(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068660
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
H02K 11/33 20160101AFI20220427BHJP
F16H 1/46 20060101ALI20220427BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
H02K11/33
F16H1/46
H02K7/116
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177456
(22)【出願日】2020-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】000125853
【氏名又は名称】株式会社 神崎高級工機製作所
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】中川 茂明
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 達也
(72)【発明者】
【氏名】荒田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】東泊 良隆
(72)【発明者】
【氏名】喜多 航朔
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠二郎
【テーマコード(参考)】
3J027
5H607
5H611
【Fターム(参考)】
3J027FA25
3J027FB13
3J027GB03
3J027GC13
3J027GC24
5H607AA02
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB05
5H607BB14
5H607CC03
5H607CC07
5H607DD03
5H607EE33
5H607GG01
5H607GG08
5H611AA09
5H611BB01
5H611BB04
5H611TT01
5H611UA04
(57)【要約】
【課題】中心軸線方向での大型化を抑制しながら、温度上昇を抑制することが可能な駆動装置との提供。
【解決手段】駆動装置1は、固定ハウジング6の内部に、モータ3と駆動回路4とを中心軸線方向で隣り合うように配置している。仕切板8の内周にはロータ軸33の一端部が転がり軸受34を介して支持されており、固定ハウジング6の端壁63の内周にはロータ軸33の他端部が転がり軸受35を介して支持されている。固定ハウジング6の外周において第2室62に対応する領域には、フィン67(放熱部)が設けられている。仕切板8の第2室62側の面には、駆動回路4の第1回路基板(41)が取り付けられている。仕切板8の第1室61側の面には、メッシュプレート9(温度調整部)が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸線方向の一端側が開口され他端側には端壁を有し、かつ非回転に固定される固定ハウジングの内部に、モータとこのモータを駆動する駆動回路とを中心軸線方向で隣り合うように配置した駆動装置であって、
前記固定ハウジングの内部には、当該固定ハウジングの内部空間を前記モータが配置される第1室と前記駆動回路が配置される第2室とに区画する仕切板が設けられており、
前記固定ハウジングにおいて前記第2室側の前記開口には閉蓋が取り付けられていて、固定ハウジングの前記第1室側には前記端壁が設けられており、
前記仕切板の内周には前記モータのロータ軸の一端部が、また、前記端壁の内周には前記モータのロータ軸の他端部が、それぞれ転がり軸受を介して支持されており、
前記固定ハウジングの外周において前記第2室に対応する領域には、前記固定ハウジングの外側に熱を放出するための放熱部が設けられており、
前記仕切板において前記第2室に向いた面には、前記駆動回路の回路基板が取り付けられており、
この仕切板は熱伝導特性の良い金属材料で構成するとともに前記第1室に向いた面には、前記第1室と前記第2室との温度差を調整するための温度調整部が設けられている、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
中心軸線方向の一端側が開口され他端側には端壁を有し、かつ非回転に固定される固定ハウジングの内部に、モータとこのモータを駆動する駆動回路とを中心軸線方向で隣り合うように配置した駆動装置であって、
前記固定ハウジングの内部には、当該固定ハウジングの内部空間を前記モータが配置される第1室と前記駆動回路が配置される第2室とに区画する仕切板が設けられており、
前記固定ハウジングにおいて前記第2室側の前記開口には閉蓋が取り付けられていて、固定ハウジングの前記第1室側には前記端壁が設けられており、
前記仕切板の内周には前記モータのロータ軸の一端部が、また、前記端壁の内周には前記モータのロータ軸の他端部が、それぞれ転がり軸受を介して支持されており、
前記固定ハウジングの外周において前記第2室に対応する領域には、前記固定ハウジングの外側に熱を放出するための放熱部が設けられており、
前記閉蓋の内面には、前記駆動回路の回路基板が取り付けられており、この閉蓋には、前記固定ハウジングの外側に熱を放出するための第2放熱部が設けられている、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載の駆動装置において、
前記仕切板および前記回路基板には、前記第1室と前記第2室とを連通するための通孔が設けられている、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項4】
請求項2に記載の駆動装置において、
前記仕切板には、前記第1室と前記第2室とを連通するための通孔が設けられている、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の駆動装置において、
前記第1室内に位置する前記ロータ軸の外周には、ファンが設けられている、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記固定ハウジングの放熱部は、当該固定ハウジングの外周の円周方向数ヶ所に設けられるフィンとされている、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の駆動装置において、
前記フィンは、前記固定ハウジングの外周において前記第1室に対応する領域にまで延伸されている、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記ロータ軸は、前記第2室内にまで延伸されていて、この延伸部分の外周に遠心ファンが設けられている、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記閉蓋には、前記第2室と前記固定ハウジングの外側とを連通するための開口が設けられており、
この開口には、防水透湿膜が取り付けられている、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記仕切板と前記転がり軸受との間には、断熱材が介装されている、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記仕切板の一部は、前記固定ハウジングの外側に露呈されている、ことを特徴とする駆動装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の駆動装置において、
前記端壁の外周に転がり軸受を介して回転自在に嵌め合わされる回転ハウジングと、前記ロータ軸の回転を減速して前記回転ハウジングに伝達する減速機構部と、をさらに備え、
前記減速機構部は、複数段の遊星歯車機構を備え、
前記複数段の遊星歯車機構における動力伝達方向の下流側に位置する最終段の遊星歯車機構の遊星歯車を回転自在に支持する遊星歯車軸は、前記端壁に片持ち梁状に支持されている、ことを特徴とする駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、モータハウジングの内部にモータ部とモータ駆動回路とを配置し、前記モータハウジングに対して回転自在に支持された筒状の駆動ホイールの内部に前記モータ部の回転動力を減速して駆動ホイールに伝達させる減速機構部を配置した駆動装置が記載されている。
【0003】
この駆動装置は、例えば一条の無端帯状のクローラベルトを送り移動させて走行するクローラ走行装置の駆動装置として利用することができる。
【0004】
例えば特許文献2には、ハウジング内にブラシレスモータと駆動回路部とを配置し、前記ブラシレスモータと前記駆動回路部との間に、前記ブラシレスモータの回転に同期して回転する比較的大型のファンを配置するとともに、当該ファンと前記駆動回路部との間にファンカバーを配置するような構成が記載されている。
【0005】
この特許文献2の段落0028には、「ファン4にて撹拌させた空気は、モータ部と駆動回路部全体を還流させることにより、モータ部の温度上昇の低減化を達成させた」ということが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-158031号公報
【特許文献2】特開2004-15956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1では、前記モータハウジングの内部に配置している前記モータ部と前記モータ駆動回路の両方の発熱によって前記駆動装置全体が温度上昇しやすくなることが懸念される。
【0008】
また、上記特許文献2では、前記ブラシレスモータと前記駆動回路部との中心軸線方向での離間部分を大きく確保したうえで、この当該離間部分に比較的大型のファンおよびファンカバーを配置しているために、装置全体が中心軸線方向に大型化している。
【0009】
このような事情に鑑み、本発明は、中心軸線方向での大型化を抑制しながら、温度上昇を抑制することが可能な駆動装置の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、中心軸線方向の一端側が開口され他端側には端壁を有し、かつ非回転に固定される固定ハウジングの内部に、モータとこのモータを駆動する駆動回路とを中心軸線方向で隣り合うように配置した駆動装置であって、前記固定ハウジングの内部には、当該固定ハウジングの内部空間を前記モータが配置される第1室と前記駆動回路が配置される第2室とに区画する仕切板が設けられており、前記固定ハウジングにおいて前記第2室側の前記開口には閉蓋が取り付けられていて、固定ハウジングの前記第1室側には前記端壁が設けられており、前記仕切板の内周には前記モータのロータ軸の一端部が、また、前記端壁の内周には前記モータのロータ軸の他端部が、それぞれ転がり軸受を介して支持されており、前記固定ハウジングの外周において前記第2室に対応する領域には、前記固定ハウジングの外側に熱を放出するための放熱部が設けられており、前記仕切板において前記第2室に向いた面には、前記駆動回路の回路基板が取り付けられており、この仕切板は熱伝導特性の良い金属材料で構成するとともに前記第1室に向いた面には、前記第1室と前記第2室との温度差を調整するための温度調整部が設けられている、ことを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、前記モータと前記駆動回路とを前記固定ハウジング内に配置してユニット化しているから、電磁障害を受け難くなる。
【0012】
しかも、このようにユニット化することに伴い前記モータと前記駆動回路の両方から発生する熱によって前記固定ハウジングの内部空間および当該固定ハウジングそのものが温度上昇しやすくなるものの、当該固定ハウジングに伝達される熱を、前記放熱部および温度調整部によって前記固定ハウジングの外側に効率良く放出させることが可能になる。これにより、本発明に係る駆動装置の温度上昇を抑制することが可能になる。
【0013】
ところで、上記駆動装置において、前記仕切板および前記回路基板には、前記第1室と前記第2室とを連通するための通孔が設けられている、構成とすることができる。
【0014】
この構成によれば、前記第1室内の空気が前記通孔を介して前記第2室に流通するようになる一方、前記第2室内の空気が前記通孔を介して前記第1室に流通するようになる。
【0015】
これにより、前記第1室内の温度と前記第2室内の温度とに高低差が生じるような状況においても、前記通孔を介する空気の撹拌によって前記のような温度差を低減することが可能になる。
【0016】
また、本発明は、中心軸線方向の一端側が開口され他端側には端壁を有し、かつ非回転に固定される固定ハウジングの内部に、モータとこのモータを駆動する駆動回路とを中心軸線方向で隣り合うように配置した駆動装置であって、前記固定ハウジングの内部には、当該固定ハウジングの内部空間を前記モータが配置される第1室と前記駆動回路が配置される第2室とに区画する仕切板が設けられており、前記固定ハウジングにおいて前記第2室側の前記開口には閉蓋が取り付けられていて、固定ハウジングの前記第1室側には前記端壁が設けられており、前記仕切板の内周には前記モータのロータ軸の一端部が、また、前記端壁の内周には前記モータのロータ軸の他端部が、それぞれ転がり軸受を介して支持されており、前記固定ハウジングの外周において前記第2室に対応する領域には、前記固定ハウジングの外側に熱を放出するための放熱部が設けられており、前記閉蓋の内面には、前記駆動回路の回路基板が取り付けられており、この閉蓋には、前記固定ハウジングの外側に熱を放出するための第2放熱部が設けられている、ことを特徴としている。
【0017】
この構成によれば、前記モータと前記駆動回路とを前記固定ハウジング内に配置してユニット化しているから、電磁障害を受け難くなる。
【0018】
しかも、このようにユニット化することに伴い前記モータと前記駆動回路の両方から発生する熱によって前記固定ハウジングの内部空間および当該固定ハウジングそのものが温度上昇しやすくなるものの、当該固定ハウジングに伝達される熱を、前記放熱部および前記第2放熱部によって前記固定ハウジングの外側に効率良く放出させることが可能になる。これにより、本発明に係る駆動装置の温度上昇を抑制することが可能になる。
【0019】
また、上記駆動装置において、前記仕切板には、前記第1室と前記第2室とを連通するための通孔が設けられている、構成とすることができる。
【0020】
この構成によれば、前記第1室内の空気が前記通孔を介して前記第2室に流通するようになる一方、前記第2室内の空気が前記通孔を介して前記第1室に流通するようになる。
【0021】
これにより、前記第1室内の温度と前記第2室内の温度とに高低差が生じるような状況においても、前記通孔を介する空気の撹拌によって前記のような温度差を低減することが可能になる。
【0022】
また、上記駆動装置において、前記第1室内に位置する前記ロータ軸の外周には、ファンが設けられている、構成とすることができる。
【0023】
この構成によれば、前記ロータ軸の回転に伴い前記ファンが同期回転するので、当該ファンにより前記第1室内の空気が攪拌される。このファンにより撹拌される空気は、前記通孔を介して前記第1室と前記第2室との間で相互に流通するようになる。
【0024】
これにより、前記第1室内の温度と前記第2室内の温度とに高低差が生じるような状況においても、前記通孔を介する空気の撹拌によって前記のような温度差が低減されることになる。
【0025】
また、上記駆動装置において、前記固定ハウジングの放熱部は、当該固定ハウジングの外周の円周方向数ヶ所に設けられるフィンとされている、構成とすることができる。
【0026】
この構成によれば、前記固定ハウジングに伝達される熱を効率良く外側に放出することが可能になる。
【0027】
また、上記駆動装置において、前記フィンは、前記固定ハウジングの外周において前記第1室に対応する領域にまで延伸されている、構成とすることができる。
【0028】
この構成によれば、前記第2室から前記固定ハウジングに伝達される熱だけでなく、前記第1室から前記固定ハウジングに伝達される熱を、前記フィンによって前記固定ハウジングの外側に放出することが可能になる。これにより、本発明に係る駆動装置の温度上昇をさらに抑制するうえで有利になる。
【0029】
また、上記駆動装置において、前記ロータ軸は、前記第2室内にまで延伸されていて、この延伸部分の外周に遠心ファンが設けられている、構成とすることができる。
【0030】
この構成によれば、前記ロータ軸の回転に伴い前記遠心ファンが同期回転するので、当該遠心ファンにより前記第2室内の空気が攪拌される。これにより、第2室内の熱が前記固定ハウジングに伝達されやすくなる。
【0031】
また、上記駆動装置において、前記閉蓋には、前記第2室と前記固定ハウジングの外側とを連通するための開口が設けられており、この開口には、防水透湿膜が取り付けられている、構成とすることができる。
【0032】
この構成によれば、前記第2室内の熱を、前記防水透湿膜および前記開口を介して前記固定ハウジングの外側に放出することができる。しかも、前記開口を前記防水透湿膜で覆っているから、前記固定ハウジングの外側から内側への水分浸入を防止することができる。
【0033】
また、上記駆動装置において、前記仕切板と前記転がり軸受との間には、断熱材が介装されている、構成とすることができる。
【0034】
この構成によれば、前記モータから前記ロータ軸に伝達される熱が、前記仕切板に伝達することを抑制または防止する。
【0035】
また、上記駆動装置において、前記仕切板の一部は、前記固定ハウジングの外側に露呈されている、構成とすることができる。
【0036】
この構成によれば、前記仕切板の熱が前記固定ハウジングの外側に放出されることになる。
【0037】
また、上記駆動装置において、前記端壁の外周に転がり軸受を介して回転自在に嵌め合わされる回転ハウジングと、前記ロータ軸の回転を減速して前記回転ハウジングに伝達する減速機構部と、をさらに備え、前記減速機構部は、複数段の遊星歯車機構を備え、前記複数段の遊星歯車機構における動力伝達方向の下流側に位置する最終段の遊星歯車機構の遊星歯車を回転自在に支持する遊星歯車軸は、前記端壁に片持ち梁状に支持されている、構成とすることができる。
【0038】
この構成によれば、本発明に係る駆動装置の温度上昇を抑制することが可能であって、前記遊星歯車軸の中心軸線方向の一端側および他端側を支持する場合に比べると、前記減速機構部を中心軸線方向にコンパクトにすることが可能になる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、中心軸線方向での大型化を抑制しながら、内部の温度上昇を抑制することが可能な駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明に係る駆動装置の第1実施形態を示す断面図である。
【
図2】
図1の駆動装置の一使用対象となるクローラ走行装置を部分的に示す斜視図である。
【
図3】
図1の固定ハウジングの外観を示す斜視図である。
【
図5】
図1の減速機構部の動力伝達経路を説明するための図である。
【
図6】
図1の温度調整用のメッシュプレートの単体を示す斜視図であって、(a)はメッシュプレートの一実施形態を示しており、(b)はメッシュプレートの他の実施形態を示している。
【
図7】
図4の(7)-(7)線断面を矢印方向から見た図である。
【
図8】
図1の仕切板とメッシュプレートと駆動回路とを分離して示す斜視図である。
【
図9】本発明に係る駆動装置の第2実施形態を示す断面図である。
【
図10】本発明に係る駆動装置の第3実施形態を示す断面図である。
【
図11】
図10の(11)-(11)線断面を矢印方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
図1から
図8に本発明の一実施形態を示している。図中、1は駆動装置の全体を示している。
【0043】
この駆動装置1は、例えば
図2に示すようなクローラ走行装置2の駆動輪21に組み込まれるものであって、駆動輪21に巻き掛けられる無端帯状のクローラベルト22を送り移動させる回転動力を発生する。
【0044】
この実施形態での駆動装置1は、モータ3、駆動回路4、減速機構部5、固定ハウジング6、回転ハウジング7、などを備えている。
【0045】
モータ3および駆動回路4は、固定ハウジング6内に中心軸線方向で隣り合うように配置されている。
【0046】
固定ハウジング6は、中心軸線方向の一端側が開口され他端側に端壁63が設けられた円筒形の部材からなり、不図示の部材に非回転に固定される。
【0047】
この固定ハウジング6の内部には、仕切板8が締結部材(例えばボルト81など)により取り付けられている。この仕切板8は、固定ハウジング6の内部空間を第1室61と第2室62と区画するものであって、環状の板とされている。
【0048】
第1室61にはモータ3が配置されており、第2室62には駆動回路4が配置されている。
【0049】
固定ハウジング6の第1室61側には、前記した端壁63が一体に設けられている。この端壁63は、径方向内向きに延出するように環状に形成されている。また、固定ハウジング6の第2室62側の開口には、第1閉蓋64が取り付けられている。
【0050】
なお、固定ハウジング6の外周には、径方向外向きに延出するフランジ部65が一体に設けられている。このフランジ部65は、例えばクローラ走行装置2のフレーム23の一部に締結部材(例えばボルト66など)により固定されている。
【0051】
モータ3は、回転動力を発生するブラシレスの電動モータとされており、ステータ31、ロータ32、ロータ軸33を有している。
【0052】
ステータ31は、固定ハウジング6の内周に固定されており、コイルを備えている。ロータ32は、ロータ軸33の外周に固定されている。
【0053】
ロータ軸33の一端部は、仕切板8の内周に転がり軸受(例えば深溝玉軸受など)34を介して回転自在に支持されている。また、ロータ軸33の他端部は、固定ハウジング6の端壁63の内周に転がり軸受(例えば深溝玉軸受など)35を介して回転自在に支持されている。
【0054】
ロータ軸33においてロータ32の一端側および他端側には、第1、第2ウエイト37,38が外嵌装着されている。
【0055】
第1、第2ウエイト37,38は、ロータ軸33の回転バランスを調整するものであって、例えば環状の板とされている。
【0056】
駆動回路4は、モータ3を駆動するものであって、第1回路基板41の上面側に第2回路基板42が離間して取り付けられた構成になっている。第2回路基板42の上面に各種の電子部品43が実装されている。なお、第1回路基板41にも図示していないが、各種の電子部品が実装されている。
【0057】
第1回路基板41は、仕切板8において駆動回路4に向いた面(外面)に締結部材(例えばボルト44など、符号省略)により重ね合わされるように取り付けられている。
【0058】
減速機構部5は、回転ハウジング7の内部に配置されており、モータ3のロータ軸33の回転を減速して回転ハウジング7に伝達するものである。
【0059】
回転ハウジング7は、中心軸線方向の一端側および他端側が開口された円筒形の部材からなり、固定ハウジング6の端壁63の外周に2列の転がり軸受(例えば深溝玉軸受など)71を介して回転自在に嵌め合わされている。
【0060】
この2列の転がり軸受71は、端壁63において減速機構部5に向いた面(外面)に取り付けられた軸受押さえ板72により中心軸線方向の変位が規制されている。
【0061】
そして、回転ハウジング7の内部空間は、第2閉蓋73と、第1、第2密封部材74,75とによって密封されている。この密封された内部空間には、減速機構部5の各構成要素の摩擦部位を潤滑するために、図示していないが、所定量の潤滑油が封入されている。
【0062】
第2閉蓋73は、回転ハウジング7の中心軸線方向の一端側の開口に取り付けられている。この第2閉蓋73には、ロータ軸33の延伸部36aの端部が転がり軸受(例えばニードルローラなど、符号省略)を介して回転自在に支持されている。
【0063】
第1密封部材74は、回転ハウジング7の内周面において中心軸線方向の他端側と固定ハウジング6の外周面において第2室62に対応する領域との間に取り付けられている。
【0064】
第2密封部材75は、固定ハウジング6の端壁63の内孔とロータ軸33の延伸部36aとの間に取り付けられている。
【0065】
ところで、固定ハウジング6、第1閉蓋64、第2閉蓋73ならびに仕切板8は、例えばアルミニウム系金属などで形成されている。回転ハウジング7は、例えば鉄系金属などで形成されている。第1、第2ウエイト37,38は、例えば黄銅などで形成されている。また、駆動回路4の第1、第2回路基板41,42は、熱伝導特性の良い金属材料(例えばアルミニウム合金など)で形成されている。
【0066】
減速機構部5は、3段の遊星歯車機構51,52,53を備えている。この実施形態では、モータ3のロータ軸33から回転ハウジング7へ向かう動力伝達方向の上流側から順に、第1段目の遊星歯車機構51、第2段目の遊星歯車機構52、第3段目(最終段)の遊星歯車機構53が設けられている。
【0067】
なお、回転ハウジング7の外周には、径方向外向きに延出するフランジ部76が一体に設けられている。このフランジ部76には、例えばクローラ走行装置2の駆動輪21が締結部材(例えばボルト77など)により取り付けられている。
【0068】
第1段目の遊星歯車機構51は、太陽歯車51a、3個の遊星歯車51b、3本の遊星歯車軸51c、キャリア51dを有している。
【0069】
太陽歯車51aは、ロータ軸33の他端部において減速機構部5に向けて延伸された延伸部36aの外径側に一体回転可能に嵌合されている。遊星歯車51bは、太陽歯車51aと回転ハウジング7の内歯とにそれぞれ噛合されていて、太陽歯車51a周りに転動可能になっている。遊星歯車軸51cは、遊星歯車51bを転がり軸受(例えば針状ころ軸受など、符号省略)を介して回転自在に支持するものである。キャリア51dは、3本の遊星歯車軸51cを片持ち梁状に支持する環状の板からなり、その内歯が第2段目の遊星歯車機構52の太陽歯車52aに噛合されている。
【0070】
第2段目の遊星歯車機構52は、太陽歯車52a、3個の遊星歯車52b、3本の遊星歯車軸52c、キャリア52dを有している。
【0071】
太陽歯車52aは、ロータ軸33の他端部の延伸部36aに転がり軸受(例えば針状ころ軸受など、符号省略)を介して相対回転自在に外嵌されている。遊星歯車52bは、太陽歯車52aと回転ハウジング7の内歯とにそれぞれ噛合されていて、太陽歯車52a周りに転動可能になっている。遊星歯車軸52cは、遊星歯車52bを転がり軸受(例えば針状ころ軸受など、符号省略)を介して回転自在に支持するものである。キャリア52dは、3本の遊星歯車軸52cを片持ち梁状に支持する環状の板からなり、その内歯が第3段目の遊星歯車機構53の太陽歯車53aに噛合されている。
【0072】
第3段目の遊星歯車機構53は、太陽歯車53a、3個の遊星歯車53b、3本の遊星歯車軸53cを有している。
【0073】
太陽歯車53aは、ロータ軸33の他端部の延伸部36aに転がり軸受(例えば針状ころ軸受など、符号省略)を介して相対回転可能に外嵌されている。遊星歯車53bは、太陽歯車53aと回転ハウジング7の内歯とにそれぞれ噛合されていて、太陽歯車53a周りに転動可能になっている。遊星歯車軸53cは、遊星歯車53bを転がり軸受(例えば針状ころ軸受など、符号省略)を介して回転自在に支持するものであって、軸受押さえ板72を貫通して固定ハウジング6の端壁63に片持ち梁状に支持されている。
【0074】
このように遊星歯車軸53cを、固定ハウジング6の端壁63に片持ち梁状に支持させるようにしていれば、キャリアを無くすことが可能になる。そのため、遊星歯車軸53cの中心軸線方向の一端側および他端側を支持する場合に比べると、減速機構部5全体を中心軸線方向にコンパクトにすることが可能になる。しかも、3個の遊星歯車53bが自転のみ可能になるが、公転不可能になる。
【0075】
次に、
図5を参照して、上述した構成の減速機構部5による動力伝達経路を説明する。
【0076】
モータ3の駆動によってロータ軸33および第1段目の遊星歯車機構51の太陽歯車51aを一体に回転させると、当該太陽歯車51aに噛合している3個の遊星歯車51bが自転しつつ公転する。
【0077】
この遊星歯車51bの公転と同期回転するキャリア51dが、第2段目の遊星歯車機構52の太陽歯車52aを回転させるので、当該太陽歯車52aに噛合している3個の遊星歯車52bが自転しつつ公転する。
【0078】
この遊星歯車52bの公転と同期回転するキャリア52dが、第3段目の遊星歯車機構53の太陽歯車53aを回転させるが、当該太陽歯車53aに噛合している3個の遊星歯車53bを支持する遊星歯車軸53cが固定ハウジング6に固定されているので、遊星歯車53bが公転せずに自転する。この遊星歯車53bに噛合している回転ハウジング7が回転される。
【0079】
このような形態により、ロータ軸33の回転動力が、
図5の太線矢印で示すように、減速されて回転ハウジング7に伝達される。
【0080】
次に、この実施形態の駆動装置1では、ロータ軸33の中心軸線方向での大型化を抑制しながら、温度上昇を抑制することを目的として、次のような構成を採用しているので、以下において詳細に説明する。
【0081】
(A1)固定ハウジング6の外周において第2室62に対応する領域に、放熱部としてのフィン67を設けている。
【0082】
このフィン67は、
図3に示すように、固定ハウジング6の外周面の円周方向数ヶ所に一体に設けられている。
【0083】
この実施形態では、フィン67が、固定ハウジング6の外周において第1室61に対応する領域にまで延伸されている。
【0084】
このようなフィン67は、駆動回路4やモータ3のロータ軸33から仕切板8を介して固定ハウジング6に伝達される熱を固定ハウジング6の外側に放出する。
【0085】
(A2)駆動回路4の第1回路基板41が取り付けられた仕切板8においてモータ3に向いた面(内面)に、温度調整部としての環状のメッシュプレート9が取り付けられている。
【0086】
このメッシュプレート9は、例えば熱伝導特性の良い金属材料(例えばアルミニウム合金など)により形成されていて、その表面積を可及的に増加するために、
図6(a)に示すように、格子状のメッシュとして形成されている。
【0087】
なお、メッシュプレート9は、
図6(b)に示すように、ハニカム状のメッシュとして形成することが可能である。
【0088】
このようなメッシュプレート9は、第1室61内の温度と第2室62内の温度とに高低差が発生するような状況において、このような温度差を低減するように調整するものである。
【0089】
具体的に、例えば第1室61内の温度が第2室62内の温度よりも高い場合、第1室61内の熱をメッシュプレート9が吸収して、仕切板8を介して第2室62に伝達させるように機能する。一方、例えば第2室62内の温度が第1室61内の温度よりも高い場合、第2室62内の熱が仕切板8を介してメッシュプレート9に伝達されることになって、当該メッシュプレート9に伝達された熱を第1室61に放出するように機能する。
【0090】
(A3)ロータ軸33の外周において仕切板8寄りに外嵌装着されている第1ウエイト37の外周の円周方向数ヶ所にフィン37aを設けている。
【0091】
さらに、
図4、
図7ならびに
図8に示すように、仕切板8の円周方向数ヶ所に、通孔82を設けているとともに、駆動回路4の第1回路基板41の円周方向数ヶ所に、通孔45を設けている。
【0092】
なお、通孔82は、仕切板8の中心軸線方向と平行になるように貫通されており、通孔45は第1回路基板41の中心軸線方向と平行になるように貫通されている。
【0093】
そして、第1回路基板41の各通孔45と仕切板8の各通孔82とが、
図4に示すように、それぞれ連通されていて、これらの通孔82,45が、第1室61と第2室62とを連通するようになっている。
【0094】
前記仕切板8には、前記ステータ31のコイル(図示せず)と第1回路基板41、第2回路基板42とを接続する電導線(図示せず)を通す貫通穴が設けられるが、前述した通孔82,45のいくつかにはこの電導線を挿通させてもよい。
【0095】
このようなフィン付きの第1ウエイト37は、ロータ軸33の回転に伴い第1室61内の空気を攪拌するファンになる。
【0096】
このファンにより撹拌される空気は、通孔82,45を介して第2室62に案内されるとともに、さらに第2室62から他の通孔82,45を介して第1室61に還流されるようになる。このような空気の循環によって、第1室61内の温度と第2室62内の温度とに高低差が生じるような状況においても、そのような温度差を低減することが可能になる。
【0097】
(A4)仕切板8と転がり軸受34との間、つまり仕切板8において転がり軸受34の嵌め合い部分には、断熱材10が介装されている。
【0098】
この断熱材10は、モータ3からロータ軸33に伝達される熱が、仕切板8に伝達することを抑制または防止する。この断熱材10は、例えば高強度系断熱材(セメント、樹脂など)で形成されている。
【0099】
(A5)ロータ軸33の一端部側において、第1回路基板41の中央開口を通り第2室62内にまで延伸されている延伸部36bの外周に、
図4および
図7に示すように、遠心ファン11が設けられている。
【0100】
なお、この延伸部36bの端面には磁石(図番)が装着され、磁石(図番)面と対向する第2回路基板42にはホール素子(図番)を配して、ロータ軸33の回転位置を検出する位置センサが構成されている。
【0101】
さらに、仕切板8の外面の円周方向数ヶ所に、
図4、
図7ならびに
図8に示すように、放射方向に沿う溝83が設けられている。
【0102】
この溝83の開口は、仕切板8の外面に取り付けられる第1回路基板41によって閉塞されている。この閉塞された溝83が、空気の流通路になる。
【0103】
この実施形態では、
図8に示すように、各溝83の底に上記構成要素(A3)で説明した通孔82が配置されている。
【0104】
このような構成によれば、ロータ軸33が回転すると、遠心ファン11がロータ軸33と同期回転することによって、第2室62内の空気を径方向外向きに流動させるようになる。これに伴い、前記空気が前記閉塞された溝83を通って固定ハウジング6において第2室62の配置領域の外径側に移動されることになるので、第2室62内で空気を循環させるようになる。
【0105】
これにより、第2室62内の熱が固定ハウジング6に伝達されることになって、この固定ハウジング6の熱がフィン67から固定ハウジング6の外側に放出されることになる。
【0106】
以上説明したように本発明を適用した第1実施形態によれば、モータ3と駆動回路4とを固定ハウジング6内に配置してユニット化しているから、電磁障害を受け難くなる。
【0107】
しかも、このようにユニット化することに伴いモータ3と駆動回路4の両方から発生する熱によって固定ハウジング6の内部空間および固定ハウジング6そのものが温度上昇しやすくなるものの、上記構成要素(A1)―(A5)によって、固定ハウジング6の内部空間としての第1室61と第2室62との温度差を低減したうえで、固定ハウジング6に伝達される熱を固定ハウジング6の外側に効率良く放出させることが可能になる。これにより、固定ハウジング6の内部空間および固定ハウジング6そのもの温度上昇を抑制することが可能になる。
【0108】
しかも、この第1実施形態の駆動装置1では、温度上昇を抑制するための上記構成要素(A1)―(A5)が、従来例で説明した放熱要素(ファン)の設置形態に比べると、固定ハウジング6の中心軸線方向で嵩張らずに済む。
【0109】
このようなことから、本発明の第1実施形態に係る駆動装置1は、中心軸線方向での大型化を抑制しながら、トータルでの温度上昇を抑制することが可能になる。
【0110】
次に、
図9を参照しながら、本発明に係る駆動装置の第2実施形態について説明する。
図9において
図1から
図8に示した構成要素と同じ機能を果たす構成要素には同じ符号を付している。
【0111】
第2実施形態では、第1実施形態に示す駆動回路4の第1回路基板41を、仕切板8に取り付けずに固定ハウジング6に取り付けている第1閉蓋64の内面に締結部材(例えばボルト12など)により取り付けるとともに、第1閉蓋64の外面に多数のリブ13を一体に設けるようにしている。
【0112】
そして、第2実施形態では、第1実施形態でのメッシュプレート9、断熱材10を無くしている。その他の構成は第1実施形態の構成と同様である。
【0113】
第2実施形態によれば、第1室61と第2室62とが仕切板8の通孔82によって連通されているから、第1室61内の温度と第2室62内の温度とに高低差が生じるような状況でも、そのような温度差を低減することができる。
【0114】
また、第2実施形態によれば、駆動回路4から発生する熱が第1閉蓋64に伝達されるが、この第1閉蓋64に伝達された熱がリブ13を介して固定ハウジング6の外側に放出される。これにより、第2室62内の温度上昇が抑制される。なお、リブ13が特許請求の範囲に記載している第2放熱部に相当している。
【0115】
このように、第2実施形態によれば、第1実施形態の作用、効果と遜色のない作用、効果を奏する。
【0116】
次に、
図10および
図11を参照しながら、本発明に係る駆動装置の第3実施形態について説明する。
図10および
図11において、
図1から
図5に示した構成要素と同じ機能を果たす構成要素には同じ符号を付している。
【0117】
第3実施形態では、第1実施形態において固定ハウジング6に取り付けた第1閉蓋64に、第2室62と固定ハウジング6の外側とを連通するための多数の開口68を設けているとともに、当該多数の開口68を覆うように第1閉蓋64の内面に防水透湿膜14を取り付けている。
【0118】
なお、多数の開口68は、第1閉蓋64の中心軸線方向と平行になるように貫通する貫通孔とされている。
【0119】
さらに、第3実施形態では、仕切板8の一部を固定ハウジング6の外側に露呈させるようにしている。具体的に、仕切板8の外周が固定ハウジング6の内周にすきま嵌めされているが、固定ハウジング6の円周方向数ヶ所に径方向に貫通するように設けた貫通孔69に、ボルト15を外径側から差し入れて仕切板8の外周部にねじ込むような形態にしている。
【0120】
なお、ボルト15は、熱伝導特性の良い金属材料(例えばアルミニウム合金など)で形成することが好ましい。
【0121】
その他の構成は第1実施形態の構成と同様である。
【0122】
この第3実施形態によれば、第2室62内の熱を、防水透湿膜14および開口68を介して固定ハウジング6の外側に放出することができる。しかも、多数の開口68を防水透湿膜14で覆っているから、固定ハウジング6の外側から内側への水分浸入を防止することができる。
【0123】
また、ボルト15が仕切板8の一部になっているので、仕切板8の熱がボルト15を介して固定ハウジング6の外側に放出されることになる。
【0124】
このように、第3実施形態によれば、駆動装置1の温度上昇を抑制する効果を、第1実施形態と同等あるいは第1実施形態よりも高めることが可能になる。
【0125】
なお、本発明は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、特許請求の範囲内および当該範囲と均などの範囲内で適宜に変更することが可能である。
【0126】
(1)上記各実施形態で示した駆動装置1は、農業機械や建設機械などの作業車両や、スノーモービルなどのレクリエーションビークルなどに搭載されたクローラ走行装置に好適に適用することが可能であるが、当該クローラ走行装置だけでなく、ホイール式走行装置にも適用することが可能である他、例えば油圧ショベルや油圧クレーンなどの建設機械における走行用駆動装置または旋回用駆動装置などにも適用することが可能である。
【0127】
(2)上記各実施形態で示した駆動装置1は、モータ3と駆動回路4とを固定ハウジング6内に配置したうえで、減速機構部5および回転ハウジング7をさらに一体的に装備した構成として説明しているが、これに限定されず、減速機構部5および回転ハウジング7を備えていない構成の駆動装置1も本発明に含まれる。
【0128】
(3)上記各実施形態で示した減速機構部5は、3段の遊星歯車機構51,52,53に限定されず、2段または4段以上であってもよい。
【0129】
(4)上記各実施形態では、転がり軸受34,35,71を深溝玉軸受としているが、これに限定されず、例えばアンギュラ玉軸受や、円筒ころ軸受、円すいころ軸受などとすることが可能である。
【0130】
(5)上記第1実施形態で示した駆動装置1において、上記構成要素(A3)~(A5)を無くした構成も本発明に含まれる。
【0131】
(6)上記第2実施形態で示した駆動装置1において、仕切板8の通孔82、遠心ファン11を無くした構成も本発明に含まれる。
【0132】
(7)上記第2実施形態で示した駆動装置1において、上記構成要素(A2)および(A4)を備えた構成も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、固定ハウジング内にモータと駆動回路とを中心軸線方向で隣り合わせになるように配置した駆動装置に好適に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0134】
1 駆動装置
3 モータ
31 ステータ
32 ロータ
33 ロータ軸
34 転がり軸受
35 転がり軸受
36 延伸部
4 駆動回路
41 第1回路基板
42 第2回路基板
45 通孔
5 減速機構部
51 第1段目の遊星歯車機構
52 第2段目の遊星歯車機構
53 第3段目の遊星歯車機構
6 固定ハウジング
61 第1室
62 第2室
63 端壁
64 第1閉蓋
67 フィン(放熱部に相当)
7 回転ハウジング
71 転がり軸受
8 仕切板
82 通孔
83 溝
9 メッシュプレート(温度調整部に相当)
10 断熱材
11 遠心ファン