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特開2022-6879布製品の印刷方法及び布製品の印刷システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022006879
(43)【公開日】2022-01-13
(54)【発明の名称】布製品の印刷方法及び布製品の印刷システム
(51)【国際特許分類】
   D06P 5/28 20060101AFI20220105BHJP
   A41H 43/00 20060101ALI20220105BHJP
   D06B 11/00 20060101ALI20220105BHJP
【FI】
D06P5/28
A41H43/00 Z
D06B11/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020109434
(22)【出願日】2020-06-25
(71)【出願人】
【識別番号】520231290
【氏名又は名称】株式会社アップセット
(74)【代理人】
【識別番号】100166589
【弁理士】
【氏名又は名称】植村 貴昭
(72)【発明者】
【氏名】小野 章吾
【テーマコード(参考)】
3B154
4H157
【Fターム(参考)】
3B154AA07
3B154AB18
3B154AB31
3B154AB32
3B154BB02
3B154BB12
3B154BB68
3B154BB78
3B154BC29
3B154DA13
4H157AA02
4H157AA03
4H157BA12
4H157DA01
4H157DA34
4H157FA02
4H157FA16
4H157FA17
4H157FA42
4H157GA05
4H157JA10
4H157JA14
4H157JB02
(57)【要約】
【課題】軽量で、通気性の高いリバーシブル衣服を低コストで提供できるようにする。
【解決手段】昇華プリンタ2を用いて布製品(Tシャツ5)の布地の表面及び裏面に印刷を施す布製品の印刷方法において、前記布地の表面及び裏面の内、一方の面に昇華プリンタ2を用いて第1の印刷を施す第1の行程(ステップS2、S5)と、前記第1の行程による印刷を定着させる第2の行程(ステップS3、S6)と、前記第2の行程により前記第1の印刷の定着が完了した前記布地の他方の面に、昇華プリンタ2を用いて第2の印刷を施す第3の行程(ステップS8、S12)とを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇華プリンタを用いて布製品の布地の表面及び裏面に印刷を施す布製品の印刷方法において、
前記布地の表面及び裏面の内、一方の面に昇華プリンタを用いて第1の印刷を施す第1の行程と、
前記第1の行程による印刷を定着させる第2の行程と、
前記第2の行程により前記第1の印刷の定着が完了した前記布地の他方の面に、昇華プリンタを用いて第2の印刷を施す第3の行程と、
を有する布製品の印刷方法。
【請求項2】
前記布製品はTシャツであることを特徴とする請求項1に記載の布製品の印刷方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法により前記布製品に印刷を施す布製品の印刷システムであって、
昇華インクで模様が印刷された昇華転写紙と、
昇華プリンタと、
を有し、
当該昇華プリンタは、加熱プレス板と、前記布製品及び前記昇華転写紙を載せるための媒体載置台とを備え、
前記昇華転写紙は、前記模様が印刷された面を前記布製品に向けた状態で当該布製品に重ねられ、前記加熱プレス板により加熱プレスされることで、前記昇華インクを昇華させて前記布製品に印刷を施すことを特徴とする布製品の印刷システム。
【請求項4】
布製品の布地の表面及び裏面に印刷を施す布製品の印刷方法において、
前記布地の表面及び裏面の内、一方の面に第1の印刷を施す第1の行程と、
前記第1の行程による印刷を定着させる第2の行程と、
前記第2の行程により前記第1の印刷の定着が完了した前記布地の他方の面に、第2の印刷を施す第3の行程と、
を有する布製品の印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Tシャツなどの布製品に印刷を施すことのできる布製品の印刷方法及び布製品の印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サッカーなど練習試合などにおいては、味方チームと相手チームを識別するために一方のチームのメンバーにビブスを着用させるようにしている。敵と味方のメンバーの入れ替え時などにおいては、一方が着用しているビブスを交代するメンバーに渡して着用させるのが一般的である。このようなビブスの引き渡しをメンバー交代の都度行うことは面倒であり、ビブスを受け取ったメンバーはそれまで着用していたメンバーの汗や臭いの付いた状態で着用する必要がある。異なる種類のビブスを全員分用意しておけばよいが、これでは、各種類のビブスを同数用意しておく必要があるので、費用が嵩み、管理にも手間が掛かる。
【0003】
このような問題に対応して、特許文献1、2にはリバーシブル衣服が提案されている。リバーシブル衣服を裏返して着用することにより、一着で二着分の異なる衣服を着用した状態が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-200053号公報
【特許文献2】特開2006-83501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているリバーシブル衣服は、基本的に、二枚の衣服片が縫合された二層構造となっており、これらが色、柄、素材、機能などの異なる生地から作ってある。また、特許文献2に記載されているリバーシブル衣服はニット衣服の一面にスカーフ生地をはぎ合わせた二層構造となっている。このような二層構造の衣服は、スポーツ用に使用するには高コストで、重量もあり、通気性の点からも適していない。
【0006】
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、軽量で、通気性の高いリバーシブル衣服を低コストで提供できる布製品の印刷方法及び布製品の印刷システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明の布製品の印刷方法は、昇華プリンタを用いて布製品の布地の表面及び裏面に印刷を施す布製品の印刷方法において、前記布地の表面及び裏面の内、一方の面に昇華プリンタを用いて第1の印刷を施す第1の行程と、前記第1の行程による印刷を定着させる第2の行程と、前記第2の行程により前記第1の印刷の定着が完了した前記布地の他方の面に、昇華プリンタを用いて第2の印刷を施す第3の行程と、を有する。
【0008】
請求項2に記載の発明の布製品の印刷方法は、請求項1に記載の布製品の印刷方法であって、前記布製品はTシャツであることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明の布製品の印刷システムは、請求項1または2に記載の方法により前記布製品に印刷を施す布製品の印刷システムであって、昇華インクで模様が印刷された昇華転写紙と、昇華プリンタと、を有し、当該昇華プリンタは、加熱プレス板と、前記布製品及び前記昇華転写紙を載せるための媒体載置台とを備え、前記昇華転写紙は、前記模様が印刷された面を前記布製品に向けた状態で当該布製品に重ねられ、前記加熱プレス板により加熱プレスされることで、前記昇華インクを昇華させて前記布製品に印刷を施すことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明の布製品の印刷方法は、布製品の布地の表面及び裏面に印刷を施す布製品の印刷方法において、前記布地の表面及び裏面の内、一方の面に第1の印刷を施す第1の行程と、前記第1の行程による印刷を定着させる第2の行程と、前記第2の行程により前記第1の印刷の定着が完了した前記布地の他方の面に、第2の印刷を施す第3の行程と、を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明における布製品の印刷方法及び布製品の印刷システムによって、軽量で、通気性の高いリバーシブルの布製品を低コストで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る布製品の印刷システムを示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る布製品の印刷方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に係る布製品の印刷方法を適用したTシャツを示す正面図及び背面図である。
図4】本発明の実施形態に係る布製品の印刷方法を適用したTシャツの裏返した状態を示す正面図及び背面図である。
図5】本発明の実施形態の変形例に係る布製品の印刷システムを示す斜視図である。
図6】本発明の実施形態の変形例に係るTシャツ伸長具を示す平面図及び断面図である。
図7】本発明の実施形態の変形例に係るTシャツ伸長具の使用状態を示す説明図である。
図8】本発明の実施形態の変形例に係る布製品の印刷方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<本発明の実施形態>
以下、図1図4を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態は、昇華プリンタを用いたTシャツの印刷システムにおいて、Tシャツの表面の印刷を所定時間乾燥させることで、Tシャツの裏面の印刷の際に、Tシャツの表面の印刷が滲むのを防止できるようにしている。
【0014】
<実施形態の構成>
図1は、本発明の実施形態に係る布製品の印刷システム(Tシャツ印刷システム)を示す斜視図である。
図2は、本発明の実施形態に係る布製品の印刷方法を示すフローチャートである。
図3は、本発明の実施形態に係る布製品の印刷方法を適用したTシャツを示す正面図及び背面図である。
図4は、本発明の実施形態に係る布製品の印刷方法を適用したTシャツの裏返した状態を示す正面図及び背面図である。
【0015】
<印刷システムの全体構成>
図1において、Tシャツ印刷システム1は、昇華プリンタ2と、昇華インク31で模様が印刷された昇華転写紙3とを有している。
【0016】
昇華プリンタ2は、矩形の媒体載置台21と、加熱プレス板22と、矩形の媒体載置台21と加熱プレス板22の間を搖動可能の状態で接続する搖動蝶番23と、加熱プレス板22を操作するときに用いるハンドル24とを有している。
【0017】
加熱プレス板22は、電力が供給されることで190℃まで加熱する。
媒体載置台21は、布製品のTシャツ5及び前記昇華転写紙3を載せるようになっている。
【0018】
Tシャツ5は、一重の布地で形成されている。Tシャツ5の布地には、ポリエステル100%の光沢のあるブライト糸が使用されている。
【0019】
前記昇華転写紙3は、前記模様が印刷された面を前記Tシャツ5に向けた状態で当該Tシャツ5に重ねられ、前記加熱プレス板22により加熱プレスされることで、前記昇華インク31を昇華させて前記布製品に印刷を施す。
【0020】
<Tシャツの印刷動作>
実施形態のTシャツ印刷システム1を用いたTシャツ5の印刷動作を、図2乃至図4を参照して説明する。
【0021】
<衣服表面前面部の印刷動作>
図2に示す様に、衣服表面前面部の印刷動作では、まず、ステップS1において、印刷対象のTシャツ5の衣服表面を外側にし、衣服表面前面部(裏返していないTシャツ5の正面側)を上側にして、昇華プリンタ2の媒体載置台21の載置面21aに載せる。この場合、裏返さない状態のTシャツ5の胴部51の前面部分51a、及び袖部52、53の前面部分52a、53a(図3(a)参照)に印刷を行うので、胴部51の前面部分51a、52a、53aが上向きとなる状態にセットする。
【0022】
このようなセット工程に前後して、加熱プレス板22に電力を供給して加熱プレス板22を190℃に加熱する。
【0023】
次に、媒体載置台21に載せたTシャツ5の衣服表面前面部(裏返していないTシャツ5の正面側)の上に、第1の昇華転写紙3を、前記模様が印刷された面を前記Tシャツ5に向けた状態で重ねる。
【0024】
この後は、ステップS2において、作業者がハンドル24を操作して、昇華転写紙3の上に加熱プレス板22を押しあてる。これにより、昇華転写紙3の前記昇華インク31が昇華してTシャツ5に昇華プリント印刷が施される。
【0025】
印刷後のTシャツ5は、ステップS3において、作業者がハンドル24を操作して、加熱プレス板22を開き、昇華転写紙3をTシャツ5から外して、所定時間待機することで、Tシャツ5の印刷面が乾燥してインクが定着する。昇華転写紙3をTシャツ5から外して、所定時間待機する時間は、後述のステップS8の行程による印刷の際に、前記ステップS2による印刷が滲むのを防止できる時間(例えば30秒)である。
【0026】
ステップS1~S3の行程により、図3(a)に示すように、Tシャツ5の衣服表面前面部(裏返していないTシャツ5の前面側)の前面部分51a、52a、53aには、印刷による模様51c、52c、53cが形成される。
【0027】
<衣服表面背面部の印刷動作>
次に、ステップS4において、印刷対象のTシャツ5の衣服表面を外側にした状態で、衣服表面背面部(裏返していないTシャツ5の背面側)を上側にして、昇華プリンタ2の媒体載置台21の載置面21aに載せる。この場合、裏返さない状態のTシャツ5の胴部51の背面部分51b、及び袖部52、53の背面部分52b、53b(図3(b)参照)に印刷を行うので、背面部分51b、52b、53bが上向きとなる状態にセットする。
【0028】
次に、媒体載置台21に載せたTシャツ5の衣服表面背面部(裏返していないTシャツ5の背面側)の上に、第2の昇華転写紙を、模様が印刷された面をTシャツ5に向けた状態で重ねる。
【0029】
この後は、ステップS5において、作業者がハンドル24を操作して、昇華転写紙3の上に加熱プレス板22を押し当てる。これにより、第2の昇華転写紙の前記昇華インクが昇華してTシャツ5に昇華プリント印刷が施される。
【0030】
印刷後のTシャツ5は、ステップS6において、作業者がハンドル24を操作して、加熱プレス板22を開き、第2の昇華転写紙をTシャツ5から外して、所定時間待機することで、Tシャツ5の印刷面が乾燥してインクが定着する。第2の昇華転写紙をTシャツ5から外して、所定時間待機する時間は、後述のステップS11の行程による印刷の際に、前記ステップS5による印刷が滲むのを防止できる時間(例えば30秒)である。
【0031】
ステップS4~S6の行程により、図3(b)に示すように、Tシャツ5の衣服表面背面部(裏返していないTシャツ5の背面側)の背面部分51b、52b、53bには、印刷による模様51d、52d、53dが形成される。
【0032】
<衣服裏面前面部の印刷動作>
次に、ステップS7において、印刷対象のTシャツ5を裏返し、Tシャツ5の衣服裏面を外側にした状態で、衣服裏面前面部(裏返した状態のTシャツ5の前面側)を上側にして、昇華プリンタ2の媒体載置台21の載置面21aに載せる。この場合、例えば、裏返した状態のTシャツ5の胴部51の前面部分51e、及び両袖部52、53の前面部分52e、53e(図4(a)参照)に印刷を行う場合には、前面部分51eが上向きとなる状態にセットする。
【0033】
次に、媒体載置台21に載せたTシャツ5の衣服裏面前面部(裏返した状態のTシャツ5の前面側)の上に、第3の昇華転写紙を、模様が印刷された面をTシャツ5に向けた状態で重ねる。
【0034】
この後は、ステップS8において、作業者がハンドル24を操作して、第3の昇華転写紙の上に加熱プレス板22を押し当てる。これにより、第3の昇華転写紙の昇華インクが昇華してTシャツ5に昇華プリント印刷が施される。
【0035】
印刷後のTシャツ5は、ステップS9において、作業者がハンドル24を操作して、加熱プレス板22を開き、第3の昇華転写紙をTシャツ5から外して、所定時間待機することで、Tシャツ5の印刷面が乾燥してインクが定着する。
【0036】
ステップS7~S9の行程により、図4(a)に示すように、Tシャツ5の衣服裏面前面部(裏返した状態のTシャツ5の前面側)の前面部分51e、52e、53eには、印刷による模様51g、52g、53gが形成される。
【0037】
<衣服裏面背面部の印刷動作>
次に、ステップS10において、裏返した状態のTシャツ5の衣服裏面背面部(裏返した状態のTシャツ5の背面側)を上側にして、昇華プリンタ2の媒体載置台21の載置面21aに載せる。この場合、例えば、裏返した状態のTシャツ5の胴部51の背面部分51f、及び両袖部52、53の背面部分52f、53f(図4(b)参照)に印刷を行う場合には、背面部分51fが上向きとなる状態にセットする。
【0038】
このようなセット工程に前後して、プリンタ制御装置3において操作者が印刷画像を選択する。
【0039】
次に、媒体載置台21に載せたTシャツ5の衣服裏面背面部(裏返した状態のTシャツ5の背面側)の上に、第4の昇華転写紙を、模様が印刷された面をTシャツ5に向けた状態で重ねる。
【0040】
この後は、ステップS11において、作業者がハンドル24を操作して、第4の昇華転写紙の上に加熱プレス板22を押し当てる。これにより、第4の昇華転写紙の昇華インクが昇華してTシャツ5に昇華プリント印刷が施される。
【0041】
印刷後のTシャツ5は、ステップS12において、作業者がハンドル24を操作して、加熱プレス板22を開き、第3の昇華転写紙をTシャツ5から外して、所定時間待機することで、Tシャツ5の印刷面が乾燥してインクが定着する。
【0042】
ステップS10~S12の行程により、図4(b)に示すように、Tシャツ5の衣服裏面背面部(裏返した状態のTシャツ5の背面側)の背面部分51f、52f、53fには、印刷による模様51h、52h、53hが形成される。
【0043】
本発明の実施形態の構成及び効果を纏めて説明すると、実施形態の布製品の印刷方法は、布製品(Tシャツ5)の布地の表面及び裏面に印刷を施す布製品の印刷方法において、前記布地の表面及び裏面の内、一方の面に第1の印刷を施す第1の行程(ステップS2、S5)と、前記第1の行程による印刷を定着させる第2の行程(ステップS3、S6)と、前記第2の行程により前記第1の印刷の定着が完了した前記布地の他方の面に、第2の印刷を施す第3の行程(ステップS8、S12)とを有する。
【0044】
また、実施形態の布製品の印刷方法は、昇華プリンタ2を用いて布製品(Tシャツ5)の布地の表面及び裏面に印刷を施す布製品の印刷方法において、前記布地の表面及び裏面の内、一方の面に昇華プリンタ2を用いて第1の印刷を施す第1の行程(ステップS2、S5)と、前記第1の行程による印刷を定着させる第2の行程(ステップS3、S6)と、前記第2の行程により前記第1の印刷の定着が完了した前記布地の他方の面に、昇華プリンタ2を用いて第2の印刷を施す第3の行程(ステップS8、S12)とを有する。
【0045】
本発明の実施形態の布製品の印刷システム(Tシャツ印刷システム1)は、昇華インク31で模様が印刷された昇華転写紙3と、昇華プリンタ2と、を有し、当該昇華プリンタ2は、加熱プレス板22と、布製品(Tシャツ5)及び前記昇華転写紙3を載せるための媒体載置台21とを備え、前記昇華転写紙3は、前記模様が印刷された面を前記布製品に向けた状態で当該布製品に重ねられ、前記加熱プレス板22により加熱プレスされることで、前記昇華インク31を昇華させて前記布製品に印刷を施す。
【0046】
Tシャツ5の布地には、ポリエステル100%の光沢のあるブライト糸が使用されている。
【0047】
本発明の実施形態の布製品の印刷方法及び布製品の印刷システムによれば、一重の布地で形成されたTシャツ5の裏表両面に印刷を行うことで、軽量で、通気性の高いリバーシブルの布製品を低コストで提供できることができる。
【0048】
また、前記第2の行程(ステップS3、S6)により前記第1の印刷(ステップS2、S5)の定着が完了した前記布地の他方の面に、昇華プリンタ2を用いて第2の印刷(ステップS8、S11)を施すので、前記第2の印刷の際に、前記第1の印刷が滲むのを防止できる時間でき、軽量で、通気性の高いリバーシブルの布製品において、高いクオリティの印刷を行うことが可能になり、リバーシブルの布製品の見た目を向上することができる。
【0049】
<本発明の実施形態の変形例>
以下、図5図4を参照して、本発明の実施形態の変形例を詳細に説明する。本実施形態の変形例は、インクジェットプリンタを用いた印刷において、Tシャツの表面の印刷を所定時間乾燥させることで、Tシャツの裏面の印刷の際に、Tシャツの表面の印刷が滲むのを防止できるようにしている。
【0050】
<実施形態の変形例の構成>
図5は、本発明の実施形態の変形例に係る布製品の印刷システムを示す斜視図である。
図6は、本発明の実施形態の変形例に係るTシャツ伸長具を示す平面図及び断面図である。
図7は、本発明の実施形態の変形例に係るTシャツ伸長具の使用状態を示す説明図である。
図8は、本発明の実施形態の変形例に係る布製品の印刷方法を示すフローチャートである。
【0051】
<印刷システムの全体構成>
図5において、Tシャツ印刷システム101は、インクジェットプリンタ102と、プリンタ制御装置103と、Tシャツ伸長具104とを有している。
【0052】
インクジェットプリンタ102は、矩形の装置架台121と、この装置架台121によってプリンタ前後方向(Y方向)に往復移動可能な状態で水平に支持されている縦長の矩形の媒体載置台122と、この媒体載置台122を前後方向に搬送する搬送機構123と、媒体載置台122上にセットされたTシャツ5に印刷を施すためのインクジェットヘッド124と、駆動制御部126を有している。
【0053】
Tシャツ5は、一重の布地で形成されている。Tシャツ5の布地には、ポリエステル100%の光沢のあるブライト糸が使用されている。
【0054】
インクジェットヘッド124は、そのインクノズル面124aが下向きとなるようにキャリッジ127に搭載されている。キャリッジ127はプリンタ幅方向(X方向)に架け渡したガイド軸128に沿ってX方向に往復移動可能となっている。キャリッジ127を支持している支持枠129の天板部分129aには、キャリッジモータ(図示せず)がセットされており、このキャリッジモータによってキャリッジ127、及び、そこに搭載されているインクジェットヘッド124がX方向に往復移動する。また、支持枠129の天板部分129aは、左右の端板部分129b、129cに対して昇降可能に取り付けられている。天板部分129aを昇降させることにより、キャリッジ127に搭載されているインクジェットヘッド124のインクノズル面124aと媒体載置台122の載置面122aとの間隔を調整可能である。
【0055】
媒体載置台122には、Tシャツ伸長具104によって左右に押し広げられた状態のTシャツ5を載せる。この状態で、媒体載置台122をY方向に移動させ、キャリッジ127によりインクジェットヘッド124をX方向に往復移動させながらTシャツ5に印刷を施すことができる。
【0056】
装置架台121には、複数台のCCDカメラ107が設置されており、これらのCCDカメラ107は、初期位置にある媒体載置台122の載置面122aに載置されているTシャツ5を撮影するためのものである。また、装置架台121におけるインクジェットヘッド124よりも後方側の位置には、赤外線ランプなどを備えた乾燥ユニット8が設けられている。乾燥ユニット108により、印刷終了後のTシャツ5の印刷面を乾燥させてインクを定着させるようになっている。
【0057】
プリンタ制御装置103は、パーソナルコンピュータを中心に構成され、プロセッサなどを収容した制御部131と、キーボードなどの入力装置132と、表示装置133とを有している。表示装置133には、CCDカメラ107で撮影したTシャツ5の画像を表示可能である。プリンタ制御装置103では、Tシャツ5の撮影画像が、印刷画像と重ね合わされた状態で表示装置133の表画面上に表示される。操作者は、入力装置132を介して、Tシャツ画像に対する印刷画像の位置を調整して、当該印刷画像の印刷位置を決定することができる。制御部131は、決定された印刷位置に印刷画像が印刷されるように、搬送機構123及びインクジェットヘッド124を駆動制御して印刷動作を行わせる。
【0058】
制御部131の画像メモリには各種の印刷画像が記憶されており、操作者は、これらの印刷画像の一つを選択することにより、当該画像をTシャツ5に印刷することができる。勿論、スキャナなどの画像読取手段によって任意の画像を読み込み、これを印刷することも可能である。また、通信回線を介して外部から印刷データを取り込み、Tシャツに印刷することも可能である。
【0059】
<Tシャツ伸長具の構成>
図6(a)は、Tシャツ伸長具104を示す平面図である。図6(b)は、Tシャツ伸長具104を示す断面図である。図7(a)は、Tシャツ伸長具104の使用状態を示す第1の説明図である。図7(b)は、Tシャツ伸長具104の使用状態を示す第2の説明図である。
【0060】
図6(a)及び図6(b)に示すTシャツ伸長具104は、図7(a)に示すように、Tシャツ5の胴部51に裾側から差し込み、図7(b)に示すように、左右に伸長させることにより、Tシャツ5を左右に押し広げて、その胴部51の前面部分51a、背面部分51b、及び袖部52、53を平面状態に保持するためのものである。
【0061】
図6(a)及び図6(b)において、Tシャツ伸長具104は、ステンレススチール製の縦長の矩形のベース板141と、このベース板141の表面に沿って左右に開閉可能な樹脂製のスライド板142、143と、スライド板142、143を幅方向に開閉するための開閉機構144とを備えている。スライド板142、143は、横方向に長い一対のガイド穴142a、143aがそれぞれ形成されている。これらのガイド穴142a、143aには、ベース板141に取り付けた4本のガイドピン149がそれぞれスライド可能な状態で差し込まれている。
【0062】
また、Tシャツ伸長具104における左右のスライド板142、143には、袖部52、53に差し込み可能な袖差し込み板142b、143bが一体形成されている。これらの袖差し込み板142b、143bがTシャツ5の袖部52、53に差し込まれると、これらの袖部52、53が平面状態に押し広げられて平らな状態に保持される。
【0063】
開閉機構144は、縦方向に延びる操作レバー145と二対のリンク146a、146b、147a、147bを備えている。操作レバー145はベース板141の表面に沿って縦方向にスライド可能な状態で取り付けられている。また、操作レバー145の左右の縁には操作位置を規制するための複数の波形のノッチ145a、145bが形成されている。ベース板141の側には、左右のノッチ145a、145bの一つにばね力によってそれぞれ嵌っている一対の係合爪148a、148bが取り付けられている。したがって、操作レバー145は、これらノッチ及び係合爪によって構成されている拘束手段によって、縦方向の所定の操作位置に移動しないように保持される。
【0064】
一対のリンク146a、146bは、操作レバー145と一方のスライド板142の間に平行に架け渡され、これにより四節リンク機構が構成されている。同様に、他方の一対のリンク147a、147bは、操作レバー145と他方のスライド板143の間に平行に架け渡され、同様に四節リンク機構が構成されている。操作レバー145を縦方向に操作すると、左右のスライド板142、143は反対方向にスライドして、これらが開閉する。
【0065】
このような構成のTシャツ伸長具104は、図7(a)に示すように、左右のスライド板142、143が閉じた状態で印刷対象のTシャツ5の胴部51に下側から差し込まれ、袖差し込み板142b、143bがTシャツ5の袖部52、53に差し込まれる。
【0066】
次に、操作レバー145を上方に押して、左右のスライド板142、143を開く。この結果、図7(b)に示すように、Tシャツ5の胴部51が左右に押し広げられて、左右のスライド板142、143の間に架け渡されているTシャツ胴部51の前面部分51a及び背面部分51bが引き伸ばされて平面状態に保持され、さらに袖差し込み板142b、143bにより袖部52、53が引き伸ばされて平面状態に保持される。
【0067】
なお、Tシャツ伸長具104のベース板141、スライド板142、143及びリンク146a、146b、147a、147bは、Tシャツ5を傷つけないように、角にアール、テーパを付けるなどしておくことが望ましい。
【0068】
<Tシャツの印刷動作>
本変形例のTシャツ印刷システム101を用いたTシャツ5の印刷動作を、図8を参照して説明する。また、印刷されたTシャツ5については、図3及び図4を代用して説明する。
【0069】
<衣服表面前面部の印刷動作>
図8に示す様に、衣服表面前面部の印刷動作では、まず、ステップS21において、印刷対象のTシャツ5の衣服表面を外側にし、衣服表面前面部(裏返していないTシャツ5の正面側)を上側にして、Tシャツ5に、閉じ状態のTシャツ伸長具104を差し込み、当該Tシャツ伸長具104を開き、Tシャツ5の胴部51を左右に押し広げることにより、当該胴部51の前面部分51a及び背面部分51bを引き伸ばして平面状態とする。また、このようなTシャツ伸長具104の動作により、袖差し込み板142b、143bがTシャツ5の袖部52、53に差し込まれ、両袖部52、53も平面状態に引き伸ばされ、これらの前面部分にも良好に印刷を施すことが可能になる。
【0070】
次に、Tシャツ伸長具104によって左右に押し広げられた状態のTシャツ5を、インクジェットプリンタ102の媒体載置台122の載置面122aに載せる。この場合、裏返さない状態のTシャツ5の胴部51の前面部分51a、及び袖部52、53の前面部分52a、53a(図3(a)参照)に印刷を行うので、胴部51の前面部分51a、52a、53aが上向きとなる状態にセットする。
【0071】
このようなセット工程に前後して、プリンタ制御装置103において操作者が印刷画像を選択する。
【0072】
次に、媒体載置台122に載せたTシャツ5の衣服表面前面部(裏返していないTシャツ5の正面側)をCCDカメラ107によって撮影してプリンタ制御装置103の表示装置133の画面上に、選択した印刷画像と重ね合わせた状態で表示する。操作者は、入力装置132を介して、印刷画像の位置を調整して、印刷画像の印刷位置を設定する。また、印刷画像の大きさをTシャツの大きさに合わせて拡大、縮小できるようにしてもよい。さらに、画面上において、印刷画像の色を変更できるようにすることも可能である。
【0073】
この後は、ステップS22において、インクジェットプリンタ102を駆動して印刷を行う。この場合、搬送機構123が駆動して媒体載置台122をインクジェットヘッドの印刷位置に向けて搬送し、この搬送と同期させてインクジェットヘッド124を駆動して、印刷画像をTシャツ胴部51の前面部分51a、両袖部52、53の前面部分52a、53a(図3(a)参照)における設定位置に印刷する。
【0074】
印刷後のTシャツ5は、ステップS23において、乾燥ユニット108を通過して搬送される。乾燥ユニット108を通過する間に、Tシャツ5の印刷面が乾燥してインクが定着する。Tシャツ5の乾燥ユニット108を通過する時間は、後述のステップS30の行程による印刷の際に、前記ステップS22による印刷が滲むのを防止できる時間(例えば30秒)である。
【0075】
印刷後のTシャツ5は、ステップS24において、Tシャツ伸長具104から外される。
ステップS21~S24の行程により、図3(a)に示すように、Tシャツ5の衣服表面前面部(裏返していないTシャツ5の前面側)の前面部分51a、52a、53aには、印刷による模様51c、52c、53cが形成される。
【0076】
<衣服表面背面部の印刷動作>
次に、ステップS25において、印刷対象のTシャツ5の衣服表面を外側にした状態で、衣服表面背面部(裏返していないTシャツ5の背面側)を上側にして、Tシャツ5に、Tシャツ伸長具104を差し込み、当該Tシャツ伸長具104を開き、当該胴部51の前面部分51a及び背面部分51bを引き伸ばして平面状態にするとともに、両袖部52、53も平面状態に引き伸ばす。
【0077】
次に、Tシャツ伸長具104によって左右に押し広げられた状態のTシャツ5を、インクジェットプリンタ102の媒体載置台122の載置面122aに載せる。この場合、裏返さない状態のTシャツ5の胴部51の背面部分51b、及び袖部52、53の背面部分52b、53b(図3(b)参照)に印刷を行うので、背面部分51b、52b、53bが上向きとなる状態にセットする。
【0078】
このようなセット工程に前後して、プリンタ制御装置103において操作者が印刷画像を選択する。
【0079】
次に、媒体載置台122に載せたTシャツ5の衣服表面背面部(裏返していないTシャツ5の背面側)をCCDカメラ107によって撮影してプリンタ制御装置103の表示装置133の画面上に、選択した印刷画像と重ね合わせた状態で表示する。操作者は、入力装置132を介して、印刷画像の位置を調整して、印刷画像の印刷位置を設定する。
【0080】
この後は、ステップS26において、インクジェットプリンタ102を駆動して印刷を行う。インクジェットプリンタ102は、印刷画像をTシャツ胴部51の背面部分51b、両袖部52、53の背面部分52b、53b(図3(b)参照)における設定位置に印刷する。
【0081】
印刷後のTシャツ5はステップS27において、乾燥ユニット108を通過して搬送される。Tシャツ5の乾燥ユニット108を通過する時間は、後述のステップS34の行程による印刷の際に、前記ステップS26による印刷が滲むのを防止できる時間(例えば30秒)に亘って乾燥させるである。
【0082】
印刷後のTシャツ5は、ステップS28において、Tシャツ伸長具104から外される。
ステップS25~S28の行程により、図3(b)に示すように、Tシャツ5の衣服表面背面部(裏返していないTシャツ5の背面側)の背面部分51b、52b、53bには、印刷による模様51d、52d、53dが形成される。
【0083】
<衣服裏面前面部の印刷動作>
次に、ステップS29において、印刷対象のTシャツ5を裏返し、Tシャツ5の衣服裏面を外側にした状態で、衣服裏面前面部(裏返した状態のTシャツ5の前面側)を上側にして、Tシャツ5に、Tシャツ伸長具104を差し込み、当該Tシャツ伸長具104を開き、当該胴部51の前面部分51e(図4(a)参照)及び背面部分51f(図4(b)参照)を引き伸ばして平面状態にするとともに、両袖部52、53も平面状態に引き伸ばす。
【0084】
次に、Tシャツ伸長具104によって左右に押し広げられた状態のTシャツ5を、インクジェットプリンタ102の媒体載置台122の載置面122aに載せる。例えば、裏返した状態のTシャツ5の胴部51の前面部分51e、及び両袖部52、53の前面部分52e、53e(図4(a)参照)に印刷を行う場合には、前面部分51eが上向きとなる状態にセットする。
【0085】
このようなセット工程に前後して、プリンタ制御装置103において操作者が印刷画像を選択する。
【0086】
次に、媒体載置台122に載せたTシャツ5の衣服裏面前面部(裏返したTシャツ5の正面側)をCCDカメラ107によって撮影してプリンタ制御装置103の表示装置133の画面上に、選択した印刷画像と重ね合わせた状態で表示する。操作者は、入力装置132を介して、印刷画像の位置を調整して、印刷画像の印刷位置を設定する。
【0087】
この後は、ステップS30において、インクジェットプリンタ102を駆動して印刷を行う。インクジェットプリンタ102は、印刷画像をTシャツ胴部51の前面部分51e、両袖部52、53の前面部分52e、53e(図4(a)参照)における設定位置に印刷する。
【0088】
印刷後のTシャツ5はステップS31において、乾燥ユニット108を通過して搬送される。
【0089】
印刷後のTシャツ5は、ステップS32において、Tシャツ伸長具104から外される。
ステップS29~S32の行程により、図4(a)に示すように、Tシャツ5の衣服裏面前面部(裏返した状態のTシャツ5の前面側)の前面部分51e、52e、53eには、印刷による模様51g、52g、53gが形成される。
【0090】
<衣服裏面背面部の印刷動作>
次に、ステップS33において、裏返した状態のTシャツ5の衣服裏面背面部(裏返した状態のTシャツ5の背面側)を上側にして、Tシャツ5に、Tシャツ伸長具104を差し込み、当該Tシャツ伸長具104を開き、当該胴部51の前面部分51e(図4(a)参照)及び背面部分51f(図4(b)参照)を引き伸ばして平面状態にするとともに、両袖部52、53も平面状態に引き伸ばす。
【0091】
次に、Tシャツ伸長具104によって左右に押し広げられた状態のTシャツ5を、インクジェットプリンタ102の媒体載置台122の載置面122aに載せる。例えば、裏返した状態のTシャツ5の胴部51の背面部分51f、及び両袖部52、53の背面部分52f、53f(図4(b)参照)に印刷を行う場合には、背面部分51fが上向きとなる状態にセットする。
【0092】
このようなセット工程に前後して、プリンタ制御装置103において操作者が印刷画像を選択する。
【0093】
次に、媒体載置台122に載せたTシャツ5の衣服裏面背面部(裏返した状態のTシャツ5の背面側)をCCDカメラ107によって撮影してプリンタ制御装置103の表示装置133の画面上に、選択した印刷画像と重ね合わせた状態で表示する。操作者は、入力装置132を介して、印刷画像の位置を調整して、印刷画像の印刷位置を設定する。
【0094】
この後は、ステップS34において、インクジェットプリンタ102を駆動して印刷を行う。インクジェットプリンタ102は、印刷画像をTシャツ胴部51の背面部分51f、両袖部52、53の背面部分52f、53f(図4(a)参照)における設定位置に印刷する。
【0095】
印刷後のTシャツ5はステップS35において、乾燥ユニット108を通過して搬送される。
【0096】
印刷後のTシャツ5は、ステップS36において、Tシャツ伸長具104から外される。
ステップS33~S36の行程により、図4(b)に示すように、Tシャツ5の衣服裏面背面部(裏返した状態のTシャツ5の背面側)の背面部分51f、52f、53fには、印刷による模様51h、52h、53hが形成される。
【0097】
本発明の実施形態の変形例の構成及び効果を纏めて説明すると、実施形態の変形例の布製品の印刷方法は、布製品(Tシャツ5)の布地の表面及び裏面に印刷を施す布製品の印刷方法において、前記布地の表面及び裏面の内、一方の面に第1の印刷を施す第1の行程(ステップS22、S26)と、前記第1の行程による印刷を定着させる第2の行程(ステップS23、S27)と、前記第2の行程により前記第1の印刷の定着が完了した前記布地の他方の面に、第2の印刷を施す第3の行程(ステップS30、S34)とを有する。
【0098】
本発明の実施形態の変形例の構成及び効果を纏めて説明すると、実施形態の変形例の布製品の印刷方法は、インクジェットプリンタ102を用いて布製品(Tシャツ5)の布地の表面及び裏面に印刷を施す布製品の印刷方法において、前記布地の表面及び裏面の内、一方の面にインクジェットプリンタ102を用いて第1の印刷を施す第1の行程(ステップS22、S26)と、前記第1の行程による印刷を定着させる第2の行程(ステップS23、S27)と、前記第2の行程により前記第1の印刷の定着が完了した前記布地の他方の面に、インクジェットプリンタ102を用いて第2の印刷を施す第3の行程(ステップS30、S34)と、を有する。
【0099】
本発明の実施形態の変形例の前記第2の行程は、前記第1の行程において前記インクジェットプリンタ102により前記布地に吐出されたインクを乾燥ユニット108により加熱あるいは乾燥させることで、前記第1の行程による印刷を定着させる。
【0100】
本発明の実施形態の変形例の布製品の印刷方法は、インクジェットプリンタ102を用いて布製品の布地の表面及び裏面に印刷を施す布製品の印刷方法において、前記布地の表面及び裏面の内、一方の面にインクジェットプリンタ102を用いて第1の印刷を施す第1の行程(ステップS22、S26)と、前記第1の行程による印刷を所定時間(例えば30秒)に亘って乾燥させる第2の行程(ステップS23、S27)と、前記第2の行程により前記第1の印刷の乾燥が完了した前記布地の他方の面に、インクジェットプリンタ102を用いて第2の印刷を施す第3の行程(ステップS30、S34)と、を有し、前記所定時間は、前記第3の行程による印刷の際に、前記第1の行程による印刷が滲むのを防止できる時間であることを特徴とする。
【0101】
本発明の実施形態の変形例の布製品の印刷システム(Tシャツ印刷システム101)は、前記布製品を押し広げて平面状態にして取り付ける布製品取付具(Tシャツ伸長具104)と、インクジェットプリンタ102と、を有し、当該インクジェットプリンタ102は、インクジェットヘッド124と、当該インクジェットヘッド124によって印刷される前記布製品及び前記布製品取付具を載せるための媒体載置台122と、この媒体載置台122に載せられている前記布製品に所定の印刷データを印刷するために、前記インクジェットヘッドを駆動制御する制御手段(駆動制御部126)とを備えている。
【0102】
本発明の実施形態の変形例の布製品の印刷方法及び布製品の印刷システムによれば、一重の布地で形成されたTシャツ5の裏表両面に印刷を行うことで、軽量で、通気性の高いリバーシブルの布製品を低コストで提供できることができる。
【0103】
また、前記第2の行程(ステップS23、S27)により前記第1の印刷(ステップS22、S26)の定着が完了した前記布地の他方の面に、インクジェットプリンタ102を用いて第2の印刷(ステップS30、S34)を施すので、前記第2の印刷の際に、前記第1の印刷が滲むのを防止できる時間でき、軽量で、通気性の高いリバーシブルの布製品において、高いクオリティの印刷を行うことが可能になり、リバーシブルの布製品の見た目を向上することができる。
【0104】
尚、本発明による布製品の印刷方法及び布製品の印刷システムは、Tシャツ以外の衣類の印刷にも適用することができる。例えば、セーターなどのように胴部を備えている衣類の前面部分あるいは背面部分にも印刷を行うことができる。
【0105】
さらに、本発明は、衣類以外の布製品の印刷にも適用できる。例えば、帽子、手袋、靴下、ベルト、ペット用衣類など、各種の布製品の印刷に適用できる。
また、本発明の布製品の印刷方法及び布製品の印刷システムを構成する材料や手段は上述したものに限定されず、布製品の印刷方法及び布製品の印刷システムの利用目的等に応じて、必要な材料や手段のみの構成としたり、適宜他の材料や手段を付加したりすることができる。
【0106】
また、上記実施形態及び変形例は、あくまでも、現在のところの最良の形態またはそれに近い形態の2つにすぎない。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の布製品の印刷方法及び布製品の印刷システムは、布製品の印刷を行うメーカー、布製品の印刷方法及び布製品の印刷システムを提供する事業者や法人において効果的に利用できる。
【符号の説明】
【0108】
1…Tシャツ印刷システム
2…昇華プリンタ
3…昇華転写紙
5…Tシャツ
21…媒体載置台
22…加熱プレス板
23…揺動蝶番
24…ハンドル
21a…載置面
31…昇華インク
51…胴部
52、53…袖部
51a、52a、53a…前面部分
51c、52c、53c…模様
51b、52b、53b…背面部分
51d、52d、53d…模様
51e、52e、53e…前面部分
51g、52g、53g…模様
51f、52f、53f…背面部分
51h、52h、53h…模様
101…布製品の印刷システム
102…インクジェットプリンタ
103…プリンタ制御装置
104…Tシャツ伸長具
107…CCDカメラ
108…乾燥ユニット
121…装置架台
122…媒体載置台
123…搬送機構
124…インクジェットヘッド
124a…インクノズル面
126…駆動制御部
127…キャリッジ
128…ガイド軸
129…支持枠
129a…天板部分
129b、129c…端板部分
131…制御部
132…入力装置
133…表示装置
141…ベース板
142、143…スライド板
142a、143a…ガイド穴
142b、143b…袖差し込み板
144…開閉機構
145…操作レバー
146a、146b、147a、147b…リンク
148a、148b…係合爪
149…ガイドピン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8