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特開2022-67992情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022067992
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04R 29/00 20060101AFI20220426BHJP
   H04R 1/32 20060101ALI20220426BHJP
   G08B 29/10 20060101ALI20220426BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
H04R29/00 310
H04R1/32 310A
G08B29/10
G08B25/00 510M
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176890
(22)【出願日】2020-10-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-04-28
(71)【出願人】
【識別番号】518133201
【氏名又は名称】富士通クライアントコンピューティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷山 和利
【テーマコード(参考)】
5C087
5D018
【Fターム(参考)】
5C087AA02
5C087AA37
5C087AA41
5C087CC02
5C087CC21
5C087DD05
5C087DD20
5C087EE07
5C087GG02
5C087GG06
5C087GG31
5C087GG59
5D018AF02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】声掛けのための音声出力装置の異常を検出する情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】ホスト装置100(情報処理装置)は、指向性スピーカ200が撮像された撮像画像を監視カメラ400から取得する画像取得部110と、撮像画像に不審者が写っているか否かを検出する不審者検出部120と、指向性スピーカの位置を制御するスピーカ制御部130と、指向性スピーカ200の異常を検出する異常検出部140と、を備える。異常検出部140は、スピーカ制御部130を介して指向性スピーカ200を所定の位置に移動するように制御した後、画像取得部110により取得された撮像画像に写っている指向性スピーカ200の表面の特定の位置を示す情報を取得し、当該情報と、予め設定された情報と、の比較に基づいて、指向性スピーカ200の異常を検出する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の場所に固定的に設置される固定部と、前記固定部に対して移動可能に設けられる可動部と、前記可動部に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部と、を含む音声出力装置が撮像された撮像画像を前記第1の場所とは異なる第2の場所に設置された撮像装置から取得する画像取得部と、
前記可動部が所定の位置に移動するように前記可動部の制御を行い、当該可動部の制御の完了後に前記画像取得部により取得される前記撮像画像に写っている前記音声出力装置の表面の特定の位置を示す情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときにおける前記撮像画像内の前記特定の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する異常検出部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記異常検出部は、前記特定の位置を示す情報として、前記可動部の表面に設けられた第1のマーカの位置を示す第1の情報を取得し、当該第1の情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときにおける前記第1のマーカの位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記異常検出部は、前記特定の位置を示す情報として、前記固定部の表面に設けられた第2のマーカの位置を示す第2の情報を取得し、前記第1の情報を用いた比較に先立って、前記第2の情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときにおける前記第2のマーカの位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部から前記第2の場所に届く前記音声を取得する音声取得部をさらに備え、
前記異常検出部は、前記可動部が前記所定の位置に移動するように前記可動部の制御を行うとともに前記出力部が所定の音声を出力するように前記出力部の制御も行い、当該出力部の制御の完了後に前記音声取得部により取得される前記所定の音声に関する情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときに前記出力部から前記第2の場所に届く前記所定の音声に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する、
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
第1の場所に固定的に設置される固定部と、前記固定部に対して移動可能に設けられる可動部と、前記可動部に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部と、を含む音声出力装置と、
前記第1の場所とは異なる第2の場所に設置され、前記音声出力装置を撮像する撮像装置と、
前記音声出力装置が撮像された撮像画像を前記撮像装置から取得する画像取得部と、前記可動部が所定の位置に移動するように前記可動部の制御を行い、当該可動部の制御の完了後に前記画像取得部により取得される前記撮像画像に写っている前記音声出力装置の表面の特定の位置を示す情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときにおける前記撮像画像内の前記特定の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する異常検出部と、を含む情報処理装置と、
を備える、情報処理システム。
【請求項6】
第1の場所に固定的に設置される固定部と、前記固定部に対して移動可能に設けられる可動部と、前記可動部に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部と、を含む音声出力装置が撮像された撮像画像を前記第1の場所とは異なる第2の場所に設置された撮像装置から取得する画像取得ステップと、
前記可動部が所定の位置に移動するように前記可動部の制御を行い、当該可動部の制御の完了後に前記画像取得ステップにより取得される前記撮像画像に写っている前記音声出力装置の表面の特定の位置を示す情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときにおける前記撮像画像内の前記特定の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する異常検出ステップと、
をコンピュータに実行させるための、情報処理プログラム。
【請求項7】
第1の場所に固定的に設置される固定部と、前記固定部に対して移動可能に設けられる可動部と、前記可動部に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部と、を含む音声出力装置の前記出力部から前記第1の場所とは異なる第2の場所に届く前記音声を取得する音声取得部と、
前記可動部が所定の位置に移動するように前記可動部の制御を行うとともに前記出力部が所定の音声を出力するように前記出力部の制御も行い、当該出力部の制御の完了後に前記音声取得部により取得される前記所定の音声に関する情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときに前記出力部から前記第2の場所に届く前記所定の音声に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する異常検出部と、
を備える、情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラから映像を取得することで、当該映像に写っている対象の挙動の検出のような情報処理を実行する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-79340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の技術では、たとえば不審者に対する注意などのために、対象の挙動の検出結果に応じた音声の出力、すなわち声掛けが実行されることがある。この場合、声掛けのための音声出力装置の異常を検出することが望まれる。
【0005】
そこで、本開示の課題の一つは、声掛けのための音声出力装置の異常を検出することが可能な情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様にかかる情報処理装置は、第1の場所に固定的に設置される固定部と、固定部に対して移動可能に設けられる可動部と、可動部に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部と、を含む音声出力装置が撮像された撮像画像を第1の場所とは異なる第2の場所に設置された撮像装置から取得する画像取得部と、可動部が所定の位置に移動するように可動部の制御を行い、当該可動部の制御の完了後に画像取得部により取得される撮像画像に写っている音声出力装置の表面の特定の位置を示す情報と、可動部が所定の位置に正常に移動したときにおける撮像画像内の特定の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、音声出力装置の異常を検出する異常検出部と、を備える。
【0007】
本開示の第2態様にかかる情報処理システムは、第1の場所に固定的に設置される固定部と、固定部に対して移動可能に設けられる可動部と、可動部に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部と、を含む音声出力装置と、第1の場所とは異なる第2の場所に設置され、音声出力装置を撮像する撮像装置と、音声出力装置が撮像された撮像画像を撮像装置から取得する画像取得部と、可動部が所定の位置に移動するように可動部の制御を行い、当該可動部の制御の完了後に画像取得部により取得される撮像画像に写っている音声出力装置の表面の特定の位置を示す情報と、可動部が所定の位置に正常に移動したときにおける撮像画像内の特定の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、音声出力装置の異常を検出する異常検出部と、を含む情報処理装置と、を備える。
【0008】
本開示の第3態様にかかる情報処理プログラムは、第1の場所に固定的に設置される固定部と、固定部に対して移動可能に設けられる可動部と、可動部に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部と、を含む音声出力装置が撮像された撮像画像を第1の場所とは異なる第2の場所に設置された撮像装置から取得する画像取得ステップと、可動部が所定の位置に移動するように可動部の制御を行い、当該可動部の制御の完了後に画像取得部により取得される撮像画像に写っている音声出力装置の表面の特定の位置を示す情報と、可動部が所定の位置に正常に移動したときにおける撮像画像内の特定の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、音声出力装置の異常を検出する異常検出ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0009】
本開示の第4態様にかかる情報処理装置は、第1の場所に固定的に設置される固定部と、固定部に対して移動可能に設けられる可動部と、可動部に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部と、を含む音声出力装置の出力部から第1の場所とは異なる第2の場所に届く音声を取得する音声取得部と、可動部が所定の位置に移動するように可動部の制御を行うとともに出力部が所定の音声を出力するように出力部の制御も行い、当該出力部の制御の完了後に音声取得部により取得される所定の音声に関する情報と、可動部が所定の位置に正常に移動したときに出力部から第2の場所に届く所定の音声に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、音声出力装置の異常を検出する異常検出部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の情報処理装置、情報処理システムおよび情報処理プログラムによれば、声掛けのための音声出力装置の異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態にかかる声掛けシステムの全体構成を示した例示的かつ模式的な図である。
図2図2は、第1実施形態にかかる指向性スピーカを示した例示的かつ模式的な図である。
図3図3は、第1実施形態にかかる指向性スピーカと監視カメラとの位置関係を示した例示的かつ模式的な図である。
図4図4は、第1実施形態にかかるホスト装置の構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図5図5は、第1実施形態にかかる指向性スピーカの正常時に取得される撮像画像を示した例示的かつ模式的な図である。
図6図6は、第1実施形態にかかる指向性スピーカの異常時に取得される撮像画像の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図7図7は、第1実施形態にかかる指向性スピーカの異常時に取得される撮像画像の他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図8図8は、第1実施形態にかかるホスト装置が撮像画像を用いて指向性スピーカの異常を検出するために実行する一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
図9図9は、第2実施形態にかかる指向性スピーカと監視カメラとの位置関係を示した例示的かつ模式的な図である。
図10図10は、第2実施形態にかかるホスト装置の構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図11図11は、第2実施形態にかかるホスト装置が音声を用いて異常を検出するために実行する一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
図12図12は、第3実施形態にかかる指向性スピーカと監視カメラとの位置関係を示した例示的かつ模式的な図である。
図13図13は、第3実施形態にかかるホスト装置の構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図14図14は、第1~第3実施形態にかかるホスト装置を構成するコンピュータのハードウェア構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示のいくつかの実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0013】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態にかかる声掛けシステムの全体構成を示した例示的かつ模式的な図である。声掛けシステムは、本開示の「情報処理システム」の一例である。
【0014】
以下に説明するように、第1実施形態にかかる声掛けシステムは、たとえば、小売りの店舗内の所定の領域を撮像することで得られる画像データに基づいて、当該所定の領域内に存在する不審者を検出し、検出された不審者に対して所定の音声を出力するように構成されている。
【0015】
図1に示されるように、第1実施形態にかかる声掛けシステムは、ホスト装置100と、指向性スピーカ200と、中継装置300と、監視カメラ400と、を備えている。ホスト装置100、指向性スピーカ200、および監視カメラ400は、それぞれ、本開示の「情報処理装置」、「音声出力装置」、および「撮像装置」の一例である。図1に示される例では、簡単化のため、指向性スピーカ200および監視カメラ400がそれぞれ1つずつ設けられた構成が例示されているが、指向性スピーカ200および監視カメラ400は、複数設けられていてもよい。
【0016】
ホスト装置100は、たとえば店舗のバックヤードなどに設置され、指向性スピーカ200および監視カメラ400は、たとえば店舗の売り場などに設置される。ホスト装置100と指向性スピーカ200とは、中継装置300を介して互いに通信可能に接続されている。また、ホスト装置100と監視カメラ400とは、ホスト装置100と指向性スピーカ200との間の通信経路とは異なる通信経路で互いに通信可能に接続されている。
【0017】
監視カメラ400は、たとえばカラーの2次元画像データを撮像可能なエリアカメラ(エリア画像センサ)として構成されている。監視カメラ400は、たとえば店舗の売り場のような所定の領域の撮像を行い、当該撮像により得られた撮像画像をホスト装置100に送信する。
【0018】
指向性スピーカ200は、指向性を有する音声(音波、音声信号)を出力可能に構成されている。より具体的に、指向性スピーカ200は、ホスト装置100による所定の情報処理の結果、たとえば店舗の売り場のような所定の領域内に存在する不審者500の検出の結果に応じて、次の図2に示されるような態様で動作するように構成されている。
【0019】
図2は、第1実施形態にかかる指向性スピーカ200を示した例示的かつ模式的な図である。
【0020】
図2に示されるように、指向性スピーカ200は、たとえば店舗の売り場の天井の所定の場所(第1の場所)に固定的に設置される固定部210と、当該固定部210に対して移動可能に接続される可動部220と、当該可動部220に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部230と、を備えている。
【0021】
可動部220は、固定部210側に設けられる第1部分221と、出力部230側に設けられる第2部分222と、を有している。第1部分221は、水平方向に回動可能に構成されており(矢印A210参照)、第2部分222は、垂直方向に回動可能に構成されている(矢印A220参照)。これにより、指向性スピーカ200は、たとえば店舗の売り場のような所定の領域内の任意の位置または方向に向けて指向性を有する音声を出力することが可能である。
【0022】
なお、第1実施形態において、指向性スピーカ200の表面には、複数のマーカM201~M203が設けられている。マーカM201~M203は、たとえば指向性スピーカ200の表面に貼付されたシール、または指向性スピーカ200の表面に印刷された二次元模様などにより構成される。
【0023】
マーカM201は、可動部220の表面に設けられた第1のマーカである。また、マーカM202およびM203は、固定部210の表面に設けられた第2のマーカである。可動部220の表面に設けられたマーカM201と、固定部210の表面に設けられたマーカM202およびM203とは、異なる形状または模様を有している。なお、これらのマーカM201~M203の役割については後で説明するため、ここではこれ以上の説明を省略する。
【0024】
ところで、上記のような構成においては、音声を出力するための構成としての指向性スピーカ200に、たとえば固定部210の傾きおよび可動部220の作動不良などのような異常が発生した場合、適切な声掛けができなくなる。このため、指向性スピーカ200の異常の有無を適宜チェックすることが望まれる。
【0025】
そこで、第1実施形態では、指向性スピーカ200と監視カメラ400とが、次の図3に示されるような位置関係で設けられている。
【0026】
図3は、第1実施形態にかかる指向性スピーカ200と監視カメラ400との位置関係を示した例示的かつ模式的な図である。
【0027】
図3に示されるように、第1実施形態では、指向性スピーカ200と監視カメラ400とが、指向性スピーカ200が監視カメラ400の視野R300に入り込むような位置関係で設けられている。より具体的に、第1実施形態において、監視カメラ400は、監視カメラ400により取得される撮像画像に指向性スピーカ200のマーカM201~M203が写り込むように、指向性スピーカ200が設けられた第1の場所とは異なる第2の場所に設置されている。
【0028】
これにより、たとえば固定部210の天井への設置の外れおよび可動部220の作動不良などのような異常が発生した場合、当該異常に関する情報は、監視カメラ400により取得される撮像画像における指向性スピーカ200の写り込み方に表れることになる。そこで、第1実施形態にかかるホスト装置100は、次の図4に示されるような構成により、監視カメラ400により取得される撮像画像に基づいて指向性スピーカ200の異常を検出する。
【0029】
図4は、第1実施形態にかかるホスト装置100の構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0030】
図4に示されるように、第1実施形態にかかるホスト装置100は、画像取得部110と、不審者検出部120と、スピーカ制御部130と、異常検出部140と、を備えている。
【0031】
画像取得部110は、指向性スピーカ200が撮像された撮像画像を監視カメラ400から取得する。そして、不審者検出部120は、画像取得部110により取得された撮像画像に対して所定のAI(Artificial Intelligence)処理などを実行することで、撮像画像に不審者が写っているか否かを検出する。そして、スピーカ制御部130は、不審者検出部120により不審者が検出された場合に、当該不審者に向けて指向性スピーカ200から所定の音声が出力されるように、指向性スピーカ200を制御する。
【0032】
そして、異常検出部140は、固定部210の設置の外れおよび可動部220の作動不良などのような指向性スピーカ200の異常を検出する。より具体的に、異常検出部140は、まず、スピーカ制御部130を介して、指向性スピーカ200の可動部220が異常検出用に予め決められた位置(以下、所定の位置と表現する)に移動するように可動部220の制御を行う。そして、異常検出部140は、当該制御の完了後に画像取得部110により取得される撮像画像に写っている指向性スピーカ200の表面の特定の位置、より具体的にはマーカM201~M203の位置を示す情報を取得し、当該情報と、可動部220が所定の位置に正常に移動したときにおける撮像画像内のマーカM201~M203の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、指向性スピーカ200の異常を検出する。なお、図4では、当該予め設定された情報が、「正常時におけるマーカの位置」として図示されている。
【0033】
たとえば、図5は、第1実施形態にかかる指向性スピーカ200の正常時に取得される撮像画像を示した例示的かつ模式的な図である。
【0034】
図5に示される画像IM500は、可動部220が上記の所定の位置に正常に移動した指向性スピーカ200が写っている撮像画像を示している。この画像IM500には、商品502が並んだ商品棚501も正常な向きで写っている。第1実施形態では、この画像IM500内におけるマーカM201~M203の位置を示す情報が、上記の予め設定された情報として、指向性スピーカ200または監視カメラ400の設置時などに取得される。
【0035】
ここで、指向性スピーカ200が正常である限り、可動部220が所定の位置に移動するように可動部220の制御を行えば、当該制御の完了後に取得される撮像画像に写っているマーカM201~203の位置は、図5に示される例と整合するはずである。しかしながら、固定部210の設置の外れおよび可動部220の作動不良などのような指向性スピーカ200の異常が発生している場合、可動部220が所定の位置に移動するように可動部220の制御を行ったとしても、当該制御の完了後に取得される撮像画像に写っているマーカM201~203の位置は、図5に示される例とは整合しないことが想定される。そこで、第1実施形態において、異常検出部140は、撮像画像に表れるこのような違いに着目して、指向性スピーカ200の異常を検出する。
【0036】
たとえば、可動部220の作動不良が発生している場合、可動部220を所定の位置に移動させる制御の完了後に取得される撮像画像は、次の図6に示される例のようになることが想定される。
【0037】
図6は、第1実施形態にかかる指向性スピーカ200の異常時に取得される撮像画像の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0038】
図6に示される画像IM600は、可動部220の作動不良に起因して所定の位置に移動するように指示されても可動部220が所定の位置に正常に移動しなかった場合に取得される撮像画像を示している。この画像IM600には、マーカM201~M203が図5に示される例とはずれた位置に写っている。
【0039】
したがって、第1実施形態において、異常検出部140は、可動部220を所定の位置に移動させる制御の完了後に図6に示される画像IM600が取得された場合、指向性スピーカ200に異常が発生していると判定する。
【0040】
なお、指向性スピーカ200の異常の例としては、固定部210の天井への設置が外れた結果として指向性スピーカ200全体が傾いた場合も想定できる。この場合、可動部220を所定の位置に移動させる制御の完了後に取得される撮像画像は、次の図7に示される例のようになることが想定される。
【0041】
図7は、第1実施形態にかかる指向性スピーカ200の異常時に取得される撮像画像の他の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0042】
図7に示される画像IM700は、固定部210の天井への設置が外れた結果として指向性スピーカ200全体が傾いた場合に取得される撮像画像を示している。この画像IM700においても、図6に示される例と同様、マーカM201~M203が図5に示される例とはずれた位置に写っている。
【0043】
したがって、第1実施形態において、異常検出部140は、可動部220を所定の位置に移動させる制御の完了後に図7に示される画像IM700が取得された場合も、指向性スピーカ200に異常が発生していると判定する。
【0044】
なお、図示は省略するが、監視カメラ400の設置が外れた場合も、可動部220を所定の位置に移動させる制御の完了後に取得される撮像画像内におけるマーカM201~M203の位置は、図5に示される例とはずれることになる。したがって、より厳密に表現すれば、第1実施形態において検出される異常は、指向性スピーカ200および監視カメラ400のうち少なくとも一方の異常であると言える。しかしながら、簡単化のため、本開示においては、監視カメラ400の異常は発生しないことを前提とする。
【0045】
また、第1実施形態では、たとえば可動部220が上記の所定の位置から動かなくなったという異常が発生した結果、偶然に、撮像画像内におけるマーカM201~M203が図5に示される例と整合する場合も想定される。この場合、撮像画像内におけるマーカM201~M203の位置の比較を1回実行するだけでは、指向性スピーカ200の異常が検出されないことになる。
【0046】
そこで、第1実施形態では、指向性スピーカ200の正常時における撮像画像内のマーカM201~M203の位置に関して予め設定された情報が、可動部220が第1の位置に正常に移動した場合に対応する情報と、可動部220が第1の位置とは異なる第2の位置に正常に移動した場合に対応する情報と、の2種類存在しうる。この場合、異常検出部140は、まず、可動部220が第1の位置に移動するように可動部220の制御を行い、当該制御の完了時に取得される撮像画像に写っているマーカM201~M203の位置を示す情報と、可動部220が第1の位置に正常に移動した場合に対応する上記の予め設定された情報と、を比較する。そして、異常検出部140は、可動部220が第2の位置に移動するように可動部220の制御を行い、当該制御の完了時に取得される撮像画像に写っているマーカM201~M203の位置を示す情報と、可動部220が第2の位置に正常に移動した場合に対応する上記の予め設定された情報と、を比較する。そして、異常検出部140は、これら2回の比較の結果に基づいて、指向性スピーカ200の異常を確実に検出する。
【0047】
以上の構成に基づき、第1実施形態にかかるホスト装置100は、画像取得部110により取得される撮像画像を用いて、次の図8に示されるような一連の処理を実行することで、指向性スピーカ200の異常を検出する。
【0048】
図8は、第1実施形態にかかるホスト装置100が撮像画像を用いて指向性スピーカ200の異常を検出するために実行する一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
【0049】
図8に示されるように、第1実施形態では、まず、S801において、ホスト装置100の異常検出部140は、スピーカ制御部130を介して、指向性スピーカ200の可動部220が第1の位置に移動するように可動部220の制御を行う。
【0050】
そして、S802において、異常検出部140は、画像取得部110を介して、監視カメラ400から撮像画像を取得する。
【0051】
そして、S803において、異常検出部140は、S802で取得された撮像画像から全てのマーカM201~M203の位置を検出する。
【0052】
そして、S804において、異常検出部140は、固定部210に設けられたマーカM202およびM203の位置としてS803で検出された情報が、可動部220が第1の位置に正常に移動した場合における撮像画像内のマーカM202およびM203の位置に関して予め設定された情報と整合するか否かを判定する。
【0053】
S804において、マーカM202およびM203の位置としてS803で検出された情報が予め設定された情報と整合しないと判定された場合、固定部210に異常が発生していると判定することができる。したがって、この場合、S805に処理が進み、異常検出部140は、固定部210の異常を出力する。そして、処理が終了する。
【0054】
一方、S804において、マーカM202およびM203の位置としてS803で検出された情報が予め設定された情報と整合すると判定された場合、S806に処理が進む。そして、S806において、異常検出部140は、可動部220に設けられたマーカM201の位置としてS803で検出された情報が、可動部220が第1の位置に正常に移動した場合における撮像画像内のマーカM201の位置に関して予め設定された情報と整合するか否かを判定する。
【0055】
S806において、マーカM201の位置としてS803で検出された情報が予め設定された情報と整合しないと判定された場合、可動部220に異常が発生していると判定することができる。したがって、この場合、S807に処理が進み、異常検出部140は、可動部220の異常を出力する。そして、処理が終了する。
【0056】
一方、S806において、マーカM201の位置としてS803で検出された情報が予め設定された情報と整合すると判定された場合、S808に処理が進む。そして、S808において、異常検出部140は、スピーカ制御部130を介して、指向性スピーカ200の可動部220が上記の第1の位置とは異なる第2の位置に移動するように可動部220の制御を行う。
【0057】
そして、S809において、異常検出部140は、画像取得部110を介して、監視カメラ400から撮像画像を取得する。
【0058】
そして、S810おいて、異常検出部140は、S809で取得された撮像画像から全てのマーカM201~M203の位置を検出する。
【0059】
そして、S811において、異常検出部140は、固定部210に設けられたマーカM202およびM203の位置としてS810で検出された情報が、可動部220が第2の位置に正常に移動した場合における撮像画像内のマーカM202およびM203の位置に関して予め設定された情報と整合するか否かを判定する。
【0060】
S811において、マーカM202およびM203の位置としてS810で検出された情報が予め設定された情報と整合しないと判定された場合、固定部210に異常が発生していると判定することができる。したがって、この場合、上記のS805に処理が進み、異常検出部140は、固定部210の異常を出力する。そして、処理が終了する。
【0061】
一方、S811において、マーカM202およびM203の位置としてS810で検出された情報が予め設定された情報と整合すると判定された場合、S812に処理が進む。そして、S812において、異常検出部140は、可動部220に設けられたマーカM201の位置としてS810で検出された情報が、可動部220が第2の位置に正常に移動した場合における撮像画像内のマーカM201の位置に関して予め設定された情報と整合するか否かを判定する。
【0062】
S812において、マーカM201の位置としてS810で検出された情報が予め設定された情報と整合しないと判定された場合、可動部220に異常が発生していると判定することができる。したがって、この場合、上記のS807に処理が進み、異常検出部140は、可動部220の異常を出力する。そして、処理が終了する。
【0063】
一方、S812において、マーカM201の位置としてS810で検出された情報が予め設定された情報と整合すると判定された場合、指向性スピーカ200に異常が存在しないと判定することができる。したがって、この場合、上記のS805またはS807のような異常の出力が実行されることなく、そのまま処理が終了する。
【0064】
以上説明したように、第1実施形態にかかる声掛けシステムは、指向性スピーカ200と、監視カメラ400と、ホスト装置100と、を備えている。指向性スピーカ200は、第1の場所に固定的に設置される固定部210と、固定部210に対して移動可能に設けられる可動部220と、可動部220に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部230と、を含んでいる。監視カメラ400は、上記の第1の場所とは異なる第2の場所に設置され、指向性スピーカ200を撮像する。
【0065】
また、ホスト装置100は、画像取得部110と、異常検出部140と、を含んでいる。画像取得部110は、指向性スピーカ200が撮像された撮像画像を監視カメラ400から取得する。また、異常検出部140は、可動部220が所定の位置に移動するように可動部220の制御を行う。そして、異常検出部140は、当該可動部220の制御の完了後に画像取得部110により取得される撮像画像に写っている指向性スピーカ200の表面の特定の位置を示す情報と、可動部220が所定の位置に正常に移動したときにおける撮像画像内の特定の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、指向性スピーカ200の異常を検出する。このような構成によれば、声掛けのための指向性スピーカ200の異常を検出することができる。
【0066】
より具体的に、第1実施形態において、異常検出部140は、上記の特定の位置を示す情報として、可動部220の表面に設けられたマーカM201の位置を示す第1の情報を取得し、当該第1の情報と、可動部220が所定の位置に正常に移動したときにおけるマーカM201の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、指向性スピーカ200の異常を検出する。このような構成によれば、マーカM201を用いて、指向性スピーカ200のうち可動部220の異常を検出することができる。
【0067】
また、第1実施形態において、異常検出部140は、上記の特定の位置を示す情報として、固定部210の表面に設けられたマーカM202およびM203の位置を示す第2の情報を取得し、上記の第1の情報を用いた比較に先立って、第2の情報と、可動部220が所定の位置に正常に移動したときにおけるマーカM202およびM203の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、指向性スピーカ200の異常を検出する。このような構成によれば、マーカM202およびM203を用いて、指向性スピーカ200のうち可動部220の異常に先立って固定部210の異常を検出することができる。
【0068】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態は、指向性スピーカ200が写っている撮像画像のみを用いて異常を検出する例である。しかしながら、第2実施形態として、指向性スピーカ200が写っている撮像画像と指向性スピーカ200から出力される音声との両方を用いて異常を検出する例も考えられる。なお、第2実施形態では、前提として、監視カメラ400Aが、指向性スピーカ200から出力される音声を受信するマイクのようなハードウェアを備えているものとする。
【0069】
図9は、第2実施形態にかかる指向性スピーカ200と監視カメラ400Aとの位置関係を示した例示的かつ模式的な図である。
【0070】
図9に示されるように、第2実施形態では、指向性スピーカ200と監視カメラ400Aとが、指向性スピーカ200から出力される音声が届く範囲R900内に監視カメラ400Aが入り込むような位置関係で設けられている。また、第2実施形態では、上述した第1実施形態と同様に、指向性スピーカ200と監視カメラ400Aとが、指向性スピーカ200が監視カメラ400Aの視野R300(図9には不図示、図3参照)に入り込むような位置関係で設けられている。
【0071】
これにより、たとえば固定部210の天井への設置の外れおよび可動部220の作動不良などのような異常が発生した場合、当該異常に関する情報は、監視カメラ400Aの位置での指向性スピーカ200からの音声の聞こえ方と、監視カメラ400Aにより取得される撮像画像における指向性スピーカ200の写り込み方と、に表れることになる。そこで、第2実施形態は、次の図10に示されるような構成を有するホスト装置1000により、監視カメラ400Aにより取得される撮像画像および指向性スピーカ200からの音声の両方に基づいて、指向性スピーカ200の異常を検出可能に構成されている。
【0072】
図10は、第2実施形態にかかるホスト装置1000の構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0073】
図10に示されるように、第2実施形態にかかるホスト装置1000は、画像取得部1010と、音声取得部1020と、不審者検出部1030と、スピーカ制御部1040と、異常検出部1050と、を備えている。なお、画像取得部1010、不審者検出部1030、およびスピーカ制御部1040は、それぞれ、上述した第1実施形態(図4参照)にかかる画像取得部110、不審者検出部120、およびスピーカ制御部130と同様であるため、以下では音声取得部1020および異常検出部1050に絞って説明する。
【0074】
音声取得部1020は、監視カメラ400Aのマイク(不図示)が受信する音声を取得する。第2実施形態では、上記のように、指向性スピーカ200から出力される音声が届く範囲R900内に監視カメラ400Aが設けられているため、音声取得部1020は、監視カメラ400Aが受信する指向性スピーカ200からの音声を取得することができる。
【0075】
そして、異常検出部1050は、画像取得部1010により取得される撮像画像と、音声取得部1020により取得される音声と、の両方に基づいて、固定部210の設置の外れおよび可動部220の作動不良などのような指向性スピーカ200の異常を検出可能に構成されている。
【0076】
より具体的に、異常検出部1050は、まず、上述した第1実施形態と同様に、スピーカ制御部1040を介して、指向性スピーカ200の可動部220が所定の位置に移動するように可動部220の制御を行う。そして、異常検出部1050は、当該制御の完了後に画像取得部110により取得される撮像画像に写っている指向性スピーカ200のマーカM201~M203の位置を示す情報と、可動部220が所定の位置に正常に移動したときにおける撮像画像内のマーカM201~M203の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、指向性スピーカ200の異常を検出しうる。
【0077】
さらに、異常検出部1050は、スピーカ制御部1040を介して、可動部220を所定の位置に移動させる上記の制御とともに、出力部230に異常検出用に予め決められた音声(以下、所定の音声と表現する)を出力させる制御も行いうる。そして、異常検出部1050は、当該出力部230の制御の完了後に音声取得部1020により取得される所定の音声に関する情報と、可動部220が所定の位置に正常に移動したときに出力部230から監視カメラ400Aに届く所定の音声に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、指向性スピーカ200の異常を検出しうる。
【0078】
なお、図10では、可動部220が所定の位置に正常に移動したときにおける撮像画像内のマーカM201~M203の位置に関して予め設定された情報が、「正常時におけるマーカの位置」として図示されているとともに、可動部220が所定の位置に正常に移動したときに出力部230から監視カメラ400Aに届く所定の音声に関して予め設定された情報が、「正常時における音声」として図示されている。
【0079】
次に、第2実施形態にかかるホスト装置1000が実行する処理について説明する。撮像画像に基づいて異常を検出するための処理の流れについては上述した第1実施形態(図8参照)で既に説明したため、以下では、説明の便宜上、第2実施形態において実行される上述した第1実施形態とは異なる処理としての、音声に基づいて異常を検出するための処理に絞って説明する。
【0080】
図11は、第2実施形態にかかるホスト装置1000が音声を用いて異常を検出するために実行する一連の処理を示した例示的なフローチャートである。
【0081】
図11に示されるように、第2実施形態では、まず、S1101において、ホスト装置1000の異常検出部1050は、スピーカ制御部1040を介して、指向性スピーカ200の可動部220が所定の位置に移動するように可動部220の制御を行う。
【0082】
そして、S1102において、異常検出部1050は、スピーカ制御部1040を介して、指向性スピーカ200の出力部230が所定の音声を出力するように出力部230の制御を行う。
【0083】
そして、S1103において、異常検出部1050は、音声取得部1020を介して、監視カメラ400Aのマイク(不図示)により受信される指向性スピーカ200からの所定の音声を取得する。
【0084】
そして、S1104において、異常検出部1050は、S1103で取得された情報が、可動部220が所定の位置に正常に移動したときに出力部230から監視カメラ400Aに届く所定の音声に関して予め設定された情報と整合するか否かを判定する。
【0085】
S1104において、S1103で取得された情報が予め設定された情報と整合しないと判定された場合、指向性スピーカ200に異常が発生していると判定することができる。したがって、この場合、S1105に処理が進み、異常検出部1050は、異常を出力する。そして、処理が終了する。
【0086】
一方、S1104において、S1103で検出された情報が予め設定された情報と整合すると判定された場合、(少なくとも音声の観点では、)指向性スピーカ200に異常が発生していないと判定することができる。したがって、この場合、上記のS1105のような異常の出力が実行されることなく、そのまま処理が終了する。
【0087】
<第3実施形態>
上述した第2実施形態は、指向性スピーカ200が写っている撮像画像と、指向性スピーカ200から出力される音声と、の両方を用いて異常を検出可能な例である。しかしながら、第3実施形態として、指向性スピーカ200から出力される音声のみを用いて異常を検出する例も考えられる。このため、第3実施形態では、上述した第2実施形態と同様に、音声を受信するマイクのようなハードウェアを備えた監視カメラ400Aを用いる必要はあるが、上述した第2実施形態と異なり、マーカM201~M203(図9参照)を含まないより簡単な構成の指向性スピーカ200Aを用いることができる。以下では、簡単化のため、第3実施形態にかかる指向性スピーカ200Aの構成が、上述した第2実施形態にかかる指向性スピーカ200からマーカM201~M203を取り除いた構成に相当するものとして説明する。
【0088】
図12は、第3実施形態にかかる指向性スピーカ200Aと監視カメラ400Aとの位置関係を示した例示的かつ模式的な図である。
【0089】
図9に示されるように、第2実施形態では、指向性スピーカ200Aと監視カメラ400Aとが、指向性スピーカ200から出力される音声が届く範囲R1200内に監視カメラ400Aが入り込むような位置関係で設けられている。これにより、たとえば固定部210の天井への設置の外れおよび可動部220の作動不良などのような異常が発生した場合、当該異常に関する情報は、監視カメラ400Aの位置での指向性スピーカ200Aからの音声の聞こえ方に表れることになる。そこで、第3実施形態は、次の図13に示されるような構成を有するホスト装置1300により、監視カメラ400Aにより取得される指向性スピーカ200Aからの音声に基づいて、指向性スピーカ200Aの異常を検出するように構成されている。
【0090】
図13は、第3実施形態にかかるホスト装置1300の構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0091】
図13に示されるように、第3実施形態にかかるホスト装置1300は、画像取得部1310と、音声取得部1320と、不審者検出部1330と、スピーカ制御部1340と、異常検出部1350と、を備えている。なお、画像取得部1310、音声取得部1320、不審者検出部1330、およびスピーカ制御部1340は、それぞれ、上述した第2実施形態(図10参照)にかかる画像取得部1010、音声取得部1020、不審者検出部1030、およびスピーカ制御部1040と同様であるため、以下では異常検出部1350に絞って説明する。
【0092】
第3実施形態にかかる異常検出部1350は、上述した第2実施形態(図10参照)にかかる異常検出部1050から、画像取得部1010により取得される撮像画像を用いて異常を検出する機能を除いた構成に相当する。すなわち、異常検出部1350は、スピーカ制御部1340を介して、指向性スピーカ200Aの可動部220が異常検出用の所定の位置に移動するように可動部220の制御を行うとともに、指向性スピーカ200Aの出力部230が異常検出用の所定の音声を出力するように出力部230の制御を行う。そして、異常検出部1350は、当該出力部230の制御の完了後に音声取得部1320により取得される所定の音声に関する情報と、可動部220が所定の位置に正常に移動したときに出力部230から監視カメラ400Aに届く所定の音声に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、指向性スピーカ200の異常を検出する。
【0093】
なお、第3実施形態にかかるホスト装置1300が指向性スピーカ200Aの異常を検出するために実行する一連の処理の流れは、上述した第2実施形態と同様(図11参照)である。
【0094】
<ハードウェア構成>
最後に、上述した第1~第3実施形態にかかるホスト装置100、1000、および1300のハードウェア構成について説明する。ホスト装置100、1000、および1300は、たとえば次の図14に示されるようなハードウェア構成を有するコンピュータ1400として構成される。
【0095】
図14は、第1~第3実施形態にかかるホスト装置100、1000、および1300を構成するコンピュータ1400のハードウェア構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
【0096】
図14に示されるように、コンピュータ1400は、プロセッサ1410と、メモリ1420と、ストレージ1430と、入出力インターフェース(I/F)1440と、通信インターフェース(I/F)1450と、を備えている。これらのハードウェアは、バス1460に接続されている。
【0097】
プロセッサ1410は、たとえばCPU(Central Processing Unit)として構成され、コンピュータ1400の各部の動作を統括的に制御する。
【0098】
メモリ1420は、たとえばROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含み、プロセッサ1410により実行されるプログラムなどの各種のデータの揮発的または不揮発的な記憶、およびプロセッサ1410がプログラムを実行するための作業領域の提供などを実現する。
【0099】
ストレージ1430は、たとえばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)を含み、各種のデータを不揮発的に記憶する。
【0100】
入出力インターフェース1440は、たとえばキーボードおよびマウスなどのような入力装置(不図示)からコンピュータ1400へのデータの入力と、たとえばコンピュータ1400からディスプレイおよびスピーカなどのような出力装置(不図示)へのデータの出力と、を制御する。
【0101】
通信インターフェース1450は、コンピュータ1400が他の装置と通信を実行することを可能にする。
【0102】
実施形態において、第1実施形態にかかるホスト装置100が有する図4に示される構成(機能モジュール群)は、プロセッサ1410がメモリ1420またはストレージ1430などに記憶された情報処理プログラムを実行した結果として、ハードウェアとソフトウェアとの協働による機能モジュールとして実現される。ただし、第1実施形態では、図4に示される機能モジュール群のうち少なくとも一部が、専用のハードウェアのみによって実現されてもよい。第2実施形態にかかるホスト装置1000が有する図10に示される機能モジュール群と、第3実施形態にかかるホスト装置1300が有する図13に示される機能モジュール群と、についても同様のことが言える。
【0103】
なお、上述した情報処理プログラムは、必ずしもメモリ1420またはストレージ1430に予め記憶されている必要はない。たとえば、上述した情報処理プログラムは、フレキシブルディスク(FD)のような各種の磁気ディスク、またはDVD(Digital Versatile Disk)のような各種の光ディスクなどといった、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にインストール可能な形式または実行可能な形式で記録されたコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。
【0104】
また、上述した情報処理プログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布されてもよい。すなわち、上述した情報処理プログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納された状態で、ネットワーク経由でのダウンロードを受け付ける、といった形で提供されてもよい。
【0105】
以上、本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0106】
100、1000、1300 ホスト装置(情報処理装置)
110、1010 画像取得部
1020、1320 音声取得部
140、1050、1350 異常検出部
200、200A 指向性スピーカ(音声出力装置)
210 固定部
220 可動部
230 出力部
400、400A 監視カメラ(撮像装置)
M201 マーカ(第1のマーカ)
M202、M203 マーカ(第2のマーカ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2021-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の場所に固定的に設置される固定部と、前記固定部に対して移動可能に設けられる可動部と、前記可動部に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部と、を含む音声出力装置が撮像された撮像画像を前記第1の場所とは異なる第2の場所に設置された撮像装置から取得する画像取得部と、
前記可動部が所定の位置に移動するように前記可動部の制御を行い、当該可動部の制御の完了後に前記画像取得部により取得される前記撮像画像に写っている前記音声出力装置の表面の特定の位置を示す情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときにおける前記撮像画像内の前記特定の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する異常検出部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記異常検出部は、前記特定の位置を示す情報として、前記可動部の表面に設けられた第1のマーカの位置を示す第1の情報を取得し、当該第1の情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときにおける前記第1のマーカの位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記異常検出部は、前記特定の位置を示す情報として、前記固定部の表面に設けられた第2のマーカの位置を示す第2の情報を取得し、前記第1の情報を用いた比較に先立って、前記第2の情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときにおける前記第2のマーカの位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部から前記第2の場所に届く前記音声を取得する音声取得部をさらに備え、
前記異常検出部は、前記可動部が前記所定の位置に移動するように前記可動部の制御を行うとともに前記出力部が所定の音声を出力するように前記出力部の制御も行い、当該出力部の制御の完了後に前記音声取得部により取得される前記所定の音声に関する情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときに前記出力部から前記第2の場所に届く前記所定の音声に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する、
請求項1~3のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
第1の場所に固定的に設置される固定部と、前記固定部に対して移動可能に設けられる可動部と、前記可動部に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部と、を含む音声出力装置と、
前記第1の場所とは異なる第2の場所に設置され、前記音声出力装置を撮像する撮像装置と、
前記音声出力装置が撮像された撮像画像を前記撮像装置から取得する画像取得部と、前記可動部が所定の位置に移動するように前記可動部の制御を行い、当該可動部の制御の完了後に前記画像取得部により取得される前記撮像画像に写っている前記音声出力装置の表面の特定の位置を示す情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときにおける前記撮像画像内の前記特定の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する異常検出部と、を含む情報処理装置と、
を備える、情報処理システム。
【請求項6】
第1の場所に固定的に設置される固定部と、前記固定部に対して移動可能に設けられる可動部と、前記可動部に設けられ、指向性を有する音声を出力する出力部と、を含む音声出力装置が撮像された撮像画像を前記第1の場所とは異なる第2の場所に設置された撮像装置から取得する画像取得ステップと、
前記可動部が所定の位置に移動するように前記可動部の制御を行い、当該可動部の制御の完了後に前記画像取得ステップにより取得される前記撮像画像に写っている前記音声出力装置の表面の特定の位置を示す情報と、前記可動部が前記所定の位置に正常に移動したときにおける前記撮像画像内の前記特定の位置に関して予め設定された情報と、の比較に基づいて、前記音声出力装置の異常を検出する異常検出ステップと、
をコンピュータに実行させるための、情報処理プログラム。