(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068765
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】静止型フローはんだ付け装置
(51)【国際特許分類】
B23K 3/06 20060101AFI20220427BHJP
B23K 1/08 20060101ALI20220427BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20220427BHJP
B23K 1/00 20060101ALN20220427BHJP
【FI】
B23K3/06 B
B23K1/08 310
H05K3/34 506J
B23K1/00 330E
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177620
(22)【出願日】2020-10-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-17
(71)【出願人】
【識別番号】306047952
【氏名又は名称】FAシンカテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095717
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 博文
(72)【発明者】
【氏名】桑嶋 希
(72)【発明者】
【氏名】洞筒 英生
【テーマコード(参考)】
4E080
5E319
【Fターム(参考)】
4E080AA01
4E080AB02
4E080DA04
4E080EA01
5E319AB01
5E319CC23
5E319GG03
(57)【要約】
【課題】はんだ液面の適宜な可変によって、最良のはんだ付け処理を速やかに行うことを目的とする静止型フローはんだ付け装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る静止型フローはんだ付け装置Mは、溶融はんだ液22を液面静止状態で貯留したはんだ槽2と、パレット41に保持した基板4を昇降させて、溶融はんだ液に対して所定速度で浸漬及び離脱させる基板昇降機構3と、溶融はんだ液へのフロート51の没入容積を可変してはんだ液面を昇降させる液面昇降機構5と、から構成する。上記液面昇降機構は、パレットの溶融はんだ液への接触時を契機としてはんだ液面を降下させる制御、及びパレットのはんだ液面からの離脱開始時を契機としてはんだ液面を上昇させる制御を行い、基板のはんだ液中への浸漬速度、又ははんだ液からの離脱速度を最適に設定している。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融はんだ液を液面静止状態で貯留したはんだ槽と、
パレットに保持した基板を昇降させて、溶融はんだ液に対して所定速度で浸漬及び離脱させる基板昇降機構と、
溶融はんだ液へのフロートの没入容積を可変してはんだ液面を昇降させる液面昇降機構と、
から成り、
前記液面昇降機構は、前記パレットの溶融はんだ液への接触時を契機としてはんだ液面を降下させる制御、及び前記パレットのはんだ液面からの離脱開始時を契機としてはんだ液面を上昇させる制御を行うことを特徴とする静止型フローはんだ付け装置。
【請求項2】
前記液面昇降機構の前記パレットの溶融はんだ液への接触時を契機としてはんだ液面を降下させる制御において、
前記フロートをはんだ液面から所定深さまで没入させた状態で維持して置き、前記パレットの溶融はんだ液への没入により発生するはんだ液面の上昇を、前記フロートの引揚げによって生じるはんだ液面の降下によって相殺するように制御したことを特徴とする請求項1記載の静止型フローはんだ付け装置。
【請求項3】
前記液面昇降機構の前記パレットのはんだ液面からの離脱開始時を契機としてはんだ液面を上昇させる制御において、
前記フロートをはんだ液面から全部又は一部を露出した状態で維持して置き、前記パレットのはんだ液面からの離脱開始により発生するはんだ液面の降下を、前記フロートの没入によって生じるはんだ液面の上昇によって相殺するように制御したことを特徴とする請求項1記載の静止型フローはんだ付け装置。
【請求項4】
前記基板昇降機構が、
パレットに保持した基板を、はんだ液面に対して平行又は傾斜した状態で昇降させることを特徴とする請求項1、2、又は3記載の静止型フローはんだ付け装置。
【請求項5】
前記基板及び又はパレットとはんだ液面との接触位置又は離脱開始位置の設定において、
基板及び又はパレットに温度センサー、変位センサー、又は距離センサー、を取り付けて置き、基板の昇降移動によって可変する前記センサーからのデータを用いて、基板及び又はパレットのはんだ液面との接触位置又は離脱開始位置を設定することを特徴とする請求項1、2、3、又は4記載の静止型フローはんだ付け装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静止型フローはんだ付け装置に関し、特に、はんだ付け基板のはんだ液への浸漬時及び離脱時におけるはんだ液面の昇降速度の制御手段を備えた静止型フローはんだ付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フローはんだ付け装置には、溶融はんだ液の状態によって液面を静止状態で維持する静止型と、溶融はんだ液を噴流状態に維持する噴流型がある。特に、静止型はんだ付け装置は、基板を載置して保持したディップ用のパレットを昇降機構に保持し、はんだ液面に向かって昇降させることによって、はんだ液に浸漬させていた。
【0003】
このような静止状態のはんだ液面に基板を接触させてはんだ付け処理する装置としては、例えば、特許文献1で提案された半田ディップ装置がある。この開示発明の構成は、はんだ液槽の上方に昇降可能に配設したアームでクランパを介して基板を保持すると共に、該クランパの水平方向両端に2個の導通センサを対設し、この2個の導通センサのはんだ液面へ接触導通信号を、前記アームの上下動機構用の駆動制御回路に送出して、前記基板の降下距離を規正して、浸漬時の液面高さに対応した位置で停止させてはんだ付け処理をするものである。これにより、リードへのはんだ付着不良を防止するものであった。
【0004】
また、ワークの浸漬処理加工方法として特許文献2に記載の発明が開示されている。これは前記ワークの降下動作に伴って降下せしめる液面検知部で処理液面を検知し、この液面検知信号に基づいて前記ワーク昇降駆動装置によるワークの降下動作を制御することで、前記ワークの下端側が処理液に浸漬される浸漬長を制御するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-226444号公報
【特許文献2】特開2009-208130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2で開示されている発明は、はんだ液面の位置を検知して基板のリードの接触時間を制御するものであった。そのため、下記の課題があった。
【0007】
すなわち、基板の昇降制御機構のみを有するはんだ付け装置においては、処理対象の基板をディップ用のパレットで保持して、所定の速度で溶融はんだ液に向かって降下させた場合、パレットが溶融はんだ液へ接触して浸漬するにしたがってはんだ液面が上昇するため、実際の降下速度は相対的に速い速度となって、はんだ不良等の品質低下を招く課題があった。これを避けるため、降下速度を遅く設定すればよいが、はんだ付け処理のサイクルタイムが長くなる問題があった。
【0008】
また、同様の課題は、浸漬した基板をはんだ液面から離脱させる場合においてもあった。すなわち、所定の離脱速度で上昇させる行程では、パレッ卜が溶融はんだ液から離脱始めると、パレットの排除容積が減少してはんだ液面が降下することから、実際の離脱速度は相対的に速くなってしまい、狙った速度で離脱させられず、目的の品質にならない課題があった。これを回避するため、離脱速度を遅くすれば、サイクルタイムが長くなる問題があった。
【0009】
そこで、本発明は基板を保持したパレットの昇降速度を変更することなく、はんだ液面の適宜な可変によって、最良のはんだ付け処理を速やかに行うことを目的とする静止型フローはんだ付け装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る静止型フローはんだ付け装置は、溶融はんだ液を液面静止状態で貯留したはんだ槽と、パレットに保持した基板を昇降させて、溶融はんだ液に対して所定速度で浸漬及び離脱させる基板昇降機構と、溶融はんだ液へのフロートの没入容積を可変してはんだ液面を昇降させる液面昇降機構と、から成り、前記液面昇降機構は、前記パレットの溶融はんだ液への接触時を契機としてはんだ液面を降下させる制御、及び前記パレットのはんだ液面からの離脱開始時を契機としてはんだ液面を上昇させる制御を行うことを特徴としている。
【0011】
また、前記液面昇降機構の前記パレットの溶融はんだ液への接触時を契機としてはんだ液面を降下させる制御においては、前記フロートをはんだ液面から所定深さまで没入させた状態で維持して置き、前記パレットの溶融はんだ液への没入により発生するはんだ液面の上昇を、前記フロートの引揚げによって生じるはんだ液面の降下によって相殺するように制御したことを特徴としている。
【0012】
また、前記液面昇降機構の前記パレットのはんだ液面からの離脱開始時を契機としてはんだ液面を上昇させる制御においては、前記フロートをはんだ液面から全部又は一部を露出した状態で維持して置き、前記パレットのはんだ液面からの離脱開始により発生するはんだ液面の降下を、前記フロートの没入によって生じるはんだ液面の上昇によって相殺するように制御したことを特徴としている。
【0013】
別言すると、上記液面昇降機構の制御は、前記基板のはんだ液面との接触時又は離脱開始時を契機として、基板の移動方向とは逆方向にはんだ液面を昇降させることによって、基板のはんだ液中への浸漬速度、又ははんだ液からの離脱速度を最適に設定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
上記構成を採用することにより、本発明はパレットに載置した基板の溶融はんだ液への浸漬行程、及び溶融はんだ液からの離脱行程において、基板昇降機構と連係させて液面昇降機構を作動させることにより、基板と溶融はんだ液との浸漬速度及び離脱速度を最適速度に設定することにより、最良のはんだ付けを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施例のはんだ付け装置を示す外観斜視図である。
【
図3】本実施例の液面昇降機構を示す一部切り欠き斜視図である。
【
図5】本実施例のはんだ付け装置のはんだ液への浸漬工程を示す説明図である。
【
図6】本実施例のはんだ付け装置のはんだ液からの離脱工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明にかかる実施形態の一例(以下、「本実施例」と称する。)について、図面に基づいて説明する。
【0017】
図1に図示するMは、本実施例の概要を示すはんだ付け装置であり、はんだ槽2、基板昇降機構3、及び液面昇降機構5、を主要構成要素として、枠体構成の設置台1によって保持している。
【0018】
(1)はんだ槽2について
上記はんだ槽2は、上面を開放した矩形の箱体状を成し、枠体状の架台21によって周囲及び底部側を支持している。はんだ槽2には、溶融はんだ液22(以下、「はんだ液」と、及びはんだ液面を「液面」と略称する。)を所定深さまで貯留させ、かつその液面23は、静止状態に維持するようにしている。
【0019】
また、はんだ槽2の縁部上位付近には、長手方向に沿って、平行に対向配置した2本のガイドレール25に架設されて、駆動手段(図示省略)により水平移動するスキージ24を配設している。このスキージ24は、液面23に留まる酸化皮膜や金属塵を掻き取るように除去するためのものである。
【0020】
(2)基板昇降機構3について
次に、上記基板昇降機構3は、前記架台21に隣接して、前記設置台1に配設した垂直多関節型のロボット31と、その可動アーム31aの先端部に可動自在に取り付けたパレット支持体32と、から構成している。このパレット支持体32は、はんだ処理対象の基板4を水平に保持するパレット41を支持するためのものである。前記ロボット31は、パレット支持体32の可動により、支持したパレット41をはんだ液22の上位に移動させて、支持した基板4を水平状態又は傾斜状態に維持し、その状態で昇降作動させるものである。
【0021】
前記パレット支持体32は、H字状を成す帯板の各端部の4箇所から垂下状に延びる帯板状のフック32aによる係止によって、パレット41を着脱自在に保持するように構成している。
【0022】
また前記パレット41は肉厚板の形態を成し、載置した基板4に実装した電子部品42のリード43を、液面23の側に露出させるための区画した開口部41aを形成している。
【0023】
上記構成の基板昇降機構3は、上記ロボット31の作動によって基板4を保持したパレット41を所定速度で昇降させることにより、基板4を設定した速度をもってはんだ液22へ浸漬及び離脱させることができる。
【0024】
かかる構成により、パレット41に保持されて一体化した基板4を、液面23と所定の対面角を維持しながら垂直上下方向に昇降させることもできる。これと共に、基板4を保持したパレット41の移送について、前段から次段の行程へ迅速に行うことができる。
【0025】
(3)液面昇降機構5について
次に、液面昇降機構5は、前記はんだ槽2と前記基板昇降機構3との間の設置台1に配設している。この液面昇降機構5は、はんだ液22の内部に没入又は引揚げを行う浸漬体としての矩形立体状のフロート51と、フロート51を片持ち状に垂下支持する支持部材52と、該支持材52を垂直上下方向に移動させる駆動機構53と、から構成している。
【0026】
前記フロート51は、はんだ槽2に対して、前記昇降するパレット41と干渉しないように、前記ロボット31の配置側に寄った端部付近に配置している。該フロート51は、高さ方向に所定の長さを有し、かつ水平断面を同一にした矩形柱体状に形成している。
【0027】
上記フロート51は、所定の容積を有しており、はんだ液22の液面23からの没入深さを適時に可変させることにより、はんだ液22の液面23を上昇又は降下させるものである。そして好ましくは、フロート51の水平断面を、高さ方向(又は深さ方向)において同一面積とすることにより、フロート51の引揚げ速度及び没入速度の制御を容易にすることができる。これにより、液面23の上昇及び降下速度の制御を簡易にすることができる。別言すると、フロート51の深さ方向の移動速度と、液面23の昇降速度との同期制御が容易となる。なお、フロート51の形状と構成は、水平断面積が同一の筒状体であれば、円柱、多角柱状、又は種々の断面形、さらにはこれらの複数個の構成としてもよい。また、フロート51は一定の容積を占める形態であれば良く、必ずしもはんだ液22に浮く必要は無い。
【0028】
前記駆動機構53を構成する前記フロート51の前記支持部材52は、略U字状に湾曲させた帯板状を成し、その中間部をフロート51の天面部に取り付けられている。また、支持部材52の両端部52aは、垂直方向に移動する支持ロッド53aの上端部に取り付けている。この支持ロッド53aは、前記設置台1に立設するように固定した台板53bに所定間隔で対向して配置した保持体53cに上下動可能にして保持されている。また、前記支持ロッド53aの下端部同士は、帯板状の移動板53dで連結固定されている。
【0029】
さらに、この移動板53dの中間付近には、ボールネジ53gを螺合かつ貫通させている。ボールネジ53gは、その上端を前記台板53bの略中間付近に固定した固定板53eと、前記台板53bと共に設置台1への固定部位となる底板53fとの間に、立設状にかつ軸回転自在にして配設されている。そして、このボールネジ53gには、適時に起動される駆動モータ53hと底板53fの裏面側で連繋して軸回転力を伝達している。
【0030】
上記のように構成した駆動機構53は、駆動モータ53hに起動させて、これと連繋したボールネジ53gを軸回転させる。この軸回転により、螺合貫通させた移動板53dを回転方向にしたがって上下動することになる。なお、この駆動機構53は、前記フロート51の上下動を繊細の制御できる手段であれば、本実施例のボールネジ機構に限定するものではなく、回転角度制御のモータや直動型アクチュエータによる制御機構としてもよい。
【0031】
(4)本実施例の作用
次に、上記のように構成した本実施例のはんだ付け装置Mの制御作用について説明する。
【0032】
A)基板のはんだ液への浸漬行程
先ず、スキージ24を作動させて、液面23から酸化皮膜や金属塵を除去する。
【0033】
その後に、ロボット31を起動させ、パレット41に保持された基板4を、可動アーム31aの先端部で保持したパレット支持体32を介して液面上に移動させる。
【0034】
次に、基板4のはんだ付け面(下面)を液面23と面平行に対面させながら、最適な浸漬速度として設定した基板降下速度で降下させる(矢印a)。この基板降下速度は、基板4及びパレット41の液面23からはんだ液22への浸漬行程においても、同一速度としている。
【0035】
上記降下行程において、基板4を保持するパレット41が、最初に液面23に接触してはんだ液22の内部に没入し始めると、液面23が漸次上昇する(矢印b)。
【0036】
この過程において、上記パレット41の液面23への接触時を契機(又はトリガー)として、液面昇降機構5を起動させて前記フロート51を漸次引揚げて(矢印c)液面23を降下(矢印d)させる制御を行う。
【0037】
かかる制御により、パレット41の没入行程による液面上昇(矢印b)と、フロート51の引揚げによる液面降下(矢印d)を相殺させることより、基板4を最適な浸漬速度をもって浸漬させることができる。
【0038】
なお、上記ロボット31を用いた基板昇降機構5の制御において、本実施例では、基板下降速度を一定速度に設定しているが、基板4の交換及び搬送の時間を短縮するため、液面近傍までは、より速い速度で移動させるようにしてもよい。
【0039】
また、液面23の上昇速度は、フロート51の没入部51aの容積の可変により適宜に設定することができるため、最適浸漬速度は適宜に可変させる制御を行ってもよい。
【0040】
上記制御の要となるパレット41の接触した位置の設定は、パレット41の下端部に接触センサ等を取り付けて、その都度検知するようにしてもよいが、本実施例では予め熱電対などの温度センサ(図示省略)を基板4にセットして、データロガーに熱電対の温度データの変化を保存して置き、同時に基板昇降機構3の動作を開始して、上記保存した温度データの変化と上下方向の移動距離との相関を確認して接触位置を割り出している。この割出した位置をパレット41の接触位置と規定して、上記液面昇降機構5の起動の契機(又はトリガー)とする手法を採っている。
【0041】
B)基板のはんだ液からの離脱行程
はんだ付け処理後のはんだ液22からの基板4の離脱は、上記のはんだ付け工程時の制御の逆方向の作動制御を行う。
【0042】
すなわち、ロボット31を起動させ、浸漬状態のパレット41に保持しした基板4を、最適な離脱速度として設定した基板上昇速度で上昇させる(矢印e)。なお、この基板上昇速度は、パレット41の液面23からの離脱後の引上げ行程においても、同一速度にしている。
【0043】
上記上昇行程においては、基板4を保持するパレット41が、液面23から露出して離脱直前付近からパレット41の没入容積が漸次減少するため、それに連れて液面23は漸次降下することとなる(矢印f)。
【0044】
この過程において、上記パレット41の液面23からの離脱開始時を契機として、液面昇降機構5を起動させてフロート51を押下げるように漸次没入させて(矢印g)、液面23を上昇(矢印d)させる制御を行う。
【0045】
かかる制御により、パレット41の離脱行程による液面降下(矢印f)と、フロート51の沈降による液面上昇(矢印h)とを相殺させることより、基板4を最適な離脱速度をもって離脱させることができる。
【0046】
なお、実際の離脱位置の設定は、前記した基板4のはんだ液22への接触位置の割り出しと同様の手法で行っている。
【0047】
C)その他の実施例
上記実施例では、基板4を水平にして液面23と面平行に対面した状態ではんだ液22への浸漬と離脱を行っているが、本発明はこれに限定するものではない。
【0048】
すなわち、パレット41で保持した基板4を、液面23に対して傾斜した状態で昇降させ、その状態を維持したままはんだ液22に浸漬させてもよい。また、離脱においても傾斜状態を維持したまま引揚げるようにしてもよい。さらには、いずれかの行程においてパレット41を傾斜させるようにしてもよい。
【0049】
従来の離脱方法では、本発明の特徴である浸漬行程及び離脱行程において、液面23を積極的に昇降させる手法を採っていないため、傾斜した状態で基板4を上昇させて離脱させた場合、傾斜した基板の上位側と下位側とでは、パレット41の露出容積の漸次増加により離脱速度が下位側の方が速くなってしまう欠点があった。
【0050】
かかる欠点を、上述した基板昇降機構3と液面昇降機構5とを適時に連携作動させることを特徴とした本発明により解消することができる。
【0051】
また、基板4の傾斜状態での浸漬行程においても、上記と同様な効果を奏することができる。
【0052】
以上から、本発明は、はんだ付け装置の分野において、産業上の利用性が高いものとなっている。
【符号の説明】
【0053】
M はんだ付け装置
1 設置台
2 はんだ槽
21 架台
22 はんだ液
23 液面
24 スキージ
3 基板昇降機構
31 ロボット
31a 可動アーム
32 パレット支持体
4 基板
41 パレット
43 リード
5 液面昇降機構
51 フロート
52 支持部材
53 駆動機構