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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068782
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】面実装ナットおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 37/00 20060101AFI20220427BHJP
   F16B 37/06 20060101ALI20220427BHJP
   F16B 39/284 20060101ALI20220427BHJP
   H05K 1/18 20060101ALI20220427BHJP
   B21D 53/24 20060101ALI20220427BHJP
   B21D 22/20 20060101ALI20220427BHJP
   B21D 22/02 20060101ALI20220427BHJP
   H01R 12/57 20110101ALI20220427BHJP
   H01R 13/207 20060101ALN20220427BHJP
【FI】
F16B37/00 E
F16B37/06 P
F16B39/284 E
H05K1/18 T
B21D53/24 Z
B21D22/20 Z
B21D22/02 A
H01R12/57
H01R13/207
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177659
(22)【出願日】2020-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】519252262
【氏名又は名称】株式会社T・P・S・クリエーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100141092
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英生
(72)【発明者】
【氏名】高木 孝司
【テーマコード(参考)】
4E137
5E223
5E336
【Fターム(参考)】
4E137AA01
4E137AA11
4E137AA17
4E137AA19
4E137BB01
4E137CA02
4E137CA09
4E137CA25
4E137EA01
4E137GA20
4E137GB08
5E223BA23
5E223BA27
5E223BB01
5E223BB14
5E223DA05
5E223DB25
5E336AA04
5E336CC50
5E336CC60
5E336DD02
5E336EE01
5E336GG10
5E336GG16
(57)【要約】
【課題】ネジ止めする連結対象との接触面積を大きくしながらも、製品の軽量化等に有利となる面実装ナットを提供する。
【解決手段】上方に開口したネジ穴を内側に有する胴体部を備え、はんだ付けにより下面部を実装面に固着可能とした面実装ナットであって、前記胴体部の上端部から径方向へ突出したフランジ部を備えた面実装ナットとする。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口したネジ穴を内側に有する胴体部を備え、はんだ付けにより下面部を実装面に固着可能とした面実装ナットであって、
前記胴体部の上端部から径方向へ突出したフランジ部を備えたことを特徴とする面実装ナット。
【請求項2】
前記フランジ部の外周部の一部から斜め上方へ伸びるスプリング部を有し、
前記ネジ穴を用いてネジ止めされる連結対象に押されることにより、前記スプリング部が下方へ撓むように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の面実装ナット。
【請求項3】
前記胴体部の下端部から径方向へ突出した底面拡張部を備え、
はんだ付けにより、前記胴体部および前記底面拡張部の下面を含む前記下面部を前記実装面に固着可能としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の面実装ナット。
【請求項4】
前記底面拡張部の外周部の下面の一部を、上側へ凹ませたことを特徴とする請求項3に記載の面実装ナット。
【請求項5】
前記ネジ穴の下方を閉鎖する閉鎖部を備え、
はんだ付けにより、前記胴体部、前記底面拡張部、および前記閉鎖部の下面を含む前記下面部を前記実装面に固着可能としたことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の面実装ナット。
【請求項6】
請求項3から請求項5の何れかに記載の面実装ナットの製造方法であって、
金属板材に下方への絞りプレス加工を施して前記胴体部を形成する工程と、
前記胴体部の下端に冷間鍛造プレス加工を施して前記底面拡張部を形成する工程と、を含むことを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面実装ナットおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば基板同士を連結する用途等に面実装ナットが利用されている。面実装ナットにはネジ穴が設けられており、一方の連結対象にはんだ付けで固着しておくとともに、他方の連結対象をネジ止めすることにより、双方を連結することが可能である。特許文献1には、電子機器の印刷配線基板に装着される面実装ナットにおいて、該面実装ナットのネジ孔を含む下面にフィルムシートを貼着したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-35992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
面実装ナットを用いて連結対象をネジ止めし易くするためには、面実装ナットと当該連結対象の接触面積を大きくすることが望ましい。また、面実装ナットと当該連結対象の接触面積を大きくすれば、これら双方間の電気抵抗を小さくしたり、放熱特性を向上させたりする点でも有利となる。
【0005】
但し、面実装ナットの径方向サイズを全体的に大きくすると、面実装ナットが重くなり過ぎてしまい、これを用いた製品の軽量化が阻害されるといった問題が生じ得る。本発明は上述した問題に鑑み、ネジ止めする連結対象との接触面積を大きくしながらも、製品の軽量化等に有利となる面実装ナット、およびその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る面実装ナットは、上方に開口したネジ穴を内側に有する胴体部を備え、はんだ付けにより下面部を実装面に固着可能とした面実装ナットであって、前記胴体部の上端部から径方向へ突出したフランジ部を備えた構成とする。本構成によれば、ネジ止めする連結対象との接触面積を大きくしながらも、製品の軽量化等に有利となる。
【0007】
上記構成としてより具体的には、前記フランジ部の外周部の一部から斜め上方へ伸びるスプリング部を有し、前記ネジ穴を用いてネジ止めされる連結対象に押されることにより、前記スプリング部が下方へ撓むように形成された構成としても良い。本構成によれば、ネジの緩みを極力抑えることが可能となる。
【0008】
上記構成としてより具体的には、前記胴体部の下端部から径方向へ突出した底面拡張部を備え、はんだ付けにより、前記胴体部および前記底面拡張部の下面を含む前記下面部を前記実装面に固着可能とした構成としても良い。本構成によれば、はんだ付けの剥離強度等の面で有利となる。
【0009】
上記構成としてより具体的には、前記底面拡張部の外周部の下面の一部を、上側へ凹ませた構成としても良い。また上記構成としてより具体的には、前記ネジ穴の下方を閉鎖する閉鎖部を備え、はんだ付けにより、前記胴体部、前記底面拡張部、および前記閉鎖部の下面を含む前記下面部を前記実装面に固着可能とした構成としても良い。本構成によれば、はんだ付けの剥離強度等の面で更に有利となる。
【0010】
また本発明に係る製造方法は、上記構成の面実装ナットの製造方法であって、金属板材に下方への絞りプレス加工を施して前記胴体部を形成する工程と、前記胴体部の下端に冷間鍛造プレス加工を施して前記底面拡張部を形成する工程と、を含む方法とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る面実装ナットによれば、ネジ止めする連結対象との接触面積を大きくしながらも、製品の軽量化等に有利となる。また本発明に係る面実装ナットの製造方法によれば、底面拡張部を有する本発明の面実装ナットを効率良く製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る面実装ナット101の斜視図である。
図2】面実装ナット101を用いて実装基板に接続基板を連結済みとした状態の説明図である。
図3図2に示す状態の分解斜視図である。
図4】貫通孔の側壁とネジの間の隙間に関する説明図である。
図5】面実装ナット101についての説明図である。
図6】第2実施形態に係る面実装ナット102の斜視図である。
図7】面実装ナット102に関するネジを締める前の状態の説明図である。
図8】面実装ナット102に関するネジを締めた後の状態の説明図である。
図9】第3実施形態に係る面実装ナット103の斜視図である。
図10】はんだ付けによって実装基板に固着した面実装ナット103の説明図である。
図11】第4実施形態に係る面実装ナット104の斜視図である。
図12】面実装ナット104の正面図である。
図13】面実装ナット104の平面図である。
図14】絞りプレス加工が施された金属板材500の斜視図である。
図15】絞りプレス加工が施された金属板材500の平面図である。
図16】絞りプレス加工が施された金属板材500の正面図である。
図17】第2工程に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の各実施形態に係る面実装ナット(リフローナット)について、各図面を使用して以下に説明する。なお、面実装ナットについての上下方向はそのネジ穴の軸方向に一致し、ネジ穴の開口する側(ネジが嵌め込まれる側)を上側とする。また以下に説明する各断面図は、ネジ穴の中心軸を含む平面で切断した場合の断面図とする。
【0014】
1.第1実施形態
まず本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る面実装ナット101の斜視図である。図1に示すように面実装ナット101は、胴体部11、フランジ部12、底面拡張部13、ネジ穴14、および閉鎖部15を有する。面実装ナット101は、金属板材にプレス加工等を施して形成されている。
【0015】
胴体部11は、上方に開口したネジ穴14を内側に有しており、ネジ穴14の下方は閉鎖部15によって閉鎖されている。胴体部11は概ね、上下を軸方向とした有底の円筒状に形成されており、外径寸法はほぼ均一である。
【0016】
フランジ部12は、胴体部11の上端部から径方向へ突出するように形成されている。本実施形態の例では、フランジ部12は、胴体部11の上端部全周からほぼ均等に径方向へ突出するように形成されており、外周縁は上方視で概ね円形である。胴体部11とフランジ部12の上面は一体となって、一つの連続した平面である上面部21を形成している。
【0017】
底面拡張部13は、胴体部11の下端部から径方向へ突出するように形成されている。本実施形態の例では、底面拡張部13は、胴体部11の下端部全周からほぼ均等に径方向へ突出するように形成されており、外周縁は下方視で概ね円形である。胴体部11、底面拡張部13、および閉鎖部15の下面は一体となって、一つの連続した平面である下面部22を形成している。
【0018】
面実装ナット101の使用方法の一例について、図2および図3を参照しながら、実装基板300に、貫通孔401を設けた接続基板400を連結する例を挙げて説明する。なお図2は、面実装ナット101を用いて実装基板300に接続基板400を連結済みとした状態を表し、図3は、図2に示す状態の分解斜視図を示している。
【0019】
面実装ナット101はまず、はんだ付けによって、下面部22が実装基板300の上面(実装面)に固着される。その後、ネジ穴14の上に貫通孔401が位置するようにして、接続基板400が上面部21の上にセットされる。このセットされた状態にて、接続基板400の上からネジ200をネジ穴14に挿入してネジ200を締める。これにより、接続基板400はネジ止めによって面実装ナット101の上面部21に固定される。
【0020】
ここで実装基板300と面実装ナット101の固着に着目すると、はんだ付けによって当該固着が実現されるため、例えば面実装ナット101をネジ止めするための孔を実装基板300に設ける必要がない。そのため、当該孔を設けるための実装基板300における部品実装等の制限は生じず、製品設計の自由度が向上する。
【0021】
また、面実装ナット101では、胴体部11、底面拡張部13、および閉鎖部15の下面が一体となった下面部22のほぼ全体が実装基板300にはんだ付けされる。そのため、例えば胴体部11の下面のみ、或いは、胴体部11と閉鎖部15の下面のみがはんだ付けされる場合に比べて、はんだ付けされる面積が大きくなり、はんだ付けの剥離強度(剥がれ難さ)が向上する。更に、面実装ナット101と実装基板300の接触面積が大きくなることから、これら双方間の電気抵抗を小さくしたり、放熱特性を向上させたりすることも可能である。これらの部品がスマートフォン等の通信機器に搭載される場合は、電気抵抗を極力小さくしてグランド(接地)性能を向上させるようにすることも可能であり、高周波帯域のノイズ削減にも効果を発揮する。
【0022】
また、接続基板400と面実装ナット101の間の連結状態に着目すると、面実装ナット101では、胴体部11とフランジ部12の上面が一体となった上面部21のほぼ全体が接続基板400に接触する。そのため、例えば胴体部11の上面のみが接触する場合に比べて、面実装ナット101と接続基板400の接触面積が大きくなることから、これら双方間の電気抵抗を小さくしたり、放熱特性を向上させたりすることも可能である。これらの部品がスマートフォン等の通信機器に搭載される場合は、電気抵抗を極力小さくしてグランド(接地)性能を向上させるようにすることも可能であり、高周波帯域のノイズ削減にも効果を発揮する。
【0023】
更に面実装ナット101は、フランジ部12を設けたことにより、接続基板400の位置ずれの許容範囲を大きくすることが可能となっている。より具体的に説明すると、フランジ部12を設けたことにより、その分、接続基板400の貫通孔401を大きくしても、接続基板400を適切にネジ止めすることが可能となる。そして貫通孔401の直径をネジ200の直径より大きくしておき、貫通孔401の側壁とネジ200の間に隙間をもたせることにより、その分、接続基板400の位置ずれを許容することが出来る。例えば貫通孔401の直径を2.3mmとしてM1.4のネジ200を適用した場合、図4の断面図に示すように隙間が生じ、その分だけ接続基板400が水平方向に位置ずれしていても、接続基板400を適切にネジ止めすることが可能である。
【0024】
なお面実装ナット101の形状やサイズは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能であり、特に限定されるものではない。図5は、面実装ナット101の具体的形態の一例について、正面図、平面図、底面図、側面図、およびX-X断面図(正面図に示すX-X断面の図)を表している。
【0025】
図5に示す例では、面実装ナット101全体の上下方向サイズS1は1.8mm程度、フランジ部12の上下方向サイズS2は0.4mm程度、底面拡張部13の上下方向サイズS3は0.5mm程度となっている。フランジ部12の径方向サイズ(直径)S4は3.2mm程度、底面拡張部13の径方向サイズS5は3mm程度となっている。なお、胴体部11の径方向サイズは、フランジ部12や底面拡張部13の径方向サイズよりも小さく、2.3mm程度となっている。閉鎖部15の厚みS6は0.1mm程度となっている。ネジ穴14は、M1.4のサイズで形成されており、その有効ネジ長さS7は0.75mm程度となっている。
【0026】
2.第2実施形態
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお以下の説明では、第1実施形態と異なる事項の説明に重点をおき、共通する事項については説明を省略することがある。
【0027】
図6は、第2実施形態に係る面実装ナット102の斜視図である。本図に示すように面実装ナット102は、フランジ部12の外周部の一部から斜め上方へ伸びるスプリング部16を有する。本実施形態の例では、スプリング部16は、フランジ部12の外周部における2箇所(ネジ穴14の中心軸を挟んで互いに対向する箇所)のそれぞれから、斜め上方へ伸びている。
【0028】
ここで、面実装ナット102を用いて実装基板300に接続基板400を連結する過程について説明する。図7の断面図はネジ200を締める前の状態を表し、図8の断面図はネジ200を締めた後の状態を表している。
【0029】
図7に示す状態からネジ200を締めていくと、ネジ締めの力によってスプリング部16が接続基板400に押されて下方へ撓み、ネジ200を締めた後もスプリング部16の撓みは維持される。このように面実装ナット102は、ネジ穴14を用いてネジ止めされる接続基板400(連結対象)に押されることにより、スプリング部16が下方へ撓むように形成されている。これにより、スプリング部16はスプリングワッシャーと同様にネジの緩み止めの機能を有し、ネジ200の緩みを極力抑えることが可能となる。
【0030】
3.第3実施形態
次に本発明の第3実施形態について説明する。なお以下の説明では、第1実施形態と異なる事項の説明に重点をおき、共通する事項については説明を省略することがある。
【0031】
図9は、第3実施形態に係る面実装ナット103の斜視図である。本図に示すように面実装ナット103は、底面拡張部13の外周部の下面の一部を、上側へ凹ませた構成となっている。本実施形態の例では、底面拡張部13の外周部における等間隔に離れた4箇所それぞれに、下面部22を上側へ凹ませた端部凹み部13aが設けられている。
【0032】
図10の断面図は、はんだ付けによって実装基板300に固着した面実装ナット103を表している。面実装ナット103は端部凹み部13aを設けたことにより、はんだ付けを実施する際に、下面部22と実装基板300の間に存在している空気が、端部凹み部13aを介して外部へ抜け易くなっている。これにより、はんだ付けの際に気泡が含まれる事態を極力防ぐことができ、はんだ剥離強度の向上の面で有利となる。
【0033】
更に端部凹み部13aを設けたことによって、その分、面実装ナット103へのはんだの付着面積が増大する。そのため面実装ナット103によれば、端部凹み部13aを設けたことにより、この点においても、はんだ剥離強度の向上の面で有利となる。
【0034】
4.第4実施形態
次に本発明の第4実施形態について説明する。なお以下の説明では、第1実施形態と異なる事項の説明に重点をおき、共通する事項については説明を省略することがある。
【0035】
図11は、第4実施形態に係る面実装ナット104の斜視図である。また、図12は面実装ナット104の正面図を表し、図13は面実装ナット104の平面図を表している。これらの図に示すように面実装ナット104は、底面拡張部13を省略した点において第1実施形態とは異なっているが、その他については基本的に第1実施形態と同様である。第4実施形態に係る面実装ナット104を利用する場合も、底面拡張部13に関する点を除き、第1実施形態の面実装ナットと同様の利点を享受することが可能である。なお、面実装ナットを金属板材の絞りプレス加工にて製造する場合、第4実施形態は他の実施形態よりも製造工程を簡易化することが可能である。
【0036】
5.面実装ナットの製造方法
次に各実施形態の面実装ナットの概略的な製造方法について説明する。なおここでは、メッキ処理等については説明を省略する。
【0037】
先述した第4実施形態の面実装ナット104は、薄い平板状である金属板材の絞りプレス加工(深絞り)により比較的簡易に製造することが可能である。図14は当該絞りプレス加工が施された金属板材500の斜視図、図15は当該金属板材500の平面図、図16は当該金属板材500の正面図をそれぞれ示している。このように金属板材500への下方の絞りプレス加工を施した後、タップを立ててネジ穴14を設ける加工を施し、図15に破線で示す箇所で不要な金属板材500の部分を切断除去して、面実装ナット104を得ることが可能である。この製造方法によれば、金属板材500の元々の平板状の一部を、そのままフランジ部12として利用することが可能である。
【0038】
第1実施形態の面実装ナット101を製造する場合には、金属板材に下方への絞りプレス加工を施して胴体部11を形成する第1工程と、当該胴体部11の下端に冷間鍛造プレス加工を施して底面拡張部13を形成する第2工程と、を含む製造方法が採用可能である。第1工程は、先述した第4実施形態の面実装ナット104の製造方法に準じたものである。第2工程は、胴体部11の外側面(下側寄りの部分を除く)を外側から掴んで固定しておき、胴体部11の下端全体に上向きの冷間鍛造プレス加工を施して、胴体部11の下側寄りの部分を径方向外向きに変形させ、底面拡張部13を形成する工程である。
【0039】
第2工程は、例えば図17(治具Z1およびプレス用具Z2の部分は断面図で示している)に概略的に示すように、治具Z1を用いて胴体部11の上面を位置決めするとともに、胴体部11の外側面の全周(下側寄りの部分を除く)を掴んで固定しておき、プレス用具Z2を用いて胴体部11の下端全体に上向きの冷間鍛造プレス加工を施すようにすれば良い。治具Z1を用いて胴体部11の外側面を掴んでおくことにより、冷間鍛造プレス加工を行う際に、掴んだ部分が径方向に拡がることを抑え、胴体部11の下側寄りの部分のみを径方向外向きに変形させ、底面拡張部13を適切に形成することが可能である。第1および第2工程を行うとともに、タップを立ててネジ穴14を設ける加工を施し、不要な金属板材の部分を切断除去して、面実装ナット101を得ることが可能である。
【0040】
このように、金属板材に対するプレス加工によって面実装ナットを製造する方法によれば、例えば切削加工によって製造する場合に比べて生産性が良く、面実装ナットを安価に製造することが容易となる。またプレス金型及びタップ工程の部品組み換えにより、各種ネジサイズの面実装ナットを製造することが可能である。
【0041】
なお第2実施形態の面実装ナット102を製造する場合には、第1実施形態の面実装ナット101の製造方法に、スプリング部16を形成するための曲げ加工を行う工程を追加すれば良い。また第3実施形態の面実装ナット102を製造する場合には、第1実施形態の面実装ナット101の製造方法に、端部凹み部13aを形成するための切削加工を行う工程を追加すれば良い。
【0042】
6.その他
以上に説明したように各実施形態の面実装ナットは、上方に開口したネジ穴14を内側に有する胴体部11を備え、はんだ付けにより下面部22を実装面に固着可能としたものであり、胴体部11の上端部から径方向へ突出したフランジ部12を備えている。そのため各実施形態の面実装ナットは、ネジ止めする連結対象との接触面積を大きくしながらも、製品の軽量化等に有利となっている。
【0043】
また各実施形態の面実装ナットの使用形態として、実装基板300に接続基板400を連結する例を挙げて説明したが、本発明に係る面実装ナットの具体的な使用形態は特に限定されない。例えばスマートフォンの構成部品として面実装ナットを使用する場合、実装基板にBtoBコネクタの浮き上がり防止用カバーを連結する用途で使用しても良く、実装基板にLDSアンテナを連結する用途で使用しても良い。
【0044】
本発明の構成は、上記各実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【符号の説明】
【0045】
11 胴体部
12 フランジ部
13 底面拡張部
13a 端部凹み部
14 ネジ穴
15 閉鎖部
16 スプリング部
21 上面部
22 下面部
101、102、103、104 面実装ナット
200 ネジ
300 実装基板
400 接続基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17