(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068309
(43)【公開日】2022-05-09
(54)【発明の名称】ククルビットウリル組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61L 9/01 20060101AFI20220426BHJP
【FI】
A61L9/01 K
A61L9/01 Q
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022024723
(22)【出願日】2022-02-21
(62)【分割の表示】P 2018561094の分割
【原出願日】2017-02-15
(31)【優先権主張番号】1602665.0
(32)【優先日】2016-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】1621959.4
(32)【優先日】2016-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】518290582
【氏名又は名称】アクドット・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100106080
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晶子
(72)【発明者】
【氏名】コールストン,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】タナー,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス-サンティアゴ,ホセ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】湿潤系において改善された臭気防止をもたらすククルビットウリルを含む組成物、その使用および悪臭を打ち消す方法を提供する。
【解決手段】CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]から選択される、2種以上のククルビットウリルの混合物を含む組成物の適用を含む、湿潤環境における悪臭を打ち消す方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿潤環境において悪臭を打ち消すための、CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]から選択される、2種以上のククルビットウリルの混合物を含む組成物の使用。
【請求項2】
CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]から選択される、2種以上のククルビットウリルの混合物を含む組成物の適用を含む、湿潤環境において悪臭を打ち消す方法。
【請求項3】
前記湿潤環境が、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%または少なくとも90%の相対湿度を有する、請求項1または2に記載の使用または方法。
【請求項4】
前記湿潤環境が、相対湿度100%を有する、請求項3に記載の使用または方法。
【請求項5】
前記悪臭が、複数の悪臭成分を含む悪臭複合体である、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項6】
前記組成物が、CB[6]、CB[7]およびCB[8]を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項7】
前記組成物が、CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項8】
前記組成物が、1つまたは複数のCB[n]をさらに含み、nが、4または9~20から独立して選択される整数である、請求項1から7のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項9】
CB[5]の濃度が、前記組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、約0.1から約99重量%、より詳細には約0.5から約75重量%、より詳細には約1から約50重量%、より詳細には約2から約30重量%、より詳細には約5から約25重量%、より詳細には約10から約20重量%である、請求項1から5または7から8のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項10】
CB[6]の濃度が、前記組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、約0.1から約99重量%、より詳細には約1から約75重量%、より詳細には約5から約60重量%、より詳細には約20から約55重量%、より詳細には約35から約55重量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項11】
CB[7]の濃度が、前記組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、約0.1から99重量%、より詳細には約5から約75重量%、より詳細には約10から約60重量%、より詳細には約20重量%から約45重量%である、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
CB[7]の濃度が、前記組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、45重量%未満である、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項13】
CB[8]の濃度が、前記組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、約0.1から99重量%、より詳細には約0.5から約75重量%、より詳細には約1から約30
重量%、より詳細には約5から約25重量%、より詳細には約10から約20重量%である、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項14】
前記組成物中のCB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]の総濃度が、前記組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、75重量%超、より詳細には約90重量%超、より詳細には約99重量%超である、請求項7に記載の使用または方法。
【請求項15】
前記組成物が、前記組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、CB[5]を12から17重量%の間、CB[6]を45から50重量%の間、CB[7]を22から27重量%の間、CB[8]を12から17重量%の間、ならびにCB[4]、CB[9]および/またはより高級なククルビットウリルを1重量%未満含む、請求項7に記載の使用または方法。
【請求項16】
錯体が、少なくとも100M-1の結合定数を有する、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項17】
錯体が、少なくとも1000M-1の結合定数を有する、請求項1から16のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項18】
窒素含有分子、イオウ含有分子または酸素含有分子の悪臭を打ち消すために使用される、請求項1から17のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項19】
窒素含有およびイオウ含有分子、例えば、アリルアミン、メチルアミン、エチルアミン、シクロブチルアミン(シクロブタンアミン、尿)、シクロペンチルアミン(シクロペンタンアミン)、シクロヘキシルアミン(シクロヘキサンアミン)、シクロヘプチルアミン(シクロブタンアミン)、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン(N-ブチル-1-ブタンアミン)、ジメチルエタノールアミン(2-(ジメチルアミノ)エタノール)、メチルエタノールアミン(2-(メチルアミノ)エタノール)、ジエチルエタノールアミン(2-(ジエチルアミノ)エタノール)、ジエチルアミン(N-メチルエタンアミン、魚臭)、ジプロピルアミン(N-プロピル-1-プロパンアミン)、ジイソプロピルアミン(N-イソプロピル-2-プロパンアミン)、ジメチルアセトアミド(N,N-ジメチルアセトアミド)、エチルメチルアミン(N-メチルエタンアミン)、エチルプロピルアミン(N-エチルプロパンアミド)、トリメチルアミン(魚臭)、トリエチルアミン(魚臭)、エチレンジアミン(1,2-エタンジアミン、カビ臭、アンモニア臭)、プロピレンジアミン(1,3-プロパンジアミン)、テトラメチレンジアミン(1,4-ブタンジアミン、プトレシン、不快な)、エチレンイミン(アジリジン、アンモニア臭)、モルホリン(魚臭)、エチルモルホリン(4-エチルモルホリン、酸味臭)、ピロリジン(精液)、メチルエチルピリジン(2-エチル-3-メチルピリジン)、ピリジン(焦げた、吐き気を覚える)、ビニルピリジン(4-ビニルピリジン、胸の悪くなる)、スカトール(3-メチルインドール、糞便)、インドール(糞便)、カダベリン(ペンタン-1,5-ジアミン、腐敗臭)、硫化水素(腐った卵)、二硫化アリル(3-(アリルジスルファニル)-1-プロペン、ニンニク)、イソチオシアン酸エチル(イソチオシアネートエタン、刺激臭、マスタード、ニンニク)、アリルイソチオシアネート(3-イソチオシアネートプロパ-1-エン、イオウ臭)、アリルメルカプタン(2-プロペン-1-チオール、ニンニク、イオウ臭)、アリルスルフィド(3-(アリルスルファニル)-1-プロペン、イオウ臭)、ジアリルスルフィド(3-(アリルスルファニル)-1-プロペン、イオウ臭)、ジメチルジスルフィド((メチルスルファニル)エタン、不快な、ニンニク)、ジメチルトリスルフィド(ジメチルトリスルファン、不快な)、ジエチルスルフィド((エチルスルファニル)エタン、イオウ臭)、ブチルスルフィド(1-(ブチルスルファニル)ブタン、ニンニク、スミレ)、ジエチルトリスルフィド(ジエチルトリスル
ファン、不快な、ニンニク)、エチルメチルジスルフィド((メチルスルファニル)エタン、イオウ臭)、フェニルスルフィド(1,1’-スルファンジイルジベンゼン、イオウ臭)、エチルメルカプタン(1-エタンチオール、イオウ臭)、アミルメルカプタン(1-ペンタンチオール)、イソアミルメルカプタン(3-メチルブタン-1-チオール、イオウ臭、タマネギ)、ブチルメルカプタン(1-ブタンチオール、スカンク様)、イソブチルメルカプタン(2-メチルプロパン-1-チオール、イオウ臭、マスタード)、ドデシルメルカプタン(1-ドデカンチオール)、二硫化炭素(メタンジチオン、気分の悪くなる、甘い)、トリチオ炭酸ジメチル(カルボノトリチオ酸ジメチル)、チオフェノールメルカプタンと、酸素含有五員環分子、例えば、ソトロン、ノル-ソトロン、飽和ならびに不飽和アルキルおよびヒドロキシアルキルカルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、n-吉草酸、2-メチル酪酸、3-メチル-2-ヘキセン酸、および3-メチル-3-ヒドロキシヘキサン酸から選択される、1つまたは複数の悪臭を打ち消すための請求項1から18のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項20】
前記ククルビットウリルの1つまたは複数が、芳香分子と錯形成しており、前記ククルビットウリルが悪臭成分と錯形成すると、芳香が放出される、請求項1から19のいずれか一項に記載の使用または方法。
【請求項21】
湿潤環境における悪臭を打ち消すための、CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]から選択される、2種以上のククルビットウリルの混合物を含んだ組成物を含む製品の使用。
【請求項22】
前記製品が、ランドリーケア、ホームケアまたはパーソナルケア用である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
ランドリーケア、ホームケアまたはパーソナルケアの前記製品が、粉末、顆粒、錠剤または一回分単位、分散物、エマルション、マイクロエマルションもしくは溶液、含水アルコール製品、ワイプもしくはスポンジ、エアロゾルもしくは液体ディスペンサー、クリーム、バルサム、艶出し剤またはロウの形態である、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
ランドリーケア、ホームケアまたはパーソナルケアの前記製品が、洗剤、洗浄用組成物、シャンプー、柔軟剤、柔軟剤シート、コンディショナー、リフレッシャー、エアフレッシュナー、脱臭用組成物、体臭防止剤、制汗剤、化粧品、高級芳香料、ボディミスト、ロウソク、硬質表面用クリーナー、清掃用ワイプもしくはモップ、石鹸、スタイリングジェル、吸湿剤、空気濾過デバイス、仕上げ用製品、またはおむつもしくは生理用品である、請求項22または23に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、悪臭を打ち消す際のククルビットウリルを含む組成物の使用に関する。より詳細には、本発明は、悪臭を打ち消す際の或るサイズ分布を有するククルビットウリルの混合物を含む組成物の使用に関する。本発明は、湿潤条件下、複雑な悪臭を打ち消す際のかかる組成物の適用にもまた関する。
【背景技術】
【0002】
悪臭は、しばしば、多様な化学的性質および臭いを有する、異なる分子の複雑な混合物である。悪臭の臭いは、刺激性のこともあり、かかる分子のわずかな量ですらも、消費者へ不快な印象を与え得る。したがって、多くの戦略が、悪臭を打ち消すために提案されてきた。予防方法は、殺生物剤、制生物剤を適用することまたは細菌が増殖する部位の微気候条件を制御することのいずれかによって、悪臭の発生の原因となる細菌を殺すこともしくはその増加を阻害することを含む。これらの方法は、例えば、ヒトまたはペットの身体の脇の下またはその他の部分で使用される。除去方法は、悪臭に結合し中和する、化学的に反応性の分子を使用することを含み、酸化(燃やすこと)およびイオン化は、除去方法に属する。これら全ての方法の欠点は、これらの方法が、化学的にまたは生物学的に不活性でなく、環境的に中立でない作用物質を含むことである。特に、殺生物剤および反応性化学物質の使用は、公衆衛生上の懸念を引き起こす。イオン化および燃焼の副生物も、有毒であり、望ましくない恐れがある。
【0003】
代替方法として、香料および香料類は、消費者による悪臭の知覚が低減するように、悪臭をマスクするまたはそれと組み合わせるために使用できる。しかし、複雑な悪臭は、関与する臭いが多種多様であるために、かかる感覚的方法を使用することによって緩和することが、困難である。
【0004】
悪臭抑制方法は、吸収剤および吸着剤の使用を含む。これらの材料は、環境に優しく、ほとんどの場合、顕著な匂いがない。悪臭分子は、これらの材料の細孔中に閉じ込められ、したがって、蒸気圧は、押し下げられる。しかし、これらの材料は、一般的に、悪臭に対して選択的ではなく、望ましい芳香分子もまた結合し得る。他方、湿潤条件、例えば、相対湿度50%超において存在するような水蒸気は、空気中に次に再放出される悪臭に、取って代わり得る。
【0005】
ゲスト分子は、それぞれの分子が、或る分布の細孔の代わりに、良好に画定された空洞を有することを特徴とする、特別なクラスの吸収剤である。
ホスト-ゲスト錯体は、香料類の分野において、しばらくの時間、悪臭を打ち消すために使用されてきた。例えば、US5942217は、悪臭を中和するために、より一般的には環状オリゴ糖と呼ばれる、シクロデキストリンの水溶液の使用を記載している。シクロデキストリン空洞における悪臭分子の吸収は、悪臭の効率的な緩和をもたらす。悪臭結合過程は、乾燥の間に起こり、低分子量ポリオールは、特に、悪臭分子が、小さすぎて、安定した包接錯体を形成できない場合に、組成物に加えられて、シクロデキストリン包接錯体の形成を強化することができる。
【0006】
悪臭と香料両方の知覚に対するシクロデキストリンの作用は、系における水分の活性に大きく依存する。これは、シクロデキストリン空洞における水、芳香および悪臭の包接に関わる錯体の平衡を反映する。それゆえに、見かけ上のホスト-ゲスト結合定数は、系中の水の濃度に応じて、芳香と悪臭の両方について、変わり得る。かかる本質的な非平衡効果の予測がしにくいので、香料製造者は、たびたび困難に遭遇する。芳香および悪臭に関
する、シクロデキストリン結合および放出の貧弱な選択性は、欠点である。この効果は、望ましい匂いの制御放出に関しては、有益となり得るが、放出されたゲスト分子が悪臭である場合、非常に不満足なことになる。
【0007】
シクロデキストリンの別の欠点は、低い水分レベルでまたは水分活性の減少で粘着性になる、これらの炭水化物から誘導された材料の傾向である。これは、例えば、皮膚上の望ましくない「べたつき」感を引き起こし得る。最後に、炭水化物水溶液に関しては通常のことであるが、シクロデキストリン水溶液は、有意な量の保存料を使用し、微生物の侵入に抗して保存されなければならない。
【0008】
シクロデキストリンに関連する欠点を考慮して、これらの問題を克服する、代替のホスト-ゲスト系が、望ましい。US6869466において、ガスまたは揮発性分子をククルビットウリルに結合させて、包接錯体を形成する方法、ならびに結合されたガスまたは揮発性化合物の少なくともいくつかを放出するためのステップが記載されている。悪臭のある化合物を閉じ込めることが、適用の例として言及されている。ホスト-ゲスト錯体の形成は、両方が乾燥状態で、例えば、固体表面上に吸着もしくは支持されたククルビットウリルホスト分子によって、または液体、例えば水中で溶解もしくは分散されて、起こると記載されている。
【0009】
WO2014077642は、脱臭に使用するためのククルビット[7]ウリルを含む組成物を記載し、匂いが、ククルビットウリルで錯形成される何らかの証拠を提供している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ククルビットウリルホスト-ゲスト錯体は、シクロデキストリン錯体に関連する欠点の多くを克服するが、湿潤系において改善された臭気防止をもたらすククルビットウリルホスト-ゲスト錯体に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、全体として、複雑な悪臭を打ち消す際、湿潤条件下、CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]から選択される、少なくとも2種の異なるククルビットウリルの混合物を含む組成物の使用を提供する。
【0012】
一態様において、湿潤環境において悪臭を打ち消すための、CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]から選択される、2種以上の異なるサイズのククルビットウリルの混合物を含む組成物の使用が、提供される。
【0013】
第二の態様において、CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]から選択される、2種以上の異なるサイズのククルビットウリルの混合物を含む組成物を適用することによって、湿潤環境において悪臭を打ち消す方法が、提供される。
【0014】
一実施形態において、組成物は、CB[6]およびCB[7]を含む。別の実施形態において、組成物は、CB[6]、CB[7]およびCB[8]を含む。別の実施形態において、組成物は、CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]を含む。
【0015】
ククルビットウリルは、CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]から選択される、少なくとも2種の異なるサイズのククルビットウリルの混合物として、組成物中に存在する。ククルビットウリルが、ククルビット[n]ウリルと呼ばれる場合、組成物は、異なるサイズのククルビット[n]ウリルの混合物を含み、nは、4から20の整
数であり、混合物は、CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]からなる群から選択される、少なくとも2種の異なるククルビットウリルを含む。
【0016】
一実施形態において、湿潤条件は、相対湿度、約35%超を有する。
本発明のこれらおよびその他の態様ならびに実施形態は、以下にさらに詳細に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明者らは、2種以上の悪臭成分が、低分子量を有する、揮発性である、または特に刺激臭を有している場合でさえも、或るサイズ分布を有するククルビットウリル化合物の混合物が、これらの2種以上の悪臭成分からなる悪臭を抑制するために特に効率的であると分かった。特に、悪臭抑制の作用は、湿潤条件下、実施され得る。
【0018】
用語「湿潤(な)」および「湿った」または「高湿度(の)」は、全体を通して、互換的に使用される。用語「湿潤(な)」、「湿った」および「高湿度(の)」に関連して、用語「条件」、「環境」および「系」はまた、全体を通して、互換的に使用される。
【0019】
本発明に関して、高湿度条件とも呼ばれる、湿潤条件は、ククルビットウリルが使用される場所、例えば、ククルビットウリル組成物が適用される場所の空気が、外気温下、例えば約25℃で、相対湿度40%超、さらにより詳細には約50%超、さらにより詳細には約60%超、さらにより詳細には約70%超、さらにより詳細には約80%超、さらにより詳細には約90%超を有することを意味する。約は、±1%または±1℃を意味する。
【0020】
相対湿度は、空気が所与の温度0℃から100℃の間で保持できる湿気の最大量の体積パーセンテージとして表される。より正確には、相対湿度は、ククルビットウリル化合物の適用の条件下での有効蒸気分圧対同じ温度での「飽和」ともまた呼ばれる平衡での水の蒸気分圧の比として定義される。
【0021】
本発明が関係する典型的な湿潤環境は、例えば、浴室、シャワー室、便器、洗濯機、食洗機、台所水回り、台所換気フード、靴の内部、脇の下、義歯、哺乳類の体腔、哺乳類の皮膚、ゴミ袋、便器、地下室、スポーツウエア、湿ったカーペット、ペットのトイレ砂、汚水排水管、雨樋システム等である。
【0022】
一実施形態において、環境は、外気温下で相対湿度40%を有する。
別の実施形態において、環境は、外気温下で相対湿度88%を有する。
特定の実施形態において、環境は、外気温下で相対湿度100%を有する。
【0023】
一実施形態において、ククルビットウリルの混合物は、CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]のククルビットウリルを含み、CB[5]は、小さい悪臭分子と錯体を形成できる。
ククルビットウリル
本発明は、悪臭分子との錯体を形成するククルビットウリルの使用を提供する。
【0024】
ククルビットウリルは、キャビタンド族の一員であり、一般的なククルビットウリルの構造は、メチレン架橋によって連結されたグリコールウリルのサブユニットの環状配列を基本とする。
【0025】
ククルビットウリル化合物の調製および精製は、当技術分野において、詳しく記載されている。例えば、Lagonaら、review the synthesis and
properties of cucurbituril compounds,including derivatives,analogues and congener within the cucurbituril family。
【0026】
例えば、ククルビット[8]ウリル(CB[8]、CAS259886-51-6)は、8個の繰り返しグリコールウリル単位および内部空洞容積479A3を有する、樽形状のコンテナ分子(container molecule)である(下記の構造を参照)。CB[8]は、標準技術を使用して容易に合成され、市販されている(例えば、Sigma-Aldrich、MO USA)。
【0027】
【0028】
ククルビットウリルは、2種以上のCB[n]の混合物として存在し、混合物は、CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]から選択される、少なくとも2種の異なるククルビットウリルを含み、nは、4から20の整数である。
【0029】
その他のククルビットウリルが、CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]に加えて、組成物中に存在してもよい。例えば、組成物は、nが、4または9から20の整数である、CB[n]のククルビットウリルをさらに含んでよい(例えば、CB[9]、CB[10]、CB[11]等)。例えば、組成物は、CB[4]もしくはCB[9]、またはCB[4]およびCB[9]をさらに含んでよい。
【0030】
CB[5]が、ククルビットウリル混合物中に存在する場合、CB[5]の濃度は、組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、約0.1から約99重量%、より詳細には約0.5から約75重量%、より詳細には約1から約50重量%、より詳細には約2から約30重量%、より詳細には約5から約25重量%、より詳細には約10から約20重量%でもよい。
【0031】
CB[6]が、ククルビットウリル混合物中に存在する場合、CB[6]の濃度は、組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、約0.1から約99重量%、より詳細には約1から約75重量%、より詳細には約5から約60重量%、より詳細には約20から約55重量%、より詳細には約35から約55重量%でもよい。
【0032】
CB[7]が、ククルビットウリル混合物中に存在する場合、CB[7]の濃度は、組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、約0.1から99重量%、より詳細には約5から約75重量%、より詳細には約10から約60重量%、より詳細には約20重量%から約45重量%でもよい。一実施形態において、CB[7]の濃度は、組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、45重量%未満である。
【0033】
CB[8]が、ククルビットウリル混合物中に存在する場合、CB[8]の濃度は、組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、約0.1から99重量%、より詳細には約0.5から約75重量%、より詳細には約1から約30重量%、より詳細には約5から
約25重量%、より詳細には約10から約20重量%でもよい。
【0034】
CB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]から選択される、少なくとも2種の異なるククルビットウリルの総濃度は、組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、75重量%超、より詳細には約90重量%超、より詳細には約99重量%超でもよい。ククルビットウリル混合物の残りの成分は、CB[4]、CB[9]および/またはより高級な(higher)ククルビットウリル(すなわち、CB[10]~CB[20])を、単一サイズのククルビットウリルまたはこれらのサイズの混合物のいずれかとして含有してもよい。
【0035】
特定の実施形態において、ククルビットウリル混合物は、組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、CB[5]を12から17重量%の間、CB[6]を45から50重量%の間、CB[7]を22から27重量%の間、CB[8]を12から17重量%の間、ならびにCB[9]およびより高級なククルビットウリルを1重量%未満含む。
【0036】
上記のククルビットウリルの重量%は、組成物中の(全てのサイズの)ククルビットウリルの総重量に対するものである。本発明の組成物を調製するための出発材料として使用されるククルビットウリル混合物、すなわち、錯体を形成していないククルビットウリルの混合物は、上記と同じ重量パーセンテージを有することになる。
【0037】
本発明のその他の態様において、ククルビットウリル誘導体が提供され、本明細書に記載された方法において使用法を見出す。ククルビットウリルの誘導体は、1、2、3、4またはそれ以上の置換グリコールウリル単位を有する構造である。置換ククルビットウリル化合物は、下記の構造
【0038】
【0039】
によって表されてよく、
式中、
nは、4から20の間の整数であり、
それぞれのグリコールウリル単位について、
それぞれのXは、O、SまたはNR3であり、
-R1および-R2は、-Hおよび以下の、場合によって置換されている基、-R3、-OH、-OR3、-COOH、-COOR3、-NH2、-NHR3および-N(R3)2からそれぞれ独立して選択され、-R3は、C1~20アルキル、C6~20カルボアリール、およびC5~20ヘテロアリールから独立して選択される、または-R1および/もしくは-R2が-N(R3)2である場合、両方の-R3は一緒にC5~7複素環を形成する、または-R1および-R2は一緒に、ウラシルフレームと共にC6~8炭素環を形成するC4~6アルキレンである。
【0040】
一実施形態において、グリコールウリル単位の1つは、置換グリコールウリル単位である。したがって、-R1および-R2はそれぞれ独立して、グリコールウリル単位のn-
1について、-Hである。
【0041】
一実施形態において、nは、5、6、7、8、9、10、11または12である。
一実施形態において、nは、5、6、7または8である。
一実施形態において、それぞれのXは、Oである。
【0042】
一実施形態において、それぞれのXは、Sである。
一実施形態において、R1およびR2はそれぞれ独立して、Hである。
一実施形態において、それぞれの単位について、R1およびR2の一方は、Hであり、他方は、-Hおよび以下の場合によって置換されている基、-R3、-OH、-OR3、-COOH、-COOR3、-NH2、-NHR3および-N(R3)2から独立して選択される。一実施形態において、1つの単位について、R1およびR2の一方は、Hであり、他方は、-Hおよび以下の場合によって置換されている基、-R3、-OH、-OR3、-COOH、-COOR3、-NH2、-NHR3および-N(R3)2から独立して選択される。この実施形態において、残りのグリコールウリル単位は、R1およびR2が、それぞれ独立してHであるような単位である。
【0043】
好ましくは、-R3は、C1~20アルキル、最も好ましくはC1~6アルキルである。C1~20アルキル基は、直鎖状および/または飽和でもよい。それぞれの基-R3は独立して、非置換または置換でもよい。好ましい置換基は、-R4、-OH、-OR4、-SH、-SR4、-COOH、-COOR4、NH2、-NHR4および-N(R4)2から選択され、-R4は、C1~20アルキル、C6~20カルボアリール、およびC5~20ヘテロアリールから選択される。置換基は、-COOHおよび-COOR4から独立して選択してもよい。
【0044】
いくつかの実施形態において、-R4は、-R3と同じではない。いくつかの実施形態において、-R4は、好ましくは非置換である。
-R1および/または-R2が、-OR3、-NHR3または-N(R3)2である場合、-R3は、好ましくはC1~6アルキルである。いくつかの実施形態において、-R3は、置換基-OR4、-NHR4または-N(R4)2で置換されている。それぞれの-R4は、C1~6アルキルであり、それ自身、好ましくは置換されている。
【0045】
一実施形態において、ククルビットウリル化合物ヘの言及は、その誘導体への言及である。本発明のククルビットウリルは、天然型でもよく、または溶解度、分散度、およびより全般的には、配合および取扱いを改善するために、上記の通り修飾されていてもよい。錯体
一態様において、本発明は、或る空洞サイズ分布を有するククルビットウリルの混合物の使用を提供し、このククルビットウリルは、悪臭分子と錯体を形成し得る。
【0046】
本明細書に記載された組成物は、ククルビットウリル混合物を含み、ククルビットウリルは、ゲスト分子を実質的に含まず、75重量%超、より詳細には90重量%超、さらにより詳細には95%超のククルビットウリルが、ゲスト分子を含まないことを意味する。本発明の組成物が、悪臭分子と接触すると、ククルビットウリルは、悪臭のマスキングをもたらす、悪臭-ククルビットウリル錯体を形成する。
【0047】
場合によっては、ククルビットウリルは、ゲスト分子を取り込み、次に、このゲスト分子は、ククルビットウリルが悪臭分子/成分と錯形成する場合、分子交換によって放出される。一実施形態において、ゲスト分子は、家庭用ケアまたはパーソナルケアにおいて使用される分子である。特に、ゲスト分子は、芳香分子である。ゲスト分子は、ククルビットウリルに物理的に結合され、ククルビットウリルが、悪臭分子と錯形成する場合、放出
される。適切な芳香分子は、当業者にとって既知であり、参照により本明細書に組み込まれるGB1602664.3にもまた記載されている。
【0048】
ククルビットウリルと錯体を形成する場合、悪臭分子は、ククルビットウリル基質に物理的に結合される。全体を通して使用される、用語「物理的に結合される」、「物理的結合」および「物理的連結」は、ファンデルワールス力およびその他の種類の物理的結合による結合を含む。これに関して、水素結合もまた、物理的結合と見なされる。悪臭との強い物理的結合を確立できる系は、化学的結合に頼る系より、かなりの利点を有する。
【0049】
特に、物理的結合は、多数の化学構造および機能を有する多数の悪臭との錯体の形成を可能にする。反応性基を有さない悪臭分子でさえも、ククルビットウリルに物理的に結合できる。
【0050】
ククルビットウリル-悪臭錯体は、三元または二元錯体でもよい。したがって、ククルビットウリルは、その空洞内に1個または2個のゲスト悪臭分子を保持し得る。ククルビットウリルが2個の悪臭分子を保持する場合、悪臭分子は、同じでもよく、または悪臭分子は異なっていてもよい。2個の悪臭分子を取り込むことができるククルビットウリルは、単一の悪臭との安定した二元錯体を形成することもでき得る。三元ゲスト-ホスト錯体の形成は、中間の二元錯体を介して進行すると考えられる。
【0051】
一実施形態において、ククルビットウリルは、三元錯体を形成することができる。例えば、CB[8]は、三元錯体を形成することができる。
一実施形態において、ククルビットウリルは、二元錯体を形成することができる。CB[8]も、二元錯体を形成し得る。
【0052】
一実施形態において、ククルビットウリルは、三元および二元錯体を形成することができる。例えば、CB[8]は、ゲストの性質に応じて、三元または二元錯体を形成することができる。
【0053】
本出願者は、悪臭を打ち消す系として仕事をするために、悪臭-ククルビットウリル錯体は、好ましくは100M-1より大きい結合定数を有さなければならないことを確証した。一実施形態において、結合定数は、少なくとも1000M-1である。
【0054】
悪臭Mと、xが4から20の整数であるククルビットウリルCB[x]との間の二元錯体のための結合定数は、以下の通り、質量作用のルシャトリエの原理にしたがって定義され、
M+CB[x]⇔MCB[x]
K=[MCB[x]]/([M]*[CB[x]])]
角カッコは、mol/lでの種の濃度を表示する。
悪臭
用語「悪臭」は、日常生活においてしばしば遭遇し、さまざまな起源を有する、不快な匂いを指す。典型的な悪臭は、無制御の工業的な活動から、発汗および排泄などのヒトおよびペットの身体から、台所および食品加工から、たばこの煙から、ならびにカビから発散する匂いを含む。ヒトにとって最も嫌な悪臭のいくつかは、汗、糞便、尿、湿ったペット、料理の匂い、特に、ニンニク、キャベツ、魚およびタマネギ等である。悪臭は、消費者製品中、例えば、石鹸、洗剤、シャンプーおよびコンディショナー中に存在する、脂肪酸および脂肪酸誘導体からもまた、発散し得る。特に望ましくない悪臭のその他の例は、除毛クリーム(イオウ化合物)によって生成される悪臭である。これらの悪臭の全ては、特に刺激性である。
【0055】
ククルビットウリルの混合物は、広範囲の悪臭分子を打ち消すために使用してもよい。
本発明に関して、用語「悪臭の打ち消し」または「悪臭を打ち消す(こと)」は、「悪臭の抑制」、「悪臭の緩和」または「悪臭の中和」と同等であると見なされる。その結果は、悪臭源に暴露される人による悪臭の知覚強度が有意に減少することである。匂いの強度は、ラベルドマグニチュードスケール(LMS)を使用することによって、一般的に測定され、LMSの定義は、Green BG、Shaffer GS and Gilmore MM 1993、Derivation and evaluation of
a semantic scale of oral sensation magnitude with apparent ratio properties、Chemical Sences、18(6):683~702に見出すことができる。匂いについて、スケールは、以下の強度属性を網羅する:ほとんど検知不可能、弱い、中程度、強い、非常に強いおよび想像可能な最大限の強さ。本発明に関して、「有意な減少」とは、悪臭の強度属性が、ククルビットウリルの適用後、弱い、またはほとんど検知不可能であることを意味する。
【0056】
代替方法として、例えば、0(感知されない強度)~10(感知された最高の強度)にわたる線形スケールを使用してもよい。
匂い強度の点数は、数人のパネルによって、好ましくは得られる。
【0057】
本発明において、打ち消される悪臭は、複数の悪臭成分を含む、複雑な悪臭である。
一実施形態において、複雑な悪臭は、多種多様な化学的機能を有する悪臭成分を含む。
空洞容積82オングストローム3を有するCB[5]は、小さなガスの悪臭、例えば、アセチレン、硫化水素および二硫化炭素を、好ましくは結合する。
【0058】
O-、N-およびS-ヘテロ原子を含む、より大きい悪臭分子は、より高級なククルビットウリル(例えば、CB[7]およびCB[8])に、好ましくは結合する。
悪臭は、以下から選択されるが、これらに限定されない。
【0059】
-窒素含有およびイオウ含有分子、例えば、アリルアミン、メチルアミン、エチルアミン、シクロブチルアミン(シクロブタンアミン、尿)、シクロペンチルアミン(シクロペンタンアミン)、シクロヘキシルアミン(シクロヘキサンアミン)、シクロヘプチルアミン(シクロブタンアミン)、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン(N-ブチル-1-ブタンアミン)、ジメチルエタノールアミン(2-(ジメチルアミノ)エタノール)、メチルエタノールアミン(2-(メチルアミノ)エタノール)、ジエチルエタノールアミン(2-(ジエチルアミノ)エタノール)、ジエチルアミン(N-メチルエタンアミン、魚臭)、ジプロピルアミン(N-プロピル-1-プロパンアミン)、ジイソプロピルアミン(N-イソプロピル-2-プロパンアミン)、ジメチルアセトアミド(N,N-ジメチルアセトアミド)、エチルメチルアミン(N-メチルエタンアミン)、エチルプロピルアミン(N-エチルプロパンアミド)、トリメチルアミン(魚臭)、トリエチルアミン(魚臭)、エチレンジアミン(1,2-エタンジアミン、カビ臭、アンモニア臭)、プロピレンジアミン(1,3-プロパンジアミン)、テトラメチレンジアミン(1,4-ブタンジアミン、プトレシン、不快な)、エチレンイミン(アジリジン、アンモニア臭)、モルホリン(魚臭)、エチルモルホリン(4-エチルモルホリン、酸味臭)、ピロリジン(精液)、メチルエチルピリジン(2-エチル-3-メチルピリジン)、ピリジン(焦げた、吐き気を覚える)、ビニルピリジン(4-ビニルピリジン、胸の悪くなる)、スカトール(3-メチルインドール、糞便)、インドール(糞便)、カダベリン(ペンタン-1,5-ジアミン、腐敗臭)、硫化水素(腐った卵)、二硫化アリル(3-(アリルジスルファニル)-1-プロペン、ニンニク)、イソチオシアン酸エチル(イソチオシアネートエタン(isothiocyanatoethane)、刺激臭、マスタード、ニンニク)、アリルイソチオシアネート(3-イソチオシアネートプロパ-1-エン、イオウ
臭)、アリルメルカプタン(2-プロペン-1-チオール、ニンニク、イオウ臭)、アリルスルフィド(3-(アリルスルファニル)-1-プロペン、イオウ臭)、ジアリルスルフィド(3-(アリルスルファニル)-1-プロペン、イオウ臭)、ジメチルジスルフィド((メチルスルファニル)エタン、不快な、ニンニク)、ジメチルトリスルフィド(ジメチルトリスルファン、不快な)、ジエチルスルフィド((エチルスルファニル)エタン、イオウ臭)、ブチルスルフィド(1-(ブチルスルファニル)ブタン、ニンニク、スミレ)、ジエチルトリスルフィド(ジエチルトリスルファン、不快な、ニンニク)、エチルメチルジスルフィド((メチルスルファニル)エタン、イオウ臭)、フェニルスルフィド(1,1’-スルファンジイルジベンゼン、イオウ臭)、エチルメルカプタン(1-エタンチオール、イオウ臭)、アミルメルカプタン(1-ペンタンチオール)、イソアミルメルカプタン(3-メチルブタン-1-チオール、イオウ臭、タマネギ)、ブチルメルカプタン(1-ブタンチオール、スカンク様)、イソブチルメルカプタン(2-メチルプロパン-1-チオール、イオウ臭、マスタード)、ドデシルメルカプタン(1-ドデカンチオール)、二硫化炭素(メタンジチオン、気分の悪くなる、甘い)、トリチオ炭酸ジメチル(カルボノトリチオ酸ジメチル(Dimethyl carbonotrithioate))、チオフェノールメルカプタン。
【0060】
-酸素含有五員環分子、例えば、ソトロン、ノル-ソトロン(nor-Sotolon)。
-飽和ならびに不飽和アルキルおよびヒドロキシアルキルカルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、n-吉草酸、2-メチル酪酸、3-メチル-2-ヘキセン酸、および3-メチル-3-ヒドロキシヘキサン酸。
悪臭を打ち消す組成物
異なるサイズのククルビットウリルの混合物に加えて、本発明において使用される組成物は、当業者にとって既知の1つまたは複数の添加物もまた、含んでよい。
【0061】
一実施形態において、本発明において使用される組成物は、ククルビットウリルに加えて、悪臭を打ち消すのに有用な、1つまたは複数の分子、分子の混合物またはポリマーをさらに含む。悪臭を打ち消すのに有用な、適切な分子、分子の混合物またはポリマーは、当業者にとって既知であり、その他のホスト分子を含む。例えば、シクロデキストリン、カリックスアレーンおよびクラウンエーテルを含む、キャビタンド族のその他のメンバーは、ククルビットウリルと組み合わせて使用できる。分子または化合物のさらなる適切なクラスは、木炭およびリシノール酸亜鉛を含む。
【0062】
一実施形態において、ククルビットウリルの混合物、および任意の追加の悪臭を打ち消す分子は、保存料、染料、顔料、捕捉剤および抗酸化剤から選択される、1つまたは複数の添加物をさらに含む。
【0063】
本発明における使用のためのククルビットウリルをベースとする組成物は、多数の形態および形式で提供できる。特定の実施形態において、ククルビットウリルの混合物は、粉末形態で、溶液もしくは液体中の分散物として、超臨界流体でもしくは圧縮ガスとして、基材、例えば、布地、不織布パッド、吸着剤等に吸着させて、またはスプレー形態で提供してもよい。
【0064】
ククルビットウリルの混合物は、製品、例えば、ランドリーケア、ホームケアまたはパーソナルケア用の消費者製品に加えてもよい。これらの消費者製品は、粉末または顆粒、錠剤または一回分単位、分散物、エマルション、マイクロ-エマルションまたは溶液、含水アルコール製品、ワイプまたはスポンジ、エアロゾルまたは液体ディスペンサー、クリーム、バルサム、艶出し剤、ロウ等の形態でもよい。本組成物を、これらの異なる形態に組み込む方法は、当業者によく知られている。
【0065】
消費者製品は、洗剤、洗浄用組成物、シャンプー、柔軟剤、柔軟剤シート、コンディショナー、リフレッシャー、エアフレッシュナー、脱臭用組成物、体臭防止剤、制汗剤、化粧品、高級芳香料、ボディミスト、ロウソク、硬質表面用クリーナー、清掃用ワイプまたはモップ、石鹸、スタイリングジェル、吸湿剤、空気濾過デバイス、仕上げ用製品、おむつまたは生理用品等でもよい。
【0066】
ククルビットウリル組成物は、布地へ、機能性布地へおよび布地仕上げ用製品へ、空気およびさまざまな材料、例えば、紙、木、プラスチック、石、セラミック、金属、メタルウール、ウール、繊維、フォーム、フィルター材料、吸収剤、吸着剤、プラスター、塗料、インク等へ、悪臭を打ち消す特性を与えるために使用されてもよい。
【0067】
本明細書に記載されているククルビットウリル組成物はまた、製品に添加される前に、香油と混合されてもよい、または香油に組み込まれてもよい。
ククルビットウリル組成物が、香油に加えられる場合、生じる混合物は、当技術分野に公知の任意の方法によって、例えば、噴霧乾燥、噴霧造粒、マトリックス粒子形成、コアシェルカプセル化等によって、マイクロカプセル化してもよい。
【0068】
本発明の或る態様および実施形態を、ここに例として説明する。
【実施例0069】
実験および結果
以下の実施例は、全て、20±2℃で実行された。
実施例1
CB[n]を使用して、悪臭を打ち消すこと
ククルビットウリル/悪臭混合物を、CB[n]と呼ばれる、ククルビットウリルの混合物で、悪臭を錯形成することによって調製した。CB[n]混合物の組成は、CB[5]が15重量%、CB[6]が48重量%、CB[7]が25重量%およびCB[8]が12重量%であった。4つのCB[n]/悪臭混合物の放出特性を、匂い特性決定試験を使用して、調査した。10人の訓練を受けたパネルが、好みおよび匂い強度(1から9のスケールを使用する)に関して、かかる組成物の匂いの特性を明らかにした。悪臭溶液0.4mLをCB[n]粉末2.5gが入ったガラスバイアルへ加えることによって、CB[n]/悪臭混合物を、配合した。次に、バイアルを、匂い評価のために、空の500mLフラスコに入れた。次に、それぞれのCB[n]/悪臭組成物の匂いを、対応する、CB[n]のない悪臭と比較した。悪臭の組成物は以下の通りである。魚(アンモニア、トリエタノールアミンおよびジメチルアミン、エタノール溶液中にそれぞれ1.5重量%)、体臭(エタノール中にイソ吉草酸0.05重量%)、ニンニク(エタノール中にニンニク油0.25重量%)、シュリンプペースト(エタノール中にタイシュリンプペースト0.5重量%)および浴室(%による米国政府規格浴室悪臭)。試験を、湿度40%で行った。結果を、表1で報告する。
【0070】
表[1]は、悪臭を打ち消すCB[n]の能力を示す。
【0071】
【0072】
結果:CB[n]の存在下、全ての悪臭が、CB[n]によって打ち消されたことが、表から明らかである。
実施例2
ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(CD)と比較した、CB[n]を使用して、魚および浴室の悪臭を打ち消すこと
魚および浴室の悪臭を捕獲するCB[n]およびCDの能力を、匂い特性決定試験を使用して、湿度40%の条件で分析した。9人の訓練を受けたパネルが、好みおよび匂い強度(1から9のスケールを使用する)に関して、かかる組成物の匂いの特性を明らかにした。悪臭とCB[n]およびCDとの混合物を、以下の通り、配合した。悪臭溶液0.4mLを、CB[n]またはCD粉末2.5gが入ったガラスバイアルへ加える。次に、混合物が入ったバイアルを、匂い評価のために、空の500mLフラスコに入れた。結果を、表2で報告する。
【0073】
表[2]は、湿度40%の湿潤条件で、魚および浴室の悪臭を打ち消すための、CDを上回る、CB[n]の使用の利点を示す表である。
【0074】
【0075】
結果:魚の匂いおよび浴室の悪臭とのCB[n]の結合能力が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンより優れていることが、表から明らかである。これは、悪臭を抑制するためのCB[n]のより良い性能と解釈される。
【0076】
実施例3
CB[7]と比較した、CB[n]を使用して、魚および浴室の悪臭を打ち消すこと
魚および浴室の悪臭を捕獲するCB[n]およびCB[7]の能力を、匂い特性決定試験を使用して、湿度40%の条件で分析した。9人の訓練を受けたパネルが、好みおよび匂い強度(1から9のスケールを使用する)に関して、かかる組成物の匂いの特性を明らかにした。混合物を、前の実施例に記載された通り、配合した。次に、バイアルを、匂い評価のために、空の500mLフラスコに入れた。結果を、表3で報告する。
【0077】
表[3]は、魚および浴室の悪臭を打ち消すための、CB[7]を上回る、CB[n]の使用の利点を示す。
【0078】
【0079】
結果:CB[n]の結合能力が、CB[7]より優れていることが、表から明らかである。これは、両方の悪臭を抑制するためのCB[n]のより良い性能と解釈される。
実施例4
高湿度下、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(CD)と比較した、CB[n]を使用して、魚および浴室の悪臭を打ち消すこと
魚および浴室の悪臭を捕獲するCB[n]およびCDの能力を、実施例2および3に記載された、同じ匂い特性決定試験を使用して、湿度88%の条件で分析した。結果を、表4で報告する。
【0080】
表[4]は、湿度88%の湿潤条件で、魚および浴室の悪臭を打ち消すための、CDを
上回る、CB[n]の使用の利点を示す表である。
【0081】
【0082】
結果:魚の匂いおよび浴室の悪臭とのCB[n]の結合能力が、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンより優れていることが、表から明らかである。これは、高湿度条件下、両方の悪臭を抑制するためのCB[n]のより良い性能と解釈される。
【0083】
実施例5
高湿度下、CB[7]と比較した、CB[n]を使用して、魚および浴室の悪臭を打ち消すこと
魚および浴室の悪臭を捕獲するCB[n]およびCB[7]の能力を、実施例3および4に記載された、同じ匂い特性決定試験を使用して、湿度88%の条件で分析した。結果を、表5で報告する。
【0084】
表[5]は、湿度88%の湿潤条件で、魚および浴室の悪臭を打ち消すための、CB[7]を上回る、CB[n]の使用の利点を示す。
【0085】
【0086】
結果:魚および浴室の悪臭とのCB[n]の結合能力が、CB[7]より優れていることが、表から明らかである。これは、高湿度条件下、両方の悪臭を抑制するためのCB[n]のより良い性能と解釈される。
CB[5]の濃度が、前記組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、約0.1から約99重量%、より詳細には約0.5から約75重量%、より詳細には約1から約50重量%、より詳細には約2から約30重量%、より詳細には約5から約25重量%、より詳細には約10から約20重量%である、請求項1から4または6から7のいずれか一項に記載の方法。
CB[6]の濃度が、前記組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、約0.1から約99重量%、より詳細には約1から約75重量%、より詳細には約5から約60重量%、より詳細には約20から約55重量%、より詳細には約35から約55重量%である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
CB[7]の濃度が、前記組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、約0.1から99重量%、より詳細には約5から約75重量%、より詳細には約10から約60重量%、より詳細には約20重量%から約45重量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
CB[8]の濃度が、前記組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、約0.1から99重量%、より詳細には約0.5から約75重量%、より詳細には約1から約30重量%、より詳細には約5から約25重量%、より詳細には約10から約20重量%である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
前記組成物中のCB[5]、CB[6]、CB[7]およびCB[8]の総濃度が、前記組成物中のククルビットウリルの総重量に対して、75重量%超、より詳細には約90重量%超、より詳細には約99重量%超である、請求項6に記載の方法。
窒素含有およびイオウ含有分子、例えば、アリルアミン、メチルアミン、エチルアミン、シクロブチルアミン(シクロブタンアミン、尿)、シクロペンチルアミン(シクロペンタンアミン)、シクロヘキシルアミン(シクロヘキサンアミン)、シクロヘプチルアミン(シクロブタンアミン)、イソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン(N-ブチル-1-ブタンアミン)、ジメチルエタノールアミン(2-(ジメチルアミノ)エタノール)、メチルエタノールアミン(2-(メチルアミノ)エタノール)、ジエチルエタノールアミン(2-(ジエチルアミノ)エタノール)、ジエチルアミン(N-メチルエタンアミン、魚臭)、ジプロピルアミン(N-プロピル-1-プロパンアミン)、ジイソプロピルアミン(N-イソプロピル-2-プロパンアミン)、ジメチルアセトアミド(N,N-ジメチルアセトアミド)、エチルメチルアミン(N-メチルエタンアミン)、エチルプロピルアミン(N-エチルプロパンアミド)、トリメチルアミン(魚臭)、トリエチルアミン(魚臭)、エチレンジアミン(1,2-エタンジアミン、カビ臭、アンモニア臭)、プロピレンジアミン(1,3-プロパンジアミン)、テトラメチレンジアミン(1,4-ブタンジアミン、プトレシン、不快な)、エチレンイミン(アジリジン、アンモニア臭)、モルホリン(魚臭)、エチルモルホリン(4-エチルモルホリン、酸味臭)、ピロリジン(精液)、メチルエチルピリジン(2-エチル-3-メチルピリジン)、ピリジン(焦げた、吐き気を覚える)、ビニルピリジン(4-ビニルピリジン、胸の悪くなる)、スカトール(3-メチルインドール、糞便)、インドール(糞便)、カダベリン(ペンタン-1,5-ジアミン、腐敗臭)、硫化水素(腐った卵)、二硫化アリル(3-(アリルジスルファニル)-1-プロペン、ニンニク)、イソチオシアン酸エチル(イソチオシアネートエタン、刺激臭、マスタード、ニンニク)、アリルイソチオシアネート(3-イソチオシアネートプロパ-1-エン、イオウ臭)、アリルメルカプタン(2-プロペン-1-チオール、ニンニク、イオウ臭)、アリルスルフィド(3-(アリルスルファニル)-1-プロペン、イオウ臭)、ジアリルスルフィド(3-(アリルスルファニル)-1-プロペン、イオウ臭)、ジメチルジスルフィド((メチルスルファニル)エタン、不快な、ニンニク)、ジメチルトリスルフィド(ジメチルトリスルファン、不快な)、ジエチルスルフィド((エチルスルファニル)エタン、イオウ臭)、ブチルスルフィド(1-(ブチルスルファニル)ブタン、ニンニク、スミレ)、ジエチルトリスルフィド(ジエチルトリスルファン、不快な、ニンニク)、エチルメチルジスルフィド((メチルスルファニル)エタン、イオウ臭)、フェニルスルフィド(1,1’-スルファンジイルジベンゼン、イオウ臭)、エチルメルカプタン(1-エタンチオール、イオウ臭)、アミルメルカプタン(1-ペンタンチオール)、イソアミルメルカプタン(3-メチルブタン-1-チオール、イオウ臭、タマネギ)、ブチルメルカプタン(1-ブタンチオール、スカンク様)、イソブチルメルカプタン(2-メチルプロパン-1-チオール、イオウ臭、マスタード)、ドデシルメルカプタン(1-ドデカンチオール)、二硫化炭素(メタンジチオン、気分の悪くなる、甘い)、トリチオ炭酸ジメチル(カルボノトリチオ酸ジメチル)、チオフェノールメルカプタンと、酸素含有五員環分子、例えば、ソトロン、ノル-ソトロン、飽和ならびに不飽和アルキルおよびヒドロキシアルキルカルボン酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ吉草酸、n-吉草酸、2-メチル酪酸、3-メチル-2-ヘキセン酸、および3-メチル-3-ヒドロキシヘキサン酸から選択される、1つまたは複数の悪臭を打ち消すための請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。