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特開2022-68533排水ソケット及び排水ソケットの設置方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068533
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】排水ソケット及び排水ソケットの設置方法
(51)【国際特許分類】
   E03D 11/16 20060101AFI20220427BHJP
   E03D 11/14 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
E03D11/16
E03D11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177272
(22)【出願日】2020-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】横塚 裕也
(72)【発明者】
【氏名】神谷 昭範
【テーマコード(参考)】
2D039
【Fターム(参考)】
2D039AA02
2D039AD02
2D039CA01
2D039CA04
2D039CA05
2D039CB02
(57)【要約】
【課題】対応できる排水距離を調整可能であるとともに誤組み付けを抑制できる排水ソケットを提供する。
【解決手段】便器16に接続される便器接続部38と、後方斜め下向きに延びる第1アジャスタ管部34と、を有する第1ソケット管28と、第1アジャスタ管部34が接続される管受け部44と、トイレ室に設置される排水管10に接続される第2アジャスタ管部46と、を有する第2ソケット管30と、を備える排水ソケット12である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に接続される便器接続部と、下流側かつ後方に向かうにつれて前後方向に対して斜めに延びる第1アジャスタ管部と、を有する第1ソケット管と、
前記第1アジャスタ管部が接続される管受け部と、トイレ室に設置される排水管に接続される第2アジャスタ管部と、を有する第2ソケット管と、を備える排水ソケット。
【請求項2】
前記管受け部は、前記第2アジャスタ管部の上流側端部に設けられる請求項1に記載の排水ソケット。
【請求項3】
前記管受け部は、前記第1アジャスタ管部の開口端部が挿入される挿入室を備える請求項1から2のいずれか1項に記載の排水ソケット。
【請求項4】
前記管受け部は、前記第2アジャスタ管部の上流側端部に設けられ、
前記挿入室の一部は、前記第2アジャスタ管部の内周面に対して、前記第2アジャスタ管部の中心軸線を挟んで前記便器接続部とは反対側に凹むように形成される請求項3に記載の排水ソケット。
【請求項5】
前記管受け部の周壁部は、前記第2アジャスタ管部の内側に配置される内側部分と、前記第2アジャスタ管部の外側に配置される外側部分と、を備え、
前記第1アジャスタ管部の管軸方向での前記外側部分の寸法は、前記管軸方向での前記内側部分の寸法よりも短い請求項3から4のいずれか1項に記載の排水ソケット。
【請求項6】
前記第2ソケット管は、前記第1ソケット管に対する姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間で変更可能であり、前記第1姿勢にあるとき、壁排水仕様の前記排水管に接続可能となり、前記第2姿勢にあるとき、床排水仕様の前記排水管に接続可能となる請求項1から5のいずれか1項に記載の排水ソケット。
【請求項7】
前記第1アジャスタ管部は、下流側かつ後方に向かうに連れて前後方向に対して斜め下向きに延びる請求項1から6のいずれか1項に記載の排水ソケット。
【請求項8】
前記第1アジャスタ管部は、下流側かつ後方に向うに連れて前後方向に対して斜め横向きに延びる請求項1から6のいずれか1項に記載の排水ソケット。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の排水ソケットの設置方法であって、
前記排水管が壁排水仕様の場合、上下方向及び左右方向の何れかを特定方向とし、前記排水管が床排水仕様の場合、前後方向を特定方向とし、前記排水管の上流端開口部の中心軸線に沿った方向を接続方向というとき、
前記排水管に対する前記排水ソケットの前記特定方向での位置が合うように、前記第1アジャスタ管部を切断することで前記第1アジャスタ管部の長さを調整し、
前記排水管に対する前記排水ソケットの前記接続方向での位置が合うように、前記第2アジャスタ管部を切断することで前記第2アジャスタ管部の長さを調整する排水ソケットの設置方法。
【請求項10】
請求項6に記載の排水ソケットを用い、
前記第1姿勢及び前記第2姿勢の中から、前記排水管の排水仕様に応じた姿勢で、前記第1ソケット管と前記第2ソケット管を固定する請求項9に記載の排水ソケットの設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排水ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ室には汚物を下水設備に排出するための排水管が設置される。この排水管の排水距離(後述する)は現場毎に変化する。壁排水仕様の場合、排水距離として排水高さ等が変化し、床排水仕様の場合、排水距離として排水芯が変化する。
【0003】
特許文献1は、対応できる排水高さを調整できる排水ソケットを開示する。この排水ソケットは、便器に接続される第1ソケット管と、排水管に接続される第2ソケット管とを備える。第2ソケット管は、第1ソケット管に接続される第1アジャスタ管部と、排水管に接続される第2アジャスタ管部とを備える。この排水ソケットは、排水距離に応じて各アジャスタ管部を切断し、それらの長さを調整することで、対応できる排水高さを調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第95/27833号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1の開示技術の検討を進めた結果、次の新たな認識を得るに至った。特許文献1の排水ソケットでは、共通の第2ソケット管に第1、第2アジャスタ管部が設けられる。よって、第1、第2アジャスタ管部の切断後の長さが近くなるほど、第1、第2アジャスタ管部を外観上区別し難くなる。これに起因して、第2アジャスタ管部ではなく第1アジャスタ管部を排水管に誤って組み付ける誤組み付けが生じ得る。この場合、第2ソケット管の内部水路の構造によっては所期の排出性能を得られない恐れがあるため、その改善が望まれる。
【0006】
本開示の目的の1つは、対応できる排水距離を調整可能であるとともに誤組み付けを抑制できる排水ソケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の排水ソケットは、便器に接続される便器接続部と、下流側かつ後方に向かうにつれて前後方向に対して斜めに延びる第1アジャスタ管部と、を有する第1ソケット管と、前記第1アジャスタ管部が接続される管受け部と、トイレ室に設置される排水管に接続される第2アジャスタ管部と、を有する第2ソケット管と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の便器装置の側面断面図である。
図2図1の拡大図である。
図3】第1実施形態の排水ソケットを示す側面図である。
図4】第1実施形態の排水ソケットを示す側面断面図である。
図5図4のA-A断面図である。
図6】第1姿勢と第2姿勢に関する説明図である。
図7】第1実施形態の排水ソケットによって対応できる排水距離の説明図である。
図8】第1実施形態の便器の設置方法を示すフローチャートである。
図9】第1実施形態における第1アジャスタ管部の切断位置に関する説明図である。
図10】第1実施形態における必要ソケット長さに関する説明図である。
図11】第1実施形態における中心間距離に関する説明図である。
図12】第1実施形態における挿入深さに関する説明図である。
図13】第1実施形態における便器の配置途中の状態を示す図である。
図14】斜め接続構造の排水ソケットと直線接続構造の排水ソケットを模式的に示す図である。
図15】第2実施形態の便器装置を拡大した側面断面図である。
図16】第2実施形態における第1アジャスタ管部の切断位置に関する説明図である。
図17】第2実施形態における必要ソケット長さに関する説明図である。
図18】第2実施形態における中心間距離に関する説明図である。
図19】第2実施形態における挿入深さに関する説明図である。
図20】第2実施形態における便器の配置途中の状態を示す図である。
図21】第3実施形態における便器の配置途中の状態を示す図である。
図22】第4実施形態における排水ソケットを示す側面図である。
図23】第5実施形態の便器装置の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面では、説明の便宜のため、適宜、構成要素を省略、拡大、縮小する。図面は符号の向きに合わせて見るものとする。本明細書での「固定」、「接続」とは、特に明示がない限り、言及する条件を二者が直接的に満たす場合の他に、他の部材を介して満たす場合も含む。
【0010】
(第1実施形態)図1を参照する。以下、各構成要素の位置関係に関して、互いに直交する三つの方向を用いて説明する。この方向とは、前後方向X、左右方向(図示せず)及び上下方向Zである。便器をトイレ室に設置した状態にあるとき、理想的には、前後方向X及び左右方向は水平方向となり、上下方向Zは鉛直方向となる。前後方向X及び左右方向は、便器に搭載される便座(不図示)に通常の姿勢で座るユーザの前後左右と対応する。
【0011】
建物には排水管10が設置される。本実施形態の排水管10は、トイレ室の後壁部Waに設置される壁排水仕様である。排水管10の特定方向Daでの距離La(以下、排水距離という)は現場毎に変化する。壁排水仕様の排水管10の場合、本実施形態において、「排水距離」は排水高さをいい、「特定方向Da」は上下方向Zとなる。「排水高さ」とは、トイレ室の床Fから排水管10の上流端開口部10aの開口中心C1までの上下方向Zでの距離をいう。以下、排水管10の上流端開口部10aの中心軸線CL1に沿った方向を接続方向Dbという。
【0012】
排水ソケット12が用いられる便器装置14は、排水ソケット12の他に、便器16を備える。
【0013】
本実施形態の便器16は陶器を素材とする。便器16の素材は特に限定されず、例えば、樹脂、金属等でもよい。便器16は、汚物を受けるための便鉢部18と、便鉢部18の底部に接続される便器排水路20と、を備える。
【0014】
便器排水路20は、便鉢部18から排出される汚物の通り道となる。便器排水路20は、便器排水路20の下流側端部に設けられる筒状の被接続部20aと、封水Wを貯溜可能な封水貯溜部22と、を備える。本実施形態の被接続部20aは、下流側に向かうに連れて後方に直線状に延びている。封水Wは、便器排水路20内における流れ方向での気体の流れを遮断する。
【0015】
本実施形態の便器装置14は、便鉢部18の外周側に設けられる外周壁部24と、外周壁部24の内側に形成される空洞部26と、を備える。本実施形態の外周壁部24は、便器16の一部として便器16に設けられる。空洞部26は、空洞部26を後向きに開放する後側開口部26aと、空洞部26を下向きに開放する下側開口部26bとを備える。後側開口部26a及び下側開口部26bは、外周壁部24に開口する。後側開口部26aは、下向きに開放するように下側開口部26bに連続する。
【0016】
図2図5を参照する。図2では、設置後の排水ソケット12の状態を示し、図3図4では、設置前の排水ソケット12を分解した状態を示す。
【0017】
排水ソケット12は、便器16の便器排水路20と排水管10とを接続する。排水ソケット12は、便器排水路20に接続される第1ソケット管28と、排水管10に接続される第2ソケット管30とを備える。本実施形態において、各ソケット管28、30は硬質素材によって構成される。この硬質素材とは、例えば、非ゴム系樹脂、金属等である。ここでの非ゴム系樹脂とは、例えば、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリプロピレン等である。
【0018】
第1ソケット管28の内部には、便器16から排出される汚物の通り道となる第1内部水路29が形成される。第1ソケット管28は、第1ソケット管28において上流側に設けられる上流側管部32と、第1ソケット管28において下流側に設けられる第1アジャスタ管部34と、を備える。本実施形態の第1ソケット管28は、この他に、ボルトBによってトイレ室の後壁部Waに固定されるボルト固定部36を備える。
【0019】
上流側管部32は、上流側に向かうに連れて前方に向かって延びており、全体として直線状をなす。本実施形態の上流側管部32は、全体として水平に延びている。
【0020】
第1ソケット管28は、便器排水路20の被接続部20aに接続される筒状の便器接続部38を備える。便器接続部38は、上流側管部32の上流側端部、つまり、第1ソケット管28の上流側端部に設けられる。便器接続部38の内部には第1内部水路29の一部が形成される。便器接続部38は、その内側に便器排水路20の被接続部20aを挿入した状態で、第1シール部材40を介して、便器排水路20に水密に接続される。第1シール部材40は、ゴムパッキン等の弾性部材である。第1シール部材40は、第1ソケット管28に対して押さえ部材42によって固定される。
【0021】
第1アジャスタ管部34は、下流側かつ後方に向かうに連れて前後方向Xに対して斜めに延びており、全体として直線状をなす。本実施形態の第1アジャスタ管部34は、下流側に向かうに連れて前後方向Xに対して斜め下向きに延びている。第1アジャスタ管部34は、下流側に向かうに連れて上流側管部32を通る前後方向Xに沿った中心線Lcから遠ざかるように斜めに延びる。第1アジャスタ管部34は、下流側に向かうに連れて中心線Lcから遠ざかるように斜めに延びた後、その中心線Lcに近づくように斜め(本実施形態では斜め上向き)に延びない。第1アジャスタ管部34は、切断することで、その管軸方向Dcでの長さを調整可能である。
【0022】
第1ソケット管28は、上流側管部32の下流側端部から上流側管部32の径方向内側に延びる第1段部43を備える。第1アジャスタ管部34は、第1段部43を介して、上流側管部32に連続しており、その内部水路の入口は第1段部43の内面に開口している。
【0023】
第2ソケット管30の内部には汚物の通り道となる第2内部水路45が形成される。第2ソケット管30は、第1アジャスタ管部34が接続される管受け部44と、排水管10に接続される第2アジャスタ管部46と、を備える。
【0024】
管受け部44は、第2アジャスタ管部46の上流側端部46bに設けられる。管受け部44の内部には第2内部水路45の一部が形成される。管受け部44は、第1アジャスタ管部34の開口端部34aの外周側に配置される筒状の周壁部48と、第1アジャスタ管部34が突き当てられる第2段部50と、を備える。
【0025】
周壁部48は、第2アジャスタ管部46の内側に配置される内側部分48aと、第2アジャスタ管部46の外側に配置される外側部分48bと、を備える。内側部分48aは、第2アジャスタ管部46の上流側端面46cから第1アジャスタ管部34の下流端側に向けて(本実施形態では後方斜め下向き)延びている。外側部分48bは、第2アジャスタ管部46の外周面から突き出るように設けられる。第2段部50は、外側部分48bの下流側端部から第1アジャスタ管部34の径方向内側に延びている
【0026】
第1アジャスタ管部34の管軸方向Dcでの外側部分48bの寸法をL1という。管軸方向Dcでの内側部分48aの寸法をL2という。このとき、外側部分48bの寸法L1は、内側部分48aの寸法L2よりも短くなる。外側部分48bの寸法L1は、管受け部44の周方向での全範囲において同等の大きさである。内側部分48aの寸法L2は、内側部分48aと外側部分48bとの境界48cから周方向に遠ざかるに連れて大きくなる。外側部分48bの寸法L1は、その周方向位置によらず、内側部分48aの寸法L2よりも短くなることになる。
【0027】
管受け部44は、第1アジャスタ管部34の開口端部34aが挿入される挿入室52を備える。挿入室52は、管受け部44の周壁部48及び第2段部50によって形成される。挿入室52は、第1アジャスタ管部34の開口端部34aが挿入される挿入口54を備える。挿入口54は、第2アジャスタ管部46の上流側端面46cに開口する第1開口部54aと、周壁部48の外側部分48bに開口する第2開口部54bとを備える。
【0028】
挿入室52の一部52aは、第2アジャスタ管部46の内周面に対して、第2アジャスタ管部46の中心軸線CL2を挟んで便器接続部38とは反対側(本実施形態では下側)に凹むように形成される。挿入室52の一部52aは、第2アジャスタ管部46の内周面を管軸方向Ddに延長した延長線Leに対して、第2アジャスタ管部46の中心軸線CL2を挟んで便器接続部38とは反対側に凹むように設けられるとも捉えることができる。挿入室52の一部52aは、管受け部44の周壁部48と第2段部50のなす内隅部に設けられる。
【0029】
管受け部44と第1アジャスタ管部34は、接着剤、凹凸嵌合等を用いて固定される。第2ソケット管30は、第1ソケット管28に対して固定されることになる。本実施形態では、管受け部44の周壁部48の内周面と、第1アジャスタ管部34の外周面とを接着する接着剤が用いられる。
【0030】
第2アジャスタ管部46は、直線状に延びており、本実施形態では水平に配置される。第2アジャスタ管部46は、切断することで、その管軸方向Ddでの長さを調整可能である。
【0031】
第2アジャスタ管部46の下流側端部には筒状の排水管接続部56が設けられる。排水管接続部56は、排水管10の内側に挿入した状態で、第2シール部材58を介して、排水管10に水密に接続される。第2シール部材58は、ゴムパッキン等の弾性部材である。
【0032】
管受け部44の内側部分48aと第2アジャスタ管部46の内面との間には狭隘空間60が形成される。狭隘空間60は、第2アジャスタ管部46の下流側に向かうに連れて特定方向Daに広がるように形成される。狭隘空間60は、第2内部水路45の一部となる。
【0033】
図6を参照する。第2ソケット管30は、第1ソケット管28に対する姿勢を第1姿勢Pc1と第2姿勢Pc2との間で変更可能である。第1姿勢Pc1と第2姿勢Pc2では、第1アジャスタ管部34の中心軸線CL3周りでの第1ソケット管28に対する第2ソケット管30の相対位置が異なる。本実施形態の第2ソケット管30は、管受け部44の挿入室52に挿入した状態で、第1アジャスタ管部34の中心軸線CL3周りの方向Deに回転可能に設けられる。第2ソケット管30は、このように回転することによって、第1姿勢Pc1と第2姿勢Pc2との間で移動可能である。
【0034】
第1姿勢Pc1は、壁排水仕様の排水管10に対応する姿勢である。第2ソケット管30が第1姿勢Pc1にあるとき、第2ソケット管30の第2アジャスタ管部46は、下流側に向かうに連れて後方に延びるように延びるように設けられる。第2ソケット管30の排水管接続部56は、第2ソケット管30が第1姿勢Pc1にあるとき、壁排水仕様の排水管10に接続可能となる。本実施形態では第2ソケット管30が第1姿勢Pc1にある状態を説明する。
【0035】
第2姿勢Pc2は、床排水仕様の排水管10に対応する姿勢である。第2ソケット管30が第2姿勢Pc2にあるとき、第2ソケット管30の第2アジャスタ管部46は、下流側に向かうに連れて下方に延びるように設けられる。第2ソケット管30の排水管接続部56は、第2ソケット管30が第2姿勢Pc2にあるとき、床排水仕様の排水管10に接続可能となる。
【0036】
第1ソケット管28の第1アジャスタ管部34の中心軸線CL3と、第2ソケット管30の第2アジャスタ管部46の中心軸線CL2とがなす角度をθとする。このとき、壁排水仕様及び床排水仕様の排水管10に対応するうえで、排水ソケット12の角度θは、40°~50°に設定すると好ましく、45°に近いほど好ましい。
【0037】
図7を参照する。図7では、異なる排水距離La1、La2の排水管10と、それらに対応できる排水ソケット12を示す。壁排水仕様に対応できる排水ソケット12は、第1アジャスタ管部34の長さを調整することで、排水管10に対する排水管接続部56の特定方向Da(上下方向Z)での位置を合わせることができる。この他に、排水ソケット12は、第2アジャスタ管部46の長さを調整することで、排水管10に対する排水管接続部56の接続方向Dbでの位置を合わせることができる。
【0038】
排水ソケット12は、このように排水管10に対する排水管接続部56の位置を合わせることによって、便器16と排水管10を接続可能である。ひいては、排水ソケット12は、排水ソケット12によって対応できる排水距離La(本実施形態では排水高さ)を調整可能である。図7では、排水ソケット12によって対応できる排水距離範囲の上限位置Paにある排水管10を示す。この上限位置Paに排水管10がある場合、排水管接続部56と便器接続部38の特定方向Da(上下方向Z)での位置が最も近くなる。
【0039】
図8を参照する。以上の排水ソケット12を用いた便器16の設置方法を説明する。以下、排水ソケット12の設置方法も併せて説明する。
【0040】
まず、現場での排水管10の排水距離La(本実施形態では排水高さ)を測定する(S10)。
【0041】
図9を参照する。図9では、排水管10に関して中心軸線CL1のみを示す。次に、排水管10に対する排水ソケット12の特定方向Daでの位置を合わせるために必要な第1アジャスタ管部34の切断位置Pd1を特定する(S12)。設置予定位置Peに便器16が配置され、その便器排水路20に排水ソケット12を接続し、S10において測定した排水距離Laの位置に排水管10がある仮想条件を想定する。この仮想条件では、排水ソケット12と他の物体(排水管10等)との干渉は考慮しない。図9では、この仮想条件にある排水ソケット12を示す。設置予定位置Peは、便器16を設置すべき位置として予め定められた位置をいい、例えば、施工説明書等に記載される。「特定方向Daでの位置が合う」とは、この仮想条件において、排水管10の中心軸線CL1に対する排水ソケット12の中心軸線CL2の特定方向Daでの位置が合うことを意味する。中心軸線CL2は、第2ソケット管30の第2アジャスタ管部46の中心軸線をいう。
【0042】
第1アジャスタ管部34の切断位置Pd1を特定するうえでは、排水管10の排水距離Laと第1アジャスタ管部34の切断位置Pd1とを一意に対応付けた対応関係を予め求めておいてもよい。この場合、S12において、その対応関係を用いて、S10において測定した排水距離Laから第1アジャスタ管部34の切断位置Pd1を特定すればよい。この対応関係は、例えば、施工説明書等に記載される。この対応関係は、例えば、「排水管10の排水高さが30cmの場合、第1アジャスタ管部34の開口端部34aから管軸方向Dcに10cmの位置を切断する」と記載される。
【0043】
この他にも、第1アジャスタ管部34の切断位置Pd1を特定するうえでは、排水ソケット12を便器16に仮組みしてもよい。詳しくは、設置予定位置Peから接続方向Dbにずらした位置に便器16を配置し、その便器16に排水ソケット12を仮組みする。この後、排水ソケット12の中心軸線CL2の特定方向Daでの位置を測定し、その測定値と排水管10の排水距離Laとの差分値を求める。この差分値から、排水管10に対する排水ソケット12の位置を合わせるのに必要な第1アジャスタ管部34の切断長さを幾何学的に求めることで、第1アジャスタ管部34の切断位置Pd1を特定できる。
【0044】
次に、排水管10に対する排水ソケット12の特定方向Da(本実施形態では上下方向Z)での位置が合うように、第1アジャスタ管部34の管軸方向Dcでの長さを調整する(S14)。この第1アジャスタ管部34の長さは、S12において特定した切断位置Pd1で第1アジャスタ管部34を切断することで調整される。
【0045】
図10を参照する。次に、排水管10に対する排水ソケット12の接続方向Dbでの位置を合わせるために必要な第2アジャスタ管部46の切断位置Pd2を特定する(S16)。「接続方向Dbでの位置が合う」とは、設置予定位置Peに配置される便器16の便器排水路20と排水管10を排水ソケット12によって接続できるように、排水管10に対する排水ソケット12の位置が合うことを意味する。仮に、第2アジャスタ管部46の長さが短すぎる場合、便器16の便器排水路20と排水管10の何れかに排水ソケット12が届かず、排水ソケット12によって便器16と排水管10を接続不能となる。これに対して、第2アジャスタ管部46の長さが長すぎる場合、排水ソケット12が邪魔となることで、便器16を設置予定位置Peに配置不能となる。第2アジャスタ管部46の長さは、これらの事態を回避できるように調整することになる。
【0046】
この切断位置Pd2を特定するうえでは、排水ソケット12によって便器16と排水管10を接続するうえで必要な排水ソケット12の接続方向Dbでの長さ(以下、必要ソケット長さという)Satを求める。必要ソケット長さSatは、例えば、次の接続方向Dbでの寸法Sa1、Sa2、Sa3を用いて求めることができる。
【0047】
図2を参照する。寸法Sa1は、排水ソケット12に対する便器排水路20の挿入深さである。この寸法S1は、第1シール部材40によって所要のシール性能を確保するうえで必要な長さとして予め設定される。寸法Sa1は、施工説明書等に記載される。
【0048】
図11を参照する。寸法Sa2は、便器排水路20の下流端開口部20bの開口中心C2から排水管10の上流端開口部10aの開口中心C1までの中心間距離である。この寸法Sa2は、例えば、実際に設置予定位置Peに便器16を配置した場合の測定値を用いてもよい。
【0049】
図12を参照する。寸法Sa3は、排水管10に対する排水ソケット12の挿入深さである。この寸法Sa3は、例えば、次のように求めることができる。まず、実際に、排水ソケット12の上流端開口部12aの開口中心C3から下流端開口部12bの開口中心C4までの寸法Aa1を測定する。上流端開口部12aは、外部に露出する便器排水路20を挿入するための挿入口となり、本実施形態では押さえ部材42に設けられる。下流端開口部12bは、排水ソケット12の内部水路の下流端を構成し、本実施形態では第2アジャスタ管部46に設けられる。この他に、排水管10に排水ソケット12を接続し、排水ソケット12の開口中心C3から排水管10の開口中心C1までの接続方向Dbでの寸法Aa2を測定する。このとき、排水ソケット12は、排水管10の奥側に突き当たるまで排水管10内に差し込む。寸法Aa1、Aa2の測定にあたっては、S14において第1アジャスタ管部34の切断後の排水ソケット12を基準とする。寸法Sa3は、排水ソケット12の寸法Aa1から寸法Aa2を減算した減算値として求めることができる。この他にも、この寸法Sa3は、施工説明書等において予め設定されている場合、その寸法を用いてもよい。
【0050】
図10を参照する。以上の寸法Sa1、Sa2、Sa3の合計値が必要ソケット長さSatとなる。排水ソケット12の寸法Aa1から必要ソケット長さSatを減算した寸法を必要切断長さBaという。このとき、第2アジャスタ管部46の切断位置Pd2は、第アジャスタ管部46の開口端部46aから必要切断長さBaの分だけ間隔を空けた位置として特定できる。
【0051】
次に、排水管10に対する排水ソケット12の接続方向Dbでの位置が合うように、第2アジャスタ管部46の管軸方向Ddでの長さを調整する(S18)。この第2アジャスタ管部46の長さは、S16において特定した切断位置Pd2で第2アジャスタ管部46を切断することで調整される。
【0052】
次に、第1ソケット管28の第1アジャスタ管部34と第2ソケット管30の管受け部44を固定する(S20)。このとき、第1姿勢Pc1及び第2姿勢Pc2の中から、排水管10の排水仕様に応じた姿勢で、第1ソケット管28と第2ソケット管30を固定する。本実施形態では、壁排水仕様の排水管10に対応する第1姿勢Pc1で第1ソケット管28と第2ソケット管30を固定する。これは、例えば、前述のように、接着剤、凹凸嵌合等を用いることで行われる。
【0053】
図13を参照する。次に、排水ソケット12を用いて便器16と排水管10を接続する(S22)。これは、設置予定位置Peに便器16を配置する作業と並行して行う。このS22は、例えば、排水管10に排水ソケット12を予め接続した状態で、便器16を動かすことで行われる。このとき、ボルトBによって排水ソケット12のボルト固定部36をトイレ室の後壁部Waに固定しておく。このとき、便器16の空洞部26の後側開口部26aを排水ソケット12が通るように便器16を動かすことで、便器16を設置予定位置Peに配置する。便器16を設置予定位置Peに配置した後は、固定具(不図示)を用いて、トイレ室の床F及び後壁部Waの何れかに便器16を固定する。
【0054】
以上の排水ソケット12の効果を説明する。
【0055】
(A)第1ソケット管28は第1アジャスタ管部34を備え、第2ソケット管30は第2アジャスタ管部46を備える。つまり、個別のソケット管28、30に異なるアジャスタ管部34、46が設けられる。よって、各アジャスタ管部34、46の切断後の長さが近くなった場合でも、第1アジャスタ管部34と第2アジャスタ管部46を外観上区別し易くなる。例えば、便器接続部38を備えるソケット管(つまり、第1ソケット管28)に第1アジャスタ管部34が設けられると容易に認識できる。同様に、便器接続部38を備えないソケット管(つまり、第2ソケット管30)に第2アジャスタ管部46が設けられると容易に認識できる。よって、第1アジャスタ管部34を排水管10に誤って組み付ける誤組み付けを抑制できる。
【0056】
(B)本実施形態によれば、各アジャスタ管部34、46の切断によって、対応できる排水管10の排水距離を調整できる。よって、単数の排水ソケット12を用いて異なる排水距離の排水管10に対応できるようになる。
【0057】
(C)異なる排水距離の排水管10に対応するうえで、複数種の排水ソケットを準備する手段が考えられる。この場合、複数種の排水ソケットの中から不使用の排水ソケットの廃棄を要する。この点、本実施形態によれば、複数種の排水ソケットの準備を要さずに済むため、排水ソケットの廃棄を避けることができる。
【0058】
(D)リフォーム等によって便器を交換するケースでは、現場において便器16を取り外すまで排水距離を確認できない場合がある。この場合、現場において排水管の排水距離を確認後、その排水距離に対応できる排水ソケットを手配することになる。この点、本実施形態によれば、現場において排水管の排水距離を確認後、各アジャスタ管部34、46の切断によって、その排水距離の排水管10に対応できる。よって、現場の排水距離の確認前に排水ソケット12を手配でき、排水ソケット12の設置に要する期間の短縮化を企図できる。
【0059】
(E)異なる排水距離に対応するうえで、軟質素材の排水ソケットを用いる手段が考えられる。本実施形態によれば、硬質素材の排水ソケット12を用いることができるため、軟質部分の弛みに起因する排出性能の低下を防止できる。この他にも、軟質素材の排水ソケットと比べて劣化し難いため、長期に亘り安定して性能を確保できる。
【0060】
(F)第2ソケット管30の管受け部44は、第2アジャスタ管部46の上流側端部に設けられる。よって、第2アジャスタ管部46に対して第1アジャスタ管部34が管軸方向Ddに重なる重なり代66(図14参照)の分だけ、排水管接続部56を便器接続部38に特定方向Daに近づけることができる。ひいては、排水ソケット12によって対応できる排水距離範囲の上限を広くできる。ここでの排水距離範囲の上限を広くできるとは、排水距離範囲の特定方向Daでの調整幅を広くできることを意味する。
【0061】
(G)図14を参照する。本実施形態のように、前後方向Xに対して斜めに延びる第1ソケット管28の第1アジャスタ管部34と第2ソケット管30の管受け部44とを接続する構造を斜め接続構造62という。この他に、仮に、前後方向Xと直交する方向に沿って延びる第1アジャスタ管部34と管受け部44とを接続する構造を直線接続構造64という。斜め接続構造62の場合、直線接続構造64と比べて、同じ重なり代66の特定方向Daでの寸法Eaを確保するうえで、狭隘空間60の特定方向Daでの最大寸法Ebを大きくできる。つまり、本実施形態によれば、重なり代66を確保することで排水ソケット12の排水距離範囲の上限を広くしつつ、狭隘空間60の最大寸法Ebを大きくすることで所要の排出性能を容易に確保できる。
【0062】
(H)管受け部44は、第1アジャスタ管部34が挿入される挿入室52を備える。よって、管受け部44が挿入室52を備えない場合と比べ、排水ソケット12によって対応できる排水距離範囲の上限を広くできる。
【0063】
(I)挿入室52の一部は、第2アジャスタ管部46の内周面に対して、第2アジャスタ管部46の中心軸線CL2を挟んで便器接続部38とは反対側に凹むように形成される。よって、この条件を満たさない場合と比べ、排水ソケット12によって対応できる排水距離範囲の上限を広くできる。本実施形態でいえば、挿入室52の全体が第2アジャスタ管部46の内周面の下端から上方にのみ設けられる場合と比べ、排水ソケット12によって対応できる排水距離範囲の上限を広くできる。
【0064】
管受け部44の外側部分48bの寸法L1は、その内側部分48aの寸法L2よりも短くなる。これにより、外側部分48bの寸法L1を内側部分48aの寸法L2に合わせる場合と比べ、第1ソケット管28の上流側管部32と管受け部44の外側部分48bとの干渉を避けつつ、排水管接続部56を便器接続部38に上下方向Zに近づけ易くなる。ひいては、排水ソケット12によって対応できる排水高さ範囲の上限を広くできる。
【0065】
(J)第2アジャスタ管部46は、第1姿勢Pc1にあるとき、壁排水仕様の排水管10に接続可能となり、第2姿勢Pc2にあるとき、床排水仕様の排水管10に接続可能となる。これにより、床排水仕様及び壁排水仕様のそれぞれの排水管10に共通の排水ソケット12を用いて対応できる。
【0066】
第1アジャスタ管部34は、下流側かつ後方に向かうに連れて前後方向Xに対して斜め下向きに延びる。よって、各アジャスタ管部34、46の切断によって、対応できる排水距離として排水高さを調整できる。
【0067】
(第2実施形態)図15を参照する。第2実施形態は、第1実施形態と比べ、主に、排水管10の点で相違する。本実施形態の排水管10は、トイレ室の床Fに設置される床排水仕様である。第1実施形態と同様、排水管10の特定方向Daでの距離である排水距離Laは現場毎に変化する。床排水仕様の排水管10の場合、「排水距離」は排水芯をいい、「特定方向Da」は前後方向Xとなる。「排水芯」とは、トイレ室の後壁部Waから排水管10の上流端開口部10aの開口中心C1までの前後方向Xでの距離をいう。
【0068】
本実施形態では、床排水仕様の排水管10に対応できる第2姿勢Pc2に第2ソケット管30がある状態を説明する。床排水仕様に対応できる排水ソケット12は、第1アジャスタ管部34の長さを調整することで、排水管10に対する排水管接続部56の特定方向Da(本実施形態では前後方向X)での位置を合わせることができる。この他に、排水ソケット12は、第2アジャスタ管部46の長さを調整することで、排水管10に対する排水管接続部56の接続方向Dbでの位置を合わせることができる。これにより、排水ソケット12は、排水ソケット12によって対応できる排水距離La(本実施形態では排水芯)を調整可能である。排水ソケット12によって対応できる排水距離範囲の上限位置(図示せず)に排水管10がある場合、第1実施形態と同様、排水管接続部56と便器接続部38の特定方向Da(前後方向X)での位置が最も近くなる。
【0069】
図8を参照する。以上の排水ソケット12を用いた便器16の設置方法を説明する。以下、排水ソケット12の設置方法も併せて説明する。
【0070】
まず、現場での排水管10の排水距離La(本実施形態では排水芯)を測定する(S10)。
【0071】
図16を参照する。次に、排水管10に対する排水ソケット12の特定方向Daでの位置を合わせるために必要な第1アジャスタ管部34の切断位置Pd1を特定する(S12)。この「特定方向Daでの位置が合う」とは、第1実施形態と同様、前述の仮想条件において、排水管10の中心軸線CL1に対する排水ソケット12の中心軸線CL2の特定方向Daでの位置が合うことを意味する。第1アジャスタ管部34の切断位置Pd1の特定方法は、第1実施形態と同様である。
【0072】
次に、第1実施形態と同様、排水管10に対する排水ソケット12の特定方向Da(前後方向)での位置が合うように、第1アジャスタ管部34の管軸方向での長さを調整する(S14)。
【0073】
図17を参照する。次に、排水管10に対する排水ソケット12の接続方向Dbでの位置を合わせるために必要な第2アジャスタ管部46の切断位置Pd2を特定する(S16)。「接続方向Dbでの位置が合う」とは、第1実施形態と同様、設置予定位置Peに配置される便器16の便器排水路20と排水管10を排水ソケット12によって接続できるように、排水管10に対する排水ソケット12の位置が合うことを意味する。
【0074】
この切断位置Pd2を特定するうえでは、第1実施形態と同様、排水ソケット12によって便器16と排水管10を接続するうえで必要な必要ソケット長さSbtを求める。必要ソケット長さSbtは、たとえば、次の接続方向Dbでの寸法Sb1、Sb2を用いて求めることができる。
【0075】
図18を参照する。寸法Sb1は、第1実施形態と同様、便器排水路20の下流端開口部20bの開口中心C2から排水管10の上流端開口部10aの開口中心C1までの中心間距離である。
【0076】
図19を参照する。寸法Sb2は、第1実施形態と同様、排水管10に対する排水ソケット12の挿入深さである。この寸法Sb2は、例えば、次のように求めることができる。まず、実際に、排水ソケット12の上流端開口部12aの開口中心C3から下流端開口部12bの開口中心C4までの寸法Ab1を測定する。この他に、排水管10に排水ソケット12を接続し、排水ソケット12の開口中心C3から排水管10の上流端開口部10aの開口中心C1までの寸法Ab2を測定する。寸法Ab1、Ab2の測定にあたっては、S14において第1アジャスタ管部34の切断後の排水ソケット12を基準とする。寸法Sb2は、排水ソケット12の寸法Ab1から寸法Ab2を減算した減算値として求めることができる。
【0077】
図17を参照する。以上の寸法Sb1、Sb2の合計値が必要ソケット長さSbtとなる。排水ソケット12の寸法Ab1から必要ソケット長さSbtを減算した寸法を必要切断長さBbという。このとき、第2アジャスタ管部46の切断位置Pd2は、第2アジャスタ管部46の開口端部46aから必要切断長さBbの分だけ間隔を空けた位置として特定できる。
【0078】
次に、第1実施形態と同様、排水管10に対する排水ソケット12の特定方向Da(前後方向X)での位置が合うように、第2アジャスタ管部46の管軸方向Ddでの長さを調整する(S18)。
【0079】
次に、第1実施形態と同様、第1ソケット管28の第1アジャスタ管部34と第2ソケット管30の管受け部44を固定する(S20)。このとき、排水管10の排水仕様に応じた姿勢として、床排水仕様の排水管10に対応する第2姿勢Pc2で第1ソケット管28と第2ソケット管30を固定する。
【0080】
図20を参照する。次に、第1実施形態と同様、排水ソケット12を用いて便器16と排水管10を接続する。このS22は、例えば、排水管10に排水ソケット12を予め接続した状態で、便器16を動かすことで行われる。
【0081】
本実施形態の排水ソケット12によっても、前述した(A)~(J)で説明した構成要素を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
【0082】
(第3実施形態)図21を参照する。本実施形態の排水ソケット12は、第1実施形態と比べて、排水ソケット12のボルト固定部36に関して相違する。本実施形態のボルト固定部36は、ボルトBによって、トイレ室の後壁部Waではなく、便器16に固定される。本図では、前述のS22において、便器16を動かしている途中の状態を示す。この場合、S22において、例えば、便器16に排水管10を固定した状態で、便器16を動かしてもよい。
【0083】
(第4実施形態)図22を参照する。各アジャスタ管部34、46には、それらの切断位置Pd1、Pd2の目安となる標示68が付されてもよい。標示68は、例えば、アジャスタ管部34、46の開口端部34a、46aからの長さを示す目盛によって構成される。この目盛は、印字、刻印等によってアジャスタ管部34、46に付される。アジャスタ管部34、46の必要切断長さを把握している場合、標示68を把握することによって、アジャスタ管部34、46の切断位置Pd1、Pd2を認識できる。
【0084】
標示68の具体例は特に限定されない。この他にも、標示68は、排水管10の排水距離Laと第1アジャスタ管部34の切断位置Pd1とが一意に定まる場合、排水距離Laに対応する切断位置Pd1を示すマークによって構成されてもよい。この場合、標示68は、例えば、第1アジャスタ管部34に「排水高さが20cmの場合の切断位置」を示すマークによって構成される。
【0085】
(第5実施形態)図23を参照する。図23では、便器装置14の便器16に関して、便器排水路20の被接続部20aのみ実線で示し、便器16を二点鎖線で示す。第1実施形態において、壁排水仕様の排水管10の排水距離Laは排水高さである例を説明した。この排水距離Laとは、前述の通り、現場毎に変化する排水管10の特定方向Daでの距離をいう。この他にも、排水距離Laは、トイレ室において予め定められる基準位置Pfから排水管10の開口中心C1までの左右方向Yでの距離(以下、左右方向距離という)でもよい。この基準位置Pfとは、例えば、トイレ室の後壁部Waと隣り合う一対の側壁部Wb間の中央位置をいう。この場合、「特定方向Da」は左右方向Yとなる。つまり、壁排水仕様の排水管10の場合、特定方向Daは、上下方向Z及び左右方向Yの何れかとなる。
【0086】
第1ソケット管28の第1アジャスタ管部34は、下流側かつ後方に向かうに連れて前後方向Xに対して斜め横向きに延びている。ここでの横向きとは、左右方向Yの一方側をいう。第1アジャスタ管部34は、下流側に向かうに連れて上流側管部32の中心線Lcから遠ざかるように斜めに延びる。
【0087】
本実施形態の排水ソケット12は、第1アジャスタ管部34の長さを調整することで、排水管10に対する排水管接続部56の特定方向Da(左右方向Y)での位置を合わせることができる。この他に、排水ソケット12は、第2アジャスタ管部46の長さを調整することで、排水管10に対する排水管接続部56の接続方向Dbでの位置を合わせることができる。これにより、各アジャスタ管部34、36の切断によって、対応できる左右方向Yでの排水距離La(左右方向距離)を調整できる。本実施形態の排水ソケット12を用いた場合でも、図8を用いて説明した排水ソケット12の設置方法を適用できる。
【0088】
本実施形態の排水ソケット12も、前述した(A)~(J)で説明した構成要素を備え、それらの説明に対応する効果を得られる。
【0089】
各構成要素の他の変形形態を説明する。
【0090】
排水管10の上流端開口部10aの向きは特に限定されない。壁排水仕様の場合、実施形態では、排水管10の中心軸線CL1が水平に設けられる例を説明した。この他にも、排水管10の中心軸線CL1は水平線に対して僅かに傾斜していてもよい。床排水仕様の場合、実施形態では、排水管10の中心軸線CL1が鉛直に設けられる例を説明した。この他にも、排水管10の中心軸線CL1は鉛直線に対して僅かに傾斜していてもよい。
【0091】
便器16は、実施形態において床置き式を説明した。この他にも、便器16は、壁掛け式でもよい。
【0092】
便器16の被接続部20aは、下流側に向かうに連れて下方に直線状に延びていてもよい。この場合、排水ソケット12の上流側管部32は上流側に向かうに連れて上方に向かって延びることになる。
【0093】
排水ソケット12は、壁排水仕様及び床排水仕様のいずれかの排水管10に専用に使われてもよい。床排水仕様の排水管10に専用に使われる場合でも、前述した(A)~(J)の効果を得られる。
【0094】
壁排水仕様の排水管10に専用に使われる場合、第2ソケット管30は、第1ソケット管28に対する相対位置を第1姿勢Pc1から変更不能でもよい。同様に、床排水仕様の排水管10に専用に使われる場合、第2ソケット管30は、第1ソケット管28に対する相対位置を第2姿勢Pc2から変更不能でもよい。
【0095】
第1ソケット管28の第1アジャスタ管部34の切断位置Pd1は、第1アジャスタ管部34の管軸方向Dcに対して直交する例を説明した。この他にも、その管軸方向Dcに対して斜めであってもよい。第2ソケット管30の第2アジャスタ管部46の切断位置Pd2も同様である。
【0096】
第2ソケット管30は、第1アジャスタ管部34と同軸上に設けられる斜め管部を備え、この斜め管部に管受け部44を設けてもよい。
【0097】
管受け部44は挿入室52を備えなくともよい。これは、例えば、管受け部44の開口端部と第1アジャスタ管部34の開口端部34aを突き合わせた状態で、第1ソケット管28と第2ソケット管30を固定する場合を想定している。
【0098】
挿入室52は、実施形態とは異なり、第2アジャスタ管部46の内周面に対して凹むように形成されていなくともよい。
【0099】
第2ソケット管30の外側部分48bの寸法L1は、内側部分48aの寸法L2と無関係に設定されてもよい。
【0100】
ソケット管28、30のアジャスタ管部34、46の数は特に限定されない。これらは、例えば、複数あってもよい。
【0101】
排水ソケット12の設置方法で説明した各工程の順序は特に限定されず、その説明した内容に関して矛盾のない範囲で入れ替えてもよい。例えば、第2ソケット管30の第2アジャスタ管部46を切断してから(S18)、第1ソケット管28の第1アジャスタ管部34を切断してもよい(S14)。
【0102】
以上の実施形態及び変形形態は例示である。これらを抽象化した技術的思想は、実施形態及び変形形態の内容に限定的に解釈されるべきではない。実施形態及び変形形態の内容は、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。実施形態及び変形形態において言及している構造には、製造誤差等を考慮すると同一とみなすことができる誤差の分だけずれた構造も当然に含まれる。
【0103】
以上の構成要素の任意の組み合わせも有効である。例えば、実施形態に対して他の実施形態の任意の説明事項を組み合わせてもよいし、変形形態に対して実施形態及び他の変形形態の任意の説明事項を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0104】
10…排水管、12…排水ソケット、16…便器、20…便器排水路、28…第1ソケット管、30…第2ソケット管、32…上流側管部、34…第1アジャスタ管部、38…便器接続部、44…管受け部、46…第2アジャスタ管部、48…周壁部、48a…内側部分、48b…外側部分、52…挿入室、52a…一部、56…排水管接続部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23