(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068631
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】スクリーン装置
(51)【国際特許分類】
A47G 5/02 20060101AFI20220427BHJP
A47H 23/00 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
A47G5/02
A47H23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177417
(22)【出願日】2020-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】501475550
【氏名又は名称】株式会社オーエスエム
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】奥村 正之
【テーマコード(参考)】
2E182
【Fターム(参考)】
2E182AA01
2E182AB04
2E182AB13
2E182BB07
2E182BB22
2E182CC04
2E182EE06
(57)【要約】
【課題】スクリーン設置部に大型のスクリーンシートを上下に展開した状態で使用できるとともに、スクリーン装置の不使用時は、スクリーンシートをコンパクトに格納して、その搬送および保管等を容易に行うことができるスクリーン装置を提供する。
【解決手段】スクリーン設置部の上方に位置する被取付部Tに取り付けられる巻取り装置2と、前記巻取り装置2から引き出されるスクリーンシート3とを備え、前記スクリーンシート3の下端部には、前記スクリーン設置部の下方に位置する被止着部Yに着脱可能に止着される止着部材5が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーン設置部の上方に位置する被取付部に取り付けられる巻取り装置と、
前記巻取り装置から引き出されるスクリーンシートとを備え、
前記スクリーンシートの下端部には、前記スクリーン設置部の下方に位置する被止着部に着脱可能に止着される止着部材が設けられているスクリーン装置。
【請求項2】
前記スクリーンシートの下端部には、平面視において円弧状に湾曲可能な素材からなる保形部が設けられ、
前記保形部の下面に前記止着部材が設けられている請求項1記載のスクリーン装置。
【請求項3】
前記スクリーンシートの下端部には、前記スクリーンシートの幅方向に分割された複数個の分割体と、前記各分割体を平面視において屈曲可能に連結するヒンジ部とを有する保形部が設けられ、
前記分割体の下面に前記止着部材が設けられている請求項1記載のスクリーン装置。
【請求項4】
前記スクリーンシートの上方部または下方部の少なくとも一方が、その間に位置するシート本体部に比べて柔軟性が高い素材で形成されている請求項2または3記載のスクリーン装置。
【請求項5】
前記スクリーンシートは、飛沫感染防止機能を有する透明シート材で形成され、前記スクリーン設置部を講師側と聴衆側とに区画するように設置される請求項1~4のいずれか1項に記載のスクリーン装置。
【請求項6】
前記巻取り装置の函体には、前記スクリーンシートの引出口が前記函体の一側方部側に偏った位置に設けられ、
前記函体は、前記一側方部が前記聴衆側に面するとともに、前記函体の他側方部が前記講師側に面した状態で前記被取付部に取り付けられている請求項5記載のスクリーン装置。
【請求項7】
前記被止着部は、前記講師側に配置された演台に設けられている請求項5または6記載のスクリーン装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部屋の内部等を区画することを目的として設置されるスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正面板と左面板と右面板と上面板とを有する透明なシールド具と、このシールド具の土台の役割を有する保持部材とで構成された対面用防護パネルを、対面販売や対面接客するための対面位置に載置可能に設けることが行われている(例えば特許文献1参照)。このような対面用防護パネル本体によれば、対面販売や対面接客時等に対面位置の正面、左右両側、および上面側の四方を囲うことにより、新型インフルエンザや鳥インフルエンザ等の感染症を予防することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の対面用防護パネルでは、対面式カウンター等の上に容易かつコンパクトに設置することが可能である。この反面、講演会場や教室等の部屋を区画するように設置される大掛かりなものでは、対面用防護パネルの寸法および重量がかなり大きくなるため、これを搬送および保管する際の取扱いが困難であるという問題があった。
【0005】
前述の状況に鑑みて本発明が解決しようとするところは、スクリーン設置部が大掛かりな場合であっても、搬送および保管等を容易に行うことができるスクリーン装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るスクリーン装置は、スクリーン設置部の上方に位置する被取付部に取り付けられる巻取り装置と、前記巻取り装置から引き出されるスクリーンシートとを備え、前記スクリーンシートの下端部には、前記スクリーン設置部の下方に位置する被止着部に着脱可能に止着される止着部材が設けられたものである。
【0007】
この構成によれば、スクリーンシートの使用時には、スクリーン設置部の上方の巻き取り装置からスクリーンシートを引き出して、スクリーン設置部の下方の被止着部にスクリーンシートの止着部材を止着することにより、スクリーンシートを上下に展開させた状態で安定して保持することができる。また、スクリーンシートの不使用時には、スクリーンシートの止着部材を被止着部から離脱させることにより、巻き取り装置によりスクリーンシートを巻き取ってコンパクト化することができるため、その搬送および格納を容易に行うことができる。
【0008】
また、前記スクリーンシートの下端部には、平面視において円弧状に湾曲可能な素材からなる保形部が設けられ、前記保形部の下面に前記止着部材が設けられたものであることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、スクリーンシートの下端部に設けられた保形部を、平面視において円弧状に湾曲させることにより、スクリーンシートを上端から下端にかけて徐々に湾曲させた状態で設置することができる。
【0010】
さらに、前記スクリーンシートの下端部には、前記スクリーンシートの幅方向に分割された複数個の分割体と、前記各分割体を平面視において屈曲可能に連結するヒンジ部とを有する保形部が設けられ、前記分割体の下面に前記止着部材が設けられたものとしてもよい。
【0011】
この構成によれば、前記ヒンジ部を支点に各分割体を平面視において屈曲させることにより、スクリーンシートを上端から下端にかけて徐々に湾曲させた状態で設置することができる。
【0012】
さらにまた、前記スクリーンシートの上方部または下方部の少なくとも一方が、その間に位置するスシート本体部に比べて柔軟性が高い素材で形成されたものであることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、スクリーンシートを上端から下端にかけて徐々に湾曲させてスクリーン設置部に設置する際に、スクリーンシートの上方部または下方部とシート本体部との間に皺が形成されるのを防止して、スクリーンシートの見栄を向上させることができる。
【0014】
また、前記スクリーンシートは、飛沫感染防止機能を有する透明シート材で形成され、前記スクリーン設置部を講師側と聴衆側とに区画するように設置されるものである。
【0015】
この構成によれば、講師側と聴衆側との間に設置されたスクリーンシートによって講師および聴衆の視線が遮られるのを防止しつつ、このスクリーンシートによって飛沫拡散を遮断することができる。
【0016】
さらに、前記巻取り装置の函体には、前記スクリーンシートの引出口が前記函体の一側方部側に偏った位置に設けられ、前記函体は、前記一側方部が前記聴衆側に面するとともに、前記函体の他側方部が前記講師側に面した状態で前記被取付部に取り付けられたものであることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、巻き取り装置から引き出されるスクリーンシートの左右両側辺部に生じるカール現象を利用して、平面視でスクリーンシートを適正に湾曲させることができる。
【0018】
さらにまた、前記被止着部は、前記講師側に配置された演台に設けられたものであってもよい。
【0019】
この構成によれば、講師側と聴衆側との間が必要以上に大きく区画されるのを防止しつつ、講師側と聴衆側との間で飛沫が拡散するのをスクリーンシートによって効果的に遮断することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係るスクリーン装置によれば、スクリーン設置部に大型のスクリーンシートを上下に展開した状態で使用できるとともに、スクリーン装置の不使用時は、スクリーンシートをコンパクトに格納して、その搬送および保管等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係るスクリーン装置の実施形態を示す斜視図である。
【
図2】スクリーン装置の使用状態を示す側面図である。
【
図4】スクリーンシートの保形部の構成を示す斜視図である。
【
図5】スクリーン装置の使用状態を示す正面図である。
【
図6】スクリーンシートの断面図であって、(a)は
図5のA-A線断面図、(b)は
図5のB-B線断面図、(c)は
図5のC-C線断面図である。
【
図7】スクリーンシートの保形部の変形例を示す斜視図である。
【
図8】スクリーン装置の別の実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0023】
図1~
図3に示すように、スクリーン装置1は、学校の教室または講演会場等からなるスクリーン設置部の上方に位置する天井等の被取付部Tに取り付けられる巻取り装置2と、この巻取り装置2から引き出されるスクリーンシート3とを備えている。このスクリーンシート3は、前記スクリーン設置部を、教師または講演者等からなる講師が位置する講師側Kと、生徒または講演の参加者等からなる聴衆が位置する聴衆側Sとに区画するものである。
【0024】
巻取り装置2は、
図3に示すように、スクリーンシート3を巻き取る巻取りローラー21と、この巻取りローラー21を回転可能に支持する函体22とを有している。また、巻取り装置2には、巻取りローラー21を駆動してスクリーンシート3の巻取りを行う図外の駆動機構が設けられている。この駆動機構としては、巻取りローラー21を発条の復元力で回転駆動するプルバック式発条機構や、その他の手動駆動装置、または駆動モーターを内蔵した電動駆動装置等が用いられる。
【0025】
函体22の下面には、スクリーンシート3の引出口23が、函体22の一側方部24側に偏った位置に設けられている。そして、函体22は、その一側方部24が聴衆側Sに面するとともに、函体22の他側方部25が講師側Kに面した状態で、取付金具26を介して被取付部Tに取り付けられている(
図2および
図3参照)。
【0026】
スクリーンシート3は、その中央部に位置する透明または半透明の素材からなるシート本体部31と、シート本体部31の上端部に連設された上方部32と、シート本体部31の下端部に連設された下方部33とを有している(
図1参照)。シート本体部31は、気密性と適度の柔軟性とを有するビニールシート、ナイロンシートもしくはポリエチレンテレフタレートシート等からなっている。また、スクリーンシート3の上方部32および下方部33は、シート本体部31よりも柔軟性が高い素材、例えば布材もしくはゴム等により形成されている。
【0027】
スクリーンシート3の下端部には、例えば軟質塩化ビニールまたはシリコ-ンゴム等からなる適度の可撓性と保形性とを有する素材からなり、
図4の仮想線で示すように、平面視において円弧状に湾曲可能な保形部4が設けられている。この保形部4の下面には、被止着部Yに取り付けられたスチール板51に磁着される磁石板等からなる止着部材5が設けられている(
図1および
図4参照)。そして、巻取り装置2から引き出されたスクリーンシート3の下端部が、止着部材5を介して被止着部Yに止着されることにより、スクリーンシート3が上下に展開された状態に保持されるようになっている。
【0028】
なお、上記構成に代え、被止着部Yに磁石板を取り付けるとともに、保形部4の下面にスチール板からなる止着部材を設けた構成としてもよい。また、被止着部Yに平滑な保護板を設けるとともに、この保護板の上面に着脱可能に接着される両面テープからなる止着部材を保形部4の下面に設けた構成としてもよい。
【0029】
当実施形態では、
図4の仮想線および
図6(c)に示すように平面視において保形部4を円弧状に湾曲させることにより、保形部4の左右両端部41,42を、函体22の他側方部25側、つまり教室で授業する教師等が位置する講師側Kに近接させている。一方、保形部4の左右方向中央部43を、函体22の一側方部24側、つまり教室で授業を受ける生徒等が位置する聴衆側Sに近接させた状態で、止着部材5が被止着部Yに止着されるように構成されている。
【0030】
スクリーン装置1の不使用時には、スクリーンシート3の止着部材5を被止着部Yから離脱させて、巻取り装置2の巻取りローラー21にスクリーンシート3を巻き付けることにより、スクリーンシート3が函体22内に格納される。なお、保形部4の前後幅は、
図3に示すように、函体22の下面に形成されたスクリーンシート3の引出口23よりも大きく形成されている。これにより、スクリーンシート3の格納時に、保形部4が函体22内に引き込まれることが防止されるようになっている。
【0031】
上述のように、本発明に係るスクリーン装置1は、スクリーン設置部の上方の被取付部Tに取り付けられる巻取り装置2と、この巻取り装置2から引き出されるスクリーンシート3とを備え、このスクリーンシート3の下端部には、スクリーン設置部の下方の被止着部Yに着脱可能に止着される止着部材5が設けられている。このため、スクリーン設置部が教室や講演会場等からなる大掛かりなものであっても、上方の巻取り装置2からスクリーンシート3を引き出して、止着部材5を下方の被止着部Yに止着することにより、大型のスクリーンシート3を上下に展開させた状態で、スクリーン設置部を適正に区画することができる。
【0032】
しかも、スクリーンシート3を上下に展開させた状態で安定して保持することができるため、スクリーンシート3の表面および裏面に消毒液を塗布して除菌作業等を行う際に、スクリーンシート3がぐらつくことに起因した作業性の悪化を防止できるとともに、エアコン等の送風に応じてスクリーンシート3が揺れ動くのを抑制できるという利点がある。さらに、ウイルス等が区画された内側で下方まで落下しても止着部材5が被止着部材Yに止着されているため、これらの飛散を適切に防止することができる。また、スクリーンシート3の不使用時には、止着部材5を被止着部Yから離脱させることにより、巻取り装置2によりスクリーンシート3を巻き取ってコンパクト化することができるため、スクリーン装置1の搬送および格納を容易に行うことができる。
【0033】
上述の実施形態では、スクリーンシート3の下端部に、平面視において円弧状に湾曲可能な素材からなる保形部4が設けられるとともに、この保形部4の下面に止着部材5が設けられている。この構成によれば、保形部4を、
図4の仮想線で示すように、平面視において円弧状に湾曲させることにより、スクリーンシート3を、
図5および
図6に示すように上方部から下方部にかけて徐々に湾曲させることができる。したがって、講師側Kと聴衆側Sとの間にスクリーンシート3を設置する際に、例えば講師を取り囲むようにスクリーンシート3を湾曲させることにより、教室等からなるスクリーン設置部の内部を適正に区画することができる。
【0034】
なお、上述の構成に代え、
図7に示すように、スクリーンシート3の下端部に、スクリーンシート3の幅方向に分割された複数個の分割体44と、各分割体44を平面視において屈曲可能に連結するヒンジ部45とを有する保形部4が設けられるとともに、分割体44の下面に止着部材5が設けられた構成としてもよい。この構成によれば、ヒンジ部45を支点に各分割体44を平面視において一定角度で屈曲させることにより、スクリーンシート3を上端部から下端部にかけて徐々に湾曲させた状態で設置することができる。
【0035】
また、
図1および
図5に示すように、スクリーンシート3を上下に分割し、その上方部32または下方部33を、中央のシート本体部31に比べて柔軟性が高い素材で形成した場合には、スクリーンシート3を上端部から下端部にかけて徐々に湾曲させる際に、スクリーンシート3の上方部32または下方部33と、その間に位置するシート本体部31との間に皺が形成されるのを防止して、スクリーンシート3の見栄えを向上させることができる。
【0036】
なお、上述の実施形態に代え、シート本体部31に比べて柔軟性が高い素材からなるスクリーンシート3の上方部32または下方部33のいずれか一方を省略してもよい。また、シート本体部31が十分な柔軟性を有している場合には、上述の上方部32および下方部33の両方を省略することも可能である。
【0037】
また、上述のように飛沫感染防止機能を有する透明なシート材でスクリーンシート3を形成するとともに、このスクリーンシート3によりスクリーン設置部を講師側Kと聴衆側Sとに区画するように構成した場合には、講師および聴衆の視線がスクリーンシート3によって遮られるのを防止しつつ、講師側Kから聴衆側Sに、またはその逆方向に飛沫が拡散するのをスクリーンシート3によって効果的に遮断できるという利点がある。
【0038】
なお、スクリーンシート3の全体を、飛沫感染防止機能を有する透明なシート材で形成する必要はなく、スクリーンシート3の上方部32または下方部33を除くシート本体部31のみを飛沫感染防止機能を有する透明なシート材で形成し、スクリーンシート3の上方部32および下方部33の少なくとも一方を不透明な素材で形成してもよい。また、スクリーンシート3の上方部32および下方部33の一方、もしくはその両方に音声通過用の細孔またはスリットを設けた構成としてもよく、この場合には、講師の音声を聴衆に対して効果的に行き渡らせることができる。さらに、飛沫感染防止機能を有する透明なシート材からなるシート本体部31の側辺部に、音声通過用の細孔もしくはスリットを形成してもよい。
【0039】
上述の実施形態では、スクリーンシート3の引出口23が函体22の一側方部24側に偏った位置に設けられている。そして、函体22の一側方部24がスクリーン設置部の聴衆側Sに面するとともに、函体22の他側方部25が講師側Kに面した状態で被取付部Tに取り付けられている。この構成によれば、函体22の引出口23から引き出されるスクリーンシート3の左右両側辺部35,36に生じるカール現象(
図6参照)を利用して、講師を取り囲むようにスクリーンシート3を効率よく湾曲させることにより、講師側Kと聴衆側Sとの間を適正に区画することができる。
【0040】
すなわち、ユーザーがスクリーンシート3の下端部を持って下方に引き出す操作を行う際に、スクリーンシート3の上下寸法を引き伸ばそうとする縦方向の応力が作用するとともに、これに対応してスクリーンシート3の幅寸法を縮めようとする横方向の応力が作用する。この横方向の応力に応じ、
図6(a),(b)に示すように、スクリーンシート3の左右両側辺部35,36を函体22の他側方部25側、つまり講師側Kに湾曲させようとするカール現象が生じるため、このカール現象を利用して講師を取り囲むようにスクリーンシート3を効率よく湾曲させた状態で、前記止着部材5を被止着部Yに止着することができる。
【0041】
なお、スクリーン設置部の下方に設けられた被止着部Yは、床面に限られず、
図8に示すように、講師が使用する演台6の前面部等を被止着部Yとしてもよい。そして、スクリーン装置の使用時に、上方の巻取り装置2からスクリーンシート3を引き出して、スクリーンシート3の止着部材5を演台6の被止着部Yに設けられたスチール板51等に止着するようにしてもよい。この構成によれば、講師側Kと聴衆側Sとの間がスクリーンシート3によって必要以上の広範囲に区画されるのを防止しつつ、講師側Kと聴衆側Sとの間で飛沫が拡散するのをスクリーンシート3によって効果的に遮断することができる。
【0042】
なお、本発明に係るスクリーン装置は、感染予防用に講師側Kと聴衆側Sとの間を区画するものに限られず、プロジェクター等の映写装置から照射された映像を映し出すための映写用スクリーンや、電子黒板やホワイトボードとしても、上述のスクリーンシート3を使用することができる。さらに、撮影した動画像を合成する際に使用するクロマキー合成用のスクリーンとして、上述のスクリーンシート3を使用することも可能である。
【0043】
この場合においても、スクリーンシート3を上下に展開させた状態で安定して保持することにより、除菌作業時にスクリーンシート3がぐらつくのを防止できるとともに、エアコン等の送風に応じてスクリーンシート3が揺れ動くのを効果的に抑制することができる。したがって、映像用スクリーンシートに映し出された映像が歪んだり、クロマキー合成用のスクリーンにより合成された画像が乱れたりするのを効果的に防止できるという利点がある。
【符号の説明】
【0044】
1 スクリーン装置 2 巻取り装置
3 スクリーンシート 4 保形部
5 止着部材 6 演台
7 排気ダクト(排気装置) 22 函体
23 引出口 24 一側方部
25 他側方部 31 シート本体部
32 上方部 33 下方部
T 被取付部 Y 被止着部