IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 藤井 成人の特許一覧

<>
  • 特開-コンドーム 図1
  • 特開-コンドーム 図2
  • 特開-コンドーム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068389
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】コンドーム
(51)【国際特許分類】
   A61F 6/04 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
A61F6/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2019055588
(22)【出願日】2019-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】519102602
【氏名又は名称】藤井 成人
(72)【発明者】
【氏名】藤井 成人
【テーマコード(参考)】
4C098
【Fターム(参考)】
4C098AA06
4C098EE15
(57)【要約】
【課題】行為開始時においては、突起部分がフラットな状態であるが、行為開始から適度な時間が経過した際、突起部分が適度な硬さを備えつつ盛り上がることで性交時における快感を得られるコンドームを提供すること。
【解決手段】円筒形状側面に突起部20を備えたコンドーム10であって、突起部20は、形状記憶ポリマーを主成分とする材質からなる突起体30と、突起体30の表面に当接して覆うように設置された三角コイルバネ形状体40と、コイルバネ形状体40の上から覆うように設置されたゴム弾性体50を備えることを特徴とするコンドームとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒形状側面に突起部を備えたコンドームであって、
前記突起部は、
ウレタン樹脂を主成分とする材質からなる突起体と、
前記突起体の表面に当接して覆うように設置された三角コイルバネ形状体と、
前記三角コイルバネ形状体の上から覆うように設置されたゴム弾性体を備えることを特徴とするコンドーム。
【請求項2】
前記三角コイルバネ形状体は、引っ張りバネであり、材質は、硬質樹脂、又は硬質ゴムを主成分とする材質であることを特徴とする請求項1に記載のコンドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、避妊具の一種であるコンドームに関する。さらに言えば、性行為時における快感を得られるコンドームに関する。
【背景技術】
【0002】
コンドームは避妊具の一種で、薄いゴム製であり、底面を開口させた円筒形状に形成し、上端面略中心に凸部(精液溜まり)を形成したものである。現在の市場に出回っているものは、単なる避妊具としての機能に留まっているものが多く、性交時における快感が得られ難いものが大半であった。性交時における快感を得られるように、円筒形状側面に凸凹が形成された製品も開発されているものの、これらの製品は殆どにおいて効果が不十分であり、上記の目的において、余り効果的であるとは言えないものであった。
【0003】
特許文献1には、「コンドームの上部に突起を設け、性感度を向上させることにより使用を促進し、エイズや性病を撲滅すること。」ことを課題として(特許文献1:要約より抜粋)、コンドームの上部に、女性性器のGスポットを刺激する突起を設けた(特許文献1:要約より抜粋)高感度コンドームシステム(特許文献1:発明の名称)」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-250858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に係る発明は、突起部分にマグネットを入れる(フレミング左手の法則による血管に導電し、これにより血流が増大し・・・(特許文献1:0005段落参照))ことも考慮されており、製品段階で、要するに、使用開始段階で、突起部分にマグネットが入っていることによる硬さにより、行為開始直後のように女性側に受け入れ態勢が整っていない場合は、女性が痛がるため全く好ましく無いものである。さらに言えば、突起部分を単に空気によって膨らませるのでは、突起部分が軟らか過ぎるため、接触時において抵抗が殆ど無く刺激が弱いものであり、性交時における快感を得られるという観点から見れば好ましく無いと言える。
【0006】
本発明の目的は、行為開始時においては、突起部分がフラットな状態であるが、行為開始から適度な時間が経過した際、突起部分が適度な硬さを備えつつ盛り上がることで性交時における快感を得られるコンドームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、円筒形状側面に突起部を備えたコンドームであって、前記突起部は、ウレタン樹脂を主成分とする材質からなる突起体と、前記突起体の表面に当接して覆うように設置された三角コイルバネ形状体と、前記三角コイルバネ形状体の上から覆うように設置されたゴム弾性体を備えることを特徴とするコンドームであることを特徴とするものである。尚、本明細書において、ウレタン樹脂とは、ポリウレタン、発泡ウレタン等を含んでおり、合成時における重合度や発泡度の違いによる物性(硬さ、粘度、フワフワ感等)の違いも考慮した概念である。三角コイルバネとは、真横から見た形状が三角形に見えるコイルバネのことである。
【0008】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載した発明において、前記三角コイルバネ形状体は、引っ張りバネであり、材質は、硬質樹脂、又は硬質ゴムを主成分とする材質であるコンドームであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るコンドームは、円筒形状側面に突起部(突起部の位置は円筒形状側面であれば、どの位置にあっても良いし、突起部の数も1カ所であっても良いし、1か所以上であっても良い)を備えたコンドームである。この突起部は、突起体と、突起体の表面に当接して覆うように設置した三角コイルバネ形状体と、三角コイルバネ形状体の上から覆うように設置されたゴム弾性体を設置することにより形成されている。
【0010】
突起部はウレタン樹脂(ポリウレタン、発泡ウレタン等を含んでおり、合成時における重合度や発泡度等の違いによる物性(硬さ、粘度、フワフワ感等)の違いも考慮した概念)を主成分としている。
【0011】
本発明に係るコンドームは、真空パッケージすることにより、突起部が平坦に近い状態で収納されることになる(図3参照)。使用時にパッケージを開けると、突起部(ウレタン樹脂部分)が自然に膨らむことになる(図3参照)。しかしながら、本発明に係るコンドームは、三角コイルバネ形状体の上から覆うように設置されたゴム弾性体の作用により、突起部(ウレタン樹脂部分)が自然に膨らむのを抑制しているため、パッケージを開けても直ちに膨らまず、突起部(ウレタン樹脂部分)が完全に容積MAXの状態になるのに適度な時間が掛かることになる。
【0012】
従って、性行為の開始時においては、突起部がフラットな状態であるが、性行為開始から適度な時間(5分から10分程度:この時間は、ウレタン樹脂の物性等、及びゴム弾性体の弾性力等を調整することにより、個々に調整することができる)が経過した際、突起部が適度な硬さを備えつつ盛り上がることで、性交時における快感を得られるコンドームを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るコンドームの全体図である。
図2】突起部の断面図(a)、正面図(b)、及び上面図(c)である。
図3】使用開始時における突起部の全体図(a)、及び使用開始から適度な時間が経過した際における突起部の全体図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<コンドームの構造、及び製造方法>
以下、本発明に係るコンドーム10について、図1図3を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明に係るコンドーム10の全体図である。図2は、コンドーム10の突起部20の断面図(a)、正面図(b)、及び上面図(c)である。
【0015】
本発明に係るコンドーム10は、図1に記載したように、円筒形状側面に突起部20を備えたコンドーム10である。さらに、図2に記載したように、突起部20は、ウレタン樹脂を主成分とする材質からなる、略お椀形状に形成された突起体30と、突起体30の表面に当接して覆うように設置された三角コイルバネ形状体40と、コイルバネ形状体40の上から覆うように設置されたゴム弾性体50から構成されている。尚、コンドーム10の三角コイルバネ形状体40として使用される素材は、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン等の硬質樹脂、天然ゴム,スチレンブタジエンゴム等に多量の硫黄を加えて加硫した硬質ゴム(エボナイト)等が使用される。
【0016】
三角コイルバネ形状体40は、太さ0,5mm~1mm程度であり、図2(b)及び図2(c)に記載したように突起体30の表面に当接しながら螺旋状に形成されている(三角コイルバネ形状体40の上から、突起体30と三角コイルバネ形状体40を覆うようにゴム弾性体50が設置されている)。三角コイルバネ形状体40を形成する材質は、硬質樹脂、又は硬質ゴムを主成分とする材質である。尚、突起部20の位置は円筒形状側面であれば、どの位置にあっても良いし、突起部20の数も1カ所であっても良いし、1か所以上であっても良い。三角コイルバネ形状体40は、いわゆる引っ張りバネであっても良い。
【0017】
コンドーム10の製造方法は、コンドーム10本体の円筒部分内側に突起体30と三角コイルバネ形状体40を設置し、その部分を内側からゴム弾性体50(コンドーム10本体と同じゴムであっても良いし、ゴム弾性力を向上させたものでも良い。本発明においてはゴム弾性体50のゴム弾性力を自由に選択することができる。)で融着することにより覆う方法、コンドーム10本体の円筒部分外側に突起部20を設置し、その部分を外側からゴム弾性体50で融着することにより覆う方法、コンドーム10本体を二重に形成し、その間に突起体30と三角コイルバネ形状体40を挿入し、突起体30と三角コイルバネ形状体40の周りのみを融着する方法が考えられるが、これら以外の製造方法であっても良いし、さらに言えば、ゴムの材質は、コンドーム10本体と同じ材質のゴムでなくても良いし、ゴム以外の素材であっても、本発明の目的を達成できるものであれば良い。
【0018】
<コンドーム使用時における形状変化>
図3は、本発明に係るコンドーム10の使用開始時における突起部20の全体図(a)、及び使用開始から適度な時間が経過した際における突起部20の全体図(b)である。図3に記載したように、突起部20は、突起体30と三角コイルバネ形状体40とゴム弾性体50から構成されている。
【0019】
本発明に係るコンドーム10の突起部20の一部を構成する突起体30の素材であるウレタン樹脂は、スポンジのような柔らかい素材で形成されており簡単に形状変化する。即ち、突起体30自体を指で潰すことができ、柔らかくてマシュマロのような粘度特性を備えている。丁度、耳栓のようなイメージである。ウレタン樹脂のデメリットとしては使い続けていると弾力が落ちてくることが挙げられるが、本発明の特徴としては、再利用することは無い(使い捨てが当たり前)ので、係るデメリットがデメリットでは無くなる。
【0020】
本発明に係るコンドーム10は、真空パッケージ内部に封入することにより、突起部20が平坦に近い状態で収納されることになる(図3(a)参照)。使用時にパッケージを開封すると、突起部20(突起体30(ウレタン樹脂部分)と三角コイルバネ形状体40とゴム弾性体50)が自然に膨らむことになる(図3(b)参照)。
【0021】
<コンドームの効果>
従来技術によれば、突起した部分を備えたコンドームは知られているが、それらは、突起した部分に空気が充填されたものや、単に樹脂等が充填されていたものであった。突起部分が硬ければ、行為開始時においても硬いわけであり、受け入れ態勢が完了していない状態の女性が痛がるので全く好ましく無く、逆に突起した部分が軟らか過ぎる(例えば、風に吹かれる稲穂のように)と、女性に対する刺激が弱くなってしまう。
【0022】
本発明に係るコンドーム10は、行為開始時のように硬さが必要でない際は、突起部分がフラットな状態、若しくはフラットに近い状態になっており、徐々に膨らんでくるようになっており、行為開始後、ある程度の時間が経過した際に、突起部20が容積MAXな状態まで膨らむことになる。要するに、不要な時は萎んだ状態になっており、必要な時に丁度良いタイミングで女性に対して良い刺激を与えることができることに最大の特徴があると言える。
【0023】
具体的には、コンドーム10は、真空パッケージに封入することにより、突起部20が平坦に近い状態で収納されることになる(図3(a)参照)。使用時に真空パッケージを開封すると、突起部20が自然に膨らむことになる(図3(b)参照)。
【0024】
しかしながら、コンドーム10は、突起体30と三角コイルバネ形状体40を覆うように形成されたゴム弾性体50のゴム弾性力により、突起体30が膨らむのを抑制されている(図3参照)。従って、突起部20(厳密に言えば突起体30)が自然に膨らむのを抑制しているため、直ちに膨らまず、突起部20が完全に容積MAXの状態になるのには、真空パッケージから開封された後、適度な時間が掛かることになる。尚、三角コイルバネ形状体40が引っ張りバネであれば、その作用により、突起部20が自然に膨らむのを抑制しているため、突起部20が完全に容積MAXの状態になるのには、真空パッケージから開封された後、その分さらに、時間が掛かることになる。即ち、ゴム弾性体50のゴム弾性力が不足している場合(突起部20が自然に膨らむのを抑制する能力が不足している場合)に、その能力を補完するものである。
【0025】
さらに、三角コイルバネ形状体40の作用により、コンドーム10の垂直方向のみならず、コンドーム10の挿入方向である前後方向、さらには、左右方向における突起部20の動きに対して抵抗(接触時における抵抗)を与えることができる。即ち、三角コイルバネ形状体40の作用により接触時における抵抗を生み出すことができるので、より快感を得られやすくなる。
【0026】
本発明に係るコンドーム10の効果を纏めると、行為の開始時においては、突起部20がフラットな状態であるが、性行為開始から適度な時間(5分から10分程度:この時間は、ウレタン樹脂の物性等、及びゴム弾性体50のゴム弾性力、三角コイルバネ形状体のバネ強度等を調整することにより、個々に調整することができる)が経過した際、突起部20が適度な硬さを備えつつ、盛り上がることで性交時における快感を得られる(適度な時間まで突起部20の容積MAXになるのを押さえることができるので、徐々に快感を与えることができるようになったし、適度な柔らかさと、適度な抵抗感が得られる)コンドームを提供することができるようになった。
【0027】
さらなる効果として、三角コイルバネ形状体40がいわゆる引っ張りバネ(反対の概念として圧縮バネ)であれば、荷重を加える方向が引っ張り方向であることに特徴がある。即ち、圧縮コイルバネは圧縮して使用するため、(真空パッケージに収納する段階で)コイル間に隙間があるが、引張コイルバネは引っ張って使用するため、(真空パッケージに収納する段階で)コイルとコイルの間に隙間が無いので、真空パッケージ内部に小さく収納することができ、収納性に優れていると言える。
【0028】
<コンドームの変更例>
本発明に係るコンドームは、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、突起部、突起体、三角コイルバネ形状体等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更するこができる。例えば、突起部を構成するウレタン樹脂の内部に三角コイルバネ形状体を埋め込むような形態であっても良いし、突起部の頂点に硬質の球状部材を設置する形態であっても良い。
【0029】
これら以外にも、形状記憶ポリマーを主成分とする材質からなる突起体としても良い。形状記憶ポリマーとは、加熱すると元の形状に回復するポリマーである。本発明に係るコンドームの突起部として使用する際は、室温付近では萎んでいて、体温付近になると容積MAXになるように調整しておくことになる。主な形状記憶ポリマーには、ポリノルボルネン、トランスポリイソプレン、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリウレタン等がある。要するに、「柔らかい」と「硬い」のふたつの状態を温度の設定によって自由に行き来させることで、突起体として使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係るコンドームは、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、性交時における快感を得られる避妊具の分野で好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0031】
10・・コンドーム
20・・突起部
30・・突起体
40・・三角コイルバネ形状体
50・・ゴム弾性体
図1
図2
図3