(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068627
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】物体検出装置
(51)【国際特許分類】
G01S 17/88 20060101AFI20220427BHJP
G01S 7/51 20060101ALI20220427BHJP
G01S 17/06 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
G01S17/88
G01S7/51
G01S17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177410
(22)【出願日】2020-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(71)【出願人】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】小鷲 宜也
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 芳紀
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 毅
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 綾子
(72)【発明者】
【氏名】矢尾 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】北村 知
(72)【発明者】
【氏名】佐野 美和子
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA13
5J084AB01
5J084AB07
5J084AB17
5J084AD01
5J084AD02
5J084BA03
5J084BA48
5J084BB28
5J084CA25
5J084CA32
5J084CA34
5J084EA04
(57)【要約】
【課題】踏切内の路面上の検出対象物を精度よく検出する。
【解決手段】物体検出装置1は、踏切F内に設定された監視領域X内にレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光を受光するレーザレーダ10と、受光された反射光に基づいて、監視領域X内の路面の凹凸を示す凹凸マップを生成するマップ生成部21と、凹凸マップから、段差部分又は計測不能部分を確認箇所として抽出する抽出部22と、確認箇所を操作者に提示する提示部23と、操作者の入力操作に基づいて、凹凸マップにおける確認箇所の路面の高さを補正した補正凹凸マップを生成するマップ補正部24と、補正凹凸マップに基づいて、監視領域X内の路面上の検出対象物を検出する対象物検出部26と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏切内に設定された監視領域内にレーザ光を照射し、照射した前記レーザ光の反射光を受光するレーザレーダと、
受光された前記反射光に基づいて、前記監視領域内の路面の凹凸を検出し、前記監視領域内の前記路面の凹凸を示す凹凸マップを生成するマップ生成部と、
生成された前記凹凸マップから、予め定められた段差閾値以上の段差を有する段差部分又は前記路面の高さの計測が不能な計測不能部分を確認箇所として抽出する抽出部と、
抽出された前記確認箇所を操作者に提示する提示部と、
提示された前記確認箇所に対する前記操作者の入力操作に基づいて、前記凹凸マップにおける前記確認箇所の前記路面の高さを補正した補正凹凸マップを生成するマップ補正部と、
前記補正凹凸マップ及び前記レーザレーダで受光された前記反射光に基づいて、前記監視領域内の前記路面上の検出対象物を検出する対象物検出部と、を備える、物体検出装置。
【請求項2】
前記提示部は、前記監視領域の画像と前記確認箇所のリストとを表示部に表示させ、前記監視領域の画像中において、前記操作者によって前記リストから選択された前記確認箇所に対応する箇所を強調表示させる、請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記確認箇所が複数存在する場合、前記対象物検出部は、前記マップ補正部によって複数の前記確認箇所のすべてについての前記路面の高さの補正が完了するまで、前記補正凹凸マップを用いた前記検出対象物の検出を行わない、請求項1又は2に記載の物体検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、レーザレーダを備える物体検出装置がある。この物体検出装置は、レーザレーダから監視領域内の複数の位置にそれぞれレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射点の三次元位置を算出することによって、監視領域内の路面上の物体を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述したレーザレーダを用いた物体検出装置では、例えば路面に凹凸がある場合、路面の凸部を検出対象物として検出してしまう等、検出対象物を精度よく検出することができないことがある。このため、物体検出装置では、路面形状を特定して検出対象物を検出することが考えられるが、路面形状の特定において誤りが多い場合にはかえって検出精度が低下することがある。
【0005】
そこで、本発明は、踏切内の路面上の検出対象物を精度よく検出可能な物体検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る物体検出装置は、踏切内に設定された監視領域内にレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光を受光するレーザレーダと、受光された反射光に基づいて、監視領域内の路面の凹凸を検出し、監視領域内の路面の凹凸を示す凹凸マップを生成するマップ生成部と、生成された凹凸マップから、予め定められた段差閾値以上の段差を有する段差部分又は路面の高さの計測が不能な計測不能部分を確認箇所として抽出する抽出部と、抽出された確認箇所を操作者に提示する提示部と、提示された確認箇所に対する操作者の入力操作に基づいて、凹凸マップにおける確認箇所の路面の高さを補正した補正凹凸マップを生成するマップ補正部と、補正凹凸マップ及びレーザレーダで受光された反射光に基づいて、監視領域内の路面上の検出対象物を検出する対象物検出部と、を備える。
【0007】
このように、物体検出装置は、凹凸マップの確認箇所を操作者に提示し、確認箇所の路面の高さを操作者の入力操作に基づいて補正した補正凹凸マップを生成する。従って、物体検出装置は、路面の凹凸を考慮して検出対象物を検出する際に、凹凸マップに確認箇所が存在する場合であっても、操作者の入力操作に基づいて確認箇所の路面の高さが補正された精度の高い補正凹凸マップを生成できる。これにより、物体検出装置は、この補正凹凸マップを用いることによって、路面上の検出対象物を精度よく検出することができる。
【0008】
物体検出装置において、提示部は、監視領域の画像と確認箇所のリストとを表示部に表示させ、監視領域の画像中において、操作者によってリストから選択された確認箇所に対応する箇所を強調表示させてもよい。この場合、操作者は、表示部に表示された監視領域の画像を見ることによって、リストから選択した確認箇所が監視領域内のどの部分に対応するかを容易に把握することができる。
【0009】
物体検出装置において、確認箇所が複数存在する場合、対象物検出部は、マップ補正部によって複数の確認箇所のすべてについての路面の高さの補正が完了するまで、補正凹凸マップを用いた検出対象物の検出を行わなくてもよい。この場合、物体検出装置は、操作者による確認箇所の補正の漏れを抑制することができ、確認箇所のすべてについて補正が完了した補正凹凸マップに基づいて検出対象物を精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一側面によれば、踏切内の路面上の検出対象物を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態に係る物体検出装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、踏切内に設定された監視領域を上方から見た図である。
【
図3】
図3は、監視領域の画像及びリストを用いて確認箇所を提示する表示部の表示例を示す図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、確認箇所が段差部分である場合の表示部の表示例を示す図である。
【
図5】
図5は、確認箇所が計測不能部分である場合の表示部の表示例を示す図である。
【
図6】
図6は、監視領域の画像及びリストを用いて雑草マスクを設定する場合の表示部の表示例を示す図である。
【
図7】
図7(a)は、凹凸形状の路面を示す図である。
図7(b)は、凹凸形状の路面と下部マスクとを示す図である。
図7(c)は、凹凸形状の路面と傾斜した基準平面とを示す図である。
【
図8】
図8は、凹凸形状の路面と雑草マスクとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1及び
図2に示される物体検出装置1は、監視領域内の検出対象物を検出する。本実施形態において、物体検出装置1は、鉄道線路Rと自動車用の道路Lとが交差する踏切F内に設定された監視領域X内の検出対象物を検出する。また、ここでの検出対象物とは、例えば、車両、及び人等である。物体検出装置1における検出対象物の検出結果は、物体検出装置1の上位装置等に出力され、上位装置等において例えば遮断機の開閉制御、鉄道線路Rを走行する列車の運行制御等の種々の制御に利用される。物体検出装置1は、レーザレーダ10、演算部20、表示部30、及び入力部40を備えている。
【0014】
表示部30は、物体検出装置1の操作者に対し、画像等の各種の情報を表示して提示するための表示機器(例えばモニタ等)である。入力部40は、物体検出装置1の操作者による入力操作を受け付けるための入力機器である。入力部40として用いられる入力機器の種類は、限定されない。
【0015】
レーザレーダ10は、監視領域X内の複数の位置にレーザ光を照射し、照射したレーザ光の反射光を受光する。レーザレーダ10は、ライダー(Lidar:Light Detection and Ranging)とも称される。レーザレーダ10は、地上に設置された支柱等の支持部材に固定されている。レーザレーダ10は、例えば、建物の壁等に固定されていてもよい。レーザレーダ10は、踏切F内を移動する検出対象物を上方から見下ろすことができるように設置されている。
【0016】
レーザレーダ10は、照射部11、反射部12、及び受光部13を備えている。照射部11は、レーザ光を発生させる発光素子を備えている。照射部11は、レーザ光を予め定められた照射周期で照射する。
【0017】
反射部12は、レーザ光を反射させるミラーを備えている。反射部12は、照射部11から照射されたレーザ光を、ミラーによって監視領域Xに向けて反射させる。また、反射部12は、ミラーの角度を変更することができる。反射部12は、ミラーの角度を変更してレーザ光の反射角度を変更することにより、監視領域X内の複数の位置にレーザ光を順次反射させる。
【0018】
さらに、反射部12は、物体で反射してレーザレーダ10に戻ってきた反射光を、受光部13に向けて反射させる。受光部13は、物体で反射した反射光を反射部12を介して受光する。レーザレーダ10は、レーザ光の受光結果を演算部20に出力する。
【0019】
演算部20は、監視領域X内の路面の凹凸を示す凹凸マップを生成し、凹凸マップ内の確認箇所について操作者の入力操作に基づいて路面の高さを補正した補正凹凸マップを生成する。そして、演算部20は、補正凹凸マップと受光部13におけるレーザ光の反射光の受光結果とに基づいて、検出対象物の検出を行う。演算部20は、レーザレーダ10と一体に設けられていてもよく、レーザレーダ10とは別の場所に設けられていてもよい。
【0020】
演算部20は、例えば、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、及びRAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。演算部20は、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。演算部20は、複数の電子制御ユニットによって構成されていてもよい。
【0021】
演算部20は、機能的には、マップ生成部21、抽出部22、提示部23、マップ補正部24、マスク設定部25、及び対象物検出部26を備えている。以下、演算部20の機能の詳細について説明する。
【0022】
マップ生成部21は、レーザレーダ10で受光されたレーザ光の反射光に基づいて、監視領域X内の路面(地面)の凹凸を検出し、監視領域X内の路面の凹凸を示す凹凸マップを生成する。マップ生成部21は、レーザ光の反射光の反射点の高さ位置に基づいて、路面の凹凸を認識することができる。マップ生成部21は、レーザ光の反射光の受光結果に基づいて、周知の種々の方法によって凹凸マップを生成することができる。また、マップ生成部21は、監視領域X内を通過する車両等の影響(ノイズ)を除外して、周知の方法によって、路面の凹凸マップを生成することができる。
【0023】
抽出部22は、生成された凹凸マップから、予め定められた段差閾値以上の段差を有する段差部分又は路面の高さの計測が不能な計測不能部分を確認箇所として抽出する。確認箇所とは、凹凸マップのうち、物体検出装置1の操作者に対して路面の高さの確認を要求する箇所である。本実施形態において、抽出部22は、予め定められた段差閾値以上の段差を有する段差部分及び路面の高さの計測が不能な計測不能部分の両方を、それぞれ確認箇所として抽出する。
【0024】
段差部分とは、周囲の高さに対して段差閾値以上の高低差を有し、周囲と高さが不連続となっている部分である。通常、踏切F内は、車両、列車、及び歩行者等が通行するため、平面状、又は滑らかに路面の高さが変化する形状となっており、通行に支障となる段差はない。高さが不連続となる部分が存在する場合、踏切F内に何らかの支障物(作業員が置き忘れた工具、作業用の車両が侵入している等)が存在する可能性が考えられる。このため、抽出部22は、凹凸マップに高さが不連続となる段差部分がある場合、操作者に対して路面の高さの確認を要求する確認箇所として抽出する。
【0025】
ここで、周囲の高さに対する段差閾値以上の高低差とは、例えば、以下である。路面の凹凸マップがレーザレーダ10による複数の計測点により生成されている場合、隣同士の計測点の高さの差分が段差閾値以上である場合に段差閾値以上の高低差が存在すると判定することができる。これにより計測点の高さが急激に(つまり段差閾値以上に)変化した箇所が不連続部分となる。また、所定間隔内の複数の計測点のうち高さが最小の計測点と高さが最大の計測点の双方の高さの差分が段差閾値以上である場合に段差閾値以上の高低差が存在すると判定することもできる。これにより、計測点の高さは滑らかに(つまり段差閾値未満に)変化しているものの、所定間隔全体としては段差閾値以上の高低差が存在している箇所が不連続部分となる。上記のように段差閾値以上の高低差として特定すべき段差の定義は、適宜定めることができる。
【0026】
なお、抽出部22は、段差部分を抽出する際に用いる段差閾値として、予め定められた一定の値を用いてもよい。また、抽出部22は、一定の値に限定されず、周囲の路面の高さの変動等の設定条件に応じて定められた値を段差閾値として用いてもよい。
【0027】
計測不能部分とは、レーザレーダ10を用いて路面の高さを計測できなかった部分である。計測不能部分としては、例えば、照射部11から照射されたレーザ光がレール等の金属面で反射して、受光部13において受光できない部分が考えられる。抽出部22は、計測不能部分が存在する場合、計測不能部分の路面の高さの異常の有無を確認するため、計測不能部分を確認箇所として抽出する。
【0028】
提示部23は、
図3に示されるように、表示部30の画面31に各種の情報を表示させる。提示部23は、画面31内に、第1画像P1及び第2画像P2を表示させる。第1画像P1及び第2画像P2は、それぞれ監視領域Xの画像である。
【0029】
第1画像P1は、レーザレーダ10の設置位置から監視領域Xを見た図である。提示部23は、レーザレーダ10の検出結果に基づいて第1画像P1を生成する。例えば、提示部23は、レーザ光の反射光の強度を画素の輝度値とすることによって、第1画像P1を生成することができる。この場合、例えば、第1画像P1は、グレースケールの画像となる。
【0030】
第2画像P2は、監視領域Xを上方から見た図である。提示部23は、レーザレーダ10の検出結果に基づいて第2画像P2を生成する。例えば、提示部23は、レーザレーダ10で検出されたレーザ光の各反射点の高さ位置に基づいて、高さ位置に応じた色を各反射点に付すことによって第2画像P2を生成してもよい。例えば、第2画像P2は、反射点の高さに応じた濃さの色、又は反射点の高さに応じた色が付された画像であってもよい。なお、
図3において第2画像P2は、作図の都合上、高さの境界部分を線で区切った線図となっているが、例えば上述したように反射点の高さ応じた濃さ又は色が付された画像となっている。
【0031】
このように、第1画像P1は、監視領域Xを斜め上方から見た画像であるため、第2画像P2よりも、物体の高さ等の把握を容易に行うことができる。また、第2画像P2は、監視領域Xを上方から見た画像であるため、第1画像P1よりも、後述する雑草マスク等の領域設定を容易に行うことができる。
【0032】
また、提示部23は、抽出部22で抽出された確認箇所を表示部30に表示させ、確認箇所を操作者に提示する。ここでは、提示部23は、監視領域Xの画像と、抽出された確認箇所のリストとを表示部30に表示させる。具体的には、
図3に示されるように、提示部23は、確認箇所のリストSを第1画像P1及び第2画像P2と共に画面31に表示させる。このリストSには、例えば、確認箇所を識別するためのID、確認箇所の種別(段差部分又は計測不能部分)、操作者による高さの設定(編集)が行われた状態であるか否かの有無が示されている。
【0033】
また、提示部23は、第2画像P2内に、確認箇所を表示させる。ここでは、提示部23は、第2画像P2中において、それぞれの確認箇所に対応する箇所に印を付す又は他とは異なる色を付す等によって、確認箇所を第2画像P2中に表示させる。
図3に示される例では、第2画像P2中の黒丸印によって確認箇所が表示されている。また、提示部23は、第2画像P2内に表示した確認箇所の各位置の近傍に、リストSに示される確認箇所に対応するIDを付す。これにより、操作者は、リストSに表示された確認箇所が第2画像P2中に表示された確認箇所のいずれに対応するかを容易に把握することができる。
【0034】
また、提示部23は、操作者がリストSの中からある確認箇所を選択した場合、第2画像P2中に表示された確認箇所のうち、操作者によって選択された確認箇所を強調して表示する。例えば、提示部23は、選択された確認箇所を強調して表示することとして、他の確認箇所とは異なる色で表示する、又は選択された確認箇所を点滅させる等を行うことができる。このように、提示部23は、第2画像P2中において、リストSの中から操作者によって選択された確認箇所に対応する箇所を強調表示させる。第2画像P2内に確認箇所が表示されているため、操作者は、監視領域X内における確認箇所の平面的な位置を容易に把握することができる。
【0035】
なお、提示部23は、
図3に示されるように、第1画像P1に第1カーソルC1を表示させ、第2画像P2に第2カーソルC2を表示させる。第1カーソルC1が示す位置は、第2カーソルC2が実際に踏切F内において示す位置に対応する位置を示している。また、第1カーソルC1は、操作者が第2カーソルC2を移動させることと連動して第1画像P1内で移動する。すなわち、第1カーソルC1と第2カーソルC2とは互いに連動して移動する。これにより、操作者は、第2画像P2に表示された確認箇所等の位置が第1画像P1内のどの位置に対応するかを容易に把握できる。
【0036】
マップ補正部24は、提示部23によって提示された確認箇所に対する操作者の入力操作に基づいて、凹凸マップにおける確認箇所の路面の高さを補正した補正凹凸マップを生成する。操作者は、入力部40を用いて、補正凹凸マップを生成するための各種の入力操作を行うことができる。
【0037】
具体的には、操作者は、例えば画面31に表示されたリストSから、路面の高さを補正するための確認箇所を選択する。確認箇所が選択されることにより、上述したように、第2画像P2中において選択された確認箇所が強調表示される。
【0038】
操作者によって選択された確認箇所が段差部分である場合、提示部23は、例えば
図4(a)に示されるように、確認箇所が本当に段差部分であるか否かを操作者に確認するための確認画面K1を画面31に表示させる。確認画面K1は、例えば、操作者によって選択された確認箇所と重ならないように第2画像P2に重ねて表示される。例えば、操作者は、第1画像P1を確認することによって、確認箇所が段差部分であるか否かを把握できる。操作者は、入力部40を操作することにより、選択した箇所が段差部分である場合には「段差です」ボタンを選択し、段差部分ではない場合には「違います」ボタンを選択する。
【0039】
マップ補正部24は、確認箇所が段差部分であると操作者によって選択された場合、当該確認箇所の路面の高さとしてマップ生成部21で認識された路面の高さを採用し、補正凹凸マップを生成する。このように、マップ補正部24が凹凸マップにおける確認箇所の路面の高さを補正することとは、マップ生成部21で認識された路面の高さを設定する(設定された値をそのまま維持する)ことを含む。
【0040】
一方、確認箇所が段差ではないと操作者によって選択された場合、マップ補正部24は、操作者の入力操作に基づいて設定された路面の高さを当該確認箇所の路面の高さとして採用し、補正凹凸マップを生成する。このように、マップ補正部24は、凹凸マップの確認箇所の路面の高さを操作者の入力操作に基づいて設定された高さに補正し、補正凹凸マップを生成する。
【0041】
ここで、確認箇所が段差ではない場合の路面の高さの設定方法として、操作者が路面の高さを直接入力する方法と、操作者による補完指示に基づいて周囲の路面の高さからマップ補正部24が補完する方法とがある。本実施形態では、いずれの方法によって路面の高さを設定するかを操作者が選択できる。
【0042】
具体的には、提示部23は、例えば
図4(b)に示されるように、操作者が確認箇所の路面の高さを設定するための確認画面K2を画面31に表示させる。確認画面K2は、例えば、操作者によって選択された確認箇所と重ならないように第2画像P2に重ねて表示される。操作者は、確認箇所の路面の高さを直接入力する場合、推定又は計測等した路面の高さを入力欄に入力し、「設定」ボタンを選択する。例えば、操作者は、第1画像P1を確認することによって、路面の高さを推定してもよい。マップ補正部24は、操作者によって入力された路面の高さに基づいて、補正凹凸マップを生成する。
【0043】
一方、操作者は、路面の高さをマップ補正部24によって補完させる場合、確認画面K2の「補完」ボタンを選択する。この場合、マップ補正部24は、操作者の補完指示に従い、確認箇所の周囲の路面の高さに基づいて確認箇所の路面の高さを補完する。通常、路面の高さは周囲と大きく変化しない。このため、マップ補正部24は、周囲の路面の高さから当該確認箇所の路面の高さを補完することができる。マップ補正部24は、周知の種々の方法を用いて、路面の高さを補完することができる。マップ補正部24は、周囲の路面の高さから補完した路面の高さに基づいて、補正凹凸マップを生成する。
【0044】
また、操作者によって選択された確認箇所が計測不能部分である場合、提示部23は、操作者の入力操作に基づいて設定された路面の高さを当該確認箇所(計測不能部分)の路面の高さとして採用し、補正凹凸マップを生成する。このように、マップ補正部24は、凹凸マップの確認箇所(計測不能部分)の路面の高さを操作者の入力操作に基づいて設定された高さに補正し、補正凹凸マップを生成する。
【0045】
ここで、確認箇所が計測不能部分である場合の路面の高さの設定方法として、操作者が路面の高さを直接入力する方法と、操作者による補完指示に基づいて周囲の路面の高さからマップ補正部24が補完する方法とがある。本実施形態では、いずれの方法によって計測不能部分の路面の高さを設定するかを操作者が選択できる。
【0046】
具体的には、提示部23は、例えば
図5に示されるように、操作者が計測不能部分の路面の高さを設定するための確認画面K3を画面31に表示させる。確認画面K3は、例えば、操作者によって選択された確認箇所と重ならないように第2画像P2に重ねて表示される。操作者は、計測不能部分の路面の高さを直接入力する場合、推定又は計測等した路面の高さを入力欄に入力し、「設定」ボタンを選択する。例えば、操作者は、第1画像P1を確認することによって、路面の高さを推定してもよい。マップ補正部24は、操作者によって入力された路面の高さに基づいて、補正凹凸マップを生成する。
【0047】
一方、操作者は、路面の高さをマップ補正部24によって補完させる場合、確認画面K3の「補完」ボタンを選択する。この場合、マップ補正部24は、操作者の補完指示に従って、計測不能部分の周囲の路面の高さに基づいて計測不能部分の路面の高さを補完する。通常、路面の高さは周囲と大きく変化しない。このため、マップ補正部24は、周囲の路面の高さから当該計測不能部分の路面の高さを補完することができる。マップ補正部24は、周知の種々の方法を用いて、路面の高さを補完することができる。マップ補正部24は、周囲の路面の高さから補完した路面の高さに基づいて、補正凹凸マップを生成する。
【0048】
なお、マップ補正部24は、計測不能部分の領域が監視領域Xに対して予め定められた閾値以上の広さの場合、補正凹凸マップの生成を中止する。そして、提示部23は、計測不能部分の領域が広いために補正凹凸マップの作成を中止する旨を操作者に提示してもよい。
【0049】
また、マップ補正部24は、抽出部22で抽出された確認箇所が複数存在する場合、複数の確認箇所のすべてについての路面の高さの補正が完了するまで、確認箇所の路面の高さの補正処理を行う。例えば、演算部20は、確認箇所のすべてについての路面の高さの補正が完了するまで、次の設定画面に移行できないようにしてもよい。これにより、物体検出装置1は、路面の高さの設定漏れ(誤設定)を防止できる。
【0050】
マスク設定部25は、監視領域X内において、検出対象物の検出を行わない除外マスクを設定する。除外マスクは、操作者による入力操作に基づいて設定される。例えば、踏切F内の監視領域Xにおいて、車両、人、及び列車が通行しない部分には柵などの構造物が設置されていることがある。除外マスクは、このような構造物を検出対象外として設定するためのマスクである。対象物検出部26は、除外マスクが設定された領域については検出対象物の検出を行わない。
【0051】
なお、抽出部22は、マスク設定部25によって除外マスクが設定された領域については、確認箇所の抽出を行わない。通常、踏切F内には柵等の高さの高い物体は存在しない。踏切F内には、縁石と路面との間の段差、及び、路面とバラストとの間の段差がある程度である。このため、演算部20は、抽出部22によって上述した段差閾値よりも大きな所定の高さ閾値以上の段差が検出された場合、マスク設定部25による除外マスクの設定漏れ又は障害物が存在する可能性があるとして、補正凹凸マップの生成を停止させる。
【0052】
また、マスク設定部25は、操作者による入力操作に基づいて、監視領域X内に雑草マスクを設定する。例えば、
図6に示されるように、監視領域X内の土が溜まりやすい場所には雑草が生える可能性がある。このような場所では、雑草が成長することによって、雑草を検出対象物と誤検出することがある。このため、マスク設定部25は、操作者が入力した雑草が生えそうな領域を雑草マスクYとして設定し、雑草が生えた場合に備えることができるようにしている。例えば、操作者は、雑草が生えそうな領域を囲むことによって雑草マスクYを設定することができる。また、操作者は、第1画像P1を見ながら雑草が生えやすい場所を容易に認識することができ、第2画像P2を見ながら雑草マスクYの範囲を容易に設定できる。
【0053】
対象物検出部26は、マップ補正部24で生成された補正凹凸マップ、及び受光部13で受光された反射光の受光結果に基づいて、監視領域X内の路面上の検出対象物を検出する。ここでは、対象物検出部26は、反射光の受光結果として、レーザレーダ10の各計測点(各レーザ光の反射点)の高さ(三次元的な位置)を用いる。また、対象物検出部26は、抽出部22において確認箇所が複数抽出されている場合、マップ補正部24によって複数の確認箇所のすべてについての路面の高さの補正が完了するまで、補正凹凸マップを用いた検出対象物の検出を行わない。
【0054】
なお、マップ生成部21で適切に凹凸マップが生成された場合、提示部23において確認箇所が抽出されず、補正凹凸マップが生成されないことがある。この場合、対象物検出部26は、マップ生成部21で生成された凹凸マップ、及び受光部13で受光された反射光の受光結果に基づいて、監視領域X内の路面上の検出対象物を検出する。以下、凹凸マップ及び補正凹凸マップのうち、補正凹凸マップを用いて検出対象物を検出する場合を代表させて説明する。
【0055】
例えば、
図7(a)に示されるように、監視領域X内の路面Gが平坦ではなく、凹凸形状となっている。なお、演算部20は、監視領域X内に設定された基準平面Hを基準として用い、基準平面Hを基準として路面Gの高さ等の各種の高さを算出する。補正凹凸マップは、路面Gの凹凸、すなわち、路面Gの各地点の高さを示している。このため、対象物検出部26は、レーザレーダ10の各計測点の高さを補正凹凸マップの各地点の高さで補正することで、レーザレーダ10の各計測点の高さから路面Gの凹凸の影響を除外することができる。以下、レーザレーダ10で計測された各計測点の高さから路面Gの凹凸の影響を除外した、各計測点における補正後の高さを、「補正後計測点高さ」という。
【0056】
ここでは、対象物検出部26は、例えば、
図7(a)に示されるように、レーザレーダ10の各計測点の高さAから、補正凹凸マップにおける各地点の高さをそれぞれ減算することにより、各計測点における補正後計測点高さA1を得ることができる。
【0057】
また、対象物検出部26は、監視領域X内の路面上に下部マスクを設定し、設定した下部マスクよりも高さの高い検出対象物を検出する。具体的には、
図7(b)に示されるように、下部マスクMは、基準平面Hを基準とし、基準平面Hから予め定められた高さ位置に設定される。下部マスクMは、路面G上のゴミ等を検出対象物と誤検出することを抑制するために設定される。
【0058】
図7(b)では路面Gの凸部分が下部マスクMよりも高い位置となっており、路面Gの凸部分を検出対象物と誤検出してしまうようにも見える。しかしながら、対象物検出部26は、上述したように路面Gの凹凸の影響が除外された補正後計測点高さを用いて検出対象物の検出を行う。このため、レーザレーダ10で計測された路面Gの凸部分の補正後の高さ(補正後計測点高さ)は、下部マスクMよりも低くなり、この凸部分は検出対象物として誤検出されない。
【0059】
すなわち、実際には下部マスクMは平面状であるが、補正後計測点高さを用いることにより、路面Gの凹凸に沿った形状の下部マスクM1が検出対象物の検出のために適用されているように見える。
【0060】
このように、対象物検出部26は、補正凹凸マップに基づいて算出された補正後計測点高さを用いることにより、下部マスクMの高さを低く設定しても、路面Gの凸部分を検出対象物として誤検出してしまうことを抑制できる。また、例えば、
図7(c)に示されるように、基準平面Hの設定が適切でなく、路面Gに対して基準平面Hが大きく傾斜していることがある。このような場合であっても、補正後計測点高さを用いることにより、基準平面Hを基準として設定された下部マスクMを用いたとしても、路面Gの凹凸に沿った形状の下部マスクM1が検出対象物の検出のために適用されているように見える。このため、物体検出装置1は、路面Gを検出対象物として誤検出することを抑制できる。
【0061】
また、例えば、
図8に示されるように、マスク設定部25によって雑草マスクYが設定されている。雑草マスクYは、予め定められた高さ制限付きのマスクである。対象物検出部26は、雑草マスクYの高さ範囲内に補正後計測点高さが存在する場合には、この計測点を無視する(検出対象物の検出に用いない)。これにより、雑草マスクY内で雑草が生えたとしても、雑草を検出対象物として誤検出することが抑制される。また、対象物検出部26は補正後計測点高さを用いるため、下部マスクと同様に、雑草マスクYの各位置の高さも路面Gの凹凸に沿った高さが設定されているように見える。
【0062】
なお、対象物検出部26は、レーザレーダ10の各計測点の高さを補正凹凸マップで補正して検出対象物の検出を行うことに限定されない。対象物検出部26は、補正凹凸マップを用いて路面Gの凹凸に合わせて下部マスクを補正し、レーザレーダ10の各計測点の高さと補正した下部マスクとを用いて検出対象物の検出を行ってもよい。このように対象物検出部26は、補正凹凸マップ及びレーザレーダ10で受光された反射光の受光結果を用い、路面Gの凹凸を考慮して周知の種々の方法によって検出対象物の検出を行うことができる。
【0063】
以上のように、物体検出装置1は、生成した凹凸マップから確認箇所を抽出し、抽出した確認箇所を操作者に提示する。そして、物体検出装置1は、操作者の入力操作に基づいて確認箇所の路面の高さを補正し、補正凹凸マップを生成する。従って、物体検出装置1は、路面の凹凸を考慮して検出対象物を検出する際に、凹凸マップに確認箇所が存在する場合であっても、操作者の入力操作に基づいて確認箇所の路面の高さが補正された精度の高い補正凹凸マップを生成できる。これにより、物体検出装置1は、この補正凹凸マップを用いることによって、踏切F内に設定された監視領域Xの路面上の検出対象物を精度よく検出することができる。
【0064】
提示部23は、第1画像P1及び第2画像P2と確認箇所のリストSとを表示部30に表示させる。また、提示部23は、第2画像P2中において、操作者によってリストSから選択された確認箇所に対応する箇所を強調表示させる。この場合、操作者は、表示部30に表示された第2画像P2を見ることによって、リストSから選択した確認箇所が監視領域X内のどの部分に対応するかを容易に把握することができる。
【0065】
提示部23によって抽出された確認箇所が複数存在する場合、対象物検出部26は、マップ補正部24によって複数の確認箇所のすべてについての路面の高さの補正が完了するまで、補正凹凸マップを用いた検出対象物の検出を行わない。この場合、物体検出装置1は、操作者による確認箇所の補正の漏れを抑制することができ、確認箇所のすべてについて補正が完了した補正凹凸マップに基づいて検出対象物を精度よく検出することができる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、
図3から
図6を用いて説明した表示部30の表示例については一例であり、この表示例に限定されない。また、表示部30に表示される第1画像P1及び第2画像P2についても、上述した画像に限定されない。
【符号の説明】
【0067】
1 物体検出装置
10 レーザレーダ
21 マップ生成部
22 抽出部
23 提示部
24 マップ補正部
26 対象物検出部
30 表示部
F 踏切
G 路面
P1 第1画像(監視領域の画像)
P2 第2画像(監視領域の画像)
S リスト
X 監視領域