(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068938
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】遠隔操作式排水栓装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20220428BHJP
E03C 1/23 20060101ALI20220428BHJP
A47K 1/14 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
A47K1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177778
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】000157212
【氏名又は名称】丸一株式会社
(72)【発明者】
【氏名】▲する▼木 剛
(72)【発明者】
【氏名】知気 摩衣子
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA02
2D061DB03
2D061DE11
(57)【要約】
【課題】
遠隔操作式排水栓装置において、操作部の配置や構成、操作方法の自由度を高め、特に吐水金具に操作部を配置する時にその使用感を向上する遠隔操作式排水栓装置を提供する。
【解決手段】
遠隔操作式排水栓装置を、操作部と、操作部への操作に応じて開閉する槽体の排水口と、操作部の操作を排水口側に伝達する操作伝達部材と、から構成すると共に、
操作部を、槽体または槽体近傍に設けた操作部取付面に取り付け固定される操作部本体と、操作部にガイドされた状態で動作することにより排水口の開閉操作を行う操作体と、を設け、更に操作伝達部材と操作体との接続箇所を、操作部取付面よりも表側に設けて構成する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部と、
操作部への操作に応じて開閉する槽体の排水口と、
操作部の操作を排水口側に伝達する操作伝達部材と、
からなる遠隔操作式排水栓装置において、
操作部を、
槽体または槽体近傍に設けた操作部取付面に取り付け固定される操作部本体と、
操作部にガイドされた状態で動作することにより排水口の開閉操作を行う操作体と、
から構成すると共に、
操作伝達部材と操作体との接続箇所を、
操作部取付面よりも表側に設けたことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置。
【請求項2】
操作部本体を、槽体の吐水金具としたことを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項3】
上記遠隔操作式排水栓装置の操作部を、槽体の大部分を台座上に載置する構成の排水機器の吐水金具に設けたことを特徴とする、請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項4】
操作伝達部材を、筒状のアウターチューブと、該アウターチューブ内を進退するインナーワイヤと、から構成されるレリースワイヤによって構成したことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項5】
操作体を回転ハンドルとし、回転ハンドルの操作により排水口の開閉を行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置。
【請求項6】
操作体をボタン部とし、ボタン部の押し操作毎に排水口を開口/排水口を閉口、を交互に繰り返すことで排水口の開閉を行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口を、排水口から離間した位置に設けた操作部への操作により開閉する遠隔操作式の排水栓装置に関するものであり、更に詳しくは、遠隔操作式排水栓装置の操作部の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴槽や洗面ボウルなどの槽体の内部に生じた排水を処理するため、槽体の底面等に排水口を設け、この排水口から配管部材を介し、下水側に排水を排出する方法が広く知られている。また、排水口を覆うように弁体を配置することで槽体内に水を溜めると共に、弁体を上昇させて排水口から離間させることで排水口を開口する方法があるが、この弁体の昇降による排水口の開閉を、弁体や排水口から離間した位置、例えば槽体の縁部や槽体側面の上方に設けた操作部への操作によって行う遠隔操作式排水栓装置が知られている。
広く知られた遠隔操作式排水栓装置としては、特許文献1に記載のような、槽体の底面に設けられた排水口と、この排水口の上方に配置された弁体と、弁体から離間した位置にある操作部と、からなり、操作部に操作を行うことで、遠隔操作により排水口を開閉するような遠隔操作式排水栓装置が知られている。
詳述すると、特許文献1に記載の遠隔操作式排水栓装置は、筒状にして上縁に排水口を備えた排水口本体と、
排水口本体の内部であって、排水口の直下となる位置に取り付けられる、ロック軸と呼ばれる軸部と、ロック軸を内部に収納する筒状の機構本体部と、から構成される機構部と、
下面中央にロック軸を接続する、排水口を開閉する円盤状の弁体と、
排水口本体の下端に接続される、後述するレリースワイヤを挿通する挿通部を備えた継手部材と、
押し操作を行うツマミ部を備えた軸状の操作体と、
操作体の操作を伝達する操作伝達部材としての筒状のアウターチューブ、該アウターチューブ内を進退するインナーワイヤ、からなるレリースワイヤと、
から構成されてなる。
尚、インナーワイヤ及びレリースワイヤは、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を、それぞれ備えてなる。
機構部はスラストロック機構と呼ばれる構成を備え、施工完了時、レリースワイヤがロック軸を動作させるように構成されてなり、操作体に押し操作が行われる都度、ロック軸を上昇した状態で固定/固定を解除しロック軸を降下、を交互に繰り返すように構成されてなる。
また、この従来例では、施工性を向上させる等の目的のため、操作部本体と呼ばれる操作体用のガイド部材を設けることなく、槽体に吐水を行う吐水金具の一部、背面側にガイド用の開口となる操作用貫通孔(ガイドカラム)を設け、この操作用貫通孔に操作体を進退自在に配置して構成してなる。即ち吐水金具を操作部本体として構成している。
これらの遠隔操作式排水栓装置が施工される槽体としての浴槽は、上方が開口すると共に、底面には排水口本体を取り付ける取付孔を、開口上縁の近傍の浴槽のフランジ部、又は浴槽デッキ部には吐水金具を取り付ける金具取付孔を、それぞれ備えてなる。
【0003】
上記の各部材からなる遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして槽体である浴槽に施工される。
まず、浴槽の取付孔に排水口本体を、金具取付孔に吐水金具を、それぞれ取り付ける。
次に、継手部材の枝管部からレリースワイヤの一端を挿通し、更に上流側端部からレリースワイヤを引き上げた上で、機構部にレリースワイヤを接続する。
この接続により、インナーワイヤがアウターチューブ内を進退して機構部のロック軸を作動させる都度、機構部が、ロック軸を上昇した状態で固定/固定を解除しロック軸を降下、を交互に繰り返すことができるようになる。
次に、継手部材の上流側の端部を排水口本体の下端に接続する。
次に、吐水金具の操作用貫通孔に操作体を挿通する。
次に、レリースワイヤの他端を操作体、及び操作部本体である吐水金具に接続する。この接続の際には、インナーワイヤ端部を操作体の下端に、アウターチューブ端部を吐水金具に、それぞれ接続固定する。
更に、弁体を機構部のロック軸に接続して、従来例の遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
【0004】
上記のように構成した遠隔操作式排水栓装置を使用する場合、まず弁体を降下させ、弁体が排水口を閉塞した状態とする。この時、ロック軸は固定を解除されて降下した位置にある。
この状態から操作体のツマミ部に押し操作を行うと、操作体が押し込まれることでインナーワイヤがアウターチューブ内を排水口側に向けて前進し、機構部のロック軸がインナーワイヤに押し上げされて上昇すると共に、機構部がロック軸を上昇させた状態で固定する。
このため、ロック軸先端に備えられた弁体も上昇して排水口から離間し、排水口が開口した状態で固定される。浴槽内に湯水があった場合、湯水は排水として排水口から排水口本体内部、継手部材内部を介し、下水側の配管に排出される。
操作部のツマミ部材に再び押し操作を行うと、インナーワイヤを介して再びロック軸に押し操作が伝達され、ロック軸の上昇した状態の固定が解除され、ロック軸は自重等によって降下する。これに伴い弁体も降下し、弁体が排水口に当接する位置まで移動して排水口を閉塞する。
以降、操作部のツマミ部に押し操作を行うことで、排水口を弁体から離間した位置にて、遠隔操作により開閉することができる。
また、この従来例では、吐水金具に操作体を配置する操作用貫通孔を設けることで、別途操作体の受け部材としての操作部本体を別途用意したり、この操作部本体を槽体近傍に配置するための操作部本体用の貫通孔を設ける必要がなくなり、穴開けの加工や取り付けの手間を省略することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の遠隔操作式排水栓装置においては、操作体は端部にツマミ部を設けた棒状の部材からなり、上端は操作のため吐水金具上に配置され、下端は操作を伝達する操作伝達部材としてのレリースワイヤを接続するように構成されている。
このため、操作体は、吐水金具を取り付けた浴槽のフランジ面やデッキ部に設けられた金具取付孔を、上下に貫通するように配置される。
ここで、操作体を、吐水金具のどの位置に配置するかを考えると、吐水金具の正面には吐水口があり、上下方向に配置される操作体は吐水口に干渉する。このため、操作体は吐水金具の正面に配置できない。
また、吐水金具の左右には吐水口からの吐水の開閉や水量調整のための吐水操作用ハンドルがあり、上下方向に配置される操作体は、吐水操作用ハンドルに干渉する。このため、操作体は吐水金具の側面にも配置できない。片側だけに吐水操作用ハンドルを備えた吐水金具もあるが、この場合吐水操作用ハンドルとツマミ部とのデザインが大きく異なるし、操作の方向も吐水操作用ハンドルが回転操作であるのに対し操作体は上下に押し引き操作、又は押し操作であり、形状も操作方法も全く異なるため、大変に意匠性・操作性が悪くなる、という問題があった。
結果として、吐水金具に操作体を配置する場合には、吐水金具の背面側に操作体を配置するしかなく、遠隔操作式排水栓装置の使用者からは、吐水金具の本体部分を迂回して背後に手を伸ばす必要があるため、扱いづらいものとなっていた。
また、吐水金具は少なくとも取付位置から上方に向かって延出し、反転して吐水口側の端部が下方を向く構造であり、吐水金具と操作体は、共に金具取付孔から上下方向に配置されることとなる。このように、吐水金具と操作体は共に金具取付孔から上方に延出しているため、操作体に操作を行おうとすると吐水金具が障害になる構成であった。
操作体を吐水金具とは別の位置に配置して操作するようにすれば、上記したような問題は解決するが、その場合には、浴槽のフランジ部、又は浴槽デッキ部等に金具取付孔とは別に操作部用の孔を設ける必要がある。
この場合には、浴槽、洗面台など槽体やデッキ部等に対して、事前に遠隔操作式排水栓装置を使用することを前提として加工を行う必要があり、設計や施工の際の手間が増すことになる。
【0007】
また、近年、洗面台においては、ベッセル式と呼ばれる、洗面ボウルの槽体の大部分、少なくとも全高の8割程度の高さ部分が、洗面ボウルを設置する台座の上面上に位置する構造の洗面台が増加している。
従来の洗面台は、台座に設けた開口に対して、洗面ボウルの槽体部分は台座の上面よりも下方に配置され、槽体周縁に設けたフランジ部が台座の開口に係止される、埋め込み式と呼ばれる構造や、
台座上に設けた開口の下方に洗面ボウルの開口が配置され、洗面ボウルの槽体部分は全て台座の上面(カウンター)の下方に配置されるアンダーカウンター式と呼ばれる構造であったことに対し、
ベッセル式の洗面台では、洗面ボウルは槽体部分を含め、そのほぼ全体が台座上に配置され、台座上面よりも下方に配置される部分は無いか、あるいは、槽体の下端にある排水口とその近傍のみ台座上面よりも下方に配置される構造である。
このベッセル式の洗面台の場合、槽体部分のほとんどが台座の上面よりも上方に配置されるため、埋め込み式やアンダーカウンター式に比べると、洗面ボウル部分の選択や配置位置の自由度が高い。
詳述すると、埋め込み式やアンダーカウンター式では、台座の開口と洗面ボウルの開口を合致させる必要があるため、設計段階から台座と洗面ボウルの両者を調整する必要があるのに対し、ベッセル式では単に台座上に槽体部分含め洗面ボウルを載置するだけの構造であり、台座の開口と洗面ボウルの開口を正確に合致させる必要等が無い。
このため、使用者の好みに合わせて洗面ボウルを自由に選択することができるという長所を有するが、一方で、操作部用の孔をどのように形成するか、という点が問題となる。操作部用の取付孔を洗面ボウルと台座部の両方が備えるとどちらか一方の孔は開口したままとなり、意匠性が悪いなどの問題がある。一方、操作部用の取付孔を洗面ボウルと台座部の両方が備えない場合には遠隔操作式排水栓装置の採用自体が困難になる。操作部用の孔の無い洗面ボウルを採用し、操作部用の孔の無い台座にドリルなどで孔を設ける等も考えられるが、台座がタイルなどの陶器であればこれらの方法は採用できない場合もある。
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、遠隔操作式排水栓装置において、操作部の配置や構成、操作方法の自由度を高め、特に吐水金具に操作部を配置する時にその使用感を向上する遠隔操作式排水栓装置に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本発明は、操作部と、
操作部への操作に応じて開閉する槽体の排水口と、操作部の操作を排水口側に伝達する操作伝達部材と、からなる遠隔操作式排水栓装置において、
操作部を、
槽体または槽体近傍に設けた操作部取付面に取り付け固定される操作部本体と、
操作部にガイドされた状態で動作することにより排水口の開閉操作を行う操作体と、から構成すると共に、
操作伝達部材と操作体との接続箇所を、
操作部取付面よりも表側に設けたことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置である。
尚、ここで言う「操作部取付面よりも表側」とは、使用者が、通常に遠隔操作式排水栓装置を使用する場合に、操作部を操作する箇所に近い側を指し示す表現である。
例えば、槽体の内側側面に操作部を取り付け、槽体の内側から操作を行う場合は、槽体の内面側が表側であり、
槽体の外側側面に操作部を取り付け、槽体の外側から操作を行う場合は、槽体の外面側が表側であり、
槽体の開口の周囲の水平面や槽体を載置した台座部上など、槽体の周囲の略水平面の近傍に作部を取り付け、槽体の上方から操作を行う場合は、槽体開口周縁の上面側が表側であり、
槽体の近傍に備えた垂直なパネルなど垂直面に操作部を取り付け、垂直面の前面から操作を行う場合は、垂直面の前面(手前面)側が表側となる。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、操作部本体を、槽体の吐水金具としたことを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
尚、ここで言う「操作部取付面」は、操作部本体となる吐水金具の取付面となる。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、上記遠隔操作式排水栓装置の操作部を、槽体の大部分を台座上に載置する構成の排水機器の吐水金具に設けたことを特徴とする、請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0011】
請求項4に記載の本発明は、操作伝達部材を、筒状のアウターチューブと、該アウターチューブ内を進退するインナーワイヤと、から構成されるレリースワイヤによって構成したことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0012】
請求項5に記載の本発明は、操作体を回転ハンドルとし、回転ハンドルの操作により排水口の開閉を行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0013】
請求項6に記載の本発明は、操作体をボタン部とし、ボタン部の押し操作毎に排水口を開口/排水口を閉口、を交互に繰り返すことで排水口の開閉を行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の本発明では、遠隔操作式排水栓装置の操作部の操作体と操作伝達部材の接続箇所を、操作部を取り付けた面よりも表側に設けたことで、操作体の配置レイアウトや操作方法に自由度を増すことができた。具体的には、例えば操作部を取り付けた面に対して水平方向に操作体を配置し、且つ操作部を取り付けた面に対して水平方向に操作体を移動させて操作部の操作を行う、等の、操作体を操作部取付孔に向けて配置し、または操作する必要がなくなり、配置や操作方法の自由度を高めることができる。
請求項2に記載の本発明では、遠隔操作式排水栓装置の操作部を、吐水金具とすることで、操作部の為に操作部取付孔を追加で設ける必要が無くなった。また従来の吐水金具を操作部とした場合では、操作体は、吐水金具と同様に金具取付孔から上方に向かうように配置する必要があり、吐水金具が操作体の障害となる構成とすることしかできなかったが、本発明においては、操作体と操作伝達部材との接続箇所を、操作体を取り付けた面よりも表側に配置することで、操作体の配置・操作方法の自由度が増した。例えば、吐水金具の横側面に、回転ハンドル式の操作体を配置したり、吐水金具の正面側に操作体を配置し、操作部取付面に対して平行となる方向に押し引きする等、任意の位置、任意の方向、任意の操作方法にて操作体を配置でき、吐水金具が障害とならない操作体と操作方法、とすることができる。
請求項3に記載の本発明では、ベッセル式等、槽体の大部分が、槽体を設置する台座の上面上に位置する構造の排水機器において、吐水金具に操作部を設けたことで、槽体又は台座のいずれに操作部を配置するか、といった当該構造の槽体を採用した場合に生じる操作部本体の取り付け構造の問題を解消することができる。
請求項4に記載の本発明においては、操作伝達部材の構成を明確化できる。
請求項5に記載の本発明においては、操作部の操作方法を明確化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第一実施例の洗面台の施工状態を示す正面方向の断面図である。
【
図2】第一実施例の洗面台の施工状態を示す側面方向の参考図である。
【
図3】第一実施例の吐水金具及び操作部を示す、一部を切欠きした参考図である。
【
図4】
図3の操作部の部材構成を示す参考図である。
【
図5】第一実施例の排水口近傍の部材構成を示す断面図である。
【
図6】第一実施例の閉口状態の(a)操作部(b)排水口を示す参考図である。
【
図7】第一実施例の開口状態の(a)操作部(b)排水口を示す参考図である。
【
図8】第二実施例の閉口状態の(a)操作部(b)排水口を示す参考図である。
【
図9】第二実施例の開口状態の(a)操作部(b)排水口を示す参考図である。
【
図10】他の実施例の閉口状態の操作部を示す参考図である。
【
図11】
図10の実施例の開口状態の操作部を示す参考図である。
【0016】
以下に、本発明の第一実施例について、図面を参照しつつ説明する。尚、以下の各実施例への説明においては、レリースワイヤ5のインナーワイヤ5bが排水口1a側に移動することを「前進」、操作部3側に移動することを「後退」として記載する。また、本実施例の説明における「上」「下」「右」「左」は、
図1の図示に基づいて記載する。また、本実施例では、吐水金具Kを図示してなるが、吐水金具K内部の図示は参考図であり、発明に直接関係しない給水側の配管など給水配管の機構については図示を省略するものである。
図1乃至
図7に示した、本発明の第一実施例の排水栓装置は、槽体としての洗面台の洗面ボウルBに採用される遠隔操作式の排水栓装置であって、以下に記載する、排水口本体1、継手部材6、機構部7、操作部3、弁部材2、操作伝達部材としてのレリースワイヤ5、板ナット部材N、トラップ配管T等の部材より構成される。
洗面台は、以下に記載する、ベッセル式と呼ばれる形態の洗面ボウルBと、該洗面ボウルBを載置する箱状のキャビネットCと、から構成される。
洗面ボウルBは、上方が開口した箱体からなる槽体部分B1と、槽体の開口周縁から下方に向けて垂下された側壁部B2を備えた槽体であって、槽体部分B1の底面に排水口本体1を取り付けるための取付孔B3を備えてなる。また、側壁部B2の下端は、槽体部分B1の排水口1a近傍の底面よりも若干だけ高い位置にある。このため、
図1、
図2に示したように、キャビネットCの上面の台座部分C1上面に洗面ボウルBを載置した場合、槽体部分B1の大部分、具体的には、洗面ボウルBの全高の約8割程度の部分が、台座部分C1の上面よりも上方に配置される。
キャビネットCは、正面方向に開閉式の扉を備え、上方には洗面ボウルBを載置するための板状の台座部分C1を備えた箱体である。台座部分C1の中央と、キャビネットCの下方にそれぞれ排水配管を配置、又は通すための配管開口部C2を備えてなる。また、本実施例のキャビネットCでは、台座部分C1に、配管開口部C2とは別に、吐水金具Kを配置するための金具取付孔C3を上面に備えてなる。
排水口本体1は略円筒形状を成す部材であって、上端の開口部分に排水口1aを、排水口1aから連続する円筒の内部部分には排水の流路を、それぞれ形成してなる。また、その上端部分外周側には、側面方向に突出するフランジ部1bを、フランジ部1bの下方側面には雄ネジを設けてなる。
継手部材6は排水口本体1に接続される配管部材であって、上端にナット部材を備えた直管部6aと、該直管部6aの側面に設けた、後述するレリースワイヤ5を挿通する枝管部分である挿通部6bと、から構成され、その直管部6aの上端に、後述する支持部材8を嵌合固定するように構成されてなる。
支持部材8は継手部材6の直管部6a上端に嵌合される部材であって、後述するレリースワイヤ5のアウターチューブ5a端部を固定すると共に、施工完了時インナーワイヤ5b端部を、弁部材2の下端位置に配置するように構成されてなる。
レリースワイヤ5は、円筒形状にして、軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えたアウターチューブ5aと、該アウターチューブ5a内を進退する、軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えた金属の縒り線からなるインナーワイヤ5bと、インナーワイヤ5bの弁部材2側端部に備えられた硬質な棒状のロッド部5cと、アウターチューブ5aが貫通した状態で、挿通部6b端部を水密的に閉塞するキャップ部材5dと、から構成されてなる。
操作部3は、以下に記載する、操作部本体9としての吐水金具Kと、操作体4と、から構成されてなる。尚、操作部本体9は洗面台や洗面台の近傍の壁面など、排水機器に固定される部材であり、操作体4は操作部本体9によって進退や回転等の動作方向をガイドされ、使用者が操作することで少なくともその一部が進退、回転等、動作を行う部材である。
操作部本体9を兼ねる吐水金具Kは、
図2のように、側面視逆Jの字形状を成す金属材からなる管体であって、下端部分はキャビネットCの金具取付孔C3に固定され、また給水側の配管に接続されることで、洗面ボウルB側端部より吐水を行うように構成されてなる。
また、本実施例の吐水金具Kは、
図1、
図3の向かって右側に、回転軸を水平方向とした、円筒状の回転式の吐水操作用ハンドルHを備えてなる。この吐水操作用ハンドルHを回転させることで、吐水金具Kから吐水される吐水の流量や温度を調整することができる。
また、本実施例の吐水金具Kは、
図1、
図3の向かって左側であって、吐水金具Kを中心として吐水操作用ハンドルHの対称となる位置に、回転軸を水平方向とした、排水口1aを開閉するための回転ハンドル式のツマミ部4aを備えた操作体4と、該操作体4を接続するための操作体接続口K1を備えてなる。
操作体4の構成について以下に詳述する。
本実施例の操作体4は、以下に記載するツマミ部4a、進退部4b、ワイヤ固定部4cから構成される。
ツマミ部4aは、一端を閉塞した円筒形状の部材であってその内部に雌ネジを形成してなる。
進退部4bは、ツマミ部4a内部に収納される断面視凸形状を成す部材であって、その外周部分の一部にツマミ部4aの雌ネジと螺合する雄ネジを備えてなると共に、インナーワイヤ5b端部と接続されるように構成されてなる。
ワイヤ固定部4cは、略円筒形状を成す部材であって、アウターチューブ5a端部を固定すると共に、操作体接続口K1に固定され、またツマミ部4aを回転自在且つ軸方向に移動不可能に取り付けると共に、進退部4bの一部、凸形状の先端部分を、軸方向に進退可能、且つ回動不可能に収納する。
また、レリースワイヤ5のアウターチューブ5a端部は、ワイヤ固定部4cに固定され、該ワイヤ固定部4cが吐水金具Kに設けられた操作体接続口K1に固定されることで、操作体接続口K1に対して固定される。
施工完了時、操作体4は、吐水金具に設けられた操作体接続口K1に対し、ワイヤ固定部4cは固定される。
また、ツマミ部4aはワイヤ固定部4cに回転可能且つ軸方向には移動不可能に接続される。また、進退部4bは雄ネジがツマミ部4aの雌ネジに螺合し、且つ一部がワイヤ固定部4cに回動不可能且つ軸方向には進退可能に接続される。
このように構成、接続されるため、施工完了時、ツマミ部4aを回転させると、ネジ構造によって、進退部4b及びインナーワイヤ5bは弁部材2の方向に前進、又はツマミ部4a側に後退する動作を行う。この実施例においては、ツマミ部4aを手前側に回転させると進退部4b及びインナーワイヤ5bが前進して排水口1aが開口し、奥側に回転させると進退部4b及びインナーワイヤ5bが後退して排水口1aが閉口するように構成されている。
弁部材2は、円盤状にして排水口1aを閉塞する弁体2aと、弁体2aの中央下方から垂下される弁軸2bと、該弁軸2bに備えられた、弁体2aが傾くことを防止するガイド部2cと、から構成されてなる。
また、その他の部材として、排水口本体1の雄ネジに螺合する雌ネジを備えた板ナット部材Nと、継手部材6下端から床下配管までを接続する、管体をS字形状に屈曲させることで封水部を形成するトラップ配管Tを備えてなる。
【0017】
上記のように構成された洗面台、及び遠隔操作式排水栓装置を用いた排水配管は、以下のようにして施工される。
尚、各部材の接続箇所においては、特に明記しない場合でも、必要に応じて適宜パッキングや接着などの方法によって水密的な接続が行われる。
まず、洗面ボウルBをキャビネットCの上面の台座部分C1上に載置し、固定する。この時には、台座部分C1上に設けた配管開口部C2に、洗面ボウルBの槽体部分B1の取付孔B3近傍の底面が配置されるようにする。
洗面ボウルBの側壁部B2の下端は、槽体部分B1の排水口1a近傍の底面よりも若干だけ高い位置にあるため、上記のようにキャビネットCの台座部分C1上に洗面ボウルBを配置することで、
図1、
図2に示したように、洗面ボウルBの大部分、具体的には全高の約8割程度の部分が、台座部分C1よりも上方に配置されるようになる。
次に、アウターチューブ5aの操作部3側の端部を、ワイヤ固定部4cに固定した上で、インナーワイヤ5bを引きだし、操作体4の進退部4bに接続する。接続後、進退部4bの先端部分を、ワイヤ固定部4cに挿入した上で、ワイヤ固定部4cを操作体接続口K1に取り付け固定する。
次に、操作部3の一部であるツマミ部4aを進退部4bに螺合させつつ、ワイヤ固定部4cに接続する。
この接続により、通常の使用では、ツマミ部4aはワイヤ固定部4c及び操作体接続口K1に対し、回転可能且つ軸方向には移動不可能に、進退部4bは操作体接続口K1に対し、回転不可能且つ軸方向には進退可能に、それぞれ接続される。
尚、通常の使用とは異なる場合、例えばメンテナンス等のため部材を着脱する必要がある場合等は、意図的に強く外方向にツマミ部4aを引き出すことで、接続を解除し、ツマミ部4aや進退部4bを吐水金具K1から取り外すことができる。
次に、キャビネットCの台座部上C1の金具取付孔C3に、吐水金具Kを取り付ける。この際には、金具取付孔C3を介して、吐水金具Kの吐水用の配管の端部や、レリースワイヤ5がキャビネットC内部に配置されるようにする。
次に、洗面ボウルBの取付孔B3に排水口本体1を挿通し、更に板ナット部材Nを螺合させて、洗面ボウルBの取付孔B3周縁を、フランジ部1bと板ナット部材N上面とで挟持することで、排水口本体1を洗面ボウルBに取り付ける。
次に、インナーワイヤ5の排水口1a側の端部を、継手部材6の挿通部6bから挿通し、直管部6aの上端側から引き出した上で、支持部材8にレリースワイヤ5のアウターチューブ5a端部を接続固定させる。
次に、支持部材8を直管部6aの上端部分に嵌合させた上で、キャップ部材5dによって挿通部6b端部を閉塞する。
次に、継手部材6の直管部6aの上流側端部を排水口本体1の下端に接続し、更に継手部材6の下流側端部にはトラップ配管Tを接続する。またトラップ配管Tの下流側端部は下水側に繋がる床下配管に接続する。
更に、排水口1aから排水口本体1内部に弁部材2を配置して、本実施例の洗面台と洗面台用の遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
上記の構成において、吐水金具Kは操作部本体9であり、操作部本体9の取付面とは台座部分C1の上面であり、本実施例の操作部本体9の取付面の表側とは台座部分C1上面よりも上方となる側である。また、本実施例の操作体4と操作伝達部材の接続箇所とは、進退部4bとインナーワイヤ5bの接続箇所である。従って、台座部分C1上面よりも上方で進退部4bがインナーワイヤ5bに接続されていることから、本実施例の遠隔操作式排水栓装置は、操作伝達部材と操作体9との接続箇所を操作部取付面よりも表側に設けてなる遠隔操作式排水栓装置である。
【0018】
以下に、上記実施例の洗面台の使用方法を説明する。
吐水金具により洗面ボウル内部に吐水を行いたい場合、
図1、
図3の向かって右側の吐水操作用ハンドルHを回転させることで、吐水金具Kから吐水の流量や温度を調整しつつ、吐水を行うことができる。
また、遠隔操作により排水口1aを開閉する場合、まず
図6(b)のように、弁本体を降下させ、弁体2aが排水口1a周縁に当接して排水口1aを閉塞した状態とする。この時、進退部4b及びインナーワイヤ5aは、
図6(a)のように、ツマミ部4a側に後退した位置にある。
この状態から吐水金具Kに備えた操作体4のツマミ部4aに、手前側に回転させる操作を行うと、ツマミ部4aと進退軸3bとに組み込まれたネジ機構により、
図7(a)のように、進退軸3b及びインナーワイヤ5bが排水口1a側に前進し、弁軸2bの下端位置に配置されたロッド部5cが上昇して弁軸2bを押し上げ、結果弁軸2bと共に弁体2aが上昇して排水口1aから弁体2aが離間するので、
図7(b)のように、排水口1aが開口する。
洗面ボウルBの槽体部分B1内に湯水が存在した場合、該湯水は、排水口1aから排水口本体1内部、継手部材6、トラップ配管Tを介し、下水側に排出される。
この状態から吐水金具K1に備えたツマミ部4aに、奥側に回転させる操作を行うと、ツマミ部4aと進退軸3bとに組み込まれたネジ機構により、進退軸3b及びインナーワイヤ5bがツマミ部4a側に後退し、弁軸2bの下端位置に配置されたロッド部5cが降下し、弁軸2b下端の支持が失われて弁体2a、弁軸2bが共に降下し、弁体2aが排水口1a周縁に当接して排水口1aが閉口され、
図6(b)の状態に戻る。
以降、操作部3のツマミ部4aに回転操作を行うことで、排水口1aを弁体2aから離間した位置にて、遠隔操作により開閉することができる。
【0019】
上記第一実施例においては、遠隔操作式排水栓装置の操作部3の操作体4と操作伝達部材であるレリースワイヤ5との接続箇所を、操作部本体9となる吐水金具Kを取り付けた、台座部分C1上面よりも表側に設けたことで、吐水金具Kの管体部分を中心として、吐水操作用ハンドルHの対称位置に、吐水操作用ハンドルHと同じ形状の操作用のツマミ部4aを配置することができ、意匠性を向上することができた。
また、吐水を操作するための吐水操作用ハンドルHとツマミ部4aとは、共に回転操作によって操作を行うことで、使用感も違和感のない良好なものとすることができた。
また、吐水金具Kを操作部本体9としたことで、操作部本体9を取り付けるための開口を金具取付孔C3と兼用することができ、別途操作部本体9を取り付けるため専用の開口を設ける必要が無くなった。
これにより、操作部本体9を取り付けるため専用の開口の無い洗面ボウルBやキャビネットCでも遠隔操作式排水栓装置を利用することができるようになり、洗面ボウルBの選択の幅が広がった。
【0020】
次に、本発明の第二実施例について、図面を参照しつつ説明する。
本発明の第二実施例は、操作部3の構成以外は第一実施例と同様であるため、相違する操作部3の構成のみ以下に説明し、その他の構成の説明については省略する。
図8及び
図9に示した、第二実施例の遠隔操作式排水栓装置の操作部3は、以下に記載する、機構部7、ボタン部4d、ワイヤ固定部3c、から構成される操作体4と、第一実施例と同様の、操作部本体9としての吐水金具Kとから構成される。
機構部7は、軸状のロック軸7aと、該ロック軸7aをその内部に収納する筒状の機構本体部7bからなり、ロック軸7aに押し操作を行う都度、ロック軸7aを前進させて固定/固定を解除し応力によってロック軸7aを後退、を繰り返すスラストロック機構と呼ばれる機構を内蔵してなる。
ボタン部4dは円盤状の部材であって、その中央部分にロック軸7aが嵌合接続されるように構成されてなる。
ワイヤ固定部4cは、略円筒形状を成す部材であって、機構部7及びアウターチューブ5a端部を、機構部7のロック軸7a端部にインナーワイヤ5b端部が対向する位置となるよう固定した上で、操作体接続口K1に固定される。また、ボタン部4dや機構部7の側面方向を覆い隠す筒形状部分を備えてなる。該筒形状部分は、吐水金具Kの管体部分を中心として、吐水操作用ハンドルHの対称位置に、吐水操作用ハンドルHと同じ形状に構成されてなり、操作部3の意匠性を向上することができる。
レリースワイヤ5のアウターチューブ5a端部は、ワイヤ固定部4cに固定され、該ワイヤ固定部4cが吐水金具Kに設けられた操作体接続口K1に固定されることで、操作体接続口K1に対して固定される。
またレリースワイヤ5には、図示しないが、インナーワイヤ5bを操作部3側に付勢する戻りスプリングを備えてなる。
この第二実施例では、円盤形状のボタン部4dに機構部7のロック軸7aの一端が固定され、機構部7のロック軸7aの他端はインナーワイヤ5b端部が当接するように接続されてなる。また、機構部7の機構本体部7bは、ワイヤ固定部4cを介して吐水金具Kに固定されてなる。
上記以外の構成は、第一実施例と同じである。
この第二実施例の構成において、吐水金具Kは操作部本体9であり、操作部本体9の取付面とは台座部分C1の上面であり、本実施例の操作部本体9の取付面の表側とは台座部分C1上面よりも上方となる側である。また、第二実施例の操作体4と操作伝達部材の接続箇所とは、ロック軸7aとインナーワイヤ9の接続箇所である。この実施例では、戻りスプリングの作用によってインナーワイヤ5bが操作部3側に付勢され、結果操作体4の一部であるロック軸7aに常時当接する形で接続されている。従って、第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、台座部分C1上面よりも上方でロック軸7aがインナーワイヤ5bに接続(当接)されているから、第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、操作伝達部材と操作体との接続箇所を操作部取付面よりも表側に設けてなる遠隔操作式排水栓装置である。
【0021】
この第二実施例の遠隔操作式排水栓装置を使用する場合、まず
図8(b)のように、弁部材2の弁体2a、弁軸2bが降下し、排水口1aが閉口した状態とする。この時、
図8(a)のように、インナーワイヤ5bはボタン部4d側に後退し、ロッド部5cは降下している。
この状態から操作体4のボタン部4dに押し操作を行うと、スラストロック機構が作動して、
図9(a)に示したように、ロック軸7aとロック軸7aに当接して接続されているインナーワイヤ5bが排水口1a側に前進した状態で固定される。
インナーワイヤ5bが前進することでロッド部5cが上昇し、弁軸2bと弁体2aを押し上げることで排水口1a周縁から弁体2aが離間し、
図9(b)に示したように排水口1aが開口する。
この状態からボタン部4dに再度押し操作を行うと、スラストロック機構の固定が解除され、弁体4a、弁軸4bの自重や、戻りスプリングの作用によってインナーワイヤ5bが操作体4側に後退し、弁体2aと弁軸2bも降下して、弁体2aが排水口1a周縁を覆うことで排水口1aが閉口する。
以降、ボタン部4dに押し操作を行うことで、排水口1aを弁体2aから離間した位置にて、遠隔操作により開閉することができる。
【0022】
本発明の実施例は以上のようであるが本発明は上記実施例に限定される物ではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記各実施例では、遠隔操作式排水栓装置の操作部3は、吐水金具Kの横側面に配置する構成であったが、
図10及び
図11に示した実施例のように、軸部分を備えたツマミ部4aと、レリースワイヤ5のアウターチューブ5aを固定するワイヤ固定部4cと、からなる操作体4を、吐水金具Kの前面に水平方向に配置し、ツマミ部4aを前後に進退するように構成し、インナーワイヤ5b端部をツマミ部4aの軸部分に接続して、操作体であるツマミ部4aの押し引きでインナーワイヤ5bを進退させるように構成しても良い。この
図10及び
図11に示した実施例では、ツマミ部4aを奥側に押し込むとインナーワイヤ5bが前進してロッド部5cが弁軸5aを押し上げ、弁体2aと弁軸2bが上昇して弁体2aが排水口1a周縁から離間して排水口1aを開口し、ツマミ部4aを手前側に引き出すとインナーワイヤ5bが後退してロッド部5cが降下し、弁軸2bが支えを失って降下することで、弁体2aと弁軸2bが降下することで、弁体2aが排水口1a周縁に当接して排水口1aを閉口する。
図10及び
図11の実施例において、吐水金具Kは操作部本体9であり、操作部本体9の取付面とは台座部分C1の上面であり、
図10及び
図11の実施例の操作部本体9の取付面の表側とは台座部分C1上面よりも上方となる側である。また、
図10及び
図11の実施例の操作体4と操作伝達部材の接続箇所とは、ツマミ部4aとインナーワイヤ5bとの接続箇所である。従って、台座部分C1上面よりも上方でツマミ部4aがインナーワイヤ5bに接続されているから、
図10及び
図11の実施例の遠隔操作式排水栓装置は、操作伝達部材と操作体4との接続箇所を操作部取付面よりも表側に設けてなる遠隔操作式排水栓装置である。
この実施例では、操作体4であるツマミ部4aの配置位置は吐水金具Kの前面であるが、上下に伸びる吐水金具Kの管体部分に対し、操作体4であるツマミ部4aの配置、及び操作の方向は前後方向であるため、操作体4の操作が吐水金具Kに干渉されることはなく、操作をスムーズに行うことができる。
【0023】
また、上記各実施例は、全て洗面台に採用された遠隔操作式排水栓装置であるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、浴槽、流し台等、どのような槽体に採用しても構わない。
また、上記実施例では操作部3は全て吐水金具Kによって兼用されているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、
図12及び
図13に示した操作部本体9のように、吐水金具と操作部本体9と別体とした構成としても良い。この
図12及び
図13の実施例では、操作部本体9を垂直面である垂直パネルPに取り付け、この垂直パネルPよりもツマミ部4a側に、ツマミ部4aとレリースワイヤ5のインナーワイヤ5bとの接続箇所を設けてなる。
図12及び
図13の実施例において、操作部本体9の取付面の表側とは垂直パネルPに対してツマミ部4aを有する側(
図12における左側)である。また、
図12及び
図13の実施例の操作体4と操作伝達部材の接続箇所とは、ツマミ部4aとインナーワイヤ5bとの接続箇所である。従って、操作部本体9の取付面である垂直パネルP表面よりも表側でツマミ部4aがインナーワイヤ5bに接続されているから、
図12及び
図13の実施例の遠隔操作式排水栓装置の操作部3は、操作伝達部材と操作体4との接続箇所を操作部取付面よりも表側に設けてなる遠隔操作式排水栓装置である。尚、
図12のように、ツマミ部4aが上昇している時、排水口1aは例えば
図6(b)のように閉口しており、
図13のように、ツマミ部4aが降下している時、排水口1aは
図7(b)のように開口する。
【符号の説明】
【0024】
1 排水口本体 1a 排水口
1b フランジ部 2 弁部材
2a 弁体 2b 弁軸
2c ガイド部 3 操作部
4 操作体 4a ツマミ部
4b 進退部 4c ワイヤ固定部
4d ボタン部 5 レリースワイヤ
5a アウターチューブ 5b インナーワイヤ
5c ロッド部 5d キャップ部材
6 継手部材 6a 直管部
6b 挿通部 7 機構部
7a ロック軸 7b 機構部本体
8 支持部材 9 操作部本体
B 洗面ボウル B1 槽体部分
B2 側壁部 B3 取付孔
C キャビネット C1 台座部分
C2 配管開口部 C3 金具取付孔
H 吐水操作用ハンドル K 吐水金具
K1 操作体接続口 N 板ナット部材
P 垂直パネル T トラップ配管
【手続補正書】
【提出日】2021-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口を、排水口から離間した位置に設けた操作部への操作により開閉する遠隔操作式の排水栓装置に関するものであり、更に詳しくは、遠隔操作式排水栓装置の操作部の構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴槽や洗面ボウルなどの槽体の内部に生じた排水を処理するため、槽体の底面等に排水口を設け、この排水口から配管部材を介し、下水側に排水を排出する方法が広く知られている。また、排水口を覆うように弁体を配置することで槽体内に水を溜めると共に、弁体を上昇させて排水口から離間させることで排水口を開口する方法があるが、この弁体の昇降による排水口の開閉を、弁体や排水口から離間した位置、例えば槽体の縁部や槽体側面の上方に設けた操作部への操作によって行う遠隔操作式排水栓装置が知られている。
広く知られた遠隔操作式排水栓装置としては、特許文献1に記載のような、槽体の底面に設けられた排水口と、この排水口の上方に配置された弁体と、弁体から離間した位置にある操作部と、からなり、操作部に操作を行うことで、遠隔操作により排水口を開閉するような遠隔操作式排水栓装置が知られている。
詳述すると、特許文献1に記載の遠隔操作式排水栓装置は、筒状にして上縁に排水口を備えた排水口本体と、排水口本体の内部であって、排水口の直下となる位置に取り付けられる、ロック軸と呼ばれる軸部と、ロック軸を内部に収納する筒状の機構本体部と、から構成される機構部と、下面中央にロック軸を接続する、排水口を開閉する円盤状の弁体と、排水口本体の下端に接続される、後述するレリースワイヤを挿通する挿通部を備えた継手部材と、押し操作を行うツマミ部を備えた軸状の操作体と、操作体の操作を伝達する操作伝達部材としての筒状のアウターチューブ、該アウターチューブ内を進退するインナーワイヤ、からなるレリースワイヤと、から構成されてなる。
尚、インナーワイヤ及びレリースワイヤは、側面方向に可撓性を、軸方向に剛性を、それぞれ備えてなる。
機構部はスラストロック機構と呼ばれる構成を備え、施工完了時、レリースワイヤがロック軸を動作させるように構成されてなり、操作体に押し操作が行われる都度、ロック軸を上昇した状態で固定/固定を解除しロック軸を降下、を交互に繰り返すように構成されてなる。
また、この従来例では、施工性を向上させる等の目的のため、操作部本体と呼ばれる操作体用のガイド部材を設けることなく、槽体に吐水を行う吐水金具の一部、背面側にガイド用の開口となる操作用貫通孔(ガイドカラム)を設け、この操作用貫通孔に操作体を進退自在に配置して構成してなる。即ち吐水金具を操作部本体として構成している。これらの遠隔操作式排水栓装置が施工される槽体としての浴槽は、上方が開口すると共に、底面には排水口本体を取り付ける取付孔を、開口上縁の近傍の浴槽のフランジ部、又は浴槽デッキ部には吐水金具を取り付ける金具取付孔を、それぞれ備えてなる。
【0003】
上記の各部材からなる遠隔操作式排水栓装置は、以下のようにして槽体である浴槽に施工される。
まず、浴槽の取付孔に排水口本体を、金具取付孔に吐水金具を、それぞれ取り付ける。
次に、継手部材の枝管部からレリースワイヤの一端を挿通し、更に上流側端部からレリースワイヤを引き上げた上で、機構部にレリースワイヤを接続する。
この接続により、インナーワイヤがアウターチューブ内を進退して機構部のロック軸を作動させる都度、機構部が、ロック軸を上昇した状態で固定/固定を解除しロック軸を降下、を交互に繰り返すことができるようになる。次に、継手部材の上流側の端部を排水口本体の下端に接続する。
次に、吐水金具の操作用貫通孔に操作体を挿通する。次に、レリースワイヤの他端を操作体、及び操作部本体である吐水金具に接続する。この接続の際には、インナーワイヤ端部を操作体の下端に、アウターチューブ端部を吐水金具に、それぞれ接続固定する。
更に、弁体を機構部のロック軸に接続して、従来例の遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
【0004】
上記のように構成した遠隔操作式排水栓装置を使用する場合、まず弁体を降下させ、弁体が排水口を閉塞した状態とする。この時、ロック軸は固定を解除されて降下した位置にある。
この状態から操作体のツマミ部に押し操作を行うと、操作体が押し込まれることでインナーワイヤがアウターチューブ内を排水口側に向けて前進し、機構部のロック軸がインナーワイヤに押し上げされて上昇すると共に、機構部がロック軸を上昇させた状態で固定する。
このため、ロック軸先端に備えられた弁体も上昇して排水口から離間し、排水口が開口した状態で固定される。浴槽内に湯水があった場合、湯水は排水として排水口から排水口本体内部、継手部材内部を介し、下水側の配管に排出される。
操作部のツマミ部に再び押し操作を行うと、インナーワイヤを介して再びロック軸に押し操作が伝達され、ロック軸の上昇した状態の固定が解除され、ロック軸は自重等によって降下する。これに伴い弁体も降下し、弁体が排水口に当接する位置まで移動して排水口を閉塞する。
以降、操作部のツマミ部に押し操作を行うことで、排水口を弁体から離間した位置にて、遠隔操作により開閉することができる。
また、この従来例では、吐水金具に操作体を配置する操作用貫通孔を設けることで、別途操作体の受け部材としての操作部本体を別途用意したり、この操作部本体を槽体近傍に配置するための操作部本体用の貫通孔を設ける必要がなくなり、穴開けの加工や取り付けの手間を省略することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の遠隔操作式排水栓装置においては、操作体は端部にツマミ部を設けた棒状の部材からなり、上端は操作のため吐水金具上に配置され、下端は操作を伝達する操作伝達部材としてのレリースワイヤを接続するように構成されている。
このため、操作体は、吐水金具を取り付けた浴槽のフランジ部やデッキ部に設けられた金具取付孔を、上下に貫通するように配置される。
ここで、操作体を、吐水金具のどの位置に配置するかを考えると、吐水金具の正面には吐水口があり、上下方向に配置される操作体は吐水口に干渉する。このため、操作体は吐水金具の正面に配置できない。
また、吐水金具の左右には吐水口からの吐水の開閉や水量調整のための吐水操作用ハンドルがあり、上下方向に配置される操作体は、吐水操作用ハンドルに干渉する。このため、操作体は吐水金具の側面にも配置できない。片側だけに吐水操作用ハンドルを備えた吐水金具もあるが、この場合吐水操作用ハンドルとツマミ部とのデザインが大きく異なるし、操作の方向も吐水操作用ハンドルが回転操作であるのに対し操作体は上下に押し引き操作、又は押し操作であり、形状も操作方法も全く異なるため、大変に意匠性・操作性が悪くなる、という問題があった。
結果として、吐水金具に操作体を配置する場合には、吐水金具の背面側に操作体を配置するしかなく、遠隔操作式排水栓装置の使用者からは、吐水金具の本体部分を迂回して背後に手を伸ばす必要があるため、扱いづらいものとなっていた。
また、吐水金具は少なくとも取付位置から上方に向かって延出し、反転して吐水口側の端部が下方を向く構造であり、吐水金具と操作体は、共に金具取付孔から上下方向に配置されることとなる。このように、吐水金具と操作体は共に金具取付孔から上方に延出しているため、操作体に操作を行おうとすると吐水金具が障害になる構成であった。
操作体を吐水金具とは別の位置に配置して操作するようにすれば、上記したような問題は解決するが、その場合には、浴槽のフランジ部、又は浴槽デッキ部等に金具取付孔とは別に操作部用の孔を設ける必要がある。
この場合には、浴槽、洗面台など槽体やデッキ部等に対して、事前に遠隔操作式排水栓装置を使用することを前提として加工を行う必要があり、設計や施工の際の手間が増すことになる。
【0007】
また、近年、洗面台においては、ベッセル式と呼ばれる、洗面ボウルの槽体の大部分、少なくとも全高の8割程度の高さ部分が、洗面ボウルを設置する台座の上面上に位置する構造の洗面台が増加している。
従来の洗面台は、台座に設けた開口に対して、洗面ボウルの槽体部分は台座の上面よりも下方に配置され、槽体周縁に設けたフランジ部が台座の開口に係止される、埋め込み式と呼ばれる構造や、台座上に設けた開口の下方に洗面ボウルの開口が配置され、洗面ボウルの槽体部分は全て台座の上面(カウンター)の下方に配置されるアンダーカウンター式と呼ばれる構造であったことに対し、ベッセル式の洗面台では、洗面ボウルは槽体部分を含め、そのほぼ全体が台座上に配置され、台座上面よりも下方に配置される部分は無いか、あるいは、槽体の下端にある排水口とその近傍のみ台座上面よりも下方に配置される構造である。このベッセル式の洗面台の場合、槽体部分のほとんどが台座の上面よりも上方に配置されるため、埋め込み式やアンダーカウンター式に比べると、洗面ボウル部分の選択や配置位置の自由度が高い。
詳述すると、埋め込み式やアンダーカウンター式では、台座の開口と洗面ボウルの開口を合致させる必要があるため、設計段階から台座と洗面ボウルの両者を調整する必要があるのに対し、ベッセル式では単に台座上に槽体部分含め洗面ボウルを載置するだけの構造であり、台座の開口と洗面ボウルの開口を正確に合致させる必要等が無い。このため、使用者の好みに合わせて洗面ボウルを自由に選択することができるという長所を有するが、一方で、操作部用の孔をどのように形成するか、という点が問題となる。操作部用の取付孔を洗面ボウルと台座の両方が備えるとどちらか一方の孔は開口したままとなり、意匠性が悪いなどの問題がある。一方、操作部用の取付孔を洗面ボウルと台座の両方が備えない場合には遠隔操作式排水栓装置の採用自体が困難になる。操作部用の孔の無い洗面ボウルを採用し、操作部用の孔の無い台座にドリルなどで孔を設ける等も考えられるが、台座がタイルなどの陶器であればこれらの方法は採用できない場合もある。
本発明は上記問題点に鑑み発明されたものであって、遠隔操作式排水栓装置において、操作部の配置や構成、操作方法の自由度を高め、特に吐水金具に操作部を配置する時にその使用感を向上する遠隔操作式排水栓装置に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の本発明は、操作部と、
操作部への操作に応じて開閉する槽体の排水口と、操作部の操作を排水口側に伝達する操作伝達部材と、からなる遠隔操作式排水栓装置において、
操作部を、
槽体または槽体近傍に設けた操作部取付面に取り付け固定される操作部本体と、
操作部にガイドされた状態で動作することにより排水口の開閉操作を行う操作体と、から
構成すると共に、
操作伝達部材と操作体との接続箇所を、
操作部取付面よりも表側に設けたことを特徴とする遠隔操作式排水栓装置である。
尚、ここで言う「操作部取付面よりも表側」とは、使用者が、通常に遠隔操作式排水栓装置を使用する場合に、操作部を操作する箇所に近い側を指し示す表現である。
例えば、槽体の内側側面に操作部を取り付け、槽体の内側から操作を行う場合は、槽体の内面側が表側であり、槽体の外側側面に操作部を取り付け、槽体の外側から操作を行う場合は、槽体の外面側が表側であり、槽体の開口の周囲の水平面や槽体を載置した台座上など、槽体の周囲の略水平面の近傍に作部を取り付け、槽体の上方から操作を行う場合は、槽体開口周縁の上面側が表側であり、槽体の近傍に備えた垂直なパネルなど垂直面に操作部を取り付け、垂直面の前面から操作を行う場合は、垂直面の前面(手前面)側が表側となる。
【0009】
請求項2に記載の本発明は、操作部本体を、槽体の吐水金具としたことを特徴とする請求項1に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
尚、ここで言う「操作部取付面」は、操作部本体となる吐水金具の取付面となる。
【0010】
請求項3に記載の本発明は、上記遠隔操作式排水栓装置の操作部を、槽体の大部分を台座上に載置する構成の排水機器の吐水金具に設けたことを特徴とする、請求項2に記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0011】
請求項4に記載の本発明は、操作伝達部材を、筒状のアウターチューブと、該アウターチューブ内を進退するインナーワイヤと、から構成されるレリースワイヤによって構成したことを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0012】
請求項5に記載の本発明は、操作体を回転ハンドルとし、回転ハンドルの操作により排水口の開閉を行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【0013】
請求項6に記載の本発明は、操作体をボタン部とし、ボタン部の押し操作毎に排水口を開口/排水口を閉口、を交互に繰り返すことで排水口の開閉を行うことを特徴とする、請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の遠隔操作式排水栓装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の本発明では、遠隔操作式排水栓装置の操作部の操作体と操作伝達部材の接続箇所を、操作部を取り付けた面よりも表側に設けたことで、操作体の配置レイアウトや操作方法に自由度を増すことができた。具体的には、例えば操作部を取り付けた面に対して水平方向に操作体を配置し、且つ操作部を取り付けた面に対して水平方向に操作体を移動させて操作部の操作を行う、等の、操作体を操作部取付孔に向けて配置し、または操作する必要がなくなり、配置や操作方法の自由度を高めることができる。
請求項2に記載の本発明では、遠隔操作式排水栓装置の操作部を、吐水金具とすることで、操作部の為に操作部取付孔を追加で設ける必要が無くなった。また従来の吐水金具を操作部とした場合では、操作体は、吐水金具と同様に金具取付孔から上方に向かうように配置する必要があり、吐水金具が操作体の障害となる構成とすることしかできなかったが、本発明においては、操作体と操作伝達部材との接続箇所を、操作体を取り付けた面よりも表側に配置することで、操作体の配置・操作方法の自由度が増した。例えば、吐水金具の横側面に、回転ハンドル式の操作体を配置したり、吐水金具の正面側に操作体を配置し、操作部取付面に対して平行となる方向に押し引きする等、任意の位置、任意の方向、任意の操作方法にて操作体を配置でき、吐水金具が障害とならない操作体と操作方法、とすることができる。
請求項3に記載の本発明では、ベッセル式等、槽体の大部分が、槽体を設置する台座の上面上に位置する構造の排水機器において、吐水金具に操作部を設けたことで、槽体又は台座のいずれに操作部を配置するか、といった当該構造の槽体を採用した場合に生じる操作部本体の取り付け構造の問題を解消することができる。
請求項4に記載の本発明においては、操作伝達部材の構成を明確化できる。
請求項5に記載の本発明においては、操作部の操作方法を明確化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第一実施例の洗面台の施工状態を示す正面方向の断面図である。
【
図2】第一実施例の洗面台の施工状態を示す側面方向の参考図である。
【
図3】第一実施例の吐水金具及び操作部を示す、一部を切欠きした参考図である。
【
図4】
図3の操作部の部材構成を示す参考図である。
【
図5】第一実施例の排水口近傍の部材構成を示す断面図である。
【
図6】第一実施例の閉口状態の(a)操作部(b)排水口を示す参考図である。
【
図7】第一実施例の開口状態の(a)操作部(b)排水口を示す参考図である。
【
図8】第二実施例の閉口状態の(a)操作部(b)排水口を示す参考図である。
【
図9】第二実施例の開口状態の(a)操作部(b)排水口を示す参考図である。
【
図10】他の実施例の閉口状態の操作部を示す参考図である。
【
図11】
図10の実施例の開口状態の操作部を示す参考図である。
【0016】
以下に、本発明の第一実施例について、図面を参照しつつ説明する。尚、以下の各実施例への説明においては、レリースワイヤ5のインナーワイヤ5bが排水口1a側に移動することを「前進」、操作部3側に移動することを「後退」として記載する。また、本実施例の説明における「上」「下」「右」「左」は、
図1の図示に基づいて記載する。また、本実施例では、吐水金具Kを図示してなるが、吐水金具K内部の図示は参考図であり、発明に直接関係しない給水側の配管など給水配管の機構については図示を省略するものである。
図1乃至
図7に示した、本発明の第一実施例の排水栓装置は、槽体としての洗面台の洗面ボウルBに採用される遠隔操作式の排水栓装置であって、以下に記載する、排水口本体1、継手部材6、
操作体4、操作部3、弁部材2、操作伝達部材としてのレリースワイヤ5、板ナット部材N、トラップ配管T等の部材より構成される。
洗面台は、以下に記載する、ベッセル式と呼ばれる形態の洗面ボウルBと、該洗面ボウルBを載置する箱状のキャビネットCと、から構成される。
洗面ボウルBは、上方が開口した箱体からなる槽体部分B1と、槽体の開口周縁から下方に向けて垂下された側壁部B2を備えた槽体であって、槽体部分B1の底面に排水口本体1を取り付けるための取付孔B3を備えてなる。また、側壁部B2の下端は、槽体部分B1の排水口1a近傍の底面よりも若干だけ高い位置にある。このため、
図1、
図2に示したように、キャビネットCの上面の
台座C1上面に洗面ボウルBを載置した場合、槽体部分B1の大部分、具体的には、洗面ボウルBの全高の約8割程度の部分が、
台座C1の上面よりも上方に配置される。
キャビネットCは、正面方向に開閉式の扉を備え、上方には洗面ボウルBを載置するための板状の
台座C1を備えた箱体である。
台座C1の中央と、キャビネットCの下方にそれぞれ排水配管を配置、又は通すための配管開口部C2を備えてなる。また、本実施例のキャビネットCでは、
台座C1に、配管開口部C2とは別に、吐水金具Kを配置するための金具取付孔C3を上面に備えてなる。
排水口本体1は略円筒形状を成す部材であって、上端の開口部分に排水口1aを、排水口1aから連続する円筒の内部部分には排水の流路を、それぞれ形成してなる。また、その上端部分外周側には、側面方向に突出するフランジ部1bを、フランジ部1bの下方側面には雄ネジを設けてなる。
継手部材6は排水口本体1に接続される配管部材であって、上端にナット部材を備えた直管部6aと、該直管部6aの側面に設けた、後述するレリースワイヤ5を挿通する枝管部分である挿通部6bと、から構成され、その直管部6aの上端に、後述する支持部材8を嵌合固定するように構成されてなる。
支持部材8は継手部材6の直管部6a上端に嵌合される部材であって、後述するレリースワイヤ5のアウターチューブ5a端部を固定すると共に、施工完了時インナーワイヤ5b端部を、弁部材2の下端位置に配置するように構成されてなる。
レリースワイヤ5は、円筒形状にして、軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えたアウターチューブ5aと、該アウターチューブ5a内を進退する、軸方向に剛性を、側面方向に可撓性を備えた金属の縒り線からなるインナーワイヤ5bと、インナーワイヤ5bの弁部材2側端部に備えられた硬質な棒状のロッド部5cと、アウターチューブ5aが貫通した状態で、挿通部6b端部を水密的に閉塞するキャップ部材5dと、から構成されてなる。
操作部3は、以下に記載する、操作部本体9としての吐水金具Kと、操作体4と、から構成されてなる。尚、操作部本体9は洗面台や洗面台の近傍の壁面など、排水機器に固定される部材であり、操作体4は操作部本体9によって進退や回転等の動作方向をガイドされ、使用者が操作することで少なくともその一部が進退、回転等、動作を行う部材である。
操作部本体9を兼ねる吐水金具Kは、
図2のように、側面視逆Jの字形状を成す金属材からなる管体であって、下端部分はキャビネットCの金具取付孔C3に固定され、また給水側の配管に接続されることで、洗面ボウルB側端部より吐水を行うように構成されてなる。
また、本実施例の吐水金具Kは、
図1、
図3の向かって右側に、回転軸を水平方向とした、円筒状の回転式の吐水操作用ハンドルHを備えてなる。この吐水操作用ハンドルHを回転させることで、吐水金具Kから吐水される吐水の流量や温度を調整することができる。
また、本実施例の吐水金具Kは、
図1、
図3の向かって左側であって、吐水金具Kを中心として吐水操作用ハンドルHの対称となる位置に、回転軸を水平方向とした、排水口1aを開閉するための回転ハンドル式のツマミ部4aを備えた操作体4と、該操作体4を接続するための操作体接続口K1を備えてなる。
操作体4の構成について以下に詳述する。
本実施例の操作体4は、以下に記載するツマミ部4a、進退部4b、ワイヤ固定部4cから構成される。
ツマミ部4aは、一端を閉塞した円筒形状の部材であってその内部に雌ネジを形成してなる。
進退部4bは、ツマミ部4a内部に収納される断面視凸形状を成す部材であって、その外周部分の一部にツマミ部4aの雌ネジと螺合する雄ネジを備えてなると共に、インナーワイヤ5b端部と接続されるように構成されてなる。
ワイヤ固定部4cは、略円筒形状を成す部材であって、アウターチューブ5a端部を固定すると共に、操作体接続口K1に固定され、またツマミ部4aを回転自在且つ軸方向に移動不可能に取り付けると共に、進退部4bの一部、凸形状の先端部分を、軸方向に進退可能、且つ回動不可能に収納する。
また、レリースワイヤ5のアウターチューブ5a端部は、ワイヤ固定部4cに固定され、該ワイヤ固定部4cが吐水金具Kに設けられた操作体接続口K1に固定されることで、操作体接続口K1に対して固定される。
施工完了時、操作体4は、吐水金具に設けられた操作体接続口K1に対し、ワイヤ固定部4cは固定される。
また、ツマミ部4aはワイヤ固定部4cに回転可能且つ軸方向には移動不可能に接続される。また、進退部4bは雄ネジがツマミ部4aの雌ネジに螺合し、且つ一部がワイヤ固定部4cに回動不可能且つ軸方向には進退可能に接続される。
このように構成、接続されるため、施工完了時、ツマミ部4aを回転させると、ネジ構造によって、進退部4b及びインナーワイヤ5bは弁部材2の方向に前進、又はツマミ部4a側に後退する動作を行う。この実施例においては、ツマミ部4aを手前側に回転させると進退部4b及びインナーワイヤ5bが前進して排水口1aが開口し、奥側に回転させると進退部4b及びインナーワイヤ5bが後退して排水口1aが閉口するように構成されている。
弁部材2は、円盤状にして排水口1aを閉塞する弁体2aと、弁体2aの中央下方から垂下される弁軸2bと、該弁軸2bに備えられた、弁体2aが傾くことを防止するガイド部2cと、から構成されてなる。
また、その他の部材として、排水口本体1の雄ネジに螺合する雌ネジを備えた板ナット部材Nと、継手部材6下端から床下配管までを接続する、管体をS字形状に屈曲させることで封水部を形成するトラップ配管Tを備えてなる。
【0017】
上記のように構成された洗面台、及び遠隔操作式排水栓装置を用いた排水配管は、以下のようにして施工される。
尚、各部材の接続箇所においては、特に明記しない場合でも、必要に応じて適宜パッキングや接着などの方法によって水密的な接続が行われる。
まず、洗面ボウルBをキャビネットCの上面の
台座C1上に載置し、固定する。この時には、
台座C1上に設けた配管開口部C2に、洗面ボウルBの槽体部分B1の取付孔B3近傍の底面が配置されるようにする。
洗面ボウルBの側壁部B2の下端は、槽体部分B1の排水口1a近傍の底面よりも若干だけ高い位置にあるため、上記のようにキャビネットCの
台座C1上に洗面ボウルBを配置することで、
図1、
図2に示したように、洗面ボウルBの大部分、具体的には全高の約8割程度の部分が、
台座C1よりも上方に配置されるようになる。
次に、アウターチューブ5aの操作部3側の端部を、ワイヤ固定部4cに固定した上で、インナーワイヤ5bを引きだし、操作体4の進退部4bに接続する。接続後、進退部4bの先端部分を、ワイヤ固定部4cに挿入した上で、ワイヤ固定部4cを操作体接続口K1に取り付け固定する。
次に、操作部3の一部であるツマミ部4aを進退部4bに螺合させつつ、ワイヤ固定部4cに接続する。
この接続により、通常の使用では、ツマミ部4aはワイヤ固定部4c及び操作体接続口K1に対し、回転可能且つ軸方向には移動不可能に、進退部4bは操作体接続口K1に対し、回転不可能且つ軸方向には進退可能に、それぞれ接続される。
尚、通常の使用とは異なる場合、例えばメンテナンス等のため部材を着脱する必要がある場合等は、意図的に強く外方向にツマミ部4aを引き出すことで、接続を解除し、ツマミ部4aや進退部4bを吐水金具
Kから取り外すことができる。
次に、キャビネットCの
台座C1
上の金具取付孔C3に、吐水金具Kを取り付ける。この際には、金具取付孔C3を介して、吐水金具Kの吐水用の配管の端部や、レリースワイヤ5がキャビネットC内部に配置されるようにする。
次に、洗面ボウルBの取付孔B3に排水口本体1を挿通し、更に板ナット部材Nを螺合させて、洗面ボウルBの取付孔B3周縁を、フランジ部1bと板ナット部材N上面とで挟持することで、排水口本体1を洗面ボウルBに取り付ける。
次に、インナーワイヤ5
bの排水口1a側の端部を、継手部材6の挿通部6bから挿通し、直管部6aの上端側から引き出した上で、支持部材8にレリースワイヤ5のアウターチューブ5a端部を接続固定させる。
次に、支持部材8を直管部6aの上端部分に嵌合させた上で、キャップ部材5dによって挿通部6b端部を閉塞する。
次に、継手部材6の直管部6aの上流側端部を排水口本体1の下端に接続し、更に継手部材6の下流側端部にはトラップ配管Tを接続する。またトラップ配管Tの下流側端部は下水側に繋がる床下配管に接続する。
更に、排水口1aから排水口本体1内部に弁部材2を配置して、本実施例の洗面台と洗面台用の遠隔操作式排水栓装置の施工が完了する。
上記の構成において、吐水金具Kは操作部本体9であり、操作部本体9の取付面とは
台座C1の上面であり、本実施例の操作部本体9の取付面の表側とは
台座C1上面よりも上方となる側である。また、本実施例の操作体4と操作伝達部材の接続箇所とは、進退部4bとインナーワイヤ5bの接続箇所である。従って、
台座C1上面よりも上方で進退部4bがインナーワイヤ5bに接続されていることから、本実施例の遠隔操作式排水栓装置は、操作伝達部材と操作体
4との接続箇所を操作部取付面よりも表側に設けてなる遠隔操作式排水栓装置である。
【0018】
以下に、上記実施例の洗面台の使用方法を説明する。
吐水金具により洗面ボウル内部に吐水を行いたい場合、
図1、
図3の向かって右側の吐水操作用ハンドルHを回転させることで、吐水金具Kから吐水の流量や温度を調整しつつ、吐水を行うことができる。
また、遠隔操作により排水口1aを開閉する場合、まず
図6(b)のように、弁本体を降下させ、弁体2aが排水口1a周縁に当接して排水口1aを閉塞した状態とする。この時、進退部4b及びインナーワイヤ5
bは、
図6(a)のように、ツマミ部4a側に後退した位置にある。
この状態から吐水金具Kに備えた操作体4のツマミ部4aに、手前側に回転させる操作を行うと、ツマミ部4aと進退
部4bとに組み込まれたネジ機構により、
図7(a)のように、進退
部4b及びインナーワイヤ5bが排水口1a側に前進し、弁軸2bの下端位置に配置されたロッド部5cが上昇して弁軸2bを押し上げ、結果弁軸2bと共に弁体2aが上昇して排水口1aから弁体2aが離間するので、
図7(b)のように、排水口1aが開口する。
洗面ボウルBの槽体部分B1内に湯水が存在した場合、該湯水は、排水口1aから排水口本体1内部、継手部材6、トラップ配管Tを介し、下水側に排出される。
この状態から吐水金具
Kに備えたツマミ部4aに、奥側に回転させる操作を行うと、ツマミ部4aと進退
部4bとに組み込まれたネジ機構により、進退
部4b及びインナーワイヤ5bがツマミ部4a側に後退し、弁軸2bの下端位置に配置されたロッド部5cが降下し、弁軸2b下端の支持が失われて弁体2a、弁軸2bが共に降下し、弁体2aが排水口1a周縁に当接して排水口1aが閉口され、
図6(b)の状態に戻る。
以降、操作部3のツマミ部4aに回転操作を行うことで、排水口1aを弁体2aから離間した位置にて、遠隔操作により開閉することができる。
【0019】
上記第一実施例においては、遠隔操作式排水栓装置の操作部3の操作体4と操作伝達部材であるレリースワイヤ5との接続箇所を、操作部本体9となる吐水金具Kを取り付けた、台座C1上面よりも表側に設けたことで、吐水金具Kの管体部分を中心として、吐水操作用ハンドルHの対称位置に、吐水操作用ハンドルHと同じ形状の操作用のツマミ部4aを配置することができ、意匠性を向上することができた。
また、吐水を操作するための吐水操作用ハンドルHとツマミ部4aとは、共に回転操作によって操作を行うことで、使用感も違和感のない良好なものとすることができた。
また、吐水金具Kを操作部本体9としたことで、操作部本体9を取り付けるための開口を金具取付孔C3と兼用することができ、別途操作部本体9を取り付けるため専用の開口を設ける必要が無くなった。
これにより、操作部本体9を取り付けるため専用の開口の無い洗面ボウルBやキャビネットCでも遠隔操作式排水栓装置を利用することができるようになり、洗面ボウルBの選択の幅が広がった。
【0020】
次に、本発明の第二実施例について、図面を参照しつつ説明する。
本発明の第二実施例は、操作部3の構成以外は第一実施例と同様であるため、相違する操作部3の構成のみ以下に説明し、その他の構成の説明については省略する。
図8及び
図9に示した、第二実施例の遠隔操作式排水栓装置の操作部3は、以下に記載する、機構部7、ボタン部4d、ワイヤ固定部
4c、から構成される操作体4と、第一実施例と同様の、操作部本体9としての吐水金具Kとから構成される。
機構部7は、軸状のロック軸7aと、該ロック軸7aをその内部に収納する筒状の機構本体部7bからなり、ロック軸7aに押し操作を行う都度、ロック軸7aを前進させて固定/固定を解除し応力によってロック軸7aを後退、を繰り返すスラストロック機構と呼ばれる機構を内蔵してなる。
ボタン部4dは円盤状の部材であって、その中央部分にロック軸7aが嵌合接続されるように構成されてなる。
ワイヤ固定部4cは、略円筒形状を成す部材であって、機構部7及びアウターチューブ5a端部を、機構部7のロック軸7a端部にインナーワイヤ5b端部が対向する位置となるよう固定した上で、操作体接続口K1に固定される。また、ボタン部4dや機構部7の側面方向を覆い隠す筒形状部分を備えてなる。該筒形状部分は、吐水金具Kの管体部分を中心として、吐水操作用ハンドルHの対称位置に、吐水操作用ハンドルHと同じ形状に構成されてなり、操作部3の意匠性を向上することができる。
レリースワイヤ5のアウターチューブ5a端部は、ワイヤ固定部4cに固定され、該ワイヤ固定部4cが吐水金具Kに設けられた操作体接続口K1に固定されることで、操作体接続口K1に対して固定される。
またレリースワイヤ5には、図示しないが、インナーワイヤ5bを操作部3側に付勢する戻りスプリングを備えてなる。
この第二実施例では、円盤形状のボタン部4dに機構部7のロック軸7aの一端が固定され、機構部7のロック軸7aの他端はインナーワイヤ5b端部が当接するように接続されてなる。また、機構部7の機構本体部7bは、ワイヤ固定部4cを介して吐水金具Kに固定されてなる。
上記以外の構成は、第一実施例と同じである。
この第二実施例の構成において、吐水金具Kは操作部本体9であり、操作部本体9の取付面とは
台座C1の上面であり、本実施例の操作部本体9の取付面の表側とは
台座C1上面よりも上方となる側である。また、第二実施例の操作体4と操作伝達部材の接続箇所とは、ロック軸7aとインナーワイヤ
5bの接続箇所である。この実施例では、戻りスプリングの作用によってインナーワイヤ5bが操作部3側に付勢され、結果操作体4の一部であるロック軸7aに常時当接する形で接続されている。従って、第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、
台座C1上面よりも上方でロック軸7aがインナーワイヤ5bに接続(当接)されているから、第二実施例の遠隔操作式排水栓装置は、操作伝達部材と操作体との接続箇所を操作部取付面よりも表側に設けてなる遠隔操作式排水栓装置である。
【0021】
この第二実施例の遠隔操作式排水栓装置を使用する場合、まず
図8(b)のように、弁部材2の弁体2a、弁軸2bが降下し、排水口1aが閉口した状態とする。この時、
図8(a)のように、インナーワイヤ5bはボタン部4d側に後退し、ロッド部5cは降下している。この状態から操作体4のボタン部4dに押し操作を行うと、スラストロック機構が作動して、
図9(a)に示したように、ロック軸7aとロック軸7aに当接して接続されているインナーワイヤ5bが排水口1a側に前進した状態で固定される。
インナーワイヤ5bが前進することでロッド部5cが上昇し、弁軸2bと弁体2aを押し上げることで排水口1a周縁から弁体2aが離間し、
図9(b)に示したように排水口1aが開口する。
この状態からボタン部4dに再度押し操作を行うと、スラストロック機構の固定が解除され、弁体
2a、弁軸
2bの自重や、戻りスプリングの作用によってインナーワイヤ5bが操作体4側に後退し、弁体2aと弁軸2bも降下して、弁体2aが排水口1a周縁を覆うことで排水口1aが閉口する。
以降、ボタン部4dに押し操作を行うことで、排水口1aを弁体2aから離間した位置にて、遠隔操作により開閉することができる。
【0022】
本発明の実施例は以上のようであるが本発明は上記実施例に限定される物ではなく、主旨を変更しない範囲において自由に変更が可能である。
例えば、上記各実施例では、遠隔操作式排水栓装置の操作部3は、吐水金具Kの横側面に配置する構成であったが、
図10及び
図11に示した実施例のように、軸部分を備えたツマミ部4aと、レリースワイヤ5のアウターチューブ5aを固定するワイヤ固定部4cと、からなる操作体4を、吐水金具Kの前面に水平方向に配置し、ツマミ部4aを前後に進退するように構成し、インナーワイヤ5b端部をツマミ部4aの軸部分に接続して、操作体であるツマミ部4aの押し引きでインナーワイヤ5bを進退させるように構成しても良い。この
図10及び
図11に示した実施例では、ツマミ部4aを奥側に押し込むとインナーワイヤ5bが前進してロッド部5cが弁軸
2bを押し上げ、弁体2aと弁軸2bが上昇して弁体2aが排水口1a周縁から離間して排水口1aを開口し、ツマミ部4aを手前側に引き出すとインナーワイヤ5bが後退してロッド部5cが降下し、弁軸2bが支えを失って降下することで、弁体2aと弁軸2bが降下することで、弁体2aが排水口1a周縁に当接して排水口1aを閉口する。
図10及び
図11の実施例において、吐水金具Kは操作部本体9であり、操作部本体9の取付面とは
台座C1の上面であり、
図10及び
図11の実施例の操作部本体9の取付面の表側とは
台座C1上面よりも上方となる側である。また、
図10及び
図11の実施例の操作体4と操作伝達部材の接続箇所とは、ツマミ部4aとインナーワイヤ5bとの接続箇所である。従って、
台座C1上面よりも上方でツマミ部4aがインナーワイヤ5bに接続されているから、
図10及び
図11の実施例の遠隔操作式排水栓装置は、操作伝達部材と操作体4との接続箇所を操作部取付面よりも表側に設けてなる遠隔操作式排水栓装置である。
この実施例では、操作体4であるツマミ部4aの配置位置は吐水金具Kの前面であるが、上下に伸びる吐水金具Kの管体部分に対し、操作体4であるツマミ部4aの配置、及び操作の方向は前後方向であるため、操作体4の操作が吐水金具Kに干渉されることはなく、操作をスムーズに行うことができる。
【0023】
また、上記各実施例は、全て洗面台に採用された遠隔操作式排水栓装置であるが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、浴槽、流し台等、どのような槽体に採用しても構わない。
また、上記実施例では操作部3は全て吐水金具Kによって兼用されているが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、
図12及び
図13に示した操作部本体9のように、吐水金具と操作部本体9と別体とした構成としても良い。この
図12及び
図13の実施例では、操作部本体9を垂直面である垂直パネルPに取り付け、この垂直パネルPよりもツマミ部4a側に、ツマミ部4aとレリースワイヤ5のインナーワイヤ5bとの接続箇所を設けてなる。
図12及び
図13の実施例において、操作部本体9の取付面の表側とは垂直パネルPに対してツマミ部4aを有する側(
図12における左側)である。また、
図12及び
図13の実施例の操作体4と操作伝達部材の接続箇所とは、ツマミ部4aとインナーワイヤ5bとの接続箇所である。従って、操作部本体9の取付面である垂直パネルP表面よりも表側でツマミ部4aがインナーワイヤ5bに接続されているから、
図12及び
図13の実施例の遠隔操作式排水栓装置の操作部3は、操作伝達部材と操作体4との接続箇所を操作部取付面よりも表側に設けてなる遠隔操作式排水栓装置である。尚、
図12のように、ツマミ部4aが上昇している時、排水口1aは例えば
図6(b)のように閉口しており、
図13のように、ツマミ部4aが降下している時、排水口1aは
図7(b)のように開口する。
【符号の説明】
【0024】
1 排水口本体 1a 排水口
1b フランジ部 2 弁部材
2a 弁体 2b 弁軸
2c ガイド部 3 操作部
4 操作体 4a ツマミ部
4b 進退部 4c ワイヤ固定部
4d ボタン部 5 レリースワイヤ
5a アウターチューブ 5b インナーワイヤ
5c ロッド部 5d キャップ部材
6 継手部材 6a 直管部
6b 挿通部 7 機構部
7a ロック軸 7b 機構部本体
8 支持部材 9 操作部本体
B 洗面ボウル B1 槽体部分
B2 側壁部 B3 取付孔
C キャビネット C1 台座
C2 配管開口部 C3 金具取付孔
H 吐水操作用ハンドル K 吐水金具
K1 操作体接続口 N 板ナット部材
P 垂直パネル T トラップ配管