(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068087
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】自律及び半自律運転アプリケーションのための乗員注意力及び認知負荷監視
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20220426BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20220426BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20220426BHJP
【FI】
G08G1/16 F
B60W60/00
B60W40/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021082051
(22)【出願日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】17/076,690
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】501450960
【氏名又は名称】エヌビディア コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヌリ ムラット アラール
(72)【発明者】
【氏名】ニランジャン アヴァダーンナム
(72)【発明者】
【氏名】ユーチュオ レン
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA70
3D241CE08
3D241DC33Z
3D241DD04Z
3D241DD07Z
5H181AA01
5H181BB20
5H181CC02
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181EE02
5H181FF04
5H181FF05
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL06
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】自律及び半自律運転アプリケーションのための乗員注意力及び認知負荷監視を提供する。
【解決手段】様々な実例において、ユーザの推定された視界又は注視情報が、車両の外部に投影され、車両の外の環境に対応する車両知覚情報と比較され得る。結果として、車両の運転者又は乗員の内部監視が、運転者又は乗員はある種の物体タイプ、環境条件、又は車両の外部の他の情報を処理した又は見たかどうかを判定するために使用され得る。ユーザの状態のより全体的理解のために、ユーザの注意力及び/又は認知負荷が、1つ又は複数のアクションが取られるべきかどうかを決定するために、監視され得る。結果として、通知、AEBシステム起動、及び/又は他のアクションが、認知負荷、注意力、及び/又は、車両の外部知覚とユーザの推定される知覚との比較に基づいて判定されるものとしてのユーザのより完全な状態に基づいて、判定され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の1つ又は複数の第1のセンサを使用して生成される第1のセンサ・データに少なくとも部分的に基づいて、乗員の注視方向を判定するステップと、
前記注視方向の表現を、世界空間座標系において生成するステップと、
前記世界座標系において及び前記車両の1つ又は複数の第2のセンサを使用して生成される第2のセンサ・データに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの物体の物体位置を判定するステップと、
前記注視方向の前記表現を前記物体位置と比較するステップと、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて1つ又は複数の動作を実行するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数の動作を前記実行するステップが、
前記表現が閾値量よりも多く前記物体位置と重複するとき、通知を抑制すること、又は、
前記表現が前記閾値量よりも多く前記物体位置と重複しないとき、前記通知を生成すること
のうちの1つを実行するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数の第1のセンサが、前記車両の内部の前記乗員の視界を有する少なくとも1つの第1のセンサを含み、前記1つ又は複数の第2のセンサが、前記車両の外部の視界を有する少なくとも1つの第2のセンサを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記車両の前記乗員の眼球運動を監視して注視パターン、サッカード・ベロシティ、凝視、又は円滑性追跡のうちの1つ又は複数を判定するステップと、
前記乗員の注意力スコアを、前記注視パターン、前記サッカード・ベロシティ、前記凝視ビヘイビア、又は前記円滑性追跡ビヘイビアのうちの1つ又は複数に少なくとも部分的に基づいて、判定するステップと
をさらに含み、
前記1つ又は複数の動作を前記実行するステップがさらに、前記注意力スコアに少なくとも部分的に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
一定期間にわたる前記車両の前記乗員の道路スキャン・ビヘイビアに対応するヒート・マップを生成するステップ
をさらに含み、
前記1つ又は複数の動作を前記実行するステップがさらに、前記ヒート・マップに少なくとも部分的に基づく、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記車両の前記乗員の眼球運動、目の測定結果、又は目の特徴のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、前記乗員の認知負荷スコアを判定するステップ
をさらに含み、
前記1つ又は複数の動作を前記実行するステップがさらに、前記認知負荷スコアに少なくとも部分的に基づく、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記認知負荷スコアを前記判定するステップが、前記乗員に対応する認知負荷プロファイルに少なくとも部分的に基づき、前記認知負荷プロファイルは、前記乗員を含む1つ又は複数の運転中に生成される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記物体位置を前記判定するステップが、前記物体位置を示すデータを計算するように構成された1つ又は複数のディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)に前記第2のセンサ・データを適用するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記乗員によって実行されている姿勢、ジェスチャ、又は活動のうちの1つ又は複数を判定するステップ
をさらに含み、
前記1つ又は複数の動作を前記実行するステップがさらに、前記姿勢、前記ジェスチャ、又は前記活動のうちの1つ又は複数に少なくとも部分的に基づく、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ユーザの視界の少なくとも一部分の表現を、座標系において及び車両の1つ又は複数の第1のセンサを使用して生成される第1のセンサ・データに少なくとも部分的に基づいて、生成するステップと、
前記座標系において及び前記車両の1つ又は複数の第2のセンサを使用して生成される第2のセンサ・データに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの物体の物体位置を判定するステップと、
前記表現が第1の閾値量よりも少なく前記物体位置に重複すること、
認知負荷値が第2の閾値量より大きいこと、又は、
注意力値が第3の閾値量より少ないこと
のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて通知を生成することを決定するステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記表現を前記生成するステップが、
前記ユーザの注視方向を判定するステップと、
前記ユーザの前記注視方向に少なくとも部分的に基づいて前記視界の少なくとも前記部分を判定するステップと
を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記座標系が、3次元(3D)世界空間座標系である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記車両の前記ユーザの眼球運動を監視して注視パターン、サッカード・ベロシティ、凝視ビヘイビア、又は円滑性追跡ビヘイビアのうちの1つ又は複数を判定するステップと、
前記ユーザの前記注意力値を、前記注視パターン、前記サッカード・ベロシティ、前記凝視、又は前記円滑性追跡のうちの1つ又は複数に少なくとも部分的に基づいて、判定するステップと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
一定期間にわたる前記車両の前記ユーザの道路スキャン・ビヘイビアに対応するヒート・マップを生成するステップと、
前記ユーザの前記注意力値を、前記ヒート・マップに少なくとも部分的に基づいて、判定するステップと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記車両の前記ユーザの眼球運動、目の特徴、又は目の測定結果のうちの1つ又は複数を監視するステップと、
前記ユーザの前記認知負荷値を、前記ユーザの前記眼球運動、前記目の特徴、又は前記目の測定結果のうちの1つ又は複数に少なくとも部分的に基づいて、判定するステップと
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記認知負荷値を前記判定するステップが、前記眼球運動、前記目の特徴、又は前記目の測定結果のうちの少なくとも1つを前記ユーザのプロファイルと比較するステップを含み、前記プロファイルは、前記ユーザによる前記車両の1つ又は複数の運転中に生成される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
1つ又は複数のセンサと、
1つ又は複数のプロセッサと、
命令を記憶する1つ又は複数のメモリ・デバイスであって、前記命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるときに前記1つ又は複数のプロセッサに、
第1のサブセットの前記1つ又は複数のセンサを使用して生成された第1のセンサ・データに少なくとも部分的に基づいて、乗員の注視方向を判定すること、
前記注視方向の表現を、座標系において生成すること、
前記座標系において及び第2のサブセットの前記1つ又は複数のセンサを使用して生成される第2のセンサ・データに少なくとも部分的に基づいて、少なくとも1つの物体の物体位置を判定すること、
前記注視方向の前記表現を前記物体位置と比較すること、及び、
前記比較に少なくとも部分的に基づいて通知を生成する又は前記通知を抑制することを決定すること
を含む動作を実行させる、1つ又は複数のメモリ・デバイスと
を備える、システム。
【請求項18】
前記第1のサブセットの前記1つ又は複数のセンサが、車両の内部の前記乗員の視界を有する少なくとも1つの第1のセンサを含み、前記第2のサブセットの前記1つ又は複数のセンサが、前記車両の外部の視界を有する少なくとも1つの第2のセンサを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記動作がさらに、
前記車両の前記乗員の眼球運動を監視して注視パターン、サッカード・ベロシティ、凝視ビヘイビア、又は円滑性追跡ビヘイビアのうちの1つ又は複数を判定すること、
前記乗員の注意力スコア又は認知負荷スコアのうちの1つ又は複数を、前記注視パターン、前記サッカード・ベロシティ、前記凝視ビヘイビア、又は前記円滑性追跡ビヘイビアのうちの1つ又は複数に少なくとも部分的に基づいて、判定すること
を含み、前記通知を生成する又は前記通知を抑制することを前記判定することがさらに、前記認知負荷スコアの前記注意力スコアのうちの1つ又は複数に少なくとも部分的に基づく、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記システムが、
自律若しくは半自律マシンのための制御システム、
自律若しくは半自律マシンのための知覚システム、
シミュレーション動作を実行するためのシステム、
深層学習動作を実行するためのシステム、
エッジ・デバイスを使用して実装されるシステム、
1つ又は複数の仮想マシン(VM)を組み込むシステム、
ロボットを使用して実装されるシステム、
データ・センタにおいて少なくとも部分的に実装されるシステム、又は、
クラウド計算資源を使用して少なくとも部分的に実装されるシステム
のうちの少なくとも1つに含まれる、請求項17に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月26日に出願された米国特許出願第16/286,329号、2019年3月15日に出願された米国特許出願第16/355,328号、2019年3月18日に出願された米国特許出願第16/356,439号、2019年4月16日に出願された米国特許出願第16/385,921号、2019年7月17日に出願された米国特許出願第16/514,230号、2019年8月8日に出願された米国特許出願第535,440号、2019年12月27日に出願された米国特許出願第16/728,595号、2019年12月27日に出願された米国特許出願第16/728,598号、2020年3月9日に出願された米国特許出願第16/813,306号、2020年3月10日に出願された米国特許出願第16/814,351号、2020年4月14日に出願された米国特許出願第16/848,102号、2020年6月24に出願された米国特許出願第16/911,007号、及び2020年6月29日に出願された米国特許出願第16/915,577号、2018年10月8日に出願された米国特許出願第16/363,648号、2019年8月19日に出願された米国特許出願第16/544,442号、2020年9月2日に出願された米国特許出願第17/010,205号、2020年4月27日に出願された米国特許出願第16/859,741号、2020年8月27に出願された米国特許出願第17/004,252号、及び/又は2020年8月28日に出願された米国特許出願第17/005,914号、及び2020年6月19に出願された米国特許出願第16/907,125号に関するものであり、それらの各出願の全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
認知的及び視覚的注意力は、セーフティ・クリティカル・イベントを検出するための及び、結果として、車両を安全に制御するための運転者の能力において重要な役割を果たす。たとえば、運転者が注意散漫である-たとえば、白昼夢、注意散漫、現在の運転タスク以外のタスクのための知的能力の使用、道路外の活動の観察などにより-場合、運転者は、適切なプランニング及び制御決定を行うことができないことがある、又は正しい決定が遅れることがある。これに対策するために、いくつかの車両システム-たとえば、高度運転者支援システム(ADAS:advanced driver assistance system)-が、運転者のための可聴式、視覚的、及び/又は触覚的警告若しくはアラートを生成して環境及び/又は道路条件(たとえば、交通弱者(VRU:vulnerable road user)、交通信号灯、交通混雑、潜在的衝突など)を運転者に通知するために使用される。しかしながら、警告システムの数が増えるにつれて(たとえば、自動緊急ブレーキ(AEB:automatic emergency braking)、死角検出(BSD:blind spot detection)、前方衝突警告(FCW:forward collision warning)など)、生成されるアラート又は警告の数は、運転者にとって圧倒的になり得る。結果として、運転者は、これらのシステムのうちの1つ又は複数のシステムの安全システム機能性を止め、それによって、危険なイベントの発生の軽減におけるこれらのシステムの有効性をなくすことがある。
【0003】
いくつかの従来のシステムでは、運転者監視システム及び/又は運転者眠気検出システムが、運転者の現在の状態を判定するために使用され得る。しかしながら、これらの従来のシステムは、認知負荷又は運転者注意力を互いに別個に測定する。たとえば、運転者の状態が判定されると、運転者は、彼らの判定された不注意さ又は増加した認知負荷に関して警告又はアラートを受け得る。これは、他のADASシステムの既に存在する警告アラートに加えた警告又はアラートをもたらすだけでなく、注意力又は高い認知負荷の判定が、不正確又は不精密になり得る。たとえば、注意力に関して、ユーザの注視は、車両内で測定され得る-たとえば、ユーザが車両キャビン内でどこを注視しているか。しかしながら、外部環境の状態-たとえば、静的又は動的物体の位置、道路条件、待ち状態など-が考慮されていないので、運転者の注視がフロントガラスに向いているので注意していると判定された運手者は、実際には、注意していないことがある。認知負荷に関して、従来のシステムは、瞳孔サイズ若しくは他の目の特徴、眼球運動、瞬目率若しくは他の目の測定結果、及び/又は他の情報を現在の認知負荷にリンクするシミュレーション・データでトレーニングされたディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN:deep neural network)を使用する。しかしながら、これらの測定値は、主観的であり、ある種のユーザについて不正確又は不精密になり得る-たとえば、認知負荷は、異なる運転者では異なって現れることがある及び/又は一部の運転者は、高い認知負荷の下にあるときに他よりもパフォーマンスが上がることがある。そのようなものとして、互いに独立した運転者の不注意さ又は認知負荷を使用すること、及び車両の外の環境条件を無視すること、は、運転者の現在の状態の不正確な、信頼できない、又は断片的な情報に基づいて生成される過剰な警告及びアラートをもたらし得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例は、半自律又は自律運転アプリケーションのための乗員注意力及び認知負荷監視に関する。注意力及び/又は認知負荷の監視に加えて、ユーザの推定された視界又は注視情報を車両の外の環境に対応する車両知覚情報と比較する、システム及び方法が、開示される。結果として、車両の運転者又は乗員の内部監視は、ある特定の物体タイプ、環境条件、又は車両の外部の他の情報-たとえば、動的アクタ、静的物体、交通弱者(VRU:Vulnerable Road User)、待ち状態情報、標識、くぼみ、隆起、瓦礫など-を運転者又は乗員が処理した又は見たかどうかを判定するために、車両の外側まで広げられ得る。ユーザの視界又は注視の投影された-たとえば、世界空間座標系に-表現が、検出された物体、状態、及び/又は同類のものと重複すると判定された場合、システムは、ユーザはその物体、状態などを見たと推測することができ、アクションを実行すること(たとえば、通知を生成すること、AEBシステムを起動することなど)を控えることができる。
【0005】
いくつかの実施例において、ユーザの状態-たとえば、見られた又は視覚化された情報を処理するためのユーザの現在の能力に対応する-のより全体的な理解のために、ユーザの注意力及び/又は認知負荷が、1つ又は複数のアクションが取られるべき(たとえば、視覚的、可聴式、触覚的、又は他の通知タイプを生成するために、車両の制御を引き受けるために、1つ又は複数のAEBシステムを起動するためになど)かどうかを決定するために、監視され得る。そのようなものとして、物体、道路条件などがユーザの視界に入ったと判定され得る場合でも、ユーザの判定された注意力及び/又は認知負荷が、情報に基づく運転決定をアクションなしにさせるために、ユーザが情報を完全に処理していない可能性があることを示す場合、アクションは、物体、道路条件、及び/又は同類のものに対応して、実行され得る。結果として、及び従来のシステムとは対照的に、通知、AEBシステム起動、及び/又は他のアクションが、認知負荷、注意力、及び/又は、車両の外部知覚と車両の外部から投影されたものとしてのユーザの推定される知覚との比較に基づいて判定されるものとしてのユーザのより客観的な及び完全な状態に基づいて、判定され得る。加えて、注意力及び/又は認知負荷のより客観的な測定値を使用することによって、現実世界シナリオのシミュレーション-たとえば、仮想シミュレーション環境における-は、より正確及び高信頼になり得、したがって、現実世界システムにおいて設計、試験、及び最終的に配備するのにより適し得る。
【0006】
半自律又は自律運転アプリケーションのための乗員注意力及び認知負荷監視のための本システム及び方法について、添付の図面を参照して、以下に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示のいくつかの実施例による、注意力及び/又は認知負荷監視のプロセスのデータ流れ図である。
【
図2A】本開示のいくつかの実施例による、眼球運動情報を使用して生成された例示的プロットを示す図である。
【
図2B】本開示のいくつかの実施例による、眼球運動情報を使用して生成される車両領域視覚化を含む例示的プロットを示す図である。
【
図2C】本開示のいくつかの実施例による、眼球運動情報を判定するために使用される時間ステップ又はフレームにおける目の位置の例示的イラストレーションである。
【
図2D】本開示のいくつかの実施例による、眼球運動情報を判定するために使用される時間ステップ又はフレームにおける目の位置の例示的イラストレーションである。
【
図2E】本開示のいくつかの実施例による、一定期間にわたって集められた眼球運動情報に対応する例示的ヒート・マップである。
【
図3】本開示のいくつかの実施例による、車両知覚を推定された乗員知覚と比較するための車両の外側に広げられた注視又は視界表現の例示的視覚化である。
【
図4】本開示のいくつかの実施例による、運転者注意力及び/又は認知負荷に基づいてアクションを決定するための方法を示す流れ図である。
【
図5A】本開示のいくつかの実施例による、例示的自律型車両のイラストレーションである。
【
図5B】本開示のいくつかの実施例による、
図5Aの例示的自律型車両のカメラ位置及び視野の実例である。
【
図5C】本開示のいくつかの実施例による、
図5Aの例示的自律型車両の例示的システム・アーキテクチャのブロック図である。
【
図5D】本開示のいくつかの実施例による、クラウドベースのサーバと
図5Aの例示的自律型車両との間の通信のシステム図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施例の実装において使用するのに適した例示的コンピューティングデバイスのブロック図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施例の実装において使用するのに適した例示的データ・センタのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
半自律又は自律運転アプリケーションのための乗員注意力及び認知負荷監視に関する、システム及び方法が、開示される。本開示は、例示的自律型車両500(その実例が
図5A~5Dに関して本明細書で説明され、本明細書で別法として「車両500」又は「エゴ車両500」と称される)に関して説明されることがあるが、これは、限定を意図していない。たとえば、本明細書に記載のシステム及び方法は、非自律型車両、半自律型車両(たとえば、1つ又は複数の高度運転者支援システム(ADAS:Advanced Driver Assistance System(s))における)、ロボット、倉庫車両、オフロード車両、飛行船舶、ボート、及び/又は別のタイプの車両によって使用され得る。加えて、本開示は、自律運転に関して説明されることがあるが、これは、限定を意図していない。たとえば、本明細書に記載のシステム及び方法は、ロボット工学、航空システム(たとえば、注意力及び/又は認知負荷を判定するための)、船舶システム、シミュレーション環境(たとえば、仮想シミュレーション環境内の仮想車両の人間オペレータの注意力及び/又は認知負荷に基づいてアクションをシミュレーションするための)、及び/又は他の技術分野において使用され得る。
【0009】
図1を参照すると、
図1は、本開示のいくつかの実施例による、注意力及び/又は認知負荷監視のプロセス100のデータ流れ図である。本明細書に記載のこの及び他の構成は単に実例として記載されていることを理解されたい。他の構成及び要素(たとえば、マシン、インターフェース、機能、順番、機能のグループ化など)が、図示されたものに加えて又はそれらの代わりに使用され得、いくつかの要素は、完全に省略され得る。さらに、本明細書に記載の要素の多数は、個別の若しくは分散された構成要素として又は他の構成要素と併せて、並びに任意の適切な組合せ及び場所において実装され得る機能エンティティである。エンティティによって実行されるものとして本明細書に記載された様々な機能は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はその任意の組合せによって実施され得る。たとえば、様々な機能は、メモリに記憶された命令を実行するプロセッサによって実施され得る。
【0010】
プロセス100は、センサ・データ102A及び/又は102B(本明細書で「センサ・データ102」と総称される)を車両500(車両500と類似し得る、又は非自律又は半自律型車両を含み得る)の1つ又は複数のセンサから生成及び/又は受信することを含み得る。センサ・データ102は、車両500の1人若しくは複数の乗員の体の動き若しくは姿勢を追跡する、車両500の乗員の眼球運動を追跡する、乗員の注意力及び/若しくは認知負荷を判定する、車両500の外側の乗員の注視若しくは視界の表現を投影する、1つ若しくは複数のディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN:Deep Neural Network)112を使用して出力114を生成する、視界若しくは注視表現を出力114と比較する、乗員の状態を判定する、状態に基づいて取るべき1つ若しくは複数のアクションを決定する、並びに/又は他のタスク若しくは動作のためにプロセス100内で使用され得る。センサ・データ102は、いくつかの実例において、車両500及び/又は他の車両若しくは物体-たとえば、ロボット・デバイス、VRシステム、ARシステムなど-に関して本明細書で説明されているものなどの、しかしこれらに限定されない、任意のタイプのセンサからのセンサ・データ102を、制限なしに、含み得る。非限定的実例として、
図5A~5Cを参照すると、センサ・データ102は、制限なしに、全地球的航法衛星システム(GNSS:global navigation satellite system)センサ558(たとえば、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)センサ、ディファレンシャルGPS(DGPS)センサなど)、RADARセンサ560、超音波センサ562、LIDARセンサ564、慣性計測装置(IMU:inertial measurement unit)センサ566(たとえば、加速度計、ジャイロスコープ、磁気コンパス、磁力計など)、マイクロフォン596、ステレオ・カメラ568、ワイドビュー・カメラ570(たとえば、魚眼カメラ)、赤外線カメラ572、サラウンド・カメラ574(たとえば、360度カメラ)、長距離及び/若しくは中距離カメラ598、キャビン内カメラ、キャビン内熱、圧力、若しくはタッチ・センサ、キャビン内運動センサ、キャビン内マイクロフォン、速度センサ544(たとえば、車両500の速度及び/若しくは又は移動距離を測定するための)、並びに/又は他のセンサ・タイプによって生成されるデータを含み得る。
【0011】
いくつかの実施例において、センサ・データ102Aは、1つ若しくは複数のキャビン内センサ、たとえば、1つ若しくは複数のキャビン内カメラ、キャビン内近赤外線(NIR:near-infrared)センサ、キャビン内マイクロフォン、及び/又は同類のもの、を使用して生成されるセンサ・データに対応し得、センサ・データ102Bは、車両500の1つ又は複数の外部センサ、たとえば、1つ又は複数のカメラ、RADARセンサ560、超音波センサ562、LIDARセンサ564、及び/又は同類のもの、を使用して生成されるセンサ・データに対応し得る。そのようなものとして、センサ・データ102Aは、車両500の内部の知覚フィールド又は視界を有するセンサ(たとえば、その視界内に乗員、たとえば、運転者、を有するカメラ)に対応し得、センサ・データ102Bは、車両500の外部の知覚フィールド又は視界を有するセンサ(たとえば、車両500の外側の環境を含む知覚フィールドを有するカメラ、LiDARセンサなど)に対応し得る。しかしながら、いくつかの実施例において、センサ・データ102A及びセンサ・データ102Bは、車両500の内部及び/又は外部の知覚フィールドを有する任意のセンサからのセンサ・データを含み得る。
【0012】
センサ・データ102Aは、車両500の乗員-たとえば、運転者-に関するジェスチャ、姿勢、活動、眼球運動(たとえば、サッカード・ベロシティ、円滑性追跡、注視位置、方向、又はベクトル、瞳孔サイズ、瞬目率、道路スキャン範囲及び分布など)、及び/又は他の情報を判定するためにボディ・トラッカ104及び/又はアイ・トラッカ106によって使用され得る。この情報は、次いで、乗員の注意力を判定するための注意力判定器108、乗員の認知負荷を判定するための認知負荷判定器110、及び/又は1つ若しくは複数のディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)112からの外部知覚出力114と比較する-比較器120を介して-ための視界(FOV:field of view)プロジェクタ116によって使用され得る。注意力、認知負荷、及び/又は比較器120の出力を表す情報は、乗員の状態を判定するために状態マシン122によって分析され得、そして、その状態は、実行するべき(たとえば、視覚的、可聴式、及び/又は触覚的通知を発する、通知を抑制する、ADASシステムを関与させる(engage)、車両500の自律制御を引き受けるなどのために)1つ又は複数のアクション又は動作を決定するためにアクション決定器124によって使用され得る。
【0013】
ボディ・トラッカ104は、センサ・データ102A-たとえば、1つ又は複数のキャビン内カメラ、マイクロフォン、圧力センサ、温度センサなどからのセンサ・データ-を使用して乗員に関する姿勢、ポーズ、活動若しくは状態(たとえば、ハンドルに両手、ハンドルに片手、テキスト・メッセージを送っている、読んでいる、前かがみ、急病、行動不能、注意散漫など)、及び/又は他の情報を判定することができる。たとえば、ボディ・トラッカ104は、1つ又は複数のマシン学習アルゴリズム、ディープ・ニューラル・ネットワーク、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、数学アルゴリズム、及び/又は同類のものを実行して体追跡情報を判定することができる。いくつかの非限定的実施例において、ボディ・トラッカ104は、参照によりその全部が本明細書にそれぞれ組み込まれている、2020年6月29日に出願された米国特許出願第16/915,577号及び/又は、2020年6月19日に出願された米国特許出願第16/907,125号に記載されているような類似の特徴、機能性、及び/又は構成要素を含み得る。
【0014】
アイ・トラッカ106は、センサ・データ102A-たとえば、1つ又は複数のキャビン内カメラ、NIRカメラ若しくはセンサ、及び/又は他の視標追跡センサ・タイプからのセンサ・データ-を使用して、注視方向及び動き、凝視、道路スキャン・ビヘイビア(たとえば、道路スキャン・パターン、分布、及び範囲)、サッカード情報(たとえば、ベロシティ、方向など)、瞬目率、円滑性追跡情報(たとえば、ベロシティ、方向など)、並びに/又は他の情報を判定することができる。アイ・トラッカ106は、ある特定の状態に対応する期間、たとえば、凝視はどのくらい続いたか、を判定することができる、及び/又はある特定の状態が何回判定されたか-たとえば、いくつの凝視か、いくつのサッカードか、いくつの円滑性追跡かなど-を追跡することができる。アイ・トラッカ106は、各目を個々に監視若しくは分析ことができる、及び/又は両目をともに監視若しくは分析することができる。たとえば、両目が、乗員の注視の深度を測定するために三角測量を使用するために、監視され得る。いくつかの実施例において、アイ・トラッカ106は、1つ若しくは複数のマシン学習アルゴリズム、ディープ・ニューラル・ネットワーク、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、数学アルゴリズム、及び/又は同類のものを実行して視標追跡情報を判定することができる。いくつかの非限定的実施例において、アイ・トラッカ106は、参照によりその全部が本明細書にそれぞれ組み込まれている、2018年10月8日に出願された米国特許出願第16/363,648号、2019年8月19日に出願された米国特許出願第16/544,442号、2020年9月2日に出願された米国特許出願第17/010,205号、2020年4月27日に出願された米国特許出願第16/859,741号、2020年8月27日に出願された米国特許出願第17/004,252号、及び/又は2020年8月28日に出願された米国特許出願第17/005,914号に記載されているような類似の特徴、機能性、及び/又は構成要素を含み得る。
【0015】
注意力判定器108は、乗員の注意力を判定するために使用され得る。たとえば、ボディ・トラッカ104及び/又はアイ・トラッカ106からの出力は、注意力値、スコア、又はレベルを生成するために、注意力判定器108によって処理又は分析され得る。注意力判定器108は、1つ又は複数のマシン学習アルゴリズム、ディープ・ニューラル・ネットワーク、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、数学アルゴリズム、及び/又は同類のものを実行して注意力を判定することができる。たとえば、
図2A~2Eに関して、
図2Aは、現在の(たとえば、現在の時間又は期間-たとえば、1秒、3秒、5秒など-に対応する)注視方向及び注視情報に対応するグラフ202を含む。たとえば、注視方向は、点212によって表され得、そこで、グラフ202内の(x,y)位置は、車両500に対する対応する位置を有し得る。グラフ202は、
図2Aにおいて参照されるような、サッカードなどの眼球運動タイプ-たとえば、最新の眼球運動タイプ-又は円滑性追跡、凝視などを判定するために使用され得る。さらなる一実例として、
図2Bに関して、グラフ202の点212は、乗員の現在の及び/又は最近の(たとえば、最後の1秒、3秒以内などの)注視領域を反映し得る、グラフ204において反映され得る。たとえば、任意の数の注視領域214(たとえば、注視領域214A~214F)が、注意力判定器108によって使用され得る道路スキャン・ビヘイビア、凝視、及び/又は他の情報を判定するために使用され得る。非限定的実例として、注視領域214は、左側の注視領域214A(たとえば、運転者側の窓、運転者側のミラーなどに対応)、左前方の注視領域214B(たとえば、フロントガラスの左半分又は部分に対応)、右前方の注視領域214C(たとえば、フロントガラスの右半分又は部分に対応)、右側の注視領域214D(たとえば、乗客側窓、乗客側ミラーなどに対応)、計器群注視領域214E(たとえば、ハンドルの後ろ、下、及び/又は上の計器群532又は計器パネルに対応)、及び/又はセンタ・コンソール注視領域214F(たとえば、制御ベアリング表面(control-bearing surface)、ディスプレイ、タッチ・スクリーン・インターフェース、ラジオ制御装置、空調制御装置、ハザード・ランプ制御装置、車内インフォテインメント・システム(IVI:in-vehicle infotainment system)、車内エンターテインメント(ICE:in-car entertainment)、及び/又は他のセンタ・コンソール特徴に対応)を含み得る。
【0016】
図2C~2Dに関して、図表206及び208は、図表202、204、及び/又は210を生成するために使用され得る乗員の視覚化-たとえば、図表206では乗員の目により集中した及び図表208では乗員により広く焦点を合わせた-を含む。たとえば、乗員は車両500の右前方-たとえば、右前方注視領域214Cの方-を見ているという及び乗員の最後の動きがサッカードであったという判定が、図表206及び208の1つ又は複数のインスタンスを使用して判定され得る。乗員の頭部及び/又は目の(x,y)位置は、注視領域214への及び/又は注視領域図表-たとえば、図表202及び/又は204-の(x,y)位置への知られている相関を有し得る。そのようなものとして、乗員の頭部及び/又は目の向きが、判定され得、現在のフレームの注視方向及び/又は位置を判定するために使用され得る。加えて、任意の数のフレームにわたる(たとえば、毎秒30フレームでの2秒のフレーム・キャプチャ、又は60フレームの)結果が、運動タイプ-たとえば、サッカード、瞬目率、円滑性追跡、凝視、道路スキャン・ビヘイビア、及び/又は同類のもの-を追跡するために使用され得る。いくつかの実施例では、
図2Eに示すように、乗員の注視情報が、いくらかの期間にわたって追跡され得、経時的に(たとえば、30秒間、1分、3分、5分などにわたって)乗員の注視位置及び方向に対応するヒート・マップ210(たとえば、より暗い領域は、より明るい又はより低点密度の点のパターンを有する領域よりも頻繁な注視の位置又は方向に対応する)を生成するために使用され得る。たとえば、ヒート・マップ210-座標系が図表202及び/又は204のそれと類似する-に関して、ヒート・マップ210は、乗員は他の注視領域214よりも右前方の注視領域214C及び/又は右側の注視領域214Dの方をより頻繁に注視したことを示し得る。いくつかの実施例において、ヒート・マップ210は、現在のフレームの情報を含むように各フレームにおいて更新され得る。たとえば、重み付けが、ヒート・マップ210を生成するとき、より最近の注視情報により多くの重みを与えるように適用され得る。ヒート・マップ210は、次いで、乗員の注意力を判定するために使用され得る、乗員の道路スキャン・ビヘイビア、パターン、及び/又は頻度を表し得る。
【0017】
注意力判定器108は、次いで、一部の又はすべての視標追跡情報を使用して乗員の注意力を判定することができる。たとえば、ヒート・マップが、乗員は道路を頻繁に及び広範囲にわたってスキャンしていた並びに現在の注視方向は走行表面又はそれの直ぐ近隣を向いているということを示す場合、現在の注意力値又はスコアは、高いと判定され得る。別の実例として、ヒート・マップが、乗員は道路外の位置により集中していた-たとえば、歩道、建物、景色などを向いていた-及び現在の注視もまた車両500の側面を向いていることを示す場合(たとえば、実際の走行表面が乗員の視界の周辺内にのみある場合)、注意力スコアは、少なくとも視標追跡に基づく情報については低くなり得る-たとえば、乗員は、白昼夢の又はぼんやり眺める状態にあると判定され得る。
【0018】
いくつかの実例において、本明細書でさらに詳しく説明するように、注意力判定器108は、比較器120の出力を使用して注意力を判定することができる。たとえば、いくつかの物体-たとえば、VRU、交通標識、待ち状態など-が、車両500の外部知覚を使用して識別された場合、乗員によって見られる及び/又は処理されるそれらの物体の数が、いくらかの期間にわたって判定され得る。たとえば、30個の物体が検出され、乗員が、それらのうちの28個を見た及び/又は処理した-たとえば、FOVプロジェクタ116の出力及びDNN112の出力114を使用して比較器120によって判定されるように-場合、乗員の注意力は、高いと判定され得る。しかしながら、乗員が、30個のうちの15個のみを見る及び/又は処理する場合、乗員の注意力は、低いと判定され得る(少なくとも比較器120計算に関して)。いくつかの実施例において、乗員が物体を処理したかどうかの判定は、他の注意力要因及び/又は認知負荷判定に基づき得る。たとえば、注視の投影(たとえば、計算された注視ベクトルから判定されるものとしての)又は乗員の視界が、検出された物体と重複する-少なくとも部分的に-場合、乗員は、物体を見たと判定され得る。しかしながら、他の注意力情報が、乗員は特定の注視に実際には執着していた又は瞬間的に彼らの電話機に目を落としていたことを示す場合、或いは乗員が、高い認知負荷を有すると判定された場合、乗員は物体への注意を処理、登録、又は払わなかったと判定され得る。そのような実例において、乗員の注意力は、乗員が物体を処理又は登録した場合よりも、低いと判定され得る。
【0019】
注意力判定器108は、視標追跡情報の使用に加えて又はその代わりに、ボディ・トラッカ104からの体追跡情報を使用して注意力を判定することができる。たとえば、ポーズ、姿勢、活動、及び/又は乗員に関する他の情報が、注意力を判定するために使用され得る。そのようなものとして、運転者が、両手をハンドルに置き、まっすぐな姿勢を有する場合、注意力についての運転者の体に基づく貢献は、高い注意力値又はスコアに対応し得る。それとは対照的に、運転者が、ハンドルに片手を置き、もう片方の手は自分の電話機を自分の顔の前に保持している場合、低い注意力値又はスコアが、少なくとも体に基づく貢献について、判定され得る。
【0020】
認知負荷判定器110は、乗員の認知負荷を判定するために使用され得る。たとえば、ボディ・トラッカ104及び/又はアイ・トラッカ106からの出力が、認知負荷値、スコア、又はレベルを生成するために、認知負荷判定器110によって処理又は分析され得る。認知負荷判定器110は、1つ又は複数のマシン学習アルゴリズム、ディープ・ニューラル・ネットワーク、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、数学アルゴリズム、及び/又は同類のものを実行して認知負荷を判定することができる。たとえば、瞳孔サイズ(たとえば、直径)若しくは他の目の特徴、眼球運動、瞬目率若しくは他の目の測定結果、及び/又は他の情報などの目に基づくメトリックが、認知負荷値、スコア、又はレベル(たとえば、低、中、高)を計算するために使用され得る-たとえば、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズム及び/又はDNNによって。たとえば、散大した瞳孔は、高い認知負荷を示し得、認知負荷判定器110は、他の情報に加えて、瞳孔サイズを使用して、認知負荷スコアを判定することができる。
【0021】
道路スキャン・ビヘイビアはまた、認知負荷-たとえば、乗員は注意深い、又は白昼夢を見ているか-を示し得る。たとえば、道路スキャン・パターン又はビヘイビアに対応するヒート・マップが、乗員はそのシーン全体を左から右へスキャンしていたと示す場合、この情報は、より低い認知負荷を示し得る。しかしながら、乗員が道路をスキャンしていない、又は環境のあまり重要ではない部分-たとえば、歩道、景色など-に一定期間にわたって執着した(たとえば、ぼんやり眺める状態で、白昼夢を見ながらなど)場合、これは、より高い認知負荷を示し得る。いくつかの実施例では、雪、みぞれ、雹、雨、直射日光、暗闇、交通混雑、及び/又は他の状態が、認知負荷判定に影響し得るように、環境的(たとえば、天気、時刻など)及び/又は運転条件(たとえば、交通、道路条件など)が、認知負荷判定(及び/又は注意力判定)に織り込まれ得る。たとえば、同セットの視標及び/又は体追跡情報について、認知負荷は、気象条件が晴天である及び交通量が少ない場合には低いと判定され得、雪が降っている及び交通混雑が存在する場合には高いと判定され得る。
【0022】
いくつかの実施例において、乗員の認知負荷及び/又は注意力は、乗員に対応するプロファイルに基づき得る。たとえば、乗員による現在の運転及び/又は1つ又は複数の前の運転にわたり、乗員の視標追跡情報、体追跡情報、及び/又は他の情報が、特定の乗員がいつ注意深い、不注意である、より高い認知負荷を有する、より低い認知負荷を有するかなどを示す、乗員のカスタマイズされたプロファイルを決定するために監視及び使用され得る。たとえば、第1の乗員は、道路をより少なくスキャンし得るが、物体を処理し、及びより速く又はより高い頻度で正しい決定を行い得、その一方で、第2の乗員は、道路をより少なくスキャンし得るが、あまり速くなく又はより少ない頻度で物体を処理し、正しい決定を行い得る。そのようなものとして、第1の乗員及び第2の乗員のプロファイルをカスタマイズすることによって、第1の乗員及び第2の乗員が両方とも類似の道路スキャン・ビヘイビアを実行しているとき、第1の乗員は、過剰に警告を受けないことが可能であり、その一方で、第2の乗員は、安全運転を確保するために、より頻繁な警告を受信し得る。乗員のビヘイビアが、ある特定の街路、幹線道路、ルート、気象条件などにわたって追跡され得るように、乗員のプロファイルはまた、増加した粒度を含み得、そして、この情報は、同じ街路、幹線道路を進む、同じ天気にある未来のインスタンスの間などに乗員の注意力及び/又は認知負荷を判定するために使用され得る。認知負荷及び/又は注意力判定に加えて、乗員は、ある特定の通知又は他のアクション・タイプ、乗員が通知を望む(たとえば、横断歩道の通知を第1の乗員は望まないことがあり、同時に、第2の乗員は望むことがある)物体などを含むように彼らのプロファイルをカスタマイズすることができ得る。
【0023】
いくつかの実施例において、センサ・データ102Bは、様々な異なる出力114を計算するようにトレーニングされた1つ又は複数のディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)112に適用され得る。DNN112への適用又は入力より前に、センサ・データ102は、たとえば、センサ・データ102を変換する、クロップする、拡大する、縮小する、ズームインする、回転する、及び/又は他の方法で修正するために、前処理を受け得る。たとえば、センサ・データ102Bが、カメラ画像データに対応する場合、画像データは、それぞれのDNN112の適切な入力フォーマットにクロップ、縮小、拡大、反転、回転、及び/又は他の方法で調整され得る。いくつかの実施例において、センサ・データ102Bは、画像を表す画像データ、ビデオを表す画像データ(たとえば、ビデオのスナップショット)、及び/又はセンサの知覚フィールドの表現を表すセンサ・データ(たとえば、LIDARセンサの深度図、超音波センサの値グラフなど)を含み得る。いくつかの実例において、センサ・データ102Bは、前処理なしに使用され得る(たとえば、未加工の又はキャプチャされたフォーマットで)が、他の実例では、センサ・データ102は、前処理(たとえば、センサ・データ・プリプロセッサ(図示せず)などを使用する、ノイズ・バランシング、デモザイク処理、スケーリング、クロッピング、拡張、ホワイト・バランシング、トーン・カーブ調整など)を受け得る。
【0024】
実例は、DNN112の使用(並びに/又は、ボディ・トラッカ104、アイ・トラッカ106、注意力判定器108、及び/若しくは認知負荷判定器110に関する、DNN、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、マシン学習モデルなどの使用に)関して本明細書では説明されているが、これは限定を意図していない。たとえば、そして制限なしに、ボディ・トラッカ104、アイ・トラッカ106、注意力判定器108、及び/又は認知負荷判定器110に関して本明細書で説明されるDNN112及び/又はコンピュータ・ビジョン・アルゴリズム、画像処理アルゴリズム、マシン学習モデルなどは、任意のタイプのマシン学習モデル又はアルゴリズム、たとえば、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、サポート・ベクトル・マシン(SVM:support vector machine)、ナイーブ・ベイズ、k近傍法(Knn:k-nearest neighbor)、K平均クラスタリング、ランダム・フォレスト、次元縮小アルゴリズム、勾配ブースティング・アルゴリズム、ニューラル・ネットワーク(たとえば、オートエンコーダ、畳み込み、再発、パーセプトロン、長/短期メモリ/LSTM、ホップフィールド、ボルツマン、ディープ・ビリーフ、デコンボリューション、敵対的生成、液体状態マシンなど)、関心エリア検出アルゴリズム、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを使用するマシン学習モデル、及び/又は他のタイプのアルゴリズム若しくはマシン学習モデル、を含み得る。
【0025】
一実例として、DNN112は、センサ・データ102を処理して車線区分線、道路境界、標識、ポール、木、静的物体、車両及び/又は他の動的物体、待ち状態、交差点、距離、深度、物体の次元などの検出を生み出すことができる。たとえば、検出は、位置(たとえば、2D画像空間における、3D空間におけるなど)、ジオメトリ、ポーズ、意味論的情報、及び/又は検出に関する他の情報に対応し得る。そのようなものとして、車線境界線について、車線境界線の位置及び/又は車線境界線のタイプ(たとえば、破線、実線、黄色、白、横断歩道、自転車専用道路など)は、センサ・データ102を処理するDNN112によって検出され得る。標識に関して、標識の位置若しくは他の待ち状態情報及び/又はそのタイプ(たとえば、前方優先道路、停止、横断歩道、交通信号灯、前方優先道路警告灯、工事、速度制限、出口など)が、DNN112を使用して検出され得る。検出された車両、オートバイ運転者、及び/又は他の動的アクタ若しくは道路ユーザについて、動的アクタの位置及び/又はタイプが、識別及び/若しくは追跡され得る、並びに/又はシーン内の待ち状態を判定するために使用され得る(たとえば、車両が、交差点に関してある特定の方法で動く場合、たとえば、停止場所に来ることによって、その対応する交差点又は待ち状態が、停止標識又は交通信号灯を有する交差点として検出され得る)。
【0026】
DNN112の出力114は、実施例において、後処理を受けることができる、たとえば、未加工の出力を有用な出力に変換することによって-たとえば、未加工の出力が、点又は画素が特定の物体タイプに対応する各点(たとえば、LiDAR、RADARなどにおける)又は画素(たとえば、カメラ画像の)信頼度に対応する場合、後処理が、物体タイプの単一インスタンスに対応するそれぞれの点又は画素を判定するために実行され得る。この後処理は、時間フィルタリング、重み付け、外れ値除去(たとえば、外れ値であると判定された画素又は点を除去すること)、アップスケーリング(たとえば、出力は、入力センサ・データ・インスタンスより低い分解能で予測され得、そして、出力は、入力分解能まで拡大し戻され得る)、ダウンスケーリング、曲線の当てはめ、及び/又は他の後処理技法を含み得る。出力114-後処理の後、実施例において-は、2D座標空間(たとえば、画像空間、LiDAR範囲画像空間など)においてでもよい及び/又は3D座標系においてでもよい。実施例において、出力114が、2D座標空間における及び/又は3D世界空間以外の3D座標空間における場合、出力114は、FOV投影116によって出力される投影されたFOVと同じ座標系に(たとえば、車両上の位置にある原点を有する3D世界空間座標系に)変換され得る。
【0027】
いくつかの非限定的実例において、DNN112及び/又は出力114は、参照によりその全部が本明細書にそれぞれ組み込まれている、2019年2月26日に出願された米国特許出願第16/286,329号、2019年3月15日に出願された米国特許出願第16/355,328号、2019年3月18日に出願された米国特許出願第16/356,439号、2019年4月16日に出願された米国特許出願第16/385,921号、2019年8月8日に出願された米国特許出願第535,440号、2019年12月27日に出願された米国特許出願第16/728,595号、2019年12月27日に出願された米国特許出願第16/728,598号、2020年3月9日に出願された米国特許出願第16/813,306号、2020年4月14日に出願された米国特許出願第16/848,102号、2020年3月10日に出願された米国特許出願第16/814,351号、2020年6月24日に出願された米国特許出願第16/911,007号、及び/又は2019年7月17日に出願された米国特許出願第16/514,230号に記載のものに類似し得る。
【0028】
FOVプロジェクタ116は、アイ・トラッカ106からの視標追跡情報を使用して、注視方向及び投影された乗員の注視又は視界を判定することができる。たとえば、
図3に関して、乗員が、具体的にはフロントガラス302の右下部分を通して、右前方の注視領域214C(
図2B)を見ている場合、乗員の視界又は注視の2次元(2D)又は3次元(3D)の(図示するような)投影306が、生成され、車両500の外部の環境へと広げられ得る。加えて、本明細書に記載のように、1つ又は複数のDNN112は、センサ・データ102Bを処理して、環境内の人304(たとえば、VRU)及び標識310の位置(たとえば、境界形状、境界輪郭、境界ボックス、点、画素など)を判定するために使用され得る-たとえば、直接に及び/又は後処理の後に-出力114を生成することができる。標識310及び人304が図示されているが、これは限定を意図しておらず、環境内の興味のある物体又は情報は、実施例に応じて、任意の道路、物体、環境的、又は他の情報を含み得る。たとえば、静的物体、動的アクタ、交差点(又はそれに対応する情報)、待ち状態、車線境界線、道路境界、歩道、障害物、標識、ポール、木、景色、マップから(たとえば、HDマップから)判定された情報、環境条件、及び/又は他の情報は、比較器120を使用する重複比較を受け得る。
【0029】
非限定的実例として、第1のDNN112は、標識310を検出するために使用され得、第2のDNN112は、人304を検出するために使用され得る。他の実例において、同じDNN112が、標識310と人304との両方を検出するために使用され得る。投影306(及び/又は前の時間ステップ若しくはフレームに対応する1つ又は複数の追加の投影)は、次いで、乗員は検出された物体を見たかどうかを判定するために、検出された物体-たとえば、標識310及び人304-と比較器120によって比較され得る。重複が生じる-少なくとも部分的に-場合、乗員は、物体を見たと判定され得る。いくつかの実施例において、重複判定は、重複の閾値、たとえば、50%重複(たとえば、境界形状の50%は、投影306の一部と重複している)、70%重複、90%重複など、を含み得る。他の実施例では、任意の量の重複が、重複判定を満たし得る、又は完全な重複が、重複判定を満たし得る。
【0030】
重複を判定するために、投影306及び出力114は、同じ座標系において計算-又は変換-され得る。たとえば、投影306及び出力114は、共有(たとえば、世界空間)座標系-たとえば、車両500、たとえば、車軸上の位置(たとえば、車両の後車軸の中央)、フロント・バンパ、フロントガラスなど、にある原点を有する-に関して判定され得る。そのようなものとして、出力114が、2D画像空間、異なる原点に関する3D空間において、及び/又は比較器120によって使用される共有座標空間ではない2D若しくは3D座標空間において他の方法で計算される場合、出力114は、共有座標空間に変換され得る。
【0031】
狭い投影306(たとえば、乗員の視界の焦点領域を含む)として示されているが、これは限定を意図していない。たとえば、いくつかの実施例において、投影306は、乗員の推定された視界の周辺の一部又はすべてに加えて乗員の視界内の注視の焦点を含み得る。いくつかの実施例において、重複判定は、物体と重複する投影306の部分に基づいて、重み付けされ得る(たとえば、視界の焦点又は中央は、視界の周辺部分と比較して、乗員は物体を見たという判定に向けてより高く待機され得る)。たとえば、乗員の視界の周辺のみに対応する投影306の一部分が、重複する場合、判定は、乗員は物体を見なかったというものになり得る、又はいくつかの他の基準も、乗員は物体を見たと判定するために、満たされなければならないことがある(たとえば、周辺における時間の閾値が満たされなければならないことがある、最新性閾値が満たされなければならないことがある-たとえば、物体が最後の1秒以内に周辺にあった-など)。
【0032】
いくつかの実施例において、乗員は物体を見たと判定された場合、1つ又は複数の追加の基準が、最終判定を行うために比較器120によって使用され得る。たとえば、継続期間(たとえば、一定期間にわたり連続的、累積など)及び/又は最新性が、織り込まれ得る。そのような実例において、乗員は物体を見たという肯定的判定を含むために、乗員は、継続期間閾値-たとえば、いくつかのフレーム、たとえば、5又は10フレーム、期間、たとえば、0.5秒、1秒、2秒、など-にわたって物体を見る(たとえば、重複閾値を使用して物体を見たと判定される)ことが必要なことがある。いくつかの実施例において、継続期間は、期間又は(スライド)時間ウインドウにわたる累積的継続期間でもよい。非限定的実例として、累積的継続期間が1秒であり、期間が5秒である場合に、重複が4分の1秒にわたって生じ、次いで、3秒後に、別の重複が4分の3秒にわたって生じた場合、累積的継続期間は、期間内に満たされ得、乗員は物体を見たと判定され得る。いくつかの実例において、乗員が、時間ウインドウ内に物体を見たと判定されなければならないことがあるような、最新性判定が、追加で又は別法として使用され得る。たとえば、乗員は、最終判定が乗員は物体を見たということになるために、現在のフレーム又は時間ステップの3秒、5秒、10秒など以内に物体を見なければならないことがある。
【0033】
比較器120は、乗員は物体を見たという信頼度(たとえば、重複の量、重複の継続期間、重複の最新性などに基づく)、重複値(たとえば、パーセンテージ)、重複継続期間、重複最新性、及び/又は乗員は物体を見たという別の値、スコア、若しくは確率を、各時間ステップにおいて、出力することができる。この判定は、各物体タイプについて及び/又はその各インスタンスについて行われ得る。たとえば、アクション決定124が、通知決定器を含み、システムが、見られていない(及び/又は未処理の)レーン・マーカの通知及び見られていない(及び/又は未処理の)歩行者の通知を発するように構成される場合、比較器120は、各レーン・マーカに対応する予測及び各歩行者に対応する予測を出力することができる(たとえば、各時間ステップ又はフレームにおいて)。そのようなものとして、状態マシン122及び/又はアクション決定器124決定器は、レーン・マーカ、歩行者、又はその組合せに対応する出力を生成する及び/又は決定を行うことができる。別の実例として、アクション決定器124が、1つ又は複数のADASシステムに対応する場合、レーン・マーカに対応する状態情報は、歩行者に対応する状態情報とは異なるアクションに対応し得る。そのようなものとして、異なる物体タイプ及び/又はそのインスタンスに対応する比較器120からの別個の出力は、実行する(又は実行を控える)べき正しいアクションの決定においてアクション決定器124にとって有用であるだけでなく、特定の物体タイプ又はインスタンスに関する乗員の状態の判定においてシステムにとっても有用になり得る。
【0034】
状態マシン122は、比較器120、注意力判定器108、及び/又は認知負荷判定器110からの出力を、入力として、受信することができ、乗員-たとえば、運転者-の状態を判定することができる。いくつかの実例において、状態マシン122は、どのアクションを実行する又は実行しない(たとえば、通知を抑制する)かを決定するときにアクション決定器124によって使用され得る単一の状態(たとえば、気付いている、注意散漫、集中しているなど)を判定することができる。他の実例において、状態マシン122は、1つ又は複数の異なるタイプのアクションに関する決定を行うためにアクション決定器124によって使用され得る各物体タイプ及び/又はそのインスタンスに関する状態を判定することができる。いくつかの実施例において、状態マシン122は、様々なレベル又は処理-たとえば、階層的状態判定プロセス-に基づいて状態を判定することができる。たとえば、重複閾値(たとえば、重複量、重複継続期間、重複最新性など)が満たされてない-たとえば、乗員は物体を見なかった及び/又は処理しなかった可能性があることを示す-場合、気付いていない又は不注意な状態が判定され得る。そのような一実例では、処理の次のレベル-たとえば、注意力判定器108及び/又は認知負荷判定器110からの出力を処理するための-は、実行されなくてもよい。そのようなものとして、乗員が、比較器120によって、物体-たとえば、VRU-を見たと判定されなかった場合、物体を見なかった結果として実行されることになるアクションが、実行され得る(たとえば、通知又は警告を生成及び/又は出力するために、ADASシステム、たとえば、自動緊急ブレーキ(AEB)システム、を起動するためになど)。
【0035】
いくつかの実施例において、重複閾値が満たされなかった場合でも、状態マシン122は、注意力判定器108及び/又は認知負荷判定器110からの出力をさらに処理して、結合された状態-たとえば、注意深い(たとえば、道路スキャン・ビヘイビアは注意力を示す)が気付いていない(たとえば、重複閾値は満たされなかった、そして、乗員は物体を見なかった可能性がある)-を判定し得る。そのような一実例では、異なる階層又はタイプのアクションが実行され得る。AEBシステムを有する前述の実例では、乗員が、注意深い(及び/又は低い認知負荷を有する)が気付いていないと判定された場合、AEBシステムは、実行されなくてもよいが、通知又は警告が、乗員に対して生成及び出力され得る-たとえば、可聴式で、触覚で、視覚的に、及び/又は他の方法で。一実例では、重複閾値が満たされず、注意力が低い及び/又は認知負荷が高い場合、より予防的なアクションが取られ得る。たとえば、通知が出力され得る、ADASシステムが実行され得る、及び/又は-車両500が自律対応車両である場合に-自律制御が引き受けられ得る(たとえば、道路の脇に寄せるなどの安全操作を実行するために)。
【0036】
重複閾値が満たされる-たとえば、運転者は物体を見たということを示す-場合、状態マシン122は、注意力判定器108及び/又は認知負荷判定器110からの出力を使用して最終状態を判定することができる。たとえば、乗員が気付いている-たとえば、比較器120からの重複情報によって示されるように-場合、注意力スコア、値、レベルなど及び/又は認知負荷スコア、値、レベルなどが、最終状態を判定するために状態マシン122によって分析され得る。そのようなものとして、乗員が物体(たとえば、歩行者、車両、待ち状態、交差点、ポール、標識など)を見たと判定された場合でも、状態マシン122は、物体の知覚を処理した乗員の能力(たとえば、認知負荷に基づく)又は可能性(たとえば、注意力に基づく)を判定するために使用され得る。たとえば、運転者が、エゴ車両500の前の少し離れた車両を見た(たとえば、運転者の推定された視界と車両の位置との比較に基づいて見たと判定された)が、高い認知負荷及び/又は低い注意力を有すると判定された(たとえば、ヒート・マップ、凝視などに基づいて)場合、状態は、気付いている(たとえば、車両に)が不注意(たとえば、潜在的に車両の存在を処理しなかった)を含み得る。そのような実例において、アクション決定器124は、乗員が物体に気付いていなかったかのように、アクションを実行することができる、及び/又はより低いレベルのアクション-たとえば、通知又は警告を発すること及びADASシステム(たとえば、AEB)を実行しないこと-を発することができる。
【0037】
いくつかの実施例において、状態マシン122の状態判定は、状態を判定するときに環境条件(たとえば、天気、時刻など)及び/又は運転条件(たとえば、交通、道路条件など)を織り込むことができる。たとえば、いくつかの実施例において、注意力、認知負荷、及び/又は重複判定は、環境及び/又は運転条件を織り込むことができ、そして、状態マシン122は、この情報に基づいて状態を判定することができる。他の実施例において、環境及び/又は運転条件を織り込む注意力判定器108、認知負荷判定器110、及び/又は比較器120に加えて又はその代わりに、状態マシン122は、状態を判定するときに環境及び/又は運転条件を織り込むことができる。たとえば、注意力のある種の値、スコア、及び/又はレベルは、天気が晴天である及び外が明るいとき(たとえば、昼間)には気付いている及び/又は注意深い運転者を示し得るが、雪が降っている及び/又は外が暗いとき(たとえば、夜間)には気付いていない及び/又は不注意な運転者を示し得る。
【0038】
アクション決定器124は、警告及び通知システム、ADASシステム、自律運転ソフトウェア・スタックの制御システム若しくは制御レイヤ、自律運転スタックのプランニング・システム若しくはレイヤ、衝突回避システム若しくはレイヤ又は自律運転スタック、自律運転スタックの作動システム若しくはレイヤなどを含み得る、或いはその一部でもよい。アクション決定器124は、状態が対応する主体(又は物体)に応じて異なるアクションを実行し得る。非限定的実例として、走行表面上の動的物体(たとえば、車両、歩行者、自転車運転者など)について、アクション決定器124は、通知タイプ、実行する又は関与させるADASシステム、実行する又は関与させる自律システムなどを決定することができる。道路から外れた物体、たとえば、ポール、歩行者、及び/又は同類のもの、について、アクション決定器124は、通知タイプを判定することができるが、車両500もまた現在道路を外れている又は道路を外れて向かっているのでない限りADAS又は自律機能を関与させないことが可能である。待ち状態(たとえば、街路灯、停止標識など)について、アクション決定器124は、実行する又は関与させる通知タイプ及び/又はADASシステム-たとえば、信号が赤である及び乗員が赤信号を見なかったと判定される場合、停止信号において車両500を停止すること-を決定することができる。
【0039】
ここで
図4を参照すると、本明細書に記載の、方法400の各ブロックは、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアの任意の組合せを使用して実行することができる計算プロセスを含む。たとえば、様々な機能が、メモリに記憶された命令を実行するプロセッサによって、実施され得る。方法400はまた、コンピュータ記憶媒体に記憶されたコンピュータ使用可能命令として実施され得る。方法400は、いくつか例を挙げると、独立型アプリケーション、サービス又はホスト型サービス(独立型の又は別のホスト型サービスと組み合わせた)、或いは別の製品へのプラグインによって提供され得る。加えて、方法400、例として、
図1のプロセス100に関して、説明されている。しかしながら、この方法400は、追加で又は別法として、本明細書に記載のものを含むが、これらに限定されない、任意の1つのプロセス及び/又は任意の1つのシステム、或いは任意の組合せのプロセス及び/又はシステムによって、実行され得る。
【0040】
図4は、本開示のいくつかの実施例による、運転者注意力及び/又は認知負荷に基づいてアクションを決定するための方法400を示す流れ図である。方法400は、ブロックB402において、車両の乗員の注視情報を決定することを含む。たとえば、アイ・トラッカ106は、車両500の乗員-たとえば、運転者-の現在の注視又は視界を判定するために使用され得る注視情報(たとえば、注視ベクトル)及び/又は他の情報を決定することができる。
【0041】
方法400は、ブロックB404において、車両の外部の注視情報の表現を投影することを含む。たとえば、投影(たとえば、
図3の投影306)が、注視情報に基づいて生成され得、その投影は、乗員の視界の少なくとも一部分に対応し得る。
【0042】
方法400は、ブロックB406において、車両の外部の1つ又は複数の物体に対応する物体位置情報を、1つ又は複数のDNNを使用して、計算することを含む。たとえば、1つ又は複数のDNN112は、車両500の外部の環境における1つ又は複数の物体、主体、及び/又は他の情報に対応する位置及び/又は意味論的情報を計算するために使用され得る。非限定的実例として、動的アクタ、静的物体、待ち状態、車線境界線、道路境界、ポール、及び/又は標識に関する位置及び/又は意味論的情報が、DNN112を使用して、計算され得る。
【0043】
方法400は、ブロックB408において、表現と1つ又は複数の物体との間の閾値重複が満たされているかどうかを判定することを含む。たとえば、比較器120は、注視の表現(たとえば、投影306)を環境内の-たとえば、同じ座標系内の-物体と比較して、閾値量の重複が生じたかどうかを判定することができる。閾値量の重複はまた、重複が現在の時間から時間ウインドウ内で、時間ウインドウ内の累積時間にわたって、及び/又は十分に長い連続的継続期間にわたって生じたかどうかを判定することを含み得る。
【0044】
閾値重複が、ブロックB408において満たされない場合、方法400は、ブロックB410に進むことができる。ブロックB410は、第1のアクションを実行することを含む。たとえば、乗員は物体を見なかったことを示し得る、閾値量の重複が存在しない(及び/又は他の閾値が満たされない、たとえば、最新性、継続期間など)場合、第1のアクションが実行され得る。たとえば、警告又は通知が生成及び出力され得る、1つ又は複数のADASシステムが起動され得る、及び/又は同類のこと。
【0045】
閾値重複が、ブロックB408で満たされる場合、方法400はブロックB412に進むことができる。ブロックB412は、乗員の認知負荷又は乗員の注意力のうちの少なくとも1つを判定することを含む。たとえば、重複閾値が満たされること-たとえば、乗員は物体を見たことを示す-により、認知負荷判定器110は乗員の認知負荷を判定することができる及び/又は注意力判定器108は乗員の注意力を判定することができる。この情報は、乗員が物体の知覚を処理することができたかどうかを判定するために、ブロックB414において、使用され得る。
【0046】
方法400は、ブロックB414において、認知負荷が第1の閾値を超える及び/又は注意力が第2の閾値未満であるかどうかを判定することを含む。たとえば、認知負荷が第1の閾値を超える-たとえば、乗員は物体の知覚を処理するような能力を現在有さないということを示す-場合、方法400はブロックB416に進むことができる。同様に、注意力が第2の閾値未満である-乗員は物体の知覚を処理するような能力を現在有さないということを示す-場合、方法400はブロックB416に進むことができる。いくつかの実施例において、注意力及び認知負荷の何らかの組合せが、ブロックB416に進むことを決定するために使用され得る。ブロックB416は、第2のアクションを実行することを含む。たとえば、第2のアクションは、実施例において、第1のアクションと同じでもよい。そのようなものとして、乗員がブロックB408において物体を見なかったと判定された場合及び/又は乗員は物体を見たが物体を完全には処理しなかったと判定された-たとえば、高い認知負荷及び/又は低い注意力により-場合、実行されるアクションは同じになり得る。しかしながら、いくつかの実施例において、第2のアクションは、第1のアクションとは異なり得る。たとえば、乗員は物体を見たと判定されたが、ブロックB414における判定は、乗員は物体を完全には処理しなかった可能性があるということである場合、通知又は警告が発せられ得るが、1つ又は複数のADASシステムは実行されないことがある(少なくとも最初に)。別の実例として、第1のアクションは、可聴式及び視覚的警告を含み得、第2のアクションは、視覚的警告-たとえば、乗員は物体を見たと判定されたので、厳しくない警告-のみを含み得る。
【0047】
別の実例として、認知負荷が第1の閾値未満である-たとえば、乗員は物体の知覚を処理するより高い能力を現在有することを示す-場合、方法400はブロックB418に進むことができる。同様に、注意力が第2の閾値を超える-たとえば、乗員は物体の知覚を処理するより高い能力を現在有するということを示す-場合、方法400はブロックB418に進むことができる。ブロックB418は、第3のアクションを実行することを含む。たとえば、認知負荷が低い及び/又は注意力が高い、及びブロックB408において乗員は物体を見たと判定された場合、第3のアクションが実行され得る。いくつかの実施例において、第3のアクションは、アクションを実行しないこと、又はアクションを抑制すること-たとえば、通知を抑制すること-を含み得る。そのようなものとして、乗員が物体を見た及び低い認知負荷及び/又は高い注意力を有すると判定された場合、通知、ADASシステム、及び/又は他のアクションは、車両の警告、通知、及び/又は自律又は半自律起動の数を減らすために、抑制され得る。そのようなものとして、プロセス100及び/又は方法400は、乗員の状態に基づいて取るべきアクションを決定するために階層的決定木を実行することができる。
【0048】
例示的自律型車両
図5Aは、本開示のいくつかの実施例による、例示的自律型車両500の図である。自律型車両500(或いは本明細書で「車両500」と称される)は、旅客車両、たとえば、乗用車、トラック、バス、ファースト・レスポンダ車両、シャトル、電気又は原動機付自転車、オートバイ、消防車、警察車両、救急車、ボート、建設車両、潜水艦、ドローン、及び/又は別のタイプの車両(たとえば、無人の及び/又は1人若しくは複数の乗客を乗せた)、を含み得るが、これらに限定されない。自律型車両は、一般に、米国運輸省道路交通安全局(NHTSA:National Highway Traffic Safety Administration)、米国運輸省の部署、及び自動車技術者協会(SAE:Society of Automotive Engineers)「Taxonomy and Definitions for Terms Related to Driving Automation Systems for On-Road Motor Vehicle」(2018年6月15日に公開された規格番号J3016-201806、2016年9月30日に公開された規格番号J3016-201609、及びこの規格の前の及び未来のバージョン)によって定義される、自動化レベルに関して記述される。移動車500は、自律運転レベルのレベル3~レベル5のうちの1つ又は複数による機能の能力を有し得る。たとえば、移動車500は、実施例に応じて、条件付き自動化(レベル3)、高度自動化(レベル4)、及び/又は完全自動化(レベル5)の能力を有し得る。
【0049】
移動車500は、移動車のシャシ、車体、車輪(たとえば、2、4、6、8、18など)、タイヤ、車軸、及び他の構成要素などの構成要素を含み得る。移動車500は、内部燃焼エンジン、ハイブリッド動力装置、完全な電気式エンジン、及び/又は別の推進システム・タイプなど、推進システム550を含み得る。推進システム550は、移動車500の推進力を有効にするために、トランスミッションを含み得る、移動車500のドライブ・トレインに接続され得る。推進システム550は、スロットル/加速装置552からの信号の受信に応答して制御され得る。
【0050】
ハンドルを含み得る、ステアリング・システム554は、推進システム550が動作しているときに(たとえば、移動車が移動中のときに)移動車500のかじを取る(たとえば、所望の進路又はルートに沿って)ために使用され得る。ステアリング・システム554は、ステアリング・アクチュエータ556から信号を受信することができる。ハンドルは、完全自動化(レベル5)機能のオプションでもよい。
【0051】
ブレーキ・センサ・システム546は、ブレーキ・アクチュエータ548及び/又はブレーキ・センサからの信号の受信に応答して移動車ブレーキを動作させるために使用され得る。
【0052】
1つ又は複数のシステム・オン・チップ(SoC:system on Chip)504(
図5C)及び/又はGPUを含み得る、コントローラ536は、移動車500の1つ若しくは複数の構成要素及び/又はシステムに信号(たとえば、コマンドの表現)を提供することができる。たとえば、コントローラは、1つ又は複数のブレーキ・アクチュエータ548を介して移動車ブレーキを動作させて、1つ又は複数のステアリング・アクチュエータ556を介してステアリング・システム554を動作させて、1つ又は複数のスロットル/加速装置552を介して推進システム550を動作させるために、信号を送ることができる。コントローラ536は、センサ信号を処理する、並びに律的運転を可能にするために及び/又は運転者の移動車500の運転を支援するために動作コマンド(たとえば、コマンドを表す信号)を出力する、1つ又は複数の搭載された(たとえば、統合された)計算デバイス(たとえば、スーパーコンピュータ)を含み得る。コントローラ536は、自律運転機能のための第1のコントローラ536、機能的安全性機能のための第2のコントローラ536、人工知能機能(たとえば、コンピュータ・ビジョン)のための第3のコントローラ536、インフォテインメント機能のための第4のコントローラ536、緊急状態における冗長性のための第5のコントローラ536、及び/又は他のコントローラを含み得る。いくつかの実例では、単一のコントローラ536が、前述の機能のうちの2個以上を処理することができ、2個以上のコントローラ536が、単一の機能、及び/又はその任意の組合せを処理することができる。
【0053】
コントローラ536は、1つ又は複数のセンサから受信したセンサ・データ(たとえば、センサ入力)に応答して移動車500の1つ若しくは複数の構成要素及び/又はシステムを制御するための信号を提供することができる。センサ・データは、たとえば、そして制限なしに、全地球的航法衛星システム・センサ558(たとえば、グローバル・ポジショニング・システム・センサ)、RADARセンサ560、超音波センサ562、LIDARセンサ564、慣性計測装置(IMU:inertial measurement unit)センサ566(たとえば、加速度計、ジャイロスコープ、磁気コンパス、磁力計など)、マイクロフォン596、ステレオ・カメラ568、ワイドビュー・カメラ570(たとえば、魚眼カメラ)、赤外線カメラ572、サラウンド・カメラ574(たとえば、360度カメラ)、長距離及び/又は中距離カメラ598、スピード・センサ544(たとえば、移動車500のスピードを測定するための)、振動センサ542、ステアリング・センサ540、ブレーキ・センサ(たとえば、ブレーキ・センサ・システム546の一部としての)、及び/又は他のセンサ・タイプから受信され得る。
【0054】
コントローラ536のうちの1つ又は複数のコントローラは、移動車500の計器群532から入力(たとえば、入力データによって表される)を受信し、出力(たとえば、出力データ、表示データなどによって表される)をヒューマン・マシン・インターフェース(HMI:human-machine interface)ディスプレイ534、可聴式アナンシエータ、ラウドスピーカ、及び/又は移動車500の他の構成要素を介して提供することができる。出力は、移動車ベロシティ、スピード、時間、マップ・データ(たとえば、
図5CのHDマップ522)、位置データ(たとえば、マップ上などの、移動車の500の位置)、方向、他の移動車の位置(たとえば、占有グリッド)、コントローラ536によって把握されるものとしての物体及び物体の状況に関する情報などの、情報を含み得る。たとえば、HMIディスプレイ534は、1つ又は複数の物体(たとえば、道路標識、警告標識、交通信号の変化など)の存在、及び/又は移動車が行った、行っている、又は行うであろう運転操作(たとえば、今、車線変更をしていること、3.22km(2マイル)内の出口34Bを出ることなど)に関する情報を表示することができる。
【0055】
移動車500はさらに、1つ若しくは複数のワイヤレス・アンテナ526及び/又はモデムを使用して1つ若しくは複数のネットワークを介して通信することができるネットワーク・インターフェース524を含む。たとえば、ネットワーク・インターフェース524は、LTE、WCDMA(登録商標)、UMTS、GSM、CDMA2000などを介する通信の能力を有し得る。ワイヤレス・アンテナ526はまた、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)LE、Z-Wave、Zigbee(登録商標)などのローカル・エリア・ネットワーク、及び/又はLoRaWAN、SigFoxなどのロー・パワー・ワイドエリア・ネットワーク(LPWAN:low power wide-area network)を使用し、環境内の物体(たとえば、移動車、モバイル・デバイスなど)の間の通信を可能にすることができる。
【0056】
図5Bは、本開示のいくつかの実施例による、
図5Aの例示的自律型車両500のカメラ位置及び視野の実例である。カメラ及びそれぞれの視野は、1つの例示的実施例であり、制限することは意図されていない。たとえば、追加の及び/又は代替カメラが含まれ得る、及び/又はカメラは移動車500の異なる位置に置かれ得る。
【0057】
カメラのカメラ・タイプは、移動車500の構成要素及び/又はシステムと使用するようになされ得るデジタル・カメラを含み得るが、これに限定されない。カメラは、自動車安全整合性レベル(ASIL:automotive safety integrity level)Bにおいて及び/又は別のASILにおいて動作することができる。カメラ・タイプは、実施例に応じて、60フレーム/秒(fps)、120fps、240fpsなど、任意の画像キャプチャ・レートの能力を有し得る。カメラは、ロール・シャッタ、グローバル・シャッタ、別のタイプのシャッタ、又はその組合せを使用する能力を有し得る。いくつかの実例では、カラー・フィルタ・アレイは、RCCC(red clear clear clear)カラー・フィルタ・アレイ、RCCB(red clear clear blue)カラー・フィルタ・アレイ、RBGC(red blue green clear)カラー・フィルタ・アレイ、Foveon X3カラー・フィルタ・アレイ、Bayerセンサ(RGGB)カラー・フィルタ・アレイ、モノクロ・センサ・カラー・フィルタ・アレイ、及び/又は別のタイプのカラー・フィルタ・アレイを含み得る。一部の実施例では、RCCC、RCCB、及び/又はRBGCカラー・フィルタ・アレイを有するカメラなどのクリア画素カメラは、光感度を上げるための取り組みにおいて使用され得る。
【0058】
いくつかの実例では、カメラのうちの1つ又は複数が、高度運転者支援システム(ADAS:advanced driver assistance system)機能(たとえば、冗長又はフェイルセーフ設計の一部として)を実行するために使用され得る。たとえば、多機能モノ・カメラは、車線逸脱警報、交通標識アシスト及びインテリジェント・ヘッドランプ制御を含む機能を提供するために設置され得る。カメラのうちの1つ又は複数(たとえば、すべてのカメラ)が、画像データ(たとえば、ビデオ)を同時に記録及び提供することができる。
【0059】
カメラのうちの1つ又は複数は、カメラの画像データ・キャプチャ能力を妨げることがある自動車内からの迷光及び反射(たとえば、フロントガラスのミラーにおいて反射されたダッシュボードからの反射)を取り除くために、カスタム設計された(3D印刷された)部品などの取付部品において取り付けられ得る。サイドミラー取付部品を参照すると、サイドミラー部品は、カメラ取付板がサイドミラーの形状に合うように、カスタム3D印刷され得る。いくつかの実例では、カメラは、サイドミラー内に統合され得る。サイドビュー・カメラについては、カメラはまた、キャビンの各角にある4個の支柱内に統合され得る。
【0060】
移動車500の前の環境の部分を含む視野を有するカメラ(たとえば、前向きのカメラ)は、前向きの進路及び障害物の識別を助け、1つ若しくは複数のコントローラ536及び/又は制御SoCの助けにより、占有グリッドの生成及び/又は好ましい移動車進路の決定に不可欠な情報の提供の提供を助けるための、サラウンド・ビューのために使用され得る。前向きのカメラは、緊急ブレーキ、歩行者検出、及び衝突回避を含む、LIDARと同じADAS機能の多くを実行するために使用され得る。前向きのカメラはまた、車線逸脱警報(「LDW(Lane Departure Warning)」)、自律的クルーズ制御(「ACC(Autonomous Cruise Control)」)、及び/又は交通標識認識などの他の機能を含むADAS機能及びシステムのために使用され得る。
【0061】
様々なカメラが、たとえば、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)カラー画像化装置を含む単眼カメラ・プラットフォームを含む、前向きの構成において使用され得る。別の実例は、周辺(たとえば、歩行者、交差する交通又は自転車)からのビューに入る物体を把握するために使用され得るワイドビュー・カメラ570でもよい。
図5Bにはワイドビュー・カメラは1つだけ示されているが、移動車500には任意の数のワイドビュー・カメラ570が存在し得る。加えて、長距離カメラ598(たとえば、ロングビュー・ステレオ・カメラ・ペア)が、特に、ニューラル・ネットワークがまだトレーニングされていない物体について、深度ベースの物体検出のために使用され得る。長距離カメラ598はまた、物体検出及び分類、並びに基本物体追跡のために使用され得る。
【0062】
1つ又は複数のステレオ・カメラ568もまた、前向きの構成に含まれ得る。ステレオ・カメラ568は、単一のチップ上に統合されたCAN又はイーサネット(登録商標)・インターフェースを有するプログラマブル論理(FPGA)及びマルチコア・マイクロプロセッサを提供し得る、拡張可能な処理ユニットを備えた統合された制御ユニットを含み得る。そのようなユニットは、画像内のすべてのポイントの距離推定値を含む、移動車の環境の3Dマップを生成するために使用され得る。代替ステレオ・カメラ568は、2個のカメラ・レンズ(左と右に1つずつ)と、移動車から対象物体までの距離を測定する及び生成された情報(たとえば、メタデータ)を使用して自律的緊急ブレーキ及び車線逸脱警報機能をアクティブにすることができる画像処理チップとを含み得る、コンパクト・ステレオ・ビジョン・センサを含み得る。他のタイプのステレオ・カメラ568が、本明細書に記載のものに加えて、又はそれらの代わりに、使用されてもよい。
【0063】
移動車500の側面に対する環境の部分を含む視野を有するカメラ(たとえば、サイドビュー・カメラ)が、占有グリッドを作成及び更新するために並びに側面衝撃衝突警報を生成するために使用される情報を提供する、サラウンド・ビューのために使用され得る。たとえば、サラウンド・カメラ574(たとえば、
図5Bに示されるような4個のサラウンド・カメラ574)は、移動車500上に位置付けられ得る。サラウンド・カメラ574は、ワイドビュー・カメラ570、魚眼カメラ、360度カメラ、及び/又は同類のものを含み得る。たとえば、4個の魚眼カメラが、移動車の前、後ろ、及び側面に配置され得る。代替配置において、移動車は、3個のサラウンド・カメラ574(たとえば、左、右、及び後部)を使用してもよく、第4のサラウンド・ビュー・カメラとして1つ又は複数の他のカメラ(たとえば、前向きのカメラ)を活用してもよい。
【0064】
移動車500の後ろに対する環境の部分を含む視野を有するカメラ(たとえば、後方確認カメラ)が、駐車支援、サラウンド・ビュー、後部衝突警報、並びに占有グリッドの作成及び更新のために使用され得る。本明細書に記載のように、前向きのカメラ(たとえば、長距離及び/又は中距離カメラ598、ステレオ・カメラ568)、赤外線カメラ572など)としても適したカメラを含むがこれらに限定されない、多種多様なカメラが使用され得る。
【0065】
図5Cは、本開示のいくつかの実施例による、
図5Aの例示的自律型車両500の例示的システム・アーキテクチャのブロック図である。本明細書に記載されているこの及び他の配置は単に実例として説明されていることを理解されたい。他の配置及び要素(たとえば、マシン、インターフェース、機能、順番、機能のグループ分けなど)が、示されたものに加えて又はこれらに代わって使用されてもよく、いくつかの要素はともに除外されてもよい。さらに、本明細書に記載の要素の多くは、個別の又は分散された構成要素として又は他の構成要素と併せて、並びに任意の適切な組合せ及び場所において、実装され得る機能エンティティである。エンティティによって実行されるものとして本明細書に記載された様々な機能は、ハードウェア、ファームウェア、及び/又はソフトウェアによって実施され得る。たとえば、様々な機能が、メモリに記憶された命令を実行するプロセッサによって実施され得る。
【0066】
図5Cの移動車500の構成要素、特徴、及びシステムのそれぞれは、バス502を介して接続されるものとして図示されている。バス502は、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)データ・インターフェース(或いは、「CANバス」と称される)を含み得る。CANは、ブレーキ、加速度、ブレーキ、ステアリング、フロントガラス・ワイパなどの作動など、移動車500の様々な特徴及び機能の制御を助けるために使用される移動車500内のネットワークでもよい。CANバスは、それぞれが独自の一意の識別子(たとえば、CAN ID)を有する、数ダース又は数百ものノードを有するように構成され得る。CANバスは、ハンドル角度、対地速度、1分間のエンジン回転(RPM:revolutions per minute)、ボタン位置、及び/又は他の移動車状況指標を見つけるために読み取られ得る。CANバスは、ASIL B準拠でもよい。
【0067】
バス502は、CANバスであるものとして本明細書に記載されているが、これは制限することを意図されていない。たとえば、CANバスに加えて、又はこのその代替として、FlexRay及び/又はイーサネット(登録商標)が使用されてもよい。加えて、単一の線が、バス502を表すために使用されているが、これは制限することを意図されていない。たとえば、1つ若しくは複数のCANバス、1つ若しくは複数のFlexRayバス、1つ若しくは複数のイーサネット(登録商標)・バス、及び/又は異なるプロトコルを使用する1つ若しくは複数の他のタイプのバスを含み得る、任意の数のバス502が存在し得る。いくつかの実例では、2個以上のバス502が、異なる機能を実行するために使用され得る、及び/又は冗長性のために使用され得る。たとえば、第1のバス502は衝突回避機能のために使用されてもよく、第2のバス502は作動制御のために使用されてもよい。任意の実例において、各バス502は、移動車500の構成要素のいずれかと通信し得、2個以上のバス502が同じ構成要素と通信し得る。いくつかの実例では、移動車内の各SoC504、各コントローラ536、及び/又は各コンピュータは、同じ入力データ(たとえば、移動車500のセンサからの入力)へのアクセスを有し得、CANバスなどの共通バスに接続され得る。
【0068】
移動車500は、
図5Aに関して本明細書で説明されるものなど、1つ又は複数のコントローラ536を含み得る。コントローラ536は、様々な機能のために使用され得る。コントローラ536は、移動車500の様々な他の構成要素及びシステムのいずれかに連結されてもよく、移動車500、移動車500の人工知能、移動車500のためのインフォテインメント、及び/又は同類のものの制御のために使用され得る。
【0069】
移動車500は、システム・オン・チップ(SoC)504を含み得る。SoC504は、CPU506、GPU508、プロセッサ510、キャッシュ512、加速装置514、データ・ストア516、及び/又は図示されていない他の構成要素及び特徴を含み得る。SoC504は、様々なプラットフォーム及びシステム内の移動車500を制御するために使用され得る。たとえば、SoC504は、1つ又は複数のサーバ(たとえば、
図5Dのサーバ578)からネットワーク・インターフェース524を介してマップのリフレッシュ及び/又は更新を取得することができるHDマップ522を有するシステム(たとえば、移動車500のシステム)において結合され得る。
【0070】
CPU506は、CPUクラスタ又はCPU複合体(或いは、「CCPLEX」とも称される)を含み得る。CPU506は、複数のコア及び/又はL2キャッシュを含み得る。たとえば、一部の実施例では、CPU506は、コヒーレント・マルチプロセッサ構成内の8個のコアを含み得る。一部の実施例では、CPU506は、4個のデュアルコア・クラスタを含むことができ、各クラスタが専用のL2キャッシュ(たとえば、2MBL2キャッシュ)を有する。CPU506(たとえば、CCPLEX)は、CPU506のクラスタの任意の組合せが任意の所与の時間にアクティブになることを可能にする同時クラスタ動作をサポートするように構成され得る。
【0071】
CPU506は、以下の特徴のうちの1つ又は複数を含む電力管理能力を実装することができる:個別ハードウェア・ブロックが、動的電力を節約するためにアイドル状態のときに自動的にクロック・ゲーティングされ得る、各コア・クロックは、WFI/WFE命令の実行により命令をコアがアクティブに実行していないときにゲーティングされ得る、各コアは、独立してパワー・ゲーティングされ得る、各コア・クラスタは、すべてのコアがクロック・ゲーティングされる若しくはパワー・ゲーティングされるときに、独立してクロック・ゲーティングされ得る、及び/又は、各コア・クラスタは、すべてのコアがパワー・ゲーティングされるときに、独立してパワー・ゲーティングされ得る。CPU506は、電力状態を管理するための強化されたアルゴリズムをさらに実装することができ、そこでは、許容される電力状態及び予想されるウェイクアップ時間が指定され、ハードウェア/マイクロ・コードが、コア、クラスタ、及びCCPLEXに入力するための最良の電力状態を決定する。処理コアは、作業がマイクロ・コードにオフロードされたソフトウェアにおける簡略化された電力状態入力シーケンスをサポートすることができる。
【0072】
GPU508は、統合されたGPU(或いは本明細書において「iGPU」と称される)を含み得る。GPU508は、プログラマブルになり得、並行のワークロードに効率的になり得る。一部の実例では、GPU508は、強化されたテンソル命令セットを使用することができる。GPU508は、1つ又は複数のストリーミング・マイクロプロセッサを含み得、そこで、各ストリーミング・マイクロプロセッサは、L1キャッシュ(たとえば、少なくとも96KB記憶容量を有するL1キャッシュ)を含み得、ストリーミング・マイクロプロセッサのうちの2個以上が、キャッシュ(たとえば、512KB記憶容量を有するL2キャッシュ)を共用し得る。一部の実施例では、GPU508は、少なくとも8個のストリーミング・マイクロプロセッサを含み得る。GPU508は、計算アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を使用することができる。加えて、GPU508は、1つ若しくは複数の並行のコンピューティング・プラットフォーム及び/又はプログラミング・モデル(たとえば、NVIDIAのCUDA)を使用することができる。
【0073】
GPU508は、自動車の及び組み込まれた使用事例における最高のパフォーマンスのために電力最適化され得る。たとえば、GPU508は、FinFET(Fin field-effect transistor)上に製造され得る。しかしながら、これは制限することを意図されておらず、GPU508は、他の半導体製造プロセスを使用し、製造され得る。各ストリーミング・マイクロプロセッサは、複数のブロックに区切られたいくつかの混合精度処理コアを組み込むことができる。限定ではなく、たとえば、64 PF32コア及び32 PF64コアは、4個の処理ブロックに区切られてもよい。そのような実例では、各処理ブロックは、16 FP32コア、8 FP64コア、16 INT32コア、深層学習行列演算のための2個の混合精度NVIDIAテンソル・コア、L0命令キャッシュ、ワープ・スケジューラ、発送ユニット、及び/又は64KBレジスタ・ファイルを割り当てられ得る。加えて、ストリーミング・マイクロプロセッサは、計算及びアドレス指定演算の混合を有するワークロードの効率的な実行を提供するための独立した並行の整数及び浮動小数点データ進路を含み得る。ストリーミング・マイクロプロセッサは、並行スレッドの間のより高い細粒度の同期及び連携を可能にするために、独立したスレッド・スケジューリング能力を含み得る。ストリーミング・マイクロプロセッサは、プログラミングを単純化しつつ性能を向上させるために、結合されたL1データ・キャッシュ及び共用メモリ・ユニットを含み得る。
【0074】
GPU508は、一部の実例では、900GB/秒のピーク・メモリ帯域幅に関して、提供するための高帯域幅メモリ(HBM:high bandwidth memory)及び/又は16GBHBM2メモリ・サブシステムを含み得る。いくつかの実例では、HBMメモリに加えて、又はこれの代わりに、グラフィックス・ダブル・データ・レート・タイプ5同期ランダム・アクセス・メモリ(GDDR5:graphics double data rate type five synchronous random-access memory)などの同期グラフィックス・ランダム・アクセス・メモリ(SGRAM:synchronous graphics random-access memory)が使用され得る。
【0075】
GPU508は、メモリ・ページに最も頻繁にアクセスするプロセッサへのそれらのメモリ・ページのより正確な移動を可能にするためにアクセス・カウンタを含む統一されたメモリ技術を含むことができ、それにより、プロセッサ間で共用される記憶範囲の効率を向上させる。いくつかの実例では、アドレス変換サービス(ATS:address translation service)サポートが、GPU508がCPU506ページ・テーブルに直接アクセスすることを可能にするために使用され得る。そのような実例では、GPU508メモリ管理ユニット(MMU:memory management unit)がミスを経験するとき、アドレス変換要求が、CPU506に送信され得る。応答して、CPU506は、アドレスの仮想対現実マッピングのためのそのページ・テーブルを調べることができ、GPU508に変換を送り返す。そのようなものとして、統一されたメモリ技術は、CPU506とGPU508との両方のメモリの単一統一仮想アドレス空間を可能にすることができ、それによりGPU508へのアプリケーションのGPU508プログラミング及び移植を単純化する。
【0076】
加えて、GPU508は、他のプロセッサのメモリへのGPU508のアクセスの頻度を記録することができるアクセス・カウンタを含み得る。アクセス・カウンタは、メモリ・ページが最も頻繁にそのページにアクセスしているプロセッサの物理メモリに移動されることを確実にするのを助けることができる。
【0077】
SoC504は、本明細書に記載のものを含む任意の数のキャッシュ512を含み得る。たとえば、キャッシュ512は、CPU506とGPU508との両方に利用可能な(たとえば、CPU506とGPU508との両方に接続された)L3キャッシュを含み得る。キャッシュ512は、キャッシュ・コヒーレンス・プロトコル(たとえば、MEI、MESI、MSIなど)を使用することなどによって、線の状態を記録することができるライトバック・キャッシュを含み得る。L3キャッシュは、より小さいキャッシュ・サイズが使用されてもよいが、実施例に応じて、4MB以上を含み得る。
【0078】
SoC504は、車両500の様々なタスク又は動作のいずれか(たとえば、処理DNN)に関して処理を実行する際に活用され得る論理演算ユニット(ALU:arithmetic logic unit)を含み得る。加えて、SoC504は、システム内で数学演算を実行するための浮動小数点演算ユニット(FPU:floating point unit)(又は他のマス・コプロセッサ又は数値演算コプロセッサ・タイプ)を含み得る。たとえば、SoC104は、CPU506及び/又はGPU508内の実行ユニットとして統合された1つ又は複数のFPUを含み得る。
【0079】
SoC504は、1つ又は複数の加速装置514(たとえば、ハードウェア・加速装置、ソフトウェア・加速装置、又はその組合せ)を含み得る。たとえば、SoC504は、最適化されたハードウェア加速装置及び/又は大きなオンチップ・メモリを含み得る、ハードウェア加速クラスタを含み得る。大きなオンチップメモリ(たとえば、4MBのSRAM)は、ハードウェア加速クラスタがニューラル・ネットワーク及び他の演算を加速することを可能にし得る。ハードウェア加速クラスタは、GPU508を補完するために及びGPU508のタスクの一部をオフロードするために(たとえば、他のタスクを実行するためのGPU508のより多くのサイクルを解放するために)使用され得る。一実例として、加速装置514は、加速に適するように十分に安定している対象ワークロード(たとえば、知覚、畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN:convolutional neural network)など)のために使用され得る。本明細書では、「CNN」という用語は、領域ベースの又は領域的畳み込みニューラル・ネットワーク(RCNN:regional convolutional neural network)及び高速RCNN(たとえば、物体検出のために使用されるものとしての)を含む、すべてのタイプのCNNを含み得る。
【0080】
加速装置514(たとえば、ハードウェア加速クラスタ)は、深層学習加速装置(DLA:deep learning accelerator)を含み得る。DLAは、深層学習アプリケーション及び推論のために1秒あたり追加の10兆の動作を提供するように構成することができる1つ又は複数のテンソル処理ユニット(TPU:Tensor processing unit)を含み得る。TPUは、画像処理機能(たとえば、CNN、RCNNなどの)を実行するように構成及び最適化された加速装置でもよい。DLAはさらに、特定のセットのニューラル・ネットワーク・タイプ及び浮動小数点演算、並びに推論のために最適化され得る。DLAの設計は、汎用GPUよりも1ミリメートルあたりより多くのパフォーマンスを提供することができ、CPUのパフォーマンスを大きく超える。TPUは、たとえば、特徴と重みとの両方についてINT8、INT16、及びFP16データ・タイプをサポートする、単一インスタンス畳み込み機能、並びにポストプロセッサ機能を含む、いくつかの機能を実行することができる。
【0081】
DLAは、以下を含むがこれらに限定されない、様々な機能のいずれかのために処理済み又は未処理のデータでニューラル・ネットワーク、特にCNN、を迅速に及び効率的に実行することができる:カメラ・センサからのデータを使用する物体識別及び検出のためのCNN、カメラ・センサからのデータを使用する距離推定のためのCNN、マイクロフォンからのデータを使用する緊急車両検出及び識別及び検出のためのCNN、カメラ・センサからのデータを使用する顔認識及び移動車所有者識別のためのCNN、及び/又は、セキュリティ及び/又は安全性関連イベントのためのCNN。
【0082】
DLAは、GPU508の任意の機能を実行することができ、そして、推論加速装置を使用することによって、たとえば、設計者は、任意の機能のためにDLA又はGPU508のいずれかを対象にすることができる。たとえば、設計者は、DLA上のCNN及び浮動小数点演算の処理に重点的に取り組み、他の機能をGPU508及び/又は他の加速装置514に任せることができる。
【0083】
加速装置514(たとえば、ハードウェア加速クラスタ)は、或いはコンピュータ・ビジョン加速装置と本明細書で称され得るプログラマブル・ビジョン加速装置(PVA:programmable vision accelerator)を含み得る。PVAは、高度運転者支援システム(ADAS:advanced driver assistance system)、自律運転、及び/又は拡張現実(AR:augmented reality)及び/又は仮想現実(VR:virtual reality)アプリケーションのためのコンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを加速するように設計及び構成され得る。PVAは、パフォーマンスと柔軟性との間のバランスをもたらすことができる。たとえば、各PVAは、たとえば、任意の数の縮小命令セット・コンピュータ(RISC:reduced instruction set computer)コア、直接メモリ・アクセス(DMA:direct memory access)、及び/又は任意の数のベクトル・プロセッサを含み得るが、これらに限定されない。
【0084】
RISCコアは、画像センサ(たとえば、本明細書に記載のカメラのうちのいずれかのカメラの画像センサ)、画像信号プロセッサ、及び/又は同類のものと相互作用することができる。それぞれのRISCコアは、任意の量のメモリを含み得る。RISCコアは、実施例に応じて、いくつかのプロトコルのいずれかを使用することができる。いくつかの実例では、RISCコアは、リアルタイム・オペレーティング・システム(RTOS:real-time operating system)を実行することができる。RISCコアは、1つ若しくは複数の集積回路デバイス、特定用途向け集積回路(ASIC)、及び/又はメモリ・デバイスを使用して、実装され得る。たとえば、RISCコアは、命令キャッシュ及び/又はしっかりと結合されたRAMを含み得る。
【0085】
DMAは、CPU506から独立したシステム・メモリにPVAの構成要素がアクセスすることを可能にし得る。DMAは、多次元アドレス指定及び/又は循環アドレス指定をサポートすることを含むがこれに限定されないPVAに最適化をもたらすために使用される任意の数の特徴をサポートすることができる。いくつかの実例では、DMAは、ブロック幅、ブロック高さ、ブロック深度、水平ブロック・ステッピング、垂直ブロック・ステッピング、及び/又は深度ステッピングを含み得る、6次元まで又はそれ以上のアドレス指定をサポートすることができる。
【0086】
ベクトル・プロセッサは、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズムのプログラミングを効率的に柔軟に実行する及び信号処理能力を提供するように設計され得るプログラマブル・プロセッサでもよい。いくつかの実例では、PVAは、PVAコア及び2個のベクトル処理サブシステム・パーティションを含み得る。PVAコアは、プロセッサ・サブシステム、DMAエンジン(たとえば、2個のDMAエンジン)、及び/又は他の周辺装置を含み得る。ベクトル処理サブシステムは、PVAの1次的処理エンジンとして動作することができ、ベクトル処理ユニット(VPU:vector processing unit)、命令キャッシュ、及び/又はベクトル・メモリ(たとえば、VMEM)を含み得る。VPUコアは、たとえば、単一の命令、複数のデータ(SIMD)、超長命令語(VLIW:very long instruction word)デジタル信号プロセッサなど、デジタル信号プロセッサを含み得る。SIMD及びVLIWの組合せは、スループット及びスピードを高めることができる。
【0087】
それぞれのベクトル・プロセッサは、命令キャッシュを含み得、専用のメモリに連結され得る。結果として、一部の実例では、それぞれのベクトル・プロセッサは、他のベクトル・プロセッサから独立して実行するように構成され得る。他の実例において、特定のPVAに含まれるベクトル・プロセッサは、データ並列処理を用いるように構成され得る。たとえば、一部の実施例では、単一のPVAに含まれる複数のベクトル・プロセッサは、同じコンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを、しかし画像の異なる領域上で、実行することができる。他の実例において、特定のPVAに含まれるベクトル・プロセッサは、異なるコンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを、同じ画像上で、同時に実行することができ、或いは順次画像又は画像の部分で異なるアルゴリズムを実行することさえできる。特に、任意の数のPVAは、ハードウェア加速クラスタに含まれ得、任意の数のベクトル・プロセッサは、それぞれのPVAに含まれ得る。加えて、PVAは、全体的システム安全性を高めるために、追加のエラー訂正コード(ECC:error correcting code)メモリを含み得る。
【0088】
加速装置514(たとえば、ハードウェア加速クラスタ)は、加速装置514のための高帯域幅、低レイテンシSRAMを提供するための、コンピュータ・ビジョン・ネットワーク・オンチップ及びSRAMを含み得る。いくつかの実例では、オンチップ・メモリは、たとえば、そして制限ではなく、PVAとDLAとの両方によってアクセス可能でもよい、8個のフィールド構成可能なメモリ・ブロックから成る、少なくとも4MBのSRAMを含み得る。各ペアのメモリ・ブロックは、高度周辺バス(APB:advanced peripheral bus)インターフェース、構成回路、コントローラ、及びマルチプレクサを含み得る。任意のタイプのメモリが、使用され得る。PVA及びDLAは、メモリへの高速アクセスを有するPVA及びDLAを提供するバックボーンを介してメモリにアクセスすることができる。バックボーンは、(たとえば、APBを使用して)PVA及びDLAをメモリに相互接続するコンピュータ・ビジョン・ネットワーク・オンチップを含み得る。
【0089】
コンピュータ・ビジョン・ネットワーク・オンチップは、PVAとDLAとの両方が作動可能及び有効信号を提供することを、任意の制御信号/アドレス/データの送信の前に、決定するインターフェースを含み得る。そのようなインターフェースは、制御信号/アドレス/データを送信するための別個のフェーズ及び別個のチャネル、並びに連続的データ転送のためのバーストタイプの通信を提供することができる。このタイプのインターフェースは、ISO26262又はIEC61508規格に従うことができるが、他の規格及びプロトコルが使用されてもよい。
【0090】
いくつかの実例では、SoC504は、2018年8月10日に出願された米国特許出願第16/101,232号に記載されるような、リアルタイム・レイトレーシング・ハードウェア加速装置を含み得る。リアルタイム・レイトレーシング・ハードウェア加速装置は、RADAR信号解釈のための、音響伝播合成及び/又は分析のための、SONARシステムのシミュレーションのための、一般波伝播シミュレーションのための、ローカリゼーション及び/又は他の機能を目的とするLIDARデータに対する比較のための、及び/又は他の使用のための、リアルタイム視覚化シミュレーションを生成するために、(たとえば、世界モデル内の)物体の位置及び規模を迅速に効率的に決定するために使用され得る。一部の実施例では、1つ又は複数の木の走査ユニット(TTU:tree traversal unit)が、1つ又は複数のレイトレーシング関連動作を実行するために使用され得る。
【0091】
加速装置514(たとえば、ハードウェア加速装置クラスタ)は、自律運転のための多様な用途を有する。PVAは、ADAS及び自律型車両における極めて重要な処理段階に使用され得るプログラマブル・ビジョン加速装置でもよい。PVAの能力は、低電力及び低レイテンシにおいて、予測可能な処理を必要とするアルゴリズムの領域にふさわしい。言い換えれば、PVAは、低レイテンシ及び低電力とともに予測可能な実行時間を必要とする、小さなデータ集合上でも、半高密度の又は高密度の通常の計算で上手く機能する。それ故に、PVAは、物体検出及び整数計算での動作において効率的であるので、自律型車両のためのプラットフォームとの関連で、PVAは、クラシック・コンピュータ・ビジョン・アルゴリズムを実行するように設計される。
【0092】
たとえば、本技術の1つの実施例によれば、PVAは、コンピュータ・ステレオ・ビジョンを実行するために使用される。半グローバルなマッチングベースのアルゴリズムが、一部の実例では使用され得るが、これは制限することを意図されていない。レベル3~5の自律運転のための多数のアプリケーションは、動き推定/ステレオ・マッチング・オンザフライ(たとえば、SFM(structure from motion)、歩行者認識、レーン検出など)を必要とする。PVAは、2個の単眼カメラからの入力でコンピュータ・ステレオ・ビジョン機能を実行することができる。
【0093】
いくつかの実例では、PVAは、高密度のオプティカル・フローを実行するために使用され得る。処理されたRADARを提供するために未加工のRADARデータを処理する(たとえば、4D高速フーリエ変換を使用して)ことによる。他の実例において、PVAは、たとえば、飛行データの未加工の時間を処理して飛行データの処理済み時間を提供することにより、飛行深度処理の時間に使用される。
【0094】
DLAは、たとえば、各物体検出の信頼性の測定値を出力するニューラル・ネットワークを含む、制御及び運転安全性を強化するために任意のタイプのネットワークを実行するために使用され得る。そのような信頼性値は、確率として、又は他の検出と比較した各検出の相対的「重み」を提供するものとして、解釈され得る。この信頼性値は、どの検出が誤判定検出ではなくて真陽性検出と考えられるべきであるかに関するさらなる決定をシステムが行うことを可能にする。たとえば、システムは、信頼性の閾値を設定し、真陽性検出としての閾値を超える検出のみを考慮することができる。自動非常ブレーキ(AEB:automatic emergency braking)システムにおいて、誤判定検出は、移動車に非常ブレーキを自動で実行させることになり、これは明らかに望ましくない。したがって、最も確信のある検出のみが、AEBのトリガとして考えられるべきである。DLAは、信頼性値を退行するニューラル・ネットワークを実行し得る。ニューラル・ネットワークは、境界ボックス次元、(たとえば、別のサブシステムから)取得されたグラウンド・プレーン推定、ニューラル・ネットワーク及び/又は他のセンサ(たとえば、LIDARセンサ564又はRADARセンサ560)から取得された物体の移動車500方位、距離、3D位置推定と相関する慣性計測装置(IMU:inertial measurement unit)センサ566出力、その他など、少なくともいくつかのサブセットのパラメータをその入力として受け取ることができる。
【0095】
SoC504は、データ・ストア516(たとえば、メモリ)を含み得る。データ・ストア516は、SoC504のオンチップ・メモリでもよく、GPU及び/又はDLAで実行されることになるニューラル・ネットワークを記憶することができる。いくつかの実例では、データ・ストア516は、冗長性及び安全性のためにニューラル・ネットワークの複数のインスタンスを記憶するのに十分な大きさの容量を有し得る。データ・ストア512は、L2又はL3キャッシュ512を備え得る。データ・ストア516の参照は、本明細書に記載のような、PVA、DLA、及び/又は他の加速装置514に関連するメモリの参照を含み得る。
【0096】
SoC504は、1つ又は複数のプロセッサ510(たとえば、組み込まれたプロセッサ)を含み得る。プロセッサ510は、ブート電力及び管理能力及び関連するセキュリティ施行を処理するための専用のプロセッサ及びサブシステムでもよいブート及び電力管理プロセッサを含み得る。ブート及び電力管理プロセッサは、SoC504ブート・シーケンスの一部でもよく、実行時間電力管理サービスを提供することができる。ブート電力及び管理プロセッサは、クロック及び電圧プログラミング、システム低電力状態移行の支援、SoC504熱及び温度センサの管理、及び/又はSoC504電力状態の管理を提供することができる。各温度センサは、その出力頻度が温度に比例するリング発振器として実装されてもよく、SoC504は、リング発振器を使用してCPU506、GPU508、及び/又は加速装置514の温度を検出することができる。温度が、閾値を超えたと判定された場合、ブート及び電力管理プロセッサは、温度障害ルーティンに入り、SoC504をより低い電力状態に置く及び/又は移動車500をショーファーの安全停止モードにする(たとえば、移動車500を安全停止させる)ことができる。
【0097】
プロセッサ510は、オーディオ処理エンジンの機能を果たし得る1セットの組み込まれたプロセッサをさらに含み得る。オーディオ処理エンジンは、複数のインターフェースを介するマルチチャネル・オーディオの完全なハードウェア・サポートとオーディオI/Oインターフェースの広く柔軟な範囲とを可能にするオーディオ・サブシステムでもよい。いくつかの実例では、オーディオ処理エンジンは、専用のRAMを有するデジタル信号プロセッサを有する専用のプロセッサ・コアである。
【0098】
プロセッサ510は、低電力センサ管理及びウェイク使用事例をサポートするための必要なハードウェア特徴を提供することができる常時オンのプロセッサ・エンジンをさらに含み得る。常時オンのプロセッサ・エンジンは、プロセッサ・コア、しっかりと結合されたRAM、支援周辺装置(たとえば、タイマ及び割り込みコントローラ)、様々なI/Oコントローラ周辺装置、及びルーティング論理を含み得る。
【0099】
プロセッサ510は、自動車のアプリケーションの安全性管理を処理するために専用のプロセッサ・サブシステムを含む安全性クラスタ・エンジンをさらに含み得る。安全性クラスタ・エンジンは、2個以上のプロセッサ・コア、しっかりと結合されたRAM、サポート周辺装置(たとえば、タイマ、割り込みコントローラなど)、及び/又はルーティング論理を含み得る。安全性モードにおいて、2個以上のコアは、ロックステップ・モードにおいて動作し、それらの動作の間の何らかの差を検出するための比較論理を有する単一のコアとして機能することができる。
【0100】
プロセッサ510は、リアルタイム・カメラ管理を処理するための専用のプロセッサ・サブシステムを含み得るリアルタイム・カメラ・エンジンをさらに含み得る。
【0101】
プロセッサ510は、カメラ処理パイプラインの一部であるハードウェア・エンジンである画像信号プロセッサを含み得る高ダイナミック・レンジ信号プロセッサをさらに含み得る。
【0102】
プロセッサ510は、プレイヤ・ウインドウのための最終的画像を生み出すためにビデオ再生アプリケーションによって必要とされるビデオ処理後機能を実装する処理ブロック(たとえば、マイクロプロセッサに実装された)でもよいビデオ画像合成器を含み得る。ビデオ画像合成器は、ワイドビュー・カメラ570で、サラウンド・カメラ574で、及び/又はキャビン内監視カメラ・センサでレンズ歪み補正を実行することができる。キャビン内監視カメラ・センサは好ましくは、キャビン内イベントを識別し、適切に応答するように構成された、高度SoCの別のインスタンス上で実行するニューラル・ネットワークによって監視される。キャビン内システムは、セルラ・サービスをアクティブにする及び電話をかける、電子メールを書き取らせる、移動車の目的地を変更する、移動車のインフォテインメント・システム及び設定をアクティブにする又は変更する、或いは音声起動型ウェブ・サーフィンを提供するために、読唇術を実行することができる。ある特定の機能は、自律モードで動作しているときにのみ運転者に利用可能であり、そうでない場合には無効にされる。
【0103】
ビデオ画像合成器は、空間的ノイズ低減及び時間的ノイズ低減の両方のための強化された時間的ノイズ低減を含み得る。たとえば、動きがビデオ内で生じた場合、ノイズ低減は、隣接するフレームによって提供される情報の重みを減らし、空間的情報に適切に重みを加える。画像又は画像の一部が動きを含まない場合、ビデオ画像合成器によって実行される時間的ノイズ低減は、前の画像からの情報を使用して現在の画像におけるノイズを減らすことができる。
【0104】
ビデオ画像合成器はまた、入力ステレオ・レンズ・フレーム上でステレオ・レクティフィケーションを実行するように構成され得る。ビデオ画像合成器はさらに、オペレーティング・システム・デスクトップが使用中であるときにユーザ・インターフェース合成のために使用することができ、GPU508は、新しい表面を連続してレンダリングために必要とされない。GPU508の電源が入れられ、3Dレンダリングをアクティブに行っているときでも、ビデオ画像合成器は、GPU508をオフロードしてパフォーマンス及び反応性を向上させるために使用され得る。
【0105】
SoC504は、カメラからビデオ及び入力を受信するためのモバイル・インダストリ・プロセッサ・インターフェース(MIPI:mobile industry processor interface)カメラ・シリアル・インターフェース、高速インターフェース、及び/又は、カメラ及び関連画素入力機能のために使用され得るビデオ入力ブロックをさらに含み得る。SoC504は、ソフトウェアによって制御され得る、及び特定の役割にコミットされていないI/O信号を受信するために使用され得る、入力/出力コントローラをさらに含み得る。
【0106】
SoC504は、周辺装置、オーディオ・コーデック、電力管理、及び/又は他のデバイスとの通信を可能にするために、広範囲の周辺インターフェースをさらに含み得る。SoC504は、(たとえば、ギガビット・マルチメディア・シリアル・リンク及びイーサネット(登録商標)を介して接続された)カメラからのデータ、センサ(たとえば、イーサネット(登録商標)を介して接続され得るLIDARセンサ564、RADARセンサ560など)、バス502からのデータ(たとえば、移動車500のスピード、ハンドル位置など)、(たとえば、イーサネット(登録商標)又はCANバスを介して接続された)GNSSセンサ558からのデータを処理するために使用され得る。SoC504は、独自のDMAエンジンを含み得る及びルーティン・データ管理タスクからCPU506を解放するために使用され得る専用の高性能大容量記憶コントローラをさらに含み得る。
【0107】
SoC504は、自動化レベル3~5に広がる柔軟なアーキテクチャを有する終端間プラットフォームでもよく、それによって、多様性及び冗長性のためにコンピュータ・ビジョン及びADAS技法を活用し、効率的に使用し、深層学習ツールとともに、柔軟な、信頼できる運転ソフトウェア・スタックのためのプラットフォームを提供する、総合的機能的安全性アーキテクチャを提供する。SoC504は、従来のシステムよりも高速で、信頼でき、さらにエネルギ効率がよく、空間効率がよくなり得る。たとえば、加速装置514が、CPU506と結合されるとき、GPU508、及びデータ・ストア516は、レベル3~5の自律型車両のための高速で効率的なプラットフォームを提供することができる。
【0108】
したがって、本技術は、従来のシステムによって達成することができない能力及び機能性をもたらす。たとえば、コンピュータ・ビジョン・アルゴリズムは、多種多様な視覚的データにわたり多種多様な処理アルゴリズムを実行するために、Cプログラミング言語などの高レベルのプログラミング言語を使用して構成され得る、CPUで実行され得る。しかしながら、CPUは、しばしば、たとえば、実行時間及び電力消費に関連するものなど、多数のコンピュータ・ビジョン・アプリケーションの性能要件を満たすことができない。具体的には、多数のCPUは、移動車内ADASアプリケーションの要件及び実際のレベル3~5の自律型車両の要件である、リアルタイムでの複合物体検出アルゴリズムを実行することができない。
【0109】
従来のシステムとは対照的に、CPU複合体、GPU複合体、及びハードウェア加速クラスタを提供することによって、本明細書に記載の技術は、複数のニューラル・ネットワークが同時に及び/又は連続して実行されることと、レベル3~5の自律運転機能を可能にするために結果が結合されることとを可能にする。たとえば、DLA又はdGPU(たとえば、GPU520)で実行するCNNは、ニューラル・ネットワークが具体的にトレーニングされていない標識を含む、交通標識をスーパーコンピュータが読み取る及び理解することを可能にする、テキスト及び単語認識を含み得る。DLAは、標識の意味論的理解を識別、解釈、及び提供することと、CPU複合体で実行する進路計画立案モジュールに意味論的理解を渡すこととを行うことができる、ニューラル・ネットワークをさらに含み得る。
【0110】
別の実例として、複数のニューラル・ネットワークは、レベル3、4、又は5の運転に必要とされるように、同時に実行され得る。たとえば、電光とともに、「注意:点滅光は、凍った状態を示す」から成る警告標識は、いくつかのニューラル・ネットワークによって独立して又は集合的に解釈され得る。標識自体は、第1の配備されたニューラル・ネットワーク(たとえば、トレーニングされてあるニューラル・ネットワーク)によって交通標識として識別され得、テキスト「点滅光は、凍った状態を示す」は、点滅光が検出されるときには凍った状態が存在することを移動車の進路計画立案ソフトウェア(好ましくはCPU複合体上で実行する)に知らせる、第2の配備されたニューラル・ネットワークによって解釈され得る。点滅光は、点滅光の存在(又は無いこと)を移動車の進路計画立案ソフトウェアに知らせ、複数のフレームを介して第3の配備されたニューラル・ネットワークを動作させることによって識別され得る。すべての3個のニューラル・ネットワークは、DLA内及び/又はGPU508上などで、同時に実行することができる。
【0111】
いくつかの実例では、顔認識及び移動車所有者識別のためのCNNは、カメラ・センサからのデータを使用して移動車500の正規の運転者及び/又は所有者の存在を識別することができる。常時オンのセンサ処理エンジンは、所有者が運転席側のドアに近づくときに移動車を解錠する及び明かりをつけるために、並びに、セキュリティ・モードにおいて、所有者が移動車を離れるときに移動車の動作を停止させるために、使用され得る。このようにして、SoC504は、盗難及び/又は車の乗っ取りに対するセキュリティをもたらす。
【0112】
別の実例では、緊急車両検出及び識別のためのCNNは、マイクロフォン596からのデータを使用して緊急車両サイレンを検出及び識別することができる。一般分類子を使用してサイレンを検出する及び特徴を手動で抽出する従来のシステムとは対照的に、SoC504は、環境の及び都市の音の分類、並びに視覚的データの分類のためにCNNを使用する。好ましい一実施例では、DLA上で実行するCNNは、(たとえば、ドップラー効果を使用することによって)緊急車両の相対的終速度を識別するようにトレーニングされる。CNNはまた、GNSSセンサ558によって識別されるように、移動車が稼働しているローカル・エリアに特有の緊急車両を識別するようにトレーニングされ得る。それ故に、たとえば、欧州で稼働しているとき、CNNは、欧州のサイレンを検出しようとすることになり、そして、米国にあるとき、CNNは、北米のサイレンのみを識別しようとすることになる。緊急車両が検出された後は、制御プログラムが、緊急車両が通過するまで、超音波センサ562の支援を受けて、移動車を減速する、道の端に停止させる、移動車を駐車する、及び/又は移動車をアイドリングさせる、緊急車両安全性ルーティンを実行するために使用され得る。
【0113】
移動車は、高速相互接続(たとえば、PCIe)を介してSoC504に連結され得るCPU518(たとえば、個別のCPU、又はdCPU)を含み得る。CPU518は、たとえば、X86プロセッサを含み得る。CPU518は、たとえば、ADASセンサとSoC504との間の潜在的に不整合の結果を調停すること、及び/又はコントローラ536及び/又はインフォテインメントSoC530の状況及び調子を監視することを含む、様々な機能のいずれかを実行するために使用され得る。
【0114】
移動車500は、高速相互接続(たとえば、NVIDIAのNVLINK)を介してSoC504に連結され得るGPU520(たとえば、個別のGPU、又はdGPU)を含み得る。GPU520は、冗長及び/又は異なるニューラル・ネットワークを実行することなどによって、付加的人工知能機能をもたらすことができ、移動車500のセンサからの入力(たとえば、センサ・データ)に基づいてニューラル・ネットワークをトレーニング及び/又は更新するために使用され得る。
【0115】
移動車500は、1つ又は複数のワイヤレス・アンテナ526(たとえば、セルラ・アンテナ、ブルートゥース(登録商標)・アンテナなど、異なる通信プロトコルのための1つ又は複数のワイヤレス・アンテナ)を含み得るネットワーク・インターフェース524をさらに含み得る。ネットワーク・インターフェース524は、インターネットを介するクラウドとの(たとえば、サーバ578及び/又は他のネットワーク・デバイスとの)、他の移動車との、及び/又は計算デバイス(たとえば、乗客のクライアント・デバイス)とのワイヤレス接続を使用可能にするために使用され得る。他の移動車と通信するために、直接リンクが2個の移動車の間に確立され得る、及び/又は、間接リンクが(たとえば、ネットワークを通じて及びインターネットを介して)確立され得る。直接リンクは、移動車対移動車通信リンクを使用し、提供され得る。移動車対移動車通信リンクは、移動車500に近接する移動車(たとえば、移動車500の前の、横の、及び/又は後ろの移動車)に関する移動車500情報を提供することができる。この機能は、移動車500の共同適応クルーズ制御機能の一部でもよい。
【0116】
ネットワーク・インターフェース524は、変調及び復調機能を提供する及びコントローラ536がワイヤレス・ネットワークを介して通信することを可能にする、SoCを含み得る。ネットワーク・インターフェース524は、ベースバンドから無線周波数へのアップコンバージョン、及び無線周波数からベースバンドへのダウンコンバージョンのための無線周波数フロントエンドを含み得る。周波数コンバージョンは、よく知られているプロセスを通して実行することができ、及び/又はスーパーヘテロダイン・プロセスを用いて実行することができる。いくつかの実例では、無線周波数フロントエンド機能は、別個のチップによって提供され得る。ネットワーク・インターフェースは、LTE、WCDMA(登録商標)、UMTS、GSM、CDMA2000、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)LE、Wi-Fi(登録商標)、Z-Wave、Zigbee(登録商標)、LoRaWAN、及び/又は他のワイヤレス・プロトコルを介して通信するためのワイヤレス機能を含み得る。
【0117】
移動車500は、チップ外の(たとえば、SoC504外の)ストレージを含み得るデータ・ストア528をさらに含み得る。データ・ストア528は、RAM、SRAM、DRAM、VRAM、フラッシュ、ハードディスク、及び/又は、少なくとも1ビットのデータを記憶することができる他の構成要素及び/又はデバイスを含む、1つ又は複数の記憶素子を含み得る。
【0118】
車両500は、GNSSセンサ558をさらに含み得る。GNSSセンサ558(たとえば、GPS、支援されたGPSセンサ、ディファレンシャルGPS(DGPS)センサなど)は、マッピング、知覚、占有グリッド生成、及び/又は進路計画策定機能を支援する。たとえば、シリアル(RS-232)ブリッジへのイーサネット(登録商標)を有するUSBコネクタを使用するGPSを含むが、これに限定されない、任意の数のGNSSセンサ558が、使用され得る。
【0119】
移動車500は、RADARセンサ560をさらに含み得る。RADARセンサ560は、暗闇及び/又は厳しい気象条件においても、長距離移動車検出のために移動車500によって使用され得る。RADAR機能安全性レベルは、ASIL Bでもよい。一部の実例では、RADARセンサ560は、未加工のデータにアクセスするためのイーサネット(登録商標)へのアクセスを用いて、制御のために及び物体追跡データにアクセスするために(たとえば、RADARセンサ560によって生成されたデータを送信するために)CAN及び/又はバス502を使用することができる。多種多様なRADARセンサ・タイプが、使用され得る。たとえば、そして制限なしに、RADARセンサ560は、前部、後部、及び側部RADAR使用に適し得る。一部の実例では、パルス・ドップラーRADARセンサが使用される。
【0120】
RADARセンサ560は、狭い視野を有する長距離、広い視野を有する短距離、短距離側部カバレッジなど、異なる構成を含み得る。いくつかの実例では、長距離RADARは、適応クルーズ制御機能のために使用され得る。長距離RADARシステムは、250mの範囲内など、2個以上の独立したスキャンによって実現される広い視野を提供することができる。RADARセンサ560は、静的物体と動く物体との区別を助けることができ、緊急ブレーキ・アシスト及び前方衝突警報のためのADASシステムによって使用され得る。長距離RADARセンサは、複数の(たとえば、6つ以上の)固定RADARアンテナと高速CAN及びFlexRayインターフェースとを有するモノスタティック・マルチモーダルRADARを含み得る。6つのアンテナを有する一実例では、中央の4個のアンテナは、隣接レーン内の交通からの干渉を最小限にして高速で移動車500の周囲を記録するように設計された、集束ビーム・パターンを作成し得る。他の2個のアンテナは、視野を広げることができ、移動車500のレーンに入る又はこれを去る移動車を迅速に検出することを可能にする。
【0121】
一実例として、中距離RADARシステムは、560m(前)又は80m(後)までの範囲、及び42度(前)又は550度(後)までの視野を含み得る。短距離RADARシステムは、後部バンパの両端に設置されるように設計されたRADARセンサを含み得るが、これに限定されない。後部バンパの両端に設置されるとき、そのようなRADARセンサ・システムは、移動車の後ろ及び隣の死角を常に監視する2個のビームを作成することができる。
【0122】
短距離RADARシステムは、死角検出及び/又はレーン変更アシストのためにADASシステムにおいて使用され得る。
【0123】
移動車500は、超音波センサ562をさらに含み得る。移動車500の前部、後部、及び/又は側部に位置付けられ得る、超音波センサ562は、駐車アシストのために及び/又は占有グリッドの作成及び更新のために使用され得る。多種多様な超音波センサ562が使用され得、異なる超音波センサ562が、異なる範囲の検出(たとえば、2.5m、4m)のために使用され得る。超音波センサ562は、ASIL Bの機能的安全性レベルにおいて動作することができる。
【0124】
移動車500はLIDARセンサ564を含み得る。LIDARセンサ564は、物体及び歩行者検出、緊急ブレーキ、衝突回避、及び/又は他の機能のために使用され得る。LIDARセンサ564は、機能的安全性レベルASIL Bでもよい。いくつかの実例では、移動車500は、(たとえば、ギガビット・イーサネット(登録商標)・スイッチにデータを提供するために)イーサネット(登録商標)を使用することができる複数の(たとえば、2個、4個、6個などの)LIDARセンサ564を含み得る。
【0125】
いくつかの実例では、LIDARセンサ564は、物体及び360度視野のそれらの距離のリストを提供する能力を有し得る。市販のLIDARセンサ564は、たとえば、2cm~3cmの精度を有し、500Mbpsイーサネット(登録商標)接続のサポートを有して、約500mの広告された範囲を有し得る。いくつかの実例では、1つ又は複数の非突出したLIDARセンサ564が、使用され得る。そのような実例では、LIDARセンサ564は、移動車500の前部、後部、側部、及び/又は角に組み込まれ得る小さいデバイスとして実装され得る。そのような実例では、LIDARセンサ564は、低反射物体についても200mの範囲を有し、120度水平及び35度垂直視野まで提供することができる。前部に取り付けられたLIDARセンサ564は、45度と135度との間の水平視野向けに構成され得る。
【0126】
いくつかの実例では、3DフラッシュLIDARなどのLIDAR技術もまた使用され得る。3DフラッシュLIDARは、約200mまで移動車の周囲を照らすために、送信元としてレーザーのフラッシュを使用する。フラッシュLIDARユニットは、移動車から物体までの範囲に順番に対応する、レーザー・パルス走行時間及び各画素上の反射光を記録する、レセプタを含む。フラッシュLIDARは、周囲の高精度の及び歪みのない画像があらゆるレーザー・フラッシュで生成されることを可能にし得る。いくつかの実例では、4個のフラッシュLIDARセンサが、移動車500の各側面に1つずつ、配備され得る。利用可能な3DフラッシュLIDARシステムは、送風機以外に動く部分を有さないソリッドステート3Dステアリング・アレイLIDARカメラ(たとえば、非スキャン型LIDARデバイス)を含む。フラッシュLIDARデバイスは、1フレームにつき5ナノ秒クラスI(目に安全な)レーザー・パルスを使用することができ、3D範囲点群及び共記載された強度データの形で反射レーザー光をキャプチャし得る。フラッシュLIDARを使用することによって、また、フラッシュLIDARは、動く部分を有さないソリッドステート・デバイスであるので、LIDARセンサ564は、モーション・ブラー、振動、及び/又は衝撃の影響を受けにくくなり得る。
【0127】
移動車は、IMUセンサ566をさらに含み得る。一部の実例では、IMUセンサ566は、移動車500の後部車軸の中央に位置付けられ得る。IMUセンサ566は、たとえば、加速度計、磁力計、ジャイロスコープ、磁気コンパス、及び/又は他のセンサ・タイプを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実例では、6軸アプリケーションなどにおいて、IMUセンサ566は、加速度計及びジャイロスコープを含み得るが、9軸アプリケーションにおいて、IMUセンサ566は、加速度計、ジャイロスコープ、及び磁力計を含み得る。
【0128】
一部の実施例では、IMUセンサ566は、マイクロ電気機械システム(MEMS:micro-electro-mechanical system)慣性センサ、高感度GPSレシーバ、及び高度カルマン・フィルタリング・アルゴリズムを結合して位置、ベロシティ、及び姿勢の推定値を提供するミニチュア、高性能GPS支援型慣性航行システム(GPS/INS:GPS-Aided Inertial Navigation System)として実装され得る。そのようなものとして、一部の実例では、IMUセンサ566は、GPSからIMUセンサ566までのベロシティの変化を直接観測すること及び関連付けることによって、磁気センサからの入力を必要とせずに進行方向を移動車500が推定することを可能にし得る。いくつかの実例では、IMUセンサ566及びGNSSセンサ558は、単一の統合されたユニットにおいて結合され得る。
【0129】
移動車は、移動車500内及び/又は周囲に置かれたマイクロフォン596を含み得る。マイクロフォン596は、中でも、緊急車両検出及び識別のために使用され得る。
【0130】
移動車は、ステレオ・カメラ568、ワイドビュー・カメラ570、赤外線カメラ572、サラウンド・カメラ574、長距離及び/又は中距離カメラ598、及び/又は他のカメラ・タイプを含む、任意の数のカメラ・タイプをさらに含み得る。カメラは、移動車500の全外面の周りの画像データをキャプチャするために使用され得る。使用されるカメラのタイプは、移動車500の実施例及び要件に応じて決まり、任意の組合せのカメラ・タイプが、移動車500の周りの必要なカバレッジを実現するために使用され得る。加えて、カメラの数は、実施例に応じて異なり得る。たとえば、移動車は、6個のカメラ、7個のカメラ、10個のカメラ、12個のカメラ、及び/又は別の数のカメラを含み得る。カメラは、一実例として、ギガビット・マルチメディア・シリアル・リンク(GMSL:Gigabit Multimedia Serial Link)及び/又はギガビット・イーサネット(登録商標)をサポートし得るが、これに限定されない。それぞれのカメラは、
図5A及び
図5Bに関連して本明細書においてさらに詳しく説明される。
【0131】
移動車500は、振動センサ542をさらに含み得る。振動センサ542は、車軸など、移動車の構成要素の振動を測定することができる。たとえば、振動の変化は、道路の表面の変化を示し得る。別の実例では、2個以上の振動センサ542が使用されるとき、振動の差は、道路表面の摩擦又は滑りを判定するために使用され得る(たとえば、振動の差が電力駆動車軸と自由回転車軸との間であるとき)。
【0132】
移動車500は、ADASシステム538を含み得る。一部の実例では、ADASシステム538は、SoCを含み得る。ADASシステム538は、自律/適応/自動クルーズ制御(ACC:autonomous/adaptive/automatic cruise control)、共同適応クルーズ制御(CACC:cooperative adaptive cruise control)、前方衝突警報(FCW:forward crash warning)、自動緊急ブレーキ(AEB:automatic emergency braking)、車線逸脱警報(LDW:lane departure warning)、レーン・キープ・アシスト(LKA:lane keep assist)、死角警報(BSW:blind spot warning)、後部交差交通警報(RCTW:rear cross-traffic warning)、衝突警報システム(CWS:collision warning system)、レーン・センタリング(LC:lane centering)、及び/又は他の特徴及び機能を含み得る。
【0133】
ACCシステムは、RADARセンサ560、LIDARセンサ564、及び/又はカメラを使用し得る。ACCシステムは、縦ACC及び/又は横ACCを含み得る。縦ACCは、移動車500の直ぐ前の移動車までの距離を監視及び制御し、前方の移動車からの安全距離を維持するために移動車速度を自動的に調整する。横ACCは、距離の保持を実行し、必要なときにレーンを変更するように移動車500にアドバイスする。横ACCは、LCA及びCWSなどの他のADASアプリケーションに関連する。
【0134】
CACCは、ワイヤレス・リンクを介して他の移動車からネットワーク・インターフェース524及び/又はワイヤレス・アンテナ526を介して、或いは間接的にネットワーク接続を介して(たとえば、インターネットを介して)、受信することができる、他の移動車からの情報を使用する。直接リンクは、移動車対移動車(V2V:vehicle-to-vehicle)通信リンクによって提供され得、一方、間接リンクは、インフラストラクチャ対移動車(I2V:infrastructure-to-vehicle)通信リンクでもよい。一般に、V2V通信概念は、直前の移動車(たとえば、移動車500と同じレーン内にある、移動車500の直ぐ前の移動車)に関する情報を提供し、一方、I2V通信概念は、さらに前の交通に関する情報を提供する。CACCシステムは、I2V情報ソースとV2V情報ソースとのいずれか又は両方を含み得る。移動車500の前方の移動車の情報を所与として、CACCは、より高信頼になり得、CACCは、交通の流れをよりスムーズにし、道路の渋滞を減らす可能性を有する。
【0135】
運転者が修正行動を取ることができるように、FCWシステムは、危険を運転者に警告するように設計される。FCWシステムは、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は振動部品など、運転者フィードバックに電気的に連結された、専用のプロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに連結された、前向きのカメラ及び/又はRADARセンサ560を使用する。FCWシステムは、音響、視覚的警報、振動及び/又はクイック・ブレーキ・パルスなどの形で、警報を提供することができる。
【0136】
AEBシステムは、別の移動車又は他の物体との差し迫った前方衝突を検出し、運転者が指定された時間又は距離パラメータ内に修正行動を取らない場合に、ブレーキを自動的に適用することができる。AEBシステムは、専用のプロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに連結された、前向きのカメラ及び/又はRADARセンサ560を使用することができる。AEBシステムが危険を検出するとき、AEBシステムは通常は、先ず、衝突を回避するための修正行動を取るように運転者に警告し、運転者が修正行動を取らない場合、AEBシステムは、予測される衝突の影響を防ぐ、又は少なくとも軽減するための努力の一環としてブレーキを自動的に適用することができる。AEBシステムは、ダイナミック・ブレーキ・サポート及び/又は衝突切迫ブレーキなどの技法を含み得る。
【0137】
LDWシステムは、ハンドル又はシートの振動など、視覚的、可聴式、及び/又は触覚的警報を提供して、移動車500が車線区分線を越えたときに運転者に警告する。LDWシステムは、運転者が、方向指示器を起動することによって、意図的な車線逸脱を指示するときには、起動しない。LDWシステムは、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は振動部品など、運転者フィードバックに電気的に連結された、専用のプロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに連結された、前側を向いたカメラを使用することができる。
【0138】
LKAシステムは、LDWシステムの変更形態である。LKAシステムは、移動車500が車線をはみ出し始めた場合に移動車500を修正するためにステアリング入力又はブレーキを提供する。
【0139】
BSWシステムは、自動車の死角において移動車の運転者に検出及び警告する。BSWシステムは、合流又はレーンの変更が安全ではないことを指示するために視覚的、可聴式、及び/又は触覚的警告を提供することができる。システムは、運転者が方向指示器を使用するときに、付加的警告を提供することができる。BSWシステムは、運転者フィードバック、たとえば、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は振動部品、に電気的に結合された、専用プロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに結合された、後ろ側を向いたカメラ及び/又はRADARセンサ560を使用することができる。
【0140】
RCTWシステムは、車両500がバックしているときにリアカメラの範囲外で物体が検出されたときに視覚的、可聴式、及び/又は触覚的通知を提供することができる。いくつかのRCTWシステムは、衝突を回避するために車両ブレーキが適用されることを確実にするために、AEBを含む。RCTWシステムは、運転者フィードバック、たとえば、ディスプレイ、スピーカ、及び/又は振動部品、に電気的に結合された、専用プロセッサ、DSP、FPGA、及び/又はASICに結合された、1つ又は複数の後ろを向いたRADARセンサ560を使用することができる。
【0141】
従来のADASシステムは、運転者に警告し、安全状態が本当に存在するかどうかを運転者が判定し、それに応じて行動することを可能にするので、従来のADASシステムは、通常は壊滅的ではないが、運転者を悩ませている及び気を散らせていることがある誤判定結果を生み出す傾向にあることがあった。しかしながら、自律型車両500では、結果が矛盾する場合には、移動車500自体が、1次的コンピュータ又は2次的コンピュータ(たとえば、第1のコントローラ536又は第2のコントローラ536)からの結果を聞き入れるかどうかを決定しなければならない。たとえば、一部の実施例では、ADASシステム538は、知覚情報をバックアップ・コンピュータ合理性モジュールに提供するためのバックアップ及び/又は2次的コンピュータでもよい。バックアップ・コンピュータ合理性モニタは、ハードウェア構成要素で冗長な多様なソフトウェアを実行して、知覚及び動的運転タスクにおいて障害を検出することができる。ADASシステム538からの出力は、監督MCUに提供され得る。1次的コンピュータ及び2次的コンピュータからの出力が矛盾する場合、監督MCUは、安全な動作を確実にするためにその矛盾をどのように調整するかを決定する必要がある。
【0142】
いくつかの実例では、1次的コンピュータは、選択された結果における1次的コンピュータの信頼性を指示する、信頼性スコアを監督MCUに提供するように構成され得る。信頼性スコアが閾値を超えた場合、監督MCUは、2次的コンピュータが矛盾する又は不整合の結果を与えるかどうかにかかわらず、1次的コンピュータの指示に従い得る。信頼性スコアが閾値を満たさない場合、及び1次的及び2次的コンピュータが異なる結果を示す(たとえば、矛盾する)場合、監督MCUは、コンピュータの間で調停して適切な結果を決定することができる。
【0143】
監督MCUは、2次的コンピュータが誤ったアラームを提供する状態を、1次的コンピュータ及び2次的コンピュータからの出力に基づいて、判定するようにトレーニング及び構成されたニューラル・ネットワークを実行するように構成され得る。したがって、監督MCU内のニューラル・ネットワークは、2次的コンピュータの出力が信頼され得るとき、及びそれが信頼され得ないときを学習することができる。たとえば、2次的コンピュータがRADARベースのFCWシステムであるとき、監督MCU内のニューラル・ネットワークは、アラームをトリガする下水溝の鉄格子又はマンホールの蓋など、実際には危険ではない金属製の物をいつFCWが識別しているかを学習することができる。同様に、2次的コンピュータがカメラベースのLDWシステムであるとき、監督MCU内のニューラル・ネットワークは、自転車に乗った人又は歩行者が存在し、車線逸脱が、実際には、最も安全な操作であるときに、LDWを無視することを学習することができる。監督MCU上で実行中のニューラル・ネットワークを含む実施例では、監督MCUは、関連メモリを有するニューラル・ネットワークを実行するのに適したDLA又はGPUのうちの少なくとも1つを含み得る。好ましい実施例において、監督MCUは、SoC504の構成要素を備え得る、及び/又はSoC504の構成要素として含まれ得る。
【0144】
他の実例において、ADASシステム538は、コンピュータ・ビジョンの従来のルールを使用するADAS機能を実行する2次的コンピュータを含み得る。そのようなものとして、2次的コンピュータは、古典的コンピュータ・ビジョン・ルール(if-then)を使用することができ、監督MCU内のニューラル・ネットワークの存在は、信頼性、安全性及び性能を向上させることができる。たとえば、多様な実装形態及び意図的な非同一性は、特にソフトウェア(又はソフトウェア-ハードウェア・インターフェース)機能によって引き起こされる障害に対して、システム全体をよりフォールトトレラントにする。たとえば、1次的コンピュータで実行中のソフトウェア内にソフトウェア・バグ又はエラーが存在し、2次的コンピュータで実行中の同一でないソフトウェア・コードが同じ総合的結果を提供する場合、監督MCUは、総合的結果は正しく、1次的コンピュータ上のソフトウェア又はハードウェア内のバグは重大なエラーを引き起こしていないというより大きな確信を有し得る。
【0145】
いくつかの実例では、ADASシステム538の出力は、1次的コンピュータの知覚ブロック及び/又は1次的コンピュータの動的運転タスク・ブロックに供給され得る。たとえば、ADASシステム538が、直ぐ前の物体が原因で、前方衝突警報を示した場合、知覚ブロックは、物体を識別するときに、この情報を使用することができる。他の実例において、2次的コンピュータは、本明細書に記載のように、トレーニングされ、それ故に誤判定のリスクを減らす、独自のニューラル・ネットワークを有し得る。
【0146】
移動車500は、インフォテインメントSoC530(たとえば、移動車内のインフォテインメント・システム(IVI:in-vehicle infotainment system))をさらに含み得る。SoCとして図示及び記述されているが、インフォテインメント・システムは、SoCでなくてもよく、2個以上の個別の構成要素を含み得る。インフォテインメントSoC530は、オーディオ(たとえば、音楽、携帯情報端末、ナビゲーション命令、ニュース、無線など)、ビデオ(たとえば、TV、映画、ストリーミングなど)、電話(たとえば、ハンズフリー通話)、ネットワーク接続(たとえば、LTE、Wi-Fi(登録商標)など)、及び/又は情報サービス(たとえば、ナビゲーション・システム、後方駐車支援、無線データシステム、燃料レベル、総移動距離、ブレーキ燃料レベル、オイル・レベル、ドアを開ける/閉じる、エア・フィルタ情報などの移動車関連情報)を移動車500に提供するために使用され得るハードウェア及びソフトウェアの組合せを含み得る。たとえば、インフォテインメントSoC530は、無線、ディスク・プレイヤ、ナビゲーション・システム、ビデオ・プレイヤ、USB及びブルートゥース(登録商標)接続、カーピュータ、車内エンターテインメント、Wi-Fi(登録商標)、ハンドル・オーディオ制御装置、ハンズ・フリー音声制御、ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD:heads-up display)、HMIディスプレイ534、テレマティックス・デバイス、制御パネル(たとえば、様々な構成要素、特徴、及び/又はシステムを制御する及び/又はこれと相互に作用するための)、及び/又は他の構成要素でもよい。インフォテインメントSoC530は、ADASシステム538からの情報、計画された移動車操作などの自律運転情報、軌道、周囲環境情報(たとえば、交差点情報、移動車情報、道路情報など)、及び/又は他の情報など、移動車のユーザへの情報(たとえば、視覚的及び/又は可聴式の)を提供するためにさらに使用され得る。
【0147】
インフォテインメントSoC530は、GPU機能性を含み得る。インフォテインメントSoC530は、バス502(たとえば、CANバス、イーサネット(登録商標)など)を介して、移動車500の他のデバイス、システム、及び/又は構成要素と通信することができる。いくつかの実例では、インフォテインメント・システムのGPUが、1次的コントローラ536(たとえば、移動車500の1次的及び/又はバックアップ・コンピュータ)が故障した場合に、いくつかのセルフドライブ機能を実行することができるように、インフォテインメントSoC530は、監督MCUに連結され得る。そのような実例では、インフォテインメントSoC530は、本明細書に記載のように、移動車500をショーファーの安全停止モードにすることができる。
【0148】
移動車500は、計器群532(たとえば、デジタル・ダッシュ、電子計器群、デジタル計器パネルなど)をさらに含み得る。計器群532は、コントローラ及び/又はスーパーコンピュータ(たとえば、個別のコントローラ又はスーパーコンピュータ)を含み得る。計器群532は、スピードメーター、燃料レベル、油圧、タコメーター、オドメーター、方向指示器、ギアシフト位置インジケータ、シート・ベルト警告灯、パーキングブレーキ警告灯、エンジン故障灯、エアバッグ(SRS)システム情報、照明制御装置、安全システム制御装置、ナビゲーション情報など、1セットの器具類を含み得る。いくつかの実例では、情報は、インフォテインメントSoC530及び計器群532の間で表示及び/又は共有され得る。言い換えれば、計器群532は、インフォテインメントSoC530の一部として含まれてもよく、逆もまた同様である。
【0149】
図5Dは、本開示のいくつかの実施例による、
図5Aのクラウドベースのサーバと例示的自律型車両500との間の通信のシステム図である。システム576は、サーバ578、ネットワーク590、及び、移動車500を含む移動車を含み得る。サーバ578は、複数のGPU584(A)~584(H)(本明細書でGPU584と総称される)、PCIeスイッチ582(A)~582(H)(本明細書でPCIeスイッチ582と総称される)、及び/又はCPU580(A)~580(B)(本明細書でCPU580と総称される)を含み得る。GPU584、CPU580、及びPCIeスイッチは、たとえば、NVIDIAによって開発されたNVLinkインターフェース588及び/又はPCIe接続586などの、これらに限定されない、高速相互接続で相互に接続され得る。いくつかの実例では、GPU584は、NVLink及び/又はNVSwitch SoCを介して接続され、GPU584及びPCIeスイッチ582は、PCIe相互接続を介して接続される。8個のGPU584、2個のCPU580、及び2個のPCIeスイッチが図示されているが、これは制限を意図されていない。実施例に応じて、それぞれのサーバ578は、任意の数のGPU584、CPU580、及び/又はPCIeスイッチを含み得る。たとえば、サーバ578は、それぞれ、8個、16個、32個、及び/又はそれ以上のGPU584を含み得る。
【0150】
サーバ578は、最近開始された道路工事など、予想外の又は変更された道路状態を示す画像を表す画像データを、ネットワーク590を介して、移動車から、受信することができる。サーバ578は、ニューラル・ネットワーク592、更新されたニューラル・ネットワーク592、及び/又は、交通及び道路状態に関する情報を含むマップ情報594をネットワーク590を介して移動車に送信することができる。マップ情報594の更新は、建設現場、くぼみ、迂回路、洪水、及び/又は他の障害物に関する情報など、HDマップ522の更新を含み得る。いくつかの実例では、ニューラル・ネットワーク592、更新されたニューラル・ネットワーク592、及び/又はマップ情報594は、環境において任意の数の移動車から受信されたデータにおいて表された新しいトレーニング及び/又は経験から、及び/又は(たとえば、サーバ578及び/又は他のサーバを使用する)データ・センタにおいて実行されたトレーニングに基づいて、生じた可能性がある。
【0151】
サーバ578は、トレーニング・データに基づいてマシン学習モデル(たとえば、ニューラル・ネットワーク)をトレーニングするために使用され得る。トレーニング・データは、移動車によって生成され得る、及び/又は(たとえば、ゲーム・エンジンを使用して)シミュレーションにおいて生成され得る。いくつかの実例では、トレーニング・データは、タグ付けされる(たとえば、ニューラル・ネットワークが、監督された学習の恩恵を受ける場合)及び/又は他の事前処理を受けるが、他の実例において、トレーニング・データは、タグ付け及び/又は事前処理されない(たとえば、ニューラル・ネットワークが、監督された学習を必要としない場合)。トレーニングは、たとえば以下のクラスを含むがこれらに限定されない、任意の1つ又は複数のクラスのマシン学習技法に従って、実行され得る:監視されたトレーニング、半監視されたトレーニング、監視されていないトレーニング、自己学習、強化学習、連合型学習、転移学習、特徴学習(主要構成要素及びクラスタ分析を含む)、マルチ線形部分空間学習、多様体学習、表現学習(予備辞書学習を含む)、ルールに基づくマシン学習、異常検出、及びそれらの変更形態若しくは組合せ。マシン学習モデルがトレーシングされた後は、マシン学習モデルは、移動車によって使用され得(たとえば、ネットワーク590を介して移動車に送信される)、及び/又は、マシン学習モデルは、移動車を遠隔監視するために、サーバ578によって使用され得る。
【0152】
いくつかの実例では、サーバ578は、移動車からデータを受信し、リアルタイムのインテリジェント推論のために最新のリアルタイムのニューラル・ネットワークにデータを適用することができる。サーバ578は、NVIDIAによって開発されたDGX及びDGXステーション・マシンなど、GPU584によって電力供給される深層学習スーパーコンピュータ及び/又は専用のAIコンピュータを含み得る。しかしながら、一部の実例では、サーバ578は、CPU電源式データ・センタのみを使用する深層学習インフラストラクチャを含み得る。
【0153】
サーバ578の深層学習インフラストラクチャは、高速のリアルタイム推論の能力を有することでき、その能力を使用して移動車500内のプロセッサ、ソフトウェア、及び/又は関連ハードウェアの調子を評価及び検証することができる。たとえば、深層学習インフラストラクチャは、移動車500がそのシーケンスの画像内に位置したシーケンスの画像及び/又は物体など、移動車500からの定期的更新を受信することができる(たとえば、コンピュータ・ビジョン及び/又は他のマシン学習物体分類技法を介して)。深層学習インフラストラクチャは、物体を識別し、移動車500によって識別された物体とそれらを比較するために、独自のニューラル・ネットワークを実行することができ、結果が一致せず、インフラストラクチャが、移動車500内のAIは正常に機能していないという結論を下した場合、サーバ578は、制御を推測し、乗客に通知し、安全な駐車操作を完了するように移動車500のフェイルセーフ・コンピュータに命じる移動車500への信号を送信することができる。
【0154】
推論のために、サーバ578は、GPU584及び1つ又は複数のプログラマブル推論加速装置(たとえば、NVIDIAのTensorRT)を含み得る。GPU電源式サーバ及び推論加速の組合せは、リアルタイムの反応性を可能にすることができる。パフォーマンスがさほど必要とされない場合など、他の実例では、CPU、FPGA、及び他のプロセッサによって電力供給されるサーバが、推論のために使用され得る。
【0155】
例示的計算デバイス
図6は、本開示のいくつかの実施例の実装に使用するのに適した計算デバイス600の一実例のブロック図である。計算デバイス600は、以下のデバイスを間接的に又は直接的につなぐ相互接続システム602を含み得る:メモリ604、1つ又は複数の中央処理装置(CPU)606、1つ又は複数のグラフィック処理ユニット(GPU)608、通信インターフェース610、入力/出力(I/O)ポート612、入力/出力構成要素614、電力供給装置616、1つ又は複数の提示構成要素618(たとえば、ディスプレイ)、及び1つ又は複数の論理ユニット620。少なくとも1つの実施例において、計算デバイス600は、1つ又は複数の仮想マシン(VM)を含み得る、及び/又は、その構成要素のいずれかは、仮想構成要素(たとえば、仮想ハードウェア構成要素)を含み得る。非限定的実例として、GPU608のうちの1つ又は複数は、1つ又は複数のvGPUを含み得、CPU606のうちの1つ又は複数は、1つ又は複数のvCPUを含み得、及び/又は、論理ユニット620のうちの1つ又は複数は、1つ又は複数の仮想論理ユニットを含み得る。そのようなものとして、計算デバイス600は、個別の構成要素(たとえば、計算デバイス600専用の全GPU)、仮想構成要素(たとえば、計算デバイス600専用のGPUの一部分)、又はその組合せを含み得る。
【0156】
図6の様々なブロックは、線で相互接続システム602を介して接続しているように示されているが、これは制限することを意図されておらず、単に分かりやすくするためである。たとえば、一部の実施例では、表示デバイスなどの提示構成要素618は、I/O構成要素614と考えられ得る(たとえば、ディスプレイがタッチ・スクリーンである場合)。別の実例として、CPU606及び/又はGPU608はメモリを含み得る(たとえば、メモリ604は、GPU608、CPU606、及び/又は他の構成要素のメモリに加えた記憶デバイスを表し得る)。言い換えれば、
図6の計算デバイスは、単に例示である。「ワークステーション」、「サーバ」、「ラップトップ」、「デスクトップ」、「タブレット」、「クライアント・デバイス」、「モバイル・デバイス」、「ハンドヘルド・デバイス」、「ゲーム機」、「電子制御ユニット(ECU:electronic control unit)」、「仮想現実システム」、及び/又は他のデバイス若しくはシステム・タイプなどのカテゴリはすべて、
図6の計算デバイスの範囲内にあることが意図されているので、これらは区別されない。
【0157】
相互接続システム602は、1つ又は複数のリンク又はバス、たとえば、アドレス・バス、データ・バス、制御バス、又はその組合せ、を表し得る。相互接続システム602は、1つ又は複数のバス又はリンク・タイプ、たとえば、業界標準アーキテクチャ(ISA:industry standard architecture)バス、拡張業界標準アーキテクチャ(EISA:extended industry standard architecture)バス、VESA(video electronics standards association)バス、周辺構成要素相互接続(PCI:peripheral component interconnect)バス、周辺構成要素相互接続エクスプレス(PCIe:peripheral component interconnect express)バス、及び/又は別のタイプのバス若しくはリンク、を含み得る。一部の実施例では、構成要素の間に直接接続が存在する。一実例として、CPU606は、メモリ604に直接接続され得る。さらに、CPU606は、GPU608に直接接続され得る。構成要素の間に直接、又はポイント対ポイント接続が存在する場合、相互接続システム602は、接続を実施するためのPCIeリンクを含み得る。これらの実例では、PCIバスは、計算デバイス600に含まれる必要はない。
【0158】
メモリ604は、様々なコンピュータ可読媒体のいずれかを含み得る。コンピュータ可読媒体は、計算デバイス600によってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体でもよい。コンピュータ可読媒体は、揮発性及び不揮発性媒体の両方、及び取り外し可能な及び取り外し不可能な媒体を含み得る。例として、しかし限定ではなく、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を備え得る。
【0159】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造体、プログラム・モジュール、及び/又は他のデータ・タイプなどの情報の記憶のための任意の方法又は技術において実装された揮発性及び不揮発性媒体及び/又は取り外し可能な及び取り外し不可能な媒体の両方を含み得る。たとえば、メモリ604は、オペレーティング・システムなど、(たとえば、プログラム及び/又はプログラム要素を表す)コンピュータ可読命令を記憶することができる。コンピュータ記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ又は他のメモリ技術、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disk)又は他の光ディスク・ストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク・ストレージ又は他の磁気記憶デバイス、或いは、所望の情報を記憶するために使用し得る及び計算デバイス600によってアクセスし得る任意の他の媒体を含み得るが、これらに限定されない。本明細書では、コンピュータ記憶媒体は、信号自体を含まない。
【0160】
コンピュータ記憶媒体は、搬送波などの変調データ信号又は他の移送機構においてコンピュータ可読命令、データ構造体、プログラム・モジュール、及び/又は他のデータ・タイプを実施することができ、任意の情報配信媒体を含む。「変調データ信号」という用語は、その特性セットのうちの1つ又は複数を有する或いは信号内の情報をエンコードするような方式で変化した信号を指し得る。例として、しかし限定せず、コンピュータ記憶媒体は、ワイヤード・ネットワーク又は直接ワイヤード接続などのワイヤード媒体と、音響、RF、赤外線及び他のワイヤレス媒体などのワイヤレス媒体とを含み得る。前述のいずれかの組合せもまた、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきである。
【0161】
CPU606は、コンピュータ可読命令のうちの少なくともいくつかを実行して計算デバイス600の1つ又は複数の構成要素を制御して本明細書に記載の方法及び/又はプロセスのうちの1つ又は複数を実行するように構成され得る。CPU606は、多数のソフトウェア・スレッドを同時に処理する能力を有する1つ又は複数の(たとえば、1個、2個、4個、8個、28個、72個などの)コアをそれぞれ含み得る。CPU606は、任意のタイプのプロセッサを含み得、実装された計算デバイス600のタイプに応じて、異なるタイプのプロセッサを含み得る(たとえば、モバイル・デバイスのためのより少数のコアを有するプロセッサ、及びサーバのためのより多数のコアを有するプロセッサ)。たとえば、計算デバイス600のタイプに応じて、プロセッサは、縮小命令セット計算(RISC:Reduced Instruction Set Computing)を使用して実装されたAdvanced RISC Machines(ARM)プロセッサ、又は複合命令セット計算(CISC:Complex Instruction Set Computing)を使用して実装されたx86プロセッサでもよい。計算デバイス600は、計算コプロセッサなど、1つ又は複数のマイクロプロセッサ又は補助コプロセッサ内の1つ又は複数のCPU606を含み得る。
【0162】
CPU606に加えて又はその代わりに、GPU608は、コンピュータ可読命令のうちの少なくともいくつかを実行して計算デバイス600の1つ又は複数の構成要素を制御して本明細書に記載の方法及び/又はプロセスのうちの1つ又は複数を実行するように構成され得る。GPU608のうちの1つ若しくは複数は、統合されたGPU(たとえば、CPU606のうちの1つ又は複数とでもよく、及び/又はGPU608のうちの1つ若しくは複数は、離散GPUでもよい。実施例では、GPU608のうちの1つ又は複数は、CPU606のうちの1つ又は複数のコプロセッサでもよい。GPU608は、グラフィックス(たとえば、3Dグラフィックス)をレンダリングする又は汎用計算を実行するために、計算デバイス600によって使用され得る。たとえば、GPU608は、GPUによる汎用計算(GPGPU:General-Purpose computing on GPU)のために使用され得る。GPU608は、同時に数百又は数千のソフトウェア・スレッドを処理する能力を有する数百又は数千のコアを含み得る。GPU608は、レンダリング・コマンド(たとえば、ホスト・インターフェースを介して受信されたCPU606からのレンダリング・コマンド)に応答して、出力画像のための画素データを生成することができる。GPU608は、画素データ又は任意の他の適切なデータ、たとえばGPGPUデータ、を記憶するためのグラフィックス・メモリ、たとえば表示メモリ、を含み得る。表示メモリは、メモリ604の一部として含まれ得る。GPU608は、並行して動作する(たとえば、リンクを介して)2個以上のGPUを含み得る。リンクは、GPUに直接接続することができ(たとえば、NVLINKを使用して)、又はスイッチを介して(たとえば、NVSwitchを使用して)GPUを接続することができる。ともに結合されるとき、各GPU608は、出力の異なる部分の又は異なる出力の画素データ又はGPGPUデータ(たとえば、第1の画像の第1のGPU及び第2の画像の第2のGPU)を生成することができる。各GPUは、独自のメモリを含むことができ、又は他のGPUとメモリを共有することができる。
【0163】
CPU606及び/又はGPU608に加えて又はその代わりに、論理ユニット620は、コンピュータ可読命令のうちの少なくともいくつかを実行して計算デバイス600のうちの1つ又は複数を制御して本明細書に記載の方法及び/又はプロセスのうちの1つ又は複数を実行するように構成され得る。実施例では、CPU606、GPU608、及び/又は論理ユニット620は、方法、プロセス及び/又はその部分の任意の組合せを離散的に又は合同で実行することができる。論理ユニット620のうちの1つ若しくは複数は、CPU606及び/若しくはGPU608のうちの1つ若しくは複数の一部でもよく及び/又はそこで統合されてもよく、及び/又は、論理ユニット620のうちの1つ若しくは複数は、CPU606及び/若しくはGPU608に対する離散構成要素であっても若しくは他の方法でそれらの外部にあってもよい。実施例では、論理ユニット620のうちの1つ又は複数は、CPU606のうちの1つ若しくは複数及び/又はGPU608のうちの1つ若しくは複数のコプロセッサでもよい。
【0164】
論理ユニット620の実例は、1つ又は複数の処理コア及び/又はその構成要素、たとえば、テンソル・コア(TC:Tensor Core)、テンソル処理ユニット(TPU:Tensor Processing Unit)、画素ビジュアル・コア(PVC:Pixel Visual Core)、ビジョン処理ユニット(VPU:Vision Processing Unit)、グラフィックス処理クラスタ(GPC:Graphics Processing Cluster)、テクスチャ処理クラスタ(TPC:Texture Processing Cluster)、ストリーミング・マルチプロセッサ(SM:Streaming Multiprocessor)、木の走査ユニット(TTU:Tree Traversal Unit)、人工知能加速装置(AIA:Artificial Intelligence Accelerator)、深層学習加速装置(DLA:Deep Learning Accelerator)、論理演算ユニット(ALU)、特定用途向け集積回路(ASIC)、浮動小数点演算ユニット(FPU)、入力/出力(I/O)エレメント、周辺構成要素相互接続(PCI)又は周辺構成要素相互接続エクスプレス(PCIe)エレメント、及び/又は同類のもの、を含む。
【0165】
通信インターフェース610は、ワイヤード及び/又はワイヤレス通信を含む、電子通信ネットワークを介して計算デバイス600が他の計算デバイスと通信することを可能にする、1つ又は複数のレシーバ、トランスミッタ、及び/又はトランシーバを含み得る。通信インターフェース610は、ワイヤレス・ネットワーク(たとえば、Wi-Fi(登録商標)、Z-Wave、ブルートゥース(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)LE、Zigbee(登録商標)など)、ワイヤード・ネットワーク(たとえば、イーサネット(登録商標)又はInfiniBandを介して通信すること)、低電力ワイド・エリア・ネットワーク(たとえば、LoRaWAN、SigFoxなど)、及び/又はインターネットなどの、いくつかの異なるネットワークのうちのいずれかを介する通信を可能にするための構成要素及び機能を含み得る。
【0166】
I/Oポート612は、そのうちのいくつかは計算デバイス600に内蔵(たとえば、統合)され得る、I/O構成要素614、提示構成要素618、及び/又は他の構成要素を含む、他のデバイスに計算デバイス600が論理的に連結されることを可能にすることができる。例示的なI/O構成要素614は、マイクロフォン、マウス、キーボード、ジョイスティック、ゲーム・パッド、ゲーム・コントローラ、サテライト・ディッシュ、スキャナ、プリンタ、ワイヤレス・デバイスなどを含む。I/O構成要素614は、エア・ジェスチャ、音声、又は、ユーザによって生成される他の生理的入力を処理する自然ユーザ・インターフェース(NUI:natural user interface)を提供することができる。場合によっては、入力は、さらなる処理のための適切なネットワーク要素に送信され得る。NUIは、音声認識、スタイラス認識、顔認識、生体認識、画面上での及び画面の隣でのジェスチャ認識、エア・ジェスチャ、頭部及び視標追跡、並びに計算デバイス600のディスプレイに関連するタッチ認識(さらに詳しく後述するような)の任意の組合せを実装し得る。計算デバイス600は、ジェスチャ検出及び認識のための、ステレオスコープ・カメラ・システム、赤外線カメラ・システム、RGBカメラ・システム、タッチ画面技術、及びこれらの組合せなど、深度カメラを含み得る。追加で、計算デバイス600は、動きの検出を可能にする加速度計又はジャイロスコープを含み得る(たとえば、慣性測定ユニット(IMU:inertia measurement unit)の一部として)。いくつかの実例では、加速度計又はジャイロスコープの出力は、没入型拡張現実又は仮想現実をレンダリングするために、計算デバイス600によって使用され得る。
【0167】
電力供給装置616は、ハードワイヤード電力供給装置、バッテリ電力供給装置、又はその組合せを含み得る。電力供給装置616は、計算デバイス600の構成要素が動作することを可能にするために計算デバイス600に電力を提供することができる。
【0168】
提示構成要素618は、ディスプレイ(たとえば、モニタ、タッチ画面、テレビジョン画面、ヘッドアップ表示装置(HUD)、他のディスプレイタイプ、又はその組合せ)、スピーカ、及び/又は他の提示構成要素を含み得る。提示構成要素618は、他の構成要素(たとえば、GPU608、CPU606など)からデータを受信し、データを(たとえば、画像、ビデオ、音響などとして)出力することができる。
【0169】
例示的データ・センタ
図7は、本開示の少なくとも1つの実施例において使用され得る例示的データ・センタ700を示す。データ・センタ700は、データ・センタ・インフラストラクチャ層710、フレームワーク層720、ソフトウェア層730、及び/又はアプリケーション層740を含み得る。
【0170】
図7に示すように、データ・センタ・インフラストラクチャ層710は、資源オーケストレータ712、グループ化された計算資源714、及びノード計算資源(「ノードC.R.」)716(1)~716(N)を含み得、そこで、「N」は、任意の整数の、自然数を表す。少なくとも1つの実施例において、ノードC.R.716(1)~716(N)は、任意の数の中央処理装置(「CPU」)又は他のプロセッサ(加速装置、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、グラフィックス・プロセッサ若しくはグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)などを含む)、メモリ・デバイス(たとえば、動的リード・オンリ・メモリ)、記憶デバイス(たとえば、ソリッドステート若しくはディスク・ドライブ)、ネットワーク入力/出力(「NW I/O」)デバイス、ネットワーク・スイッチ、仮想マシン(「VM」)、電力モジュール、及び/又は冷却モジュールなどを含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施例において、ノードC.R.716(1)~716(N)のうちの1つ又は複数のノードC.R.は、前述の計算資源のうちの1つ又は複数を有するサーバに対応し得る。加えて、いくつかの実施例において、ノードC.R.716(1)~7161(N)は、1つ若しくは複数の仮想構成要素、たとえば、vGPU、vCPU、及び/若しくは同類のもの、を含み得る、並びに/又は、ノードC.R.716(1)~716(N)のうちの1つ若しくは複数は、仮想マシン(VM)に対応し得る。
【0171】
少なくとも1つの実施例において、グループ化された計算資源714は、1つ又は複数のラック(図示せず)内に収容された別個のグループのノードC.R.716、或いは様々な地理的場所(やはり図示せず)にあるデータ・センタに収容された多数のラックを含み得る。グループ化された計算資源714内の別個のグループのノードC.R.716は、1つ又は複数のワークロードをサポートするように構成する又は割り当てることができる、グループ化された計算、ネットワーク、メモリ又はストレージ資源を含み得る。少なくとも1つの実施例において、CPU、GPU、及び/又は他のプロセッサを含むいくつかのノードC.R.716は、1つ又は複数のワークロードをサポートするための計算資源を提供するために、1つ又は複数のラック内にグループ化され得る。1つ又は複数のラックはまた、任意の組合せで、任意の数の電力モジュール、冷却モジュール、及び/又はネットワーク・スイッチを含み得る。
【0172】
資源オーケストレータ722は、1つ若しくは複数のノードC.R.716(1)~716(N)及び/又はグループ化された計算資源714を構成又は他の方法で制御することができる。少なくとも1つの実施例において、資源オーケストレータ722は、データ・センタ700のソフトウェア設計インフラストラクチャ(「SDI」)管理エンティティを含み得る。資源オーケストレータ722は、ハードウェア、ソフトウェア、又はその何らかの組合せを含み得る。
【0173】
少なくとも1つの実施例において、
図7に示すように、フレームワーク層720は、ジョブ・スケジューラ732、構成マネージャ734、資源マネージャ736、及び/又は分散型ファイル・システム738を含み得る。フレームワーク層720は、ソフトウェア層730のソフトウェア732及び/又はアプリケーション層740の1つ若しくは複数のアプリケーション742をサポートするためにフレームワークを含み得る。ソフトウェア732又はアプリケーション742は、ウェブベースのサービス・ソフトウェア又はアプリケーション、たとえば、アマゾン・ウェブ・サービス、グーグル・クラウド及びMicrosoft Azureによって提供されるもの、をそれぞれ含み得る。フレームワーク層720は、大規模データ処理(たとえば、「ビッグ・データ」)のための分散型ファイル・システム738を使用し得るApache Spark(商標)(以下「Spark」)などのフリー及びオープン・ソース・ソフトウェア・ウェブ・アプリケーション・フレームワークのタイプでもよいが、これに限定されない。少なくとも1つの実施例において、ジョブ・スケジューラ732は、データ・センタ700の様々な層によってサポートされるワークロードのスケジューリングを容易にするために、Sparkドライバを含み得る。構成マネージャ734は、異なる層、たとえば、ソフトウェア層730と、大規模データ処理をサポートするためのSpark及び分散型ファイル・システム738を含むフレームワーク層720、を構成する能力を有し得る。資源マネージャ736は、分散型ファイル・システム738及びジョブ・スケジューラ732のサポートのためにマップされた又は割り当てられたクラスタ化された又はグループ化された計算資源を管理する能力を有し得る。少なくとも1つの実施例において、クラスタ化された又はグループ化された計算資源は、データ・センタ・インフラストラクチャ層710にグループ化された計算資源714を含み得る。資源マネージャ1036は、資源オーケストレータ712と調整して、これらのマップされた又は割り当てられた計算資源を管理することができる。
【0174】
少なくとも1つの実施例において、ソフトウェア層730に含まれるソフトウェア732は、ノードC.R.716(1)~716(N)の少なくとも部分、グループ化された計算資源714、及び/又はフレームワーク層720の分散型ファイル・システム738によって使用されるソフトウェアを含み得る。1つ又は複数のタイプのソフトウェアは、インターネット・ウェブ・ページ検索ソフトウェア、電子メール・ウイルス・スキャン・ソフトウェア、データベース・ソフトウェア、及びストリーミング・ビデオ・コンテンツ・ソフトウェアを含み得るが、これらに限定されない。
【0175】
少なくとも1つの実施例において、アプリケーション層740に含まれるアプリケーション742は、ノードC.R.716(1)~716(N)の少なくとも部分、グループ化された計算資源714、及び/又はフレームワーク層720の分散型ファイル・システム738によって使用される1つ又は複数のタイプのアプリケーションを含み得る。1つ又は複数のタイプのアプリケーションは、任意の数のゲノミクス・アプリケーション、認知計算、並びに、トレーニング若しくは推論ソフトウェア、マシン学習フレームワーク・ソフトウェア(たとえば、PyTorch、TensorFlow、Caffeなど)、及び/又は1つ若しくは複数の実施例と併せて使用される他のマシン学習アプリケーションを含む、マシン学習アプリケーションを含み得るが、これらに限定されない。
【0176】
少なくとも1つの実施例において、構成マネージャ734、資源マネージャ736、及び資源オーケストレータ712のうちのいずれかは、任意の技術的に可能な方式で取得される任意の量及びタイプのデータに基づいて任意の数及びタイプの自己書換え型アクションを実装することができる。自己書換え型アクションは、よくない可能性のある構成決定を行うこと並びにデータ・センタの十分に活用されていない及び/又は実行の不十分な部分を恐らく回避することからデータ・センタ700のデータ・センタ・オペレータを解放し得る。
【0177】
データ・センタ700は、1つ又は複数のマシン学習モデルをトレーニングする或いは本明細書に記載の1つ又は複数の実施例による1つ又は複数のマシン学習モデルを使用して情報を予測する又は推論するために、ツール、サービス、ソフトウェア或いは他の資源を含み得る。たとえば、マシン学習モデルは、データ・センタ700に関して前述されたソフトウェア及び/又は計算資源を使用するニューラル・ネットワーク・アーキテクチャによる重量パラメータの計算によって、トレーニングされ得る。少なくとも1つの実施例において、1つ又は複数のニューラル・ネットワークに対応するトレーニングされた又は配備されたマシン学習モデルは、たとえば、本明細書に記載のものに限定されない、1つ又は複数のトレーニング技法を介して計算された重量パラメータを使用することによって、データ・センタ700に関して前述された資源を使用して情報を推論又は予測するために使用され得る。
【0178】
少なくとも1つの実施例において、データ・センタ700は、前述の資源を使用するトレーニング及び/又は推論の実行のために、CPU、特定用途向け集積回路(ASIC)、GPU、FPGA、及び/又は他のハードウェア(若しくはそれに対応する仮想計算資源)を使用することができる。さらに、前述の1つ又は複数のソフトウェア及び/又はハードウェア資源は、情報の推論をユーザがトレーニング又は実行することを可能にするためのサービス、たとえば、画像認識、音声認識、又は他の人工知能サービス、として構成され得る。
【0179】
例示的ネットワーク環境
本開示の実施例の実装において使用するのに適したネットワーク環境は、1つ若しくは複数のクライアント・デバイス、サーバ、ネットワーク接続型ストレージ(NAS:network attached storage)、他のバックエンド・デバイス、及び/又は他のデバイス・タイプを含み得る。クライアント・デバイス、サーバ、及び/又は他のデバイス・タイプ(たとえば、各デバイス)は、
図6の計算デバイス600の1つ又は複数のインスタンスで実装され得、たとえば、各デバイスは、計算デバイス600の類似の構成要素、特徴、及び/又は機能性を含み得る。加えて、バックエンド・デバイス(たとえば、サーバ、NASなど)が、実装される場合、バックエンド・デバイスは、データ・センタ700の一部として含まれ得、その実例は、
図7に関して本明細書でさらに詳述される。
【0180】
ネットワーク環境の構成要素は、ワイヤード、ワイヤレス、又はその両方でもよい、ネットワークを介して互いに通信し得る。ネットワークは、複数のネットワーク、又はネットワークのネットワークを含み得る。実例として、ネットワークは、1つ若しくは複数のワイド・エリア・ネットワーク(WAN)、1つ若しくは複数のローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、1つ若しくは複数のパブリック・ネットワーク、たとえば、インターネット及び/若しくは公衆交換電話網(PSTN)、並びに/又は1つ若しくは複数のプライベート・ネットワークを含み得る。ネットワークが、ワイヤレス電気通信ネットワークを含む場合、構成要素、たとえば、基地局、通信塔、或いはアクセス・ポイント(並びに他の構成要素)、は、ワイヤレス接続を提供し得る。
【0181】
互換性のあるネットワーク環境は、1つ又は複数のピア・ツー・ピア・ネットワーク環境(その場合、サーバはネットワーク環境に含まれないことがある)と、1つ又は複数のクライアント・サーバ・ネットワーク環境(その場合、1つ又は複数のサーバがネットワーク環境に含まれ得る)とを含み得る。ピア・ツー・ピア・ネットワーク環境では、サーバに関して本明細書に記載した機能性は、任意の数のクライアント・デバイスで実装され得る。
【0182】
少なくとも1つの実施例において、ネットワーク環境は、1つ又は複数のクラウドベースのネットワーク環境、分散型計算環境、その組合せなどを含み得る。クラウドベースのネットワーク環境は、フレームワーク層、ジョブ・スケジューラ、資源マネージャ、並びに、1つ若しくは複数のコア・ネットワーク・サーバ及び/又はエッジ・サーバを含み得る、サーバのうちの1つ又は複数で実装された分散型ファイル・システムを含み得る。フレームワーク層は、ソフトウェア層のソフトウェア及び/又はアプリケーション層の1つ若しくは複数のアプリケーションをサポートするために、フレームワークを含み得る。ソフトウェア又はアプリケーションは、それぞれ、ウェブベースのサービス・ソフトウェア又はアプリケーションを含み得る。実施例において、クライアント・デバイスのうちの1つ又は複数は、ウェブベースのサービス・ソフトウェア又はアプリケーションを使用し得る(たとえば、1つ又は複数のアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)を介してサービス・ソフトウェア及び/又はアプリケーションにアクセスすることによって)。フレームワーク層は、たとえば大規模データ処理(たとえば、「ビッグ・データ」)のための分散型ファイル・システムを使用し得る、フリー及びオープン・ソース・ソフトウェア・ウェブ・アプリケーション・フレームワークのタイプでもよいが、これに限定されない。
【0183】
クラウドベースのネットワーク環境は、本明細書に記載の計算及び/又はデータ・ストレージ機能(又は1つ若しくは複数のその部分)の任意の組合せを実施するクラウド計算及び/又はクラウド・ストレージを提供し得る。これらの様々な機能のいずれも、セントラル又はコア・サーバ(たとえば、州、領域、国、世界にわたって分散され得る1つ又は複数のデータ・センタなどの)から複数の場所に分散され得る。ユーザ(たとえば、クライアント・デバイス)への接続が、エッジ・サーバに比較的近い場合、コア・サーバは、機能性の少なくとも一部分をエッジ・サーバに任じ得る。クラウドベースのネットワーク環境は、プライベート(たとえば、単一の組織に制限される)でもよく、パブリック(たとえば、多数の組織に利用可能)、及び/又はその組合せ(たとえば、ハイブリッド・クラウド環境)でもよい。
【0184】
クライアント・デバイスは、
図6に関して本明細書に記載の例示的計算デバイス600の構成要素、特徴、及び機能性のうちの少なくともいくつかを含み得る。実例として、及び制限ではなく、クライアント・デバイスは、パーソナル・コンピュータ(PC)、ラップトップ・コンピュータ、モバイル・デバイス、スマートフォン、タブレット・コンピュータ、スマート・ウォッチ、ウェアラブル・コンピュータ、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、MP3プレイヤ、仮想現実ヘッドセット、全地球測位システム(GPS)又はデバイス、ビデオ・プレイヤ、ビデオカメラ、監視デバイス又はシステム、車両、ボート、飛行船、仮想マシン、ドローン、ロボット、ハンドヘルド通信デバイス、病院デバイス、ゲーミング・デバイス又はシステム、娯楽システム、車両コンピュータ・システム、組み込み型システム・コントローラ、リモート制御、器具、民生用電子デバイス、ワークステーション、エッジ・デバイス、これらの描写されたデバイスの任意の組合せ、或いは任意の他の適切なデバイスとして実施され得る。
【0185】
本開示は、コンピュータ又は、携帯情報端末若しくは他のハンドヘルド・デバイスなどの、他のマシンによって実行されている、プログラム・モジュールなどのコンピュータ実行可能命令を含む、コンピュータ・コード又はマシン使用可能命令との一般的関連において説明されることがある。一般に、ルーティン、プログラム、オブジェクト、構成要素、データ構造体などを含むプログラム・モジュールは、特定のタスクを実行する又は特定の抽象データ・タイプを実装するコードを指す。本開示は、ハンドヘルド・デバイス、家電製品、汎用コンピュータ、より特殊な計算デバイスなどを含む、様々な構成で実施され得る。本開示はまた、通信ネットワークを介してリンクされた遠隔処理デバイスによってタスクが実行される分散型コンピューティング環境において実施され得る。
【0186】
本明細書では、2個以上の要素に関する「及び/又は」の記述は、1つの要素のみ、又は要素の組合せを意味すると解釈されるべきである。たとえば、「要素A、要素B、及び/又は要素C」は、要素Aのみ、要素Bのみ、要素Cのみ、要素A及び要素B、要素A及び要素C、要素B及び要素C、或いは、要素A、B、及びCを含み得る。加えて、「要素A又は要素Bのうちの少なくとも1つ」は、要素Aの少なくとも1つ、要素Bの少なくとも1つ、或いは、要素Aの少なくとも1つ及び要素Bの少なくとも1つを含み得る。さらに、「要素A及び要素Bのうちの少なくとも1つ」は、要素Aのうちの少なくとも1つ、要素Bのうちの少なくとも1つ、或いは、要素Aのうちの少なくとも1つ及び要素Bのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0187】
本開示の主題は、法定の要件を満たすために特異性を有して記述されている。しかしながら、その記述自体が本開示の範囲を制限することは意図されていない。そうではなくて、本発明者は、請求されている主題が、他の現在の又は未来の技術と併せて、異なるステップ又は本文書に記載されたものと類似のステップの組合せを含むように、他の形で実施され得ることを意図している。さらに、「ステップ」及び/又は「ブロック」という用語は、使用される方法の異なる要素を含意するように本明細書で使用され得るが、これらの用語は、個別のステップの順番が明示的に記載されていない限り及びそのように記載されているときを除いて本明細書で開示される様々なステップの間に何らかの特定の順番を暗示するものとして解釈されるべきではない。
【外国語明細書】