(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068459
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20220427BHJP
H02J 9/06 20060101ALI20220427BHJP
H02J 9/08 20060101ALI20220427BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20220427BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
H02J13/00 301D
H02J9/06 120
H02J9/08
H02J3/38 120
H02J3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177144
(22)【出願日】2020-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】邱 大偉
(72)【発明者】
【氏名】河▲崎▼ 吉則
(72)【発明者】
【氏名】宇田 怜史
【テーマコード(参考)】
5G015
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G015FA16
5G015GA04
5G015HA04
5G015HA15
5G015JA21
5G015JA32
5G015JA52
5G064AC08
5G064BA09
5G064CA01
5G064CB18
5G064DA05
5G066HB07
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】サーバ装置と分散型電源システムとがネットワークを介してデータ通信可能に接続されている電源システムにおいて、そのデータ通信の異常を検出する。
【解決手段】商用電力系統に連系され、負荷に電力を供給する分散型電源システム100と、分散型電源システムとの間でネットワークを介してデータ通信をし、分散型電源システムの状態を監視するサーバ装置と、データ通信のタイムラグを計測するタイムラグ計測機構とを有し、タイムラグ計測機構が、分散型電源システム側又はサーバ装置側の一方に設けられ、時間をカウントするタイマーと、他方に設けられ、タイマーのカウント値をリセットするリセット信号を、ネットワークINT1を介して所定の時間間隔でタイマーに送信するリセット信号送信部520と、一方に設けられ、前タイマーのカウント値に基づいてデータ通信の異常を検出する通信異常検出部として動作するタイムラグ計測部530とを有する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統に連系され、負荷に電力を供給する分散型電源システムと、
前記分散型電源システムとの間でネットワークを介してデータ通信をし、前記分散型電源システムの状態を監視するサーバ装置と、
前記分散型電源システムと前記サーバ装置との間のデータ通信のタイムラグを計測するタイムラグ計測機構とを有し、
前記タイムラグ計測機構が、
前記分散型電源システム側又は前記サーバ装置側の一方に設けられ、時間をカウントするタイマーと、
前記分散型電源システム側又は前記サーバ装置側の他方に設けられ、前記タイマーのカウント値をリセットさせるリセット信号を、前記ネットワークを介して所定の時間間隔で前記タイマーに送信するリセット信号送信部と、
前記一方側に設けられ、前記タイマーのカウント値に基づいて前記データ通信の異常を検出する通信異常検出部とを有する電源システム。
【請求項2】
前記通信異常検出部が、前記カウント値と所定の第1閾値とを比較し、前記カウント値が前記第1閾値を超えた場合に、前記データ通信に遅延が生じていると判断する請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記通信異常検出部が、前記カウント値と、前記第1閾値よりも大きい所定の第2閾値とを比較し、前記カウント値が前記第2閾値を超えた場合に、前記データ通信が遮断されていると判断する請求項2に記載の電源システム。
【請求項4】
前記通信異常検出部が前記データ通信の異常を検出した場合に、時刻に関する情報と、当該時刻における前記分散型電源システムの状態に関する情報とを含む状態報告メッセージを作成して前記サーバ装置に送信する請求項1~3のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項5】
前記通信異常検出部が前記データ通信の遅延を検出した場合に、前記状態報告メッセージを、前記ネットワークを介して前記サーバ装置に送信する請求項2を引用する請求項4に記載の電源システム。
【請求項6】
前記通信異常検出部が前記データ通信の遮断を検出した場合に、前記状態報告メッセージを、前記ネットワークとは異なる予備ネットワークを介して前記サーバ装置に送信する請求項3を引用する請求項4又は5に記載の電源システム。
【請求項7】
前記状態報告メッセージが、前記分散型電源システムの状態に関する情報として、前記分散型電源システムが有する蓄電装置のSOCを含む請求項4~6のいずれか一項に記載の電源システム。
【請求項8】
前記サーバ装置が、前記状態報告メッセージを受信すると、前記分散型電源システムに対する制御命令に関する情報を含む制御命令メッセージを作成して前記分散型電源システムに送信する請求項4~7のいずれか一項に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瞬低や停電や電力供給のピークなどに対応して安定的に電力を供給できる電源システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電源システムとしては、商用電力系統に連系されて負荷に電力を供給する分散型電源システムと、ネットワークを介してこの分散型電源システムとデータ通信可能に接続され、分散型電源システムの機器の状態等を遠隔で監視しまた制御するためのサーバ装置とを備えるものが知られている。例えば特許文献1には、商用電源の切断状況や蓄電池の残容量に関する情報を、通信ネットワークを介して遠隔地に設置した制御局で取得し、蓄電池の枯渇状況や枯渇予測時間を把握するようにした蓄電池監視装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上記したような、分散型電源システムの状態をサーバ装置で遠隔で監視する電源システムでは、データ通信に異常が生じると、サーバ装置において分散型電源システムの状態の監視ができなくなり、蓄電池の残容量や発電機の残容量等を把握できなくなってしまう。このような状態で、分散型電源システムにおいて電圧補償動作やピークカット動作を行うと、蓄電池の残容量不足等に起因して事故が起こる可能性がある。そのため、このような電源システムにおいてデータ通信の異常を速やかに検出することが求められている。
【0005】
そこで本発明は、サーバ装置と分散型電源システムとがネットワークを介してデータ通信可能に接続されている電源システムにおいて、そのデータ通信の異常を速やかに検出できるようにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る電源システムは、商用電力系統に連系され、負荷に電力を供給する分散型電源システムと、前記分散型電源システムとの間でネットワークを介してデータ通信をし、前記分散型電源システムの状態を監視するサーバ装置と、前記分散型電源システムと前記サーバ装置との間のデータ通信のタイムラグを計測するタイムラグ計測機構とを有し、前記タイムラグ計測機構が、前記分散型電源システム側又は前記サーバ装置側の一方に設けられ、時間をカウントするタイマーと、前記分散型電源システム側又は前記サーバ装置側の他方に設けられ、前記タイマーのカウント値をリセットさせるリセット信号を、前記ネットワークを介して所定の時間間隔で前記タイマーに送信するリセット信号送信部と、前記一方側に設けられ、前記タイマーのカウント値に基づいて前記データ通信の異常を検出する通信異常検出部とを有することを特徴とする。
【0007】
このような構成であれば、例えばサーバ装置側から所定の時間間隔で出力されるリセット信号を分散型電源システム側で受信し、分散型電源システム側で各リセット信号間のタイマーのカウント値を計測することで、ネットワークにおけるデータ通信のタイムラグを計測でき、これによりネットワークにおけるデータ通信の異常を速やかに検出することができる。すなわち、例えばデータ通信に遅延が生じている場合には計測したタイムラグが大きくなり、これによりデータ通信の異常を速やかに検出することができる。
【0008】
タイマーのカウント値に基づきデータ通信の遅延を検出できるようにするには、前記通信異常検出部が、前記カウント値と所定の第1閾値とを比較し、前記カウント値が前記第1閾値を超えた場合に、前記データ通信に遅延が生じていると判断するようにすればよい。
【0009】
タイマーのカウント値に基づきデータ通信の遮断を検出できるようにするには、前記通信異常検出部が、前記カウント値と、前記第1閾値よりも大きい所定の第2閾値とを比較し、前記カウント値が前記第2閾値を超えた場合に、前記データ通信が遮断されていると判断するようにすればよい。
【0010】
ネットワークにおいてデータ通信の異常が生じている場合であっても、サーバ装置側では分散型電源システムの状態を把握する必要がある。
そのため、前記通信異常検出部が前記データ通信の異常を検出した場合に、時刻に関する情報と、当該時刻における前記分散型電源システムの状態に関する情報とを含む状態報告メッセージを作成して前記サーバ装置に送信することが好ましい。
このようにすれば、分散型電源システムの状態に関する情報を、例えば電子メール等のデータ容量の小さいテキスト形式のメッセージ等で出力することで、データ通信に異常が生じている場合であってもサーバ装置側でこれを受信して監視しやすくできる。
【0011】
このようなデータ容量が小さいメッセージデータであれば、ネットワークにデータ通信の遅延が生じている場合であってもサーバ装置側でこれを受信することができる。
そのため、前記通信異常検出部が前記データ通信の遅延を検出した場合に、前記状態報告メッセージを、前記ネットワークを介して前記サーバ装置に送信することが好ましい。
【0012】
一方、ネットワークにおけるデータ通信の遮断が生じている場合には、データ容量の小さいメッセージデータであっても、これをネットワークを介して送信することができない。
前記通信異常検出部が前記データ通信の遮断を検出した場合に、前記状態報告メッセージを、前記ネットワークとは異なる予備ネットワークを介して前記サーバ装置に送信することが好ましい。
【0013】
前記状態報告メッセージの具体的態様として、前記分散型電源システムの状態に関する情報として、前記分散型電源システムが有する蓄電装置のSOCを含むものが挙げられる。
【0014】
前記サーバ装置が、前記状態報告メッセージを受信すると、前記分散型電源システムに対する制御命令に関する情報を含む制御命令メッセージを作成して前記電源システムに送信するように構成されているのが好ましい。
このようにすれば、サーバ装置から分散型電源システムへの制御命令を、データ容量が小さい例えば電子メール等のテキスト形式のメッセージデータで出力することで、ネットワークのデータ通信に異常が生じている場合でも、これを分散型電源システム側で受信しやすくできる。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば、サーバ装置と分散型電源システムとがネットワークを介してデータ通信可能に接続されている電源システムにおいて、そのデータ通信の異常を検出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態の電源システムの構成を示す模式図である。
【
図2】同実施形態の分散型電源システムの電圧補償動作を示す模式図である。
【
図3】同実施形態の分散型電源システムのピークカット動作を示す模式図である。
【
図4】同実施形態のセンサ部の使用状態の一例を示す模式図である。
【
図5】発電機の稼働状態の違いによる排気流成分の比率の変化を示すグラフである。
【
図6】同実施形態の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】同実施形態の制御装置の構成を示す模式図である。
【
図8】同実施形態の電源システムのデータ通信機能の構成を示すブロック図である。
【
図9】同実施形態のタイムラグ計測機構によるタイムラグ計測を説明する図である。
【
図10】同実施形態のタイムラグ計測機構による通信異常の検出を説明する図である。
【
図11】同実施形態の状態報告メッセージの一例を示す図である。
【
図12】同実施形態の制御命令メッセージの一例を示す図である。
【
図13】同実施形態の命令リストの一例を示す図である。
【
図14】同実施形態の通信異常検出動作を示すフローチャートである。
【
図15】同実施形態の制御命令メッセージの読取動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る電源システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態の電源システム1は、
図1に示すように、商用電力系統200から給電される負荷301と当該負荷301に給電する発電機302とを有する需要家設備300に配置される分散型電源システム100と、分散型電源システム100との間でネットワークを介してデータ通信を行い、分散型電源システム100の状態を監視するとともに、これを遠隔制御するサーバ装置400とを備えるものである。この分散型電源システム100は、需要家設備300に既設の発電機302とともに商用電力系統200の電圧異常を補償する電圧補償動作と、商用電力系統200に対する需要家設備300の消費電力を抑制するピークカット動作とを行うように構成されている。
【0019】
なお、本明細書における発電機302とは、例えば補給可能な燃料タンク等に収容された液体、気体、或いは固体の燃料を燃焼させて発電するものである。かかる発電機302としては、例えばディーゼルエンジンなどを原動機として用いられたものを挙げることができ、この実施形態では、商用電力系統200の瞬低や停電時に用いられる非常用発電装置を構成するものである。
【0020】
<基本構成>
具体的に分散型電源システム100は、例えば蓄電池等の蓄電装置2と、蓄電装置2の直流電力を交流電力に変換して負荷301に供給する例えば双方向型の電力変換装置3と、発電機302及び電力変換装置3を制御して電圧補償動作及びピークカット動作を行わせる制御装置4とを備えている。
【0021】
以下に制御装置4の基本機能とともに分散型電源システム100の動作について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
【0022】
<電圧補償動作:
図2参照>
商用電力系統200側の系統電圧が整定値以下となった場合、又は電圧補償動作を開始する制御命令をサーバ装置400から受信した場合、制御装置4の動作制御部41は、電力変換装置3を起動して蓄電装置2の直流電力を交流電力に変換して負荷301に供給する。
【0023】
また、動作制御部41は、発電機302を起動させて、発電機302の出力電圧が安定した場合に、蓄電装置2に代えて発電機302からの交流電力を負荷301に供給する。この切り替えの前において動作制御部41は、電力変換装置3を制御して、電力変換装置3から出力される交流電力を発電機302から出力される交流電力と同期させる。
【0024】
蓄電装置2から発電機302に切り替えた後、動作制御部41は、電力変換装置3を制御して発電機302からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置2に充電する。
【0025】
商用電力系統側の系統電圧が正常に戻った場合、又は電圧補償動作を停止する制御命令をサーバ装置400から受信した場合、動作制御部41は、電力変換装置3を制御して蓄電装置2の直流電力を交流電力に変換して負荷301に供給する。この時、発電機302は無負荷運転となる。
【0026】
そして、動作制御部41は、電力変換装置3を制御して、電力変換装置3から出力される交流電力を商用電力系統200からの交流電力と同期させる。
【0027】
その後、動作制御部41は、発電機302を停止させるとともに電力変換装置3を停止させる。これにより、負荷301には商用電力系統200から交流電力が供給される。
【0028】
<ピークカット動作:
図3参照>
電力需要のピーク時間帯に所定の稼働条件を満たす場合、又はピークカット動作を開始する制御命令をサーバ装置400から受信した場合、制御装置4の動作制御部41は、電力変換装置3を起動して蓄電装置2の直流電力を交流電力に変換して負荷301に供給する。
【0029】
また、動作制御部41は、発電機302を起動させて、発電機302の出力電圧が安定した場合に、蓄電装置2に代えて発電機302からの交流電力を負荷301に供給する。この切り替えの前において動作制御部41は、電力変換装置3を制御して、電力変換装置3から出力される交流電力を発電機302から出力される交流電力と同期させる。
【0030】
蓄電装置2から発電機302に切り替えた後、動作制御部41は、電力変換装置3を制御して発電機302からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置2に充電する。
【0031】
ピークカット時間帯を経過した等のピークカットが不要となった場合、又はピークカット動作を停止する制御命令をサーバ装置400から受信した場合に、動作制御部41は、電力変換装置3を制御して蓄電装置2の直流電力を交流電力に変換して負荷301に供給する。この時、発電機302は無負荷運転となる。
【0032】
そして、動作制御部41は、電力変換装置3を制御して、電力変換装置3から出力される交流電力を商用電力系統200からの交流電力と同期させる。
【0033】
その後、動作制御部41は、発電機302を停止させるとともに電力変換装置3を停止させる。これにより、負荷301には商用電力系統200から交流電力が供給される。
【0034】
<発電機302の燃料残量検出>
次に、本実施形態の分散型電源システム100における発電機302の燃料残量の検出機能の一例を説明する。本実施形態の分散型電源システム100は、
図1及び
図4に示すように、発電機から排出される排ガスの情報である排気情報を測定するセンサ部5と、その排気情報に基づいて発電機の燃料残量を算出する燃料残量算出部42とをさらに備えている。なお、ここでの燃料残量算出部42は、制御装置4によりその機能が発揮されるものであるが、制御装置4とは別のコンピュータ等により発揮されるものであっても良い。また、制御装置4としては、発電機302の出力電圧や発電機302の出力電流を用いて発電機302の状態分析を行う装置分析部(不図示)としての機能をさらに備えていても良い。
【0035】
センサ部5は、
図4に示すように、例えば発電機302を構成する原動機Xの排気口X1から直接或いは配管部材等を介して排ガスが導かれるものである。
【0036】
このセンサ部5は、排ガスの温度測定、排ガスに含まれる気体成分の定性分析や気体成分の濃度等の定量分析、或いは、排ガスに含まれる排気粒子成分の定性分析や排気粒子排出量(質量や個数)等の定量分析をするものである。なお、センサ部5としては、これらの種々の分析のうちの複数を行うものを用いても良いし、複数種類のセンサ部5を設けて種々の分析を行うようにしても良い。これにより、センサ部5は、排ガスの温度、気体成分、気体成分濃度、排気粒子成分、又は排気粒子排出量の少なくとも1つを排気情報として測定する。
【0037】
燃料残量算出部42は、センサ部5により測定された排気情報を取得するとともに、該排気情報に基づいて発電機302の燃料消費量や燃料残量などを算出するものである。
【0038】
以下では、燃料残量算出部42の一例として、例えばベンゾピレン(BaP)や一酸化窒素(NO)などの排気粒子の排出量に基づいて燃料消費量や燃料材料を算出するものについて説明する。
【0039】
この燃料残量算出部42は、例えば制御装置4のメモリに記憶された所定の算出式やルックアップテーブル等を用いて燃料消費量などを算出するように構成されており、この実施形態では下記の式(1)を用いるものである。すなわち、本実施形態の燃料残量算出部42は、排気粒子の排出量Gnoを原動機の稼働時間tで積分し、その積算値に所定の稼働特性係数Sを掛け合わせることで、燃料消費量Qcを算出するように構成されている。
Qc=S×∫Gno・dt・・・(1)
【0040】
ここで、
図5に示すように、発電機302の稼働状態、すなわち原動機Xの稼働状態に応じて排気粒子(例えばBaP及びNO)の成分比率が変動する。そこで、本実施形態では、燃料残量算出部42は、上述した稼働特性係数Sを、発電機302に関するパラメータを用いて補正する補正部としての機能をさらに発揮する。
【0041】
発電機302に関するパラメータとしては、例えば原動機Xの稼働状態を挙げることができる。具体的には、原動機Xの稼働状態が「起動」、「軽負荷運転」、「重負荷運転」、及び「停止」の4つの稼働状態に区別される場合、燃料残量算出部42は、原動機Xの稼働状態を示す稼働状態信号(例えば発電機302からの出力電圧や出力電流など)を取得するとともに、それぞれの稼働状態に応じて上述した式(1)の稼働特性係数を補正する。補正後の稼働特性係数(以下、S起動、S軽負荷、S重負荷、S停止とする)は互いに異なる値であり、例えば、補正前の稼働特性係数Sにそれぞれの稼働状態に応じた所定の補正値を四則演算等して求められるものである。
【0042】
これにより、本実施形態の燃料残量算出部42は、上述したように区別された稼働状態それぞれに応じて補正した補正後の稼働特性係数S起動、S軽負荷、S重負荷、S停止を用いて、下記の式(2)により燃料消費量Qcを算出する。すなわち、燃料残量算出部42は、排気粒子の排出量Gnoを稼働状態毎に稼働時間tで積分し、その積算値に補正後の稼働特性係数S起動、S軽負荷、S重負荷、S停止を掛け合わせ、それらを各稼働状態に亘って合算したものを燃料消費量Qcとして算出する。
Qc=S起動×∫起動Gno・dt+S軽負荷×∫軽負荷Gno・dt+S重負荷×∫重負荷Gno・dt+S停止×∫停止Gno・dt・・・(2)
なお、稼働状態は必ずしも4つに区別される必要はなく、より多い又はより少ない稼働状態に区別して、それぞれの稼働状態に応じて稼働特性係数を補正しても良い。
【0043】
そして、燃料残量算出部42は、下記の式(3)を用いて、燃料初期量Qsから上述した燃料消費量Qcを差し引くことで、燃料残量Qeを算出する。
Qe=Qs-Qc・・・(3)
【0044】
このように構成された制御装置4のより具体的な動作について、
図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
まず、制御装置4は、本分散型電源システム100が所定の稼働条件を満たすか否か、すなわち上述した電圧補償動作或いはピークカット動作を開始するか否か判断する(S11)。
【0046】
所定の稼働条件を満たし、電圧補償動作或いはピークカット動作を開始する場合、動作制御部41は、電力変換装置3を介して、蓄電装置2を動作させて、電力を負荷301に出力する(S12)。
【0047】
その後、制御装置4は、発電機302の状態を分析して発電機302が正常であるか否かを判断し(S13)、正常であると判断した場合、発電機302を起動させて、蓄電装置2に代わって発電機302から電力を負荷301に供給する(S14)。なお、発電機302が正常であるか否かの判断としては、例えば発電機302からの出力電圧と出力電流との一方又は両方に基づいて判断する態様を挙げることができる。
【0048】
そして、発電機302が稼働すると、発電機302からの排ガスがセンサ部5に導かれ、センサ部5は、上述したように種々の排気情報の1又は複数を例えばリアルタイムに測定する(S15)。
【0049】
センサ部5により測定された排気情報は、
図7に示すように、例えば発電機302の出力電圧や出力電流とともに、制御装置4の入力インターフェースを介して、該制御装置4に入力される。なお、この実施形態の制御装置4は、入力された出力電圧、出力電流、排気情報の1又は複数を用いて原動機Xの状態(例えば正常か異常かなど)を識別するようにしてある(S
16)。
【0050】
次いで、センサ部5から入力された排気情報に基づき、燃料残量算出部42が、燃料消費量を算出し、燃料の初期量から燃料消費量を差し引くことで燃料残量を例えばリアルタイムに算出する(S
17)。なお、燃料消費量の算出方法の一例は上述した通りであり、ここでは詳細な説明を省略する。また、この実施形態の制御装置4は、
図7に示すように、燃料残量算出部42が算出した燃料消費量や燃料残量を記憶部43に記憶するとともに、これらの情報に基づく種々の制御信号を出力インターフェースを介して出力する。
【0051】
燃料残量算出部42は、燃料残量を算出した後、その燃料残量と所定の補充喚起値とを比較する(S18)。そして、燃料残量が補充喚起値を下回った場合には、そのことを示す報知信号を生成して、例えば携帯端末、タブレット、スマートホン、ラップトップなどのユーザ端末6に送信する(S19)。報知信号を取得したユーザ端末6は、警告メッセージや警告音を発する。これにより、ユーザは、燃料を補充するタイミングであることを知ることができる。
【0052】
本実施形態の燃料残量算出部42は、上述したS19における報知後に、算出した燃料残量と、上述した補充喚起値よりも低量の警戒値とを比較する(S110)。
【0053】
S110において、燃料残量が警戒値以上であると判断した場合、商用電力系統200が正常状態に戻ったか否か、言い換えれば所定の回復条件を満たすか否かを判断する(S111)。
【0054】
S111において、商用電力系統200が正常状態に戻っていないと判断した場合、引き続き発電機302を稼働した状態を維持しながらS15~S111までの動作を繰り返す。
【0055】
一方、S111において、商用電力系統200が正常状態に戻ったと判断し場合、制御装置4は、発電機302を停止し(S112)、蓄電装置2を停止する(S113)。
【0056】
また、S110において、燃料残量が警戒値を以上にない場合、すなわち燃料残量が警戒値を下回っている場合には、本分散型電源システム100がピークカット動作を行っているか否かを判断する(S114)。
【0057】
S114において、ピークカット動作が行われていると判断した場合、制御装置4は、発電機302を停止して(S112)、蓄電装置2を停止する(S113)。
【0058】
一方、S114において、ピークカット動作を行っていない場合、すなわち電圧補償動作を行っている場合は、S111における判断、すなわち商用電力系統200が正常状態に戻ったか否かを判断する。
【0059】
次に、分散型電源システム100とサーバ装置400との間のデータ通信機能について説明する。
【0060】
<遠隔監視及び制御>
図8に示すように、分散型電源システム100とサーバ装置400とは、データを送受信するための送受信部44、420としての機能をそれぞれ備えている。そして、分散型電源システム100とサーバ装置400は、インターネット等のネットワークINT1と、サーバ装置400側のローカルネットワークLANとを介して互いにデータ送受信できるように構成されている。具体的にサーバ装置400は、分散型電源システム100に関する各種情報(例えば、動作モード(正常時動作、電圧補償動作、ピークカット動作)に関する情報、蓄電装置2の運転状態やSOC(State Of Charge, 充電状態)に関する情報、発電機302の運転状態や燃料残量に関する情報等)を、ネットワークINT1を介して分散型電源システム100から取得する。そしてサーバ装置400は、分散型電源システム100に対する制御信号を、ネットワークINT1を介して分散型電源システム100に出力する。
【0061】
(遠隔監視動作)
分散型電源システム100の制御装置4の送受信部44は、分散型電源システム100に関する上記した各種情報を動作制御部41から取得し、この情報をネットワークINT1及びローカルエリアネットワークLANを介してサーバ装置400にリアルタイムで連続的に送信する。サーバ装置400の送受信部420は、分散型電源システム100から受信した情報を、例えばパソコン、タブレット、スマートホン等のHMI(ヒューマンインターフェース)430に出力する。このHMI430は、分散型電源システム100の情報をディスプレイ等に表示し、サーバ装置400側の担当者がこれを確認する。
【0062】
(遠隔制御動作)
サーバ装置400側の担当者は、HMI430を用いて、分散型電源システム100に対する制御命令(電圧補償動作の開始・停止、ピークカット動作の開始・停止等)をサーバ側制御部410に入力する。送受信部420は、入力された制御命令を、ネットワークINT1及びローカルネットワークLANを介して分散型電源システム100に送信する。分散型電源システム100の送受信部44は、この制御命令を受信して動作制御部41に出力する。動作制御部41はこの制御命令に基づいて、分散型電源システム100の各種機器を動作させる。
【0063】
<タイムラグ計測:
図9参照>
この電源システム1は、サーバ装置400と分散型電源システム100との間のデータ通信のタイムラグを計測するためのタイムラグ計測機構を備えている。このタイムラグ計測機構は、分散型電源システム100に設けられた、時間をカウントするタイマー510と、サーバ装置400に設けられ、タイマー510のカウント値をリセットするリセット信号を所定の時間間隔でタイマー510に送信するリセット信号送信部520と、分散型電源システム100に設けられ、タイマー510のカウント値に基づいてデータ通信のタイムラグを計測するタイムラグ計測部530とを備えている。
【0064】
タイマー510は、所定のタイミングからの経過時間をカウントするように構成されたものであり、具体的には
図9に示すように、リセット信号を受信したタイミングからの経過時間T
lagをカウントするように構成されている。タイマー510は、リセット信号を受信するとそれまでの経過時間T
lag(すなわちカウント値)をリセットし、この時点からの経過時間T
lagを再び0からカウントするように構成されている。タイムラグ計測部530は、一定の時間間隔T
0でリセット信号を出力し続けるように構成されている。そしてタイムラグ計測部530は、下記の式(4)に基づいて、タイマー510がカウントした経過時間T
lagとリセット信号の時間間隔T
0との差から、データ通信のタイムラグT
lag1を計測する。
T
lag1=T
lag-T
0・・・(4)
【0065】
<通信異常の検出:
図10参照>
このタイムラグ計測機構では、タイムラグ計測部530は、サーバ装置400と分散型電源システム100との間のデータ通信の異常(通信遅延及び通信遮断)を検出する通信異常検出部としても機能する。以下に、データ通信の異常検出機能と、データ通信の異常時における電源システム1の動作を説明する。
【0066】
(通信遅延の検出)
まず通信遅延の検出動作について説明する。
具体的にこのタイムラグ計測部530は、タイマー510がカウントした経過時間T
lagと、所定の第1閾値T
lagmax0及び第1閾値T
lagmax0より大きい第2閾値T
lagmax1とを比較する。そしてタイムラグ計測部530は、
図10に示すように、経過時間T
lagが第1閾値T
lagmax0より大きく、且つ第2閾値T
lagmax1以下である場合に、ネットワークINT1を介したデータ通信に遅延が生じていると判定する。そしてタイムラグ計測部530は、データ通信の遅延が生じている旨を示す信号を出力する。
【0067】
この場合制御装置4は、分散型電源システム100の状態に関する情報を記載した状態報告メッセージを自動的に作成し、ネットワークINT1及びローカルネットワークLANを介してサーバ装置400に送信する。この状態報告メッセージは、
図11に例示するように、時刻と、当該時刻における分散型電源システム100の状態に関する情報(例えば、蓄電装置2のSOC(%)、発電機302の燃料残量(%)、分散型電源システム100の動作モード、負荷(w)、タイムラグ(秒)等)とをテキスト形式で含むものである。送受信部44は、この状態報告メッセージを、例えば電子メール、SMS(ショートメッセージ)、チャット、メッセンジャー等の手段により送信する。
【0068】
そして、サーバ側制御部410は、受信した状態報告メッセージの読取処理を行い、その内容をHMI430のディスプレイに表示する。これを見たサーバ装置400側の担当者は、HMI430を用いて、分散型電源システム100に対する制御命令をサーバ側制御部410に入力する。サーバ側制御部410は、この入力された制御命令に関する情報を含む制御命令メッセージを作成し、これをネットワークINT1及びローカルネットワークLANを介して分散型電源システム100に送信する。この制御命令メッセージは、
図12に例示するように、時刻と、当該時刻における命令内容(待機、電圧補償動作の開始・停止、ピークカット動作の開始・停止等)に関する情報とをテキスト形式で含むものである。送受信部420は、この制御命令メッセージを、例えば電子メール、SMS(ショートメッセージ)、チャット、メッセンジャー等の手段により送信する。
【0069】
分散型電源システム100の動作制御部41は、受信した制御命令メッセージの読取処理を行う。具体的に動作制御部41は、文字認識等の手段により制御命令メッセージに記載されている命令内容を認識し、当該認識した命令内容が、
図13に例示するような、予め記憶している命令リストに列挙されている命令内容と一致するかを判断する。そして動作制御部41は、命令内容が一致する場合、制御命令メッセージに記載されている時刻を認識し、当該認識した時刻に、命令内容に基づいて各機器を動作させる。
【0070】
(通信遮断の検出)
次に通信遮断の検出動作について説明する。
タイムラグ計測部530は、タイマー510がカウントした経過時間T
lagと、第1閾値T
lagmax0及び第2閾値T
lagmax1とを比較する。そして
図10に示すように、タイムラグ計測部530は、経過時間T
lagが第2閾値T
lagmax1を超える場合に、ネットワークINT1を介したデータ通信が遮断されていると判定する。そしてタイムラグ計測部530は、データ通信の遮断が生じている旨を示す信号を出力する。
【0071】
この場合制御装置4は、上記した状態報告メッセージを自動的に作成し、当該状態報告メッセージを、
図8に示すようにネットワークINT1とは異なる別のネットワーク(予備ネットワークという)INT2とローカルネットワークLANを介してサーバ装置400に送信する。この予備ネットワークINT2は、例えば、携帯キャリアが保有するネットワーク回線等である。
【0072】
具体的にまず送受信部44は、状態報告メッセージを、予備ネットワークINT2を介して所定の担当者の携帯端末やスマートホン等の携帯端末440に送信する。担当者は、当該携帯端末440を用いて、サーバ装置400側のアクセスポイントAP及びローカルネットワークLANを介して、受信した状態報告メッセージをサーバ装置400に送信(転送)する。
【0073】
状態報告メッセージを受信したサーバ装置400は、通信遅延時と同様に制御命令メッセージを作成し、当該メッセージをローカルネットワークLAN及び予備ネットワークINT2を介して、分散型電源システム100に送信する。具体的には、送受信部420は、ローカルネットワークLAN及びアクセスポイントAPを介して、制御命令メッセージを携帯端末440に送信する。担当者は、当該携帯端末440を用いて、予備ネットワークINT2を介して、受信した制御命令メッセージを分散型電源システム100に送信(転送)する。制御命令メッセージを受信した分散型電源システム100は、通信遅延時と同様の動作を行う。
【0074】
このように構成された電源システム1の通信異常検出のより具体的な動作について、
図14のフローチャートを参照しながら説明する。
【0075】
まず、制御装置4のタイムラグ計測部530は、リセット信号を受信したタイミングからの経過時間Tlagが第1閾値Tlagmax0を超えるか否かを判断する(S21)。
【0076】
経過時間Tlagが第1閾値Tlagmax0を超える場合、ネットワークINTI1においてデータ遅延が生じていると判断され、送受信部44は、ネットワークINT1及びローカルネットワークLANを介して状態報告メールをサーバ装置400に送信する(S22)。
【0077】
次にタイムラグ計測部530は、経過時間Tlagが第2閾値Tlagmax1を超えるか否かを判断する(S23)。
【0078】
経過時間Tlagが第2閾値Tlagmax1を超える場合、ネットワークINT1においてデータ通信の遮断が生じている判断され、送受信部44は、予備ネットワークINT2を介して、状態報告メールを担当者の携帯端末440に送信する(S24)。担当者は、携帯端末440を用いて、アクセスポイントAP及びローカルネットワークLANを介して、状態報告メールをサーバ装置400に送信する。
【0079】
所定の稼働条件を満たし、電圧補償動作或いはピークカット動作を開始する場合、動作制御部41は、電力変換装置3を介して、蓄電装置2を動作させて、電力を負荷301に出力する(S12)。
【0080】
その後、状態報告メールを受けたサーバ装置400から制御命令メッセージが送信される。分散型電源システム100の制御装置4において制御命令メッセージの読取処理が行われ、その命令に従い各機器が動作する(S25)。
【0081】
タイムラグ計測部530は、経過時間Tlagが第1閾値Tlagmax0を下回っているか否かを判断する(S26)。下回っていると判断すると、状態報告メールの作成及び送信を停止し、通常の動作を行う。
【0082】
次に分散型電源システム100の制御命令メッセージの読取りのより具体的な動作について、
図15のフローチャートを参照しながら説明する。
【0083】
まず、サーバ装置400から制御命令メッセージを受信すると、動作制御部41は当該メッセージの読み取りを行う(S31)。具体的に動作制御部41は、制御命令メッセージに記載されている命令内容を文字認識により認識し(S32)、命令リストにある命令内容と一致するか否かを判断する(S33)。認識した命令内容が、命令リストにある命令内容と一致する場合、動作制御部41は、制御命令メッセージに記載されている動作時刻を文字認識により認識する(S34)。そして、当該動作時刻に、認識した命令内容に従って各機器を動作させる(S35)。
【0084】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の電源システム1によれば、例えばサーバ装置400側から一定の時間間隔で出力されるリセット信号を分散型電源システム100側で受信し、分散型電源システム100側で各リセット信号間のタイマー510のカウント値を計測することで、ネットワークINT1におけるデータ通信のタイムラグを計測でき、これによりネットワークINT1におけるデータ通信の異常を検出することができる。すなわち、例えばデータ通信に遅延が生じている場合には計測したタイムラグが大きくなり、これによりデータ通信の異常を検出することができる。
【0085】
またタイムラグ計測部(通信異常検出部)530がデータ通信の遅延を検出した場合に、時刻に関する情報と、当該時刻における分散型電源システム100の状態に関する情報とをテキスト形式で記載した状態報告メッセージを作成し、これをネットワークINT1を介してサーバ装置400に送信するようにしているので、データ通信の遅延が生じてもサーバ装置400側において分散型電源システム100の状態を把握し、また制御命令を送ることができる。
【0086】
また、タイムラグ計測部(通信異常検出部)530がデータ通信の遮断を検出した場合に、状態報告メッセージを、ネットワークINT1とは異なる予備ネットワークINT2を介してサーバ装置400に送信するようにしているので、ネットワークINT1においてデータ通信の遮断が生じても、サーバ装置400側において分散型電源システム100の状態を把握し、また制御命令を送ることができる。
【0087】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0088】
例えば他の実施形態のライムラグ計測機構は、タイマー510とタイムラグ計測部530がサーバ装置400側に設けられ、リセット信号送信部520が分散型電源システム側に設けられてもよい。
【0089】
また前記実施形態の電源システム1は、1つの予備ネットワークINT2だけを備えるものであったがこれにかぎらない。他の実施形態では、電源システム1は、有線、無線又は電力線を使用した複数の予備ネットワークINT2を備えていてもよい。
【0090】
前記実施形態では、データ通信の遮断時には、状態報告メールを携帯端末440に送信し、これをサーバ装置400に転送し、サーバ装置400から制御命令メッセージを出力するようにしていたが、これに限らない。他の実施形態では、携帯端末440からサーバ装置400に状態報告メールを転送することなく、携帯端末440を持つ担当者が制御命令メッセージを作成して、これを分散型電源システム100に送信(返信)するようにしてもよい。
【0091】
また、データ通信の異常検出時に分散型電源システム100から出力される状態報告メッセージは、前記した電子メール等の手段に限らない。例えば、FAX、音声メッセージ、音声電話、モールス信号の手段により出力されてよい。制御命令メッセージについても同様である。
【0092】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0093】
1 ・・・電源システム
100・・・分散型電源システム
200・・・商用電力系統
301・・・負荷
400・・・サーバ装置
510・・・タイマー
520・・・リセット信号送信部
530・・・タイムラグ計測部(通信異常検出部)
INT・・・ネットワーク