(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068060
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】建築物内の配管構造及び施工方法
(51)【国際特許分類】
E03C 1/02 20060101AFI20220426BHJP
E03B 7/04 20060101ALI20220426BHJP
F16L 27/08 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
E03C1/02
E03B7/04
F16L27/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177003
(22)【出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】592123853
【氏名又は名称】株式会社昭和螺旋管製作所
(71)【出願人】
【識別番号】390006736
【氏名又は名称】株式会社日邦バルブ
(71)【出願人】
【識別番号】598007274
【氏名又は名称】ジャパン・エンヂニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002181
【氏名又は名称】特許業務法人IP-FOCUS
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小池 道広
(72)【発明者】
【氏名】丸山 晃市
(72)【発明者】
【氏名】南雲 一郎
(72)【発明者】
【氏名】菅原 正道
(72)【発明者】
【氏名】森山 知之
【テーマコード(参考)】
2D060
3H104
【Fターム(参考)】
2D060AA01
2D060AB03
2D060AC03
3H104JA04
3H104JB04
3H104JC09
3H104JD01
(57)【要約】
【課題】建築物内に設置される水道施設等の配管とその施工方法の改良を目的とし、仮に施工現場の配管等のレイアウトが設計図面や現場施工図と異なっていても、配管の加工が不要な配管構造とその施工方法を提供する。
【解決手段】建築物の縦管40に取り付けられる分岐部材10と、回転自在に取り付けられるアダプタ20と、機器41に接続される可撓管30とを備える。機器41の設置場所が設計図面と異なっていても、分岐部材10に対してアダプタ20を回転させ、可撓管30の取り回しを変えることにより、縦管40と機器41とを接続可能とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の内部に設置された設備配管と、前記建築物内に設置され前記設備配管に接続される機器とを接続する配管構造であって、
前記設備配管に設置される分岐部材と、前記分岐部材に接続可能な接続部材を有するアダプタと、可撓性を有し一端が前記アダプタに連結され他端が前記機器に接続可能な可撓管とを備え、
前記アダプタは前記設備配管の軸方向に対して所定の交差角で交差する回転軸を軸として回転可能に形成され、
前記可撓管は前記回転軸に対して所定の接続角で前記アダプタに接続されていることを特徴とする配管構造。
【請求項2】
請求項1に記載の配管構造であって、
前記可撓管は、前記アダプタに連結された状態で前記アダプタに対して自身の軸を中心に回転可能であることを特徴とする配管構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の配管構造であって、
前記設備配管が突合せ接続継手により接続され、前記分岐部材は、前記突合せ接続継手を回転させることにより前記設備配管の中心軸を中心に回転可能に形成されていることを特徴とする配管構造。
【請求項4】
建築物の内部に設置された設備配管と、前記建築物内に設置され前記設備配管に接続される機器とを接続する配管の施工方法であって、
前記設備配管に設置される分岐部材と、前記分岐部材に接続可能な接続部材を有するアダプタと、可撓性を有し一端が前記アダプタに連結され他端が前記機器に接続可能な可撓管とを用いるものであり、
前記アダプタは前記設備配管の軸方向に対して所定の交差角で交差する回転軸を軸として回転可能であり、
前記可撓管は前記回転軸に対して所定の接続角で前記アダプタに接続されており、
前記設備配管に前記分岐部材を取り付ける工程と、
前記分岐部材に前記アダプタを取り付ける工程と、
前記アダプタを回転させて前記接続部材と前記可撓管の他端との距離を調整すると共に、前記可撓管の他端と前記機器とを接続する工程とを備えることを特徴とする配管の施工方法。
【請求項5】
請求項4に記載の配管の施工方法であって、
前記可撓管は、前記アダプタに連結された状態で前記アダプタに対して自身の軸を中心に回転可能であり、
前記可撓管の他端と前記機器とを接続する工程において、前記可撓管を前記アダプタに対して回転させて接続することを特徴とする配管の施工方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の配管の施工方法であって、
前記設備配管が突合せ接続継手により接続され、前記分岐部材は前記突合せ接続継手を回転させることにより前記設備配管の中心軸を中心に回転可能であり、
前記可撓管の他端と前記機器とを接続する工程において、前記分岐部材を回転させることを特徴とする配管の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物内に設置される水道施設等の配管構造と、その施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マンション等や商業施設等の建築物では、水道配管等の設備配管が設置されている。当該設備配管として、2階建て以上の建築物において、複数の階を貫通する縦管が挙げられる。また、建築物の各階には、水道メータ等の機器が設けられ、縦管から機器に配管を接続するための施工工事が行われる。
【0003】
従来においては、この施工工事の際に、蛇腹形状のフレキシブル管と、フレキシブル管の両端に取り付けられるアダプタを施工現場に持ち込み、現場においてフレキシブル管を適度な長さに切断し、アダプタを取り付けることが行われていた。
【0004】
しかしながら、現場における作業では、フレキシブル管とアダプタとの取付の際に、加工ミス等から、配管からの漏れが生じるおそれがある。また、現場での作業は、現場の環境によっては作業員に負担がかかるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような現場作業における不都合を解消するために、設計図面や現場施工図等を基に、所定の長さの組み立て済みの配管を準備した上で、現場においては、縦管と配管のアダプタとを接続する作業のみを行うようにすることが考えられる。例えば、特許文献1においては、ワンルームマンション等に必要な機器を接続するためのユニットボックスを現場に設置して工期を短縮する施工方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、施工現場では、設計図面や現場施工図と実際の縦管や機器の配置が異なることも少なくない。前述の組み立て済みの配管は、予め設計図面や現場施工図上の長さよりも多少長めにしているが、配管の長さが足りなくなるおそれがある。逆に、設計図面や現場施工図よりも実際の配管の距離が短い場合、配管の取り回しが困難となるおそれがある。
【0008】
上記の点に鑑み、本発明は、建築物内に設置される水道施設等の配管とその施工方法の改良を目的とし、さらに詳しくは、仮に施工現場の配管等のレイアウトが設計図面や現場施工図と異なる場合であっても、配管の加工が不要な配管構造とその施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明の配管構造は、建築物の内部に設置された設備配管と、前記建築物内に設置され前記設備配管に接続される機器とを接続する配管構造であって、前記設備配管に設置される分岐部材と、前記分岐部材に接続可能な接続部材を有するアダプタと、可撓性を有し一端が前記アダプタに連結され他端が前記機器に接続可能な可撓管とを備え、前記アダプタは前記設備配管の軸方向に対して所定の交差角で交差する回転軸を軸として回転可能に形成され、前記可撓管は前記回転軸に対して所定の接続角で前記アダプタに接続されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の配管構造によれば、アダプタが分岐部材に対して回転軸を中心に回転可能に形成されているため、可撓管と機器との接続の際に、設計図面と比べて、実際の設備配管と機器との距離が異なる場合であっても、アダプタを回転させることにより可撓管の取り回しを変えることができるので、施工が容易になる。
【0011】
また、本発明の配管構造において、前記可撓管を前記アダプタに連結された状態で前記アダプタに対して自身の軸を中心に回転可能としてもよい。当該構成によれば、可撓管自身を回転することにより可撓管の取り回しを変えることができる。
【0012】
また、本発明の配管構造において、前記設備配管が突合せ接続継手により接続され、前記分岐部材は、前記突合せ接続継手を回転させることにより前記設備配管の中心軸を中心に回転可能に形成してもよい。当該構成によれば、分岐管を設備配管に対して回転させることにより、可撓管の取り回しを変えることができる。
【0013】
また、本発明の配管の施工方法は、建築物の内部に設置された設備配管と、前記建築物内に設置され前記設備配管に接続される機器とを接続する配管の施工方法であって、前記設備配管に設置される分岐部材と、前記分岐部材に接続可能な接続部材を有するアダプタと、可撓性を有し一端が前記アダプタに連結され他端が前記機器に接続可能な可撓管とを用いるものであり、前記アダプタは前記設備配管の軸方向に対して所定の交差角で交差する回転軸を軸として回転可能であり、前記可撓管は前記回転軸に対して所定の接続角で前記アダプタに接続されており、前記設備配管に前記分岐部材を取り付ける工程と、前記分岐部材に前記アダプタを取り付ける工程と、前記アダプタを回転させて前記接続部材と前記可撓管の他端との距離を調整すると共に、前記可撓管の他端と前記機器とを接続する工程とを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の配管の施工方法によれば、前記設備配管に前記分岐部材を取り付け、前記分岐部材に前記アダプタを取り付け、アダプタを回転させて接続部材記可撓管の他端との距離を調整すると共に、可撓管の他端と機器とを接続することにより、可撓管を変形させて可撓管の取り回しを変えることができる。当該施工方法によれば、可撓管と機器との接続の際に、設計図面と比べて、実際の設備配管と機器との距離が異なる場合であっても、容易に可撓管を機器に接続することができる。
【0015】
また、本発明の配管の施工方法において、前記可撓管は、前記アダプタに連結された状態で前記アダプタに対して自身の軸を中心に回転可能であり、前記可撓管の他端と前記機器とを接続する工程において、前記可撓管を前記アダプタに対して回転させて接続するようにしてもよい。当該施工方法によれば、可撓管自身を回転することにより可撓管の取り回しを変えて、機器に接続することができる。
【0016】
また、本発明の配管の施工方法において、前記設備配管が突合せ接続継手により接続され、前記分岐部材は前記突合せ接続継手を回転させることにより前記設備配管の中心軸を中心に回転可能であり、前記可撓管の他端と前記機器とを接続する工程において、前記分岐部材を回転させるようにしてもよい。当該施工方法によれば、分岐管を設備配管に対して回転させることにより、可撓管の取り回しを変えて、機器に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】建築物に設置された縦管(設備配管)及び機器と、本発明の実施形態である配管構造を示す説明図。
【
図3】本発明の第1の実施形態の配管構造及び施工方法を示す説明図。
【
図4】本発明の第2の実施形態の配管構造及び施工方法を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態である配管構造及び施工方法について
図1~
図4を参照して説明する。本発明の第1の実施形態の配管ユニット1(配管構造)は、
図1に示すように、建築物の内部に設けられた設備配管である縦管40に取り付けられる分岐部材10と、分岐部材10に回転自在に取り付けられるアダプタ20と、アダプタ20に予め接続され、機器41に接続される可撓管30とによって構成される。縦管40は、建築物の床42を貫通して設けられており、機器41は建築物の床42に固定されている。
【0019】
分岐部材10は、本実施形態ではいわゆるEF(エレクトロフュージョン)継手を使用しており、縦管40を水平方向に所定の長さ分だけ切断し、上下の切断面の間に挿入する形で取り付けられる。縦管40と分岐部材10の接続部分はEF継手内の電熱線による加熱溶融により接合されている。分岐部材10は、縦管40より大径の管本体11と、管本体11から側方に突出する分岐口12とから形成されている。
【0020】
アダプタ20は、接続部材21によって分岐部材10の分岐口12に回転自在に取り付けられる。本実施形態では、接続部材21とエルボ22を完全に締め付けていない状態で回転自在となっている。接続部材21とエルボ22を完全に締め付けた場合は、分岐口12に対するエルボ22の位置が固定される。
【0021】
このアダプタ20の回転は、回転軸20aを軸にして行われる。本実施形態では、回転軸20aは、縦管40の中心軸40aに対して約90度の交差角で交差するよう設計されている。この交差角の標準値は90度であり、必要に応じて80度~110度程度の角度とすることができる。
【0022】
アダプタ20の接続部材21には、エルボ22が取り付けられている。
図2に示すように、エルボ22の上流側(縦管40側)は、接続部材21と筒状の分岐口12との間に保持されており、エルボ22上流側の先端部にはパッキン23が設けられ、その他ロックリング、及び座金等が設けられている。当該構成により、エルボ22は、接続部材21を仮固定した状態で分岐口12に対して回転可能となっている。
【0023】
一方で、エルボ22の下流側(可撓管30側)には可撓管30の一端30bが、可撓管30自身の中心軸30aを中心として回転自在に取り付けられている。このエルボ22は、流体の流路が90度となるように形成されている。従って、可撓管30の中心軸30aは、アダプタ20の回転軸20aに対して90度の接続角となるように設けられている。この接続角は、交差角と同様、必要に応じて80度~110度程度の角度とすることができる。
【0024】
可撓管30は、可撓性を有するフレキシブルホース31と、このフレキシブルホース31の両端に設けられたスリーブ32とを備えている。スリーブ32とエルボ22の下流側の内周面との間にはOリング33が装着されている。また、可撓管30の一端30bは、スリーブ32がエルボ22に挿入された状態で、ストップリング34によって位置決めされている。
【0025】
可撓管30の他端30cは、
図1に示すように、機器41の接続部材43に接続されており、
図2に示す可撓管30の一端30bと同様に、機器41の接続部材43に対して回転自在に取り付けられている。可撓管30のフレキシブルホース31と上流及び下流のスリーブ32は、互いに溶接により接続されている。
【0026】
次に、本発明の施工方法について、
図3を参照して説明する。第1の実施形態の施工方法は、
図1~
図3に示す配管ユニット1を用いて配管の施工を行う方法である。
図3において実線で表された機器41が設計図面や現場施工図通りに設置された状態を示しており、点線で表された機器41が設計図面や現場施工図と異なる位置に設置された状態を示している。
【0027】
配管ユニット1は、設計図面における分岐部材10から機器41までの好適な経路に設置した状態で、可撓管30が若干長くなるるように、予め多少の余裕を持った長さに設計されている。この余裕による若干長い分の可撓管30は、エルボ22の回転角度と可撓管30の曲げ位置により長さを調整することができる。
【0028】
本発明の施工方法においては、作業者は、まず縦管40に分岐部材10を取り付ける工程を行う。この分岐部材10の取付工程は、本実施形態では、縦管40を水平方向に二箇所で切断し、切断された部分に分岐部材10を装着することにより行う。本実施形態では、分岐部材10の分岐口12は、縦管40に対して回転しない構成のため、分岐部材10を取り付ける際は、設計図面や現場施工図に従って分岐口12の方向を位置決めする。この分岐部材10の取付は、縦管40を建築物に設置する際に予め行っておいてもよい。
【0029】
次に、作業者は、分岐部材10にアダプタ20を取り付ける工程を行う。具体的には、分岐部材10の分岐口12にアダプタ20の接続部材21を取り付ける。本実施形態では、分岐部材10の分岐口12にアダプタ20を仮固定した状態において、エルボ22がアダプタ20の接続部材21に対して回転軸20aを中心として回転可能となっている。
【0030】
次に、作業者は、予め固定されている機器41の接続部材43に、可撓管30の他端30cを接続する工程を行う。このとき、アダプタ20のエルボ22を回転させると共に、可撓管30を変形させることにより、可撓管30の他端30cが機器41の接続部材43に接続可能となるように位置決めを行った後、接続部材21を締めて固定する。
【0031】
機器41が設計図面や現場施工図通りに設置されている場合は、
図3において右側に示す可撓管30のように、アダプタ20と機器41の接続部材43との間をほぼ直線状に連結する。このように、機器41が設計図面通りに設置されている場合は、可撓管30の取り回しをシンプルなものとすることができる。
【0032】
一方で、機器41が設計図面や現場施工図通りに設置されていない場合は、例えば、
図3において左側に示す可撓管30のように、アダプタ20を分岐部材10に対して回転させ、アダプタ20と機器41の接続部材43との間の可撓管30を湾曲させる等、可撓管30の取り回しを変えて、アダプタ20と機器41の接続部材43との間の距離の変化に対応させることができる。尚、アダプタ20の回転角度と可撓管30の形状は、施工現場で対応可能な形状であれば、任意に変更することができる。
【0033】
なお、縦管40に、
図1に示す周知の突合せ接続継手44が設けられている場合は、分岐部材10の分岐口12を縦管40に対して回転させてもよい。突合せ接続継手44は、上下の縦管40の端部に、鍔部44aを有する端部接合部44bをバット溶着部44cにより固定し、鍔部40aに嵌合する形状を備えた2分割のアーチ状のハウジング継手44dにより上下の縦管40を連結するものである。
【0034】
突合せ接続継手44は、上下の端部接合部44bの境界部分に、パッキン44eを装着し、一対のハウジング継手44dを組み合わせてボルト・ナット等の締結部材44fによってハウジング継手44dを締結することにより装着される。当該突合せ接続継手44により、アダプタ20と機器41の接続部材43との間の可撓管30の取り回しに、さらに自由度が加わるため好ましい。
【0035】
次に、本発明の第2の実施形態について、
図4を参照して説明する。
図4において実線で表された機器41が設計図面や現場施工図通りに設置された状態を示しており、点線で表された機器41が設計図面と異なる位置に設置された状態を示している。
【0036】
第2の実施形態の配管ユニット1a(配管構造)は、分岐部材15の分岐口17が縦管40の中心軸40aを中心に回転可能となっている点が上記第1の実施形態と異なっている。その他の点は、上記第1の実施形態と同様の構成であるため、同一の構成に同一の符号を付すことにより詳細な説明は省略する。
【0037】
分岐部材15は、外観は
図2の分岐部材10とほぼ同様であるが、内部において、管本体16の内周面と縦管40の外周面との間にOリング(図示省略)を設け、管本体16を縦管40に対して液密となるように形成している。
【0038】
第2の実施形態の施工方法においては、作業者は、まず縦管40に分岐部材15を取り付ける工程を行う。本実施形態では、分岐部材15の分岐口17は、縦管40に対して回転するため、分岐部材10を取り付ける際は、分岐口17を任意の位置にすることができる。
【0039】
次に、作業者は、分岐部材15にアダプタ20を取り付ける工程を行う。具体的には、分岐部材15の分岐口17にアダプタ20の接続部材21を取り付ける。本実施形態では、分岐部材15の分岐口17にアダプタ20を仮固定した状態において、エルボ22がアダプタ20の接続部材21に対して回転軸20aを中心として回転可能となっている。
【0040】
次に、作業者は、予め固定されている機器41の接続部材43に、可撓管30の他端30cを接続する。このとき、分岐部材15の分岐口17を縦管40に対して回転させて、分岐口17が
図4の実線の位置となるように位置決めを行う。さらに、必要に応じてアダプタ20のエルボ22を回転させ、可撓管30を変形させることにより、可撓管30の他端30cと機器41の接続部材43の位置決めを行う。
【0041】
機器41が設計図面や現場施工図通りに設置されている場合は、
図4において上側の可撓管30のように、アダプタ20と機器41の接続部材43との間で湾曲変形させて連結する。このように、機器41が設計図面や現場施工図通りに設置されている場合は、可撓管30の取り回しをシンプルなものとすることができる。
【0042】
一方で、
図4において下側の機器41のように、設計図面や現場施工図通りに設置されていない場合は、分岐部材15の分岐口17を縦管40に対して回転させ、分岐口17が
図4の点線の位置となるように位置決めを行う。さらに、必要に応じてアダプタ20のエルボ22を回転させ、可撓管30を変形させることにより、可撓管30の他端30cと機器41の接続部材43の位置決めを行い、両者を接続する。
【0043】
第2の実施形態の施工方法によれば、分岐部材15の分岐口17を縦管40に対して回転させることにより、機器41の固定位置の変化に対して柔軟に対応することができる。また、必要に応じて、アダプタ20を分岐部材15に対して回転させ、アダプタ20と機器41の接続部材43との間の可撓管30の湾曲具合を変更する等、可撓管30の取り回しを変えて、アダプタ20と機器41の接続部材43との間の距離の変化に対応させることができる。この場合も、分岐口17の方向、アダプタ20の回転角度、及び可撓管30の形状は、施工現場で対応可能な形状であれば、任意に変更することができる。
【0044】
尚、上記実施形態においては、設備配管として水道設備の縦管を例にしているが、これに限らず、消火設備(スプリンクラー等)の配管にも適用することができる。また、上記実施形態では、縦管40を切断して分岐部材10を取り付けているが、これに限らず、縦管40の側面に孔を開けて、その孔に分岐部材10の分岐口12を取り付けてもよい。
【0045】
また、上記実施形態において、分岐部材10にEF継手を用いているが、これに限らず、周知のスピゴット継手(SP継手)を用いて接合してもよい。その他、分岐部材10には、公知の他の継手を用いてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1,1a…配管ユニット、10,15…分岐部材、11,16…管本体、12,17…分岐口、20…アダプタ、20a…回転軸、21…接続部材、22…エルボ、23…パッキン、30…可撓管、30a…中心軸、30b…一端、30c…他端、31…フレキシブルホース、32…スリーブ、33…Oリング、34…ストップリング、40…縦管(設備配管)、40a…中心軸、41…機器、42…床、43…接続部材、44…突合せ接続継手。