(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068642
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】仮想空間用映像提供プログラムおよび情報端末装置
(51)【国際特許分類】
H04N 21/234 20110101AFI20220427BHJP
H04N 21/258 20110101ALI20220427BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20220427BHJP
【FI】
H04N21/234
H04N21/258
G06T19/00 300B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177429
(22)【出願日】2020-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】520413047
【氏名又は名称】株式会社ヨコヅナゲームズ
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅之
【テーマコード(参考)】
5B050
5C164
【Fターム(参考)】
5B050AA08
5B050BA08
5B050BA09
5B050DA10
5B050EA07
5B050EA12
5B050EA27
5B050FA02
5C164SA26S
5C164SB01P
5C164SC11P
5C164UB90S
5C164YA11
(57)【要約】
【課題】仮想空間上において、実空間で撮影した映像を高い臨場感で提供することができる、仮想空間用映像提供プログラムおよび情報端末装置を提供する。
【解決手段】コンピューター10で実行される仮想空間用映像提供プログラムであって、コンピューター10に、仮想空間上に、複数のスクリーンオブジェクトがそれぞれ異なる方位に向くように、当該複数のスクリーンオブジェクトを配置する仮想空間構築ステップと、実空間において複数の方位から撮影した映像を、当該方位にそれぞれ対応する複数のスクリーンオブジェクトにそれぞれ表示する映像表示ステップと、ユーザが操作するアバターの位置情報を取得する位置情報取得ステップと、アバターの位置情報に基づいて、アバターが位置する方位から撮影した映像を表示するスクリーンオブジェクトのみがユーザに表示されるように、複数のスクリーンオブジェクトの表示を制御する表示制御ステップと、を実行させる、プログラム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実空間において撮影した映像を仮想空間において提供するために、コンピューターで実行される仮想空間用映像提供プログラムであって、
コンピューターに、
仮想空間上に、複数のスクリーンオブジェクトがそれぞれ異なる方位に向くように、当該複数のスクリーンオブジェクトを配置する仮想空間構築ステップと、
実空間において複数の方位から撮影した映像を、前記方位にそれぞれ対応する複数のスクリーンオブジェクトにそれぞれ表示する映像表示ステップと、
ユーザが操作するアバターの位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記アバターの位置情報に基づいて、前記アバターが位置する方位から撮影した映像を表示するスクリーンオブジェクトのみがユーザに表示されるように、前記複数のスクリーンオブジェクトの表示を制御する表示制御ステップと、を実行させる、プログラム。
【請求項2】
前記映像表示ステップにおいて、前記異なる複数の方位に配置された複数のカメラにより実空間の被写体を同時に撮影した映像を、前記複数のスクリーンオブジェクトにそれぞれ表示する、請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記複数のスクリーンオブジェクトには、所定の対象視野角がそれぞれ設定されている、請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記映像表示ステップにおいて、前記スクリーンオブジェクトの前記対象視野角内の方位から当該スクリーンオブジェクトに向けて被写体を撮影したカメラの映像を、当該スクリーンオブジェクトに表示する、請求項3に記載のプログラム。
【請求項5】
前記表示制御ステップにおいて、前記アバターの位置情報に基づいて、前記複数のスクリーンオブジェクトのうち、前記アバターが前記対象視野角内に位置するスクリーンオブジェクトのみを表示し、残りのスクリーンオブジェクトを非表示とする、請求項3または4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記複数のスクリーンオブジェクトは、前方に湾曲した曲面形状を有する、請求項1ないし5のいずれかに記載のプログラム。
【請求項7】
実空間において撮影した映像を仮想空間において提供するための情報端末装置であって、
仮想空間上に、複数のスクリーンオブジェクトがそれぞれ異なる方位に向くように、当該複数のスクリーンオブジェクトを配置する仮想空間構築手段と、
実空間において異なる複数の方位から撮影した映像を、前記方位にそれぞれ対応する複数のスクリーンオブジェクトにそれぞれ表示する表示手段と、
ユーザが操作するアバターの位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記アバターの位置情報に基づいて、前記アバターが位置する方位から撮影した映像を表示するスクリーンオブジェクトのみがユーザに表示されるように、前記複数のスクリーンオブジェクトの表示を制御する制御手段と、を有する、情報端末装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実空間において撮影した映像を仮想空間において提供するための仮想空間用映像提供プログラムおよび情報端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アバターが自在に動き回れる仮想空間上にスクリーンオブジェクトを配置し、仮想空間上のスクリーンオブジェクトにライブ、スポーツ、舞台などの映像を表示させることで、ユーザがアバターの視点において、スクリーンオブジェクトに表示された映像を視聴することができるシステム(たとえば、特許文献1)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、アバターが仮想空間上のどの位置に移動した場合でも、同じ位置の定点カメラから撮影した映像をスクリーンオブジェクトに表示するため、ユーザは、映画のように単にスクリーンに映し出された映像を見ている感覚が強く、ライブの臨場感が得られにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、仮想空間上のアバターの位置に応じて、ユーザが視聴する映像を、アバター位置に対応する方位から撮影された映像が表示されるように表示制御を行うことで、仮想空間上において臨場感の高い映像を提供することができる、仮想空間用映像提供プログラムおよび情報端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る仮想空間用映像提供プログラムは、実空間において撮影した映像を仮想空間において提供するために、コンピューターで実行される仮想空間用映像提供プログラムであって、コンピューターに、仮想空間上に、複数のスクリーンオブジェクトがそれぞれ異なる方位に向くように、当該複数のスクリーンオブジェクトを配置する仮想空間構築ステップと、実空間において複数の方位から撮影した映像を、前記方位にそれぞれ対応する複数のスクリーンオブジェクトにそれぞれ表示する映像表示ステップと、ユーザが操作するアバターの位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記アバターの位置情報に基づいて、前記アバターに位置に対応するスクリーンオブジェクトのみがユーザに表示されるように、前記複数のスクリーンオブジェクトの表示を制御する表示制御ステップと、を実行させる。
上記プログラムにおいて、前記映像表示ステップにおいて、前記異なる複数の方位に配置された複数のカメラにより実空間の被写体を同時に撮影した映像を、前記複数のスクリーンオブジェクトにそれぞれ表示する構成とすることができる。
上記プログラムにおいて、前記複数のスクリーンオブジェクトには、所定の対象視野角がそれぞれ設定されている構成とすることができる。
上記プログラムにおいて、前記映像表示ステップにおいて、前記スクリーンオブジェクトの前記対象視野角内の方位から当該スクリーンオブジェクトに向けて被写体を撮影したカメラの映像を、当該スクリーンオブジェクトに表示する構成とすることができる。
上記プログラムにおいて、前記表示制御ステップにおいて、前記アバターの位置情報に基づいて、前記複数のスクリーンオブジェクトのうち、前記アバターが前記対象視野角内に位置するスクリーンオブジェクトのみを表示し、残りのスクリーンオブジェクトを非表示とする構成とすることができる。
上記プログラムにおいて、前記複数のスクリーンオブジェクトは、前方に湾曲した曲面形状を有する構成とすることができる。
本発明に係る情報端末処理装置は、実空間において撮影した映像を仮想空間において提供するための情報端末装置であって、仮想空間上に、複数のスクリーンオブジェクトがそれぞれ異なる方位に向くように、当該複数のスクリーンオブジェクトを配置する仮想空間構築手段と、実空間において異なる複数の方位から撮影した映像を、前記方位にそれぞれ対応する複数のスクリーンオブジェクトにそれぞれ表示する表示手段と、ユーザが操作するアバターの位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記アバターの位置情報に基づいて、前記アバターが位置する方位から撮影した映像を表示するスクリーンオブジェクトのみがユーザに表示されるように、前記複数のスクリーンオブジェクトの表示を制御する制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、仮想空間上において、実空間で撮影した映像を、高い臨場感で提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態にかかる情報処理システムの構成図である。
【
図2】本実施形態において構築される仮想空間の一例を示す図である。
【
図3】スクリーンオブジェクトの配置方法を説明するための図である。
【
図4】スクリーンオブジェクトの形状を説明するための図である。
【
図5】スクリーンオブジェクトに表示する映像を説明するための図である。
【
図6】定点カメラとスクリーンオブジェクトとの関係を説明するための図であり、実空間における定点カメラの位置を仮想空間に重ね合わせた図である。
【
図7】アバターの位置に基づくスクリーンオブジェクトの表示制御を説明するための図である。
【
図8】ユーザに提供されるスクリーンオブジェクトの映像情報および仮想空間の描画情報の一例である。
【
図9】本実施形態に係る仮想空間における映像提供処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《第1実施形態》
本実施形態に係る情報処理システム1は、仮想空間において、ユーザがアバターを操作することで、実空間において撮影されたライブ、スポーツ、舞台などの映像をアバターの視点を通じてユーザに提供するためのシステムである。
図1は、本実施形態に係る情報処理システム1を示す構成図である。本実施形態に係る情報処理システム1は、
図1に示すように、本実施形態に係る仮想空間用映像提供プログラムを実施する複数の情報端末装置10と、サーバー20とを有し、情報端末装置10およびサーバー20はインターネット回線網30を介して互いに情報の授受が可能となっている。
【0010】
情報端末装置10は、スマートフォン、パーソナルコンピューター、家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機、タブレットなどの情報端末装置であり、本実施形態に係る仮想空間用映像提供プログラムを実施する。情報端末装置10は、
図1に示すように、演算装置11と、記憶装置12と、通信装置13と、入力装置14と、表示装置15とを有する。なお、表示装置15は、情報端末装置10が備えるディスプレイであってもよいが、ヘッドマウントデバイスとしてもよい。以下に、情報端末装置10の演算装置11の機能について説明する。
【0011】
演算装置11は、記憶装置12に記憶されている仮想空間用映像提供プログラムを実行することで、仮想空間を構築する仮想空間構築機能と、ユーザが操作するアバターを作成するアバター作成機能と、ユーザの指示に基づいてアバターを動作させるアバター操作機能と、アバターの位置情報を取得する位置情報取得機能と、スクリーンオブジェクトに映像を表示する映像表示機能と、スクリーンオブジェクトの表示を制御する表示制御機能とを有する。以下に、各機能について説明する。
【0012】
仮想空間構築機能は、ユーザが操作するアバターが動き回ることが可能な仮想空間を構築する。仮想空間構築機能が構築する仮想空間のデザインは、予め仮想空間用映像提供プログラムに定義されており、たとえば、ライブ映像を提供する場合はライブ会場、スポーツ映像を提供する場合はスタジアム、舞台の映像を提供する場合は劇場などを模した空間を構築することができる。また、仮想空間構築機能は、映像を提供するためのステージSTを仮想空間上に設置する。たとえば、ライブ映像を提供する場合、仮想空間構築機能は、
図2に示すように、半円状の仮想空間を構築するとともに、仮想空間の中央にステージSTを設置することができる。なお、本実施形態では、ステージSTはアバターが侵入できないエリアとされる。
図2は、本実施形態に係る仮想空間の一例を示す図である。
【0013】
また、仮想空間構築機能は、
図2および
図3に示すように、ステージSTに相当するエリアに、複数のスクリーンオブジェクトSOを配置する。ここで、
図3は、本実施形態に係るスクリーンオブジェクトSOの配置方法を説明するための図である。本実施形態では、たとえば、
図2および
図3に示すように、仮想空間構築機能により、5枚のスクリーンオブジェクトSO1~SO5が配置される。また、
図2および
図3に示すように、本実施形態では、それぞれのスクリーンオブジェクトSO1~SO5が、各スクリーンオブジェクトSO1~SO5の中心点Oにおいて交差するとともに、スクリーンオブジェクトSO~SO5がそれぞれ一定角度(本実施形態例では30°)ずつ異なる方位を向くように配置される。
【0014】
たとえば、
図2に示す例において、仮想空間構築機能は、半円状の仮想空間のうち、円弧の弦AB(直線AB)に沿う位置にスクリーンオブジェクトSO1を配置する。また、仮想空間構築機能は、スクリーンオブジェクトSO1と中心点Oにおいて交差するとともに、スクリーンオブジェクトSO1に対して反時計回りに30°回転させた位置にスクリーンオブジェクトSO2を配置する。同様に、仮想空間構築機能は、スクリーンオブジェクトSO1,SO2と中心点Oにおいて交差するとともに、スクリーンオブジェクトSO2に対して反時計回りに30°回転させた位置にスクリーンオブジェクトSO3を配置する。また、仮想空間構築機能は、スクリーンオブジェクトSO1~SO3と中心点Oにおいて交差するとともに、スクリーンオブジェクトSO1に対して時計回りに30°回転させた位置にスクリーンオブジェクトSO4を配置し、スクリーンオブジェクトSO1~SO4と中心点Oにおいて交差するとともに、スクリーンオブジェクトSO4に対して時計回りに30°回転させた位置にスクリーンオブジェクトSO5を配置する。
【0015】
また、本実施形態において、仮想空間構築機能は、
図4に示すように、スクリーンオブジェクトSOを、前方側に湾曲した形状で形成することもできる。この場合、アバターがスクリーンオブジェクトSOの真正面に位置しない場合でも、ユーザに、スクリーンオブジェクトSOに表示された映像を、ある程度立体的に視聴させることが可能となる。なお、スクリーンオブジェクトSOを前方側に湾曲した形状で形成する場合でも、スクリーンオブジェクトSO1~SO5は、ディスプレイ面が平面である場合と同様に配置されることとなる。たとえば、スクリーンオブジェクトSO1は、ディスプレイ面が曲面である場合でも、ディスプレイ面を平面とした場合において、スクリーンオブジェクトSO2~SO5と中心点Oで交差し、かつ、円弧の弦ABに沿う位置に配置されることとなる。
【0016】
アバター作成機能は、ユーザが操作するアバターを作成する。アバター作成機能は、ユーザにアバターの作成を要求し、ユーザの指示に基づいて、ユーザの仮想空間上の分身であるアバターを作成することができる。たとえば、ユーザが、予め用意されている顔や体、服装などのパーツを選択することで、アバター作成機能は、ユーザが選択したパーツを組み合わせたアバターを作成することができる。なお、ユーザが作成したアバターの情報は、記憶装置12に記憶され、ユーザが次回ログインした場合に、ユーザに当該アバターを使用させることができる。
【0017】
アバター操作機能は、ユーザが入力装置14を用いて入力したアバターの操作情報に基づいて、アバターを、仮想空間上において動作させる。たとえば、本実施形態において、アバター操作機能は、アバターの操作情報に基づいて、仮想空間のうちステージSTを除く移動領域MAにおいて、アバターを自由に移動させることができる。また、アバター操作機能は、アバターの操作情報に基づいて、アバターに手を振るなどの特定の動作を行わせることもできる。これにより、ユーザは、アバターを移動させて様々な角度からステージST上のライブ映像などを視聴することができるとともに、ライブに合わせて手を振るなどの動作を行うことができ、ライブの臨場感をより高めることができる。
【0018】
位置情報取得機能は、アバター操作機能により移動されたアバターの位置情報を取得する。本実施形態において、アバターの位置情報は、仮想空間内の二次元座標で表され、位置情報取得機能は、アバターの位置情報を座標情報として周期的に取得する。なお、位置情報取得機能は、取得したアバターの位置情報を、アバターの外観情報や、アバターの動作情報などとともに、通信装置13を介して、サーバー20に送信する。これにより、後述するように、サーバー20を介して、情報端末装置10間で同期を取ることができ、同一のアバターを、複数の情報端末装置10の複数の仮想空間内で、同時に、同一の動作を行わせることができる。
【0019】
映像表示機能は、複数のスクリーンオブジェクトSO1~SO5に映像を表示する。特に、本実施形態では、異なる方位に配置された定点カメラC1~C5において同一の被写体を同時に撮影しており、映像表示機能は、定点カメラC1~C5で撮影した映像を、定点カメラC1~C5が配置された方位にそれぞれ対応するスクリーンオブジェクトSO1~SO5に表示する。ここで、
図5は、各スクリーンオブジェクトSOに表示する映像を説明するための図である。以下においては、
図5を参照して、スクリーンオブジェクトSO1~SO5に表示する映像について説明する。なお、本実施形態では、実空間において定点カメラC1~C5で撮影した映像を、リアルタイムで、仮想空間のスクリーンオブジェクトSO1~SO5において表示する場面を例示するが、この構成に限定されず、過去に実空間で撮影した映像を、仮想空間のスクリーンオブジェクトSO1~SO5において表示する構成としてもよい。
【0020】
図5に示すように、本実施形態では、実空間上において、異なる方位から被写体を撮影することができるように、定点カメラC1~C5が配置され、同一の被写体(あるいは被写体群)を同時に撮影する。具体的には、
図5に示すように、半円状のステージの正面となる位置に定点カメラC1が配置され、ステージSTの中心点を中心として、定点カメラC1から反時計回りに30°回転させた位置に定点カメラC2が配置され、定点カメラC2からさらに反時計回りに30°回転させた位置に定点カメラC3が配置される。同様に、ステージSTの中心点を中心として、定点カメラC1から時計回りに30°回転させた位置に定点カメラC4が配置され、定点カメラC4からさらに時計回りに30°回転させた位置に定点カメラC5が配置される。そして、それぞれの方位から、定点カメラC1~C5により被写体が撮影され、撮影された映像データがサーバー20へと送信され、サーバー20から各情報端末装置10へと送信される。
【0021】
情報端末装置10が、通信装置13を介して、サーバー20から送信される映像データを受信すると、映像表示機能は、受信した映像データを、スクリーンオブジェクトSOに表示する。具体的には、映像表示機能は、実空間において定点カメラC1で撮影された映像をスクリーンオブジェクトSO1に表示し、定点カメラC2で撮影された映像をスクリーンオブジェクトSO2に表示し、定点カメラC3で撮影された映像をスクリーンオブジェクトSO3に表示し、定点カメラC4で撮影された映像をスクリーンオブジェクトSO4に表示し、定点カメラC5で撮影された映像をスクリーンオブジェクトSO5に表示する。
【0022】
ここで、
図6は、定点カメラC1~C5とスクリーンオブジェクトSO1~SO5との関係を説明するための図であり、実空間における定点カメラC1~C5の位置を仮想空間に重ね合わせた図である。
図6に示すように、定点カメラC1~C5の位置を仮想空間上に重ね合わせると、スクリーンオブジェクトSO1に対して正面となる位置に定点カメラC1が配置され、スクリーンオブジェクトSO1の正面の位置からスクリーンオブジェクトSO1に向けて被写体が撮影されている。そのため、映像表示機能により、定点カメラC1で撮影した映像を、スクリーンオブジェクトSO1に表示することで、スクリーンオブジェクトSO1に表示された映像を視聴するユーザは、スクリーンオブジェクトSO1の正面の位置からスクリーンオブジェクトSO1に向けて撮影された被写体の映像を視聴することが可能となる。同様に、映像表示機能により、定点カメラC2で撮影した映像がスクリーンオブジェクトSO2に表示され、定点カメラC3で撮影した映像がスクリーンオブジェクトSO3に表示され、定点カメラC4で撮影した映像がスクリーンオブジェクトSO4に表示され、定点カメラC5で撮影した映像がスクリーンオブジェクトSO5に表示される。これにより、スクリーンオブジェクトSO2~SO5に表示された映像を視聴するユーザは、スクリーンオブジェクトSO2~SO5の正面の位置からスクリーンオブジェクトSO2~SO5に向けて撮影された被写体の映像をそれぞれ視聴することが可能となる。
【0023】
表示制御機能は、位置情報取得機能により取得されたアバターの位置情報に基づいて、各ユーザに表示するスクリーンオブジェクトSOの表示を制御する。ここで、
図7は、本実施形態において、スクリーンオブジェクトの表示制御方法を説明するための図である。
図7に示すように、表示制御機能は、複数のスクリーンオブジェクトSO1~SO5のうち、アバターの正面に位置するスクリーンオブジェクトSO1~SO5だけを表示し、その他のスクリーンオブジェクトSO1~SO5を非表示とする。
【0024】
具体的には、表示制御機能は、アバターが対象視野角内に位置するスクリーンオブジェクトのみを表示し、残りのスクリーンオブジェクトを非表示とする。たとえば、
図7に示す例において、各スクリーンオブジェクトSO1~SO5の対象視野角は30°に設定されている。この場合、たとえば、スクリーンオブジェクトSO1の視野角の中心線L1に対して、左右に15°の視野角内のエリアが対象視野角内のエリアとなり、移動領域MAのうち、スクリーンオブジェクトSO1の対象視野角内のエリアをMA1とする。同様に、移動領域MAのうち、スクリーンオブジェクトSO2の対象視野角内のエリアをMA2とし、スクリーンオブジェクトSO3の対象視野角内のエリアをMA3とし、スクリーンオブジェクトSO4の対象視野角内のエリアをMA4とし、スクリーンオブジェクトSO5の対象視野角内のエリアをMA5とする。なお、本実施形態において、表示制御機能は、スクリーンオブジェクトSO3の対象視野角となるエリアに加えて、他のエリア(MA1,MA2,MA4,MA5)と重複しない、スクリーンオブジェクトSO3の対象視野角よりも外側(円弧の弦に近い側)のエリアもMA3として設定する。同様に、表示制御機能は、スクリーンオブジェクトSO5の対象視野角となるエリアに加えて、他のエリア(MA1~MA4)と重複しない、スクリーンオブジェクトSO5の対象視野角よりも外側(円弧の弦に近い側)のエリアもMA5として設定する。
【0025】
そして、表示制御機能は、アバターがMA1内に存在する場合は、スクリーンオブジェクトSO1を表示させ、スクリーンオブジェクトSO2~SO5を非表示とする。スクリーンオブジェクトSO1では、定点カメラC1により撮影された映像が表示されるため、ユーザは、アバターがMA1に位置する場合には、アバターが位置する方位から撮影された映像を、アバターを介して視聴させることが可能となる。同様に、表示制御機能は、アバターがMA2内に位置する場合は、スクリーンオブジェクトSO2を表示させ、スクリーンオブジェクトSO1,SO3~SO5を非表示とする。また、表示制御機能は、アバターがMA3内に位置する場合は、スクリーンオブジェクトSO3を表示させ、スクリーンオブジェクトSO1,SO2,SO4,SO5を非表示とし、アバターがMA4内に位置する場合は、スクリーンオブジェクトSO4を表示させ、スクリーンオブジェクトSO1~SO3,SO5を非表示とし、アバターがMA5内に位置する場合は、スクリーンオブジェクトSO5を表示させ、スクリーンオブジェクトSO1~SO4を非表示とする。これにより、表示制御機能は、アバターがどの位置に移動した場合でも、アバターが位置する方位から撮影した映像を、アバターを介してユーザに視聴させることが可能となる。
【0026】
たとえば、
図7に示す例において、アバターがMA1に位置する場合、スクリーンオブジェクトSO1のみが表示される。これにより、MA1に位置するアバターの視点で見ることができる、スクリーンオブジェクトSO1に表示された映像の情報および仮想空間の描画情報が、表示装置15を介してユーザに表示されることとなる。これにより、ユーザは、
図8に示すように、表示装置15を介して、MA1に位置するアバターの視点における、スクリーンオブジェクトSO1に表示された映像情報および仮想空間の描画情報を視聴することができる。なお、
図8は、本実施形態において、ユーザに提供されるスクリーンオブジェクトSO1の映像情報および仮想空間の描画情報の一例である。
【0027】
次に、サーバー20について説明する。サーバー20は、
図1に示すように、処理装置21、記憶装置22、および通信装置23を有し、各情報端末装置10で作成される仮想空間を同期する機能を有する。具体的には、サーバー20は、記憶装置22に記憶された所定のプログラムを処理装置21により実行することで、たとえば、ユーザBの情報端末装置10で作成されたアバター情報(アバターの外観、位置、操作情報など)を、通信装置23を介して、ユーザAの情報端末装置10に送信する。これにより、たとえば、ユーザAの情報端末装置10で作成された仮想空間内において、ユーザBのアバターを、ユーザBの情報端末装置10の仮想空間とほぼ同じタイミングで同じ動作をさせることが可能となる。なお、情報端末装置10の演算装置11は、仮想空間用映像提供プログラムを実行することで、上記同期を行うための同期機能を有している。また、サーバー20は、上述したように、定点カメラC1~C5が撮影した映像データを定点カメラC1~C5から取得し、通信装置23を介して、各情報端末装置10に配信する機能も有している。
【0028】
このように、サーバー20は、複数の情報端末装置10の仮想空間を同期させることで、仮想空間上に複数のユーザのアバターを共存させることができ、ユーザの臨場感をより高めることができる。なお、情報端末装置10の同期は、公知の方法および技術を用いて行うことができる。
【0029】
次に、本実施形態に係る仮想空間における映像提供処理について説明する。
図9は、本実施形態に係る仮想空間における映像提供処理を示すフローチャートである。なお、以下に説明する映像提供処理は、情報端末装置10の演算装置11により実行される。
【0030】
ステップS1では、演算装置11の仮想空間構築機能により、仮想空間の構築が行われる。本実施形態において、仮想空間構築機能は、たとえば
図2に示すように、移動領域MA、ステージST、スクリーンオブジェクトSO1~SO5を含む仮想空間を構築することができる。
【0031】
ステップS2では、演算装置11のアバター作成機能により、ユーザがアバターを既に作成済みであるか否かの判断が行われる。ユーザが初めて仮想空間用映像提供プログラムを実行する場合、あるいは、ユーザがアバターの新規作成を希望する場合は、ステップS3に進み、アバター作成機能により、アバターの作成が行われる。アバターが既に作成されている場合、または、ユーザがステップS3でアバターを作成した場合には、ステップS4に進む。
【0032】
ステップS4では、演算装置11の映像表示機能により、ステップS1で構成したスクリーンオブジェクトSO1~SO5に、実空間において異なる方位から撮影した映像が表示される。たとえば、本実施形態において、映像表示機能は、スクリーンオブジェクトSO1の正面に相当する位置に設置された定点カメラC1で撮影した映像をスクリーンオブジェクトSO1に表示する。これにより、スクリーンオブジェクトSO1の正面に対応する位置から見た被写体の映像が、スクリーンオブジェクトSO1に表示されることとなる。
【0033】
ステップS5では、演算装置11のアバター操作機能により、ユーザがアバターを操作するために入力した操作情報に基づいて、アバターを動作させる処理が行われる。また、ステップS6では、演算装置11の位置情報取得機能により、仮想空間上におけるアバターの位置情報が取得される。
【0034】
ステップS7では、演算装置11の表示制御機能により、ステップS6で取得したアバターの位置情報に基づいて、スクリーンオブジェクトSOの表示制御が行われる。たとえば、
図7に示すように、アバターがMA1内に位置する場合は、アバターが位置する方位と同じ方位から撮影した定点カメラC1の映像をユーザに提供するため、スクリーンオブジェクトSO1のみが表示され、スクリーンオブジェクトSO2~SO5が非表示とされる。
【0035】
ステップS8では、演算装置11の同期機能により、他の情報端末装置10との同期が行われる。具体的には、同期機能は、他の情報端末装置10で作成されたユーザのアバターの情報(アバターの外観や位置情報)をサーバー20から受信し、受信した他のユーザのアバター情報に基づいて、ステップS1で作成した仮想空間上において、他のユーザのアバターを作成し、動作させることで、ユーザが他のユーザと同じ仮想空間に存在しているかのように、ユーザに認識させることができる。
【0036】
そして、ステップS9では、演算装置11により、本実施形態に係る仮想空間における映像提供処理を終了するか否かの判断が行われる。ユーザが入力装置14を介して映像提供処理の終了を指示するまでは、ステップS4に戻り、ステップS4~S8の処理が繰り返され、ユーザが終了を指示した場合に、
図9に示す仮想空間における映像提供処理が終了する。
【0037】
以上のように、本実施形態に係る情報処理システム1では、情報端末装置10が、実空間において異なる複数の方位から撮影した映像を、当該方位にそれぞれ対応する複数のスクリーンオブジェクトSOにそれぞれ表示し、ユーザが操作するアバターの位置情報に基づいて、アバターの位置に対応するスクリーンオブジェクトSOのみがユーザに表示されるように、複数のスクリーンオブジェクトSOの表示を制御する。これにより、ユーザは、情報端末装置10の表示装置15を介して、アバターの位置から見た被写体の映像を視聴することができ、仮想空間においても、ライブ映像などの映像を高い臨場感でユーザに提供することができる。
【0038】
《第2実施形態》
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態においては、情報端末装置10(ユーザのスマートフォン、パーソナルコンピューター、家庭用ゲーム機、携帯型ゲーム機など)だけで処理が実行される点で、情報端末装置10とサーバー20との間で情報の授受が行われ処理が実行される第1実施形態と異なる構成を有する。以下、第1実施形態との相違点を中心に、第2実施形態について説明する。
【0039】
第2実施形態においては、スクリーンオブジェクトSOに表示するための映像が定点カメラC1~C5により予め撮影され、撮影された映像データが仮想空間用映像提供プログラムに予め組み込まれている。これにより、第2実施形態では、サーバー20から映像データを受信することなく、定点カメラC1~C5により撮影された映像データをスクリーンオブジェクトSOに表示することができるようになっている。
【0040】
また、第2実施形態に係る演算装置11は、サーバー20と通信を行わないため、他の情報端末装置10と同期する同期機能を備えない構成とすることができる。また、演算装置11は、仮想空間内に予め所定のキャラクターをオブジェクトとして作成し配置する機能を有する構成とすることもできる。
【0041】
このように、第2実施形態においては、情報端末装置10が、スクリーンオブジェクトSOに表示する映像データを予め組み込んだ仮想空間用映像提供プログラムを記憶しており、情報端末装置10が当該仮想空間用映像提供プログラムを実行することで、オフライン環境下においても、ユーザに、仮想空間上のアバターの位置から見た被写体の映像を視聴させることができ、仮想空間においても実空間で撮影した映像を、高い臨場感でユーザに提供することができる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0043】
たとえば、上述した実施形態では、5台の定点カメラC1~C5を用いて撮影した映像を、5つのスクリーンオブジェクトSO1~SO5にそれぞれ表示する構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば2~4台、あるいは6台以上の定点カメラで撮影した映像を、2~4あるいは6以上のスクリーンオブジェクトSOに表示する構成としてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態においては、情報端末装置10に仮想空間用映像提供プログラムをプレインストールスする構成としてもよいし、ユーザが情報端末装置10を介してサーバー20にアクセスしサーバー20から仮想空間用映像提供プログラムをダウンロードして情報端末装置10にインストールする構成としてもよい。あるいは、ユーザに仮想空間用映像提供プログラムが記録されたメディアを提供することで情報端末装置10がメディアに記録された仮想空間用映像提供プログラムを読み込み実行する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…情報処理システム
10…情報端末装置
11…演算装置
12…記憶装置
13…通信装置
14…入力装置
15…表示装置
20…サーバー
21…処理装置
22…記憶装置
23…通信装置
30…インターネット回線網