(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068016
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】移動体制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/00 20060101AFI20220426BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220426BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
G05D1/00 B
B64C27/08
B64C39/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020176929
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】519265251
【氏名又は名称】株式会社ジャパン・インフラ・ウェイマーク
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宗 秀哉
(72)【発明者】
【氏名】黒岩 賢司
(72)【発明者】
【氏名】松本 存史
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA04
5H301AA06
5H301BB10
5H301CC07
5H301DD06
5H301DD15
5H301FF11
5H301GG09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】複数の移動体を1人の操縦者により容易に操縦可能な技術を提供する。
【解決手段】送信機100は、操作部と、複数種類の制御信号のうち、操作部における操作内容に対応する制御信号を送信する送信部と、を備え、第1移動体200は、送信部により送信された制御信号が、当該第1移動体を制御する制御信号か否かを判定する第1信号判定部と、第1信号判定部により、当該第1移動体を制御する制御信号と判定された場合に、制御信号に対応する制御を行う第1制御部と、を備え、第2移動体200は、送信部により送信された制御信号が、当該第2移動体を制御する制御信号か否かを判定する第2信号判定部と、第2信号判定部により、当該第2移動体を制御する制御信号と判定された場合に、制御信号に対応する制御を行う第2制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1移動体と、第2移動体と、前記第1移動体および前記第2移動体を制御するための複数種類の制御信号を送信する送信機とを備えた移動体制御システムであって、
前記送信機は、
操作部と、
複数種類の制御信号のうち、前記操作部における操作内容に対応する制御信号を送信する送信部と、
を備え、
前記第1移動体は、
前記送信部により送信された制御信号が、当該第1移動体を制御する制御信号か否かを判定する第1信号判定部と、
前記第1信号判定部により、当該第1移動体を制御する制御信号と判定された場合に、制御信号に対応する制御を行う第1制御部と、
を備え、
前記第2移動体は、
前記送信部により送信された制御信号が、当該第2移動体を制御する制御信号か否かを判定する第2信号判定部と、
前記第2信号判定部により、当該第2移動体を制御する制御信号と判定された場合に、制御信号に対応する制御を行う第2制御部と、
を備えた移動体制御システム。
【請求項2】
前記第1移動体および前記第2移動体は、GPS通信部を備え、
前記第1移動体と前記第2移動体はテザーにより接続されており、
前記第2移動体が当該第2移動体が備えるGPS通信部を用いて位置情報を取得できない場合には、前記第1移動体が備えるGPS通信部を用いて取得された位置情報に基づき前記第2移動体の位置情報を取得する請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項3】
前記第1移動体は船舶型ドローンであり、前記第2移動体は飛行型ドローンであり、
前記制御信号には、上方向または下方向への移動を指示する信号、前進または後退を指示する信号、左方向または右方向への移動を指示する信号、および回転を指示する信号があり、
前記第1信号判定部は、前進または後退を指示する信号を当該第1移動体を制御する制御信号と判定し、
前記第2信号判定部は、上方向または下方向への移動を指示する信号、左方向または右方向への移動を指示する信号、および回転を指示する信号を当該第2移動体を制御する制御信号と判定する請求項1または請求項2に記載の移動体制御システム。
【請求項4】
前記第1移動体は船舶型ドローンであり、前記第2移動体は飛行型ドローンであり、
前記制御信号には、上方向または下方向への移動を指示する信号、前進または後退を指示する信号、左方向または右方向への移動を指示する信号、および回転を指示する信号があり、
前記第1信号判定部は、前進または後退を指示する信号、および回転を指示する信号を当該第1移動体を制御する制御信号と判定し、
前記第2信号判定部は、上方向または下方向への移動を指示する信号、左方向または右方向への移動を指示する信号、および回転を指示する信号を当該第2移動体を制御する制御信号と判定する請求項1または請求項2に記載の移動体制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体(飛行型ドローン、船舶型ドローンなど)を用いて建造物等の調査を行うことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛行型ドローンで調査を行う場合、橋梁下などは、GPS(Global Positioning System)信号を十分に受信することができず、移動体の位置を保持することが困難である。また、船舶型ドローンで調査を行う場合、高い位置から調査を行うことができない。
【0005】
さらに、例えば飛行型ドローンと船舶型ドローンの2つで同時に調査を行う場合、飛行型ドローンを操縦するための送信機と、船舶型ドローンを操縦するための送信機が必要となるため、操縦者が1人のみでは操縦が困難となる。
【0006】
このように、複数の移動体を同時に運用する場合、1人の操縦者による操縦は困難であった。
【0007】
上記事情に鑑み、本発明は、複数の移動体を1人の操縦者により容易に操縦可能な技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、第1移動体と、第2移動体と、前記第1移動体および前記第2移動体を制御するための複数種類の制御信号を送信する送信機とを備えた移動体制御システムであって、前記送信機は、操作部と、複数種類の制御信号のうち、前記操作部における操作内容に対応する制御信号を送信する送信部と、を備え、前記第1移動体は、前記送信部により送信された制御信号が、当該第1移動体を制御する制御信号か否かを判定する第1信号判定部と、前記第1信号判定部により、当該第1移動体を制御する制御信号と判定された場合に、制御信号に対応する制御を行う第1制御部と、を備え、前記第2移動体は、前記送信部により送信された制御信号が、当該第2移動体を制御する制御信号か否かを判定する第2信号判定部と、前記第2信号判定部により、当該第2移動体を制御する制御信号と判定された場合に、制御信号に対応する制御を行う第2制御部と、を備えた移動体制御システムである。
【0009】
本発明の一態様は、上記の移動体制御システムであって、前記第1移動体および前記第2移動体は、GPS通信部を備え、前記第1移動体と前記第2移動体はテザーにより接続されており、前記第2移動体が当該第2移動体が備えるGPS通信部を用いて位置情報を取得できない場合には、前記第1移動体が備えるGPS通信部を用いて取得された位置情報に基づき前記第2移動体の位置情報を取得する。
【0010】
本発明の一態様は、上記の移動体制御システムであって、前記第1移動体は船舶型ドローンであり、前記第2移動体は飛行型ドローンであり、前記制御信号には、上方向または下方向への移動を指示する信号、前進または後退を指示する信号、左方向または右方向への移動を指示する信号、および回転を指示する信号があり、前記第1信号判定部は、前進または後退を指示する信号を当該第1移動体を制御する制御信号と判定し、前記第2信号判定部は、上方向または下方向への移動を指示する信号、左方向または右方向への移動を指示する信号、および回転を指示する信号を当該第2移動体を制御する制御信号と判定する。
【0011】
本発明の一態様は、上記の移動体制御システムであって、前記第1移動体は船舶型ドローンであり、前記第2移動体は飛行型ドローンであり、前記制御信号には、上方向または下方向への移動を指示する信号、前進または後退を指示する信号、左方向または右方向への移動を指示する信号、および回転を指示する信号があり、前記第1信号判定部は、前進または後退を指示する信号、および回転を指示する信号を当該第1移動体を制御する制御信号と判定し、前記第2信号判定部は、上方向または下方向への移動を指示する信号、左方向または右方向への移動を指示する信号、および回転を指示する信号を当該第2移動体を制御する制御信号と判定する。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、複数の移動体を1人の操縦者により容易に操縦可能な技術を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態の移動体制御システム1000の概要を説明する説明図。
【
図2】送信機100の機能構成を表す機能ブロック図。
【
図3】制御信号と当該制御信号により制御されるドローンとの対応を示す図。
【
図4】飛行型ドローン200の機能構成を表す機能ブロック図。
【
図5】船舶型ドローン300の機能構成を表す機能ブロック図。
【
図6】送信機100がエレベータ信号を送信したときのドローンの動きを示す図。
【
図7】送信機100がエルロン信号を送信したときのドローンの動きを示す図。
【
図8】送信機100がスロットル信号を送信したときのドローンの動きを示す図。
【
図9】送信機100がラダー信号を送信したときのドローンの動きを示す図。
【
図10】飛行型ドローン200が制御信号を受信したときの処理の流れを示すフローチャート。
【
図11】船舶型ドローン300が制御信号を受信したときの処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、実施形態の移動体制御システム1000の概要を説明する説明図である。以下の説明では、移動体の一例として船舶型ドローンと飛行型ドローンが用いられる。なお、船舶型ドローンと飛行型ドローンとを特に区別しない場合には単にドローンと表現する。
【0015】
移動体制御システム1000は、送信機100、飛行型ドローン200、および船舶型ドローン300を含む。送信機100は、飛行型ドローン200、および船舶型ドローン300を制御するための制御信号を送信する。飛行型ドローン200、および船舶型ドローン300は、送信機100から送信された制御信号に応じた制御を行う。飛行型ドローン200と船舶型ドローン300は、テザー400により接続されている。船舶型ドローン300は、テザー400の長さを自在に変更できる。また、船舶型ドローン300は、テザー400を用いて飛行型ドローン200に電力を供給可能である。
【0016】
図2は、送信機100の機能構成を表す機能ブロック図である。送信機100は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、送信制御プログラムを実行することによって送信部110、操作部140、バッテリ150、および制御部120を備える装置として機能する。なお、送信部110、および制御部120の各機能の全てまたは一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。
【0017】
送信部110は、ドローンを制御するための制御信号を送信する。本実施形態では、制御信号として、上方向または下方向への移動を指示する信号(以下、「スロットル信号」とも表現する)、前進または後退を指示する信号(以下、「エレベータ信号」とも表現する)、左方向または右方向への移動を指示する信号(以下、「エルロン信号」とも表現する)、回転を指示する信号(以下、「ラダー信号」とも表現する)がある。なお、本明細書において、上方向または下方向を、単に上下方向と表現することがある。また、左方向または右方向を単に左右方向と表現することがある。
【0018】
図3は、本実施形態で用いられる制御信号と、当該制御信号により制御されるドローンとの対応を示す図である。
図3に示されるように、スロットル信号、およびエルロン信号は、飛行型ドローン200を制御する制御信号である。エレベータ信号は、船舶型ドローン300を制御する制御信号である。ラダー信号は、飛行型ドローン200、および船舶型ドローン300の両方を制御する制御信号である。
【0019】
したがって、送信機100がスロットル信号を送信すると、飛行型ドローン200は上下方向へ移動し、船舶型ドローン300はスロットル信号に対応する制御を行わない。送信機100がエルロン信号を送信すると、飛行型ドローン200は左右方向に移動し、船舶型ドローン300はエルロン信号に対応する制御を行わない。送信機100がエレベータ信号を送信すると、船舶型ドローン300は前進または後退し、飛行型ドローン200はエレベータ信号に対応する制御を行わない。送信機100がラダー信号を送信すると、飛行型ドローン200、および船舶型ドローン300は回転する。なお、船舶型ドローン300は、その場での回転はできないため、船舶型ドローン300の最小回転半径の円を描くように移動する。
【0020】
図2における操作部140は、飛行型ドローン200、および船舶型ドローン300を操縦するパイロットが操作するためのスティック、ボタン、およびスイッチなどで構成される。バッテリ150は、送信機100が動作するための電力を供給する。
【0021】
図2における制御部120は、送信機100の各部の動作を制御する。制御部120は、例えばCPU等のプロセッサ、およびRAMを備えた装置により実行される。制御部120は、送信制御プログラムを実行することによって、操作内容取得部121、および制御信号送信部122として機能する。
【0022】
操作内容取得部121は、操作部140において、パイロットによる操作内容を取得する。制御信号送信部122は、操作内容取得部121により取得された操作内容に対応する制御信号を送信部110により送信する。
【0023】
図4は、飛行型ドローン200の機能構成を表す機能ブロック図である。飛行型ドローン200は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、飛行型ドローンプログラムを実行することによって通信部210、制御部220を備える装置として機能する。なお、通信部210、および制御部220の各機能の全てまたは一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。飛行型ドローンプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。飛行型ドローンプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0024】
バッテリ260は、飛行型ドローン200の各部に電力を供給する。カメラ270は、全天球カメラであり、飛行型ドローン200の前後左右上下方向を撮影可能である。
【0025】
通信部210は、GPS(Global Positioning System)通信部211、および無線LAN(Local Area Network)通信部212で構成される。GPS通信部211は、GPS等の人工衛星から受信された電波を受信する。受信された電波により、飛行型ドローン200の位置が測定される。無線LAN通信部212は、無線LANにより船舶型ドローン300と近距離通信を行う。なお、他の通信手段として、LTE(Long Term Evolution)を用いて通信する構成を設けてもよい。
【0026】
図4におけるロータ250は、制御部220の制御に応じて、飛行型ドローン200を空中自在に飛行させるための揚力を発生させる動力部である。飛行型ドローン200が備えるロータ250の数は、飛行型ドローン200に要求される飛行性能等に応じて、3基、4基、6基、8基等の複数であってよい。
【0027】
ロータ250は、モータ251、およびブレード252を備える。モータ251は、例えばDCブラシレスモータである。モータ251の回転軸にはブレード252が取り付けられている。モータ251は、制御部220の制御に応じてブレード252を回転させる。ブレード252は回転することにより飛行型ドローン200に揚力を発生させる。ロータ250の駆動によって飛行型ドローン200を移動させる方法については公知であるため詳細な説明を省略する。
【0028】
図4における制御部220は飛行型ドローン200の各部の動作を制御する。制御部220は、例えばCPU等のプロセッサ、およびRAMを備えた装置により実行される。制御部220は、飛行型ドローンプログラムを実行することによって、飛行制御部221、信号判定部222、撮影制御部223、および位置取得部224として機能する。
【0029】
飛行制御部221は、上述した制御信号に従い、飛行型ドローン200の飛行に関する制御を行う。信号判定部222は、送信機100により送信された制御信号が、飛行型ドローン200を制御する制御信号か否かを判定する。具体的には、送信機100により送信された制御信号が、スロットル信号、エルロン信号、およびラダー信号のいずれかであるか否か判定する。撮影制御部223は、カメラ270を制御する。
【0030】
位置取得部224は、GPS通信部211により受信された電波に基づき、飛行型ドローン200の位置を取得する。例えば橋梁の下など、GPS等の人工衛星から受信された電波を受信できない場合、位置取得部224は、船舶型ドローン300と通信することで船舶型ドローン300の位置を取得し、取得した位置を飛行型ドローン200の位置として取得する。このように、飛行型ドローン200が当該飛行型ドローン200が備えるGPS通信部211を用いて位置情報を取得できない場合には、船舶型ドローン300が備えるGPS通信部311を用いて取得された位置情報に基づき飛行型ドローン200の位置情報を取得する。
【0031】
図5は、船舶型ドローン300の機能構成を表す機能ブロック図である。船舶型ドローン300は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、船舶型ドローンプログラムを実行することによって通信部310、制御部320を備える装置として機能する。なお、通信部310、および制御部320の各機能の全てまたは一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。船舶型ドローンプログラムは、上述したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。船舶型ドローンプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0032】
ドライブ・ラダーユニット350は、スクリューと舵を備えるとともに、制御部320の制御に応じてそれらを制御するユニットである。バッテリ360は、船舶型ドローン300の各部に電力を供給する。カメラ370は、船舶型ドローン300の前後左右上方向を撮影可能である。
【0033】
通信部310は、GPS(Global Positioning System)通信部311、および無線LAN(Local Area Network)通信部312で構成される。GPS通信部311は、GPS等の人工衛星から受信された電波を受信する。受信された電波により、船舶型ドローン300の位置が測定される。無線LAN通信部312は、無線LANにより飛行型ドローン200との近距離通信を行う。なお、他の通信手段として、LTEを用いて通信する構成を設けてもよい。
【0034】
図5における制御部320は船舶型ドローン300の各部の動作を制御する。制御部320は、例えばCPU等のプロセッサ、およびRAMを備えた装置により実行される。制御部320は、飛行型ドローンプログラムを実行することによって、移動制御部321、信号判定部322、撮影制御部323、位置取得部324、およびリール制御部325として機能する。
【0035】
移動制御部321は、上述した制御信号に従い、船舶型ドローン300の移動に関する制御を行う。信号判定部322は、送信機100により送信された制御信号が、船舶型ドローン300を制御する制御信号か否かを判定する。具体的には、送信機100により送信された制御信号が、エレベータ信号、およびラダー信号のいずれかであるか否か判定する。撮影制御部323は、カメラ370を制御する。
【0036】
位置取得部324は、GPS通信部311により受信された電波に基づき、船舶型ドローン300の位置を取得する。取得された位置は、上述したように飛行型ドローン200に提供可能である。リール制御部325は、テザー400の長さを制御する。したがって、例えば飛行型ドローン200において、揚力を飛行型ドローン200の重量より大きい状態でリール制御部325がテザー400を長くすると飛行型ドローン200は上昇し、リール制御部325がテザー400を短くすると飛行型ドローン200は下降する。
【0037】
図6、
図7、
図8、
図9は、送信機100が制御信号を送信したときのドローンの動きを示す図である。
図6は、送信機100がエレベータ信号を送信したときのドローンの動きを示す図である。
図6には、船舶型ドローン300を側面方向から見た図が示されている。エレベータ信号は船舶型ドローン300を制御する制御信号であるので、船舶型ドローン300は前進または後退する。船舶型ドローン300が前進または後退すると、テザー400で接続された飛行型ドローン200は、船舶型ドローン300とともに前進または後退する。
【0038】
図7は、送信機100がエルロン信号を送信したときのドローンの動きを示す図である。
図7には、船舶型ドローン300を上方向から見た図が示されている。エルロン信号は飛行型ドローン200を制御する制御信号であるので、飛行型ドローン200は左右方向に移動する。
【0039】
図8は、送信機100がスロットル信号を送信したときのドローンの動きを示す図である。
図8には、船舶型ドローン300を側面方向から見た図が示されている。スロットル信号は飛行型ドローン200を制御する制御信号であるので、飛行型ドローン200は上昇または下降する。
【0040】
図9は、送信機100がラダー信号を送信したときのドローンの動きを示す図である。
図9には、船舶型ドローン300を上方向から見た図が示されている。ラダー信号は飛行型ドローン200、および船舶型ドローン300を制御する制御信号であるので、飛行型ドローン200は左右方向に回転する。また船舶型ドローン300は、上述したように船舶型ドローン300の最小回転半径の円を描くように左右方向に回転する。
【0041】
図10は、飛行型ドローン200が制御信号を受信したときの処理の流れを示すフローチャートである。飛行型ドローン200は、制御信号を受信すると、制御信号がスロットル信号か否かを判定する(ステップS101)。スロットル信号を受信した場合には(ステップS101:YES)、飛行型ドローン200は、上下方向に移動し(ステップS102)、本処理を終了する。
【0042】
スロットル信号を受信していない場合には(ステップS101:NO)、飛行型ドローン200は、制御信号がエルロン信号か否かを判定する(ステップS103)。エルロン信号を受信した場合には(ステップS103:YES)、飛行型ドローン200は、左右方向に移動し(ステップS104)、本処理を終了する。
【0043】
エルロン信号を受信していない場合には(ステップS103:NO)、飛行型ドローン200は、制御信号がラダー信号か否かを判定する(ステップS105)。ラダー信号を受信した場合には(ステップS105:YES)、飛行型ドローン200は、左右方向に回転し(ステップS106)、本処理を終了する。
【0044】
ラダー信号を受信していない場合には(ステップS105:NO)、制御信号はエレベータ信号であるので、飛行型ドローン200は、何もせずに本処理を終了する。
【0045】
図11は、船舶型ドローン300が制御信号を受信したときの処理の流れを示すフローチャートである。船舶型ドローン300は、制御信号を受信すると、制御信号がエレベータ信号か否かを判定する(ステップS201)。エレベータ信号を受信した場合には(ステップS201:YES)、船舶型ドローン300は、前進または後退し(ステップS202)、本処理を終了する。
【0046】
エレベータ信号を受信していない場合には(ステップS201:NO)、船舶型ドローン300は、制御信号がラダー信号か否かを判定する(ステップS203)。ラダー信号を受信した場合には(ステップS203:YES)、船舶型ドローン300は、船舶型ドローン300の最小回転半径の円を描くように左右方向に回転し(ステップS204)、本処理を終了する。
【0047】
ラダー信号を受信していない場合には(ステップS203:NO)、制御信号はスロットル信号またはエルロン信号であるので、船舶型ドローン300は、何もせずに本処理を終了する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、飛行型ドローン200の水平方向の位置船舶型ドローン300からのテザー400によって制限される。これにより、飛行型ドローン200のGPS通信部211が電波を受信できない場合であっても、追加のセンサを具備することなく、船舶型ドローン300の位置を固定することで飛行型ドローン200の位置を固定することが可能となる。また、飛行型ドローン200は、船舶型ドローン300により位置を取得できる。
【0049】
さらに、点検や巡視を実施するポイントまで、船舶型ドローン300の動力により移動が可能となるため、飛行型ドローンのみの場合と比較して、長距離の移動が可能となる。また、船舶型ドローンのなかには、カメラを上方向に直線的に移動させる機構を設けているものもあるが、橋梁下など、比較的構造が複雑な建造物の場合には、カメラが入り込めるところは限られてしまう。そこで、本実施形態のように、飛行型ドローン200を用いることで、カメラの入り込める範囲が広くなるため、より多くの位置を撮影することができる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、ラダー信号は飛行型ドローン200、および船舶型ドローン300の両方を制御する制御信号としたが、飛行型ドローン200のみを制御する制御信号としてもよい。すなわち、船舶型ドローン300を制御する信号は、エレベータ信号のみとしてもよい。
【0051】
また、一般的に、複数のドローンを操縦するためには、それぞれ送信機が必要であるところ、本実施形態では、1つの送信機で送信可能な制御信号を2つのドローンに割り当てることで、1つの送信機で2つのドローンを操縦することができる。これにより、複数の移動体を1人の操縦者により容易に操縦可能となる。なお、移動体が3つ以上ある場合についても、送信機が例えばN(≧3)個の制御信号を送信可能であれば、N個の移動体を操縦可能である。
【0052】
移動体として、本実施形態では船舶型ドローンと飛行型ドローン200の組み合わせを例に説明したが、例えば車両型ドローンと飛行型ドローン200の組み合わせや、常に位置を取得可能な飛行型ドローンと本実施形態で説明した飛行型ドローン200の組み合わせにも適用することができる。
【0053】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0054】
100…送信機、110…送信部、120…制御部、121…操作内容取得部、122…制御信号送信部、140…操作部、150…バッテリ、200…飛行型ドローン、210…通信部、211…GPS通信部、212…無線LAN通信部、220…制御部、221…飛行制御部、222…信号判定部、223…撮影制御部、224…位置取得部、250…ロータ、251…モータ、252…ブレード、260…バッテリ、270…カメラ、300…船舶型ドローン、311…GPS通信部、312…無線LAN通信部、320…制御部、321…移動制御部、322…信号判定部、323…撮影制御部、324…位置取得部、325…リール制御部、350…ドライブ・ラダーユニット、360…バッテリ、370…カメラ、400…テザー、1000…移動体制御システム
【手続補正書】
【提出日】2021-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1移動体と、第2移動体と、前記第1移動体および前記第2移動体を制御するための複数種類の制御信号を送信する送信機とを備えた移動体制御システムであって、
前記送信機は、
操作部と、
複数種類の制御信号のうち、前記操作部における操作内容に対応する制御信号を送信する送信部と、
を備え、
前記第1移動体は、
前記送信部により送信された制御信号が、当該第1移動体を制御する制御信号か否かを判定する第1信号判定部と、
前記第1信号判定部により、当該第1移動体を制御する制御信号と判定された場合に、制御信号に対応する制御を行う第1制御部と、
を備え、
前記第2移動体は、
前記送信部により送信された制御信号が、当該第2移動体を制御する制御信号か否かを判定する第2信号判定部と、
前記第2信号判定部により、当該第2移動体を制御する制御信号と判定された場合に、制御信号に対応する制御を行う第2制御部と、
を備え、
前記第1移動体および前記第2移動体は、GPS通信部を備え、
前記第1移動体と前記第2移動体はテザーにより接続されており、
前記第2移動体が当該第2移動体が備えるGPS通信部を用いて位置情報を取得できない場合には、前記第1移動体が備えるGPS通信部を用いて取得された位置情報に基づき前記第2移動体の位置情報を取得する移動体制御システム。
【請求項2】
前記第1移動体は船舶型ドローンであり、前記第2移動体は飛行型ドローンであり、
前記制御信号には、上方向または下方向への移動を指示する信号、前進または後退を指示する信号、左方向または右方向への移動を指示する信号、および回転を指示する信号があり、
前記第1信号判定部は、前進または後退を指示する信号を当該第1移動体を制御する制御信号と判定し、
前記第2信号判定部は、上方向または下方向への移動を指示する信号、左方向または右方向への移動を指示する信号、および回転を指示する信号を当該第2移動体を制御する制御信号と判定する請求項1に記載の移動体制御システム。
【請求項3】
前記第1移動体は船舶型ドローンであり、前記第2移動体は飛行型ドローンであり、
前記制御信号には、上方向または下方向への移動を指示する信号、前進または後退を指示する信号、左方向または右方向への移動を指示する信号、および回転を指示する信号があり、
前記第1信号判定部は、前進または後退を指示する信号、および回転を指示する信号を当該第1移動体を制御する制御信号と判定し、
前記第2信号判定部は、上方向または下方向への移動を指示する信号、左方向または右方向への移動を指示する信号、および回転を指示する信号を当該第2移動体を制御する制御信号と判定する請求項1に記載の移動体制御システム。