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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068381
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 10/26 20060101AFI20220427BHJP
   B60K 6/442 20071001ALI20220427BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20220427BHJP
   B60W 20/13 20160101ALI20220427BHJP
   B60W 20/18 20160101ALI20220427BHJP
   B60L 50/16 20190101ALI20220427BHJP
   B60L 58/13 20190101ALI20220427BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220427BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
B60W10/26 900
B60K6/442 ZHV
B60W10/06 900
B60W20/13
B60W20/18
B60L50/16
B60L58/13
H02J7/00 P
H02J7/00 B
F02D29/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2019043441
(22)【出願日】2019-03-11
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮
(72)【発明者】
【氏名】生駒 憲彦
【テーマコード(参考)】
3D202
3G093
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
3D202AA02
3D202BB00
3D202BB01
3D202BB19
3D202CC24
3D202DD00
3D202DD05
3D202DD11
3D202DD13
3D202DD16
3D202DD45
3D202DD46
3D202FF12
3G093AA07
3G093BA04
3G093BA19
3G093DA00
3G093DB05
3G093DB19
5G503AA07
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503CB11
5G503CC02
5G503DA08
5G503FA06
5G503GD04
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC08
5H125AC12
5H125BC13
5H125BD17
5H125CA09
5H125CA10
5H125EE25
5H125EE27
5H125EE31
5H125EE49
5H125EE64
(57)【要約】
【課題】ハイブリッド車両の航続可能距離を確保しつつ、バッテリ出力の低下を抑制する。
【解決手段】ハイブリッド車両12は、車両の駆動軸を駆動させるモータ23、電力を蓄積するバッテリ50、エンジン25、エンジン25で駆動され発電した電力をバッテリ50に供給するジェネレータ31を備える。駆動制御部702は、バッテリ50の充電率が、ジェネレータ31で発電を開始する所定の発電開始充電率よりも低下した際に、エンジン25を始動させてジェネレータ31を発電させることでバッテリ25の充電率を所定の目標充電率に維持する。充電率設定部704は、バッテリ50の温度が第1の所定温度以下、又はハイブリッド車両12の周辺温度が第2の所定温度以下の少なくともいずれかの場合、発電開始充電率及び目標充電率を引き上げる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動軸を駆動させる第1の回転電機と、電力を蓄積するバッテリと、エンジンと、前記エンジンで駆動され発電した電力を前記バッテリに供給する第2の回転電機と、を備えるハイブリッド車両であって、
前記バッテリの充電率が、前記第2の回転電機で発電を開始する所定の発電開始充電率よりも低下した際に、前記エンジンを始動させて前記第2の回転電機を発電させることで前記バッテリの充電率を所定の目標充電率に維持する駆動制御部と、
前記発電開始充電率及び前記目標充電率を設定する充電率設定部と、を備え、
前記充電率設定部は、前記バッテリの温度が第1の所定温度以下、又は前記車両の周辺温度が第2の所定温度以下の少なくともいずれかの場合、前記発電開始充電率及び前記目標充電率を引き上げる、
ことを特徴とするハイブリッド車両。
【請求項2】
前記エンジンの動力を用いて走行するよりも前記バッテリの電力を用いた走行を優先するEV走行優先モードの設定を受け付けるEVモード設定部を更に備え、
前記充電率設定部は、前記EV走行優先モードが設定されている際には、前記発電開始充電率及び前記目標充電率の引き上げを中止するか、又は前記第1の温度若しくは前記第2の温度の少なくともいずれかをより低温に変更する、
ことを特徴とする請求項1記載のハイブリッド車両。
【請求項3】
アクセルペダルに対する前記車両への操作応答性を向上させるスポーツモードの設定を受け付けるスポーツモード設定部を更に備え、
前記充電率設定部は、前記スポーツモードが設定されている際には、前記発電開始充電率及び前記目標充電率を引き上げるか、又は前記第1の温度若しくは前記第2の温度の少なくともいずれかをより高温に変更する、
ことを特徴とする請求項1又は2記載のハイブリッド車両。
【請求項4】
前記エンジンで使用する燃料の残量を検知する残燃料量検知部を更に備え、
前記充電率設定部は、前記燃料の前記残量が所定量以下の場合には、前記発電開始充電率及び前記目標充電率の引き上げを中止するか、又は前記第1の温度若しくは前記第2の温度の少なくともいずれかをより低温に変更する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のハイブリッド車両。
【請求項5】
前記エンジンの燃料の劣化度合いを推定する燃料劣化推定部を更に備え、
前記充電率設定部は、前記燃料の前記劣化度が所定値以上の場合には、前記発電開始充電率及び前記目標充電率を引き上げるか、又は前記第1の温度若しくは前記第2の温度の少なくともいずれかをより高温に変更する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータとエンジンとを備えるハイブリッド車両において、バッテリ内の電力を優先的に使用して走行するCDモード(Charge Depleting mode)と、ジェネレータを駆動して所定の目標充電率(CS-SOC)を維持して走行するCSモード(Charge Sustaining mode)とを切り替えて走行する技術が知られている。
例えば、下記特許文献1には、ハイブリッド車両周辺の環境情報(外気温、日射の有無等)に基づいて目標充電率を調整する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7659698号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、CSモードにおける目標充電率を高く設定すると、エンジン稼動に伴うジェネレータによる発電が頻繁に行われることになり、EV走行での航続可能距離が短くなる。このため、EV走行での航続可能距離の観点では、目標充電率はできる限り低く設定するのが望ましい。
一方で、バッテリ出力は、充電率(SOC)およびバッテリ温度と相関があることが知られている。すなわち、充電率が低いほど、またバッテリ温度が低いほど、バッテリ出力が低下し、この結果ハイブリッド車両の動力性能が低下することになる。このため、バッテリ出力の観点では、CSモードにおける目標充電率はある程度高く設定するのが望ましい。
また、バッテリ温度はバッテリ負荷によって上昇するため、走行中と走行開始時とでバッテリ温度が大幅に異なる可能性がある。例えば、前回走行終了時にバッテリ温度が上昇している場合でも、長時間(例えば一晩)停車された後、次に走行を開始する時にはバッテリ温度が低下しており、動力性能が大きく低下する可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、ハイブリッド車両の航続可能距離を確保しつつ、バッテリ出力の低下を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、請求項1の発明にかかるハイブリッド車両は、車両の駆動軸を駆動させる第1の回転電機と、電力を蓄積するバッテリと、エンジンと、前記エンジンで駆動され発電した電力を前記バッテリに供給する第2の回転電機と、を備えるハイブリッド車両であって、前記バッテリの充電率が、前記第2の回転電機で発電を開始する所定の発電開始充電率よりも低下した際に、前記エンジンを始動させて前記第2の回転電機を発電させることで前記バッテリの充電率を所定の目標充電率に維持する駆動制御部と、前記発電開始充電率及び前記目標充電率を設定する充電率設定部と、を備え、前記充電率設定部は、前記バッテリの温度が第1の所定温度以下、又は前記車両の周辺温度が第2の所定温度以下の少なくともいずれかの場合、前記発電開始充電率及び前記目標充電率を引き上げる、ことを特徴とする。
請求項2の発明にかかるハイブリッド車両は、前記エンジンの動力を用いて走行するよりも前記バッテリの電力を用いた走行を優先するEV走行優先モードの設定を受け付けるEVモード設定部を更に備え、前記充電率設定部は、前記EV走行優先モードが設定されている際には、前記発電開始充電率及び前記目標充電率の引き上げを中止するか、又は前記第1の温度若しくは前記第2の温度の少なくともいずれかをより低温に変更する、ことを特徴とする。
請求項3の発明にかかるハイブリッド車両は、アクセルペダルに対する前記車両への操作応答性を向上させるスポーツモードの設定を受け付けるスポーツモード設定部を更に備え、前記充電率設定部は、前記スポーツモードが設定されている際には、前記発電開始充電率及び前記目標充電率を引き上げるか、又は前記第1の温度若しくは前記第2の温度の少なくともいずれかをより高温に変更する、ことを特徴とする。
請求項4の発明にかかるハイブリッド車両は、前記エンジンで使用する燃料の残量を検知する残燃料量検知部を更に備え、前記充電率設定部は、前記燃料の前記残量が所定量以下の場合には、前記発電開始充電率及び前記目標充電率の引き上げを中止するか、又は前記第1の温度若しくは前記第2の温度の少なくともいずれかをより低温に変更する、ことを特徴とする。
請求項5の発明にかかるハイブリッド車両は、前記エンジンの燃料の劣化度合いを推定する燃料劣化推定部を更に備え、前記充電率設定部は、前記燃料の前記劣化度が所定値以上の場合には、前記発電開始充電率及び前記目標充電率を引き上げるか、又は前記第1の温度若しくは前記第2の温度の少なくともいずれかをより高温に変更する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、バッテリの温度が第1の所定温度以下、又は車両の周辺温度が第2の所定温度以下の少なくともいずれかの場合、発電開始充電率及び目標充電率を引き上げる。これにより、バッテリ温度に起因するバッテリ出力の低下が生じる可能性がある場合に、バッテリ充電率を高めに維持し、充電率に起因するバッテリ出力の低下を防止し、バッテリ全体として出力性能を維持することができる。
請求項2の発明によれば、EV走行優先モードの設定中は発電開始充電率及び目標充電率の引き上げを中止する、又は発電開始充電率及び目標充電率の引き上げ閾値温度をより低温に変更するので、なるべくエンジンを駆動せずに走行したいというユーザの意図を制御に反映することができる。
請求項3の発明によれば、スポーツモードの設定中は発電開始充電率及び目標充電率を引き上げる、又は発電開始充電率及び目標充電率の引き上げ閾値温度をより高温に変更するので、瞬間的に大きな出力が要求されるのに備えてバッテリの出力性能を高めておくことができる。
請求項4の発明によれば、燃料タンク内の燃料の残量が所定量以下の場合には、発電開始充電率及び目標充電率の引き上げを中止する、又は発電開始充電率及び目標充電率の引き上げ閾値温度をより低温に変更するので、燃料が少ない状態で頻繁にエンジンを駆動するのを避け、燃料切れを抑制することができる。
請求項5の発明によれば、燃料が劣化している場合には、発電開始充電率及び目標充電率を引き上げる、又は発電開始充電率及び目標充電率の引き上げ閾値温度をより高温に変更するので、発電による燃料消費を促し、劣化の進んだ燃料を早期に消費させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態にかかるハイブリッド車両12の構成を示す説明図である。
図2】ECU70の機能的構成を示すブロック図である。
図3】充電率設定部704による目標充電率の設定処理の手順を示すフローチャートである。
図4】充電率設定部704による目標充電率の設定を模式的に示すグラフである。
図5】各種モード設定時における目標充電率の設定を模式的に示すグラフである。
図6】ハイブリッド車両12の一般的な走行状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかるハイブリッド車両の好適な実施の形態を詳細に説明する。
図1は、実施の形態にかかるハイブリッド車両12の構成を示す説明図である。
図1に示すように、ハイブリッド車両12は、走行システム20と、発電システム30と、ECU70とを備えている。
走行システム20は、ハイブリッド車両12の駆動機構であり、前輪21および後輪22と、モータ(第1の回転電機)23と、インバータ24と、エンジン25と、モータ23の出力軸23Aの回転とエンジン25の出力軸25Aの回転とを前輪21に伝達する伝達機構26と、燃料タンク40と、バッテリ50とを備えている。
【0009】
前輪21および後輪22は、それぞれ車幅方向で対となった2つの車輪で構成されている。本実施の形態では、前輪21が駆動軸に接続されており、モータ23およびエンジン25の駆動輪となっている。例えば前輪21および後輪22のそれぞれに対してモータ23(前輪駆動用モータおよび後輪駆動用モータ)を設けるようにしてもよい。
モータ23は、バッテリ50に蓄積された電力を用いて駆動し、出力軸23Aから回転力(トルク)を出力してハイブリッド車両12の駆動軸を駆動させる。なお、モータ23は、ハイブリッド車両12の減速時(アクセルペダルの戻し時など)に回生運転を行い回生発電することも可能である。回生発電により発生した電力はインバータ24を介してバッテリ50に供給され、バッテリ50を充電する。
【0010】
インバータ24は、バッテリ50の電力を運転者の要求に合わせて調整してモータ23に供給する。運転者の要求とは、一例として、アクセルペダルやブレーキペダル、シフトレバー(図示なし)等の操作や車速センサによって計測された車速などであり、後述するECU70が算出する。ECU70は、算出した運転者からの要求出力値に基づいてインバータ24を制御する。
【0011】
エンジン25は、燃料タンク40から供給される燃料を燃焼室内で燃焼することによって駆動する。エンジン25は、一例として、ガソリンを燃料とするレシプロエンジンである。エンジン25の駆動は、後述するECU70によって制御される。
【0012】
伝達機構26は、モータ23の出力軸23Aの回転を前輪21に伝達するとともに、エンジン25の出力軸25Aの回転を前輪21に伝達する。伝達機構26は、クラッチ装置27を備えている。クラッチ装置27は、一対のクラッチ板27A,27Bと、クラッチ板27A,27Bを互いに接触可能とさせ、かつ、接触状態を解除可能とする駆動部27Cを備えている。
【0013】
クラッチ板27Aは、エンジン25の出力軸25Aと一体に回転する。クラッチ板27Bは、モータ23の出力軸23Aと一体に回転する。駆動部27Cによってクラッチ板27A,27Bどうしが互いに接触すると、クラッチ板27A,27Bは互いに一体に回転する。このことによって、エンジン25の出力軸25Aの回転が前輪21に伝達される。駆動部27Cによってクラッチ板27A,27Bが互いに離れた状態になると、エンジン25の出力軸25Aの回転は前輪21に伝達されなくなる。駆動部27Cは、後述するECU70によって制御される。
【0014】
燃料タンク40は、エンジン25の動力源である燃料(例えばガソリン)を蓄積する。
バッテリ50は、モータ23の動力源である電力を蓄積する。バッテリ50の充電は、後述するジェネレータ31による発電、モータ23による回生発電、およびハイブリッド車両12の車体に設けられた充電コネクタ(図示なし)から外部電源の供給等によって行うことができる。
バッテリ50にはBMU(Battery Monitoring Unit)50Aが接続されている。BMU50Aは、バッテリ50の電圧や温度、入出力される電流等を検出し、充電率(SOC:State Of Charge)を含むバッテリ50の状態を検出する。BMU50Aは、バッテリ50の状態(充電率やバッテリ電圧、バッテリ温度等)をECU70に送信する。
より詳細には、バッテリ50は複数の電池セルが直列に接続されて構成されている。各電池セルには、電圧計およびバッテリ温度センサ60(図2参照)が設けられており、各電池セルのセル電圧およびセル温度を測定する。なお、電圧計およびバッテリ温度センサ60は、所定の単位個数の電池セルで構成されるセルユニットごと、又はバッテリ50全体で1つ設けられていてもよい。電圧計およびバッテリ温度センサ60の測定値は、BMU50Aに入力される。
また、バッテリ50とバッテリ50から電力の供給を受けて稼働する機器(本実施の形態ではモータ23)との間には電流計が設けられ、バッテリ50からの出力電流を測定する。電流計の測定値は、BMU50Aに入力される。
【0015】
発電システム30は、バッテリ50を充電するための機構であり、エンジン25と、ジェネレータ(第2の回転電機)31と、インバータ24とを備えている。
【0016】
ジェネレータ31の回転軸31Aには、第2の伝達機構32を介してエンジン25の出力軸25Aの回転が伝達される。ジェネレータ31は、ECU70の制御によって発電可能な状態になると、エンジン25の出力軸25Aの回転を受けて回転軸31Aが回転し、発電する。ジェネレータ31は、インバータ24に接続されており、ジェネレータ31が発電した交流電力はインバータ24によって直流電力に変換されてバッテリ50に充電される。すなわち、ジェネレータ31は、エンジン25で駆動され、発電した電力をバッテリ50に供給する。
また、後述するシリーズ走行モードでは、ジェネレータ31が発電した交流電力がそのままモータ23の駆動に用いられる。この場合、ジェネレータ31の発電電力はインバータ24で適宜周波数が変換された上でモータ23に供給される。
【0017】
ジェネレータ31は、エンジン25を始動する際の電動機(スタータ)としても機能する。ECU70は、エンジン25を始動するときは、インバータ24を制御してジェネレータ31を駆動する。ジェネレータ31が駆動することによって回転軸31Aが回転する。回転軸31Aは第2の伝達機構32を介してエンジン25の出力軸25Aに連結されているので、ジェネレータ31が駆動されて回転軸31Aが回転すると、エンジン25の出力軸25Aを回転することができる。
【0018】
ECU70は、ハイブリッド車両12全体を制御する制御部である。
ECU70は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
【0019】
図2は、ECU70の機能的構成を示すブロック図である。
ECU70の機能的構成を説明する前に、ECU70に接続されたハイブリッド車両12の構成部(図1に示したもの以外)について説明する。
外気温度センサ61は、ハイブリッド車両12の周辺の外気温度、すなわちハイブリッド車両12の周辺温度を検知する。
EVモード設定部62は、EV走行優先モードへの移行設定操作を受け付ける。EV走行優先モードとは、エンジンの動力を用いて走行するよりもバッテリ50の電力を用いた走行を優先する、すなわち後述するEV(Electric Vehicle)走行モードでの走行を可能な限り継続するモードである。ここでいうエンジンの動力を用いて走行するモードとは、後述するシリーズ走行モードやパラレル走行モードを意味する。EV走行モードではエンジン25が停止しているため、燃料消費を極力抑えたい場合や、排気ガスを排出したくない場合などに有効である。
スポーツモード設定部63は、スポーツモードへの移行設定操作を受け付ける。スポーツモードとは、通常時(スポーツモードを設定していない場合)よりもアクセルペダル(図示なし)に対する車両の操作応答性(走行レスポンス)を向上させるモードである。
EVモード設定部62およびスポーツモード設定部63は、例えば運転席のインストゥルメントパネル周辺やステアリングホイールなどに設けられたスイッチ等とすることができる。
残燃料量センサ64(残燃料量検知部)は、燃料タンク40に蓄積されている燃料量、すなわちエンジン25で使用する燃料の残量を検知する。
【0020】
ECU70は、上記CPUが上記制御プログラムを実行することにより、駆動制御部702、充電率設定部704、燃料劣化推定部706を実現する。
【0021】
駆動制御部702は、ユーザからの設定やバッテリ50の充電率等に基づいて、ハイブリッド車両12の各部、例えばモータ23、エンジン25、ジェネレータ31、クラッチ装置27の駆動部27C等を制御する。
駆動制御部702は、ハイブリッド車両12の3つの走行モード、すなわち1.EV走行モード、2.シリーズ走行モード、3.パラレル走行モードの3種類を適宜切り替えてハイブリッド車両12を駆動する。
【0022】
1.EV走行モード
エンジン25は停止し、モータ23の駆動力で車軸を回転させて走行するモードである。EV走行モードでモータ23に供給される電力は、バッテリ50に蓄積された蓄積電力のみである。
【0023】
2.シリーズ走行モード
エンジン25でジェネレータ31を駆動しながら、モータ23の駆動力で車軸を回転させて走行するモードである。シリーズ走行モードでモータ23に供給される電力は、バッテリ50に蓄積された蓄積電力およびジェネレータ31で発電された発電電力となる。
シリーズ走行モードには、例えばバッテリ50の充電率が所定の発電開始充電率より低下した場合に所定の目標充電率を維持するようにジェネレータ31を発電させる場合や要求出力が所定値以上となった場合にエンジン25を駆動させてジェネレータ31で発電した電力にてモータ23を駆動する場合がある。
【0024】
3.パラレル走行モード
クラッチ板を接続させることでエンジン25の駆動力にて車軸を回転させて走行するモードである。この際に、モータ23を駆動させることで車軸にアシストトルクを加えてもよい。
特に、高速走行時等、エンジン25による車軸駆動の効率が高い場合にパラレル走行モードに移行する。なお、パラレル走行モード時にも、エンジン25の駆動力をジェネレータ31に伝達して発電を行う(すなわち、エンジン25の駆動力を走行と発電とに振り分ける)ことも可能である。
【0025】
図6は、ハイブリッド車両12の一般的な走行状態を模式的に示す説明図である。
図6では、縦軸にバッテリ50の充電率(SOC)、横軸に時間を示している。
一般に、ハイブリッド車両12は、バッテリ50の充電率が所定の目標充電率(CS-SOC)を超えている間は、バッテリ内の電力を優先的に使用して走行するCDモードで走行する。CDモード中は基本的にEV走行モードとなり、バッテリ50の充電率は、回生による充電なども生じ得るものの、長期的には減少していく。
バッテリ50の充電率が所定の発電開始充電率以下になると、ジェネレータ31を駆動して所定の発電開始充電率より充電率の高い所定の目標充電率(CS-SOC)に維持して走行するCSモードとなる。なお、所定の発電開始充電率と所定の目標充電率とを同じ値に設定してもよい。CSモード中は基本的にシリーズモードに移行し、目標充電率を中心とした所定範囲内にバッテリ50の充電率が維持される。なお、本実施の形態では、目標充電率(CS-SOC)とは、CSモード中にバッテリ50の充電率が維持される範囲の中央値であるものとするが、これに限らず、例えばCSモード中に充電率が維持される範囲の下限値や上限値であってもよいし、CDモードからCSモードへと移行する閾値であってもよい。
すなわち、駆動制御部702は、CSモード中はジェネレータ31(第2の回転電機)の駆動を制御することによりバッテリ50の充電率を所定の目標充電率に維持する。
図6の例では、時刻T1までがCDモード、時刻T1以降がCSモードとなる。
【0026】
図2の説明に戻り、充電率設定部704は、温度に基づいて上記発電開始充電率及び目標充電率を設定する。より詳細には、充電率設定部704は、バッテリ50の温度が第1の所定温度以下、又はハイブリッド車両12の周辺温度が第2の所定温度以下の少なくともいずれかの場合、発電開始充電率及び目標充電率を、それぞれに設定された基準充電率(発電開始基準充電率、目標基準充電率)よりも引き上げる。以下、温度に基づく発電開始充電率及び目標充電率の引き上げを、単に「発電開始充電率及び目標充電率の引き上げ」という場合もある。
第1の所定温度および第2の所定温度は、例えば常温(例えば日本工業規格では20℃±15℃)よりも低い値とする。
【0027】
このように温度に基づいて発電開始充電率及び目標充電率を設定するのは、上述のようにバッテリ50の出力はバッテリ温度および充電率と相関があるためである。
バッテリ50の温度が第1の所定温度以下である場合には、バッテリ50自体が低温となっており、バッテリ出力の低下が予想される。また、ハイブリッド車両12の周辺温度が第2の所定温度以下の場合には、現在のバッテリ50の温度が高い(第1の所定温度を超えている)場合でも、ハイブリッド車両12が停車後は外気により熱が奪われ、次回の車両使用時にバッテリ50の温度が低下することが予想される。そのような場合には、ジェネレータ31での発電により充電率を回復させるまでの間、思い通りの出力が発揮できない可能性があるので、前回の車両使用時に外気温度が第2の温度より低い場合には、例えバッテリ温度が第1温度より高くとも発電開始充電率や目標充電率を高めておくことで、次回車両使用時のバッテリ温度が下がった常態での出力低下を抑制することができる。
このようにバッテリ温度が低い(又は低くなる可能性がある)場合、すなわちバッテリ温度に起因するバッテリ出力の低下が生じる可能性がある場合には、バッテリ50の充電率を(基準充電率と比較して)高めに維持することにより、充電率に起因するバッテリ出力の低下を防止し、バッテリ全体として出力性能を維持する。
【0028】
なお、基準充電率とは、例えばバッテリ50の温度が第1の所定温度より高く、かつハイブリッド車両12の周辺温度が第2の所定温度より高い場合(以下「通常時」という)に設定される発電開始充電率及び目標充電率の値である。基準充電率は、固定値であってもよいし、ハイブリッド車両12の状態に基づいて適宜設定されてもよいし、ユーザにより任意に設定可能であってもよい。
また、バッテリ50の温度はバッテリ温度センサ60によって、ハイブリッド車両12の周辺温度は外気温度センサ61によって、それぞれ取得することができる。充電率設定部704は、必ずしもこれら2つの温度を取得する必要はなく、バッテリ50の温度又はハイブリッド車両12の周辺温度のいずれかのみを取得し、取得した温度に基づいて発電開始充電率及び目標充電率の引き上げの要否を判断してもよい。
【0029】
図4は、充電率設定部704による目標充電率の設定を模式的に示すグラフである。図4の説明では発電開始充電率と目標充電率とを同一の値として設定することを前提としている。もちろん、上述したように、発電開始充電率を目標充電率より小さな値として設定することも可能である。
図4では、縦軸に目標充電率、横軸に温度(バッテリ温度又はハイブリッド車両12の周辺温度)を取っている。
一点破線で示す従来技術では、温度に関わらず目標充電率(=発電開始充電率、以下略)は一定(β)に設定される。
一方、太線で示す本発明では、温度がT1(上記第1の温度又は第2の温度に対応)より高い場合には目標充電率はβ(基準充電率)に設定されるが、温度がT1以下になると目標充電率はβより大きい値に設定され、温度T2(<T1)以下ではα(>β)に設定される。
なお、目標充電率の設定方法は図4に示したものには限られない。例えば、図4では温度T1~T2間で徐々に目標充電率をβからαに変化させるようにしているが、温度T1を境にして階段状に目標充電率をβからαに変化させてもよい。また、図4では目標充電率をβとαの2段階で変化させているが、更に複数の温度間で変化させてもよいし、温度に反比例して目標充電率が大きくなるようにしてもよい。
【0030】
また、充電率設定部704は、ハイブリッド車両12に対する設定や車両の状態に基づいて、発電開始充電率及び目標充電率の引き上げの有無や引き上げの開始タイミングを制御するようにしてもよい。
例えば、充電率設定部704は、EV走行優先モードが設定されている際には、発電開始充電率及び目標充電率の引き上げを中止するか、又は第1の温度若しくは第2の温度の少なくともいずれかをより低温に変更するようにしてもよい。
これは、EV走行優先モードが設定されている場合には、ユーザはなるべくエンジン25を駆動せずに走行したいと考えていることが予想され、発電開始充電率及び目標充電率の引き上げにより頻繁にエンジン25が駆動されるのは、ユーザの意図に反すると考えられるためである。
発電開始充電率及び目標充電率の引き上げを中止した場合には、低温時にもバッテリ50の充電率が基準充電率になるまでエンジン25の駆動が開始されない。また、第1の温度又は第2の温度の少なくともいずれかをより低温に変更した場合には、バッテリ50の温度又はハイブリッド車両12の周辺温度がより低温となるまで発電開始充電率及び目標充電率の引き上げが行われない。いずれの場合にも、エンジン25の駆動が開始されるタイミングを遅らせる(又は通常通りとする)ことができる。
【0031】
また例えば、充電率設定部704は、スポーツモードが設定されている際には、発電開始充電率及び目標充電率を引き上げるか、又は第1の温度若しくは第2の温度の少なくともいずれかをより高温(常温に近い値)に変更するようにしてもよい。
これは、スポーツモードの設定中は瞬間的に大きな出力が要求される可能性があり、これに備えてバッテリ50の出力性能を高めておくことを目的とする。
発電開始充電率及び目標充電率を常時引き上げた場合には、バッテリ50の充電率が通常(基準充電率)よりも高く保たれ、バッテリ出力が向上する。また、第1の温度又は第2の温度の少なくともいずれかをより高温に変更した場合には、バッテリ50の温度又はハイブリッド車両12の周辺温度が常温に近い温度のうちに発電開始充電率及び目標充電率が引き上げられ、この場合もバッテリ出力が向上する。
【0032】
図5は、各種モード設定時における目標充電率の設定を模式的に示すグラフである。図5の説明では発電開始充電率と目標充電率とを同一の値として設定することを前提としている。もちろん、上述したように、発電開始充電率を目標充電率より小さな値として設定することも可能である。
図5でも、縦軸に目標充電率、横軸に温度(バッテリ温度又はハイブリッド車両12の周辺温度)を取っている。
実線で示す通常時(ドライブモード非設定時)は、図4に太線で示したものと同様である。すなわち、温度がT1(上記第1の温度又は第2の温度に対応)より高い場合には目標充電率(=発電開始充電率、以下略)はβ(基準充電率)に設定されるが、温度がT1以下になると目標充電率はβより大きい値に設定され、温度T2(<T1、図5では視認性の観点から図示を省略)以下ではα(>β)に設定される。
【0033】
一方、点線で示すようにEV走行優先モード(図中「EVモード」と表記)が設定されている場合、目標充電率の引き上げが開始される温度が通常時よりも引き下げられ、温度T1’(<T1)に設定される。これにより、通常時よりもジェネレータ31による発電が開始されにくくなる。
また、一点破線で示すようにスポーツモードが設定されている場合、目標充電率の引き上げが開始される温度が通常時よりも引き上げられ、温度T1’’(>T1)に設定される。これにより、通常時よりもジェネレータ31による発電が開始されやすくなる。
【0034】
なお、EV走行優先モードの設定中に目標充電率の引き上げを中止する場合には、目標充電率は温度に関わらずβに設定される。
また、スポーツモードの設定中に常時目標充電率を引き上げる場合には、目標充電率は温度に関わらずαに設定される。
【0035】
また例えば、充電率設定部704は、燃料タンク40内の燃料の残量が所定量以下の場合には、発電開始充電率及び目標充電率の引き上げを中止するか、又は第1の温度若しくは前記第2の温度の少なくともいずれかをより低温に変更するようにしてもよい。
これは、燃料が少ない状態で発電開始充電率及び目標充電率を引き上げて頻繁にエンジン25を駆動すると、燃料切れとなるタイミングが早まるためである。
発電開始充電率及び目標充電率の引き上げを中止した場合には、低温時にもバッテリ50の充電率が基準充電率になるまでエンジン25の駆動が開始されず、燃料が消費されない。また、第1の温度又は第2の温度の少なくともいずれかをより低温に変更した場合には、バッテリ50の温度又はハイブリッド車両12の周辺温度が極低温となるまで発電開始充電率及び目標充電率の引き上げが行われない。いずれの場合にも、エンジン25の駆動、すなわち燃料の消費が開始されるタイミングを遅らせる(又は通常通りとする)ことができる。
【0036】
また例えば、エンジン25の燃料の劣化度合いを推定する燃料劣化推定部706を更に備え、充電率設定部704は、燃料の劣化度が所定値以上となった場合には、発電開始充電率及び目標充電率を引き上げるか、又は第1の温度若しくは第2の温度の少なくともいずれかをより高温に変更するようにしてもよい。
これは、ガソリン車と比較して燃料消費量が少ないハイブリッド車両12において、給油後長期間が経過し劣化が始まった燃料の消費を促すためである。燃料劣化推定部706は、例えば前回給油時からの経過時間が所定時間(例えば2か月など)以上となった場合に燃料の劣化度が所定値以上となったと判断する。
なお、前回給油時からの経過時間が長いほど、すなわち燃料の劣化度が高いほど、発電開始充電率及び目標充電率の引き上げ量、又は第1の温度や第2の温度の引き上げ量を大きくしてもよい。
発電開始充電率及び目標充電率を引き上げた場合には、頻繁にバッテリ50の充電が行われ、燃料の消費量が通常よりも増加する。また、第1の温度又は第2の温度の少なくともいずれかをより高温に変更した場合には、バッテリ50の温度又はハイブリッド車両12の周辺温度が常温に近い温度のうちに発電開始充電率及び目標充電率が引き上げられ、この場合も燃料の消費量が増加する。
【0037】
図3は、充電率設定部704による目標充電率の設定処理の手順を示すフローチャートである。図3のフローチャートでは、ハイブリッド車両12に対する設定や車両の状態に基づいて、目標充電率の引き上げの有無を切り替える場合の処理について説明する。
スポーツモード設定部63に対してスポーツモードの設定がなされている場合(ステップS300:Yes)、また燃料劣化推定部706により燃料が劣化していると判断されている場合(ステップS302:Yes)、充電率設定部704は、目標充電率を目標基準充電率よりも大きい値に引き上げる(ステップS314)。なお、発電開始充電率を目標充電率とは別に設定する場合には、発電開始充電率も発電開始基準充電率よりも大きい値に引き上げる。
スポーツモードの設定がなされておらず(ステップS300:No)、かつ燃料が劣化していない場合は(ステップS302:No)、バッテリ温度センサ60からバッテリ50の温度を、外気温度センサ61からハイブリッド車両12の周辺温度を、それぞれ取得する(ステップS306)。
【0038】
バッテリ50の温度が第1の所定温度を超え、かつハイブリッド車両12の周辺温度が第2の所定温度を超えている場合(ステップS308:No)、充電率設定部704は、目標充電率を目標基準充電率のまま維持する(ステップS316)。なお、発電開始充電率を目標充電率とは別に設定する場合には、発電開始充電率を発電開始基準充電率のまま維持する。
また、バッテリ50の温度が第1の所定温度以下、又はハイブリッド車両12の周辺温度が第2の所定温度以下である場合(ステップS308:Yes)、充電率設定部704は、EVモード設定部62に対してEV走行優先モードの設定がなされているか(ステップS310)、また残燃料量センサ64で検知した燃料タンク40の残燃料量が所定量以下かを判断する(ステップS312)。
EV走行優先モードの設定がなされている(ステップS310:Yes)、又は残燃料量が所定量以下の場合(ステップS312:Yes)、充電率設定部704は、目標充電率の引き上げは行わず、目標基準充電率のまま維持する(ステップS316)。なお、発電開始充電率を目標充電率とは別に設定する場合には、発電開始充電率の引き上げを行なわず発電開始基準充電率のまま維持する。
一方、EV走行優先モードの設定がなされておらず(ステップS310:No)、かつ残残燃料量が所定量を超えている場合(ステップS312:No)、充電率設定部704は、目標充電率を目標基準充電率よりも大きい値に引き上げる(ステップS314)。なお、発電開始充電率を目標充電率とは別に設定する場合には、発電開始充電率を発電開始基準充電率よりも大きい値に引き上げる。
【0039】
以上説明したように、実施の形態にかかるハイブリッド車両12によれば、バッテリ50の温度が第1の所定温度以下、又はハイブリッド車両12の周辺温度が第2の所定温度以下の少なくともいずれかの場合、発電開始充電率及び目標充電率を引き上げる。これにより、バッテリ温度に起因するバッテリ出力の低下が生じる可能性がある場合に、バッテリ充電率を高めに維持し、充電率に起因するバッテリ出力の低下を防止し、バッテリ全体として出力性能を維持することができる。
また、ハイブリッド車両12において、EV走行優先モードの設定中は発電開始充電率及び目標充電率の引き上げを中止する、又は発電開始充電率及び目標充電率の引き上げ閾値温度をより低温に変更するようにすれば、なるべくエンジン25を駆動せずに走行したいというユーザの意図を制御に反映することができる。
また、ハイブリッド車両12において、スポーツモードの設定中は発電開始充電率及び目標充電率を引き上げる、又は発電開始充電率及び目標充電率の引き上げ閾値温度をより高温に変更するようにすれば、瞬間的に大きな出力が要求されるのに備えてバッテリ50の出力性能を高めておくことができる。
また、ハイブリッド車両12において、燃料タンク40内の燃料の残量が所定量以下の場合には、発電開始充電率及び目標充電率の引き上げを中止する、又は発電開始充電率及び目標充電率の引き上げ閾値温度をより低温に変更するようにすれば、燃料が少ない状態で頻繁にエンジン25を駆動するのを避け、燃料切れを防止することができる。
また、ハイブリッド車両12において、燃料が劣化している場合には、発電開始充電率及び目標充電率を引き上げる、又は発電開始充電率及び目標充電率の引き上げ閾値温度をより高温に変更するようにすれば、発電による燃料消費を促し、劣化の進んだ燃料を早期に消費させることができる。
【0040】
なお、本実施の形態では、外気温度センサ61を用いてハイブリッド車両12の周辺温度を検知したが、これに限らず、例えばインターネットなどを介してハイブリッド車両12の現在位置の気温を取得してもよい。特に、ハイブリッド車両12が一晩停車され(オーバーナイトソーク)、翌朝走行が開始される場合などは、走行開始時における予想気温をインターネットなどを介して取得して、発電開始充電率及び目標充電率の設定に用いてもよい。また、インターネットなどを介して取得した予想気温に基づいて、走行開始時におけるバッテリ温度を予想して、発電開始充電率及び目標充電率の設定に用いてもよい。
また、ハイブリッド車両12の停車後に予約充電が設定されている場合には、発電開始充電率及び目標充電率の引き上げを行わないようにしてもよい。
また、バッテリ50の劣化度を推定し、バッテリ50の劣化度に基づいて発電開始充電率及び目標充電率の値を変更してもよい。具体的には、例えばバッテリ50の劣化度が大きいほど発電開始充電率及び目標充電率を高く設定することにより、出力性能の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0041】
12 ハイブリッド車両
20 走行システム
21 前輪
23 モータ
24 インバータ
25 エンジン
27 クラッチ装置
30 発電システム
31 ジェネレータ
40 燃料タンク
50 バッテリ
60 バッテリ温度センサ
61 外気温度センサ
62 モード設定部
63 スポーツモード設定部
64 残燃料量センサ
70 ECU
702 駆動制御部
704 充電率設定部
706 燃料劣化推定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6