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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068806
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】人体無害UV光源を用いた殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20220427BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020190680
(22)【出願日】2020-11-17
(31)【優先権主張番号】10-2020-0137298
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】520450662
【氏名又は名称】エイデン ハイジーン エンタープライズ
【氏名又は名称原語表記】ADEN HYGIENE, ENT.
【住所又は居所原語表記】A-20, 3F, 194-25, Osongsaengmyeong 1-ro, Osong-eup, Heungdeok-gu, Cheongju-si, Chungcheongbuk-do 28160, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】チェ ウソン
(72)【発明者】
【氏名】チョ ミョンファン
(72)【発明者】
【氏名】イ ソクウ
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA28
4C058BB07
4C058DD16
4C058DD20
4C058EE30
4C058KK02
(57)【要約】
【課題】本発明は、装置の内、外部でオゾンの発生を抑制することができるとともに、波長200~230nm付近の紫外線を高い発光強度で出射することができる紫外線殺菌モジュールを提供し、前記紫外線殺菌モジュールを用いた紫外線殺菌装置を提供する。
【解決手段】本発明の紫外線殺菌装置によれば、ヒト細胞などの動物細胞を傷つけることなく、当該生体組織の表面に存在する細菌やウイルスなどを選択的にUV殺菌するとともに、皮膚などに有害なオゾンの発生を減少させることができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波長200~230nmの紫外線を含む光を放射する紫外線光源部と、
該紫外線光源を収納する収納部と、
前記紫外線光源からの光を導光し、紫外線透過性を有する照射窓によって閉塞される導光部と、を含む紫外線殺菌モジュールであって、
前記紫外線光源部には、222nmの波長を含むピークのみを選択的に放出可能なDBRフィルターを含む、紫外線殺菌モジュール。
【請求項2】
前記紫外線光源は、エキシマランプ、アーク放電ランプ及びUV-C LEDよりなる群から少なくとも一つ選択される、請求項1に記載の紫外線殺菌モジュール。
【請求項3】
前記エキシマランプは、ArF、KrBr、KrCl、KrF及びXelよりなる群から少なくとも一つ選択されるエキシマを内部に含む、請求項2に記載の紫外線殺菌モジュール。
【請求項4】
前記紫外線殺菌モジュールの放射光を皮膚に直接照射することができることを特徴とする、請求項1に記載の紫外線殺菌モジュール。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の紫外線殺菌モジュールを含む紫外線殺菌装置。
【請求項6】
請求項5に記載の紫外線殺菌装置を含むことにより、前記紫外線殺菌装置から放出される紫外線をヒト又は動物の皮膚に直接照射して皮膚の殺菌、脱臭及び有機汚染物の除去のうちの少なくとも一つを行う、紫外線殺菌方法。
【請求項7】
前記エキシマランプの発光方式が誘電体バリア放電(dielectirc barrier discharge)発光方式である、請求項2に記載の紫外線殺菌モジュール。
【請求項8】
前記DBRフィルターは、積層構造の上部DBR及び下部DBRを含み、
前記上部DBR及び前記下部DBRの各層の材質は、Si、SiO及びZnOよりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の紫外線殺菌モジュール。
【請求項9】
前記上部DBR及び前記下部DBRの各層の厚さが5nm~500nmであることを特徴とする、請求項7に記載の紫外線殺菌モジュール。
【請求項10】
前記上部DBR及び前記下部DBRがそれぞれ5~100層の積層構造であることを特徴とする、請求項7に記載の紫外線殺菌モジュール。
【請求項11】
前記UV-C LED光源のLEDモジュールのうちの一つ以上のモジュール上に一つ以上のモスアイレンズが設置されることを特徴とする、請求項2に記載の紫外線殺菌モジュール。
【請求項12】
前記紫外線殺菌装置は、安全装置をさらに含み、
前記安全装置は、UVC、UVB、UVA及びPUVAよりなる群から選択される少なくとも一つの波長光を測定することができる検知器を含むことを特徴とする、請求項5に記載の紫外線殺菌装置。
【請求項13】
前記紫外線殺菌装置は、オゾン除去装置をさらに含み、
前記オゾン除去装置は、紫外線放射ユニット及び光触媒フィルターを含むことを特徴とする、請求項5に記載の紫外線殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体無害UV光源を用いた紫外線殺菌モジュール及びこれを含む紫外線殺菌装置に係り、より詳細には、動物細胞などに無害であってヒトのある空間でも物体に対する殺菌光の近接照射が可能であって活用性を向上させることができる、人体無害UV光源を用いた紫外線殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
殺菌方法としては、熱/蒸気を用いた殺菌、濾過殺菌、化学的殺菌、紫外線を照射して殺菌する技術などが知られている。紫外線を用いたUV殺菌は、例えば細菌やウイルスなどの対象生物の細胞内のDNAに紫外線を照射して殺菌する。具体的には、細胞内のDNAが最も高い吸収特性を示す260nm付近の紫外線を吸収させてDNAの遺伝コードを破壊し、当該細胞の増殖代謝が正常に行われないようにすることにより、対象生物を不活性化する。従来のUV殺菌分野では、波長254nm付近で強力な発光スペクトルを示す低圧水銀ランプを利用して殺菌を行う技術が広く用いられた。
【0003】
しかし、このような波長帯の紫外線を人体に直接照射すると、人体に様々な副作用を与える可能性があるという欠点が知られている。波長254nmの紫外線が人体に照射されると、表皮の角質層を透過して顆粒層又は有棘層、場合によっては基底層に達し、これらの層内に存在する細胞のDNAに吸収され、DNAを破壊又は変性して皮膚がんの発生可能性を高める。
【0004】
波長200~230nmの紫外線は、皮膚及び眼球の吸収率が非常に低いため、紫外線に晒されても副作用を発生させない。これは、当該波長帯の紫外線を人体に照射するとき、皮膚の角質層に吸収されて基底層側に伝達されないためである。角質層に含まれる角質細胞は、細胞核を持たない細胞であるため、DNAが存在しない。このため、波長250nm程度の紫外線を照射する場合にも、角質細胞に吸収されてDNAが破壊されるリスクがほとんど存在しない。
【0005】
したがって、UV殺菌を皮膚などの生体に直接実施することができる殺菌装置では、殺菌対象の微生物に対してはUV殺菌効果を得ることができながらも、動物細胞に対しては無害であることが最近明らかになった200nm~230nmの波長領域にある紫外線、特にFar-UVCとして知られている222nmの波長を選択的に照射する装置の開発が必要であって、多くの研究と開発が行われている。
【0006】
ただし、従来の類似紫外線照射装置の場合、人体に有害な残波長(200~230nmの範囲外の波長)の除去が完璧に行われないため、皮膚及び角膜に損傷を引き起こすおそれがあるという問題点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Far-UVC light: A new tool to control the spread of airborne-mediated microbial diseases, David Welch, Manuela Buonanno, Veljko Grilj, Igor Shuryak, Connor Crickmore, Alan W. Bigelow, Gerhard Randers-Pehrson, Gary W. Johnson & David J. Brenner, Scientific Reports volume 8, Article number: 2752 (2018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、その目的は、装置の内、外部でオゾンの発生を抑制することができるとともに、波長200~230nm付近の紫外線、特に222nmの紫外線を高い発光強度で出射することができる紫外線殺菌モジュールを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、前記紫外線殺菌モジュールを用いた紫外線殺菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、波長200~230nmの紫外線を含む光を放射する紫外線光源を含む光源部と、該紫外線光源を収納する収納部と、前記紫外線光源からの光を導光し、紫外線透過性を有する照射窓によって閉塞される導光部と、を含む紫外線殺菌モジュールであって、前記紫外線光源には、222nmの波長を含むピークのみを選択的に放出可能なDBRフィルターを含む、紫外線殺菌モジュールを提供する。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記紫外線光源は、エキシマランプ、アーク放電ランプ及びUV-C LEDよりなる群から少なくとも一つが選択できる。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記エキシマランプは、ArF、KrBr、KrCl、KrF及びXelよりなる群から少なくとも一つ選択されるエキシマを内部に含むことができる。
【0013】
本発明の一実施形態において、前記紫外線殺菌モジュールの放射光を皮膚に直接照射することができることを特徴とする。
【0014】
本発明の一実施形態において、本発明は、前記紫外線殺菌モジュールを含む紫外線殺菌装置を提供する。
【0015】
本発明の一実施形態において、本発明は、前記紫外線殺菌装置を含むことにより、前記紫外線殺菌装置から放出される紫外線をヒト又は動物の皮膚に直接照射して皮膚の殺菌、脱臭及び有機汚染物の除去のうちの少なくとも一つを行うことができる。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記エキシマランプの発光方式は、誘電体バリア放電(dielectirc barrier discharge)発光方式であり得る。
【0017】
本発明の一実施形態において、人体に有害な残波長(222nm以外の波長)を効果的に除去するフィルター技術をさらに含むことにより、目標の波長のみを高強度で照射することができる紫外線殺菌モジュールを提供する。
【0018】
本発明の一実施形態において、前記DBRフィルターは、積層構造の上部DBR及び下部DBRを含み、前記上部DBR及び前記下部DBRの各層の材質は、Si、SiO及びZnOよりなる群から選択されることを特徴とする。
【0019】
本発明の一実施形態において、前記上部DBR及び前記下部DBRの各層の厚さは、5nm~500nmであることを特徴とする。
【0020】
本発明の一実施形態において、前記上部DBR及び前記下部DBRは、それぞれ5~100層の積層構造であることを特徴とする。
【0021】
本発明の一実施形態において、前記UV-C LED光源のLEDモジュールのうちの一
つ以上のモジュール上に一つ以上のモスアイレンズが設置されることを特徴とする。
【0022】
本発明の一実施形態において、前記紫外線殺菌装置は、安全装置をさらに含み、前記安全装置は、UVC、UVB、UVA及びPUVAよりなる群から選択される少なくとも一つの波長光を測定することができる検知器を含むことを特徴とする。
【0023】
本発明の一実施形態において、前記紫外線殺菌装置は、オゾン除去装置をさらに含み、前記オゾン除去装置は、紫外線放射ユニット及び光触媒フィルターを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の紫外線殺菌装置によれば、ヒト細胞などの動物細胞を傷つけることなく、当該生体組織の表面に存在する細菌やウイルスなどを選択的にUV殺菌するとともに、皮膚などに有害なオゾンの発生を減少させ、光密度の高い可視光線を同時に照射して照射対象部位を視認することができるため紫外線照射範囲を肉眼などで把握することができる。
【0025】
本発明の紫外線殺菌装置の他の効果は、室内空間の空気に存在する微生物粒子を殺菌浄化する空間殺菌機能と、室内空間の物体の表面を殺菌消毒する表面殺菌機能とを同時に行うことが可能であり、ヒトのある空間でも物体に対する殺菌光の近接照射が可能であって活用性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態に係る室内殺菌浄化装置の外形を概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る室内殺菌浄化装置の構成を概念的に示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る循環浄化モジュールの内部構造を概念的に示す図である。
図4a】本発明の発光方式に対する参考図である。
図4b】本発明の実施時のスパーク状の発光形態を撮影した写真である。
図5】本発明のDBRフィルターの模式図である。
図6】本発明のDBRフィルターの反射波長範囲を示すグラフである。
図7】本発明のFar-UVC検知装置の波長別感応度を示すグラフである。
図8】本発明の紫外線殺菌モジュールと通常のUV-Lampとを比較して時間当たりのアセトアルデヒド減少を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[紫外線殺菌モジュール]
本発明の紫外線殺菌モジュールは、紫外線を含む光を放射する紫外線光源を含む光源部と、該紫外線光源を収納する収納部と、前記放射される紫外線の波長を調節するための光学フィルターと、を含む紫外線殺菌モジュールであって、前記導光部は、紫外線透過性を有する照射窓によって閉塞されている。
【0028】
紫外線殺菌モジュールの寸法は、殺菌装置の用途及び大きさに適合するように任意に設計でき、光源の長さは、全体モジュール長さの50~85%であり得る。
【0029】
以下、紫外線殺菌モジュールの各構成要素を詳細に説明する。
【0030】
[光源部]
皮膚の殺菌を含む紫外線による殺菌においては、波長200~230nmの範囲の紫外線
が使用される。最も好ましい単一波長は222nmである。このような波長を発生させる紫外線光源としては、エキシマランプ、アーク放電ランプ又はUV-C LEDが使用できる。
【0031】
紫外線光源がエキシマランプである場合、任意のエキシマランプは、円筒形の外側管と、外側管内においてその管軸に沿って配置された当該外側管の内径よりも小さい外径を有する円筒形の内側管とを有する、合成石英ガラスや溶融石英ガラスなどの材質の二重管(double pipe)構造の発光管を備えている。
【0032】
前記発光管において、外側管及び内側管のそれぞれの両端部が部材によって接合され、外側管と内側管との間にリング状の内部空間が形成されており、この内部空間には、放電用ガスが封入されている。
【0033】
発光管には、外側管の外周面に網状の外側電極が設置され、内側管の内周面に膜状の内側電極が設置されており、外側電極及び内側電極は、それぞれ高周波電源に接続されている。前記エキシマランプにおいては、高周波電源によって外側電極と内側電極との間に高周波高電圧が印加されることにより、内部空間においてエキシマ放電が発生し、エキシマ光が放射される。
【0034】
エキシマランプは、放電用ガスの種類によって放射される光の波長範囲を調整することができ、波長200nm付近に中心波長を有する放射光を得るための放電用ガスは、フッ化アルゴン(ArF、中心波長193nm)、臭化クリプトン(KrBr、207nm)、塩化クリプトン(KrCl、222nm)、フッ化クリプトン(KrF、248nm)、ヨウ化キセノン(XeI、253nm)、塩素(Cl、259nm)であり得る。放電用ガスとしては、フッ化アルゴンガス、臭化クリプトンガス及び塩化クリプトンガスが好ましく、最も好ましくは、塩化クリプトンガスを使用することができる。
【0035】
また、エキシマランプは、200~250nmの波長範囲でピーク波長を有する紫外線発光蛍光体を発光管の内周面に塗布するか、或いはアルミニウム材質の反射面をさらに含んでもよい。
【0036】
前記光源がUV-C LEDである場合、前記UV-C LEDは、LEDの構成に応じて、放射される光の波長範囲を調整することができるため、波長200nm付近に中心波長を有する放射光(紫外線)を得ることができる。200~230nmの波長範囲を放出するようにLEDを構成することが最も好ましい。紫外線光源ユニットは、光源がUV-C LEDである場合に反射面をさらに含んでもよい。
【0037】
前記光源がアーク放電ランプである場合、短絡アーク放電ランプ(以下、単に「放電ランプ」ともいう。)、及び当該放電ランプの周囲を取り囲むように配置された反射鏡を有する集光光学系からなる光源部で構成できる。前記放電ランプは、200nm~500nmの波長領域にわたって連続スペクトルを有する光を放射するものを使用することができる。
【0038】
前記放電ランプは、いわゆる両端密封型のものであって、発光空間を形成する例えば楕円球状の発光管部と、発光管部の両端に連続して管軸方向に沿ってそれぞれ外側に延びる密封管体部分を有する、合成石英ガラス(Suprasil F310)からなるバルブとを備える。発光管部の内部には、一対の電極である陽極及び陰極が互いに対向して配置されている。陽極及び陰極の電極間距離は1~10mmであり得る。
【0039】
発光管部内には発光ガスとして水銀が封入されており、発光ガスの封入圧(水銀蒸気圧)
は1×10Paであり得る。陽極はタングステンで構成できる。陰極は、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)などの逆電子放射物質(エミッタ物質)が含浸されたタングステン焼結体で構成できる。
【0040】
前記放電ランプは、陽極と陰極との間に所定の大きさの電圧が印加されると、陽極と陰極との間にアーク放電が生じて当該放電ランプが点灯する。
【0041】
反射面は、放電ランプの陰極側において、発光管部の周囲を取り囲むように配置されている。反射面は、230nm以下の波長光及び400nm以上の波長光に対する反射性を有することが好ましく、230nm以下の波長光に対する反射率を高めるために、アルミニウムなどによる金属蒸着膜又は誘電体多層膜で構成されることが好ましい。
【0042】
光源部を構成する放電ランプから放射された光が反射鏡の反射面によって反射され、光学フィルターを介して第2焦点に集光して入射光学系の入射端面に入射する。入射光学系に入射した光は光ファイバを介して照射対象部位に照射され、これにより、当該照射対象部上に存在するバクテリアなどの殺菌対象生物に対する殺菌及び消毒が行われる。
【0043】
本発明の殺菌装置においては、二重円筒形のランプが採用できる。従来の高周波放電(RF discharge)方式では、グロー放電(glow discharge)を適用して均一な発光を得ることができるが、所望のピーク波長の強度が弱いという欠点があったが、誘電体バリア放電(Dielectric barrier discharge)では、これを補完した。誘電体バリア放電でも、ガラスなどの誘電体で外壁を構成し、外部に電極を設置することは同一であるが、マイクロプラズマ放電(microplasma discharge)方式を用いて、糸のような形態の発光を得ることができる。
【0044】
本発明の紫外線殺菌モジュールは、遠距離空間に対する殺菌菌力を保障する。光源放射部に光学レンズを適用して光を集光させることで遠距離空間殺菌を可能にする。光学レンズとしては、モスアイレンズ(moth eye lens)を使用することができ、各LED上に一つ以上のモスアイレンズが設置でき、好ましくは、一つのモスアイレンズが設置され、隣接のLED光源から同時に紫外線が照射されるときにモスアイレンズの相互集光作用が発生する。光学レンズを設置していない場合には、有効距離(Wd)が30mm程度であるが、光学レンズを適用している場合には、有効距離が10倍以上増加して遠距離殺菌能力を極大化する。本発明の殺菌モジュールを用いて所望の領域の光パワーを極大化したFar UV-C殺菌装置に適用可能である。
【0045】
[光学フィルター]
本発明の紫外線殺菌モジュールは、光源部又は導光部に光学フィルターをさらに含んでもよい。
【0046】
前記光源部ではスペクトル線幅を有する光が放射されるため、皮膚への照射が可能な紫外線殺菌モジュールのためには、所望の波長範囲の光を照射することができるように他の波長の光を吸収、反射、減衰させる光学フィルターを必要とする。
【0047】
また、前記光学フィルターは、波長230~300nmの光を低減するバンドパスフィルター(Band Pass Filter:BPF)、DBRフィルター又は紫外線吸収部材であり得る。
【0048】
光源部の放射光には、中心波長周辺の短波長、長波長の光が微小に発生する。放射光として波長190nm未満の紫外線が含まれている場合には、当該波長の紫外線が酸素に吸収
されてオゾン(O)が発生することがある。発生する高濃度のオゾンは、人体に悪影響を及ぼすので、皮膚の殺菌処理などのように生体に直接適用する場合には、オゾンの発生を抑える必要がある。したがって、190nm未満の紫外線波長を吸収したり、発生したオゾンを排出しないようにしたりするオゾンフィルターをさらに含んでもよい。
【0049】
本発明のオゾン発生防止手段としては、また、光触媒方式のオゾン分解装置が使用できる。好ましくは、TiO光触媒方式を活用することができる。空気が吸込口に吸入された後、365nmの波長が照射されるTiOフィルターを通過した後、HEPAフィルターを通過する。HEPAフィルターを通過した空気には、波長275nmの紫外線が照射される。365nmの波長が照射されるTiOフィルターでは、発生したオゾンが再び酸素に分解され、HEPAフィルターは、殺菌、脱臭、PM2.5粒子の除去、ホコリ除去機能があり、波長275nmの紫外線は、細菌又はウイルスの微生物の殺菌効果を持っている。
【0050】
本発明の紫外線殺菌モジュールの光波長は、200nm~230nmであり、好ましくは210~225nmであり得る。紫外線照射の際にDNAに及ぼす影響を抑制しようとする観点では、紫外線の波長が短いことが好ましい。しかし、波長200nm未満の紫外線は、空気中の酸素に吸収されるため、皮膚に到達する光量が大幅に減少して殺菌効果を担保することができない。230nmを超える光波長は、皮膚損傷などの副作用を引き起こすおそれがあり、前記光源は、230nmよりも長波長の光を遮断するフィルターを内蔵することが好ましい。
【0051】
しかし、230nmよりも長波長の光を全て遮断するフィルターの使用時に不可視領域の紫外線のみを生体組織の表面に照射するので、紫外線が照射される位置を肉眼で判別することができない問題を解決するために、本発明は、200nm~230nmの波長領域の光(以下、「A波長光」)は透過し、230nm超え400nm以下の波長領域の光(以下、「B波長光」)を遮断するとともに、目視可能な可視光線である400nm超え500nm以下の波長領域の光(以下、「C波長光」)を減衰させる光学フィルターを備えて、A波長光及びC波長光などを出射する紫外線殺菌装置を提供する。
本発明の光学フィルターは、200~230nmの波長光を透過させ、230~400nmの波長光を遮断するとともに、400nm以上の波長光を減衰させたものであって、例えば、230~400nmの波長光を吸収する第1減衰フィルターと、400nm以上の波長光を吸収する第2減衰フィルターとからなるものとすることができる。光学フィルターは、第1減衰フィルター及び第2減衰フィルターが同じガラス基材上に積層して設置されたもので構成できる。第1減衰フィルターは、中心波長214nmのバンドパスフィルターであって、230~400nmの波長光に対するOD(Optical Density)値が40以上のものであり得る。第2減衰フィルターは、カットオン/カットオフ波長が400nmのショートパスフィルター(short pass filter)であって、400nm以上の波長光に対するOD値が20以上、ブロック波長帯領域が400nm~500nmのものであり得る。
【0052】
前記フィルターは、当該フィルターを透過した透過光における、200nm~230nmの波長領域の光に対する400nm超え500nm以下の波長領域の光の比率が1:0.1~0.5であり得る。
【0053】
200~230nmの波長光に対する400nm以上の波長光の比率は、光学フィルターを透過した透過光のスペクトルにおいて波長に対して積算した面積比で表示される。200~230nmの波長光に対する400nm以上の波長光の比率が1:0.5を超える場合は、生体組織に対して青色光が強く照射されて動物細胞に対する高い安全性を確保することができなくなるおそれがある。また、200~230nmの波長光に対する400n
m以上の波長光の比率が1:0.1未満である場合は、照射対象部位を確実に視認することができず、紫外線照射範囲の把握が難しいおそれがある。
【0054】
前記フィルターは、当該フィルターを透過した透過光における、200nm~230nmの波長領域の光に対する701nm~800nmの波長領域の光の比率が1:0.1以下であり得る。200~230nmの波長光に対する701~800nmの波長光の比率が1:0.1を超える場合には、生体組織に対して近赤外光を照射して、動物細胞に対する高い安全性を確保することは難しいおそれがある。
【0055】
前記バンドパスフィルターは、光の強度比を10%以下に減少させることができ、前記バンドパスフィルターを透過した200~230nmの波長光が前記紫外線吸収部材によって反射され、紫外線が吸収されるものであり得る。
【0056】
バンドパスフィルターを透過した後の光の強度比は、具体的には、式(1)のように測定される。
【0057】
式(1):光の強度比[%]={波長領域230~300nmの紫外線の強度/波長領域200~230nmの紫外線の強度}×100
【0058】
バンドパスフィルターの原理上、一定の入射角の範囲を超える場合、光の遮断効率が減少する。光の入射角が0°である場合(入射面に対して垂直に入射)は、220nm付近の波長領域の光は透過し、230~300nmの紫外線は遮断される。一方、光の入射角が40°である場合には、約210nm以上の波長領域の光が遮断され、280nm以上の波長領域の光は透過する。また、光の入射角が60°である場合には、約200nm以上の波長領域の光が遮断されて260nm以上の波長領域の光は透過する。
【0059】
バンドパスフィルターに0°~40°の低角度で入射した光において、B波長光は該当バンドパスフィルターで選択的に吸収されて遮断され、A波長光は遮断されずにバンドパスフィルターを透過する。バンドパスフィルターを透過したA波長光を含む光は、直接照射窓から出射されるか或いは導光部に対して高角度で入射して、当該導光部を構成する紫外線吸収部材の内表面に反射されて照射窓から出射される。
【0060】
一方、バンドパスフィルターに入射したエキシマランプの放射光のうち、バンドパスフィルター40°を超える高角度で入射した高角度成分光において、B波長光は、バンドパスフィルターを透過する光に含まれる。透過したB波長光を含む光は、導光部に対して低角度で入射し、これにより、導光部の紫外線吸収部材に吸収されて遮断されるか、或いは紫外線吸収部材を透過して導光部の外部の側方に向かって出射される。また、高角度成分光に含まれるA波長光は、バンドパスフィルターによって吸収されて遮断されるか、或いは遮断されずにバンドパスフィルターを透過しても、光に含まれるB波長光と共に紫外線吸収部材に吸収されて遮断されるか、或いは紫外線吸収部材を透過して導光部の外部の側方に向かって出射される。したがって、低角度成分光及び高角度成分光において、B波長光が遮断又は吸収されてB波長光を照射窓から出射することを抑制することができる。
【0061】
紫外線吸収部材としては、石英ガラスやソーダライムガラス、弗珪酸ガラスなどのガラスを使用することができる。ガラスは、フレネル反射性質を示すので、高角度でガラスに入射した光を反射し、低角度でガラスに入射した光を吸収又は透過する。ここで、バンドパスフィルターに関連する高角度成分光は、紫外線吸収部材に低角度で入射し、当該高角度成分光は、紫外線吸収部材によって吸収又は透過される。一方、低角度成分光は、紫外線吸収部材に吸収又は透過されず、当該紫外線吸収部材によって照射窓に向かって反射され、装置の外部に有害な紫外線が漏れるのを確実に抑制することができる。また、外部でエ
キシマランプの可視光線をユーザが観測することができ、高い利便性を得ることができる。
【0062】
本発明の紫外線殺菌装置では、導光部とランプ収納室との間又は導光部の光出射側の先端部にバンドパスフィルターが設置されるとともに、導光部の内表面が、人体に有害な波長光を吸収する紫外線吸収部材からなる。紫外線光源からの光に含まれるB波長光のうち、一部のB波長光がバンドパスフィルターによって選択的に遮断され、残りのB波長光が紫外線吸収部材に吸収又は透過される。その結果、本発明の紫外線殺菌装置からの出射光において、A波長光を含む紫外線の発光強度を大幅に低下させず、B波長光の発光強度を低下させることができる。
【0063】
前記光学フィルターは、DBRフィルターであり、好ましくは、ZnO層を含むDBRフィルターであり得る。前記DBRフィルターは、上部DBR、空間層(space layer)、下部DBR及び基質からなる層状構造のフィルターであり、上部DBRの各層は、均一な高さの多層構造であり、下部DBRの各層は、均一な高さの多層構造からなり得る。上部又は下部DBRの各層は、5nm~500nm、好ましくは10nm~100nmであり得る。上部又は下部DBRは、2~300層の層状構造、好ましくは5~100層であり得る。上部又は下部DBRの各層の素材は、ZnO、SiO及びSiよりなる群から一つ以上選択されるものであり得る。各層は、様々な素材を1層ずつ交互に積んだ構造であり得るが、連続する2以上の層を同じ素材としてもよい。基質の材質は、サファイア又は水晶などの安定な鉱物質であり得る。
【0064】
[ランプ収納部]
本発明の光源及び反射部材は、当該光源及び反射部材の一末端又は両末端に配置されたベース部材によって支持固定されている。具体的に、ベース部材は、それぞれ略円環筒状体からなり得る。円環筒状体の筒軸と垂直な断面は、光源の内側管の内径よりも僅かに小さな内径を有し、反射部材の外径よりも僅かに大きな外径を有する環又は円筒状であり得る。ベース部材が環又は円筒状である場合、光源の冷却効率を高めることができる。
【0065】
ベース部材の内側面では、光源の内側管の内径よりも僅かに小さな内径を有する環又は円筒状の係合部がベース部材の環の内部と連通する状態で突出するように設置できる。また、ベース部材の外側面では、それぞれ環又は円筒状の係合部の環内部がベース部材の環内部と連通する状態で突出するように設置されている。ベース部材においては、内方に突出した係合部が光源の内側管の内部に挿入されることにより、当該ベース部材に光源が固定されている。
【0066】
前記ランプ収納室内には、周壁部の筒軸と同軸状に延びるように紫外線光源が配置されている。具体的には、ランプ収納室の周壁部の内部に、当該周壁部の軸方向と垂直な断面で内周形状と同じ外周形状の一つ以上の紫外線光源支持部が互いに離隔して設置されており、この紫外線光源ユニット支持部に設けられた係合孔に、紫外線光源のベース部材の係合部がそれぞれ係合されることにより、ランプ収納室内に紫外線光源が支持固定されて収納されている。周壁部は、有光性を有する材料、例えば黒アルマイト加工のアルミニウムからなる。また、周壁部の内表面における、エキシマランプの発光部と対向する領域には、反射層が設けられていることが好ましい。
【0067】
紫外線光源が収納されるランプ収納室は、四角柱、円柱又は多角柱からなる周壁部と、当該周壁部の両端に設置されたランプ収納室内に光源を冷却するための冷却風を循環させる給気ファン及び排気ファンをさらに含んでもよく、前記排気ファン及び給気ファンのうちのいずれか一方の排気路にオゾンフィルターが設置されることが好ましい。
【0068】
[導光部]
エキシマランプからの光を導光する導光部は、円柱状、四角柱状、六角柱状などを含む多角柱状又は球状などであってもよく、基本立体図形から変形した立体形状であってもよい。
【0069】
紫外線光源からの光を導光する導光部は、四角筒状の円筒状部を有し、当該円筒状部の基端部内に、当該基端部の内周形状と同じ外周形状を有する紫外線透過性の導光窓が嵌合されて固定されている。一方、円筒状部の先端部は、紫外線透過性を有する照射窓によって閉塞されている。具体的には、円筒状部の先端部内に、当該先端部の内周形状と同じ外周形状を有する照射窓が嵌合されて固定されている。
【0070】
導光部の長さは、バンドパスフィルターから出射された光のうち、バンドパスフィルターに関連する高角度成分光の全てが直接導光部の内表面に入射する大きさであればよい。導光部の長さが過小である場合には、バンドパスフィルターから出射された光のうちのバンドパスフィルターに関連する高角度成分光の一部が、導光部の内表面に入射せずに直接照射窓に入射し、当該照射窓から出射されてしまうおそれがある。一方、導光部の長さが過大である場合には、A波長光であるバンドパスフィルターに関連する低角度成分光に対して、紫外線吸収部材に入射する量が増加するため、当該紫外線吸収部材で光吸収による光損失が増加して、照射窓に到達する光が減少してしまうおそれがある。
【0071】
導光部の色相は、全体が透明であってもよく、一部だけが透明であってもよく、全体が半透明であってもよく、一部が半透明であってもよく、エキシマランプの光を反射する部分を含んでもよく、これらの組み合わせであってもよい。
【0072】
導光部は、紫外線透過性を有する導光窓又は照射窓を別個に有してもよく、導光部全体が導光窓又は照射窓であってもよい。ランプ収納部と全体が導光部であってもよく、ランプ収納部と導光部を別個に備えてもよい。
【0073】
エキシマランプからの光を反射する部分は、高輝アルミニウムの板やアルミニウムの蒸着膜などからなる反射層であり得る。
【0074】
導光部内の円筒状部の内周面に設けられた反射層、導光窓及び照射層によって区画された酸素含有層形成空間は、紫外線を吸収してオゾンを発生する気体によって充填されることにより、酸素含有層が形成されている。酸素含有の内部気体は、大気中の空気などであり得る。
【0075】
本発明の紫外線放射装置においては、紫外線透過性を有する照射窓によって閉塞された導光部内に酸素含有層が形成されており、酸素に吸収されてオゾンを発生する波長の紫外線(190nm以下の波長光)を含む光を放射する紫外線光源からの光が当該酸素含有層を介して出射される。そのため、紫外線光源からの光に含まれる190nm以下の波長光が酸素含有層において選択的に吸収される。
【0076】
酸素含有層形成空間は、酸素含有層において発生したオゾンの外部への漏れが全くない気密の閉塞空間であり得る。また、酸素含有層において発生可能なオゾンの外部への漏れ量が多くなければ、高度の気密性を要求しないことがある。
【0077】
酸素含有層の厚さ、すなわち、導光窓と照射窓との離隔距離は、エキシマランプの構成及びエキシマランプの点灯条件などによって決定でき、酸素含有層の厚さは、10~100mmであることが好ましく、より好ましくは30~60mmである。酸素含有層の厚さが10mm未満である場合には、当該酸素含有層の190nm以下の波長光の吸収能が小さ
くなり、装置の外部でオゾンの発生を十分に抑制することができないおそれがある。一方、酸素含有層の厚さが100mmを超える場合には、酸素含有層による保温作用が大きくなるため、エキシマランプが点灯することにより生じる熱などによって当該エキシマランプが過度に加熱され、エキシマランプの使用寿命が短くなるおそれがある。
【0078】
また、導光部内の酸素含有層形成空間に別途のオゾン分解手段が配置できる。オゾン分解手段としては、酸素含有層において発生したオゾンを熱分解するためのヒーターなどの装置であり得る。
【0079】
照射窓は、石英ガラスなどの材料からなるものとすることができる。照射窓は、皮膚に有害な315~400nmの波長光(以下、「有害紫外線A」という。)を遮断するフィルター機能を有するものであることが好ましい。具体的には、照射窓の内表面又は外表面に、有害紫外線Aを遮断し且つそれ以外の波長の光は透過するフィルター層をさらに含むことにより、照射窓にフィルター機能を付与することができる。
【0080】
導光窓は、例えば石英ガラスなどの材料からなるものとすることができる。導光窓は、照射窓によって遮断される紫外線(有害紫外線A)の波長領域(315nm~400nm)とは異なり、皮膚に有害な280~315nmの波長光(以下、「有害紫外線B」という。)を遮断するフィルター機能を有することが好ましい。具体的には、導光窓の内表面又は外表面に、有害紫外線Bを遮断し且つそれ以外の波長の光を透過するフィルター層をさらに含むことにより、フィルター機能を付与することができる。
【0081】
本発明の紫外線殺菌モジュールにおいて、放電ランプから光学フィルターを介して生体組織に照射される光の照射量(照射密度)は、当該照射密度と照射時間から算出される露光量が、生体組織の表面上で殺菌対象生物を殺菌することができる程度であれば好ましい。光の照射量は、照射時間によって異なるが、例えば、5~420mJ/cmとされる。時間当たりの光の照射量は、5~400mW/cm、好ましくは10~200mW/cm、より好ましくは20~100mW/cm、最も好ましくは30~50mW/cmであり得る。光の照射量が過度に多い場合には、光源から放射されて光学フィルターに入射する230~400nmの波長光も多くなり、この生体に有害な230~400nmの波長光を確実に遮断することができないおそれがある。一方、光の照射量が過度に少ない場合には、殺菌対象生物の十分な殺菌及び消毒のため長時間を必要とするおそれがある。
【0082】
[紫外線殺菌装置]
本発明は、紫外線照射範囲に光密度の高い可視光線を同時に照射して照射対象部位を確実に視認することができるため、紫外線照射範囲を確実に把握することができる殺菌装置を提供する。
【0083】
本発明の紫外線殺菌装置は、前記紫外線殺菌モジュールに加えて、皮膚外用剤、化粧料、又は消毒剤を噴霧することができる殺菌剤噴霧モジュールをさらに含んでもよい。前記消毒剤は、ポビドンヨード、塩化ベンザルコニウム、過酸化水素、グルタルアルデヒド、ホウ酸水及びニトロフラゾンよりなる群から一つ以上選択できる。
【0084】
本発明の紫外線殺菌装置は、前記紫外線照射対象領域が前記殺菌装置内に挿入されたことを検知可能なセンサーを備え、前記光源が、自動的に定められた時間だけ前記紫外線を照射することを特徴とすることができる。
【0085】
本発明は、自律走行機能を備えた紫外線殺菌装置を提供することができる。具体的には、室内空間を自動的に走行するように、下部に複数のキャスターを有する駆動部;前記駆動
部に搭載され、室内空気を吸入して、室内空気に含まれたホコリ又は微生物粒子を濾過、殺菌又は浄化して排出する循環浄化モジュール;及び前記駆動部に搭載され、殺菌光を照射する複数のメイン殺菌光ランプ;を含み、前記メイン殺菌光ランプが消毒対象物に近接して位置するように、前記メイン殺菌光ランプの配置位置が調節可能に形成され、対象物とメイン殺菌光ランプとの間の殺菌領域にUV-Cを照射する殺菌消毒モジュール;室内空間に存在する物体との距離を検知するように、前記駆動部及び前記殺菌消毒モジュールに装着される距離検知センサー;及び前記距離検知センサーの検知結果に基づいて前記駆動部及び殺菌消毒モジュールを動作制御する制御部;を含み、前記メイン殺菌光ランプは波長200~230nmのUV-C LED又はUV-Cランプであることを特徴とする、室内殺菌浄化装置を提供する。
【0086】
前記循環浄化モジュールは、前記空気排出口の後端に消毒剤噴射モジュールをさらに含んでもよい。
【0087】
前記殺菌消毒モジュールは、殺菌ベースボディの上部に消毒剤噴射モジュールをさらに含むか、或いは前記メイン殺菌光ランプの一末端に消毒剤噴射モジュールをさらに含んでもよい。
【0088】
本発明の室内殺菌浄化装置は、紫外線照射の際に安全装置をさらに含んでもよい。前記安全装置は、検知器又は光センサーであって、Far UV-Cの状態を確認し、LED灯の表示灯で装置の安全状態を表示し、危険発生可能状況で装置の紫外線が照射されないように装置にインターロック機能を付与する。Far UV-Cの状態を確認するために、UV光ダイオードを用いて高出力適用(high power application)センサーパッケージ又は低出力適用(low power application)センサーパッケージをそれぞれ適用するか、或いは蛍光体と可視光線領域光ダイオードを同時に適用して室内殺菌浄化装置の安全装置を提供することができる。センサーパッケージとしては、ソウルバイオシス社で生産した、高出力適用センサーパッケージC3535、TOPKGなど、または低出力適用センサーパッケージSMD3528、SMD3020、SMD2016などが使用できる。
【0089】
以下、本発明の実施形態に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。
【0090】
前記紫外線殺菌モジュールの一実施形態において、この紫外線放射装置では、エキシマランプの一対の電極に対して高周波電源によって高周波高電圧を印加することにより、内部空間においてエキシマ放電が発生し、放電用ガスの種類によるエキシマ光が放射光として外側管の外周面から放射される。エキシマランプからの放射光は、酸素に吸収されてオゾンを発生する波長の紫外線を含むものである。そして、エキシマランプの放射光は、その一部が直接、他の一部は反射部材によって反射された後、外側管の外周面で紫外線出射領域から出射される。エキシマランプの外側管の紫外線出射領域から出射された光は、その一部が直接、他の一部はランプ収納室の周壁部の内表面に反射された後、導光部の導光窓に入射する。導光窓に入射したエキシマランプの放射光のうち、有害紫外線B(波長領域280~320nmの紫外線)は、当該導光窓のフィルター層によって選択的に遮断され、それ以外の波長領域の光は透過する。また、導光窓を透過した光は、導光窓及び照射窓によって閉塞された酸素含有層に入射し、この光に含まれる190nm以下の波長光が、酸素含有層において選択的に吸収されてオゾンが発生し、190nm以下の波長光が除去された光が照射窓に入射する。ここで、酸素含有層が形成される酸素含有層形成空間が閉塞空間であれば、190nm以下の波長光が大気中の酸素に吸収されることによりオゾンが発生するが、オゾンが装置の外部に漏れることは抑制されている。
【0091】
また、照射窓に入射した光のうち、有害紫外線A(波長領域230~280nmの紫外線)は当該照射窓のフィルター層によって選択的に遮断され、それ以外の波長領域の光は透過する。以上のように、紫外線放射装置の照射窓から、190nm以下の波長光、及び有害紫外線A及び有害紫外線Bの発光強度が低下した光が出射される。ランプ収納室では、給気ファン及び排気ファンが作動することにより、給気ファンが配置された一端から、排気ファンが配置された他端へ装置外部の大気が冷却風として流通する。
【0092】
また、エキシマランプの外側管の紫外線出射領域から出射された光は、ランプ収納室内の酸素含有層においても吸収されてオゾンが発生する。このオゾンは、エキシマランプからの熱などによって加熱され、迅速に分解(熱分解)されて酸素が生成されるか、或いはエキシマランプと排気ファンとの間に設置されたオゾンフィルターによって吸着されて除去される。具体的には、空気が吸込口に吸入され、365nmの波長が照射されるTiOフィルターを通過した後、HEPAフィルターを通過する。HEPAフィルターを通過した空気には、波長275nmの紫外線が照射される。365nmの波長が照射されるTiOフィルターでは、発生したオゾンが再び酸素に分解されて装置の外部へ排出されるオゾンを低減させることができる。
【0093】
したがって、紫外線放射装置によれば、装置外部の大気雰囲気中でのオゾン発生を抑制することができるとともに、エキシマランプにおいて放電用ガスを選択して用いることにより、200nmの波長範囲の紫外線を高い発光強度で放射することができる。さらに、紫外線放射装置は、装置の内部においてオゾンが発生することによっても、そのオゾンが装置の外部に漏れることを抑制することができる。
【0094】
前記紫外線殺菌装置の一実施形態においては、波長200nm~230nmの紫外線を照射可能な光源と、照射対象領域を装置内に挿入するための挿入口と、を備える。また、必要に応じて、受け台を備えてもよい。受け台は、光源と照射対象物との距離を調整するために設置できる。また、紫外線照射装置は、センサーを内蔵しており、照射対象物が挿入されると、これを検知して自動的に光源に対して電力が供給され、紫外線が設定時間だけ照射できる。
【0095】
本発明の一実施形態に係る室内殺菌浄化装置は、室内空間に対する空気浄化機能である空間殺菌機能と、室内空間の表面に対する殺菌消毒機能である表面殺菌機能とを同時に行うことができる装置であって、駆動部100と、循環浄化モジュール200と、殺菌消毒モジュール300と、距離検知センサー400と、制御部500と、を含んでなる。
【0096】
駆動部100は、室内空間を自動走行することができる移動体であって、使用者の運転操作なしにも自ら障害物などを検知して自動走行することができるように構成される。下部には移動のためのキャスター(脚輪)120が装着されてもよく、一側には使用者の作動操作などのためのボタン及びディスプレイのための操作表示部110が装着されてもよい。
【0097】
また、駆動部100には、キャスター120を作動させるための駆動部(図示せず)など自動走行のための様々な部品が装着されてもよく、特に、室内空間に存在する物体20との距離を検知するように複数の距離検知センサー400が装着されてもよい。制御部500は、距離検知センサー400の検知結果に基づいて、駆動部100の移動経路を算出することができ、駆動部100が室内空間10の物体20などの障害物にぶつかることなく移動するように動作制御することができる。
【0098】
循環浄化モジュール200は、駆動部100に搭載されて駆動部100とともに移動し、室内の空気を吸い込んで室内の空気に含有されている微細粒子及び微生物粒子を殺菌浄
化するように構成される。
【0099】
殺菌消毒モジュール300は、駆動部100に搭載されて駆動部100とともに移動し、殺菌光を照射する複数のメイン殺菌光ランプ310を含んでなる。メイン殺菌光ランプ310は、本発明の紫外線殺菌モジュールであってもよく、メイン殺菌光ランプ310が消毒対象物体20に近接して位置するようにメイン殺菌光ランプ310の配置位置調節可能に形成される。殺菌消毒モジュール300にも距離検知センサー400が装着されてもよい。制御部500は、距離検知センサー400の検知結果に基づいて、メイン殺菌光ランプ310の消毒対象物体20への近接移動距離を調節することができる。
【0100】
一方、制御部500は、室内空間10において循環浄化モジュール200を作動させて空気を浄化する空間殺菌モードと、殺菌消毒モジュール300を作動させて物体20の表面に対する殺菌消毒作業を行う表面殺菌モードとが同時に又はどちらか一方のみ選択的に作動するように動作制御することができる。
【0101】
このような構成により、本発明の一実施形態に係る室内殺菌浄化装置30は、循環浄化モジュール200を用いた空間殺菌モードと、殺菌消毒モジュール300を用いた表面殺菌モードとを同時に行って室内空間10に対する空間殺菌及び表面殺菌を同時に行うことができる。
【0102】
より具体的には、循環浄化モジュール200を連続的に作動させて空間殺菌モードが連続して行われるようにするとともに、空間殺菌モードの作動状態で駆動部100を移動させながらメイン殺菌光ランプ310を作動させて室内空間10に存在する物体20の表面に殺菌光が照射されるようにする表面殺菌モードが行われるようにすることができる。このとき、表面殺菌モードでは、メイン殺菌光ランプ310を消毒対象物体20の表面に近接移動させて殺菌光を消毒対象物体20の表面に近接して照射することにより、物体の表面に対する殺菌消毒効果を向上させることができる。
【0103】
例えば、室内空間10に複数の物体20が存在する場合、本発明の一実施形態に係る室内殺菌浄化装置30は、距離検知センサー400などを用いて物体20を検知し、検知結果に基づいて、制御部500は駆動部100の移動経路を算出して、当該移動経路に沿って物体20に近接して位置するように室内空間10の全体の領域を移動することができる。
【0104】
このように室内殺菌浄化装置30が室内空間10の全体の領域をすべて移動することにより、メイン殺菌光ランプ310の殺菌光が室内空間10のすべての物体20に対して近接照射されるので、物体20の表面に対する殺菌消毒機能がまんべんなく完璧に行われる。
【0105】
一方、循環浄化モジュール200は、駆動部100の上部に配置され、殺菌消毒モジュール300は、空気殺菌浄化モジュール200の上部及び側面空間を包み込む形態に上下動自在に配置され得る。
【0106】
循環浄化モジュール200は、駆動部100の上部に装着され、一側及び他側に空気吸込口211及び空気排出口212が形成される空気浄化ケース210と、空気浄化ケース210の内部に装着されて空気吸込口211を介して吸い込まれた空気をフィルタリングする空気フィルター220と、空気吸込口211を介して吸い込まれた空気に含有されている微生物粒子を殺菌するように空気浄化ケース210の内部空間に殺菌光を照射する紫外線殺菌モジュール230と、空気吸込口211及び空気排出口212を介して空気が吸入及び排出される空気の流れが形成されるように作動する送風ファン240と、を含んで
構成できる。送風ファン240及び紫外線殺菌モジュール230は、制御部500によって動作制御される。
【0107】
空気吸込口211は、空気浄化ケース210の下端部の側面に形成され、空気排出口212は、空気浄化ケース210の上端部に形成されることにより、外部の空気が空気浄化ケース210の下端部の側面を介して内部空間に流れ込んでフィルタリングされた後、上端部を介して外部へ排出されることが可能である。
【0108】
このとき、空気フィルター220としては、微小粒子状物質及び微生物粒子をすべてフィルタリングできるフィルターが採用可能であり、円筒状に側面から中心方向に空気が通過するように形成できる。
【0109】
紫外線殺菌モジュール230は、空気フィルター220でフィルタリングされた微生物粒子及び空気フィルター220でフィルタリングされなかった微生物粒子を空気浄化ケース210の内部においてすべて殺菌することができるように複数備えられてもよいが、少なくとも一つは、空気フィルター220の中心部に挿入される形で、空気フィルター220に向かって殺菌光を照射するように配置されてもよい。残りの複数の紫外線殺菌モジュール230は、空気フィルター220の上部に配置され、空気フィルター220を通過した微生物粒子を殺菌することができる。
【0110】
このような紫外線殺菌モジュール230は、平板状のランプ基板231に紫外線(UV)を照射することができる多数のUV LED232が装着される形で形成されてもよく、空気フィルター220の上部に配置される複数の紫外線殺菌モジュール230は、空気フィルター220の上部に互いに上下に離れるように配置され、空気フィルター220を通過した空気の流れをジグザグ方向に導くように形成できる。
【0111】
このために、複数の紫外線殺菌モジュール230は、空気浄化ケース210の内部に上下方向に互いにずれるように配置されてもよい。
【0112】
このような構造により、空気フィルター220でフィルタリングされた微生物粒子は、空気フィルター220の中心部に挿入配置された紫外線殺菌モジュール230によって殺菌処理され、空気フィルター220を通過した微生物粒子は、複数の紫外線殺菌モジュール230によって、図4に示すように、上向きジグザグ方向に流れるため、空気浄化ケース210の内部に留まる時間が長引き、これにより、紫外線殺菌モジュール230によって照射される殺菌光露出時間が増加して殺菌機能が向上する。
【0113】
本発明の一実施形態に係る殺菌消毒モジュール300は、空気浄化ケース210の上部に配置される殺菌ベースボディ320と、殺菌ベースボディ320を上下動させるメイン駆動部330と、殺菌ベースボディ320の外周縁に沿って複数配置され、殺菌ベースボディ320とともに上下動しながら上下方向に長く延び、外側方向に向かって殺菌光を照射できるように外側面に発光面が形成されるメイン殺菌光ランプ310と、を含んでなる。メイン駆動部330及びメイン殺菌光ランプ310は、制御部500によって動作制御される。
【0114】
メイン殺菌光ランプ310は、その上端が殺菌ベースボディ320に水平回転軸340を中心としてそれぞれ回転可能に結合され、殺菌ベースボディ320には、複数のメイン殺菌光ランプ310を水平回転軸340を中心としてそれぞれ独立的に回転移動させる回転駆動部360が装着されて、制御部500によって動作制御される。
【0115】
また、メイン駆動部330は、殺菌ベースボディ320を上下動させるだけではなく、
殺菌ベースボディ320を中心部の垂直回転軸350を中心として回転移動させるように構成されてもよい。
【0116】
このとき、メイン殺菌光ランプ310は、上下方向に長く配置された状態で、外側方向及び内側中心方向にそれぞれ殺菌光を照射できるように外側面及び内側面にそれぞれ発光面が形成されることがある。例えば、中心部に上下方向に長く形成されたランプ基板311が配置され、ランプ基板311の両面にそれぞれ紫外線(UV)を照射できる多数のUV LED312が装着され、外部にはこれを保護することができる透明カバー313が装着される形態に形成されてもよい。
【0117】
このような構成により、メイン殺菌光ランプ310は、殺菌ベースボディ320の外周面に沿って円周方向に互いに離れるように複数配置され、それぞれのメイン殺菌光ランプ310は、内側中心方向及び外側方向に向かって殺菌光を照射することができる。
【0118】
メイン殺菌光ランプ310が、外側方向だけではなく、内側中心方向にも殺菌光を照射することができるため、メイン殺菌光ランプ310の内側中心方向に配置された循環浄化モジュール200の空気殺菌機能を行うように構成されてもよい。
【0119】
メイン殺菌光ランプ310は、ランプの外周面が、すべて光を透過することが可能な材質からなり、360°に殺菌光をすべて照射可能なものであってもよい。
【0120】
例えば、循環浄化モジュール200の空気浄化ケース210を透明材質で形成し、空気浄化ケース210の内部空間に殺菌光を照射する紫外線殺菌モジュール230を別途に備えることなく、殺菌消毒モジュール300のメイン殺菌光ランプ310を介して空気浄化ケース210の内部空間に殺菌光を照射するようにしてもよい。この場合、メイン殺菌光ランプ310の外側方向の殺菌光は、物体の表面に対する殺菌消毒機能を行い、内側方向の殺菌光は、空気浄化ケース210を通過する微生物粒子に対する殺菌消毒機能を行う。
【0121】
このように、メイン殺菌光ランプ310の殺菌光が外側方向及び内側方向の両方ともに照射されるように構成されても、前述した紫外線殺菌モジュール230が空気浄化ケース210の内部に別途装着されてもよいことはいうまでもない。
【0122】
本発明の一実施形態に係る室内殺菌浄化装置30は、前述したように、空間殺菌モードと表面殺菌モードが同時に行われてもよいが、物体20の表面に対する表面殺菌モード過程において、物体20の表面に近接した位置からメイン殺菌光ランプ310を介して殺菌光を照射するように構成される。
【0123】
例えば、室内空間に存在する消毒対象物体20の下面に対する表面殺菌モード過程において、殺菌ベースボディ320が物体20の下面から基準距離dだけ離れた状態となるように上昇移動し、この状態で、メイン殺菌光ランプ310が回転駆動部360により水平回転軸340を中心として水平方向に回転移動して物体20の下面に殺菌光を照射するように制御部500によって動作制御できる。このとき、メイン殺菌光ランプ310は、複数がいずれも水平回転してもよく、一部のみが選択的に水平回転してもよいなど、消毒対象物体20の空間配置状態に応じて種々に調節可能である。
【0124】
さらに、この状態で、殺菌ベースボディ320がメイン駆動部330によって垂直中心軸350を中心として回転するように制御部500によって動作制御できる。
【0125】
このような殺菌消毒モジュール300の作動状態に応じて、物体20の下面に基準距離dだけ近づいた状態で殺菌光を照射することができるため、物体20の下面に対する殺菌
消毒機能が向上し、これとともに、メイン殺菌光ランプ310が垂直中心軸350を中心として回転することにより、相対的に広い領域にわたって同時に殺菌光を照射することができるため、殺菌消毒時間を短縮することができる。
【0126】
一方、室内空間に存在する消毒対象物体20の上面に対する表面殺菌モード過程において、殺菌ベースボディ320が物体20の上面から一時設定距離d1だけ離れた状態となるように上昇移動し、この状態で、メイン殺菌光ランプ310が水平方向に回転移動した後、殺菌ベースボディ320が物体20の上面から一時設定距離d1よりも短い基準距離dだけ離れた状態となるように下降移動してメイン殺菌光ランプ310による殺菌光が物体20の上面に近接照射されるように制御部500により動作制御できる。
【0127】
このとき、メイン殺菌光ランプ310は、複数がいずれも水平回転移動してもよいが、一部のみが水平回転移動した状態で、物体20の上面に近接して移動してもよく、この状態で、駆動部100が移動して物体20の上面の全体の領域に殺菌光を照射するように制御されてもよい。
【0128】
このような様々な制御方式を通じて、たとえ室内空間の物体20の形状及び配置状態が複雑であっても、移動上の特別な支障なしに物体20の上面及び下面への殺菌光の近接照射を行うことができるので、殺菌機能を向上させることができる。
【0129】
本発明の紫外線放射装置によれば、装置外部の大気中でのオゾン発生を抑制することができることが確認された。これは、酸素含有層において190nm以下の波長光が十分に吸収されることにより、照射窓から放射された光によるオゾン発生が抑制されたものと推測される。また、排気ファンのオゾンフィルターも、オゾン濃度をある程度減少させることができることが確認された。これは、ランプ収納室に開放された酸素含有層形成空間から発生したオゾンが排気ファンによって排気される過程で、オゾンフィルターによって除去されたためであると推測される。エキシマランプと照射窓との間隔が狭い場合、照射窓の付近でオゾン濃度が高いことが判明した。これは、十分な酸素含有層の厚さを得ることができないため十分に吸収されなかった190nm以下の波長光が装置の外部に放射されたためと推測される。
【0130】
本発明の紫外線殺菌装置によれば、A波長光に対して十分に大きい発光強度を得ることができながらも、B波長光を除去することができることが確認された。導光部が石英ガラスからなる場合には、有効紫外線が反射されるが、黒色塗料が適用された場合には、有効紫外線が一部吸収されたためと推測される。
【0131】
また、バンドパスフィルターの入射角が大きいとき、有効紫外線に対して大きい発光強度を得ることができるものの、有害紫外線を除去することは難しいことが分かる。これは、導光部のアルミニウムによる反射層によってバンドパスフィルターに関連する高角度成分光に含まれるB波長光が、当該バンドパスフィルターを透過して導光部の内表面でそのまま反射されて照射窓からA波長光と一緒に出射されたためと推測される。
【0132】
本発明の殺菌装置を用いて細胞に紫外線を照射する実験を行う際に、222nmでは254nmと比較してタンパク質吸収係数が10倍以上高く、タンパク質27.4%の皮膚厚さによるUV-C透過率において、220nmでは、皮膚厚さが5μm以上のときに0.01%以下のタンパク質透過率を示すが、255nmでは、皮膚厚さが60μm以上になってこそタンパク質透過率が0.1%未満に落ちることが分かる。
【0133】
殺菌力に対する実験において、細菌に関しては、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin-Resistant Staphylococcus aureus
)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、大腸菌(Escherichia.coli)0157、サルモネラ菌(Salmonella Typhimurium)、カンピロバクテリア菌(Campylobacter jejuni)、セレウス菌(Bacillus cereus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostrium difficile)などの菌株で生菌と芽胞に対する殺菌力を比較したとき、222nmで254nmと同等かそれより改善された殺菌能を示すことが分かり、
カビ及び酵母に関しては、カンジダアルビカンス(Candida albicans)、青カビ(Penichillium expansum)、コウジカビ(Aspergillus niger)の細胞と芽胞に対する殺菌力を比較したとき、222nmで254nmと同等かそれより優れた殺菌能を示すことが分かり、
ウイルスに関しては、バクテリオファージMS2、ネコカルシウイルス(Feline Calicivirus)に対して222nmで254nmと同等かそれより優れた殺菌能を示すことが分かる。したがって、222nmはバクテリア、カビ及びウイルスの全てで高い殺菌力を示す。
【0134】
本発明の誘電体バリア放電の模式図と実施形態を撮影して図4a及び図4bに示した。誘電体バリア放電の際には、均一に発光するRF放電とは異なり、糸状の発光形態で均等に発光することを確認することができる。
【0135】
本発明のDBRフィルターの模式図を図5に示した。
【0136】
上部DBRフィルターをSi(27.6nm)、SiO(40.7nm)の繰り返し積層構造にして20層構造とし、下部DBRフィルターをSi(34.4nm)、SiO(50.7nm)の繰り返し積層構造にして20層構造としたとき、その光反射率を図6に示した。波長約223nm乃至345nmの光をほぼ100%反射して222nm以下の波長のみを選択的に照射可能である。
【0137】
本発明のUVフォトダイオード(ソウルバイオシス社から購入)の感応度実験結果を図7に示した。従来の最大感応度は、UVCが0.09A/W、UVBが0.15A/W、UVAは0.05であった。本発明のUVフォトダイオードは、著しく感応度が向上してUVAで0.215を示し、従来で計測することが難しかったPUVAでは0.115の最大感応度を示す。
【0138】
本発明のアセトアルデヒド除去実験結果を図8に示した。本発明のオゾン除去装置は、アルデヒド除去能力が従来のUV-lampと比較して時間当たり2倍以上改善されることが分かる。
【0139】
以上、本発明の実施形態に関連する殺菌装置について説明したが、本発明の実施形態に関連する殺菌装置は、上述した実施形態に限定されず、様々な変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0140】
100 駆動部
200 循環浄化モジュール
210 空気浄化ケース
211 空気吸入口
212 空気排出口
220 空気フィルター
230 紫外線殺菌モジュール
240 送風ファン
300 殺菌消毒モジュール
310 メイン殺菌光ランプ
320 殺菌ベースボディ
330 メイン駆動部
340 水平回転軸
350 垂直回転軸
360 回転駆動部
400 距離検知センサー
500 制御部
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8