(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006854
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】床材及び床構造
(51)【国際特許分類】
E04F 15/04 20060101AFI20220105BHJP
【FI】
E04F15/04 601B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109386
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】000198802
【氏名又は名称】積水成型工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】307046545
【氏名又は名称】クラレクラフレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲津 明
(72)【発明者】
【氏名】島田 隼人
(72)【発明者】
【氏名】横田 裕次
(72)【発明者】
【氏名】田所 淳人
(72)【発明者】
【氏名】松下 和宏
(72)【発明者】
【氏名】松島 康臣
【テーマコード(参考)】
2E220
【Fターム(参考)】
2E220AA44
2E220AC03
2E220BA01
2E220DA02
2E220EA01
2E220FA11
2E220GA07X
2E220GA22X
2E220GA25X
2E220GA28Y
2E220GB32X
2E220GB33Y
2E220GB35Y
2E220GB43X
2E220GB45X
2E220GB47X
(57)【要約】
【課題】優れた衝撃緩和性能を有する床材及び床構造を提供する。
【解決手段】
本開示の床材10は、第1の板材11と、第1の板材11の裏面側に積層されたクッション材12と、クッション材12に対し、第1の板材11とは反対側に積層された第2の板材13とを備える。第2の板材13の厚さは、第1の板材11の厚さの0.5倍以上で且つ5倍以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の板材と、
前記第1の板材の裏面側に積層されたクッション材と、
前記クッション材に対し、前記第1の板材とは反対側に積層された第2の板材とを備え、
前記第2の板材の厚さは、前記第1の板材の厚さの0.5倍以上で且つ5倍以下であることを特徴とする床材。
【請求項2】
請求項1において、
前記クッション材の厚さは、前記第1の板材の厚さの0.5倍以上で且つ3倍以下であることを特徴とする床材。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1の板材の曲げ弾性率は、500Mpa以上で且つ4000Mpa以下であり、
前記クッション材の圧縮弾性率は、1.0Mpa以上で且つ2.5MPa以下であることを特徴とする床材。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つにおいて、
前記第2の板材の曲げ弾性率は、300Mpa以上で且つ10000Mpa以下であることを特徴とする床材。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つにおいて、
前記第2の板材の曲げ応力は、0.5N/mm2以上で且つ80N/mm2以下であることを特徴とする床材。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つにおいて、
JIS A5917:2018の床の硬さ試験に準じて測定される表面の硬さが33G
以下であることを特徴とする床材。
【請求項7】
第1の板材と、
前記第1の板材の下側に積層されたクッション材と、
前記クッション材の下側に積層された第2の板材とを備え、
前記第2の板材の厚さは、前記第1の板材の厚さの0.5倍以上で且つ5倍以下であることを特徴とする床構造。
【請求項8】
請求項7において、
前記クッション材の厚さは、前記第1の板材の厚さの0.5倍以上で且つ3倍以下であることを特徴とする床構造。
【請求項9】
請求項7又は8において、
前記第1の板材の曲げ弾性率は、500Mpa以上で且つ4000Mpa以下であり、
前記クッション材の圧縮弾性率は、1.0Mpa以上で且つ2.5MPa以下であることを特徴とする床構造。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1つにおいて、
前記第2の板材の曲げ弾性率は、300Mpa以上で且つ10000Mpa以下であることを特徴とする床構造。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1つにおいて、
前記第2の板材の曲げ応力は、0.5N/mm2以上で且つ80N/mm2以下であることを特徴とする床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、床材及び床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者が、住宅や施設内で転倒して骨折等し、そのまま病床につく事例が多く報告されている。そのため、それらで敷設される床材には、優れた衝撃緩和性能を有することのニーズが高まっている。これに対し、例えば、特許文献1~4には、衝撃緩和性能を高めるための改良が加えられた床材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-190673号公報
【特許文献2】特開2011-190674号公報
【特許文献3】特開2016-199994号公報
【特許文献4】特開2016-216928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、優れた衝撃緩和性能を有する床材及び床構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の床材は、第1の板材と、第1の板材の裏面側に積層されたクッション材と、クッション材に対し、第1の板材とは反対側に積層された第2の板材とを備える。第2の板材の厚さは、第1の板材の厚さの0.5倍以上で且つ5倍以下である。
【0006】
また、本開示の床構造は、第1の板材と、第1の板材の下側に積層されたクッション材と、クッション材の下側に積層された第2の板材とを備える。第2の板材の厚さは、第1の板材の厚さの0.5倍以上で且つ5倍以下である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の床材及び床構造によると、優れた衝撃緩和性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の床材の1例を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の床材の他の例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の床構造の1例を模式的に示す図で有る。
【
図4】
図4は、本開示の床構造の他の例を模式的に示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の床構造の更に他の例を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の床構造を得るための工法を説明する図である。
【
図7】
図7は、
図6の工法により形成された床構造を示す図である。
【
図8】
図8は、
図7の床構造を得るための他の工法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の例示的床材10を示す。床材10は、第1の板材11と、その裏面側に積層されたクッション材12と、クッション材12に対して第1の板材11とは反対側に積層された第2の板材13とを備える。つまり、第1の板材11と第2の板材13とによって、クッション材12が挟まれた構成である。このような構成により、床材10は優れた衝撃緩和性能を発揮する。
【0011】
第2の板材13の厚さは、第1の板材11の厚さの0.5倍以上であることが好ましく、0.8倍以上であることがより好ましく、1倍以上であることが更に好ましい。また、第2の板材13の厚さは、第1の板材11の厚さの5倍以下であることが好ましく、3倍以下であることがより好ましく、2倍以下であることが更に好ましい。第1の板材11及び第2の板材13の厚さがこのような条件を満たしていると、より確実に優れた衝撃緩和性能を発揮する。
【0012】
また、クッション材12の厚さは、第1の板材11の厚さの0.5倍以上であることが好ましく、1倍以上であることが更に好ましい。また、クッション材12の厚さは、第1の板材11の厚さの3倍以下であることが好ましく、2倍以下であることが更に好ましい。このような条件を満たしていると、より確実に優れた衝撃緩和性能を発揮する。
【0013】
また、第1の板材11の曲げ弾性率は、500Mpa以上であることが好ましく、1000Mpa以上であることがより好ましく、2000Mpa以上であることが更に好ましい。また、第1の板材11の曲げ弾性率は、4000Mpa以下であることが好ましく、3500Mpa以上であることがより好ましく、3000Mpa以下であることが更に好ましい。エネルギーが局部的にクッション材12に伝えられるのを回避するとともに、クッション材12で効率的にエネルギーを吸収し、それにより優れた衝撃緩和性能を得る観点から、このような条件を満たしていると、より確実に優れた衝撃緩和性能を発揮する。
【0014】
曲げ弾性率は、第1の板材11の構成素材が樹脂の場合、JIS K7171:2016に基づいて測定されるものであり、第1の板材11の構成素材が木材の場合、JISZ2101:2009に基づいて測定される曲げヤング係数である。
【0015】
第1の板材11の厚さは、好ましくは4.0mm以上、より好ましくは3.0mm以上であり、また、好ましくは15.0mm以下、より好ましくは7.0mm以下である。このような条件を満たしていると、より確実に優れた衝撃緩和性能を発揮する。
【0016】
また、クッション材12の圧縮弾性率は、1.0Mpa以上であることが好ましく、1.5Mpa以上であることがより好ましい。また、クッション材の圧縮弾性率は、2.5MPa以下であることが好ましく、2.3Mpa以下であることがより好ましい。このような条件を満たしていると、より確実に優れた衝撃緩和性能を発揮する。この圧縮弾性率は、JISK7181:2011に基づき、300mm×300mmに切り出した試験体を用いて、試験速度10mm/分にて直径50mmの圧子により圧縮した時の弾性率を測定したものである。
【0017】
クッション材12の目付は、例えば400g/m2以上800g/m2以下である。クッション材12の見掛け密度は、例えば0.030g/cm3以上0.070g/cm3以下である。
【0018】
クッション材12の厚さは、優れた衝撃緩和性能を得る観点から、好ましくは6.0mm以上、より好ましくは8mm以上であり、好ましくは20mm以下、より好ましくは15mm以下である。
【0019】
また、第2の板材13の曲げ弾性率は、300Mpa以上であることが好ましく、1000Mpa以上であることがより好ましく、3000Mpa以上であることが更に好ましい。また、第2の板材13の曲げ弾性率は、10000Mpa以下であることが好ましく、6000Mpa以下であることがより好ましく、4000Mpa以下であることが更に好ましい。このような条件を満たしていると、より確実に優れた衝撃緩和性能を発揮する。
【0020】
また、第2の板材13の曲げ応力は、0.5N/mm2以上であることが好ましく、10N/mm2以上であることがより好ましく、30N/mm2以上であることが更に好ましい。また、第2の板材13の曲げ応力は、80N/mm2以下であることが好ましく、60N/mm2以下であることがより好ましく、50N/mm2以下であることが更に好ましい。このような条件を満たしていると、より確実に優れた衝撃緩和性能を発揮する。
【0021】
また、床材10について、JIS規格A5917:2018の床の硬さ試験に準じて測定される表面の硬さ、33G以下であることが好ましい。このような床材であれば、より確実に優れた衝撃緩和性能を発揮する。
【0022】
(各構成要素の素材の例)
第1の板材11の構成素材としては、例えば、ミディアム・デンシティ・ファイバーボード(中見掛け密度繊維板、以下「MDF」という。)、インシュレーションボード(軟質繊維板)、ハードボード(硬質繊維板)、合板、高粱ボード、樹脂発泡ボード等が挙げられる。第1の板材11は、これらのうちのいずれかの単一材、又は、複数の複合材で構成されていることが好ましく、優れた衝撃緩和性能を得る観点から、これらのうちのMDFを含んで構成されていることが好ましい。
【0023】
第2の板材13の構成素材としても、第1の板材11と同様のものを用いることができる。
【0024】
クッション材12の構成素材としては、例えば、不織布、合成繊維フェルト、天然繊維フェルトなどの繊維構造体;合成樹脂発泡材、ゴム発泡材などの発泡材等が挙げられる。クッション材12は、これらのうちのいずれかの単一材、又は、複数の複合材で構成されていることが好ましく、優れた衝撃緩和性能を得る観点から、これらのうちの不織布を含んで構成されていることが好ましく、ボード型不織布を含んで構成されていることがより好ましい。
【0025】
ボード型不織布は、例えば、ポリエステル等の高融点の第1材料と、エチレン-ビニルアルコール共重合体等の低融点の第2材料とで形成されたコンジュゲート繊維のステープルファイバのウェブに、加熱スチームを噴射して第2材料間を溶着させることにより製造することができる。コンジュゲート繊維は、第1材料の内層と第2材料の外層とを有するシースコア型であってもよく、また、第1材料と第2材料とを貼り合わせたサイドバイサイド型であってもよい。市販のボード型不織布としては、例えば、クラレクラフレックス社製の「フェリベンディ」(登録商標)が挙げられる。
【0026】
クッション材12は、複数の構成素材を積層一体化した積層体、具体的には、例えば複数枚の不織布の積層体で構成されていてもよい。この場合、複数の構成素材の接合手段としては、例えば、ホットメルト接着剤、両面粘着テープ、接着シート、液体接着剤などを用いて接着する化学的接合手段;縫い合わせによる縫着、タッカーによる鋲打などの機械的接合手段が挙げられる。複数の構成素材は、化学的接合手段のみにより接合されていてもよく、機械的接合手段のみにより接合されていてもよく、化学的接合手段及び機械的接合手段が組み合わされて接合されていてもよい。また、複数の構成素材は、縁部又は隅部だけが接合され、中央部分が非接合とされていてもよい。
【0027】
第1の板材11とクッション材12との接合手段としては、例えば、ホットメルト接着剤、両面テープ、接着シート、液体接着剤などを用いて接着する化学的接合手段;縫い合わせによる縫着、タッカーによる鋲打などの機械的接合手段が挙げられる。第1の板材11とクッション材12とは、優れた衝撃緩和性能を得る観点から、中央部分を含んで化学的接合手段の接着により接合されていることが好ましい。その一方、第1の板材11とクッション材12とは、同様の観点から、中央部分が機械的接合手段により接合されていないことが好ましい。また、第1の板材11とクッション材12とは、縁部又は隅部だけが接合され、中央部分が非接合とされていてもよい。
【0028】
以上の接合手段は、第2の板材13とクッション材との接合手段としても用いることができる。
【0029】
本実施形態の床材10のJIS A5917:2018の床の硬さ試験に準じて測定される表面の硬さ(以下「第1G値」という。)は、好ましくは33G以下、より好ましくは30G以下である。実施形態1に係る床材10のJISA6519:2013の
床の硬さ試験に準じて測定される表面の硬さ(以下「第2G値」という。)も、好ましくは33G以下、より好ましくは30G以下である。これらの第1G値及び第2G値は、頭部モデルを測定対象に自由落下させて衝突したときの加速度を、測定対象の表面の硬さとしたものである。
【0030】
本実施形態の床材10の第1G値と第2G値との差は、小さいほど好ましく、好ましくは10G以下、より好ましくは5G以下であり、さらに好ましいのは3G以下である。第1G値は、5回の落下試行における第3回から第5回の測定値の平均であり、第2G値は、5回の落下試行における全ての測定値の平均である。通常、落下試行を繰り返すと、衝撃緩和性能は低下するので、第1G値よりも第2G値の方が小さくなる。したがって、第1G値と第2G値との差が小さいということは、落下試行を繰り返しても衝撃緩和性能が維持されることを意味する。
【0031】
尚、
図2に示すように、第1の板材11の表面側(クッション材とは反対側)に、化粧材14が更に積層された床材10aとしても良い。
【0032】
化粧材14の構成素材としては、例えば、樹脂製畳表、和紙製畳表、天然イ草製畳表、樹脂製シート、または合成繊維や天然繊維の織物、フローリング、カーペット、絨毯等が挙げられる。化粧材14は、裏面側に樹脂製の発泡シート等の緩衝材が積層されていてもよい。化粧材14の厚さは、耐久性などの床表面性能を得る観点から、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.5mm以上であり、また、好ましくは15.0mm以下、より好ましくは4.0mm以下である。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態として、床構造に関して説明する。
図3、
図4、
図5は、本実施形態にかかる床構造の例を示す図である。
【0034】
図3は、スラブ直置床の構造を示す。つまり、床スラブ20上に、
図2に示す化粧材14を備える床材10aを直接、配置した構造である。
図3では、第1の板材11、クッション材12及び第2の板材13の積層体(
図1の床材10と同様の構造)が床スラブ20上に複数(
図3の例では2つが示されている)並べられ、その上に化粧材14が備えられた構造になっている。化粧材14は、第1の板材11の一部を覆わずに露出させるように設けられている。化粧材14については、これを備えない床材10(
図1)を配置した後に、個別に設けるのであっても良い。
【0035】
次に、
図4は、二重床式の構造を示す。つまり、床スラブ20上に、根太22及び支柱23を介して床パネル21を設けると共に、当該床パネル21上に床材10aを配置した構造である。
【0036】
また、
図5は、根太・床パネル工法の床構造を示す。つまり、床スラブ20上に、根太22を介して床パネル21を設けると共に、当該床パネル21上に床材10aを配置した構造である。
【0037】
第1の実施形態において説明した床材10及び床材10aは、上記の3例を含む様々な床構造に利用することができ、優れた衝撃緩和性能を発揮する。
【0038】
以上では、少なくとも、第1の板材11、クッション材12及び第2の板材13については予め互いに接合されて床材10を構成しており、これを床スラブ20上又は床パネル21上に配置したと想定している。しかし、床構造は、各層が別々の状態から構成することもできる。これを以下に説明する。
【0039】
図6は、根太・床パネル工法の例である。この場合、床スラブ20上に、根太22を介して、
図5における床パネル21の代わりに第2の板材13aを配置している。その上に、第1の板材11及びクッション材12が積層・接合され、更に化粧材14を備える積層体を配置する。この結果、
図7に示す床構造、つまり、第1の板材11と、その下側に積層されたクッション材12と、その下側に積層された第2の板材13とを含む床構造が形成される。化粧材14については、設けても設けなくても良い。
【0040】
尚、
図8に示すように、化粧材14、第1の板材11及びクッション材12についても、それぞれ別々に第2の板材13a上に積層・接合するのであっても良い。この場合にも、
図7に示す床構造が形成される。その他、任意の幾つかの層を予め積層・接合しておくことにより、様々な方法を用いることができる。更に、床スラブ20上に根太22を介して
図2の床材10aを配置して、
図7の床構造を形成することも可能である。
【実施例0041】
(床材)
以下の実施例1~5及び比較例1~3の床材を作製した。尚、それぞれの構成は表1にも示す。
【0042】
<実施例1>
第1の板材として、厚さ6.4mmのMDF(曲げ強度30.5Mpa、曲げ弾性率2880Mpa)を準備した。
【0043】
クッション材として、ホットメルト接着剤を介して3枚のボード型不織布(クラレクラフレックス社製、商品名:フェリベンディ)を積層一体化し、厚さ12.0mmの不織布積層体を作成した。用いたボード型不織布は、ポリエステルの内層とエチレン-ビニルアルコール共重合体の外層とを有するコンジュゲート繊維のステープルファイバのウェブに、加熱スチームを噴射して製造されたものである。また、不織布積層体は、圧縮弾性率が1.66Mpa、見かけ密度が0.050g/cm3である。
【0044】
第2の板材として、厚さ5.5mmのMDF(曲げ応力35N/mm2、曲げ弾性率2944MPa)を準備した。
【0045】
第1の板材11、クッション材、第2の板材について、それぞれホットメルト接着剤により接着して積層した。
【0046】
以上のようにして、実施例1の床材を作成した。
【0047】
<実施例2>
第2の板材として、厚さ4.0mmのMDF(曲げ応力37N/mm2、曲げ弾性率3063MPa)を準備した。第1の板材及びクッション材と、各層の積層方法については実施例1と同様にして、実施例2の床材を作製した。
【0048】
<実施例3>
第2の板材として、厚さ9.0mmの合板(曲げ応力11N/mm2、曲げ弾性率538MPa)を準備した。第1の板材及びクッション材と、各層の積層方法については実施例1と同様にして、実施例3の床材を作製した。
【0049】
<実施例4>
第1の板材、クッション材及び第2の板材については、実施例3と同じものを準備した。更に、化粧材として、樹脂製の模造藺草で形成された厚さが2.0mmの畳表(目付:838g/m2、見掛け密度:0.419g/cm3)を準備した。
【0050】
第1の板材11、クッション材、第2の板材について、それぞれホットメルト接着剤により接着して積層した。更に、第1の板材11の表面側に化粧材を非接着で積層すると共に、その隅部をタッカーで接合することにより、実施例4の床材を作製した。
【0051】
<実施例5>
化粧材として、カーペット(厚さ6.0mm、東リ社製)を準備した。それ以外については実施例4と同様にして、実施例5の床材を作製した。
【0052】
<比較例1>
実施例1及び実施例3と同様の第1の板材及びクッション材を準備した。ホットメルト接着剤を用いて、第1の板材の裏面側にクッション材を接着して積層した。これにより、比較例1の床材を作成した。従って、比較例1の床材は、実施例1又は3の床材から、第2の板材を除いた構成となっている。
【0053】
<比較例2>
比較例1と同様の第1の板材及びクッション材を準備した。また、実施例4と同様の化粧材(畳表)を準備した。ホットメルト接着剤を用いて、第1の板材の裏面側にクッション材を接着して積層した。更に、第1の板材11の表面側に化粧材を非接着で積層すると共に、その隅部をタッカーで接合することにより、比較例2の床材を作製した。比較例2の床材は、実施例4の床材から、第2の板材を除いた構成となっている。
【0054】
<比較例3>
化粧材として、実施例5と同様のカーペットを準備した。その他は比較例2と同様にして、比較例3の床材を作製した。比較例3の床材は、実施例5の床材から、第2の板材を除いた構成となっている。
【0055】
【0056】
(試験評価結果)
表1には、実施例1~5及び比較例1~3について、第1G値及び第2G値(前記のように、順にJISA5917:2018及びJIS A6519:2013に準じて測定)の値を示している。実施例では、いずれも2つのG値は同じであった。また、比較例でも、第1G値の方が1大きいか、又は同じであった。
【0057】
G値は、小さい方が衝撃緩和性能に優れる。比較例1~3のG値は34~36程度であるのに対し、実施例では、最大でも実施例1又は2の31であり、実施例3~5では順に24、28、27であって更に小さく、30以下となっている。
【0058】
また、実施例3~5の床材は、順に比較例1~3の床材に対して第2の板材を追加した構成である。それぞれ、G値は顕著に小さくなっており、第1の板材と第2の板材とでクッション材を挟む構成により、衝撃緩和性能が向上している。尚、実施例3と、実施例4又は5とを比較すると、化粧材を設けた場合の方がG値は大きい。従って、単純に層を増やせば衝撃緩和性能が向上するわけではなく、板材によりクッション材を挟む構成が望ましい。