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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022068971
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/33 20180101AFI20220428BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20220428BHJP
   F21S 43/40 20180101ALI20220428BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20220428BHJP
   F21V 7/09 20060101ALI20220428BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20220428BHJP
   F21S 43/31 20180101ALI20220428BHJP
   F21S 43/37 20180101ALI20220428BHJP
   F21S 43/19 20180101ALI20220428BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20220428BHJP
   F21W 104/00 20180101ALN20220428BHJP
【FI】
F21S43/33
F21S43/14
F21S43/40
F21V7/00 320
F21V7/00 510
F21V7/09 200
F21V7/09 500
F21V5/04 600
F21S43/31
F21S43/37
F21S43/19
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21V19/00 600
F21W104:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020177838
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 荘夫
【テーマコード(参考)】
3K013
【Fターム(参考)】
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA12
3K013CA16
(57)【要約】
【課題】複数組の発光素子およびリフレクタを備えた車両用灯具において、前後幅が狭いスペースに複数のリフレクタが配置されている場合であっても灯具の被視認性を高めるようにする。
【解決手段】各リフレクタ42の反射面42aとして、各発光素子30からの光を灯具前方へ向けて左右方向および上下方向に拡がる光として反射させる表面形状を有する凹曲面C上に、上下方向に延びる複数のシリンドリカル反射素子42sが形成された構成とする。これにより、前後幅が狭いスペースに複数のリフレクタ42を配置可能とする。また、各発光素子30からの光を各リフレクタ42の反射面42aにおいて左右方向のみならず上下方向にも拡がる光として反射させ、かつ、左右方向に関してはさらに大きく拡がる光として反射させることにより、灯具正面方向への照射光が明るくなりすぎてしまうのを効果的に抑制する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と上記発光素子からの光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタとが、灯具前後方向と交差する所要方向に複数組並んで配置された車両用灯具において、
上記各リフレクタの反射面は、上記各発光素子からの光を灯具前方へ向けて上記所要方向および上記所要方向と直交する方向に拡がる光として反射させる表面形状を有する凹曲面上に、上記所要方向と直交する方向に延びる複数のシリンドリカル反射素子が形成された構成となっている、ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
上記複数組の発光素子およびリフレクタの灯具前方側に、上記各リフレクタからの反射光を透過制御するための複数のレンズ素子を有するレンズが配置されている、ことを特徴とする請求項1記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記複数のレンズ素子は、上記所要方向に延びる複数のシリンドリカルレンズ素子で構成されている、ことを特徴とする請求項2記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記複数の発光素子は共通の基板に搭載されており、
上記複数のリフレクタは一体的に形成されている、ことを特徴とする請求項1~3いずれか記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記複数のシリンドリカル反射素子の各々の上記所要方向の断面形状を構成する曲線の曲率が、複数のリフレクタ相互間で異なる値に設定されている、ことを特徴とする請求項1~4いずれか記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複数組の発光素子およびリフレクタを備えた車両用灯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両用灯具の構成として、発光素子とこの発光素子からの光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタとが、灯具前後方向と交差する方向に複数組並んで配置されたものが知られている。
【0003】
「特許文献1」には、このような車両用灯具における各リフレクタの反射面として、各発光素子の発光中心を焦点とするとともに灯具前後方向に延びる軸線を中心軸とする回転放物面上に、複数の拡散反射素子が形成された構成となっているものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-32949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用灯具の種類によっては、車両に装着するためのスペースを十分に確保することができない場合がある。例えば、車両用灯具が装飾用として点灯するアクセサリーランプ等である場合には、前後幅が狭いスペースに複数のリフレクタを配置することが必要となる場合が多い。
【0006】
上記「特許文献1」に記載された車両用灯具において、このような構成を採用した場合には、各リフレクタの反射面の基準面となる回転放物面の焦点距離を短くすることが必要となるが、このようにした場合には灯具正面方向への照射光が明るくなりすぎてしまい、車両用灯具としての被視認性が低下してしまう。
【0007】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、複数組の発光素子およびリフレクタを備えた車両用灯具において、前後幅が狭いスペースに複数のリフレクタが配置されている場合であっても灯具の被視認性を高めることができる車両用灯具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は、各リフレクタの構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0009】
すなわち、本願発明に係る車両用灯具は、
発光素子と上記発光素子からの光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタとが、灯具前後方向と交差する所要方向に複数組並んで配置された車両用灯具において、
上記各リフレクタの反射面は、上記各発光素子からの光を灯具前方へ向けて上記所要方向および上記所要方向と直交する方向に拡がる光として反射させる表面形状を有する凹曲面上に、上記所要方向と直交する方向に延びる複数のシリンドリカル反射素子が形成された構成となっている、ことを特徴とするものである。
【0010】
上記「所要方向」は、灯具前後方向と交差する方向であれば特定の方向に限定されるものではなく、例えば水平方向や上下方向等が採用可能である。
【0011】
上記「凹曲面」は、発光素子からの光を灯具前方へ向けて上記所要方向および上記所要方向と直交する方向に拡がる光として反射させる表面形状を有するものであれば、その具体的な表面形状は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
本願発明に係る車両用灯具は、発光素子およびリフレクタが灯具前後方向と交差する所要方向に複数組並んで配置された構成となっているが、各リフレクタの反射面は、発光素子からの光を灯具前方へ向けて上記所要方向およびこれと直交する方向に拡がる光として反射させる表面形状を有する凹曲面上に、上記所要方向と直交する方向に延びる複数のシリンドリカル反射素子が形成された構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0013】
すなわち、各発光素子からの光を各リフレクタの反射面において上記所要方向のみならずこれと直交する方向にも拡がる光として反射させることができ、かつ、上記所要方向に関してはさらに大きく拡がる光として反射させることができるので、灯具正面方向への照射光が明るくなりすぎてしまうのを効果的に抑制することができる。また、灯具正面方向に対して上記所要方向に大きく傾斜した方向から車両用灯具を観察したときにも、各リフレクタの反射面が光って見えるようにすることができる。さらに、各リフレクタの反射面に形成された複数のシリンドリカル反射素子が規則的な縞模様で光って見えるようにすることができる。
【0014】
したがって、車両用灯具の構成として、前後幅が狭いスペースに複数のリフレクタが配置されている場合であっても、その被視認性を高めることができる。
【0015】
このように本願発明によれば、複数組の発光素子およびリフレクタを備えた車両用灯具において、前後幅が狭いスペースに複数のリフレクタが配置されている場合であっても灯具の被視認性を高めることができる。
【0016】
上記構成において、さらに、複数組の発光素子およびリフレクタの灯具前方側に、各リフレクタからの反射光を透過制御するための複数のレンズ素子を有するレンズが配置された構成とすれば、各リフレクタからの反射光の照射範囲を精度良く制御することができる。
【0017】
その際、複数のレンズ素子として、上記所要方向に延びる複数のシリンドリカルレンズ素子で構成されたものとすれば、灯具正面方向に対して上記所要方向と直交する方向に大きく傾斜した方向から車両用灯具を観察したときにも、各リフレクタの反射面が光って見えるようにすることができる。また、車両用灯具を観察したとき、複数のシリンドリカルレンズ素子と複数のシリンドリカル反射素子とが交差した状態で立体的に見えるようにすることができ、これにより前後幅が狭いスペースに複数のリフレクタが配置されているにもかかわらず灯具意匠に奥行き感を持たせることができる。
【0018】
上記構成において、さらに、複数の発光素子が共通の基板に搭載されており、かつ、複数のリフレクタが一体的に形成された構成とすれば、車両用灯具をコンパクトに構成することができ、これにより車両への装着スペースを確保することが容易に可能となる。
【0019】
上記構成において、さらに、複数のシリンドリカル反射素子の各々の上記所要方向の断面形状を構成する曲線の曲率が、複数のリフレクタ相互間で異なる値に設定された構成とすれば、車両用灯具を観察する方向によって複数のリフレクタの反射面が互いに異なった光り方で見えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本願発明の一実施形態に係る車両用灯具を車両に装着された状態で示す正面図
図2図1のII-II線断面図
図3図1のIII-III線断面図
図4】上記車両用灯具を示す正面図
図5】上記車両用灯具を示す断面斜視図
図6】上記実施形態の第1変形例を示す、図3と同様の図
図7】上記実施形態の第2変形例を示す、図3と略同様の図
図8】上記実施形態の第3変形例を示す、図2と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0022】
図1は、本願発明の一実施形態に係る車両用灯具10を車両100に装着された状態で示す正面図である。また、図2は、図1のII-II線断面図であり、図3は、図1のIII-III線断面図である。さらに、図4は、車両用灯具10を示す正面図であり、図5は、車両用灯具10を示す断面斜視図である。
【0023】
これらの図において、Xで示す方向が灯具としての「前方」(車両としても「前方」)であり、Yで示す方向が「前方」と直交する「左方向」(車両としても「左方向」であるが灯具正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用灯具10は、車両100を意匠的に引き立たせるために点灯する装飾用のアクセサリーランプであって、車両の左前端部においてバンパー102の上部領域に装着された状態で使用されるようになっている。この車両用灯具10は、灯具正面視において横長の外形形状を有しており、横長矩形状のリム104を介してバンパー102に装着されている。
【0025】
図2、3に示すように、バンパー102は、前方側部材102Aと後方側部材102Bとが車両前後方向(すなわち灯具前後方向)に比較的狭い間隔をおいて配置された構成となっている。
【0026】
図4、5にも示すように、車両用灯具10は、ランプボディ12とこのランプボディ12の前端開口部に取り付けられた透光カバー14とで形成される灯室内に、4つのリフレクタユニット20が組み込まれた構成となっている。
【0027】
透光カバー14は、その右端縁(灯具正面視では左端縁)から左端縁へ向けて灯具後方側に傾斜して延びるように形成されている。
【0028】
4つのリフレクタユニット20は、左右方向に並んだ状態で配置されており、かつ、左側(すなわち車幅方向外側)に位置するものほど灯具後方側に変位した状態で配置されている。
【0029】
各リフレクタユニット20は、発光素子30とこの発光素子30からの光を灯具前方へ向けて反射させるリフレクタ42を備えた構成となっており、いずれも同様の構成を有している。
【0030】
各リフレクタユニット20の発光素子30は、矩形状の発光面を有する白色発光ダイオードであって、その発光面を下向きにした状態で、水平面に沿って延びるように配置された共通の基板32に支持されている。
【0031】
各リフレクタユニット20のリフレクタ42は、各発光素子30の下方側に配置されている。4つのリフレクタ42は、射出成形品40として一体的に形成されており、ランプボディ12に支持されている。この射出成形品40は、4つのリフレクタ42の上端部において灯具後方側へ向けて水平方向に延びる上部フランジ部40aを備えており、この上部フランジ部40aにおいて基板32を支持している。
【0032】
図2に示すように、基板32は、射出成形品40の上部フランジ部40aよりも灯具後方側に大きく離れた位置まで延びるように形成されている。
【0033】
このため、ランプボディ12の後面壁12Aは、その上部領域12Aaが他の一般領域から灯具後方へ向けて突出した状態で基板32を囲むように形成されている。また、バンパー102の後方側部材102Bには、ランプボディ12との干渉を回避するための横長矩形状の開口部102Baが、ランプボディ12の後面壁12Aの上部領域12Aaを囲むようにして形成されている。
【0034】
基板32の下面における射出成形品40の上部フランジ部40aよりも灯具後方側に位置する部位には、4つの発光素子30と導電パターン(図示せず)を介して電気的に接続されたコネクタ34が搭載されている。そして、このコネクタ34に電源側コネクタ(図示せず)が装着されることによって、4つの発光素子30に対して電力が供給されるようになっている。
【0035】
次に、リフレクタ42の具体的な構成について説明する。
【0036】
リフレクタ42は、灯具正面視において横長矩形状の反射面形状を有しており、その反射面42aは、基準面となる凹曲面C上に複数のシリンドリカル反射素子42sが形成された構成となっている。
【0037】
凹曲面Cは、発光素子30からの光を灯具前方へ向けて上下方向および左右方向に拡がる光として反射させる表面形状を有している。具体的には、凹曲面Cは、発光素子30の発光中心を焦点Fとするとともに灯具前後方向に延びる軸線Axを中心軸とする回転双曲面で構成されている。
【0038】
そして、このような凹曲面Cをリフレクタ42の反射面42aの基準面として設定することによりリフレクタ42の薄型化を図り、これにより灯室内における透光カバー14とランプボディ12の後面壁12Aの一般領域との間の前後幅が狭いスペースにリフレクタ42が配置され得るようになっている。
【0039】
複数のシリンドリカル反射素子42sは、いずれも上下方向に延びる凸シリンドリカル状の表面形状を有しており、左右方向に連続的に並んだ状態で配置されている。
【0040】
リフレクタ42には、その反射面42aの下端位置に水平方向に延びる下壁部42Aが形成されており、この下壁部42Aの上面には複数のシリンドリカル反射素子42Asが形成されている。各シリンドリカル反射素子42Asは、灯具前後方向に延びる凸シリンドリカル状の表面形状を有しており、左右方向に連続的に並んだ状態で配置されている。各シリンドリカル反射素子42Asの左右幅は、各シリンドリカル反射素子42sの左右幅よりも小さい値に設定されている。
【0041】
透光カバー14は、4つのリフレクタ42の反射面42aに対して灯具正面方向に位置する部分が、鉛直方向に延びるレンズ部14Aとして構成されている。このレンズ部14Aは、透光カバー14の後面に複数のシリンドリカルレンズ素子14Asが形成された構成となっている。各シリンドリカルレンズ素子14Asは、水平方向に延びる凸シリンドリカル状の表面形状を有しており、上下方向に連続的に並んだ状態で配置されている。
【0042】
透光カバー14におけるレンズ部14Aの上下両側には、レンズ部14Aよりも灯具後方側に変位した状態で左右方向に延びる帯状の素通し部14Bが形成されている。そして、透光カバー14は、その素通し部14Bよりも灯具後方側に形成された外周フランジ部14Cの後面においてランプボディ12の前端面に固定されている。
【0043】
リム104は、透光カバー14の素通し部14Bの前方近傍に位置するように配置されている。このリム104には、透光カバー14のレンズ部14Aを囲む横長矩形状の開口部104aが形成されている。
【0044】
バンパー102の前方側部材102Aは、透光カバー14の外周フランジ部14Cの前方近傍に位置するように配置されている。この前方側部材102Aには、透光カバー14の素通し部14Bを囲む横長矩形状の開口部102Aaが形成されている。
【0045】
車両用灯具10の灯室内には、各発光素子30から灯具正面方向へ向かう直射光を遮光するためのエクステンションパネル16が、基板32の前端面を灯具前方側から覆うようにして配置されている。
【0046】
このエクステンションパネル16は、基板32の上面側に回り込むL字形の断面形状で基板32の前端面に沿って左右方向に延びており、その左右方向両端部は射出成形品40の左右両側において射出成形品40の下端位置まで下方に延びるように形成されている。このエクステンションパネル16はランプボディ12に支持されている。
【0047】
図2、3に示すように、各リフレクタユニット20において発光素子30から出射した光は、リフレクタ42の反射面42aで灯具前方へ向けて反射した後、透光カバー14を介して灯具前方へ向けて照射される。
【0048】
リフレクタ42の反射面42aは、凹曲面C上に上下方向に延びる複数のシリンドリカル反射素子42sが形成された構成となっているので、この反射面42aからの反射光は灯具前方へ向けて上下方向および左右方向に拡がる光となり、その際、左右方向に関しては各シリンドリカル反射素子42sにおいてさらに左右方向に大きく拡がる光となる。
【0049】
また、リフレクタ42の反射面42aの下部領域において斜め下方向へ向けて反射した光は、リフレクタ42の下壁部42Aの上面に形成された複数のシリンドリカル反射素子42Asにおいて左右方向に拡がる光として灯具前方へ向けて斜め上方側に反射する。
【0050】
そして、このリフレクタ42の反射面42aにおける各シリンドリカル反射素子42sで反射して透光カバー14のレンズ部14Aに到達した光およびリフレクタ42の下壁部42Aの上面に形成された各シリンドリカル反射素子42Asで反射して透光カバー14のレンズ部14Aに到達した光は、複数のシリンドリカルレンズ素子14Asにおいて上下方向に拡散する光として灯具前方へ向けて照射される。
【0051】
さらに、発光素子30から直射光としてリフレクタ42の下壁部42Aに到達した光も、複数のシリンドリカル反射素子42Asにおいて左右方向に拡がる光として灯具前方へ向けて斜め上方側に反射した後、透光カバー14のレンズ部14Aに到達し、複数のシリンドリカルレンズ素子14Asにおいて上下方向に拡散する光として灯具前方へ向けて照射される。
【0052】
なお、図2において2点鎖線で示す光路は、仮に、リフレクタ42の反射面42aが凹曲面C自体で構成されており、かつ、下壁部42Aが形成されていないとした場合における、反射面42aからの反射光の光路であって、軸線Axから離れる方向に拡がるものとなっている。
【0053】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0054】
本実施形態に係る車両用灯具10は、発光素子30およびリフレクタ42が左右方向(灯具前後方向と交差する所要方向)に4組並んで配置された構成となっているが、各リフレクタ42の反射面42aは、発光素子30からの光を灯具前方へ向けて左右方向および上下方向(上記所要方向と直交する方向)に拡がる光として反射させる表面形状を有する凹曲面C上に、上下方向に延びる複数のシリンドリカル反射素子42sが形成された構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0055】
すなわち、各発光素子30からの光を各リフレクタ42の反射面42aにおいて左右方向のみならず上下方向にも拡がる光として反射させることができ、かつ、左右方向に関してはさらに大きく拡がる光として反射させることができるので、灯具正面方向への照射光が明るくなりすぎてしまうのを効果的に抑制することができる。また、灯具正面方向に対して左右方向に大きく傾斜した方向から車両用灯具10を観察したときにも、各リフレクタ42の反射面42aが光って見えるようにすることができる。さらに、各リフレクタ42の反射面42aに形成された複数のシリンドリカル反射素子42sが規則的な縦縞模様で光って見えるようにすることができる。
【0056】
したがって、車両用灯具10の構成として、前後幅が狭いスペースに4つのリフレクタ42が配置されているにもかかわらず、その被視認性を高めることができる。
【0057】
このように本実施形態によれば、4組の発光素子30およびリフレクタ42を備えた車両用灯具10において、前後幅が狭いスペースに4つのリフレクタ42が配置されているにもかかわらず、灯具の被視認性を高めることができる。
【0058】
しかも本実施形態においては、4組の発光素子30およびリフレクタ42の灯具前方側に、レンズ部14Aを有する透光カバー14が配置されているので、各リフレクタ42からの反射光の照射範囲を精度良く制御することができる。
【0059】
その際、透光カバー14のレンズ部14Aには、水平方向に延びる複数のシリンドリカルレンズ素子14Asが形成されているので、灯具正面方向に対して上下方向に大きく傾斜した方向から車両用灯具10を観察したときにも、各リフレクタ42の反射面42aが光って見えるようにすることができる。
【0060】
さらに、車両用灯具10を観察したとき、複数のシリンドリカルレンズ素子14Asと複数のシリンドリカル反射素子42sとが交差した状態で立体的に見えるようにすることができ、これにより前後幅が狭いスペースに4つのリフレクタ42が配置されているにもかかわらず灯具意匠に奥行き感を持たせることができる。
【0061】
また本実施形態においては、4つの発光素子30が共通の基板32に搭載されており、かつ、4つのリフレクタ42が一体的に形成されているので、車両用灯具10をコンパクトに構成することができ、これにより車両100への装着スペースを確保することが容易に可能となる。
【0062】
特に本実施形態においては、ランプボディ12の後面壁12Aにおける上部領域12Aaが、他の一般領域から灯具後方へ向けて突出した状態で基板32を囲むように形成されているので、これに対応して、バンパー102の後方側部材102Bにランプボディ12との干渉を回避するための横長矩形状の開口部102Baを形成しておくことにより、車両100への装着スペースを容易に確保することができる。
【0063】
さらに本実施形態においては、リフレクタ42の下壁部42Aの上面に複数のシリンドリカル反射素子42Asが形成されているので、リフレクタ42の反射面42aの下部領域において斜め下方向へ向けて反射した光を左右方向に拡がる光として灯具前方へ向けて斜め上方側に反射させることができ、かつ、この反射光を透光カバー14のレンズ部14Aの複数のシリンドリカルレンズ素子14Asにおいて上下方向に拡散させることができるので、灯具前方の斜め上方向から観察したときにも車両用灯具10が明るく光って見えるようにすることができる。
【0064】
その際、発光素子30から直射光としてリフレクタ42の下壁部42Aに到達した光についても、複数のシリンドリカル反射素子42Asにおいて左右方向に拡がる光として灯具前方へ向けて斜め上方側に反射した後、透光カバー14のレンズ部14Aの複数のシリンドリカルレンズ素子14Asにおいて上下方向に拡散する光として灯具前方へ向けて照射されるので、車両用灯具10の被視認性をさらに高めることができる。
【0065】
上記実施形態においては、リフレクタ42の反射面42aの基準面となる凹曲面Cが、発光素子30の発光中心を焦点Fとするとともに軸線Axを中心軸とする回転双曲面で構成されているものとして説明したが、これ以外にも、例えば、回転双曲面に比して軸線Ax寄りの方向へ向けて反射する光の割合が大きくなるような凹曲面(いわゆる特殊放物線を母線とする回転曲面等)で構成されたものとすることも可能であり、また、焦点距離が長い回転放物面に対してその焦点よりも灯具後方側に発光素子30が配置された構成とした場合における当該回転放物面で構成されたものとすることも可能である。
【0066】
上記実施形態においては、車両用灯具10の構成として4つのリフレクタユニット20が配置されているものとして説明したが、3つ以下あるいは5つ以上のリフレクタユニット20が配置された構成とすることも可能である。
【0067】
上記実施形態においては、透光カバー14のレンズ部14Aが複数のシリンドリカルレンズ素子14Asで構成されているものとして説明したが、複数の魚眼レンズ等で構成されたものとすることも可能である。
【0068】
上記実施形態においては、リフレクタ42に対して発光素子30が上方側に配置されているものとして説明したが、下方側や側方側に配置された構成とすることも可能である。
【0069】
上記実施形態においては、車両用灯具10が、車両100の左前端部に配置されたアクセサリーランプであるものとして説明したが、車両に設けられる箇所や機能にかかわらず、上記実施形態と同様の構成を採用することにより上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0071】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0072】
図6は、本変形例に係る車両用灯具の主要構成要素を示す、図3と同様の図である。
【0073】
図6に示すように、この車両用灯具の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、各リフレクタユニット120のリフレクタ142の構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0074】
すなわち本変形例においては、リフレクタ142の反射面142aを構成している複数のシリンドリカル反射素子142Asの表面形状が上記実施形態の場合と異なっている。
【0075】
具体的には、複数のシリンドリカル反射素子142Asのうち、軸線Axの真下に位置するシリンドリカル反射素子142Asは、その水平断面形状を構成する凸円弧状曲線の曲率が大きい値に設定されており、その以外のシリンドリカル反射素子142Asは、軸線Axの真下に位置するシリンドリカル反射素子142Asから左右両側に離れるに従って凸円弧状曲線の曲率が徐々に小さくなるように設定されている。
【0076】
これにより本変形例においては、反射面142aに到達した発光素子30からの光を、軸線Axの真下に位置するシリンドリカル反射素子142Asにおいて最も左右拡散角が大きい光として反射させ、その以外のシリンドリカル反射素子142Asにおいては、軸線Axの真下に位置するシリンドリカル反射素子142Asから左右両側に離れたものほど左右拡散角が小さい光として反射させるようになっている。
【0077】
本変形例の構成を採用することにより、次のような作用効果を得ることができる。
【0078】
すなわち、軸線Axの真下に位置するシリンドリカル反射素子142Asは、発光素子30の発光面に対して面直方向に位置しているので、発光素子30から最も明るい光が入射するが、この明るい光を左右拡散角が大きい光として反射させることにより、灯具正面方向への照射光が明るくなりすぎてしまわないようにすることができる。
【0079】
また、その以外のシリンドリカル反射素子142Asは、軸線Axの真下に位置するシリンドリカル反射素子142Asから左右両側に離れたものほど発光素子30からの入射光の明るさが減少するが、それと同時にシリンドリカル反射素子142Asからの反射光の左右拡散角も徐々に小さくなるので、反射面142a全体が略均一の明るさで見えるようにすることができる。
【0080】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0081】
図7は、本変形例に係る車両用灯具の主要構成要素を示す、図3と略同様の図である。
【0082】
図7に示すように、この車両用灯具の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、4つのリフレクタユニット220A、220B、220C、220Dのリフレクタ242A、242B、242C、242Dの反射面242Aa、242Ba、242Ca、242Daを構成している複数のシリンドリカル反射素子242As、242Bs、242Cs、242Dsの表面形状が上記実施形態の場合と異なっている。
【0083】
すなわち本変形例においては、複数のシリンドリカル反射素子242As~242Dsの各々の水平断面形状を構成する曲線の曲率が、4つのリフレクタ242A~242D相互間で異なる値に設定されている。
【0084】
具体的には、最も右側(すなわち車幅方向内側)に位置するリフレクタ242Aの各シリンドリカル反射素子242Asの曲率が最も小さい値に設定されており、その左側に隣接するリフレクタ242B、242C、242Dの順番で、各シリンドリカル反射素子242Bs、242Cs、242Dsの曲率が徐々に大きくなるように設定されている。
【0085】
これにより本変形例においては、リフレクタ242Aの各シリンドリカル反射素子242Asからの反射光の左右拡散角を最も小さくし、リフレクタ242B、242C、242Dの順番で、各シリンドリカル反射素子242Bs、242Cs、242Dsからの反射光の左右拡散角を徐々に大きくするようになっている。
【0086】
本変形例の構成を採用することにより、車両用灯具を観察する方向によって4つのリフレクタ242A~242Dの反射面242Aa~242Daが互いに異なった光り方で見えるようにすることができる。
【0087】
具体的には、灯具正面方向に近い方向から観察したときには、リフレクタ242A、242B、242C、242Dの順番で、その反射面242Aa、242Ba、242Ca、242Daが明るく光って見えるようにすることができ、一方、灯具正面方向から左右方向に大きく傾斜した方向から観察したときには、リフレクタ242D、242C、242B、242Aの順番で、その反射面242Da、242Ca、242Ba、242Aaが明るく光って見えるようにすることができる。
【0088】
なお、本変形例の各リフレクタ242A~242Dに対して、上記第1変形例のリフレクタ142の構成を適用することも可能である。
【0089】
次に、上記実施形態の第3変形例について説明する。
【0090】
図8は、本変形例に係る車両用灯具310を示す、図2と略同様の図である。
【0091】
図8に示すように、車両用灯具310の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、そのリフレクタユニット320が上記実施形態のリフレクタユニット20を上下反転させた状態で配置されており、かつ、透光カバー314が素通し状に形成されている点で上記実施形態の場合と異なっており、これに伴ってリム404およびバンパー402の形状も上記実施形態の場合と異なっている。
【0092】
本変形例に係る車両用灯具310も、ランプボディ312とこのランプボディ312の前端開口部に取り付けられた透光カバー314とで形成される灯室内に、リフレクタユニット320が他の3つのリフレクタユニット(図示せず)と共に組み込まれた構成となっている。
【0093】
リフレクタユニット320は、基板332の上面に発光素子330およびコネクタ334が搭載されるとともに、発光素子330の上方側にリフレクタ342が配置された構成となっている。
【0094】
ランプボディ312の後面壁312Aは、その下部領域312Abが他の一般領域から灯具後方へ向けて突出した状態で基板332を囲むように形成されている。また、バンパー402の後方側部材402Bには、ランプボディ12との干渉を回避するための横長矩形状の開口部402Baが、ランプボディ312の後面壁312Aの下部領域312Abを囲むようにして形成されている。
【0095】
リフレクタ342の反射面342aは、上記実施形態の場合と同様の凹曲面C上に複数のシリンドリカル反射素子342sが形成された構成となっている。
【0096】
複数のシリンドリカル反射素子342sは、上記実施形態の場合と同様、いずれも上下方向に延びる凸シリンドリカル状の表面形状を有しており、左右方向に連続的に並んだ状態で配置されている。
【0097】
ただし、本変形例のリフレクタ342は、複数のシリンドリカル反射素子342sが反射面342aの全領域においてその前端縁まで延びるように形成された構成となっている。
【0098】
透光カバー314は、リフレクタ342の反射面342aに対して灯具正面方向に位置する部分が、鉛直方向に延びる素通しレンズ部314Aとして構成されており、その上下両側には、素通しレンズ部314Aよりも灯具後方側に変位した状態で左右方向に延びる帯状の素通し部314Bが形成されている。そして、透光カバー314は、その素通し部314Bよりも灯具後方側に形成された外周フランジ部314Cの後面においてランプボディ312の前端面に固定されている。
【0099】
リム404は、透光カバー314の素通し部314Bの前方近傍に位置するように配置されている。このリム404には、透光カバー314の素通しレンズ部314Aを囲む横長矩形状の開口部404aが形成されている。
【0100】
バンパー402の前方側部材402Aは、透光カバー314の外周フランジ部314Cの前方近傍に位置するように配置されている。この前方側部材402Aには、透光カバー314の素通し部314Bを囲む横長矩形状の開口部402Aaが形成されている。
【0101】
車両用灯具310の灯室内には、基板332の前端面を覆うようにして基板332に沿って左右方向に延びるエクステンションパネル316が配置されている。このエクステンションパネル316は、上記実施形態のエクステンションパネル16を上下反転させた形状を有している。
【0102】
本変形例においても、リフレクタ342の反射面342aは、発光素子330からの光を灯具前方へ向けて左右方向および上下方向に拡がる光として反射させる表面形状を有する凹曲面C上に、上下方向に延びる複数のシリンドリカル反射素子342sが形成された構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0103】
すなわち、各発光素子330からの光を各リフレクタ342の反射面342aにおいて左右方向のみならず上下方向にも拡がる光として反射させることができ、かつ、左右方向に関してはさらに大きく拡がる光として反射させることができるので、灯具正面方向への照射光が明るくなりすぎてしまうのを効果的に抑制することができる。また、灯具正面方向に対して左右方向に大きく傾斜した方向から車両用灯具310を観察したときにも、各リフレクタ342の反射面342aが光って見えるようにすることができる。さらに、各リフレクタ342の反射面342aに形成された複数のシリンドリカル反射素子342sが規則的な縦縞模様で光って見えるようにすることができる。
【0104】
しかも本変形例においては、発光素子330がその発光面を上向きにした状態で配置されており、リフレクタ342がその上方側に配置されているので、リフレクタ342からの反射光を灯具前方へ向けて上方側に拡がる光とすることができる。このため、透光カバー314が素通しレンズ状に形成されているにもかかわらず、灯具前方の斜め上方向から観察したときにも車両用灯具310が明るく光って見えるようにすることができる。
【0105】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0106】
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0107】
10、310 車両用灯具
12、312 ランプボディ
12A、312A 後面壁
12Aa 上部領域
14、314 透光カバー
14A レンズ部
14As シリンドリカルレンズ素子
14B、314B 素通し部
14C、314C 外周フランジ部
16、316 エクステンションパネル
20、120、220A、220B、220C、220D、320 リフレクタユニット
30、330 発光素子
32、332 基板
34、334 コネクタ
40 射出成形品
40a 上部フランジ部
42、142、242A、242B、242C、242D、342 リフレクタ
42A 下壁部
42a、142a、242Aa、242Ba、242Ca、242Da、342a 反射面
42s、42As、142As、242As、242Bs、242Cs、242Ds、342s シリンドリカル反射素子
100 車両
102、402 バンパー
102A、402A 前方側部材
102Aa、102Ba、104a、402Aa、402Ba、404a 開口部
102B、402B 後方側部材
104、404 リム
312Ab 下部領域
314A 素通しレンズ部
Ax 軸線
C 凹曲面
F 焦点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8