(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068844
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】大型車両の車輪スリップベースの車両モーション管理
(51)【国際特許分類】
B60W 30/02 20120101AFI20220427BHJP
【FI】
B60W30/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021166941
(22)【出願日】2021-10-11
(31)【優先権主張番号】20203236.3
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】512272672
【氏名又は名称】ボルボトラックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100217076
【弁理士】
【氏名又は名称】宅間 邦俊
(72)【発明者】
【氏名】レオ・レイン
(72)【発明者】
【氏名】アディダ・アリケレ
(72)【発明者】
【氏名】シドハント・レイ
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・アスボガルド
(72)【発明者】
【氏名】レオン・ヘンダーソン
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA18
3D241BC01
3D241CC01
3D241CC08
3D241CD12
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB21Z
3D241DB27Z
3D241DB32Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】始動性及び高速走行の両方を改善するための大型車両の車両制御方法を提供する。
【解決手段】大型車両100を制御する制御ユニット130,140は、大型車両による所望の操作を示す加速度プロファイル及び曲率プロファイルを取得するように配置され、制御ユニットは、所望の操作を実行するのに必要な全体的な車両の力及びモーメントのセットを決定するように構成された力発生モジュールを含み、1つ以上のモーションサポートデバイスを協調して、1つ以上のそれぞれの車輪力を発生することによって全体的な車両の力及びモーメントをともに提供するように配置されたモーションサポートデバイス協調モジュールと、1つ以上の車輪力を等価な車輪スリップλにマッピングするように構成されたインバースタイヤモデルと、を更に含み、モーションサポートデバイスから車輪スリップを要求するように配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型車両(100)を制御する制御ユニット(130,140,300)であって、
前記制御ユニットは、前記大型車両(100)による所望の操作を示す加速度プロファイル(areq)及び曲率プロファイル(creq)を取得するように配置され、
前記制御ユニット(130,140,300)は、前記所望の操作を実行するのに必要な全体的な車両の力及びモーメントのセットを決定するように構成された力発生モジュール(310)を含み、
前記制御ユニット(130,140,300)は、
1つ以上のモーションサポートデバイス(MSD)を協調して、1つ以上のそれぞれの車輪力を発生させることによって、前記全体的な車両の力及びモーメントのセットをともに提供するように配置されたモーションサポートデバイス協調モジュール(320)と、
1つ以上の前記車輪力を等価な車輪スリップ(λ)にマッピングするように構成されたインバースタイヤモデルブロック(330)と、を更に含み、
前記制御ユニット(130,140,300)は、前記モーションサポートデバイスから前記車輪スリップ(λ)を要求して、前記所望の操作中に前記大型車両を制御するように配置された、
制御ユニット(130,140,300)。
【請求項2】
地面に対する車両速度(vx)が第1の閾値(vlow)未満であれば、地面に対する車両速度(vx)からの車輪速度オフセット(ωoff)としての車輪スリップ(λ)を要求するように配置された、
請求項1に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項3】
モーションサポートデバイスによって維持される所望の車輪速度(ω
W)は、v
xを前記地面に対する車両速度、Rを車輪半径、ω
offを前記車輪速度オフセット、A
pedを0~1の間のアクセルペダル位置値とすると、以下の式から決定される、
請求項2に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【数1】
【請求項4】
前記車輪速度オフセット(ωoff)は、運転者の好み、及び/又は低速オフセット限界(koffsetLim)に関連付けられたゲイン係数(kPedalFeel)に依存して決定される、
請求項3に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項5】
前記地面に対する車両速度(vx)が第2の閾値(vhigh)より大きければ、前記車輪速度(ωW)と地面に対する車両速度(vx)との間の標準化された差分としての車輪スリップ(λ)を要求するように配置された、
請求項1~4のいずれか1つに記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項6】
モーションサポートデバイスによって維持される所望の車輪速度(ω
W)は、v
xを前記地面に対する車両速度、Rを車輪半径、λ
reqを前記要求された車輪スリップとすると、以下の式のいずかれによって決定される、
請求項5に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【数2】
【請求項7】
前記第2の閾値(vhigh)は、前記第1の閾値(vlow)と等しい、
請求項5又は6に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項8】
前記第2の閾値(vhigh)は、前記第1の閾値(vlow)から所定の速度値だけオフセットし、
前記制御ユニットは、前記車両速度が前記第1の閾値と前記第2の閾値との間にあれば、速度オフセットに応じた車輪速度(ωW)と地面に対する速度に関する車輪速度の差分に応じた車輪速度との間の補間を表す車輪のふるまいを要求するように配置された、
請求項5又は6に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項9】
前記制御ユニットは、1つ以上のモーションサポートデバイスの能力を示すデータを受信して、前記要求された車輪スリップ(λ)が前記それぞれのモーションサポートデバイスの能力内にあるかを検証するように配置された、
請求項1~8のいずれか1つに記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項10】
前記制御ユニットは、サービスブレーキ又は補助ブレーキのモーションサポートデバイスから一定の負のトルク(630)を要求することによってブレーキブレンディングを実行して、1つ以上の電気機械のモーションサポートデバイスから前記車輪スリップ(λ)を要求するように配置された、
請求項1~9のいずれか1つに記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項11】
前記制御ユニットは、全トルク要求(610)よりマージン(640)だけ小さいトルクレベルで、前記サービスブレーキ又は補助ブレーキの前記一定の負のトルク(630)を構成するように配置され、
前記マージン(640)は、前記サービスブレーキ又は補助ブレーキが制動状態から解除される予測時間に依存して設定された、
請求項10に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項12】
前記モーションサポートデバイスは、正及び負のトルクの両方を発生するように配置された少なくとも1つの電気機械を含む、
請求項1~11のいずれか1つに記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の制御ユニット(130,140,300)を備えた車両(100)。
【請求項14】
大型車両(100)を制御する制御ユニット(130,140,300)において実行される方法であって、前記方法は、
前記大型車両(100)による所望の操作を示す加速度プロファイル(areq)及び曲率プロファイル(creq)を取得すること(S1)と、
力発生モジュール(310)によって、前記所望の操作を実行するのに必要な全体的な車両の力及びモーメントのセットを決定すること(S2)と、
モーションサポートデバイス協調モジュール(320)によって、1つ以上のモーションサポートデバイスを協調して、1つ以上のそれぞれの車輪力を発生させて全体的な車両の力及びモーメントをともに提供すること(S3)と、
インバースタイヤモデル(330)によって、前記1つ以上の車輪力を等価な車輪スリップ(λ)にマッピングすること(S4)と、を含み、
前記方法は、前記モーションサポートデバイスから前記車両スリップ(λ)を要求することによって前記大型車両を制御すること(S5)を更に含む、
方法。
【請求項15】
プログラムがコンピュータ上、又は制御ユニット(130,140,300)の処理回路(1010)上で実行されたとき、請求項14の前記方法を実行するプログラムコード手段を含んだコンピュータプログラム(920)。
【請求項16】
プログラム製品がコンピュータ上、又は制御ユニット(130,140,300)の処理回路(1010)上で実行されたとき、請求項14の前記方法を実行するプログラムコード手段を含んだコンピュータプログラム(1120)を保持するコンピュータ可読媒体(1110)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、大型車両の車両モーション管理、即ち、サービスブレーキ及び推進装置などのモーションサポートデバイスの協調制御に関する。
【0002】
本発明は、トラック、バス、及び建設機械などの大型車両に適用することができる。セミトレーラ車両やトラックなどの貨物輸送車両に関して主に本発明を説明するが、本発明は、この特定のタイプの車両に限定されず、乗用車などの他のタイプの車両にも使用することができる。
【背景技術】
【0003】
車両は、機構、空気圧、油圧、エレクトロニクス、及びソフトウェアに関して常に複雑になっている。現代の大型車両は、内燃機関、電気機械、摩擦ブレーキ、回生ブレーキ、ショックアブソーバ、エアベローズ、及びパワーステアリングポンプなど、広範囲にわたる異なる物理デバイスを含むことができる。これらの物理デバイスは、通例、モーションサポートデバイス(MSD)として知られている。MSDは個々に制御可能であり、例えば、摩擦ブレーキ、即ち、負のトルクが1つの車輪に印加される一方、ことによると同じ車軸にある車両の他の車輪が同時に使用されて、電気機械によって正のトルクを発生させることができる。
【0004】
例えば、セントラル車両ユニットコンピュータ(VUC)で実行される最近提案された車両モーション管理(VMM)機能は、MSDの組み合わせを協調させて車両を動作させ、所望のモーション効果を得る一方、同時に車両安定性、費用効果性、及び安全性を維持する。国際公開第2019/072379号明細書は、車輪ブレーキを選択的に使用して、大型車両による旋回動作をアシストする一例を開示している。
【0005】
セントラル車両制御ユニットが、異なるアクチュエータを順次制御するローカルMSD制御ユニットからトルクレベルを要求する場合、さまざまなMSDを制御する一般的に適用される取り組みは、アクチュエータレベルでのトルク制御を使用することである。米国特許出願公開第2015/0175009号明細書は、例えば、トルク制御に基づく発進中に、車両を制御する方法を提供する。しかしながら、そのようなトルク制御は、例えば、不十分な制御帯域幅、及びセントラルモーションコントローラとローカルMSDコントローラとの間の伝達遅延によって、道路摩擦レベルの急変化に反応するにはあまりにも遅い可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
始動性及び高速走行の両方を改善するために、大型車両の車両制御方法を改善する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の目的は、始動性及び高速動作に関して車両制御を容易にする、制御ユニット及び方法を提供することである。この目的は、大型車両を制御する制御ユニットによって少なくとも部分的に得られる。制御ユニットは、車両100による所望の操作を示す、加速度プロファイルareq及び曲率プロファイルcreqを取得するように配置されている。制御ユニットは、所望の操作を実行するのに必要な全体的な(global)車両の力及びモーメントのセットを決定するように構成された、力発生モジュールを含んでいる。制御ユニットは、1つ以上のMSDを協調させて、1つ以上のそれぞれの車輪力を発生させることによって全体的な車両の力及びモーメントのセットをともに提供するように配置されたモーションサポートデバイス協調モジュールと、1つ以上の車輪力を所望の車輪力に応じた等価な車輪スリップにマッピングするように構成されたインバースタイヤモデルブロック(inverse tyre model block)と、を更に含んでいる。制御ユニットは、MSDから車輪スリップを要求して、所望の操作中に大型車両を制御するように配置されている。
【0008】
従って、慣習的であるように、異なるアクチュエータからトルクを要求する代わりに、車輪スリップ要求は、要求された車輪スリップで動作を維持することを課される、車輪端にある車輪トルクアクチュエータに送信される。このように、MSDの制御は、車輪端のより近くへと移動される。そこでは、多くの場合、車輪端のより近くで利用可能な、制御ループレイテンシの短縮及び処理の高速化によって、より広い帯域幅制御が可能となる。これによって、MSDは、例えば、道路摩擦の変化により迅速に反応することができ、変化しやすい動作状況にもかかわらず、より安定した車輪力を提供する。このMSD制御への取り組みは、大型車両の始動性、及び高速走行シナリオにおける操作性を改善する。例えば、道路の隆起によって、車輪が一時的に地面から離れたり、垂直荷重が大幅に減少したりしても、車輪は制御できないほど空転することはない。むしろ、MSD制御は、印加されたトルクを素早く減少させて車輪スリップを要求された値に維持し、車輪が再び地面に接触したときの適切な車輪速度を維持する。
【0009】
力発生モジュール、MSD協調モジュール、及びインバースタイヤモデルブロックは、車両の単一の処理ユニット、又はことによると異なる車両ユニット若しくは車両から離れて配置された2つ以上の分散処理ユニットに実装することができる。従って、高度な実装柔軟性を提供する。
【0010】
いくつかの態様によれば、制御ユニットは、地面に対する車両速度が第1の閾値未満であれば、地面に対する車両速度からの車輪速度のオフセットとして、車輪スリップを要求するように配置されている。
【0011】
地面に対する速度によって標準化される、車輪速度を地面に対する速度と比較する相対的な車輪スリップ対策(measure)は、低い車両速度で決定するには困難である可能性がある。なぜならば、より低速、特に車両停止状態において、より小さなスリップ要求(1kmphの車両速度での5%の正の車輪スリップ要求は、車輪でわずか1.05kmphである)に従うことは困難である可能性があるためである。より低速での速度オフセットに基づくスリップ要求をMSDに送信することによって、この問題が軽減される。例えば、MSDによって低い車両速度に維持される所望の車輪速度は、v
xを地面に対する車両速度、Rを車輪半径、ω
offを車輪速度オフセット、A
pedを0~1の間のアクセルペダル位置値とすると、以下の式によって決定することができる。
【数1】
【0012】
従って、変更可能な車輪速度オフセットに基づいて決定されたモータの速度要求にマッピングされたアクセルペダル位置を使用することによって、より低い車両速度での車両制御が改善される。運転者の感覚は、以下で説明するωoffなどのチューニングパラメータを設定することで調整することができる。制御ユニットがまた、車両速度と地面に対する車両速度との間の標準化された差分としての車輪スリップを要求するように配置されている場合、地面に対する車両速度が第2の閾値より大きければ、制御が純粋な車輪スリップベースの要求へと徐々に移行することができる。制御が速度オフセットベースの制御から速度差分ベースの制御へと急に変わる場合、第2の閾値は、第1の閾値と等しく設定されていてもよい。しかしながら、付加的な便益として、第1の所定値から所定の速度値だけオフセットした第2の閾値を得ることができる。この場合、制御ユニットは、オプションとして、車両速度が第1の閾値と第2の閾値との間にあれば、地面に対する速度について、速度オフセットに応じた車輪速度と車輪速度差分に応じた車輪速度との間の補間を表す、車輪のふるまいを要求するように配置されている。
【0013】
いくつかの態様によれば、少なくともより高い車両速度、例えば、第2の閾値より高い車両速度で、MSDによって維持される所望の車輪速度は、v
xを地面に対する車両速度、Rを車輪半径、λ
reqを要求された車輪スリップとすると、以下の式によって決定される。
【数2】
【0014】
車輪スリップが車輪速度と地面に対する車両速度との間の標準化された差分として決定される場合、この表現は、車輪スリップベースの制御となる。それは、例えば、車輪速度センサ、及びセントラル制御ユニットからの地面に対する車両速度を含む定期送信に基づく、車輪端のより近くでの制御が都合よく実装される。
【0015】
いくつかの態様によれば、制御ユニットは、1つ以上のMSDの能力を示すデータを受信して、要求された車輪スリップがそれぞれのMSDの能力内にあるかを検証するように配置されている。能力の通知は、MSDからの要求が利用可能な限度内にあれば、より堅牢な車両制御を可能にする。能力情報を使用して、力発生モジュールにより全体的な力を利用可能な限度内にすることを保証するとともに、モーションサポートデバイス協調モジュールにより車輪スリップに対する利用可能な要求のみをMSD制御ユニットへと送信することを保証することができる。
【0016】
いくつかの態様によれば、制御ユニットはまた、サービスブレーキのMSDから一定の負のトルクを要求することによってブレーキブレンディング(brake blending)を実行して、1つ以上の電気機械のMSDから車輪スリップを要求するように配置されている。従って、提案技術は、ブレーキブレンディングと有利に組み合わされて、これによって、ブレーキブレンディングを含む車両制御の堅牢で効率的なメカニズムを提供することができる。特定の利点は、正のトルク及び負のトルクの両方を発生するように配置された電気機械を含む、1つ以上のMDSを必要とする実装である。そして、他のシステムを使用して固定のトルク制動を適用しつつ、電気機械を使用して、高い制御帯域幅を使用して車輪スリップを正確に制御することができる。例えば、制御ユニットは、オプションとして、全トルク要求に関するマージンに基づいて決定されたレベルで、サービスブレーキのMSDから一定の負のトルクを設定するように配置されている。従って、スリップ制御は、固定のトルク制動から不注意に課される制約のリスクなしに、高い制御帯域幅で正確に実行することができる。
【0017】
本明細書には、コンピュータプログラム、コンピュータ可読媒体、コンピュータプログラム製品、及び上述した利点に関連付けられた車両も開示されている。
【0018】
一般的に、特許請求の範囲で使用するすべての用語は、本明細書で明確に他の方法で定義されない限り、本技術分野における通常の意味に従って解釈されるべきである。「要素、装置、構成要素、手段、ステップなど」へのすべての言及は、明確に他の方法で述べない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの例に言及するように公然と解釈されるべきである。本明細書に開示された任意の方法のステップは、明確に述べない限り、開示された正確な順序で実行される必要はない。本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲、及び以下の説明を検討すれば明確になるであろう。当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の異なる特徴を組み合わせて、以下で説明する実施形態以外の実施形態を生み出せることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
添付の図面を参照し、以下、例として挙げられる本発明の実施形態についてより詳細に説明する。
【0020】
【
図2】モーションサポートデバイス制御装置を概略的に示している。
【
図3】階層構造の機能制御構造を概略的に示している。
【
図4】車輪スリップの機能としてのタイヤ力の一例を示すグラフである。
【
図5】車両速度及びさまざまな関連する制御領域を示すグラフである。
【
図6】ブレーキブレンディング中の例示的な車両動作を示すグラフである。
【
図7】例示的なモーションサポートデバイス制御システムを示している。
【
図8】スプリット摩擦動作状況を概略的に示している。
【
図11】例示的なコンピュータプログラム製品を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、本発明の特定の態様を示す添付の図面を参照して、以下、本発明についてより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態及び態様に限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの実施形態は一例を提示するものであって、この開示が一貫して終了し、本技術分野の当業者に本発明の範囲を詳細に伝える。同様な符号は、説明の全体を通して同様な要素を指す。
【0022】
本発明は、本明細書に記載、及び図面に示されている実施形態に限定されないと理解すべきである。むしろ、当業者であれば、添付の特許請求の範囲の範囲内で、多くの変更及び修正をなし得ることを理解するであろう。
【0023】
図1は、本明細書に開示された技術を有利に適用することができる、貨物輸送の例示的な車両100を示している。車両100は、少なくとも一部が駆動車輪である前輪150及び後輪160に支持された、トラクタ又は牽引車両110を含んでいる。通常、必然的ではないが、トラクタ110のすべての車輪が制動車輪である。トラクタ110は、周知の方法で第5輪によって連結された、トレーラ車輪170に支持された第1のトレーラユニット120を牽引するように構成されている。トレーラ車輪は、通常、制動車輪であるが、1つ以上の車軸上の駆動車輪を含んでいてもよい。トラクタ110は、セントラル内燃機関によって、及び/又は1つ以上の電気機械によって動くことができる。本明細書に開示された技術を有利に適用できる興味深い構成は、推進機能及び制動機能の両方を提供することができるそれぞれの車輪における別体の電気機械を含む、バッテリで走行する電気車両にある。
【0024】
本明細書に開示された方法及び制御ユニットは、ドローバー連結器を備えたトラック、ホイールローダなどの建設機械、バスなど、他のタイプの大型車両にも有利に適用できることを認識されたい。
【0025】
トラクタ110は、さまざまな種類の機能を制御して、推進、制動及び操舵を成し遂げる車両ユニットコンピュータ(VUC)130を含んでいる。いくつかのトレーラユニット120もまた、トレーラ車輪の制動、及び時にはトレーラ車輪の推進など、トレーラのさまざまな機能を制御するVUC140を含んでいる。VUC130,140は、車両のいくつかの処理回路に集中又は分散することができる。車両制御機能の一部はまた、例えば、無線リンク180及び有線アクセスネットワーク185を介して車両100に接続されたリモートサーバ190の上で、遠隔的に実行されてもよい。リモートサーバ190を使用して、例えば、車両機能、さまざまな車両制御機能で使用される更新パラメータ及びモデルを遠隔的に設定してもよい。
【0026】
トラクタ110のVUC130(及びことによるとトレーラ120のVUC140も)は、いくつかの機能を高位階層の交通状況管理(TMS)ドメインに含めることができ、かついくつかの他の機能を低位機能階層に駐在する車両モーション管理(VMM)ドメインに含めることができる場合、階層化された機能構造に従って編成された車両制御方法を実行するように構成されていてもよい。この階層化された機能構造300の一例は、以下、
図3に関連してより詳細に説明され、そこでは、異なる機能を1つ以上の処理ユニット上に実装することができると認識されたい。
【0027】
図2は、アクチュエータと呼ぶこともできる例示的なMSDを表す、ディスクブレーキ又はドラムブレーキなどの摩擦ブレーキ220、及び推進装置250による車輪210のモーションを制御する機能200を概略的に示している。摩擦ブレーキ220及び推進装置250は、1つ以上のMSD制御ユニット230によって、例えば、車輪速度センサ240、及びレーダセンサ、ライダセンサ、カメラセンサや赤外線検出器などの視覚ベースのセンサなど、他の車両状態センサ280から得られた測定データに基づいて制御することができる、車輪トルク発生装置である。本明細書で説明された原理に従って制御することができるトルク発生MSDの他の例は、車両の内燃機関、内燃機関のリターダ装置、及びパワーステアリング装置を含んでいる。
【0028】
TSM機能270は、例えば、10秒の時間間隔で走行動作を計画する。この時間フレームは、例えば、車両100が曲路などを通り抜けるのにかかる時間に対応している。TSM機能によって計画及び実行される車両の操作は、所定の操作のために経路に沿った所望の車両速度のふるまいを記述した、加速度プロファイルareq及び曲率プロファイルcreqに関連付けることができる。TSMは、力配分及びMSDの協調を実行してTSM機能270からの要求を安全かつ堅牢な方法で満足させる、VMM機能260から所望の加速度プロファイル及び曲率プロファイルを連続して要求する。
【0029】
VMM機能は、約1秒ほどの時間間隔で動作し、加速度プロファイル及び曲率プロファイルを制御コマンドに連続して変換して、車両100の異なるMSD220,250によって起動された、車両モーション機能を制御する。車両が走行していれば、VMMは、モーション推定を実行、即ち、多くの場合、MSDに接続して、車両100に配置されたさまざまなセンサ240,280を使用して動作をモニタすることによって、位置、速度、加速度、連結車両における異なるユニットの連結角度を決定する。例えば、全地球測位システム、レーダセンサ、及び/又はライダセンサを使用して車両ユニットのモーションを決定し、この車両ユニットのモーションを所定の車輪210のローカル座標系(例えば、前後方向の速度成分及び左右方向の速度成分に関して)に変換することによって、車輪の基準座標系における地面に対する車両(又は車輪)のモーションを、車輪210に接続して配置された車輪速度センサ240から得られたデータと比較して、車輪スリップを正確に推定できるようになる。
【0030】
図3に関連して以下でより詳細に説明するタイヤモデルを使用して、所望の前後方向のタイヤ力F
Xと車輪スリップλとの間で変換することができる。車輪スリップλは、車輪回転速度と地面に対する車輪速度との間の差分に関係付けられる。車輪速度ω
Wは、例えば、1分当たりの回転数又は角速度の単位で与えられる、車輪の回転速度である。車輪速度ω
Wは、車輪半径Rにより(回転速度と車輪半径を乗算することによって)速度に変換することができる。ここで、タイヤモデルは、車輪スリップの機能として、前後方向(ローリング方向)、及び左右方向(前後方向の直交方向)において発生された車輪力を記述する、車輪のふるまいのモデルである。Elsevier Ltd. 2012, ISBN 978-0-08-097016-5, Hans Pacejka "Tyre and vehicle dynamics"は、タイヤモデルの基礎を取り扱っている。例えば、車輪スリップと前後方向の力との関係を説明している、第7章を参照されたい。
【0031】
加速度プロファイル及び曲率プロファイルは、ステアリングホイール、アクセルペダル、及びブレーキペダルなどの通常の制御入力デバイスを介して、大型車両の運転者から得ることができる。加速度プロファイル及び曲率プロファイルは、高位階層の自律又は半自律走行機能から得ることもできる。
【0032】
図3を参照すると、VMM機能260は、力発生モジュール310において全体的な力発生(global force generation)を最初に実行する。このモジュールでは、VMM機能は、車両を加速度プロファイルに応じて加速させ、曲率プロファイルによって定義された経路をたどらせる、所望の全体的な力及びモーメントを決定する。そのような全体力の発生方法は、一般的に知られており、従って、本明細書ではより詳細に説明しない。
【0033】
所定の加速度プロファイル及び曲率プロファイルについて全体的な力発生が一旦完了すると、VMM機能260は、MSD協調モジュール320によって異なるMDSを協調させて、協調されたMSDによって要求された全体的な力及びモーメントをともに提供する。所定の全体的な力及びモーメントのセットを発生させることについて、通常、いくつかの異なる解決策があると認識されたい。例えば、制動は、サービスブレーキ(通常、ディクスブレーキやドラムブレーキなどの摩擦ブレーキ)、及び/又は電磁制動を印加する電気機械の両方によって実行することができる。操舵は、国際公開第2019/072379号明細書で説明されているように、パワーステアリングシステムはもちろん差動ブレーキ(differential braking)によって実行することもできる。
【0034】
図2を再度参照すると、車両の車輪にトルクを供給することが可能なVMMとMSDとの間のインターフェース265は、伝統的に、車輪スリップに対する考慮なしに、VMM機能からそれぞれのMSDへのトルクベースの要求に着目していた。しかしながら、この取り組みは、いくつかの性能限界に関連付けられている。安全重視、又は過度な車輪スリップ状況が起こる場合、別体の制御ユニット上で動作する関連した安全機能(トラクションコントロール、アンチロックブレーキなど)は、通常介入してトルク無効を要求し、スリップを制御するようにする。この取り組みに関する問題は、アクチュエータの主要制御、及びアクチュエータの任意の車輪スリップ制御が、通常、異なる電子制御ユニット(ECU)に割り当てられているので、それらの間の通信に必要となる待機時間が、スリップ制御能力をかなり制限する。また、実際のスリップ制御を成し遂げるために使用される、関連するアクチュエータ及び2つのECUでなされるスリップ想定が矛盾し、最適な性能に及ばないことにつながる可能性がある。さらに、上述したように、インターフェース265の制御帯域幅は、スプリット摩擦走行シナリオ(split friction driving scenario)、登坂状態での車両発進など、困難なシナリオで車両を制御するのに十分速くトルク要求を更新することを妨げる、帯域幅限界に関連付けられることができる。
【0035】
重要な利益は、VMMとMSDコントローラ230(複数も可能)との間のインターフェース265における車輪速度ベース又は車輪スリップベースの要求をその代わりに使用することによって成し遂げることができる。これによって、困難なアクチュエータの速度制御ループをローカルMSDコントローラ230へと移動させ、一般的に、VMM機能260より非常に短いサンプル時間(より高い制御帯域幅)で動作する。これは、セントラルVCU130,140とローカルMSDコントローラとの間のインターフェース265における帯域幅限界にわずらうことがない。そのような構造は、トルクベースの制御インターフェースと比較してより良い外乱排除を提供することができ、タイヤの道路接地面で発生される力の予測性を改善することができる。
【0036】
また、このタイプのローカルな車輪スリップベース又は車輪速度ベースの制御は、道路摩擦、及び/又は車輪垂直力の急な変化にそれほど敏感ではない。道路摩擦が突然低減したり、車輪垂直力を一時的に突然低減する道路の突起上を車両が走行したりすると、レガシーのトルクに制御された車輪は、過度な車輪スリップを起こすおそれがある。しかしながら、MSD制御がその代わりに車輪スリップを一定レベルに維持する目標に定められたならば、システムは、素早く車輪速度の変化を検知して、車輪スリップを要求されたレベルに維持するようにトルクを調整する。実際のところ、車輪が極短時間地面との接触を失うと、提案するシステムは、所望の車輪速度さえ維持しようとする。車輪が地面から離れると、車輪速度の増加は、印加されたトルクを即座に減少させるMSDコントローラによって素早く検知され、要求された車輪スリップに応じて車輪速度を維持する。
【0037】
前後方向の車輪スリップλは、Rを有効車輪半径[m]、ω
Wを車輪の角速度、v
xを地面に対する車輪の前後方向の速度(車輪の座標系において)とすると、SAE J670(SAE Vehicle Dynamics Standards Committee 2008年1月14日)に従って、以下の式のように定義することができる。ここで、λは-1~1に制限されて、路面に対して車輪がどのくらいスリップしているかを定めている。
【数3】
【0038】
車輪スリップは、本質的には、車輪と車両との間で測定された速度差である。従って、本明細書に開示された技術は、任意のタイプの車輪スリップ定義の用途に適合させることができることを認識されたい。また、車輪スリップ値は、車輪の座標系において、地面に対する車輪の速度を与える車輪速度値にあたることも認識されたい。
【0039】
VMM260、及びオプションとしてMSD制御ユニット230は、(車輪の参照フレームにおける)vxに関する情報を維持する一方、車輪速度センサ240などを使用して、ωW(車輪の回転速度)を決定することができる。vxに関する情報は、例えば、全地球測位センサ、レーダセンサ、及び/又はライダセンサだけでなく、カメラなどの視覚ベースのセンサなど、車両状態センサに基づいて絶えず更新することができる。
【0040】
図4は、車輪スリップの機能として達成可能なタイヤ力を示すグラフ400である。前後方向の取得可能なタイヤ力F
xは、小さな車輪スリップについてほぼ線形に増加する部分410、これに続いて大きな車輪スリップについてより非線形なふるまいをする部分420を示している。取得可能な左右方向のタイヤ力F
yは、比較的小さな前後方向の車輪スリップでさえ急激に減少する。適用されるブレーキコマンドに応答する取得可能な前後方向の力が早期に予測され、十分な左右方向のタイヤ力が必要に応じて発生可能であれば、線形領域410において車両動作を維持することが望ましい。この領域における動作を保証するために、例えば、0.1単位の車輪スリップ限界λ
LIMは、所定の車輪に課すことができる。例えば、0.1を超えるより大きな車輪スリップに関しては、より非線形の領域420に見られる。この領域における車両の制御は困難であり、したがって、多くの場合避けられる。
【0041】
このタイプのタイヤモデルをVMM260が使用して、一部の車輪に所望のタイヤ力を発生させることができる。レガシーシステムのように所望のタイヤ力に応じたトルクを要求する代わりに、VMM機能260は、所望のタイヤ力を等価な車輪スリップ(又は、等価である地面に対する速度に関連する車輪速度)に変換又はマッピングし、トルクを要求する代わりに、MSDコントローラからこの車輪スリップを要求することができる。従って、
図4において、いくつかの車輪で発生させる所望の車輪力が、参照符号430を持つ点線で示される約5.5kNであれば、等価な車輪スリップλ
reqがその代わりに要求されると、この力が車輪によって発生する。MSD制御ユニット230が車輪を制御してこの車輪スリップを維持する限り、所望の値でほぼ一定に近い車輪力が発生する。
【0042】
この取り組みの主な利点の1つは、MSD制御ユニット230が非常に高い制御帯域幅で所望の車輪力を供給することができるようになり、これによって、車両速度v
x及び車輪速度ω
Wを使用して、より正確に、所望の車輪スリップでの動作を維持できることである。要求された車輪力から車輪速度又は車輪スリップへの変換は、
図3におけるインバースタイヤモデルブロック330で実行される。制御ユニット300は、所定のインバースタイヤモデルf
-1をインバースタイヤモデルブロック330で使用するメモリに格納するように配置することができる。インバースタイヤモデルf
-1はまた、リモートサーバ190への無線リンクを介して定期的に更新され、従って、全体の車両特性を最新に保つことができる。
【0043】
上記の説明を要約すると、本明細書には、大型車両100を制御する制御ユニット130,140,300が開示されている。制御ユニットは、車両100による所望の操作を示す、加速度プロファイルareq及び曲率プロファイルcreqを取得するように配置されている。加速度プロファイルareq及び曲率プロファイルcreqは、例えば、運転者による手動入力を示してもよいし、いくつかの半自律走行又は自律走行の高位階層の機能の出力であってもよい。加速度プロファイル及び曲率プロファイルの情報源は、本発明の開示の範囲外であるため、本明細書ではより詳細に説明しない。
【0044】
制御ユニット130,140,300は、所望の操作を実行するのに必要な全体的な車両の力及びモーメントのセットを決定するように構成された、力発生モジュール310を含んでいる。例えば、
図1に図示されたような連結車両を加速するために、計算可能な量によって1つ以上の車輪に発生させる正のトルクが必要である。所望の操作が制動を含んでいれば、1つのオプションは、例えば、サービスブレーキを作動させることによって、又は1つ以上の電気機械により負のトルクを発生させることによって、1つ以上の車輪に負のトルクを発生させることである。以下より詳細に説明するように、ブレーキブレンディングもまた考慮される。全体的な車両の力のセットは、例えば、それぞれの車両ユニット110,120について前後方向及び左右方向の力ベクトル、並びにそれぞれの車両ユニット110,120の重心周りのモーメントを含んでいてもよい。
【0045】
制御ユニット130,140,300は、1つ以上のMSDを協調して、少なくとも前後方向において、車両ユニット110,120に作用する1つ以上のそれぞれの車輪力を発生させることによって、全体的な車両の力及びモーメントをともに提供するように配置された、MSD協調モジュール320を更に含んでいる。オプションとして、車両100のMSD制御ユニットは、発生させることができる車輪力又はトルクの範囲について制御ユニットに通知する、制御ユニットへの能力信号を提供する。VMM機能は、これらの能力報告を使用して、要求された車輪スリップが現在の動作シナリオにおいてMSDによって発生可能であるかを確認することができる。国際公開第2019/072379号明細書は、車輪ブレーキを選択的に使用して大型車両による旋回動作を支援する、力発生及びMSD協調の一例を開示している。
【0046】
通常、レガシーシステムでは、MSD協調は、異なるMSD制御ユニットに送信されるトルク要求をもたらし、車輪力を発生させて所望の操作を実行する。しかしながら、周知の車両制御ユニットとは異なり、本明細書に開示された制御ユニット130,140,300はまた、1つ以上の車輪力を等価な車輪スリップλにマッピングして、その後トルクを要求することに代えて(又はこれに加えて)MSDから車輪スリップλを要求するように構成された、インバースタイヤモデルブロック330を含んでいる。
図2を参照すると、これは、MSD制御ユニット230が車輪速度を制御して、所望の車輪トルクに代えて、車両速度に関連する所望の車輪スリップ又は車輪速度を維持することが要求されることを意味している。上述したように、この取り組みの主な利点は、MSD制御ユニットが目標車輪トルクを維持することが課された場合と比べて、MSD制御ユニット230が、特に、走行状態の移行中に車両速度v
x及び車輪回転速度ω
Wを使用して、所望の車輪スリップで動作を維持することによって、より正確に所望の車輪力を供給することができることである。車輪スリップは単に車輪回転速度と地面に対する車輪速度との間の差分であるので、地面に対する車輪速度に依存する車輪速度を要求することと同じであると認識されたい。
【0047】
このように、トルク発生MSDアクチュエータは、地面に対する車輪速度と比較して、一定の車輪スリップ、即ち、一定の差分に関連付けられた車輪速度を発生させるように配置することができる。この目的のために、上述したスリップ方程式が以下のように再編成されて、要求された目標車輪速度を与える基準として使用され、所定のスリップのために維持される。ここで、ω
Wは維持される目標車輪速度、λ
reqは、例えば、アクセルペダルマッピングに基づくスリップ要求である。
【数4】
【0048】
電気機械への入力としてのω
Wを提供するために、最初に、実装されたギア比及び終減速比に応じてこれをモータ速度に変換する必要がある可能性があると認識されたい。車両速度v
xに関して標準化が常に行われていれば、上記の式は以下のようにやや簡略化することができる。
【数5】
【0049】
より低速、特に速度0(停止)では、より小さいスリップ要求に従うことは困難である可能性がある。例えば、1kmphの車両速度での5%の正の車輪スリップ要求は、車輪でわずか1.05kmphにすぎない。これらの問題は、オプションとして、より高速で要求されたスリップ要求へと徐々に変化する、(より大きなスリップ要求と同等である)より低速での速度オフセットに基づく速度要求を送信することによって解決することができる。
【0050】
これは、v
xを車両速度(即ち、地面に対する車輪速度)、Rを車輪半径、ω
offを車輪速度オフセット、A
pedを本明細書では、例えば、0~1の無次元の値として定義されたアクセルペダル位置とすると、以下の式に従う、MSD制御ユニットによる車輪速度制御となる。
【数6】
【0051】
オフセットω
offは、k
PedalFeelを特定の所望の運転者感覚又は他の入力感度基準(input sensitivity metric)に基づいて決定できるチューニングパラメータ、k
offsetLimを低速オフセット限界とすると、以下の式によって定義することができる。これらのパラメータは、異なる車両について変えることができるか、又は同じ車両で異なる設定を持つことができる。これらのチューニングパラメータは、例えば、運転者の好みに応じて、予め設定、又は手動で設定することができる。
【数7】
【0052】
従って、オプションとして、制御ユニットは、車両速度vxが第1の閾値vlow未満であれば、車両速度vxからの車輪速度オフセットωoffとしての車輪スリップλを要求するように配置されている。オプションとして、制御ユニットはまた、地面に対する車輪速度vxが第2の閾値vhighより大きければ、車輪速度ωWと地面に対する車両速度又は車輪速度vxとの間の標準化された差分としての車輪スリップλを要求するように配置されている。第2の閾値vhighは、第1の閾値vlowと等しくてもよく、これによって、中間の制御領域が存在しない。
【0053】
その代わりに、
図5を参照すると、第2の閾値v
highが第1の閾値v
lowから所定の速度量だけオフセットしている場合、中間の制御領域が存在することができる。ここでは、制御ユニットは、車両速度が第1の閾値と第2の閾値との間にあれば、速度オフセットに応じた車輪速度ω
Wと車輪スリップλに応じた車輪速度ω
Wとの間の補間を表す車輪のふるまいを要求するように配置されている。この補間は、例えば、ルックアップテーブルとして、又は2つの車輪速度間の重み付けとして実装することができる。重みは、閾値に関して車両速度に依存するように構成されている。これは、停止からの車両発進において、1つ以上のMSD制御ユニットが、
図5におけるグラフ500に例示するように、最初に、時間t
1で起こる、車両が第1の閾値v
lowと等しい速度に達するまで、車輪速度のオフセットに基づいて制御することを意味している。そして、速度オフセット制御の取り組みによって与えられる車両速度値と相対的な車輪スリップ制御の取り組みによって与えられる車輪速度との間の補間としての中間領域において、車輪速度がMSD制御ユニット230によって制御される。車両速度が第2の閾値v
highより一旦大きくなると、車両制御は、純粋な相対的な車輪スリップベースの制御へと移行する。そこでは、車輪力がインバースタイヤモデルを介して等価な車輪スリップにマッピングされて、MSD制御ユニットが車輪速度を制御して要求された相対的な車輪スリップでの動作を維持する。これによって、MSD制御ユニットは、上述した利点を得て、MSD制御ユニットへと向かうレガシーのトルクベースの制御インターフェースに関連付けられた不利益を回避する。
【0054】
いくつかの態様によれば、制御ユニットは、1つ以上のMSDの能力を示すデータを受信して、要求された車輪スリップがそれぞれのMSDの能力内であるかを検証するように配置されている。この能力データは、現在の所望の車輪力と比較可能な、トルク範囲などの形態をとることができる。所望の車輪力がトルク能力範囲において供給可能な範囲外にある場合、異なるMSDの協調解決策、又は異なる全体的な力発生解決策でさえ必要となる可能性がある。
【0055】
図6は、ブレーキブレンディングに必要な2つの例示的なMSDによる、即ち、2つ以上のMSDを一緒に使用して制動車輪力を発生するときの平均全トルク要求610の一例600を示している。
図6の一例では、電気機械を使用して、平均全トルク要求610の周りにスリップ制御された制動車輪トルク620を提供する。電気機械による印加トルクは、制御が車輪スリップに基づき、かつ制御が車輪端又は車軸に局所的であるため、高帯域幅で制御される。基準(baseline)の制動トルク630は、サービスブレーキシステム、即ち、車両の摩擦ブレーキ、又はエンジンリターダなどの補助ブレーキシステムによって印加される。基準のトルクレベル630は、電気機械による印加トルク620がゼロに近くなる場合、即ち、高帯域幅のトルク制御が失われる場合に、制御ユニットがサービスブレーキ及び/又は補助ブレーキを解除するのに十分な時間を有する。この目的のために、制御ユニットは、マージン640によって全トルク要求610未満となるトルクレベルで、サービスブレーキ又は補助ブレーキの一定トルク630を設定するように配置してもよく、これによって、電気機械が動作可能なトルク範囲とすることができる。このマージン640は、好ましくは、サービスブレーキ又は補助ブレーキを制動状態から解除する時間に依存するように設定されている。換言すると、道路状態が急変化して一定トルク630の再構成が必要になったとしても、このシステムは、電気機械がスリップベースの車輪制御を実行するのに十分な余裕を残す。
【0056】
マージンは、例えば、全要求トルクに安全率(safe factor)を乗算することによって決定することができ、サービスブレーキ又は補助ブレーキによって印加された一定トルクが常に全要求トルク未満の所定割合となる。これは、電気機械が制動を開始する十分な余裕を与える。
【0057】
いくつかの態様によれば、制御ユニットは、電気機械によるエネルギ再生を最適化するマージン640を設定するように配置される。この場合、電気機械は最大の負のトルク近くで動作し、例えば、降坂路を走行するときに、できるだけ多くの再生エネルギを提供する。例えば、オーバヒートなどにより電気機械のトルク発生能力が低下すると、マージン640は、それに応じて小さくなる。
【0058】
従って、車両100のブレーキシステムは、サービスブレーキシステム、及び電気機械のブレーキシステムを含んでいてもよい。本明細書に開示された方法は、オプションとして、車両の車輪について全制動車輪力を決定することと、電気機械の制動トルク能力を取得することと、全制動車輪力の要求が電気機械の制動トルク能力を超えているかを決定することと、全制動車輪力の要求が電気機械の制動トルク能力を超えていれば、サービスブレーキシステムによって基準の制動トルクを印加することと、を含んでいる。基準の制動トルクは、全制動車輪力の要求と電気機械の制動トルク能力との間の差分を補償するように設定されている。この方法はまた、電気機械のブレーキシステムによるが、その代わりに一定のトルクレベルで制御されるサービスブレーキシステムにはよらない、車輪スリップを制御することを含んでいる。このように、比較的難しい制動中でさえ、スリップ制御は、制動動作の大部分において電気機械によって主に効率的に処理される。電気機械の制動トルク能力がモニタされ、サービスブレーキシステムによってトルク制御された制動(固定トルクレベル)を使用して、制動トルク要求が満足されることを保証する。これは、制動トルク要求が、サービスブレーキを使用して、例えば、難しい緊急制動を行う閾値レベルより大きくない限り、電気機械が車輪スリップを制御する一方、サービスブレーキシステムのスリップコントローラが非作動であることを意味している。サービスブレーキスリップ制御システムが、例えば、車輪スリップ制御の協調及び組み合わせに関して考慮する必要がないので、これは制御を簡単にして、例えば、再生減速システムによる効率的な動作が可能になる。
【0059】
従って、いくつかの態様によれば、制御ユニットは、サービスブレーキのMSDから一定の負のトルクを要求することによってブレーキブレンディングを実行して、1つ以上の電気機械のMSDから車輪スリップλを要求するように配置されている。換言すると、本明細書に開示された技術は、サービスブレーキシステムのトルク制御と組み合わされて、電動モータの使用を最大にして、車輪速度制御及び再生効率にとってより良い、それに大部分の高周波数制御を持たせつつ、サービスブレーキに特別な能力を満たさせることができる。
【0060】
同様に、ブレーキペダルをモータからの負の速度要求にマッピングして、これを既存のサービスブレーキにブレンディングさせる可能性もある。
【0061】
いくつかの態様によれば、電気機械は、限られた時間の間、より高いトルク、ピークトルクを提供することができる。従って、いくつかの態様によれば、電気機械の制動トルク能力に関連付けられた時間依存性があり、全制動トルク要求は時間を含んでいる。
【0062】
図7は、それぞれの車輪210a-210fを制御するように配置された、複数のMSD制御ユニット230a-230fを含んだ車両制御システムを示している。MSD制御ユニットは、上述したVMM機能260及びTSM機能270を含んだVUC130によって制御されるように配置されている。
【0063】
図8は、事前警告なしに低摩擦領域830,840,850に出くわす、スプリット摩擦シナリオ800の走行を概略的に示している。車両100は、前方方向820に、加速度プロファイルを安全かつ効率的に従うことができる。レガシーのトルクベースのMSD制御構造を持つこのタイプのシナリオにおける動作は、例えば、制御帯域幅の制限により困難である。しかしながら、その代わりに車輪スリップが車両100のMSD制御ユニットから要求されると、所望の車輪力により近い車輪力が発生する。また、車両が道路810の突起の上を走行するなど、いくつかの車輪が一時的に垂直力の急変化に出くわすと、車輪速度センサが車輪速度の増加を迅速に検知して、これによって要求された車輪スリップでの動作を維持するので、過度な車輪スリップが起こることがない。
【0064】
図9は、上述した少なくとも一部を要約した方法を示すフローチャートである。大型車両100を制御するための制御ユニット130,140,300において実行される方法が示されている。この方法は、
車両100による所望の操作を示す加速度プロファイルa
req及び曲率プロファイルc
reqを取得すること(S1)と、
力発生モジュール310によって、所望の操作を実行するのに必要な全体的な車両の力及びモーメントのセットを決定すること(S2)と、
モーションサポートデバイス(MSD)協調モジュール320によって、1つ以上のMSDを協調して、1つ以上のそれぞれの車輪力を発生させることによる全体的な車両の力及びモーメントをともに提供すること(S3)と、
インバースタイヤモデル330によって、1つ以上の車輪力を等価な車輪スリップλにマッピングすること(S4)と、
を含み、
この方法は、MSDから車輪スリップλを要求することによって、大型車両を制御すること(S5)を更に含んでいる。この方法のさまざまな態様は、
図1-8に関連して上述した。
【0065】
図10は、いくつかの機能ユニットに関して、VUC130,140,300などの制御ユニットの構成要素を概略的に示している。本明細書で説明した実施形態によれば、制御ユニットは、上述したTSM270、VMM260の機能、及び/又はMSD制御機能230の1つ以上を実装することができる。制御ユニットは、上述した機能の少なくとも一部を実行して、大型車両100を制御するように構成されている。処理回路1010は、例えば、記憶媒体1020の形態をとる、コンピュータプログラム製品に格納されたソフトウェア命令を実行可能な、適切な中央処理装置CPU、マルチプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサDSPなどの1つ以上の組み合わせを使用して提供される。処理回路1010はさらに、少なくとも1つの特定用途向け集積回路ASIC、又はフィールドプログラマブルゲートアレイFPGAとして提供されてもよい。
【0066】
特に、処理回路1010は、制御ユニット101に
図7に関連して説明した方法など、動作のセット、又は複数のステップを実行させるように構成されている。例えば、記憶媒体1020が動作のセットを格納することができ、処理回路1010が記憶媒体1020から動作のセットを検索して、制御ユニット800に動作のセットを実行させるように構成されていてもよい。動作のセットは、実行可能な命令のセットとして提供されてもよい。従って、処理回路1010は、これによって、本明細書に開示された方法を実行するように配置されている。
【0067】
記憶媒体1020はまた、例えば、磁気メモリ、光学メモリ、固体メモリ、又は遠隔地に設けられたメモリの任意の1つ、又は組み合わせとすることができる、持続的な記憶装置を含んでいてもよい。
【0068】
制御ユニット800は、少なくとも1つの外部装置と通信するためのインターフェース1030を更に含んでいてもよい。そのように、インターフェース1030は、アナログ及びデジタルの構成要素、並びに有線通信又は無線通信のための適切な数のポートを含む、1つ以上の送信機及び受信機を含んでいてもよい。
【0069】
処理回路1010は、例えば、インターフェース1030及び記憶媒体1020にデータ及び制御信号を送信することによって、インターフェース1030からデータ及び報告を受信することによって、及び記憶媒体1020からデータ及び命令を検索することによって、制御ユニット800の一般的な動作を制御する。制御ノードの他の構成要素、並びに関連する機能は、本明細書で提示される概念を不明瞭にしないように省略するものとする。
【0070】
図11は、プログラム製品がコンピュータ上で実行されるとき、
図9に示す方法を実行するためのプログラムコード手段1120を含む、コンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読媒体1110を示している。コンピュータ可読媒体及びコード手段は、コンピュータプログラム製品1100を共に形成することができる。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型車両(100)を制御する制御ユニット(130,140,300)であって、
前記制御ユニットは、前記大型車両(100)による所望の操作を示す加速度プロファイル(areq)及び曲率プロファイル(creq)を取得するように配置され、
前記制御ユニット(130,140,300)は、前記所望の操作を実行するのに必要な全体的な車両の力及びモーメントのセットを決定するように構成された力発生モジュール(310)を含み、
前記制御ユニット(130,140,300)は、
1つ以上のモーションサポートデバイス(MSD)を協調して、1つ以上のそれぞれの車輪力を発生させることによって、前記全体的な車両の力及びモーメントのセットをともに提供するように配置されたモーションサポートデバイス協調モジュール(320)と、
1つ以上の前記車輪力を等価な車輪スリップ(λ)にマッピングするように構成されたインバースタイヤモデルブロック(330)と、を更に含み、
前記制御ユニット(130,140,300)は、前記モーションサポートデバイスによって維持される前記車輪スリップ(λ)を要求して、前記所望の操作中に前記大型車両を制御するように配置された、
制御ユニット(130,140,300)。
【請求項2】
地面に対する車両速度(vx)が第1の閾値(vlow)未満であれば、地面に対する車両速度(vx)からの車輪速度オフセット(ωoff)としての車輪スリップ(λ)を要求するように配置された、
請求項1に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項3】
モーションサポートデバイスによって維持される所望の車輪速度(ω
W)は、v
xを前記地面に対する車両速度、Rを車輪半径、ω
offを前記車輪速度オフセット、A
pedを0~1の間のアクセルペダル位置値とすると、以下の式から決定される、
請求項2に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【数1】
【請求項4】
前記車輪速度オフセット(ωoff)は、運転者の好み、及び/又は低速オフセット限界(koffsetLim)に関連付けられたゲイン係数(kPedalFeel)に依存して決定される、
請求項3に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項5】
前記地面に対する車両速度(vx)が第2の閾値(vhigh)より大きければ、前記車輪速度(ωW)と地面に対する車両速度(vx)との間の標準化された差分としての車輪スリップ(λ)を要求するように配置された、
請求項1~4のいずれか1つに記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項6】
モーションサポートデバイスによって維持される所望の車輪速度(ω
W)は、v
xを前記地面に対する車両速度、Rを車輪半径、λ
reqを前記要求された車輪スリップとすると、以下の式のいずかれによって決定される、
請求項5に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【数2】
【請求項7】
前記第2の閾値(vhigh)は、前記第1の閾値(vlow)と等しい、
請求項5又は6に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項8】
前記第2の閾値(vhigh)は、前記第1の閾値(vlow)から所定の速度値だけオフセットし、
前記制御ユニットは、前記車両速度が前記第1の閾値と前記第2の閾値との間にあれば、速度オフセットに応じた車輪速度(ωW)と地面に対する速度に関する車輪速度の差分に応じた車輪速度との間の補間を表す車輪のふるまいを要求するように配置された、
請求項5又は6に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項9】
前記制御ユニットは、1つ以上のモーションサポートデバイスの能力を示すデータを受信して、前記要求された車輪スリップ(λ)が前記それぞれのモーションサポートデバイスの能力内にあるかを検証するように配置された、
請求項1~8のいずれか1つに記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項10】
前記制御ユニットは、サービスブレーキ又は補助ブレーキのモーションサポートデバイスから一定の負のトルク(630)を要求することによってブレーキブレンディングを実行して、1つ以上の電気機械のモーションサポートデバイスから前記車輪スリップ(λ)を要求するように配置された、
請求項1~9のいずれか1つに記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項11】
前記制御ユニットは、全トルク要求(610)よりマージン(640)だけ小さいトルクレベルで、前記サービスブレーキ又は補助ブレーキの前記一定の負のトルク(630)を構成するように配置され、
前記マージン(640)は、前記サービスブレーキ又は補助ブレーキが制動状態から解除される予測時間に依存して設定された、
請求項10に記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項12】
前記モーションサポートデバイスは、正及び負のトルクの両方を発生するように配置された少なくとも1つの電気機械を含む、
請求項1~11のいずれか1つに記載の制御ユニット(130,140,300)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の制御ユニット(130,140,300)を備えた車両(100)。
【請求項14】
大型車両(100)を制御する制御ユニット(130,140,300)において実行される方法であって、前記方法は、
前記大型車両(100)による所望の操作を示す加速度プロファイル(areq)及び曲率プロファイル(creq)を取得すること(S1)と、
力発生モジュール(310)によって、前記所望の操作を実行するのに必要な全体的な車両の力及びモーメントのセットを決定すること(S2)と、
モーションサポートデバイス協調モジュール(320)によって、1つ以上のモーションサポートデバイスを協調して、1つ以上のそれぞれの車輪力を発生させて全体的な車両の力及びモーメントをともに提供すること(S3)と、
インバースタイヤモデル(330)によって、前記1つ以上の車輪力を等価な車輪スリップ(λ)にマッピングすること(S4)と、を含み、
前記方法は、前記モーションサポートデバイスによって維持される前記車両スリップ(λ)を要求することによって前記大型車両を制御すること(S5)を更に含む、
方法。
【請求項15】
プログラムがコンピュータ上、又は制御ユニット(130,140,300)の処理回路(1010)上で実行されたとき、請求項14の前記方法を実行するプログラムコード手段を含んだコンピュータプログラム(920)。
【請求項16】
プログラム製品がコンピュータ上、又は制御ユニット(130,140,300)の処理回路(1010)上で実行されたとき、請求項14の前記方法を実行するプログラムコード手段を含んだコンピュータプログラム(1120)を保持するコンピュータ可読媒体(1110)。
【外国語明細書】