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特開2022-68093帯状体洗浄装置および帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法
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  • 特開-帯状体洗浄装置および帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法 図1
  • 特開-帯状体洗浄装置および帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068093
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】帯状体洗浄装置および帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   D21F 1/32 20060101AFI20220426BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20220426BHJP
   B08B 9/032 20060101ALI20220426BHJP
   D21F 7/08 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
D21F1/32
B08B3/02 C
B08B3/02 F
B08B9/032 321
D21F7/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021096526
(22)【出願日】2021-06-09
(62)【分割の表示】P 2020176737の分割
【原出願日】2020-10-21
(71)【出願人】
【識別番号】520411571
【氏名又は名称】株式会社プロジェット・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110001623
【氏名又は名称】特許業務法人真菱国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】持地 秀明
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和生
【テーマコード(参考)】
3B116
3B201
4L055
【Fターム(参考)】
3B116AA12
3B116AA47
3B116AB53
3B116BB22
3B116BB72
3B116CD43
3B201AA12
3B201AA47
3B201AB53
3B201BB22
3B201BB72
3B201BB92
3B201CD43
4L055CF26
4L055CG21
4L055CG22
4L055DA09
4L055DA17
4L055FA20
(57)【要約】
【課題】帯状体から除去された汚れを吸引する吸引管の吸引力を、吸引管を手作業で洗浄することなく、回復させることができる帯状体洗浄装置の制御方法を提供する。
【解決手段】抄紙機に設けられた帯状体を洗浄する帯状体洗浄部と、吸引力を発生させる吸引管155、を有し、帯状体の洗浄により帯状体から除去された汚れを、帯状体の洗浄が行われている間に吸引する吸引部と、吸引管155の周壁に設けられた接続口181に接続され、吸引管に吸引管洗浄液を導入する導入流路205と、を備えた。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抄紙機に設けられた帯状体を洗浄する帯状体洗浄部と、
吸引力を発生させる吸引管、を有し、前記帯状体の洗浄により前記帯状体から除去された汚れを、前記帯状体の洗浄が行われている間に吸引する吸引部と、
前記吸引管の周壁に設けられた接続口に接続され、前記吸引管に吸引管洗浄液を導入する導入流路と、
を備えたことを特徴とする帯状体洗浄装置。
【請求項2】
前記導入流路は、前記吸引部が前記汚れを吸引するときに、前記吸引管に吸引力を発生させる導入気体を前記吸引管に導入することを特徴とする請求項1に記載の帯状体洗浄装置。
【請求項3】
前記吸引管の周壁には、前記接続口である第2接続口とは別の第1接続口、が設けられ、
前記第2接続口には、前記吸引管に前記吸引管洗浄液を導入する前記導入流路である第2導入流路、が接続され、
前記第1接続口に接続され、前記第2導入流路とは別の流路であり、前記吸引部が前記汚れを吸引するときに、前記吸引管に吸引力を発生させる導入気体を導入する第1導入流路、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の帯状体洗浄装置。
【請求項4】
前記吸引管は、太管と、前記太管よりも径が小さい細管と、を有し、
前記太管と前記細管とは、長さ方向においてそれぞれの一部が重複するように、接続されており、
前記接続口は、前記太管と前記細管との重複部分において、前記太管の周壁に開口していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の帯状体洗浄装置。
【請求項5】
前記導入流路には、前記吸引管への前記導入気体および前記吸引管洗浄液の導入を制御する制御弁、が設けられ、
前記制御弁を制御する制御部、
を備えたことを特徴とする請求項2または3に記載の帯状体洗浄装置。
【請求項6】
前記吸引管に接続され吸引口として機能する吸引ヘッド、を洗浄するヘッド洗浄部と、
前記帯状体洗浄部および前記吸引部を、前記帯状体の洗浄および前記汚れの吸引が行われる第1エリアと、前記吸引ヘッドの洗浄が行われる第2エリアと、に移動させる移動部と、を備え、
前記制御部は、前記帯状体洗浄部および前記吸引部が前記第2エリアに移動したときに、前記吸引管に前記吸引管洗浄液が導入されるように、前記制御弁を制御することを特徴とする請求項5に記載の帯状体洗浄装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記汚れの吸引が行われている間に、前記吸引管に前記導入気体および前記吸引管洗浄液が導入されるように、前記制御弁を制御することを特徴とする請求項5に記載の帯状体洗浄装置。
【請求項8】
前記吸引管の吸引力を測定する測定部、を備えたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載の帯状体洗浄装置。
【請求項9】
前記吸引管の吸引力を測定する測定部、を備え、
前記制御部は、前記測定部により測定された前記吸引管の吸引力が、閾値よりも小さいときに、前記汚れの吸引が行われる前に、前記吸引管へ前記吸引管洗浄液が再度導入されるように、前記制御弁を制御することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか一項に記載の帯状体洗浄装置。
【請求項10】
抄紙機に設けられた帯状体を洗浄する帯状体洗浄部と、
吸引力を発生させる吸引管、を有し、前記帯状体の洗浄により前記帯状体から除去された汚れを、前記帯状体の洗浄が行われている間に吸引する吸引部と、
前記吸引管の周壁に設けられた接続口に接続された導入流路と、
を備えた帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法であって、
前記導入流路から前記吸引管に吸引管洗浄液を導入することを特徴とする帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄紙機に設けられたカンバスなどの帯状体を洗浄する帯状体洗浄装置および帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1が開示するように、抄紙機に設けられたカンバスを洗浄する高圧水吹付装置と、カンバスの洗浄によりカンバスから除去された汚れを、カンバスの洗浄が行われている間に吸引するコーン部と、を備えたカンバス洗浄装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6534785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のカンバス洗浄装置では、カンバスから除去された汚れによりコーン部の吸引力が低下する場合がある。コーン部の吸引力が低下すると、コーン部がカンバスから除去された汚れを吸引し切れなくなり、コーン部に吸引されなかった汚れがカンバス上に落下してカンバスから紙へ転写する。汚れが転写した紙は、販売不能な損紙となることから、コーン部の吸引力が低下する前に、コーン部の吸引力を回復させる必要がある。そのため、従来のカンバス洗浄装置では、作業員が、定期的にコーン部の吸引力を点検し、吸引力に異常がある場合は、コーン部を分解して手作業で洗浄する、という作業を行わなければならない。
【0005】
本発明は、帯状体から除去された汚れを吸引する吸引管の吸引力を、吸引管を手作業で洗浄することなく、回復させることができる帯状体洗浄装置および帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の帯状体洗浄装置は、抄紙機に設けられた帯状体を洗浄する帯状体洗浄部と、吸引力を発生させる吸引管、を有し、帯状体の洗浄により帯状体から除去された汚れを、帯状体の洗浄が行われている間に吸引する吸引部と、吸引管に接続され、吸引管に吸引管洗浄液を導入する導入流路と、を備えた。
【0007】
本発明の帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法は、抄紙機に設けられた帯状体を洗浄する帯状体洗浄部と、吸引力を発生させる吸引管、を有し、帯状体の洗浄により帯状体から除去された汚れを、帯状体の洗浄が行われている間に吸引する吸引部と、吸引管の周壁に設けられた接続口に接続された導入流路と、を備えた帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法であって、導入流路から吸引管に吸引管洗浄液を導入する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】抄紙機の全体構成を示す図である。
図2】カンバス洗浄装置を-Y方向から見た図である。
図3】カンバス洗浄装置を+X方向から見た図である。
図4】洗浄吸引部を+X方向から見た図である。
図5】吸引管の斜視図である。
図6】吸引管の分解斜視図である。
図7】吸引管の断面図である。
図8】吸引管および気体洗浄液供給部を示す図である。
図9】カンバス洗浄装置の制御系を示すブロック図である。
図10】制御部が実行する制御処理を示すフローチャートである。
図11】変形例に係る吸引管および気体洗浄液供給部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しつつ、帯状体洗浄装置および帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法の一実施形態について説明する。なお、以下では、各図に示したXYZ直交座標系による方向を用いて説明するが、これらの方向は説明の便宜上のものにすぎず、特に言及しない限り、以下の実施形態を何ら限定するものではない。また、各部材の個数や各種パラメーターなどの数値は、例示にすぎず、特に言及しない限り、以下の実施形態を何ら限定するものではない。
【0010】
[抄紙機]
図1を参照して、帯状体洗浄装置の一実施形態であるカンバス洗浄装置45を備えた抄紙機1について説明する。抄紙機1は、紙Pの製造工程のうち、パルプおよび各種薬品から調合された紙料を抄いて紙Pを製造する抄造工程に用いられる。抄紙機1は、ワイヤーパート3と、プレスパート5と、ドライヤーパート7と、リールパート9とを備えている。
【0011】
ワイヤーパート3は、ワイヤー13上に水分を含んだ状態の紙Pを生成する。なお、本実施形態では、水分を含んだ状態の紙Pすなわち湿紙と、乾燥状態の紙Pとを、特に区別することなく、いずれも「紙P」という。
【0012】
ワイヤーパート3は、ヘッドボックス11と、ワイヤー13と、複数のワイヤーガイドロール15と、ワイヤー洗浄装置19とを備えている。ヘッドボックス11は、ワイヤー13上に紙料を供給する。ワイヤー13は、ワイヤー13上に供給された紙料から、水を自然落下させる。これにより、ワイヤー13上に紙Pが生成される。ワイヤー13は、無端の帯状体であり、複数のワイヤーガイドロール15間を循環走行する。複数のワイヤーガイドロール15は、ワイヤー13の走行をガイドする。ワイヤー洗浄装置19は、紙料により汚れたワイヤー13を洗浄する。ワイヤー洗浄装置19は、ワイヤー13の走行経路において、ワイヤー13が紙Pから分離する位置と、ワイヤー13が紙Pと再び接する位置と、の間に設けられている。
【0013】
プレスパート5は、ワイヤーパート3から送られてきた紙Pから搾水する。プレスパート5は、第1プレス区21と、第2プレス区23とを備えている。
【0014】
第1プレス区21は、一対のプレスロール25と、フェルト27と、複数のフェルトガイドロール29と、フェルト洗浄装置31とを備えている。一対のプレスロール25は、その相互間に、フェルト27と、ワイヤーパート3から送られてきた紙Pとを挟んで加圧する。これにより、紙Pから水が搾り出される。フェルト27は、紙Pから搾り出された水を吸収する。フェルト27は、無端の帯状体であり、プレスロール25および複数のフェルトガイドロール29間を循環走行する。複数のフェルトガイドロール29は、フェルト27の走行をガイドする。フェルト洗浄装置31は、紙Pと接することで汚れたフェルト27を洗浄する。フェルト洗浄装置31は、フェルト27の走行経路において、フェルト27が紙Pから分離する位置と、フェルト27が紙Pと再び接する位置と、の間に設けられている。
【0015】
第2プレス区23は、第1プレス区21と同様に構成されているため、説明を省略する。なお、第1プレス区21および第2プレス区23のいずれにおいても、フェルト27が紙Pの第1面Paと接しているが、この構成に限定されず、第1プレス区21および第2プレス区23の少なくとも一方において、フェルト27が紙Pの第1面Paとは反対側の第2面Pbと接した構成でもよい。
【0016】
ドライヤーパート7は、プレスパート5から送られてきた紙Pを加熱することで、紙Pを乾燥させる。ドライヤーパート7は、フード33内に設けられている。フード33内の雰囲気は、紙Pを効率良く乾燥させるために、例えば160℃以上200℃以下の高温に保たれている。ドライヤーパート7は、第1ドライヤー区35と、第2ドライヤー区37とを備えている。
【0017】
第1ドライヤー区35は、紙Pを第1面Paから乾燥させる。第1ドライヤー区35は、複数のドライヤーロール39と、カンバス41と、複数のカンバスロール43と、カンバスガイドロール44と、ストレッチロール46と、カンバス洗浄装置45とを備えている。ドライヤーロール39は、例えば100℃程度の高温に加熱されており、紙Pの第1面Paと接することで紙Pを第1面Paから乾燥させる。カンバス41は、紙Pの乾燥効率を向上させるために、ドライヤーロール39に対して紙Pを押さえ付ける。カンバス41は、無端の帯状体であり、複数のカンバスロール43間を循環走行する。複数のカンバスロール43は、カンバス41の走行をガイドする。カンバスガイドロール44は、軸方向の一方の端部を支点として揺動することで、蛇行したカンバス41を補正する。ストレッチロール46は、カンバス41を複数のカンバスロール43に掛け止めする際に移動することで、カンバス41のテンションを調整する。カンバス洗浄装置45は、紙Pと接することで汚れたカンバス41を洗浄する。カンバス洗浄装置45は、カンバス41の走行経路において、カンバス41が紙Pから分離する位置と、カンバス41が紙Pと再び接する位置と、の間に設けられている。なお、カンバス洗浄装置45については、詳細を後述する。
【0018】
第2ドライヤー区37は、紙Pを第1面Paとは反対側の第2面Pbから乾燥させる。第2ドライヤー区37は、ドライヤーロール39が紙Pの第2面Pbと接することで紙Pを第2面Pbから乾燥させる点を除き、第1ドライヤー区35と同様に構成されているため、説明を省略する。なお、ドライヤーパート7は、第1ドライヤー区35および第2ドライヤー区37のいずれか一方のみを備えた構成でもよい。
【0019】
リールパート9は、ドライヤーパート7から送られてきた乾燥状態の紙Pを、リール47に巻き取る。
【0020】
[カンバス洗浄装置]
図2および図3に示すように、カンバス洗浄装置45は、2本の大支柱101と、2本のフレーム103と、小支柱105と、洗浄吸引部107と、セーブオール109と、ヘッド洗浄部111(図3参照)と、洗浄パン113と、測定部115と、移動部117と、を備えている。
【0021】
また、カンバス洗浄装置45は、第1エリア119と、第2エリア121と、第3エリア123とを備えている。3つのエリアは、-X方向から、第1エリア119、第3エリア123、第2エリア121、の順に設けられている。第1エリア119では、洗浄吸引部107により、カンバス41の洗浄が行われる。第2エリア121では、洗浄吸引部107のメンテナンス処理が行われる。第3エリア123では、測定部115により、洗浄吸引部107の吸引力が測定される。
【0022】
第1エリア119は、フード33内に設けられ、第2エリア121および第3エリア123は、フード33外に設けられている。すなわち、第1エリア119と第3エリア123との間には、フード33の側壁の一つであるエリア間側壁49が設けられている。エリア間側壁49には、出入口51が設けられている。出入口51にはスイングドア53が取り付けられている。
【0023】
2本の大支柱101は、2本のフレーム103を介して、移動部117を支持している。2本の大支柱101は、第1エリア119をX方向に挟むようにして、互いにX方向に離れて設けられている。すなわち、2本の大支柱101は、カンバス41に対してカンバス41の幅方向両側に設けられている。各大支柱101のZ方向略中間部からは、フレーム103が-Y方向に延在している。すなわち、各フレーム103は、+Y方向の端部が大支柱101に片持ちで支持されている。2本のフレーム103の-Z方向には、移動部117が取り付けられている。小支柱105は、移動部117の+X方向の端部を、-Z方向から支持している。小支柱105は、第2エリア121に対して、+X方向に設けられている。
【0024】
洗浄吸引部107は、カンバス洗浄液を用いてカンバス41を洗浄すると共に、カンバス41の洗浄によりカンバス41から除去された汚れを、カンバス41の洗浄が行われている間に吸引する。なお、洗浄吸引部107については、詳細を後述する。
【0025】
セーブオール109は、第1エリア119に設けられており、カンバス41の洗浄が行われている間に、洗浄吸引部107に吸引されたカンバス洗浄液および汚れを回収する。なお、セーブオール109は、洗浄吸引部107に吸引されたカンバス洗浄液および汚れのほか、洗浄吸引部107に吸引されなかったカンバス洗浄液や、洗浄吸引部107に結露して洗浄吸引部107から垂れ落ちた水滴を回収する。セーブオール109のX方向両端部には、セーブ排液口125が設けられている。セーブオール109に回収されたカンバス洗浄液および汚れは、セーブ排液口125を介して、図示しない排液タンクへ送られる。
【0026】
ヘッド洗浄部111は、第2エリア121に設けられており、洗浄吸引部107のメンテナンス処理の一つとして、洗浄吸引部107の吸引ヘッド151を洗浄する。なお、第2エリア121では、洗浄吸引部107のメンテナンス処理として、吸引ヘッド151の洗浄のほか、後述するように、吸引管155(図4参照)の洗浄が行われる。
【0027】
ヘッド洗浄部111は、図3に示すように、吸引ヘッド151に対してヘッド洗浄液を噴射することで、吸引ヘッド151を洗浄する。これにより、カンバス41の洗浄によりカンバス41から除去され、吸引ヘッド151に付着した汚れが、吸引ヘッド151から除去される。なお、本実施形態では、ヘッド洗浄液として、常温の水が使用されるが、これに限定されず、例えば、温水、蒸気、研磨剤を含んだ水、洗剤を含んだ水などが使用されてもよい。
【0028】
ヘッド洗浄部111は、ヘッド洗浄ノズル127と、ヘッド洗浄液流路129(図8参照)とを備えている。ヘッド洗浄ノズル127は、吸引ヘッド151に対してヘッド洗浄液を噴射する。ヘッド洗浄液流路129は、ヘッド洗浄ノズル127にヘッド洗浄液を供給する。なお、ヘッド洗浄部111は、吸引ヘッド151から汚れを除去する手段として、ヘッド洗浄ノズル127を備えた構成に限定されず、例えば、吸引ヘッド151を擦るためのヘッド洗浄ブラシを備えた構成でもよく、ヘッド洗浄ノズル127とヘッド洗浄ブラシとの双方を備えた構成でもよい。
【0029】
洗浄パン113は、吸引ヘッド151の洗浄が行われている間に、吸引ヘッド151から垂れ落ちたヘッド洗浄液および吸引ヘッド151から除去された汚れを回収する。洗浄パン113は、第2エリア121に設けられている。洗浄パン113には、パン排液口131が設けられている。洗浄パン113に回収されたヘッド洗浄液および汚れは、パン排液口131を介して、排液タンクへ送られる。
【0030】
測定部115は、吸引管155の吸引力を測定する。測定部115は、第3エリア123に設けられている。測定部115としては、例えば、圧力センサーを用いることができる。
【0031】
移動部117は、X方向に延在しており、洗浄吸引部107をX方向に移動させる。移動部117は、洗浄吸引部107を吊り下げるように保持している。移動部117としては、例えば、ベルト機構、ボールねじ機構などを用いることができる。
【0032】
移動部117は、カンバス洗浄部133によりカンバス41の洗浄が行われている間に、第1エリア119において洗浄吸引部107をX方向すなわちカンバス41の幅方向に往復移動させる。移動部117は、カンバス41の洗浄が行われた後、ヘッド洗浄部111により吸引ヘッド151の洗浄が行われるように、洗浄吸引部107を第1エリア119から第3エリア123を通って第2エリア121に移動させる。移動部117は、吸引ヘッド151の洗浄が行われた後、測定部115により吸引管155の吸引力が測定されるように、洗浄吸引部107を第2エリア121から第3エリア123に移動させる。移動部117は、吸引管155の吸引力が測定された後、カンバス洗浄部133によりカンバス41の洗浄が再び行われるように、洗浄吸引部107を第3エリア123から第1エリア119に移動させる。なお、洗浄吸引部107は、第1エリア119と第3エリア123との間を移動するとき、上記の出入口51を介して、フード33に出入りする。
【0033】
[洗浄吸引部]
図4に示すように、洗浄吸引部107は、カンバス洗浄部133と、吸引部135と、エアーナイフ137とを備えている。
【0034】
カンバス洗浄部133は、カンバス41に対してカンバス洗浄液を噴射することで、カンバス41を洗浄する。より具体的には、カンバス洗浄部133は、カンバス41のうち、カンバスロール43と接している箇所に対して、カンバス洗浄液を噴射する。これにより、カンバスロール43の外周面を受けとしてカンバス41に対してカンバス洗浄液が噴射されるため、カンバス41を効率良く洗浄することができる。なお、カンバス洗浄部133がカンバス41に対してカンバス洗浄液を噴射する方向は、カンバス41に対して垂直に噴射する方向よりも、角度θ(例えば30°)だけ、上流側に傾いている。これにより、カンバス41から効率良く汚れを除去することができる。また、本実施形態では、カンバス洗浄液として、常温の水が使用されるが、これに限定されず、例えば、温水、蒸気、研磨剤を含んだ水、洗剤を含んだ水などが使用されてもよい。
【0035】
カンバス洗浄部133は、第1ノズルブロック139と、第1カンバス洗浄液流路141と、第2ノズルブロック143と、第2カンバス洗浄液流路145とを備えている。
【0036】
第1ノズルブロック139は、X方向に並んだ複数の第1カンバス洗浄ノズル147を備えている。複数の第1カンバス洗浄ノズル147は、第1圧力、例えば300MPa、のカンバス洗浄液をカンバス41に対して噴射することで、カンバス41から汚れを除去する。第1カンバス洗浄液流路141は、複数の第1カンバス洗浄ノズル147に第1圧力のカンバス洗浄液を供給する。
【0037】
第2ノズルブロック143は、X方向に並んだ複数の第2カンバス洗浄ノズル149を備えている。複数の第2カンバス洗浄ノズル149は、第1圧力よりも小さい第2圧力、例えば80MPa、のカンバス洗浄液をカンバス41に対して噴射することで、カンバス41から汚れを除去する。第2カンバス洗浄液流路145は、複数の第2カンバス洗浄ノズル149に第2圧力のカンバス洗浄液を供給する。
【0038】
カンバス洗浄部133は、抄紙機1が紙Pを製造しているとき、すなわちカンバス41の一部が紙Pと接しているときには、カンバス41に対して、複数の第1カンバス洗浄ノズル147から第1圧力のカンバス洗浄液を比較的少量噴射する。比較的少量のカンバス洗浄液を用いることで、カンバス41が過度に濡れて紙Pが損なわれることを抑制することができる。一方、カンバス洗浄部133は、抄紙機1が紙Pを製造していないとき、すなわちカンバス41が紙Pと接していないときには、カンバス41に対して、複数の第2カンバス洗浄ノズル149から第2圧力のカンバス洗浄液を比較的多量に噴射する。比較的多量のカンバス洗浄液を用いることで、短時間で効率良くカンバス41を洗浄することができる。なお、カンバス洗浄部133は、2種類の水圧のカンバス洗浄液を使い分ける必要がない場合には、第1カンバス洗浄ノズル147および第2カンバス洗浄ノズル149のいずれか一方のみを備えた構成でもよい。すなわち、カンバス洗浄部133は、第1ノズルブロック139および第2ノズルブロック143のいずれか一方のみを備えた構成でもよい。
【0039】
また、カンバス洗浄部133は、カンバス41から汚れを除去する手段として、第1カンバス洗浄ノズル147や第2カンバス洗浄ノズル149のように、カンバス洗浄液を噴射する手段を備えた構成に限定されるものではない。カンバス洗浄部133は、カンバス41から汚れを除去する手段として、例えば、カンバス41を擦るためのカンバス洗浄ブラシを備えた構成でもよく、カンバス洗浄液を噴射する手段とカンバス洗浄ブラシとの双方を備えた構成でもよい。
【0040】
吸引部135は、カンバス41から除去された汚れを、カンバス41の洗浄が行われている間に吸引する。吸引部135は、吸引ヘッド151と、接続管153と、吸引管155と、ミストボックス157とを備えている。
【0041】
吸引ヘッド151は、接続管153を介して吸引管155に接続されており、カンバス洗浄液およびカンバス41から除去された汚れを吸引する吸引口として機能する。吸引ヘッド151は、略長円形の筒状に形成されている。吸引ヘッド151の+Y方向の端部には、カンバスロール43の外周面に倣うように凹弧状に形成された凹弧部159が設けられている。凹弧部159は、カンバス41を介して、カンバスロール43の外周面と対向している。凹弧部159とカンバス41との間隔は、カンバス洗浄液およびカンバス41から除去された汚れを効率良く吸引できるように、極力狭い方が好ましく、例えば3mm程度である。吸引ヘッド151は、仮に凹弧部159がカンバス41と接触したとしても、カンバス41を傷めることがないように、フッ素樹脂などの柔軟性を有する素材で構成されていることが好ましい。
【0042】
吸引ヘッド151の+Z方向の面には、第1開口161と、第2開口163とが設けられている。第1開口161には、複数の第1カンバス洗浄ノズル147が吸引ヘッド151の外側から嵌合している。同様に、第2開口163には、複数の第2カンバス洗浄ノズル149が吸引ヘッド151の外側から嵌合している。なお、吸引ヘッド151に設けられた1つの開口に対して、第1ノズルブロック139および第2ノズルブロック143の双方が嵌合した構成でもよい。
【0043】
2つの接続管153は、吸引ヘッド151と2つの吸引管155とを接続している。2つの接続管153は、X方向に並んでいる。接続管153は、吸引管155に近づくほど、径が小さくなっている。なお、吸引ヘッド151は、接続管153を介さずに、吸引管155と直接接続された構成でもよい。
【0044】
2つの吸引管155は、カンバス41の洗浄が行われている間に、カンバス洗浄液およびカンバス41から除去された汚れが吸引ヘッド151および接続管153を介して吸引されるように、吸引力を発生させる。2つの吸引管155は、X方向に並んでいる。なお、吸引管155については、詳細を後述する。
【0045】
ミストボックス157は、吸引管155により吸引されたカンバス洗浄液および汚れを、一時的に貯留する。すなわち、カンバス洗浄液およびカンバス41から除去された汚れは、吸引ヘッド151、接続管153および吸引管155を順に通って、ミストボックス157に到達する。ミストボックス157に到達したカンバス洗浄液および汚れは、ミストボックス157からセーブオール109に回収される。
【0046】
2つのエアーナイフ137は、カンバス41の洗浄が行われている間に、カンバス41に対してエアーを吹き付ける。2つのエアーナイフ137は、X方向に並んでおり、吸引ヘッド151に対して、カンバス41の送り方向の下流側に設けられている。すなわち、エアーナイフ137は、カンバス41のうち、第1カンバス洗浄ノズル147或いは第2カンバス洗浄ノズル149からカンバス洗浄液が噴射された箇所に対して、エアーを吹き付ける。これにより、吸引管155に吸引されずにカンバス41上に残存しているカンバス洗浄液および汚れが、エアーにより吹き飛ばされ、カンバス41から除去される。
【0047】
このように、洗浄吸引部107は、第1エリア119において、カンバス41の幅方向に往復移動しながら、カンバス洗浄部133によるカンバス41の洗浄と、吸引部135による吸引と、エアーナイフ137によるエアーの吹付けとを、並行して行う。
【0048】
[吸引管]
図5ないし図7に示すように、吸引管155は、太管165と、細管167と、装着リング169とを備えている。太管165の+Y方向の端部は、接続管153と接続され、太管165の-Y方向の端部は、細管167と接続されている。細管167の+Y方向の端部は、太管165と接続され、細管167の-Y方向の端部は、ミストボックス157と接続されている。太管165と細管167とは、長さ方向においてそれぞれの一部が重複するようにして、接続されている。
【0049】
太管165は、略円筒状に形成されており、+Y方向から順に、太管側非重複部171と、太管側重複部173とを備えている。太管側非重複部171は、太管165と細管167とが接続された状態において、細管167と重複しない部分である。太管側非重複部171の-Y方向の端部には、-Y方向すなわち太管側重複部173に向かって縮径した縮径部175が設けられている。太管側重複部173は、太管165と細管167とが接続された状態において、細管167と重複する部分である。太管側重複部173の内周面には、+Y方向から順に、太管側溝部177と、太管側雌ねじ部179とが設けられている。太管側溝部177は、環状の溝である。太管側雌ねじ部179は、後述する細管側雄ねじ部191と係合する。また、太管165の周壁には、太管側溝部177に対応する位置に、接続口181が設けられている。すなわち、接続口181は、太管165と細管167との重複部分において、太管165の周壁に開口している。接続口181の内周面には、接続口側雌ねじ部183が設けられている。接続口側雌ねじ部183には、後述する共通分岐流路225(図8参照)の下流端に設けられた雄ねじ部(図示省略)が係合する。なお、縮径部175と太管側溝部177との間の段部を、太管段部184という。
【0050】
細管167は、太管165よりも細い略円筒状に形成されており、細管167の内周面は、-Y方向に向かって、わずかに拡径している。細管167は、+Y方向から順に、細管側重複部185と、細管側非重複部187とを備えている。細管側重複部185は、太管165と細管167とが接続された状態において、太管165と重複する部分である。細管側重複部185の外周面には、+Y方向から順に、細管側溝部189と、細管側雄ねじ部191とが設けられている。細管側溝部189は、環状の溝であり、太管165と細管167とが接続された状態で、太管側溝部177と合致し、太管側溝部177と共に、環状の管間隙部193を形成する。管間隙部193は、接続口181と太管165および細管167の内部とを接続する。細管側雄ねじ部191は、太管側雌ねじ部179および後述するリング側雌ねじ部199と係合する。細管側非重複部187は、太管165と細管167とが接続された状態において、太管165と重複しない部分である。なお、細管167の+Y方向の端部を、細管先端部195という。
【0051】
太管165と細管167との組立て時には、細管先端部195が太管165の-Y方向の端部に挿入され、細管先端部195が太管段部184に突き当たるまで、細管167が太管165に対してねじ込まれた後、細管先端部195と太管段部184との間にわずかな間隙が生じるように、細管167が太管165に対して緩められる。
【0052】
装着リング169は、-Y方向から細管167に装着され、太管165から細管167が-Y方向へ抜け出ることを抑制している。装着リング169の内周面には、リング側雌ねじ部199が形成されている。リング側雌ねじ部199は、細管側雄ねじ部191と係合する。また、装着リング169には、3つの止めねじ201が固定されている。3つの止めねじ201は、細管167に対する装着リング169の緩み止めとして機能する。
【0053】
このように構成された吸引管155において、吸引管155に吸引力を発生させる導入気体が後述する共通分岐流路225(図8参照)から導入されると、導入された導入気体は、管間隙部193に入り、細管先端部195と太管段部184との間隙を通って、吸引管155の内部、すなわち太管165および細管167の内部に進入する。細管167の内径は、太管側非重複部171の内径よりも小さいため、接続口181から導入された導入気体によりベンチュリー効果が生じ、細管167の内部が、太管側非重複部171の内部に比べて負圧となる。このため、吸引管155において、太管165側から細管167側へと吸引する吸引力が発生する。すなわち、吸引管155において、太管165の+Y方向の端部が吸引口となり、細管167の-Y方向の端部が排出口となる。その結果、カンバス洗浄液およびカンバス41から除去された汚れが、吸引ヘッド151および接続管153を介して吸引管155に吸引され、さらに、ミストボックス157へと送られる。なお、本実施形態の吸引管155は、ベンチュリー効果により吸引力を発生させるが、他の作用効果により、吸引力を発生させる構成でもよい。
【0054】
ここで、吸引管155が吸引動作を続けていると、次第に、吸引された汚れが吸引管155の内部に付着する。特に、吸引した汚れが太管165と細管167との間隙すなわち管間隙部193に入り込むと、その汚れが管間隙部193を塞いでしまう。その結果、接続口181から導入された導入気体が吸引管155の内部に進入することができず、吸引管155の吸引力が低下してしまう。吸引管155の吸引力が低下すると、吸引管155がカンバス41から除去された汚れを吸引し切れなくなり、吸引管155に吸引されなかった汚れがカンバス41上に落下してカンバス41から紙Pへ転写する。汚れが転写した紙Pは、販売不能な損紙となることから、吸引管155の吸引力が低下する前に、吸引管155の吸引力を回復させる必要がある。
【0055】
そのため、本実施形態とは異なり、カンバス洗浄装置45が、後述するように、吸引管155に接続された導入流路205から吸引管155に吸引管洗浄液を導入しない構成では、作業員が、定期的に吸引管155の吸引力を点検し、吸引力に異常がある場合には、吸引管155を分解して手作業で洗浄する、という作業を行わなければならない。なお、上述したヘッド洗浄部111は、吸引ヘッド151に対してヘッド洗浄液を噴射することで吸引ヘッド151を洗浄することはできるが、吸引管155に接続された流路から吸引管155に洗浄液を導入するものではないため、吸引管155を洗浄することができない。これに対し、本実施形態のカンバス洗浄装置45は、吸引管155に接続された共通分岐流路225を備え、吸引管155に吸引管洗浄液を導入することで、吸引管155を洗浄することができる。
【0056】
[気体洗浄液供給部]
図8に示すように、カンバス洗浄装置45に備えられた気体洗浄液供給部203は、吸引管155に対し、導入気体と吸引管洗浄液とを供給する。本実施形態では、導入気体として、高圧の空気、すなわち圧縮空気が使用されるが、空気に限定されず、例えば、窒素、酸素、ヘリウムガスなどが使用されてもよい。本実施形態では、吸引管洗浄液として、第2ノズルブロック143に供給されるカンバス洗浄液と同様に、第2圧力(例えば80MPa)の水が使用されるが、その圧力は、特に限定されるものではない。また、吸引管洗浄液として、常温の水が使用されるが、これに限定されず、例えば、温水、蒸気、研磨剤を含んだ水、洗剤を含んだ水などが使用されてもよい。なお、カンバス洗浄液と、ヘッド洗浄液と、吸引管洗浄液とは、互いに同じものでもよく、相異なるものでもよい。
【0057】
気体洗浄液供給部203は、導入流路205と、コンプレッサー207と、ポンプ209と、第1制御弁211と、第2制御弁213と、上流側継手215と、下流側継手217とを備えている。導入流路205は、気体流路219と、吸引管洗浄液流路221と、共通流路223と、2本の共通分岐流路225とを備えている。
【0058】
コンプレッサー207は、導入気体の供給源である。気体流路219の上流端は、コンプレッサー207に接続され、気体流路219の下流端は、上流側継手215に接続されている。ポンプ209は、吸引管洗浄液の供給源である。なお、ポンプ209は、ヘッド洗浄ノズル127の供給源でもある。吸引管洗浄液流路221の上流端は、ポンプ209に接続され、吸引管洗浄液流路221の下流端は、上流側継手215に接続されている。なお、吸引管洗浄液流路221の上流端は、ポンプ209に代えて、水道栓のように加圧された水源に直接接続された構成でもよい。
【0059】
また、吸引管洗浄液流路221には、ポンプ209と後述する第2制御弁213との間に、ヘッド継手227が設けられている。ヘッド継手227には、ヘッド洗浄液流路129の上流端が接続されている。ヘッド洗浄液流路129の下流端は、ヘッド洗浄ノズル127に接続されている。ヘッド洗浄液流路129には、ヘッド洗浄制御弁229が設けられている。ヘッド洗浄制御弁229としては、例えば、電磁弁を用いることができる。
【0060】
第1制御弁211は、気体流路219に設けられており、気体流路219を開閉する。第1制御弁211としては、例えば、電磁弁を用いることができる。また、第1制御弁211は、気体流路219を開閉するだけでなく、吸引管155に導入される導入気体の流量を調整可能な弁でもよい。第2制御弁213は、吸引管洗浄液流路221に設けられており、吸引管洗浄液流路221を開閉する。第2制御弁213としては、例えば、電磁弁を用いることができる。また、第2制御弁213は、吸引管洗浄液流路221を開閉するだけでなく、吸引管155に導入される吸引管洗浄液の流量を調整可能な弁でもよい。上流側継手215には、気体流路219の下流端と、吸引管洗浄液流路221の下流端と、共通流路223の上流端とが接続されている。
【0061】
共通流路223の上流端は、上流側継手215に接続され、共通流路223の下流端は、下流側継手217に接続されている。下流側継手217には、共通流路223の下流端と、2本の共通分岐流路225の上流端とが接続されている。2本の共通分岐流路225の上流端は、下流側継手217に接続され、2本の共通分岐流路225の下流端は、2つの吸引管155の接続口181に接続されている。なお、本実施形態では、吸引管155に導入気体を導入する共通分岐流路225と、吸引管155に吸引管洗浄液を導入する共通分岐流路225とが同じであるため、気体洗浄液供給部203の配管構造を省スペース化することができる。
【0062】
このように構成された気体洗浄液供給部203において、第1制御弁211が気体流路219を開放し、第2制御弁213が吸引管洗浄液流路221を閉塞することで、接続口181に接続された導入流路205から吸引管155に導入気体が導入される。その結果、上述したように、吸引管155においてベンチュリー効果が生じ、吸引管155に吸引力が発生する。
【0063】
また、第1制御弁211が気体流路219を閉塞し、第2制御弁213が吸引管洗浄液流路221を開放することで、接続口181に接続された導入流路205から吸引管155に吸引管洗浄液が導入される。その結果、吸引管155の内周面に付着した汚れや、管間隙部193に詰まった汚れが除去され、吸引管155が洗浄される。特に、本実施形態では、接続口181が、太管165と細管167との重複部分において、太管165の周壁に開口しているため、吸引管洗浄液が、太管165と細管167との間隙、すなわち管間隙部193に対し、接続口181から直接導入される。このため、管間隙部193に詰まった汚れを効果的に除去することができる。なお、吸引管155に導入された吸引管洗浄液および吸引管155から除去された汚れは、ミストボックス157を介して、洗浄パン113に回収される。
【0064】
なお、第1制御弁211および第2制御弁213は、吸引管155への導入気体および吸引管洗浄液の導入を制御する構成であればよく、例えば、第1制御弁211および第2制御弁213に代えて、単一の流路切替弁、すなわち、共通流路223に連なる流路を、気体流路219と吸引管洗浄液流路221との間で切り替え可能な弁、を備えた構成でもよい。この場合、流路切替弁が、共通流路223に連なる流路を、気体流路219に切り替えることで、導入流路205から吸引管155に導入気体が導入される。また、流路切替弁が、共通流路223に連なる流路を、吸引管洗浄液流路221に切り替えることで、導入流路205から吸引管155に吸引管洗浄液が導入される。
【0065】
[操作表示部および制御部]
図9に示すように、カンバス洗浄装置45は、操作表示部233と、制御部235とを備えている。操作表示部233は、作業員からの入力操作を受け付け、また、各種情報を表示する。操作表示部233としては、例えば、タッチパネルを用いることができる。制御部235は、図示省略したが、プロセッサーと、メモリーとを備えており、メモリーに記憶されたプログラムをプロセッサーが実行することで、各種の制御処理を実行する。すなわち、制御部235は、操作表示部233に対する入力操作、測定部115の測定結果などに基づいて、カンバス洗浄装置45の各部を制御する。
【0066】
[制御処理]
図10を参照して、制御部235が実行する制御処理について説明する。制御部235は、例えば、操作表示部233に対して洗浄開始の入力操作が行われると、以下に述べる制御処理を開始する。
【0067】
ステップS01では、制御部235は、カンバス洗浄処理を行う。すなわち、制御部235は、カンバス41に対してカンバス洗浄液が噴射されるように、カンバス洗浄部133を制御する。また、制御部235は、吸引部135がカンバス41から除去された汚れを吸引するように、すなわち、導入流路205から吸引管155に導入気体が導入されるように、第1制御弁211、第2制御弁213およびヘッド洗浄制御弁229を制御する。すなわち、制御部235は、第1制御弁211が気体流路219を開放し、第2制御弁213が吸引管洗浄液流路221を閉塞し、ヘッド洗浄制御弁229がヘッド洗浄液流路129を閉塞するように、第1制御弁211、第2制御弁213およびヘッド洗浄制御弁229を制御する。また、制御部235は、洗浄吸引部107が、第1エリア119において、カンバス41に対してカンバス41の幅方向に往復移動するように、移動部117を制御する。制御部235は、カンバス洗浄処理を所定の時間実行した後、ステップS02に進む。なお、制御部235は、カンバス洗浄処理を所定の時間実行した後、ステップS02に進む代わりに、カンバス洗浄部133がカンバス41に対して所定の回数往復移動した後、ステップS02に進んでもよい。
【0068】
ステップS02では、制御部235は、洗浄吸引部107が第2エリア121へ移動するように、移動部117を制御する。
【0069】
ステップS03では、制御部235は、ヘッド洗浄処理および吸引管洗浄処理を実行する。すなわち、制御部235は、まず、吸引ヘッド151に対してヘッド洗浄液が噴射されるように、第1制御弁211、第2制御弁213およびヘッド洗浄制御弁229を制御する。すなわち、制御部235は、第1制御弁211が気体流路219を閉塞し、第2制御弁213が吸引管洗浄液流路221を閉塞し、ヘッド洗浄制御弁229がヘッド洗浄液流路129を開放するように、第1制御弁211、第2制御弁213およびヘッド洗浄制御弁229を制御する。続いて、制御部235は、吸引部135が洗浄されるように、すなわち、導入流路205から吸引管155に吸引管洗浄液が導入されるように、第1制御弁211、第2制御弁213およびヘッド洗浄制御弁229を制御する。すなわち、制御部235は、第1制御弁211が気体流路219を閉塞し、第2制御弁213が吸引管洗浄液流路221を開放し、ヘッド洗浄制御弁229がヘッド洗浄液流路129を閉塞するように、第1制御弁211、第2制御弁213およびヘッド洗浄制御弁229を制御する。このように、ヘッド洗浄処理と吸引管洗浄処理とが別々に行われるため、共通の供給源であるポンプ209から、ヘッド洗浄ノズル127および吸引管155に対して、それぞれ十分な水量のヘッド洗浄液および吸引管洗浄液が供給される。制御部235は、ヘッド洗浄処理および吸引管洗浄処理を所定の時間実行した後、ステップS04に進む。
【0070】
なお、制御部235は、吸引管洗浄処理を行った後、ヘッド洗浄処理を行ってもよい。制御部235は、ヘッド洗浄液と吸引管洗浄処理とを同時に行ってもよい。すなわち、制御部235は、第2制御弁213が吸引管洗浄液流路221を開放すると共にヘッド洗浄制御弁229がヘッド洗浄液流路129を開放するように、第2制御弁213およびヘッド洗浄制御弁229を制御してもよい。この場合、ヘッド洗浄ノズル127および吸引管155に対してそれぞれ十分な水量のヘッド洗浄液および吸引管洗浄液が供給されるように、ヘッド洗浄液の供給源と吸引管洗浄液の供給源とを、別々に設けることが好ましい。
【0071】
ステップS04では、制御部235は、洗浄吸引部107が第3エリア123へ移動するように、移動部117を制御する。
【0072】
ステップS05では、制御部235は、吸引力測定処理を実行する。すなわち、制御部235は、制御部235は、吸引管155に吸引力が発生するように、すなわち、導入流路205から吸引管155に導入気体が導入されるように、第1制御弁211、第2制御弁213およびヘッド洗浄制御弁229を制御する。すなわち、制御部235は、第1制御弁211が気体流路219を閉塞し、第2制御弁213が吸引管洗浄液流路221を開放し、ヘッド洗浄制御弁229がヘッド洗浄液流路129を閉塞するように、第1制御弁211、第2制御弁213およびヘッド洗浄制御弁229を制御する。また、制御部235は、測定部115による吸引管155の吸引力の測定結果を、測定部115から受信する。
【0073】
ステップS06では、制御部235は、測定部115により測定された吸引管155の吸引力の測定結果に基づいて、吸引管155の吸引力が閾値より小さいか否かを判断する。制御部235は、吸引管155の吸引力が閾値より小さくないと判断した場合には、ステップS07に進む。
【0074】
ステップS07では、制御部235は、洗浄吸引部107が第1エリア119へ移動するように、移動部117を制御する。その後、制御部235は、ステップS01に戻り、カンバス洗浄処理を再び実行する。
【0075】
一方、制御部235は、ステップS06において、吸引管155の吸引力が閾値より小さいと判断した場合には、ステップS02に戻り、洗浄吸引部107が第2エリア121へ移動するように、移動部117を制御する。続いて、制御部235は、ステップS03に進み、ヘッド洗浄処理および吸引管洗浄処理を再び実行する。なお、この場合、制御部235は、ヘッド洗浄処理を実行することなく、吸引管洗浄処理のみを再び実行してもよい。
【0076】
制御部235は、ステップS06において、吸引管155の吸引力が閾値より小さくないと判断するまで、ステップS02からステップS06までの各ステップを繰り返すことで、ヘッド洗浄処理を繰り返し行う。なお、ヘッド洗浄処理が所定の回数繰り返し行われた後も、制御部235が吸引管155の吸引力が閾値より小さいと判断した場合、すなわち吸引管155の吸引力が回復しなかった場合には、操作表示部233が警告を表示してもよい。
【0077】
このように、吸引管155の洗浄により吸引管155の吸引力が回復しなかったときに、吸引管155を用いて汚れの吸引を行う前に、吸引管155が再び洗浄されることで、吸引管155の吸引力が回復した状態で、吸引管155を用いて汚れの吸引を行うことができる。
【0078】
以上のように、本実施形態のカンバス洗浄装置45によれば、導入流路205から吸引管155に吸引管洗浄液が導入されることで、吸引管155を手作業で洗浄することなく、吸引管155に吸引された汚れを吸引管155から除去することができる。したがって、吸引管155を手作業で洗浄することなく、吸引管155の吸引力を回復させることができる。
【0079】
[変形例]
図11を参照して、吸引管155および気体洗浄液供給部203の変形例について説明する。変形例に係る吸引管155の周壁には、第1接続口237と、第2接続口239とが設けられている。すなわち、第1接続口237および第2接続口239は、上記の接続口181と同様に、太管側溝部177に対応する位置で、太管165の周壁に開口している。
【0080】
また、気体洗浄液供給部203は、第1導入流路241と、第2導入流路243とを備えている。第1導入流路241は、気体流路219と、2本の気体分岐流路245とを備えている。気体流路219の上流端は、コンプレッサー207に接続され、気体流路219の下流端は、気体分岐継手247に接続されている。2本の気体分岐流路245の上流端は、気体分岐継手247に接続され、2本の気体分岐流路245の下流端は、2つの吸引管155の第1接続口237に接続されている。
【0081】
第2導入流路243は、吸引管洗浄液流路221と、2本の洗浄液分岐流路249とを備えている。吸引管洗浄液流路221の上流端は、ポンプ209に接続され、吸引管洗浄液流路221の下流端は、洗浄液分岐継手251に接続されている。なお、上記の実施形態と同様に、吸引管洗浄液流路221の上流端は、ポンプ209に代えて、水道栓のように加圧された水源に直接接続された構成でもよい。2本の洗浄液分岐流路249の上流端は、洗浄液分岐継手251に接続され、2本の洗浄液分岐流路249の下流端は、2つの吸引管155の第2接続口239に接続されている。
【0082】
変形例に係る気体洗浄液供給部203においても、上記の実施形態と同様に、第1制御弁211が気体流路219を開放し、第2制御弁213が吸引管洗浄液流路221を閉塞することで、第1導入流路241から吸引管155に導入気体が導入される。その結果、上述したように、吸引管155においてベンチュリー効果が生じ、吸引管155に吸引力が発生する。
【0083】
また、第1制御弁211が気体流路219を閉塞し、第2制御弁213が吸引管洗浄液流路221を開放することで、第2導入流路243から吸引管155に吸引管洗浄液が導入される。その結果、吸引管155の内周面に付着した汚れや、管間隙部193に詰まった汚れが除去され、吸引管155が洗浄される。
【0084】
本変形例の構成によれば、気体流路219と吸引管洗浄液流路221とが吸引管155に至る途中で合流していないため、第1制御弁211或いは第2制御弁213が故障しても、高圧の吸引管洗浄液が気体流路219に進入してコンプレッサー207を損なうことを抑制することができる。
【0085】
[その他の変形例]
上記の実施形態および変形例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用可能であることは言うまでもない。例えば、上記の実施形態および変形例は、上述したほか、以下のような形態に変更することができる。また、実施形態と変形例とを組み合わせた構成でもよく、変形例同士を組み合わせた構成でもよい。
【0086】
制御部235は、第2エリア121において吸引管洗浄処理を行う構成に限定されず、例えば、第1エリア119においてカンバス洗浄処理と並行して吸引管洗浄処理を行う構成でもよい。すなわち、制御部235は、カンバス洗浄処理を行う間つまりカンバス41から除去された汚れの吸引が行われる間に、導入流路205から吸引管155に、導入気体と吸引管洗浄液とが導入されるように、第1制御弁211および第2制御弁213を制御してもよい。これにより、カンバス41の洗浄が行われている間に吸引管155に吸引された汚れが、即座に吸引管155から除去されるため、吸引管155を効率良く洗浄することができる。なお、この場合、制御部235は、吸引管155に導入される吸引管洗浄液の時間当たりの液量が、比較的少量となるように、第2制御弁213を制御することが好ましい。
【0087】
吸引管155に対し、導入気体および吸引管洗浄液を同時に導入することで、泡立った吸引管洗浄液により吸引管155を洗浄する構成でもよい。例えば、上記の変形例において、第1制御弁211が気体流路219を開放すると共に、第2制御弁213が吸引管洗浄液流路221を開放することで、吸引管155に導入気体および吸引管洗浄液を同時に導入することができる。
【0088】
気体洗浄液供給部203或いは吸引管155に超音波振動子を取り付けて、吸引管洗浄液を超音波により振動させることで、吸引管155を洗浄する構成でもよい。また、超音波振動子を第2エリア121或いは第2エリア121近傍に配置し、洗浄吸引部107が第2エリア121或いは第2エリア121近傍に移動したときに、気体洗浄液供給部203或いは吸引管155に超音波が伝わるようにすることで、吸引管155を洗浄する構成でもよい。さらに、第2エリア121に超音波振動子を備えた水槽を設け、その水槽に吸引管洗浄液を入れ、洗浄吸引部107全体に超音波を与えて洗浄を促進してもよい。
【0089】
吸引管155は、太管165と細管167とを備えた構成に限定されず、例えば、一部材で構成されたものでもよい。
【0090】
実施形態および変形例のカンバス洗浄装置45は、ワイヤー洗浄装置19、フェルト洗浄装置31などに応用可能である。すなわち、「帯状体」は、ワイヤー13、フェルト27などを含む概念である。また、「帯状体洗浄装置」は、ワイヤー洗浄装置19、フェルト洗浄装置31などを含む概念である。
【0091】
[付記]
以下、帯状体洗浄装置および帯状体洗浄装置の制御方法について付記する。
帯状体洗浄装置は、抄紙機に設けられた帯状体を洗浄する帯状体洗浄部と、吸引力を発生させる吸引管、を有し、帯状体の洗浄により帯状体から除去された汚れを、帯状体の洗浄が行われている間に吸引する吸引部と、吸引管の周壁に設けられた接続口に接続され、吸引管に吸引管洗浄液を導入する導入流路と、を備えた。
【0092】
この構成によれば、導入流路から吸引管に吸引管洗浄液が導入されることで、吸引管を手作業で洗浄することなく、吸引管に吸引された汚れを吸引管から除去することができる。したがって、吸引管を手作業で洗浄することなく、吸引管の吸引力を回復させることができる。
なお、カンバス洗浄装置45は、「帯状体洗浄装置」の一例である。カンバス41は、「帯状体」の一例である。カンバス洗浄部133は、「帯状体洗浄部」の一例である。
【0093】
この場合、導入流路は、吸引部が汚れを吸引するときに、吸引管に吸引力を発生させる導入気体を吸引管に導入することが好ましい。
【0094】
この構成によれば、吸引管に導入気体を導入する導入流路と同じ導入流路から、吸引管に吸引管洗浄液が導入されることで、吸引管を洗浄することができる。
【0095】
この場合、吸引管の周壁には、接続口である第2接続口とは別の第1接続口、が設けられ、第2接続口には、吸引管に吸引管洗浄液を導入する導入流路である第2導入流路、が接続され、第1接続口に接続され、第2導入流路とは別の流路であり、吸引部が汚れを吸引するときに、吸引管に吸引力を発生させる導入気体を導入する第1導入流路、を備えたことが好ましい。
【0096】
この構成によれば、吸引管に導入気体を導入する第1導入流路とは別の第2導入流路から、吸引管に吸引管洗浄液が導入されることで、吸引管を洗浄することができる。
【0097】
この場合、吸引管は、太管と、太管よりも径が小さい細管と、を有し、太管と細管とは、長さ方向においてそれぞれの一部が重複するように、接続されており、接続口は、太管と細管との重複部分において、太管の周壁に開口していることが好ましい。
【0098】
この構成によれば、太管と細管との間隙に対し、接続口から吸引管洗浄液が直接導入される。このため、太管と細管との間隙に詰まった汚れを効果的に除去することができる。
【0099】
この場合、導入流路には、吸引管への導入気体および吸引管洗浄液の導入を制御する制御弁、が設けられ、制御弁を制御する制御部、を備えたことが好ましい。
【0100】
この構成によれば、吸引管への導入気体および吸引管洗浄液の導入を適切に制御することができる。
なお、第1制御弁211および第2制御弁213は、「制御弁」の一例である。
【0101】
この場合、吸引管に接続され吸引口として機能する吸引ヘッド、を洗浄するヘッド洗浄部と、帯状体洗浄部および吸引部を、帯状体の洗浄および汚れの吸引が行われる第1エリアと、吸引ヘッドの洗浄が行われる第2エリアと、に移動させる移動部と、を備え、制御部は、帯状体洗浄部および吸引部が第2エリアに移動したときに、吸引管に吸引管洗浄液が導入されるように、制御弁を制御することが好ましい。
【0102】
この構成によれば、第2エリアにおいて、吸引ヘッドの洗浄と吸引管の洗浄とを行うことができる。
【0103】
この場合、制御部は、汚れの吸引が行われている間に、吸引管に導入気体および吸引管洗浄液が導入されるように、制御弁を制御することが好ましい。
【0104】
この構成によれば、帯状体の洗浄が行われている間に吸引管に吸引された汚れが、即座に吸引管から除去されるため、吸引管を効率良く洗浄することができる。
【0105】
この場合、吸引管の吸引力を測定する測定部、を備えたことが好ましい。
【0106】
この構成によれば、吸引管の洗浄が行われた後、吸引管の吸引力が回復したか否かを確認することができる。
【0107】
この場合、吸引管の吸引力を測定する測定部、を備え、制御部は、測定部により測定された吸引管の吸引力が、閾値よりも小さいときに、汚れの吸引が行われる前に、吸引管へ吸引管洗浄液が再度導入されるように、制御弁を制御することが好ましい。
【0108】
この構成によれば、吸引管の洗浄により吸引管の吸引力が回復しなかったときに、吸引管を用いて汚れの吸引を行う前に、吸引管が再び洗浄されることで、吸引管の吸引力が回復した状態で、吸引管を用いて汚れの吸引を行うことができる。
【0109】
帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法は、抄紙機に設けられた帯状体を洗浄する帯状体洗浄部と、吸引力を発生させる吸引管、を有し、帯状体の洗浄により帯状体から除去された汚れを、帯状体の洗浄が行われている間に吸引する吸引部と、吸引管の周壁に設けられた接続口に接続された導入流路と、を備えた帯状体洗浄装置の吸引管洗浄方法であって、導入流路から吸引管に吸引管洗浄液を導入する。
【0110】
この構成によれば、導入流路から吸引管に吸引管洗浄液を導入することで、吸引管を手作業で洗浄することなく、吸引管に吸引された汚れを吸引管から除去することができる。したがって、吸引管を手作業で洗浄することなく、吸引管の吸引力を回復させることができる。
【符号の説明】
【0111】
1…抄紙機、41…カンバス、111…ヘッド洗浄部、115…測定部、133…カンバス洗浄部、135…吸引部、151…吸引ヘッド、155…吸引管、165…太管、167…細管、181…接続口、205…導入流路、211…第1制御弁、213…第2制御弁、235…制御部、237…第1接続口、239…第2接続口、241…第1導入流路、243…第2導入流路。
図1
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