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特開2022-68799システム利用料管理装置およびシステム利用料管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068799
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】システム利用料管理装置およびシステム利用料管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/12 20120101AFI20220427BHJP
   G06Q 30/04 20120101ALI20220427BHJP
【FI】
G06Q50/12
G06Q30/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020187595
(22)【出願日】2020-10-22
(71)【出願人】
【識別番号】505244947
【氏名又は名称】株式会社パラダイムシフト
(72)【発明者】
【氏名】百田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】上中 かおり
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB11
5L049CC23
(57)【要約】
【課題】宿泊施設におけるホテルシステム利用料の負担感軽減と、ホテルシステムの提供企業における収益確保を両立可能とする。
【解決手段】システム利用料管理装置100において、ホテルシステムのユーザである宿泊施設に関して、当該ホテルシステムの利用状況データ及び当該ホテルシステムで取り扱った業務データを格納する記憶装置101と、前記宿泊施設の業務データを前記記憶装置から読み取り、当該業務データをデータ利用事業者のシステムに配信する処理と、一定期間に前記データ利用事業者のシステムに配信したデータ量を前記宿泊施設に関して集計し、前記集計したデータ量に所定アルゴリズムを適用して前記ホテルシステムの利用料金充当額を算定する処理と、前記利用状況データに基づき前記宿泊施設について特定される前記ホテルシステムの利用料から、前記利用料金充当額を差し引きして、当該宿泊施設に対するシステム利用料の徴収額を特定する処理を実行する演算装置104を含む構成とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホテルシステムのユーザである宿泊施設に関して、当該ホテルシステムの利用状況データ及び当該ホテルシステムで取り扱った業務データを格納する記憶装置と、
前記宿泊施設の業務データを前記記憶装置から読み取り、当該業務データをデータ利用事業者のシステムに配信する処理と、一定期間に前記データ利用事業者のシステムに配信したデータ量を前記宿泊施設に関して集計し、前記集計したデータ量に所定アルゴリズムを適用して前記ホテルシステムの利用料金充当額を算定する処理と、前記利用状況データに基づき前記宿泊施設について特定される前記ホテルシステムの利用料から、前記利用料金充当額を差し引きして、当該宿泊施設に対するシステム利用料の徴収額を特定する処理を実行する演算装置と、
を備えることを特徴とするシステム利用料管理装置。
【請求項2】
前記演算装置は、
前記利用料金充当額の算定に際し、一定期間において前記データ利用事業者のシステムにデータの配信を行った頻度を前記宿泊施設に関してさらに集計し、前記集計したデータ量及び前記頻度の少なくともいずれかに所定アルゴリズムを適用して利用料金充当額を算定するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のシステム利用料管理装置。
【請求項3】
前記演算装置は、
前記宿泊施設の前記利用状況データが示す、所定期間における過去または未来の売上額のうち、予め固定的に定めた割合の分、または前記売上額の所定期間での増減に応じて変動する割合の分、のいずれかを所定装置より指示を受けて、前記ホテルシステムの利用料として特定するものである、
ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のシステム利用料管理装置。
【請求項4】
前記演算装置は、
前記宿泊施設に対する、ホテルシステム利用開始に伴う初期設定費を、当該宿泊施設における部屋数を含む設備規模の大きさに基づき算定し、当該初期設定費を、前記ホテルシステムの利用料の一部または全部として特定するものである、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のシステム利用料管理装置。
【請求項5】
前記演算装置は、
前記宿泊施設に対する、ホテルシステム利用に伴うサポート業務費を、当該宿泊施設に対して当該ホテルシステムの運用事業者がサポート対応した、通話、電子メール、およびチャットの少なくともいずれかを含むコミュニケーション頻度の大きさに基づき算定し、当該サポート業務費を、前記ホテルシステムの利用料の一部または全部として特定するものである、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のシステム利用料管理装置。
【請求項6】
情報処理装置が、
ホテルシステムのユーザである宿泊施設に関して、当該ホテルシステムの利用状況データ及び当該ホテルシステムで取り扱った業務データを格納する記憶装置を備えて、
前記宿泊施設の業務データを前記記憶装置から読み取り、当該業務データをデータ利用事業者のシステムに配信する処理と、一定期間に前記データ利用事業者のシステムに配信したデータ量を前記宿泊施設に関して集計し、前記集計したデータ量に所定アルゴリズムを適用して前記ホテルシステムの利用料金充当額を算定する処理と、前記利用状況データに基づき前記宿泊施設について特定される前記ホテルシステムの利用料から、前記利用料金充当額を差し引きして、当該宿泊施設に対するシステム利用料の徴収額を特定する処理を実行する、
ことを特徴とするシステム利用料管理方法。
【請求項7】
前記情報処理装置が、
前記利用料金充当額の算定に際し、一定期間において前記データ利用事業者のシステムにデータの配信を行った頻度を前記宿泊施設に関してさらに集計し、前記集計したデータ量及び前記頻度の少なくともいずれかに所定アルゴリズムを適用して利用料金充当額を算定する、
ことを特徴とする請求項6に記載のシステム利用料管理方法。
【請求項8】
前記情報処理装置が、
前記宿泊施設の前記利用状況データが示す、所定期間における過去または未来の売上額のうち、予め固定的に定めた割合の分、または前記売上額の所定期間での増減に応じて変動する割合の分、のいずれかを所定装置より指示を受けて、前記ホテルシステムの利用料として特定する、
ことを特徴とする請求項6または7のいずれかに記載のシステム利用料管理方法。
【請求項9】
前記情報処理装置が、
前記宿泊施設に対する、ホテルシステム利用開始に伴う初期設定費を、当該宿泊施設における部屋数を含む設備規模の大きさに基づき算定し、当該初期設定費を、前記ホテルシステムの利用料の一部または全部として特定する、
ことを特徴とする請求項6~8のいずれかに記載のシステム利用料管理方法。
【請求項10】
前記情報処理装置が、
前記宿泊施設に対する、ホテルシステム利用に伴うサポート業務費を、当該宿泊施設に対して当該ホテルシステムの運用事業者がサポート対応した、通話、電子メール、およびチャットの少なくともいずれかを含むコミュニケーション頻度の大きさに基づき算定し、当該サポート業務費を、前記ホテルシステムの利用料の一部または全部として特定する、
ことを特徴とする請求項6~9のいずれかに記載のシステム利用料管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム利用料管理装置およびシステム利用料管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルを初めとする各種の宿泊施設の多くには、いわゆるホテルシステムが導入されている。ホテルシステムは、PMS(Property Management System)、レベニューマネジメントシステム、顧客管理システム、売掛管理システム、サイトコントローラなど、多くのシステムから構成されている。
【0003】
宿泊施設は、こうしたホテルシステムを利用して、日々の売上げ管理や、各OTA(Online Travel Agent)での客室販売価格の設定など、業務上必要な処理を日常的に行う。そのため、ホテルシステムの機能向上やユーザビリティ改善等を図る様々な技術が提案されている。
【0004】
例えば、各種事象データを記録する事象データファイルの情報により売上げ実績をリアルタイムにモニターする場合に、未精算の部屋を仮精算して売り上げた場合の仮売上げ実績を前記売上げ実績とともに表示するリアルタイムモニター表示機能を持ち、特に各部屋の入室時間から予定の時間が経過した部屋に限定して前記仮売上げ実績の対象とする施設管理システム(特許文献1参照)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-232559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
宿泊施設自らが、ホテルシステムを全て構築、運用しているケースは少ない。一般的な宿泊施設は、他の企業から提供される各システムの機能を利用している。従って宿泊施設は、こうしたシステムの利用料を当該企業に支払い続けることになる。
【0007】
ホテルシステムが宿泊施設にとって必須であるため、その利用料は、宿泊施設にとって低減困難なコストである。他方、ホテルシステムの提供企業にとって、各宿泊施設から徴収するシステム利用料は、重要な収益源である。従って、安易に料金改定することも出来ない。
【0008】
そこで本発明の目的は、宿泊施設におけるホテルシステム利用料の負担感軽減と、ホテルシステムの提供企業における収益確保を両立可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明のシステム利用料管理装置は、ホテルシステムのユーザである宿泊施設に関して、当該ホテルシステムの利用状況データ及び当該ホテルシステムで取り扱った業務データを格納する記憶装置と、前記宿泊施設の業務データを前記記憶装置から読み取り、当該業務データをデータ利用事業者のシステムに配信する処理と、一定期間に前記データ利用事業者のシステムに配信したデータ量を前記宿泊施設に関して集計し、前記集計したデータ量に所定アルゴリズムを適用して前記ホテルシステムの利用料金充当額を算定する処理と、前記利用状況データに基づき前記宿泊施設について特定される前記ホテルシステムの利用料から、前記利用料金充当額を差し引きして、当該宿泊施設に対するシステム利用料の徴収額を特定する処理を実行する演算装置と、を備えることを特徴とする。
【0010】
なお、上述のシステム利用料管理装置において、前記演算装置は、前記利用料金充当額の算定に際し、一定期間において前記データ利用事業者のシステムにデータの配信を行った頻度を前記宿泊施設に関してさらに集計し、前記集計したデータ量及び前記頻度の少なくともいずれかに所定アルゴリズムを適用して利用料金充当額を算定するものである、としてもよい。
【0011】
また、上述のシステム利用料管理装置において、前記演算装置は、前記宿泊施設の前記利用状況データが示す、所定期間における過去または未来の売上額のうち、予め固定的に定めた割合の分、または前記売上額の所定期間での増減に応じて変動する割合の分、のいずれかを所定装置より指示を受けて、前記ホテルシステムの利用料として特定するものである、としてもよい。
【0012】
また、上述のシステム利用料管理装置において、前記演算装置は、前記宿泊施設に対する、ホテルシステム利用開始に伴う初期設定費を、当該宿泊施設における部屋数を含む設備規模の大きさに基づき算定し、当該初期設定費を、前記ホテルシステムの利用料の一部または全部として特定するものである、としてもよい。
【0013】
また、上述のシステム利用料管理装置において、前記演算装置は、前記宿泊施設に対する、ホテルシステム利用に伴うサポート業務費を、当該宿泊施設に対して当該ホテルシステムの運用事業者がサポート対応した、通話、電子メール、およびチャットの少なくともいずれかを含むコミュニケーション頻度の大きさに基づき算定し、当該サポート業務費を、前記ホテルシステムの利用料の一部または全部として特定するものである、としてもよい。
【0014】
また、本発明のシステム利用料管理方法は、情報処理装置が、テルシステムのユーザである宿泊施設に関して、当該ホテルシステムの利用状況データ及び当該ホテルシステムで取り扱った業務データを格納する記憶装置を備えて、前記宿泊施設の業務データを前記記憶装置から読み取り、当該業務データをデータ利用事業者のシステムに配信する処理と、一定期間に前記データ利用事業者のシステムに配信したデータ量を前記宿泊施設に関して集計し、前記集計したデータ量に所定アルゴリズムを適用して前記ホテルシステムの利用料金充当額を算定する処理と、前記利用状況データに基づき前記宿泊施設について特定される前記ホテルシステムの利用料から、前記利用料金充当額を差し引きして、当該宿泊施設に対するシステム利用料の徴収額を特定する処理を実行する、ことを特徴とする。
【0015】
また、上述のシステム利用料管理方法において、前記情報処理装置が、前記利用料金充当額の算定に際し、一定期間において前記データ利用事業者のシステムにデータの配信を行った頻度を前記宿泊施設に関してさらに集計し、前記集計したデータ量及び前記頻度の少なくともいずれかに所定アルゴリズムを適用して利用料金充当額を算定する、としてもよい。
【0016】
また、上述のシステム利用料管理方法において、前記情報処理装置が、前記宿泊施設の前記利用状況データが示す、所定期間における過去または未来の売上額のうち、予め固定的に定めた割合の分、または前記売上額の所定期間での増減に応じて変動する割合の分、のいずれかを所定装置より指示を受けて、前記ホテルシステムの利用料として特定する、としてもよい。
【0017】
また、上述のシステム利用料管理方法において、前記情報処理装置が、前記宿泊施設に対する、ホテルシステム利用開始に伴う初期設定費を、当該宿泊施設における部屋数を含む設備規模の大きさに基づき算定し、当該初期設定費を、前記ホテルシステムの利用料の一部または全部として特定する、としてもよい。
【0018】
また、上述のシステム利用料管理方法において、 前記情報処理装置が、前記宿泊施設に対する、ホテルシステム利用に伴うサポート業務費を、当該宿泊施設に対して当該ホテルシステムの運用事業者がサポート対応した、通話、電子メール、およびチャットの少なくともいずれかを含むコミュニケーション頻度の大きさに基づき算定し、当該サポート業務費を、前記ホテルシステムの利用料の一部または全部として特定する、としてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、宿泊施設におけるホテルシステム利用料の負担感軽減と、ホテルシステムの提供企業における収益確保が両立可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態におけるシステム利用料管理装置を含むネットワーク構成図である。
図2】本実施形態におけるシステム利用料管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】本実施形態における宿泊施設端末のハードウェア構成例を示す図である。
図4】本実施形態における売上情報テーブルの構成例を示す図である。
図5】本実施形態における売上予想額テーブルの構成例を示す図である。
図6】本実施形態における業務データテーブルの構成例を示す図である。
図7】本実施形態におけるデータ配信履歴テーブルの構成例を示す図である。
図8】本実施形態における客室数テーブルの構成例を示す図である。
図9】本実施形態におけるサポート実績テーブルの構成例を示す図である。
図10】本実施形態におけるシステム利用料管理方法のフロー例を示す図である。
図11】本実施形態における出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
---ネットワーク構成---
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は本実施形態のシステム利用料管理装置100を含むネットワーク構成例を示す図である。図1に示すシステム利用料管理装置100は、宿泊施設におけるホテルシステム利用料の負担感軽減と、ホテルシステムの提供企業における収益確保を両立可能とするためのコンピュータである。
【0022】
本実施形態におけるシステム利用料管理装置100は、ネットワーク10に接続され、データ利用システム50、宿泊施設端末200、PMS300、およびサイトコントローラ400とデータ通信可能となっている。
【0023】
このうち、PMS300およびサイトコントローラ400は、ホテルシステム1に含まれる。但し、ホテルシステム1としては他システムを更に包含するとしてもよい。図1で示したホテルシステム1の構成は一例である。
【0024】
このうち、データ利用システム50は、いわゆるホテルデータバンクや宿泊税システムなど、宿泊施設がホテルシステムを介して行った客室販売に関する業務データ、すなわちPMSデータを集積し、宿泊者ビッグデータとして利活用するシステムである。
【0025】
このデータ利用システム50は、システム利用料管理装置100から、上述の業務データの提供を受け、その対価の支払い処理をシステム利用料管理装置10(の運営者)に実行するものとする。こうしたデータ提供とその対価の支払いといった一連の処理に関しては、既存の仕組みを適宜転用すればよく、その形態、運用について限定しない。
【0026】
また、宿泊施設端末200は、所定事業者からホテルシステムの機能提供を享受する宿泊業者の端末である。宿泊業者は、自宿泊施設の客室在庫を売り切るため、自社WEBサイトや電話受付といった自社ルートのみならず、インターネット上での代理販売を行う複数のOTA(オンライントラベルエージェント)を販売チャネルとして利用している。従って、一般的に宿泊施設は、各OTAに対して自宿泊施設の客室在庫を委託している。宿泊施設端末200は、具体的には一般的なコンピュータ端末(スマートフォン、タブレット端末含む)を想定する。
【0027】
また、上述の宿泊業者は、契約中の各OTAでの販売状況を一定時間毎にチェックし、これにより判明したOTA毎の販売状況を受けて、該当宿泊業者の客室在庫調整を自動実行する、いわゆるサイトコントローラ400も利用している。システム利用料管理装置100は、各宿泊施設が契約しているサイトコントローラ400ともネットワーク10で接続され、データ授受可能である。サイトコントローラ400は、所定の事業者がネットワーク10上に設置したサーバ装置である。
【0028】
また、上述のPMS(Property Management System)300は、対象となる宿泊施設における客室の予約、客室管理、料金請求といった一連の業務処理を担う、宿泊施設の基幹システムである。このPMS300は、上述のような業務処理に伴い、対象となる宿泊施設における売上、利益、コストの各データを保持している。PMS300は、所定の事業者がネットワーク10上に設置したサーバ装置である。
【0029】
なお、本実施形態のシステム利用料管理装置100は、上述の複数のOTA、宿泊施設端末200、PMS300、およびサイトコントローラ400のうち、少なくともいずれかを更に含んで構成するとしてもよい。
【0030】
---ハードウェア構成例---
図2に、本実施形態におけるシステム利用料管理装置100のハードウェア構成例を示す。システム利用料管理装置100は、ハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される記憶装置101、RAMなど揮発性記憶素子で構成されるメモリ103、記憶装置101に保持されるプログラム102をメモリ103に読み出すなどして実行しシステム自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPU104(演算装置)、ネットワーク10と接続し他装置との通信処理を担う通信装置105を備える。
【0031】
このうち記憶装置101には、プログラム102の他、売上情報テーブル125、売上予想額テーブル126、業務データテーブル127、データ配信履歴テーブル128、客室数テーブル129、及びサポート実績テーブル130が少なくとも記憶されている。これらテーブル125~130のデータ構成例の詳細については後述する。
【0032】
こうしたシステム利用料管理装置100は、上述の記憶装置101に格納されたプログラム102を、演算装置104がメモリ103に読み出して実行し、必要な機能を実装することになる。またシステム利用料管理装置100は、処理に必要なデータを、予め記憶装置101の該当テーブルにて保持する他、必要に応じてPMS300およびサイトコントローラ400にリクエストして取得可能であるとする。但し、こうした各機能は電子回路などのハードウェアとして実現してもよい。
【0033】
図3に、本実施形態における宿泊施設端末200のハードウェア構成例を示す。本実施形態の宿泊施設端末200は、ハードディスクドライブなど適宜な不揮発性記憶素子で構成される記憶装置201、RAMなど揮発性記憶素子で構成されるメモリ203、記憶装置201に保持されるプログラム202をメモリ203に読み出すなどして実行しシステム自体の統括制御を行なうとともに各種判定、演算及び制御処理を行なうCPU204(演算装置)、ユーザからの入力動作を受け付けるキーボードやマウスなどの入力装置205、CPU204での処理結果を出力するディスプレイやスピーカーなどの出力装置206、及びネットワーク10と接続し他装置との通信処理を担う通信装置207を備える。
【0034】
このうち記憶装置101には、プログラム202の他、客室数データ225が少なくとも記憶されている。この客室数データ225は、システム利用料管理装置100において管理する客室数テーブル129の元データとなる。よって、客室数データ225は、客室数テーブル129の1レコードであり、以後の説明は省略する。
【0035】
こうした宿泊施設端末200は、上述の記憶装置201に格納されたプログラム202を、演算装置204がメモリ203に読み出して実行し、必要な機能を実装することになる。
【0036】
---データ構成例---
続いて、本実施形態のシステム利用料管理装置100が用いるテーブル類について説明する。図4に、本実施形態における売上情報テーブル125の一例を示す。売上情報テーブル125は、各宿泊施設における売上情報を上述のPMS300から得て蓄積したテーブルである。そのデータ構造は、宿泊施設を一意に特定する宿泊施設IDをキーとして、対象期間および売上額といったデータから成るレコードの集合体である。
【0037】
図5に、本実施形態における売上予想額テーブル126の一例を示す。売上予想額テーブル126は、各宿泊施設における、未来の所定期間における総売上予想額の情報を格納したテーブルである。そのデータ構造は、宿泊施設を一意に特定する宿泊施設IDをキーとして、予想対象期間、および総売上予想額といったデータから成るレコードの集合体である。
【0038】
図6に、本実施形態における業務データテーブル127の一例を示す。業務データテーブル127は、各宿泊施設がホテルシステムを通じて行った客室販売のデータを格納したテーブルである。そのデータ構造は、宿泊施設を一意に特定する宿泊施設IDをキーとして、客室販売の案件を一意に示す予約ID、取り扱ったOTAなどの旅行会社、顧客の住所、性別、予約日、人数、料金、といったデータを含むレコードの集合体である。
【0039】
図7に、本実施形態におけるデータ配信履歴テーブル128の一例を示す。データ配信履歴テーブル128は、各宿泊施設の所定期間における業務データのうち、予め定めた項目のデータについて、一定期間ごとにデータ利用システム50に提供した履歴を格納するテーブルである。
【0040】
そのデータ構造は、宿泊施設を一意に特定する宿泊施設IDをキーとして、当該宿泊施設の業務データをデータ利用システム50に配信した期間、当該期間に配信したデータ量、及び頻度、の各値を含むレコードの集合体である。
【0041】
図8に、本実施形態における客室数テーブル129の一例を示す。客室数テーブル129は、各宿泊施設における客室数の情報をサイトコントローラ400ないし宿泊施設端末200から得て格納したテーブルである。そのデータ構造は、各宿泊施設を一意に特定する宿泊施設IDをキーとして、客室数の情報を含むレコードの集合体である。
【0042】
図9に、本実施形態におけるサポート実績テーブル130の一例を示す。サポート実績テーブル130は、各宿泊施設に対してホテルシステム1の運用事業者がサポート対応した、通話、電子メール、およびチャットといった各種コミュニケーションの実績値を、PMS300から得て蓄積したテーブルである。そのデータ構造は、各宿泊施設を一意に特定する宿泊施設IDをキーとして、対象期間、および経費額といったデータから成るレコードの集合体である。
【0043】
このサポート実績テーブル130に格納された各情報は、システム利用料管理装置100が、ホテルシステム1に関するサポート業務を各宿泊施設に対して実行したホテルシステム1から取得したものとなる。
【0044】
このホテルシステム1の運営企業等では、所定のサポート担当者がPCや電話機を操作し、各宿泊施設からのサポート事案に関する問い合わせに対応している。よって、ホテルシステム1は、これらPCや電話機に蓄積された所定期間分のサポート履歴の情報を定期的に取得し、所定の記憶装置に格納している。またホテルシステム1は、こうして格納したサポート履歴の情報を、当該システム利用料管理装置100にサポート実績の情報として、定期的に或いは随時アップロードしている。
【0045】
---フロー例---
以下、本実施形態におけるシステム利用料管理方法の実際手順について図に基づき説明する。以下で説明するシステム利用料管理方法に対応する各種動作は、システム利用料管理装置100がメモリ103に読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、これらのプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0046】
図10は、本実施形態におけるシステム利用料管理方法のフロー例を示す図である。この場合、システム利用料管理装置100は、例えば毎週末など所定期間(この場合、1週間)が経過するタイミングごとに、或いは、宿泊施設端末200からの要求を受けて、業務データテーブル127に格納されている或る期間(例:直近の1ヶ月や1週間など)の各宿泊施設または、上述の要求が示す該当宿泊施設の業務データを、宿泊施設IDをキーに抽出する(s10)。
【0047】
また、システム利用料管理装置100は、s10で得た業務データを、データ利用システム50に配信する(s11)。この配信に際し、システム利用料管理装置100は、例えば、データ配信履歴テーブル128における、該当宿泊施設のレコードの「データ量」の値を、配信データ量の分だけ加算するものとする。また、「頻度」の値について、当該配信の回数の値だけインクリメントする。
【0048】
続いて、システム利用料管理装置100は、上述の業務データの配信を一定期間実行したのち、当該一定期間にデータ利用システム50に配信したデータ量ないし頻度について、宿泊施設ごとにデータ配信履歴テーブル128から抽出する(s12)。この抽出に代え、s11で実行したデータ量や頻度のカウントを行うとしてもよい。
【0049】
また、システム利用料管理装置100は、s12で得たデータ量ないし頻度の少なくともいずれかに、例えば、予め定めた係数(例:単位データ量ないし単位頻度あたりの充当額)を乗算し、ホテルシステム1の利用料金充当額を算定する(s13)。
【0050】
この利用料金充当額とは、宿泊施設がホテルシステム1の利用料金として支払うべき金額のうち免除される金額に相当する。その意味は、当該宿泊施設がその業務データを(システム利用料管理装置100を介して)データ利用システム50に提供したことの対価、をホテルシステム1の利用料金(の一部または全部)に充当することにある。
【0051】
続いて、システム利用料管理装置100は、売上情報テーブル125ないし売上予想額テーブル126といった利用状況データに基づき、宿泊施設についてホテルシステム1の利用料を特定する(s14)。
【0052】
この場合、システム利用料管理装置100は、上述の売上情報テーブル125ないし売上予想額テーブル126における該当レコードが示す、所定期間における過去または未来の売上額のうち、予め固定的に定めた割合の分、または売上額の所定期間での増減に応じて変動する割合の分、のいずれかを宿泊施設端末200より指示を受けて、ホテルシステム1の利用料として特定する。
【0053】
より具体的には、システム利用料管理装置100は、当該宿泊施設に関する上述の割合の固定値たる“3%”を、売上情報テーブル125ないし売上予想額テーブル126から得た売上額“800万円”のうち、上述の割合“3%”の金額分を、800万円×0.03=“24万円”などと、当該宿泊施設に対するホテルシステム1の利用料として算定する。
【0054】
また、例えば、システム利用料管理装置100は、ある宿泊施設の所定期間における過去または未来の売上額(または利益額。以下同様)のうち、上述のように予め固定的に定めた割合の分(例えば、通年固定の3%、など)、または売上額の所定期間での増減に応じて変動する割合の分(例えば、直近1ヶ月の売上額がその前月より5%増大するごとにデフォルトの3.5%から0.1%ずつ上昇、5%減少するごとにデフォルトの3.5%から0.1%ずつ低下など)、のいずれとするか、問いかける情報を宿泊施設端末200に送信する。勿論、これらの割合の種類や値は一例であり、他の様々なものを採用してよい。
【0055】
そして、この情報を宿泊施設端末200で閲覧した宿泊施設の担当者らは、自宿泊施設の運営状況など種々の事情を踏まえて、割合の種類(例:固定/変動)やその値(例:売上額増減“5%”ごとに“0.1%”上下動)を指定する。この指定を受けた宿泊施設端末200は、当該指定内容をシステム利用料管理装置100に通知する。システム利用料管理装置100は、この指定が示す割合の種類および値をメモリ103などで当該宿泊施設に関して保持する。
【0056】
なお、上述のシステム利用料管理装置100は、宿泊施設に関して指定を得た上述の割合の値が、例えば、売上額の所定期間での増減に応じて変動するルール(例えば、直近1ヶ月の売上額がその前月より5%増大するごとにデフォルトの3.5%から0.1%ずつ上昇、5%減少するごとにデフォルトの3.5%から0.1%ずつ低下など)、であった場合、例えば、売上情報テーブル125に格納されている直近1ヶ月とその前月の当該宿泊施設の各月の売上額の値を、“1200万円”、“1600万円”などと読み取る。
【0057】
更に、この場合のシステム利用料管理装置100は、直近1ヶ月およびその前月の売上額の増減率を、(1600-1440)/1600=0.1、すなわち10%増、などと算定し、今次適用すべき割合の増加分を、上述のメモリ103で保持する値から読み取った変動のルールに基づき、0.2%などと特定する。
【0058】
また、システム利用料管理装置100は、今次適用すべき割合の値を、3%+0.2%=3.2%などと算定し、直近1ヶ月の売上額“1600万円”のうち、該当割合“3.2%”の金額分、すなわち“51万2千円”を、当該宿泊施設に対するホテルシステム1の利用料として算定する。
【0059】
なお、システム利用料管理装置100は、処理対象の宿泊施設に対する、ホテルシステム1の利用開始に伴う初期設定費を、当該宿泊施設における部屋数を含む設備規模の大きさに基づき算定し、当該初期設定費を、ホテルシステム1の利用料の一部または全部として特定するとしてもよい。
【0060】
この場合、システム利用料管理装置100は、所定の宿泊施設による当該ホテルシステム1の利用開始に先立ち、或いは、当該宿泊施設の宿泊施設端末200からの要求を受けて、客室数テーブル129から、当該宿泊施設に関して規定された客室数の値を読み取る。
【0061】
次に、システム利用料管理装置100は、上述のように読み取った客室数の値に、例えば所定の係数を乗算することで、当該ホテルシステム1の利用開始に伴う初期設定費の徴収額を算定する。
【0062】
ここで利用する係数とは、例えば、単位客室数あたりの初期設定費の値となる。或いは、システム利用料管理装置100が、客室数の規模レベル(例:客室数が、50以下のレベル、51以上100以下のレベル、101以上300以下のレベル、301以上のレベル、など)ごとに初期設定費を規定した所定のテーブルを記憶装置101にて保持し、このテーブルに客室数を適用することで、対応する初期設置費を特定するとしてもよい。
【0063】
システム利用料管理装置100は、上述のように算定した当該初期設定費の徴収額を、当該宿泊施設に対するホテルシステム利用料として既に保持している値に加算するとすればよい(以下同様)。
【0064】
あるいは、システム利用料管理装置100は、上述の宿泊施設に対する、ホテルシステム1の利用に伴うサポート業務費を、当該宿泊施設に対して当該ホテルシステム1の運用事業者がサポート対応した、通話、電子メール、およびチャットの少なくともいずれかを含むコミュニケーション頻度の大きさに基づき算定し、当該サポート業務費を、ホテルシステム1の利用料の一部または全部として特定するとしてもよい。
【0065】
この場合、システム利用料管理装置100は、例えば毎月末など所定タイミングごとに、或いは、宿泊施設端末200からの要求を受けて、サポート実績テーブル130から、各宿泊施設または上述の要求が示す該当宿泊施設に関して、当該宿泊施設のサポート実績の情報を読み取る。
【0066】
続いて、システム利用料管理装置100は、当該読み取ったサポート実績の情報が含む、通話、電子メール、およびチャットの少なくともいずれかを含むコミュニケーション頻度の各値に、例えば所定の係数を乗算することで、当該宿泊施設に対して実施したサポート業務に伴う費用、すなわち、サポート業務費の徴収額を算定する。
【0067】
ここで利用する係数とは、例えば、各コミュニケーション手段の単位頻度あたりのサポート業務費の値となる。或いは、システム利用料管理装置100が、各コミュニケーション手段の頻度レベル(例:電子メールが、10通/月以下のレベル、11通/月以上50通/月以下のレベル、50通以上/月のレベル、通話が、5コール/月以下のレベル、16コール/月以上20コール/月以下のレベル、20コール以上/月のレベル、チャットが、20分/月以下のレベル、21分/月以上60分/月以下のレベル、60分以上/月のレベル、など)ごとに、サポート業務費を規定した所定のテーブルを記憶装置101にて保持し、このテーブルに、上述のサポート実績の情報が含む、各コミュニケーション手段の頻度の値を適用することで、対応するサポート業務費を特定するとしてもよい。
【0068】
システム利用料管理装置100は、上述のように算定した当該サポート業務費の徴収額を、当該宿泊施設に対するホテルシステム1の利用料として既に当該宿泊施設に関して保持している値に加算するとすればよい。
【0069】
続いて、システム利用料管理装置100は、上述で特定したホテルシステム1の利用料から利用料金充当額を差し引きして、当該宿泊施設に対するシステム利用料の徴収額を特定する(s15)。
【0070】
システム利用料管理装置100は、この徴収額の情報を、例えば、宿泊施設端末200やホテルシステム運営企業の端末に通知(図11参照)する(s16)。また、システム利用料管理装置100は、当該宿泊施設の口座に関する引落要求(徴収額を引落額とし、該当金額をホテルシステム運営企業の口座に入金する引落要求)を、該当金融機関におけるネット取引のプロトコルに沿って生成し、これを金融機関が運営するインターネットバンキングシステムに通知し(s17)、処理を終了する。
【0071】
本実施形態のシステム利用料管理装置によれば、宿泊施設におけるホテルシステム利用料の負担感軽減と、ホテルシステムの提供企業における収益確保が両立可能となる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。これら実施形態は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。それらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 ホテルシステム
10 ネットワーク
50 データ利用システム
100 システム利用料管理装置
101 記憶装置
102 プログラム
103 メモリ
104 CPU(演算装置)
105 通信装置
125 売上情報テーブル(利用状況データ)
126 売上予想額テーブル(利用状況データ)
127 業務データテーブル(業務データ)
128 データ配信履歴テーブル
129 客室数テーブル
130 サポート実績テーブル
200 宿泊施設端末
300 PMS
400 サイトコントローラ
図1
図2
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図5
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図11