(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068004
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】敷材
(51)【国際特許分類】
E01C 9/08 20060101AFI20220426BHJP
E01C 5/20 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
E01C9/08 A
E01C5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176904
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(71)【出願人】
【識別番号】595140136
【氏名又は名称】株式会社飯田産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中村 太郎
(72)【発明者】
【氏名】木村 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 英樹
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA08
2D051AG13
2D051AG15
2D051AH05
2D051DA02
2D051DA12
2D051DB03
2D051DB15
2D051DC09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】軽量性であり、地耐力を有し、かつ設置の容易性に優れた敷材を実現する敷材を提供する。
【解決手段】敷材(10)は、特定の発泡倍率である芯材(1)と、芯材(1)の両面に積層された、特定厚さの非発泡層(2a,2b)と、を有する敷材本体(4)を備え、敷材本体(4)は、複数の孔(4a)と、孔(4a)に嵌入したパイプ(3)と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡倍率が20倍以上60倍以下であるポリオレフィン系発泡樹脂からなる芯材と、
前記芯材の両面に積層された、厚さ1mm以上5mm以下であるポリオレフィン系樹脂からなる非発泡層と、を有する敷材本体を備え、
前記敷材本体は、
複数の孔と、
前記孔に嵌入した、熱可塑性樹脂からなるパイプと、を備えた、敷材。
【請求項2】
前記孔は、前記敷材本体の表面から裏面へ貫通するように形成されている、請求項1に記載の敷材。
【請求項3】
前記パイプは、前記敷材本体の表面全域にわたり、縦横に列設されていることを特徴とする請求項1または2に記載の敷材。
【請求項4】
前記パイプは、外径が30mm以上100mm以下の円筒形状である、請求項1~3の何れか1項に記載の敷材。
【請求項5】
前記敷材本体の表面積に占める前記孔の面積の比率は、1.8%以上20%以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の敷材。
【請求項6】
厚さが、100mm以上400mm以下であり、坪量が30Kg/m2未満である、請求項1~5の何れか1項に記載の敷材。
【請求項7】
前記芯材、前記非発泡層、および前記パイプは、ポリプロピレン系樹脂からなる、請求項1~6の何れか1項に記載の敷材。
【請求項8】
嵩上げ養生に使用される、請求項1~7の何れか1項に記載の敷材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷材に関し、特に建築現場等における嵩上げ養生に使用される敷材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築現場等で使用される養生敷設板は、鉄製のものが使用されている。これは、鉄製の養生敷設板は、何度でも利用することができ、クレーン等の重機(重量物)が載置しても、破損したり沈みこまないためである。
【0003】
しかし、鉄製の養生敷設板は、重量物(例えば、22mm厚×1,524mm幅×3,048mm長サイズで約800Kgの重量)である。このため、鉄製の養生敷設板では、(i)当該養生敷設板を搬送するトラックへの積載量が制限されること、(ii)一人では運搬作業ができない等の課題があった。
【0004】
これに対して、合成樹脂からなる養生積層板が提案されている。例えば、特許文献1には、FRP被覆積層板が開示されている。当該積層板は、多数のガラス長繊維と発泡樹脂とを素材とする成形体を備え、その成形体がガラス長繊維の方向が互いに異なるように積層された積層体となっている。そして、この積層体の外面にFRPが被覆されている。また、特許文献2に開示された養生敷設板は、中空構造の樹脂成形体からなる複数の長尺板状体を並列的に並べ、中空開口側の両側縁部において長尺板状体同士を相互に連結材により連結してなる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-262923号公報
【特許文献2】特開2006-340943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1および2に記載された養生積層板は、軽量性、地耐力、かつ設置の容易性の点で改善の余地がある。
【0007】
本発明の一態様は、軽量であり、地耐力を有し、かつ設置の容易性に優れた敷材を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る敷材は、発泡倍率が20倍以上60倍以下であるポリオレフィン系発泡樹脂からなる芯材と、前記芯材の両面に積層された、厚さ1mm以上5mm以下であるポリオレフィン系樹脂からなる非発泡層と、を有する敷材本体を備え、前記敷材本体は、複数の孔と、前記孔に嵌入した、熱可塑性樹脂からなるパイプと、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、軽量であり、地耐力を有し、かつ設置の容易性に優れた敷材を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係るに係る敷材の構成を示し、101は上面図であり、102は側面図であり、103は101のA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。また、本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る敷材10の構成を示す図である。
図1の101は上面図であり、
図1の102は側面図であり、
図1の103は
図1の101のA-A線断面図である。
【0013】
図1に示されるように、敷材10は、敷材本体4を備えている。この敷材本体4は、芯材1と、非発泡層2aおよび2bと、を有している。非発泡層2aおよび2bはそれぞれ、芯材1の表面および裏面(両面)に積層されている。芯材1は、発泡倍率が20倍以上60倍以下であるポリオレフィン系発泡樹脂からなる。また、非発泡層2aおよび2bは、ポリオレフィン系樹脂からなる。非発泡層2aおよび2bそれぞれは、厚さが1mm以上5mm以下である。ここで、芯材1に対して、非発泡層2a側を上側または表面側とし、非発泡層2b側を下側または裏面側とする。なお、
図1に示す敷材10において、敷材本体4の裏面を地面接触面とする。
【0014】
敷材本体4は、複数の孔4aと、熱可塑性樹脂からなるパイプ3と、を備えている。孔4aは、敷材本体4に形成されており、敷材本体4を貫通している。また、パイプ3は、孔4aに嵌入している。
【0015】
孔4aは、敷材本体4の地面接触面である裏面に対して垂直な方向に伸びている。敷材本体4が水平な地面に設置されている場合、孔4aは、鉛直方向に伸びている。ここでいう鉛直方向とは、重力の方向を意味する。また、ここでいう垂直な方向とは、当該方向の測定限界内で裏面に対して垂直を意図しており、裏面に対して90±10°の範囲内の方向である。
【0016】
ここで、敷材本体4は、芯材1の両面に非発泡層2aおよび2bが積層された構成であるので、例えば敷材本体4の表面上で重機が往来しても、敷材本体4の表面が損傷することがない。さらに、本実施形態に係る敷材10は、敷材本体4の孔4aにパイプ3が嵌入した構成となっているので、次の効果(i)および(ii)を奏する。すなわち、(i)敷材本体4に加えパイプ3にも重機または人による荷重がかかるので、敷材本体4に掛かる荷重が小さくなる。このため、上記荷重による敷材本体4の変形が抑制され、敷材10の耐圧縮性(地耐力)が向上する。(ii)孔4aおよびパイプ3によって敷材本体4に空洞部が形成されるため、敷材10の軽量化を実現できる。
【0017】
以上のように、本実施形態によれば、軽量化を保持しつつ地耐力が向上した高剛性の敷材10を実現することができる。さらに、このような効果を奏するので、本実施形態に係る敷材10は、地面への設置が容易になり、敷材10の取り回し作業が効率的になる。
【0018】
図1に示す構成では、孔4aは、敷材本体4を貫通している。しかし、孔4aは、敷材本体4を貫通した構成に限定されず、任意の構成を採用し得る。例えば、孔4aは、非発泡層2aから芯材1の途中まで伸びた有底孔、または非発泡層2bから芯材1の途中まで伸びた有底孔であってもよい。
【0019】
さらに、雨天時に建設現場では、敷材の表面に溜まった雨水による人や重機の滑り性が増し、作業効率が悪くなることがある。孔4aが敷材本体4を貫通している構成であれば、敷材本体4の表面に溜まった雨水がパイプ3を通って底面側へ流れるため、前記滑り性を緩和できるという副次的な効果を奏する。
【0020】
(芯材1)
芯材1を構成する材料は、発泡性を有するポリオレフィン系樹脂であれば、特に限定されない。当該ポリオレフィン系樹脂として、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂の単量体(以下、オレフィン系単量体と称する場合もある)の具体例として、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン-1、イソブテン、ペンテン-1、3-メチル-ブテン-1、ヘキセン-1、4-メチル-ペンテン-1、3,4-ジメチル-ブテン-1、ヘプテン-1、3-メチル-ヘキセン-1、オクテン-1、デセン-1などの炭素数2~12のα-オレフィンなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0021】
また、前記オレフィン系単量体と共重合性を有するその他の単量体としては、例えば、シクロペンテン、ノルボルネン、1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,8,8a,6-オクタヒドロナフタレンなどの環状オレフィン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、メチル-1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンなどのジエンなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのエチレンを主成分とするポリエチレン系樹脂、プロピレンを主成分とするポリプロピレン系樹脂が挙げられる。これらのポリオレフィン系樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
これらのポリオレフィン系樹脂の中でも、ポリプロピレンを主成分とするポリプロピレン系樹脂は、本実施形態に係る敷材10の芯材1において、特に有効である。前記ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレン単独共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体、プロピレン-ブテンランダム共重合体、エチレン-プロピレン-ブテンランダム共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、無水マレイン酸-プロピレンランダム共重合体、無水マレイン酸-プロピレンブロック共重合体、プロピレン-g-無水マレイン酸グラフト共重合体等が挙げられる。これらのポリプロピレン系樹脂は、それぞれ単独で用いられるか、あるいは混合して用いられる。
【0024】
また、芯材1は、上述した発泡性のポリオレフィン系樹脂からなる発泡粒子または予備発泡粒子を発泡成形して得られた発泡成形体である。
【0025】
例えば、芯材1がポリプロピレン系樹脂発泡成形体である場合、前記発泡粒子または前記予備発泡粒子の製造方法は、従来公知の方法を採用し得る。例えば、次の方法により発泡粒子または予備発泡粒子を製造することができる。まず、密閉容器内に、ポリプロピレン系樹脂粒子、発泡剤、分散剤および分散助剤を含む水系分散媒を仕込み、攪拌しながら一定温度(以下、発泡温度という場合がある)に昇温して前記樹脂粒子に発泡剤を含浸させる。次いで、必要に応じて発泡剤を追加添加して、密閉容器内を一定圧力(以下、発泡圧力という場合がある)に保持した後、密閉容器下部から、内容物を密閉容器内圧よりも低圧雰囲気下に放出する。ここで、使用する密閉容器は、特に限定されず、前記発泡粒子または前記予備発泡粒子の製造時における容器内圧力および容器内温度に耐えられるものであればよい。前記密閉容器として、例えば、オートクレーブ型の耐圧容器が挙げられる。
【0026】
前記発泡剤としては、プロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタン等の脂肪族炭化水素およびそれらの混合物;空気、窒素、二酸化炭素等の無機ガス;水などが挙げられる。より高発泡倍率の発泡粒子または予備発泡粒子を得るためには、発泡剤として、イソブタン、ノルマルブタンおよびそれらの混合物を用いることが好ましい。また、より低発泡倍率であり、かつ発泡倍率バラツキの小さい発泡粒子または予備発泡粒子を得るためには、発泡剤として、水を用いることが好ましい。
【0027】
また、発泡剤の使用量は、使用するポリプロピレン系樹脂の種類、発泡剤の種類、目的とする発泡倍率等により異なり、一概には規定できない。例えば、発泡剤の使用量は、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して、概ね2~60重量部の範囲である。
【0028】
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子(または予備発泡粒子)は、従来から知られている成形方法により、ポリプロピレン系樹脂発泡成形体にすることができる。ポリプロピレン系樹脂発泡成形体を成形するために、例えば、(イ)~(ハ)の方法を利用できる。(イ)発泡粒子または予備発泡粒子を無機ガスで加圧処理して当該粒子内に無機ガスを含浸させて当該粒子に所定の内圧を付与した後、金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、(ロ)ガス圧力により圧縮した状態で発泡粒子または予備発泡粒子を金型に充填し、当該粒子の回復力を利用して、水蒸気で加熱融着させる方法、(ハ)特に前処理することなく発泡粒子または予備発泡粒子を金型に充填し、水蒸気で加熱融着させる方法、などが挙げられる。
【0029】
また、上述の成形方法は、従来公知の金型装置を用いて行うことができる。金型装置を用いた成形方法は、金型装置の成形空間に発泡粒子または予備発泡粒子を充填する充填工程、前記成形空間に充填された発泡粒子または予備発泡粒子を加熱し発泡融着させる加熱工程、前記加熱工程により成形されたフォーム体を冷却する冷却工程、および前記フォーム体を金型装置から離型する離型工程の4工程からなる。前記充填工程および前記加熱工程は、例えば、前記(イ)~(ハ)の何れかの方法によって行われる。
【0030】
(孔4aが形成された敷材本体4の製造方法)
孔4aが形成された敷材本体4の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、当該製造方法は、孔4aが形成された芯材1を形成する穴あき芯材形成工程と、孔4aが形成された芯材1に非発泡層2aおよび2bを被覆する被覆工程と、を含む。
【0031】
(穴あき芯材形成工程)
前記穴あき芯材形成工程は、従来公知の方法を採用することができる。芯材1に孔4aを形成する方法としては、例えば、(a)型内成形により、予め孔4aが形成された芯材1の発泡成形体を得る方法、(b)型内成形によりブロック状の発泡体(芯材1)を得た後、当該発泡体に対して、ドリル刃等を用いて穴開け加工することによって孔4aを形成する二次加工方法、等が挙げられる。
【0032】
前記(a)の方法にて使用される型内発泡成形装置は、例えば、以下の構成である。
【0033】
前記型内発泡成形装置は、互いに対向配置されたキャビティ型(第1金型)およびコア型(第2金型)と、充填器と、減圧部と、圧縮空気供給部と、蒸気供給部と、を備えている。前記充填器は、前記キャビティ型と前記コア型との型閉じにより形成された成形空間内に、発泡粒子または予備発泡粒子を充填する。この充填器は、空気の流れに乗せて、発泡粒子または予備発泡粒子を前記成形空間へ移送する。前記減圧部は、前記成形空間を減圧する。前記圧縮空気供給部は、前記成形空間内へ圧縮空気を供給する。前記蒸気供給部は、前記成形空間内に蒸気を供給し、当該蒸気により、前記成形空間内に充填された発泡粒子または予備発泡粒子を加熱融着させる。そして、キャビティ型およびコア型のうち、キャビティ型には、発泡成形体を離型するためのエジェクタピンが設けられている。
【0034】
また、前記型内発泡成形装置では、前記成形空間内には、孔4aを成形するための孔成形部が設けられている。この孔成形部は、前記キャビティ型から突出して形成されている。このように孔成形部を活用することにより、金型の構造が複雑化することがない。
【0035】
また、前記型内発泡成形装置は、キャビティ型に対する発泡成形体の離型抵抗がコア型に対する発泡成形体の離型抵抗よりも大きくなるように構成されている。このため、キャビティ型およびコア型を開いたときに、エジェクタピンを有するキャビティ型側に発泡成形体を安定的に残すことができる。その結果、金型に対する発泡成形体の離型性が向上する。
【0036】
孔4aが形成された芯材1の型内成形は、前記孔成形部として、孔4aに適合する柱状の突起部をキャビティ型に設けることにより達成する。芯材1を貫通する孔4aを成形する場合、前記突起部をコア型まで伸びる(コア型に近接する)ように構成する。また、芯材1の途中まで伸びる孔4a(有底孔)を成形する場合、前記突起部の先端がコア型と離間するように前記突起部を構成する。
【0037】
芯材1を構成するポリオレフィン系発泡樹脂の発泡倍率は、20倍以上60倍以下であり、好ましくは25倍以上50倍以下であり、より好ましくは30倍以上40倍以下である。前記発泡倍率が前記数値範囲であれば、軽量性を維持しつつ、必要となる耐圧縮性(地耐力)を得ることができる。
【0038】
(被覆工程)
敷材10は、工事現場等で繰り返し使用される。このため、発泡成形体である孔4aが形成された芯材1に対して、両面を非発泡樹脂によって被覆し、非発泡層2aおよび2bを形成する必要がある(被覆工程)。
【0039】
孔4aが形成された芯材1に非発泡層2aおよび2bを被覆する方法は、特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。当該方法として、(a)特開2000-218682号公報に記載されているツインブロー成形方法、(b)非発泡樹脂フィルムを加熱して発泡成形体に積層し、当該積層体を圧着する方法、(c)非発泡樹脂と発泡成形体との間にホットメルトフィルムを介在させ、熱圧着する方法、等が例示される。これらの方法の中でも、生産性、非発泡樹脂の接着安定性の観点から、前記(a)のツインブロー成形方法が好ましい。
【0040】
ツインブロー成形方法は、次のようにして行われる。まず、樹脂押出ヘッドから押出した一対のシート状パリソンを分割金型間に配置する。この一対のシート状パリソンは、非発泡層2aおよび2bを構成する。次いで、分割金型のキャビティの面とシート状パリソンとの間の空間を真空吸引することにより、シート状パリソンをキャビティの面に密着させる。次いで、一対のシート状パリソンの間に発泡成形体を配置した後、分割金型を締めることにより、キャビティの周囲が互いに密着した状態にする。これにより、分割金型内の一対のシート状パリソンは、閉じた状態となる。そして、この閉じたシート状パリソンの内部に圧力流体を導入して、発泡成形体を内装した非発泡樹脂の中空成形品をブロー成形する。当該中空成形品は、孔4aが形成された芯材1の両面に非発泡層2aおよび2bが被覆した構成となる。
【0041】
上述のツインブロー成形方法を採用することによって、難接着性の発泡成形体に対して、効果的かつ効率的に非発泡樹脂を被覆複合化できる。
【0042】
なお、前記被覆工程の結果、芯材1に形成された孔4aにも非発泡層2aおよび2bが形成される。すなわち、孔4aが非発泡層2aおよび2bによって閉塞される。このような非発泡層2aおよび2bにおける孔4aの閉塞部分は、カッター、ドリル、パンチ等の切削刃によって除去される。これによって、非発泡層2aおよび2bにも孔4aを形成することができる。
【0043】
(非発泡層2aおよび2b)
非発泡層2aおよび2b(前記シート状パリソンに対応)の材料は、ポリオレフィン系樹脂であれば、特に限定されない。当該材料としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0044】
また、敷材本体4のリサイクル性を考慮すると、非発泡層2aおよび2bは、芯材1と同じ材質であることが好ましい。芯材1がポリプロピレンフォームから構成されている場合、非発泡層2aおよび2bは、芯材1と同材質であるポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。
【0045】
また、ツインブロー成形方法による非発泡層2aおよび2bの被覆を考慮すると、シート状パリソンとして好適なポリプロピレン系樹脂は、(i)ブロー成形加工時のドローダウン、ネックイン等により肉厚のばらつきが発生することを防止する観点から、溶解張力が高い材料を用いることが好ましい。その一方で、当該ポリプロピレン系樹脂は、(ii)分離金型への転写性および追随性を良好にするためには、流動性が高い材料を用いることが好ましい。前記(i)および(ii)を満たすポリプロピレン系樹脂は、例えば、230℃におけるメルトフローレート(MFR;JIS K-7210に準じて試験温度230℃、試験荷重2.16Kgにて測定)が、3.0g/10分以下、好ましくは0.3~1.5g/10分である材料である。
【0046】
また、シート状パリソンとして用いられるポリプロピレン系樹脂には、添加剤が含まれていてもよい。当該添加剤としては、シリカ、マイカ、タルク、炭酸カルシウム、ガラス繊維、カーボン繊維等の無機フィラー、可塑剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤、難燃剤、等が挙げられる。
【0047】
上述した添加剤のうち、例えば、シリカ、マイカ、ガラス繊維等は、ポリプロピレン系樹脂に対して、50重量%以下、好ましくは30重量%以上40重量%以下、添加されている。
【0048】
また、非発泡層2aおよび2bの厚さは、1mm以上5mm以下であり、1.5mm以上4mm以下が好ましく、1.5mm以上3mm以下が特に好ましい。当該厚さが1mm未満である場合、敷材本体4にクレーン等重機(重量物)が載置されたとき、非発泡層2aが重機のタイヤ旋回によるせん断に耐えうることができず、表面が凸凹状となり、敷材本体4の耐摩耗性が著しく低下する傾向にある。一方で、厚さが5mmを超えると、いたずらに敷材本体4の重量が増加し、軽量性が損なわれ、敷材10の持ち運びなどハンドリング性が低下する傾向にある。
【0049】
(敷材本体4の孔4aおよびパイプ3)
敷材本体4の孔4aには、熱可塑性樹脂からなるパイプ3が嵌入されている。パイプ3を構成する熱可塑性樹脂は、従来公知の樹脂であれば特に限定されない。当該熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。
【0050】
敷材10のリサイクル性を考慮すると、パイプ3は、芯材1、ならびに非発泡層2aおよび2bと同一系の素材で構成されていることが好ましい。芯材1、ならびに非発泡層2aおよび2bがポリプロピレン樹脂で構成されている場合、パイプ3はポリプロピレン系樹脂で構成されていることが好ましい。
【0051】
また、パイプ3の断面形状は、特に限定されず、例えば、円形、楕円形、正方形、長方形、菱形、三角形等が挙げられる。孔4aへの嵌入加工性を考慮すると、パイプ3の断面形状は、円形であることが好ましい。
【0052】
パイプ3の配置は、敷材本体4の表面全域にわたり、縦横に列設された配置であることが好ましい。このような配置をとることにより、敷材本体4に載置されるクレーン等重機の荷重(タイヤ位置を考慮した荷重)を均等に受けることができる。なお、
図1に示される構成では、パイプ3は、敷材本体4の全域にわたり、縦方向および横方向それぞれに、5ずつ、等間隔に列設されている。
【0053】
また、敷材本体4の一方の面の表面積に対して、パイプ3が嵌入された孔4aが占める面積の比率は、好ましくは1.8%以上20%以下である。
【0054】
前記面積の比率が1.8%未満である場合、パイプ3が嵌入された孔4a以外の箇所に重機が載置され得、敷材10は、圧縮変形して不陸等の不具合が生じる傾向がある。すなわち、アウトリガー等の重機の荷重に耐えることができず、敷材本体4は、芯材1の領域(パイプ3の嵌入箇所以外の領域)で厚さ方向に大きく圧縮変形し、敷材本体4が凹む。
【0055】
また、前記面積の比率が20%を超える場合、敷材本体4全体に対して、孔4aに嵌入されたパイプ3が占める割合が大きくなり、敷材10の軽量性が低下する傾向にある。このような傾向は、パイプ3の径を小さくし、孔4aの数を多くした場合にみられる。
【0056】
一方、前記面積の比率が20%を超え、かつ孔4aの径を大きくした場合、孔4aにアウトリガー等の重機が入り込み、敷材10は、不陸等の不具合が生じる傾向にある。このような傾向は、パイプ3の径を大きくし、孔4aの数を少なくした場合にみられる。
【0057】
パイプ3の厚さは、上述した効果を奏する限り、任意に設定し得る。アウトリガー等の重機による圧縮荷重およびタイヤ旋回によるせん断に耐え得る敷材10を実現するという観点では、パイプ3の厚さは、パイプ3の外径に対して8%以上の厚さであることが好ましい。
【0058】
パイプ3は、外径が30mm以上100mm以下の円筒形状であることが好ましい。
【0059】
敷材本体4の表面積に対する孔4aの面積の比率が最適の数値範囲(例えば1.8%以上20%以下)である場合について、考える。パイプ3の外径が30mm未満である場合、孔4aに嵌入するパイプ3の数が増加し、敷材10の重量が増加する。このため、敷材10の軽量性が低下し、敷材10のハンドリング性が悪化する傾向にある。また、パイプ3の外径が100mmを超える場合、孔4aに嵌入するパイプ3の数が減少し、パイプ3の嵌入箇所以外の領域の面積が増加する。このため、敷材10に重機を載置した際、敷材10は、圧縮変形しやすくなり、不陸等の不具合が生じ易い傾向にある。
【0060】
(敷材10の用途、敷材10の仕様)
本実施形態に係る敷材10の用途は、特に限定されないが、建設現場や工事現場での施工作業にて敷設される敷板として使用されることが好ましい。特に、前記施工作業の中でも、本実施形態に係る敷材10は、土間コンクリートの施工作業に使用されることが好ましい。
【0061】
一般的に、駐車場等の土間コンクリートは、地面、砕石層、およびコンクリート層がこの順に積層された3層構造である。荷重に耐えるため、前記コンクリート層には、「ワイヤーメッシュ」または「溶接金網」と呼ばれる鉄筋が埋設されている。
【0062】
前記土間コンクリートの施工作業は、次のようにして行われる。
【0063】
まず、(i)宅地造成時に、土間コンクリート施工箇所(例えば駐車場)において、周囲の高さと合わせるために、ショベルカーやシャベル等によって、表面の土を掘削する。土間コンクリートの施工深さの例は、砕石層が10cm、コンクリート層が10cmの合計20cmである。土間コンクリート施工現場では、通常、道路境界と同じ高さまで土が盛られている。このため、表面20cm分の土を削る必要がある。
【0064】
次いで、(ii’)コンクリート施工後の地面の沈下を防止するため、また、施工面を均一に平坦にするために、砕石を敷きつめる。そして、コンクリート施工のための重機の往来をしやすくするために、敷きつめた砕石の上に鉄板を敷設する。ここで、鉄板の真下にある砕石は、前記重機の往来により細かくなり、コンクリート施工後の地面沈下、あるいは施工面を均一に平坦にする上で、悪土となる。そこで、このような悪土の発生を考慮して、土間コンクリート施工箇所には、砕石は、砕石層の容積に加え、コンクリート層の容積分だけ余分に敷きつめられる。上述した施工深さの例に基づいて施工する場合、砕石は、砕石層10cm分の容積に加え、コンクリート層10cm分の容積だけ余分に敷きつめられる。
【0065】
続いて、(iii’)悪土となった前記コンクリート層の容積分の砕石を掘削する。そして、重いコンクリートが自重で沈み込まないように、基礎部分の下地として砕石を押し固め、砕石層を形成する。
【0066】
続いて、(iv)コンクリート施工する形状の型枠を設置する。そして、コンクリートの強度を向上させるためのワイヤーメッシュを設置後、コンクリートを流し込み、コンクリート表面を仕上げることによりコンクリート層を形成する。
【0067】
従来の土間コンクリートの施工方法では、前記(ii’)の工程にて、コンクリート層の容積分だけ余分に砕石が必要となる。そして、この砕石は前記(iii’)の工程にて除去され、産廃処理される。このため、従来の施工方法では、このような砕石の産廃処理が必要となり、施工手順が複雑化する上に、前記産廃処理に費用がかかるという問題がある。
【0068】
そこで、前記土間コンクリートの施工方法に対して、本実施形態に係る敷材10を使用すれば、砕石の産廃処理を必要としない。このため、土間コンクリートの施工手順を合理化できるとともに、施工費用を削減することができる。
【0069】
より具体的には、前記(ii’)の工程にて余分に必要であった、コンクリート層の容積分の砕石を本実施形態に係る敷材10に代替することにより、砕石の産廃処理を必要としない施工を実現できる。つまり、本実施形態に係る敷材10を用いた土間コンクリートの施工方法は、前記(ii’)および(iii’)の工程に替えて、以下の(ii)および(iii)の工程を含む。
【0070】
(ii)前記(i)の掘削した箇所に、砕石層の容積分の砕石を敷きつめる。次いで、そして、コンクリート施工のための重機の往来をしやすくするために、敷きつめた砕石の上に敷材10を敷設する。すなわち、敷きつめる砕石の、コンクリート層の容積分の嵩上げ養生のために本実施形態に係る敷材10を使用することができる。
【0071】
(iii)敷材10を除去した後、砕石を押し固め、基礎部分の下地としての砕石層を形成する。
【0072】
このように、コンクリート層の容積分の嵩上げ養生のために敷材10を使用することによって、宅地造成時から土間コンクリートの打設までの間、コンクリート打設のためのスペースを確保できる。このため、砕石掘削の手間を省くとともに、砕石(悪土)の産廃費用を削減できる。さらには、敷材10は、軽量性であり、かつ地耐力を有するので、敷材10上での人および重機の往来が容易となり、敷材10の取り回し作業(交換設置作業)が容易になる。さらには、工事期間中の敷材10でのぬかるみを防止できる。
【0073】
また、前記土間コンクリートの施工方法に敷材10を使用する場合、施工中、砕石を代替するとともにコンクリートを打設するスペースを確保するために、敷材10の厚さは、前記コンクリート層の厚さと同じであればよい。敷材10の厚さは、好ましくは100~400mmであり、より好ましくは150~200mmである。
【0074】
土間コンクリートの地耐力の強度を確保するためには、敷材10の厚さは、100mm以上必要である。一方、経済性を鑑み、不用意に使用するコンクリート量を削減する観点から、敷材10の厚さは、400mm以下であればよい。
【0075】
また、敷材10の幅および長さの寸法は、特に限定されない。取り扱い性および不使用時の保管スペースを考慮すると、敷材10の幅および長さの寸法は、1500mm角以下であることが好ましい。
【0076】
また、持ち運び等のハンドリング性を考慮すると、敷材10の秤量は、30Kg/m2未満であり、25Kg/m2未満が好ましく、18Kg/m2未満がより好ましい。また、敷材10の全体の重量は、25Kg未満が好ましく、15Kg未満がより好ましい。
【0077】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る敷材10は、発泡倍率が20倍以上60倍以下であるポリオレフィン系発泡樹脂からなる芯材1と、前記芯材1の両面に積層された、厚さ1mm以上5mm以下であるポリオレフィン系樹脂からなる非発泡層2a・2bと、を有する敷材本体4を備え、前記敷材本体4は、複数の孔4aと、前記孔4aに嵌入した、熱可塑性樹脂からなるパイプ3と、を備えた構成である。
【0078】
本発明の態様2に係る敷材10は、態様1において、前記孔4aは、前記敷材本体4の表面から裏面へ貫通するように形成されている構成である。
【0079】
本発明の態様3に係る敷材10は、態様1または2において、前記パイプ3は、前記敷材本体4の表面全域にわたり、縦横に列設されている構成である。
【0080】
本発明の態様4に係る敷材10は、態様1~3の何れかにおいて、前記パイプ3は、外径が30mm以上100mm以下の円筒形状である構成である。
【0081】
本発明の態様5に係る敷材10は、態様1~4の何れかにおいて、前記敷材本体4の表面積に占める前記孔の面積の比率は、1.8%以上20%以下である構成である。
【0082】
本発明の態様6に係る敷材10は、態様1~5の何れかにおいて、厚さが、100mm以上400mm以下であり、坪量が30Kg/m2未満である構成である。
【0083】
本発明の態様7に係る敷材10は、態様1~6の何れかにおいて、前記芯材1、前記非発泡層2a・2b、および前記パイプ3は、ポリプロピレン系樹脂からなる構成である。
【0084】
本発明の態様8に係る敷材10は、態様1~7の何れかにおいて、嵩上げ養生に使用される構成である。
【実施例0085】
以下、本発明の具体的な実施例及び比較例について、説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することができる。
【0086】
(評価項目)
敷材10の敷設養生材としての使用環境を想定して、以下の項目について、評価を実施した。
【0087】
1.アウトリガー荷重評価
(重機、および敷材10の条件)
重機の重量 13t、アウトリガー径 300mm径(4か所)、
敷材10のサイズ;1,000mm幅×1,000mm長×150mm厚
敷材10の設置場所;砂利が混在した土壌(実際の施工現場)。
【0088】
(評価方法)
アウトリガーで敷材10上の中央に前記重量の重機を載置し、10分経過後、荷重を取り除いた。そして、敷材10におけるアウトリガーによる荷重を受けた箇所の沈み込み部の復元量を測定した。
【0089】
(評価指標)
復元量が5mm未満:〇、復元量が5mm以上10mm未満:△、復元量が10mm以上:×。
【0090】
2.重機タイヤせん断評価
(重機、および敷材10の条件)
重機の重量 13t、タイヤのサイズ 275 / 80 R22.5 149 / 146J
敷材10のサイズ;1,000mm幅×1,000mm長×150mm厚
敷材10の設置場所;砂利が混在した土壌(実際の施工現場)。
【0091】
(評価方法)
敷材10上で、前記重量の重機のタイヤの切り返しを5回実施し、敷材10表面の擦り傷、打痕傷を目視評価した。
【0092】
(評価指標)
著しい傷なし:〇、深さ5mm未満の傷が発生:△、深さ5mm以上の傷が発生:×。
【0093】
3.敷材10の重量
持ち運び易さの指標として、敷材10の重量を評価した。
【0094】
(評価指標)
18Kg未満:〇、18Kg以上30Kg未満:△、30Kg以上:×。
【0095】
(実施例1)
芯材1として、次の構成を有するポリプロピレンフォーム成形体((株)カネカ製エペランRBS 30倍)を準備した。
【0096】
サイズ:1,000mm幅×1,000mm長さ×150mm厚み、発泡倍率:30倍、貫通孔(孔4a)の径:φ63.5mm、貫通孔の配置:ポリプロピレンフォーム成形体の四隅角部の内側100mm位置から、200mmピッチとなるように、面内25箇所に貫通孔を設けた。ポリプロピレンフォーム成形体の表面の面積に対する貫通孔の面積比率:7.9%。
【0097】
次いで、ツインブロー成形法によって、ポリプロピレンフォーム成形体の両面に2mm厚のポリプロピレン樹脂層(非発泡層2aおよび2b)を被覆した。その後、孔4aの部分に被覆形成されたポリプロピレン樹脂層を除去した。このようにして、面内25か所に貫通孔(孔4a)が設けられたポリプロピレン樹脂被覆ポリプロピレンフォーム成形体(孔4aが形成された敷材本体4)を得た。
【0098】
その後、25か所の貫通孔に対して、ポリプロピレン樹脂製のパイプ3を嵌入して、敷設養生敷板としての敷材10を得た。なお、パイプ3として、直径φ63mm、肉厚5.8mm、長さ150mmのパイプ(旭有機材工業(株)製、ASAHI AV)を使用した。
【0099】
この敷材10を用いて、アウトリガー荷重評価、重機タイヤせん断評価、敷板重量の評価を実施した。評価結果を、表1に示した。
【0100】
(実施例2)
芯材1の発泡倍率を50倍とした以外、実施例1と同様の方法で敷材10を得た。得られた敷材10について、アウトリガー荷重評価、重機タイヤせん断評価、敷板重量の評価を実施した。評価結果を、表1に示した。
【0101】
(実施例3)
芯材1に被覆するポリプロピレン樹脂層を4mm厚とした以外、実施例1と同様の方法で敷材10を得た。得られた敷材10について、アウトリガー荷重評価、重機タイヤせん断評価、敷板重量の評価を実施した。評価結果を、表1に示した。
【0102】
(実施例4)
芯材に設ける貫通孔の孔径をφ32.5mmとして、貫通孔25箇所を設けた。ポリプロピレンフォーム成形体の表面の面積に対する貫通孔の面積比率は2.1%である。
【0103】
また、貫通孔に嵌入するパイプ3の寸法を、直径32mm、肉厚3.0mm、長さ150mmとした。
【0104】
上記事項以外は、実施例1と同様の方法で敷材10を得た。得られた敷材10について、アウトリガー荷重評価、重機タイヤせん断評価、敷板重量の評価を実施した。評価結果を、表1に示した。
【0105】
(実施例5)
芯材に設ける貫通孔の孔径をφ90.5mmとし、貫通孔25箇所を設けた。ポリプロピレンフォーム成形体の表面の面積に対する貫通孔の面積比率は16.1%である。
【0106】
また、貫通孔に嵌入するパイプの寸法を直径90mm、肉厚8.2mm、長さ150mmとした。
【0107】
上記事項以外は、実施例1と同様の方法で敷材10を得た。得られた敷材10について、アウトリガー荷重評価、重機タイヤせん断評価、敷板重量の評価を実施した。評価結果を、表1に示した。
【0108】
(実施例6)
芯材に設ける貫通孔の孔径をφ63.5mmとし、ポリプロピレンフォーム成形体の四隅角部の内側50mm位置から、150mmピッチとなるように、面内49箇所に貫通孔を設けた。ポリプロピレンフォーム成形体の表面の面積に対する貫通孔の面積比率は15.5%である。
【0109】
この事項以外は、実施例1と同様の方法で敷材10を得た。得られた敷材10について、アウトリガー荷重評価、重機タイヤせん断評価、敷板重量の評価を実施した。評価結果を、表1に示した。
【0110】
(比較例1)
芯材1の発泡倍率を5倍とした以外、実施例1と同様の方法で敷材10を得た。得られた敷材10について、アウトリガー荷重評価、重機タイヤせん断評価、敷板重量の評価を実施した。評価結果を、表1に示した。
【0111】
(比較例2)
芯材1の発泡倍率を80倍とした以外、実施例1と同様の方法で敷材10を得た。得られた敷材10について、アウトリガー荷重評価、重機タイヤせん断評価、敷板重量の評価を実施した。評価結果を、表1に示した。
【0112】
(比較例3)
芯材1に被覆するポリプロピレン樹脂層を10mm厚とした以外、実施例1と同様の方法で敷材10を得た。得られた敷材10について、アウトリガー荷重評価、重機タイヤせん断評価、敷板重量の評価を実施した。評価結果を、表1に示した。
【0113】
(比較例4)
芯材1にポリプロピレン樹脂層を被覆しなかった以外、実施例1と同様の方法で敷材10を得た。得られた敷材10について、アウトリガー荷重評価、重機タイヤせん断評価、敷板重量の評価を実施した。評価結果を、表1に示した。
【0114】
(比較例5)
芯材1に貫通孔を設けず、パイプ3を嵌入しなかったこと以外、実施例1と同様の方法で敷材10を得た。得られた敷材10について、アウトリガー荷重評価、重機タイヤせん断評価、敷板重量の評価を実施した。評価結果を、表1に示した。
【0115】
(比較例6)
パイプ3を嵌入しなかったこと以外、実施例1と同様の方法で敷材10を得た。得られた敷材10について、アウトリガー荷重評価、重機タイヤせん断評価、敷板重量の評価を実施した。評価結果を、表1に示した。
【0116】