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特開2022-68863冠状静脈洞静脈内のカテーテルの基準電極の移動の信号分析
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068863
(43)【公開日】2022-05-10
(54)【発明の名称】冠状静脈洞静脈内のカテーテルの基準電極の移動の信号分析
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/367 20210101AFI20220427BHJP
   A61B 5/287 20210101ALI20220427BHJP
【FI】
A61B5/367 100
A61B5/287 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021172220
(22)【出願日】2021-10-21
(31)【優先権主張番号】63/104,214
(32)【優先日】2020-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/404,725
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エラド・ナカル
(72)【発明者】
【氏名】リオール・ボッツァー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・ヤーニットスキー
(72)【発明者】
【氏名】シガル・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】ドール・ゼーブ・ケレン-タル
【テーマコード(参考)】
4C127
【Fターム(参考)】
4C127AA02
4C127BB05
4C127DD03
4C127HH11
4C127LL08
(57)【要約】
【課題】信号処理のための方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】方法が提供される。方法は、1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるデバイス配向エンジンによって実装される。方法は、カテーテルの各電極群間の移動を決定して、移動を提供することと、カテーテルの電極の全移動を決定することとを含む。方法はまた、移動及び全移動から標準成分を除去することと、標準成分を有する移動及び全移動に基づいて、カテーテルの移動表示を出力することとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
デバイス配向エンジンのためのプロセッサ実行可能コードを記憶するメモリと、
1つ又は2つ以上のプロセッサであって、前記プロセッサ実行可能コードを実行して、前記システムに、
前記デバイス配向エンジンによって、カテーテルの複数の電極の各電極群間の移動を決定させて、複数の移動を提供させ、
前記デバイス配向エンジンによって、前記複数の電極の全移動を決定させ、
前記デバイス配向エンジンによって、前記複数の移動及び前記全移動から標準成分を除去させ、かつ
前記デバイス配向エンジンによって、前記標準成分が除去された前記複数の移動及び前記全移動に基づいて、前記カテーテルの移動表示を出力させる、1つ又は2つ以上のプロセッサと、を備える、システム。
【請求項2】
前記デバイス配向エンジンが、各電極群間の前記移動を決定するための入力として、各電極群の電極についてのタイムスタンプごとの位置、及び基準位置を利用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各電極群間の前記移動が、各電極群について構築された、少なくとも1組の2つのベクトルに基づいて決定される、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
各電極群間の前記移動が、各電極群の前記1組の2つのベクトル間の第3のベクトルに基づいて決定される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記全移動が、前記複数の電極の3つの中央電極対の平均移動に基づく、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサ実行可能コードが、前記システムに、
各電極対間の各移動の中央値を決定させ、
前記中央値に最も近い3つの移動測定値を選択させて、選択された測定値を提供させ、かつ
前記選択された測定値の平均値を決定させて、前記平均移動を提供させるために更に実行される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記標準成分が、呼吸運動又は心拍運動を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記移動表示が、基準位置と比較したすべての入力位置に関するものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記移動表示が、冠状静脈洞内への前記カテーテルの軸方向挿入軸に沿ったものである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記カテーテルが、直線カテーテルである、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
方法であって、
1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるデバイス配向エンジンによって、カテーテルの複数の電極の各電極群間の移動を決定して、複数の移動を提供することと、
前記デバイス配向エンジンによって、前記複数の電極の全移動を決定することと、
前記デバイス配向エンジンによって、前記複数の移動及び前記全移動から標準成分を除去することと、
前記デバイス配向エンジンによって、前記標準成分が除去された前記複数の移動及び前記全移動に基づいて、前記カテーテルの移動表示を出力することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記デバイス配向エンジンが、各電極群間の前記移動を決定するための入力として、各電極群の電極についてのタイムスタンプごとの位置、及び基準位置を利用する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
各電極群間の前記移動が、各電極群について構築された、少なくとも1組の2つのベクトルに基づいて決定される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
各電極群間の前記移動が、各電極群の前記1組の2つのベクトル間の第3のベクトルに基づいて決定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記全移動が、前記複数の電極の3つの中央電極対の平均移動に基づく、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記デバイス配向エンジンが、
各電極対間の各移動の中央値を決定し、
前記中央値に最も近い3つの移動測定値を選択して、選択された測定値を提供し、かつ
前記選択された測定値の平均値を決定して、前記平均移動を提供する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記標準成分が、呼吸運動又は心拍運動を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記移動表示が、基準位置と比較したすべての入力位置に関するものである、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記移動表示が、冠状静脈洞内への前記カテーテルの軸方向挿入軸に沿ったものである、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記カテーテルが、直線カテーテルである、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号処理のための方法及びシステムに関する。より具体的には、本発明は、冠状静脈洞(coronary sinus、CS)静脈内のカテーテルの基準電極の移動の信号分析に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、心臓電気生理学システムが、患者の心臓内のカテーテルのリアルタイムで計算された位置及び配向をマッピング又は可視化するために使用される。場合によっては、心臓電気生理学システムは、心臓上の活性化波を、心拍ごとに、及び/又はマッピングプロセス中に取られた各点について可視化するために、基準時点を利用する。更に、心臓電気生理学システムは、基準点当たりの時間を追跡することができる。
【0003】
一般に、CS静脈は、心房と心室との間にあるため、心臓電気生理学システムのための優れた基準点である(例えば、カテーテルが心房活動及び心室活動の両方を監視できることを意味する)。CS静脈はまた、カテーテルを配置し、カテーテルがマッピング全体を通して同じ位置を維持することが見込まれる安定した位置であるため、基準点として最適である。心臓電気生理学システムは、CS内の基準点としてカテーテルの電極に依存するため、電極が移動しないことが重要である。CS内の基準電極が移動するとき、この移動によって、すべての測定値の精度が本質的に損なわれるため、更なるマッピングは行われるべきではない。特に、電極が移動する場合、心房頻拍(atrial tachycardia、AT)測定又は心室頻拍(ventricular tachycardia、VT)測定のタイミングは信頼できなくなり、再マッピングされなければならず、これは、処置を長引かせる。
【0004】
現在、電極/カテーテルの安定性を改善し、かつ/又はその移動を説明する技術は存在しない。そのような技術は、心臓電気生理学システムにとって有益であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施形態によれば、方法が提供される。方法は、1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるデバイス配向エンジンによって実装される。方法は、カテーテルの各電極群間の移動を決定して、移動を提供することと、カテーテルの電極の全移動を決定することとを含む。方法はまた、移動及び全移動から標準成分を除去することと、標準成分を有する移動及び全移動に基づいて、カテーテルの移動表示を出力することとを含む。
【0006】
1つ又は2つ以上の実施形態によれば、上記の方法の実施形態は、装置、システム、及び/又はコンピュータプログラム製品として実装され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
より詳細な理解は、添付の図面と併せて例として示される以下の説明より得ることができ、図中の同様の参照番号は、同様の要素を示す。
図1】1つ又は2つ以上の実施形態によって、本開示の主題の1つ又は2つ以上の特徴を実装することができる、例示的なシステムの図を示す。
図2】1つ又は2つ以上の実施形態による、冠状静脈洞(CS)静脈内のカテーテルの基準電極の移動の信号分析のための例示的なシステムのブロック図を示す。
図3】1つ又は2つ以上の実施形態による例示的な方法を示す。
図4】1つ又は2つ以上の実施形態による、人工知能システムのグラフィック描写を示す。
図5】1つ又は2つ以上の実施形態による、ニューラルネットワークの一例、及びニューラルネットワーク内で実施される方法のブロック図を示す。
図6】1つ又は2つ以上の実施形態による例示的な方法を示す。
図7】1つ又は2つ以上の実施形態によるベクトル決定の図を示す。
図8】1つ又は2つ以上の実施形態による経時的な移動のグラフを示す。
図9】1つ又は2つ以上の実施形態によるピーク検出のグラフを示す。
図10】1つ又は2つ以上の実施形態による補間後のプロットのグラフを示す。
図11】1つ又は2つ以上の実施形態による、ローパスフィルタを利用した後の移動表示のグラフを示す。
図12】1つ又は2つ以上の実施形態による可視化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
信号処理のための方法及びシステムが本明細書に開示される。より具体的には、本発明は、冠状静脈洞(coronary sinus、CS)静脈内のカテーテルの基準電極の移動の信号分析に関する。
【0009】
例えば、デバイス配向エンジンは、医療デバイス機器によるプロセス操作及びそのハードウェアの処理に必然的に根差したプロセッサ実行可能コード又はソフトウェアである。例示的な実施形態によれば、デバイス配向エンジンは、機械学習/人工知能(machine learning/artificial intelligence、ML/AI)アルゴリズムを含むことができる。デバイス配向エンジンは、CSをマッピングしながらCS内のCSカテーテルの移動を追跡する。例えば、デバイス配向エンジンは、マップの基準の安定性に影響を及ぼし得るCSの軸方向軸に沿ったCSカテーテルの移動を追跡し、マッピングの開始時に入手された基準位置からの偏差を追跡する。
【0010】
デバイス配向エンジンの技術的な効果及び利点には、心臓外科の医師及び医療従事者に、不注意なカテーテル移動後の変位したカテーテル位置に関連した元のカテーテル位置の視覚的表示を提供することが含まれる。したがって、デバイス配向エンジンは、特に、そうでなければ現在利用可能ではないか、又は現在心臓電気生理学システムによって実施されていないCSカテーテル変位推定を可能にする/実装するために、医療デバイス機器を利用及び変換する。
【0011】
1つ又は2つ以上の実施形態によれば、1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるデバイス配向エンジンは、方法を実装する。方法は、カテーテルの各電極群間の移動を決定して、移動を提供することと、カテーテルの電極の全移動を決定することとを含む。方法はまた、移動及び全移動から標準成分を除去することと、標準成分を有する移動及び全移動に基づいて、カテーテルの移動表示を出力することとを含む。
【0012】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書の方法の実施形態のいずれかによれば、デバイス配向エンジンは、各電極群間の移動を決定するための入力として、各電極群の電極についてのタイムスタンプごとの位置、及び基準位置を利用することができる。
【0013】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書の方法の実施形態のいずれかによれば、各電極群間の移動は、各電極群について構築された、少なくとも1組の2つのベクトルに基づいて決定され得る。
【0014】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書の方法の実施形態のいずれかによれば、各電極群間の移動は、各電極群の1組の2つのベクトル間の第3のベクトルに基づいて決定され得る。
【0015】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書の方法の実施形態のいずれかによれば、全移動は、複数の電極の3つの中央電極対の平均移動に基づき得る。
【0016】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書の方法の実施形態のいずれかによれば、プロセッサ実行可能コードは更に、システムに、各電極対間の各移動の中央値を決定させ、中央値に最も近い3つの移動測定値を選択して、選択された測定値を提供させ、かつ選択された測定値の平均値を決定させて、平均移動を提供させるように実行され得る。
【0017】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書の方法の実施形態のいずれかによれば、標準成分は、呼吸運動又は心拍運動を含み得る。
【0018】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書の方法の実施形態のいずれかによれば、移動表示は、基準位置と比較したすべての入力位置に関するものであり得る。
【0019】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書の方法の実施形態のいずれかによれば、移動表示は、冠状静脈洞内へのカテーテルの軸方向挿入軸に沿ったものであることができる。
【0020】
1つ又は2つ以上の実施形態によれば、システムは、メモリと、1つ又は2つ以上のプロセッサとを備える。メモリは、デバイス配向エンジンのためのプロセッサ実行可能コードを記憶する。1つ又は2つ以上のプロセッサは、プロセッサ実行可能コードを実行して、システム及びデバイス配向エンジンに、カテーテルの各電極群間の移動を決定させて、移動を提供させ、かつカテーテルの電極の全移動を決定させる。プロセッサ実行可能コードは更に、システム及びデバイス配向エンジンに、移動及び全移動から標準成分を除去させ、かつ標準成分を有する移動及び全移動に基づいて、カテーテルの移動表示を出力させる。
【0021】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書のシステムの実施形態のいずれかによれば、デバイス配向エンジンは、各電極群間の移動を決定するための入力として、各電極群の電極についてのタイムスタンプごとの位置、及び基準位置を利用することができる。
【0022】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書のシステムの実施形態のいずれかによれば、各電極群間の移動は、各電極群について構築された、少なくとも1組の2つのベクトルに基づいて決定され得る。
【0023】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書のシステムの実施形態のいずれかによれば、各電極群間の移動は、各電極群の1組の2つのベクトル間の第3のベクトルに基づいて決定され得る。
【0024】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書のシステムの実施形態のいずれかによれば、全移動は、複数の電極の3つの中央電極対の平均移動に基づき得る。
【0025】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書のシステムの実施形態のいずれかによれば、プロセッサ実行可能コードは更に、システムに、各電極対間の各移動の中央値を決定させ、中央値に最も近い3つの移動測定値を選択して、選択された測定値を提供させ、かつ選択された測定値の平均値を決定させて、平均移動を提供させるように実行され得る。
【0026】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書のシステムの実施形態のいずれかによれば、標準成分は、呼吸運動又は心拍運動を含み得る。
【0027】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書のシステムの実施形態のいずれかによれば、移動表示は、基準位置と比較したすべての入力位置に関するものであり得る。
【0028】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書のシステムの実施形態のいずれかによれば、移動表示は、冠状静脈洞内へのカテーテルの軸方向挿入軸に沿ったものであることができる。
【0029】
1つ若しくは2つ以上の実施形態又は本明細書のシステムの実施形態のいずれかによれば、カテーテルは、直線カテーテルであり得る。
【0030】
図1は、1つ又は2つ以上の実施形態による、本明細書の主題の1つ又は2つ以上の特徴が実装され得るシステム100(例えば、医療デバイス機器)の略図である。システム100の全部又は一部は、情報(例えば、生体測定データ及び/若しくは訓練データセット)を収集するために使用され得、かつ/又は本明細書に記載されるようにデバイス配向エンジン101を実装するために使用され得る。
【0031】
図に示されるシステム100は、カテーテル110(少なくとも1つの電極111を含む)、シャフト112、シース113、及びマニピュレータ114を備えたプローブ105を含んでいる。図に示されるシステム100はまた、医師115(又は医療専門家、臨床医、技師など)、心臓120、患者125、及びベッド130(又はテーブル)も含む。差し込み図140及び150は、心臓120及びカテーテル110をより詳細に示すものである点に留意されたい。システム100はまた、図に示されるように、コンソール160(1つ又は2つ以上のプロセッサ161及びメモリ162を含む)及びディスプレイ165も含んでいる。更に、システム100の各要素及び/又はアイテムは、その要素及び/又はそのアイテムのうちの1つ若しくは2つ以上を表す点に留意されたい。図1に示されるシステム100の例を改変して、本明細書に開示される実施形態を実施することができる。本開示の実施形態も、他のシステム構成要素及び設定を使用して、同様に適用することができる。更に、システム100は、電気的活動を感知するための要素、有線又は無線コネクタ、処理及びディスプレイデバイスなどの、更なる構成要素を含んでもよい。
【0032】
システム100は、(例えば、デバイス配向エンジン101を使用して)心臓の状態を検出、診断、及び/又は治療するために利用され得る。心不整脈などの心臓状態は、特に老年人口において一般的かつ危険な内科疾患として根強く残っている。例えば、システム100は、生体測定データ(例えば、心臓120などの患者の臓器の解剖学的及び電気的測定値)を取得し、心臓アブレーション処置を実施するように構成された外科用システム(例えば、Biosense Websterより販売されるCarto(登録商標)システム)の一部であり得る。
【0033】
正常洞調律(normal sinus rhythm、NSR)を有する患者(例えば、患者125)では、心房、心室、及び興奮性伝導組織を含む心臓(例えば、心臓120)は、電気的に興奮して、同期した、パターンを有する形で拍動する。なお、この電気的興奮は、心内心電図(IC ECG)データなどとして検出することができる。
【0034】
心不整脈(例えば、心房細動又はaFib)を有する患者(例えば、患者125)では、心臓組織の異常領域は、正常な導電性組織に伴う同期した拍動周期に従わず、NSRを有する患者とは対照的である。これに対して、心臓組織の異常領域では隣接組織への異常な伝導が行われ、これにより心臓周期が乱れて非同期的な心律動となる。この非同期的心律動はまた、IC ECGデータとして検出することができる点に留意されたい。こうした異常伝導は、例えば、房室(atrioventricular、AV)結節の伝導経路に沿った洞房(sino-atrial、SA)結節の領域、又は心室及び心房の壁を形成する心筋組織など、心臓120の様々な領域で生じることがこれまでに知られている。
【0035】
システム100が心臓の状態を検出、診断、及び/又は治療することを支援するため、医師115はベッド130上に横たわる患者125の心臓120内にプローブ105を誘導することができる。例えば、医師115は、カテーテル110の近位端の近くのマニピュレータ114及び/又はシース113からの偏向を用いてシャフト112の遠位端を操作しながら、シース113を通してシャフト112を挿入することができる。差し込み図140に示されるように、カテーテル110をシャフト112の遠位端に取り付けることができる。カテーテル110は、折り畳まれた状態でシース113を通して挿入することができ、次いで、心臓120内で拡張させることができる。
【0036】
少なくとも1つの電極111及びその本体上に連結されたカテーテル針を含むことができるカテーテル110は、体内臓器(例えば、心臓120)の電気的信号などの生体測定データを得て、かつ/又はその組織領域(例えば、心臓120の心腔)をアブレーションするように構成することができる。電極111は、追跡コイル、圧電変換器、電極、又は組織領域をアブレーションするか又は生体測定データを取得するように構成された要素の組み合わせなどの任意の同様の要素を代表するものである点に留意されたい。1つ又は2つ以上の実施形態によれば、カテーテル110は、軌跡情報を決定するために使用される1つ又は2つ以上の位置センサを含むことができる。この軌跡情報を使用して、組織の収縮性などの運動特性を推測することができる。
【0037】
生体測定データ(例えば、患者生体測定値、患者データ、又は患者生体測定データ)は、局所時間活性化(local time activation、LAT)、電気的活動、トポロジー、バイポーラマッピング、優位周波数、インピーダンスなどのうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。LATは、正規化された初期開始点に基づいて計算された、局所活性化に対応する閾値活動の時点であり得る。電気的活動は、1つ又は2つ以上の閾値に基づいて測定され得る任意の適用可能な電気信号であってよく、信号対ノイズ比及び/又はその他のフィルタに基づいて、検知及び/又は拡張され得る。トポロジーは、身体部分又は身体部分の一部の物理的構造に対応し得、身体部分の異なる部分に関する、又は異なる身体部分に関する物理的構造における変化に対応し得る。優位周波数は、身体部分の一部で一般的に見られる周波数又は周波数の範囲であってよく、同じ身体部分の異なる部分において異なり得る。例えば、心臓のPVの優位周波数は、同じ心臓の右心房の優位周波数と異なり得る。インピーダンスは、身体部分の特定の領域における抵抗測定値であり得る。
【0038】
生体測定データの例としては、患者識別データ、IC ECGデータ、解剖学的及び電気的測定値、軌跡情報、身体表面(body surface、BS)ECGデータ、病歴データ、脳生体測定値、血圧データ、超音波信号、無線信号、音声信号、2次元又は3次元画像データ、血糖データ、及び温度データが挙げられるが、これらに限定されない。生体測定データは一般的に、心血管疾患(例えば、不整脈、心筋症、及び冠動脈疾患)、及び自己免疫疾患(例えば、I型及びII型糖尿病)などの任意の数の様々な疾患を監視、診断、及び治療するために使用され得る。BS ECGデータは、患者の表面上の電極から収集されたデータ及び信号を含むことができ、IC ECGデータは、患者体内の電極から収集されたデータ及び信号を含むことができ、アブレーションデータは、アブレーションされた組織から収集されたデータ及び信号を含み得る点に留意されたい。更に、BS ECGデータ、IC ECGデータ、及びアブレーションデータは、カテーテル電極位置データと共に、1つ又は2つ以上の処置記録から導出することができる。
【0039】
例えば、カテーテル110は、電極111を使用して血管内超音波及び/又はMRIカテーテル法を実施して心臓120を画像化する(例えば、生体測定データを取得及び処理する)ことができる。差し込み図150は、心臓120の心腔内のカテーテル110を拡大図で示す。カテーテル110はポイントカテーテルとして示されているが、1つ又は2つ以上の電極111を含む任意の形状が、本明細書に開示される実施形態を実装するために使用され得ることが理解されるであろう。
【0040】
カテーテル106の例としては、これらに限定されるものではないが、複数の電極を有する線状カテーテル、バルーンを形成する複数のスパイン上に分散した電極を含むバルーンカテーテル、複数の電極を有するラッソーカテーテル若しくはループカテーテル、又は他の任意の適用可能な形状が挙げられる。直線状カテーテルは、受信信号に基づいて及び/又は直線状カテーテルに対する外力(例えば、心臓組織)の作用に基づいて、捻れ、折れ曲がり、及び/又は他の形でその形状を変化させることができるように、完全に又は部分的に弾性であってよい。バルーンカテーテルは、患者の身体内に配備される際、その電極を心内膜表面に対して密接に接触した状態に保持することができるように設計することができる。一例として、バルーンカテーテルは、肺静脈(pulmonary vein、PV)などの管腔内に挿入され得る。バルーンカテーテルは収縮状態でPVに挿入することができ、それにより、PVに挿入されている間にバルーンカテーテルがその最大体積を占有することはない。バルーンカテーテルは、PVの内側にある間に拡張することができ、それにより、バルーンカテーテル上の電極は、PVの円形部分全体と接触する。PV又は任意の他の管腔の円形部分全体とのこのような接触は、効率的な撮像及び/又はアブレーションを可能とする。
【0041】
プローブ105及びシステム100の他のアイテムは、コンソール160に接続することができる。コンソール160は、デバイス配向エンジン101のML/AIアルゴリズムを用いることができる任意のコンピューティングデバイスを含むことができる。一実施形態によれば、コンソール160は、1つ又は2つ以上のプロセッサ161(任意のコンピューティングハードウェア)及びメモリ162(任意の非一時的有形媒体)を含み、1つ又は2つ以上のプロセッサ161は、デバイス配向エンジン101に関するコンピュータ命令を実行し、メモリ162は、1つ又は2つ以上のプロセッサ161による実行のためのこれらの命令を記憶する。例えば、コンソール160は、生体測定データを受信及び処理して特定の組織領域が電気を伝導するかどうかを判定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、コンソール160は、カテーテルの各電極群間の移動を決定して、移動を提供し、カテーテルの電極の全移動を決定し、移動及び全移動から標準成分を除去し、かつ標準成分を有する移動及び全移動に基づいて、カテーテルの移動表示を出力する機能を実行するために、デバイス配向エンジン101(ソフトウェア内)によって更にプログラムされ得る。1つ又は2つ以上の実施形態によれば、デバイス配向エンジン101は、コンソール160の外部にあってもよく、例えば、カテーテル110内、外部デバイス内、モバイルデバイス内、クラウドベースのデバイス内に位置してもよく、又はスタンドアロン型プロセッサであってもよい。この点に関して、デバイス配向エンジン101は、ネットワークを介して電子形態で転送可能であり得る/ダウンロードされ得る。
【0042】
一実施例では、コンソール160は、本明細書に記載されるように、プローブ105に信号を送信及びプローブ105から信号を受信するため、並びにシステム100の他の構成要素を制御するために好適なフロントエンド回路及びインタフェース回路を備えた、汎用コンピュータなどの、ソフトウェア(例えば、デバイス配向エンジン101)並びに/又はハードウェア(例えば、プロセッサ161及びメモリ162)を含む任意のコンピューティングデバイスであり得る。例えば、フロントエンド回路及びインタフェース回路は、コンソール160が少なくとも1つの電極111から信号を受信及び/又は少なくとも1つの電極111に信号を転送することを可能にする入出力(input/output、I/O)通信インタフェースを含む。コンソール160は、典型的には、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)の後に続くアナログデジタル(analog-to-digital、A/D)ECG又は心電図/筋電図(electromyogram、EMG)信号変換集積回路として構成されたリアルタイムノイズ低減回路を含み得る。コンソール160は、A/D ECG又はEMG回路から別のプロセッサへ信号を伝えることができ、かつ/又は本明細書に開示される1つ若しくは2つ以上の機能を実行するようにプログラムすることができる。
【0043】
生体測定データを視覚的に提示するための任意の電子デバイスであり得るディスプレイ165は、コンソール160に接続されている。一実施形態によれば、処置中、コンソール160は、ディスプレイ165上で、医師115への身体部分のレンダリングの提示を促進し、メモリ162に身体部分のレンダリングを表すデータを記憶することができる。例えば、運動特性を示すマップを、心臓120内の十分な数の点でサンプリングされた軌跡情報に基づいてレンダリング/構築することができる。一例として、ディスプレイ165は、身体部分のレンダリングを提示することに加えて、医師115からの入力を受けるように構成され得るタッチスクリーンを含むことができる。
【0044】
いくつかの例示的な実施形態では、医師115は、タッチパッド、マウス、キーボード、ジェスチャ認識装置などの1つ又は2つ以上の入力デバイスを使用して、システム100の要素及び/又は身体部分のレンダリングを操作することができる。例えば、入力デバイスを使用して、レンダリングが更新されるようにカテーテル110の位置を変更することができる。ディスプレイ165は、同じ場所、又は別の病院若しくは別の医療提供者ネットワークなどの遠隔の場所に配置され得る点に留意されたい。
【0045】
1つ又は2つ以上の実施形態によれば、システム100は、超音波、コンピュータ断層撮影(computed tomography、CT)、MRI、又はカテーテル110若しくは他の医療機器を利用する他の医療撮像技術を使用して生体測定データを得ることもできる。例えば、システム100は、1つ又は2つ以上のカテーテル110又は他のセンサを使用して、心臓120のECGデータ及び/又は解剖学的及び電気的測定値(例えば、生体測定データ)を得ることができる。より詳細には、コンソール160は、ケーブルによって、患者125に貼付された接着皮膚パッチを含むBS電極に接続することができる。BS電極は、BS ECGデータの形態で生体測定データを取得/生成することができる。例えば、プロセッサ161は、患者125の身体部分(例えば、心臓120)内のカテーテル110の位置座標を決定することができる。位置座標は、身体表面電極と、カテーテル110又は他の電磁構成要素の電極111との間で測定されるインピーダンス又は電磁場に基づいたものであってよい。追加的に、又は代替的に、位置パッドが、ベッド130の表面上に配置されてもよく、またベッド130から分離されてもよい。生体測定データは、コンソール160に送信し、メモリ162に記憶させることができる。代替的に、又は追加的に、生体データは、本明細書で更に記載するようなネットワークを使用して、ローカル又はリモートであってよいサーバに送信されてもよい。
【0046】
1つ又は2つ以上の実施形態によれば、カテーテル110は、心臓120の心腔の組織領域をアブレーションするように構成され得る。差し込み図150は、心臓120の心腔内のカテーテル110を拡大図で示す。例えば、少なくとも1つの電極111などのアブレーション電極を、体内の臓器(例えば、心臓120)の組織領域にエネルギーを与えるように構成することができる。エネルギーは、熱エネルギーであってよく、組織領域の表面から始まって組織領域の厚さに延びる組織領域への損傷を引き起こす可能性がある。アブレーション処置に関する生体測定データ(例えば、アブレーション組織、アブレーション位置など)は、アブレーションデータとみなすことができる。
【0047】
ここで図2を参照すると、1つ又は2つ以上の実施形態による、本開示の主題の1つ又は2つ以上の特徴が実装され得るシステム200の略図が示される。システム200は、患者202(例えば、図1の患者125の一例)に対して、装置204、ローカルコンピューティングデバイス206、リモートコンピューティングシステム208、第1のネットワーク210、及び第2のネットワーク211を含んでいる。更に、装置204は、生体測定センサ221(例えば、図1のカテーテル110の一例)、プロセッサ222、ユーザ入力(user input、UI)センサ223、メモリ224、及び送受信機225を含むことができる。説明を簡単にし、簡潔にするため、図1のデバイス配向エンジン101を図2で再使用している点に留意されたい。
【0048】
一実施形態によれば、装置204は、図1のシステム100の一例であってよく、装置204は、患者の内部の構成要素及び患者の外部の構成要素の両方を含むことができる。一実施形態によれば、装置204は、取り付け可能なパッチ(例えば、患者の皮膚に取り付けられる)を含む患者202の外部にある装置であってもよい。別の実施形態によれば、装置204は、患者202の身体の内部のもの(例えば、皮下移植可能な)とすることができ、装置204を、経口注入、静脈若しくは動脈を介した外科的挿入、内視鏡手術、又は腹腔鏡手術を含む任意の適用可能な方法によって患者202体内に挿入することができる。一実施形態によれば、単一の装置204が図2に示されているが、例示的なシステムは、複数の装置を含むことができる。
【0049】
したがって、装置204、ローカルコンピューティングデバイス206、及び/又はリモートコンピューティングシステム208は、デバイス配向エンジン101に関するコンピュータ命令を実行するようにプログラムされ得る。一例として、メモリ224は、装置204が生体測定センサ201を介して生体測定データを受信及び処理することができるように、プロセッサ222による実行のためのこれらの命令を記憶する。このように、プロセッサ222及びメモリ224は、ローカルコンピューティングデバイス206及び/又はリモートコンピューティングシステム208のプロセッサ及びメモリを代表するものである。
【0050】
装置204、ローカルコンピューティングデバイス206、及び/又はリモートコンピューティングシステム208は、デバイス配向エンジン101及びその機能を個別又は集合的に記憶、実行、及び実装するソフトウェア及び/又はハードウェアの任意の組み合わせであり得る。更に、装置204、ローカルコンピューティングデバイス206、及び/又はリモートコンピューティングシステム208は、本明細書に記載されるように、様々な通信技術を利用した任意の数及び組み合わせのコンピューティングデバイス及びネットワークを含む、及び/又は使用する電子的コンピュータフレームワークとすることができる。装置204、ローカルコンピューティングデバイス206、及び/又はリモートコンピューティングシステム208は、異なるサービスに合わせて変更すること可能な、又は他と独立していくつかの機能を再構成することが可能な、容易にスケーラブルで、拡張可能な、モジュール式のものとすることができる。
【0051】
ネットワーク210及び211は、有線ネットワーク、無線ネットワークであってもよく、又は1つ若しくは2つ以上の有線及び無線ネットワークを含んでもよい。一実施形態によれば、ネットワーク210は、近距離ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)、又はパーソナルエリアネットワーク(personal area network、PAN))の一例である。情報は、Bluetooth、Wi-Fi、Zigbee、Z-Wave、近接場通信(NFC)、ウルトラバンド、Zigbee、又は赤外線(infrared、IR)などの様々な近距離無線通信プロトコルのうちのいずれか1つを使用して、装置204とローカルコンピューティングデバイス206との間で近距離ネットワーク210を介して送信することができる。更に、ネットワーク211は、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(wide area network、WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(metropolitan area network、MAN)、直接接続若しくは一連の接続、セルラー電話ネットワーク、又はローカルコンピューティングデバイス206とリモートコンピューティングシステム208との間の通信を容易にすることが可能な任意のその他のネットワーク若しくは媒体のうちの1つ若しくは2つ以上のものの一例である。情報は、様々な長距離無線通信プロトコル(例えば、TCP/IP、HTTP、3G、4G/LTE、又は5G/New Radio)のいずれか1つを使用して、ネットワーク211を介して送信することができる。なお、ネットワーク210及び211の有線接続は、イーサネット、ユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus、USB)、RJ-11、又は任意の他の有線接続を使用して実装することができ、無線接続は、Wi-Fi、WiMAX、及びBluetooth、赤外線、セルラーネットワーク、衛星通信、又は任意の他の無線接続法を使用して実装することができる。
【0052】
動作中、装置204は、ネットワーク210を介して、患者202に関連する生体測定データを、連続的又は定期的に、取得、監視、記憶、処理、及び通信することができる。更に、装置204、ローカルコンピューティングデバイス206、及び/又はリモートコンピューティングシステム208は、ネットワーク210及び211を介して通信する(例えば、ローカルコンピューティングデバイス206は、装置204とリモートコンピューティングシステム208との間のゲートウェイとして構成することができる)。例えば、装置204は、ネットワーク210を介してローカルコンピューティングデバイス206と通信するように構成された図1のシステム100の一例であり得る。ローカルコンピューティングデバイス206は、例えば、固定/独立型デバイス、基地局、デスクトップ/ラップトップコンピュータ、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、又はネットワーク211及び210を介して他のデバイスと通信するように構成された他のデバイスとすることができる。ネットワーク211上の、若しくはネットワーク211に接続された物理サーバとして、又はネットワーク211のパブリッククラウドコンピューティングプロバイダ(例えば、Amazon Web Services(AWS)(登録商標))内の仮想サーバとして実装されるリモートコンピューティングシステム208は、ネットワーク211を介してローカルコンピューティングデバイス206と通信するように構成することができる。これにより、患者202に関連する生体測定データをシステム200全体を通じて通信することができる。
【0053】
装置224の要素がここで説明される。生体測定センサ221は、例えば、異なる種類の生体測定データが観察/取得/入手されるように、1つ又は2つ以上の環境条件を電気信号に変換するように構成された1つ又は2つ以上のトランスデューサを含むことができる。例えば、生体測定センサ221は、電極(例えば、図1の電極111)、温度センサ(例えば、熱電対)、血圧センサ、血糖センサ、血中酸素センサ、pHセンサ、加速度計、及びマイクロフォンのうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0054】
プロセッサ222は、デバイス配向エンジン101を実行する際、生体測定センサ221によって入手された生体測定データを受信、処理、及び管理し、生体測定データを記憶用にメモリ224に、及び/又は送受信機225を介してネットワーク210上で通信するように構成され得る。1つ又は2つ以上の他の装置204からの生体測定データはまた、送受信機225を介してプロセッサ222によって受信されてもよい。また、以下でより詳細に説明するように、プロセッサ222は、UIセンサ223から受信される異なるタッピングパターン(例えば、シングルタップ又はダブルタップ)に選択的に応答して、パッチの異なるタスク(例えば、データの取得、記憶、又は送信)が、検出されたパターンに基づいて起動されるように構成することができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ222は、ジェスチャの検出に関して可聴フィードバックを生成することができる。
【0055】
UIセンサ223は、例えば、タップ又はタッチなどのユーザ入力を受信するように構成された圧電センサ又は静電容量センサを含む。例えば、UIセンサ223は、患者202が装置204の表面をタップ又はタッチすることに応答して、容量性結合を実施するように制御されてもよい。ジェスチャ認識は、抵抗容量性、表面容量性、投影容量性、表面超音波、圧電及び赤外線タッチなどの、様々な容量型のうちのいずれか1つを介して実装することができる。静電容量センサは、表面のタップ又はタッチが監視デバイスを起動させるように、表面の小さい領域又は長さにわたって配置されてもよい。
【0056】
メモリ224は、磁気、光学、又は電子メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなどの任意の適当な揮発性及び/又は不揮発性メモリ)などの任意の非一時的有形媒体である。メモリ224は、プロセッサ222によって実行されるコンピュータ命令を記憶する。
【0057】
送受信機225は、別個の送信機及び別個の受信機を含み得る。あるいは、送受信機225は、単一のデバイスに一体化された送信機及び受信機を含み得る。
【0058】
動作中、デバイス配向エンジン101を利用する装置204は、生体測定センサ221を介して患者202の生体測定データを観察/取得し、メモリ内に生体測定データを記憶し、送受信機225を介してシステム200全体でこの生体測定データを共有する。デバイス配向エンジン101は、次いで、モデル、ニューラルネットワーク、ML、及び/又はAIを利用して、心臓外科の医師及び医療従事者に、不注意なカテーテル移動後の変位したカテーテル位置に関連した元のカテーテル位置の視覚的表示を提供することができる。
【0059】
ここで図3を参照すると、1つ又は2つ以上の実施形態による、方法300(例えば、図1及び/又は図2のデバイス配向エンジン101によって実行される)が示される。方法300は、より正確に電気生理学の理解の向上を可能にする、CS静脈内でのカテーテル110の基準電極の移動を表す電気信号の多段階信号分析を提供することによって、信頼できる測定及びマッピングの必要性に対処する。この例では、カテーテル110は、複数の電極111を有する直線カテーテルである。カテーテル110の複数の電極111は、グループ化され得(対になるなど)、経時的な位置情報を提供することができる。
【0060】
方法は、ブロック330から始まり、デバイス配向エンジン101は、カテーテル110の複数の電極111の各電極群間の移動を決定して、複数の移動を提供する。電極群は、対、三つ組などの2つ又は2つ以上の電極を含むことができる。デバイス配向エンジン101は、各電極群間の移動を決定するための入力として、記述された位置情報(例えば、各電極群の電極111のタイムスタンプごとの位置)、及び基準位置を利用する。一実施形態によれば、各電極群間の移動は、各電極群について構築された、少なくとも1組の2つのベクトル、及び各電極群の1組の2つのベクトル間の第3のベクトルに基づいて決定される。
【0061】
ブロック350において、デバイス配向エンジン101は、複数の電極111の全移動を決定する。全移動は、複数の電極111の3つの中央電極対の平均移動に基づくことができる。例えば、デバイス配向エンジン101は、各電極対間の各移動の中央値を決定し、中央値に最も近い3つの移動測定値を選択して、選択された測定値を提供し、選択された測定値の平均値を決定して、平均移動を提供する。
【0062】
ブロック370において、デバイス配向エンジン101は、複数の移動及び全移動から標準成分を除去する。標準成分は、呼吸運動及び/又は心拍運動(例えば、ゲーティング、補償、及び/又は同様のものを含むことができる)を含む。
【0063】
ブロック380において、デバイス配向エンジン101は、標準成分が除去された複数の移動及び全移動に基づいて、カテーテル110の移動表示を含む可視化390を出力する。移動表示は、基準位置と比較したすべての入力位置に関するものであり得、かつ/又はCS内へのカテーテル110の軸方向挿入軸に沿ったものであることができる。
【0064】
方法300の技術的効果及び利点には、心臓外科の医師が可視化390を経験することを可能にすることが含まれる。可視化390は、信号及び測定のタイミングに影響を及ぼすCSに沿った軸方向移動(例えば、複数の移動及び全移動)の補正を可能にするグラフィックを含む。より具体的には、図3に示されるように、可視化390は、ベースライン位置に対する不注意なカテーテル移動の方向を示すために軸ベクトル計算を利用して、カテーテル110の不注意なカテーテル移動に関連してカテーテル110が元々あった場所(例えば、ベースライン位置)を示すことができる。提供される測定値は、ミリメートルなどの任意の長さ単位であり得る。
【0065】
すなわち、方法300を使用して、デバイス配向エンジン101がCSに沿ったカテーテル110の移動を検出すると、ダイアログボックス(例えば、可視化390)は、アラートを提供し得る。アラートは、閾値又はデルタ閾値を示して、カテーテル110がベースライン位置からどれだけ移動したか(例えば、近位又は遠位に)を示してもよい。このようにして、ダイアログボックスは、特にCSに沿ったカテーテル110の軸方向移動について、リアルタイム位置に対するベースライン位置を示し得る。そのようなアラートにより、医師は、デルタ値をガイドとして使用して、カテーテル110をベースライン位置に戻すかどうかを判断することができる。したがって、可視化390は、カテーテル110の位置を追跡し、横方向の移動と軸方向の移動とを区別し、CSに沿った不注意なカテーテル移動を補正するための強化された能力を提供する。
【0066】
図4は、1つ又は2つ以上の実施形態による、AIシステム400のグラフィック描写を示す。AIシステム400は、データ410(例えば、生体測定データ)、マシン420、モデル430、転帰440、及び(下層の)ハードウェア450を含む。適切な場合、理解を容易にするため、図4図5の説明は、図1図3を参照して行う。例えば、マシン420、モデル430、及びハードウェア450が、図1図2のデバイス配向エンジン101の態様(例えば、その中のML/AIアルゴリズム)を表し得る一方、ハードウェア450は、図1のカテーテル110、図1のコンソール160、及び/又は図2の装置204も表し得る。一般的に、AIシステム400のML/AIアルゴリズム(例えば、図1図2のデバイス配向エンジン101によって実装される)は、データ410を使用してハードウェア450に対して動作して、マシン420を訓練し、モデル430を構築し、転帰440を予測する。
【0067】
例えば、マシン420は、ハードウェア450に関連付けられたコントローラ又はデータ収集として動作するか、及び/又はハードウェア450に関連付けられる。データ410(例えば、本明細書に記載される生体測定データ)は、ハードウェア450に関連付けられた進行中データ又は出力データであってよい。データ410はまた、現在収集中のデータ、履歴データ、又はハードウェア450からの他のデータも含むことができ、外科手術中の測定値を含むことができ、外科手術の転帰と関連付けることができ、収集され、心臓処置の転帰と相関する図1の心臓120の温度を含むことができ、ハードウェア450に関連付けられ得る。データ410は、マシン420によって1つ又は2つ以上のサブセットに分割され得る。
【0068】
更に、マシン420は、例えば、ハードウェア450などに対して訓練される。この訓練はまた、収集されたデータ410の分析及び相関を含むことができる。例えば、心臓の場合では、温度及び転帰のデータ410を、心臓処置中の図1の心臓120の温度と転帰との間に相関又は関連が存在するかを判定するために訓練することができる。別の実施形態によれば、マシン420を訓練することは、1つ又は2つ以上のサブセットを利用する図1のデバイス配向エンジン101による自己訓練を含み得る。この点に関して、図1のデバイス配向エンジン101は、点ごとの症例分類を検出することを学習する。
【0069】
更に、モデル430は、ハードウェア450に関連付けられたデータ410上に構築される。モデル430を構築することは、物理的ハードウェア又はソフトウェアモデリング、アルゴリズムモデリング、及び/又は収集及び訓練されたデータ410(又はそのサブセット)を表すことを目的とした同様のモデリングを含むことができる。いくつかの態様では、モデル430の構築は、マシン420による自己訓練動作の一部である。モデル430は、ハードウェア450の動作をモデル化すると共に、ハードウェア450から収集されたデータ410をモデル化してハードウェア450によって得られる転帰440を予測するように構成することができる。(ハードウェア450に関連付けられたモデル430の)転帰440の予測では、訓練されたモデル430を用いることができる。例として、また、本開示の理解を深めるため、心臓の場合、36.5℃~37.89℃(すなわち、華氏97.7度及び華氏100.2度)の処置中の温度が心臓処置による正の転帰をもたらす場合、これらの温度を使用した特定の処置で転帰440を予測することができる。したがって、予測された転帰440を使用して、マシン420、モデル430、及びハードウェア450を適宜構成することができる。
【0070】
したがって、AIシステム400がデータ410を使用してハードウェア450に対して動作し、マシン420を訓練し、モデル430を構築し、転帰440を予測するために、その中のML/AIアルゴリズムは、ニューラルネットワークを含むことができる。一般に、ニューラルネットワークは、ニューロンのネットワーク又は回路であり、あるいは現代的な意味では、人工ニューロン又はノード又はセルで構成される人工ニューラルネットワーク(ANN)である。
【0071】
例えば、ANNは、処理要素と要素パラメータとの間の接続によって決定される複雑なグローバル挙動を示すことができる処理要素(人工ニューロン)のネットワークを含む。ニューロンのネットワーク又は回路のこれらの接続は、重みとしてモデル化される。正の重みは興奮性の接続を反映し、負の値は抑制性の接続を意味する。入力は重みで修正され、線形結合を使用して合計される。活性化関数が、出力の振幅を制御することができる。例えば、出力の許容範囲は通常0~1であるが、-1~1の場合もある。多くの場合、ANNは、ネットワークを通って流れる外部情報又は内部情報に基づいてその構造を変更する適応型システムである。
【0072】
より実用的な言葉で言えば、ニューラルネットワークは、入力と出力との間の複雑な関係をモデル化するために、又はデータのパターンを見つけるために使用することができる非線形統計データモデリング又は意思決定ツールである。したがって、ANNは、データセットを介して訓練される間に、予測モデリング及び適応制御アプリケーションに使用することができる。経験から生じる自己学習がANN内で発生する可能性があり、複雑で一見無関係な一組の情報から結論を導き出すことができる点に留意されたい。人工ニューラルネットワークモデルの有用性は、それらを使用して、観測から関数を推定し、かつそれを使用することができるという事実にある。教師なしニューラルネットワークは、入力分布の顕著な特徴をキャプチャする入力の表現の学習、及び、最近では、観測データの分布関数を暗黙的に学習することができるディープラーニングアルゴリズムにも使用することができる。ニューラルネットワークでの学習は、データ(例えば、生体測定データ)又はタスク(例えば、任意の数の様々な疾患の監視、診断、及び治療)の複雑さのためにそのような関数の設計を手作業では行えない用途において特に有用である。
【0073】
ニューラルネットワークは、様々な分野において使用することができる。したがって、AIシステム400では、その中のML/AIアルゴリズムは、それらが適用されるタスクに従って一般的に分割されたニューラルネットワークを含むことができる。これらの分割は、時間系列予測及びモデリングを含む回帰分析(例えば、関数近似)、パターン及び配列認識を含む分類、新規な検出及び連続的意思決定の作成、フィルタリングを含むデータ処理、クラスタリング、盲信号分離、及び圧縮のカテゴリ内に入る傾向がある。例えば、ANNの適用領域には、非線形システムの識別及び制御(車両制御、プロセス制御)、ゲームのプレー及び意思決定(バックギャモン、チェス、レース)、パターン認識(レーダーシステム、顔識別、オブジェクト認識)、シーケンス認識(ジェスチャ、スピーチ、手書きテキスト認識)、医療診断及び治療、金融アプリケーション、データマイニング(又はデータベースでの知識発見、すなわち「knowledge discovery in database、KDD」)、視覚化並びに電子メールスパムフィルタリングが含まれる。例えば、医療処置から得られる患者の生体測定データの意味的プロファイルを作成することが可能である。
【0074】
1つ又は2つ以上の実施形態によれば、ニューラルネットワークは、長・短期記憶ニューラルネットワークアーキテクチャ、畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network、CNN)アーキテクチャ、又は他の同様のものを実装し得る。ニューラルネットワークは、多数の層、多数の接続(例えば、エンコーダ/デコーダ接続)、規則化技術(例えば、ドロップアウト)、及び最適化特徴に関して構成可能であり得る。
【0075】
長・短期記憶ニューラルネットワークアーキテクチャは、フィードバック接続を含み、単一のデータポイント(例えば、画像など)をデータのシーケンス全体(例えば、スピーチ又は動画)と共に処理することができる。長・短期メモリニューラルネットワークアーキテクチャの単位は、セル、入力ゲート、出力ゲート、及び忘却ゲートで構成することができ、セルは任意の時間間隔にわたって値を記憶し、ゲートは、セルへの及びセルからの情報の流れを調節する。
【0076】
CNNアーキテクチャは、1つの層内の各ニューロンが次の層内のすべてのニューロンに接続される並進不変特性を有する共有重みアーキテクチャである。CNNアーキテクチャの正則化技術は、データ内の階層パターンを利用し、より小さくより単純なパターンを使用してより複雑なパターンを編成することができる。ニューラルネットワークがCNNアーキテクチャを実装する場合、アーキテクチャの他の構成可能な態様は、それぞれのステージにおける多数のフィルタ、カーネルサイズ、層ごとの多数のカーネルを含み得る。
【0077】
ここで図5を参照すると、ニューラルネットワーク500の一例及びニューラルネットワーク500内で実行される方法501のブロック図が、1つ又は2つ以上の実施形態に従って示されている。ニューラルネットワーク500は、本明細書に記載されるML/AIアルゴリズムの実装(例えば、図1図2のデバイス配向エンジン101によって実装される)を支援するように動作する。ニューラルネットワーク500は、図4のマシン420及び/又はハードウェア450などのハードウェアに実装することができる。本明細書に示されるように、図4図5の説明は、適切な場合、理解を容易にするため、図1図3を参照して行う。
【0078】
例示的動作では、図1のデバイス配向エンジン101は、ハードウェア450からデータ410を収集することを含む。ニューラルネットワーク500において、入力層510は、複数の入力(例えば、図5の入力512及び514)によって表される。方法501のブロック520に関して、入力層510は入力512及び514を受信する。入力512及び514は、生体測定データを含むことができる。例えば、データ410を収集することは、ハードウェア450の1つ又は2つ以上の処置記録からデータセット(データ410によって表される)に生体測定データ(例えば、BS ECGデータ、IC ECGデータ、及びアブレーションデータ)を集積することであり得る。
【0079】
方法501のブロック525では、ニューラルネットワーク500は、データ410の任意の部分(例えば、AIシステム400によって生成されたデータセット及び予測)を用いて入力512及び514をコード化して、潜在表現又はデータコード化を生成する。潜在表現は、複数の入力から導出される1つ又は2つ以上の中間的データ表現を含む。1つ又は2つ以上の実施形態によれば、潜在表現は、図1のデバイス配向エンジン101の要素ごとの活性化関数(例えば、シグモイド関数又は正規化線形関数)によって生成される。図5に示すように、入力512及び514は、ノード532、534、536、及び538を含むように示された隠れ層530に与えられる。ニューラルネットワーク500は、ノード532、534、536、及び538の隠れ層530を介して処理を実行して、処理要素と要素パラメータとの間の接続によって決定される、複雑なグローバル挙動を示す。したがって、層510と530との間の移行は、入力512及び514を受けて、これをディープニューラルネットワーク(隠れ層530内)に転送して、入力の特定のより小さな表現(例えば、結果的に生じる潜在表現)を学習するエンコーダステージとみなされ得る。
【0080】
ディープニューラルネットワークは、CNN、長・短期記憶ニューラルネットワーク、完全接続ニューラルネットワーク、又はそれらの組み合わせであり得る。入力512及び514は、心内ECG、身体表面ECG、又は心内ECG及び身体表面ECGであってよい。このコード化は、入力512及び514の次元数削減をもたらす。次元数削減は、1組の主要変数を得ることによって、考慮されているランダム変数(入力512及び514の)の数を低減するプロセスである。例えば、次元数削減は、データ(例えば、入力512及び514)を、高次元空間(例えば、10次元よりも高い)から低次元空間(例えば、2~3次元)に変換する特性抽出であり得る。次元数削減の技術的効果及び利点としては、データ410の時間及び記憶空間要件を低減すること、データ410の可視化性を改善すること、及びMLのためのパラメータ解釈性を改善することが挙げられる。このデータ変換は、線形又は非線形であり得る。受信(ブロック520)及びコード化(ブロック525)の動作は、デバイス配向エンジン101による多段階データ操作のデータ準備部分とみなされ得る。
【0081】
方法501のブロック545において、ニューラルネットワーク500は、潜在表現をデコード化する。デコード化ステージは、エンコーダ出力(例えば、結果として生じる潜在表現)を受け、別のディープニューラルネットワークを使用して入力512及び514の特定の形態を再構築することを試みる。この点に関して、ノード532、534、536、及び538は組み合わされて、方法501のブロック560に示されるように、出力層550に出力552を生成する。すなわち、出力層590は、削減された次元で、ただし信号干渉、信号アーチファクト、及び信号ノイズなしで、入力512及び514を復元する。出力552の例としては、クリーンにされた生体測定データ(例えば、IC ECGデータのクリーン/ノイズ除去バージョンなど)が挙げられる。クリーンにされた生体測定データの技術的効果及び利益には、任意の数の様々な疾患のより正確な監視、診断、及び治療を可能にすることが含まれる。
【0082】
ここで図6を参照すると、1つ又は2つ以上の実施形態による、方法600(例えば、図1及び/又は図2のデバイス配向エンジン101によって実行される)が示される。図6は、説明を簡単にし、簡潔にするため、図1及び図7図12を参照して説明される。
【0083】
方法600は、患者の呼吸又は心拍に起因して、CS内の(例えば、カテーテル110の複数の電極111のうちの)基準電極が移動したかどうかを理解及び可視化する必要性に対処する。更に、CS内の基準点として電極111に依存する場合、この電極が移動しないことが重要であり、そうでなければ、心房頻拍(AT)測定のタイミングは信頼できない。呼吸及び心拍はマッピングを通してずっと発生し、必ずしもカテーテル110の移動の兆候ではないことに留意されたい。更に、場合によっては、デバイス配向エンジン101は、呼吸及び心拍をフィルタリングして、カテーテル110の軸方向挿入軸上の移動の表示を取得する。次に、デバイス配向エンジン101は、カテーテル110のベースライン位置への再配置を可能にし、これは、再マッピングを回避し、賛成票処置が長引くことを防止する。
【0084】
方法600は、デバイス配向エンジン101が必要条件を確立するブロック610から始まる。必要条件は、1つ又は2つ以上の入力及び/又は仮定を含むことができる。例えば、デバイス配向エンジン101は、CS内への軸方向挿入軸に沿った直線カテーテル(例えば、カテーテル110)の移動を検出することを目的とする。入力は、電極111の位置を含む。デバイス配向エンジン101は、ナビゲーション診断カテーテルの使用を想定せず、磁気センサ入力なしで起動することができる。入力はまた、カテーテル110の基準位置を含み、この基準位置に対して、移動が測定される。次に、デバイス配向エンジン101は、移動計算に進む。
【0085】
ブロック620において、デバイス配向エンジン101は、入力データを入手する。入力データは、タイムスタンプごとの電極の位置を含むことができる。入力データは、移動比較のための基準位置も(又は選択的に)含むことができる。
【0086】
ブロック630において、デバイス配向エンジン101は、個々の電極対の移動を決定する(例えば、軸方向軸に沿ったカテーテル110の移動の決定を開始し、次いで計算する)。一実施形態によれば、各電極対の移動は、基準位置と現在位置(例えば、リアルタイム位置)との間で計算される。
【0087】
ここで図7を参照すると、1つ又は2つ以上の実施形態による方法700の略図が示される。デバイス配向エンジン101が、ベクトル判定を行うとき、CSの自然湾曲を活用することに留意されたい。1組の2つのベクトルは、カテーテル110の2つの位置(例えば、示される第1の位置710及び第2の位置720)に基づいて、すべての隣接する電極対について構築される。1組の2つのベクトルは、基準位置の第1のベクトル
【0088】
【数1】
及び現在位置の第2のベクトル
【0089】
【数2】
を含む。追加のベクトル
【0090】
【数3】
は、
【0091】
【数4】
【0092】
【数5】
との間で計算される。デバイス配向エンジン101は、方程式1に従ってベクトルの大きさ
【0093】
【数6】
を決定し、方程式2に従ってドット積を使用して、各電極対の軸方向移動(ミリメートル又はmmで測定)を決定する。
【0094】
【数7】
【0095】
【数8】
【0096】
ブロック650において、デバイス配向エンジン101は、全電極移動を決定する。例えば、いったん隣接する電極の各対について移動が計算されると、3つの中央対の平均移動に基づいて全電極の移動を計算して、ノイズの影響を除去することができる。一実施形態によれば、中央値は、対になった電極のすべての計算された移動について、デバイス配向エンジン101によって決定される。次いで、中央値付近の3つの最も近い移動測定値
【0097】
【数9】
が、デバイス配向エンジン101によって選択される。次に、デバイス配向エンジン101は、方程式3に従って選択された測定値の平均値を計算する。
【0098】
【数10】
【0099】
ブロック670において、デバイス配向エンジン101は、呼吸及び心拍の全体の影響を除去する。すなわち、電極111の任意の計算された移動は、呼吸及び心拍運動(例えば、基準安定性に無関係である)によって影響を受ける可能性があるため、デバイス配向エンジン101は、任意の移動表示からこれらの影響を除去する追加の処理層を実装する。デバイス配向エンジン101は、それぞれ呼吸及び心拍による低周波数及び高周波を含むために、電極移動の出力に依存する。図8は、1つ又は2つ以上の実施形態による経時的な移動のグラフ800を示す。経時的な移動は、ミリメートル又はmmで測定され得、移動距離ストリーム810とみなされ得る。
【0100】
サブブロック675において、デバイス配向エンジン101は、呼吸を表す低周波数のピークを割り当てるために、移動距離ストリーム810上のピーク検出(find peaks)関数を実装する。一実施形態によれば、ピーク検出関数は、移動ウィンドウ(例えば、361個のサンプルのサイズ)を画定することと、現在のウィンドウ内の各ステップの最大値を計算することとを含む。図9は、1つ又は2つ以上の実施形態によるピーク検出のグラフ900を示す。例えば、最大値が現在のウィンドウ内に位置する場合はいつでも、その指数は、ピーク920(例えば、位置78であると言うことができる)又はピーク指数として示される。
【0101】
サブブロック680において、デバイス配向エンジン101は、各特定されたピーク当たりの補間を実装する。図10は、1つ又は2つ以上の実施形態による補間後のプロットのグラフ1000を示す。すなわち、各ピークごとに、ピーク指数前の多数のサンプル(例えば、100個のサンプル)におけるプロット値(例えば、例示的なプロット値1040)を使用して補間値が決定される。例えば、補間値は、次いで、ピーク指数前の100個のサンプル及びピーク指数後の100個のサンプルについて設定される。補間は、低周波数のフィルタリングをもたらす。
【0102】
サブブロック685において、デバイス配向エンジン101は、0.005のカットオフ周波数を使用して、高周波数を平滑化し、心拍の影響を除去するために、ローパスフィルタを適用する。図11は、1つ又は2つ以上の実施形態による、ローパスフィルタを利用した後の移動表示1120のグラフ1100を示す。
【0103】
ブロック690において、デバイス配向エンジン101は、出力データを提供する。出力データは、基準位置と比較したすべての入力位置についての移動表示(mm)を含む。出力データは、移動を特定することができ、心臓外科の医師及び医療従事者にアラートを出し、位置の回復を含む1つ又は2つ以上のアクションを提供し、再配置するための情報を提供することができる。心臓外科の医師及び医療従事者が、次いで、カテーテル110を手動で再配置することができることに留意されたい。
【0104】
図12は、1つ又は2つ以上の実施形態による可視化1200を示す。一実施形態によれば、配向エンジン101は、基準位置を計算するために使用される電気信号の形態上の移動の任意の有意性を対応するパターンマッチングを実装することができる。つまり、いったんカテーテル110が初期位置に再配置されると、配向エンジン101は、カテーテル110が同じパターンの電気信号(例えば、組織に触れていることに起因して異なる可能性がある)を回復することを確実にする。そのため、配向エンジン101は、可視化1200に見られるように、元の信号パターンとの相関を提供することができる。
【0105】
より具体的には、可視化1200は、画像1201、ビューア1202、及びポップアップ1203を示す。画像1201は、カテーテル110が位置1220と1230との間を移動する際に、カテーテル110の移動が基準点1210に対して示される、CS静脈の3次元画像マッピングであり得る。すなわち、距離表示及び信号相関値を使用してカテーテル110を再配置するとき、マッピング(例えば、画像1201)は、安定した基準の高い信頼性で継続され得る。更に、ICパターンマッチングは、画像1201に統合又は補完され得る。このようにして、ビューア1202は、パターンマッチングビューアとして提供され得る。ICパターンマッチングは、移動の計算の一部、相関の一部、全プロセスに対する補助(例えば、カテーテルの移動を有する場合)、及び/又はそれらの組み合わせであり得る。ポップアップ1203は、近位1250及び遠位1260の移動に対する位置変化(mm)における-/+を示すスケールを提供する。更に、移動量1270、並びに信頼度1280が示されている。
【0106】
1つ又は2つ以上の実施形態によれば、CS活性化の時間的パターンがマッピングに役立ち得るため、デバイス配向エンジン101は、最適な基準点としてCSを提供活用する。CS活性化の時間的パターンのデバイス配向エンジン101による分析は、最も可能性の高いマクロリエントリー性ATの迅速な階層化又は順序付けを可能にし、分析はまた、限局性ATの推定原因を示す。したがって、デバイス配向エンジン101は、CSカテーテル移動を検出し、視覚表示又はグラフ表示でそのような移動を分析する技術的効果及び利点を提供して、カテーテル110をCSに沿って再配置する際に心臓外科の医師及び医療関係者を補助する。したがって、心臓外科の医師及び医療関係者は、新しいマッピングを開始するために、カテーテル110を元の位置に、あるいは別の方法で新しいベースライン位置に再配置することができる。
【0107】
図中の流れ図及びブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法及びコンピュータプログラム製品の考えられる実装形態の構造、機能性、及び動作を示すものである。この点に関して、流れ図又はブロック図における各ブロックは、示された論理機能を実施するための1つ又は2つ以上の実行可能な命令を含むモジュール、セグメント、又は命令の部分を表し得るものである。いくつかの代替的な実装形態において、ブロックに示される機能は、図に示される順序以外の順序で行われてもよい。例えば、連続して示す2つのブロックは、実際に、実質的に同時に実行されてもよく、あるいはそれらのブロックは、時には、関連する機能性に応じて、逆の順序で実行されてもよい。また留意されたい点として、ブロック図及び/又はフロー図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフロー図のブロックの組み合わせは、特定の機能又は動作を実行する専用のハードウェアベースシステムによって実施されてもよく、あるいは、専用のハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせを動作させる、又は実行することもできる。
【0108】
特徴及び要素が特定の組み合わせで上に記載されるが、当業者であれば、特徴又は要素の各々を単独で又は他の特徴及び要素と組み合わせて使用することができることを理解するであろう。加えて、本明細書に記載される方法は、コンピュータ又はプロセッサで実行するために、コンピュータ可読媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアにおいて実装され得る。本明細書で使用するコンピュータ可読媒体とは、電波又は他の自由に伝搬する電磁波、導波管若しくは他の伝送媒体を通って伝搬する電磁波(例えば、光ファイバーケーブルを通過する光パルス)、又は動線を通って伝送される電気信号などの、それ自体が一過性の信号であるものとして解釈されるべきではない。
【0109】
コンピュータ可読媒体の例としては、電気信号(有線又は無線接続を介して送信される)及びコンピュータ可読記憶媒体が挙げられる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、これらに限定されるものではないが、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内部ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気媒体、光磁気媒体、コンパクトディスク(compact disk、CD)及びデジタル多用途ディスク(digital versatile disk、DVD)などの光学媒体、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(erasable programmable read-only memory、EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックランダムアクセスメモリ(static random access memory、SRAM)、及びメモリスティックなどが挙げられる。プロセッサをソフトウェアと共に使用して、端末、基地局、又は任意のホストコンピュータで使用するための無線周波数送受信機を実装することができる。
【0110】
本明細書で使用される用語は、あくまで特定の実施形態を説明する目的のものに過ぎず、限定を目的としたものではない。本明細書で使用するとき、文脈上特に明記されない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は複数の形態をも含むものとする。用語「備える(comprise)」及び/又は「備えている(comprising)」は、本明細書で用いられる場合、記載された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成部品の存在を示すものであるが、1つまたは2つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素及び/又はそれらの群の存在若しくは追加を除外するものではない点を理解されたい。
【0111】
本明細書の異なる実施形態の説明は例示の目的で示されたものであるが、網羅的であることも開示される実施形態に限定されることも意図していない。多くの改変及び変形が、記載される実施形態の範囲及び趣旨から逸脱することなく、当業者には明らかとなろう。本明細書で使用される用語は、実施形態の原理、実用的な用途、又は市場に見られる技術と比較した技術的改良点を最も良く説明するため、又は当業者による本明細書に開示される実施形態の理解を可能とするために選択されたものである。
【0112】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
1つ又は2つ以上のプロセッサによって実行されるデバイス配向エンジンによって、カテーテルの複数の電極の各電極群間の移動を決定して、複数の移動を提供することと、
前記デバイス配向エンジンによって、前記複数の電極の全移動を決定することと、
前記デバイス配向エンジンによって、前記複数の移動及び前記全移動から標準成分を除去することと、
前記デバイス配向エンジンによって、前記標準成分が除去された前記複数の移動及び前記全移動に基づいて、前記カテーテルの移動表示を出力することと、を含む、方法。
(2) 前記デバイス配向エンジンが、各電極群間の前記移動を決定するための入力として、各電極群の電極についてのタイムスタンプごとの位置、及び基準位置を利用する、実施態様1に記載の方法。
(3) 各電極群間の前記移動が、各電極群について構築された、少なくとも1組の2つのベクトルに基づいて決定される、実施態様1に記載の方法。
(4) 各電極群間の前記移動が、各電極群の前記1組の2つのベクトル間の第3のベクトルに基づいて決定される、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記全移動が、前記複数の電極の3つの中央電極対の平均移動に基づく、実施態様1に記載の方法。
【0113】
(6) 前記デバイス配向エンジンが、
各電極対間の各移動の中央値を決定し、
前記中央値に最も近い3つの移動測定値を選択して、選択された測定値を提供し、かつ
前記選択された測定値の平均値を決定して、前記平均移動を提供する、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記標準成分が、呼吸運動又は心拍運動を含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記移動表示が、基準位置と比較したすべての入力位置に関するものである、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記移動表示が、冠状静脈洞内への前記カテーテルの軸方向挿入軸に沿ったものである、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記カテーテルが、直線カテーテルである、実施態様1に記載の方法。
【0114】
(11) システムであって、
デバイス配向エンジンのためのプロセッサ実行可能コードを記憶するメモリと、
1つ又は2つ以上のプロセッサであって、前記プロセッサ実行可能コードを実行して、前記システムに、
前記デバイス配向エンジンによって、カテーテルの複数の電極の各電極群間の移動を決定させて、複数の移動を提供させ、
前記デバイス配向エンジンによって、前記複数の電極の全移動を決定させ、
前記デバイス配向エンジンによって、前記複数の移動及び前記全移動から標準成分を除去させ、かつ
前記デバイス配向エンジンによって、前記標準成分が除去された前記複数の移動及び前記全移動に基づいて、前記カテーテルの移動表示を出力させる、1つ又は2つ以上のプロセッサと、を備える、システム。
(12) 前記デバイス配向エンジンが、各電極群間の前記移動を決定するための入力として、各電極群の電極についてのタイムスタンプごとの位置、及び基準位置を利用する、実施態様11に記載のシステム。
(13) 各電極群間の前記移動が、各電極群について構築された、少なくとも1組の2つのベクトルに基づいて決定される、実施態様11に記載のシステム。
(14) 各電極群間の前記移動が、各電極群の前記1組の2つのベクトル間の第3のベクトルに基づいて決定される、実施態様13に記載のシステム。
(15) 前記全移動が、前記複数の電極の3つの中央電極対の平均移動に基づく、実施態様11に記載のシステム。
【0115】
(16) 前記プロセッサ実行可能コードが、前記システムに、
各電極対間の各移動の中央値を決定させ、
前記中央値に最も近い3つの移動測定値を選択させて、選択された測定値を提供させ、かつ
前記選択された測定値の平均値を決定させて、前記平均移動を提供させるために更に実行される、実施態様15に記載のシステム。
(17) 前記標準成分が、呼吸運動又は心拍運動を含む、実施態様11に記載のシステム。
(18) 前記移動表示が、基準位置と比較したすべての入力位置に関するものである、実施態様11に記載のシステム。
(19) 前記移動表示が、冠状静脈洞内への前記カテーテルの軸方向挿入軸に沿ったものである、実施態様11に記載のシステム。
(20) 前記カテーテルが、直線カテーテルである、実施態様11に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】