、極端紫外光を放射するプラズマを発生させる光源部と、前記プラズマから放散される金属を含むデブリを収容する収容容器と、前記収容容器を加熱する加熱手段と、前記収容容器の温度を測定する温度計測手段と、前記加熱手段に電力を供給する給電手段と、前記温度計測手段からの温度情報に基づき前記収容容器の温度が目標温度となるように前記給電手段を制御する制御部とを備える極端紫外光光源装置における前記収容容器内のデブリの収容量の推定に適用されてもよい。
【0048】
これにより、プラズマから放散される金属を含むデブリを液相状態のまま収容容器に収容させることが可能となるとともに、デブリの収容量を推定するために、収容容器の温度を測定する温度計測手段および給電手段を制御する制御部を用いることができる。このため、デブリの収容量を推定するために必要なリソースの増大を抑制することが可能となるとともに、収容容器の温度を目標温度とするための温度制御時のデータに基づいてデブリの収容量を推定することができ、光源部が稼働中である場合においても、デブリが収容された収容容器の交換タイミングの判断材料を提供することができる。
【0049】
また、本発明の一態様に係る収容量推定装置は、液相化された収容物が収容された収容容器の温度が収束するように前記収容容器を温度制御する温度制御部と、前記温度制御に伴って振動する振動データの特性に基づいて、前記収容容器に収容された収容物の収容量を推定する収容量推定部とを備える。
【0050】
これにより、収容容器の温度を収束させる温度制御系のデータを用いることで、収容容器に収容された収容物の収容量を推定することができ、収容物を発生させる装置が稼働中である場合においても、液面レベルの計測を不要としつつ、収容容器から収容物が溢れ出すのを防止することが可能となる。
【0051】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、液相化された収容物が収容された収容容器の温度が収束するように前記収容容器を温度制御するステップと、前記温度制御に伴って振動する振動データの特性に基づいて、前記収容容器に収容された収容物の収容量を推定するステップとをコンピュータに実行させる。
【0052】
これにより、収容量推定プログラムをコンピュータに実行させることで、収容容器に収容された収容物の収容量を推定することができる。このため、収容容器に収容された収容物の収容量を推定するための専用のハードウェアを不要とすることができ、収容量推定機能の搭載を容易化することができる。
【発明の効果】
【0053】
本発明の一態様においては、デブリ収容容器に収容される収容物が液相状態に維持されている場合においても、液面レベルの計測を不要としつつ、その収容物の収容量を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1】実施形態に係る極端紫外光光源装置のチャンバ内および接続チャンバ内を水平方向に切断して示す断面図である。
【
図2】実施形態に係るデブリ低減部およびデブリ収容部の概略構成を示す断面図である。
【
図3】
図2の回転式ホイルトラップの構成例を示す正面図である。
【
図4】
図2の固定式ホイルトラップの構成例を示す上面図である。
【
図5】
図2の固定式ホイルトラップの構成例を示す断面図である。
【
図6】
図2のデブリ収容容器の構成例を示す斜視図である。
【
図7】
図2のデブリ収容容器の構成例を示す断面図である。
【
図8】
図2のデブリ収容容器の加熱処理の温度制御系の一例を示すブロック図である。
【
図9】
図2のデブリ収容容器の収容物の収容量に応じた温度変化の一例を示す図である。
【
図10】
図2のデブリ収容容器の収容物の収容量に応じた温度変化のその他の例を示す図である。
【
図11】
図2のデブリ収容容器の収容物の収容量推定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図8の制御部のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図13】実施形態に係る収容量推定に用いられる学習モデルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は本発明を限定するものではなく、実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の構成に必須のものとは限らない。実施形態の構成は、本発明が適用される装置の仕様や各種条件(使用条件、使用環境等)によって適宜修正または変更され得る。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって確定され、以下の個別の実施形態によって限定されない。また、以下の説明に用いる図面は、各構成を分かり易くするため、実際の構造と縮尺および形状などと異なることがある。
【0056】
図1は、実施形態に係る極端紫外光光源装置のチャンバ内および接続チャンバ内を水平方向に切断して示す断面図、
図2は、実施形態に係るデブリ低減部およびデブリ収容部の概略構成を示す断面図である。なお、本実施形態では、LDP方式の極端紫外光光源装置(EUV光源装置)を例にとる。
【0057】
図1において、EUV光源装置1は、極端紫外光(EUV光)を放出する。この極端紫外光の波長は、例えば、13.5nmである。
具体的には、EUV光源装置1は、放電を発生させる一対の放電電極EA、EBの表面にそれぞれ供給された液相のプラズマ原料SA、SBにレーザビームLB等のエネルギービームを照射して当該プラズマ原料SA、SBを気化させる。その後、放電電極EA、EB間の放電領域Dの放電によってプラズマPを発生させる。プラズマPからはEUV光が放出される。
【0058】
EUV光源装置1は、例えば、半導体デバイス製造におけるリソグラフィ装置の光源装置またはリソグラフィに使用されるマスクの検査装置の光源装置として使用可能である。例えば、EUV光源装置1がマスク検査装置用の光源装置と使用される場合、プラズマPから放出されるEUV光の一部が取り出され、マスク検査装置に導光される。マスク検査装置は、EUV光源装置1から放出されるEUV光を検査光として、マスクのブランクス検査またはパターン検査を行う。ここで、EUV光を用いることにより、5~7nmプロセスに対応することができる。なお、EUV光源装置1から取り出されるEUV光は、
図2の遮熱板23に設けられた開口部KAにより規定される。
【0059】
図1および
図2に示すように、EUV光源装置1は、光源部2、デブリ低減部3およびデブリ収容部4を備える。光源部2は、LDP方式に基づいてEUV光を発生させる。デブリ低減部3は、光源部2から放射されるEUV光とともに飛散するデブリを捕獲する。デブリ収容部4は、光源部2で発生したデブリおよびデブリ低減部3で捕獲されたデブリなどを収容する。
【0060】
また、EUV光源装置1は、内部で発生されるプラズマPを外部と隔離するチャンバ11を備える。チャンバ11は、剛体、例えば、金属から形成される。チャンバ11は、真空筐体であり、その内部は、プラズマ原料SA、SBを加熱励起するための放電を良好に発生させ、EUV光の減衰を抑制するために、減圧雰囲気にされる。
【0061】
光源部2は、チャンバ11内部に配置される。光源部2は、一対の放電電極EA、EBを備える。放電電極EA、EBは、同形同大の円板状部材であり、例えば、放電電極EAがカソードとして使用され、放電電極EBがアノードとして使用される。放電電極EA、EBは、例えば、モリブデン(Mo)、タングステン(W)またはタンタル(Ta)などの高融点金属から形成される。放電電極EA、EBは、互いに離隔した位置に配置され、放電電極EA、EBの周縁部が近接している。このとき、プラズマPが生成される放電領域Dは、放電電極EA、EBの周縁部が互いに最も接近した放電電極EA、EB間の間隙に位置する。
【0062】
パルス電力供給部13より放電電極EA、EBに電力を給電することにより、放電領域Dで放電が発生する。そして、各放電電極EA、EBの回転に基づいて放電領域Dに輸送されたプラズマ原料SA、SBは、放電時に放電電極EA、EB間に流れる電流により加熱励起され、EUV光を放出するプラズマPが発生する。
【0063】
放電電極EAは、モータMAの回転軸JAに連結され、放電電極EAの軸線周りに回転する。放電電極EBは、モータMBの回転軸JBに連結され、放電電極EBの軸線周りに回転する。モータMA、MBは、チャンバ11の外部に配置され、各モータMA、MBの回転軸JA、JBは、チャンバ11の外部から内部に延びる。回転軸JAとチャンバ11の壁の間の隙間は、シール部材PAで封止され、回転軸JBとチャンバ11の壁の間の隙間は、シール部材PBで封止される。シール部材PA、PBは、例えば、メカニカルシールである。各シール部材PA、PBは、チャンバ11内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸JA、JBを回転自在に支持する。
このように各放電電極EA、EBは、個別のモータMA、MBによって回転軸JA、JBを介してそれぞれ駆動される。これらのモータMA、MBの回転駆動は、制御部12によって制御される。
【0064】
チャンバ11の内部には、液相のプラズマ原料SAが貯留されるコンテナCAと、液相のプラズマ原料SBが貯留されるコンテナCBが配置される。各コンテナCA、CBには、加熱された液相のプラズマ原料SA、SBが供給される。液相のプラズマ原料SA、SBは、例えば、スズである。
【0065】
コンテナCAは、放電電極EAの下部が液相のプラズマ原料SAに浸されるようにプラズマ原料SAを収容する。コンテナCBは、放電電極EBの下部が液相のプラズマ原料SBに浸されるようにプラズマ原料SBを収容する。従って、放電電極EA、EBの下部には、液相のプラズマ原料SA、SBが付着する。放電電極EA、EBの下部に付着した液相のプラズマ原料SA、SBは、放電電極EA、EBの回転に伴って、プラズマPが発生される放電領域Dに輸送される。
【0066】
チャンバ11の外部には、レーザ源(エネルギービーム照射装置)14が配置される。レーザ源14は、放電領域Dに輸送された放電電極EAに付着したプラズマ原料SAにエネルギービームを照射して、当該プラズマ原料SAを気化させる。レーザ源14は、例えば、Nd:YVO4(Neodymium-doped Yttrium Orthovanadate)レーザ装置である。このとき、レーザ源14は、波長1064nmの赤外領域のレーザビームLBを発する。ただし、エネルギービーム照射装置は、プラズマ原料SAの気化が可能であれば、レーザビームLB以外のエネルギービームを発する装置であってもよい。
【0067】
レーザ源14によるレーザビームLBの照射タイミングは、制御部12によって制御される。レーザ源14から放出されたレーザビームLBは、例えば、集光レンズ15を含む集光手段を介して可動ミラー16に導かれる。集光手段は、放電電極EAのレーザビーム照射位置におけるレーザビームLBのスポット径を調整する。集光レンズ15および可動ミラー16は、チャンバ11の外部に配置される。
【0068】
集光レンズ15で集光されたレーザビームLBは、可動ミラー16により反射され、チャンバ11の壁に設けられた透明窓20を通過して、放電領域D付近の放電電極EAの周縁部に照射される。
ここで、可動ミラー16の姿勢を調整することにより、放電電極EAにおける赤外レーザビームLBの照射位置が調整される。可動ミラー16の姿勢の調整は、作業員が手動で実施してもよいし、後述する監視装置43からのEUV光の強度情報に基づき、制御部12が可動ミラー16の姿勢制御を行ってもよい。この場合、可動ミラー16は、図示を省略した可動ミラー駆動部により駆動される。
【0069】
放電領域D付近の放電電極EAの周縁部にレーザビームLBを照射するのを容易にするため、放電電極EA、EBの軸線は平行ではない。回転軸JA、JBの間隔は、モータMA、MB側が狭く、放電電極EA、EB側が広くなっている。これにより、放電電極EA、EBの対向面側を接近させつつ、放電電極EA、EBの対向面側と反対側をレーザビームLBの照射経路から退避させることができ、放電領域D付近の放電電極EAの周縁部にレーザビームLBを照射するのを容易にすることができる。
【0070】
放電電極EBは、放電電極EAと可動ミラー16との間に配置される。可動ミラー16で反射されたレーザビームLBは、放電電極EBの外周面付近を通過した後、放電電極EAの外周面に到達する。このとき、レーザビームLBが放電電極EBで遮光されないように、放電電極EBは、放電電極EAよりも、モータMB側の方向(
図1の左側)に退避される。
放電領域D付近の放電電極EAの外周面に付着された液相のプラズマ原料SAは、レーザビームLBの照射により気化され、気相のプラズマ原料SAとして放電領域Dに供給される。
【0071】
放電領域DでプラズマPを発生させるため(気相のプラズマ原料SAをプラズマ化するため)、パルス電力供給部13は、放電電極EA、EBに電力を供給する。そして、レーザビームLBの照射により放電領域Dに気相のプラズマ原料SAが供給されると、放電領域Dにおける放電電極EA、EB間で放電が生じる。このとき、パルス電力供給部13は、パルス電力を周期的に放電電極EA、EBに供給する。
パルス電力供給部13は、チャンバ11の外部に配置される。パルス電力供給部13から延びる給電線は、フィードスルーFA、FBを通過して、チャンバ11の内部に延びる。フィードスルーFA、FBは、チャンバ11の壁に埋設されてチャンバ11内の減圧雰囲気を維持するシール部材である。なお、プラズマPを発生させるためのレーザ源14の動作およびパルス電力供給部13の動作は、制御部12により制御される。
【0072】
パルス電力供給部13から延びる2つの給電線は、フィードスルーFA、FBを介してそれぞれコンテナCA、CBに接続される。コンテナCA、CBは、導電性材料から形成され、各コンテナCA、CBの内部に収容されるプラズマ原料SA、SBもスズなどの導電性材料である。各コンテナCA、CBの内部に収容されているプラズマ原料SA、SBには、放電電極EA、EBの下部がそれぞれ浸されている。従って、パルス電力供給部13からパルス電力がコンテナCA、CBに供給されると、そのパルス電力は、プラズマ原料SA、SBをそれぞれ介して放電電極EA、EBに供給される。放電電極EA、EB間で放電が発生すると、放電領域Dにおける気相のプラズマ材料SAが電流により加熱励起されて、プラズマPが発生する。
【0073】
プラズマPからはEUV光が放出される。EUV光は、他の光学系装置である利用装置(リソグラフィ装置またはマスク検査装置)で利用される。本実施形態においては、EUV光はマスク検査装置で利用される。
【0074】
チャンバ11と利用装置との間には、接続チャンバ21が配置される。接続チャンバ21は、剛体、例えば、金属から形成されている。接続チャンバ21は、真空筐体であり、その内部も、チャンバ11の内部と同様、EUV光の減衰を抑制するため減圧雰囲気にされる。
【0075】
接続チャンバ21の内部空間は、チャンバ11の壁に形成された貫通孔である窓部17を介してチャンバ11と連通する。また、接続チャンバ21の内部空間は、接続チャンバ21の壁に形成された貫通孔である窓部27を介して利用装置(マスク検査装置)42と連通する。
図2では、利用装置42の一部のみを示す。放電領域DのプラズマPから放出されたEUV光は、窓部17、27を通じて利用装置(マスク検査装置)42に導入される。
【0076】
一方、プラズマPからはEUV光とともにデブリDBが高速で様々な方向に放散される。デブリDBは、プラズマ原料SA、SBであるスズ粒子およびプラズマPの発生に伴いスパッタリングされる放電電極EA、EBの材料粒子を含む。
これらのデブリDBは、プラズマPの収縮および膨張過程を経て、大きな運動エネルギーを得る。すなわち、プラズマPから発生するデブリDBは、高速で移動するイオン、中性原子および電子を含み、このようなデブリDBは、利用装置42に到達すると、利用装置42内の光学素子の反射膜を損傷または汚染させ、性能を低下させることがある。
【0077】
そのため、デブリDBが利用装置42に侵入しないように、デブリDBを捕捉するデブリ低減部3が接続チャンバ21内に設けられる。デブリ低減部3は、複数のホイルの位置が固定された固定式ホイルトラップ24と、ホイルがデブリと能動的に衝突する作用を加えた回転式ホイルトラップ22とを備える。固定式ホイルトラップ24は、接続チャンバ22から利用装置(マスク検査装置)42へと進行するEUV光の光路上において、回転式ホイルトラップ22と利用装置24と間に設けられる。なお、一つのデブリ低減部3においては、回転式ホイルトラップ22と固定式ホイルトラップ24の双方を設けてもよいし、いずれか一方を設けてもよい。
【0078】
図3は、
図2の回転式ホイルトラップの構成例を示す正面図である。
図3において、回転式ホイルトラップ22は、中心のハブ53、ハブ53に同心の外側リング52およびハブ53と外側リング52との間に配置された多数のホイル51を備える。各ホイル51は、薄膜または薄い平板である。ホイル51は、ほぼ等しい角間隔をおいて放射状に配置される。各ホイル51は、ハブ53の中心軸線を含む平面上にある。回転式ホイルトラップ22の材料は、例えば、タングステンおよび/またはモリブデンなどの高融点金属である。
【0079】
回転式ホイルトラップ22の複数のホイル51は、プラズマP(発光点)から窓部27に向かって進むEUV光を遮らないように、窓部27に向かって進むEUV光の光線方向に平行に配置される。
すなわち、
図2に示すように、各ホイル51がハブ53の中心軸線を含む平面上に配置された回転式ホイルトラップ22は、ハブ53の中心軸線の延長線上にプラズマP(発光点)が存在するように配置される。これにより、ハブ53および外側リング52を除けば、EUV光は各ホイル51の厚みの分のみ遮光され、回転式ホイルトラップ22を通過するEUV光の割合(透過率ともいう)を最大にすることが可能となる。
【0080】
ハブ53は、モータ(回転駆動装置)MCの回転軸JCに連結され、ハブ53の中心軸線は、回転軸JCの中心軸線に合致する。このとき、モータMCの回転軸JCは、回転式ホイルトラップ22の回転軸とみなすことができる。回転式ホイルトラップ22は、モータMCに駆動されて回転し、回転するホイル51は、プラズマPから到来するデブリDBに衝突してデブリDBを捕捉し、当該デブリDBが利用装置42に侵入するのを阻止する。
【0081】
回転式ホイルトラップ22は、接続チャンバ21内に配置されるのに対して、モータMCは、接続チャンバ21の外に配置される。接続チャンバ21の壁には、回転軸JCが通過する貫通孔が形成されている。回転軸JCと接続チャンバ21の壁の間の隙間は、例えば、メカニカルシールからなるシール部材PCで封止される。シール部材PCは、接続チャンバ21内の減圧雰囲気を維持しつつ、モータMCの回転軸JCを回転自在に支持する。
【0082】
回転式ホイルトラップ22は、プラズマPからの放射により高温となる。このため、回転式ホイルトラップ22の過熱を防止するために、回転軸JCを中空にして冷却水を流通させ、回転式ホイルトラップ22を冷却することがある。また、回転時のモータMC自体も発熱するため、モータMCの周囲に水冷配管41を巻き付けて除熱してもよい。水冷配管41には水が流され、熱交換によりモータMCを冷却する。
【0083】
また、プラズマPから回転式ホイルトラップ22への放射を低減し、回転式ホイルトラップ22の過熱を防止するため、接続チャンバ21内には遮熱板23が配置される。遮熱板23は、プラズマPから放出されるEUV光の一部を取り出すための任意の形状(例えば、円形)の開口部KAを備える。遮熱板23は、プラズマPの近傍に配置されるため、例えば、モリブデンまたはタングステンなどの高融点材料から構成される。
開口部KAは、回転式ホイルトラップ22の回転軸JCから偏心した位置に設けられる。このとき、プラズマPから放出されるEUV光の一部は、開口部KAを介し、回転式ホイルトラップ22の回転軸方向(
図2における左右方向)に対して傾斜角度をもって所定の立体角で遮熱板23から取り出される。
【0084】
回転式ホイルトラップ22は、遮熱板23の開口部KAを通過したEUV光の光線束(以下、EUV取出光とも言う。)の主光線UL上にホイル51が位置するように配置されている。遮熱板23の開口部KAから取り出されたEUV光は、デブリ低減部3を通過して、窓部27を介して利用装置(マスク検査装置装置)42に導入される。
【0085】
回転式ホイルトラップ22は、プラズマPから放散されるデブリDBのうち比較的低速のデブリDBを捕捉するが、固定式ホイルトラップ24は、プラズマPから放散されるデブリDBのうち、回転式ホイルトラップ22で捕捉できなかった高速で進行するデブリDBを捕捉する。
図2に示すように、固定式ホイルトラップ24は、EUV取出光の主光線UL上に配置される。
また、固定式ホイルトラップ24は、遮熱板23の開口部KAにより進行方向が制限されたEUV光であるEUV取出光が通過する領域に対応させた形状を備える。
【0086】
図4は、
図2の固定式ホイルトラップの構成例を示す上面図、
図5は、
図2の固定式ホイルトラップの構成例を示す断面図である。
図4および
図5において、固定式ホイルトラップ24は、複数のホイル61と、ホイル61を支持する固定枠(固定部材)60とを備える。
ホイル61は、
図5に示すように、EUV取出光の主光線UL方向に直交する断面において、それぞれ等間隔に配置される。また、固定枠60は、例えば、正面から見て矩形状となっている。なお、固定枠60の外形は、任意の形状であってよい。さらに、複数のホイル61は、
図4に示すように、主光線UL方向に直交する方向から見ると、EUV取出光の光線方向に伸びるように放射状に配置される。
【0087】
固定式ホイルトラップ24の複数のホイル61は、固定式ホイルトラップ24が配置された空間を細かく分割することにより、その部分のコンダクタンスを下げて圧力を局所的に上げる働きをする。固定式ホイルトラップ24にガスを適宜供給することにより、固定式ホイルトラップ24における圧力を上げるようにする。言い換えると、接続チャンバ21内において、固定式ホイルトラップ24内にガスを局在化させて圧力が比較的高い部分を設定する。ここで、固定式ホイルトラップ24に供給するガスは、EUV光に対して透過率の高いガスが望ましく、例えば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの希ガスまたは水素(H2)などが用いられる。
【0088】
回転式ホイルトラップ22で捕捉できなかった高速のデブリDBは、固定式ホイルトラップ24における圧力が上がった領域でガスとの衝突確率が上がるために速度が低下する。また、ガスとの衝突によりデブリDBの進行方向も変わる。固定式ホイルトラップ24は、このようにして速度が低下して進行方向が変わったデブリDBを、ホイル61または固定枠60により捕捉する。
【0089】
また、接続チャンバ21内には、カバー部材25が配置される。カバー部材25は、回転式ホイルトラップ22を包囲し、回転式ホイルトラップ22により捕捉されたデブリDBが接続チャンバ21の内部に飛散するのを防止する。カバー部材25は、入射側開口部KIおよび出射側開口部KOA、KOBを備える。入射側開口部KIは、回転式ホイルトラップ22に入射するEUV光が遮光されない位置に設けられる。出射側開口部KOAは、入射側開口部KAおよび回転式ホイルトラップ22を通過して固定式ホイルトラップ24に入射するEUV光が遮光されない位置に設けられる。出射側開口部KOBは、入射側開口部KIおよび回転式ホイルトラップ22を通過して監視装置43に入射するEUV光が遮光されない位置に設けられる。
【0090】
回転式ホイルトラップ22により捕捉されたデブリDBの少なくとも一部は、遠心力により回転式ホイルトラップ22のホイル51上を径方向に移動し、ホイル51の端部から離脱して、カバー部材25の内面に付着する。
カバー部材25は、図示を省略した加熱手段またはEUV放射を受ける遮熱板23からの二次輻射によって加熱され、当該加熱によりカバー部材25の内面に付着したデブリDBは固化せず、液相状態を保持する。カバー部材25の内面に付着したデブリDBは、重力によりカバー部材25の下部に集まり、カバー部材25の下部から排出管26を介してカバー部材25の外に排出されて廃原料となり、デブリ収容部4に収容される。これにより、カバー部材25は、回転式ホイルトラップ22のホイル51の端部から離脱したデブリDBが接続チャンバ21の内部に飛散するのを防止することができる。
【0091】
デブリ収容部4は、デブリ収容容器31を備える。デブリ収容容器31は、接続チャンバ21の外部に配置され、接続チャンバ21に取り付けられる。デブリ収容容器31は、デブリDBおよび廃原料を含む収容物SUを貯蔵する。
【0092】
接続チャンバ21の底壁には、デブリ収容容器31の内部空間と接続チャンバ21の内部空間を連通させる貫通孔37が形成されている。デブリ収容容器31は、上部にフランジ32を備える。フランジ32で囲まれたデブリ収容容器31の開口部は、接続チャンバ21の貫通孔37に重ねられる。そして、フランジ32が接続チャンバ21の底壁に、例えば、ネジで固定されることで、デブリ収容容器31が接続チャンバ21に取り付けられる。フランジ32と接続チャンバ21の底壁の間の間隙は、ガスケット33により封止される。遮熱板23は、直立した状態で貫通孔37の上方に配置される。排出管26の排出口は、貫通孔37の上方に配置される。このとき、遮熱板23および排出管26からのデブリDBの落下位置にデブリ収容容器32が配置される。
【0093】
排出管26を介してカバー部材25の外に排出された廃原料は、重力方向に落下し、接続チャンバ21の下方(
図2の下側)に配置されているデブリ収容容器31に溜められる。一方、プラズマPから様々な方向に放散されるデブリDBの一部は、チャンバ11の窓部17を通じて接続チャンバ21に侵入すると、遮熱板23の窓部17と対面する面に堆積する。遮熱板23に堆積したデブリDBは、プラズマPからの放射により溶融し、ある程度の量に達すると、液滴となって重力により遮熱板23の下方に移動する。そして、遮熱板23の下方に移動したデブリDBが遮熱板23から離脱し、接続チャンバ21の下方へ落下することで、デブリ収容容器31に収容される。
【0094】
このように遮熱板23は、プラズマPから回転式ホイルトラップ22へのEUV放射を制限して回転式ホイルトラップ22の過熱を防止したり、開口部KAによりプラズマPから放出されるEUV光の一部を取り出し可能とするのみならず、回転式ホイルトラップ22に向けて進行するデブリDBをできるだけ少なくし、回転式ホイルトラップ22の負荷を減少させる。
【0095】
また、LDP方式のEUV光源装置1においては、放電部(放電電極EA、EBなど)に供給されるプラズマ原料(スズ)SA、SBの一部が漏出することがある。例えば、プラズマ原料SA、SBの一部は、コンテナCA、CBから漏出する場合がある。漏出したプラズマ原料SA、SBは、プラズマPの発生に寄与しないため、廃原料となる。上記した放電部から漏出したプラズマ原料SA、SBは、図示を省略した包囲部材により捕集される。
【0096】
包囲部材により廃原料として捕集されたプラズマ原料SA、SBをデブリ収容容器31に導くために、接続チャンバ21内には受け板部材(shovel)18が設置される。受け板部材18は、窓部17から貫通孔37にかけて掛け渡されるように傾斜姿勢で支持される。受け板部材18は、廃原料として捕集されたプラズマ原料SA、SBが受け板部材18上で融点以上に維持されるように、図示を省略した加熱手段(ヒータ)で加熱される。そして、包囲部材により廃原料として捕集されたプラズマ原料SA、SBおよび接続チャンバ21に侵入したデブリDBの一部は、受け板部材18に導かれてデブリ収容容器31に落下する。
【0097】
ここで、デブリDBの大部分はスズであり、廃材料もスズであるので、デブリ収容容器31は、スズ回収容器と呼ぶこともできる。デブリ収容容器31の周囲には、デブリ収容容器31を加熱する加熱手段としてのヒータ配線34が巻き付けられている。加熱手段は、デブリ収容容器31本体に埋設されていてもよい。
EUV光源装置1の稼働中では、ヒータ配線34に給電することによって、デブリ収容容器の内部は、スズの融点以上に加熱され、デブリ収容容器31内部に蓄積されたスズは液相にされる。
【0098】
デブリ収容容器31の内部のスズを液相とする理由は、デブリ収容容器31の内部に蓄積されるデブリDBが固化すると、デブリDBが落下しやすい地点での蓄積物が、あたかも鍾乳洞の石筍のように成長するからである。デブリDBの蓄積物が石筍状に成長すると、例えば、カバー部材25の排出管26がデブリDBにより封鎖されてカバー部材25内にデブリDBが蓄積される。このとき、カバー部材25内に蓄積されたデブリDBの少なくとも一部が回転式ホイルトラップ22に接触し、回転式ホイルトラップ22の回転を妨げたり、回転式ホイルトラップ22を損傷したりすることがある。
あるいは、カバー部材25に設けられている出射側開口部KOA、KOBの一部がカバー部材25内に蓄積されたデブリDBにより封鎖されて、出射側開口部KOA、KOBを通過するEUV光の一部が遮られることもある。
よって、デブリ収容容器31の内部の収容物であるスズを液相にすることで、デブリ収納容器31内でスズを平坦化し、石筍のような成長を回避しながらデブリ収納容器31内にスズを貯蔵することが可能となる。
【0099】
デブリ収容容器31に蓄積されたスズを回収する場合、ヒータ配線34への給電を止めてデブリ収容容器31内部の加熱を停止する。そして、デブリ収容容器31の温度が常温に到達してデブリ収容容器31に貯蔵されるスズを固化させた上で、接続チャンバ21内部を大気圧に戻す。その後、デブリ収容容器31を接続チャンバ21から取り外し、スズの溜まっていない新しいデブリ収容容器を接続チャンバ21に取り付ける。
接続チャンバ21から取り外されたデブリ収容容器31の内部のスズは固相になっているが、そのデブリ収容容器31を再加熱して内部のスズを再度液相とすることによって、デブリ収容容器31からスズを取り出すことができる。接続チャンバ21から取り外し、内部からスズを除去したデブリ収容容器31は再利用することができる。
【0100】
さらに、接続チャンバ21の外部には、EUV光を監視する監視装置43が配置される。監視装置43は、EUV光を検出する検出器またはEUV光の強度を測定する測定器である。接続チャンバ21の壁には、EUV光が通過する貫通孔であるEUV光案内孔28が形成され、EUV光案内孔28と監視装置43と間には、EUV光が接続チャンバ21の外に漏れずに通過する案内管29が設けられている。
【0101】
遮熱板23には、開口部KAとは別の位置に、プラズマPから放出されるEUV光の一部を取り出すための任意の形状(例えば、円形)の開口部KBが設けられる。
プラズマPと開口部KBの中心部を結ぶ直線の延長線上には、監視装置43、EUV光案内孔28および案内管29が配置されている。従って、プラズマPから放出されるEUV光の一部は、チャンバ11の窓部17、遮熱板23の開口部KB、カバー部材25の入射側開口部KI、回転式ホイルトラップ22の複数のホイル51の隙間、カバー部材25の出射側開口部KOB、接続チャンバ21の壁のEUV光案内孔28および案内管29の内腔を順次通過して、監視装置43に到達する。このようにして、EUV光を監視装置43によって監視することができる。
【0102】
図6は、
図2のデブリ収容容器の構成例を示す斜視図、
図7は、
図2のデブリ収容容器の構成例を示す断面図である。
図6および
図7において、デブリ収容容器31は、上部にフランジ32を備える。フランジ32は、デブリ収容容器31の開口部を囲むように配置される。デブリ収容容器31は、デブリ収容容器31の開口部が接続チャンバ21の底面部に設けられた貫通孔37に重なるように位置決めされた状態で、例えば、ねじを用いてフランジ32を接続チャンバ21の底壁に固定されることにより取り付けられる。
【0103】
デブリ収容容器31は、デブリDBなどの収容物SUの収容部を取り囲む壁部の一部に加熱手段35が埋設される。加熱手段35を埋設するために、デブリ収容容器31の壁部には、加熱手段埋設部38が複数設けられる。加熱手段35としては、例えば、発熱体をシース(金属パイプ)で覆ったカートリッジヒータが使用される。カートリッジヒータの発熱体は、例えば、ニクロム線である。このとき、当該ニクロム線に電流を給電することによりデブリ収容容器31を加熱することができる。なお、シースの先端は封止される。カートリッジヒータのシースは、加熱手段埋設部38に挿入された状態でデブリ収容容器31に保持される。
【0104】
デブリ収容容器31に収容される収容物(デブリおよび廃材料)は、少なくともEUV光源装置1が稼働中は液相状態に維持される。収容物の大部分はスズであるので、デブリ収容容器31は、内部に収容する収容物の温度がスズの融点以上となるように加熱される。そのため、デブリ収容容器31には、その温度をセンシングする温度センサ36が埋設される。温度センサ36を埋設するために、デブリ収容容器31の壁部には温度センサ埋設部39が設けられる。温度センサ36としては、例えば、測温抵抗体(RTD:Resistance Temperature Detector)が用いられる。測温抵抗体は、金属または金属酸化物が温度変化によって電気抵抗値が変化する特性を利用し、その電気抵抗値を測定することで温度を測定する。測温抵抗体に使用される金属は種々存在するが、例えば、特性が安定し入手が容易な白金(Pt100)が用いられる。
【0105】
温度センサ36の埋設を容易化するために、例えば、シース型の測温抵抗体センサを使用することができる。シース型の測温抵抗体センサは、抵抗素子とそれに接続されている導線がシース(金属パイプ)に挿入されるとともに、シース内部に絶縁物(酸化マグネシウム)が充填され、これらが一体形成される。なお、シースの先端は封止される。シース型の測温抵抗体センサは、そのシースが温度センサ埋設部39に挿入された状態でデブリ収容容器31に保持される。
【0106】
なお、温度センサ36としては、測温抵抗体以外のセンサも使用可能であるが、測温抵抗体は、高精度な測定が可能であり、安定性および再現性に優れている。また、測温抵抗体は、電気的ノイズの影響も比較的受けにくいので、電気的ノイズを発生する放電部分を備えるEUV光源装置1の使用に好適である。
【0107】
図8は、
図2のデブリ収容容器の加熱処理の温度制御系の一例を示すブロック図である。
図8において、温度制御系は、温度検出部71、制御部72および加熱用給電部73を備える。制御部72は、温度制御部72Aおよび収容量推定部72Bを備える。
【0108】
温度検出部71は、温度センサ36(測温抵抗体)へ給電したり、温度センサ36からの温度情報を検出(電気抵抗値の検出)したりする。また。温度検出部71は、温度センサ36からの温度情報を制御部72に送信する。制御部72は、加熱用給電部73を制御することにより、加熱手段(カートリッジヒータ)35への給電量を制御したり、給電のオンとオフを制御したりする。加熱用給電部73は、各加熱手段35に個別に電力を給電する。
【0109】
温度制御部72Aは、液相化された収容物が収容されたデブリ収容容器31の温度が収束するように収容容器31を温度制御する。
図1のEUV光源装置1にデブリ収容容器31が設置されている場合、デブリ収容容器31の収容物は主にスズである。このとき、温度制御部72Aは、温度検出部71から受信した温度情報に基づき、加熱用給電部73を制御する。なお、温度センサ36の抵抗素子と温度検出部71との電気的な接続は、例えば、一般的な3線式による結線が採用される。温度制御部72Aは、デブリ収容容器31の温度を目標温度に維持するために、例えば、PID制御を行う。PID制御の各ゲイン(比例ゲイン、積分ゲイン、微分ゲイン)は、デブリ収容容器31の熱容量に基づいて適宜設定される。
【0110】
収容量推定部72Bは、温度制御部72Aによる温度制御に伴って振動する振動データの特性に基づいて、デブリ収容容器31に収容された収容物の収容量を推定する。振動データの特性は、デブリ収容容器31の温度が目標温度となるように温度制御するときのデブリ収容容器31の温度の振動の振幅、周波数および位相の少なくともいずれかひとつから選択されてもよい。また、振動データの特性は、デブリ収容容器31を温度制御するときのPWM(Pulse Width Modulation)制御におけるデューティの振動の振幅、周波数および位相の少なくともいずれかひとつから選択されてもよい。
【0111】
ここで、EUV光源装置1の稼働中は、デブリ収容容器31に収容される収容物(デブリ)の量は徐々に増加する。よって、EUV光源装置1の稼働中は、デブリ収容容器31全体の熱容量も徐々に変化する。
【0112】
一方、PID制御の各ゲインは、例えば、デブリ収容容器31が所定量の収容物を収容している場合におけるデブリ収容容器31全体の熱容量に基づいて設定される。この場合、デブリ収容容器31に収容される収容物の量が上記所定量と一致しないときは、PID制御によりデブリ収容容器31の温度を目標温度に維持しようとしても、デブリ収容容器31の温度は、目標温度に収束せず振動現象が発生する。また、デブリ収容容器31の温度が目標温度に収束しない場合、温度制御部72Aは、デブリ収容容器31の温度を目標温度に収束させるために、加熱用給電部73の給電量を変化させる。温度制御部72Aは、加熱用給電部73の給電量を変化させるために、PWM制御におけるデューティを変化させる。このとき、デブリ収容容器31の温度の振動現象に伴って、PWM制御におけるデューティも振動する。
【0113】
ここで、デブリ収容容器31全体の熱容量が変化すると、デブリ収容容器31の温度の振動特性およびPWM制御におけるデューティの振動特性も変化する。デブリ収容容器31全体の熱容量は、デブリ収容容器31単体の熱容量とデブリ収容容器31に収容された収容物の熱容量の和である。デブリ収容容器31に収容された収容物が変化しても、デブリ収容容器31単体の熱容量は変化しない。このため、収容量推定部72Bは、デブリ収容容器31の温度の振動特性またはPWM制御におけるデューティの振動特性に基づいて、デブリ収容容器31に収容された収容物の収容量を推定することができる。
【0114】
ここで、デブリ収容容器31の温度を目標温度に収束させる温度制御は、デブリ収容容器31に収容された収容物の液相と固相との間の相変化の有無に依存しない。このため、デブリ収容容器31に収容された収容物が液相状態に維持されている場合においても、液面レベルの計測を不要としつつ、その収容物の収容量を推定することができる。この結果、EUV光源装置1が稼働中である場合においても、デブリ収容容器31内の収容物に温度センサまたは金属棒を浸漬させることなく、その収容物の収容量を推定することができ、デブリ収容容器31から収容物が溢れ出すのを防止することが可能となるとともに、収容物が収容されたデブリ収容容器31の交換を効率化することができる。
【0115】
図9および
図10は、
図2のデブリ収容容器の収容物の収容量に応じた温度変化例を示す図である。なお、
図9および
図10では、温度制御部72Aによる温度制御に伴って振動する振動データの特性の一例として、デブリ収容容器31の温度の振幅を示した。また、
図9は、デブリ収容容器31に収容物がほとんど収容されていない場合のデブリ収容容器31の温度の時間特性、
図10は、デブリ収容容器31に収容物がある程度収容されている場合のデブリ収容容器31の温度の時間特性を示した。また、時間0は、温度制御(PID制御)により、デブリ収容容器31の温度が目標温度(270℃)にほぼ到達した時点以降の任意の時点である。
【0116】
図9において、PID制御の各ゲインは、デブリ収容容器31が所定量の収容物を収容している状態をベースに設定される。このため、デブリ収容容器31に収容物がほとんど収容されていない場合、デブリ収容容器31の温度が目標温度(270℃)にほぼ到達した後も、温度の振動が発生し、振幅A1の温度波形W1が得られる。
【0117】
一方、デブリ収容容器31に収容物がある程度収容されている場合、デブリ収容容器31の収容物の量は、PID制御の各ゲインを設定したときのデブリ収容容器31に収容される収容物の所定量と相違する。このため、デブリ収容容器31の温度が目標温度(270℃)にほぼ到達した後も、温度の振動が発生し、振幅A2の温度波形W2が得られる。このとき、温度波形W2の振幅A2は、温度波形W1の振幅A1より小さくなる。これは、デブリ収容容器31に収容物がほとんど収容されていない場合と比較すると、ある程度の収容物が収容されている場合は、所定量の収容物が収容されている状態をベースに各ゲインが設定されたデブリ収容容器31全体の熱容量との差が小さいためであると考えられる。
【0118】
図9および
図10から判るように、デブリ収容容器31が所定量の収容物を収容している状態をベースに温度制御のための各ゲインを設定すると、デブリ収容容器31の温度が目標温度(270℃)にほぼ到達した後の温度の振動の振幅は、デブリ収容容器31が収容する収容物の量に依存する。よって、スズの体積と温度振動の振幅との相関データを予め求めておき、目標温度到達時の温度振動の振幅を計測し、計測結果と相関データとを比較することで、デブリ収容容器31内の収容物の収容量を推定することが可能となる。
【0119】
図11は、
図2のデブリ収容容器の収容物の収容量推定処理の一例を示すフローチャートである。
図11において、デブリ収容容器31の温度が目標温度にほぼ到達した後の温度振動の振幅ANとデブリ収容容器31内の収容物(デブリ)の収容量VNとの相関を予め求め、相関データを制御部72に記憶させる(ステップS1)。
【0120】
デブリ収容容器31の温度を目標温度に維持する制御は、例えば、PID制御で行われる。PID制御の目標温度および各ゲインなどのパラメータは、制御部72に予め記憶される。ここで、PID制御の各ゲインは、デブリ収容容器31が所定量の収容物(デブリ)を収容している状態をベースに設定される。また、温度振動の振幅ANと収容物VNとの収容量との相関データの採取は、デブリ収容容器31が所定量の収容物(デブリ)を収容している状態をベースに設定された各ゲイン条件のもとで行われる。
【0121】
制御部72は、温度検出部71からデブリ収容容器31の温度情報を受信し、その温度情報を基に加熱用給電部73を制御し、加熱手段35によるデブリ収容容器31の温度制御を開始する。
また、制御部72は、温度制御開始時点を起点として、デブリ収容容器31の温度Tの時間変化特性の採取を開始する(ステップS2)。
【0122】
デブリ収容容器31の温度が目標温度(例えば、270℃)に到達した後、制御部72は、不図示の演算手段により、デブリ収容容器31の温度Tの時間変化特性データから温度振動の振幅AMを算出する(ステップS3)。
次に、制御部72は、ステップS3で算出した温度振動の振幅AMと、ステップS1で記憶した相関データの振幅ANとを比較し、ステップS3で算出した温度振動の振幅AMに対応する相関データの振幅ANに紐付けられたデブリ収容容器31内の収容物の収容量VNを、EUV光源装置1が稼働中のデブリ収容容器31内の収容物の収容量の推定値VMとする(ステップS4)。
【0123】
次に、制御部72は、ステップS4で求めた収容物の収容量の推定値VMと、予め記憶した収容量の最大許容値である閾値Vtとを比較する(ステップS5)。収容物の収容量の推定値VMが閾値Vt以上の場合(VM≧Vt)、制御部72は、不図示の警告手段から警告信号を外部に送出する(ステップS6)。これにより、制御部72は、デブリ収容容器31から収容物が溢れ出す前の状態を外部に通知することができ、収容物が収容されたデブリ収容容器31の交換タイミングの判断材料を提供することができる。
【0124】
一方、収容物の収容量の推定量VMが閾値Vt未満の場合(VM<Vt)、制御部72は、ステップS3に戻り、温度振動の振幅ANを再度算出する。なお、VM<Vtの場合、ステップS5での判定から一定時間経過後にステップS3に移行するようにしてもよい。これにより、収容物の収容量の推定値VMが閾値Vt未満の場合、収容物の収容量の推定を繰り返すことができ、収容物の収容量の推定値VMが閾値Vt以上になるまで収容物の収容量の推定を継続することができる。
【0125】
以上説明したように、上述した実施形態によれば、温度制御によりデブリ収容容器31の温度が目標温度に到達した後であって、EUV光源装置1が稼働している間、収容物の収容量を推定することが可能となる。よって、EUV光源装置1が稼働している間に収容物の収容量が許容値を超えた場合、速やかに警告信号を外部に送出することが可能となり、デブリ収容容器31から収容物が溢れるのを防止することができる。
【0126】
また、デブリ収容容器31の温度制御時に採取された温度振動の振幅データの比較結果に基づいて収容物の収容量を推定することができ、収容物の収容量を推定するための複雑なアルゴリズムの構築を不要とすることができる。
さらに、デブリ収容容器31内の収容物の収容量を推定するために、デブリ収容容器31の温度制御に用いられる温度センサ36を用いることができ、収容物の収容量の推定に用いられる温度センサを別途設ける必要がなくなることから、収容物の収容量を推定するために必要なリソースの増大を抑制することができる。
【0127】
なお、上述した実施形態では、温度制御としてPID制御を採用した例を示したが、温度制御はPID制御に限定されない。デブリ収容容器31が収容する収容物の収容量によって、デブリ収容容器31の温度が目標温度に到達後に温度が振動するときの振動特性が変化する制御方法であればよい。
【0128】
図12は、
図8の制御部のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図12において、制御部72は、プロセッサ101、通信制御デバイス102、通信インタフェース103、主記憶デバイス104、補助記憶デバイス105および入出力インタフェース107を備える。プロセッサ101、通信制御デバイス102、通信インタフェース103、主記憶デバイス104、補助記憶デバイス105および入出力インタフェース107は、内部バス106を介して相互に接続されている。主記憶デバイス104および補助記憶デバイス105は、プロセッサ101からアクセス可能である。
【0129】
また、制御部72の外部には、センサ111、ヒータ112、入力装置113および出力装置114が設けられている。センサ111、ヒータ112、入力装置113および出力装置114は、入出力インタフェース107を介して内部バス106に接続されている。入力装置113および出力装置114は、ヒューマンインターフェースとして用いることができる。
【0130】
入力装置113は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、カードリーダ、音声入力装置等である。出力装置114は、例えば、画面表示装置(液晶モニタ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、グラフィックカード等)、音声出力装置(スピーカ等)、印字装置等である。
【0131】
センサ111は、
図2のデブリ収容容器31の温度を検出する。センサ111は、例えば、
図8の温度センサ36である。ヒータ112は、デブリ収容容器31を加熱する。ヒータ112は、例えば、
図8の加熱手段35である。
【0132】
プロセッサ101は、制御部72全体の動作制御を司るハードウェアである。プロセッサ101は、CPU(Central Processing Unit)であってもよいし、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。プロセッサ101は、シングルコアプロセッサであってもよいし、マルチコアプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、処理の一部を行うアクセラレータなどのハードウェア回路(例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはASIC(Application Specific Integrated Circuit))を備えていてもよい。プロセッサ101は、ニューラルネットワークとして動作してもよい。
【0133】
主記憶デバイス104は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)またはDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリから構成することができる。主記憶デバイス104には、プロセッサ101が実行中のプログラムを格納したり、プロセッサ101がプログラムを実行するためのワークエリアを設けたりすることができる。
【0134】
補助記憶デバイス105は、大容量の記憶容量を備える記憶デバイスであり、例えば、ハードディスク装置またはSSD(Solid State Drive)である。補助記憶デバイス105は、各種プログラムの実行ファイルおよびプログラムの実行に用いられるデータを保持することができる。補助記憶デバイス105には、温度制御プログラム105Aおよび収容量推定プログラム105Bを格納することができる。温度制御プログラム105Aおよび収容量推定プログラム105Bは、制御部72にインストール可能なソフトウェアであってもよいし、制御部72にファームウェアとして組み込まれていてもよい。
【0135】
通信制御デバイス102は、外部との通信を制御する機能を備えるハードウェアである。通信制御デバイス102は、通信インタフェース103を介してネットワーク109に接続される。ネットワーク109は、インターネットまたはWAN(Wide Area Network)であってもよいし、WiFiまたはイーサネット(登録商標)などのLAN(Local Area Network)であってもよいし、インターネットとWANとLANが混在していてもよい。
【0136】
入出力インタフェース107は、センサ112および入力装置113から入力されるデータをプロセッサ101が処理可能なデータ形式に変換したり、プロセッサ101から出力されるデータをヒータ112の駆動信号に変換したり、出力装置114が処理可能なデータ形式に変換したりする。
【0137】
プロセッサ101は、温度制御プログラム105Aを主記憶デバイス104に読み出し、温度制御プログラム105Aを実行することにより、液相化された収容物が収容されたデブリ収容容器31の温度が収束するように収容容器31を温度制御することができる。このとき、プロセッサ101は、
図8の温度制御部72Aとして動作することができる。
【0138】
また、プロセッサ101は、収容量推定プログラム105Bを主記憶デバイス104に読み出し、収容量推定プログラム105Bを実行することにより、デブリ収容容器31の温度制御に伴って振動する振動データの特性に基づいて、デブリ収容容器31に収容された収容物の収容量を推定することができる。このとき、プロセッサ101は、
図8の収容量推定部72Bとして動作することができる。
【0139】
なお、温度制御プログラム105Aおよび収容量推定プログラム105Bの実行は、複数のプロセッサやコンピュータに分担させてもよい。あるいは、プロセッサ101は、ネットワーク109を介してクラウドコンピュータなどに温度制御プログラム105Aおよび収容量推定プログラム105Bの全部または一部の実行を指示し、その実行結果を受け取るようにしてもよい。
【0140】
上述した実施形態では、デブリ収容容器31内の収容物の収容量を推定するために、
図11に示すように、ステップS1で温度振動の振幅ANとデブリ収容容器31内の収容物の収容量VNとの相関データを予め記憶し、ステップS3で算出した温度振動の振幅AMと、ステップS1で記憶した相関データの振幅ANとの比較を実施した。デブリ収容容器31内の収容物の収容量の推定は、このようなルールベースに基づいた推定でもよいが、ニューラルネットワークを用いた機械学習に基づいた推定でもよい。
【0141】
図13は、実施形態に係る収容量推定に用いられる学習モデルの一例を示す図である。
図13において、学習モデルは、ニューラルネットワークを備える。ニューラルネットワークは、入力層LI、中間層LHおよび出力層LOを備える。入力層LIはノードNIを備え、中間層LHはノードNHを備え、出力層LOはノードNOを備える。ノードNIは、エッジEAを介してノードNHに結合され、ノードNHは、エッジEBを介してノードNOに結合される。
【0142】
ニューラルネットワークの学習段階では、デブリ収容容器31の温度制御に伴って振動する振動データの特性を入力層LIに与えたときに、デブリ収容容器31内の収容物の収容量を正解データとしてニューラルネットワークに学習させる。このとき、ニューラルネットワークの各エッジEA、EBのそれぞれに重みが設定される。入力層LIに与える振動データの特性は、デブリ収容容器31の温度が目標温度となるように温度制御するときのデブリ収容容器31の温度の振動の振幅、周波数および位相であってもよいし、デブリ収容容器31を温度制御するときのPWM制御におけるデューティの振動の振幅、周波数および位相であってもよい。
【0143】
ニューラルネットワークの推論段階では、EUV光源装置1の稼働中に観測した温度制御に伴う振動データの特性を入力層LIに入力する。そして、ニューラルネットワークの出力層LOからの出力をデブリ収容容器31内の収容物の収容量の推定値とすることができる。
【0144】
このとき、入力層LIの各ノードNIに入力されたデータは、各エッジEAの重みで重み付けされた後、中間層LHの各ノードNHに入力され、各ノードNHへの入力がノードNHごとに加算されて各ノードNHの値となる。中間層LHの各ノードNHの値は、活性化関数(例えば、シグモイド関数)で非線形変換されて、各エッジEBの重みで重み付けされた後、出力層LOの各ノードNOに入力され、各ノードNOへの入力がノードNOごとに加算されて各ノードNOの値となる。
【0145】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0146】
例えば、上述した収容物の収容量の推定方法は、EUV光源装置のデブリ収容容器が収容するデブリ(スズ)の収容量を対象としているが、これに限るものではない。対象物は室温では固体であって、加熱して液体状態にして使用する金属であれば、デブリの主成分であるスズに限られるものではない。例えば、液体金属冷却炉で使用される液体金属(ナトリウム、リチウム等)の量を推定するのに採用することもできる。この液体金属は、例えば、原子力発電装置の冷媒として用いることができる。このとき、上述した収容量推定方法を用いることにより、液体金属の循環時における液体金属の減少量を推定することができる。そして、液体金属の収容量が最小許容値以下の場合、警報信号を外部に送出するようにしてもよい。
【0147】
また、上述した収容量推定方法は、液体金属の収容量の推定を例にとったが、温度管理される液体であれば、必ずしも金属に限定されることなく、例えば、冷却水、液体窒素、液体ヘリウム、潤滑油または液体燃料などの収容量の推定に適用してもよい。
【符号の説明】
【0148】
1 極端紫外光光源装置
2 光源部
3 デブリ低減部
4 デブリ収容部
11 チャンバ
21 接続チャンバ
31 デブリ収容容器
DB デブリ
SU 収容物
35 加熱手段
36 温度センサ
71 温度検出部
72 制御部
72A 温度制御部
72B 収容量推定部
73 加熱用給電部