(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069085
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
B41J2/14 301
B41J2/14
B41J2/14 605
B41J2/14 607
B41J2/14 613
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178053
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 真吾
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF99
2C057AG29
2C057AG44
2C057AG99
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】高粘度の液体を吐出可能としながら、長寿命化を図ることができる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置10は、液体を吐出するノズル21、及び、前記ノズル21に連通する圧力室29が形成された流路形成体22と、前記流路形成体22に積層され、前記圧力室29を覆う被覆面24a、及び、前記被覆面24aと反対側の対向面24bを有する振動板24と、前記振動板24を挟んで前記圧力室29に対向する当接面23aを有し、前記当接面23aが前記振動板24から離間した退避位置、及び、前記当接面23aが前記振動板24に当接する進出位置の間で前記対向面24bに対して交差する交差方向に変位するアクチュエータ23と、前記対向面24bにおいて前記当接面23aに対向する領域を覆う第1保護膜26と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズル、及び、前記ノズルに連通する圧力室が形成された流路形成体と、
前記流路形成体に積層され、前記圧力室を覆う被覆面、及び、前記被覆面と反対側の対向面を有する振動板と、
前記振動板を挟んで前記圧力室に対向する当接面を有し、前記当接面が前記振動板から離間した退避位置、及び、前記当接面が前記振動板に当接する進出位置の間で前記対向面に対して交差する交差方向に変位するアクチュエータと、
前記対向面において前記当接面に対向する領域を覆う第1保護膜と、を備えている、液体吐出装置。
【請求項2】
前記領域を覆う前記第1保護膜のサイズは、前記当接面のサイズと同じ又は前記当接面のサイズよりも大きい、請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1保護膜の厚みは1mm以下である、請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1保護膜は金属製である、請求項1~3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記流路形成体は、前記圧力室の周囲を取り囲む外周縁を有し、
前記当接面は、前記外周縁に沿った外縁を有している、請求項1~4のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記当接面、及び、前記当接面に平行な前記圧力室の断面は、楕円形状である、請求項1~5のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記当接面を覆う第2保護膜を備えている、請求項1~6のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記第2保護膜のヤング率は前記第1保護膜のヤング率よりも低い、請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記第2保護膜はアルミニウム製である、請求項7又は8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記第2保護膜の厚みは1mm以下である、請求項7~9のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記交差方向の前記当接面側へ前記振動板を移動する変位部材を備えている、請求項1~10のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記変位部材は、弾性体又はバネから成る、請求項11に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記振動板は、撓み変形可能な薄膜であって、
前記第1保護膜のサイズは、前記被覆面のうち前記圧力室を覆う領域のサイズよりも小さい、請求項1~10のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体吐出装置として、例えば、特許文献1の液滴吐出装置が知られている。この液滴吐出装置は、液体を吐出するノズルと、ノズルに連通する液室と、液室の壁面の一部を構成する振動板と、振動板を介して液室に圧力を付与する伸縮可能なアクチュエータと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の液滴吐出装置では、アクチュエータの先端部を振動板から離してから振動板に衝突させることにより、液室の液体に圧力を付与してノズルから液滴を吐出させている。このように、大きな衝撃力を振動板に与えることにより、高粘度の液体を吐出させることが可能となる一方、振動板が破損し装置の寿命が短くなるおそれがある。
【0005】
本発明はこのような事態に鑑み、高粘度の液体を吐出可能としながら、長寿命化を図ることができる液体吐出装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様に係る液体吐出装置は、液体を吐出するノズル、及び、前記ノズルに連通する圧力室が形成された流路形成体と、前記流路形成体に積層され、前記圧力室を覆う被覆面、及び、前記被覆面と反対側の対向面を有する振動板と、前記振動板を挟んで前記圧力室に対向する当接面を有し、前記当接面が前記振動板から離間した退避位置、及び、前記当接面が前記振動板に当接する進出位置の間で前記対向面に対して交差する交差方向に変位するアクチュエータと、前記対向面において前記当接面に対向する領域を覆う第1保護膜と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記構成を有し、高粘度の液体を吐出可能としながら、長寿命化を図ることができる。
【0008】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る液体吐出装置を概略的に示す図である。
【
図2】
図1の液体吐出装置の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3(a)は、
図1のヘッドの一部を概略的に示す断面図である。
図3(b)は、
図3(a)の対向面、第1保護膜及び当接面の関係を示す図である。
【
図4】
図4(a)は、当接面が第1進出位置にある場合のヘッドの一部を概略的に示す断面図である。
図4(b)は、当接面が第2進出位置にある場合のヘッドの一部を概略的に示す断面図である。
図4(c)は、当接面が退避位置にある場合のヘッドの一部を概略的に示す断面図である。
図4(d)は、当接面が第1保護膜に衝突したときのヘッドの一部を概略的に示す断面図である。
【
図5】
図5(a)は、当接面が第2進出位置にある場合のメニスカスを概略的に示す断面図である。
図5(b)は、当接面が退避位置にある場合のメニスカスを概略的に示す断面図である。
図5(c)は、当接面が第1保護膜に衝突したときのメニスカスを概略的に示す断面図である。
図5(d)は、当接面が第1進出位置に押し込まれたときのメニスカスを概略的に示す断面図である。
【
図6】変形例1に係る液体吐出装置のヘッドの一部を概略的に示す断面図である。
【
図7】変形例2に係る液体吐出装置のヘッドの一部を概略的に示す断面図である。
【
図8】
図8(a)は、実施の形態2に係る液体吐出装置の当接面が第1進出位置にある場合のヘッドの一部を概略的に示す断面図である。
図8(b)は、当接面が第2進出位置にある場合のヘッドの一部を概略的に示す断面図である。
図8(c)は、当接面が退避位置にある場合のヘッドの一部を概略的に示す断面図である。
図8(d)は、当接面が第1保護膜に衝突したときのヘッドの一部を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0011】
(実施の形態1)
<液体吐出装置の構成>
本発明の実施の形態1に係る液体吐出装置10は、
図1に示すように、例えば、インク等の液体を被吐出媒体Aに吐出するインクジェットプリンタである。液体吐出装置10は、筐体11、プラテン12、タンク13、ヘッド20、搬送装置40及び制御装置50を備えている。なお、制御装置50の詳細については後述する。
【0012】
また、プラテン12よりもヘッド20側を上と称し、その反対側を下と称する。また、搬送装置40により被吐出媒体Aを搬送する方向を前と称し、その反対側を後と称する。この前後方向は上下方向に対して交差(例えば、直交)している。また、上下方向及び前後方向に対して交差(例えば、直交)する方向を左右方向と称する。但し、液体吐出装置10の配置方向はこれに限定されない。
【0013】
筐体11は、その内部に、プラテン12、タンク13、ヘッド20、搬送装置40及び制御装置50を収容している。プラテン12は、平坦な上面を有しており、この上面に被吐出媒体Aが載置される。ヘッド20は、筐体11に固定されており、矩形状であって、左右方向に被吐出媒体Aよりも長く延びている。ヘッド20の下面は、プラテン12の上面に対向している。ヘッド20は複数のノズル21を有しており、複数のノズル21がヘッド20の下面に開口している。なお、ヘッド20の詳細については後述する。
【0014】
搬送装置40は、一対の搬送ローラ41及び搬送モータ42(
図2)を有している。一対の搬送ローラ41は、前後方向において互いの間にヘッド20を挟むように配置されており、その中心軸が左右方向に延びている。搬送モータ42は、搬送ローラ41に連結されており、搬送ローラ41を回転させる。これにより、搬送装置40は、プラテン12上において被吐出媒体Aを前方へ搬送する。
【0015】
タンク13は、例えば、筐体11に脱着可能なインクカートリッジであって、チューブ13aによりヘッド20に接続されている。複数のタンク13は、互いに異なる種類の液体(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの液体)を貯留しており、ヘッド20に液体を供給する。
【0016】
<ヘッドの構成>
ヘッド20は、
図3(a)及び
図3(b)に示すように、流路形成体22、アクチュエータ23、振動板24、変位部材25、第1保護膜26及びシール部材27を有している。流路形成体22は、例えば、直方体形状であって、プラテン12(
図1)の上面に対向する下面、及び、下面と反対側の上面を有している。また、流路形成体22には、上面に開口する流路開口28a、及び、流路開口28aから窪む凹部28が設けられている。凹部28において形成されるスペースは、上下方向に直交する断面が前後方向の径が左右方向の径よりも大きい楕円形の柱形状である。流路開口28aから凹部28に振動板24が嵌められることで、凹部28に圧力室29が形成される。さらに、流路形成体22には液体流路が形成されており、この液体流路は、複数のノズル21、複数の個別流路30、供給マニホールド31を有している。
【0017】
ノズル21は、例えば、上下方向に延びる中心軸を有し且つ下方ほど縮径する円錐台形状であり、流路形成体22の下面に開口している。複数のノズル21は、例えば、左右方向において互いに間隔を空けて並べられて列を成し、ノズル列を形成している。複数のノズル列が左右方向において被吐出媒体Aよりも長く延びるように、複数のノズル21が配列されている。
【0018】
供給マニホールド31は、左右方向に延びて、タンク13(
図1)からのチューブ13a(
図1)、及び複数の個別流路30が接続されている。個別流路30は、供給マニホールド31及びノズル21に接続されており、供給マニホールド31とノズル21との間に絞り流路32、圧力室29及び連通路33を有し、これらはこの順に接続されている。なお、個別流路30は、連通路33を有さずに、ノズル21が圧力室29に接続されていてもよい。
【0019】
絞り流路32は、その上流端が供給マニホールド31に接続され、その下流端が圧力室29に接続されており、これらの間において前後方向に延びている。前後方向に直交する絞り流路32の断面積は、左右方向に直交する供給マニホールド31の断面積よりも小さい。
【0020】
圧力室29は、その上流端が絞り流路32に接続され、その下流端が連通路33に接続されており、これらの間において前後方向に延びている。前後方向に直交する圧力室29の断面積は、前後方向に直交する絞り流路32の断面積よりも大きい。
【0021】
連通路33は、その上流端が圧力室29に接続され、その下流端がノズル21に接続されており、これらの間において上下方向に延びている。上下方向に直交する連通路33の断面積は、左右方向に直交する圧力室29の断面積よりも小さく、上下方向に直交するノズル21の断面積よりも大きい。
【0022】
振動板24は、例えば、シリコン等の非金属、又は、SUS等の金属から成る。振動板24は、上下方向に直交する振動板24の断面が前後方向の径が左右方向の径よりも大きい楕円形の柱形状である。振動板24は、上下方向に変位可能に凹部28に嵌められている。この振動板24の断面は、上下方向に直交する凹部28の断面と同じ形状であって、この断面よりも少し小さく、振動板24の中心軸は凹部28の中心軸と一致する。
【0023】
振動板24は、被覆面24a、被覆面24aとは反対側の対向面24b、及び、被覆面24aの外周縁と対向面24bと外周縁を接続する外周面24cを有している。対向面24bは、上下方向に対して交差(例えば、直交)しており、平坦であって、流路開口28aから外側に現れている。
【0024】
外周面24cは、振動板24の中心軸を取り囲んで上下方向に延びている。外周面24cは、凹部28を形成する流路形成体22の内面である凹部壁面22aに平行に配置され、凹部壁面22aに対向している。外周面24cには、周方向に延びる環状の溝24dが設けられている。溝24dには、環状のシール部材27が嵌められている。
【0025】
シール部材27は、ゴム等の弾性材から成り、凹部壁面22aと外周面24cとの間に介在し、圧力室29から流路開口28aの外に液体が漏れることを低減している。なお、溝24dは、凹部壁面22aに設けられていてもよい。この場合も、溝24dに嵌められたシール部材27が凹部壁面22aと外周面24cとの間に介在し、液体が外部に漏れるのを低減する。
【0026】
被覆面24aは、上下方向に対して交差(例えば、直交)しており、平坦であって、圧力室29の上部を覆っている。これにより、圧力室29は、凹部28のうち、凹部壁面22a及び振動板24の被覆面24aにより囲まれた空間である。被覆面24aは圧力室29の上面を形成し、凹部壁面22aは、圧力室29の下面、及び、この上面の外周縁と下面の外周縁とを接続する側面を形成する。この凹部壁面22aには、上下方向に直交する平面において、圧力室29の周囲を取り囲む楕円形状の外周縁29aが設けられる。
【0027】
振動板24は、その上端に、上下方向に直交する径方向の外側に拡がる鍔24eが設けられている。鍔24eは、流路形成体22の上面よりも上方において外周面24cから突出しており、流路形成体22の上面と平行に配置されている。
【0028】
変位部材25は、上下方向に弾性を有する弾性体25aから成り、上下方向に中心軸を有する環形状である。例えば、弾性体25aにはオーリング等が用いられる。弾性体25aが振動板24に装着されていない状態では、弾性体25aの内周長さは、振動板24の上下方向の軸を中心とする振動板24の外周面24cに沿った外周長さ以下である。このため、弾性体25aは、振動板24の外周面24cに密着して、外周面24cを取り囲む。
【0029】
弾性体25aは、鍔24eと流路形成体22の上面との間に配置されている。振動板24が凹部28において下方に押し込まれると、鍔24eと上面との間に挟まれて上下方向に縮む。これにより、弾性体25aは鍔24eと上面との間隔を広げるように上方に向かう復元力を振動板24に与える。従って、振動板24に対する下方への押し込み力が除かれると、鍔24eが上面から離れるように振動板24が上方に変位する。これにより、圧力室29の容積が大きくなる。
【0030】
第1保護膜26は、硬度が高く、耐摩耗性を有し、例えば、金属製であって、この金属としては、二酸化タンタル(TaO2)及びタンタル等が用いられる。なお、第1保護膜26は、DLC(Diamond-Like Carbon)等の非金属から成る高硬度膜により形成されていてもよい。第1保護膜26は、ウェットプロセス又はドライプロセスにより形成される。
【0031】
第1保護膜26は、上下方向の厚みが振動板24の厚みよりも薄い膜であり、例えば、厚みは1mm以下である。第1保護膜26は、楕円形状であって、振動板24の対向面24b上に積層されている。第1保護膜26は、対向面24b及び圧力室29よりも小さく、対向面24b及び圧力室29と同心になるように配置されている。このため、上方から視て第1保護膜26の外周縁26aは、圧力室29の外周縁29aの内方にあってこの外周縁29aに沿っている。
【0032】
アクチュエータ23は、例えば、圧電素子、静電アクチュエータ、エアシリンダー、ソレノイド及び磁歪素子などにより構成されており、一端は筐体11に固定されており、他端に当接面23aを有している。アクチュエータ23は、振動板24を挟んで圧力室29側とは反対側に配置されており、当接面23aが振動板24の対向面24bに対向している。この対向面24bにおいて、当接面23aと対向する領域である対向領域23a1を第1保護膜26が覆っている。このため、当接面23aと対向領域23a1との間に第1保護膜26が配置されている。
【0033】
当接面23aは、楕円形状であって、第1保護膜26に対して平行を成している。当接面23aのサイズは、第1保護膜26のサイズと同じ又は第1保護膜26のサイズよりも小さく、楕円形状の第1保護膜26及び圧力室29と同心になるように配置されている。このため、上から視て、当接面23aの外縁23a2は圧力室29の外周縁29aに沿っている。
【0034】
アクチュエータ23は、制御装置50(
図1)に接続されており、制御装置50からの駆動信号に応じて上下方向に伸縮する。これに伴い、当接面23aは、振動板24から離間した退避位置、及び、振動板24に当接する進出位置の間で、対向面24bに対して交差(例えば、直交)する方向(例えば、上下方向)に移動する。当接面23aが進出位置から退避位置に移動すると、凹部28において振動板24が上昇し、圧力室29の容積が増加する。一方、当接面23aが退避位置から進出位置に移動すると、凹部28において振動板24が下降し、圧力室29の容積が減少する。
【0035】
進出位置は、
図4(a)に示す第1進出位置、及び、
図4(b)に示す第2進出位置を有している。第1進出位置及び第2進出位置のいずれにおいても、当接面23aは第1保護膜26を介して対向面24bに当接しており、当接面23aが第1保護膜26に当接していない平衡状態の弾性体25aの上下方向の厚みよりも厚みが縮まるように当接面23aが振動板24を凹部28内に押し込んでいる。第2進出位置は、第1進出位置よりも下方にある。このため、当接面23aが第1進出位置から第2進出位置に移動すると、弾性体25aが収縮して復元力が発生すると共に、圧力室29の容積が減少して圧力室29に連通するノズル21の液体が加圧される。
【0036】
<制御装置>
制御装置50は、
図2に示すように、演算部51、記憶部52、波形生成部53及びインターフェース54を有している。インターフェース54はコンピュータ及びネットワーク等の外部装置Bに接続され、制御装置50は外部装置Bから印刷データ等の各種データをインターフェース54を介して受信する。印刷データは、被吐出媒体Aに印刷される画像を示す画像データ(例えば、ラスタデータ)を含んでいる。
【0037】
記憶部52は、演算部51にアクセス可能であって、RAM及びROM等により構成されている。RAMは、各種データを一時的に記憶する。この各種データとしては、印刷データ、及び、演算部51により変換されたデータが例示される。ROMは、各種データ処理を行うためのプログラムを記憶している。なお、プログラムは、外部装置Bから取得されたものであってもよく、また、他の記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0038】
演算部51は、CPU等のプロセッサ、及び、ASIC等の集積回路等により構成されている。演算部51は、ROMに記憶されたプログラムを実行することにより、アクチュエータ23及び搬送モータ42を制御して、各種処理を行う。例えば、制御装置50は、印刷処理を実行する。
【0039】
波形生成部53は、アクチュエータ23に出力される駆動信号の波形を規定する波形信号を生成する。波形生成部53は、専用の回路であってもよく、演算部51及び記憶部52により構成されていてもよい。波形信号は、例えば、パルス信号であって、吐出される液体の量が異なる複数種類の吐出波形信号を含んでいる。
【0040】
演算部51は、例えば、複数種類の波形信号から1種類の波形信号を、印刷データに基づいた1滴ごとの液体量に応じてノズル21毎及び駆動周期毎に選択し、波形選択データを生成する。ここで、演算部51は、印刷する画像において濃度が高いほど、液体量が多い波形信号を選択するように、波形選択データを生成する。
【0041】
制御装置50は、ヘッド駆動回路55を介してアクチュエータ23に接続されている。制御装置50は、波形信号及び波形選択データをヘッド駆動回路55に出力し、ヘッド駆動回路55は波形信号及び波形選択データから駆動信号を生成してアクチュエータ23に出力する。これにより、アクチュエータ23が駆動信号に応じて駆動し、圧力室29の容積が変化して、圧力室29の液体に圧力が付与され、液体がノズル21から吐出される。この吐出動作の詳細については後述する。
【0042】
また、制御装置50は搬送駆動回路56を介して搬送モータ42に接続されており、印刷データに基づいて搬送モータ42の制御データを搬送駆動回路56に出力する。これにより、制御装置50は、搬送モータ42の駆動タイミング、回転速度、回転量等を制御し、印刷データに応じて被吐出媒体Aを前方に搬送する。
【0043】
このように、制御装置50は、アクチュエータ23により液体を吐出して画像を被吐出媒体Aに記録する吐出動作、及び、搬送モータ42による被吐出媒体Aの搬送動作を実行する。この吐出動作及び搬送動作を並行して実行することにより、ノズル21から吐出された液体によって形成される画像が被吐出媒体Aにおいて搬送方向に形成されていき、印刷処理が進んでいく。
【0044】
<吐出動作>
吐出動作では、
図4(a)に示すように、当接面23aは第1進出位置に配置されている。そして、制御装置50は、
図4(b)に示すように、当接面23aを第1進出位置から第2進出位置に移動するようにアクチュエータ23を制御する。これにより、振動板24が凹部28内において下方に押し込まれる。そして、弾性体25aが収縮し、振動板24を上方に押し上げる力が発生する。
【0045】
また、圧力室29の容積が減少し、
図5(a)に示すように、ノズル孔21aにおけるメニスカスDは、圧力室29側である上方に窪むように湾曲した凹型曲面形状になる。この凹型曲面形状は、例えば、上下方向の寸法が、上下方向に直交する方向の寸法よりも小さい。また、ノズル21を形成する流路形成体22の内面であるノズル壁面22bにおけるメニスカスDはノズル孔21aに位置する。
【0046】
続いて、制御装置50は、
図4(c)に示すように、当接面23aを第2進出位置から退避位置に移動するようにアクチュエータ23を制御する。この退避位置では、当接面23aが第1保護膜26から離れて、第1保護膜26よりも上方に位置しており、当接面23aから振動板24に荷重が与えられていない。これにより、収縮していた弾性体25aが延伸し、弾性体25aの復元力により振動板24が上方に押し上げられる。
【0047】
ここで、この振動板24の復元力によって第1保護膜26は当接面23aに当接しながら上昇する。そして、振動板24の上昇に伴い復元力が低下し、振動板24の移動速度が当接面23aの移動速度よりも低下する。これにより、当接面23aは第1保護膜26から離れて退避位置まで上昇し、当接面23aの下方において振動板24は復元力に応じた距離、上昇する。なお、この振動板24の上昇を待つ間、当接面23aが退避位置に停止していてもよい。
【0048】
振動板24の上昇により、圧力室29の容積が増加し、圧力室29内における液体の圧力が減少する。よって、
図5(b)に示すように、圧力室29に連通路33を介して連通するノズル孔21aにおけるメニスカスDは、上方に引き込まれる。この際、ノズル壁面22b上を移動する液体の摩擦力、及び、液体の粘性によって、ノズル壁面22b上にはある厚みの液体が留まる。一方、メニスカスDは、ノズル21の中心軸Cに近いほど大きく上方に引き込まれる。このため、ノズル21の中心軸Cでは、当接面23aが退避位置にある場合のメニスカスDは、
図5(a)のメニスカスDよりも上方にある。例えば、
図5(b)のメニスカスDの凹型曲面形状は、上下方向の寸法が、上下方向に直交する方向の寸法よりも大きい。このメニスカスDの内径は、ノズル21の径よりも小さく、例えば、ノズル21の径の1/4以上且つ1/3以下である。
【0049】
続いて、制御装置50は、当接面23aを退避位置から第1進出位置に移動するようにアクチュエータ23を制御する。この際、
図4(d)に示すように、当接面23aが下方に加速しながら移動し、第1保護膜26に当接して衝突する。この衝撃力が第1保護膜26及び振動板24を介して圧力室29の液体に与えられ、圧力室29内の圧力が急上昇する。この圧力波が圧力室29から連通路33を介してノズル21の液体に伝播する。このため、
図5(c)に示すように、上方に引き込まれているメニスカスDにおいてノズル21の中心軸Cの部分がノズル21の下方に突出し、液柱Daが形成される。
【0050】
さらに、
図4(a)に示すように当接面23aが衝突位置から第1進出位置まで下方に移動すると、振動板24が凹部28に押し込まれる。これにより、圧力室29の容積が縮小し、ノズル21内の液体が加圧される。
図5(d)に示すように、ノズル21の中心軸Cに近いほど液体の流路抵抗が小さいため、ノズル21に中心軸にある液柱Daに大きな圧力が加わり、液柱Daが分離して液滴Dbになって、ノズル孔21aから吐出される。
【0051】
そして、当接面23aを第1進出位置で保持する。液体は、供給マニホールド31から絞り流路32、圧力室29及び連通路33を介してノズル21に供給される。これにより、液滴Dbが吐出されたノズル孔21aのメニスカスDでは、圧力室29側である上方に窪むように湾曲した安定的な凹型曲面形状に戻る。
【0052】
上記のように、液体吐出装置10は、液体を吐出するノズル21、及び、ノズル21に連通する圧力室29が形成された流路形成体22と、流路形成体22に積層され、圧力室29を覆う被覆面24a、及び、被覆面24aと反対側の対向面24bを有する振動板24と、振動板24を挟んで圧力室29に対向する当接面23aを有し、当接面23aが振動板24から離間した退避位置、及び、当接面23aが振動板24に当接する進出位置の間で対向面24bに対して交差(例えば、直交)する交差方向に変位するアクチュエータ23と、対向面24bにおいて当接面23aに対向する領域を覆う第1保護膜26と、を備えている。
【0053】
このように、アクチュエータ23により当接面23aを退避位置から進出位置に移動させて第1保護膜26を介して振動板24に衝突させることにより、この大きな衝突エネルギにより圧力室29の液体に大きな圧力が付与され、高粘度の液体をノズル21から吐出することができる。さらに、当接面23aが振動板24から離間することにより、当接面23aが第1保護膜26を介して振動板24に接触している場合よりも、振動板24の移動速度を速めるため、高粘度の液体であっても駆動周期の低下を抑制することができる。また、当接面23aが第1保護膜26を介して振動板24に当たるため、当接面23aによる衝突から第1保護膜26により振動板24が保護されて、振動板24の破損を低減し、液体吐出装置10の長寿命化を図ることができる。
【0054】
また、液体吐出装置10では、前記領域を覆う第1保護膜26のサイズは、当接面23aのサイズと同じ又は当接面23aのサイズよりも大きい。これにより、当接面23aが振動板24に直接、当たって破損することを防止し、液体吐出装置10の長寿命化を図ることができる。
【0055】
さらに、液体吐出装置10では、第1保護膜26の厚みは1mm以下である。これにより、第1保護膜26の残留応力を低く抑えられ、第1保護膜26が振動板24を変形したり、振動板24から剥がれたりすることを抑制することができる。このため、第1保護膜26により振動板24の破損が低減され、液体吐出装置10の長寿命化を図ることができる。
【0056】
また、液体吐出装置10では、第1保護膜26は金属製である。これにより、第1保護膜26の耐摩耗性に優れており、液体吐出装置10の長寿命化を図ることができる。
【0057】
さらに、液体吐出装置10では、流路形成体22は、圧力室29の周囲を取り囲む外周縁29aを有し、当接面23aは、外周縁29aに沿った外縁23a2を有している。これにより、当接面23aが圧力室29の液体に均等な圧力を付与することができる。
【0058】
また、液体吐出装置10では、当接面23a、及び、当接面23aに平行な圧力室29の断面は、楕円形状である。これにより、当接面23aが圧力室29の液体に均等な圧力を付与することができる。また、例えば、当接面23a及び圧力室29について前後方向のサイズよりも左右方向のサイズを小さくすることにより、左右方向において圧力室29に連通するノズル21の高密度化を図ることができる。
【0059】
さらに、液体吐出装置10は、対向面24bに対して交差する交差方向の当接面23a側へ振動板24を移動する変位部材25を備えている。このような液体吐出装置10において、弾性体25aにより振動板24が当接面23a側に移動して圧力室29の容積を拡大することでメニスカスDを大きく当接面23a側へ引き込むことができる。よって、高粘度の液体であっても、メニスカスDから液柱Daを形成して、この液柱Daから液滴Dbを分離し、液滴Dbを効率的に吐出することができる。
【0060】
また、液体吐出装置10では、変位部材25は弾性体25aから成る。この弾性体25aが伸縮して変形することにより振動板24が変位するため、液体吐出装置10の小型化を図ることができる。
【0061】
<変形例1>
変形例1に係る液体吐出装置10では、実施の形態1において、
図6に示すように、変位部材25は、バネ25bから成る。バネ25bは、例えば、圧縮コイルばねであって、上下方向に延びる中心軸の周囲を螺旋状に取り囲む筒形状を有し、上下方向に伸縮可能である。バネ25bの内側に振動板24が嵌められて、バネ25bは、鍔24eと流路形成体22の上面との間において振動板24の外周面24cを取り囲む。
【0062】
バネ25bは、縮むことにより復元力が発生し、この復元力によって振動板24を当接面23a側に押し上げて、振動板24を上方に変位させる。この変位部材25にバネ25bを用いることにより、バネ25bのばね定数に応じて振動板24の移動速度及び移動距離を容易に調整することができる。
【0063】
<変形例2>
変形例2に係る液体吐出装置10は、実施の形態1及び変形例1において、
図7に示すように、当接面23aを覆う第2保護膜34を備えている。
【0064】
第2保護膜34は、楕円形状であって、当接面23aを覆う。このため、第2保護膜34は、第1保護膜26よりも小さく、第1保護膜26と同心で且つ平行に配置されており、第1保護膜26に対向している。このため、第2保護膜34が第1保護膜26に当接する際、第2保護膜34の全体が第1保護膜26内に納まる。よって、当接面23aが第2保護膜34を介して第1保護膜26に当たるため、当接面23aによる衝突から第2保護膜34により当接面23aが保護されて、当接面23aの破損を低減し、液体吐出装置10の長寿命化を図ることができる。
【0065】
第2保護膜34は、上下方向に対して交差(例えば、直交)する当接面23aを覆い、当接面23aに直交する方向の厚みが薄い膜であり、厚みは1mm以下である。これにより、第2保護膜34の残留応力を低く抑えられ、第2保護膜34が当接面23aから剥がれることを抑制することができる。
【0066】
第2保護膜34のヤング率は第1保護膜26のヤング率よりも低い。これにより、第1保護膜26よりも軟らかい第2保護膜34が、当接面23aと振動板24との衝突による衝撃を吸収し、当接面23a及び振動板24の破損を低減し、液体吐出装置10の長寿命化を図ることができる。
【0067】
第2保護膜34は、例えば、金属製であって、この金属としては、アルミニウムが用いられる。この軟らかいアルミニウム製の第2保護膜34が、当接面23aと振動板24との衝突による衝撃を吸収し、当接面23a及び振動板24の破損を低減し、液体吐出装置10の長寿命化を図ることができる。
【0068】
(実施の形態2)
実施の形態2に係る液体吐出装置10は、実施の形態1及び変形例1、2において、
図8(a)~
図8(d)に示すように、変位部材25及びシール部材27を備えず、振動板124は撓み変形可能な薄膜である。例えば、振動板124は、流路形成体22の上面に直交する方向の厚みが薄い平板形状であって、ダイアフラム等の弾性を有する薄膜が用いられる。振動板124は、シリコン等の非金属、又は、SUS等の金属から成る。
【0069】
振動板124は、その下面である被覆面124a、及び、被覆面124aとは反対側の対向面124bを有している。被覆面124aが流路形成体22の上面に固定されており、流路形成体22の流路開口28aを覆う。これにより、流路開口28aから窪む凹部28に圧力室29が形成され、圧力室29の上面が被覆面124aにより構成される。
【0070】
第1保護膜26は、振動板124の対向面124b上に積層され、流路開口28a及び圧力室29よりも小さく、流路開口28a及び圧力室29と同心になるように配置されている。また、第1保護膜26は、当接面23aと対向する対向領域を覆い、アクチュエータ23の当接面23aに対向する。
【0071】
当接面23aが対向面124bに当接して進出位置へ押し下げられると、振動板124が流路形成体22の上面よりも下方に撓み、圧力室29の容積が減少する。また、振動板124は、上方へ向く復元力が生じる。この復元力によって、当接面23aが対向面124bから離間して退避位置へ上昇すると、振動板124が流路形成体22の上面よりも上方に撓み、圧力室29の容積が増加する。
【0072】
<吐出動作>
図8(a)に示すように、当接面23aは第1進出位置に配置されている。そして、制御装置50は、
図8(b)に示すように、当接面23aを第1保護膜26に当接させて、第1進出位置から第2進出位置へ下降させるようアクチュエータ23を制御する。これにより、振動板124が下方に撓んで変形し、圧力室29の容積が減少すると共に、上方に向かう復元力が振動板124に発生する。ここでは、
図5(a)に示す、上方に窪んだメニスカスDがノズル孔21aに形成される。
【0073】
続いて、制御装置50は、
図8(c)に示すように、当接面23aを第2進出位置から退避位置へ上昇させるようにアクチュエータ23を制御する。これにより、当接面23aが上昇すると共に、振動板124の復元力によって第1保護膜26は当接面23aに当接しながら上昇する。この上昇に伴い復元力が低下し、当接面23aは第1保護膜26から離れて退避位置まで上昇する。また、振動板124は、流路形成体22の上面よりも上方に突出するように撓み、圧力室29の容積が増加する。これにより、メニスカスDは、
図5(b)に示すように、
図5(a)のメニスカスDよりも上方に引き込まれる。
【0074】
その後、制御装置50は、当接面23aを退避位置から第1進出位置へ下降させるようにアクチュエータ23を制御する。この際、
図8(d)に示すように、当接面23aは第1保護膜26に衝突する。この衝撃力により、圧力室29内の液体に大きな衝突エネルギが加えられ、圧力室29内の圧力が増加する。この圧力波が圧力室29から連通路33を介してノズル21内の液体に伝播するため、
図5(c)に示すように、メニスカスDにおいて、ノズル21の中心軸Cに下方に突出する液柱Daが形成される。
【0075】
さらに、
図8(a)に示すように、当接面23aが振動板124を第1進出位置まで下方に押し込み、圧力室29の容積が減少する。これにより、ノズル21内の液体が加圧されて、
図5(d)に示すように、液柱Daが液滴DbとしてメニスカスDから分離してノズル21から吐出される。そして、液体が供給マニホールド31から絞り流路32を介して圧力室29に供給される。
【0076】
このような液体吐出装置10も、流路形成体22、振動板124、アクチュエータ23及び第1保護膜26を備えている。当接面23aが第1保護膜26を介して振動板124に衝突することにより、高粘度の液体をノズル21から吐出することができる。また、当接面23aが振動板124から離間することにより、振動板124の移動速度を速め、高粘度の液体であっても駆動周期の低下を抑制することができる。さらに、当接面23aが第1保護膜26を介して振動板124に当たるため、第1保護膜26が衝突による振動板124の破損を低減し、液体吐出装置10の長寿命化を図ることができる。
【0077】
また、変形する振動板124により、液体吐出装置10は変位部材25及びシール部材27を備えないため、液体吐出装置10の構成を簡素化することができる。
【0078】
さらに、第1保護膜26のサイズは、被覆面124aのうち圧力室29を覆う領域のサイズよりも小さい。例えば、被覆面124aのうち圧力室29を覆う領域は、被覆面124aのうち流路開口28aを覆う領域に相当する。この流路開口28aにおいて振動板124は撓み変形可能であるため、第1保護膜26が流路開口28aよりも小さいことにより、流路開口28aにおける振動板124の変形を第1保護膜26が阻害することを低減することができる。
【0079】
<その他の変形例>
上記全ての実施の形態及び変形例において、当接面23aを第1進出位置から第2進出位置へ下降させた後に第2進出位置から退避位置へ上昇させていた。ただし、当接面23aを第1進出位置から第2進出位置へ下降させずに、第1進出位置から退避位置へ上昇させてもよい。これにより、アクチュエータ23の駆動間隔を短縮化でき、印刷の高速化を図ることができる。
【0080】
上記全ての実施の形態及び変形例では、液体吐出装置10は、ヘッド20が固定されたラインヘッド方式が用いられた。しかしながら、液体吐出装置10は、キャリッジを備え、キャリッジによりヘッド20を左右方向に移動するシリアルヘッド方式が用いられてもよい。
【0081】
なお、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。また、上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の液体吐出装置は、高粘度の液体を吐出可能としながら、長寿命化を図ることができる液体吐出装置等として有用である。
【符号の説明】
【0083】
10 :液体吐出装置
21 :ノズル
22 :流路形成体
23 :アクチュエータ
23a :当接面
24 :振動板
24a :被覆面
24b :対向面
25 :変位部材
25a :弾性体
25b :バネ
26 :第1保護膜
29 :圧力室
34 :第2保護膜
124 :振動板
124a :被覆面
124b :対向面