(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068106
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】屋外放水装置
(51)【国際特許分類】
A62C 31/00 20060101AFI20220426BHJP
A62C 2/00 20060101ALI20220426BHJP
A62C 37/40 20060101ALI20220426BHJP
A62C 27/00 20060101ALI20220426BHJP
B64D 1/16 20060101ALI20220426BHJP
B64C 27/08 20060101ALI20220426BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20220426BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
A62C31/00
A62C2/00 A
A62C37/40
A62C27/00 507
B64D1/16
B64C27/08
B64C39/02
G08B17/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021157972
(22)【出願日】2021-09-28
(31)【優先権主張番号】P 2020176815
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】520412028
【氏名又は名称】田中 裕之
(71)【出願人】
【識別番号】520412039
【氏名又は名称】小林 和樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕之
(72)【発明者】
【氏名】小林 和樹
【テーマコード(参考)】
2E189
5G405
【Fターム(参考)】
2E189FA02
2E189FB03
2E189GA05
2E189KA07
2E189KC05
5G405AA01
5G405AB01
5G405AD04
5G405BA07
5G405CA19
5G405CA26
5G405CA29
5G405CA46
5G405DA07
(57)【要約】
【課題】火災の進捗に応じて効果的な放水冷却を行うことができる屋外放水装置を提供する。
【解決手段】屋外放水装置100は、建物の外に立設された給水管102と、給水管102の軸方向に離間して給水管102に配置され、給水管102を介して供給される水を外部に放水する第1放水部130aおよび第2放水部130bと、第1放水部130aを(i)給水管102の軸周りに回転させる、(ii)軸方向に沿って上下移動させる、および、(iii)第1放水部130aから放水される水量を調整する、の少なくとも1つを行う第1駆動部140aと、第2放水部130bを(i)給水管102の軸周りに回転させる、(ii)軸方向に沿って上下移動させる、および、(iii)第2放水部130bから放水される水量を調整する、の少なくとも1つを行う第2駆動部140bと、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bを制御する制御部120と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外に立設された給水管と、
前記給水管の軸方向に離間して前記給水管に配置され、前記給水管を介して供給される水をそれぞれの放水口から外部に放水する第1放水部および第2放水部と、
(i)前記第1放水部を前記給水管の軸周りに回転させる、(ii)前記第1放水部を前記軸方向に沿って上下移動させる、および、(iii)前記第1放水部の前記放水口から外部に放水される水量を調整する、の少なくとも1つを行う第1駆動部と、
(i)前記第2放水部を前記給水管の軸周りに回転させる、(ii)前記第2放水部を前記軸方向に沿って上下移動させる、および、(iii)前記第2放水部の前記放水口から外部に放水される水量を調整する、の少なくとも1つを行う第2駆動部と、
前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御する制御部と、
を備える、
屋外放水装置。
【請求項2】
前記第1放水部は、放水圧を相殺する位置に2つ以上の前記放水口を備え、
前記第2放水部は、放水圧を相殺する位置に2つ以上の前記放水口を備える、
請求項1に記載の屋外放水装置。
【請求項3】
給水ホースの先端に略T字に連結される給水管と、
前記給水管の軸方向の両端に配置され、かつ、前記給水管を介して供給される水をそれぞれの放水口から外部に放水する第1放水部および第2放水部と、
前記第1放水部の前記放水口から外部に放水される水量を調節する第1駆動部と、
前記第2放水部の前記放水口から外部に放水される水量を調節する第2駆動部と、
前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御する制御部と、
前記給水管に連結されるドローンと、
を備える、
屋外放水装置。
【請求項4】
さらに、前記ドローンの本体の頂部に設置され、前記ドローンに水を散布する散水部と、
前記給水管と前記散水部とを接続する接続部と、
を備え、
前記散水部は、前記接続部を介して前記給水管から水が供給されることにより、鉛直軸周りに回転しながら散水する、
請求項3に記載の屋外放水装置。
【請求項5】
前記屋外放水装置は、さらに、ネットワークを介して外部端末と通信する通信部を備え、
前記制御部は、前記通信部により取得された情報に基づいて、前記第1駆動部および前記第2駆動部の少なくともいずれかを制御する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の屋外放水装置。
【請求項6】
前記通信部は、前記外部端末から火災の進捗に関する情報を取得し、
前記制御部は、前記通信部により取得された前記火災の進捗に関する情報に基づいて、前記第1駆動部および前記第2駆動部の少なくともいずれかを制御する、
請求項5に記載の屋外放水装置。
【請求項7】
前記屋外放水装置は、さらに、温度、風向および風速の少なくとも1つをセンシングするセンサ部を備え、
前記制御部は、さらに、前記センサ部によりセンシングされたデータに基づいて、前記第1駆動部および前記第2駆動部の少なくともいずれかを制御する、
請求項5または6に記載の屋外放水装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記センサ部によりセンシングされたデータ、および、前記第1放水部および前記第2放水部のそれぞれの動作の制御に関する情報の少なくともいずれかを前記通信部を介して前記外部端末に出力する、
請求項7に記載の屋外放水装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記センサ部によりセンシングされたデータに基づいて、火災の発生を検知した場合、火災が発生したことを通知するための通知情報と前記データとを前記通信部を介して前記外部端末に出力する、
請求項7または8に記載の屋外放水装置。
【請求項10】
前記通信部は、さらに、前記外部端末から前記屋外放水装置の動作の指示に関する情報を取得し、
前記制御部は、前記通信部により取得された前記指示に関する情報に基づいて、前記センサ部、前記第1駆動部および前記第2駆動部の少なくとも1つを制御する、
請求項7~9のいずれか1項に記載の屋外放水装置。
【請求項11】
前記第1駆動部は、前記給水管から前記第1放水部の前記放水口に供給される水量を調整する第1水量調整部を備え、
前記第2駆動部は、前記給水管から前記第2放水部の前記放水口に供給される水量を調整する第2水量調整部を備え、
前記制御部は、前記第1駆動部および前記第2駆動部の制御において、前記第1水量調整部および前記第2水量調整部を制御することにより、前記第1放水部および前記第2放水部の前記放水口のそれぞれから放出される水量を調整する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の屋外放水装置。
【請求項12】
前記第1駆動部は、さらに、前記第1放水部の前記放水口を上下方向に傾動可能とする第1傾動調整部を備え、
前記第2駆動部は、さらに、前記第2放水部の前記放水口を上下方向に傾動可能とする第2傾動調整部を備え、
前記制御部は、さらに、前記第1傾動調整部および前記第2傾動調整部を制御することにより、前記第1放水部および前記第2放水部の前記放水口のそれぞれから放出される水の到達位置を調整する、
請求項1~11のいずれか1項に記載の屋外放水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物の外に設置される屋外放水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
木造建築物は、燃えやすく、近隣に火災が生じると、火の粉および輻射熱により類焼し易い。特に、木造建築物が密集する地域で火災が発生すると、火元の建物から風により飛散した火の粉または燃えさしが周辺の建物の屋根などに飛び火することにより、大規模な火災に発展する危険性が高い。そこで、建物からの火災発生時に延焼を防ぐために、および、近隣の火災から火の粉および輻射熱を防いで類焼を食い止めるために、ドレンチャー設備およびスプリンクラー設備などが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1は、建物から離れた屋根棟部の延長線側の高位置から噴射ノズルによって、屋根棟部の上方に向けて放水する屋根の放水装置を開示している。また、例えば、特許文献2は、建物の周囲(例えば、軒および壁面)および屋根などに噴霧範囲の一部が重なるように複数のウォーターミストノズルが配置された延焼防止用ウォーターミスト噴霧装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4551989号公報
【特許文献2】特開平11-004902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の放水装置は、噴射ノズルの位置が固定されているため、屋根全体に一様に放水することが困難である。また、特許文献1に記載の放水装置は、屋根への放水を対象としているため、建物の壁面に放水することができない。そのため、特許文献1に記載の放水装置では、火災の進捗(言い換えると、火災の経過状況または火災の進行状況)に応じて効果的な放水冷却を行うことができるとは言い難い。
【0006】
また、特許文献2に記載のウォーターミスト噴霧装置は、建物の周囲(例えば、軒および壁面)を放水冷却可能であるが、屋根全体に放水することが困難である。そのため、特許文献2に記載のウォーターミスト噴霧装置では、火災の進捗に応じて効果的な放水冷却を行うことができるとは言い難い。
【0007】
そこで、本開示では、火災の進捗に応じて効果的な放水冷却を行うことができる屋外放水装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本開示の一態様に係る屋外放水装置は、建物の外に立設された給水管と、前記給水管の軸方向に離間して前記給水管に配置され、前記給水管を介して供給される水をそれぞれの放水口から外部に放出する第1放水部および第2放水部と、(i)前記第1放水部を前記給水管の軸周りに回転させる、(ii)前記第1放水部を前記軸方向に沿って上下移動させる、および、(iii)前記第1放水部の前記放水口から外部に放水される水量を調整する、の少なくとも1つを行う第1駆動部と、(i)前記第2放水部を前記給水管の軸周りに回転させる、(ii)前記第2放水部を前記軸方向に沿って上下移動させる、および、(iii)前記第2放水部の前記放水口から外部に放水される水量を調整する、の少なくとも1つを行う第2駆動部と、前記第1駆動部および前記第2駆動部を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、火災の進捗に応じて効果的な放水冷却を行うことができる屋外放水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る屋外放水装置が適用される屋外放水システムの一例を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のII-II線における概略断面図である。
【
図3】
図3は、屋外放水装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る屋外放水装置の動作の第1例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る屋外放水装置の動作の第2例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、他の実施の形態に係る屋外放水装置が適用される屋外放水システムの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、他の実施の形態に係る屋外放水装置の構成の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示に至った知見)
日本には老朽化した木造建築物が密集している市街地が多くあり、そこで発生した火災は、周辺の建物を巻き込んだ大規模延焼火災に発展する危険性が高い。これを防止するために、ドレンチャー設備またはスプリンクラー設備などが用いられている。例えば、特許文献1には、建物から離れた屋根棟部の延長線側の高位置から噴射ノズルによって、屋根棟部の上方に向けて放水する放水装置が開示されている。また、例えば、特許文献2には、建物の周囲および屋根などに噴霧範囲の一部が重なるように複数のウォーターミストノズルが配置された延焼防止用ウォーターミスト噴霧装置が開示されている。
【0012】
また、建物には延焼に弱い部分があり、その部分は延焼の経過状況(言い換えると、延焼の進行状況、または、火災の進捗)によって変化する。延焼に弱い部分とは、延焼の経過状況において、火災の影響を受けやすい部分であり、例えば、建物の火災により発生する火の粉により延焼を受けやすい部分、および、隣家の火災の輻射により延焼を受けやすい部分である。そのため、延焼の経過状況において、建物の延焼に弱い部分から延焼が広がることを防ぐことは、さらなる延焼の拡大を引き起こす延焼経路を絶つことに繋がる。例えば、建物から火元が遠い段階では、延焼に弱い部分は屋根である。また、例えば、建物に火元が近づいた段階では、延焼に弱い部分は、軒および壁面(特に、ドアまたは窓などの開口部を有する部分)である。このように、延焼の進行状況(つまり、火災の進捗)に応じて延焼に弱い部分が異なるため、延焼の進行状況に応じて効果的な放水冷却を行う必要がある。
【0013】
例えば、建物から火元が遠い段階では、屋根への飛び火による延焼を防ぐ必要がある。さらに、建物の近隣(周辺)の建物の屋根への飛び火による延焼を防ぐことも、連鎖的な延焼の防止につながるため、重要である。
【0014】
屋根への飛び火による延焼を防ぐために、例えば、特許文献1に記載の放水装置のように、屋根に向けて放水することが効果的であると考えられている。しかしながら、特許文献1に記載の放水装置では、放水ノズルが1つであり、かつ、一点に固定されているため、屋根全体に一様に放水することが困難である。さらに、特許文献1に記載の放水装置では、建物の周囲の建物の屋根に放水することもできない。また、例えば、建物に火元が近づいた段階では、軒および壁面への輻射熱による延焼を防ぐ必要がある。さらに、延焼が建物の隣家に至った場合には、建物と隣家との間の空間への放水を行い輻射熱の低減を行うことも、輻射熱による建物への延焼を防ぐために重要である。
【0015】
軒および壁面への輻射熱による延焼を防ぐために、例えば、特許文献2に記載の噴霧装置のように、建物の周囲(軒および壁面)を取り囲むようにミスト状の水を噴霧することが効果的であると考えられている。しかしながら、特許文献2に記載の噴霧装置では、屋根全体に放水することが困難である。さらに、特許文献2に記載の噴霧装置では、建物と当該建物の隣家との間の空間にミスト状の水を噴霧することもできない。
【0016】
そこで、本願発明者らは、上記課題を鑑み鋭意検討した結果、建物の外(つまり、地面)に立設された給水管の軸方向に離間して、独立制御可能な2つ以上の放水部を配置することにより、延焼の進行状況に応じて効果的に放水冷却を行うことができることを見出した。具体的には、2つ以上の放水部は、それぞれ少なくとも1つの放水ノズルを備え、2つ以上の放水部のそれぞれの動作を独立して制御する。より具体的には、2つ以上の放水部は、それぞれ、給水管の軸方向に上下移動する(言い換えると、軸方向である上下方向に移動する)、軸周りに回転する(360度回転可能である)、および、放水ノズルからの放水量を調整する、の少なくとも1つの動作を行うように制御される。これにより、本開示に係る屋外放水装置は、火元が建物から遠い場合に、屋根全体を一様に放水冷却し、火元が建物に近づいた場合に、軒および壁面(特に、ドアおよび窓などの開口部)を重点的に放水冷却することができる。また、延焼が建物の隣家に至った場合には、建物と隣家との間の空間への放水を行い、建物が受ける輻射熱を低減することができる。さらに、火元となる隣家への放水を行い、火元の消火を行ってもよい。例えば、隣家の延焼が広がらないように隣家の延焼していない部分に放水してもよく、火災の炎に向けて放水してもよい。
【0017】
さらに、本開示に係る屋外放水装置は、例えばスマートフォン、または、消防の通信端末などの外部端末から延焼の進行状況に関する情報を取得し、取得された情報に基づいて、2つ以上の放水部の動作を制御してもよい。また、本開示に係る屋外放水装置は、例えば、センサ部を備え、風速などのセンシングデータを取得して、取得されたセンシング情報に基づいて、2つ以上の放水部の動作を制御してもよい。また、本開示に係る屋外放水装置は、外部端末からの遠隔操作によって、延焼の進行状況を応じて2つ以上の放水部の動作を制御してもよい。
【0018】
以上のように、本開示に係る屋外放水装置は、火災による延焼の進行状況(つまり、火災の進捗)に応じて、延焼に弱い部分、例えば、建物の屋根、軒先、軒裏、壁面(特に、開口部を含む部分)などを適切に放水冷却することができる。したがって、本開示によれば、火災の進捗に応じて効果的な放水冷却を行うことができる屋外放水装置を提供することができる。
【0019】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、請求の範囲を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図は、必ずしも厳密に図示したものではない。各図において、実質的に同一の構成については同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0020】
また、本開示において、平行及び垂直などの要素間の関係性を示す用語、及び、矩形などの要素の形状を示す用語、並びに、数値は、厳格な意味のみを表すのではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する。
【0021】
(実施の形態)
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0022】
[屋外放水システム]
まず、
図1を参照しながら、屋外放水システムについて説明する。
図1は、実施の形態に係る屋外放水装置100が適用される屋外放水システム300の一例を示す図である。
【0023】
図1に示されるように、屋外放水システム300は、例えば、屋外放水装置100と、外部端末200とを備える。屋外放水装置100と外部端末200とは、通信可能に接続されている。通信は、有線通信であってもよく、無線通信であってもよい。
【0024】
屋外放水システム300では、屋外放水装置100は、外部端末200から取得した情報、例えば、火災による延焼の進行状況(つまり、火災の進捗)に関する情報に基づいて、屋外放水装置100の2つ以上の放水部(例えば、第1放水部130a、第2放水部130b)のそれぞれの動作を決定し、2つ以上の放水部の動作を制御する。これにより、屋外放水システム300は、火災の進捗に応じて効果的に放水冷却を行うことができる。
【0025】
火災の進捗とは、例えば、火災による延焼の進行状況であり、屋外放水装置100が設置された位置から延焼している建物(つまり、火元)までの距離、延焼のスピード、および、延焼の範囲などにより表される。言い換えると、火災の進捗は、屋外放水装置100が設置された建物への火災の接近度合いであり、屋外放水装置100が設置された建物の延焼の危険度である。
【0026】
建物は、例えば、家屋、集合住宅、店舗、商業施設、事務所、オフィスビル、病院、倉庫、工場、研究施設、神社仏閣、教会などである。
【0027】
また、例えば、屋外放水システム300は、火災の進捗に関する情報に加え、センサ部150によりセンシングされたデータに基づいて、2つ以上の放水部のそれぞれの動作を決定してもよい。これにより、屋外放水システム300は、より適切な放水冷却を行うことができる。なお、火災の進捗に関する情報は、例えば、火災の進捗を示す情報に加え、火災の進捗に関連する情報も含まれる。火災の進捗を示す情報は、例えば、火災の火元の場所、火災による延焼が発生している地域、火災による延焼が進行している(言い換えると、広がっている)速度または方向などである。火災の進捗に関連する情報は、例えば、火災の消火活動に関する情報、延焼防止活動に関する情報、または、負傷者などの火災により発生した被害情報などである。
【0028】
以下、屋外放水システム300の各構成について説明する。
【0029】
[外部端末]
外部端末200は、屋外放水装置100に情報を出力する。当該情報は、例えば、外部端末200が取得した情報、または、外部端末200が取得した情報に基づいて導出した情報である。例えば、外部端末200は、屋外放水装置100の周辺で火災が発生した場合に、または、屋外放水装置100の周辺に延焼が広がる可能性がある場合に、火災の進捗に関する情報を屋外放水装置100に出力する。屋外放水装置100の周辺は、例えば、屋外放水装置100が設置された建物を含む1ブロックから数ブロックの範囲内であってもよい。また、延焼が広がる可能性があるとは、例えば、当該可能性が所定の確率値以上の場合である。所定の確率値は、1つ以上設定されてもよい。この場合、外部端末200は、例えば、設定された確率値が高くなるにつれて、出力する情報の種類を変更してもよい。外部端末200が出力する情報の種類は、予め設定されてもよいし、外部端末200のユーザが出力の際に適宜選択してもよい。
【0030】
外部端末200は、例えば、携帯端末、または、コンピュータ装置であってもよい。携帯端末は、例えば、
図1に示されるように、スマートフォン、または、タブレット端末などの汎用の携帯端末である。また、外部端末200には、屋外放水装置100を制御するためのアプリケーションプログラムがインストールされてもよい。これにより、ユーザは、外部端末200を操作することにより、屋外放水装置100を制御することができる。
【0031】
なお、外部端末200は、屋外放水装置100の専用リモコンであってもよい。専用リモコンは、ユーザが屋外放水装置100を制御するために操作する、赤外線リモートコントローラーである。
【0032】
なお、外部端末200は、サーバ装置であってもよい。外部端末200は、例えば、屋外放水システムを提供する企業のサーバ装置であってもよく、地域の消防本部のサーバ装置であってもよい。
【0033】
なお、
図1では、屋外放水システム300は、外部端末200を1つ備える例を示しているが、屋外放水システム300は、2つ以上の外部端末200を備えてもよい。
【0034】
[屋外放水装置]
続いて、屋外放水装置100について説明する。屋外放水装置100は、放水対象の建物(以下、単に、建物ともいう)の外に立設され、軸方向(ここでは、鉛直方向)に離間して配置された2つ以上の放水部の動作を個別に制御して建物に放水する。より具体的には、屋外放水装置100は、(i)2つ以上の放水部のそれぞれを軸周りに回転させる、(ii)2つ以上の放水部のそれぞれを軸方向に沿って上下移動させる、および、(iii)2つ以上の放水部のそれぞれの放水口から外部に放水される水量を調整する、の少なくとも1つの動作の制御を行う。以下では、屋外放水装置100が2つ以上の放水部のそれぞれの放水口から外部に水を放水することを、2つ以上の放水部から外部に放水するとも表現する。
【0035】
屋外放水装置100は、1つの建物に対して少なくとも1つ設置されるとよく、その設置数は特に限定されない。例えば、屋外放水装置100は、建物の四隅に1つずつ設置されてもよい。また、屋外放水装置100の設置数は、屋外放水装置100の周囲の環境に応じて適宜調整されてもよい。屋外放水装置100の周囲の環境は、例えば、建物および当該建物の周囲の建物の防火性能、建物と隣接する建物との距離、建物に面する道路の道幅、消防署からの距離、または、消火栓の有無などにより評価される。例えば、周囲の環境の評価は、火災が発生した際に、延焼が拡大しやすいか否かの観点で行われてもよい。例えば、周囲の環境の評価が低い(言い換えると、延焼が拡大しやすい環境である)場合、屋外放水装置100は建物の四隅に加え、建物の各側面に設置されてもよい。
【0036】
特に、伝統工法により建築された建物(より具体的には、1950年の建築基準法施行以前に伝統工法で建てられた、所謂、歴史的建築物)のうち、現行の基準を満たさないものは既存不適格建築物と呼ばれ、当該建物の増改築、大規模な修繕、または、用途の変更に制限が設けられている。しかしながら、近年、歴史的建築物の保全と積極的な利用および活用との観点から、自治体の条例によってこれらの建物(より具体的には、重要文化財および指定文化財に指定された建物や地域において歴史的価値のある建物)を建築基準法の適用対象から除外する動きがある。これにより、現行の防火基準を満たさない建物が今後も残存する可能性が高くなると考えられる。つまり、建築基準法適用除外の認定をうけた歴史的建築物は、当該認定を撤回される可能性が低いため、今後の建て替えが期待できない。したがって、屋外放水装置100の周囲に歴史的建築物が存在する場合、延焼が拡大しやすいか否かの観点において、その環境の評価は低くなる。つまり、歴史的建築物は、屋外放水装置100によって特に延焼の危険性を低減させる対象として考えられ得る。そのため、屋外放水装置100は、建築基準法適用除外認定を受けた歴史的建築物および今後その認定を受ける可能性を有する歴史的建築物に対して積極的に設置されるとよい。
【0037】
また、歴史的建造物は、歴史性の保全の観点から、例えば、特許文献1に記載の放水装置などを当該建築物の屋根などに設置することで、その伝統的意匠が損なわれてしまう可能性がある。しかしながら、屋外放水装置100によれば、建物ではなく地面へ設置するため、歴史的建造物の歴史性を保全しつつ、防火性を向上させることができる。
【0038】
なお、
図1には、屋外放水装置100が3つの放水部(第1放水部130a、第2放水部130b、第3放水部130c)を備える例を示しているが、屋外放水装置100は、少なくとも2つの放水部(例えば、第1放水部130a、第2放水部130b)を備えているとよい。屋外放水装置100が備える放水部の数は、建物の大きさおよび屋外放水装置100の周囲の環境に応じて適宜調整されてもよい。
【0039】
屋外放水装置100の高さは、例えば、放水対象の建物の種類および高さに応じて設定されてもよい。例えば、屋外放水装置100は、建物が一戸建ての家屋、事務所、商店、神社仏閣、工場、または、教会などである場合、屋根棟部よりも高くてもよく、また、建物がオフィスビル、商業施設、または、研究施設などのビルである場合、ビルの2階から3階に届く高さであってもよい。例えば、屋外放水装置100の高さは、8メートル以上10メートル以下である。また、各放水部(例えば、第1放水部130a、第2放水部130b、第3放水部130c)は、例えば、軸方向に沿って上下に1メートル移動可能であってもよく、この場合、各放水部の長さは、例えば、2メートル以上2.5メートル以下である。また、隣り合う2つの放水部の間には、各放水部を支持する支持部108が配置されてもよい。各支持部108は、例えば、各放水部が上下移動する長さと同じ長さの間隔を開けて配置される。また各支持部108の長さは、各放水部の上下移動を妨げない長さであればよく、各放水部が1メートル上下移動する場合、各支持部108の長さは、例えば、2メートル以上2.5メートル以下である。
【0040】
なお、上記の数値は一例であり、設計に応じて適宜調整されてもよい。
【0041】
以下、屋外放水装置100の各構成について説明する。屋外放水装置100は少なくとも2つの放水部を備えればよいため、以下では、第3放水部130cについて説明を省略し、第1放水部130aおよび第2放水部130bについて説明する。
【0042】
[1.構成]
続いて、
図2および
図3を参照しながら、屋外放水装置100の各構成について説明する。
図2は、
図1のII-II線における概略断面図である。
図3は、実施の形態に係る屋外放水装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0043】
図2および
図3に示されるように、屋外放水装置100は、建物の外に立設された給水管102と、給水管102の軸方向に離間して配置された第1放水部130aおよび第2放水部130bと、第1放水部130aを駆動する第1駆動部140aと、第2放水部130bを駆動する第2駆動部140bと、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bを制御する制御部120と、を備える。さらに、屋外放水装置100は、通信部110と、センサ部150と、記憶部160と、を備えてもよい。
【0044】
[給水管]
図1および
図2に示されるように、給水管102は、建物の外の地面に立設されており、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれに水を供給する第1供給部104aおよび第2供給部104bを備える。第1供給部104aおよび第2供給部104bは、それぞれ、伸縮可能な第1ホース部106aおよび第2ホース部106bを備える。第1供給部104aおよび第2供給部104bは、それぞれ、給水管102に連結されており、第1放水部130aおよび第2放水部130bの回転動作に応じて回転する。また、第1ホース部106aおよび第2ホース部106bは、第1放水部130aおよび第2放水部130bの軸方向における上下移動に応じて伸縮する。なお、給水管102は、上記の例に限られない。例えば、給水管102は、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作に応じて伸縮可能な第1ホース部106aおよび第2ホース部106bのみを備える構成であってもよい。
【0045】
なお、給水管102を介して放水部130に供給される水は、ポンプ(不図示)で加圧されてもよく、例えばコンプレッサー(不図示)などにより圧縮空気を給水管102内の水の周囲に吹き込むことにより加圧されてもよい。さらに、給水管102には、開放弁(不図示)が配置されてもよい。開放弁は、弁開度に応じて一次側圧力を減圧して二次側圧力の放水用水を放水部130へ供給して放水させてもよい。開放弁に対しては圧力調整弁(不図示)が設けられてもよい。圧力調整弁は、開放弁の二次側圧力となる放水部130からの放水圧力を放水位置までの距離(つまり、放水距離)に対応した所定の放水圧力に保つように、開放弁の二次側圧力を調整する機械的な自動調圧制御を行ってもよい。なお、圧力調整弁は、スプリング荷重に基づいて設定圧力を決定する圧力設定スプリングを備えてもよい。
【0046】
[放水部]
屋外放水装置100は、2つ以上の放水部130として、例えば、第1放水部130aおよび第2放水部130bを備える。第1放水部130aおよび第2放水部130bは、給水管102の軸方向に離間して給水管102に配置され、給水管102を介して供給される水をそれぞれの放水口(例えば、第1放水口132a、第2放水口132b)から外部に放出する。
【0047】
第1放水部130aおよび第2放水部130bは、それぞれ、放水口と、放水口が取り付けられる筒状の筐体と、を備えてもよい。例えば、
図2に示されるように、第1放水部130aは、第1放水口132aと、第1放水口132aが取り付けられる開口部136aを有する筒状の筐体134aと、を備える。また、第2放水部130bは、第2放水口132bと、第2放水口132bが取り付けられる開口部136bを有する筒状の筐体134bと、を備える。
【0048】
なお、
図2では、第1放水部130aおよび第2放水部130bは、それぞれ1つの放水口を備える例を示しているが、放水口は、各放水部に2つ以上備えられてもよい。この場合、2つ以上の放水口は、放水による圧力を相殺する位置に配置される。例えば、各放水部に2つの放水口が備えられる場合、2つの放水口は互いに180度対向する位置に配置される。また、例えば、各放水部に3つの放水口が備えられる場合、3つの放水口は、それぞれ、360度を3等分した角度、つまり、120度間隔で配置される。このように、各放水部が放水圧を相殺する位置に2つ以上の放水口を備えることにより、屋外放水装置100は、放水による圧力が相殺されて放水圧の影響を受けにくくなるため、より安定的に放水することができる。
【0049】
放水口は、例えば、ノズルであってもよく、この場合、第1放水口132aおよび第2放水口132bは、それぞれ、基部(例えば、
図2に示される湾曲部分)と、ノズル部、とを備えてもよい。例えば、第1放水口132aには、第1放水口132aの根元(例えば、ノズルの場合、ノズル部の根元)の給水管102側に第1水量調整部146aが設置されている。また、例えば、第1放水口132aには、基部の外表面(つまり給水管102側と反対側の表面)に接するように、第1傾動調整部148aが設置されている。ここでは、基部は、半球状である例を示しているが、第1傾動調整部148aが基部の外表面を押圧することにより第1放水口132aの向きを調整可能な形状であれば特に限定されない。例えば、基部は、円錐形状、多角錐形状、または、テーパー形状であってもよい。第2放水口132bも第1放水口132aと同様の構成を有する。なお、第1水量調整部146aおよび第1傾動調整部148aについては、後述する。
【0050】
第1放水部130aおよび第2放水部130bは、それぞれ、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bにより駆動される。例えば、第1放水部130aおよび第2放水部130bは、それぞれ、(i)給水管102の軸方向に上下移動する、(ii)軸周りに回転する、および、(iii)放水量を調整する、の少なくともいずれかの動作を行う。なお、(iii)の放水量の調整には、放水量をゼロとする調整を行うこと、つまり、放水しないことも含まれてもよい。また、第1放水部130aおよび第2放水部130bは、それぞれ、第1放水口132aおよび第2放水口132bを上下方向に傾動する動作を行ってもよい。
【0051】
なお、第1放水部130aおよび第2放水部130bは、上記の(i)~(iii)の少なくともいずれかの動作を行うことができる構造であればよく、
図1に示される例に限られない。例えば、第1放水部130aおよび第2放水部130bは、それぞれ、ドーナツ状であってもよい。この場合、ドーナツの穴部分を給水管102が貫通しており、ドーナツの表面に所定の間隔毎に配置された磁石と、筐体134aの内壁(給水管102側の壁面)に複数の電磁コイルが離散的に配置されている。そして、電流により所定の電磁コイルと磁石とを引き合わせる、または、反発させることにより、第1放水部130aは上記の(i)~(iii)の少なくともいずれかの動きを行ってもよい。
【0052】
[駆動部]
屋外放水装置100は、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれを駆動する駆動部140として、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bを備える。第1駆動部140aおよび第2駆動部140bは、制御部120により決定された動作を第1放水部130aおよび第2放水部130bが行うように、第1放水部130aおよび第2放水部130bを駆動する。
【0053】
第1駆動部140aは、例えば、第1放水部130aを給水管102の軸方向に上下移動させる少なくとも一対の第1昇降駆動部142aと、第1放水部130aを軸周りに回転させる少なくとも1つの第1回転駆動部144aと、給水管102から第1放水部130aの第1放水口132aに供給される水量を調整する第1水量調整部146aと、を備える。また、第1駆動部140aは、
図2に示されるように、第1放水口132aを上下方向に傾動可能とする少なくとも1つの第1傾動調整部148aを備えてもよい。
【0054】
また、第2駆動部140bは、例えば、第2放水部130bを給水管102の軸方向に上下移動させる少なくとも一対の第2昇降駆動部142bと、第2放水部130bを軸周りに回転させる少なくとも1つの第2回転駆動部144bと、給水管102から第2放水部130bの第2放水口132bに供給される水量を調整する第2水量調整部146bと、を備える。また、第2駆動部140bは、
図2に示されるように、第2放水口132bを上下方向に傾動可能とする少なくとも1つの第2傾動調整部148bを備えてもよい。
【0055】
第1昇降駆動部142aおよび第2昇降駆動部142bは、例えば、支持部108の内壁に設置され、油圧式ポンプにより昇降台を上下移動させることにより、第1放水部130aおよび第2放水部130bを給水管102の軸方向に上下移動させる。
【0056】
第1回転駆動部144aおよび第2回転駆動部144bは、例えば、電動モータを動力源とする電気式駆動部であり、電気の供給に応じて回転トルクを発生させることにより、第1放水部130aおよび第2放水部130bを給水管102の軸周りに回転させる。
【0057】
第1水量調整部146aおよび第2水量調整部146bは、例えば、電磁弁または絞りである。
【0058】
第1傾動調整部148aは、例えば、第1放水口132aが取り付けられた筐体134aの開口部136aに、第1放水口132aの湾曲面と重なるように設置される。第1傾動調整部148aは、例えば、筐体134aの開口部136aの一端から突出して設けられた軸部(不図示)と、軸部に篏合する溝部を有する羽板部(不図示)と、軸部を回転させる回転部(不図示)とを備えてもよい。回転部は、電気または油圧により発生するトルクにより回転してもよい。第1傾動調整部148aは、例えば、第1放水口132aの基部(
図3の湾曲部分)を羽板部で押圧することにより、第1放水口132aを上下方向に傾動可能とする。
【0059】
また、第2傾動調整部148bは、例えば、第2放水口132bが取り付けられた筐体134bの開口部136bに、第2放水口132bの湾曲面と重なるように設置される。第2傾動調整部148bも第1傾動調整部148aと同様の構成を有しており、第2放水口132bを上下方向に傾動可能とする。
【0060】
なお、上記の第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの構成は一例であって、上記の例に限定されない。
【0061】
[通信部]
通信部110は、屋外放水装置100が、外部端末200と通信を行うための通信モジュール(通信回線)である。通信部110は、例えば、ネットワークを介して外部端末200と通信する。また、ネットワークは、インターネット等の広域通信ネットワークであってもよく、局所通信ネットワークであってもよい。通信部110によって行われる通信は、例えば、無線通信であってもよく、有線通信であってもよい。通信に用いられる通信規格については特に限定されない。
【0062】
[制御部]
制御部120は、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの動作の制御を行うための情報処理を行う。より具体的には、制御部120は、第1放水部130aおよび第2放水部130bの動作を決定し、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれが決定された動作を行うように第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの動作を制御する。
【0063】
制御部120は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されてもよく、プロセッサまたは専用回路によって実現されてもよい。
【0064】
例えば、制御部120は、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれが(i)給水管102の軸方向に上下移動する、(ii)軸周りに回転する、および、(iii)放水量を調整する、の少なくともいずれかの動作を行うことを決定する。また、制御部120は、第1放水口132aおよび第2放水口132bのそれぞれが上下方向に傾動する動作を行うことを決定してもよい。
【0065】
例えば、制御部120は、外部端末200から火災の進捗に関する情報が取得すると、火災の進捗に関する情報に基づいて第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作を決定してもよい。制御部120は、さらに、センサ部150によりセンシングされた温度、風向および風速の少なくとも1つのデータに基づいて、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作を決定してもよい。温度は、例えば、屋外放水装置100の周囲の空間の温度、または、屋外放水装置100の周囲の建物(例えば、放水対象の建物または当該建物に隣接する建物)の表面温度であってもよい。
【0066】
また、例えば、制御部120は、センサ部150によりセンシングされたデータ、および、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作の制御に関する情報の少なくともいずれかを、通信部110を介して、外部端末200に出力してもよい。
【0067】
また、例えば、制御部120は、センサ部150によりセンシングされたデータに基づいて、屋外放水装置100の周囲で火災の発生を検知した場合、火災が発生したことを通知するための通知情報とセンサ部150によりセンシングされたデータとを、通信部110を介して外部端末200に出力してもよい。
【0068】
また、例えば、制御部120は、外部端末200から屋外放水装置100の動作の指示に関する情報を取得すると、当該指示に関する情報に基づいて、センサ部150、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくとも1つを制御してもよい。
【0069】
[センサ部]
センサ部150は、例えば、温度、風向および風速の少なくとも1つをセンシングするセンサを備える。例えば、
図1に示されるように、センサ部150は、屋外放水装置100の頂部に設置されてもよい。センサ部150は、例えば、外気温をセンシングするセンサ、屋外放水装置100の周囲の建物の表面温度をセンシングするセンサ、風向および風速をセンシングするセンサ、動画像もしくは静止画像を撮像するカメラ、または、空気中の微粒子(例えば、火災により発生した炭化物など)の濃度をセンシングするセンサなどを備えてもよい。
【0070】
センサ部150は、例えば、センシングしたデータを所定の間隔で制御部120に出力する。また、センサ部150は、制御部120からの動作に関する指示に従ってセンシングを行い、センシングにより得られたデータを制御部120に出力してもよい。
【0071】
[記憶部]
記憶部160は、制御部120が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部160は、半導体メモリ又はHDD(Hard Disk Drive)などによって実現される。
【0072】
[2.動作]
続いて、屋外放水装置100の動作について図面を参照しながら説明する。
【0073】
[第1例]
まず、屋外放水装置100の動作の第1例について説明する。
図4は、実施の形態に係る屋外放水装置100の動作の第1例を示すフローチャートである。
【0074】
図4に示されるように、屋外放水装置100は、外部端末200から火災に関する情報を取得したか否かを判定し(ステップS101)、当該情報を取得していないと判定した場合(ステップS101でNo)、処理を終了する。
【0075】
一方、制御部120は、外部端末200から火災の進捗に関する情報を取得したと判定した場合(ステップS101でYes)、センサ部150によりセンシングされたデータ(以下、センシングデータともいう)を取得したか否かを判定する(ステップS102)。制御部120は、センサ部150からセンシングデータを取得したと判定した場合(ステップS102でYes)、火災の進捗に関する情報およびセンシングデータに基づいて、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作を決定する(ステップS103)。より具体的には、ステップS103では、制御部120は、火災の進捗に関する情報およびセンシングデータに基づいて、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれが、(i)給水管102の軸方向に上下移動する、(ii)軸周りに回転する、および、(iii)第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの放水口(第1放水口132aおよび第2放水口132b)から外部に放水される水量(つまり、放水量)を調整する、の少なくともいずれかの動作を行うことを決定する。なお、(iii)の放水量を調整する動作は、放水量をゼロとする調整も含まれる。
【0076】
例えば、火災の進捗に関する情報が屋外放水装置100から火元が遠い(例えば、数ブロック離れている)ことを示す場合、かつ、センシングデータに示される風速が所定値以上である場合、制御部120は、屋根全体に放水されるように、例えば、第1放水部130aの第1放水口132aからの放水量を最大値に調整し、第1放水部130aが移動可能な最上位置に移動するように第1放水部130aの動作を決定する。さらに、制御部120は、上記の(i)~(iii)の少なくともいずれかの動作に加え、第1放水口132aの上下方向の傾きを調整するように第1放水部130aの動作を決定してもよい。
【0077】
また、例えば、火災の進捗に関する情報が屋外放水装置100から火元が近い(例えば、火元が建物から数軒以内にある)場合、かつ、センシングデータに示される風速が所定の閾値以上である場合、制御部120は、例えば、屋外放水装置100が外に設置されている建物と当該建物の隣の建物との間の空間に満遍なく放水されるように、第2放水部130bを軸方向に回転させ、第2放水部130bの位置を上下方向に所定の速度で往復移動させ、第2放水口132bからの放水量を最大値に調整するように第2放水部130bの動作を決定する。さらに、制御部120は、上記の(i)~(iii)の少なくともいずれかの動作に加え、第2放水口132bの上下方向の傾きを調整するように第2放水部130bの動作を決定してもよい。
【0078】
次いで、制御部120は、第1放水部130aおよび第2放水部130bがステップS103で決定された動作を行うように、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bを制御する(ステップS105)。例えば、制御部120は、ステップS103において、第1放水部130aおよび第2放水部130bの少なくともいずれかの動作が決定された場合、ステップS103で決定された動作を行うように、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくともいずれかを制御する。
【0079】
図2を再び参照しながら説明すると、ステップS105では、例えば、第1放水部130aを上方向に移動させる場合、制御部120は、第1駆動部140aの第1昇降駆動部142aを制御して、第1放水部130aの筐体134aを上方向に押し上げる。また、例えば、第1放水部130aを給水管102の軸方向に回転させる場合、制御部120は、第1駆動部140aの第1回転駆動部144aを制御して、筐体134aを回転させる。また、例えば、第1放水部130aからの放水量を調整する場合、制御部120は、第1駆動部140aの第1水量調整部146aを制御して、第1供給部104aから第1放水口132aに供給される水量を調整する。また、例えば、第1放水部130aの第1放水口132aの上下方向の傾きを調整する場合、制御部120は、第1駆動部140aの第1傾動調整部148aを制御して、第1放水口132aの上下方向の傾きを調整する。
【0080】
一方、制御部120は、センサ部150からセンシングデータを取得していないと判定した場合(ステップS102でNo)、火災の進捗に関する情報に基づいて、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作を決定する(ステップS104)。
【0081】
例えば、火災の進捗に関する情報が屋外放水装置100から火元が遠い(例えば、数ブロック離れている)ことを示す場合、制御部120は、屋根全体に放水されるように、例えば、第1放水部130aの第1放水口132aからの放水量を所定値(例えば、最大値の2/3)に調整し、第1放水部130aが上下方向に移動可能な最上位置に移動するように第1放水部130aの動作を決定する。さらに、制御部120は、上記の(i)~(iii)の少なくともいずれかの動作に加え、第1放水口132aの上下方向の傾きを調整するように第1放水部130aの動作を決定してもよい。
【0082】
また、例えば、火災の進捗に関する情報が屋外放水装置100から火元が近い(例えば、火元が建物から数軒以内にある)場合、制御部120は、屋外放水装置100が外に設置されている建物と当該建物の隣の建物との間の空間に放水されるように、第2放水部130bを軸方向に回転させ、第2放水部130bが建物の軒先の延長線側の位置に移動するように第2放水部130bを軸方向に沿って上方向に移動させ、第2放水口132bからの放水量を所定の値(例えば、最大値の2/3)に調整するように第2放水部130bの動作を決定する。さらに、制御部120は、上記の(i)~(iii)の少なくともいずれかの動作に加え、第2放水口132bの上下方向の傾きを調整するように第2放水部130bの動作を決定してもよい。
【0083】
次いで、制御部120は、第1放水部130aおよび第2放水部130bがステップS104で決定された動作を行うように、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bを制御する(ステップS105)。
【0084】
以上のように、屋外放水装置100は、屋外放水装置100から火元が遠い場合には、家屋の屋根を効果的に放水冷却することができるため、飛び火による延焼を防ぐ可能性が高くなる。また、屋外放水装置100は、屋外放水装置100から火元が近い場合には、建物の軒先、軒裏、壁面および隣の建物との空間を効果的に放水冷却することができるため、複写熱による延焼を防ぐことが可能となる。したがって、屋外放水装置100は、火災の進捗に応じて効果的な放水冷却を行うことができる。
【0085】
なお、制御部120がセンシングデータを取得していない場合、ステップS104またはステップS105の処理の途中でセンシングデータを取得すると、取得されたセンシングデータに基づいて第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作を変更してもよい。
【0086】
なお、ステップS103およびステップS104では、制御部120が、屋外放水装置100から火元が遠い場合に第1放水部130aの動作を決定し、屋外放水装置100から火元が近い場合に第2放水部130bの動作を決定する例を示したが、それぞれの場合において、制御部120は、第1放水部130aおよび第2放水部130bの両方の動作を決定してもよい。
【0087】
[第1例の変形例]
第1例の変形例では、制御部120は、ステップS105の処理の後に、センサ部150によりセンシングされたデータ(いわゆる、センシングデータ)、および、第1放水部130aおよび第2放水部130bの動作の制御に関する情報の少なくともいずれかを、外部端末200に出力してもよい。
【0088】
次いで、制御部120は、外部端末200から屋外放水装置の動作の指示に関する情報を取得すると、当該指示に関する情報に基づいて、センサ部150、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくともいずれかを制御してもよい。
【0089】
なお、屋外放水装置100の動作の指示に関する情報がセンサ部150の動作に関する指示である場合、制御部120は、当該指示に従ってセンサ部150の動作を制御し、センシングデータを外部端末200に出力してもよい。次いで、制御部120は、外部端末200から第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの動作の指示に関する情報を取得すると、取得された指示に基づいて、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bを制御してもよい。
【0090】
なお、屋外放水装置100の動作の指示に関する情報がセンサ部150、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの動作を制御する指示である場合、制御部120は、当該指示に従ってセンサ部150の動作を制御し、得られたセンシングデータに基づいて、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくともいずれかを制御してもよい。また、制御部120は、当該指示に従って第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくともいずれかを制御すると共に、センサ部150を制御してもよい。この場合、制御部120は、センシングデータに基づいて、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの制御を変更してもよい。次いで、制御部120は、センシングデータと、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの制御の変更に関する情報とを外部端末200に出力してもよい。
【0091】
なお、屋外放水装置100の動作の指示に関する情報が第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくともいずれかの動作を制御する指示である場合、制御部120は、当該指示に従って第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくともいずれかを制御する。
【0092】
[第2例]
続いて、屋外放水装置100の動作の第2例について説明する。
図5は、実施の形態に係る屋外放水装置100の動作の第2例を示すフローチャートである。
【0093】
第1例および第1例の変形例では、屋外放水装置100は、外部端末200から火災の進捗に関する情報を取得した場合の動作の例を説明したが、第2例では、センシングデータに基づいて火災の発生を検知した場合の動作の例について説明する。
【0094】
図5に示されるように、制御部120は、センサ部150によりセンシングデータを取得すると(ステップS201)、センシングデータに基づいて、屋外放水装置100の周囲(例えば、放水対象の建物またはそれに隣接する建物など)で火災が発生しているか否かを判定する(ステップS202)。制御部120は、屋外放水装置100の周囲で火災が発生していないと判定した場合(ステップS202でNo)、処理を終了する。
【0095】
一方、制御部120は、センシングデータに基づいて屋外放水装置100の周囲で火災が発生していると判定した場合(ステップS202でYes)、外部端末200に、屋外放水装置100の周囲で火災が発生していることを通知するための通知情報(火災発生の通知ともいう)と、センシングデータとを出力する(ステップS203)。
【0096】
次いで、制御部120は、外部端末200から屋外放水装置100の動作の指示に関する情報を取得したか否かを判定する(ステップS204)。制御部120は、外部端末200から屋外放水装置100の動作の指示に関する情報を取得したと判定した場合(ステップS204でYes)、当該動作の指示に関する情報に基づいて、センサ部150、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくとも1つを制御する(ステップS205)。
【0097】
一方、制御部120は、外部端末200から屋外放水装置100の動作の指示に関する情報を取得していないと判定すると(ステップS204でNo)、センシングデータに基づいて第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作を決定する(ステップS206)。
【0098】
次いで、制御部120は、第1放水部130aおよび第2放水部130bがステップS206で決定された動作を行うように第1駆動部140aおよび第2駆動部140bを制御する(ステップS207)。ステップS207の処理においても、ステップS105の処理と同様に、例えば、制御部120が第1放水部130aおよび第2放水部130bの少なくともいずれかの動作を決定した場合、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくともいずれかを制御する。
【0099】
次いで、制御部120は、ステップS204の処理に戻る。
【0100】
制御部120は、外部端末200から屋外放水装置100の動作の制御を終了する指示を取得するまで、上記の処理フローを繰り替えしてもよい。
【0101】
なお、ステップS205において、屋外放水装置100の動作の指示に関する情報がセンサ部150の動作に関する指示である場合、センサ部150、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくともいずれかの動作を制御する指示である場合、または、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくともいずれかの動作を制御する指示である場合、制御部120は、第1例の変形例の尚書きと同様の動作を行ってもよい。
【0102】
[4.効果等]
以上説明したように、屋外放水装置100は、建物の外に立設された給水管102と、給水管102の軸方向に離間して給水管102に配置され、給水管102を介して供給される水をそれぞれの放水口(例えば、第1放水口132a、第2放水口132b)から外部に放出する第1放水部130aおよび第2放水部130bと、(i)第1放水部130aを給水管102の軸周りに回転させる、(ii)第1放水部130aを給水管102の軸方向に沿って上下移動させる、および、(iii)第1放水部130aの放水口(第1放水口132a)から外部に放水される水量を調整する、の少なくとも1つを行う第1駆動部140aと、(i)第2放水部130bを給水管102の軸周りに回転させる、(ii)第2放水部130bを軸方向に沿って上下移動させる、および、(iii)第2放水部130bの放水口(第2放水口132b)から外部に放水される水量を調整する、の少なくとも1つを行う第2駆動部140bと、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bを制御する制御部120と、を備える。
【0103】
このような屋外放水装置100は、第1放水部130aおよび第2放水部130bの動きを個別に制御することができるため、火災の進捗に応じて効果的な放水冷却を行うことができる。
【0104】
例えば、屋外放水装置100は、さらに、ネットワークを介して外部端末200と通信する通信部110を備え、制御部120は、通信部110により取得された情報に基づいて、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくともいずれかを制御してもよい。
【0105】
このような屋外放水装置100は、外部端末200から取得した情報に基づいて第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作を決定するため、火災の進捗に応じてより効果的に放水冷却を行うことができる。
【0106】
例えば、屋外放水装置100では、通信部110は、外部端末200から火災の進捗に関する情報を取得し、制御部120は、通信部110により取得された火災の進捗に関する情報に基づいて、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作を決定し、第1放水部130aおよび第2放水部130bがそれぞれ決定された動作を行うように第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくともいずれかを制御してもよい。
【0107】
このような屋外放水装置100は、火災の進捗に関する情報に基づいて第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作を決定するため、火災の進捗に応じてより効果的に放水冷却を行うことができる。
【0108】
例えば、屋外放水装置100は、さらに、温度、風向および風速の少なくとも1つをセンシングするセンサ部150を備え、制御部120は、さらに、センサ部150によりセンシングされたデータに基づいて、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作を決定し、第1放水部130aおよび第2放水部130bがそれぞれ決定された動作を行うように、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくともいずれかを制御してもよい。
【0109】
このような屋外放水装置100は、さらに、センサ部150によりセンシングされた風速などのデータに基づいて第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作を決定するため、適切に放水冷却を行うことができる。
【0110】
例えば、屋外放水装置100では、制御部120は、センサ部150によりセンシングされたデータ、および、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの動作の制御に関する情報の少なくともいずれかを通信部110を介して外部端末200に出力してもよい。
【0111】
このような屋外放水装置100は、外部端末200にセンシングデータおよび制御に関する情報の少なくともいずれかを出力するため、ユーザは、屋外放水装置100の周囲における延焼の進行状況および屋外放水装置100の動作状況を把握することができる。
【0112】
例えば、屋外放水装置100では、制御部120は、センサ部150によりセンシングされたデータに基づいて、火災の発生を検知した場合、火災が発生したことを通知するための通知情報とデータとを通信部110を介して外部端末200に出力してもよい。
【0113】
このような屋外放水装置100は、屋外放水装置100の周囲で火災が発生したことを検知した場合に、外部端末200に火災が発生したことを通知するとともに、センシングデータを出力するため、ユーザは、火災の発生状況を迅速に把握することができる。
【0114】
例えば、屋外放水装置100では、通信部110は、さらに、外部端末200から屋外放水装置100の動作の指示に関する情報を取得し、制御部120は、通信部110により取得された指示に関する情報に基づいて、センサ部150、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの少なくとも1つを制御してもよい。
【0115】
このような屋外放水装置100は、処理量が低減されるため、より高度な処理を行うことができる。
【0116】
例えば、屋外放水装置100では、第1駆動部140aは、給水管102から第1放水部130aの放水口(第1放水口132a)に供給される水量を調整する第1水量調整部146aを備え、第2駆動部140bは、給水管102から第2放水部130bの放水口(第2放水口132b)に供給される水量を調整する第2水量調整部146bを備え、制御部120は、第1駆動部140aおよび第2駆動部140bの制御において、第1水量調整部146aおよび第2水量調整部146bを制御することにより、第1放水部130aおよび第2放水部130bの放水口(第1放水口132aおよび第2放水口132b)のそれぞれから放出される水量を調整してもよい。
【0117】
このような屋外放水装置100は、第1放水部130aおよび第2放水部130bのそれぞれの放水口から外部に放水される水量を調整することができるため、火災の進捗に応じて効果的な放水冷却を行うことができる。
【0118】
例えば、屋外放水装置100では、第1駆動部140aは、さらに、第1放水部130aの放水口(第1放水口132a)を上下方向に傾動可能とする第1傾動調整部148aを備え、第2駆動部140bは、さらに、第2放水部130bの放水口(第2放水口132b)を上下方向に傾動可能とする第2傾動調整部148bを備え、制御部120は、さらに、第1傾動調整部148aおよび第2傾動調整部148bを制御することにより、第1放水部130aおよび第2放水部130bの放水口(第1放水口132aおよび第2放水口132b)のそれぞれから放出される水の到達位置を調整してもよい。
【0119】
このような屋外放水装置100は、第1放水部130aおよび第2放水部130bの放水口(第1放水口132aおよび第2放水口132b)のそれぞれの上下方向の傾き、つまり仰角を個別に調整することができるため、火災の進捗に応じてより効果的な放水冷却を行うことができる。
【0120】
(他の実施の形態)
続いて、他の実施の形態について説明する。
図6は、他の実施の形態に係る屋外放水装置100aが適用される屋外放水システム300aの一例を示す図である。
図7は、他の実施の形態に係る屋外放水装置100aの構成の一例を説明するための図である。以下では、実施の形態と異なる点を中心に説明し、重複する内容については説明を省略又は簡略化する。
【0121】
他の実施の形態における屋外放水システム300aは、屋外放水装置100に代わり、屋外放水装置100aを備える点で実施の形態における屋外放水システム300(
図1参照)と異なる。屋外放水装置100aと外部端末200とは、通信可能に接続されている。通信は、無線通信である。
【0122】
屋外放水システム300aでは、屋外放水装置100aは、外部端末200から取得した情報、例えば、火災の進捗に関する情報に基づいて、屋外放水装置100aの第1放水部130aおよび第2放水部のそれぞれの動作を決定し、それらの放水部の動作を制御する。これにより、屋外放水システム300aは、火災の進捗に応じて効果的に放水冷却を行うことができる。
【0123】
外部端末200には、屋外放水装置100aを制御するためのアプリケーションプログラムがインストールされてもよい。これにより、ユーザは、外部端末200を操作することにより、屋外放水装置100aを制御することができる。なお、屋外放水システム300aは、2つ以上の外部端末200を備えてもよい。外部端末200については、実施の形態で説明した内容と同じであるため、ここでの説明を省略する。
【0124】
他の実施の形態に係る屋外放水装置100aは、給水タンクから伸びる給水ホース103の先端に略T字に連結される給水管102aと、給水管102aと連結されるドローン180とを備える点で、実施の形態に係る屋外放水装置100と異なる。
図6では、給水タンクは、車両に設置されているが、この例に限られず、例えば、地上に設置されてもよく、地下に設置されてもよく、車両の荷台に載置されてもよい。給水タンクから給水ホース103に供給される水は、ポンプ(不図示)で加圧されてもよく、例えばコンプレッサー(不図示)などにより圧縮空気を給水タンク内の水の周囲に吹き込むことにより加圧されてもよい。屋外放水装置100aは、例えば、ドローン180が水平方向に回転することにより、給水管102aを水平方向に回転させる。なお、
図6の例では、屋外放水システム300aは、屋外放水装置100aを1つ備える例を示しているが、2つ以上の屋外放水装置100aを備えてもよい。
【0125】
図7に示されるように、屋外放水装置100aは、給水ホース103の先端に略T字に連結される給水管102aと、給水管102aの軸方向の両端に配置され、かつ、給水管102aを介して供給される水をそれぞれの放水口から外部に放水する第1放水部131aおよび第2放水部131bと、第1放水部131aの放水口(例えば、第一放水口132a)から外部に放水される水量を調節する第1駆動部141aと、第2放水部131bの放水口(例えば、第二放水口132b)から外部に放水される水量を調節する第2駆動部141bと、第1駆動部141aおよび第2駆動部141bを制御する制御部120と、給水管102aに連結されるドローン180と、を備える。
【0126】
なお、
図7では図示を省略しているが、屋外放水装置100aは、屋外放水装置100(
図3参照)と同様に、さらに、通信部110と、温度、風向および風速の少なくとも1つをセンシングするセンサ部150と、記憶部160とを備えてもよい。通信部110、制御部120、センサ部150及び記憶部160については実施の形態で説明した内容と同じであるため、ここでの説明を省略する。
【0127】
第1放水部131aおよび第2放水部131bの間には、各放水部を支持する支持部109が配置されてもよい。給水管102aは、第1放水部131aおよび第2放水部131bのそれぞれに水を供給する第1供給部105aおよび第2供給部105bを備える。第1供給部105aおよび第2供給部105bは、それぞれ、伸縮可能な第1ホース部107aおよび第2ホース部107bを備える。第1供給部105aおよび第2供給部105bは、それぞれ、給水管102aに連結されている。例えば、第1放水部131aおよび第2放水部131bが給水管102aの軸方向に沿って前後移動する場合、第1供給部105aおよび第2供給部105bは、第1放水部131aおよび第2放水部131bの動作に応じて前後移動してもよい。第1供給部105aおよび第2供給部105bを前後移動させる機構は、設計に応じて適宜選択されればよく、特に限定されない。なお、給水管102aは、上記の例に限られない。
【0128】
第1放水部131aおよび第2放水部131bは、それぞれ、放水口と、放水口が取り付けられる筒状の筐体と、を備えてもよい。例えば、
図7の吹き出し部分に示されるように、第1放水部131aは、第1放水口132aと、第1放水口132aが取り付けられる開口部を有する筒状の筐体135aと、を備える。また、第2放水部131bは、第2放水口132bと、第2放水口132bが取り付けられる開口部を有する筒状の筐体135bと、を備える。第1放水口131aおよび第2放水口131bについては、実施の形態に係る屋外放水装置100の放水口と同様であるので、ここでの説明を省略する。なお、第1水量調整部146a、第2水量調整部146b、第1傾動調整部148aおよび第2傾動調整部148bについても実施の形態で説明した内容と同様である。
【0129】
屋外放水装置100aは、第1放水部131aおよび第2放水部131bのそれぞれを駆動する駆動部として、第1駆動部141aおよび第2駆動部141bを備える。第1駆動部141aおよび第2駆動部141bは、制御部120により決定された動作を第1放水部131aおよび第2放水部131bが行うように、第1放水部131aおよび第2放水部131bを駆動する。
【0130】
第1駆動部141aは、例えば、給水管102aから第1放水部131aの第1放水口132aに供給される水量を調整する第1水量調整部146aと、第1放水口132aを上下方向に傾動可能とする少なくとも1つの第1傾動調整部148aとを備えてもよい。また、第2駆動部141bは、例えば、給水管102aから第2放水部131bの第2放水口132bに供給される水量を調整する第2水量調整部146bと、第2放水口132bを上下方向に傾動可能とする少なくとも1つの第2傾動調整部148bとを備えてもよい。これにより、屋外放水装置100aは、各放水口(第1放水口132a、第2放水口132b)から外部に放水される水量の調整と、各放水口の上下方向の傾き、つまり仰角の調整とを個別に行うことができるため、火災の進捗に応じてより効果的な放水冷却を行うことができる。
【0131】
なお、第1水量調整部146a、第2水量調整部146b、第1傾動調整部148aおよび第2傾動調整部148bについては、実施の形態で説明した内容と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0132】
なお、屋外放水装置100aは、さらに、ドローン180の本体の頂部に設置され、ドローン180に水を散布する散水部170と、給水管102aと散水部170とを接続する接続部103aとを備えてもよい。散水部170は、接続部103aを介して給水管102aから水が供給されることにより、鉛直軸周りに回転しながら散水口172から水を散水する。これにより、屋外放水装置100aは、ドローン180の本体に水膜を形成することができるため、火災の炎および熱からドローン180の本体を保護することができる。
【0133】
以上のように、他の実施の形態に係る屋外放水装置100aによれば、第1放水部131aおよび第2放水部131bの動きを個別に制御することができるため、火災の進捗に応じて効果的な放水冷却を行うことができる。
【0134】
なお、他の実施の形態に係る屋外放水装置100aでは、給水タンクから伸びる給水ホース103の先端に略T字に連結される給水管102aを備える例を示したが、この例に限られない。例えば、屋外放水装置100aは、略T字に連結される給水管102aを2つ以上備えてもよい。この場合、各給水管102aの両端に設けられた各放水口からの放水圧を相殺されるように2つ以上の放水管102aを備えてもよい。具体的には、各放水口は、360度を放水口の個数で除した角度毎に配置される。
【0135】
以上、実施の形態に係る屋外放水装置について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本開示の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本開示の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本開示に含まれる。
【0136】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0137】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0138】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0139】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0140】
例えば、本開示は、屋外放水方法として実現されてもよいし、屋外放水方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよいし、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本開示によれば、火災の進捗に応じて効果的な放水冷却を行うことができるため、市街地、住宅地、学校、商業施設、または、神社仏閣などの文化財など様々な場所において利用可能である。
【符号の説明】
【0142】
100、100a 屋外放水装置
102、102a 給水管
103 給水ホース
104a、105a 第1供給部
104b、105b 第2供給部
106a、107a 第1ホース部
106b、107a 第2ホース部
108、109 支持部
110 通信部
120 制御部
130 放水部
130a、131a 第1放水部
130b、131b 第2放水部
130c 第3放水部
132a 第1放水口
132b 第2放水口
134a、134b、135a、135b 筐体
136a、136b 開口部
140 駆動部
140a、141a 第1駆動部
140b、141b 第2駆動部
142a 第1昇降駆動部
142b 第2昇降駆動部
144a 第1回転駆動部
144b 第2回転駆動部
146a 第1水量調整部
146b 第2水量調整部
148a 第1傾動調整部
148b 第2傾動調整部
150 センサ部
160 記憶部
180 ドローン
200 外部端末
300 屋外放水システム