(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006835
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】センサ装着具
(51)【国際特許分類】
A01K 29/00 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
A01K29/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109345
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】大木 恒雄
(72)【発明者】
【氏名】小森 敦
(72)【発明者】
【氏名】中井 利匡
(57)【要約】
【課題】センサモジュールを被着体に非侵襲的に装着でき、伸縮自在で締め付け力の調整が容易であり、締め付け力を繰り返し調整することもできるセンサ装着具を提供することを目的とする。
【解決手段】帯状のシート状基材10の両側の端部に自己融着領域20,22が設けられ、自己融着領域20,22が自己融着性エラストマーを含有する自己融着部24,26からなり、センサモジュール200を覆うようにシート状基材10を牛の尾根部110に巻き付け、自己融着領域20と自己融着領域22とを重ねて密着させることにより、センサモジュール200が尾根部110に装着された状態を保持する、センサ装着具1。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサモジュールを被着体に装着するための帯状又はリング状のセンサ装着具であって、
シート状基材を備え、
前記シート状基材の少なくとも一部に自己融着領域が設けられ、
前記自己融着領域は、自己融着性エラストマーを含有する自己融着部を含み、
前記センサモジュールを覆うように前記シート状基材を前記被着体に巻き付けて前記自己融着領域同士を重ねて密着させることにより、前記センサモジュールが前記被着体に装着された状態を保持する、センサ装着具。
【請求項2】
前記自己融着領域が前記自己融着部のみからなる、請求項1に記載のセンサ装着具。
【請求項3】
前記自己融着領域が、前記自己融着部と、自己融着性エラストマーを含有せず、かつ非自己融着性エラストマーを含有する非自己融着部とからなる、請求項1に記載のセンサ装着具。
【請求項4】
前記自己融着部と前記非自己融着部が市松模様状に配置されている、請求項3に記載のセンサ装着具。
【請求項5】
前記自己融着部と前記非自己融着部とが海島構造になっている、請求項3に記載のセンサ装着具。
【請求項6】
前記自己融着領域の両側の表面のうち、少なくとも一方が凹凸面である、請求項1~5のいずれか一項に記載のセンサ装着具。
【請求項7】
前記シート状基材における前記自己融着部以外の部分が非自己融着性エラストマーを含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のセンサ装着具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
牛、豚等の家畜を扱う畜産現場において、日和見感染症、呼吸器病、消化器病等の疾病による経済的損失は大きな問題であり、特に日和見感染症は家畜の傷病頭数、死廃頭数の中でも大きな割合を占めている。省力化や大規模化が進んだ日本の畜産現場では、人が個々の家畜を常時監視することは難しく、これらの疾病の防除は容易ではない。
【0003】
そこで、家畜に体表温センサ、音声センサ、活動量センサ等のセンサモジュールを装着し、家畜の生体情報を収集して健康状態を常時監視し、疾病を防除して経済的損失を低減することが試みられている(特許文献1)。センサモジュールは家畜に非侵襲的に装着することが重要であり、例えば、ベルト等の装着具を用いて家畜に装着される。特許文献2には、動物の尾部に嵌挿する環状の嵌挿部と、嵌挿部に支持されたセンサ保持部と、動物の身体に装着され、嵌挿部が尾部から離脱しないように頭部側に引っ張るベルト式の装着部とを備えたセンサ装着具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6704164号公報
【特許文献2】特開2019-165695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
センサモジュールを装着する際、装着具を締め付けすぎると家畜等が痛み等の違和感を感じることにより、振りほどこうと激しく尾を振るような行動をしたり、血流の鬱滞により炎症等の障害を惹き起こしたりすることがある。一方、装着具の締め付けが不十分であると、家畜の動き等で緩みが生じてセンサモジュールが脱落するおそれがある。従来のベルト式のセンサ装着具ではセンサモジュールの装着時の締め付け力の微調整が難しく、家畜に与える違和感を軽減しつつセンサモジュールを安定して装着することは難しい。
【0006】
本発明は、センサモジュールを被着体に非侵襲的に装着でき、伸縮自在で締め付け力の調整が容易であり、締め付け力を繰り返し調整することもできるセンサ装着具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]センサモジュールを被着体に装着するための帯状又はリング状のセンサ装着具であって、シート状基材を備え、前記シート状基材の少なくとも一部に自己融着領域が設けられ、前記自己融着領域は、自己融着性エラストマーを含有する自己融着部を含み、前記センサモジュールを覆うように前記シート状基材を前記被着体に巻き付けて前記自己融着領域同士を重ねて密着させることにより、前記センサモジュールが前記被着体に装着された状態を保持する、センサ装着具。
[2]前記自己融着領域が前記自己融着部のみからなる、[1]に記載のセンサ装着具。
[3]前記自己融着領域が、前記自己融着部と、自己融着性エラストマーを含有せず、かつ非自己融着性エラストマーを含有する非自己融着部とからなる、[1]に記載のセンサ装着具。
[4]前記自己融着部と前記非自己融着部が市松模様状に配置されている、[3]に記載のセンサ装着具。
[5]前記自己融着部と前記非自己融着部とが海島構造になっている、[3]に記載のセンサ装着具。
[6]前記自己融着領域の両側の表面のうち、少なくとも一方が凹凸面である、[1]~[5]のいずれかに記載のセンサ装着具。
[7]前記シート状基材における前記自己融着部以外の部分が非自己融着性エラストマーを含有する、[1]~[6]のいずれかに記載のセンサ装着具。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、センサモジュールを被着体に非侵襲的に装着でき、伸縮自在で締め付け力の調整が容易であり、締め付け力を繰り返し調整することもできるセンサ装着具を提供できる。
【0009】
本発明はSDGs目標9(産業と技術革新の基盤をつくろう)に資すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態のセンサ装着具を示した平面図である。
【
図3】
図1のセンサ装着具によってセンサモジュールを牛の尾根部に装着した様子を示した正面図である。
【
図4】
図3のセンサ装着具によるセンサ装着部分の断面図である。
【
図5】センサ装着具における自己融着部の他の例を示した断面図である。
【
図6】センサ装着具における自己融着部の他の例を示した断面図である。
【
図7】センサ装着具における自己融着部の他の例を示した平面図である。
【
図8】センサ装着具における自己融着部の他の例を示した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のセンサ装着具は、センサモジュールを被着体に装着するための帯状又はリング状のセンサ装着具である。以下、本発明のセンサ装着具の一例を示し、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、本実施形態のセンサ装着具1は、帯状のシート状基材10を備えている。シート状基材10の長さ方向の両側の第1端部12と第2端部14には、それぞれ自己融着領域20,22が設けられている。このように、センサ装着具1では、シート状基材10の一部に自己融着領域20,22が設けられている。
【0013】
自己融着領域20,22はいずれも、シート状基材10の厚さ方向の第1面10aから第2面10bまで到達するように設けられている。
自己融着領域20,22は、自己融着性エラストマーを含有する自己融着部24,26を含む。この例の自己融着領域20は、自己融着部24のみからなる領域である。同様に、自己融着領域22は、自己融着部26のみからなる領域である。自己融着領域20,22が自己融着部24,26のみからなる一様な態様は、自己融着性を有する領域が広く、自己融着性に優れる点で有利である。なお、自己融着領域20,22は、この例のような自己融着部のみからなる一様な態様には限定されない。
【0014】
自己融着部24,26は、自己融着性エラストマーを含有する。ここで、「自己融着性エラストマー」とは、エラストマー同士を接触させたときに互いが自然に融着するエラストマーである。
【0015】
自己融着部24,26を含む自己融着領域20,22は、自己融着性エラストマーの自己融着性によって互いに融着する性質を有している。例えば、
図3及び
図4に示すように、牛100の尾根部(被着体)110の腹側にセンサモジュール200を配置し、センサモジュール200を覆うようにセンサ装着具1のシート状基材10を尾根部110に巻き付けて自己融着領域20と自己融着領域22を重ねて密着させる。これにより、自己融着領域20と自己融着領域22とが融着し、センサモジュール200を尾根部110に装着された状態で保持することができる。
【0016】
自己融着性エラストマーとしては、例えば、エラストマー同士が接触した状態で物理架橋によって互いが融着するエラストマーを例示でき、自己融着性シリコーンゴムが好ましい。自己融着性シリコーンゴムは、使用時の硬化処理を必要とせず、予め硬化された状態で使用される。自己融着性シリコーンゴムとしては、例えば、特開2016-114180号公報に開示されている、下記の平均組成式(I)で示されるジオルガノポリシロキサンとホウ酸化合物とを含有するシリコーン組成物を硬化させた硬化物を例示できる。
【0017】
R1
nSiO(4-n) ・・・(I)
[式(I)中、R1は炭素数1~10の炭化水素基を表し、nは1.98~2.02の範囲の任意の数を表す。]
【0018】
R1の炭化水素基の炭素数は、1~10であり、1~8が好ましい。
R1の炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基を例示できる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を例示できる。シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基を例示できる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基を例示できる。アリール基としては、フェニル基、トリル基を例示できる。
【0019】
R1は、炭化水素基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基等で置換された基でもよい。
前記シリコーン組成物を硬化させる際には、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等の有機過酸化物で硬化を促進させてもよい。この場合、R1としては、アルケニル基又はアルケニル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基で置換された基が好ましい。
式(I)におけるnは、自己融着性を充分に得る点から、1.98~2.02が好ましい。
【0020】
ジオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度は、100~100,000,000cStが好ましく、100,000~10,000,000cStがより好ましい。ジオルガノポリシロキサンの25℃における動粘度が前記範囲内であれば、硬化後の機械的物性に優れる。
【0021】
ホウ酸化合物としては、例えば、無水ホウ酸、ピロホウ酸、オルトホウ酸等のホウ酸類;ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリエチル、トリメトキシボロキシン等の無水ホウ酸の誘導体等が挙げられる。また、ホウ酸化合物として、例えば、ジメチルジメトキシシラン又はジメチルジエトキシシラン等のオルガノアルコキシシランと無水ホウ酸とを縮合させて得たポリオルガノボロシロキサンを用いることもできる。ホウ酸化合物は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
自己融着性シリコーンゴム中のホウ酸化合物の含有割合は、ジオルガノポリシロキサン100質量部に対して、0.1~50質量部が好ましく、0.5~30質量部がより好ましく、1~5質量部がさらに好ましい。ホウ酸化合物の含有割合が前記下限値以上であれば、充分な自己融着性を確保しやすい。ホウ酸化合物の含有割合が前記上限値以下であれば、機械的物性の低下を抑制しやすい。
【0023】
自己融着部24,26は、自己融着性エラストマー以外の任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、無機成分としてシリカ、カーボンブラック、グラファイト、アルミナ、酸化鉄、ジルコニア等の無機微粒子、有機成分として、フッ素微粒子、ウレタンビーズ、アクリルビーズ、吸水性高分子微粒子、ポリビニルアルコール微粒子、変性ポリビニルアルコール樹脂微粒子等の有機微粒子、ポリジメチルシロキサンオイル、鉱油類などの液状成分を例示できる。自己融着部24,26に含まれる任意成分は、1種でもよく、2種以上でもよい。自己融着部24中の自己融着性エラストマー以外の任意成分の含有量は、自己融着部24の総質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0024】
自己融着領域20の面積は、5~50cm2が好ましく、10~30cm2がより好ましい。自己融着領域20の面積が前記範囲の下限値以上であれば、自己融着領域20と自己融着領域22とを重ね合わせやすく、また融着力が向上する。自己融着領域20の面積が前記範囲の上限値以下であれば、十分な自己融着力を確保し、装着中の自己融着部の剥離を抑制しつつ、十分な伸縮性を実現することができる。これにより、被着体に対して好適な締め付け力を得ることができ、被着体の周長変化に対しても、締め付け力が増大及び減少しにくく、一定の範囲内の締め付け力を維持することができる。
【0025】
シート状基材10の自己融着領域20,22以外の部分である非融着領域16は、非自己融着性エラストマーを含有することが好ましい。このように、センサ装着具1は、シート状基材10における自己融着部24,26以外の部分が非自己融着性エラストマーを含有していることが好ましい。ここで、「非自己融着性エラストマー」は、エラストマー同士を接触させただけでは互いに融着しないエラストマーである。これにより、非自己融着性エラストマーの伸縮性、特には高伸長性と高復元性を兼ね備えた装着具とすることができ、被着体の周長変化に対する締め付け力の安定性向上の点で好ましい。
【0026】
非自己融着性エラストマーとしては、特に限定されず、例えば、シリコーンエラストマー、ウレタンエラストマー、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等を例示できる。なかでも、低硬度領域での伸縮性に優れる点から、シリコーンエラストマーが好ましい。シート状基材10に含まれる非自己融着性エラストマーは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0027】
シート状基材10の非融着領域16は、非自己融着性エラストマー以外の任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、無機成分としてシリカ、カーボンブラック、グラファイト、アルミナ、酸化鉄、ジルコニア等の無機微粒子、有機成分として、フッ素微粒子、ウレタンビーズ、アクリルビーズ、吸水性高分子微粒子、ポリビニルアルコール微粒子、変性ポリビニルアルコール樹脂微粒子等の有機微粒子、ポリジメチルシロキサンオイル、鉱油類などの液状成分を例示できる。非融着領域16に含まれるこれらの任意成分は、1種でもよく、2種以上でもよい。非融着領域16中の非自己融着性エラストマー以外の任意成分の含有量は、非融着領域16の総質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0028】
シート状基材10の長さは、特に限定されず、例えば、120~300mmとすることができる。
シート状基材10の幅は、特に限定されず、例えば、10~100mmとすることができる。
シート状基材10の厚さは、特に限定されず、例えば、0.5~3mmとすることができる。
【0029】
シート状基材10の引張強さ(単位:N)は、30N以上が好ましく、50N以上がより好ましい。
シート状基材10の引張伸び率は、500%以上が好ましく、600%以上がより好ましい。
前記の引張強さ及び引張伸び率が前記下限値以上であれば、充分に高い自己融着性を発揮できる。
なお、前記の引張強さ及び引張伸び率は、シート状基材10を幅20mm×長さ150mm×厚さ2mmのテープ状とし、引張試験機を用い、その長手方向に沿って23℃、引張速度500mm/分の条件で測定した値である。
【0030】
センサ装着具1の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を利用できる。例えば、圧縮成形、液状シリコーンゴム射出成形(LIMS成形)、反応射出成形(RIM成形)、トランスファー成形、押出成形等の成形方法を例示できる。
【0031】
以上説明したように、センサ装着具1は、帯状のシート状基材10に自己融着部24,26を含む自己融着領域20,22が設けられている。そのため、センサモジュール200を覆うようにシート状基材10を被着体に巻き付けて自己融着領域20,22同士を重ねて密着させることにより、センサモジュール200を被着体に装着された状態で保持することができる。このように、センサ装着具1では、自己融着性エラストマーの自己融着性を利用してセンサモジュールを生体である被着体に非侵襲的に装着できる。また、自己融着性エラストマーを用いる自己融着領域20,22は伸縮自在のため、締め付け力の調整が容易であり、また締め付け力を繰り返し調整することもできる。例えばセンサ装着具1によって家畜にセンサモジュール200を装着した場合には、センサから得られる生体情報から家畜を常時監視し、疾病の防除等の対策を容易に実施することができる。
【0032】
センサモジュール200が備えるセンサとしては、特に限定されず、例えば、体表温センサ、音声センサ、活動量センサを例示できる。例えば、体表温センサを備えるセンサモジュール200をセンサ装着具1によって牛100の尾根部110の腹側に装着することで、体表温データを得ることができる。さらに、体表温データを直腸温相当値へ補正(補正体表温)とする発熱検知アルゴリズムと組み合わせれば、体表温センサから得られるデータを基に直腸温を監視して発熱を検知することができる。
【0033】
センサは無線通信可能なものが好ましい。例えばセンサから得られるデータをインターネットのクラウド上にアップデートし、スマートフォンやタブレット等で確認できるようにすることで、データに基づく家畜等の生体の常時監視がさらに容易になる。
【0034】
本発明のセンサ装着具は、牛、豚等の家畜の他、犬、猫などの伴侶動物、クジラ、イルカ等の海獣類、猿、鹿、熊、猪等の野生動物類、人への装着具としても好適に用いることができる。
【0035】
なお、本発明のセンサ装着具は、前記したセンサ装着具1には限定されない。
例えば、センサ装着具1における自己融着領域は表面が平坦面であったが、自己融着領域の両側の表面のうち、少なくとも一方は凹凸面であってもよい。これにより、センサモジュールの装着時の自己融着領域のズレが抑制されやすくなり、センサモジュールの装着状態がより安定になる。
【0036】
例えば、
図5に示すように、自己融着領域22の一方又は両方の表面は、複数の凸部30が設けられて凹凸面になっていてもよい。自己融着領域20の表面についても同様である。凸部30の断面形状は、特に限定されず、例えば、半円状、三角形状、矩形状を例示できる。
【0037】
凸部30の数は、特に限定されず、例えば、単位面積当たり、9~100個/cm2とすることができる。
凸部30の高さは、0.1~2mmが好ましく、0.2~1mmがより好ましい。凸部30の高さが前記範囲の下限値以上であれば、センサモジュールの装着時の自己融着領域のズレが抑制されやすい。凸部30の高さが前記範囲の上限値以下であれば、装着具締結時の自己融着面の変形が大きくなり過ぎず、自己融着面に対して凸部が傾いた状態で融着することが抑制され、自己融着面の剥離が起きにくくなる。
【0038】
また、
図6に示すように、自己融着領域22の一方又は両方の表面は、複数の凹部32が設けられて凹凸面になっていてもよい。自己融着領域20の表面についても同様である。凹部32の断面形状は、特に限定されず、例えば、半円状、三角形状、矩形状を例示できる。
【0039】
凹部32の数は、特に限定されず、例えば、単位面積当たり、9~100個/cm2とすることができる。
凹部32の深さは、0.1~1mmが好ましく、0.2~0.5mmがより好ましい。凹部32の深さが前記範囲の下限値以上であれば、センサモジュールの装着時の自己融着領域のズレが抑制されやすい。凹部32の深さが前記範囲の上限値以下であれば、装着具締結時の自己融着領域の伸びによる変形が大きくなり過ぎることを抑制できる。これにより、伸びた状態で自己融着させた場合には、相対する自己融着領域との伸び率の違いから、自己融着部が大きく伸長した自己融着部側に反ってしまうことを抑制できる。そのため、反りによる自己融着部の融着力の低下及び被着体表面への無用な外力を抑えて、被着体表面が損傷する可能性を低減することができる。
【0040】
本発明のセンサ装着具は、自己融着領域が自己融着部のみからなる一様な態様には限定されない。本発明のセンサ装着具は、自己融着領域が、自己融着部と、自己融着性エラストマーを含有せず、かつ非自己融着性エラストマーを含有する非自己融着部とからなるものであってもよい。
【0041】
例えば、
図7に示すように、自己融着領域22の代わりに、自己融着部24と非自己融着部28が市松模様状に配置されている自己融着領域22Cがシート状基材10に設けられていてもよい。また、自己融着領域22の代わりに、自己融着部24が島部、非自己融着部28が海部となる海島構造である自己融着領域22Dがシート状基材10に設けられていてもよい。なお、自己融着部が海部、非自己融着部が島部となる海島構造であってもよい。自己融着領域20についても同様である。
【0042】
自己融着領域22Cの形成方法としては、例えば、自己融着性エラストマーと非自己融着性エラストマーをいずれも紐状に、かつ横方向に交互となるように押出し、さらに高さ方向にも交互となるように積層した後、長さ方向に垂直な方向にスライスする方法が挙げられる。また、自己融着性エラストマーと非自己融着性エラストマーを二色成形で横方向に交互となるように押出し、さらに高さ方向にも交互となるように積層した後、長さ方向に垂直な方向にスライスする方法でも自己融着領域22Cを形成できる。自己融着領域22Dは、自己融着性エラストマーと、自己融着性エラストマーよりも低粘度の非自己融着性エラストマーとを二本ロール、加圧ニーダー等の混練機で混練することで形成できる。自己融着性エラストマーよりも高粘度の非自己融着性エラストマーを自己融着性エラストマーと混練すれば、自己融着部が海部、非自己融着部が島部となる海島構造の自己融着領域を形成できる。
【0043】
本発明のセンサ装着具は、リング状のシート状基材を備えるものであってもよい。また、シート状基材の非融着領域が非自己融着性エラストマーを含まないものであってもよい。例えば、シート状基材の非融着領域を構成する材料は、アルミニウム、ステンレススチール、銅等の金属や、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂等のエラストマー以外の樹脂であってもよい。
【0044】
本発明のセンサ装着具は、シート状基材の一部だけに自己融着領域が設けられているものには限定されず、シート状基材の全体が自己融着領域からなるものであってもよい。
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…センサ装着具、10…シート状基材、20,22,22A~22D…自己融着領域、24,26…自己融着部、28…非自己融着部、30…凸部、32…凹部、100…牛、110…尾根部、200…センサモジュール。