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▶ アセンディス ファーマ ボーン ディジージズ エー/エスの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068210
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】PTHプロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/29 20060101AFI20220426BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220426BHJP
   A61K 47/56 20170101ALI20220426BHJP
   A61K 47/58 20170101ALI20220426BHJP
   A61K 47/59 20170101ALI20220426BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20220426BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20220426BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20220426BHJP
   A61P 5/18 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 23/02 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 17/14 20060101ALI20220426BHJP
   A61P 7/04 20060101ALI20220426BHJP
   C07K 14/635 20060101ALI20220426BHJP
【FI】
A61K38/29 ZNA
A61K47/54
A61K47/56
A61K47/58
A61K47/59
A61K47/60
A61K47/61
A61K47/64
A61P5/18
A61P7/00
A61P19/10
A61P19/08
A61P19/02
A61P29/00
A61P25/00
A61P23/02
A61P29/00 101
A61P35/00
A61P1/02
A61P17/14
A61P7/04
C07K14/635
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022015332
(22)【出願日】2022-02-03
(62)【分割の表示】P 2018546586の分割
【原出願日】2017-02-28
(31)【優先権主張番号】16158048.5
(32)【優先日】2016-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16179294.0
(32)【優先日】2016-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16191484.1
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】17155839.8
(32)【優先日】2017-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】518310145
【氏名又は名称】アセンディス ファーマ ボーン ディジージズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スプローエ,ケネット
(72)【発明者】
【氏名】クレーマン,フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】マイトロ,ギラウメ
(72)【発明者】
【氏名】クルシュ,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッケ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ゼットラー,ヨアヒム
(57)【要約】      (修正有)
【課題】PTHプロドラッグ、そのようなPTHプロドラッグを含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】式(Ia)又は(Ib)

(式中、-Dは、PTH部分構造であり、-L1-は、PTHの官能基によってPTH部分構造-Dと連結されている可逆的プロドラッグリンカー部分構造であり、-L2-は、単一の化学結合又はスペーサー部分構造であり、-Zは、水溶性担体部分構造であり、xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15及び16からなる群から選択される整数であり、yは、1、2、3、4及び5からなる群から選択される整数である)を有するPTHコンジュゲート、又はその医薬的に許容される塩を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)又は(Ib)
【化1】
(式中、
-Dは、PTH部分構造であり、
-L1-は、PTHの官能基によってPTH部分構造-Dと連結されている可逆的プロドラッグリンカー部分構造であり、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサー部分構造であり、
-Zは、水溶性担体部分構造であり、
xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16からなる群から選択される整数であり、
yは、1、2、3、4及び5からなる群から選択される整数である)
を有するPTHプロドラッグ、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
コンジュゲートD-L
(式中、
-Dは、PTH部分構造であり、
-Lは、可逆的プロドラッグリンカー部分構造-L1-を含み、該部分構造-L1-は、PTHの官能基によってPTH部分構造-Dと連結されており、
-L1-は、-L2-Z'で置換されており、場合によりさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサー部分構造であり、
-Z'は、水不溶性担体部分構造である)
を含む、PTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
部分構造-L1-が、-Dのアミノ酸残基の側鎖の官能基に、-DのN末端アミン官能基若しくはC末端カルボキシル官能基に、又は-Dの骨格ポリペプチド鎖中の窒素原子にコンジュゲートしている、請求項1又は2に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
-L1-が、-DのN末端アミン官能基にコンジュゲートしている、請求項1~3のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
-Dが、配列番号51の配列を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
部分構造-L1-が、式(II)
【化2】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dの窒素、ヒドロキシル又はチオールへの結合を示し、
-X-は、-C(R4R4a)-、-N(R4)-、-O-、-C(R4R4a)-C(R5R5a)-、-C(R5R5a)-C(R4R4a)-、-C(R4R4a)-N(R6)-、-N(R6)-C(R4R4a)-、-C(R4R4a)-O-、-O-C(R4R4a)-、又は-C(R7R7a)-であり、
X1は、C、又はS(O)であり、
-X2-は、-C(R8R8a)-、又は-C(R8R8a)-C(R9R9a)-であり、
=X3は、=O、=S、又は=N-CNであり、
-R1、-R1a、-R2、-R2a、-R4、-R4a、-R5、-R5a、-R6、-R8、-R8a、-R9、-R9aは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
-R3、-R3aは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、但し-R3、-R3aの一方又は両方が-H以外である場合、それらは、それらが結合しているNに、SP3混成炭素原子によって連結され、
-R7は、-N(R10R10a)、又は-NR10-(C=O)-R11であり、
-R7a、-R10、-R10a、-R11は、互いに独立して、-H、又はC1-6アルキルであり、
場合により、ペア-R1a/-R4a、-R1a/-R5a、-R1a/-R7a、-R4a/-R5a、-R8a/-R9aのうちの1つ以上は、化学結合を形成し、
場合により、ペア-R1/-R1a、-R2/-R2a、-R4/-R4a、-R5/-R5a、-R8/-R8a、-R9/-R9aのうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成し、
場合により、ペア-R1/-R4、-R1/-R5、-R1/-R6、-R1/-R7a、-R4/-R5、-R4/-R6、-R8/-R9、-R2/-R3のうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成し、
場合により、R3/R3aは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3~10員複素環を形成し、
Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択される)を有し、
-L1-が、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、-L1-がさらに置換されており、但し式(II)中のアスタリスクが付いている水素は、-L2-Z又は-L2-Z'又は置換基によって置き換えられず、
-L2-が、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zが、水溶性担体であり、
-Z'が、水不溶性担体である、請求項1~5のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
-L2-が、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-;-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aが、互いに独立して、-H、-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルが、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry4)-、-S(O)2N(Ry4)-、-S(O)N(Ry4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry4)S(O)2N(Ry4a)-、-S-、-N(Ry4)-、-OC(ORy4)(Ry4a)-、-N(Ry4)C(O)N(Ry4a)-、及び-OC(O)N(Ry4)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tが、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、各Tが、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、
各Ry2が、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORy5、-ORy5、-C(O)Ry5、-C(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2N(Ry5Ry5a)、-S(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2Ry5、-S(O)Ry5、-N(Ry5)S(O)2N(Ry5aRy5b)、-SRy5、-N(Ry5Ry5a)、-NO2、-OC(O)Ry5、-N(Ry5)C(O)Ry5a、-N(Ry5)S(O)2Ry5a、-N(Ry5)S(O)Ry5a、-N(Ry5)C(O)ORy5a、-N(Ry5)C(O)N(Ry5aRy5b)、-OC(O)N(Ry5Ry5a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルが、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bが、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、C1-6アルキルが、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
Zが、C8-24アルキル、又はポリマーを含む、請求項1又は3~7のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
-Zが、ポリマー、好ましくは2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリルコリン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(アスパルトアミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチル-オキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能化ヒアルロン酸、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン及び他の炭水化物系ポリマー、キシラン、並びにこれらのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1又は3~8のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
-Zが、分岐ポリマーである、請求項1及び3~9のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
-Zが、式(a)の部分構造
【化3】
(式中、
破線は、-L2-への又は-Zの残部への結合を示し、
BPaは、-N<、-CR<及び>C<からなる群から選択される分岐点であり、
-Rは、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
aは、BPaが-N<又は-CR<である場合0であり、nは、BPaが>C<である場合1であり、
-Sa-、-Sa'-、-Sa''-及び-Sa'''-は、互いに独立して、化学結合であり、又はC1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-R1で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R2)-、-S(O)2N(R2)-、-S(O)N(R2)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R2)S(O)2N(R2a)-、-S-、-N(R2)-、-OC(OR2)(R2a)-、-N(R2)C(O)N(R2a)-、及び-OC(O)N(R2)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各-T-は、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、各-T-は、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-R1で場合により置換されており、
各-R1は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR3、-OR3、-C(O)R3、-C(O)N(R3R3a)、-S(O)2N(R3R3a)、-S(O)N(R3R3a)、-S(O)2R3、-S(O)R3、-N(R3)S(O)2N(R3aR3b)、-SR3、-N(R3R3a)、-NO2、-OC(O)R3、-N(R3)C(O)R3a、-N(R3)S(O)2R3a、-N(R3)S(O)R3a、-N(R3)C(O)OR3a、-N(R3)C(O)N(R3aR3b)、-OC(O)N(R3R3a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-R2、-R2a、-R3、-R3a及び-R3bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
-Pa'、-Pa''及び-Pa'''は、独立して、高分子部分構造である)
を含む、請求項1又は3~10のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
式(IIe-i):
【化4】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、部分構造:
【化5】
への結合を示し、式中、
m及びpは、独立して、400~500の範囲の整数である)
を有する、請求項1又は3~11のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
式(IIf-i):
【化6】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、部分構造:
【化7】
への結合を示し、式中、
m及びpは、独立して、400~500の範囲の整数である)
を有する、請求項1又は3~11のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのPTHプロドラッグと、少なくとも1つの賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項15】
pH4~pH6の範囲のpHを有する、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
PTHで治療することができる疾患の治療に使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ若しくはその医薬的に許容される塩、又は請求項14若しくは15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記疾患が、副甲状腺機能低下症、高リン血症、骨粗鬆症、骨折修復、骨軟化症、低ホスファターゼ症を有する患者における骨軟化症及び骨粗鬆症、ステロイド誘発性骨粗鬆症、男性骨粗鬆症、関節炎、変形性関節症、骨形成不全症、線維性異形成、関節リウマチ、パジェット病、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨減少症、歯周病、骨折、脱毛症、化学療法誘発性脱毛症、並びに血小板減少症からなる群から選択される、請求項16に記載のPTHプロドラッグ若しくはその医薬的に許容される塩又は医薬組成物。
【請求項18】
皮下注射による副甲状腺機能低下症の治療に使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ若しくはその医薬的に許容される塩、又は請求項14若しくは15に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PTHプロドラッグ、そのようなPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩を含む医薬組成物、及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
副甲状腺機能低下症は、低い血清カルシウム及び不適切に低い(不十分な)循環副甲状腺ホルモンレベルを伴う希少内分泌疾患であり、殆どの場合、成人において甲状腺手術後に起こる。標準的治療としては、活性型ビタミンD類似体及びカルシウム補給が挙げられ、これは、尿カルシウム排泄の異常増加を代償にしてカルシウム及びリンの吸収及び血清中レベルを増加させる。副甲状腺機能低下症は、一般にホルモン不全が欠損ホルモン(PTH)の置換により治療されない、目下のところ唯一の重症内分泌状態である。
【0003】
副甲状腺機能低下症の有病率が最近デンマークにおいて系統的に研究され、この研究では、合計2000名を超える患者が同定され、その結果、住民約24/100000の有病率が得られ、同定された患者のうち手術に起因しない副甲状腺機能低下症を有したのは、ほんの少数(2/100000)であった。これらの概算値は、慢性副甲状腺機能低下症を有する患者について同じ規模の有病率を示す、USAの最新データと一致している。
【0004】
内因性PTHは、副甲状腺によって合成され、分泌されるものであり、全身のカルシウム及びリン恒常性を調節する主内分泌ホルモンである。PTHの生理作用は、骨からのカルシウム及びリンの放出;カルシウムの腎尿細管による再吸収を増加させるがリン酸塩の腎尿細管による再吸収を減少させることによる、腎臓におけるリンではなくカルシウムの保持;並びに活性型ビタミンD (1,25(OH)2ビタミンD3)の腎臓での産生を刺激し、その結果として腸のカルシウム及びリンの吸収を増進することを含む。カルシウムを保存してリンを排泄するPTHの腎臓作用がなければ、ビタミンD類似体及びカルシウム補給を用いる従来の療法は、進行性腎石灰化症のため、腎機能不全又は腎不全につながることもあり、長期間高いまま維持されるとリン酸カルシウム結晶として析出するカルシウム×リン生成物の慢性的増加のため、異所性石灰化(基底核、目の水晶体、及び血管系における異所性石灰化)にもつながることもある。
【0005】
最近、Natpara(登録商標)、PTH(1-84)は、FDAによって副甲状腺機能低下症の治療に認可された。昔から、Forteo(登録商標) PTH(1-34)も、副甲状腺機能低下症のために、この適応症に認可されていないにもかかわらず、1日1回、2回又は3回の注射として使用されてきた。
【0006】
PTHは、間欠的に、例えば、PTH(1-84)又はPTH(1-34)の現行の連日又は頻回注射により送達された場合、破骨細胞より骨芽細胞を優先的に活性化することによって、同化剤として骨に作用する。PTHへの間欠曝露のこの同化作用は、PTHへの連続曝露に伴って起こり得る正味の骨の異化と対照をなす。PTHアゴニストの間欠投与のタンパク質同化能は、骨粗鬆症の治療にうまく利用されており、骨粗鬆症の場合、骨代謝回転は、通常高く、骨密度(BMD)は低いが、副甲状腺機能低下症の場合はその逆である。
【0007】
副甲状腺機能低下症の主な合併症は、PTHの遠位腎尿細管におけるPTH依存性カルシウム再吸収の欠如に起因する、高カルシウム尿症である。高カルシウム尿症は、腎石灰化症、腎結石症及び腎不全のリスク増加を伴う。NatparaのFDA審査によれば、PTHの連日注射は、体内のこのPTHアゴニストの短い半減期のため、尿カルシウム排泄の適切な制御をもたらすことができなかった。
【0008】
さらに、非生理的PTHレベルは、高カルシウム血症及び低カルシウム血症に関連する可能性がある。Natparaでの治療は、プラセボと比較してこれらの合併症の発生率を改善しなかった。これは、一部は、Natparaの好ましくないPKによって説明することができる。例えば、Natparaの現在認可されている用量の投与は、Cmaxが300pg/mlであるPTHの生理的レベルを大いに上回るレベルをもたらし、それが12時間の時点でベースラインに戻る。結果として、患者は、投与後の初期段階に過剰に治療され、次の投薬までの期間の治療は不十分になる。
【0009】
低カルシウム血症は、非常に多くの症状を伴い、そのような症状の一部は、致死性であり得、テタニー、異常知覚、認知障害、痙攣を伴う意識消失(痙攣大発作)、腎機能障害、心臓不整脈及び失神、並びにさらには心不全を含む。
【0010】
したがって、高カルシウム血症を引き起こすことなく、低カルシウム血症、高カルシウム尿症及び高リン血症に関連する症状の緩和を可能にするPTHへの持続的曝露をもたらす、より生理的なPTH治療に対する満たされていない大きな需要がある。
【0011】
PTH補充療法は、持続注入により、例えばインスリンポンプを使用して送達されると、より生理的になる。これは、例えば、Winerら(J Pediatr、2014、165(3)、556-563)によって実証されており、彼らの研究では、ポンプ送達は、骨代謝回転マーカーと尿及び血清中無機質レベルを同時に正常化するが、間欠注射送達は、しなかった。
【0012】
正常PTH範囲は、15~50pg/mlであり、間欠的PTHアゴニスト投与が生理的補充療法の構成要素とならないことをよく理解することが重要である。PTHポリペプチドは、迅速な肝代謝のため、本質的に短い循環半減期を有する。初期の超生理的薬物レベルにもかかわらず、身体からの薬物の迅速なクリアランスが、投薬間隔を通しての十分な薬物適用を妨げる。
【0013】
PLGA微粒子へのPTHのカプセル化及びPTH分子と合成ポリマー又はペプチドポリマーいずれかとの永続的コンジュゲーションをはじめとする、幾つかの手法を利用して、PTHのより長時間作用するバージョンが作出された。Kostenuikら(J Bone Miner Res、2007、22(10)、1534-1547)は、PTH(1-34)より長い半減期を有するPTH-Fc融合タンパク質を記載しており、骨減少性の卵巣摘出ラット又はマウスにおいて研究を行って、PTH-Fcの間欠(週1~2回)注射が、PTHへの曝露期間が長引いても骨の質量、密度及び強度を増加させることになるかどうかを判定した。長期循環半減期を有するPTH由来分子は、皮質骨及び海綿骨に対して毎日のPTHへの同等の同化作用を、しかし低減した投薬頻度で、もたらすことが実証された。別のアプローチがPonnapakkamら(Drug Discov Today、2014、19(3)、204.208)によって提案されており、このアプローチでは、PTHとコラーゲン結合ドメインのハイブリッドポリペプチドが、単回投与後に正常雌マウスの骨密度の長期(12ヶ月までの)増加を引き起こした。
【0014】
副甲状腺機能低下症を有する患者は、骨密度増加をもたらす異常に低い骨代謝回転速度を典型的に示し、したがって、副甲状腺機能低下症を治療する際にはPTHの同化作用を回避すべきであり、最適には、治療は、当該患者の骨代謝回転速度を正常化すべきであるが、PTH(1-34)及びPTH(1-84)での連日治療で立証されているような正常範囲より上にその速度を上昇させてはならない。
【0015】
要するに、より効果的なPTH治療が必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Kostenuikら、J Bone Miner Res、2007、22(10)、1534-1547
【非特許文献2】Ponnapakkamら、Drug Discov Today、2014、19(3)、204.208
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、本発明の目的は、上記欠点を少なくとも部分的に克服することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
この目的は、式(Ia)又は(Ib)
【化1】
(式中、
-Dは、PTH部分構造であり、
-L1-は、PTHの官能基によってPTH部分構造-Dと連結されている可逆的プロドラッグリンカー部分構造であり、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサー部分構造であり、
-Zは、水溶性担体部分構造であり、
xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16からなる群から選択される整数であり、
yは、1、2、3、4及び5からなる群から選択される整数である)
を有するPTHプロドラッグ、又はその医薬的に許容される塩で達成される。
【発明を実施するための形態】
【0019】
驚くべきことに、本発明のPTHプロドラッグは、該プロドラッグの低い残留活性を示し、PTHの徐放をもたらすことが判明した。結果として、本発明のPTHプロドラッグの投与により、血清カルシウム正常化と血清リン酸塩低減が同時に得られ、したがって、現行標準治療であるPTH1-84での治療と比較して増加した血清カルシウム対血清リン酸塩比が得られる。それに加えて、ヒトの状態の関連動物モデルにおいて骨吸収及び形成マーカー並びに全般的な骨の健康に対する悪影響は、生理的用量の投与時に観察されなかった。
【0020】
驚くべきことに、そのようなPTHプロドラッグは、生理的血清及び尿中カルシウムレベル又はさらには正常未満の尿中カルシウムレベルを確実なものにする、PTHの安定した血漿プロファイルを実現することができることも判明した。
【0021】
本発明では、以下のような意味を有する用語を使用する。
【0022】
本明細書において使用する用語「PTH」は、血清カルシウムを及び腎臓リン排泄を増すこと、血清リン及び腎臓カルシウム排泄を減じることを特徴とする、全てのPTHポリペプチド、好ましくは哺乳動物種からの、より好ましくはヒト及び哺乳動物種からの、より好ましくはヒト及びネズミ科の種からの前記PTHポリペプチドはもちろん、それらのバリアント、アナログ、オルソログ、ホモログ、並びにそれらの誘導体及び断片も指す。用語「PTH」は、共通のPTH/PTHrP1受容体と結合し、それを活性化する、全てのPTHrPポリペプチド、例えば、配列番号121のポリペプチドも指す。好ましくは、用語「PTH」は、配列番号51のPTHポリペプチド、並びに本質的に同じ生物活性を示す、すなわち、血清カルシウム及び腎臓リン排泄を増し、血清リン及び腎臓カルシウム排泄を減じる、そのバリアント、ホモログ及び誘導体を指す。
【0023】
好ましくは、用語「PTH」は、以下のペプチド配列を指す:
配列番号1 (PTH 1-84)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAKSQ
配列番号2 (PTH 1-83)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAKS
配列番号3 (PTH 1-82)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAK
配列番号4 (PTH 1-81)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKA
配列番号5 (PTH 1-80)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTK配列番号6 (PTH 1-79)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLT配列番号7 (PTH 1-78)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVL
配列番号8 (PTH 1-77)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNV
配列番号9 (PTH 1-76)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVN
配列番号10 (PTH 1-75)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADV
配列番号11 (PTH 1-74)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKAD
配列番号12 (PTH 1-73)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKA
配列番号13 (PTH 1-72)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADK
配列番号14 (PTH 1-71)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEAD
配列番号15 (PTH 1-70)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEA
配列番号16 (PTH 1-69)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGE
配列番号17 (PTH 1-68)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLG
配列番号18 (PTH 1-67)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSL
配列番号19 (PTH 1-66)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKS
配列番号20 (PTH 1-65)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEK
配列番号21 (PTH 1-64)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHE
配列番号22 (PTH 1-63)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESH
配列番号23 (PTH 1-62)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVES
配列番号24 (PTH 1-61)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVE
配列番号25 (PTH 1-60)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLV
配列番号26 (PTH 1-59)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVL
配列番号27 (PTH 1-58)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNV
配列番号28 (PTH 1-57)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDN
配列番号29 (PTH 1-56)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKED
配列番号30 (PTH 1-55)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKE
配列番号31 (PTH 1-54)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKK
配列番号32 (PTH 1-53)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRK
配列番号33 (PTH 1-52)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPR
配列番号34 (PTH 1-51)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRP
配列番号35 (PTH 1-50)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQR
配列番号36 (PTH 1-49)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQ
配列番号37 (PTH 1-48)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGS
配列番号38 (PTH 1-47)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAG
配列番号39 (PTH 1-46)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDA
配列番号40 (PTH 1-45)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRD
配列番号41 (PTH 1-44)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPR
配列番号42 (PTH 1-43)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAP
配列番号43 (PTH 1-42)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLA
配列番号44 (PTH 1-41)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPL
配列番号45 (PTH 1-40)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAP
配列番号46 (PTH 1-39)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGA
配列番号47 (PTH 1-38)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALG
配列番号48 (PTH 1-37)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVAL
配列番号49 (PTH 1-36)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVA
配列番号50 (PTH 1-35)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFV
配列番号51 (PTH 1-34)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNF
配列番号52 (PTH 1-33)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHN
配列番号53 (PTH 1-32)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVH
配列番号54 (PTH 1-31)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDV
配列番号55 (PTH 1-30)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQD
配列番号56 (PTH 1-29)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQ
配列番号57 (PTH 1-28)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKL
配列番号58 (PTH 1-27)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKK
配列番号59 (PTH 1-26)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRK
配列番号60 (PTH 1-25)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLR
配列番号61(アミド化PTH 1-84)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAKSQ;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号62 (アミド化PTH 1-83)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAKS;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号63 (アミド化PTH 1-82)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号64 (アミド化PTH 1-81)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKA;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号65 (アミド化PTH 1-80)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号66 (アミド化PTH 1-79)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLT;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号67 (アミド化PTH 1-78)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVL;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号68 (アミド化PTH 1-77)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNV;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号69 (アミド化PTH 1-76)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVN;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号70 (アミド化PTH 1-75)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADV;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号71 (アミド化PTH 1-74)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKAD;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号72 (アミド化PTH 1-73)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKA;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号73 (アミド化PTH 1-72)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号74 (アミド化PTH 1-71)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEAD;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号75 (アミド化PTH 1-70)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEA;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号76 (アミド化PTH 1-69)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGE;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号77 (アミド化PTH 1-68)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLG;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号78 (アミド化PTH 1-67)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSL;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号79 (アミド化PTH 1-66)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKS;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号80 (アミド化PTH 1-65)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号81 (アミド化PTH 1-64)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHE;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号82 (アミド化PTH 1-63)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESH;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号83 (アミド化PTH 1-62)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVES;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号84 (アミド化PTH 1-61)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVE;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号85 (アミド化PTH 1-60)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLV;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号86 (アミド化PTH 1-59)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVL;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号87 (アミド化PTH 1-58)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNV;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号88 (アミド化PTH 1-57)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDN;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号89 (アミド化PTH 1-56)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKED;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号90 (アミド化PTH 1-55)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKE;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号91 (アミド化PTH 1-54)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号92 (アミド化PTH 1-53)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号93 (アミド化PTH 1-52)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPR;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号94 (アミド化PTH 1-51)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRP;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号95 (アミド化PTH 1-50)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQR;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号96 (アミド化PTH 1-49)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQ;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号97 (アミド化PTH 1-48)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGS;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号98 (アミド化PTH 1-47)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAG;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号99 (アミド化PTH 1-46)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDA;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号100 (アミド化PTH 1-45)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRD;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号101 (アミド化PTH 1-44)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPR;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号102 (アミド化PTH 1-43)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAP;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号103 (アミド化PTH 1-42)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLA;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号104 (アミド化PTH 1-41)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPL;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号105 (アミド化PTH 1-40)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAP;(この配列中のC末端はアミド化されている)配列番号106 (アミド化PTH 1-39)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGA;(この配列中のC末端はアミド化されている)配列番号107 (アミド化PTH 1-38)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALG;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号108 (アミド化PTH 1-37)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVAL;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号109 (アミド化PTH 1-36)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVA;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号110 (アミド化PTH 1-35)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFV;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号111 (アミド化PTH 1-34)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNF;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号112 (アミド化PTH 1-33)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHN;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号113 (アミド化PTH 1-32)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVH;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号114 (アミド化PTH 1-31)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDV;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号115 (アミド化PTH 1-30)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQD;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号116 (アミド化PTH 1-29)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQ;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号117 (アミド化PTH 1-28)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKL;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号118 (アミド化PTH 1-27)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号119 (アミド化PTH 1-26)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRK;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号120 (アミド化PTH 1-25)
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLR;(この配列中のC末端はアミド化されている)
配列番号121 (PTHrP)
AVSEHQLLHDKGKSIQDLRRRFFLHHLIAEIHTAEIRATSEVSPNSKPSPNTKNHPVRFGSDDEGRYLTQETNKVETYKEQPLKTPGKKKKGKPGKRKEQEKKKRRTRSAWLDSGVTGSGLEGDHLSDTSTTSLELDSRRH
【0024】
より好ましくは、用語「PTH」は、配列番号47、48、49、50、51、52、53、54、55、107、108、109、110、111、112、113、114及び115の配列を指す。より一層好ましくは、用語「PTH」は、配列番号50、51、52、110、111及び112の配列を指す。特に好ましい実施形態において、用語「PTH」は、配列番号51の配列を指す。
【0025】
本明細書において使用する用語「PTHポリペプチドバリアント」は、基準PTH又はPTHrPポリペプチドとは異なる、同じ種からのポリペプチドを指す。好ましくは、そのような基準は、PTHポリペプチド配列であり、配列番号51の配列を有する。一般に、差は限られており、したがって、基準及びバリアントのアミノ酸配列は、全体にわたって近似しており、多くの領域において同一である。好ましくは、PTHポリペプチドバリアントは、基準PTH又はPTHrPポリペプチド、好ましくは配列番号51のPTHポリペプチドと、少なくとも70%、80%、90%又は95%同一である。クエリアミノ酸配列と少なくとも例えば95%「同一の」アミノ酸配列を有するポリペプチドは、対象ポリペプチドのアミノ酸配列が、クエリアミノ酸配列のアミノ酸100個ごとに5個以下のアミノ酸変化を含むことがあることを除いて、クエリ配列と同一であることを意味する。基準配列のこれらの変化は、基準アミノ酸配列のアミノ末端(N末端)若しくはカルボキシ末端(C末端)位置に存在してもよく、又は基準配列内の残基の中に個々に散在する、若しくは基準配列内の1つ以上の隣接する基内に散在する、これらの末端位置の間のいずれの位置に存在してもよい。クエリ配列は、基準配列の全アミノ酸配列であってもよく、又は本明細書に記載するように指定されるいずれの断片であってもよい。好ましくは、クエリ配列は、配列番号51の配列である。
【0026】
そのようなPTHペプチドバリアントは、染色体若しくは生物の所与の座位を占有するPTH又はPTHrPの幾つかの代替形態のうちの1つによってコードされた天然に存在するアレルバリアントなどの、天然に存在するバリアントであってもよく、又は単一の一次転写産物に由来する天然に存在するスプライスバリアントによってコードされたアイソフォームであってもよい。或いは、PTHポリペプチドバリアントは、天然に存在することが公知でないバリアントであって、当技術分野において公知の変異誘発法によってつくることができるバリアントであってもよい。
【0027】
生物学的機能を実質的に失うことなく、生物活性ポリペプチドのN末端又はC末端から1つ以上のアミノ酸を欠失させることができることは、当技術分野において公知である。そのようなN及び/又はC末端欠失も、用語PTHポリペプチドバリアントによって包含される。
【0028】
PTH又はPTHrPポリペプチドの一部のアミノ酸配列を、該ポリペプチドの構造又は機能に有意に影響を与えることなく変えることができることも、当業者は認識している。そのような変異体は、活性に殆ど影響を与えないように当技術分野において公知の一般則に従って選択される、欠失、挿入、反転、反復及び置換を含む。例えば、表現型的にサイレントなアミノ酸置換を行う方法に関するガイダンスは、参照によりその全体が本明細書に組み入れられているBowieら(1990)、Science 247:1306-1310に提供されており、この参考文献の著者は、変化に対するアミノ酸配列の許容度を研究するための2つの主要アプローチがあることを示している。
【0029】
用語PTHポリペプチドは、PTH又はPTHrPアナログ、オルソログ、及び/又は種ホモログによってコードされた全てのPTH又はPTHrPポリペプチドも包含する。PTHrP及びPTHrPアナログが共通のPTH/PTHrP1受容体に結合して該受容体を活性化させるため、用語PTHポリペプチドが全てのPTHrPアナログも包含することも、当業者は認識している。本明細書において使用する用語「PTHアナログ」は、異なる無関係の生物のPTH又はPTHrPであって、各生物において同じ機能を達成するが、それらの生物の祖先が共通して持っていた祖先構造が起源ではないPTH又はPTHrPを指す。そのような起源ではなく、類似のPTH及びPTHrPが別々に生じ、そしてその後、同じ又は同様の機能を果たすように進化した。言い換えると、類似のPTH及びPTHrPポリペプチドは、同じ生物活性を果たす、すなわち、血清カルシウム及び腎臓リン排泄を増し、血清リン及び腎臓カルシウム排泄を減じるが、全く異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0030】
本明細書において使用する用語「PTHオルソログ」は、2つの異なる種内のPTH又はPTHrPであって、祖先種における共通の相同PTH又はPTHrPによって互いの配列に関連性はあるが、互いに異なるものになるように進化したPTH又はPTHrPを指す。
【0031】
本明細書において使用する用語「PTHホモログ」は、異なる生物のPTH又はPTHrPであって、各生物において同じ機能を果たし、それらの生物の祖先が共通して持っていた祖先構造が起源であるPTH又はPTHrPを指す。言い換えると、相同PTHポリペプチドは、同じ生物活性を果たす、すなわち、血清カルシウム及び腎臓リン排泄を増し、血清リン及び腎臓カルシウム排泄を減じる、全く同様のアミノ酸配列を有するポリペプチドである。好ましくは、PTHポリペプチドホモログは、基準PTH又はPTHrPポリペプチド、好ましくは配列番号51のPTHポリペプチドと少なくとも40%、50%、60%、70%、80%、90%又は95%の同一性を示すポリペプチドと定義されうる。
【0032】
したがって、本発明によるPTHポリペプチドは、例えば、(i)アミノ酸残基の少なくとも1つが、保存又は非保存アミノ酸残基、好ましくは保存アミノ酸残基で置換されており、そのような置換されたアミノ酸残基が遺伝コードによってコードされているものであってもよく、又はなくてもよいもの、及び/又は(ii)アミノ酸残基の少なくとも1つが置換基を含むもの、及び/又は(iii)PTHポリペプチドが、別の化合物、例えば、該ポリペプチドの半減期を増すための化合物(例えば、ポリエチレングリコール)と融合しているもの、及び/又は(iv)IgG Fc融合領域ポリペプチド若しくはリーダー若しくは分泌配列、又は上記形態のポリペプチドの精製に用いられる配列、又はタンパク質前駆体配列などの、さらなるアミノ酸がPTHポリペプチドに融合しているものであってもよい。
【0033】
本明細書において使用する用語「PTHポリペプチド断片」は、PTH又はPTHrPポリペプチド、好ましくは配列番号51のポリペプチドのアミノ酸配列の一部についての連続する範囲を含む任意のポリペプチドを指す。
【0034】
より具体的には、PTHポリペプチド断片は、PTH又はPTHrPポリペプチドの、より好ましくは配列番号51のポリペプチドの、少なくとも6、例えば、少なくとも8、少なくとも10又は少なくとも17の連続するアミノ酸を含む。さらに、PTHポリペプチド断片は、少なくとも6のアミノ酸を含むPTH又はPTHrPポリペプチドの亜属と記載されることがあり、この場合の「少なくとも6」は、6と、PTH又はPTHrPポリペプチドの、好ましくは配列番号51の、C末端アミノ酸を表す整数との間の、任意の整数と定義する。N末端及びC末端位置に関してさらに指定されている、上に記載したような、長さ少なくとも6アミノ酸のPTH又はPTHrPポリペプチド断片の種をさらに含む。N末端及びC末端位置によって特に指定されうる、上に記載したような長さ少なくとも6アミノ酸の全てのPTH又はPTHrPポリペプチド断片も、個々の種として用語「PTHポリペプチド断片」に包含される。すなわち、PTH又はPTHrPポリペプチド、好ましくは配列番号51のPTHポリペプチドの所与のいずれかのアミノ酸配列上の、連続する少なくとも6アミノ酸の長さの断片が占有しうる、N末端位置とC末端位置のあらゆる組合せが、本発明に含まれる。
【0035】
用語「PTH」は、上記の配列を有するが、例えばデプシペプチドのような、アミド結合と非アミド結合、例えばエステル結合の両方を含む骨格を有する、ポリ(アミノ酸)コンジュゲートも含む。デプシペプチドは、骨格がアミド(ペプチド)結合とエステル結合の両方を含む、アミノ酸残基の鎖である。したがって、本明細書において使用する用語「側鎖」は、アミノ酸部分構造がアミン結合によって連結されている場合、例えばポリペプチドの場合、アミノ酸部分構造のアルファ-炭素に結合している部分構造を指し、又は例えばデプシペプチドの場合のようなポリ(アミノ酸)コンジュゲートの骨格に結合している任意の炭素原子含有部分構造を指す。好ましくは、用語「PTH」は、アミド(ペプチド)結合によって形成される骨格を有するポリペプチドを指す。
【0036】
用語PTHは、PTH又はPTHrPの上記バリアント、アナログ、オルソログ、ホモログ、誘導体及び断片を含むので、基準配列内の特定の位置への全ての言及は、具体的に述べていない場合でも、PTH又はPTHrP部分構造のバリアント、アナログ、オルソログ、ホモログ、誘導体及び断片内の同等の位置も含む。
【0037】
本明細書で使用する用語「ランダムコイル」は、水性緩衝液中、周囲温度及びpH7.4で行われる円偏光二色性分光法によって判定して被定義二次及び三次構造が実質的にないコンホメーションをとる/有する/形成する、好ましくは有する、ペプチド又はタンパク質を指す。好ましくは、周囲温度は、約20℃、すなわち、18℃~22℃の間であり、最も好ましくは、周囲温度は、20℃である。
【0038】
本明細書において使用する用語「医薬組成物」は、1つ以上の活性成分、例えば、薬物又はプロドラッグ、ここでは特に本発明のPTHプロドラッグと、場合により1つ以上の賦形剤とを含有する組成物、並びに前記組成物の成分のいずれか2つ以上についての組合せ、複合体化若しくは凝集から、又は前記成分の1つ以上についての解離から、又は前記成分の1つ以上についての他のタイプの反応若しくは相互作用から、直接又は間接的に得られる任意の産物を指す。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の1つ以上のPTHプロドラッグと、場合により、医薬的に許容される賦形剤とを混合することによって製造される任意の組成物を包含する。
【0039】
本明細書において使用する用語「液体組成物」は、水溶性PTHプロドラッグと1つ以上の溶媒、例えば水とを含む混合物を指す。
【0040】
用語「懸濁組成物」は、例えば担体Z'がヒドロゲルである水不溶性PTHプロドラッグと、1つ以上の溶媒、例えば水とを含む混合物を指す。水不溶性ポリマーのために、この高分子プロドラッグは溶解することができず、微粒子状態になる。
【0041】
本明細書において使用する用語「乾燥組成物」は、医薬組成物が乾燥形態で提供されることを意味する。好適な乾燥方法は、噴霧乾燥、及び凍結乾燥、すなわちフリーズドライである。プロドラッグのそのような乾燥組成物は、カールフィッシャーによって判定して、最大10%、好ましくは5%未満、及びより好ましくは2%未満の残留水分を有する。好ましくは、本発明の医薬組成物は、凍結乾燥によって乾燥される。
【0042】
本明細書において使用する用語「薬物」は、疾患の治療、治癒、予防若しくは診断に使用される、又は身体的若しくは精神的幸福を別様に向上させるために使用される物質を指す。薬物を別の部分構造とコンジュゲートさせる場合、結果として得られる生成物の、その薬物に由来する部分構造を、「生物活性部分構造」と呼ぶ。本発明のPTHプロドラッグは、薬物PTHの形態でPTHプロドラッグから放出されるPTH部分構造を含む。
【0043】
本明細書において使用する用語「プロドラッグ」は、可逆的プロドラッグリンカー部分構造を介して特殊な保護基に可逆的に共有結合で連結されている生物活性部分構造を含むコンジュゲートを指し、前記可逆的プロドラッグリンカー部分構造は、その生物活性部分構造との可逆的結合を含むリンカー部分構造であり、前記特殊な保護基は、親分子の望ましくない特性を変える、又は除去する。これは、薬物の望ましい特性の強化及び望ましくない特性の抑制も含む。特殊な非毒性保護基を「担体」と呼ぶ。プロドラッグは、可逆的に共有結合されている生物活性部分構造を、その対応する薬物の形態で放出する。言い換えると、プロドラッグは、可逆的プロドラッグリンカー部分構造を介して担体部分構造に可逆的に共有結合でコンジュゲートされている生物活性部分構造を含むコンジュゲートであり、前記担体の前記可逆的リンカー部分構造への可逆的な共有結合は、直接的であるか、スペーサーを介している。そのようなコンジュゲートは、それまでコンジュゲートされていた生物活性部分構造を遊離薬物の形態で放出する。
【0044】
「生分解性結合」又は「可逆的結合」は、半減期が1時間~2ヶ月、好ましくは1時間~1ヶ月の範囲である、生理条件(pH7.4の水性緩衝液、37℃)下、酵素不在で加水分解により分解されうる、すなわち切断されうる結合である。したがって、安定した結合は、生理条件(pH7.4の水性緩衝液、37℃)下で2ヶ月より長い半減期を有する結合である。
【0045】
したがって、「可逆的プロドラッグリンカー部分構造」は、-Z又は-Z'などの担体部分構造にも共有結合でコンジュゲートされている部分構造を介してPTHなどの生物活性部分構造に可逆的結合によって共有結合でコンジュゲートされており、前記担体部分構造への共有結合は、直接的であるか、-L2-などのスペーサー部分構造を介している。好ましくは、-Z又は-Z'と-L2-間の結合は、安定した結合である。
【0046】
本明細書において使用する用語「痕跡を残さないプロドラッグリンカー」は、分解されると薬物をその遊離形態で放出する可逆的プロドラッグリンカーを意味する。本明細書において使用する用語「遊離形態」の薬物は、その未修飾の薬理活性形態での薬物を意味する。
【0047】
本明細書において使用する用語「賦形剤」は、治療に役立つもの、例えば、薬物又はプロドラッグを投与するために用いられる希釈剤、アジュバント又はビヒクルを指す。そのような医薬賦形剤は、滅菌液、例えば、水及び油(ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などを含むがこれらに限定されない、石油、動物、植物又は合成由来のものを含む)であることができる。水は、医薬組成物が経口投与される場合に好ましい賦形剤である。医薬組成物が静脈内投与される場合、食塩水及びデキストロース水溶液が好ましい賦形剤である。食塩溶液、並びにデキストロース及びグリセロール水溶液は、注射用溶液のための液体賦形剤として好ましく用いられる。好適な医薬賦形剤としては、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、トレハロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、白亜、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。医薬組成物は、必要に応じて、少量の湿潤若しくは乳化剤、pH緩衝剤、例えば、酢酸塩、コハク酸塩、tris、炭酸塩、リン酸塩、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)なども含有することがあり、又は界面活性剤、例えば、Tween、ポロキサマー、ポロキサミン、CHAPS、Igepal、又はアミノ酸、例えば、グリシン、リシン若しくはヒスチジンなどを含有することがある。これらの医薬組成物は、液剤、懸濁剤、エマルジョン、錠剤、ピル、カプセル、粉末、徐放製剤などの形態をとることができる。医薬組成物は、旧来の結合剤及び賦形剤、例えばトリグリセリドを用いて、座剤として製剤化されることもある。経口製剤は、標準的な賦形剤、例えば、医薬品グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどを含むことができる。そのような組成物は、患者への適切な投与のための剤形を生じさせるために好適な量の賦形剤と共に、治療有効量の薬物又は生物活性部分構造を含有することになる。製剤は、投与方法にふさわしいものであるべきである。
【0048】
本明細書において使用する用語「試薬」は、少なくとも1つの官能基を別の化合物又は薬物の官能基との反応のために含む化合物を意味する。官能基(例えば、一級若しくは二級アミン又はヒドロキシル官能基)を含む薬物も試薬であることが理解される。
【0049】
本明細書において使用する用語「部分構造」は、対応する試薬と比較して1個以上の原子がない、分子の一部を意味する。例えば、式「H-X-H」の試薬が別の試薬と反応し、反応生成物の一部になる場合、その反応生成物の対応する部分構造は、構造「H-X-」又は「-X-」を有するが、各「-」は、別の部分構造への結合を示す。したがって、生物活性部分構造は、プロドラッグから薬物として放出される。
【0050】
原子団が、2つの部分構造に結合している又は1つの部分構造に割り込んでいる、原子団の配列又は化学構造が提供されている場合、別段の明確な記述がない限り、前記配列又は化学構造は、いずれの配向で前記2つの部分構造に結合していてもよいことが理解される。例えば、部分構造「-C(O)N(R)-」は、「-C(O)N(R)-」として、又は「-N(R)C(O)-」として、2つの部分構造に結合していることもあり、又は1つの部分構造に割り込んでいることもある。同様に、部分構造
【化2】
は、
【化3】
として、又は
【化4】
として、2つの部分構造に結合している又は1つの部分構造に割り込んでいることがある。
【0051】
本明細書において使用する用語「官能基」は、他の原子団と反応することができる原子団を意味する。官能基は、これらに限定されるものではないが、以下の基を含む:カルボン酸(-(C=O)OH)、一級又は二級アミン(-NH2、-NH-)、マレイミド、チオール(-SH)、スルホン酸(-(O=S=O)OH)、カーボネート、カルバメート(-O(C=O)N<)、ヒドロキシル(-OH)、アルデヒド(-(C=O)H)、ケトン(-(C=O)-)、ヒドラジン(>N-N<)、イソシアネート、イソチオシアネート、リン酸(-O(P=O)OHOH)、ホスホン酸(-O(P=O)OHH)、ハロアセチル、ハロゲン化アルキル、アクリロイル、フッ化アリール、ヒドロキシルアミン、ジスルフィド、スルホンアミド、スルホン酸、ビニルスルホン、ビニルケトン、ジアゾアルカン、オキシラン及びアジリジン。
【0052】
本発明のプロドラッグが1つ以上の酸性又は塩基性基を含む場合、本発明は、それらの対応する医薬的に又は毒物学的に許容される塩、特にそれらの医薬的に利用可能な塩も含む。したがって、酸性基を含む本発明のプロドラッグを、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアンモニウム塩として、本発明に従って使用することができる。そのような塩のより詳細な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はアンモニア若しくは有機アミン(例えば、エチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミンなど)若しくはアミノ酸との塩が挙げられる。1つ以上の塩基性基、すなわちプロトン化されうる基を含む本発明のプロドラッグが存在することもあり、そのようなプロドラッグを無機又は有機酸とそれらの付加塩の形態で本発明に従って使用することができる。好適な酸の例としては、塩化水素、臭化水素、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェノールプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸、及び当業者に公知の他の酸が挙げられる。正電荷アンモニウム基及びその塩の適切な対イオンをもたらすアミン基のアルキル化のような、塩基性基をカチオンに転化させるさらなる方法は、当業者には公知である。本発明のプロドラッグが酸性基と塩基性基を同時に含む場合、本発明は、言及した塩形態に加えて、分子内塩又はベタイン(双性イオン)も含む。それぞれの塩は、例えば、これらのプロドラッグを溶媒若しくは分散液中で有機若しくは無機酸若しくは塩基と接触させることによる、又は他の塩とのアニオン交換若しくはカチオン交換によるような、当業者に公知である慣習的方法によって得ることができる。本発明は、生理学的適合性が低いため、直接的には医薬品における使用に適さないが、例えば、中間体として化学反応に又は医薬的に許容される塩の製造に使用することができる、本発明のプロドラッグの全ての塩も含む。
【0053】
用語「医薬的に許容される」は、患者に投与されたとき害を及ぼさない物質を意味し、好ましくは、規制機関、例えば、EMA(欧州)及び/又はFDA(米国)及び/又は任意の他の国家の規制機関によって、動物での使用に、好ましくはヒトでの使用に認可されていることを意味する。
【0054】
本明細書において数値と組み合わせて使用される用語「約」は、その数値そのものに加えて、数値プラス/マイナス前記数値の10%以下、より好ましくは前記数値の8%以下、より一層好ましくは前記数値の5%以下、最も好ましくは前記数値の2%以下の範囲を示すために使用される。例えば、「約200」という句は、200+/-10%の範囲を意味し、すなわち、180~220の範囲、好ましくは、200+/-8%の範囲、すなわち、184~216の範囲、さらに一層好ましくは、200+/-5%の範囲、すなわち、190~210の範囲、最も好ましくは、200+/-2%の範囲、すなわち、196~204の範囲を意味するために使用される。「約20%」として示される百分率は、「20%+/-10%」、すなわち10~30%の範囲であることを意味せず、「約20%」は、18~22%、すなわち、20である数値のプラス/マイナス10%の範囲であることを意味することが理解される。
【0055】
本明細書において使用する用語「ポリマー」は、化学結合によって直鎖状、環状、分岐型、架橋型若しくはデンドリマー状に又はこれらの組合せで連結されている反復構造単位、すなわちモノマーを含む分子であって、合成起源であっても、生体起源であっても、又は両方の組合せであってもよい分子を意味する。ポリマーは、例えば1つ以上の官能基などの、1つ以上の他の化学基及び/又は部分構造も含むことがあることが理解される。好ましくは、可溶性ポリマーは、少なくとも0.5kDaの分子量、例えば、少なくとも1kDaの分子量、少なくとも2kDaの分子量、少なくとも3kDaの分子量、又は少なくとも5kDaの分子量を有する。ポリマーが可溶性である場合、最大で1000kDa、例えば最大で750kDa、例えば最大で500kDa、例えば最大で300kDa、例えば最大で200kDa、例えば最大で100kDaの分子量を有するのが好ましい。ヒドロゲルなどの不溶性ポリマーについては、意味ある分子量範囲を提供することができないことが理解される。タンパク質は、各アミノ酸の側鎖がたとえ異なっていることがあっても、アミノ酸が反復構造単位であるポリマーであることも理解される。
【0056】
本明細書において使用する用語「高分子の」は、1つ以上のポリマー又はポリマー部分構造を含む試薬又は部分構造を意味する。高分子試薬又は部分構造は、1つ以上の他の部分構造も場合により含むことがあり、そのような他の部分構造は、好ましくは、以下のものからなる群から選択される:
・C1-50アルキル、C2-50アルケニル、C2-50アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル及びテトラリニル、並びに
・以下のものを含む群から選択される結合:
【化5】
(式中、
破線は、前記部分構造又は試薬の残部への結合を示し、
-R及び-Raは、互いに独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択される)。
【0057】
当業者には、重合反応から得られる重合生成物は、全て同じ分子量を有するとは限らず、むしろ分子量分布を示すことが理解される。それ故、本明細書において使用する分子量範囲、分子量、ポリマー中のモノマー数範囲、及びポリマー中のモノマー数は、数平均分子量及びモノマー数平均を指し、すなわち、ポリマー又は高分子部分構造の分子量の算術平均、及びポリマー又は高分子部分構造のモノマー数の算術平均を指す。
【0058】
したがって、「x」個のモノマー単位を含む高分子部分構造の場合、「x」に当てはめられるいずれの整数もモノマーの算術平均数に相当する。「x」に当てはめられる整数のいずれの範囲も、モノマーの算術平均数が存する整数範囲を提供する。「約x」として示される「x」の整数は、モノマーの算術平均数が、x+/-10%、好ましくはx+/-8%、より好ましくはx+/-5%、最も好ましくはx+/-2%の整数範囲内に存することを意味する。
【0059】
本明細書において使用する用語「数平均分子量」は、個々のポリマーの分子量の通常の算術平均を意味する。
【0060】
担体に関して本明細書において使用する用語「水溶性」は、そのような担体が本発明のPTHプロドラッグの一部である場合、そのような水溶性担体を含むPTHプロドラッグの少なくとも1gを20℃で1リットルの水に溶解して、均質な溶液を形成することができることを意味する。したがって、担体に関しての用語「水不溶性」は、そのような担体が本発明のPTHプロドラッグの一部である場合、均質な溶液を形成するために、20℃で1リットルの水に、そのような水不溶性担体を含むPTHプロドラッグを1g未満しか溶解できないことを意味する。
【0061】
本明細書において使用する用語「ヒドロゲル」は、水素結合、イオン性相互作用及び/又は共有結合性化学結合の存在のため不溶性である、ホモポリマー又はコポリマーで構成されている親水性又は両親媒性の高分子網目を意味する。架橋剤は、網目構造及び物理的整合性をもたらす。
【0062】
本明細書において使用する用語「熱ゲル化」は、約0℃~約10℃の間の範囲である低温で約0.1/秒のせん断速度で、25℃で500cps未満の粘度を有する液体又は低粘度溶液であるが、約30℃~約40℃の間の範囲であるより高温で、例えば約37℃で、約0.1/秒のせん断速度で、約25℃で10000cps未満のより高粘度の化合物である化合物を意味する。
【0063】
部分構造又は試薬に関して本明細書において使用する用語「PEG系」は、前記部分構造又は試薬がPEGを含むことを意味する。好ましくは、PEG系部分構造又は試薬は、少なくとも10%(w/w)PEG、例えば少なくとも20%(w/w)PEG、例えば少なくとも30%(w/w)PEG、例えば少なくとも40%(w/w)PEG、例えば少なくとも50%(w/w)、例えば少なくとも60(w/w)PEG、例えば少なくとも70%(w/w)PEG、例えば少なくとも80%(w/w)PEG、例えば、少なくとも95%などの、少なくとも90%(w/w)PEGを含む。前記PEG系部分構造又は試薬の残りの重量百分率は、以下の部分構造及び結合から好ましくは選択される他の部分構造である:
・C1-50アルキル、C2-50アルケニル、C2-50アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル及びテトラリニル、並びに
・以下のものを含む群から選択される結合:
【化6】
(式中、
破線は、前記部分構造又は試薬の残部への結合を示し、
-R及び-Raは、互いに独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択される)。
【0064】
部分構造又は試薬に関して本明細書において使用する用語「少なくともX% PEGを含むPEG系」は、前記部分構造又は試薬が少なくともX%(w/w)エチレングリコール単位(-CH2CH2O-)を含むことを意味し、前記エチレングリコール単位は、交互ブロック状に配列されていることもあり、又は前記部分構造若しくは試薬内にランダムに分布していることもあり、好ましくは、前記部分構造又は試薬の全てのエチレングリコール単位が1つのブロック内に存在し、そのPEG系部分構造又は試薬の残りの重量百分率は、下記の部分構造及び結合から好ましくは選択される他の部分構造である:
・C1-50アルキル、C2-50アルケニル、C2-50アルキニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル及びテトラリニル、並びに
・以下のものを含む群から選択される結合:
【化7】
(式中、
破線は、前記部分構造又は試薬の残部への結合を示し、
-R及び-Raは、互いに独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択される)。
【0065】
用語「少なくともX%ヒアルロン酸を含むヒアルロン酸系」は適宜使用される。
【0066】
本明細書において使用する用語「置換されている」は、分子又は部分構造の1個以上の-H原子が別の原子又は原子団によって置き換えられていることを意味し、前記別の原子又は原子団を「置換基」と呼ぶ。
【0067】
好ましくは、1つ以上のさらなる任意選択の置換基は、互いに独立して、ハロゲン、-CN、-COORx1、-ORx1、-C(O)Rx1、-C(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2N(Rx1Rx1a)、-S(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2Rx1、-S(O)Rx1、-N(Rx1)S(O)2N(Rx1aRx1b)、-SRx1、-N(Rx1Rx1a)、-NO2、-OC(O)Rx1、-N(Rx1)C(O)Rx1a、-N(Rx1)S(O)2Rx1a、-N(Rx1)S(O)Rx1a、-N(Rx1)C(O)ORx1a、-N(Rx1)C(O)N(Rx1aRx1b)、-OC(O)N(Rx1Rx1a)、-T0、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T0、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Rx1、-Rx1a、-Rx1bは、互いに独立して、-H、-T0、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、前記-T0、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されており、前記C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-;-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各T0は、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され、前記各T0は、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されており、
各Rx2は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORx4、-ORx4、-C(O)Rx4、-C(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2N(Rx4Rx4a)、-S(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2Rx4、-S(O)Rx4、-N(Rx4)S(O)2N(Rx4aRx4b)、-SRx4、-N(Rx4Rx4a)、-NO2、-OC(O)Rx4、-N(Rx4)C(O)Rx4a、-N(Rx4)S(O)2Rx4a、-N(Rx4)S(O)Rx4a、-N(Rx4)C(O)ORx4a、-N(Rx4)C(O)N(Rx4aRx4b)、-OC(O)N(Rx4Rx4a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Rx3、-Rx3a、-Rx4、-Rx4a、-Rx4bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0068】
より好ましくは、1つ以上のさらなる任意選択の置換基は、互いに独立して、ハロゲン、-CN、-COORx1、-ORx1、-C(O)Rx1、-C(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2N(Rx1Rx1a)、-S(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2Rx1、-S(O)Rx1、-N(Rx1)S(O)2N(Rx1aRx1b)、-SRx1、-N(Rx1Rx1a)、-NO2、-OC(O)Rx1、-N(Rx1)C(O)Rx1a、-N(Rx1)S(O)2Rx1a、-N(Rx1)S(O)Rx1a、-N(Rx1)C(O)ORx1a、-N(Rx1)C(O)N(Rx1aRx1b)、-OC(O)N(Rx1Rx1a)、-T0、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T0、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されており、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルには、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-からなる群から選択される1つ以上の基が割り込んでおり、
各-Rx1、-Rx1a、-Rx1b、-Rx3、-Rx3aは、独立して、-H、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニル及びC2-6アルキニルからなる群から選択され、
各T0は、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され、前記各T0は、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されており、
各Rx2は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORx4、-ORx4、-C(O)Rx4、-C(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2N(Rx4Rx4a)、-S(O)N(Rx4Rx4a)、-S(O)2Rx4、-S(O)Rx4、-N(Rx4)S(O)2N(Rx4aRx4b)、-SRx4、-N(Rx4Rx4a)、-NO2、-OC(O)Rx4、-N(Rx4)C(O)Rx4a、-N(Rx4)S(O)2Rx4a、-N(Rx4)S(O)Rx4a、-N(Rx4)C(O)ORx4a、-N(Rx4)C(O)N(Rx4aRx4b)、-OC(O)N(Rx4Rx4a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Rx4、-Rx4a、-Rx4bは、独立して、-H、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニル及びC2-6アルキニルからなる群から選択される。
【0069】
より一層好ましくは、1つ以上のさらなる任意選択の置換基は、互いに独立して、ハロゲン、-CN、-COORx1、-ORx1、-C(O)Rx1、-C(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2N(Rx1Rx1a)、-S(O)N(Rx1Rx1a)、-S(O)2Rx1、-S(O)Rx1、-N(Rx1)S(O)2N(Rx1aRx1b)、-SRx1、-N(Rx1Rx1a)、-NO2、-OC(O)Rx1、-N(Rx1)C(O)Rx1a、-N(Rx1)S(O)2Rx1a、-N(Rx1)S(O)Rx1a、-N(Rx1)C(O)ORx1a、-N(Rx1)C(O)N(Rx1aRx1b)、-OC(O)N(Rx1Rx1a)、-T0、C1-6アルキル、C2-6アルケニル、及びC2-6アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T0、C1-6アルキル、C2-6アルケニル及びC2-6アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されており、前記C1-6アルキル、C2-6アルケニル及びC2-6アルキニルには、-T0-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rx3)-、-S(O)2N(Rx3)-、-S(O)N(Rx3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rx3)S(O)2N(Rx3a)-、-S-、-N(Rx3)-、-OC(ORx3)(Rx3a)-、-N(Rx3)C(O)N(Rx3a)-、及び-OC(O)N(Rx3)-からなる群から選択される1つ以上の基が割り込んでおり、
各-Rx1、-Rx1a、-Rx1b、-Rx2、-Rx3、-Rx3aは、独立して、-H、ハロゲン、C1-6アルキル、C2-6アルケニル及びC2-6アルキニルからなる群から選択され、
各T0は、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され、前記各T0は、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Rx2で場合により置換されている。
【0070】
好ましくは、場合により置換されている分子の最大6個の-H原子は、独立して置換基によって置き換えられており、例えば、5個の-H原子が独立して置換基によって置き換えられており、4個の-H原子が独立して置換基によって置き換えられており、3個の-H原子が独立して置換基によって置き換えられており、2個の-H原子が独立して置換基によって置き換えられており、又は1個の-H原子が置換基によって置き換えられている。
【0071】
用語「割り込んでいる」は、部分構造が、2個の炭素原子間に挿入されている、又は挿入がその部分構造の末端のものである場合、炭素又はヘテロ原子と水素原子の間、好ましくは炭素と水素原子の間に挿入されていることを意味する。
【0072】
用語「スペーサー」は、2つの部分構造を接続するのに好適である任意の部分構造を指す。好ましくは、スペーサーは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aは、互いに独立して、-H、-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、前記-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、前記C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry4)-、-S(O)2N(Ry4)-、-S(O)N(Ry4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry4)S(O)2N(Ry4a)-、-S-、-N(Ry4)-、-OC(ORy4)(Ry4a)-、-N(Ry4)C(O)N(Ry4a)-、及び-OC(O)N(Ry4)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tは、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、各Tは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、
各-Ry2は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORy5、-ORy5、-C(O)Ry5、-C(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2N(Ry5Ry5a)、-S(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2Ry5、-S(O)Ry5、-N(Ry5)S(O)2N(Ry5aRy5b)、-SRy5、-N(Ry5Ry5a)、-NO2、-OC(O)Ry5、-N(Ry5)C(O)Ry5a、-N(Ry5)S(O)2Ry5a、-N(Ry5)S(O)Ry5a、-N(Ry5)C(O)ORy5a、-N(Ry5)C(O)N(Ry5aRy5b)、-OC(O)N(Ry5Ry5a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0073】
より一層好ましくは、スペーサーは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルから選択され、ここで、
-T-、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、及びC2-20アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、前記C1-20アルキル、C2-20アルケニル、及びC2-20アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の置換基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aは、互いに独立して、-H、-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、前記-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、前記C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry4)-、-S(O)2N(Ry4)-、-S(O)N(Ry4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry4)S(O)2N(Ry4a)-、-S-、-N(Ry4)-、-OC(ORy4)(Ry4a)-、-N(Ry4)C(O)N(Ry4a)-、及び-OC(O)N(Ry4)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tは、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、各Tは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、
-Ry2は、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORy5、-ORy5、-C(O)Ry5、-C(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2N(Ry5Ry5a)、-S(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2Ry5、-S(O)Ry5、-N(Ry5)S(O)2N(Ry5aRy5b)、-SRy5、-N(Ry5Ry5a)、-NO2、-OC(O)Ry5、-N(Ry5)C(O)Ry5a、-N(Ry5)S(O)2Ry5a、-N(Ry5)S(O)Ry5a、-N(Ry5)C(O)ORy5a、-N(Ry5)C(O)N(Ry5aRy5b)、-OC(O)N(Ry5Ry5a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び、-Ry5bは、互いに独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0074】
より一層好ましくは、スペーサーは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aは、独立して、-H、-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル、及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、
各Tは、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、
各-Ry2は、独立して、ハロゲン及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び、-Ry5bは、互いに独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0075】
単独で又は組合せで本明細書において使用する用語「C1-4アルキル」は、1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分構造を意味する。分子の末端に存在する場合、直鎖又は分岐C1-4アルキルの例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル及びtert-ブチルである。分子の2つの部分構造がC1-4アルキルによって結合されている場合には、そのようなC1-4アルキル基の例は、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-、-C(CH3)2-である。C1-4アルキル炭素の各水素は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、C1-4アルキルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0076】
単独で又は組合せで本明細書において使用する用語「C1-6アルキル」は、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分岐アルキル部分構造を意味する。分子の末端に存在する場合、直鎖及び分岐C1-6アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル及び3,3-ジメチルプロピルである。分子の2つの部分構造がC1-6アルキル基によって結合されている場合には、そのようなC1-6アルキル基の例は、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-及び-C(CH3)2-である。C1-6炭素の各水素原子は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、C1-6アルキルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0077】
したがって、「C1-10アルキル」、「C1-20アルキル」又は「C1-50アルキル」は、それぞれ、1~10、1~20、又は1~50個の炭素原子を有するアルキル鎖を意味し、C1-10、C1-20又はC1-50炭素の各水素原子は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、C1-10又はC1-50アルキルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0078】
単独で又は組合せで本明細書において使用する用語「C2-6アルケニル」は、2~6個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分構造を意味する。分子の末端に存在する場合、例は、-CH=CH2、-CH=CH-CH3、-CH2-CH=CH2、-CH=CHCH2-CH3及び-CH=CH-CH=CH2である。分子の2つの部分構造がC2-6アルケニルによって結合されている場合には、そのようなC2-6アルケニルの例は、-CH=CH-である。C2-6アルケニル部分構造の各水素原子は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、C2-6アルケニルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0079】
したがって、単独で又は組合せでの用語「C2-10アルケニル」、「C2-20アルケニル」又は「C2-50アルケニル」は、2~10、2~20、又は2~50個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分構造を意味する。C2-10アルケニル、C2-20アルケニル又はC2-50アルケニル基の各水素原子は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、C2-10アルケニル、C2-20アルケニル又はC2-50アルケニルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0080】
単独で又は組合せで本明細書において使用する用語「C2-6アルキニル」は、2~6個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分構造を意味する。分子の末端に存在する場合、例は、-C≡CH、-CH2-C≡CH、CH2-CH2-C≡CH及びCH2-C≡C-CH3である。分子の2つの部分構造がアルキニル基によって結合されている場合には、例は、-C≡C-である。C2-6アルキニル基の各水素原子は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、1つ以上の二重結合が存在してもよい。場合により、C2-6アルキニルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0081】
したがって、単独で又は組合せで本明細書において使用する用語「C2-10アルキニル」、「C2-20アルキニル」又は「C2-50アルキニル」はそれぞれ、2~10、2~20、又は2~50個の炭素原子を有する、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を含む、直鎖又は分岐炭化水素部分構造を意味する。C2-10アルキニル、C2-20アルキニル又はC2-50アルキニル基の各水素原子は、上で定義したような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。場合により、1つ以上の二重結合が存在してもよい。場合により、C2-10アルキニル、C2-20アルキニル又はC2-50アルキニルに下で定義するような1つ以上の部分構造が割り込んでいてもよい。
【0082】
上で述べたように、C1-4アルキル、C1-6アルキル、C1-10アルキル、C1-20アルキル、C1-50アルキル、C2-6アルケニル、C2-10アルケニル、C2-20アルケニル、C2-50アルケニル、C2-6アルキニル、C2-10アルキニル、C2-20アルケニル又はC2-50アルキニルに、1つ以上の部分構造が場合により割り込んでいてもよく、前記1つ以上の部分構造は、好ましくは、
【化8】
(式中、
破線は、前記部分構造又は試薬の残部への結合を示し、
-R及び-Raは、互いに独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択される)
からなる群から選択される。
【0083】
本明細書において使用する用語「C3-10シクロアルキル」は、飽和されていてもよく、又は不飽和であってもよい、3~10個の炭素原子を有する環状アルキル鎖、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル又はシクロデシルを意味する。C3-10シクロアルキル炭素の各水素原子は、上で定義したような置換基によって置き換えられていてもよい。用語「C3-10シクロアルキル」は、ノルボルナン又はノルボルネンのような架橋した二環も含む。
【0084】
用語「8~30員カルボポリシクリル」又は「8~30員炭素多環(carbopolycycle)」は、8~30個の環原子を有し、2つの隣接する環が少なくとも1個の環原子を共有している、2環以上の環状部分構造であって、最大数までの二重結合(完全に飽和されている、部分的に飽和されている、又は不飽和である、芳香族又は非芳香族環)を含有することができる環状部分構造を意味する。好ましくは、8~30員カルボポリシクリルは、2、3、4又は5環、より好ましくは2、3又は4環の環状部分構造を意味する。
【0085】
本明細書において使用する用語「3~10員ヘテロシクリル」又は「3~10員複素環」は、3、4、5、6、7、8、9又は10個の環原子を有し、少なくとも1個の環原子、最大で4個までの環原子が、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素、及び窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられている環であって、最大数までの二重結合(完全に飽和されている、部分的に飽和されている、又は不飽和である、芳香族又は非芳香族環)を含有することができ、炭素又は窒素原子によって分子の残部に結合している環を意味する。3~10員複素環の例としては、アジリジン、オキシラン、チイラン、アジリン、オキシレン、チイレン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソオキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、チアジアゾリジン、スルホラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、テトラゾール、トリアゾ-ル、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ジアゼパン、アゼピン及びホモピペラジンが挙げられるが、これらに限定されない。3~10員ヘテロシクリル又は3~10員複素環式基の各水素原子は、下で定義するような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。
【0086】
本明細書において使用する用語「8~11員ヘテロビシクリル」又は「8~11員複素二環」は、8~11個の環原子を有し、最大数までの二重結合(完全に飽和されている、部分的に飽和されている、又は不飽和である、芳香族又は非芳香族環)を含有することができる、2環の複素環式部分構造であって、少なくとも1個の環原子が、両方の環によって共有されており、少なくとも1個の環原子、最大で6個までの環原子が、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素、及び窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられており、前記環が、炭素又は窒素原子によって分子の残部に結合している、複素環式部分構造を意味する。8~11員複素二環の例は、インドール、インドリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾイミダゾリン、キノリン、キナゾリン、ジヒドロキナゾリン、キノリン、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、デカヒドロキノリン、イソキノリン、デカヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロイソキノリン、ベンザゼピン、プリン及びプテリジンである。用語8~11員複素二環は、1,4-ジオキサ-8-アザスピロ[4.5]デカンのような2環のスピロ構造、又は8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタンのような架橋複素環も含む。8~11員ヘテロビシクリル又は8~11員複素二環炭素の各水素原子は、下で定義するような置換基によって場合により置き換えられていてもよい。
【0087】
同様に、用語「8~30員ヘテロポリシクリル」又は「8~30員複素多環(heteropolycycle)」は、8~30個の環原子を有し、最大数までの二重結合(完全に飽和されている、部分的に飽和されている、又は不飽和である、芳香族又は非芳香族環)を含有することができる、2つより多くの環、好ましくは3、4又は5環の複素環式部分構造であって、2つの隣接する環が、少なくとも1個の環原子を共有しており、少なくとも1個の環原子、最大で10個までの環原子が、硫黄(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素、及び窒素(=N(O)-を含む)の群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられており、前記環が、炭素又は窒素原子によって分子の残部に結合している、複素環式部分構造を意味する。
【0088】
構造:
【化9】
の部分構造に関して、「ペアRx/Ryは、それらが結合している原子と一緒になって、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成する」という句は、Rx及びRyが、下記構造を形成することを意味することが理解される:
【化10】
(式中、Rは、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルである)。
【0089】
構造:
【化11】
の部分構造に関して、「ペアRx/Ryは、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成する」という句は、Rx及びRyが、下記構造を形成することを意味することも理解される:
【化12】
【0090】
本明細書において使用する用語「末端アルキン」は、下記の部分構造を意味する:
【化13】
【0091】
本明細書において使用する「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを意味する。ハロゲンはフルオロ又はクロロであることが一般に好ましい。
【0092】
一般に、用語「含む」又は「含むこと」は、「からなる」又は「からなること」も包含する。
【0093】
式(Ia)及び(Ib)中の-Dは、共有結合性の可逆的な結合によって-L1-と連結されていることが理解される。
【0094】
別の態様において、本発明は、コンジュゲートD-L:
(式中、
-Dは、PTH部分構造であり、
-Lは、可逆的プロドラッグリンカー部分構造-L1-を含み、該部分構造-L1-は、PTHの官能基によってPTH部分構造-Dと連結されており、
-L1-は、-L2-Z'で置換されており、場合によりさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサー部分構造であり、
-Z'は、水不溶性担体部分構造である)
を含む、PTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩に関する。
【0095】
多数の部分構造-L2-L1-Dが、水不溶性担体-Z'と連結されており、-Dと-L1-間の結合は、共有結合性であり可逆的であることが理解される。
【0096】
好ましくは、-Dは、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114又は配列番号115の配列を有する。より好ましくは、-Dは、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号110、配列番号111又は配列番号112の配列を有する。
【0097】
一実施形態において、-Dは、配列番号50の配列を有する。
【0098】
別の実施形態において、-Dは、配列番号52の配列を有する。
【0099】
別の実施形態において、-Dは、配列番号110の配列を有する。
【0100】
別の実施形態において、-Dは、配列番号111の配列を有する。
【0101】
別の実施形態において、-Dは、配列番号112の配列を有する。
【0102】
最も好ましくは、-Dは、配列番号51の配列を有する。
【0103】
部分構造-L1-は、-Dのアミノ酸残基の側鎖の官能基に、-DのN末端アミン官能基若しくはC末端カルボキシル官能基に、又は-Dの骨格ポリペプチド鎖中の窒素原子にコンジュゲートしている。N末端又はC末端いずれかへの結合は、対応するアミン若しくはカルボキシル官能基それぞれによって直接的であってもよく、又は間接的であってもよく、この場合、スペーサー部分構造が先ずアミン若しくはカルボキシル官能基にコンジュゲートし、その官能基にスペーサー部分構造-L1-がコンジュゲートしている。
【0104】
好ましくは、-L1-がコンジュゲートしているPTHのアミノ酸残基は、カルボン酸、一級及び二級アミン、マレイミド、チオール、スルホン酸、カーボネート、カルバメート、ヒドロキシル、アルデヒド、ケトン、ヒドラジン、イソシアネート、イソチオシアネート、リン酸、ホスホン酸、ハロアセチル、ハロゲン化アルキル、アクリロイル、フッ化アリール、ヒドロキシルアミン、スルフェート、ジスルフィド、ビニルスルホン、ビニルケトン、ジアゾアルカン、オキシラン、グアニジン並びにアジリジンからなる群から選択される官能基を含む。より一層好ましくは、-L1-がコンジュゲートしているPTHのアミノ酸残基は、ヒドロキシル、一級及び二級アミン並びにグアニジンからなる群から選択される官能基を含む。より一層好ましくは、-L1-がコンジュゲートしているPTHのアミノ酸残基は、一級及び二級アミン官能基を含む。最も好ましくは、-L1-がコンジュゲートしているPTHのアミノ酸残基は、一級アミン官能基を含む。
【0105】
部分構造-L1-が、PTHのアミノ酸残基の側鎖の官能基にコンジュゲートしている場合、前記アミノ酸残基は、タンパク質構成アミノ酸残基及び非タンパク質構成アミノ酸残基からなる群から選択される。
【0106】
一実施形態において、-L1-は、PTHの非タンパク質構成アミノ酸残基の側鎖の官能基にコンジュゲートしている。そのような非タンパク質構成アミノ酸は、天然PTHの配列又はその断片には見られず、PTHのバリアント、アナログ、オルソログ、ホモログ及び誘導体中にのみ存在することが理解される。
【0107】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのタンパク質構成アミノ酸残基の側鎖の官能基にコンジュゲートしている。好ましくは、前記アミノ酸は、ヒスチジン、リシン、トリプトファン、セリン、トレオニン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸及びアルギニンからなる群から選択される。より一層好ましくは、前記アミノ酸は、リシン、アスパラギン酸、アルギニン及びセリンからなる群から選択される。より一層好ましくは、前記アミノ酸は、リシン、アルギニン及びセリンからなる群から選択される。
【0108】
一実施形態において、-L1-は、PTHのヒスチジンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0109】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのリシンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0110】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのトリプトファンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0111】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのセリンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0112】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのトレオニンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0113】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのチロシンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0114】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのアスパラギン酸の側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0115】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのグルタミン酸の側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0116】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのアルギニンの側鎖の官能基にコンジュゲートしている。
【0117】
全てのPTH部分構造は、これらのアミノ酸残基の全てを含むことができるとは限らないことが理解される。
【0118】
好ましい実施形態において、-L1-は、PTHのN末端アミン官能基に、対応するアミン官能基によって直接的にコンジュゲートしているか、又は間接的にコンジュゲートしており、この場合、スペーサー部分構造が先ずアミン官能基にコンジュゲートし、その官能基にスペーサー部分構造-L1-がコンジュゲートしている。より一層好ましくは、-L1-は、PTH、好ましくはPTH 1-34、すなわち配列番号51の配列を有するPTH、のN末端アミン官能基と直接的にコンジュゲートしている。
【0119】
驚くべきことに、-L1-のN末端結合、すなわち、PTHのN末端への-L1-の結合は有利であることが判明した。なぜなら、そのような結合部位は、PTH活性に極めて重要であるN末端を保護することが判明したからである。さらに、驚くべきことに、-L1-のN末端への結合を有するPTHプロドラッグから形成される主要代謝物は、PTH 1-33、すなわち、PTHの33個のN末端アミノ酸であることが判明した。この代謝物が活性であることは公知である。
【0120】
別の実施形態において、-L1-は、PTHのC末端アミン官能基に、対応するカルボキシル官能基によって直接的にコンジュゲートしているか、又は間接的にコンジュゲートしており、この場合、スペーサー部分構造が先ずカルボキシル官能基にコンジュゲートし、その官能基にスペーサー部分構造-L1-がコンジュゲートしている。
【0121】
最も好ましくは、L1-は、PTHのN末端アミン官能基と直接的にコンジュゲートしている。
【0122】
部分構造-L1-は、可逆的であることを条件にいずれのタイプの結合によって-Dと連結されていてもよい。好ましくは、-L1-は、アミド、エステル、カルバメート、アセタール、アミナール、イミン、オキシム、ヒドラゾン、ジスルフィド及びアシルグアニジンからなる群から選択される結合によって、-Dと連結されている。より一層好ましくは、-L1-は、アミド、エステル、カルバメート及びアシルグアニジンからなる群から選択される結合によって、-Dと連結されている。これらの結合の一部は、それ自体は可逆的でないこと、しかし、本発明では-L1-に含まれる隣接基がこれらの結合を可逆的にさせることが理解される。
【0123】
一実施形態において、-L1-は、エステル結合によって-Dと連結されている。
【0124】
別の実施形態において、-L1-は、カルバメート結合によって-Dと連結されている。
【0125】
別の実施形態において、-L1-は、アシルグアニジンによって-Dと連結されている。
【0126】
好ましい実施形態において、-L1-は、アミド結合によって-Dと連結されている。
【0127】
部分構造-L1-は、薬物、すなわちPTHがその遊離形態で放出される可逆的プロドラッグリンカーであり、すなわち、痕跡を残さないプロドラッグリンカーである。好適なプロドラッグリンカー、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO 2005/099768 A2、WO 2006/136586 A2、WO 2011/089216 A1及びWO 2013/024053 A1に開示されている可逆的プロドラッグリンカー部分構造などは、当技術分野において公知である。
【0128】
別の実施形態において、-L1-は、参照により本明細書に組み込まれるWO 2011/012722 A1、WO 2011/089214 A1、WO 2011/089215 A1、WO 2013/024052 A1及びWO 2013/160340 A1に記載されているような可逆的プロドラッグリンカーである。
【0129】
特に好ましい部分構造-L1-は、WO 2009/095479 A2に開示されている。したがって、好ましい実施形態において、部分構造-L1-は、式(II):
【化14】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dの窒素、ヒドロキシル又はチオールへの結合を示し、
-X-は、-C(R4R4a)-、-N(R4)-、-O-、-C(R4R4a)-C(R5R5a)-、-C(R5R5a)-C(R4R4a)-、-C(R4R4a)-N(R6)-、-N(R6)-C(R4R4a)-、-C(R4R4a)-O-、-O-C(R4R4a)-、又は-C(R7R7a)-であり、
X1は、C、又はS(O)であり、
-X2-は、-C(R8R8a)-、又は-C(R8R8a)-C(R9R9a)-であり、
=X3は、=O、=S、又は=N-CNであり、
-R1、-R1a、-R2、-R2a、-R4、-R4a、-R5、-R5a、-R6、-R8、-R8a、-R9、-R9aは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
-R3、-R3aは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、但し、-R3、-R3aの一方又は両方が-H以外である場合、それらは、それらが結合しているNに、SP3混成炭素原子によって連結され、
-R7は、-N(R10R10a)、又は-NR10-(C=O)-R11であり、
-R7a、-R10、-R10a、-R11は、互いに独立して、-H、又はC1-6アルキルであり、
場合により、ペア-R1a/-R4a、-R1a/-R5a、-R1a/-R7a、-R4a/-R5a、-R8a/-R9aのうちの1つ以上は、化学結合を形成し、
場合により、ペア-R1/-R1a、-R2/-R2a、-R4/-R4a、-R5/-R5a、-R8/-R8a、-R9/-R9aのうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成し、
場合により、ペア-R1/-R4、-R1/-R5、-R1/-R6、-R1/-R7a、-R4/-R5、-R4/-R6、-R8/-R9、-R2/-R3のうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成し、
場合により、R3/R3aは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3~10員複素環を形成し、
Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択される)を有し、
-L1-が、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、-L1-がさらに置換されており、但し式(II)中のアスタリスクが付いている水素は、-L2-Z又は-L2-Z'又は置換基によって置き換えられず、
-L2-が、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zが、水溶性担体であり、
-Z'が、水不溶性担体である。
【0130】
好ましくは、式(II)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0131】
一実施形態において、式(II)の-L1-は、さらに置換されていない。
【0132】
式(II)の-R3/-R3aが、それらが結合している窒素原子と一緒になって3~10員複素環を形成する場合、窒素に直接結合している原子がSP3混成炭素原子である、そのような3~10員複素環のみが形成されうることが理解される。言い換えると、-R3/-R3aとそれらが結合している窒素原子とによって形成されるそのような3~10員複素環は、以下の構造を有する:
【化15】
(式中、
破線は、-L1-の残部への結合を示し、
環は、少なくとも1個の窒素原子を含む、3~10個の原子を含み、並びに
R#及びR##は、SP3混成炭素原子を表す)。
【0133】
3~10員複素環がさらに置換されていてもよいことも理解される。
【0134】
式(II)の-R3/-R3aとそれらが結合している窒素原子とによって形成される好適な3~10員複素環の例示的実施形態は、下記のものである:
【化16】
(式中、
破線は、分子の残部への結合を示し、
-Rは、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択される)。
【0135】
場合により、式(II)の-L1-はさらに置換されていてもよい。一般に、切断の原則に影響を与えない限りいずれの置換基を使用してもよく、すなわち、式(II)中のアスタリスクが付いている水素は置き換えられず、式(II)の部分構造
【化17】
の窒素は、一級、二級又は三級アミンの一部のままであり、すなわち、-R3及び-R3aは、互いに独立して-Hであるか、又はSP3混成炭素原子によって-N<と連結されている。
【0136】
一実施形態において、式(II)の-R1又は-R1aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R2又は-R2aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R3又は-R3aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R4は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R5又は-R5aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R6は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R7又は-R7aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R8又は-R8aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。別の実施形態において、式(II)の-R9又は-R9aは、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。別の実施形態において、-R10は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。別の実施形態において、-R11は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0137】
好ましくは、式(II)の-X-は、-C(R4R4a)-、-N(R4)-及び-C(R7R7a)-からなる群から選択される。
【0138】
一実施形態において、式(II)の-X-は、-C(R4R4a)-である。
【0139】
1つの好ましい実施形態において、式(II)の-X-は、-C(R7R7a)-である。
【0140】
好ましくは、式(II)の-R7は、-NR10-(C=O)-R11である。
【0141】
好ましくは、式(II)の-R7aは、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、式(II)の-R7aは、-Hである。
【0142】
好ましくは、-R10は、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、-R10は、メチルである。
【0143】
好ましくは、-R11は、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、-R11は、-Hである。
【0144】
好ましくは、-R11は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0145】
別の好ましい実施形態において、式(II)の-X-は、-N(R4)-である。
【0146】
好ましくは、-R4は、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。好ましくは、-R4は、-Hである。
【0147】
好ましくは、式(II)のX1は、Cである。
【0148】
好ましくは、式(II)の=X3は、=Oである。
【0149】
好ましくは、式(II)の-X2-は、-C(R8R8a)-である。
【0150】
好ましくは、式(II)の-R8及び-R8aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(II)の-R8及び-R8aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(II)の-R8と-R8aの両方が-Hである。
【0151】
好ましくは、式(II)の-R1及び-R1aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。
【0152】
1つの好ましい実施形態において、式(II)の-R1及び-R1aの少なくとも一方は、-Hであり、より好ましくは、式(II)の-R1と-R1aの両方が-Hである。
【0153】
別の好ましい実施形態において、式(II)の-R1及び-R1aの少なくとも一方はメチルであり、より好ましくは、式(II)の-R1と-R1aの両方がメチルである。
【0154】
好ましくは、式(II)の-R2及び-R2aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(II)の-R2及び-R2aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(II)の-R2と-R2aの両方がHである。
【0155】
好ましくは、式(II)の-R3及び-R3aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。
【0156】
1つの好ましい実施形態において、式(II)の-R3及び-R3aの少なくとも一方はメチルであり、より好ましくは、式(II)の-R3は、メチルであり、式(II)の-R3aは、-Hである。
【0157】
別の好ましい実施形態において、式(II)の-R3と-R3aの両方が-Hである。
【0158】
好ましくは、-Dは、アミド結合を形成することにより、窒素によって-L1-と連結されている。
【0159】
1つの好ましい実施形態において、部分構造-L1-は、式(IIa-i):
【化18】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
-R1、-R1a、-R2、-R2a、-R3、-R3a、-R7、-R7a及び-X2-は、式(II)に関して定義した通りに使用している)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-は、さらに置換されており、但し式(IIa-i)中のアスタリスクが付いている水素は、-L2-Z又は-L2-Z'又は置換基によって置き換えられない。
【0160】
好ましくは、式(IIa-i)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0161】
好ましくは、式(IIa-i)の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0162】
好ましくは、式(IIa-i)の-R1及び-R1aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIa-i)の-R1及び-R1aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIa-i)の-R1と-R1aの両方が-Hである。
【0163】
好ましくは、式(IIa-i)の-R7は、-NR10-(C=O)-R11である。
【0164】
好ましくは、式(II-i)の-R7aは、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、式(II-i)の-R7aは、-Hである。
【0165】
好ましくは、式(IIa-i)の-R10は、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、式(IIa-i)の-R10は、メチルである。
【0166】
好ましくは、式(IIa-i)の-R11は、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、式(IIa-i)の-R11は、-Hである。
【0167】
好ましくは、式(IIa-i)の-R11は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0168】
好ましくは、式(IIa-i)の-X2-は、-C(R8R8a)-である。
【0169】
好ましくは、式(IIa-i)の-R8及び-R8aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIa-i)の-R8及び-R8aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIa-i)の-R8と-R8aの両方が-Hである。
【0170】
好ましくは、式(IIa-i)の-R2及び-R2aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIa-i)の-R2及び-R2aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIa-i)の-R2と-R2aの両方がHである。
【0171】
好ましくは、式(IIa-i)の-R3及び-R3aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。より一層好ましくは、式(IIa-i)の-R3及び-R3aの少なくとも一方は、メチルである。
【0172】
好ましくは、式(IIa-i)のR3は、-Hであり、式(IIa-i)の-R3aは、メチルである。
【0173】
より好ましくは、部分構造-L1-は、式(IIa-ii):
【化19】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
-R2、-R2a、-R10、-R11及び-X2-は、式(II)に関して定義した通りに使用している)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、但し式(IIa-ii)中のアスタリスクが付いている水素が-L2-Z又は-L2-Z'又は置換基によって置き換えられない。
【0174】
好ましくは、式(IIa-ii)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0175】
好ましくは、式(IIa-ii)の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0176】
好ましくは、式(IIa-ii)の-X2-は、-C(R8R8a)-である。
【0177】
好ましくは、式(IIa-ii)の-R8及び-R8aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIa-ii)の-R8及び-R8aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIa-ii)の-R8と-R8aの両方が-Hである。
【0178】
好ましくは、式(IIa-ii)の-R3及び-R3aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。より一層好ましくは、式(IIa-ii)の-R3及び-R3aの少なくとも一方は、メチルである。
【0179】
好ましくは、式(IIa-ii)の-R3は、-Hであり、式(IIa-ii)の-R3aは、メチルである。
【0180】
好ましくは、式(IIa-ii)の-R10は、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、式(IIa-ii)の-R10は、メチルである。
【0181】
好ましくは、式(IIa-ii)の-R11は、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、式(IIa-ii)の-R11は、-Hである。
【0182】
好ましくは、式(IIa-ii)の-R11は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0183】
より一層好ましい実施形態において、部分構造-L1-は、式(IIa-ii'):
【化20】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造であるDの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、-L2-への結合を示し、
-R3、-R3a、-R10及び-X2-は、式(II)に関して定義した通りに使用している)
を有し、
前記-L1-は、場合によりさらに置換されており、但し式(IIa-ii')中のアスタリスクが付いている水素は、置換基によって置き換えられない。
【0184】
好ましくは、式(IIa-ii')の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0185】
好ましくは、式(IIa-ii')の-X2-は、-C(R8R8a)-である。
【0186】
好ましくは、式(IIa-ii')の-R8及び-R8aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIa-ii')の-R8及び-R8aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIa-ii')の-R8と-R8aの両方が-Hである。
【0187】
好ましくは、式(IIa-ii')の-R3及び-R3aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。より一層好ましくは、式(IIa-ii')の-R3及び-R3aの少なくとも一方は、メチルである。
【0188】
好ましくは、式(IIa-ii')の-R3は、-Hであり、式(IIa-ii')の-R3aは、メチルである。
【0189】
好ましくは、式(IIa-ii')の-R10は、-H、メチル及びエチルから選択される。最も好ましくは、式(IIa-ii')の-R10は、メチルである。
【0190】
より一層好ましくは、部分構造-L1-は、式(IIa-iii):
【化21】
(式中、破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示す)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、
前記-L1-は、場合によりさらに置換されており、但し式(IIa-iii)中のアスタリスクが付いている水素が-L2-Z又は-L2-Z'又は置換基によって置き換えられない。
【0191】
好ましくは、式(IIa-iii)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0192】
好ましくは、式(IIa-iii)の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0193】
最も好ましくは、部分構造-L1-は、式(IIa-iii'):
【化22】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造であるDの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、-L2-への結合を示し、
-R2、-R2a、-R3、-R3a、及び-X2-は、式(II)に関して定義した通りに使用している)
を有し、
前記-L1-は、場合によりさらに置換されており、但し式(IIa-iii')中のアスタリスクが付いている水素は、置換基によって置き換えられない。
【0194】
好ましくは、式(IIa-iii')の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0195】
別の好ましい実施形態において、部分構造-L1-は、式(IIb-i):
【化23】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
-R1、-R1a、-R2、-R2a、-R3、-R3a、-R4、及び-X2は、式(II)に関して定義した通りに使用している)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、前記-L1-は、場合によりさらに置換されており、但し式(IIb-i)中のアスタリスクが付いている水素が-L2-Z又は-L2-Z'又は置換基によって置き換えられない。
【0196】
好ましくは、式(IIb-i)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0197】
好ましくは、式(IIb-i)の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0198】
好ましくは、式(IIb-i)の-R1及び-R1aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-i)の-R1及び-R1aの少なくとも一方は、メチルである。より一層好ましくは、式(IIb-i)の-R1と-R1aの両方がメチルである。
【0199】
好ましくは、式(IIb-i)の-R4は、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-i)の-R4は、-Hである。
【0200】
好ましくは、式(IIb-i)の-X2-は、-C(R8R8a)-である。
【0201】
好ましくは、式(IIb-i)の-R8及び-R8aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-i)の-R8及び-R8aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-i)の-R8と-R8aの両方が-Hである。
【0202】
好ましくは、式(IIb-i)の-R2及び-R2aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-i)の-R2及び-R2aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-i)の-R2と-R2aの両方がHである。
【0203】
好ましくは、式(IIb-i)の-R3及び-R3aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。より一層好ましくは、式(IIb-i)の-R3及び-R3aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-i)の-R3と-R3aの両方が-Hである。
【0204】
より好ましくは、部分構造-L1-は、式(IIb-ii):
【化24】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
-R2、-R2a、-R3、-R3a及び-X2-は、式(II)に関して定義した通りに使用している)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-は、さらに置換されており、但し式(IIb-ii)中のアスタリスクが付いている水素は、-L2-Z又は-L2-Z'又は置換基によって置き換えられない。
【0205】
好ましくは、式(IIb-ii)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0206】
好ましくは、式(IIb-ii)の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0207】
好ましくは、式(IIb-ii)の-X2-は、-C(R8R8a)-である。
【0208】
好ましくは、式(IIb-ii)の-R8及び-R8aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-ii)の-R8及び-R8aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-ii)の-R8と-R8aの両方が-Hである。
【0209】
好ましくは、式(IIb-ii)の-R2及び-R2aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-ii)の-R2及び-R2aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-ii)の-R2と-R2aの両方がHである。
【0210】
好ましくは、式(IIb-ii)の-R3及び-R3aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。より一層好ましくは、式(IIb-ii)の-R3及び-R3aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-ii)の-R3と-R3aの両方が-Hである。
【0211】
より一層好ましくは、部分構造-L1-は、式(IIb-ii'):
【化25】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
-R2、-R2a、-R3、-R3a及び-X2-は、式(II)に関して定義した通りに使用している)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-は、さらに置換されており、但し式(IIb-ii')中のアスタリスクが付いている水素は、-L2-Z又は-L2-Z'又は置換基によって置き換えられない。
【0212】
好ましくは、式(IIb-ii')の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0213】
好ましくは、式(IIb-ii')の-X2-は、-C(R8R8a)-である。
【0214】
好ましくは、式(IIb-ii')の-R8及び-R8aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-ii')の-R8及び-R8aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-ii')の-R8と-R8aの両方が-Hである。
【0215】
好ましくは、式(IIb-ii')の-R2及び-R2aは、独立して、-H、メチル及びエチルからなる群から選択される。より好ましくは、式(IIb-ii')の-R2及び-R2aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-ii')の-R2と-R2aの両方が-Hである。
【0216】
好ましくは、式(IIb-ii')の-R3及び-R3aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。より一層好ましくは、式(IIb-ii')の-R3及び-R3aの少なくとも一方は、-Hである。より一層好ましくは、式(IIb-ii')の-R3と-R3aの両方が-Hである。
【0217】
より一層好ましくは、部分構造-L1-は、式(IIb-iii):
【化26】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示す)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-は、さらに置換されており、但し式(IIb-iii)中のアスタリスクが付いている水素は、-L2-Z又は-L2-Z'又は置換基によって置き換えられない。
【0218】
好ましくは、式(IIb-iii)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0219】
好ましくは、式(IIb-iii)の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0220】
最も好ましくは、部分構造-L1-は、式(IIb-iii'):
【化27】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
-R2、-R2a、-R3、-R3a、及び-X2-は、式(II)に関して定義した通りに使用している)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-は、さらに置換されており、但し式(IIb-iii')中のアスタリスクが付いている水素は、-L2-Z又は-L2-Z'又は置換基によって置き換えられない。
【0221】
好ましくは、式(IIb-iii')の部分構造-L1-は、さらに置換されていない。
【0222】
別の好ましい部分構造-L1-は、出願番号PCT/EP2015/067929を有する国際出願に対応する、未公開欧州特許第14180004号に開示されている。したがって、別の好ましい実施形態において、部分構造-L1-は、式(III):
【化28】
(式中、
破線は、それぞれ、PTH部分構造である-Dの一級若しくは二有アミン又はヒドロキシルへのアミド又はエステル結合を形成することによる結合を示し、
-R1、-R1a、-R2、-R2a、-R3及び-R3aは、互いに独立して、-H、-C(R8R8aR8b)、-C(=O)R8、-C≡N、-C(=NR8)R8a、-CR8(=CR8aR8b)、-C≡CR8及び-Tからなる群から選択され、
-R4、-R5及び-R5aは、互いに独立して、-H、-C(R9R9aR9b)及び-Tからなる群から選択され、
a1及びa2は、互いに独立して、0又は1であり、
各-R6、-R6a、-R7、-R7a、-R8、-R8a、-R8b、-R9、-R9a、-R9bは、互いに独立して、-H、ハロゲン、-CN、-COOR10、-OR10、-C(O)R10、-C(O)N(R10R10a)、-S(O)2N(R10R10a)、-S(O)N(R10R10a)、-S(O)2R10、-S(O)R10、-N(R10)S(O)2N(R10aR10b)、-SR10、-N(R10R10a)、-NO2、-OC(O)R10、-N(R10)C(O)R10a、-N(R10)S(O)2R10a、-N(R10)S(O)R10a、-N(R10)C(O)OR10a、-N(R10)C(O)N(R10aR10b)、-OC(O)N(R10R10a)、-T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、及びC2-20アルキニルからなる群から選択され、ここで、前記-T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-R11で場合により置換されており、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R12)-、-S(O)2N(R12)-、-S(O)N(R12)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R12)S(O)2N(R12a)-、-S-、-N(R12)-、-OC(OR12)(R12a)-、-N(R12)C(O)N(R12a)-、及び-OC(O)N(R12)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各-R10、-R10a、-R10bは、独立して、-H、-T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルからなる群から選択され、前記-T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-R11で場合により置換されており、前記C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R12)-、-S(O)2N(R12)-、-S(O)N(R12)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R12)S(O)2N(R12a)-、-S-、-N(R12)-、-OC(OR12)(R12a)-、-N(R12)C(O)N(R12a)-、及び-OC(O)N(R12)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tは、互いに独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択され、前記各Tは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-R11で場合により置換されており、
各-R11は、互いに独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR13、-OR13、-C(O)R13、-C(O)N(R13R13a)、-S(O)2N(R13R13a)、-S(O)N(R13R13a)、-S(O)2R13、-S(O)R13、-N(R13)S(O)2N(R13aR13b)、-SR13、-N(R13R13a)、-NO2、-OC(O)R13、-N(R13)C(O)R13a、-N(R13)S(O)2R13a、-N(R13)S(O)R13a、-N(R13)C(O)OR13a、-N(R13)C(O)N(R13aR13b)、-OC(O)N(R13R13a)、及びC1-6アルキルから選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-R12、-R12a、-R13、-R13a、-R13bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
場合により、ペア-R1/-R1a、-R2/-R2a、-R3/-R3a、-R6/-R6a、-R7/-R7aのうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成し、
場合により、ペア-R1/-R2、-R1/-R3、-R1/-R4、-R1/-R5、-R1/-R6、-R1/-R7、-R2/-R3、-R2/-R4、-R2/-R5、-R2/-R6、-R2/-R7、-R3/-R4、-R3/-R5、-R3/-R6、-R3/-R7、-R4/-R5、-R4/-R6、-R4/-R7、-R5/-R6、-R5/-R7、-R6/-R7のうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成し、
Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択される)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zは、水溶性担体であり、
-Z'は、水不溶性担体である。
【0223】
式(III)の-L1-の任意選択のさらなる置換基は、好ましくは、上に記載した通りである。
【0224】
好ましくは、式(III)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0225】
一実施形態において、式(III)の-L1-は、さらに置換されていない。
【0226】
-L1-についてのさらなる好ましい実施形態は、欧州特許第1536334号B1、WO2009/009712A1、WO2008/034122A1、WO2009/143412A2、WO2011/082368A2、及び米国特許第8,618,124号B2に開示されており、前記特許文献は、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。
【0227】
-L1-についてのさらなる好ましい実施形態は、米国特許第8,946,405号B2及び米国特許第8,754,190号B2に開示されており、前記特許文献は、参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる。したがって、好ましい部分構造-L1-は、式(IV):
【化29】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dへの結合を示し、前記結合は、-OH、-SH及び-NH2からなる群から選択される-Dの官能基によるものであり、
mは、0又は1であり、
-R1及び-R2の少なくとも一方又は両方は、互いに独立して、-CN、-NO2、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているアルケニル、場合により置換されているアルキニル、-C(O)R3、-S(O)R3、-S(O)2R3、及び-SR4からなる群から選択され、
-R1及び-R2の一方及び一方のみは、-H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアリールアルキル、及び場合により置換されているヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
-R3は、-H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアリールアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、場合により置換されているヘテロアリールアルキル、-OR9及び-N(R9)2からなる群から選択され、
-R4は、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアリールアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
各-R5は、独立して、-H、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルケニルアルキル、場合により置換されているアルキニルアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアリールアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
-R9は、-H及び場合により置換されているアルキルからなる群から選択され、
-Y-は、存在せず、及び-X-は、-O-若しくは-S-であり、又は
-Y-は、-N(Q)CH2-であり、-X-は、-O-であり、
Qは、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているアリールアルキル、場合により置換されているヘテロアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールアルキルからなる群から選択され、
場合により、-R1とR2が一緒になって、3~8員環を形成することもあり、並びに
場合により、両方の-R9は、それらが結合している窒素と一緒になって、複素環式環を形成する)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zは、水溶性担体であり、
-Z'は、水不溶性担体である。
【0228】
専ら式(IV)との関連で使用する用語は、以下の意味を有する:
ここで使用する用語「アルキル」は、炭素1~8個、又は一部の実施形態では炭素原子1~6個又は1~4個の直鎖状、分岐又は環状飽和炭化水素基を含む。
【0229】
用語「アルコキシ」は、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、シクロプロポキシ、シクロブトキシ及びこれらに類するものをはじめとする、酸素に結合しているアルキル基を含む。
【0230】
用語「アルケニル」は、炭素-炭素二重結合を有する非芳香族不飽和炭化水素を含む。
【0231】
用語「アルキニル」は、炭素-炭素三重結合を有する非芳香族不飽和炭化水素を含む。
【0232】
用語「アリール」は、フェニル、ナフチル及びアントラセニルなどの基をはじめとする、炭素6~18個、好ましくは炭素6~10個の芳香族炭化水素基を含む。用語「ヘテロアリール」は、ピロリル、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、キノリル、インドリル、インデニル及びこれらに類するものなどの基をはじめとする、3~15個の炭素原子を含み、少なくとも1個のN、O又はS原子を含有する、好ましくは、3~7個の炭素原子を含み、少なくとも1個のN、O又はS原子を含有する、芳香族環を含む。
【0233】
場合によっては、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール部分構造は、アルキレン結合によって分子の残部にカップリングされていることもある。これらの状況下の置換基をアルケニルアルキル、アルキニルアルキル、アリールアルキル又はヘテロアリールアルキルと呼ぶことになり、これらは、アルキレン部分構造が、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール部分構造と、該アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールがカップリングされている分子との間にあることを示す。
【0234】
用語「ハロゲン」は、ブロモ、フルオロ、クロロ及びヨードを含む。
【0235】
用語「複素環式環」は、3~7個の炭素原子と少なくとも1個のN、O又はS原子とを含む、4~8員芳香族又は非芳香族環を指す。例は、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピラニル、ピロリジン及びテトラヒドロフラニル、並びに用語「ヘテロアリール」について上で提供した好例の基である。
【0236】
環系が場合により置換されているとき、好適な置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル又はさらなる環からなる群から選択され、これらの各々は、場合によりさらに置換されている。上記のものを含むいずれかの基に対する任意選択の置換基としては、ハロ、ニトロ、シアノ、-OR、-SR、-NR2、-OCOR、-NRCOR、-COOR、-CONR2、-SOR、-SO2R、-SONR2、-SO2NR2が挙げられ、ここで各Rは、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール若しくはヘテロアリールであるか、又は2つのR基は、それらが結合している原子と協働して環を形成する。
【0237】
好ましくは、式(IV)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0238】
-L1-についてのさらなる好ましい実施形態は、WO2013/036857A1に開示されており、この特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。したがって、好ましい部分構造-L1-は、式(V):
【化30】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dへの結合を示し、前記結合は、-Dのアミン官能基によるものであり、
-R1は、場合により置換されているC1-C6直鎖状、分岐又は環状アルキル、場合により置換されているアリール、場合により置換されているヘテロアリール、アルコキシ、及び-NR5 2からなる群から選択され、
-R2は、-H、場合により置換されているC1-C6アルキル、場合により置換されているアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールからなる群から選択され、
-R3は、-H、場合により置換されているC1-C6アルキル、場合により置換されているアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールからなる群から選択され、
-R4は、-H、場合により置換されているC1-C6アルキル、場合により置換されているアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールからなる群から選択され、
各-R5は、互いに独立して、-H、場合により置換されているC1-C6アルキル、場合により置換されているアリール、及び場合により置換されているヘテロアリールからなる群から選択され、又は協働する場合、2つの-R5がシクロアルキル若しくはシクロヘテロアルキルになりうる)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zは、水溶性担体であり、
-Z'は、水不溶性担体である。
【0239】
専ら式(V)との関連で使用する用語は、以下の意味を有する:
「アルキル」、「アルケニル」及び「アルキニル」は、アルキルが飽和炭化水素であり、アルケニルが1つ以上の炭素-炭素二重結合を含み、及びアルキニルが1以上の炭素-炭素三重結合を含む、炭素1~8個、又は1~6個、又は1~4個の直鎖状、分岐又は環状炭化水素基を含む。別段の指定がない限り、これらは1~6個のCを含有する。
【0240】
「アリール」は、フェニル、ナフチル及びアントラセニンなどの基をはじめとする、炭素6~18個、好ましくは炭素6~10個の芳香族炭化水素基を含む。「ヘテロアリール」は、ピロリル、ピリジル、ピリミジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、キノリル、インドリル、インデニル及びこれらに類するものなどの基をはじめとする、3~15個の炭素を含み、少なくとも1個のN、O又はS原子を含有する、好ましくは、3~7個の炭素を含み、少なくとも1個のN、O又はS原子を含有する、芳香族環を含む。
【0241】
用語「置換されている」は、1個以上の水素原子の代わりに1つ以上の置換基を含む、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリール基を意味する。置換基は、一般に、ハロゲン(F、Cl、Br及びIを含む)、低級アルキル(直鎖状のもの、分岐したもの及び環状のものを含む)、低級ハロアルキル(フルオロアルキル、クロロアルキル、ブロモアルキル及びヨードアルキルを含む)、OH、低級アルコキシ(直鎖状のもの、分岐したもの及び環状のものを含む)、SH、低級アルキルチオ(直鎖状のもの、分岐したもの及び環状のものを含む)、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シリル(アルキルシリル、アルコキシシリル及びアリールシリルを含む)、ニトロ、シアノ、カルボニル、カルボン酸、カルボン酸エステル、カルボン酸アミド、アミノカルボニル、アミノアシル、カルバメート、尿素、チオカルバメート、チオ尿素、ケテン、スルホン、スルホンアミド、アリール(フェニル、ナフチル及びアントラセニルを含む)、ヘテロアリール(ピロール、イミダゾール、フラン、チオフェン、オキサゾール、チアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、オキサジアゾール及びテトラゾールをはじめとする5員ヘテロアリール、ピリジン、ピリミジン及びピラジンをはじめとする6員ヘテロアリール、並びにベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソオキサゾール及びベンゾイソチアゾールをはじめとする縮合ヘテロアリールを含む)から選択され得る。
【0242】
好ましくは、式(V)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0243】
-L1-についてのさらなる好ましい実施形態は、米国特許第7,585,837号B2に開示されており、この特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。したがって、好ましい部分構造-L1-は、式(VI):
【化31】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dへの結合を示し、前記結合は、-Dのアミン官能基によるものであり、
R1及びR2は、独立して、水素、アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アリール、アルカリル、アラルキル、ハロゲン、ニトロ、-SO3H、-SO2NHR5、アミノ、アンモニウム、カルボキシル、PO3H2及びOPO3H2からなる群から選択され、
R3、R4及びR5は、独立して、水素、アルキル及びアリールからなる群から選択される)を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zは、水溶性担体であり、
-Z'は、水不溶性担体である。
【0244】
式(VI)の好適な置換基は、アルキル(例えば、C1-6アルキル)、アルケニル(例えば、C2-6アルケニル)、アルキニル(例えば、C2-6アルキニル)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ヘテロアリール(例えば、芳香族4~7員複素環)又はハロゲン部分構造である。
【0245】
専ら式(VI)との関連で使用する用語は、以下の意味を有する:
用語「アルキル」、「アルコキシ」、「アルコキシアルキル」、「アリール」、「アルカリル」及び「アラルキル」は、炭素原子1~8個、好ましくは1~4個のアルキル基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びブチル、並びに炭素原子6~10個のアリール基、例えば、フェニル及びナフチルを意味する。用語「ハロゲン」は、ブロモ、フルオロ、クロロ及びヨードを含む。
【0246】
好ましくは、式(VI)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0247】
-L1-についてのさらなる好ましい実施形態は、WO2002/089789A1に開示されており、この特許文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。したがって、好ましい部分構造-L1-は、式(VII):
【化32】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dへの結合を示し、前記結合は、-Dのアミン官能基によるものであり、
L1は、二官能性結合基であり、
Y1及びY2は、独立して、O、S又はNR7であり、
R2、R3、R4、R5、R6及びR7は、独立して、水素、C1-6アルキル、C3-12分岐アルキル、C3-8シクロアルキル、C1-6置換アルキル、C3-8置換シクロアルキル、アリール、置換アリール、アラルキル、C1-6ヘテロアルキル、置換C1-6ヘテロアルキル、C1-6アルコキシ、フェノキシ及びC1-6ヘテロアルコキシからなる群から選択され、
Arは、式(VII)に含まれる場合、多置換芳香族炭化水素又は多置換複素環式基を形成する部分構造であり、
Xは、化学結合、又は標的細胞に能動輸送される部分構造、疎水性部分構造、又はこれらの組合せであり、
Yは、0又は1である)
を有し、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサー部分構造であり、
-Zは、水溶性担体であり、
-Z'は、水不溶性担体である。
【0248】
専ら式(VII)との関連で使用する用語は、以下の意味を有する:
用語「アルキル」は、例えば、アルコキシ、C3-8シクロアルキル又は置換シクロアルキルなどをはじめとする直鎖状、分岐、置換C1-12アルキルを含むと解されるものとする。
【0249】
用語「置換されている」は、官能基又は化合物に含有される1個以上の原子を付加させること及び1個以上の異なる原子で置き換えることを含むと解されるものとする。
【0250】
置換アルキルは、カルボキシアルキル、アミノアルキル、ジアルキルアミノ、ヒドロキシアルキル及びメルカプトアルキルを含み、置換シクロアルキルは、4-クロロシクロヘキシルなどの部分構造を含み、アリールは、ナフチルなどの部分構造を含み、置換アリールは、3-ブロモ-フェニルなどの部分構造を含み、アラルキルは、トルイルなどの部分構造を含み、ヘテロアルキルは、エチルチオフェンなどの部分構造を含み、置換ヘテロアルキルは、3-メトキシチオフェンなどの部分構造を含み、アルコキシは、メトキシなどの部分構造を含み、及びフェノキシは、3-ニトロフェノキシなどの部分構造を含む。ハロ-は、フルオロ、クロロ、ヨード及びブロモを含むと解されるものとする。
【0251】
好ましくは、式(VII)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0252】
別の好ましい実施形態において、-L1-は、式(VIII)のサブ構造
【化33】
(式中、
アスタリスクが付いている破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
印の付いていない破線は、-L1-の残部への結合を示す)
を含み、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、ここで、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zは、水溶性担体であり、
-Z'は、水不溶性担体である。
【0253】
好ましくは、式(VIII)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0254】
一実施形態において、式(VIII)の-L1-は、さらに置換されていない。
【0255】
別の好ましい実施形態において、-L1-は、式(IX)のサブ構造
【化34】
(式中、
アスタリスクが付いている破線は、PTH部分構造である-Dの窒素へのカルバメート結合を形成することによる結合を示し、
印の付いていない破線は、-L1-の残部への結合を示す)
を含み、
前記-L1-は、-L2-Z又は-L2-Z'で置換されており、場合により、前記-L1-はさらに置換されており、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zは、水溶性担体であり、
-Z'は、水不溶性担体である。
【0256】
好ましくは、式(IX)の-L1-は、1つの部分構造-L2-Z又は-L2-Z'で置換されている。
【0257】
一実施形態において、式(IX)の-L1-は、さらに置換されていない。
【0258】
本発明のプロドラッグにおいて、-L2-は、化学結合又はスペーサー部分構造である。
【0259】
一実施形態において、-L2-は、化学結合である。
【0260】
別の実施形態において、-L2-は、スペーサー部分構造である。
【0261】
-L2-が単一の化学結合以外である場合、-L2-は、好ましくは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2~50アルケニル、及びC2~50アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aは、互いに独立して、-H、-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、前記-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、前記C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry4)-、-S(O)2N(Ry4)-、-S(O)N(Ry4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry4)S(O)2N(Ry4a)-、-S-、-N(Ry4)-、-OC(ORy4)(Ry4a)-、-N(Ry4)C(O)N(Ry4a)-、及び-OC(O)N(Ry4)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tは、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、前記各Tは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、
各Ry2は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORy5、-ORy5、-C(O)Ry5、-C(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2N(Ry5Ry5a)、-S(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2Ry5、-S(O)Ry5、-N(Ry5)S(O)2N(Ry5aRy5b)、-SRy5、-N(Ry5Ry5a)、-NO2、-OC(O)Ry5、-N(Ry5)C(O)Ry5a、-N(Ry5)S(O)2Ry5a、-N(Ry5)S(O)Ry5a、-N(Ry5)C(O)ORy5a、-N(Ry5)C(O)N(Ry5aRy5b)、-OC(O)N(Ry5Ry5a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0262】
-L2-が単一の化学結合以外である場合、-L2-は、より一層好ましくは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2~50アルケニル、及びC2~50アルキニルから選択され、ここで、 -T、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-20アルキル、C2-20アルケニル及びC2-20アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aは、互いに独立して、-H、-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、前記-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、前記C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry4)-、-S(O)2N(Ry4)-、-S(O)N(Ry4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry4)S(O)2N(Ry4a)-、-S-、-N(Ry4)-、-OC(ORy4)(Ry4a)-、-N(Ry4)C(O)N(Ry4a)-、及び-OC(O)N(Ry4)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tは、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、前記各Tは、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、
-Ry2は、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORy5、-ORy5、-C(O)Ry5、-C(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2N(Ry5Ry5a)、-S(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2Ry5、-S(O)Ry5、-N(Ry5)S(O)2N(Ry5aRy5b)、-SRy5、-N(Ry5Ry5a)、-NO2、-OC(O)Ry5、-N(Ry5)C(O)Ry5a、-N(Ry5)S(O)2Ry5a、-N(Ry5)S(O)Ry5a、-N(Ry5)C(O)ORy5a、-N(Ry5)C(O)N(Ry5aRy5b)、-OC(O)N(Ry5Ry5a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0263】
-L2-が単一の化学結合以外である場合、-L2-は、より一層好ましくは、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2~50アルケニル、及びC2~50アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aは、独立して、-H、-T、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、
各Tは、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、
-Ry2は、独立して、ハロゲン及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bは、互いに独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている。
【0264】
より一層好ましくは、-L2-は、-O-、-T-及び-C(O)N(Ry1)-から独立して選択される1つ以上の基が場合により割り込んでいるC1-20アルキル鎖であり、該C1-20アルキル鎖は、-OH、-T及び-C(O)N(Ry6Ry6a)から独立して選択される1つ以上の基で場合により置換されており、前記-Ry1、-Ry6、-Ry6aは、独立して、H及びC1-4アルキルからなる群から選択され、前記Tは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、及び8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択される。
【0265】
好ましくは、-L2-は、14g/mol~750g/molの範囲内の分子量を有する。
【0266】
好ましくは、-L2-は、以下のものから選択される部分構造を含む:
【化35】
(式中、
破線は、-L2-、-L1-、-Z及び/又は-Z'の残部への結合をそれぞれ示し、
-R及び-Raは、互いに独立して、-H、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシルからなる群から選択される)。
【0267】
1つの好ましい実施形態において、-L2-は、1~20原子の鎖長を有する。
【0268】
部分構造-L2-に関して本明細書において使用する用語「鎖長」は、-L1-と-Z間の最短連結部に存在する-L2-の原子数を指す。
【0269】
好ましくは、-L2-は、式(i)
【化36】
(式中、
アスタリスクが付いている破線は、-L1-への結合を示し、
印の付いていない破線は、-Z又は-Z'への結合を示し、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17及び18からなる群から選択される)
を有し、場合により、この式(i)の部分構造はさらに置換されている。
【0270】
好ましくは、式(i)のnは、3、4、5、6、7、8、及び9からなる群から選択される。より一層好ましくは、式(i)のnは、4、5、6又は7である。一実施形態において、式(i)のnは、4である。別の実施形態では、式(i)のnは、5である。別の実施形態では、式(i)のnは、6である。
【0271】
1つの好ましい実施形態において、部分構造-L1-L2-は、以下のものからなる群から選択される:
【化37】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、-Z又は-Z'への結合を示す)。
【0272】
1つの好ましい実施形態において、部分構造-L1-L2-は、
【化38】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、-Z又は-Z'への結合を示す)
からなる群から選択される。
【0273】
好ましい実施形態において、部分構造-L1-L2-は、式(IIca-ii)を有する。
【0274】
別の好ましい実施形態において、部分構造-L1-L2-は、式(IIcb-iii)を有する。
【0275】
好ましくは、本発明のPTHプロドラッグは、x=1である式(Ia)を有する。
【0276】
担体-Zは、C8-24アルキル、又はポリマーを含む。好ましくは、-Zは、ポリマー、好ましくは、2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリルコリン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(アスパルトアミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチル-オキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能化ヒアルロン酸、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン及び他の炭水化物系ポリマー、キシラン、並びにこれらのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む。
【0277】
好ましくは、-Zは、5~200kDaの範囲の分子量を有する。より一層好ましくは、-Zは、8~100kDaの範囲の、より一層好ましくは10~80kDa、より一層好ましくは12~60kDa、より一層好ましくは15~40kDaの範囲の分子量を有し、最も好ましくは、-Zは、約20kDaの分子量を有する。別の同様に好ましい実施形態において、-Zは、約40kDaの分子量を有する。
【0278】
一実施形態において、そのような水溶性担体-Zは、タンパク質を含む。好ましいタンパク質は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0035101号A1に記載されているような絨毛性ゴナドトロピンのカルボキシル末端ポリペプチド、アルブミン、参照により本明細書に組み込まれるWO 2011123813 A2に記載されているようなXTEN配列、参照により本明細書に組み込まれるWO 2011/144756 A1に記載されているようなプロリン/アラニンランダムコイル配列、参照により本明細書に組み込まれるWO 2008/155134 A1及びWO 2013/024049 A1に記載されているようなプロリン/アラニン/セリンランダムコイル配列、並びにFc融合タンパク質からなる群から選択される。
【0279】
一実施形態において、-Zは、ポリサルコシンである。
【0280】
別の好ましい実施形態において、-Zは、ポリ(N-メチルグリシン)を含む。
【0281】
特に好ましい実施形態において、-Zは、ランダムコイルタンパク質部分構造を含む。
【0282】
1つの好ましい実施形態において、-Zは、1つのランダムコイルタンパク質部分構造を含む。
【0283】
別の好ましい実施形態において、-Zは、2つのランダムコイルタンパク質部分構造を含む。
【0284】
別の好ましい実施形態において、-Zは、3つのランダムコイルタンパク質部分構造を含む。
【0285】
別の好ましい実施形態において、-Zは、4つのランダムコイルタンパク質部分構造を含む。
【0286】
別の好ましい実施形態において、-Zは、5つのランダムコイルタンパク質部分構造を含む。
【0287】
別の好ましい実施形態において、-Zは、6つのランダムコイルタンパク質部分構造を含む。
【0288】
別の好ましい実施形態において、-Zは、7つのランダムコイルタンパク質部分構造を含む。
【0289】
別の好ましい実施形態において、-Zは、8つのランダムコイルタンパク質部分構造を含む。
【0290】
好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造は、少なくとも25個のアミノ酸残基、最大で2000個のアミノ酸を含む。より一層好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造は、少なくとも30個のアミノ酸残基、最大で1500個のアミノ酸残基を含む。より一層好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造は、少なくとも50個のアミノ酸残基、最大で500個のアミノ酸残基を含む。
【0291】
好ましい実施形態において、-Zは、ランダムコイルタンパク質部分構造を形成するアミノ酸の総数の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より一層好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも95%、より一層好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%がアラニン及びプロリンから選択される、前記ランダムコイルタンパク質部分構造を含む。より一層好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造のアミノ酸残基の総数の少なくとも10%、しかし75%未満、好ましくは65%未満は、プロリン残基である。好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO 2011/144756 A1に記載されているようなものである。より一層好ましくは、-Zは、参照により本明細書に組み込まれるWO 2011/144756に開示されている配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号51及び配列番号61からなる群から選択される少なくとも1つの部分構造を含む。アラニン及びプロリンを含むそのようなランダムコイルタンパク質を含む部分構造を「PA」又は「PA部分構造」と呼ぶことにする。
【0292】
したがって、-Zは、PA部分構造を含む。
【0293】
同様に好ましい実施形態において、-Zは、ランダムコイルタンパク質部分構造を形成するアミノ酸の総数の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より一層好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも95%、より一層好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%がアラニン、セリン及びプロリンから選択される、前記ランダムコイルタンパク質部分構造を含む。より一層好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造のアミノ酸残基の総数の少なくとも4%、しかし40%未満は、プロリン残基である。好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるWO 2008/155134 A1に記載されているようなものである。より一層好ましくは、-Zは、参照により本明細書に組み込まれるWO 2008/155134 A1に開示されている配列番号2、配列番号4、配列番号6、配列番号8、配列番号10、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、配列番号20、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号50、配列番号52、配列番号54及び配列番号56からなる群から選択される少なくとも1つの部分構造を含む。アラニン、セリン及びプロリンを含むそのようなランダムコイルタンパク質部分構造を含む部分構造を「PAS」又は「PAS部分構造」と呼ぶことにする。
【0294】
したがって、-Zは、PAS部分構造を含む。
【0295】
同様に好ましい実施形態において、-Zは、ランダムコイルタンパク質部分構造を形成するアミノ酸の総数の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より一層好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも95%、より一層好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%がアラニン、グリシン及びプロリンから選択される、前記ランダムコイルタンパク質部分構造を含む。アラニン、グリシン及びプロリンを含むそのようなランダムコイルタンパク質部分構造を含む部分構造を「PAG」又は「PAG部分構造」と呼ぶことにする。
【0296】
したがって、-Zは、PAG部分構造を含む。
【0297】
同様に好ましい実施形態において、-Zは、ランダムコイルタンパク質部分構造を形成するアミノ酸の総数の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より一層好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも95%、より一層好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%がプロリン及びグリシンから選択される、前記ランダムコイルタンパク質部分構造を含む。プロリン及びグリシンを含むそのようなランダムコイルタンパク質部分構造を含む部分構造を「PG」又は「PG部分構造」と呼ぶことにする。
【0298】
好ましくは、そのようなPG部分構造は、式(a-0)の部分構造を含む:
[(Gly)p-Pro-(Gly)q]r (a-0)
(式中、
pは、0、1、2、3、4及び5からなる群から選択され、
qは、0、1、2、3、4及び5からなる群から選択され、
rは、10~1000の範囲の整数であり、
但し、p及びqの少なくとも一方は、少なくとも1である)。
【0299】
好ましくは、式(a-0)のpは、1、2、及び3からなる群から選択される。
【0300】
好ましくは、式(a-0)のqは、0、1及び2から選択される。
【0301】
より一層好ましくは、PG部分構造は、配列番号122の配列:GGPGGPGPGGPGGPGPGGPG
を含む。
【0302】
より一層好ましくは、PG部分構造は、式(a-0-a)の配列番号97の配列(GGPGGPGPGGPGGPGPGGPG)v (a-0-a)
を含み、この配列中のvは、1~50の範囲の整数である。
【0303】
したがって、-Zは、PG部分構造を含む。
【0304】
同様に好ましい実施形態において、-Zは、ランダムコイルタンパク質部分構造を形成するアミノ酸の総数の少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より一層好ましくは少なくとも90%、より一層好ましくは少なくとも95%、より一層好ましくは少なくとも98%、及び最も好ましくは少なくとも99%がアラニン、グリシン、セリン、トレオニン、グルタメート及びプロリンから選択される、前記ランダムコイルタンパク質部分構造を含む。好ましくは、そのようなランダムコイルタンパク質部分構造は、参照により本明細書に組み込まれるWO 2010/091122 A1に記載されているようなものである。より一層好ましくは、-Zは、参照により本明細書に組み込まれるWO2010/091122A1に開示されている配列番号182、配列番号183、配列番号184; 配列番号185、配列番号186、配列番号187、配列番号188、配列番号189、配列番号190、配列番号191、配列番号192、配列番号193、配列番号194、配列番号195、配列番号196、配列番号197、配列番号198、配列番号199、配列番号200、配列番号201、配列番号202、配列番号203、配列番号204、配列番号205、配列番号206、配列番号207、配列番号208、配列番号209、配列番号210、配列番号211、配列番号212、配列番号213、配列番号214、配列番号215、配列番号216、配列番号217、配列番号218、配列番号219、配列番号220、配列番号221、配列番号759、配列番号760、配列番号761、配列番号762、配列番号763、配列番号764、配列番号765、配列番号766、配列番号767、配列番号768、配列番号769、配列番号770、配列番号771、配列番号772、配列番号773、配列番号774、配列番号775、配列番号776、配列番号777、配列番号778、配列番号779、配列番号1715、配列番号1716、配列番号1718、配列番号1719、配列番号1720、配列番号1721及び配列番号1722からなる群から選択される少なくとも1つの部分構造を含む。アラニン、グリシン、セリン、トレオニン、グルタメート及びプロリンを含むそのようなランダムコイルタンパク質部分構造を含む部分構造をWO 2010/091122 A1
におけるその呼称に合わせて「XTEN」又は「XTEN部分構造」と呼ぶことにする。
【0305】
したがって、-Zは、XTEN部分構造を含む。
【0306】
別の好ましい実施形態において、-Zは、脂肪酸誘導体を含む。好ましい脂肪酸誘導体は、参照により本明細書に組み込まれるWO 2005/027978 A2及びWO 2014/060512 A1に開示されているものである。
【0307】
別の好ましい実施形態において、-Zは、ヒアルロン酸系ポリマーである。
【0308】
一実施形態において、-Zは、参照により本明細書に組み込まれるWO 2012/02047 A1に開示されているような担体である。
【0309】
別の実施形態において、-Zは、参照により本明細書に組み込まれるWO 2013/024048 A1に記載されているような担体である。
【0310】
別の好ましい実施形態において、-Zは、PEG系ポリマー、例えば、直鎖、分岐又はマルチアームPEG系ポリマーである。
【0311】
一実施形態において、-Zは、直鎖状PEG系ポリマーである。
【0312】
別の実施形態において、-Zは、マルチアームPEG系ポリマーである。好ましくは、-Zは、少なくとも4本のPEG系アームを有するマルチアームPEG系ポリマーである。
【0313】
好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、多数の部分構造-L2-L1-Dと連結されており、好ましくは、各々の部分構造-L2-L1-Dは、アームの末端と、好ましくはアームの末端と連結されている。好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16の部分構造-L2-L1-Dと連結されている。より一層好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、2、3、4、6又は8つの部分構造-L2-L1-Dと連結されている。より一層好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、2、4又は6つの部分構造-L2-L1-Dと連結されており、より一層好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、4又は6つの部分構造-L2-L1-Dと連結されており、最も好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、4つの部分構造-L2-L1-Dと連結されている。
【0314】
好ましくは、そのようなマルチアームPEG系ポリマー-Zは、例えばJenKem Technology、USAの製品リスト(2014年12月18日にhttp://www.jenkemusa.com/Pages/PEGProducts.aspxからのダウンロードにより入手したもの)に列挙されているような、マルチアームPEG誘導体、例えば、4アーム-PEG誘導体、特にペンタエリトリトールコアを含む4-アーム-PEG、ヘキサグリセリンコアを含む8アーム-PEG誘導体、及びトリペンタエリトリトールコアを含む8アーム-PEG誘導体である。より好ましくは、水溶性PEG系担体-Zは、
ペンタエリトリトールコアを含む4アームPEGアミン:
【化39】
(nは、20~500の範囲である)、
ヘキサグリセリンコアを含む8アームPEGアミン:
【化40】
(nは、20~500の範囲であり、
R=ヘキサグリセリン又はトリペンタエリトリトールコア構造)、及び
ソルビトール又はジペンタエリトリトールコアを含む6アームPEGアミン:
【化41】
(nは、20~500の範囲であり、
R=ソルビトール又はジペンタエリトリトールコアを含むこと)
から選択される部分構造を含み、これらの式中の破線は、PTHプロドラッグの残部への結合を示す。
【0315】
好ましい実施形態において、-Zは、分岐PEG系ポリマーである。一実施形態において、-Zは、1、2、3、4、5又は6つの分岐点を有する分岐PEG系ポリマーである。好ましくは、-Zは、1、2又は3つの分岐点を有する分岐PEG系ポリマーである。一実施形態において、-Zは、1つの分岐点を有する分岐PEG系ポリマーである。別の実施形態において、-Zは、2つの分岐点を有する分岐PEG系ポリマーである。別の実施形態において、-Zは、3つの分岐点を有する分岐PEG系ポリマーである。
【0316】
分岐点は、好ましくは、-N<、-CH<及び>C<からなる群から選択される。
【0317】
好ましくは、そのような分岐PEG系部分構造-Zは、少なくとも10kDaの分子量を有する。
【0318】
一実施形態において、そのような分岐部分構造-Zは、10kDa~500kDaの範囲、より好ましくは、10kDa~250kDaの範囲、より一層好ましくは、10kDa~150kDaの範囲、より一層好ましくは、12kDa~100kDaの範囲、最も好ましくは、15kDa~80kDaの範囲の分子量を有する。
【0319】
好ましくは、そのような分岐部分構造-Zは、10kDa~80kDaの範囲の分子量を有する。一実施形態において、分子量は、約10kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約20kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約30kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約40kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約50kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約60kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約70kDaである。別の実施形態において、そのような分岐部分構造-Zの分子量は、約80kDaである。最も好ましくは、そのような分岐部分構造-Zは、約40kDaの分子量を有する。
【0320】
好ましくは、-Z又は-Z'は、下記の部分構造を含む:
【化42】
【0321】
同様に好ましい実施形態において、-Zは、アミド結合を含む。
【0322】
好ましくは、-Zは、式(a)の部分構造を含む:
【化43】
(式中、
破線は、-L2-への又は-Zの残部への結合を示し、
BPaは、-N<、-CR<及び>C<からなる群から選択される分岐点であり、
-Rは、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
aは、BPaが-N<又は-CR<である場合0であり、nは、BPaが>C<である場合1であり、
-Sa-、-Sa'-、-Sa''-及び-Sa'''-は、互いに独立して、化学結合であり、又はC1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、前記C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-R1で場合により置換されており、前記C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R2)-、-S(O)2N(R2)-、-S(O)N(R2)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R2)S(O)2N(R2a)-、-S-、-N(R2)-、-OC(OR2)(R2a)-、-N(R2)C(O)N(R2a)-、及び-OC(O)N(R2)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各-T-は、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、前記各-T-は、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-R1で場合により置換されており、
各-R1は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR3、-OR3、-C(O)R3、-C(O)N(R3R3a)、-S(O)2N(R3R3a)、-S(O)N(R3R3a)、-S(O)2R3、-S(O)R3、-N(R3)S(O)2N(R3aR3b)、-SR3、-N(R3R3a)、-NO2、-OC(O)R3、-N(R3)C(O)R3a、-N(R3)S(O)2R3a、-N(R3)S(O)R3a、-N(R3)C(O)OR3a、-N(R3)C(O)N(R3aR3b)、-OC(O)N(R3R3a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-R2、-R2a、-R3、-R3a及び-R3bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
-Pa'、-Pa''及び-Pa'''は、独立して、高分子部分構造である)。
【0323】
一実施形態において、式(a)のBPaは、-N<である。
【0324】
別の実施形態において、式(a)のBPaは、>C<である。
【0325】
好ましい実施形態において、式(a)のBPaは、-CR<である。好ましくは、-Rは、-Hである。したがって、式(a)のaは、好ましくは0である。
【0326】
一実施形態において、式(a)の-Sa-は、化学結合である。
【0327】
別の実施形態において、式(a)の-Sa-は、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、前記C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R4)-、-S(O)2N(R4)-、-S(O)N(R4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R4)S(O)2N(R4a)-、-S-、-N(R4)-、-OC(OR4)(R4a)-、-N(R4)C(O)N(R4a)-、及び-OC(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでおり、ここで、-T-は、3~10員ヘテロシクリルであり、-R4及び-R4aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。
【0328】
好ましくは、式(a)の-Sa-は、C1-10アルキルからなる群から選択され、これには、-T-、-C(O)-及び-O-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでいる。
【0329】
一実施形態において、式(a)の-Sa'-は、化学結合である。
【0330】
別の実施形態において、式(a)の-Sa'-は、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、このC1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルには、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R4)-、-S(O)2N(R4)-、-S(O)N(R4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R4)S(O)2N(R4a)-、-S-、-N(R4)-、-OC(OR4)(R4a)-、-N(R4)C(O)N(R4a)-、及び-OC(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでおり、前記-R4及び-R4aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。好ましくは、式(a)の-Sa'-は、メチル、エチル、プロピル、ブチルからなる群から選択され、これらには、-O-、-C(O)-及び-C(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでいる。
【0331】
一実施形態において、式(a)の-Sa''-は、化学結合である。
【0332】
別の実施形態において、式(a)の-Sa''-は、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、このC1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルには、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R4)-、-S(O)2N(R4)-、-S(O)N(R4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R4)S(O)2N(R4a)-、-S-、-N(R4)-、-OC(OR4)(R4a)-、-N(R4)C(O)N(R4a)-、及び-OC(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでおり、前記-R4及び-R4aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。好ましくは、式(a)の-Sa''-は、メチル、エチル、プロピル、ブチルからなる群から選択され、これらには、-O-、-C(O)-及び-C(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでいる。
【0333】
一実施形態において、式(a)の-Sa'''-は、化学結合である。
【0334】
別の実施形態において、式(a)の-Sa'''-は、C1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルからなる群から選択され、このC1-10アルキル、C2-10アルケニル及びC2-10アルキニルには、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R4)-、-S(O)2N(R4)-、-S(O)N(R4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R4)S(O)2N(R4a)-、-S-、-N(R4)-、-OC(OR4)(R4a)-、-N(R4)C(O)N(R4a)-、及び-OC(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでおり、前記-R4及び-R4aは、独立して、-H、メチル、エチル、プロピル及びブチルからなる群から選択される。好ましくは、式(a)の-Sa'''-は、メチル、エチル、プロピル、ブチルからなる群から選択され、これらには、-O-、-C(O)-及び-C(O)N(R4)-からなる群から選択される1つ以上の化学基が場合により割り込んでいる。
【0335】
好ましくは、式(a)の-Pa'、-Pa''及び-Pa'''は、独立して、2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリルコリン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(アスパルトアミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチル-オキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能化ヒアルロン酸、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン及び他の炭水化物系ポリマー、キシラン、並びにこれらのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む。
【0336】
より好ましくは、式(a)の-Pa'、-Pa''及び-Pa'''は、独立して、PEG系部分構造を含む。より一層好ましくは、式(a)の-Pa'、-Pa''及び-Pa'''は、独立して、少なくとも20%PEG、より一層好ましくは少なくとも30%、より一層好ましくは少なくとも40%PEG、より一層好ましくは少なくとも50%PEG、より一層好ましくは少なくとも60%PEG、より一層好ましくは少なくとも70%PEG、より一層好ましくは少なくとも80%PEG、最も好ましくは少なくとも90%PEGを含む、PEG系部分構造を含む。
【0337】
好ましくは、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、独立して、5kDa~50kDaの範囲の分子量、より好ましくは、5kDa~40kDaの範囲、より一層好ましくは、7.5kDa~35kDaの範囲、より一層好ましくは、7.5~30kDaの範囲、より一層好ましくは、10~30kDaの範囲の分子量を有する。
【0338】
一実施形態において、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、約5kDaの分子量を有する。
【0339】
別の実施形態において、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、約7.5kDaの分子量を有する。
【0340】
別の実施形態において、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、約10kDaの分子量を有する。
【0341】
別の実施形態において、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、約12.5kDaの分子量を有する。
【0342】
別の実施形態において、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、約15kDaの分子量を有する。
【0343】
別の実施形態において、式(a)のPa'、-Pa''及び-Pa'''は、約20kDaの分子量を有する。
【0344】
一実施形態において、-Zは、式(a)の部分構造を1つ含む。
【0345】
別の実施形態において、-Zは、式(a)の部分構造を2つ含む。
【0346】
別の実施形態において、-Zは、式(a)の部分構造を3つ含む。
【0347】
好ましくは、-Zは、式(a)の部分構造である。
【0348】
より好ましくは、-Zは、式(b)の部分構造を含む:
【化44】
(式中、
破線は、-L2-への又は-Zの残部への結合を示し、
m及びpは、互いに独立して、150~1000の範囲の整数、好ましくは150~500の範囲の整数、より好ましくは200~500の範囲の整数、最も好ましくは400~500の整数である)。
【0349】
好ましくは、式(b)のm及びpは、同じ整数である。
【0350】
最も好ましくは、式(b)のm及びpは、約450である。
【0351】
好ましくは、-Zは、式(b)の部分構造である。
【0352】
担体-Z'は、水不溶性ポリマーであり、より一層好ましくはヒドロゲルである。好ましくは、そのようなヒドロゲルは、2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリルコリン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(アスパルトアミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチル-オキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能化ヒアルロン酸、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン及び他の炭水化物系ポリマー、キシラン、並びにこれらのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む。
【0353】
担体-Z'がヒドロゲルである場合、担体-Z'は、好ましくは、PEG又はヒアルロン酸を含むヒドロゲルである。最も好ましくは、そのようなヒドロゲルは、PEGを含む。
【0354】
より一層好ましくは、担体-Z'は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれるWO 2006/003014 A2、WO 2011/012715 A1又はWO 2014/056926 A1に記載されているようなヒドロゲルである。
【0355】
別の実施形態において、-Z'は、ポリマー鎖の物理的凝集によって形成されるポリマー網目であり、前記物理的凝集は、好ましくは、水素結合、結晶化、ヘリックス形成又は複合体化に起因する。一実施形態において、そのようなポリマー網目は、熱ゲル化性ポリマーである。
【0356】
好ましくは、本発明のPTHプロドラッグの総質量は、少なくとも10kDa、例えば少なくとも12kDa、例えば少なくとも15kDa、例えば少なくとも20kDa、又は例えば少なくとも30kDaである。本発明のPTHプロドラッグの総質量は、好ましくは、最大で250kDa、例えば、最大で200kDa、180kDa、150kDa又は100kDaである。
【0357】
好ましい実施形態において、本発明のPTHプロドラッグは、式(IIe-i)を有する:
【化45】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、部分構造
【化46】
への結合を示し、式中、
m及びpは、独立して、400~500の範囲の整数である)。
【0358】
好ましくは、-Dは、PTH部分構造のN末端アミン官能基によって式(IIe-i)のPTHプロドラッグに結合されている。
【0359】
別の好ましい実施形態において、本発明のPTHプロドラッグは、式(IIf-i)を有する:
【化47】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、部分構造
【化48】
への結合を示し、式中、
m及びpは、独立して、400~500の範囲の整数である)。
【0360】
好ましくは、-Dは、PTH部分構造のN末端アミン官能基によって式(IIf-i)のPTHプロドラッグに結合されている。
【0361】
好ましい実施形態において、本発明のPTHプロドラッグの残留活性は、10%未満、より好ましくは1%未満、より一層好ましくは0.1%未満、より一層好ましくは0.01%未満、より一層好ましくは0.001%未満、最も好ましくは0.0001%未満である。
【0362】
本明細書において使用する用語「残留活性」は、対応する遊離PTHによって示される活性に対しての、PTH部分構造が担体に結合している本発明のPTHプロドラッグによって示される活性を指す。この文脈での「活性」は、cAMPを生じさせるようなアデニル酸シクラーゼの活性化、分子内カルシウムを生じさせるようなホスホリパーゼCの活性化、又は破骨細胞上の(RANK(核内因子kBの受容体活性化因子)と結合する)RANKLの骨芽細胞発現の活性化をもたらす、PTH/PTHrP1受容体の活性化に結びつくものを指す。本発明のPTHプロドラッグの残留活性の測定は、ある特定の量のPTHが本発明のPTHプロドラッグから放出されるのに時間がかかり、そのような放出PTHによってPTHプロドラッグの測定結果がゆがめられることになることが理解される。したがって、薬物部分構造、この場合はPTHが不可逆的に、すなわち安定的に、担体と結合しているコンジュゲートであって、残留活性を測定することになるPTHプロドラッグの構造に可能な限り近似しているコンジュゲートを用いて、プロドラッグの残留活性を試験するのが慣例である。
【0363】
本発明の、PTHプロドラッグ、好ましくは安定したアナログの形態のPTHプロドラッグのPTH活性及び残留活性の測定に好適なアッセイは、例えば、PTH/PTHrP1受容体を過剰発現するHEK293細胞からのcAMP産生の測定(Hohensteinら、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis、2014年9月、98: 345-350)であるか、又はICHQ2(R1) (http://www.criver.com/files/pdfs/bps/bp_r_in_vitro_bioassays.aspx)に従って検証された、均一時間分解蛍光(HTRF)若しくはELISAによって検出される、サイクリックAMP放出を検出するための細胞ベースのアッセイである。
【0364】
驚くべきことに、-L1-のN末端結合の使用、及び-Zの分岐PEG担体、すなわち2x20kDa PEGの使用は、特に低い残留活性をもたらすことが判明した。低下した残留活性は、副作用を低減させるので望ましい。
【0365】
驚くべきことに、本発明のPTHプロドラッグは、生理的血清及び尿中カルシウムレベル又はさらには低下した尿中カルシウムレベルを確実なものにする、PTHの安定した血漿プロファイルを実現することができることも判明した。
【0366】
好ましくは、皮下投与後の本発明のPTHプロドラッグの薬物動態プロファイルは、1注射間隔中に4未満のピーク対トラフ比を示す。
【0367】
本明細書で使用する用語「注射間隔」は、本発明の医薬組成物の2回の連続する投与間の時間を指す。
【0368】
本明細書で使用する用語「ピーク対トラフ比」は、非ヒト霊長類への、好ましくはカニクイザルへの2回の連続する投与間の期間内に本発明のPTHプロドラッグから放出されるPTHの最高血漿中濃度と最低血漿中濃度間の比を指す。
【0369】
2回の連続する皮下投与間の期間、すなわち投与間隔は、好ましくは、少なくとも24時間、例えば、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、84時間毎、96時間、108時間、120時間、132時間、144時間、156時間、1週間、2週間、3週間又は4週間である。
【0370】
一実施形態において、2回の連続する皮下投与間の期間は、24時間である。
【0371】
別の実施形態において、2回の連続する皮下投与間の期間は、48時間である。
【0372】
別の実施形態において、2回の連続する皮下投与間の期間は、72時間である。
【0373】
別の実施形態において、2回の連続する皮下投与間の期間は、96時間である。
【0374】
別の実施形態において、2回の連続する皮下投与間の期間は、120時間である。
【0375】
別の実施形態において、2回の連続する皮下投与間の期間は、144時間である。
【0376】
別の実施形態において、2回の連続する皮下投与間の期間は、1週間である。
【0377】
各投与間隔中に測定されるピーク対トラフ比は、4未満、好ましくは3.8未満、より好ましくは3.6未満、より一層好ましくは3.4未満、より一層好ましくは3.2未満、より一層好ましくは3未満、より一層好ましくは2.8未満、より一層好ましくは2.6未満、より一層好ましくは2.4未満、より一層好ましくは2.2未満、最も好ましくは2未満である。
【0378】
本発明の別の態様は、本発明の少なくとも1つのPTHプロドラッグと少なくとも1つの賦形剤とを含む医薬組成物である。
【0379】
好ましくは、本発明の少なくとも1つのPTHプロドラッグを含む医薬組成物は、pH3~pH8の範囲のpHを有する。より好ましくは、医薬組成物は、pH4~pH6の範囲のpHを有する。最も好ましくは、医薬組成物は、pH4~pH5の範囲のpHを有する。
【0380】
一実施形態において、本発明の少なくとも1つのPTHプロドラッグと少なくとも1つの賦形剤とを含む医薬組成物は、液体又は懸濁製剤である。前記医薬組成物は、本発明のPTHプロドラッグが水不溶性担体-Z'を含む場合、懸濁製剤であることが理解される。
【0381】
別の実施形態において、本発明の少なくとも1つのPTHプロドラッグと少なくとも1つの賦形剤とを含む医薬組成物は、乾燥製剤である。
【0382】
そのような液体、懸濁又は乾燥医薬組成物は、少なくとも1つの賦形剤を含む。非経口製剤に使用される賦形剤は、例えば、緩衝剤、等張性調節剤、保存薬、安定剤、吸収抑制剤、酸化防御剤、増粘剤/粘度増加剤、又は他の助剤として分類されうる。しかし、場合によっては、1つの賦形剤が二重又は三重機能を有することもある。好ましくは、本発明の医薬組成物に含まれる少なくとも1つの賦形剤は、以下のものからなる群から選択される:
(i)緩衝剤:pHを所望の範囲内で維持するための生理学的に許容される緩衝剤、例えば、リン酸ナトリウム、重炭酸塩、コハク酸塩、ヒスチジン、クエン酸塩及び酢酸塩、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、ピルビン酸塩。抑酸剤、例えばMg(OH)2又はZnCO3も使用されることがある;
(ii)等張性調節剤:注射デポーでの浸透圧差に起因する細胞損傷の結果として生じうる疼痛を最小にするためのもの。グリセリン及び塩化ナトリウムが例である。有効濃度は、血清についての285~315mOsmol/kgの仮定モル浸透圧濃度を使用して浸透圧測定により決定することができる;
(iii)保存薬及び/又は抗菌薬:複数回投与用非経口製剤には注射によって感染する患者のリスクを最小にするために十分な濃度の保存薬の添加が必要であり、対応する規制要件は確立されている。典型的な保存薬としては、m-クレゾール、フェノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、クロロクレゾール及び塩化ベンザルコニウムが挙げられる;
(iv)安定剤:安定化は、タンパク質安定化力の強化によって、変性状態の不安定化によって、又は賦形剤とタンパク質の直接結合によって達成される。安定剤は、アミノ酸、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グリシン、ヒスチジン、リシン、プロリン;糖、例えば、グルコース、スクロース、トレハロース;ポリオール、例えば、グリセロール、マンニトール、ソルビトール;塩、例えば、リン酸カリウム、硫酸ナトリウム;キレート剤、例えば、EDTA、六リン酸塩;配位子、例えば、二価金属イオン(亜鉛、カルシウムなど);他の塩又は有機分子、例えば、フェノール系誘導体でありうる。加えて、オリゴマー又はポリマー、例えば、シクロデキストリン、デキストラン、デンドリマー、PEG若しくはPVP又はプロタミン若しくはHSAが使用されることもある;
(v)吸収抑制剤:主としてイオン性若しくは非イオン性界面活性剤又は他のタンパク質若しくは可溶性ポリマー、例えば、ポロキサマー(Pluronic F-68)、PEGドデシルエーテル(Brij 35)、ポリソルベート20及び80、デキストラン、ポリエチレングリコール、PEG-ポリヒスチジン、BSA及びHSA並びにゼラチンが、製剤容器の内面の被覆又は該内面への競合的吸着のために使用される。選択される賦形剤濃度及びタイプは、回避すべき作用に依存するが、典型的には、CMC値直上で界面活性剤の単層が界面に形成される;
(vi)酸化防御剤:酸化防止剤、例えば、アスコルビン酸、エクトイン、メチオニン、グルタチオン、モノチオグリセロール、モリン、ポリエチレンイミン(PEI)、没食子酸プロピル及びビタミンE。キレート剤、例えば、クエン酸、EDTA、六リン酸塩、及びチオグリコール酸も使用されることがある;
(vii)増粘剤又は粘度増加剤:懸濁液の場合、バイアル及び注射器内での粒子の沈降を遅延させるものであり、粒子の混合及び再懸濁を助長するために並びに懸濁剤をより注射しやすく(すなわち、注射器プランジャーに対して小さい力に)するために使用される。好適な増粘剤又は粘度増加剤は、例えば、カルボマー増粘剤、例えば、Carbopol 940、Carbopol Ultrez 10;セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース、HPMC)又はジエチルアミノエチルセルロース(DEAE若しくはDEAE-C);コロイド状ケイ酸マグネシウム(Veegum)又はケイ酸ナトリウム;ヒドロキシアパタイトゲル;リン酸三カルシウムゲル;キサンタン;カラギーナン、例えば、Satia gum UTC 30;脂肪族ポリ(ヒドロキシ酸)、例えば、ポリ(D,L-又はL-乳酸)(PLA)及びポリ(グリコール酸)(PGA)並びにこれらのコポリマー(PLGA)、D,L-ラクチドとグリコリドとカプロラクトンのターポリマー;ポロキサマー;ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)のトリブロック(例えば、Pluronic(登録商標))を構成するための親水性ポリ(オキシエチレン)ブロック及び疎水性ポリ(オキシプロピレン)ブロック;ポリエーテルエステルコポリマー、例えば、ポリエチレングリコールテレフタレート/ポリブチレンテレフタレートコポリマー;ショ糖酢酸イソ酪酸エステル(SAIB);デキストラン又はその誘導体;デキストランとPEGの組合せ;ポリジメチルシロキサン;コラーゲン;キトサン;ポリビニルアルコール(PVA)及び誘導体;ポリアルキルイミド;ポリ(アクリルアミド-co-ジアリルジメチルアンモニウム(DADMA));ポリビニルピロリドン(PVP);グリコサミノグリカン(GAG)、例えば、デルマタン硫酸、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロナン;疎水性Aブロック、例えばポリラクチド(PLA)又はポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)と親水性Bブロック、例えばポリエチレングリコール(PEG)又はポリビニルピロリドンとで構成されている、ABAトリブロック又はABブロックコポリマーである。そのようなブロックコポリマー及び上述のポ
ロキサマーは、逆熱ゲル化挙動(投与を助長するように室温では流動状態、及び注射後に体温でのゾル-ゲル転移温度より高い温度ではゲル状態)を示し得る;
(viii)展着又は拡散剤:間質腔内の細胞外マトリックスの成分(例えば、これに限定されるものではないが、結合組織の細胞間空間において見いだされる多糖類であるヒアルロン酸)の加水分解により結合組織の透過性を調節する。展着剤、例えば、これに限定されるものではないが、ヒアルロニダーゼは、細胞外マトリックスの粘度を一時的に減少させ、注射された薬物の拡散を促進する;及び
(ix)他の助剤:湿潤剤、粘度調節剤、抗生物質、ヒアルロニダーゼなど。ヒアルロン酸及び水酸化ナトリウムなどの酸及び塩基は、製造中のpH調整に必要な助剤である。
【0383】
少なくとも1つのPTHプロドラッグを含む医薬組成物は、様々な投与方法によって、例えば、局所、経腸又は非経口投与によって、並びに関節内、関節周囲、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、骨内、腹腔内、髄腔内、嚢内、眼窩内、硝子体内、鼓室内、膀胱内、心臓内、経気管、表皮下、嚢下、クモ膜下、脊髄内、脳室内、胸骨内注射及び注入、脳組織又は脳液への本発明などの送達を可能にする埋め込み型デバイス(例えば、オンマヤリザーバー(Ommaya Reservoir))による脳への直接送達、直接脳室内注射又は注入、脳又は脳関連領域への注射又は注入、脈絡膜下腔への注射、後眼窩注射及び点眼を含む、外用、注射又は注入方法によって、患者に投与することができる。好ましくは、少なくとも1つのPTHプロドラッグを含む医薬組成物は、皮下注射によって投与される。
【0384】
皮下注射は、好ましくは、針付き注射器を用いて、又はペン型注射器を用いて、より一層好ましくはペン型注射器を用いて行われる。
【0385】
本発明の別の態様は、本発明のPTHプロドラッグ若しくはその医薬的に許容される塩又は本発明の少なくとも1つのPTHプロドラッグを含む医薬組成物の、薬剤としての使用である。
【0386】
本発明の別の態様は、PTHで治療することができる疾患の治療方法で使用するための、本発明のPTHプロドラッグ若しくはその医薬的に許容される塩又は本発明の少なくとも1つのPTHプロドラッグを含む医薬組成物である。
【0387】
好ましくは、前記疾患は、副甲状腺機能低下症、高リン血症、骨粗鬆症、骨折修復、骨軟化症、低ホスファターゼ症を有する患者における骨軟化症及び骨粗鬆症、ステロイド誘発性骨粗鬆症、男性骨粗鬆症、関節炎、変形性関節症、骨形成不全症、線維性異形成、関節リウマチ、パジェット病、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨減少症、歯周病、骨折、脱毛症、化学療法誘発性脱毛症、並びに血小板減少症からなる群から選択される。最も好ましくは、前記疾患は、副甲状腺機能低下症である。
【0388】
一実施形態において、本発明の治療方法を受ける患者は、哺乳動物患者、好ましくはヒト患者である。
【0389】
本発明の別の態様は、PTHで治療することができる疾患を治療する薬剤の製造のための、本発明のPTHプロドラッグ若しくはその医薬的に許容される塩又は本発明の少なくとも1つのPTHプロドラッグを含む医薬組成物の使用である。
【0390】
好ましくは、前記疾患は、副甲状腺機能低下症、高リン血症、骨粗鬆症、骨折修復、骨軟化症、低ホスファターゼ症を有する患者における骨軟化症及び骨粗鬆症、ステロイド誘発性骨粗鬆症、男性骨粗鬆症、関節炎、変形性関節症、骨形成不全症、線維性異形成、関節リウマチ、パジェット病、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨減少症、歯周病、骨折、脱毛症、化学療法誘発性脱毛症、並びに血小板減少症からなる群から選択される。最も好ましくは、前記疾患は、副甲状腺機能低下症である。
【0391】
一実施形態において、本発明のPTHプロドラッグ若しくはその医薬的に許容される塩又は本発明の少なくとも1つのPTHプロドラッグを含む医薬組成物で治療されることになる疾患は、哺乳動物患者において、好ましくはヒト患者において起こる。
【0392】
本発明のさらなる態様は、PTHで治療することができる1つ以上の疾患の治療を必要とする哺乳動物患者、好ましくはヒト患者において、治療、管理、遅延又は予防する方法であって、それを必要とする前記患者に本発明のPTHプロドラッグ若しくはその医薬的に許容される塩又は本発明のPTHプロドラッグを含む医薬組成物の治療有効量を投与することを含む方法である。
【0393】
好ましくは、PTHで治療することができる1つ以上の疾患は、副甲状腺機能低下症、高リン血症、骨粗鬆症、骨折修復、骨軟化症、低ホスファターゼ症を有する患者における骨軟化症及び骨粗鬆症、ステロイド誘発性骨粗鬆症、男性骨粗鬆症、関節炎、変形性関節症、骨形成不全症、線維性異形成、関節リウマチ、パジェット病、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨減少症、歯周病、骨折、脱毛症、化学療法誘発性脱毛症、並びに血小板減少症からなる群から選択される。最も好ましくは、前記疾患は、副甲状腺機能低下症である。
【0394】
本発明のさらなる態様は、本発明のPTHプロドラッグ、その医薬的に許容される塩、又は医薬組成物を投与する方法であって、局所、経腸又は非経口投与によって、並びに関節内、関節周囲、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、骨内、腹腔内、髄腔内、嚢内、眼窩内、硝子体内、鼓室内、膀胱内、心臓内、経気管、表皮下、嚢下、クモ膜下、脊髄内、脳室内、胸骨内注射及び注入、鼻腔内、経口、経肺及び経皮投与、脳組織又は脳液への本発明などの送達を可能にする埋め込み型デバイス(例えば、オンマヤリザーバー)による脳への直接送達、直接脳室内注射又は注入、脳又は脳関連領域への注射又は注入、脈絡膜下腔への注射、後眼窩注射及び点眼を含む、外用、注射又は注入方法によって、好ましくは、皮下注射によって、本発明のPTHプロドラッグ、その医薬的に許容される塩、又は本発明の医薬組成物を投与するステップを含む方法である。
【0395】
好ましい実施形態において、本発明は、皮下注射による副甲状腺機能低下症の治療に使用するための、本発明のPTHプロドラッグ若しくはその医薬的に許容される塩又は医薬組成物に関する。
【実施例0396】
材料及び方法
Boc保護N末端とLys26のivDde保護側鎖とを有するTCP樹脂上の側鎖保護PTH(1-34)(配列番号51)(Fmoc戦略で合成されたもの)は、CASLO ApS、Kongens Lyngby、Denmark、及びPeptide Specialty Laboratories GmbH、Heidelberg、Germanyから入手した。
【0397】
Fmoc保護N末端を有するTCP樹脂上の側鎖保護PTH(1-34)(Fmoc戦略で合成されたもの)は、CASLO ApS、Kongens Lyngby、Denmark、及びPeptide Specialty Laboratories GmbH、Heidelberg、Germanyから入手した。
【0398】
PEG 2x20 kDaマレイミド、Sunbright GL2-400MA、及びPEG 2x10 kDaマレイミド、Sunbright GL2-200MAは、NOF Europe N.V.、Grobbendonk、Belgiumから購入した。S-トリチル-6-メルカプトヘキサン酸は、Polypeptide、Strasbourg、Franceから購入した。HATUは、Merck Biosciences GmbH、Schwalbach/Ts、Germanyから入手した。Fmoc-N-Me-Asp(OBn)-OHは、Peptide International Inc.、Louisville、KY、USAから入手した。Fmoc-Aib-OHは、Iris Biotech GmbH、Marktredwitz、Germanyから購入した。他の全ての化学薬品及び試薬は、違う供給業者の名を挙げない限り、Sigma Aldrich GmbH、Taufkirchen、Germanyから購入した。
【0399】
化合物11a(実施例11-15)は、特許WO29095479A2、実施例1に記載されている手順に従って合成した。
【0400】
ポリエチレンフリットを備えた注射器(MultiSynTech GmbH、Witten、Germany)を反応容器として、又はペプチド樹脂の洗浄工程に使用した。
【0401】
樹脂上の側鎖保護PTHからのivDde保護基の除去のための一般手順: 樹脂を30分間、DMFに予備膨潤させ、溶媒を廃棄した。樹脂をDMF/ヒドラジン水和物4/1(v/v、2.5mL/g樹脂)と共に8×15分間インキュベートすることによって、ivDde基を除去した。工程ごとに、新しいDMF/ヒドラジン水和物溶液を使用した。最後に、樹脂をDMF(10×)、DCM(10×)で洗浄し、真空下で乾燥させた。
【0402】
樹脂上の保護PTHからのFmoc保護基の除去のための一般手順:
樹脂を30分間、DMFに予備膨潤させ、溶媒を廃棄した。樹脂をDMF/ピペリジン/DBU 96/2/2(v/v/v、2.5mL/g 樹脂)と共に3×10分間インキュベートすることによって、Fmoc基を除去した。工程ごとに、新しいDMF/ピペリジン/DBU溶液を使用した。最後に、樹脂をDMF(10×)、DCM(10×)で洗浄し、真空下で乾燥させた。
【0403】
RP-HPLC精製:
分取RP-HPLCのために、Waters 600コントローラ及び2487 Dual Absorbance Detectorを使用し、以下のカラムを装着した:Waters XBridge(商標)BEH300 Prep C18 5μm、150×10mm、流量6mL/分、又はWaters XBridge(商標)BEH300 Prep C18 10μm、150×30mm、流量40mL/分。溶媒系A(0.1%TFA v/vを含有する水)及び溶媒系B(0.1%TFA v/vを含有するアセトニトリル)の線形勾配を使用した。別段の記述がない場合、生成物を含有するHPLC画分をプールし、凍結乾燥させた。
【0404】
フラッシュクロマトグラフィー
フラッシュクロマトグラフィー精製は、Biotage KP-Silシリカカートリッジを使用し、溶離剤としてn-ヘプタン及び酢酸エチルを使用して、Biotage AB、SwedenからのIsolera Oneシステムで行った。生成物を254nmで検出した。
【0405】
イオン交換クロマトグラフィー:
イオン交換クロマトグラフィー(IEX)は、MacroCap SP陽イオン交換カラムが装着されたAmersham Bioscience AEKTAbasicシステム(Amersham Bioscience/GE Healthcare)を使用して行った。17mM酢酸 pH4.5(溶媒A)及び17mM酢酸、1M NaCl、pH4.5(溶媒B)を移動相として使用した。
【0406】
サイズ排除クロマトグラフィー:
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、HiPrep 26/10脱塩カラムが装着されたAmersham Bioscience AEKTAbasicシステム(Amersham Bioscience/GE Healthcare)を使用して行った。0.1%(v/v)酢酸を移動相として使用した。
【0407】
化合物31のin vitroでの放出動態研究については、pH7.40緩衝液(100mMリン酸塩、10mM L-メチオニン、3mM EDTA、0.05% Tween-20)を0.1% AcOHの代わりに移動相として使用した。
【0408】
分析方法
超高速LC(UPLC)-MS分析は、Thermo ScientificからのLTQ Orbitrap Discovery質量分析計に連結された、又はWaters Micromass ZQに連結された、Waters BEH300 C18カラム(2.1×50mm、粒径1.7μm、流量:0.25mL/分、溶媒A:0.04%TFA(v/v)を含有する水、溶媒B:0.05%TFA(v/v)を含有するアセトニトリル)を装着したWaters Acquityシステムで行った。
【0409】
血清カルシウム(sCa)、尿カルシウム及び血清リン(sP)の定量的測定は、Roche-Hitachi P800モジュール生化学測定装置で行った。
【0410】
血漿中全PTH(1-34)濃度の定量:
血漿中全PTH(1-34)濃度は、血漿タンパク質沈殿、続いてその上清のエンドプロテイナーゼLys-C(起源:ライソバクター・エンザイモゲネス(Lysobacter enzymogenes))及びエンドプロテイナーゼGlu-C(起源:黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)V8)での逐次的消化の後、N末端付近のシグネチャーペプチド(配列:IQLMHNLGK)及びC末端シグネチャーペプチド(配列:LQDVHNF)の定量によって決定した。その後、逆相液体クロマトグラフィーによる分析、及び質量分析(RP-HPLC-MS)による検出を行った。
【0411】
ブランク血漿中のPTH(1-34)コンジュゲートの校正標準は、以下のように調製した:PTH(1-34)コンジュゲート製剤を製剤緩衝液で予備希釈して、それぞれ、5~300μg/mL PTH(1-34)当量の範囲(濃度範囲1)及び0.5μg/mL~100μg/mL PTH(1-34)当量の範囲(濃度範囲2)の標準水溶液にした。次いで、各標準水溶液を解凍ヘパリン血漿で1:100希釈して、50~3000ng/mL PTH(1-34)当量の濃度範囲(濃度範囲1のラット血漿で希釈)及び5~1000ng/mL PTH(1-34)当量の濃度範囲(濃度範囲2のサル血漿で希釈)をそれぞれ得た。
【0412】
これらの溶液を較正曲線の生成に使用した。較正曲線には両方のシグネチャーペプチドについて1/x2の重みを付けた。精度管理のために、較正標準溶液とは無関係の3つの試料を精度管理試料に応じて調製した。下端の濃度(それぞれのLLOQの3~5倍濃度)、中央範囲の濃度(それぞれのULOQの0.05~0.1倍濃度)及び上端の濃度(それぞれのULOQの0.5~0.8倍濃度)。
【0413】
試料調製体積は、試料調製後に標的シグナル応答に依存して変えることができる。タンパク質沈殿の処理手順を、ここで、サル種に由来する血漿試料の分析に関して説明する。200μLの予冷(5~10℃)メタノールを100μLの血漿試料に添加することによってタンパク質沈殿を行った。180μLの上清を新しいウェルプレートに移し、(45℃の穏やかな窒素流下で)蒸発乾固させた。50μLの再構成溶媒(pH8.0に調整した、50mM Tris 0.5mM CaCl2緩衝液)を使用して残留物を溶解した。タンパク質消化は、以下のように行った:
【0414】
20μgのLys-C(注文番号125-05061、Wako Chemicals GmbH、Neuss、Germany)を80μLの10mM酢酸に溶解した。3μLのLys-C溶液を各キャビティーに添加し、試料を15時間、37℃でインキュベートした。その後、10μgのGlu-C(注文番号V1651、Promega GmbH、Mannheim、Germany)を25μLの水に溶解し、各キャビティーに添加し、37℃でのインキュベーションを1.5時間継続した。インキュベーション後、2μLの水/ギ酸 4:6(v/v)を用いて試料を酸性にし、10μLをUPLC-MSシステムに注入した。
【0415】
LC-MS分析は、Agilent 6460 TripleQuad質量分析計に連結されたAgilent 1290 UPLCを使用することにより、ESIプローブによって行った。プレフィルターを装備したWaters Acquity BEH300 C18分析用カラム(粒径1.7μm;使用したカラム寸法は、ラット種に由来する試料の分析については50×2.1mm、又はサル種に由来する試料の分析については100×2.1mmである)を用いて流量0.30mL/分(T=60℃)でクロマトグラフィーを行った。0.1%ギ酸(v/v)を含有する水(UPLCグレード)を移動相Aとして使用し、0.1%ギ酸を含有するアセトニトリル(UPLCグレード)を移動相Bとして使用した。
【0416】
ラット血漿に由来する試料の分析のための勾配系は、7分間の0.1%Bから40%Bへの直線的増加を含んだ。サル血漿に由来する試料の分析のための勾配系は、6分間の8.0%Bから11.0%Bへの直線的増加、続いて4分間の26%Bへの直線的増加を含んだ。質量分析は、m/z 437.2から131.0への及びm/z 352.3から463.0への転移をモニターする、多重反応モニタリング(MRM)モードで行った。
【0417】
あるいは、血漿中全PTH(1-34)濃度の定量を以下の手順に従って行った:
血漿中全PTH(1-34)濃度は、血漿タンパク質沈殿、続いてその上清のエンドプロテイナーゼLys-C(起源:ライソバクター・エンザイモゲネス(Lysobacter enzymogenes))及びエンドプロテイナーゼGlu-C(起源:黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)V8)での逐次的消化の後、N末端付近のシグネチャーペプチド(配列:IQLMHNLGK)及びC末端シグネチャーペプチド(配列:LQDVHNF)の定量によって決定した。その後、逆相液体クロマトグラフィーによる分析、及び質量分析(RP-HPLC-MS)による検出を行った。
【0418】
ブランクヘパリン血漿中のPTH(1-34)の較正標準を、50~3000ng/mL PTH(1-34)当量の濃度範囲(ラット血漿で希釈)及び1~1000ng/mL PTH(1-34)当量の濃度範囲(サル血漿で希釈)で調製した。
【0419】
これらの溶液を較正曲線の生成に使用した。精度管理のために、較正標準溶液とは無関係の3つの試料を精度管理試料に応じて調製した。下端の濃度(それぞれのLLOQの3~5倍濃度)、中央範囲の濃度(それぞれのULOQの0.05~0.1倍濃度)及び上端の濃度(それぞれのULOQの0.5~0.8倍濃度)。
【0420】
試料調製体積は、試料調製後に標的シグナル応答に依存して変えることができる。タンパク質沈殿の処理手順を、ここで、ラット種に由来する血漿試料の分析に関して説明する。100μLの予冷(5~10℃)メタノールを50μLの血漿試料に添加することによってタンパク質沈殿を行った。60μLの上清を新しいウェルプレートに移し、(45℃の穏やかな窒素流下で)蒸発乾固させた。60μLの再構成溶媒(pH8.0に調整した、50mM Tris 0.5mM CaCl2緩衝液)を使用して残留物を溶解した。タンパク質消化は、以下のように行った:
【0421】
20μgのLys-C(注文番号125-05061、Wako Chemicals GmbH、Neuss、Germany)を80μLの10mM酢酸に溶解した。3μLのLys-C溶液を各キャビティーに添加し、試料を15時間、37℃でインキュベートした。その後、10μgのGlu-C(注文番号V1651、Promega GmbH、Mannheim、Germany)を25μLの水に溶解し、1.5μLのそのGlu-C溶液を各キャビティーに添加し、37℃でのインキュベーションを1.5時間継続した。インキュベーション後、2μLの水/ギ酸 4/6(v/v)を用いて試料を酸性にし、10μLをUPLC-MSシステムに注入した。
【0422】
Waters Acquity BEH300 C18分析用カラム(粒径1.7μm、カラム寸法50×2.1mm)でクロマトグラフィーを行った。0.1%ギ酸(v/v)を含有する水(UPLCグレード)を移動相Aとして使用し、0.1%ギ酸を含有するアセトニトリル(UPLCグレード)を移動相Bとして使用した。
【0423】
血漿中PEG濃度の定量:
血漿中全PEG濃度は、血漿タンパク質沈殿及びその上清の酵素的消化後、PTH(1-34)コンジュゲートのポリマー部分の定量によって決定した。その後、サイズ排除クロマトグラフィーによる分析及び質量分析(SEC-MS)を行った。
【0424】
サルのブランクヘパリン血漿中のPTH(1-34)コンジュゲートの較正標準を50~1200ng/mL PEG当量の濃度範囲で調製した。
【0425】
これらの溶液を二次較正曲線の生成に使用した。較正曲線に1/xの重みを付けた。精度管理のために、較正標準溶液とは無関係の3つの試料を精度管理試料に応じて調製した。下端の濃度(LLOQの2~4倍濃度)、中央範囲の濃度(ULOQの0.1~0.2倍濃度)及び上端の濃度(ULOQの0.8倍濃度)。200μLの予冷(5~10℃)メタノールを100μLの血漿試料に添加することによってタンパク質沈殿を行った。180μLの上清を新しいウェルプレートに移し、(45℃の穏やかな窒素流下で)蒸発乾固させた。50μLの再構成溶媒(pH8.0に調整した、50mM Tris 0.5mM CaCl2緩衝液)を使用して残留物を溶解した。タンパク質消化は、以下のように行った:20μgのLys-C(注文番号125-05061、Wako Chemicals GmbH、Neuss、Germany)を80μLの10mM酢酸に溶解した。3μLのLys-C溶液を各キャビティーに添加し、試料を15時間、37℃でインキュベートした。その後、10μgのGlu-C(注文番号V1651、Promega GmbH、Mannheim、Germany)を25μLの水に溶解し、1.5μLのそのGlu-C溶液を各キャビティーに添加し、37℃でのインキュベーションを1.5時間継続した。インキュベーション後、2μLの水/ギ酸 4:6(v/v)を用いて試料を酸性にし、5μLをSEC-MSシステムに注入した。
【0426】
SEC-MS分析は、Agilent 6460 TripleQuad質量分析計に連結されたAgilent 1290 UPLCを使用することにより、ESIプローブによって行った。MSインターフェースでの高電圧インソースフラグメンテーション(200~300V)によって、ポリマーの別個の前駆体イオンの獲得を達成した。TOSOH TSK Gel SuperAW3000分析用カラム(粒径4.0μm、カラム寸法150×6.0mm)を用いて流量0.50mL/分(T=65℃)でクロマトグラフィーを行った。0.1%ギ酸(v/v)を含有する水(UPLCグレード)を移動相Aとして使用し、0.1%ギ酸を含有するアセトニトリル(UPLCグレード)を移動相Bとして使用した。試料分析のためのクロマトグラフィー設定は、8分にわたって50%Bの均一濃度溶離を含む。
【0427】
質量分析は、m/z 133.1から45.1への転移をモニターする、単一反応モニタリング(SRM)モードで行った。
【0428】
-L1-の-Dへの結合の可逆的性質のため、PTH受容体活性についての測定は、本発明のPTHプロドラッグの安定したアナログを使用して行った。すなわち、本発明のPTHプロドラッグの構造に類似した構造であって、-Zの-Dへの可逆的結合ではなく安定した結合を有する構造を使用して測定を行った。
【0429】
これが必要であったのは、本発明のPTHプロドラッグが実験の過程でPTHを放出することになり、前記放出PTHが結果に影響を与えることになるからであった。
【0430】
[実施例1]
リンカー試薬1fの合成
リンカー試薬1fは、以下のスキームに従って合成した:
【0431】
【化49】
【0432】
MeOH(20mL)中のN-メチル-N-Boc-エチレンジアミン(2g、11.48mmol)及びNaCNBH3(819mg、12.63mmol)の溶液に2,4,6-トリメトキシベンズアルデヒド(2.08g、10.61mmol)を少しずつ添加した。その混合物を室温で90分間撹拌し、3M HCl(4mL)で酸性化し、さらに15分撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3溶液(200mL)に添加し、DCMで5回抽出した。併せた有機相をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。得られたN-メチル-N-Boc-N'-Tmob-エチレンジアミン1aを高真空下で乾燥させ、さらに精製することなく次の反応工程で使用した。
収量:3.76g(11.48mmol、純度89%、1a:二重Tmob保護生成物=8:1)
MS:m/z 355.22=[M+H]+、(計算モノアイソトピック質量=354.21)。
【0433】
DCM(24mL)中の1a(2g、5.65mmol)の溶液に、COMU(4.84g、11.3mmol)、N-Fmoc-N-Me-Asp(OBn)-OH(2.08g、4.52mmol)及び2,4,6-コリジン(2.65mL、20.34mmol)を添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌し、DCM(250mL)で希釈し、0.1M H2SO4(100mL)で3回、及び飽和食塩水(100mL)で3回洗浄した。水性相をDCM(100mL)で再抽出した。併せた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、残留物を24mLの体積に濃縮した。フラッシュクロマトグラフィーを使用して1bを精製した。
収量:5.31g(148%、6.66mmol)
MS:m/z 796.38=[M+H]+、(計算モノアイソトピック質量=795.37)。
【0434】
THF(60mL)中の1b(5.31g、N-Fmoc-N-Me-Asp(OBn)-OHに関して最大4.52mmol)の溶液に、DBU(1.8mL、3% v/v)を添加した。その溶液を室温で12分間撹拌し、DCM(400mL)で希釈し、0.1M H2SO4(150mL)で3回、及び飽和食塩水(150mL)で3回洗浄した。水性相をDCM(100mL)で再抽出した。併せた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過した。溶媒の蒸発によって1cを単離し、さらに精製することなく次の反応で使用した。
MS:m/z 574.31=[M+H]+、(計算モノアイソトピック質量=573.30)。
【0435】
1c(5.31g、4.52mmol、粗製)をアセトニトリル(26mL)に溶解し、COMU(3.87g、9.04mmol)、6-トリチルメルカプトヘキサン酸(2.12g、5.42mmol)及び2,4,6-コリジン(2.35mL、18.08mmol)を添加した。その反応混合物を室温で4時間撹拌し、DCM(400mL)で希釈し、0.1M H2SO4(100mL)で3回、及び飽和食塩水(100mL)で3回洗浄した。水性相をDCM(100mL)で再抽出した。併せた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒の蒸発によって1dを単離した。フラッシュクロマトグラフィーを使用して生成物1dを精製した。
収量:2.63g(62%、純度94%)
MS:m/z 856.41=[M+H]+、(計算モノアイソトピック質量=855.41)。
【0436】
i-PrOH(33mL)及びH2O(11mL)中の1d(2.63g、2.78mmol)の溶液にLiOH(267mg、11.12mmol)を添加し、その反応混合物を70分間、室温で撹拌した。混合物をDCM(200mL)で希釈し、0.1M H2SO4(50mL)で3回、及び飽和食塩水(50mL)で3回洗浄した。水性相をDCM(100mL)で再抽出した。併せた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒の蒸発によって1eを単離した。フラッシュクロマトグラフィーを使用して1eを精製した。
収量:2.1g(88%)
MS:m/z 878.4=[M+Na]+、(計算モノアイソトピック質量=837.40)。
【0437】
無水DCM(4mL)中の1e(170mg、0.198mmol)の溶液に、DCC(123mg、0.59mmol)及び触媒量のDMAPを添加した。5分後、N-ヒドロキシ-スクシンイミド(114mg、0.99mmol)を添加し、その反応混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物を濾過し、溶媒を真空下で除去し、残留物を90%アセトニトリル+0.1%TFA(3.4mL)に溶かした。その粗製混合物をRP-HPLCによって精製した。生成物画分を0.5M pH7.4リン酸緩衝液で中和し、濃縮した。残留水性相をDCMで抽出し、溶媒の蒸発によって1fを単離した。
収量:154mg(81%)
MS:m/z 953.4=[M+H]+、(計算モノアイソトピック質量=952.43)。
【0438】
[実施例2]
リンカー試薬2gの合成
【0439】
【化50】
【0440】
4-メトキシトリチルフェニルメチルクロリド(3.00g、9.71mmol)をDCM(20mL)に溶解し、撹拌しながらDCM(20mL)中のエチレンジアミン 2a(6.5mL、97.3mmol)の溶液に滴下した。その反応混合物を2時間、室温で撹拌し、その後、ジエチルエーテル(300mL)で希釈し、飽和食塩水/0.1M NaOH 30/1(v/v)で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、溶媒の蒸発によって2bを単離した。
収量:3.18g(98%)
【0441】
Mmt保護中間体2b(3.18g、9.56mmol)をDCM(30mL)に溶解した。6-(トリチルチオ)-ヘキサン酸(4.48g、11.5mmol)、PyBOP(5.67g、10.9mmol)及びDIPEA(5.0mL、28.6mmol)を添加し、その混合物を30分間、室温で撹拌した。その溶液をジエチルエーテル(250mL)で希釈し、飽和食塩水/0.1M NaOH 30/1(v/v)で3回、飽和食塩水で1回洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。フラッシュクロマトグラフィーを使用して2cを精製した。
収量:5.69g(85%)
MS:m/z 705.4=[M+H]+、(計算モノアイソトピック質量=704.34)。
【0442】
化合物2c(3.19g、4.53mmol)を無水THF(50mL)に溶解し、THF中の1M BH3・THF溶液(8.5mL、8.5mmol)を添加し、その混合物を16時間、室温で撹拌した。THF中のさらなる1M BH3・THF溶液(14mL、14.0 mmol)を添加し、その混合物をさらに16時間、室温で撹拌した。メタノール(8.5mL)及びN,N'-ジメチル-エチレンジアミン(3.00mL、27.9mmol)を添加し、その混合物を3時間、環流させながら加熱した。混合物を放置して冷却し、酢酸エチル(300mL)を添加した。その溶液をNa2CO3水溶液で2回、NaHCO3水溶液で2回洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を真空下で除去して2dを得た。
収量:3.22g(103%)
MS:m/z 691.4=[M+H]+、(計算モノアイソトピック質量=690.36)。
【0443】
二炭酸ジ-tert-ブチル(2.32g、10.6mmol)及びDIPEA(3.09mL、17.7mmol)をDCM(5mL)に溶解し、DCM(5mL)中の2d(2.45g、3.55mmol)の溶液に添加した。その混合物を30分間、室温で撹拌した。その溶液を真空下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して生成物2eを得た。
収量:2.09g(74%)
MS:m/z 791.4=[M+H]+、(計算モノアイソトピック質量=790.42)。
【0444】
化合物2e(5.01g、6.34mmol)をアセトニトリル(80mL)に溶解した。0.4M HCl水溶液(80mL)、続いてアセトニトリル(20mL)を添加し、その混合物を1時間、室温で撹拌した。5M NaOH水溶液の添加により、pHをpH5.5に調整した。真空下で有機溶媒を除去し、残存水溶液をDCMで4回抽出した。併せた有機相をNa2SO4で乾燥させ、溶媒を真空下で除去して2fを得た。
収量:4.77g(95%)
MS:m/z 519.3=[M+H]+、(計算モノアイソトピック質量=518.30)。
【0445】
化合物2f(5.27g、6.65mmol)をDCM(30mL)に溶解し、DCM(25mL)中のクロロギ酸p-ニトロフェニル(2.01g、9.98mmol)の溶液に添加した。2,4,6-トリメチルピリジン(4.38mL、33.3mmol)を添加し、その溶液を45分間、室温で撹拌した。溶液を真空下で濃縮し、フラッシュクロマトグラフィーにより精製して生成物2gを得た。
収量:4.04g(89%)
MS:m/z 706.32=[M+Na]+、(計算モノアイソトピック質量=683.30)。
【0446】
[実施例3]
永続的S1 PTH(1-34)コンジュゲート3の合成
【0447】
【化51】
Fmoc保護N末端を有するTCP樹脂上の側鎖保護PTH(1-34)を「材料及び方法」で与えた手順に従って脱保護した。DMF(2mL)中の6-トリチルメルカプトヘキサン酸(62.5mg、160μmol)、PyBOP(80.1mg、154μmol)及びDIPEA(53μL、306μmol)の溶液を0.21g(51μmol)の樹脂に添加した。その懸濁液を80分間、室温で撹拌した。樹脂をDMFで10回、DCMで10回洗浄し、真空下で乾燥させた。10mLの切断カクテル 100/3/3/2/1(v/w/v/v/v) TFA/DTT/TES/水/チオアニソールを添加してその懸濁液を1時間、室温で撹拌することにより、樹脂からのペプチドの切断及び保護基の除去を果たした。粗製3を予冷ジエチルエーテル(-18℃)に沈殿させた。沈殿物をACN/水に溶解し、RP-HPLCによって精製した。生成物画分を凍結乾燥させた。
収量:36mg(14%)、3*8TFA
MS:m/z 1062.31=[M+4H]4+、([M+4H]4+についての計算モノアイソトピック質量=1062.30)。
【0448】
[実施例4]
永続的K26 PTH(1-34)コンジュゲート4の合成
【0449】
【化52】
Boc保護N末端とLys26のivDde保護側鎖とを有するTCP樹脂上の側鎖保護PTH(1-34)のivDdeを「材料及び方法」で与えた手順に従って脱保護した。DMF(3mL)中の6-トリチルメルカプトヘキサン酸(107mg、273μmol)、PyBOP(141mg、273μmol)及びDIPEA(93μL、545μmol)の溶液を0.80g(90.9μmol)の樹脂に添加した。その懸濁液を1時間、室温で撹拌した。樹脂をDMFで10回、DCMで10回洗浄し、真空下で乾燥させた。6mLの切断カクテル 100/3/3/2/1(v/w/v/v/v) TFA/DTT/TES/水/チオアニソールを添加してその懸濁液を1時間、室温で撹拌することにより、樹脂からのペプチドの切断及び保護基の除去を果たした。粗製4を予冷ジエチルエーテル(-18℃)に沈殿させた。沈殿物をACN/水に溶解し、RP-HPLCによって精製した。生成物画分を凍結乾燥させた。
収量:40mg(8%)、4*8TFA
MS:m/z 1062.30=[M+4H]4+、([M+4H]4+についての計算モノアイソトピック質量=1062.30)。
【0450】
[実施例5]
一時的S1 PTH(1-34)コンジュゲートの合成
【0451】
【化53】
Fmoc保護N末端を有するTCP樹脂上の側鎖保護PTH(1-34)のFmocを「材料及び方法」で与えた手順に従って脱保護した。DMF(1.5mL)中のFmoc-Aib-OH(79mg、244μmol)、PyBOP(127mg、244μmol)及びDIPEA(64μL、365μmol)の溶液を0.60 g(61μmol)の樹脂に添加した。その懸濁液を16時間、室温で撹拌した。樹脂をDMFで10回洗浄し、上で説明したようにFmocを脱保護した。DMF(1.5mL)中の2g(167mg、244μmol)及びDIPEA(64μL、365μmol)の溶液を樹脂に添加した。その懸濁液を24時間、室温で撹拌した。樹脂をDMFで10回、DCMで10回洗浄し、真空下で乾燥させた。7mLの切断カクテル 100/3/3/2/1(v/w/v/v/v) TFA/DTT/TES/水/チオアニソールを添加してその懸濁液を1時間、室温で撹拌することにより、樹脂からのペプチドの切断及び保護基の除去を果たした。粗製5を予冷ジエチルエーテル(-18℃)に沈殿させた。沈殿物をACN/水に溶解し、RP-HPLCによって精製した。生成物画分を凍結乾燥させた。
収量:78mg(24%)、5*9TFA
MS:m/z 1101.59=[M+4H]4+、([M+4H]4+についての計算モノアイソトピック質量=1101.57)。
【0452】
[実施例6]
一時的S1 PTH(1-34)コンジュゲート6の合成
【0453】
【化54】
Fmoc保護N末端を有するTCP樹脂上の側鎖保護PTH(1-34)のFmocを「材料及び方法」で与えた手順に従って脱保護した。DMF(3mL)中のFmoc-Aib-OH(32mg、102μmol)、PyBOP(53mg、102μmol)及びDIPEA(27μL、152μmol)の溶液を0.25g(25μmol)の樹脂に添加した。その懸濁液を1時間、室温で震盪した。樹脂をDMFで10回、DCMで10回洗浄し、真空下で乾燥させた。Fmocの脱保護を上で説明したように行った。DMF(3mL)中の2g(69mg、102μmol)及びDIPEA(27μL、152μmol)の溶液を樹脂に添加した。その懸濁液を1.5時間、室温で撹拌した。樹脂をDMFで10回、DCMで10回洗浄し、真空下で乾燥させた。3mLの切断カクテル 100/3/3/2/1(v/w/v/v/v) TFA/DTT/TES/水/チオアニソールを添加してその懸濁液を1時間、室温で撹拌することにより、樹脂からのペプチドの切断及び保護基の除去を果たした。粗製6を予冷ジエチルエーテル(-18℃)に沈殿させた。沈殿物をACN/水に溶解し、RP-HPLCによって精製した。生成物画分を凍結乾燥させた。
収量:25mg(18%)、6*9TFA
MS:m/z 1098.75=[M+4H]4+、([M+4H]4+についての計算モノアイソトピック質量=1098.07)。
【0454】
[実施例7]
一時的S1 PTH(1-34)コンジュゲート7の合成
【0455】
【化55】
Fmoc保護N末端を有するTCP樹脂上の側鎖保護PTH(1-34)のFmocを「材料及び方法」で与えた手順に従って脱保護した。DMF(2mL)中のFmoc-Ser(Trt)-OH(117mg、205μmol)、PyBOP(108mg、207μmol)及びDIPEA(53μL、305μmol)の溶液を0.50g(51μmol)の樹脂に添加した。その懸濁液を1時間、室温で撹拌した。樹脂をDMFで10回、DCMで10回洗浄し、真空下で乾燥させた。Fmocの脱保護を上で説明したように行った。DMF(1.8mL)中の2g(144mg、211μmol)及びDIPEA(53μL、305μmol)の溶液を樹脂に添加した。その懸濁液を7時間、室温で震盪した。樹脂をDMFで10回、DCMで10回洗浄し、真空下で乾燥させた。6mLの切断カクテル 100/3/3/2/1(v/w/v/v/v) TFA/DTT/TES/水/チオアニソールを添加してその懸濁液を1時間、室温で撹拌することにより、樹脂からのペプチドの切断及び保護基の除去を果たした。粗製7を予冷ジエチルエーテル(-18℃)に沈殿させた。沈殿物をACN/水に溶解し、RP-HPLCによって精製した。生成物画分を凍結乾燥させた。
収量:54mg(20%)、7*9TFA
MS:m/z 1102.08=[M+4H]4+、([M+4H]4+についての計算モノアイソトピック質量=1102.07)。
【0456】
[実施例8]
一時的S1 PTH(1-34)コンジュゲート8の合成
【0457】
【化56】
Fmoc保護N末端を有するTCP樹脂上の側鎖保護PTH(1-34)のFmocを「材料及び方法」で与えた手順に従って脱保護した。DMF(3mL)中のFmoc-Leu-OH(36mg、102μmol)、PyBOP(53mg、102μmol)及びDIPEA(27μL、152μmol)の溶液を0.25g(25μmol)の樹脂に添加した。その懸濁液を1時間、室温で撹拌した。樹脂をDMFで10回、DCMで10回洗浄し、真空下で乾燥させた。Fmocの脱保護を上で説明したように行った。DMF(3mL)中の2g(69mg、102μmol)及びDIPEA(27μL、152μmol)の溶液を樹脂に添加した。その懸濁液を1.5時間、室温で撹拌した。樹脂をDMFで10回、DCMで10回洗浄し、真空下で乾燥させた。3mLの切断カクテル 100/3/3/2/1(v/w/v/v/v) TFA/DTT/TES/水/チオアニソールを添加してその懸濁液を1時間、室温で撹拌することにより、樹脂からのペプチドの切断及び保護基の除去を果たした。粗製8を予冷ジエチルエーテル(-18℃)に沈殿させた。沈殿物をACN/水に溶解し、RP-HPLCによって精製した。生成物画分を凍結乾燥させた。
収量:31mg(22%)、8*9TFA
MS:m/z 1109.32=[M+4H]4+、([M+4H]4+についての計算モノアイソトピック質量=1108.58)。
【0458】
[実施例9]
一時的S1 PTH(1-34)コンジュゲート9の合成
【0459】
【化57】
Fmoc保護N末端を有するTCP樹脂上の側鎖保護PTH(1-34)のFmocを「材料及び方法」で与えた手順に従って脱保護した。DMF(5mL)中の1e(182mg、213μmol)、PyBOP(111mg、213μmol)及びDIPEA(93μL、532μmol)の溶液を2.00g(107μmol)の樹脂に添加した。その懸濁液を16時間、室温で撹拌した。樹脂をDMFで10回、DCMで10回洗浄し、真空下で乾燥させた。20mLの切断カクテル 100/3/3/2/1(v/w/v/v/v) TFA/DTT/TES/水/チオアニソールを添加してその懸濁液を1時間、室温で撹拌することにより、樹脂からのペプチドの切断及び保護基の除去を果たした。粗製9を予冷ジエチルエーテル(-18℃)に沈殿させた。沈殿物をACN/水に溶解し、RP-HPLCによって精製した。生成物画分を凍結乾燥させた。
収量:47mg(8%)、9*9TFA
MS:m/z 1108.58=[M+4H]4+、([M+4H]4+についての計算モノアイソトピック質量=1108.57)。
【0460】
[実施例10]
一時的K26 PTH(1-34)コンジュゲート10の合成
【0461】
【化58】
Boc保護N末端とLys26のivDde保護側鎖とを有するTCP樹脂上の側鎖保護PTH(1-34)のivDdeを「材料及び方法」で与えた手順に従って脱保護した。DMF(5mL)中の1f(867mg、910μmol)及びDIPEA(0.24mL、1.36mmol)の溶液を1.91g(227μmol)の樹脂に添加した。その懸濁液を1時間、室温で撹拌した。樹脂をDMFで10回、DCMで10回洗浄し、真空下で乾燥させた。20mLの切断カクテル 100/3/3/2/1(v/w/v/v/v) TFA/DTT/TES/水/チオアニソールを添加してその懸濁液を1時間、室温で震盪することにより、樹脂からのペプチドの切断及び保護基の除去を果たした。粗製10を予冷ジエチルエーテル(-18℃)に沈殿させた。沈殿物をACN/水に溶解し、RP-HPLCによって精製した。生成物画分を凍結乾燥させた。
収量:92mg(7%)、10*9TFA
MS:m/z 1108.58=[M+4H]4+、([M+4H]4+についての計算モノアイソトピック質量=1108.57)。
【0462】
[実施例11]
低分子量一時的S1 PEGコンジュゲート11bの合成
【0463】
【化59】
0.1%TFA(v/v)を含有する1/1(v/v) アセトニトリル/水中のチオール5(10mg、1.84μmol)の20mg/mL溶液0.5mLに、0.15mLの0.5M NaH2PO4緩衝液(pH7.4)を添加した。その溶液を室温で10分間インキュベートし、その後、0.1%TFA(v/v)を含有する1/1(v/v)アセトニトリル/水中のマレイミド11a(2.4mg、2.21μmol)の10mg/mL溶液238μLを添加した。その溶液を20分間、室温でインキュベートした。10μL TFAを添加し、その混合物をRP-HPLCによって精製した。生成物画分を凍結乾燥させて11bを得た。
収量:3.1mg(26%)、11b*9TFA
MS:m/z 1097.00=[M+4H]4+、([M+5H]5+についての計算モノアイソトピック質量=1096.99)。
【0464】
[実施例12]
低分子量一時的S1 PEGコンジュゲート12の合成
【0465】
【化60】
チオール6(10mg、1.85μmol)及びマレイミド11a(2.4mg、2.21μmol)を使用することにより、11bについて説明した通りにコンジュゲート12を合成した。
収量:10mg(83%)、12*9TFA
MS:m/z 1094.20=[M+4H]4+、([M+4H]4+についての計算モノアイソトピック質量=1094.19)。
【0466】
[実施例13]
低分子量一時的S1 PEGコンジュゲート13の合成
【0467】
【化61】
チオール7(10mg、1.84μmol)及びマレイミド11a(2.4mg、2.21μmol)を使用することにより、11bについて説明した通りにコンジュゲート13を合成した。
収量:8mg(67%)、13*9TFA
MS:m/z 1097.40=[M+5H]5+、([M+5H]5+についての計算モノアイソトピック質量=1097.39)。
【0468】
[実施例14]
低分子量一時的S1 PEGコンジュゲート14の合成
【0469】
【化62】
チオール8(10mg、1.83μmol)及びマレイミド11a(2.4mg、2.21μmol)を使用することにより、11bについて説明した通りにコンジュゲート14を合成した。
収量:4mg(33%)、14*9TFA
MS:m/z 1378.01=[M+4H]4+、([M+4H]4+についての計算モノアイソトピック質量=1378.00)。
【0470】
[実施例15]
低分子量一時的K26 PEGコンジュゲート15の合成
【0471】
【化63】
チオール10(5.2mg、0.95μmol)及びマレイミド11a(1.23mg、1.14μmol)を使用することにより、11bについて説明した通りにコンジュゲート15を合成した。
収量:2.1mg(33%)、15*9TFA
MS:m/z 1102.60=[M+5H]5+、([M+5H]5+についての計算モノアイソトピック質量=1102.59)。
【0472】
[実施例16]
永続的2x20kDa S1 PEGコンジュゲート16の合成
【0473】
【化64】
0.1% TFA(v/v)を含有する1/1(v/v)アセトニトリル/水中の、チオール3(19.4mg/mL、15mg、3.54μmol)及び2.5mg/mL Boc-L-Metを含有する溶液772μLを、0.1% TFA(v/v)を含有する水中の、PEG 2x20kDaマレイミド(Sunbright GL2-400MA、187mg、4.32μmol)及び2.5mg/mL Boc-L-Metを含有する溶液1.87mLに添加した。0.5M NaH2PO4緩衝液(0.66mL、pH7.0)を添加し、その混合物を30分間、室温で撹拌した。水中の2-メルカプトエタノールの270mg/mL溶液10μLを添加した。その混合物を5分間、室温で撹拌し、0.33mL 1M HClを添加した。コンジュゲート16をIEXによって精製し、その後、溶媒系A(0.1% AcOH v/vを含有する水)及び溶媒系B(0.1% AcOH v/vを含有するアセトニトリル)の線形勾配を使用するRP-HPLCによって精製した。生成物含有画分を凍結乾燥させた。
収量:97mg(2.01μmol、57%)コンジュゲート16*8AcOH
【0474】
[実施例17]
永続的2x20kDa K26 PEGコンジュゲート17の合成
【0475】
【化65】
チオール4(15mg、3.53μmol)とPEG 2x20kDaマレイミド(Sunbright GL2-400MA、187mg、4.32μmol)の反応により、16について説明した通りにコンジュゲート17を調製した。
収量:80mg(1.79μmol、51%)コンジュゲート17*8AcOH
【0476】
[実施例18]
一時的2x20kDa S1 PEGコンジュゲート18の合成
【0477】
【化66】
チオール5(37mg、8.40μmol)とPEG 2x20kDaマレイミド(Sunbright GL2-400MA、445mg、9.24μmol)の反応により、16について説明した通りにコンジュゲート18を調製した。2-メルカプトエタノールを事前に添加せずに50μL TFAを添加することによって反応を停止させた。コンジュゲート18をIEXで精製し、その後、脱塩のためにSECによって精製した。生成物含有画分を凍結乾燥させた。
収量:161mg (3.33μmol、40%)コンジュゲート18*9AcOH
【0478】
[実施例19]
一時的2x20kDa S1 PEGコンジュゲート19の合成
【0479】
【化67】
チオール7(27mg、6.14μmol)とPEG 2x20kDaマレイミド(Sunbright GL2-400MA、325mg、7.50μmol)の反応により、16について説明した通りにコンジュゲート19を調製した。
収量:249mg (5.16μmol、84%)コンジュゲート19*9AcOH
【0480】
[実施例20]
一時的2x20kDa S1 PEGコンジュゲート20の合成
【0481】
【化68】
チオール9(38mg、8.59μmol)とPEG 2x20kDaマレイミド(Sunbright GL2-400MA、455mg、9.45μmol)の反応により、16について説明した通りにコンジュゲート20を調製した。2-メルカプトエタノールを事前に添加せずに50μL TFAを添加することによって反応を停止させた。コンジュゲート20をIEXで精製し、その後、脱塩のためにSECによって精製した。生成物含有画分を凍結乾燥させた。
収量:194mg (4.01μmol、47%)コンジュゲート20*9AcOH
【0482】
[実施例21]
一時的2x20kDa K26 PEGコンジュゲート21の合成
【0483】
【化69】
チオール10(34mg、7.58μmol)とPEG 2x20kDaマレイミド(Sunbright GL2-400MA、401mg、9.26μmol)の反応により、16について説明した通りにコンジュゲート21を調製した。
収量:256mg (5.30μmol、70%)コンジュゲート21*9AcOH
【0484】
[実施例22]
一時的低分子量PEGコンジュゲートのin vitroでの放出動態
コンジュゲート11b、12、13、14及び15を、0.05mg/mL ペンタフルオロフェノールを内部標準として含有するpH7.4リン酸緩衝液(NaOHによってpH7.4に調整した、60mM NaH2PO4、3mM EDTA、0.01% Tween-20)に、おおよそ1mg コンジュゲート/mLの濃度で溶解した。それらの溶液を滅菌濾過し、37℃でインキュベートした。そのインキュベーション時点で、アリコートを抜き取り、RP-HPLC及びESI-MSによって分析した。遊離したPTHとPEGコンジュゲートのUVピーク面積の比から、特定の時点で放出されたPTH画分を計算した。%放出PTHをインキュベート時間に対してプロットした。曲線フィッティングソフトウェアを利用して、対応する放出半減期を計算した。
【0485】
結果:
コンジュゲート11bについて、3.2日の放出半減期時間を得た。
コンジュゲート12について、8.7日の放出半減期時間を得た。
コンジュゲート13について、10.8日の放出半減期時間を得た。
コンジュゲート14について、25.3日の放出半減期時間を得た。
コンジュゲート15について、6.9日の放出半減期時間を得た。
【0486】
[実施例23]
一時的2x20kDa PEGコンジュゲートのin vitroでの放出動態
0.08mg/mL ペンタフルオロフェノールを内部標準として含有するpH7.4リン酸緩衝液(NaOHによってpH7.4に調整した、60mM NaH2PO4、3mM EDTA、0.01% Tween-20)に、コンジュゲート18、19、20及び21をおおよそ5mg コンジュゲート/mLの濃度で溶解した。それらの溶液を滅菌濾過し、37℃でインキュベートした。そのインキュベーション時点で、アリコートを抜き取り、RP-HPLCによって分析した。遊離したPTHとPEGコンジュゲートのUVピーク面積の比から、特定の時点で放出されたPTH画分を計算した。%放出PTHをインキュベート時間に対してプロットした。曲線フィッティングソフトウェアを利用して、対応する放出半減期を計算した。
【0487】
結果:
コンジュゲート18について、2.8日の放出半減期時間を得た。
コンジュゲート19について、13.4日の放出半減期時間を得た。
コンジュゲート20について、1.3日の放出半減期時間を得た。
コンジュゲート21について、7.1日の放出半減期時間を得た。
【0488】
[実施例24]
細胞ベースのアッセイにおける永続的2x20kDa PEGコンジュゲート16及び17のPTH受容体活性
PTH/PTHrP1受容体を過剰発現するHEK293細胞からのcAMP産物を測定することにより、永続的にPEG化したコンジュゲート16及び17の残留PTH活性を定量した(Hohenstein A、Hebell M、Zikry H、El Ghazaly M、Mueller F、Rohde J.、Development and validation of a novel cell-based assay for potency determination of human parathyroid hormone (PTH)、Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis September 2014、98: 345-350)。NIBSC(National Institute for Biological Standards and Control、UK)からのPTH(1-34)を基準標準物質として使用した。
【0489】
結果:
コンジュゲート16については、PTH(1-34)基準に対して0.12%の受容体活性が認められた。
コンジュゲート17については、PTH(1-34)基準に対して0.11%の受容体活性が認められた。
【0490】
これらの結果は、永続的2x20kDa PEGコンジュゲート16及び17における受容体活性の有効な低下を示す。一時的Ser1又はLys26結合PTHとの同様のコンジュゲート(例えば18及び21など)は、低い残留受容体活性をもたらす好適なPTHプロドラッグであると結論づけることができる。細胞アッセイにおける一時的コンジュゲートの直接分析は、アッセイ条件下でのリンカー切断のため不可能であった。放出されるPTHがアッセイ結果に影響を及ぼすことになる。
【0491】
[実施例25]
ラットにおける永続的2x20kDa PEGコンジュゲート16及び17の薬物動態研究
雄ウィスターラット(6週齢、230~260g)に16又は17の単回静脈内(2群、各々動物n=3)又は単回皮下(2群、各々動物n=3)投与をそれぞれ29μg/ラット PTH当量及び31μg/ラット PTH当量の用量で施した。血液試料を投与後168時間まで採取し、血漿を生成した。「材料及び方法」において説明したようにLysC及びGluC消化後のN末端シグネチャーペプチド(配列:IQLMHNLGK)及びC末端シグネチャーペプチド(配列:LQDVHNF)の定量によって血漿中PTH(1-34)濃度を決定した。
【0492】
結果:用量投与は十分に耐容され、投与中及び投与後に不快感の目視可能な徴候はなかった。この研究を通してどの時点でも投与部位反応は観察されなかった。16及び17の静脈内注射後、15分の時点(分析した最も早い時点)で全PTH(1-34) tmaxが観察され、その後、全PTH(1-34)含有量のゆっくりとした減衰が観察され、半減期はそれぞれおおよそ13時間及び11時間であった。皮下注射後、全PTH(1-34)濃度は、16及び17両方について24時間のtmaxでピークに達し、その後、全PTH(1-34)含有量はゆっくりと減衰し、半減期は両方のコンジュゲートについておおよそ1.5日であった。バイオアベイラビリティは、それぞれ、おおよそ40%及び60%であった。N及びC末端シグネチャーペプチドについては投与後168時間まで同様のPK曲線が得られた。これは、コンジュゲート中のインタクトPTH(1-34)の存在を示す。
【0493】
前記コンジュゲートでのPTHの有利な長期持続性のPK及び安定性は、皮下注射後持続放出性PTHプロドラッグとしての永続的2x20kDa PEGモデル化合物の適性を示す。PTHに一時的にSer1を結合させた(例えば、18)又はLys26を結合させた同様のコンジュゲートは、長期持続性の生物活性PTH放出レベルをもたらす好適なPTHプロドラッグであると結論づけることができる。
【0494】
[実施例26]
カニクイザルにおける一時的2x20kDa S1 PEGコンジュゲート19の薬物動態研究
雄非天然カニクイザル(2~4歳、3.7~5.4kg)に19の単回皮下投与(動物n=3)を70μg/kg PTH当量の用量で施した。血液試料を投与後504時間まで採取し、血漿を生成した。「材料及び方法」において説明したようにLysC及びGluC消化後のN末端シグネチャーペプチド(配列:IQLMHNLGK)及びC末端シグネチャーペプチド(配列:LQDVHNF)の定量によって全血漿中PTH(1-34)濃度を決定した。「材料及び方法」において説明した方法を使用してPEG濃度を決定した。
【0495】
結果:用量投与は十分に耐容され、投与中に不快感の徴候は見られなかった。1匹の動物は、投与後72時間の時点で不快感の目視可能な徴候を示したが、数日後に回復した。この研究を通してどの時点でも投与部位反応は観察されなかった。全PTH(1-34)濃度は24時間のtmaxでピークに達し、その後、全PTH(1-34)含有量はゆっくりと減衰し、半減期は、N末端シグネチャーペプチドについてはおおよそ2.5日、C末端シグネチャーペプチドについては0.9日であった。PEG濃度は24時間のtmaxでピークに達し、その後、PEG濃度はゆっくりと減衰し、半減期は3.5日であった。
【0496】
コンジュゲート19は、PTHの持続的送達に好適なプロドラッグであると結論づけることができる。
【0497】
[実施例27]
カニクイザルにおける一時的2x20kDa S1 PEGコンジュゲート18の薬物動態研究
非天然カニクイザル(2~3歳、2.5~4kg)に18の連日皮下投与(動物n=2-雄1匹/雌1匹)を0.2、0.5及び1μg/kg PTH当量の用量で28日間施した。血液試料を28日まで採取し(1、13及び27日目の投与前と投与後2時間、4時間、8時間及び24時間の時点で試料を採取し)、血漿を生成した。「材料及び方法」において説明したようにLysC及びGluC消化後のN末端シグネチャーペプチド(配列:IQLMHNLGK)及びC末端シグネチャーペプチド(配列:LQDVHNF)の定量によって血漿中PTH(1-34)濃度を決定した。
【0498】
結果:全ての用量投与を何事もなく行った。この研究を通してどの時点でも投与部位反応は観察されなかった。用量直線性が3群で観察された。13日目及び27日目と比較して1日目から用量スタッキングが観察された。全PTH(1-34)濃度を定常状態で(27日目中に)N末端シグネチャーペプチド(配列:IQLMHNLGK)によって定量した。
【0499】
カニクイザルにおいて定常状態での連日皮下適用後に3未満という全PTH(1-34)の低いピーク対トラフ比が全用量群について観察された。定常状態での遊離ペプチド濃度は、全PTH(1-34)濃度と相関しているので、遊離ペプチドについてのピーク対トラフ比は、カニクイザルでは4未満である。
【0500】
[実施例28]
コンジュゲート18又はPTH(1-84)の連日皮下注射での28日の研究中の甲状腺上皮小体切除(TPTx)ラットにおける薬力学的作用
この研究は、副甲状腺機能低下症(HP)の治療を研究するのに適している動物疾患モデルにおいて化合物18及び現行標準治療であるPTH(1-84)の連日皮下注射の効果を試験し、比較するために行った。鈍的切開により甲状腺上皮小体切除(TPTx)を施したラットは、カルシウム恒常性の主要調節因子である副甲状腺ホルモン、PTHを産生することができない。それ故、TPTxラットは、HPの特徴である低カルシウム血症及び高リン血症を発症する。17週齢雌SD TPTxラット(n=9/群)に、化合物18(5μg PTH当量/kg/日;10mM酢酸、46 g/L マンニトール中の、1.2nmol/kg/日、pH4.0)、PTH(1-84)(70μg PTH当量/kg/d;10 mMクエン酸、マンニトール 39.0g/L中の、7.3nmol/kg/日、pH5.0)又はビヒクルを28日間、皮下投与した。加えて、正常生理的バックグラウンド対照に相当する偽手術を施したラットの1群(n=9)にもビヒクルを与えた。それらの動物における血清中カルシウム(sCa)及びリン(sP)レベルを1、6、12及び27日目の投与前及び投与後に測定した。さらに、骨代謝回転マーカー(P1NP及びCTx)を測定し、ex vivoでpQCTによって骨質を評価した。
【0501】
結果:1日目の投与前のTPTxラットにおける平均sCaは、偽手術を施した対照ラットにおける10.9mg/dLと比較して、8.3mg/dLであった。sP値は、それぞれ8.7mg/dL及び5.9mg/dLであった。1.2nmol/kgで連日投与した化合物18は、投与から数日以内にsCaをほぼ正常レベルに上昇させた一方で、sPを低下させた。12日目(化合物18を用いて定常状態で5日目)に、sCaは、この群の動物(化合物18/偽対照比=1.01)では、PTH(1-84)治療ラット(PTH(1-84)/偽対照比=0.76)で測定された低カルシウム血症性レベル(8.1mg/dL)とは対照的に、正常レベル(10.7mg/dL)で安定していた。加えて、12日目の24時間尿Ca排泄は、化合物18で治療した動物と偽対照で治療下動物の間で同等であった。骨密度(BMD)及び骨塩量(BMC)は、TPTx対照ではHP患者で見られるように増加された。化合物18での治療は、偽及びビヒクル治療TPTx動物と比較して、CTxの増加と同時にBMD、BMC及び面積を減少させた。PTH(1-84)を投与した動物では、両方の対照群と比較して、海綿骨BMDの有意な増加が観察された。
【0502】
化合物18は、ここで試験したPTH(1-84)用量のモル当量の20%未満ほども低い投薬量であっても、偽対照動物におけるsCaレベル(ここでは正常レベルに相当する)と同等のレベルで24時間にわたってsCaを維持することができると結論づけた。対照的に、7.3nmol/kg/日でのPTH(1-84)は、ビヒクルを注射したTPTxラットにおけるレベルと比較して、sCaの増加をもたらさなかった。しかし、PTH(1-84)を投与した動物においてsPの増加はほとんど観察されなかった。これは、ラットにおけるPTH(1-84)への曝露及び応答を確証する。化合物18での28日の治療後、椎骨における海綿骨及び皮質骨BMDは正常範囲内であったが、PTH(1-84)については脊椎骨の海綿骨及び皮質骨に対する同化作用が観察された。
【0503】
[実施例29]
リンカー試薬29hの合成
【0504】
【化70】
【0505】
ジクロロメタン(1L)中の化合物29a(250g、294mmol、1当量)の溶液に、H2O(1L)中のNa2CO3(187g、1.8mol、6当量)の溶液を添加した。その反応溶液を15~30℃で0.5時間撹拌した。TLC(DCM/MeOH=10:1、Rf=0.5)は、出発原料が完全に消費されたことを示した。有機層を分離し、水性相をジクロロメタン(1L)で抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水(800mL)で洗浄し、次いで無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、化合物29bを黄色油状物として得た。
収量:200g、272mmol、93%
【0506】
4つの反応を並行して行った。
アセトニトリル(500mL)中の化合物29b(50g、68.1mmol、1当量)及びFmoc-5-アミノ吉草酸(25.4g、74.9mmol、1.1当量)、DIPEA(61.6g、477mmol、83.3 mL、7当量)の溶液に、T3P 50%[EtOAc](130g、204mmol、122mL、3当量)を15~30℃で1時間にわたって滴下した。添加後、その反応混合物を15~30℃で18時間撹拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=1:1、Rf=0.5)は、出発原料が完全に消費されたことを示した。4つの反応物を処理のために併せた。その混合物を水(3L)で希釈し、次いで0.5N HCl溶液でpH=3~4に調整した。混合物をEtOAc(3L)で抽出し、次いで水性相をEtOAc(2L)で抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水(1L)で洗浄し、次いで無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗製生成物を黄色油状物として得た。石油エーテル/酢酸エチルを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって粗製生成物を精製して、化合物29cを黄色固体として得た。
収量:220g、199mmol、73%
【0507】
4つの反応を並行して行った。
ジクロロメタン(275mL)中の化合物29c(55g、52mmol、1当量)の溶液に、ピペリジン(47.3g、555mmol、55mL、10.7当量)を添加した。その反応溶液を3時間、15~30℃で撹拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=1:1、Rf=0)は、出発原料が完全に消費されたことを示した。4つの反応物を併せ、その混合物を水(800mL)及びジクロロメタン(800L)で希釈し、次いで0.5N HCl溶液でpH=3~4に調整した。有機層を分離し、水性相をジクロロメタン(800mL)で抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水(1L)で洗浄し、次いで無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗製生成物を得た。DCM/MeOHを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって粗製生成物を精製して、化合物29dを白色固体として得た。収量:140g、168mmol、81%
【0508】
4つの反応を並行して行った。
THF(300mL)中の化合物29d(30g、36mmol、1当量)の溶液に、(1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロ-2H-イソインドール-2-イル)アセトアルデヒド(6.8g、36mmol、1当量)及びNaBH(OAc)3(15.3g、72mmol、2当量)を一度に添加した。添加後、その反応混合物を15~30℃で18時間撹拌した。TLC(DCM/MeOH=10:1、Rf=0.4)は、出発原料が完全に消費されたことを示した。4つの反応物を併せ、その混合物を水(2L)及びEtOAc(1.5L)で希釈した。有機層を分離し、水性相をEtOAc(1L)で抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水(1mL)で洗浄し、次いで無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、化合物29eを黄色油状物として得た。
収量:164g、粗製
【0509】
3つの反応を並行して行った。
DCM(150mL)中の化合物29e(50g、49.7mmol、1当量)の溶液に、Et3N(25.1g、248mmol、34.4mL、5当量)及びBoc2O(21.7g、99.4mmol、22.8mL、2当量)を添加した。添加後、その反応混合物を15~30℃で12時間撹拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=1:1、Rf=0.4)は、出発原料が完全に消費されたことを示した。3つの反応物を併せ、その混合物を水(800mL)で希釈し、次いで0.5N HCl溶液でpH=3~4に調整した。有機層を分離し、水性相をジクロロメタン(800mL)で抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水(800mL)で洗浄し、次いで無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗製生成物を得た。石油エーテル/酢酸エチルを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって粗製生成物を精製して、化合物29fを黄色固体として得た。
収量:80g、72.3mmol、48.5%
【0510】
3つの反応を並行して行った。
DCM(125mL)及びEtOH(300mL)中の化合物29f(25g、22.6mmol、1当量)の溶液に、NH2NH2・H2O(28.9g、565mmol、28mL、純度98%、25当量)を一度に添加した。添加後、その反応混合物を15~30℃で18時間撹拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=1:1、Rf=0.03)は、出発原料が完全に消費されたことを示した。3つの反応物を併せ、その混合物を水(1L)及びジクロロメタン(800mL)で希釈し、次いで0.5N HCl溶液でpH=3~4に調整した。有機層を分離し、水性相をジクロロメタン(500mL)で抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水(800mL)で洗浄し、次いで無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗製生成物を得た。DCM/MeOHを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって粗製生成物を精製して、化合物29gを黄色油状物として得た。
収量:45g、46.1mmol、68%
【0511】
4つの反応を並行して行った。
THF(100mL)中の化合物29g(11g、11.3mmol、1.0当量)の溶液に、Et3N(3.4g、33.8mmol、4.7mL、3.0当量)及び4-ニトロフェニルカルボノクロリデート(2.5g、12.4mmol、1.1当量)を添加した。添加後、その反応混合物を15~30℃で18時間撹拌した。TLC(石油エーテル/酢酸エチル=1:1、Rf=0.4)は、出発原料が完全に消費されたことを示した。4つの反応物を併せ、その混合物を水(800mL)及びEtOAc(800mL)で希釈し、次いで0.5N HCl溶液でpH=3~4に調整した。有機層を分離し、水性相をEtOAc(500mL)で抽出した。有機層を併せ、飽和食塩水(800mL)で洗浄し、次いで無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗製生成物を得た。石油エーテル:酢酸エチルを用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって粗製生成物を精製して、29hを淡黄色の粘着性の油状物として得た。
収量:29g、25.4mmol、56%
【0512】
[実施例30]
一時的S1 PTH(1-34)コンジュゲート30の合成
【0513】
【化71】
Fmoc保護N末端を有するTCP樹脂上の側鎖保護PTH(1-34)のFmocを「材料及び方法」で与えた手順に従って脱保護した。DMF(5mL)中のFmoc-Ser(Trt)-OH(997mg、1.75mmol)、PyBOP(911mg、1.75mmol)及びDIPEA(305μL、1.75mmol)の溶液を5.0 g(0.58mmol)の樹脂に添加した。その懸濁液を一晩、室温で撹拌した。樹脂をDMFで10回洗浄し、上で説明したようにFmocの脱保護を行った。DMF(5mL)中の29h(2.66g、2.33mmol)及びDIPEA(611μL、3.50mmol)の溶液を樹脂に添加した。その懸濁液を一晩、室温で撹拌した。樹脂をDMFで10回、DCMで10回洗浄し、真空下で乾燥させた。30mLの切断カクテル 100/3/3/2/1(v/w/v/v/v) TFA/EDT/TES/水/チオアニソールを添加してその懸濁液を1時間、室温で撹拌することにより、樹脂からのペプチドの切断及び保護基の除去を果たした。粗製30を予冷ジエチルエーテル(-18℃)に沈殿させた。沈殿物をACN/水に溶解し、RP-HPLCによって精製した。生成物画分を凍結乾燥させた。
収量:168mg(5%)、30*9TFA
MS:m/z 1155.92=[M+4H]4+、([M+4H]4+についての計算モノアイソトピック質量=1155.85)。
【0514】
[実施例31]
一時的4x10kDa S1 PEGコンジュゲート31の合成
【0515】
【化72】
0.1% TFA(v/v)と10mM メチオニンとを含有する8/2(v/v)水/エタノール中の、30(13mg/mL、30mg、5.31μmol)を含有する溶液2.3mLを、同じ溶媒中のPEG 2x10kDaマレイミド(Sunbright GL2-200MA、342mg、15.9μmol)を含有する溶液3.4mLに添加した。0.5M NaH2PO4緩衝液(0.8mL、pH7.0)を添加し、その混合物を30分間、室温で撹拌した。20μL TFAを添加し、その混合物を4℃で一晩保管した。コンジュゲート31をIEXによって精製し、その後、溶媒系A(0.2% AcOH v/vを含有する水)及び溶媒系B(0.2% AcOH v/vを含有するアセトニトリル)の線形勾配を使用するRP-HPLCによって精製した。生成物含有画分を凍結乾燥させた。
収量:161mg(3.55μmol、67%)コンジュゲート31*9AcOH
【0516】
[実施例32]
一時的4x10kDa PEGコンジュゲート31のin vitroでの放出動態
コンジュゲート31(11mg)を水中1容量%の酢酸(1.8mL)に0.5mg PTH当量/mLで溶解した。pH7.4リン酸緩衝液(NaOHによってpH7.4に調整した、100mM NaH2PO4、10mM L-メチオニン、3mM EDTA、0.05% Tween-20)への緩衝液交換を、SECクロマトグラフィーによって果たした。溶離液を、0.1mg PTH当量/mLの濃度に達するようにリン酸緩衝液でさらに希釈した。得られた溶液を滅菌濾過し、37℃でインキュベートした。そのインキュベーション時点で、アリコートを抜き取り、RP-HPLCによって分析した。遊離したPTHとPEGコンジュゲートのUVピーク面積の比から、特定の時点で放出されたPTH画分を計算した。%放出PTHをインキュベート時間に対してプロットした。曲線フィッティングソフトウェアを利用して、対応する放出半減期を計算した。
【0517】
結果:
コンジュゲート31について、14.5日の放出半減期時間を得た。
【0518】
[実施例33]
化合物18での単回投与PK/PD研究中のカニクイザルにおける薬力学的作用
単回皮下PK/PD研究において化合物18を1μg/kgで雄カニクイザル(N=3)に投与して、投与後96時間にわたって血清中カルシウム(sCa)レベル及び尿カルシウム排泄を評価した。
【0519】
結果:カニクイザルへの1μg/kgでの化合物18の投与後、sCaレベルは投与後96時間にわたって正常範囲内に留まったが、最初の24時間の間に明らかな尿中カルシウムレベル低下傾向が観察された。
【0520】
結論:正常カルシウム範囲内にsCaを維持する用量で、同時発生的な尿Ca排泄減少が観察された。これにより化合物18は、HPを有する患者における重要な満たされていない医学的要求に対処する。
【0521】
[実施例34]
カニクイザルにおける一時的2x20kDa S1 PEGコンジュゲート18の薬物動態研究
天然カニクイザル(2~3.5歳、2~5kg)(雄3~5匹/雌3~5匹)に18の連日皮下投与を0.2、0.5及び1.5μg PTH/kgの用量レベルで施した。血液試料を1日目の投与前と投与後4時間、8時間、12時間及び24時間の時点、8日目の投与前、14日目の投与前と8時間及び12時間の時点、そして28日目の3時間、6時間、8時間、12時間、18時間、24時間、72時間、168時間及び336時間の時点で採取し、血漿を生成した。「材料及び方法」において説明したようにLysC及びGluC消化後のN末端シグネチャーペプチド(配列:IQLMHNLGK)の定量によって全PTH(1-34)血漿中濃度を決定した。
【0522】
結果:Cmax及びAUCとして表される全身曝露は、ほぼ用量に比例する形で増加した。AUCとして表される全PTHの全身曝露は、1日目から28日目にかけておおよそ3倍蓄積した。
【0523】
カニクイザルにおける連日皮下投与後、28日目に、全PTHの低い平均ピーク対トラフ比が全用量群について観察された(8日目から定常状態が観察された)。
【0524】
[実施例35]
スプラーグドーリーラットにおける一時的2x20kDa S1 PEGコンジュゲート18の薬物動態研究
スプラーグドーリーCrl:CD(SD)ラット(8週齢で投与開始)に18の連日皮下投与を10、30及び60μg PTH/kgの用量レベルで28日間にわたって施した。1用量群当り雄9匹及び雌9匹を含むTK群を、1部分群当りラット3匹を有する3つの部分群に分割した。試料採取時点ごとに雌雄別に3匹ずつラットを用いて28日まで血液試料を採取した。試料を、1日目の投与前と投与後4時間、8時間、12時間、18時間及び24時間の時点、28日目の3時間、6時間、8時間、12時間、18時間、24時間、及び336時間の時点で採取し、血漿を生成した。「材料及び方法」において説明したようにLysC及びGluC消化後のN末端シグネチャーペプチド(配列:IQLMHNLGK)の定量によって全PTH血漿中濃度を決定した。
【0525】
結果:平均Cmax及びAUCとして表される全身曝露は、ほぼ用量に比例する形で増加した。AUCとして表される全PTHの全身曝露は、1日目から28日目にかけて3~6倍蓄積した。雌ラットにおける全身曝露は、雄における全身曝露よりおおよそ2倍多かった。
【0526】
スプラーグドーリーラットにおける連日皮下投与後、28日目に、全PTHの低い平均ピーク対トラフ比が全用量群について観察された(8日目から定常状態が観察された)。
【0527】
略語:
ACN アセトニトリル
AcOH 酢酸
Aib 2-アミノイソ酪酸
BMD 骨密度
Bn ベンジル
Boc tert-ブチルオキシカルボニル
COMU (1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウム ヘキサフルオロリン酸塩
cAMP 環状アデノシン一リン酸
d 日
DBU 1,3-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン
DCC N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMAP ジメチルアミノ-ピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオトレイトール
EDTA エチレンジアミン四酢酸
eq 化学量論的当量
ESI-MS エレクトロスプレーイオン化質量分析
Et エチル
Fmoc 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル
Glu-C エンドプロテイナーゼGlu-C
h 時間
HATU O(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩
HP 副甲状腺機能低下症
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
ivDde 4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル
LC 液体クロマトグラフィー
LTQ リニアトラップ四重極
Lys-C エンドプロテイナーゼLys-C
LLOQ 定量下限
Mal 3-マレイミドプロピル
Me メチル
MeOH メタノール
min 分
Mmt モノメトキシトリチル
MS 質量スペクトル/質量分析
m/z 質量電荷比
OtBu tert-ブチルオキシ
PEG ポリ(エチレングリコール)
pH 水素イオン指数
PK 薬物動態
Pr プロピル
PTH 副甲状腺ホルモン
PyBOP ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩
Q-TOF 四重極飛行時間型
RP-HPLC 逆相高速液体クロマトグラフィー
rt 室温
sCa 血清カルシウム
SIM シングルイオンモニタリング
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
sc 皮下
sP 血清リン酸塩
t1/2 半減期
TCP トリチルクロリドポリスチロール
TES トリエチルシラン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TK 毒物動態学の
Tmob 2,4,6-トリメトキシベンジル
TPTx 甲状腺上皮小体切除
Trt トリフェニルメチル、トリチル
ULOQ 定量上限
UPLC 超高速液体クロマトグラフィー
UV 紫外線
ZQ シングル四重極
【配列表】
2022068210000001.app
【手続補正書】
【提出日】2022-02-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia)又は(Ib)
【化1】
(式中、
-Dは、PTH部分構造であり、
-L1-は、PTHの官能基によってPTH部分構造-Dと連結されている可逆的プロドラッグリンカー部分構造であり、
-L2-は、単一の化学結合又はスペーサー部分構造であり、
-Zは、水溶性担体部分構造であり、
xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15 及び16からなる群から選択される整数であり、
yは、1、2、3、4及び5からなる群から選択される整数である)
を有するPTHコンジュゲート、又はその医薬的に許容される塩。
【請求項2】
部分構造-L1-が、-Dのアミノ酸残基の側鎖の官能基に、-DのN末端アミン官能基若しくはC末端カルボキシル官能基に、又は-Dの骨格ポリペプチド鎖中の窒素原子にコンジュゲートしている、請求項1に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項3】
-L1-が、-DのN末端アミン官能基にコンジュゲートしている、請求項1又は2に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項4】
-Dが、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114又は配列番号115の配列を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項5】
-Dが、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号52、配列番号53、配列番号54、配列番号55、配列番号107、配列番号108、配列番号109、配列番号110、配列番号111、配列番号112、配列番号113、配列番号114又は配列番号115の配列を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項6】
-Dが、配列番号50、配列番号52、配列番号110、配列番号111、又は配列番号112の配列を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項7】
部分構造-L1-が、式(II)
【化2】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dの窒素、ヒドロキシル又はチオールへの結合を示し、
-X-は、-C(R4R4a)-、-N(R4)-、-O-、-C(R4R4a)-C(R5R5a)-、-C(R5R5a)-C(R4R4a)-、-C(R4R4a)-N(R6)-、-N(R6)-C(R4R4a)-、-C(R4R4a)-O-、-O-C(R4R4a)-、又は-C(R7R7a)-であり、
X1は、C、又はS(O)であり、
-X2-は、-C(R8R8a)-、又は-C(R8R8a)-C(R9R9a)-であり、
=X3は、=O、=S、又は=N-CNであり、
-R1、-R1a、-R2、-R2a、-R4、-R4a、-R5、-R5a、-R6、-R8、-R8a、-R9、-R9aは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
-R3、-R3aは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、但し-R3、-R3aの一方又は両方が-H以外である場合、それらは、それらが結合しているNに、SP3混成炭素原子によって連結され、
-R7は、-N(R10R10a)、又は-NR10-(C=O)-R11であり、
-R7a、-R10、-R10a、-R11は、互いに独立して、-H、又はC1-6アルキルであり、
場合により、ペア-R1a/-R4a、-R1a/-R5a、-R1a/-R7a、-R4a/-R5a、-R8a/-R9aのうちの1つ以上は、化学結合を形成し、
場合により、ペア-R1/-R1a、-R2/-R2a、-R4/-R4a、-R5/-R5a、-R8/-R8a、-R9/-R9aのうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、C3-10シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成し、
場合により、ペア-R1/-R4、-R1/-R5、-R1/-R6、-R1/-R7a、-R4/-R5、-R4/-R6、-R8/-R9、-R2/-R3のうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成し、
場合により、R3/R3aは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3~10員複素環を形成し、
Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択される)を有し、
-L1-が、-L2-Zで置換されており、場合により、-L1-がさらに置換されており、但し式(II)中のアスタリスクが付いている水素は、-L2-Z又は置換基によって置き換えられず、
-L2-が、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zが、水溶性担体である、請求項1~6のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項8】
部分構造-L 1 -が、式(IIb-i):
【化3】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
-R 1 、-R 1a 、-R 2 、-R 2a 、-R 4 は、独立して、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、
-R 3 、-R 3a は、独立して、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、但し-R 3 、-R 3a の一方又は両方が-H以外である場合、それらは、それらが結合しているNに、SP 3 混成炭素原子によって連結され、
-X 2 -は、-C(R 8 R 8a )-、又は-C(R 8 R 8a )-C(R 9 R 9a )-である)
を有し、
-L 1 -が、-L 2 -Zで置換されており、場合により、-L 1 -がさらに置換されており、但し式(IIb-i)中のアスタリスクが付いている水素は、-L 2 -Z又は置換基によって置き換えられない、請求項1~7のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項9】
部分構造-L 1 -が、式(IIb-ii):
【化4】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
-R 2 、-R 2a は、独立して、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、
-R 3 、-R 3a は、独立して、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、但し-R 3 、-R 3a の一方又は両方が-H以外である場合、それらは、それらが結合しているNに、SP 3 混成炭素原子によって連結され、
-X 2 -は、-C(R 8 R 8a )-、又は-C(R 8 R 8a )-C(R 9 R 9a )-である)
を有し、
-L 1 -が、-L 2 -Zで置換されており、場合により、-L 1 -がさらに置換されており、但し式(IIb-ii)中のアスタリスクが付いている水素は、-L 2 -Z又は置換基によって置き換えられない、請求項1~7のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項10】
部分構造-L 1 -が、式(IIb-ii'):
【化5】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、-L 2 -への結合を示し、
-R 2 、-R 2a は、独立して、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、
-R 3a は、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、但し-R 3a が-H以外である場合、それは、それが結合しているNに、SP 3 混成炭素原子によって連結され、
-X 2 -は、-C(R 8 R 8a )-、又は-C(R 8 R 8a )-C(R 9 R 9a )-である)
を有し、
場合により、-L 1 -がさらに置換されており、但し式(IIb-ii')中のアスタリスクが付いている水素は、置換基によって置き換えられない、請求項1~7のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項11】
部分構造-L 1 -が、式(IIb-iii):
【化6】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示す)
を有し、
-L 1 -が、-L 2 -Zで置換されており、場合により、-L 1 -がさらに置換されており、但し式(IIb-iii)中のアスタリスクが付いている水素は、-L 2 -Z又は置換基によって置き換えられない、請求項1~7のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項12】
部分構造-L 1 -が、式(IIb-iii'):
【化7】
(式中、
破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、-L 2 -への結合を示す)
を有し、
場合により、-L 1 -がさらに置換されており、但し式(IIb-iii')中のアスタリスクが付いている水素は、置換基によって置き換えられない、請求項1~7のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項13】
-L2-が、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry1)-、-S(O)2N(Ry1)-、-S(O)N(Ry1)-、-S(O)2-、-S(O)-;-N(Ry1)S(O)2N(Ry1a)-、-S-、-N(Ry1)-、-OC(ORy1)(Ry1a)-、-N(Ry1)C(O)N(Ry1a)-、-OC(O)N(Ry1)-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル、及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T-、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry3)-、-S(O)2N(Ry3)-、-S(O)N(Ry3)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry3)S(O)2N(Ry3a)-、-S-、-N(Ry3)-、-OC(ORy3)(Ry3a)-、-N(Ry3)C(O)N(Ry3a)-、及び-OC(O)N(Ry3)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-Ry1及び-Ry1aが、互いに独立して、-H、-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、-T、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルが、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Ry4)-、-S(O)2N(Ry4)-、-S(O)N(Ry4)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Ry4)S(O)2N(Ry4a)-、-S-、-N(Ry4)-、-OC(ORy4)(Ry4a)-、-N(Ry4)C(O)N(Ry4a)-、及び-OC(O)N(Ry4)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tが、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、各Tが、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-Ry2で場合により置換されており、
各Ry2が、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COORy5、-ORy5、-C(O)Ry5、-C(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2N(Ry5Ry5a)、-S(O)N(Ry5Ry5a)、-S(O)2Ry5、-S(O)Ry5、-N(Ry5)S(O)2N(Ry5aRy5b)、-SRy5、-N(Ry5Ry5a)、-NO2、-OC(O)Ry5、-N(Ry5)C(O)Ry5a、-N(Ry5)S(O)2Ry5a、-N(Ry5)S(O)Ry5a、-N(Ry5)C(O)ORy5a、-N(Ry5)C(O)N(Ry5aRy5b)、-OC(O)N(Ry5Ry5a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、前記C1-6アルキルが、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-Ry3、-Ry3a、-Ry4、-Ry4a、-Ry5、-Ry5a及び-Ry5bが、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、C1-6アルキルが、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項14】
-L 2 -が、式(i):
【化8】
(式中、
アスタリスクが付いている破線は、-L 1 -への結合を示し、
印の付いていない破線は、-Zへの結合を示し、
nは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17及び18からなる群から選択される)
を有し、
場合により、該式(i)の部分構造はさらに置換されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項15】
nが、6である、請求項14に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項16】
部分構造-L 1 -L 2 -が、以下:
【化9】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、-Zへの結合を示す)
のものからなる群から選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項17】
Zが、C8-24アルキル、又はポリマーを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項18】
-Zが、ポリマー、好ましくは2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリルコリン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(アスパルトアミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチル-オキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能化ヒアルロン酸、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン及び他の炭水化物系ポリマー、キシラン、並びにこれらのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項19】
-Zが、分岐ポリマーである、請求項1~18のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項20】
-Zが、式(a)の部分構造
【化10】
(式中、
破線は、-L2-への又は-Zの残部への結合を示し、
BPaは、-N<、-CR<及び>C<からなる群から選択される分岐点であり、
-Rは、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、
aは、BPaが-N<又は-CR<である場合0であり、nは、BPaが>C<である場合1であり、
-Sa-、-Sa'-、-Sa''-及び-Sa'''-は、互いに独立して、化学結合であり、又はC1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルからなる群から選択され、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-R1で場合により置換されており、C1-50アルキル、C2-50アルケニル及びC2-50アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R2)-、-S(O)2N(R2)-、-S(O)N(R2)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(R2)S(O)2N(R2a)-、-S-、-N(R2)-、-OC(OR2)(R2a)-、-N(R2)C(O)N(R2a)-、及び-OC(O)N(R2)-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各-T-は、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3-10シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、各-T-は、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-R1で場合により置換されており、
各-R1は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR3、-OR3、-C(O)R3、-C(O)N(R3R3a)、-S(O)2N(R3R3a)、-S(O)N(R3R3a)、-S(O)2R3、-S(O)R3、-N(R3)S(O)2N(R3aR3b)、-SR3、-N(R3R3a)、-NO2、-OC(O)R3、-N(R3)C(O)R3a、-N(R3)S(O)2R3a、-N(R3)S(O)R3a、-N(R3)C(O)OR3a、-N(R3)C(O)N(R3aR3b)、-OC(O)N(R3R3a)、及びC1-6アルキルからなる群から選択され、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-R2、-R2a、-R3、-R3a及び-R3bは、独立して、-H及びC1-6アルキルからなる群から選択され、C1-6アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
-Pa'、-Pa''及び-Pa'''は、独立して、高分子部分構造である)
を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項21】
-Zが、式(b)の部分構造
【化11】
(式中、
破線は、-L 2 -への又は-Zの残部への結合を示し、
m及びpは、互いに独立して、150~1000の範囲の整数である)
を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項22】
m及びpが、互いに独立して、400~500の整数である、請求項21に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項23】
式(IIf-i):
【化12】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、但し、配列番号51の配列を除き、
アスタリスクが付いている破線は、部分構造:
【化13】
への結合を示し、式中、
m及びpは、独立して、400~500の範囲の整数である)
を有する、請求項1~22のいずれか一項に記載のPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩。
【請求項24】
請求項1~23のいずれか一項に記載の少なくとも1つのPTHコンジュゲート又はその医薬的に許容される塩を含む、医薬組成物。
【請求項25】
前記疾患が、副甲状腺機能低下症、高リン血症、骨粗鬆症、骨折修復、骨軟化症、低ホスファターゼ症を有する患者における骨軟化症及び骨粗鬆症、ステロイド誘発性骨粗鬆症、男性骨粗鬆症、関節炎、変形性関節症、骨形成不全症、線維性異形成、関節リウマチ、パジェット病、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨減少症、歯周病、骨折、脱毛症、化学療法誘発性脱毛症、並びに血小板減少症からなる群から選択される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記疾患が、副甲状腺機能低下症である、請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記疾患が、副甲状腺機能低下症であり、皮下注射で投与される、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項28】
pH4~pH6の範囲のpHを有する、請求項24に記載の医薬組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0527
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0527】
略語:
ACN アセトニトリル
AcOH 酢酸
Aib 2-アミノイソ酪酸
BMD 骨密度
Bn ベンジル
Boc tert-ブチルオキシカルボニル
COMU (1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウム ヘキサフルオロリン酸塩
cAMP 環状アデノシン一リン酸
d 日
DBU 1,3-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン
DCC N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM ジクロロメタン
DIPEA N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DMAP ジメチルアミノ-ピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT ジチオトレイトール
EDTA エチレンジアミン四酢酸
eq 化学量論的当量
ESI-MS エレクトロスプレーイオン化質量分析
Et エチル
Fmoc 9-フルオレニルメチルオキシカルボニル
Glu-C エンドプロテイナーゼGlu-C
h 時間
HATU O(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩
HP 副甲状腺機能低下症
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
ivDde 4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキサ-1-イリデン)-3-メチルブチル
LC 液体クロマトグラフィー
LTQ リニアトラップ四重極
Lys-C エンドプロテイナーゼLys-C
LLOQ 定量下限
Mal 3-マレイミドプロピル
Me メチル
MeOH メタノール
min 分
Mmt モノメトキシトリチル
MS 質量スペクトル/質量分析
m/z 質量電荷比
OtBu tert-ブチルオキシ
PEG ポリ(エチレングリコール)
pH 水素イオン指数
PK 薬物動態
Pr プロピル
PTH 副甲状腺ホルモン
PyBOP ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸塩
Q-TOF 四重極飛行時間型
RP-HPLC 逆相高速液体クロマトグラフィー
rt 室温
sCa 血清カルシウム
SIM シングルイオンモニタリング
SEC サイズ排除クロマトグラフィー
sc 皮下
sP 血清リン酸塩
t1/2 半減期
TCP トリチルクロリドポリスチロール
TES トリエチルシラン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
TK 毒物動態学の
Tmob 2,4,6-トリメトキシベンジル
TPTx 甲状腺上皮小体切除
Trt トリフェニルメチル、トリチル
ULOQ 定量上限
UPLC 超高速液体クロマトグラフィー
UV 紫外線
ZQ シングル四重極
本発明は、以下の態様及び実施形態を包含する。
(実施形態1)
式(Ia)又は(Ib)
【化73】
(式中、
-Dは、PTH部分構造であり、
-L 1 -は、PTHの官能基によってPTH部分構造-Dと連結されている可逆的プロドラッグリンカー部分構造であり、
-L 2 -は、単一の化学結合又はスペーサー部分構造であり、
-Zは、水溶性担体部分構造であり、
xは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15又は16からなる群から選択される整数であり、
yは、1、2、3、4及び5からなる群から選択される整数である)
を有するPTHプロドラッグ、又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態2)
コンジュゲートD-L
(式中、
-Dは、PTH部分構造であり、
-Lは、可逆的プロドラッグリンカー部分構造-L 1 -を含み、該部分構造-L 1 -は、PTHの官能基によってPTH部分構造-Dと連結されており、
-L 1 -は、-L 2 -Z'で置換されており、場合によりさらに置換されており、
-L 2 -は、単一の化学結合又はスペーサー部分構造であり、
-Z'は、水不溶性担体部分構造である)
を含む、PTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態3)
部分構造-L 1 -が、-Dのアミノ酸残基の側鎖の官能基に、-DのN末端アミン官能基若しくはC末端カルボキシル官能基に、又は-Dの骨格ポリペプチド鎖中の窒素原子にコンジュゲートしている、実施形態1又は2に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態4)
-L 1 -が、-DのN末端アミン官能基にコンジュゲートしている、実施形態1~3のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態5)
-Dが、配列番号51の配列を有る、実施形態1~4のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態6)
部分構造-L 1 -が、式(II)
【化74】
(式中、
破線は、PTH部分構造である-Dの窒素、ヒドロキシル又はチオールへの結合を示し、
-X-は、-C(R 4 R 4a )-、-N(R 4 )-、-O-、-C(R 4 R 4a )-C(R 5 R 5a )-、-C(R 5 R 5a )-C(R 4 R 4a )-、-C(R 4 R 4a )-N(R 6 )-、-N(R 6 )-C(R 4 R 4a )-、-C(R 4 R 4a )-O-、-O-C(R 4 R 4a )-、又は-C(R 7 R 7a )-であり、
X 1 は、C、又はS(O)であり、
-X 2 -は、-C(R 8 R 8a )-、又は-C(R 8 R 8a )-C(R 9 R 9a )-であり、
=X 3 は、=O、=S、又は=N-CNであり、
-R 1 、-R 1a 、-R 2 、-R 2a 、-R 4 、-R 4a 、-R 5 、-R 5a 、-R 6 、-R 8 、-R 8a 、-R 9 、-R 9a は、独立して、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、
-R 3 、-R 3a は、独立して、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、但し-R 3 、-R 3a の一方又は両方が-H以外である場合、それらは、それらが結合しているNに、SP 3 混成炭素原子によって連結され、
-R 7 は、-N(R 10 R 10a )、又は-NR 10 -(C=O)-R 11 であり、
-R 7a 、-R 10 、-R 10a 、-R 11 は、互いに独立して、-H、又はC 1-6 アルキルであり、
場合により、ペア-R 1a /-R 4a 、-R 1a /-R 5a 、-R 1a /-R 7a 、-R 4a /-R 5a 、-R 8a /-R 9a のうちの1つ以上は、化学結合を形成し、
場合により、ペア-R 1 /-R 1a 、-R 2 /-R 2a 、-R 4 /-R 4a 、-R 5 /-R 5a 、-R 8 /-R 8a 、-R 9 /-R 9a のうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、C 3-10 シクロアルキル又は3~10員ヘテロシクリルを形成し、
場合により、ペア-R 1 /-R 4 、-R 1 /-R 5 、-R 1 /-R 6 、-R 1 /-R 7a 、-R 4 /-R 5 、-R 4 /-R 6 、-R 8 /-R 9 、-R 2 /-R 3 のうちの1つ以上は、それらが結合している原子と一緒になって、環Aを形成し、
場合により、R 3 /R 3a は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、3~10員複素環を形成し、
Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C 3-10 シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル及び8~11員ヘテロビシクリルからなる群から選択される)を有し、
-L 1 -が、-L 2 -Z又は-L 2 -Z'で置換されており、場合により、-L 1 -がさらに置換されており、但し式(II)中のアスタリスクが付いている水素は、-L 2 -Z又は-L 2 -Z'又は置換基によって置き換えられず、
-L 2 -が、単一の化学結合又はスペーサーであり、
-Zが、水溶性担体であり、
-Z'が、水不溶性担体である、実施形態1~5のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態7)
-L 2 -が、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R y1 )-、-S(O) 2 N(R y1 )-、-S(O)N(R y1 )-、-S(O) 2 -、-S(O)-;-N(R y1 )S(O) 2 N(R y1a )-、-S-、-N(R y1 )-、-OC(OR y1 )(R y1a )-、-N(R y1 )C(O)N(R y1a )-、-OC(O)N(R y1 )-、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル、及びC 2-50 アルキニルからなる群から選択され、ここで、
-T-、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル及びC 2-50 アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-R y2 で場合により置換されており、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル及びC 2-50 アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R y3 )-、-S(O) 2 N(R y3 )-、-S(O)N(R y3 )-、-S(O) 2 -、-S(O)-、-N(R y3 )S(O) 2 N(R y3a )-、-S-、-N(R y3 )-、-OC(OR y3 )(R y3a )-、-N(R y3 )C(O)N(R y3a )-、及び-OC(O)N(R y3 )-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
-R y1 及び-R y1a が、互いに独立して、-H、-T、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル及びC 2-50 アルキニルからなる群から選択され、-T、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル及びC 2-50 アルキニルが、同じ又は異なる1つ以上の-Ry 2 で場合により置換されており、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル及びC 2-50 アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R y4 )-、-S(O) 2 N(R y4 )-、-S(O)N(R y4 )-、-S(O) 2 -、-S(O)-、-N(R y4 )S(O) 2 N(R y4a )-、-S-、-N(R y4 )-、-OC(OR y4 )(R y4a )-、-N(R y4 )C(O)N(R y4a )-、及び-OC(O)N(R y4 )-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各Tが、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C 3-10 シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル、及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、各Tが、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-R y2 で場合により置換されており、
各R y2 が、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR y5 、-OR y5 、-C(O)R y5 、-C(O)N(R y5 R y5a )、-S(O) 2 N(R y5 R y5a )、-S(O)N(R y5 R y5a )、-S(O) 2 R y5 、-S(O)R y5 、-N(R y5 )S(O) 2 N(R y5a R y5b )、-SR y5 、-N(R y5 R y5a )、-NO 2 、-OC(O)R y5 、-N(R y5 )C(O)R y5a 、-N(R y5 )S(O) 2 R y5a 、-N(R y5 )S(O)R y5a 、-N(R y5 )C(O)OR y5a 、-N(R y5 )C(O)N(R y5a R y5b )、-OC(O)N(R y5 R y5a )、及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、前記C 1-6 アルキルが、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-R y3 、-R y3a 、-R y4 、-R y4a 、-R y5 、-R y5a 及び-R y5b が、独立して、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、C 1-6 アルキルが、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されている、実施形態1~6のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態8)
Zが、C 8-24 アルキル、又はポリマーを含む、実施形態1又は3~7のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態9)
-Zが、ポリマー、好ましくは2-メタクリロイル-オキシエチルホスホリルコリン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(酸無水物)、ポリ(アスパルトアミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カーボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチル-オキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカーボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタクリルアミド)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能化ヒアルロン酸、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン及び他の炭水化物系ポリマー、キシラン、並びにこれらのコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、実施形態1又は3~8のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態10)
-Zが、分岐ポリマーである、実施形態1及び3~9のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態11)
-Zが、式(a)の部分構造
【化75】
(式中、
破線は、-L 2 -への又は-Zの残部への結合を示し、
BP a は、-N<、-CR<及び>C<からなる群から選択される分岐点であり、
-Rは、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、
aは、BP a が-N<又は-CR<である場合0であり、nは、BP a が>C<である場合1であり、
-S a -、-S a' -、-S a'' -及び-S a''' -は、互いに独立して、化学結合であり、又はC 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル及びC 2-50 アルキニルからなる群から選択され、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル及びC 2-50 アルキニルは、同じ又は異なる1つ以上の-R 1 で場合により置換されており、C 1-50 アルキル、C 2-50 アルケニル及びC 2-50 アルキニルには、-T-、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(R 2 )-、-S(O) 2 N(R 2 )-、-S(O)N(R 2 )-、-S(O) 2 -、-S(O)-、-N(R 2 )S(O) 2 N(R 2a )-、-S-、-N(R 2 )-、-OC(OR 2 )(R 2a )-、-N(R 2 )C(O)N(R 2a )-、及び-OC(O)N(R 2 )-からなる群から選択される1つ以上の基が場合により割り込んでおり、
各-T-は、独立して、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C 3-10 シクロアルキル、3~10員ヘテロシクリル、8~11員ヘテロビシクリル、8~30員カルボポリシクリル及び8~30員ヘテロポリシクリルからなる群から選択され、各-T-は、独立して、同じ又は異なる1つ以上の-R 1 で場合により置換されており、
各-R 1 は、独立して、ハロゲン、-CN、オキソ(=O)、-COOR 3 、-OR 3 、-C(O)R 3 、-C(O)N(R 3 R 3a )、-S(O) 2 N(R 3 R 3a )、-S(O)N(R 3 R 3a )、-S(O) 2 R 3 、-S(O)R 3 、-N(R 3 )S(O) 2 N(R 3a R 3b )、-SR 3 、-N(R 3 R 3a )、-NO 2 、-OC(O)R 3 、-N(R 3 )C(O)R 3a 、-N(R 3 )S(O) 2 R 3a 、-N(R 3 )S(O)R 3a 、-N(R 3 )C(O)OR 3a 、-N(R 3 )C(O)N(R 3a R 3b )、-OC(O)N(R 3 R 3a )、及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、C 1-6 アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
各-R 2 、-R 2a 、-R 3 、-R 3a 及び-R 3b は、独立して、-H及びC 1-6 アルキルからなる群から選択され、C 1-6 アルキルは、同じ又は異なる1つ以上のハロゲンで場合により置換されており、
-P a' 、-P a'' 及び-P a''' は、独立して、高分子部分構造である)
を含む、実施形態1又は3~10のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態12)
式(IIe-i):
【化76】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、部分構造:
【化77】
への結合を示し、式中、
m及びpは、独立して、400~500の範囲の整数である)
を有する、実施形態1又は3~11のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態13)
式(IIf-i):
【化78】
(式中、
印の付いていない破線は、アミド結合を形成することによる、PTH部分構造である-Dの窒素への結合を示し、
アスタリスクが付いている破線は、部分構造:
【化79】
への結合を示し、式中、
m及びpは、独立して、400~500の範囲の整数である)
を有する、実施形態1又は3~11のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ又はその医薬的に許容される塩。
(実施形態14)
実施形態1~13のいずれか一項に記載の少なくとも1つのPTHプロドラッグと、少なくとも1つの賦形剤とを含む、医薬組成物。
(実施形態15)
pH4~pH6の範囲のpHを有する、実施形態14に記載の医薬組成物。
(実施形態16)
PTHで治療することができる疾患の治療に使用するための、実施形態1~13のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ若しくはその医薬的に許容される塩、又は実施形態14若しくは15に記載の医薬組成物。
(実施形態17)
前記疾患が、副甲状腺機能低下症、高リン血症、骨粗鬆症、骨折修復、骨軟化症、低ホスファターゼ症を有する患者における骨軟化症及び骨粗鬆症、ステロイド誘発性骨粗鬆症、男性骨粗鬆症、関節炎、変形性関節症、骨形成不全症、線維性異形成、関節リウマチ、パジェット病、悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症、骨減少症、歯周病、骨折、脱毛症、化学療法誘発性脱毛症、並びに血小板減少症からなる群から選択される、実施形態16に記載のPTHプロドラッグ若しくはその医薬的に許容される塩又は医薬組成物。
(実施形態18)
皮下注射による副甲状腺機能低下症の治療に使用するための、実施形態1~13のいずれか一項に記載のPTHプロドラッグ若しくはその医薬的に許容される塩、又は実施形態14若しくは15に記載の医薬組成物。
【外国語明細書】