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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068428
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】気泡検出器
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/032 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
G01N29/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177096
(22)【出願日】2020-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(72)【発明者】
【氏名】中川 涼太
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA03
2G047AA04
2G047BA01
2G047BC03
2G047GF09
2G047GG28
(57)【要約】
【課題】 チューブ19内を流れる液体中に気泡が存在するか否かを検出する一対の超音波素子24、25をチューブに密着させた際に、チューブが楕円状に押し潰されて流量が減少するのを防止する。
【解決手段】 第1支持部材(センサブロック23)に設けられた第1超音波素子24と、第2支持部材(カバー11B)に設けられた第2超音波素子25とをチューブ19に密着させることにより、チューブ内を流れる液体中に気泡が存在するか否かを検出する気泡検出器に関する。上記超音波素子24、25の配置方向と交差する方向に一対のサイドブロック35が設けられている。チューブの太さに応じて上記超音波素子24、25の間隔を調整する際には、同時に一対のサイドブロック35の間隔を調整することによってチューブを矩形状に押し潰し、それによってチューブが楕円状に押し潰されて流量が減少するのを防止することができる。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持部材に設けられた第1超音波素子と、第2支持部材に設けられてチューブを挟んで上記第1超音波素子に対向する第2超音波素子と、上記第1支持部材と第2支持部材との間隔を調整して上記第1超音波素子と第2超音波素子との間隔を上記チューブの太さに応じて調整する第1間隔調整手段とを備え、上記第1超音波素子と第2超音波素子とのいずれか一方の超音波素子から送信された超音波を他方の超音波素子で受信することによりチューブ内を流れる液体中に気泡が存在するか否かを検出する気泡検出器において、
上記チューブを挟んで対向された第1超音波素子と第2超音波素子との配置方向と交差する方向において、上記チューブを挟んで対向する一対のサイドガイドを設け、かつ該一対のサイドガイドの間隔を上記チューブの太さに応じて調整する第2間隔調整手段を設けたことを特徴とする気泡検出器。
【請求項2】
上記気泡検出器は、上記チューブが着脱可能にはめ込まれるチューブ溝を備えたチューブガイドと、該チューブガイドに対して開閉可能に設けられ、開放時に上記チューブ溝へのチューブの着脱を許容し、閉鎖時に上記チューブ溝にはめ込まれたチューブを覆うカバーとを備えており、
上記第2支持部材は上記カバーに設けられるとともに、上記第1支持部材は上記チューブガイドに対して、チューブ溝にはめ込まれたチューブの径方向に移動可能に設けられ、上記第1間隔調整手段は第1支持部材をチューブの径方向に移動させて第1超音波素子と第2超音波素子との間隔を調整し、
また上記一対のサイドガイドは、上記チューブガイドに対して、チューブ溝にはめ込まれたチューブの径方向にそれぞれ移動可能に設けられ、上記第2間隔調整手段は各サイドガイドをチューブの径方向に移動させて両者の間隔を上記チューブの太さに応じて調整することを特徴とする請求項1に記載の気泡検出器。
【請求項3】
上記第1間隔調整手段は、上記チューブ溝の長手方向に沿って移動可能なスライドブロックと、該スライドブロックに、上記チューブ溝の長手方向に沿って傾斜させて設けた第1ガイド部と、上記第1支持部材に設けられて上記スライドブロックの第1ガイド部と係合する第1係合部とを備えており、上記スライドブロックを上記チューブ溝の長手方向に沿って移動させることにより上記第1ガイド部と第1係合部とを介して第1支持部材をチューブの径方向に進退動させることを特徴とする請求項2に記載の気泡検出器。
【請求項4】
上記第2間隔調整手段は、上記スライドブロックにチューブ溝の長手方向に沿って傾斜させて設けた一対の第2ガイド部と、上記一対のサイドガイドのそれぞれに設けられて上記第2ガイド部とそれぞれ係合する第2係合部とを備えており、上記スライドブロックを上記チューブ溝の長手方向に沿って移動させることにより上記第2ガイド部と第2係合部とを介して一対のサイドガイドのそれぞれをチューブの径方向に進退動させることを特徴とする請求項3に記載の気泡検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ内を流れる液体中に気泡が存在するか否かを検出する気泡検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気泡検出器として、第1支持部材に設けられた第1超音波素子と、第2支持部材に設けられてチューブを挟んで上記第1超音波素子に対向する第2超音波素子と、上記第1支持部材と第2支持部材との間隔を調整して上記第1超音波素子と第2超音波素子との間隔を上記チューブの太さに応じて調整する第1間隔調整手段とを備え、上記第1超音波素子と第2超音波素子とのいずれか一方の超音波素子から送信された超音波を他方の超音波素子で受信することによりチューブ内を流れる液体中に気泡が存在するか否かを検出するようにしたものが知られている(特許文献1)。
上記超音波は液体中と気泡中とでは伝搬効率が異なるので、液体中に気泡が存在すると超音波が気泡によって遮断されて受信強度が弱くなり、この特性を利用して気泡の検出を行うことができる。気泡を正確に検出するためには、第1超音波素子と第2超音波素子とをチューブに密着させることが必要で、使用されるチューブの径が複数種ある場合には、第1超音波素子と第2超音波素子との間隔を調整することができないと細いチューブを使用する場合に上記第1超音波素子と第2超音波素子とを良好にチューブに密着させることができず、検出精度が低下する。
上述した気泡検出器においては、第1間隔調整手段によって第1超音波素子と第2超音波素子との間隔を調整することができるので、複数種のチューブを使用する場合であっても常に第1超音波素子と第2超音波素子とを良好にチューブに密着させることができ、それによって検出精度の低下を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3447957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の気泡検出器においては、上記第1間隔調整手段によって第1超音波素子と第2超音波素子とでチューブを径方向に押し潰すだけなので、チューブは楕円状に押し潰されるようになり、その結果、チューブ内の流路面積が減少して必要な流量が確保できなくなる恐れがあった。
本発明はそのような事情に鑑み、第1超音波素子と第2超音波素子をチューブに良好に密着させることができ、かつチューブが楕円状に押し潰されるのを防止して必要な流量を確保することができるようにした気泡検出器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、第1支持部材に設けられた第1超音波素子と、第2支持部材に設けられてチューブを挟んで上記第1超音波素子に対向する第2超音波素子と、上記第1支持部材と第2支持部材との間隔を調整して上記第1超音波素子と第2超音波素子との間隔を上記チューブの太さに応じて調整する第1間隔調整手段とを備え、上記第1超音波素子と第2超音波素子とのいずれか一方の超音波素子から送信された超音波を他方の超音波素子で受信することによりチューブ内を流れる液体中に気泡が存在するか否かを検出する気泡検出器において、
上記チューブを挟んで対向された第1超音波素子と第2超音波素子との配置方向と交差する方向において、上記チューブを挟んで対向する一対のサイドガイドを設け、かつ該一対のサイドガイドの間隔を上記チューブの太さに応じて調整する第2間隔調整手段を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、上記第1間隔調整手段により第1超音波素子と第2超音波素子との間隔を調整することができるので、従来と同様にチューブの太さが変更された場合であっても第1超音波素子と第2超音波素子とを各チューブに良好に密着させることができ、それによって確実な気泡の検出を行うことができる。
これと同時に、上記チューブを挟んで対向する一対のサイドガイドは、上記第1超音波素子と第2超音波素子との配置方向と交差する方向に配置されており、かつ第2間隔調整手段により上記チューブの太さに応じて両者の間隔が調整されるので、第1超音波素子と第2超音波素子とでチューブが楕円状に押し潰されることを防止して、チューブを矩形状に変形させることができるようになる。その結果、チューブ内の流路面積が減少することを防止して必要な流量を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】血液浄化装置の概略回路図
図2】本発明に係る気泡検出器1が組み込まれた検出ボックス11の斜視図
図3】本発明に係る気泡検出器1の分解斜視図
図4】気泡検出器1の初期状態を示す断面図
図5】気泡検出器1を太いチューブ19に適合するように調整した状態を示す断面図
図6】気泡検出器1を細いチューブ19に適合するように調整した状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下図示実施例に基づいて本発明を説明する。図1は従来公知の血液浄化装置の概略回路図で、該血液浄化装置に組み込まれた本発明に係る2つの気泡検出器1、1は、それぞれ血液回路2を流れる血液中の気泡の有無を検出できるようになっている。
上記血液回路2は、動脈側血液回路2Aと静脈側血液回路2Bとから構成されており、動脈側血液回路2Aの一端に図示しない穿刺針が設けられ、該穿刺針は患者に接続されるようになっている。また動脈側血液回路2Aの他端は血液ポンプ3と動脈側チャンバ4とを介して透析器5の一端部に接続されている。
上記静脈側血液回路2Bの末端は透析器5の他端部に接続されており、静脈側血液回路2Bの先端は静脈側チャンバ6と図示しない穿刺針とを介して患者に接続されるようになっている。
上記透析器5内には透析液供給回路7から新鮮な透析液が供給されるようになっており、透析器5内に供給された透析液は該透析器5に接続された透析液排出回路8を介して外部に排出されるようになっている。
【0009】
上記透析器5の内部には図示しないが多数の中空糸が設けられており、上記動脈側血液回路2Aからの血液は中空糸内を介して静脈側血液回路2Bに流動するようになっている。
これに対して透析器5内に供給された透析液は中空糸の外部における透析器5内を流通するようになっており、血液と透析液とは中空糸を介して離隔されている。そして中空糸内を流れる血液中の老廃物は、該中空糸内からその外部を流れる透析液中に引き出され、それによって血液の浄化が行われるようになっている。
この種の血液浄化装置は従来すでに公知であるので、血液浄化装置についてのこれ以上の説明は省略する。
【0010】
本発明に係る上記2つの気泡検出器1、1のうち、一方の気泡検出器1は動脈側血液回路2Aの入り口側に、他方の気泡検出器1は静脈側血液回路2Bの出口側に設けられ、それぞれ血液回路2A、2Bを流れる血液中の気泡の有無を検出できるようになっている。
図2は上記2つの気泡検出器1、1が組み込まれた検出ボックス11の斜視図で、この検出ボックス11は図示しない血液浄化装置のフロントパネルに固定されたブラケット12に対して着脱自在となっている。より具体的には、検出ボックス11は長方形状の箱形となっており、その後側部分を上記ブラケット12の前面に形成した方形の凹部12a内に着脱自在に嵌合することができるようになっている。なお必要に応じて、検出ボックス11がブラケット12から脱落することがないように適宜の脱落防止手段を設けてもよい。
【0011】
上記検出ボックス11は、長方形状の箱形本体11Aと、この本体11Aの一側に設けたヒンジ13を介して開閉可能に取り付けたカバー11Bとを備えており、カバー11Bを閉じた際には、該カバー11Bの他側に設けたラッチ14を本体11Aの他側に設けた掛止ピン15に係合させることにより、カバー11Bを閉鎖状態に維持することができるようになっている。
そして閉鎖状態からラッチ14を操作して該ラッチ14と掛止ピン15との係合を解除することにより、図2で示すようにカバー11Bを開放させることができるようになっている。
上記検出ボックス11の本体11Aには、2本のチューブ溝18を上下方向に2本平行に設けてあり、一方のチューブ溝18に動脈側血液回路2Aを構成するチューブ19を、他方のチューブ溝18に静脈側血液回路2Bを構成するチューブ19をそれぞれはめ込むことができるようにしてある。
上記2つの気泡検出器1は、各チューブ溝18内にはめ込まれたチューブ19内を流れる血液中の気泡をそれぞれ検出することができるようになっている。
以下、両気泡検出器1は同一構成を有しているので、一方の気泡検出器1についてのみその構成を詳述する。
【0012】
図3は上記気泡検出器1を分解して示した分解斜視図で、該気泡検出器1はチューブガイド21を備えており、該チューブガイド21は断面コ字形部21Aとその基部からそれぞれ水平方向に伸びる2つのベース部21Bとを備えている。両ベース部21Bは上記検出ボックス11の本体11Aの表面側(カバー11B側)に固定してあり、断面コ字形部21Aの内面は上記チューブ溝18の一部を構成している。
なお図3において、チューブガイド21のチューブ溝18は横方向になるように表現されているが、上記検出ボックス11を血液浄化装置のブラケット12に組み込んだ状態では、チューブガイド21のチューブ溝18は上下方向になるように、すなわち図3の左側が上側となるように配置される。
【0013】
上記チューブガイド21の断面コ字形部21Aの上面にはその長手方向の両端部分に2本のガイドピン22を平行に設けてあり、センサブロック23に設けた2つの係合孔23aに上記ガイドピン22をそれぞれ係合させることにより、該センサブロック23をチューブガイド21に対して図3における上下方向に昇降可能に取り付けている。
上記センサブロック23の下面には第1超音波素子24を取り付けてあり、該第1超音波素子24の下面は、上記チューブガイド21の断面コ字形部21Aの上面に穿設した貫通孔21aを介してチューブガイド21のチューブ溝18内に出没可能となっている。
【0014】
他方、図2に示すカバー11Bには第2超音波素子25を取り付けてあり、該カバー11Bを閉じた状態では、第1超音波素子24と第2超音波素子25とは、チューブ溝18内にはめ込まれたチューブ19を挟んで相互に対向することができるようになっている。
本実施例では、上記センサブロック23が第1超音波素子24を支持する第1支持部材を構成するとともに、上記カバー11Bが第2超音波素子25を支持する第2支持部材を構成しており、以下に説明するように、第1超音波素子24と第2超音波素子25とを対向させた状態で、第1超音波素子24を取り付けたセンサブロック23をガイドピン22に沿って進退動(昇降)させることにより、第1超音波素子24と第2超音波素子25との間隔を調整することが可能となっている。
そして上記第1超音波素子24と第2超音波素子25とのいずれか一方の超音波素子から送信された超音波を他方の超音波素子で受信することにより、従来周知のように、チューブ19内を流れる血液中に気泡が存在するか否かを検出することが可能となっている。
【0015】
図3において、気泡検出器1は上記センサブロック23をガイドピン22に沿って昇降させるための門型スライドブロック28を備えている。門型スライドブロック28の両脚部28Aの内面はチューブガイド21の断面コ字形部21Aの対向面に摺接し、両脚部28Aの下面がチューブガイド21のベース部21Bの表面に摺接している。これによりスライドブロック28は、各摺接面に案内されて断面コ字形部21Aの長手方向であるチューブ19の軸方向に進退動可能となっている。
上記スライドブロック28の上面は、図4(a)に示すように、上記検出ボックス11の本体11Aを構成する壁部11aの内面に摺接するようになっており、それによってスライドブロック28がチューブガイド21から図3の上方に分離してしまうことが阻止されている。上記壁部11aは、カバー11Bを閉じた状態では、該カバー11Bと平行に対向するようになっており、検出ボックス11をブラケット12の凹部12aにはめ込んだ状態では、凹部12aの内面側に位置するようになる。
【0016】
図3図4(a)に示すように、上記スライドブロック28の端部には2本の調節ネジ29が螺合されており、各調節ネジ29は上記本体11Aの壁部11aに形成した長孔11bを貫通して外方に突出している。上記長孔11bはチューブ19の長手方向に形成してあり、スライドブロック28を長手方向に移動させた適宜の位置で各調節ネジ29を締め付けることにより、スライドブロック28を本体11Aの壁部11aに、したがってチューブガイド21に対して固定することができるようになっている。
【0017】
図3に示すように、上記センサブロック23の上面はチューブ19の長手方向に沿って斜めに形成してあり、この傾斜面に断面アリ型となる第1係合部30を設けている。他方、上記門型スライドブロック28の両脚部28A間に位置する下面も上記傾斜面に沿って斜めに形成してあり、この傾斜面に上記第1係合部30に係合する断面アリ型の第1ガイド部31を設けている。
上記第1係合部30と第1ガイド部31とは両者の断面アリ型部分で相互に係合し、両者は傾斜面の長手方向に沿って相対的に摺動可能となっているが、上下方向には分離することができなくなっている。
【0018】
したがって、固定されたチューブガイド21に対してスライドブロック28をチューブ19の長手方向に進退動させることにより、上記第1係合部30と第1ガイド部31の傾斜によってセンサブロック23をガイドピン22に沿って昇降させることができる。
これによりセンサブロック23に設けた第1超音波素子24をカバー11Bに設けた第2超音波素子25に対して接近又は離隔させることにより、両者の間隔を調整することが可能となる。
したがって本実施例では、スライドブロック28、第1係合部30と第1ガイド部31、およびガイドピン22と係合孔23aとによって、第1超音波素子24と第2超音波素子25との間隔を調整する第1間隔調整手段が構成されている。
【0019】
さらに上記気泡検出器1は、上記チューブ19を挟んで上下に対向された第1超音波素子24と第2超音波素子25との配置方向と交差する横方向において、上記チューブ19を挟んで対向する一対のサイドブロック35を備えており、両サイドブロック35の間隔をチューブ19の太さに応じて調整することができるようになっている。
上記チューブガイド21の左右のベース部21Bには、上記各サイドブロック35が係合されるガイド孔21bをそれぞれ形成してあり、各サイドブロック35は各ガイド孔21bに係合されて上記チューブ19の直径方向に進退動可能で、かつチューブ溝18内に突出可能となっている。
【0020】
上記各サイドブロック35には、互いに離れた外側の端部にそれぞれチューブ19の長手方向に対して傾斜している第2係合部36を形成してある。各第2係合部36は外側の凸部36aと内側の係合溝36bとを備えており、係合溝36bの深さはベース部21Bの表面の高さに一致している。
他方、上記門型スライドブロック28の両脚部28Aの下面内側に上記第2係合部36に係合する第2ガイド部37をそれぞれ設けてある。各第2ガイド部37は上記第2係合部36の傾斜に沿って傾斜しており、かつ第2係合部36の係合溝36bに係合する凸部37aと凸部36aに係合する係合溝37bとを備えている(図4(b)参照)。
【0021】
したがって、チューブガイド21に対してスライドブロック28をチューブ19の長手方向に進退動させることにより、第2係合部36と第2ガイド部37との傾斜によって両サイドブロック35を接近又は離隔させることができ、それによって両者の間隔を調整することが可能となる。
この際、両サイドブロック35はチューブ溝18の中心線に対して接近又は離隔するので、チューブ溝18にはめ込まれたチューブ19を常にチューブ溝18の中央に保持した状態で挟持することができる。
そして本実施例では、上記スライドブロック28、第2係合部36と第2ガイド部37とによってサイドブロック35の間隔を調整する第2間隔調整手段が構成されている。
【0022】
なお、図1に示すように、動脈側の気泡センサ1よりも上流側に動脈側クランプ41が設けられ、また静脈側の気泡センサ1よりも下流側に静脈側クランプ42が設けられている。
これらクランプ41、42は検出ボックス11ではなく血液浄化装置側に設けられており、図示しないが、上記検出ボックス11を血液浄化装置側のブラケット12に装着した際に、各クランプ41、42の先端部が上記検出ボックス11の本体11Aに形成したチューブ溝18の拡径部18a内に突出してそこに位置するようになっている。
つまり検出ボックス11をブラケット12から取り外した際には、各クランプ41、42を血液浄化装置側に残した状態で、該検出ボックス11をブラケット12から取り外すことができるようになっている。他方、検出ボックス11をブラケット12に装着した状態では、各クランプ41、42の先端部がチューブ溝18の拡径部18a内に位置するので、チューブ溝18内にチューブ19をはめ込む際に、該チューブ19を各クランプ41、42の先端部に係合させることができ、この状態で各クランプ41、42を作動させることによりチューブ19を押し潰して血液の流通を阻止することができるようになっている。なお本実施例では各クランプ41、42を血液浄化装置側に残した状態で、該検出ボックス11をブラケット12から取り外すようになっているが、検出ボックス11およびブラケット12、または、検出ボックス11、ブラケット12、およびクランプ41、42を有するクランプボックスを一体構成とし、血液浄化装置のフロントパネルから取り外して、第1超音波素子24と第2超音波素子25との間隔およびサイドブロック35間の調整をできるようにしてもよい。
【0023】
以上の構成において、図4に示す状態は、スライドブロック28をチューブガイド21に対して最も図の上方となる位置に位置させた初期状態を示しており、この初期状態ではセンサブロック23に設けた第1超音波素子24はカバー11Bに設けた第2超音波素子25から最も離隔した位置に位置している(図4(a)参照)。またこれと同時に、一対のサイドブロック35も相互に最も離隔した位置に位置している(図4(b)参照)。
【0024】
図4に示す初期状態から、例えば太いチューブ19を使用する場合には、先ず検出ボックス11をブラケット12から取り外し、次に上記調節ネジ29を緩めてスライドブロック28を図5(a)における下方に移動させる。
これにより、スライドブロック28に設けた第1ガイド部31とセンサブロック23に設けた第1係合部30との係合によりセンサブロック23およびこれに取り付けた第1超音波素子24を図5(a)の左方に押し出すことができるので、カバー11Bを閉じた状態における第1超音波素子24と第2超音波素子25との間隔を狭めることができる。
またこれと同時に、上記スライドブロック28を図5(a)における下方に移動させると、図5(b)で示すように、スライドブロック28に設けた第2ガイド部37とサイドブロック35に設けた第2係合部36との係合を介して一対のサイドブロック35の間隔を狭めることができる。
【0025】
上記調節ネジ29が貫通する長孔11bの側部には、図示しないが使用する太いチューブ19の径に適合した位置に適宜のマークを記載してあり、調節ネジ29を当該マーク位置まで移動させて締め付けることにより、スライドブロック28を検出ボックス11の壁部11aに固定して、第1超音波素子24と一対のサイドブロック35とをそれぞれ太いチューブ19に適合した最適な位置に固定することができる。なおマークを記載する以外にも長孔の一端を太いチューブ19、他端を細いチューブ19に適した位置としたり、チューブのサイズの数だけ孔を形成したり、チューブ径に相当する治具を当接させて調整したりしてもよく、これに限定されるものではない。
このようにしてスライドブロック28の位置を太いチューブ19に適合した最適な位置に調整したら、検出ボックス11を血液浄化装置のブラケット12の凹部12a内に装着する。
この状態で検出ボックス11のカバー11Bを開くことにより、血液回路2の動脈側回路2Aを構成するチューブ19と静脈側血液回路2Bを構成するチューブ19とをチューブ溝18内にそれぞれはめ込むことができ、各チューブ19を各チューブ溝18内にはめ込んだらカバー11Bを閉じればよい。
【0026】
この状態では、第1超音波素子24と第2超音波素子25との間隔と、一対のサイドブロック35の間隔は、それぞれ太いチューブ19に適合した最適な位置に調整されているので、該太いチューブ19はその断面の上下方向と左右方向とから挟持されて矩形状に押し潰されるようになる。
したがって、第1超音波素子24と第2超音波素子25をチューブ19の外周面にそれぞれ良好に密着させることができるので確実な気泡の検出を行うことが可能となる。そしてこれと同時に、チューブ19は矩形状に押し潰されているので、第1超音波素子24と第2超音波素子25とだけでチューブ19を楕円状に押し潰す場合に比較して大きな流路面積を確保でき、これによりチューブ19の流路面積が減少して必要な血液量が得られないという事態の発生を防止することが可能となる。
【0027】
さらに上述した初期状態または太いチューブ19を使用していた状態から、図6に示す細いチューブ19を使用する必要が生じた場合には、上述したのと同様にして調節ネジ29を緩めてスライドブロック28を図6(a)に示す下方に移動させ、該調節ネジ29を長孔11bの側部に記載された図示しない細いチューブ19に適合したマーク位置まで移動させて締め付ければよい。
これにより図6(a)で示すように第1超音波素子24を更に左方に押し出すことができるとともに、図6(b)で示すように一対のサイドブロック35の間隔をより狭めることができるので、第1超音波素子24と一対のサイドブロック35とを細いチューブ19に適合した最適な位置にそれぞれ調整することができる。
この場合においても、第1超音波素子24と第2超音波素子25を細いチューブ19の外周面にそれぞれ良好に密着させて確実な気泡の検出を行わせることができ、かつ細いチューブ19を矩形状に押し潰すことができるので該チューブ19の流路面積が減少するのを抑制することができる。
【0028】
なお、上記実施例ではスライドブロック28をスライドさせることにより、第1超音波素子24と第2超音波素子25との間隔と一対のサイドブロック35の間隔とを同時に調整できるようにしているが、両者の調整を別個に行うことができるようにしてもよい。より具体的には、図示しないが、例えばセンサブロック23にその位置を進退動させることができる第1間隔調整手段として位置調整用ネジを連動させ、該位置調整用ネジによってセンサブロック23の位置を進退動させて第1超音波素子24と第2超音波素子25との間隔を調整する。他方、一対のサイドブロック35の少なくとも一方にもその位置を進退動させることができる第2間隔調整手段として位置調整用ネジを連動させ、該位置調整用ネジによって少なくとも一方のサイドブロック35の位置を進退動させて両サイドブロック35の間隔を調整できるようにすればよい。
【符号の説明】
【0029】
1 気泡検出器 11 検出ボックス
11A 本体 11B カバー(第2支持部材)
18 チューブ溝 19 チューブ
21 チューブガイド 23 センサブロック(第1支持部材)
24 第1超音波素子 25 第2超音波素子
28 スライドブロック 29 調節ネジ
30 第1係合部 31 第1ガイド部
35 サイドブロック 36 第2係合部
37 第2ガイド部
図1
図2
図3
図4
図5
図6