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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068089
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】パーティション
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20220422BHJP
   A47B 17/00 20060101ALI20220422BHJP
   A47B 17/04 20060101ALI20220422BHJP
   A47B 96/04 20060101ALI20220422BHJP
   A47G 5/00 20060101ALI20220422BHJP
   G10K 11/16 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
A47B13/00 Z
A47B17/00 Z
A47B17/04
A47B96/04 Z
A47B96/04 B
A47G5/00 A
G10K11/16 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021092490
(22)【出願日】2021-06-01
(31)【優先権主張番号】P 2020175609
(32)【優先日】2020-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1) ▲1▼ウェブサイトの掲載日 (a)令和3年3月24日 (b)令和3年3月24日 (c)令和3年5月12日 (d)令和3年5月12日 ▲2▼掲載アドレス (a)https://www.putiputi.co.jp/products/3707 (b)https://www.putiputi.co.jp/_assets/wp-content/uploads/2021/03/sapartitionpersonal.pdf (c)http://www.putiputi.co.jp/4155 (d)http://www.putiputi.co.jp/case-studies/4134
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (2) ▲1▼ウェブサイトの掲載日 (a)令和3年3月19日 (b)令和3年3月16日 (c)令和3年3月16日 (d)令和3年3月19日 (e)令和3年3月16日 (f)令和3年3月16日 ▲2▼ウェブサイトのアドレス (a)https://www.ipros.jp/product/detail/2000598372 (b)https://www.ipros.jp/product/detail/2000598374 (c)https://www.ipros.jp/catalog/detail/575057?hub=54 (d)https://www.ipros.jp/news/detail/73336/ (e)https://www.ipros.jp/product/detail/2000598289 (f)https://www.ipros.jp/catalog/detail/575057?hub=150+265334
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (3) ▲1▼ウェブサイトの掲載日 令和3年4月2日 ▲2▼ウェブサイトのアドレスhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000076277.html
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (4) ▲1▼ウェブサイトの掲載日 令和3年5月6日 ▲2▼ウェブサイトのアドレス https://www.youtube.com/watch?v=4VBV0QEHF1c
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (5) ▲1▼納入日 令和3年4月5日 ▲2▼納入した場所 株式会社名古屋リビング新聞社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (6) ▲1▼納入日 令和3年4月5日 ▲2▼納入した場所 アコス工業株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (7) ▲1▼納入日 令和3年4月14日 ▲2▼納入した場所 リバ技研株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (8) ▲1▼納入日 令和3年4月16日 ▲2▼納入した場所 MYメディカルクリニック
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (9) ▲1▼納入日 令和3年4月19日 ▲2▼納入した場所 株式会社ジャム
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (10) ▲1▼納入日 令和3年4月19日 ▲2▼納入した場所 後藤宏
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (11) ▲1▼納入日 令和3年5月21日 ▲2▼納入した場所 中央可鍛工業株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (12) ▲1▼納入日 令和3年5月25日 ▲2▼納入した場所 もりや産業株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (13) ▲1▼納入日 令和3年4月26日 ▲2▼納入した場所 日本コンテック株式会社
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (14) ▲1▼納入日 令和3年1月21日 ▲2▼納入した場所 凸版印刷株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000199979
【氏名又は名称】川上産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田島 琢己
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 浩司
(72)【発明者】
【氏名】川上 裕次郎
【テーマコード(参考)】
3B053
5D061
【Fターム(参考)】
3B053NP00
3B053NQ09
3B053NQ10
5D061CC13
(57)【要約】
【課題】WEB会議等の参加者及び他者が同じ空間に存在していても、快適にWEB会議等を行える環境を作ることができ、またWEB会議等を行わない際にはコンパクトに収納が可能なパーティションを提供する。
【解決手段】卓上パーティション1は、背板部11に対して開閉可能に接続された左板部12及び右板部13を備え、背板部11、左板部12及び右板部13の間がコの字状に開いた状態である組み立て状態と、背板部11、左板部12及び右板部13が重なるように閉じた状態である折り畳み状態との間で変形可能であり、各板部の素材は、組み立て状態において自立可能な剛性を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間及び外部空間の間を仕切るパーティションであって、
背板部と、
前記背板部の左右辺部に対して、それぞれヒンジ部によって開閉可能に接続された側板部とを備え、
前記背板部及び前記側板部の間がコの字状に開いた状態である組み立て状態と、前記背板部及び前記側板部が閉じた状態である折り畳み状態との間で変形可能であり、
各板部の素材は、組み立て状態において自立可能な剛性を有する
ことを特徴とするパーティション。
【請求項2】
各板部の素材は、外部空間から内部空間を明視できない程度の不透視性と、外部空間の光を内部空間に採光できる程度の採光性とを有する透光不透視板である
ことを特徴とする請求項1に記載のパーティション。
【請求項3】
前記背板部の上辺部に対して、ヒンジ部によって開閉可能に接続された天板部を備え、
前記天板部は、
組み立て状態では、パーティションの天部を形成する位置に配置され、前記背板部に対して開いた状態であり、
折り畳み状態では、前記背板部に対して閉じた状態である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパーティション。
【請求項4】
組み立て状態において、前記天板部を、天部を形成する位置として、後側から手前側に至るに従って上側に至るように傾斜した位置に保持する保持部を備える
ことを特徴とする請求項3に記載のパーティション。
【請求項5】
複数の前記板部のうち内部空間側の面の少なくとも一部に設けられ、内部空間内の音を吸音する吸音部を備える
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のパーティション。
【請求項6】
各板部の素材は、中空樹脂板である
ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のパーティション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部空間及び外部空間の間を仕切るパーティションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、必要に応じて組み立てることが可能なパーティションがあった(例えば特許文献1)。
しかし、従来のパーティションは、組み立て難く、また、収容時にはかさばっていた。
また、新たな働き方(在宅勤務、テレワーク、コワーキング等)の普及にともない、会議や面談等は、パーソナルコンピュータ等を使用したWEB会議等の利用が、従来よりも増加している。さらに、感染症の感染対策等が必要な期間においては、WEB会議等の利用が、平時よりも増加することがある。
しかし、WEB会議等の参加者と、この参加者以外の他者とが同じ空間に存在するような状況では、例えば、他者の声がWEB会議等の音声(パーソナルコンピュータ等へのマイク入力)に入ってしまうという問題がある。また、例えば、このような他者の声によって、WEB会議等の参加者は、会議の音声(パーソナルコンピュータ等からの出力音)を聞き取りにくくなる等といった問題がある。さらに、同室内の複数人が、個々のパーソナルコンピュータ等を利用して、同一のWEB会議等に参加する場合には、ハウリングが起きやすいという問題がある。
このため、WEB会議等の参加者及び他者が同じ空間に存在していても、快適にWEB会議等を行える環境を作ることができ、またWEB会議等を行わない際にはコンパクトに収納が可能な簡易パーティションの需要が高まりつつある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3161592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、WEB会議等の参加者及び他者が同じ空間に存在していても、快適にWEB会議等を行える環境を作ることができ、またWEB会議等を行わない際にはコンパクトに収納が可能なパーティションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態は、内部空間及び外部空間の間を仕切るパーティションであって、背板部と、前記背板部の左右辺部に対して、それぞれヒンジ部によって開閉可能に接続された側板部とを備え、前記背板部及び前記側板部の間がコの字状に開いた状態である組み立て状態と、前記背板部及び前記側板部が閉じた状態である折り畳み状態との間で変形可能であり、各板部の素材は、組み立て状態において自立可能な剛性を有することを特徴とするパーティションの構成にした。
また、本発明の一形態は、各板部の素材は、外部空間から内部空間を明視できない程度の不透視性と、外部空間の光を内部空間に採光できる程度の採光性とを有する透光不透視板であることを特徴とするパーティションの構成にした。
さらに、本発明の一形態は、前記背板部の上辺部に対して、ヒンジ部によって開閉可能に接続された天板部を備え、前記天板部は、組み立て状態では、パーティションの天部を形成する位置に配置され、前記背板部に対して開いた状態であり、折り畳み状態では、前記背板部に対して閉じた状態であることを特徴とするパーティションパーティションの構成にした。
さらにまた、本発明の一形態は、複数の前記板部のうち内部空間側の面の少なくとも一部に設けられ、内部空間内の音を吸音する吸音部を備えることを特徴とするパーティションの構成にした。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の卓上パーティション1の組み立て状態であり、使用時の状態を説明する斜視図である。
図2】第1実施形態の各板部11~16及びヒンジ部H12~H16の素材である中空樹脂板を説明する図である。
図3】第1実施形態の卓上パーティション1の展開状態を説明する図である。
図4】第1実施形態のヒンジ部H14、梁14a、ロック部31を説明する断面図である。
図5】第1実施形態の卓上パーティション1を折り畳み状態に変形する工程を説明する図である。
図6】第1実施形態の卓上パーティション1の折り畳み状態を示す図である。
図7】第2実施形態のパーティションセットS201の使用時の状態を説明する図である。
図8】第2実施形態のパーティションセットS201の使用時の状態を説明する図である。
図9】第2実施形態のパーティションセットS201の使用時の状態を説明する図である。
図10】第2実施形態の卓上パーティション201の展開状態を説明する図である。
図11】第2実施形態の卓上パーティション201のL字曲げの構成を説明する断面図である。
図12】第2実施形態の背後パーティション261の構成を説明する図である。
図13】第2実施形態のパネル270単体の構成を説明する図である。
図14】第2実施形態の防音効果の検証試験を説明する図である。
図15】第2実施形態のハウリング抑制効果の検証試験を説明する図である。
図16】第3実施形態のパーティションセットS301を説明する図である。
図17】第3実施形態の背後パーティション360の傾斜部390を説明する図である。
図18】第3実施形態のその他の形態の傾斜部390Bを説明する図である。
図19】第3実施形態のその他の形態の背後パーティション360Cを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施形態)
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の卓上パーティション1の組み立て状態であり、使用時の状態を説明する斜視図である。
図1は、各部材の厚さの図示を省略し模式的に図示した。
図2は、第1実施形態の各板部11~16及びヒンジ部H12~H16の素材である中空樹脂板を説明する図である。
図3は、第1実施形態の卓上パーティション1の展開状態を説明する図である。
図4は、第1実施形態のヒンジ部H14、梁14a、ロック部31を説明する断面図である。
図4(A)、図4(B)は、図3の4A-4A断面、4B-4B断面を拡大して示す図である。
図4(C)、図4(D)は、ロック部31のロック状態、解除状態を示す図である。
【0008】
実施形態では、説明と理解を容易にするために、適宜、座標系を用いて説明する。図1に示すように、この座標系は、直交座標系であり、使用時の卓上パーティション1の左右方向X(左側X1、右側X2)、前後方向Y(手前側Y1、後側Y2(背面側))、鉛直方向Z(下側Z1、上側Z2)を表す。また、図3に示すように、展開状態では、背板部11の内側面を正面に配置した状態における横方向A、縦方向Bを表す。
図1に示すように、利用者Uは、複数の人が滞在可能な部屋等(例えばオフィスの執務スペース等)において、卓上パーティション1を卓上(机2の上)に載置して利用することができる。卓上パーティション1は、卓上に載置されることにより、卓上の内部空間と、これよりも外側の外部空間との間を仕切ることができる。
卓上パーティション1は、後述するように、組み立て状態及び折り畳み状態の間で変形可能である。卓上パーティション1は、組み立て状態で、パーティションとして使用される。
【0009】
図1図3等に示すように、卓上パーティション1は、本体10、吸音部21~24、取手40を備える。
本体10は、背板部11、左板部12(側板部)、右板部13(側板部)、天板部14、左保持板部15、右保持板部16、ヒンジ部H12~H16、ロック部31~34を備える。
図3等に示すように、背板部11、左板部12、右板部13、天板部14、左保持板部15、右保持板部16、ヒンジ部H12~H16を構成する板材は、分離したものではなく、一体の構造であり、かつ、1つの板材を加工することにより、作製できる。
板材は、透光不透視板である。板材は、卓上パーティション1の使用状態において、卓上パーティション1の周囲から内部を明視できない程度の不透視性と、周囲の光を内部に採光できる程度の採光性とを有する。
【0010】
図2に示すように、これらの機能を確保するために、板材は、透明又は半透明な樹脂から形成された中空樹脂板を用いる。中空樹脂板は、軽量であり、かつ、耐圧縮性に優れている。また、実施形態の中空樹脂板は、組み立て状態の卓上パーティション1を、卓上に自立可能な程度の剛性を有する。
なお、図2図4(A)以外の図面では、中空樹脂板の断面形状を簡略して、板状に図示した。
【0011】
中空樹脂板としては、例えば、三層気泡ボード51、二層気泡ボード52、プラスチック段ボール53等を使用できる。また、中空樹脂板の素材は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂等である。
【0012】
図2(A)に示すように、三層気泡ボード51は、3つの樹脂シート51a~51cが積層されたものである。つまり、三層気泡ボード51は、キャップシート51bと、キャップシート51bの上面(キャップ51dの膨出側)に積層されたライナーシート51cと、キャップシート51bの下面に積層されたバックシート51aとを備える。各層間は、例えば熱融着等によって接合されている。キャップシート51bは、中空状に膨出する多数のキャップ51dが形成されたコア材である。
【0013】
図2(B)に示すように、同様に、二層気泡ボード52は、キャップシート52bと、キャップシート52bの下面に積層され、多数のキャップ52dが形成されたバックシート52aとを備える。
バックシート51a,52a、キャップシート51b,52b、ライナーシート51cのそれぞれの厚みは、卓上パーティション1に要求される強度、剛性等に対応したものになっている。通常は、これらの厚みは、例えば0.1m~1.5mm程度とすることができる。
なお、キャップ51d,52dの形状は、図2(A)、図2(B)に示すような円柱状に限定されず、例えば、角錐台状、円錐台状等としてもよい。また、コア材は、ハニカム構造により形成された中空樹脂板等も使用することもできる。
【0014】
図2(C)に示すように、プラスチック段ボール53は、上下の板材53a,53cの間にコア部分となる壁材53bを多数列設した断面矩形状の中空部を有する構成となっている。
【0015】
このように、中空樹脂板は、中空構造をなすための立体加工が施されたコア部分(51b~53b)と、コア部分の表面及び裏面の少なくとも一面に板材状の外装部分(51a~53a,51c,53c)を積層したような構造を有することが好適である。
中空樹脂板の総厚みは、1mm~100mmであることが好ましく、さらには2mm~50mmであることが好ましい。
【0016】
なお、三層気泡ボード51、二層気泡ボード52等の気泡ボードは、連続した一枚の中空樹脂板から、容易に製造できる。さらに、このような気泡ボードは、一連の連続した工程で製造できるので、製造しやすい。
【0017】
図1等に示すように、本体10の組み立て状態の大きさは、一般的な事務用の机2の上に載置できる程度の大きさである。本体10の外形は、一例として、左右方向Xの大きさ(左板部12、右板部13間の長さ)が700~800mm程度、前後方向Yの大きさ(左板部12及び右板部13の手前側Y1の先端と背板部11の背面(後側Y2の面)との長さ)が400~500mm程度である。また、机上から天板部14の頂部までの高さが800mm程度、左板部12及び右板部13の高さが400~500mm程度である。
【0018】
背板部11、左板部12、右板部13、天板部14、左保持板部15、右保持板部16は、これらの外形に対応した形状、大きさである。
背板部11、左板部12、右板部13、天板部14の外形は、長方形状又は正方形状等である。
背板部11の外形、天板部14の外形とは等しい。このため、後述するように、折り畳み状態では、背板部11、天板部14は、2つ折りに折り畳むことができる。
天板部14の先端には、断面がコの字状の梁14aが取り付けられている(図4(B)参照)。梁14aは、樹脂等により形成することができる。梁14aは、例えば、使用時において天板部14が大きく撓まないように、天板部14を補強するものである。なお、天板部14のみで十分な強度を有する場合には、梁14aは、不要である。
左保持板部15は、五角形状である。
【0019】
ヒンジ部H12~H16は、隣合う板部間を回転可能に接続する部分である。
ヒンジ部H12は、背板部11の左辺部に設けられており、背板部11及び左板部12間を接続する。
ヒンジ部H13は、背板部11の右辺部に設けられており、背板部11及び右板部13間を接続する。
ヒンジ部H14は、背板部11の上辺部に設けられており、背板部11及び天板部14間を接続する。
ヒンジ部H15は、天板部14の左辺部に設けられており、天板部14及び左保持板部15間を接続する。
ヒンジ部H16は、天板部14の右辺部に設けられており、天板部14及び右保持板部16間を接続する。
【0020】
ヒンジ部H12~H16の構成は、同様である。
図3図4(A)に示すように、ヒンジ部H14は、接続片H14aと、その接続片H14aに向かい合った辺部にそれぞれ設けられた折罫H14b(図3に二点鎖線で示す)とを備える。
接続片H14aは、背板部11及び天板部14間に配置された板部である。
折罫H14bは、接続片H14aと、これに連続する背板部11及び天板部14との間にそれぞれ設けられている。
折罫H14bは、板材に設けられたV字状の溝、ハーフカット等である。これにより、接続片H14aと、これに連続する板部11,14とは、回転可能に接続される。V字状の溝で形成する方法としては、例えば、先端の断面形状が直角である加熱した鏝を、板材に対して押し当てればよい。
他のヒンジ部H12,H13,H15,H16は、ヒンジ部H14と同様に、接続片H12a,H13a,H15a,H16aと、その接続片の向かい合った辺部にそれぞれ設けられた折罫H12b,H13b,H15b,H16bとを備える。
【0021】
このように、隣合う板部は、ヒンジ部H12~H16で接続されることにより、回転可能に接続される。
また、ヒンジ部H12~H16が接続片H12a~H16aを有することにより、隣合う板部は、突っ張ることなく回転することができる。
【0022】
ロック部31~34は、板部間を着脱可能に結合する部材である。
図4(C)、図4(D)に示すように、ロック部31は、一対の突部31a及び穴部31bと備える。突部31aが穴部31bに圧入されることにより両者がロックされ(つまり結合し)、一方、突部31aが穴部31bから抜かれることによりそのロックが解除される。
ロック部31は、組み立て状態において、左板部12、左保持板部15間を結合する。突部31aは、左板部12から突出するように設けられ、穴部31bは、左保持板部15を貫通するように設けられている。
一方、ロック部33は、折り畳み状態において(図6参照)、左板部12、左保持板部15間を結合する部材である(図5参照)。突部33aは、左保持板部15に設けられ、穴部33bは、左板部12に設けられている。
ロック部32(32a,32b),34(34a,34b)は、ロック部31,33と同様に、右板部13、右保持板部16に設けられている。
【0023】
吸音部21~24は、背板部11、左板部12、右板部13、天板部14のうち、使用時において卓上パーティション1の内側面(内部空間側の面)となる面に設けられている。吸音部21~24は、例えば、面ファスナ、両面テープ等で、これらの面の取り付けることができる。吸音部21~23の外形は、背板部11、左板部12、右板部13よりも一回り小さい。一方、吸音部24の外形は、天板部14のほぼ半分の大きさであり、また、使用状態において天板部14の内側面の後側Y2の半分を覆う程度の大きさである。
吸音部21~24の厚さは、吸音効果を確保できる程度であればよく、例えば10mm程度である。
吸音部21~24の材質は、例えば、グラスウール、各種樹脂の発泡材、各種樹脂繊維の不織布等である。
取手40は、手提げ用の取手である(図6参照)。取手40は、ヒンジ部H14の接続片H14aに設けられている。
【0024】
(組み立て状態)
展開状態から組み立て状態に変形する工程を説明しながら、組み立て状態の詳細を説明する。
図3に示すように、左板部12は、ヒンジ部H12で回転することにより(矢印θ12参照)、背板部11とのなす角が90度になるように配置される。
右板部13は、左板部12と同様に、回転配置される(矢印θ13参照)。
図1に示すように、これにより、背板部11、左板部12、右板部13が上側Z2から見た状態でコの字状となるので、卓上パーティション1は、机2の上に自立可能となる。
背板部11は、鉛直面(ZX平面)に平行に配置され、また、背板部11の内面は、利用者Uに向かい合うように配置される。
【0025】
図3に示すように、天板部14は、背板部11に対してヒンジ部H14で回転される(矢印θ14参照)。
左保持板部15は、天板部14と一体で、背板部11に対してヒンジ部H14で回転される。また、左保持板部15は、ヒンジ部H15で回転することにより(矢印θ15参照)、背板部11とのなす角が90度になるように配置される。左保持板部15の辺部15aは、前後方向Yに平行に配置される(図1参照)。
【0026】
そして、左保持板部15が左板部12よりも左右方向Xの内側(右側)に配置された状態で、左保持板部15及び左板部12間がロック部31によって結合される。
右保持板部16は、左保持板部15と同様に回転配置され、また、右保持板部16及び右板部13間は、ロック部32によって結合される。
これにより、天板部14は、左保持板部15及び右保持板部16によって保持されることにより、手前側Y1に至るほど上側Z2に至るように傾斜した位置であり、卓上パーティション1の天部を構成する位置に配置される。天板部14の傾斜角度は、水平面(机2の上面)とのなす角が45度程度であり、つまり、天板部14及び背板部11がなす角は、135度程度である。
天板部14は、左保持板部15及び右保持板部16によって保持されることにより、ヒンジ部H14で回転しない状態が維持できるので、上記傾斜角度で傾斜した状態が維持される。
【0027】
図1に示すように、使用状態では、天板部14が傾斜しているので、利用者Uの頭上には、十分な空間が確保される。
また、天板部14の手前側Y1の半分程度は、吸音部が設けられていない。また、左保持板部15、右保持板部16には、吸音部が設けられていない。このように、卓上パーティション1のうち上側Z2を構成する部分には、吸音部が設けられていないので、卓上パーティション1は、外側の光を内部に採光できる。
さらに、吸音部21~23は、背板部11、左板部12、右板部13よりも一回り小さく形成されているので、卓上パーティション1は、吸音部21~23よりも外側部分からも採光できるし、また、ヒンジ部H12~H16の接続片H12a~H16aからも採光できる。このため、卓上パーティション1は、内部空間に十分に採光できるので、利用者Uに対して圧迫感を与えない。
【0028】
また、卓上パーティション1は、コの字状に形成された上に、天板部14を備えるので、遮音性能(内部空間から外部空間への音漏れ、外部空間から内部空間への音の進入)を向上できる。さらに、吸音部21~24は、内部空間から外部空間への音漏れ抑制の効果を、さらに向上できる。
加えて、吸音部21~24は、卓上パーティション1の内部における音を吸収するので、音の反響を抑制できる効果を奏する。また、天板部14は、傾斜しているので、内部の音を適度に外部に逃がすことができるので、音の反響抑制の効果を向上できる。
卓上パーティション1は、この音の反響抑制によって、利用者Uが遠隔地との間で音声通信をしている際のハウリングを抑制できる。音声通信は、スピーカ及びマイクを利用した双方向の通話である。音声通信の形態は限定されず、例えば、電話、WEB会議、ビデオ会議等である。
このように、卓上パーティション1は、WEB会議等の参加者及び他者が同じ部屋等に存在するような状況でも、快適にWEB会議等を行える環境を作ることができる。
【0029】
(折り畳み状態)
図5は、第1実施形態の卓上パーティション1を折り畳み状態に変形する工程を説明する図である。
図5(A)、図5(B)は、図5(C)のA-A断面、B-B断面を拡大して示す図である。
図5(C)は、展開状態から、左板部12及び右板部13と背板部11とを重ね、また、左保持板部15及び右保持板部16と天板部14とを重ねた状態を示す。
図6は、第1実施形態の卓上パーティション1の折り畳み状態を示す図である。
図6(A)は、図6(B)のB-B断面図である。
図6(B)は、折り畳み状態の卓上パーティション1を天板部14側から見た図である。
【0030】
卓上パーティション1が展開状態から折り畳み状態に変形する過程を説明しながら、卓上パーティション1の折り畳み状態の構成について説明する。
図5(B)、図5(C)に示すように、左板部12は、背板部11に対してヒンジ部H12で横方向Aの内側に回転されることにより(図3の矢印θ12参照)、背板部11に重なるように配置される。
ヒンジ部H12は、接続片H12aを有する。このため、背板部11及び左板部12は、厚さ方向において2つの吸音部21,22を挟んだ状態で、重なるように配置される。すなわち、接続片H12aの長さ(背板部11及び左板部12間の長さ)は、背板部11及び左板部12が吸音部21,22を挟み込むことができる程度に、設定されている。
右板部13は、左板部12と同様に、2つの吸音部21,23を挟んだ状態で、背板部11に重なるように配置される。
【0031】
右板部13及び左板部12が背板部11に重ねられた状態において、右板部13及び左板部12は、互いに重ならないような大きさに形成されている。
図3に示すように、すなわち、左板部12の横方向Aの長さL12、右板部13の横方向Aの長さL13は、両方とも、背板部11の横方向Aの長さL11のほぼ半分(又は半分以下)である。
【0032】
図5(A)、図5(C)に示すように、左保持板部15は、天板部14に対してヒンジ部H15で縦方向Bの内側に回転されることにより(図3の矢印θ15参照)、天板部14に重なるように配置される。
ヒンジ部H15は、接続片H15aを有する。このため、左保持板部15及び天板部14は、厚さ方向において吸音部24を挟んだ状態で、重なるように配置される。すなわち、接続片H15aの長さ(左保持板部15及び天板部14間の長さ)は、左保持板部15及び天板部14が吸音部24を挟み込むことができる程度に、設定されている。
右保持板部16は、左保持板部15と同様に、吸音部24を挟んだ状態で、天板部14に重なるように配置される。
【0033】
天板部14、左保持板部15及び右保持板部16は、重ねられた状態で一体でヒンジ部H14で回転される(図5(C)のθ17参照)。天板部14は、左保持板部15及び右保持板部16が、それぞれ左板部12及び右板部13に重なるように、180度回転される。
左保持板部15及び左板部12は、ロック部33によってロックされる。同様に、右保持板部16及び右板部13は、ロック部34によってロックされる。
以上により、卓上パーティション1は、折り畳み状態に変形される。
【0034】
ここで、天板部14、背板部11の外形(横方向A、縦方向Bの大きさ)は、ほぼ等しい。
このため、天板部14、左保持板部15及び右保持板部16が折り畳まれた部分の外形と、背板部11、左板部12及び右板部13が折り畳まれた部分の外形とは、ほぼ等しいため、両者は、丁度2つ折りに折り畳むことができる。
図6(A)に示すように、また、ヒンジ部H14は、接続片H14aを有する。このため、背板部11及び天板部14は、厚さ方向において、左板部12、左保持板部15、3つの吸音部21,22,24を挟んだ状態で、平板状に折り畳むことができる。すなわち、接続片H14aの長さ(背板部11及び天板部14間の長さ)は、背板部11及び左板部12が吸音部21,22,24を挟み込むことができる程度に、設定されている。
なお、卓上パーティション1は、左右対称の構成であるので、背板部11、右板部13、天板部14、右保持板部16等についても、同様である。
【0035】
このように、卓上パーティション1は、コンパクトに折り畳むことができる。また、各板部がロック部33,34によって各ヒンジ部H12~H16で回転しないように規制されるので、卓上パーティション1は、折り畳み状態が安定して維持される。このため、卓上パーティション1は、収容時、運搬時等の利便性がよい。
また、卓上パーティション1は、取手40が設けられているので、折り畳み状態での持ち運びがしやすい。
【0036】
なお、上記説明は、卓上パーティション1を、展開状態及び組み立て状態間で変形する例、展開状態及び折り畳み状態間で変形する例について説明したが、組み立て状態及び折り畳み状態間で展開状態を介さずに変形することもできる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の卓上パーティション1は、使用時には組み立てが容易であり、不使用時はコンパクトに折り畳むことができるので、利便性がよい。また、卓上パーティション1は、使用時には、十分な採光性を有し、さらに内部空間で音の反響を抑制できるので通信時のハウリング等を抑制できる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、各実施形態及び他実施形態間で同様の機能を果たす部分には、適宜、同一の名称を付し、また、同一の符号又は末尾(下2桁)に同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
図7から図9は、第2実施形態のパーティションセットS201の使用時の状態を説明する図である。
図7は、パーティションセットS201の使用時の状態の斜視図である。
図8は、パーティションセットS201の使用時の状態を上側Z2から見た状態において、各構成の位置関係を説明する図である。
図9は、パーティションセットS201の使用時の状態を右側X2から見た状態において、各構成の位置関係を説明する図である。
図10は、第2実施形態の卓上パーティション201の展開状態を説明する図である。
図11は、第2実施形態の卓上パーティション201のL字曲げの構成を説明する断面図である。
【0039】
図7から図9に示すように、パーティションセットS201は、卓上パーティション201、背後パーティション261の組み合わせである。
パーティションセットS201は、利用者Uが椅子に着座した状態で机2を利用する際に、利用されるものである。卓上パーティション201は、床Gに設置された机2の上に載置され、背後パーティション261は、利用者Uの背後の床Gに設置される。
【0040】
(卓上パーティション201)
図7図10等に示すように、卓上パーティション201は、第1実施形態の卓上パーティションとほぼ同様な構成であり、主に以下の点が第1実施形態とは異なる。
(1)右板部13、左板部12の前後方向Yの長さL212,L213(図10参照)は、第1実施形態の長さL12,L13(図3参照)よりも長い。
これにより、卓上パーティション201の内部空間から左右外側への音漏れ抑制効果を向上できる。
なお、上記長さ設定のため、左板部12の端部(図10の左端部)、右板部13の端部(図10の右端部)は、折り畳み状態では、厚さ方向において重なる。但し、吸音部22,23は、第1実施形態のものと同様な長さであるので、折り畳み状態では、厚さ方向において重ならない。このため、卓上パーティション201は、折り畳み状態において、過度に嵩張ることはない。
【0041】
また、右板部13、左板部12の前後方向Yの長さに応じて、天板部14、左保持板部15、右保持板部16の形状は、第1実施形態のものから適宜変更されている。但し、天板部14の傾斜角度は、第1実施形態と同様に、水平面とのなす角が45度程度である。
【0042】
(2)4つのヒンジ部H12,H13,H15,H16は、それぞれ、接続片H12a,H13a,H15a,H16a、折罫H12b,H13b,H15b,H16b、L字曲げ部H212c,H213c,H215c,H216cを備える。
ヒンジ部H12,H13,H15,H16の構成は、同様である。また、接続片H12a,H13a,H15a,H16a、折罫H12b,H13b,H15b,H16bの構成は、第1実施形態と同様である。
【0043】
L字曲げ部H212cは、背板部11及び接続片H12aを、回転不可能に直角に接続する部分である。
L字曲げ部H212cは、例えば、以下のように加工することができる。
図11(A)に示すように、中空樹脂板250(図11の例は三層気泡ボード51)に鏝等を押し当てることによってV字溝255を形成後に、図11(B)に示すように、V字溝内部が熱溶解している状態で、90度回転させる。これにより、V字溝内の2つの面255aは、接触した状態で溶着する。L字曲げ部H212cは、背板部11及び接続片H12aが、開閉不可能であり、直角に接続された状態で維持される。
なお、V字溝255を加工後には、背板部11及び接続片H12aは、本来は、図10のように平板状に展開することはない。
L字曲げ部H212cの加工方法は、上記に限定されず、例えば、V字溝255の2つの面255aを接着剤等で接合してもよく、中空樹脂板を熱プレス等によってL字形に曲げ加工してもよい。
【0044】
L字曲げ部H213c,H215c,H216cは、L字曲げ部H212cと同様な構成であるので、詳細な説明を省略する。
【0045】
上記構成により、組み立て状態及び折り畳み状態において、背板部11及び接続片H12aは、直角に接続された状態が確実に維持される。また、左板部12及び接続片H12aは、ロック部31によってロックされることにより、180度に開いた状態が安定して維持される。このため、背板部11及び左板部12(接続片H12a)を接続するコーナ部分の構成が、堅固で安定する。
他の3つのコーナ部も、同様である。
【0046】
(背後パーティション261)
図12は、第2実施形態の背後パーティション261の構成を説明する図である。
図12(A)は、背後パーティション261を長手方向から見た図である。
図12(B)は、背後パーティション261の表面を法線方向から見た図である。
なお、図12は、4つのパネル270の2つがそれぞれヒンジ部280で接続された状態を示す。
図13は、第2実施形態のパネル270単体の構成を説明する図である。
図13(A)は、パネル270の断面図(図13(B)のA-A断面図)を説明する図である。
図13(B)は、パネル270単体を基材272から見た図である。
図13(C)は、パネル270単体の断面の一部(図13(A)の二点鎖線C部)を拡大した図である。
【0047】
背後パーティション261は、4つのパネル270と、ヒンジ部280(面ファスナ)とを備える。
パネル270の単体は、例えば、高さ1200mm程度、幅450mm程度、厚さ10~20mm程度の板状の部材である。
図12図13に示すように、パネル270は、パネル本体271、外カバー部276を備える。
パネル本体271は、パネル270の主要な部分を構成する板状の部材であり、外カバー部276は、パネル本体271の全体をカバーする部材である。
【0048】
図13に示すように、パネル本体271は、基材272、吸音板273、内カバー部274(吸音板カバー部)を備える。
基材272及び吸音板273は、縦方向及び横方向の大きさ(表面を法線方向から見た大きさ)が同一の板材である。
【0049】
基材272は、中空樹脂板により形成される板材である。中空樹脂板は、第1実施形態で説明したものと同様であり、三層気泡ボード、二層気泡ボード、プラスチック段ボール等を使用できる。本実施形態では、中空樹脂板は、三層気泡ボード51である例を説明する。
【0050】
吸音板273は、音を吸収する性質を有する板材である。
図13(C)に示すように、吸音板273は、基材272の一方の面に積層されている。吸音板273及び基材272間は、接着剤273a等によって接合されている。図13(C)の例では、吸音板273は、基材272つまり中空樹脂板のバックシート51a側に積層されているが、これに限定されず、ライナーシート51c側に積層されていてもよい。
吸音板273は、卓上パーティション201の吸音部21~24と同様な部材を用いることができる。吸音板273は、吸音効果の高い部材であることが好適であり、例えば、グラスウール、各種樹脂の発泡材、各種樹脂繊維の不織布等を用いることができる。本実施形態では、吸音板273は、グラスウールである例を説明する。なお、グラスウールは、ガラス繊維間がバインダー(フェノール樹脂等)で固着された板材である。
【0051】
図13に示すように、内カバー部274は、音を通過させる性質を有する生地から構成されており、例えばガラス繊維の網状の生地等を用いることができる。このため、内カバー部274は、音を通過させる性質を有し、また、その厚さは、基材272、吸音板273の厚さよりも十分に薄い。
内カバー部274は、吸音板273のうち露出した面(基材272側とは反対側の面)の全体を覆っており、また、その周縁部が基材272の裏面側に折られている。そして、内カバー部274の周縁部は、基材272の裏面の周縁部に対して、接着剤等によって固定されている。
これにより、内カバー部274は、吸音板273を保護でき、また、吸音板273から脱落して分離したガラス繊維がパネル本体271から分散すること等を抑制できる。
【0052】
上記構成により、パネル本体271は、背後パーティション261を自立した際には、金属等の枠体、板材を備えなくても、基材272によって自立可能な程度に十分な強度を有する。また。パネル本体271は、金属等の枠体、板材を備えたものと比較して、十分に軽量である。
【0053】
外カバー部276は、パネル本体271の全体を覆うように配置される袋状の部材である。外カバー部276の一辺部には線ファスナ276a(図13(A)参照)が設けられているので、外カバー部276は、パネル本体271に対して着脱可能である。
外カバー部276は、布材(例えば、植物繊維、有機質繊維等の布地)によって形成される。このため、外カバー部276は、音を通過させる性質を有する。
外カバー部276の表面は、ループ状に起毛している。このため、外カバー部276の表面は、面ファスナのループ面側(メス側)の機能を有する。
外カバー部276は、パネル本体271の全体を覆うので、背後パーティション261の使用時に汚損する部材は、主に外カバー部276である。外カバー部276は、汚れた際にはパネル本体271から分離して洗濯できるし、また、損傷した際は補修することもできるし、また、低コストで交換できる。
【0054】
なお、外カバー部276は、一方の面と、他方の面とは、生地の色彩等を変えてもよい。この場合には、利用者Uは、パネル本体271を外カバー部276に入れた状態において、外カバー部276の色彩を確認することにより、パネル本体271の面(基材272側の面、吸音板273側の面)を判別しやすい。また、この場合、外カバー部276のうち吸音板273側の面(つまり、背後パーティション261を使用時おいて内側に配置される面)の色彩を緑色にしてもよい。この場合には、WEB会議等で用いられる撮像装置(パーソナルコンピュータ等)は、この面の撮像画像のクロマキー処理を行いやすい。
【0055】
ヒンジ部280は、隣合うパネル270間を接続する部材である。ヒンジ部280は、2つの隣合うパネル270間を安定して接続できるように、隣合うパネル270の連結部分の少なくとも上部及び下部の2か所に、取り付けることが好適である。このため、実施形態の背後パーティション261は、6つのヒンジ部280を利用して、4つのパネル270を接続している。
なお、パネル270が自立するためには、少なくとも2つのパネル270が接続されていればよい。このため、背後パーティション261は、2つのパネル270を1組として、2組の構成(つまり二曲二隻)で利用してもよい。この場合には、ヒンジ部280は、4つでもよい。
【0056】
ヒンジ部280は、面ファスナのフック側(オス側)の部材である。
つまり、ヒンジ部280は、十分な屈曲性を有する生地(屈曲部)により形成され、また、その生地の一方の面(着脱部)が面ファスナのフック(オス側)のように起毛した部材である。このため、ヒンジ部280は、面ファスナの機能によって、パネル270の外カバー部276の表面に任意の部分に、着脱可能に取り付けることができる。
【0057】
図7図12に示すように、4つのパネル270を長手方向が鉛直方向Zになるように配置し、パネル270を左右方向に連続して配置した状態において、ヒンジ部280は、隣合うパネル270の長辺部を跨ぐようにして、取り付けられる。これにより、隣合うパネル270は、鉛直方向Zの軸回りに回転可能な状態で連結される。
【0058】
[パーティションセットS201の使用方法]
パーティションセットS201の使用方法を説明する。なお、以下の説明は、一般的な使用方法を説明したものであり、パーティションセットS201の配置等は、適宜変更してもよい。卓上パーティション201を組み立て状態及び折り畳み状態の間で変形させる工程は、第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
利用者Uは、WEB会議等の際に、自席等の机2、椅子及びその周囲に、パーティションセットS201を以下の手順で設置して、使用することができる。
【0059】
(使用時)
(1)図7等に示すように、組み立て状態の卓上パーティション201を、机2に載置する。
この場合、左板部12、右板部13の手前側Y1の端部を、できるだけ机2の手前側Y1の端部に近付けると、防音効果を向上できる。
【0060】
(2)図12等に示すように、背後パーティション261の4つのパネル270をヒンジ部280で接続する。
(3)図7に示すように、利用者Uは、机2の手前側Y1に位置した状態で、背後パーティション261を利用者U及び椅子の手前側Y1(つまり、利用時における利用者Uの背後側)の床G(背後パーティション261の設置面)に立てる。この場合、背後パーティション261を、吸音板273側が後側Y2になるように配置する。
隣合うパネル270を少し折り曲げた状態に回転することにより(隣合うパネル270のなす角が例えば90度から150度程度の間)、背後パーティション261は、容易に自立する。
【0061】
図7図8等に示すように、利用者Uは、4つのパネル270を、利用者Uを手前側Y1から囲うように配置する。また、左右方向Xにおいて、左右両端に配置されたパネル270の両端部を、卓上パーティション201の左板部12、右板部13よりも外側になるように配置する。この場合、左右両端に配置されたパネル270の端部を、できるだけ机2の手前側Y1の端部に近付けると、防音効果を向上できる。
以上により、パーティションセットS201を設置が終了する。この状態で、利用者Uは、椅子に着座して、WEB会議等をすることができる。
【0062】
(不使用時)
利用者Uは、WEB会議等を行わない間は、パーティションセットS201を以下の手順で、保管、運搬することができる。
(1)卓上パーティション201を折り畳み状態に変形する。
(2)ヒンジ部280をパネル270から分離することにより、4つのパネル270を分離する。そして、分離したパネル270を、重ねる。
以上により、利用者Uは、パーティションセットS201をコンパクトな状態にして、保管等できる。
卓上パーティション201、背後パーティション261は、このようにコンパクトな状態に変形でき、また軽量であるので、利用者Uは、施設内の保管場所(倉庫等)及び利用場所(執務室の自席等)の間で、容易に運搬できる。さらに、パーティションセットS201は、使用時の状態に配置する作業、保管等のためにコンパクトな状態にする作業が容易であり、また短時間で行うことができる。
【0063】
[パーティションセットS201の防音効果]
パーティションセットS201によって区切られた空間の内部から外部への防音効果と、外部から内部への防音効果とについて説明する。
(パーティションセットS201の内部から外部への防音効果)
パーティションセットS201の内部で発生する音は、主に、卓上パーティション201の内部に配置された音源S(机2の上に載置されたパーソナルコンピュータをヘッドフォンを利用しない場合のスピーカ等)の音S1と、パーティションセットS201の利用者Uが発する声S2との2つである。
【0064】
(内部空間の音源Sの音S1)
音源Sは、卓上パーティション201内の内部空間に配置される。
第1実施形態で説明したように、卓上パーティション201は、内部空間内で発せられた音の音漏れを抑制する。
但し、卓上パーティション201は、音源Sの後側Y2の全体を覆っているが、手前側Y1が開口している。このため、音源Sの音S1(背板部11、左板部12、右板部13、天板部14による反射音、反響音を含む)は、後側Y2への音漏れが少ないが、手前側Y1に進んでしまう。
【0065】
背後パーティション261の左右両端の2つのパネル270は、卓上パーティション201の左板部12、右板部13よりも外側に配置されている。また、高さ方向において、背後パーティション261の上端と、左板部12、右板部13の上端とは、ほぼ同じ高さであり、対応している。これは、床Gから左板部12及び右板部13の上端までの高さが、1100~1200mm程度であるので(一般的な机の高さが700mm程度、左板部12及び右板部13の上端の高さが400~500mm程度)、背後パーティション261のパネル270の高さ(1200mm程度)とほぼ等しいためである。
このため、背後パーティション261は、左右方向において、卓上パーティション201から手前側Y1に進む音S1aが、外部に漏れてしまうことを抑制できる。
また、天板部14は、内部空間内を上側Z2に進む音S1の成分の多くを、手前側Y1に向けて反射させる。背後パーティション261は、このように反射して卓上パーティション201から手前側Y1に進む音S1も、外部に漏れてしまうことを抑制できる。
【0066】
(背後パーティション261に到達した音源Sの音S1の防音効果)
卓上パーティション201の内部空間から背後パーティション261に到達した音源Sの音S1は、以下に説明するように、背後パーティション261に吸収される成分と、背後パーティション261で反射する成分とを有する。
(背後パーティション261に吸収される音源Sの音S1の成分)
図13(C)に示すように、パネル270は、背後パーティション261によって区切られた空間の内部から外側に向けて、外カバー部276、内カバー部274、吸音板273、基材272、外カバー部276が配置されている。また、外カバー部276、内カバー部274は、音の成分の多くを通過させる。このため、背後パーティション261に到達した音源Sの音S1は、外カバー部276、内カバー部274を通過後、吸音板273に到達することにより、吸音板273によって吸収される。このように、吸音板273は、利用者Uの背後側に向けて進む音を吸音する。
【0067】
(背後パーティション261で反射する音源Sの音S1の成分)
パネル270に到達した音源Sの音S1のうち、パネル270に吸収されずにパネル270で反射した成分は、その多くが背後パーティション261及び卓上パーティション201で仕切られた空間内で反響する。そして反響する音の成分は、反響する間に減衰したり、卓上パーティション201の吸音部21~24及びパネル270の吸音板273に吸収される。
【0068】
以上説明したように、卓上パーティション201の内部空間から背後パーティション261に到達した音源Sの音S1は、背後パーティション261及び卓上パーティション201で仕切られた空間から外部の空間に漏れることが抑制される。
【0069】
(利用者Uが発する声S2)
利用者Uが椅子に着座した状態において、床Gから頭頂までの高さは、利用者Uの身長によって異なるが、一般的に1100~1250mm程度である。また、机2の高さが一般的な高さが700mm程度であり、利用者Uは、この机2の高さで作業しやいように、椅子の高さを調整したりする。このため、利用者Uの身長が様々であっても、着座した状態の頭頂までの高さは、概ね上記範囲となる。
そのため、利用者Uが椅子に着座した状態において、床Gから利用者Uの口までの高さは、概ね1050mm以下となる。また、前述したように、床Gから左板部12及び右板部13の上端までの高さが、1100~1200mm程度である。このように、左板部12及び右板部13の高さと、利用者Uの頭部の高さとは、対応している。
このため、利用者Uが発する声S2の多くの成分は、卓上パーティション201の内部空間(左板部12及び右板部13と、天板部14とによって仕切られた空間)に進む。
なお、床Gから利用者Uの口までの高さが、床Gから左板部12及び右板部13の上端までの高さよりも高い場合であっても、左保持板部15、右保持板部16によっても、卓上パーティション201の内部空間及び外部空間が仕切られる。さらに、WEB会議等の場面では、利用者Uは、通常、少し下側Z1を向いて話す。このため、利用者Uが発する声S2の多くの成分は、卓上パーティション201の内部空間に進む。
【0070】
このように卓上パーティション201の内部空間に進んだ声S2の成分は、卓上パーティション201内の吸音部21~24に吸収される。また、卓上パーティション201の内部空間に進んだ声S2の成分は、音源Sの音S1と同様に、内部空間から手前側Y1に進んでしまう。そして、背後パーティション261は、このように卓上パーティション201の内部空間から手前側Y1に進んだ声S2の成分を、音源Sの音S1と同様に、吸音することができる。
このため、利用者Uが発した声S2の成分は、背後パーティション261及び卓上パーティション201で仕切られた空間から外部の空間に漏れることが抑制される。
【0071】
(パーティションセットS201の外部から内部への防音効果)
パーティションセットS201の外部の音のうち卓上パーティション201の周囲の音S3は、卓上パーティション201によって、卓上パーティション201の内部空間に進まないように遮られる。
また、前述したように、背後パーティション261のパネル270の高さ(1200mm程度)は、床Gから利用者Uの頭頂までの高さ(1100~1250mm程度)に対応している。
このため、パーティションセットS201の外部の音のうち背後パーティション261の周囲の音S4は、背後パーティション261によって、背後パーティション261の内部に進まないように遮られる。
このように、パーティションセットS201の外部の音S3,S4は、利用者Uの耳に、直接到達することが抑制される。
【0072】
さらに、卓上パーティション201の外部空間側には、背板部11、左板部12、右板部13、天板部14、左保持板部15、右保持板部16が露出しているので、中空樹脂板が配置されている。このため、卓上パーティション201の周囲の音S3は、その多くの成分が、中空樹脂板によって反射する。
また、図13に示すように、パネル270は、背後パーティション261によって区切られた空間の外側から内部に向けて、外カバー部276、基材272が配置されている。外カバー部276は、音を通す性質を有するので、背後パーティション261の周囲の音S4は、外カバー部276を通過して基材272に到達する。基材272は、中空樹脂であるので、このように到達した音S4を反射する。
このため、パーティションセットS201は、外部の音S3,S4が卓上パーティション201及び背後パーティション261の板材を通過しないように抑制できるので、防音効果を向上できる。
【0073】
[パーティションセットS201の内部から外部への防音効果の検証]
図14は、第2実施形態の防音効果の検証試験を説明する図である。
パーティションセットS201を試作することによって、パーティションセットS201の内部から外部への防音効果を検証した。試験は、以下のように行った。
(共通条件)
図14に示すように、1つの机の上に音源Sを載置して音を出力し、この机の左右の机の机上、及び後側Y2の机(向かい合う机)の机上での音量(騒音レベル)を測定した。
音源S及び後側Y2の測定点1の距離は700mmであり、音源S及び左右方向Xの測定点2,3の距離は1400mmである。
【0074】
試験は、設定A~Dの4通りで行った。
(設定A)
卓上パーティション201,背後パーティション261を設置せず
(設定B)
音源Sが載置された机の上に、卓上パーティション201のみを設置
(設定C)
音源S、測定点1~3の4つの机上に、それぞれ卓上パーティション201のみを設置
(設定D)
設定Cの条件に加えて、音源Sが載置された机のみの手前側Y1に背後パーティション261を設置
【0075】
(測定結果)
(設定B)
図14の測定結果に示すように、測定点1~3での音量は、設定Bの方が、設定Aよりも小さかった。このため、音源Sが載置された机に卓上パーティション201を配置することによって、音源Sの音が周囲に聞こえにくくなることを確認できた。
【0076】
(設定C)
測定点1での音量は、設定Cの方が、設定Bよりも小さかった。このため、音源Sが載置された机及びこれに向かい合う机の両方に卓上パーティション201を配置することによって、音源Sの音が向かい合う机の方向に聞こえにくくなることを確認できた。
一方、測定点2,3での音量は、設定B,Cで同等であった。このため、音源Sが載置された机に加えて、その左右の机の卓上パーティション201を配置しても、音源Sの音が左右方向Xに聞こえにくくなる効果を期待できないことを確認できた。これは、音源Sの音が、手前側Y1に進んだ後に、左右方向Xに回り込んでしまうためと考えられる。
【0077】
(設定D)
測定点1~3での音量は、設定Dの方が、設定B,Cよりも小さかった。
これにより、音源Sが載置された机にパーティションセットS201(卓上パーティション201、背後パーティション261)を設置することにより、音源Sの音が左右方向X、及び向かい合う机の方向の両方において、さらに聞こえにくくなることを確認できた。
また、測定点2,3での音量は、設定Dの方が設定Cよりも小さい。このため、背後パーティション261を加えることにより、左右方向Xへの防音効果が大きく向上することを確認できた。これは、音源Sの音が、手前側Y1に進んだ後に、左右方向Xに回り込むことを抑制できるためと考えられる。
【0078】
[パーティションセットS201のハウリング抑制効果の検証]
図15は、第2実施形態のハウリング抑制効果の検証試験を説明する図である。
パーティションセットS201を試作することによって、パーティションセットS201のハウリング抑制効果を検証した。試験は、以下のように行った。
(共通条件)
机の配置は、上記防音効果の検証と同様である(図14参照)。
6つの机のうち隣合う2つの机にそれぞれパーソナルコンピュータPCを配置して、同一のWEB会議に参加した。そして、ハウリングが発生するか否かを検証した。
【0079】
試験は、設定E~Gの3通りで行った。
(設定E)
パーティションセットS201を設置せず
(設定F)
隣合う2つの机の一方にのみパーティションセットS201を設置
(設定G)
隣合う2つの机の両方にパーティションセットS201を設置
【0080】
(検証結果)
(設定E)
ハウリングが頻繁に起きてしまったため、WEB会議を行うことが困難であった。
(設定F)
ハウリングが起きることがあったが、WEB会議を行える程度であった。
(設定F)
ハウリングがほとんど起きなかったため、WEB会議を快適に行うことができた。
【0081】
このように、パーティションセットS201を設置することにより、同室内で同じWEB会議に参加する場合であっても、ハウリングを抑制できることを確認できた。
なお、パーティションセットS201のうち卓上パーティション201のみを設置した場合であっても、上記防音効果の検証の設定B,Cの測定結果を参照すると、ハウリングをある程度抑制できることを十分に期待できる。
【0082】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
図16は、第3実施形態のパーティションセットS301を説明する図である。
図16(A)は、背後パーティション360の斜視図である。
図16(B)は、背後パーティション360の傾斜部390付近の縦断面図である。
図17は、第3実施形態の背後パーティション360の傾斜部390を説明する図である。
図17(A)は、傾斜部本体391を平板状に展開した状態を示す図である。
図17(B)は、背後パーティション360(傾斜部本体391に外カバー部396を装着した状態)を平板状に展開した状態を示す図である。
【0083】
パーティションセットS301は、第1又は第2実施形態の卓上パーティションと、背後パーティション360との組み合わせである。卓上パーティションの図示、詳細な説明は、省略する。
図16に示すように背後パーティション360は、背後パーティション本体361、4つの面ファスナ380、傾斜部390を備える。
【0084】
背後パーティション本体361の構成は、第2実施形態の背後パーティション261の構成と同様である。
面ファスナ380は、傾斜部390を背後パーティション本体361に取り付ける部材である。面ファスナ380の構成は、第2実施形態のヒンジ部280の構成と同様である。各面ファスナ380は、背後パーティション本体361の4つのパネル270と、傾斜部390の各台形パネル390aとを接続する。
【0085】
傾斜部390は、背後パーティション本体361の4つのパネル270の上部に取り付けられる。
傾斜部390は、等脚台形状のパネルである4つの台形パネル390aが連続した構成である。台形パネル390aの底辺部の長さと、パネル270の短辺部の長さとは、等しい。
図16(B)に示すように、傾斜部390は、パーティション内側(利用者側)に至る程、上側Z2に至るように傾斜している。これにより、パーティションセットS301を使用時において、傾斜部390は、椅子に着座した状態の利用者の上部(又は利用者の背面側の上部)を覆うように配置される。
【0086】
図16(B)に示すように、傾斜部390は、傾斜部本体391、外カバー部396を備える。
傾斜部本体391の積層構成は、図示を省略するが、第2実施形態のパネル本体271と同様な積層構成であり(図13(C)参照)、つまり、基材、吸音板、内カバー部等が積層された構成である。なお、傾斜部本体391の構成は、これに限定されず、例えば、基材(中空樹脂板等)のみの構成であってもよい。
図17(A)に示すように傾斜部本体391は、等脚台形状の4つの台形板部391aが連続して形成される。隣合う台形板部391a間は、斜辺部に設けられたヒンジ部H391aにより、回転可能に接続されている。ヒンジ部H391aは、第1実施形態で説明した折罫H14b等と同様に、基材(中空樹脂板)にV字溝、ハーフカット等を加工したものである。このため、基材は、1枚の板材を加工することにより作製できる。
【0087】
外カバー部396は、袋状の部材であり、傾斜部本体391の全体を覆うように配置される。傾斜部本体391の一辺部には線ファスナ(図示せず)が設けられているので、外カバー部396は、傾斜部本体391に対して着脱可能である。
外カバー部396は、外カバー部276と同様な布材によって形成される。このため、外カバー部396は、外カバー部276と同様な機能(面ファスナのループ面側(メス側)の機能等)を有する。
【0088】
図示は省略するが、利用者は、傾斜部390を背後パーティション本体361に取り付ける際には、傾斜部390の隣合う台形パネル390aをヒンジ部H391aで回転することにより、基材側が外側、吸音板側が内側になるように、傾斜部390を立体的に変形させる。
図16に示すように、そして、利用者は、傾斜部390の各台形パネル390aと、背後パーティション本体361の各パネル270とを面ファスナ380で接続すればよい。
これにより、傾斜部390の台形パネル390aは、背後パーティション本体361の各パネルに対して、傾斜した状態で取付けられる。
【0089】
傾斜部390は、卓上パーティションの天板部14(図14等参照)と同様な作用、効果を奏する。すなわち、傾斜部390は、例えば、遮音性能(内部空間から外部空間への音漏れ、外部空間から内部空間への音の進入)を向上する。また、傾斜部本体391の吸音部は、例えば、内部空間内で反響する音等を吸収するので、WEB会議等の際のハウリング抑制効果を向上できる。なお、傾斜部本体391に吸音板が設けられていない形態であっても、内部空間内で反響する音等は、第2実施形態と同様に、パネル270の吸音板273(図13等参照)、卓上パーティションの吸音部21~24(図7等参照)によって吸収されたりする。
【0090】
以上説明したように、パーティションセットS301は、背後パーティション360が傾斜部390を備えるので、遮音性能、WEB会議等の際のハウリング抑制効果を向上できる。
【0091】
図18は、第3実施形態のその他の形態の傾斜部390Bを説明する図である。
図18に示すように、傾斜部390Bは、4つの分離した台形パネル390bが、3つの面ファスナ381で接続された構成である。
各台形パネル390bは、傾斜部本体391b、外カバー部396bを備える。
傾斜部本体391bは、台形板部391aと同様な等脚台形状の板材である。
外カバー部396bは、傾斜部本体391bの全体を覆うように配置される袋状の部材である。外カバー部396bは、第2実施形態の外カバー部276と同様な布材によって形成される。
上記構成により、隣合う台形パネル390bは、面ファスナ381によって、傾斜部390と同様に回転可能に接続される。これにより、傾斜部390Bは、傾斜部390と同様に、背後パーティション本体361に取り付けることができる。
【0092】
以上説明したように、傾斜部390Bは、4つの台形パネル390bに分離可能であるので、保管、運搬の利便性がよい。
【0093】
図19は、第3実施形態のその他の形態の背後パーティション360Cを説明する図である。
図19(A)は、パネル本体371cを示す図である。
図19(B)は、パネル370cを示す図である。
図19(C)は、背後パーティション360Cの斜視図である。
図19(A)に示すように、パネル本体371cは、長方形板部371の上部に、台形板部391cがヒンジ部H391cにより回転可能に接続されている。
パネル本体371cの積層構成は、パネル本体271(図13等参照)の積層構成と同様である。ヒンジ部H391cは、基材(中空樹脂板)にV字溝、ハーフカット等を加工したものである。このため、パネル本体371cの基材は、1枚の板材を加工することにより作製できる。
【0094】
図19(B)に示すように、パネル370cは、パネル本体371cと、パネル本体371cの全体を覆う袋状の外カバー部376とを備える。
外カバー部376は、外カバー部276と同様な布材によって形成される。また、外カバー部376は、線ファスナ(図示せず)によって開閉可能であるため、パネル本体371cに対して着脱可能である。
【0095】
図19(C)に示すように、利用者は、背後パーティション360Cを設置する際には、最初に、背後パーティション本体361Cを、第2実施形態と同様に、床面に設置する。
そして、各パネル370cの各台形パネル390cを、ヒンジ部H371cで回転することにより内側に傾けた状態で、隣合う台形パネル390c間を面ファスナ382で接続する。これにより、4つの台形パネル390cによって、傾斜部390Cが形成される。
【0096】
以上説明したように、台形パネル390cは、パネル370cと一体的な構成である。このため、背後パーティション360Cは、構成がシンプルである。
【0097】
以上説明したように、本実施形態のパーティションセットS201は、使用時(WEB会議等を行う際等)には容易に組み立てることができ、また、不使用時にはコンパクトに収容できる。さらに、パーティションセットS201は、卓上パーティション201に加えて背後パーティション261を備えるので、高い防音効果を有する。また、パーティションセットS201は、枠体等を備えないシンプルな構成であるので、組付けられて常設されるパーティション等と比較すると、低コストである。
【0098】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、後述する変形形態等のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態の構成は、それらの一部のみ用いること、又は適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0099】
(変形形態)
(1)実施形態において、背板部、左板部、右板部、天板部、左保持板部、右保持板部等は、1つの板材から構成された一体構造である例を示したが、これに限定されない。これらの板部のうち少なくとも一部と、他の一部とを分離した構造として、両者をヒンジ部で接続してもよい。この場合、ヒンジ部は、テープ等を用いることができる。この場合には、例えば、定尺の板材から板取りの自由度を向上できる。
【0100】
(2)実施形態の卓上パーティションの構成は、適宜簡略してもよい。卓上パーティションは、例えば、天板部等の構成を備えず、かつ、背板部、左板部、右板部等を備えることにより、上部が開口した構成としてもよい。
【0101】
(3)実施形態において、卓上パーティションの素材は、透光不透視板である例を示したが、これに限定されない。卓上パーティションの素材は、光を通さない不透明な板材でもよい。この場合であっても、卓上パーティションは、組み立て時、折り畳み時の利便性、遮音等に関する効果を奏する。
【符号の説明】
【0102】
1,201:卓上パーティション
11:背板部
12:左板部
13:右板部
14:天板部
15:左保持板部
16:右保持板部
21~24:吸音部
H12~H16:ヒンジ部
261,360,360C:背後パーティション
270,370c:パネル
271,371c:パネル本体
272:基材
273:吸音板
273a:接着剤
274:内カバー部
276,376:外カバー部
280:ヒンジ部
S201,S301:パーティションセット
361,361C:背後パーティション本体
380,381,382:面ファスナ
390,390B,390C:傾斜部
390a,390b,390c:台形パネル
391:傾斜部本体
391a,391c:台形板部
391b:傾斜部本体
396,396b:外カバー部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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