(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068712
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】落鉱回収装置
(51)【国際特許分類】
E02F 3/32 20060101AFI20220427BHJP
B65G 45/26 20060101ALI20220427BHJP
E02F 3/34 20060101ALI20220427BHJP
【FI】
E02F3/32 B
B65G45/26 Z
E02F3/34
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177540
(22)【出願日】2020-10-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】520413472
【氏名又は名称】株式会社タジマ
(71)【出願人】
【識別番号】000170325
【氏名又は名称】鴻池運輸株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148792
【弁理士】
【氏名又は名称】三田 大智
(72)【発明者】
【氏名】田中 尊夫
【テーマコード(参考)】
2D012
【Fターム(参考)】
2D012AB02
2D012BA01
(57)【要約】
【課題】 バケットを低背空間において自在に操作できるようにし、確実且つ適切な回収作業を実現できる落鉱回収装置の提供。
【解決手段】 本発明に係る落鉱回収装置は、低背空間に堆積した落鉱を回収する装置であって、本体から水平方向に突出し昇降動可能且つ水平面内において回動可能に設けられたアームと、該アームの先端部に設けられたバケットを備え、上記アームは上記本体に回動可能に連結する上腕部と、該上腕部と上記バケット間を繋ぐ前腕部と、上記上腕部に上記前腕部を回動可能に連結する第一関節部と、上記前腕部に上記バケットを回動可能に連結する第二関節部を有し、上記前腕部及び/又は上記バケットは自身の基端部に連結する部材の中心線を基準として左右両側に回動可能とする構成により、上記バケットを水平方向に且つ高さを変えて広範囲に万遍なく移動させることができ、確実且つ適切な回収作業が実現できる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低背空間に堆積した落鉱を回収する装置であって、本体から水平方向に突出し昇降動可能且つ水平面内において回動可能に設けられたアームと、該アームの先端部に設けられたバケットを備え、上記アームは上記本体に回動可能に連結する上腕部と、該上腕部と上記バケット間を繋ぐ前腕部と、上記上腕部に上記前腕部を回動可能に連結する第一関節部と、上記前腕部に上記バケットを回動可能に連結する第二関節部を有し、上記前腕部及び/又は上記バケットは自身の基端部に連結する部材の中心線を基準として左右両側に回動可能であることを特徴とする落鉱回収装置。
【請求項2】
上記前腕部及び/又は上記バケットはロータリーアクチュエータ又はモータを駆動源として回動することを特徴とする請求項1記載の落鉱回収装置。
【請求項3】
上記第一関節部及び/又は上記第二関節部における連結軸部を下部よりも上部が大径の片持ち軸構造とし、該連結軸部の上部を強固に支持することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の落鉱回収装置。
【請求項4】
上記バケットは底無構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の落鉱回収装置。
【請求項5】
上記バケットの先端部に補強片を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の落鉱回収装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベアの下などの低背空間(地面からの高さが限定された空間)に落下した鉱石、いわゆる落鉱を回収する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大量の鉱物を扱う製鉄所などにおいては、たとえば原料ヤードのベルトコンベアなど搬送手段の継ぎ目や周りに落鉱が堆積してしまい、堆積した落鉱によって鉱石の搬送に支障が生じてしまう問題を有している。
【0003】
落鉱が堆積した箇所が開放的な空間であれば、ユンボなどの一般的な重機で容易に落鉱を回収することができるが、落鉱が堆積した箇所がベルトコンベアの下などの低背空間であると、一般的な重機では回収できず、人力による回収作業を余儀なくされる。
【0004】
しかしながら、落鉱が堆積した箇所は長距離に亘って多数存在するし、堆積した落鉱は固化したり塊状化したりしているため、そもそも人力による回収作業は頗る困難である。そのため、低背空間専用の落鉱回収装置が種々開発されている。
【0005】
たとえば、下記特許文献1に開示の落鉱回収装置は、装置自体を低背空間に侵入可能な高さにすると共に自走可能にして、落鉱が堆積した低背空間に侵入し、本体前方に設けたバケットで落鉱を押し出すか、又は落鉱を掬い出して回収することができる。
【0006】
また、下記特許文献2に開示の落鉱回収装置は、本体から水平方向に突出する伸縮アームと、該伸縮アームの基端側に設けられたバケットと、該伸縮アームの先端側に設けられて上記バケットと対向する掻き寄せ具を備え、該掻き寄せ具を上記伸縮アームにより前後動させて落鉱を掻き寄せ、該掻き寄せた落鉱を上記バケットに掻き入れることにより、落鉱を回収することができる。
【0007】
また、下記特許文献3に開示の落鉱回収装置は、既知のユンボなどの掘削機、すなわち垂直面内において回動可能なアームと、該アームの先端部に設けたバケットとを備えた掘削機であって、上記バケットを横長構造にし、該横長バケットを片持ち状態で取り付け、該横長バケットの自由端部を落鉱が堆積した低背空間に差し入れ、該差し入れた横長バケットで落鉱を掬い出して回収することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014-5648号公報
【特許文献2】実開昭62-21155号公報
【特許文献3】実開平4-33753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1の落鉱回収装置にあっては、落鉱が堆積した空間が低背なだけではなく狭隘でもある場合には、そもそも当該空間に侵入することは困難であり、侵入できたとしても押し出し作業や掬い出し作業を行うことはできない問題点を有している。
【0010】
これに対して、上記特許文献2,3の落鉱回収装置は、何れも、掻き寄せ具やバケットのような部材を落鉱が堆積した空間に差し入れて回収作業を行うことができるため、当該空間が低背且つ狭隘であっても有効に落鉱を回収することができる。
【0011】
しかしながら、上記特許文献2の落鉱回収装置にあっては、掻き寄せ具は伸縮アームによって直線状に前後動するだけであるから、一度に落鉱を回収できる範囲は掻き寄せ具の幅に限定されるのであり、それよりも広範囲での回収が必要な場合には逐一装置を移動しなければ回収作業を行うことはできない。
【0012】
また、上記特許文献3の落鉱回収装置にあっては、横長バケットを支持するアームは垂直方向にのみ回動可能であり、横長バケットは水平方向においては装置自体の走行や回転による移動しかできないから、この装置においては、結局、横長バケットの自由端部が届く範囲が回収作業可能範囲である。したがって、そもそも横長バケットの自由端部が届かない部分の落鉱を回収することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上記した従来の落鉱回収装置の構造を抜本的に見直して、バケットを低背空間において自在に操作できるようにし、確実且つ適切な回収作業を実現できる、比類なき落鉱回収装置を提供する。
【0014】
要述すると、本発明に係る落鉱回収装置は、低背空間に堆積した落鉱を回収する装置であって、本体から水平方向に突出し昇降動可能且つ水平面内において回動可能に設けられたアームと、該アームの先端部に設けられたバケットを備え、上記アームは上記本体に回動可能に連結する上腕部と、該上腕部と上記バケット間を繋ぐ前腕部と、上記上腕部に上記前腕部を回動可能に連結する第一関節部と、上記前腕部に上記バケットを回動可能に連結する第二関節部を有し、上記前腕部及び/又は上記バケットは自身の基端部に連結する部材の中心線を基準として左右両側に回動可能とする構成により、上記バケットを水平方向に且つ高さを変えて広範囲に万遍なく移動させることができ、確実且つ適切な回収作業が実現できる。
【0015】
好ましくは、上記前腕部及び/又は上記バケットはロータリーアクチュエータ又はモータを駆動源として回動する構成により回動角度を自由に調整することができる。加えてトルクも調整可能であり、上記前腕部及び/又は上記バケットは力強く回動することができる。
【0016】
また、上記第一関節部及び/又は上記第二関節部における連結軸部を下部よりも上部が大径の片持ち軸構造とし、該連結軸部の上部を強固に支持することにより、上記前腕部や上記バケットを確実に回動可能に支持すると共にこれらの重量に起因する曲げモーメントに適切に対応する。
【0017】
好ましくは、上記バケットは底無構造とすることにより、回収作業時の無用な摩擦抵抗や引っかかりを低減しつつ、確実に落鉱を掻き出すことができる。
【0018】
また、上記バケットの先端部に補強片を設けることにより、当該バケット自体の剛性を向上すると共に落鉱や地面との接触による摩耗を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る落鉱回収装置によれば、低背空間に堆積した落鉱に対して、バケットを水平方向に広範囲且つ万遍なく移動させることができ、確実で適切な回収作業を行うことができる。
【0020】
また、本発明に係る落鉱回収装置のアームは、上述した水平方向の回動に加えて、昇降動することもできるので、堆積し固化した落鉱の塊におけるウィークポイントに有効にバケットを当てることができる共に、地面すれすれでバケットを操作することもでき、ひいては効率的な回収作業が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る落鉱回収装置の側面図であり、本体、アーム(上腕部と前腕部)及びバケットを一直線に配した状態を示す側面図である。
【
図3】本発明に係る落鉱回収装置の平面図であり、アーム(上腕部と前腕部)及びバケットを本体と直交する方向に一直線に配した様子を示す平面図である。
【
図5】本発明に係る落鉱回収装置におけるアーム(上腕部と前腕部)及びバケットの回動範囲を示す平面図である。
【
図8】低背空間に堆積した落鉱を回収する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る落鉱回収装置の最良の実施例について、
図1乃至
図8に基づき、説明する。なお、
図5においては、実際には外部から視認できない、ロータリーアクチュエータ7のチェーン7aを、敢えて描き、ロータリーアクチュエータ7から前腕部3b又はバケット4への回動力の伝達を示している。
【0023】
<基本構成>
本発明に係る落鉱回収装置1は、
図8に示すように、ベルトコンベアBなどに高さが限定された低背空間Sに堆積した落鉱Oを回収する装置である。当該落鉱回収装置1は、
図1乃至
図5に示すように、本体2から水平方向に突出し昇降動可能且つ水平面内において回動可能に設けられたアーム3と、該アーム3の先端部に設けられたバケット4を備える基本構成を有している。すなわち、アーム3は本体2から地面GLと平行に突出し、地面と平行のまま水平方向に沿って回動することができると共に、地面GLと平行のまま昇降動することもできる構成となっている。具体的な構成については後述する。
【0024】
なお、
図1乃至
図3、
図5において、図中の2aは移動するための車輪であり、2bはアーム3とのバランスを取るカウンターウェイトであり、2cは自走用のエンジンである。本発明に係る落鉱回収装置1において、本体2が自走可能か否かについては、特に限定はないが、回収作業の効率の観点から、既知のエンジンなどを駆動源として自走可能とすることが望ましい。また、自走のための操作を含め、アーム3やバケット4の操作については、作業者が乗り込んで操作するか、作業者がリモート操作するかは実施に応じ任意である。
【0025】
<アームの構成>
図1乃至
図5に示すように、アーム3は、本体2に回動可能に連結する上腕部3aと、上腕部3aとバケット4間を繋ぐ前腕部3bと、上腕部3aに前腕部3bを回動可能に連結する第一関節部5と、前腕部3bにバケット4を回動可能に連結する第二関節部6を有する。なお、図中の10は、上腕部3aを回動させるための油圧シリンダーであり、該油圧シリンダー10のピストンロッド10aによる往復運動をクランク部11及び上腕支持部12の連結軸12aを介して上腕部3aの回動運動に変換する。また、図中の13はアーム3を昇降動させるための油圧シリンダーであり、上腕支持部12を介してアーム3を油圧シリンダー10と共に昇降動させるものである。
【0026】
≪アーム及びバケットの昇降動構成≫
本発明においては、アーム3自体を昇降動することができる。よって、アーム3に支持されたバケット4も同様に昇降動すると共に、アーム3の上腕部3aに回動力を付与する油圧シリンダー10も一緒に昇降動することとなる。具体的には、油圧シリンダー13のピストンロッド13aによって上腕支持部12を昇降動することにより、上腕部3a及び前腕部3b(すなわちアーム3)並びにバケット4を昇降動することができると共に、上腕支持部12に結合した油圧シリンダー10も昇降動することができる。
【0027】
好ましくは、上腕支持部12の昇降動をガイドする一対のガイド軸15を設け、ガタつきのない昇降動を実現する。各ガイド軸15は油圧シリンダー13のピストンロッド13aと平行に且つピストンロッド13aとの間隔が等しくなるように固定用パネル14A・14Bを介して固定されている。
【0028】
上腕支持部12は、上腕部3aを回動可能に支持するための連結軸12aと、該連結軸12aを回動可能に支持する軸受部12bと、既述したガイド軸15の外周面に沿ってスライドするスライド部12cと、油圧シリンダー10の本体(シリンダー部分)及び油圧シリンダー13のピストンロッド13aの先端と結合する結合部12dとを備え、これらが一体化して構成されている。
【0029】
≪アーム及びバケットの回動構成≫
本発明においては、特に、前腕部3bとバケット4が自身の基端部に連結する部材の中心線を基準として左右両側に回動可能である構成を有しており、広範囲で万遍なく回収作業を行うことができる。
【0030】
詳述すると、
図3,
図5に示すように、前腕部3bは自身の基端部に連結する上腕部3aの中心線を基準として左右両側に最大で90°ずつ回動可能である。同様に、バケット4は自身の基端部に連結する前腕部3bの中心線を基準として左右両側に最大で90°ずつ回動可能である。なお、前腕部3bとバケット4の最大回動角度は適宜調整できる。前腕部3bとバケット4は、必ずしも左右対称に回動しなくても良く、一方側と他方側で最大回動角度を変えても良い。また、本実施例においては、前腕部3bとバケット4の双方について、自身の基端部に連結する部材の中心線を基準として左右両側に回動可能である構成であるが、本発明にあっては、前腕部3bとバケット4の一方のみ、左右両側に回動するように構成しても良い。何れにしても、所望するアーム3全体の動きに応じて、任意に設定することができる。
【0031】
本実施例にあっては、上述した如く、前腕部3bとバケット4の双方が自身の基端部に連結する部材の中心線を基準として左右両側に回動可能であるので、
図5に示すように、上腕部3aが90°だけ回動することができれば、前腕部3bは270°分の回動が可能であり、バケット4は360°を超えてさらに90°、計450°回動することができ、落鉱回収に直接関与するバケット4を広範囲で万遍なく移動させることができる。そのため、確実且つ適切な落鉱回収作業が実現できる。
【0032】
図5に示すように、バケット4は、回動のための駆動源として、ロータリーアクチュエータ7を用いることにより、回動角度を自由に調整することができると共にトルクも調整可能となり、上述したような回動を可能とする。同様に、前腕部3bは、回動のための駆動源として、ロータリーアクチュエータ7を用いることにより、上述したような回動を可能とする。
【0033】
本発明において、ロータリーアクチュエータ7としては、前腕部3b又はバケット4を無段階で且つ所望のトルクで回動させることができれば、既知の空圧、油圧又は電動のロータリーアクチュエータを用いることができる。
【0034】
ただし、本発明において、好ましくは、ロータリーアクチュエータ7を前腕部3bに配し、該前腕部3bに配されたロータリーアクチュエータ7の回動力をチェーン7aを介して駆動部7bに伝え、該駆動部7bで第二関節部6の連結軸8を回動し、該連結軸8の回動によってバケット4を回動する。これにより、ロータリーアクチュエータ7を第二関節部6とは離れた前腕部3bに配することができるため、第二関節部6の回動域を広くすることができる一方、チェーン7aによりロータリーアクチュエータ7の回動力を確実に第二関節部6の連結軸8に伝達することができる。
【0035】
また、前腕部3bに回動力を付与するロータリーアクチュエータ7でも同様に、ロータリーアクチュエータ7を上腕部3aに配し、該上腕部3aに配されたロータリーアクチュエータ7の回動力をチェーン7aを介して駆動部7bに伝え、該駆動部7bで第一関節部5の連結軸8を回動し、該連結軸8の回動によって前腕部3bを回動する。これにより、ロータリーアクチュエータ7を第一関節部5とは離れた上腕部3aに配することができるため、第一関節部5の回動域を広くすることができる一方、チェーン7aによりロータリーアクチュエータ7の回動力を確実に第一関節部5の連結軸8に伝達することができる。
【0036】
なお、具体的には図示しないが、本発明においては、バケット4及び/又は前腕部3bが電動モータを駆動源として回動することも、実施に応じ任意である。電動モータを用いる場合、上述のロータリーアクチュエータの場合と同様にチェーンを介して回動力を伝達する構成としても良い。
【0037】
ここで、第二関節部6の具体的構造について、
図6を用いて説明する。なお、第一関節部5の具体的構造は、これから説明する第二関節部6と同様であるので、説明は割愛し、第二関節部6の説明を援用する。
【0038】
図6に示すように、第二関節部6においては、連結軸8と軸受け部9を備える。連結軸8は、上部に大径軸部8aを有すると共に下部に小径軸部8bを有し、該大径軸部8aと小径軸部8b間を基軸部8cが繋ぐ構造となっている。また、軸受け部9は、連結軸8の上部の大径軸部8aを受けて支持する肉厚の上部軸受け部9aと、連結軸8の小径軸部8bを補助的に支持する薄板状の補助板部9bを備えている。このように、連結軸8は、下部側よりも上部側が強固に支持される片持ち軸構造とし、連結軸8上部の大径軸部8aが軸受け部9の肉厚の上部軸受け部9aによって強固に支持される。
【0039】
このように、第二関節部6においては、連結軸8の大径軸部8a及び軸受け部9の上部軸受け部9aにより上部側の剛性を高める構成となっており、バケット4を確実に回動させると共に、バケット4の重量に起因する曲げモーメントに適切に対応する。また、第一関節部5においては、前腕部3bを確実に回動させると共に、前腕部3b及びバケット4の重量に起因する曲げモーメントに適切に対応する。
【0040】
また、第二関節部6においては、前腕部3bに配されたロータリーアクチュエータ7の回動力を伝達するチェーン7aがギヤ状の駆動部7bを回動し、該駆動部7bと一体化する連結軸8の基軸部8cを回動する構成となっている。なお、
図6中において、7cはベアリングユニットであり、連結軸8の基軸部8aを回動可能に支持する部材である。
【0041】
<バケットの構成>
本発明におけるバケット4は、
図6,
図7に示すように、天板部4Aと該天板部4Aの外縁から垂下する側壁部4Bを備えるが、好ましくは、底板は設けない底無構造とする。すなわち、バケット4の底部分は開口部4bとし、開放する。このように、底無構造とすることにより、回収作業時、つまり落鉱の掻き出し時の無用な摩擦抵抗や引っかかりを低減することができる。
【0042】
また、
図6,
図7に示すように、バケット4の先端部には補強片4aを設けるのが望ましい。該補強片4aによってバケット4自体の剛性を高めると共に、落鉱や地面との接触による摩耗を防ぐことができる。よって補強片4aは側壁部4Bの側縁や下縁などの落鉱や地面との接触が多い箇所に設けるのが良い。
【0043】
上記説明した構成を備えた、本発明に係る落鉱回収装置1にあっては、
図6に示すように、ベルトコンベアBの下などの低背空間Sに落鉱Oが堆積している場合にも、アーム3によってバケット4を所望の高さで水平方向に沿って回動させることにより、固化している落鉱Oを確実に崩しつつ掻き出すことができる。
【0044】
また、第一関節部5とロータリーアクチュエータ7によりアーム3の前腕部3bは上腕部3aの中心線より左側にも右側にも回動することができ、第二関節部6とロータリーアクチュエータ7によりバケット4は前腕部3bの中心線より左側にも右側にも回動することができるので、バケット4を広範囲に万遍なく移動させることができ、適切な回収作業が実現できる。
【0045】
なお、本発明においては、さらに強力な掻き出しを実現するために、前腕部3bの駆動源をたとえば油圧シリンダーとして、当該前腕部3bを上腕部3aの中心線の左右一方側のみに回動可能にし、バケット4を前腕部3bの中心線の左右両側に回動可能にすることも実施に応じ任意である。逆に、前腕部3bを上腕部3aの中心線の左右両側に回動可能にし、バケット4の駆動源を油圧シリンダーとして、当該バケット4を前腕部3bの中心線の左右一方側のみに回動可能とすることも実施に応じ任意である。
【0046】
また、本実施例では、最適例として、上腕部3aと前腕部3bを単体として説明したが、本発明においては、上腕部3a又は/及び前腕部3bを関節を介して複数体として構成することを排除するものではない。
【符号の説明】
【0047】
1…落鉱回収装置、2…本体、2a…車輪、2b…カウンターウェイト、2c…エンジン、3…アーム、3a…上腕部、3b…前腕部、4…バケット、4a…補強片、4b…開口部、4A…天板部、4B…側壁部、5…第一関節部、6…第二関節部、7…ロータリーアクチュエータ、7a…チェーン、7b…駆動部、7c…ベアリングユニット、8…連結軸、8a…大径軸部、8b…小径軸部、8c…基軸部、9…軸受け部、9a…上部軸受け部、9b…補助板部、10…油圧シリンダー、10a…ピストンロッド、11…クランク部、12…上腕支持部、12a…連結軸、12b…軸受部、12c…スライド部、12d…結合部、13…油圧シリンダー、13a…ピストンロッド、14A…固定用パネル、14B…固定用パネル、15…ガイド軸、B…ベルトコンベア、S…低背空間(落鉱堆積空間)、O…落鉱、GL…地面。
【手続補正書】
【提出日】2021-02-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低背空間に堆積した落鉱を回収する装置であって、本体から水平方向に突出し昇降動可能且つ水平面内において回動可能に設けられたアームと、該アームの先端部に設けられたバケットを備え、上記アームは上記本体に回動可能に連結する上腕部と、該上腕部と上記バケット間を繋ぐ前腕部と、上記上腕部に上記前腕部を回動可能に連結する第一関節部と、上記前腕部に上記バケットを回動可能に連結する第二関節部を有し、上記第一関節部及び上記第二関節部は、それぞれ、連結軸と該連結軸の上部及び下部を支持する軸受け部を備え、該連結軸は基軸部の上部に該基軸部よりも大径の大径軸部を有し、上記軸受け部は、上記連結軸の上部の大径軸部を受けて支持する上部軸受け部を備え、上記前腕部及び上記バケットは自身の基端部に連結する部材の中心線を基準として左右両側に回動可能であることを特徴とする落鉱回収装置。
【請求項2】
上記前腕部及び上記バケットはロータリーアクチュエータ又はモータを駆動源として回動することを特徴とする請求項1記載の落鉱回収装置。
【請求項3】
上記バケットは底無構造であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の落鉱回収装置。
【請求項4】
上記バケットの先端部に補強片を設けることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の落鉱回収装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
要述すると、本発明に係る落鉱回収装置は、低背空間に堆積した落鉱を回収する装置であって、本体から水平方向に突出し昇降動可能且つ水平面内において回動可能に設けられたアームと、該アームの先端部に設けられたバケットを備え、上記アームは上記本体に回動可能に連結する上腕部と、該上腕部と上記バケット間を繋ぐ前腕部と、上記上腕部に上記前腕部を回動可能に連結する第一関節部と、上記前腕部に上記バケットを回動可能に連結する第二関節部を有し、上記前腕部及び上記バケットは自身の基端部に連結する部材の中心線を基準として左右両側に回動可能とする構成により、上記バケットを水平方向に且つ高さを変えて広範囲に万遍なく移動させることができ、確実且つ適切な回収作業が実現できる。
また、上記第一関節部及び上記第二関節部は、それぞれ、連結軸と該連結軸の上部及び下部を支持する軸受け部を備え、該連結軸は基軸部の上部に該基軸部よりも大径の大径軸部を有し、上記軸受け部は、上記連結軸の上部の大径軸部を受けて支持する上部軸受け部を備えることにより、上記前腕部や上記バケットを確実に回動可能に支持すると共にこれらの重量に起因する曲げモーメントに適切に対応する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
好ましくは、上記前腕部及び上記バケットはロータリーアクチュエータ又はモータを駆動源として回動する構成により回動角度を自由に調整することができる。加えてトルクも調整可能であり、上記前腕部及び上記バケットは力強く回動することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正書】
【提出日】2021-05-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
低背空間に堆積した落鉱を回収する装置であって、本体から水平方向に突出し昇降動可能且つ水平面内において回動可能に設けられたアームと、該アームの先端部に設けられたバケットを備え、上記アームは上記本体に回動可能に連結する上腕部と、該上腕部と上記バケット間を繋ぐ前腕部と、上記上腕部に上記前腕部を回動可能に連結する第一関節部と、上記前腕部に上記バケットを回動可能に連結する第二関節部を有し、上記第一関節部及び上記第二関節部は、それぞれ、連結軸と該連結軸の上部及び下部を支持する軸受け部を備え、該連結軸は基軸部の上部に該基軸部よりも大径の大径軸部を有すると共に該基軸部の下部に該基軸部よりも小径の小径軸部を有し、上記軸受け部は、上記連結軸の上部の大径軸部を受けて支持する肉厚の上部軸受け部を備えると共に上記連結軸の下部の小径軸部を補助的に支持する、上記上部軸受け部より薄い薄板状の補助板部を備え、上記前腕部及び上記バケットは自身の基端部に連結する部材の中心線を基準として左右両側に回動可能であることを特徴とする落鉱回収装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
要述すると、本発明に係る落鉱回収装置は、低背空間に堆積した落鉱を回収する装置であって、本体から水平方向に突出し昇降動可能且つ水平面内において回動可能に設けられたアームと、該アームの先端部に設けられたバケットを備え、上記アームは上記本体に回動可能に連結する上腕部と、該上腕部と上記バケット間を繋ぐ前腕部と、上記上腕部に上記前腕部を回動可能に連結する第一関節部と、上記前腕部に上記バケットを回動可能に連結する第二関節部を有し、上記前腕部及び上記バケットは自身の基端部に連結する部材の中心線を基準として左右両側に回動可能とする構成により、上記バケットを水平方向に且つ高さを変えて広範囲に万遍なく移動させることができ、確実且つ適切な回収作業が実現できる。
また、上記第一関節部及び上記第二関節部は、それぞれ、連結軸と該連結軸の上部及び下部を支持する軸受け部を備え、該連結軸は基軸部の上部に該基軸部よりも大径の大径軸部を有有すると共に該基軸部の下部に該基軸部よりも小径の小径軸部を有し、上記軸受け部は、上記連結軸の上部の大径軸部を受けて支持する肉厚の上部軸受け部を備えると共に上記連結軸の下部の小径軸部を補助的に支持する、上記上部軸受け部より薄い薄板状の補助板部を備えることにより、上記前腕部や上記バケットを確実に回動可能に支持すると共にこれらの重量に起因する曲げモーメントに適切に対応する。