(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068594
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】物販システムおよび物販アプリケーション
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20120101AFI20220427BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177362
(22)【出願日】2020-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】397033515
【氏名又は名称】株式会社ポニーキャニオンプランニング
(71)【出願人】
【識別番号】520412947
【氏名又は名称】株式会社LBB
(74)【代理人】
【識別番号】110002011
【氏名又は名称】特許業務法人井澤国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100072039
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 洵
(74)【代理人】
【識別番号】100123722
【弁理士】
【氏名又は名称】井澤 幹
(74)【代理人】
【識別番号】100157738
【弁理士】
【氏名又は名称】茂木 康彦
(74)【代理人】
【識別番号】100158377
【弁理士】
【氏名又は名称】三谷 祥子
(72)【発明者】
【氏名】北村 英樹
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 智人
(72)【発明者】
【氏名】小出 英樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 敦史
(72)【発明者】
【氏名】山本 あかね
(72)【発明者】
【氏名】山野 聡
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB21
(57)【要約】
【課題】イベントにおける物販サービスの改善
【解決手段】
インターネットに接続されたサーバーとユーザー端末とを用い、以下のステップ(A)ユーザーをイベント関連商品の購入予約をリクエストできるユーザーとして認証するステップ,(B)ユーザーがイベント関連商品の購入予約を行うステップ。
(C)ユーザーに特典情報を提供するステップ,(D)ユーザーが購入予約したイベント関連商品を受け取るステップ,を行う物販システムおよび物販アプリケーション。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネットに接続されたサーバーとユーザー端末とを用い、
以下のステップ(A),(B),(C),(D)を含む処理を有する、
イベント関連商品を販売するためのシステム。
(A)ユーザーをイベント関連商品の購入予約をリクエストできるユーザーとして認証するステップ。
(B)ユーザーがイベント関連商品の購入予約を行うステップ。
(C)ユーザーに特典情報を提供するステップ。
(D)ユーザーが購入予約したイベント関連商品を受け取るステップ。
【請求項2】
上記ステップ(A)で、イベントチケットに紐付けられたシリアル番号を用いて認証を行い、
上記ステップ(B)で、ユーザーの購入予約リクエストが実現可能と判定された場合に限り購入予約が成立し、
上記ステップ(C)で、ユーザーのイベント関連商品の購入予約履歴に基づく特典情報を当該ユーザーに提供し、
上記ステップ(D)で、ユーザーの購入予約情報に基づいて当該ユーザーが購入予約したイベント関連商品が抽出される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
上記ステップ(A)で、多段階認証および/または多要素認証を行い、
上記ステップ(B)で、イベント関連商品の名前と数量および当該イベント関連商品の受取時間帯を含む情報を、購入予約情報として登録し、
上記ステップ(C)で、購入商品の種類、数、金額を含む、ユーザーのイベント関連商品の購入予約履歴情報に基づき、当該ユーザーにカスタマイズされた特典情報が生成され、
上記ステップ(D)で、ユーザーの受取と支払に応じて当該ユーザーのイベント関連商品購入履歴が更新される、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
インターネットに接続されたサーバーとユーザー端末との間でデータ通信することにより以下のステップ(A),(B),(C),(D)を含む処理を実行する、
イベント関連商品を販売するためのアプリケーション。
(A)ユーザーをイベント関連商品の購入予約をリクエストできるユーザーとして認証するステップ。
(B)ユーザーがイベント関連商品の購入予約を行うステップ。
(C)ユーザーに特典情報を提供するステップ。
(D)ユーザーが購入予約したイベント関連商品を受け取るステップ。
【請求項5】
上記ステップ(A)で、イベントチケットに紐付けられたシリアル番号を用いて認証を行い、
上記ステップ(B)で、ユーザーの購入予約リクエストが実現可能と判定された場合に限り購入予約が成立し、
上記ステップ(C)で、ユーザーのイベント関連商品の購入予約履歴に基づく特典情報を当該ユーザーに提供し、
上記ステップ(D)で、ユーザーの購入予約情報に基づいて当該ユーザーが購入予約したイベント関連商品が抽出される、
請求項4に記載のアプリケーション。
【請求項6】
上記ステップ(A)で、多段階認証および/または多要素認証を行い、
上記ステップ(B)で、イベント関連商品の名前と数量および当該イベント関連商品の受取時間帯を含む情報を、購入予約情報として登録し、
上記ステップ(C)で、購入商品の種類、数、金額を含む、ユーザーのイベント関連商品の購入予約履歴情報に基づき、当該ユーザーにカスタマイズされた特典情報が生成され、
上記ステップ(D)で、ユーザーの受取と支払に応じて当該ユーザーのイベント関連商品購入履歴が更新される、
請求項4に記載のアプリケーション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いわゆる物販システムに関する。具体的には、本発明は、コンサートやライブ、レビュー、トークショー、舞台、講演、シンポジウムと呼ばれる、比較的多数の観客や聴講者を動員するイベントに関連する衣類、装飾品、書籍、雑貨などのイベント関連商品(いわゆるグッズ)を様々なユーザーに予約販売するシステムに関する。また本発明は、上記システムに用いられるアプリケーションに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、コンサートやライブ、レビュー、トークショー、舞台、講演、シンポジウムなどの、比較的多数の観客や聴講者を動員するイベント(以下、単に「イベント」と言う)では、チケットの転売や偽造を防止するための様々な対策が提案されてきた(特許文献1,2,3)。このような方法によって、正規ルートで発行されたチケットだけを有効化し、イベント会場のチケット持参者の確認を簡素化することができるようになった。
【0003】
しかし、ユーザー(イベントの参加者、ファンなど)は、イベントにおける興行だけでなく、イベントの主催者がイベント会場の内外で販売する様々な商品、例えば、アーティスト特製の衣類、装飾品、書籍、雑貨などのイベント関連商品(いわゆるグッズ)に対する興味が高く、イベント主催者やイベント出演者にとってそれらグッズの販売(いわゆる「物販」)は無視できない重要性を持っている。しかし、主催者側が提供するグッズの品種が増加するほど、グッズに対するユーザーの人気が高いほど、またイベント規模が拡大するほど、物販会場で行列や混雑が発生する、個々のグッズの販売数の予測が難しい、イベント会場でグッズの売り切れが起こる、などの問題が発生している。これらの問題は、イベント運営スケジュールに影響し、また、ユーザーのイベントに対する満足度を損ねる。このため、物販の効率化と物販に対するユーザーの満足度向上は、イベントで提供される芸能や講演の内容と並んで、イベントの商業的成功にとって求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014- 81907号公報
【特許文献2】特開2016- 58053号公報
【特許文献3】特開2020- 9194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明者は、イベント主催者の物販管理コストを低減し、物販に対するユーザーの満足度を向上することができる、物販システムを求めた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その結果、ユーザーに目的のグッズを物理的・経済的に効率よく、しかも公衆衛生上安全に受け取れる物販システムを見出した。すなわち本発明は以下のものである。
【0007】
(発明1)インターネットに接続されたサーバーとユーザー端末とを用い、以下のステップ(A),(B),(C),(D)を含む処理を有する、イベント関連商品を販売するためのシステム。
(A)ユーザーをイベント関連商品の購入予約をリクエストできるユーザーとして認証するステップ。
(B)ユーザーがイベント関連商品の購入予約を行うステップ。
(C)ユーザーに特典情報を提供するステップ。
(D)ユーザーが購入予約したイベント関連商品を受け取るステップ。
【0008】
(発明2)上記ステップ(A)で、イベントチケットに紐付けられたシリアル番号を用いて認証を行い、上記ステップ(B)で、ユーザーの購入予約リクエストが実現可能と判定された場合に限り購入予約が成立し、上記ステップ(C)で、ユーザーのイベント関連商品の購入予約履歴に基づく特典情報を当該ユーザーに提供し、上記ステップ(D)で、ユーザーの購入予約情報に基づいて当該ユーザーが購入予約したイベント関連商品が抽出される、発明1に記載のシステム。
【0009】
(発明3)上記ステップ(A)で、多段階認証および/または多要素認証を行い、上記ステップ(B)で、イベント関連商品の名前と数量および当該イベント関連商品の受取時間帯を含む情報を、購入予約情報として登録し、上記ステップ(C)で、購入商品の種類、数、金額を含む、ユーザーのイベント関連商品の購入予約履歴情報に基づき、当該ユーザーにカスタマイズされた特典情報が生成され、上記ステップ(D)で、ユーザーの受取と支払に応じて当該ユーザーのイベント関連商品購入履歴が更新される、発明1に記載のシステム。
【0010】
(発明4)インターネットに接続されたサーバーとユーザー端末との間でデータ通信することにより以下のステップ(A),(B),(C),(D)を含む処理を実行する、イベント関連商品を販売するためのアプリケーション。
(A)ユーザーをイベント関連商品の購入予約をリクエストできるユーザーとして認証するステップ。
(B)ユーザーがイベント関連商品の購入予約を行うステップ。
(C)ユーザーに特典情報を提供するステップ。
(D)ユーザーが購入予約したイベント関連商品を受け取るステップ。
【0011】
(発明5)上記ステップ(A)で、イベントチケットに紐付けられたシリアル番号を用いて認証を行い、上記ステップ(B)で、ユーザーの購入予約リクエストが実現可能と判定された場合に限り購入予約が成立し、上記ステップ(C)で、ユーザーのイベント関連商品の購入予約履歴に基づく特典情報を当該ユーザーに提供し、上記ステップ(D)で、ユーザーの購入予約情報に基づいて当該ユーザーが購入予約したイベント関連商品が抽出される、発明4のアプリケーション。
【0012】
(発明6)上記ステップ(A)で、多段階認証および/または多要素認証を行い、上記ステップ(B)で、イベント関連商品の名前と数量および当該イベント関連商品の受取時間帯を含む情報を、購入予約情報として登録し、上記ステップ(C)で、購入商品の種類、数、金額を含む、ユーザーのイベント関連商品の購入予約履歴情報に基づき、当該ユーザーにカスタマイズされた特典情報が生成され、上記ステップ(D)で、ユーザーの受取と支払に応じて当該ユーザーのイベント関連商品購入履歴が更新される、発明4のアプリケーション。
【発明の効果】
【0013】
本発明の物販システムを利用すると、正規のルートでイベントチケットを購入したユーザーだけに、希望通りに、混雑や行列を避けて、物販を販売することができる。一定の条件を満たすユーザーに特典情報を提供することによって、ユーザーのイベントとイベント関連商品に対する満足度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の物販システム・物販アプリを用いたユーザーのグッズ購入予約の流れを、模式的に示す。
【
図2】本発明の物販システムおよび物販アプリを用いてイベント会場でグッズを販売する様子を、模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[システム,アプリケーション]
本発明は、イベント関連商品(いわゆるグッズ)を、当該イベントのチケット購入者に限り販売するシステム(以下、「物販システム」)と、上記システムに用いられるアプリケーション(以下、「物販アプリ」)である。
【0016】
本発明の物販システムは、インターネットに接続されたサーバーとユーザー端末とを用い、以下のステップ(A),(B),(C),(D)を含む処理を含む。
(A)ユーザーをイベント関連商品の購入予約をリクエストできるユーザーとして認証するステップ。
(B)ユーザーがイベント関連商品の購入予約を行うステップ。
(C)ユーザーに特典情報を提供するステップ。
(D)ユーザーが購入予約したイベント関連商品を受け取るステップ。
【0017】
本発明の物販アプリは、インターネットに接続されたサーバーとユーザー端末との間でデータ通信することにより以下のステップ(A),(B),(C),(D)を含む処理を実行する。
(A)ユーザーをイベント関連商品の購入予約をリクエストできるユーザーとして認証するステップ。
(B)ユーザーがイベント関連商品の購入予約を行うステップ。
(C)ユーザーに特典情報を提供するステップ。
(D)ユーザーが購入予約したイベント関連商品を受け取るステップ。
【0018】
本発明で用いるサーバーは、イベント主催者あるいは当該イベント主催者に権威委譲された者(以下、「主催者」)がインターネット上に配置したクライアントサーバーであって、イベント主催者あるいは当該イベント主催者に権威委譲された者が、ユーザーに対してサービスを提供する。本発明で「ユーザー」は、イベント関連商品の予約と購入をすることができる者を指す。このようなユーザーとしては、例えば、イベントチケットの購入者、正規の手段によってイベントチケットを保有している人、イベントに関連するコミュニティーのメンバー(例:ファンクラブ会員)、あらかじめ主催者側のデータベースに登録された人(例:チケット抽選外となったが優先予約者リストに掲載された人、前回のイベントにおける商品購入者)を想定する。
【0019】
上記サーバーには本発明の物販アプリがインストールされている。上記サーバーに付随するデータベースには、クライアントデータベースと物販管理データベースが含まれる。上記クライアントデータベースには、例えば、イベント日時、座席番号、価格などのチケット情報が、氏名、メールアドレス、住所、郵便番号、電話番号、クレジットカード情報、グッズ購入予約履歴などのユーザー情報と紐づけられて、登録されている。上記物販管理データベースには、例えば販売可能なグッズの商品番号と在庫数、時間帯毎あるいは引渡場所引毎の受付可能なユーザー数などが、登録されている。クライアントデータベースにおけるユーザーの購入予約履歴の更新に伴って、物販管理データベースが更新される。
【0020】
さらに上記サーバーには、通信用ハードウェアも付随し、さらに、印刷用アプリケーションなどの、ユーザーに対するオプションサービスの提供のためのアプリケーションもインストールされていても良い。
【0021】
本発明の物販システム及び物販アプリが対象とするサービスは、主催者によるイベント関連商品(以下、「グッズ」)のユーザーへの販売である。本発明の物販システム及び物販アプリは、インターネット上でユーザーのグッズ購入予約を行い、イベント会場では上記購入予約に従ってグッズをユーザーに引き渡す。
【0022】
ユーザーは、インターネットに接続可能な端末機器(以下、「端末」)で、本発明の物販アプリの機能の少なくとも一部が委譲されたアプリケーションを利用することによって、本発明の物販システム及び物販アプリを利用することができる。上記端末には制限がなく、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューターなどのいずれもが使用できる。また本発明の物販アプリのインターフェースを提供するオペレーティングシステムにも制限はない。上記アプリケーションへのアクセス方法には制限はなく、いわゆるアプリ・ダウンロード方式、何らかのコード読取りやユーザー通知が誘導するURLへのアクセスなど、公知の手段のいずれをも使用することができる。
【0023】
[ステップ(A)]
本発明のステップ(A)では、ユーザー端末の表示画面上で認証情報が入力され、入力された認証情報がユーザー端末からサーバーに送信される。サーバーでは、受信した認証情報を上記クライアント情報と比較し、当該認証情報が登録されたクライアント情報に合致する場合に限り、ユーザー端末からグッズの購入予約リクエストを行える状態に移行する。
【0024】
上記認証情報として、個々のユーザーに紐づけられた固有のコードを用いる。例えば、ユーザーがイベントチケットの購入者である場合には、上記認証情報としてイベントチケットに紐付けられたシリアル番号を用いることができる。上記シリアル番号は、イベントチケット購入時にユーザーに提供される、個々のイベントチケットに特有のコードであり、サーバのクライアント情報に含まれる。また例えば、ユーザーがファンクラブ会員である場合には、上記認証情報としてファンクラブ会員番号を用いることができる。例えば、ユーザーが過去のイベント関連商品の購入者である場合には、過去の予約や購入で用いた個人コード(予約番号など)を上記認証情報として用いることができる。さらに、上記イベントチケットの購入者、ファンクラブ会員、過去のイベント関連商品の購入者などの種々の属性がユーザーとして許容されており、これらのユーザーのそれぞれに紐づけられた情報がクラインと情報としてあらかじめ登録されている場合には、上記認証情報として様々なコードや番号が入力される。
【0025】
本発明のステップ(A)は、一般的には多段階認証および/または多要素認証を行い、好ましくは2段階認証および/または2要素認証を行う。
【0026】
例えば、1段回目の認証画面としてユーザー端末にログイン画面を表示し、ユーザーの入力の後に、上記シリアル番号をサーバーに送信する。サーバーにおいて、あらかじめ登録されたチケット情報に上記シリアル番号を発見した場合には、新たなパスワードを生成する。サーバーは、サーバーのクライアント情報として上記シリアル番号に紐づけられた携帯電話番号に当該パスワードを送信し、ユーザーをユーザー端末上の本登録画面に誘導する。ユーザーの操作によって2段階目の認証画面がユーザー端末に表示され、ユーザーはこの画面上で上記パスワードを入力し、ユーザー端末から当該パスワードがサーバーに送信される。サーバーで当該パスワードがクライアント情報と照合された結果、一致した場合には、サーバーからユーザー端末にログイン通知を送信してログインを完了させて、ユーザーをユーザーのアカウント(マイページ)に誘導する。1段階目の認証および/または2段階目の認証が失敗した場合には、ユーザー端末に再入力画面を表示して、ユーザーに再度ログインさせる。
【0027】
例えば、ユーザー端末にログイン画面を表示し、ユーザーの入力の後に、上記シリアル番号と、イベントチケット購入時に主催者に申告しサーバーのクライアント情報として登録されているメールアドレスとを、サーバーに送信する。サーバーにおいて上記シリアル番号と上記メールアドレスがクライアント情報に合致する場合には、サーバーからユーザー端末にログイン通知を送信してログインを完了させて、ユーザーをユーザーのアカウント(マイページ)に誘導する。サーバーにおいて、上記シリアル番号と上記メールアドレスがクライアント情報に合致しない場合には、ログインを完了させずにユーザー端末に再入力を依頼するメッセージを表示し、ユーザーに再度ログインさせる。
【0028】
[ステップ(B)]
本発明のステップ(B)で、ユーザーがグッズの購入予約を行い、サーバーは成立した購入予約の条件をクライアント情報に紐付けて登録する。
【0029】
ステップ(B)では、ステップ(A)でログインしたユーザーが、ユーザー端末からサーバーに、購入予約リクエストを送信する。上記購入予約リクエストは、一般的には、購入したいグッズの種類(名前、番号、大きさなど)と数、引取を希望する時間や場所などを含む。サーバーは、受信したリクエストを物販管理情報と比較して、ユーザーのリクエストが実現可能と判定された場合に限り購入予約を成立させ、成立した購入予約内容をクライアントデータベースに格納し、当該購入予約に連動させて物販管理データベースを更新する。
【0030】
リクエストの実現可能性を判定する基準として、販売商品の在庫情報に加えて販売場所や販売時間の情報も用いることによって、イベントの物販会場で問題となっている行列や混雑を避けることができる。
【0031】
例えば、物販管理情報としてTシャツの在庫数:100枚、タオルの在庫数:100枚、物販スペースNo.002の時間帯1:午前10時から午前11時で新規に受付可能な最大ユーザー数:1が登録されていた場合、物販スペースNo.002で時間帯1に10枚のTシャツを購入したいというユーザー001(シリアル番号001)のリクエストは承認され、ここで成立した購入予約はクライアントデータベースの購入予約履歴データに反映される。ユーザーのリクエストが承認された場合、サーバーは、リクエスト承認データを生成してユーザー端末に送信し、ユーザー端末の表示を変更する。
【0032】
物販管理データベースにおいて、TシャツNo.001の在庫数は90枚に、物販スペースNo.002の時間帯1で新規に受付可能な最大ユーザー数は0(新規受付不可能)に、更新される。サーバーからユーザー端末に購入予約確定通知が送信され、ユーザー端末に購入予約が確定したことが表示される。この購入予約の直後にサーバーが、ユーザー002(シリアル番号002)から物販スペースNo.002で時間帯1にタオルを購入したいというリクエストを受信した場合、このリクエストは承認されない。サーバーは、物販管理データとリクエストの比較結果に基づいて再入力依頼データを生成してユーザー端末に送信する。ユーザー端末には、例えば「受付可能な人数を超えました。受取場所または受取時間帯を変更してください。」のようなメッセージが表示される。
【0033】
例えば、物販管理データベースにおいて、物販会場の販売時間(14:00-18:00)を4つの時間帯(14:00-15:00,15:00-16:00,16:00-17:00,17:00-18:00)に分け、一つの時間帯に対応できるユーザー数を20人以下に設定することもできる。この場合、ユーザーは購入時間帯を指定したリクエストを送信する。購入予約画面には、各時間帯の空き情報として、対応可能なユーザー数が残り5人以上の場合には「○」(十分に空きがある)、1人以上4人以下(残りわずか)の場合には「△」、0人の場合には「×」(満員)を表示し、「○」と「△」が表示された時間帯のみをユーザーが選択できるように設定することができる。
【0034】
このように、一つの販売場所や一つの販売時間帯に多くのユーザーが集まらない条件でユーザーの購入予約リクエストを成立させることによって、イベント会場でのいわゆるソーシャルディスタンスを確保することができる。
【0035】
ユーザーのリクエストが承認され、ユーザーの購入予約が成立すると、サーバーは購入予約確定通知をユーザーに提供する。上記購入予約確定通知は、一般的には、ユーザー端末に表示されるメッセージおよび/またはクライアントデータベースに登録されたユーザーのメールアドレスや電話番号に送信されるメッセージである。
【0036】
例えば、ユーザー端末は「予約を受け付けました。予約番号は******です。24時間以内に登録したメールアドレスに予約確定通知メールが届きます。」のようなメッセージを表示する。あるいは、ユーザー端末は「予約を受け付けました。次の画面でクレジットカードの登録を行ってください。」のようなメッセージを表示し、ユーザーのクレジットカード番号がユーザー端末からサーバーに送信される。この場合はユーザーのクレジットカード番号が購入予約のデータに紐づけられてクライアントデータベースに登録され、購入予約が確定する。またあるいは、ユーザー端末が「予約を受け付けました。予約を完了させるために、次の画面で代金の支払いを行ってください。」のようなメッセージを表示し、ユーザーが上記次の画面に進んで支払いを完了することによって、商品代金の支払と同時に購入予約が確定する。この場合は支払状況も購入予約のデータに紐づけられてクライアントデータベースに登録される。リクエスト承認から代金支払までの処理フローは、一般的なネット注文の手法の範疇にある限り、制限されない。
【0037】
[ステップ(C)]
イベントにおけるグッズ販売は、主催者にとって大きな収益源である。イベントの観客にとってグッズへの満足度がそのままイベントへの満足度に反映されることが多い。イベントの観客にとって、イベントに参加しなければ入手できないグッズを手に入れること、自分だけの特別なグッズが存在することが、グッズへの満足度につながっている。こうした事情から、主催者にとっても、ユーザーにとっても、個々のユーザーにカスタマイズされた条件でグッズが販売されることが、望ましい。本発明では、このようなユーザーごとにカスタマイズされた条件を、特典情報と呼ぶ。
【0038】
本発明のステップ(C)は、このような要望に応えるために、ユーザーに特典情報を提供するステップである。本発明のステップ(C)は、上記ステップ(B)の前後、あるいは上記ステップ(B)と並行して、実行される。
【0039】
上記ステップ(C)は、ユーザーのイベント関連商品の購入予約履歴に基づく。サーバーは、クライアントデータベースに登録されたユーザーの購入予約履歴と、物販管理データベースに登録されたグッズ情報、本発明の物販アプリで設定された特典条件に基づいて、個々のユーザーに向けた特典情報を生成し、特典メッセージデータをユーザー端末に送信する。上記特典情報は例えば以下の条件に基づく。
・特定のグッズを購入予約したユーザーだけが、有利な条件で次の購入予約をすることができる。
・これまでの購入金額が一定金額に達したユーザーだけが、有利な条件で次の購入予約をすることができる。
【0040】
したがって、本発明のステップ(C)では、ユーザー端末に例えば以下のメッセージが表示される。
・「口紅のご購入ありがとうございます。この口紅をお買い上げのお客様には、ポーチNo.200,201,202のいずれかを30%引きでご提供いたします。」
・「購入金額が10,000円以上のお客様だけに、特製香水(3,000円)の購入予約ができる優待コードを発行します。この香水は一般販売を予定していません。この機会にぜひご購入ください。」
・「さらに780円のご購入予約でお客様のランクが<パール>から<サファイヤ>にアップします。<サファイヤ>会員様は****ミュージックのライブラリーから5曲まで無料でダウンロードできます。」
本発明のステップ(C)を上記ステップ(A)の直後に実行して、ユーザーの購買意欲を一層高めることもできる。この場合、ステップ(A)で認証されたユーザーの画面に、予約可能なグッズ情報の表示に先立って、以下のような特典情報だけを表示することができる。この場合、ユーザーは特典情報を見た後でステップ(B)に進むので、ステップ(B)の開始時から特典情報を活用した購入予約を試みることができる。
・お得な情報~~クリアファイル+メンディングテープ+ボールペンの3点セット ネット予約で300円引~~
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[ステップ(D)]
本発明のステップ(D)で、ユーザーが購入予約したグッズを受け取る。ステップ(D)では、主催者が、ユーザーの購入予約情報に基づいて当該ユーザーが購入予約したグッズを抽出し、ユーザーによる当該グッズの代金支払いの完了を確認し、当該グッズをユーザーに引き渡す。
【0041】
実際のイベントの物販会場では、混雑を避け、誤作業を減らし、催事コストを下げるために、ユーザー端末から購入予約内容に対応するコードを読み取って、当該購入予約情報を取得し、取得した当該購入予約情報に基づいてグッズを抽出する。上記コードとしては、ユーザー端末に表示可能な限り、バーコードなどの一次元コード、QRコード(登録商標)などの2次元コードなどの公知の読み取りコードのいずれをも制限なく使用することができる。上記コードは、一般的には、上記ステップ(B)でユーザーに提供される。
【0042】
例えば、上記ステップ(B)でユーザーの購入予約が確定すると、サーバーは購入予約内容に基づいた読取コードデータを生成し、購入予約確定通知と共に当該読取コードデータをユーザーに提供する。ユーザーは、受け取った読取コードデータにアクセスして(例えばメールに掲載されたURLに進んで)読取コードをユーザー端末に表示させ、ステップ(D)で、当該読取コードをイベントスタッフに提示する。イベントスタッフは物販会場に設置されたインターネットに接続した端末機器(以下、「スタッフ端末」)で上記読取コードを読み取ってサーバーのクライアント情報から購入予約データ(引渡ボックス番号、商品名、数量、支払状況、ユーザー情報など)を取得して、ユーザーに引き渡すグッズを抽出する。
【0043】
グッズにも商品コードが添付されている場合には、グッズの引き渡し時にスタッフ端末でグッズの商品コードを読み取って引き渡し商品の情報をサーバーに送信し、サーバーは受信した商品情報に基づいて、クライアントデータベースと物販管理データベースを更新することができる。
上記スタッフ端末として利用できる機器としては、ユーザー端末と同様に制限がなく、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピューターなどのいずれもが使用できる。
【0044】
[効果]
本発明の物販システムでは、上記ステップ(A),(B),(C),(D)を行うことによって、ユーザーがイベント開催前に十分な時間をかけてグッズの購入予約をすることができる。またユーザーは、物販会場で混雑や待ち時間無く希望のグッズを受け取ることができる。主催者は、物販会場でのグッズ搬入とユーザー対応を事前の計画に合致させることができ、イベント開催コストを最適化することができる。また主催者は、イベント会場での混雑に伴う事故やトラブルを防止することができる。特に本発明の物販システムで上記ステップ(D):特典ステップを設けることによって、ユーザーの購買意欲を高め、しかも、ユーザーのイベントに対する満足度を高めることができる。
【実施例0045】
[実施例1]
図1は、本発明の物販システム・物販アプリを用いたユーザーのグッズ購入予約の流れを、模式的に示す。
図1を参照しながら本発明におけるステップ(A),(B),(C)の実行例の一つを説明する。
【0046】
(ステップ(A))ユーザーは、ユーザー端末にユーザーアプリをダウンロードして起動し、グッズ購入予約を開始する。
【0047】
まず、イベントチケットに紐づけられユーザーにあらかじめ提供されているシリアル番号を用いて、1段回目の認証を行う。ユーザー端末には、初め、イベントチケットに紐づけられユーザーにあらかじめ提供されているシリアル番号と、イベントチケット購入時に登録したメールアドレスとを要求する画面が表示される。ユーザー端末からサーバーに送信された上記シリアル番号と上記メールアドレスがクライアントデータベースに登録されたデータに合致する場合には、サーバーは2段回目の認証で用いるパスワードを生成してユーザーに送信する。当該パスワードはサーバーのクライアントデータベースに登録される。ユーザー端末からサーバーに送信された上記シリアル番号と上記メールアドレスがクライアントデータベースに登録されたデータに合致しない場合には、サーバーはユーザー端末に再入力要求データを送信し、ユーザー端末には再入力を要求するメッセージが表示される。
【0048】
上記パスワードの受信によって、ユーザーは2段階目の認証のための本ログイン用画面をユーザー端末に表示することができる。本ログイン用画面では、上記パスワードとイベントチケット購入時に登録したメールアドレスとを要求する画面が表示される。ユーザー端末からサーバーに送信された上記パスワードと上記メールアドレスがクライアントデータベースに登録されたデータに合致する場合には、サーバーは認証を終了し、グッズ購入予約が可能なユーザーページデータを生成してユーザー端末に送信する。ユーザー端末の表示画面はユーザーのマイページに移動し、ユーザーがグッズ購入予約のリクエストを入力することができるようになる。ユーザー端末からサーバーに送信された上記パスワードと上記メールアドレスがクライアントデータベースに登録されたデータに合致しない場合には、サーバーはユーザー端末に再入力要求データを送信し、ユーザー端末には再入力を要求するメッセージが表示される。
【0049】
(ステップ(B))ユーザーはユーザー端末の上記マイページ上で、グッズ購入予約のリクエストを入力し、このリクエストがユーザー端末からサーバーに送信される。サーバーは、リクエスト処理プラグラムを起動して、リクエストデータと物販管理データベースとを比較し、上記リクエストがイベント会場で実現可能か否かを判定する。
【0050】
リクエスト処理プラグラムによって上記リクエストがイベント会場で実現可能と判定された場合には、サーバーは上記リクエストを承認し、購入完了通知データとグッズ引き渡し時に利用する読取コードのデータを生成し、これらをユーザー端末に送信する。ユーザー端末は、上記購入完了通知データと上記読取コードデータを受信して、ユーザーにグッズ購入完了通知とグッズ引取用読取コードが提供される。
【0051】
リクエスト処理プラグラムによって上記リクエストがイベント会場で実現不可能と判定された場合には、サーバーはリクエストデータと物販管理データベースとの比較結果に基づいてリクエストの再入力要求データを生成してユーザー端末に送信する。ユーザーは、ユーザー端末に表示されたリクエストの再入力要求メッセージに従って、修正したリクエストを作成する。
【0052】
購入予約が完了すると、購入予約データに基づいてサーバーのクライアントデータと物販管理データが更新される。その結果、ユーザーの購入予約履歴が更新される。
【0053】
(ステップ(C))サーバーは特典プログラムによって、ユーザーの購入予約履歴データと特典条件とが比較され、比較結果に応じてユーザーごとの特典情報を生成し、当該特典情報を含むデータがサーバーからユーザー端末に送信される。このような特典情報の生成と送信は、ユーザーの購入予約リクエストが承認される度に実行される。上記特典情報を受信したユーザー端末のマイページには、最新の特典情報が表示される。その結果、ユーザーには、最新の購入予約履歴に基づいた最新の特典情報が提供される。
【0054】
ユーザーは、マイページに表示された特典情報を参考にして、購入予約を繰り返すことができる。ユーザーがグッズの購入予約を終了する場合にはマイページからログアウトする。ユーザーが再度グッズの購入予約を行う場合には、マイページにログインした状態でリクエストを再度作成するか、マイページの本ログイン用画面をユーザー端末に表示させて再度ログインしリクエストを再度作成する。
【0055】
この例では、ステップ(A)で、イベントチケットに紐付けされたシリアル番号、イベントチケットの購入時にユーザーが登録したメールアドレス、サーバーが発行したログインパスワードを用いた2段回・2要素認証を行なって、グッズ購入の資格を持つユーザーの認証精度を向上している。
【0056】
またこの例では、ステップ(B)とステップ(C)とを並行して実行することによって、イベントにおける、グッズ購入に対するユーザーの満足度向上と、イベント会場に最適化されたサービス提供と、主催者の物販コストの最小化とがバランスされた、グッズ販売を実現することができる。
【0057】
[実施例2]
図2は、本発明の物販システムおよび物販アプリを用いてイベント会場でグッズを販売する様子を、模式的に示す。
図2を参照しながら本発明におけるステップ(D)の実行例の一つを説明する。
【0058】
インターネット(1)上に、主催者が管理するサーバー(2)が設置されている。ユーザー端末(301,302)はインターネット(1)に接続することができる。
【0059】
ユーザー(31)(図示せず)は、ユーザー端末(301)がインターネット(1)に接続した状態で、グッズの購入予約を完了した。この購入予約で、グッズの購入場所はいイベント会場の物販スペース(51)に指定されている。ユーザー(31)は、購入予約内容を示す二次元コード(601)をユーザー端末(301)に表示することができる。
【0060】
ユーザー(32)(図示せず)は、ユーザー端末(302)がインターネット(1)に接続した状態で、グッズの購入予約を完了した。この購入予約で、グッズの購入場所はいイベント会場の物販スペース(52)に指定されている。ユーザー(32)は、購入予約内容を示す二次元コード(602)をユーザー端末(302)に表示することができる。
【0061】
イベントスタッフ(41)(図示せず)は、イベント会場の物販スペース(51)でグッズ引き渡しを担当する。物販スペース(51)で、イベントスタッフ(41)はインターネットに接続したスタッフ端末(401)でユーザー端末(301)に表示された二次元コード(601)から購入予約内容を取得し、グッズ購入会場、購入時間、支払状況を確認して、グッズをユーザー(31)に引き渡す。
【0062】
イベントスタッフ(42)(図示せず)は、イベント会場の物販スペース(52)でグッズ引き渡しを担当する。物販スペース(52)で、イベントスタッフ(42)はインターネットに接続したスタッフ端末(402)でユーザー端末(302)に表示された二次元コード(602)から購入予約内容を取得し、グッズ購入会場、購入時間、支払状況を確認して、グッズをユーザー(32)に引き渡す。
【0063】
本発明のステップ(D)では、物販会場でのユーザーの集中や滞留、イベントスタッフとグッズの購入者との対面交渉の必要性が最小限に抑えられている。このため主催者は、イベント会場にとって最適化された物販計画を、現実の物販サービスで実現することができる。
本発明によって、イベントにおける物販システムをイベント主催者にとってもイベントの観客にとっても最適化することができる。本発明は、イベント産業の収益力の向上とイベント文化の発展に貢献する。