(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068416
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】加熱装置
(51)【国際特許分類】
A01M 1/00 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
A01M1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177069
(22)【出願日】2020-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】520412349
【氏名又は名称】Autoterminal Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090413
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 康稔
(72)【発明者】
【氏名】藤惠 まもる
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121BB32
2B121DA43
2B121DA45
2B121DA62
2B121DA63
2B121EA10
2B121EA14
(57)【要約】
【課題】 温度上昇の均一化を図るとともに、加熱対象の損傷が生じないように考慮した加熱装置を提供する。
【解決手段】 自動車Wの温まり難いエンジンルームなどに対し、給気ホース130によって加熱空気が送られるので、効率的に温度が上昇する。このため、自動車Wの各部の温度上昇が均一化されるようになり、作業時間の短縮を図ることができる。加えて、本実施例では、バーナー210の火炎によって直接空気を加熱せず、熱交換器212を介して間接的に加熱している。このため、バーナー210の火炎が、循環ダクト110を通じてコンテナ12内に達することがなく、火炎による自動車Wやコンテナ12内の各装置の損傷を未然に防止することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナ内の加熱対象に対して、加熱手段で加熱した空気を循環ダクトを通じて供給し、加熱対象を全体として加熱する加熱装置であって、
前記加熱対象のうち、加熱され難い部位に、加熱手段で加熱した空気を供給する給気ホースを、前記循環ダクトに設けたことを特徴とする加熱装置。
【請求項2】
コンテナ内の加熱対象に対して、加熱手段で加熱した空気を循環ダクトを通じて供給し、加熱対象を全体として加熱する加熱装置であって、
前記加熱手段は、前記循環ダクトの空気を間接的に加熱することを特徴とする加熱装置。
【請求項3】
コンテナ内の加熱対象に対して、加熱手段で加熱した空気を循環ダクトを通じて供給し、加熱対象を全体として加熱する加熱装置であって、
前記加熱対象のうち、加熱され難い部位に、加熱手段で加熱した空気を供給する給気ホースを、前記循環ダクトに設けるとともに、
前記加熱手段は、前記循環ダクトの空気を間接的に加熱する、
ことを特徴とする加熱装置
【請求項4】
前記給気ホースを、曲折・伸縮自在の構造としたことを特徴とする請求項1又は3記載の加熱装置。
【請求項5】
前記加熱手段は、熱交換器をバーナーで加熱し、熱交換器によって空気を加熱することを特徴とする請求項2又は3記載の加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車を高温の空気で加熱する加熱装置に関し、例えば、害虫の駆除に好適な加熱装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、日本からニュージーランドに自動車を輸出する場合、輸出前に自動車に付着している害虫を駆除する必要がある。このような駆除技術としては、例えば、下記特許文献1記載の「自動車の高温害虫駆除装置」,下記特許文献2記載の「自動車の高温害虫駆除方法」がある。これらは、薫蒸剤を使用せずに高温処理によって効率よく害虫を駆除することを目的としており、処理室内に、吸い込み部を処理室の内側方向に向けて配置した循環ファン装置の吐き出し部に加熱部材を設置して前記加熱部材を介して加熱した空気を室内に送り出すとともに、室内を流通する空気を前記循環ファン装置の前記吸い込み部へ導入して循環流通させることで、処理室内に出し入れ自在に収容された被処理物に対して、害虫駆除温度に熱せられた加熱空気を一定時間付与して被処理物に付着した害虫を高温駆除するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-5623号
【特許文献2】特開2020-5624号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、害虫駆除を目的として高温の空気を自動車に付与する際には、自動車の部位による温度上昇の差を低減して均一化することが好ましく、また、自動車に損傷が与えることがないように留意する必要がある。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、温度上昇の均一化を図るとともに、加熱対象の損傷が生じないように考慮した加熱装置を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、コンテナ内の加熱対象に対して、加熱手段で加熱した空気を循環ダクトを通じて供給し、加熱対象を全体として加熱する加熱装置であって、前記加熱対象のうち、加熱され難い部位に、加熱手段で加熱した空気を供給する給気ホースを、前記循環ダクトに設けたことを特徴とする。他の発明は、コンテナ内の加熱対象に対して、加熱手段で加熱した空気を循環ダクトを通じて供給し、加熱対象を全体として加熱する加熱装置であって、前記加熱手段が、前記循環ダクトの空気を間接的に加熱することを特徴とする。更に他の発明は、コンテナ内の加熱対象に対して、加熱手段で加熱した空気を循環ダクトを通じて供給し、加熱対象を全体として加熱する加熱装置であって、前記加熱対象のうち、加熱され難い部位に、加熱手段で加熱した空気を供給する給気ホースを、前記循環ダクトに設けるとともに、前記加熱手段は、前記循環ダクトの空気を間接的に加熱することを特徴とする。
【0007】
主要な形態の一つによれば、前記給気ホースを、曲折・伸縮自在の構造としたことを特徴とする。他の形態によれば、前記加熱手段は、熱交換器をバーナーで加熱し、熱交換器によって空気を加熱することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、給気ホースによって加熱し難い部位を加熱することとしたので、加熱対象の温度上昇の均一化を図ることができ、空気を間接的に加熱することとしたので、バーナーの火炎による加熱対象の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1の全体構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施例2の正面から見た主要構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施例2の側面から見た主要構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例0011】
最初に、
図1及び
図2を参照しながら、本発明の実施例1について説明する。
図1は全体を示す斜視図であり、
図2(A)は側面から見た図である。
図2(B)は加熱装置部分を詳細に示す図である。これらにおいて、本実施例の車両加熱装置10は、自動車やトラックなどを収納できる大きさのコンテナ12内に、循環装置100を設けるとともに、コンテナ12の外側に、バーナー装置200を設けた構成となっている。コンテナ12の入口20,出口30には、開閉する扉22,32が設けられており、また、車両の出し入れを容易にするためのスロープ24,34がそれぞれ設けられている。
【0012】
これらのうち、循環装置100は、コンテナ12の天井に設けられた循環ダクト110を中心に構成されている。循環ダクト110は、バーナー装置200の位置に対応して設けられており、コンテナ12の入口方向及び出口方向に延設された分岐ダクト112,114を備えている。これら分岐ダクト112,114の側面には、複数の吹出し口120と複数の給気ホース130が適宜の間隔で設けられている。
【0013】
また、コンテナ12の下側には、バーナー装置200の位置に対応して、吸気口140が設けられており、必要に応じてゴミなどを除去するためのフィルタが設けられている。一方、コンテナ12の天井側の適宜位置には、コンテナ12内の空気を循環させるためのサーキュレータ142が必要数設けられており、コンテナ12の内側側面には、適宜位置に温度センサ144が必要数設けられている。
【0014】
次に、バーナー装置200は、
図2(B)に示すように、気体燃料もしくは液体燃料を燃やすバーナー210を備えており、これによって熱交換器212が加熱されるようになっている。バーナー210の燃焼後の煙は、煙突214から外気に放出されるようになっている。一方、述したコンテナ12の吸気口140は、吸気ダクト220の入口となっており、吸気ダクト220から吸気された空気は、熱交換器212で間接的に加熱されて、コンテナ12内の循環ダクト110に送られるようになっている。熱交換器212における空気の循環は、シロッコファン(ないしプロペラファン)222で行われる。例えば、熱交換器212を円筒としたとき、この円筒の内側をバーナー210の火炎で熱するとともに、円筒の外側に空気が触れることで、間接的に空気の加熱が行われるようになっている。このように、本実施例では、バーナー210の火炎によって直接空気が加熱されるのではなく、熱交換器212を介して間接的に加熱されるようになっている。
【0015】
上述した給気ホース130は、コンテナ12の天井から側面(壁面)に沿って敷設されており、側面から先は、蛇腹状で曲折・伸縮自在となっている。給気ホース130の先端開口は、加熱対象の自動車Wのうち、比較的温まり難い部位,例えば、エンジンルーム,座席下,トランクルームなどに設置され、それらに加熱空気を供給する。また、それらの比較的温まり難い部位には、温度センサ146を設置し(
図2(B)参照)、温度上昇の程度を検知して、制御盤40に無線LANなどで通知するようになっている(
図2(A)参照)。
【0016】
制御盤40は、バーナー210の燃焼開始・終了,その他の各部の動作のON・OFFを行うとともに、前記温度センサ144,146の検知結果を、有線もしくは無線で受け取って、各部の動作の制御を行うためのものである。コンピュータやシーケンサを利用して、自動的に運転が行われる。
【0017】
次に、本実施例の全体の動作について説明する。加熱対象の自動車Wは、入口20の扉22を開いて、コンテナ12内に設置する。そして、自動車Wのうち、温まり難いエンジンルール,座席下,トランクルームに先端開口が向くように、給気ホース130を設置する。また、自動車Wの必要箇所に、温度センサ146を設置する。温度センサ146も、自動車Wの比較的温まり難い部位に設置する。設置が終了したら、コンテナ12の入口20,出口30の扉22,32を閉める。
【0018】
次に、制御盤40により、加熱温度や加熱時間を設定するとともに、各部をONとして駆動を開始する。これにより、バーナー210が点火して熱交換器212が加熱されるとともに、シロッコファン222の駆動により、バーナー装置200→循環装置100→コンテナ12→バーナー装置200と、空気が循環するようになる。また、コンテナ12内では、サーキュレータ142による空気の循環が行われる。これらにより、コンテナ12内に加熱空気が充満するようになり、庫内は全体として温度が上昇する。
【0019】
コンテナ12内の温度は、温度センサ144によって検知されており、自動車Wのエンジンルールなどの温度は温度センサ146によって検知されている。制御盤40は、これらの温度センサ144,146の検知結果に応じて、バーナー210による燃焼の程度を調整し、空気の温度を制御する。例えば、カメムシを駆除する場合、温度61℃以上で10分間,又は57℃以上で30分間の加熱が行なわれる。
【0020】
ところで、本実施例では、自動車Wの温まり難いエンジンルームなどに対し、給気ホース130によって加熱空気が送られるので、効率的に温度が上昇する。このため、自動車Wの各部の温度上昇が均一化されるようになり、作業時間の短縮を図ることができる。加えて、本実施例では、バーナー210の火炎によって直接空気を加熱せず、熱交換器212を介して間接的に加熱している。このため、バーナー210の火炎や、熱せられた円筒内の空気が、いずれも循環ダクト110を通じてコンテナ12内に達することがなく、火炎による自動車Wやコンテナ12内の各装置の損傷を未然に防止することができる。
これらのうち、循環装置500は、コンテナ52の天井から側面に設けられた循環ダクト510を中心に構成されている。循環ダクト510の天井側には、吸気孔512が複数設けられており、庫内の空気がダクト内に吸い込まれるようになっている。吸気孔512には、必要に応じてゴミなどを除去するためのフィルタが設けられている(図示せず)。循環ダクト510は、天井側からコンテナ52の側面を通って、コンテナ52の下側に設けた給気ダクト550に接続している。給気ダクト550は、コンテナ52の入口から出口に向かって設けられており、バーナー装置600で加熱された空気が給気ダクト550に供給されている。
給気ダクト550には、吹出し口520が適宜の間隔で複数設けられており、これらにより、コンテナ52の下側から庫内に加熱空気が供給されるようになっている。また、給気ダクト550には、給気ホース530も適宜の間隔で複数接続されており、これらによっても、加熱空気が供給されるようになっている。給気ホース530は、前記実施例と同様に、蛇腹状で曲折・伸縮自在となっており、加熱対象の自動車Wのうち、比較的温まり難いエンジンルールなどに加熱空気を供給するためのもので、それらの部位には温度センサも設置される(図示せず)。
循環ダクト510の側面下部には、バーナー装置600が設けられている。バーナー装置600は、バーナー610,熱交換器612,煙突614,シロッコファン622によって構成されている。シロッコファン622は、上述した給気ダクト550に加熱空気を供給する。本実施例においても、空気が熱交換器612で間接的に加熱される点は、上述した実施例と同様である。
本実施例の基本的な動作は、上述した実施例と同様であるが、バーナー装置600が2基設けられているので、トラックWTなどの大型の車両に対しても、十分な加熱空気を供給することができる。また、加熱空気は、上記実施例とは逆に、コンテナ52の下側から上側に循環する。本実施例によっても、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。
<他の実施例> なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例では、温度センサ146を車両の比較的温まり難いエンジンルームなどの部位に設置することとしたが、上述した背景技術と同様に、比較的加熱されやすい座席の上部などの部位に設置するようにしてもよい。このように、車両の高温となる部位の温度と、低温となる部位の温度とを検知することで、熱による車両の損傷を防ぎつつ、必要な加熱処理を行うことができる。
(2)前記実施例で示した各部の形状や寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、コンテナ内に複数の車両を直列に収容する,あるいは並列に収容するようにしてもよい。また、ダクトの形状や配置,吹出し口120,520の形状なども、同様に、必要に応じて変更してよい。
(3)前記実施例では、害虫駆除を目的として高温の空気を自動車に供給する場合を示したが、害虫駆除以外の目的に適用することを妨げるものではない。また、加熱対象も、車両に限らず、車両の部品や付属品,その他の各種の機器ないし装置,材料,産物等に対して適用してよい。