(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069097
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】糸巻取機
(51)【国際特許分類】
B65H 57/14 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
B65H57/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178073
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】502455511
【氏名又は名称】TMTマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 竣也
(72)【発明者】
【氏名】加賀田 翔
(72)【発明者】
【氏名】松井 崇倫
(72)【発明者】
【氏名】米倉 踏青
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀平
【テーマコード(参考)】
3F110
【Fターム(参考)】
3F110AA01
3F110BA06
3F110CA01
3F110DA09
3F110DB04
3F110DB08
3F110DB11
3F110DB16
(57)【要約】
【課題】支点ガイドの局所的な摩耗を低減でき、且つ、そのためのコストを低減可能な糸巻取機を提供する。
【解決手段】複数の支点ガイド16は、中心軸を有するローラ状であって、その外周面に糸Yが掛けられるように構成されている。複数の支点ガイド16のうち1つ以上の支点ガイド16は、中心軸周りに自由回転可能に構成されており、糸巻取時に上記1つ以上の支点ガイド16の回転を禁止するとともに、糸巻取時以外に上記1つ以上の支点ガイド16の回転禁止を解除する切換機構30が設けられている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取軸に装着された複数のボビンに、前記巻取軸の軸方向に並んだ複数の支点ガイドを支点に複数の糸を綾振りしながら巻き取る糸巻取機において、
前記複数の支点ガイドは、中心軸を有するローラ状であって、その外周面に前記糸が掛けられるように構成されており、
前記複数の支点ガイドのうち1つ以上の支点ガイドは、前記中心軸周りに自由回転可能に構成されており、
糸巻取時に前記1つ以上の支点ガイドの回転を禁止するとともに、糸巻取時以外に前記1つ以上の支点ガイドの回転禁止を解除する切換機構が設けられていることを特徴とする糸巻取機。
【請求項2】
前記1つ以上の支点ガイドには、前記軸方向における両端の2つの前記支点ガイドが含まれることを特徴とする請求項1に記載の糸巻取機。
【請求項3】
前記1つ以上の支点ガイドには、すべての前記支点ガイドが含まれることを特徴とする請求項2に記載の糸巻取機。
【請求項4】
前記切換機構は、
前記支点ガイド、又は、前記支点ガイドを保持する保持部材に形成されたギア部と、
糸巻取時に前記ギア部に係合して前記ギア部の回転を阻止する係合部材と、
糸巻取時以外に前記係合部材と前記ギア部との係合を解除する係合解除部材と、
を有することを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の糸巻取機。
【請求項5】
前記複数の支点ガイドを、糸巻取時の巻取位置と糸掛作業時の糸掛位置との間で移動させる移動機構を備え、
前記係合解除部材は、前記複数の支点ガイドが前記糸掛位置に位置するときに、前記係合部材と前記ギア部との係合が解除された状態を維持することを特徴とする請求項4に記載の糸巻取機。
【請求項6】
前記移動機構は、
前記複数の支点ガイドを支持する複数のスライダと、
前記複数のスライダが摺動可能に取り付けられた案内レールと、
前記案内レールに沿って前記複数のスライダを移動させる駆動部と、
を有することを特徴とする請求項5に記載の糸巻取機。
【請求項7】
前記複数の支点ガイドが前記巻取位置から前記糸掛位置に移動するときに、前記案内レールの長手方向において互いに隣り合う前記スライダ同士が近接することを特徴とする請求項6に記載の糸巻取機。
【請求項8】
前記係合部材は、前記複数の支点ガイドが前記巻取位置に位置するときに、前記スライダから突出している突出部を有し、
前記複数の支点ガイドが前記巻取位置から前記糸掛位置に移動するときに、前記係合解除部材として隣の前記スライダが前記突出部を押圧することによって、前記係合部材と前記ギア部との係合が解除されることを特徴とする請求項7に記載の糸巻取機。
【請求項9】
前記係合解除部材が前記案内レール、又は、前記案内レールが直接的もしくは間接的に固定されている固定部材に固定されており、
前記複数の支点ガイドが前記巻取位置から前記糸掛位置に移動するときに、前記係合解除部材が前記係合部材を押圧することによって、前記係合部材と前記ギア部との係合が解除されることを特徴とする請求項6又は7に記載の糸巻取機。
【請求項10】
前記係合部材が前記ギア部と係合する方向に前記係合部材を付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項4~9の何れか1項に記載の糸巻取機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取軸に装着された複数のボビンに、巻取軸の軸方向に並んだ複数の支点ガイドを支点に複数の糸を綾振りしながら巻き取る糸巻取機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紡糸装置から紡出された複数の糸を、巻取軸に装着された複数のボビンに綾振りしながら巻き取る糸巻取機が知られている。このような糸巻取機では、糸を綾振りする際の支点となる複数の支点ガイドが巻取軸の軸方向に並んで設けられている。例えば、特許文献1、2では、巻取軸の軸方向と直交する方向に延びる中心軸を有するローラ状の支点ガイド(特許文献2では案内ローラ)が設けられており、支点ガイドの外周面に糸が掛けられる。特許文献1では、支点ガイドが糸巻取時に中心軸周りに回転しないように構成されている。また、特許文献2では、支点ガイドが中心軸周りに自由回転可能なローラとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-23787号公報
【特許文献2】特表2008-531438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように支点ガイドが糸巻取時に回転しない場合、高速走行する糸が支点ガイドの外周面の同じ部分に接触し続けることによって、支点ガイドの局所的な摩耗が進行しやすい。その結果、糸と支点ガイドの接触状態が変わってしまい、糸の品質低下をもたらすおそれがあった。この点、特許文献1ではモータによって支点ガイドを回転できるように構成されており、糸との接触位置を変更することができる。しかしながら、支点ガイドを回転させるためのモータ等の駆動部が必要なことから、コストが高くなるという問題があった。
【0005】
一方、特許文献2の支点ガイドは自由回転可能に構成されているため、糸巻取時に糸との摩擦によって支点ガイドが常時回転し、局所的な摩耗を抑えることができる。しかしながら、支点ガイドが高速回転にさらされるため、支点ガイドの軸受けが早期に破損しやすい。このため、軸受けのメンテナンスに伴うコストアップが問題となっていた。
【0006】
以上の課題に鑑みて、本発明では、支点ガイドの局所的な摩耗を低減でき、且つ、そのためのコストを低減可能な糸巻取機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、巻取軸に装着された複数のボビンに、前記巻取軸の軸方向に並んだ複数の支点ガイドを支点に複数の糸を綾振りしながら巻き取る糸巻取機において、前記複数の支点ガイドは、中心軸を有するローラ状であって、その外周面に前記糸が掛けられるように構成されており、前記複数の支点ガイドのうち1つ以上の支点ガイドは、前記中心軸周りに自由回転可能に構成されており、糸巻取時に前記1つ以上の支点ガイドの回転を禁止するとともに、糸巻取時以外に前記1つ以上の支点ガイドの回転禁止を解除する切換機構が設けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、自由回転可能に構成された1つ以上の支点ガイドの回転は、糸巻取時には切換機構によって禁止される。つまり、支点ガイドが糸の走行によって高速回転することはないので、支点ガイドの軸受けを不要とすることも可能であるし、仮に軸受けを設ける場合でも高速回転に長時間さらされるわけではないので早期破損を回避できる。したがって、軸受けのメンテナンスに伴うコストアップを回避できる。また、本発明では、糸巻取時以外に支点ガイドの回転禁止が切換機構によって解除されるので、そのときに支点ガイドへの糸掛作業等を行えば、糸が支点ガイドに接触する際に糸の張力を利用して支点ガイドを簡単に回転させることができる。このため、支点ガイドの局所的な摩耗を低減でき、支点ガイドを回転させるためのモータ等の駆動部が不要となる。以上のように、本発明によれば、支点ガイドの局所的な摩耗を低減でき、且つ、そのためのコストを低減可能となる。なお、局所的な摩耗があまり問題とならない支点ガイドを回転させることは必須ではないので、そのような支点ガイドは自由回転可能に構成されている必要はない。
【0009】
本発明において、前記1つ以上の支点ガイドには、前記軸方向における両端の2つの前記支点ガイドが含まれるとよい。
【0010】
一般的な糸巻取機では、巻取軸の軸方向に並んだ複数の支点ガイドのうち端に近いものほど、糸の巻掛角が大きくなることで糸から受ける面圧が大きくなり、摩耗が問題となりやすい。したがって、少なくとも両端の2つの支点ガイドを自由回転可能に構成しておけば、支点ガイドの局所的な摩耗の問題を概ね解消できる。
【0011】
本発明において、前記1つ以上の支点ガイドには、すべての前記支点ガイドが含まれるとよい。
【0012】
こうすれば、すべての支点ガイドに関して確実に局所的な摩耗を低減することができる。
【0013】
本発明において、前記切換機構は、前記支点ガイド、又は、前記支点ガイドを保持する保持部材に形成されたギア部と、糸巻取時に前記ギア部に係合して前記ギア部の回転を阻止する係合部材と、糸巻取時以外に前記係合部材と前記ギア部との係合を解除する係合解除部材と、を有するとよい。
【0014】
このような構成によれば、係合解除部材によって係合部材とギア部との係合を解除することによって、支点ガイドを自由回転可能な状態に切り換えることができる。
【0015】
本発明において、前記複数の支点ガイドを、糸巻取時の巻取位置と糸掛作業時の糸掛位置との間で移動させる移動機構を備え、前記係合解除部材は、前記複数の支点ガイドが前記糸掛位置に位置するときに、前記係合部材と前記ギア部との係合が解除された状態を維持するとよい。
【0016】
このような構成によれば、支点ガイドへの糸掛作業時に支点ガイドが自由回転可能な状態となっているので、糸を支点ガイドに掛ける際に支点ガイドを回転させることができる。
【0017】
本発明において、前記移動機構は、前記複数の支点ガイドを支持する複数のスライダと、前記複数のスライダが摺動可能に取り付けられた案内レールと、前記案内レールに沿って前記複数のスライダを移動させる駆動部と、を有するとよい。
【0018】
このような移動機構であれば、スライダを案内レールに沿って移動させれば、支点ガイドを移動させることができる。
【0019】
本発明において、前記複数の支点ガイドが前記巻取位置から前記糸掛位置に移動するときに、前記案内レールの長手方向において互いに隣り合う前記スライダ同士が近接するとよい。
【0020】
このような構成によれば、複数の支点ガイドが糸掛位置に位置するときには、複数の支点ガイドが近接した状態で集合しているので、糸掛作業が容易となる。
【0021】
本発明において、前記係合部材は、前記複数の支点ガイドが前記巻取位置に位置するときに、前記スライダから突出している突出部を有し、前記複数の支点ガイドが前記巻取位置から前記糸掛位置に移動するときに、前記係合解除部材として隣の前記スライダが前記突出部を押圧することによって、前記係合部材と前記ギア部との係合が解除されるとよい。
【0022】
このような構成によれば、隣のスライダが係合解除部材として機能するので、係合解除部材を新たに設ける必要がなく、部品点数の増加を抑制できる。
【0023】
本発明において、前記係合解除部材が前記案内レール、又は、前記案内レールが直接的もしくは間接的に固定されている固定部材に固定されており、前記複数の支点ガイドが前記巻取位置から前記糸掛位置に移動するときに、前記係合解除部材が前記係合部材を押圧することによって、前記係合部材と前記ギア部との係合が解除されるとよい。
【0024】
このような構成によれば、複数の支点ガイドに対して係合解除部材を共通に設けることができるので、係合解除部材を支点ガイドごとに設ける必要がなく、係合解除部材の数を減らすことができる。
【0025】
本発明において、前記係合部材が前記ギア部と係合する方向に前記係合部材を付勢する付勢部材が設けられているとよい。
【0026】
このような付勢部材を設ければ、糸巻取時に支点ガイドの回転を係合部材によって確実に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本実施形態に係る紡糸引取装置の側面図である。
【
図3】第1実施例の切換機構の動作を示す図である。
【
図5】第2実施例の切換機構の動作を示す図である。
【
図6】第2実施例の係合解除部材の配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る糸巻取機を紡糸引取装置に適用した実施形態について説明する。
【0029】
(紡糸引取装置)
図1は、本実施形態に係る紡糸引取装置の側面図である。本明細書では、
図1に示す前後左右上下の各方向を、紡糸引取装置の前後左右上下と定義する。
【0030】
紡糸引取装置1は、紡糸装置2から紡出される複数(本実施形態では16本)の糸Yを引き取る装置であり、ゴデットローラ3、4及び糸巻取機10を備えている。紡糸装置2は、紡糸引取装置1の上方に配置されており、合成樹脂からなる複数の糸Yを紡出する。ゴデットローラ3、4は、紡糸装置2の下方に配置されており、不図示のモータによって回転駆動される。紡糸装置2から紡出された複数の糸Yは、ゴデットローラ3、4を経由して、糸巻取機10へ送られる。
【0031】
糸巻取機10は、ゴデットローラ3、4の下方に配置されている。糸巻取機10は、機台11に内蔵されたターレット12によって片持ち支持された2本のボビンホルダ13(本発明の巻取軸に相当)を有する。ボビンホルダ13は前後方向(本発明の軸方向に相当)に延びており、その後端部がターレット12によって支持されている。ボビンホルダ13には、前後方向に複数のボビンBを装着することができる。ボビンホルダ13は、不図示のモータによって軸周りに回転駆動される。
【0032】
ターレット12は、前後方向に平行な回転軸を有する円板状の部材であり、周方向に180度異なる上位置と下位置とのそれぞれにボビンホルダ13が取り付けられている。ターレット12を回転させることによって、2本のボビンホルダ13が上位置と下位置との間で移動する。上位置のボビンホルダ13では、複数の糸Yを複数のボビンBに巻き取って、複数のパッケージPを形成する。一方、下位置のボビンホルダ13では、複数のパッケージPの回収、及び、新しい複数のボビンBの装着が行われる。
【0033】
糸巻取機10は、機台11に片持ち支持された支持フレーム14を有する。支持フレーム14は、その後端部が機台11によって支持されている。支持フレーム14の上方には、ガイドユニット15が配置されている。ガイドユニット15には、糸Yの本数と同じ数(本実施形態では16個)の支点ガイド16が前後方向に並んで設けられている。支持フレーム14には、糸Yの本数と同じ数のトラバース装置17が前後方向に並んで設けられている。トラバース装置17は、対応する支点ガイド16を支点として糸Yを前後方向に綾振りさせる。
【0034】
支持フレーム14の下方には、支持フレーム14によって回転可能に支持されたコンタクトローラ18が配置されている。コンタクトローラ18は、上位置のボビンホルダ13に保持されている複数のパッケージPの外周面に接触する。糸巻取時に、コンタクトローラ18がパッケージPに所定の接圧を付与しながら回転することで、パッケージPの形状を整えることができる。
【0035】
(ガイドユニット)
ガイドユニット15の構成について説明する。
図2は、ガイドユニット15の側面図である。
図2のa図は、複数の支点ガイド16が巻取位置に位置する状態を示し、
図2のb図は、複数の支点ガイド16が糸掛位置に位置する状態を示す。巻取位置とは、複数のボビンBに複数の糸Yを巻き取るときの複数の支点ガイド16の位置である。糸掛位置とは、複数の支点ガイド16に複数の糸Yを掛けるときの複数の支点ガイド16の位置である。複数の支点ガイド16は、移動機構20によって巻取位置と糸掛位置との間で移動可能に構成されている。
【0036】
ガイドユニット15は、複数の支点ガイド16及び移動機構20を有して構成されている。移動機構20は、複数のスライダ21と、案内レール22と、エアシリンダ23(本発明の駆動部に相当)とを有する。スライダ21は、支点ガイド16と同じ数だけ設けられており、支点ガイド16を回転可能に支持する。
【0037】
支点ガイド16は、スライダ21から右方に突出しており(
図5参照)、ボビンホルダ13の軸方向と直交する方向(左右方向)に延びる中心軸を有するローラ状の部材である。糸Yは支点ガイド16の外周面に掛けられており、糸巻取時に、糸Yは支点ガイド16の外周面に接触した状態で走行する。すべての支点ガイド16は、中心軸周りに自由回転可能に構成されている。
【0038】
案内レール22は、前後方向(本発明の長手方向に相当)に延びる部材であり、不図示のブラケットを介して支持フレーム14に固定されている。案内レール22には、複数のスライダ21が前後方向に並んだ状態で摺動可能に取り付けられている。前後方向において互いに隣り合うスライダ21同士は、不図示のベルトによって互いに連結されている。最も後側のスライダ21には、エアシリンダ23のロッド23aが連結されている。
【0039】
図2のa図に示すように、エアシリンダ23のロッド23aが縮んでいるとき、複数のスライダ21は互いに離間した状態で前後方向に並んでいる。つまり、複数の支点ガイド16も互いに離間した状態で前後方向に並んでいる。このときの複数の支点ガイド16の位置が巻取位置である。複数の支点ガイド16が巻取位置に位置するとき、糸Yと各支点ガイド16との接点、すなわち、糸Yの綾振り支点が等間隔となっている。
【0040】
ゴデットローラ4から巻取位置に位置する複数の支点ガイド16に分配される複数の糸Yの糸道は、前後方向において複数の支点ガイド16の中心を通る鉛直面に関して対称になっている。前側半分の8本の糸Yは、支点ガイド16の前側に掛けられるのに対し、後側半分の8本の糸Yは、支点ガイド16の後側に掛けられる。また、複数の支点ガイド16のうち端に近いものほど、糸Yの巻掛角が大きく、その結果、糸Yの面圧が大きいため摩耗が生じやすくなっている。
【0041】
複数の支点ガイド16への糸掛作業を行う際には、エアシリンダ23を駆動してロッド23aを伸長させる。すると、ロッド23aに連結された最も後側のスライダ21が前方へ移動する。続けて、最も後側のスライダ21がその前隣りのスライダ21に当接して前方に押圧し、同様に各スライダ21がその前隣りのスライダ21に当接して前方に押圧する動作が繰り返される。なお、ここでの「当接する」とは、スライダ21同士が直接的に接する形態だけでなく、他の部材を介してスライダ21同士が間接的に接する形態も含むものとする。
【0042】
最も前側のスライダ21が、案内レール22の前端部に設けられた不図示のストッパに当接すると、エアシリンダ23は停止する。その結果、すべてのスライダ21が案内レール22の前端部に互いに近接した状態で集合する。このときの複数の支点ガイド16の位置が糸掛位置である。糸掛位置に位置する複数の支点ガイド16は、互いに近接した状態で案内レール22の前端部に集合しているため、複数の支点ガイド16への糸掛作業が行いやすい。なお、上記のようなストッパの代わりに、案内レール22の前端部がストッパとして機能するように構成されていてもよいし、エアシリンダ23のロッド23aがストッパに当接して停止する構成であってもよい。
【0043】
糸掛作業の終了後に、エアシリンダ23を駆動してロッド23aを収縮させると、最も後側のスライダ21が後方へ移動する。最も後側のスライダ21とその前隣りのスライダ21とを連結しているベルトが伸びきると、前隣りのスライダ21が後方へ引っ張られる。以降、同様に各スライダ21が後方へ引っ張られることにより、複数の支点ガイド16は
図2のa図に示す巻取位置に戻る。なお、スライダ21を移動させる駆動部は、エアシリンダ23に限定されず、モータ等の他のアクチュエータであってもよい。
【0044】
(回転機構の第1実施例)
回転機構の第1実施例について説明する。
図3は、第1実施例の切換機構30の動作を示す図である。
図4は、第1実施例の切換機構30を示す断面図であり、支点ガイド16の中心を通る断面を示したものである。
図3のa図は、支点ガイド16が巻取位置に位置しているときの状態を示し、
図3のb図は、支点ガイド16が糸掛位置に位置しているときの状態を示す。
図3に示す支点ガイド16は、最も前側の支点ガイド16を示したものである。
【0045】
本実施例では、各スライダ21に切換装置31が設けられており、各スライダ21に設けられた切換装置31の集合体が切換機構30である。切換装置31は、支点ガイド16を保持する保持部材32に形成されたギア部32aと、スライダ21に設けられた係合部材33と、本発明の係合解除部材として機能する隣のスライダ21と、を有して構成される。
【0046】
図4に示すように、支点ガイド16は、保持部材32に固定されており、保持部材32と一体回転可能である。保持部材32は、スライダ21の表面(右面)に形成された取付穴21aに取り付けられている。保持部材32のうちスライダ21の表面よりも裏側(左側)の部分にギア部32aが形成されている。保持部材32とスライダ21との間の摩擦力は、保持部材32が支点ガイド16の中心軸周りに自由回転できる程度の小さな値とされている。これによって、支点ガイド16が中心軸周りに自由回転可能となっている。なお、取付穴21aに、保持部材32をより円滑に回転させるための軸受けを設けてもよい。
【0047】
係合部材33は、ギア部32aと係合することで、ギア部32aの回転を阻止する部材である。係合部材33は、突出部33a、係合部33b及び接続部33cが一体形成された部材である。突出部33aは、支点ガイド16が巻取位置に位置するときに、スライダ21から後方に突出する部位である。係合部33bは、ギア部32aと噛み合ってギア部32aの回転を阻止する部位である。接続部33cは、突出部33aと係合部33bとを接続している部位である。なお、突出部33aが後方に突出することは必須ではなく、後隣りのスライダ21によって押圧される位置であれば、他の方向に突出していてもよい。
【0048】
スライダ21の表面には、前後方向に延びる案内溝21bが形成されている。突出部33a及び接続部33cの一部(前後方向に延びている部分)は、案内溝21bに摺動可能に係合している。これによって、係合部材33は案内溝21bに沿って、前後方向に移動可能である。係合部33b及び接続部33cの残りの部分は、スライダ21の裏側に配置されている。
【0049】
係合部材33は、ばね34によって後方、すなわち、突出部33aがスライダ21から突出する方向に付勢されている。このばね34(本発明の付勢部材に相当)は、係合部33bがギア部32aと係合する方向に係合部材33を付勢する部材としても機能する。
【0050】
図3に示す支点ガイド16は、糸巻取時に糸Yの走行によって
図3の反時計回りにトルクが加えられる。このトルクによって支点ガイド16が回転しないように、糸巻取時には切換機構30によって支点ガイド16の回転が禁止される。具体的には、
図3のa図に示すように、ばね34によって係合部材33が後方に付勢されることで、係合部33bがギア部32aと噛み合って支点ガイド16の回転が禁止される。
【0051】
支点ガイド16が巻取位置から糸掛位置に移動するとき、後隣りのスライダ21によって係合部材33の突出部33aが前方に押圧される。すると、係合部材33が前方へ移動し、係合部33bがギア部32aから外れ、係合部材33とギア部32aとの係合が解除される。その結果、支点ガイド16が糸掛位置に位置するときには、
図3のb図に示すように、支点ガイド16は自由回転可能な状態となる。このため、支点ガイド16への糸掛作業の際に、糸Yが支点ガイド16の外面周に接触することによって、糸Yの張力で支点ガイド16を容易に回転させることができる。したがって、次の糸巻取時に糸Yが支点ガイド16と接触する位置を、前回の糸巻取時の位置から変更することができ、支点ガイド16の局所的な摩耗の進行を抑制することができる。
【0052】
支点ガイド16への糸掛作業を終え、支点ガイド16を糸掛位置から巻取位置に戻すと、後隣りのスライダ21が離れる。すると、ばね34の付勢力によって係合部材33が後方に移動し、突出部33aがスライダ21から後方に突出するとともに、係合部33bがギア部32aと噛み合う。支点ガイド16が巻取位置に戻り、糸Yの巻き取りが始まると、糸Yの走行によって支点ガイド16には反時計回りのトルクが作用する。しかしながら、係合部材33によって支点ガイド16の回転は阻止されているので、支点ガイド16が回転することはない。
【0053】
なお、本実施例では、ギア部32a及び係合部材33の係合部33bを含む一部が、スライダ21の裏側に設けられるものとしたが、これらがスライダ21の表側に設けられてもよい。また、最も後側の支点ガイド16については、後隣りのスライダ21が存在しないため、係合部材33の配置を
図3に示すものとは前後反転させるとよい。この場合は、前隣りのスライダ21が係合解除部材として機能することになる。
【0054】
(第1実施例の効果)
本実施例の効果について説明する。本実施例では、自由回転可能に構成された1つ以上の支点ガイド16の回転は、糸巻取時には切換機構30によって禁止される。つまり、支点ガイド16が糸Yの走行によって高速回転することはないので、支点ガイド16の軸受けを不要とすることも可能であるし、仮に軸受けを設ける場合でも高速回転に長時間さらされるわけではないので早期破損を回避できる。したがって、軸受けのメンテナンスに伴うコストアップを回避できる。また、本実施例では、糸巻取時以外に支点ガイド16の回転禁止が切換機構30によって解除されるので、そのときに支点ガイド16への糸掛作業等を行えば、糸Yが支点ガイド16に接触する際に糸Yの張力を利用して支点ガイド16を簡単に回転させることができる。このため、支点ガイド16の局所的な摩耗を低減でき、支点ガイド16を回転させるためのモータ等の駆動部が不要となる。以上のように、本実施例によれば、支点ガイド16の局所的な摩耗を低減でき、且つ、そのためのコストを低減可能となる。
【0055】
本実施例では、上記1つ以上の支点ガイド16には、軸方向における両端の2つの支点ガイド16が含まれる。一般的な糸巻取機10では、ボビンホルダ13の軸方向に並んだ複数の支点ガイド16のうち端に近いものほど、糸Yの巻掛角が大きくなることで糸Yから受ける面圧が大きくなり、摩耗が問題となりやすい。したがって、少なくとも両端の2つの支点ガイド16を自由回転可能に構成しておけば、支点ガイド16の局所的な摩耗の問題を概ね解消できる。
【0056】
本実施例では、上記1つ以上の支点ガイド16には、すべての支点ガイド16が含まれる。こうすれば、すべての支点ガイド16に関して確実に局所的な摩耗を低減することができる。
【0057】
本実施例では、切換機構30は、支点ガイド16を保持する保持部材32に形成されたギア部32aと、糸巻取時にギア部32aに係合してギア部32aの回転を阻止する係合部材33と、糸巻取時以外に係合部材33とギア部32aとの係合を解除する係合解除部材(隣のスライダ21)と、を有する。このような構成によれば、係合解除部材によって係合部材33とギア部32aとの係合を解除することによって、支点ガイド16を自由回転可能な状態に切り換えることができる。
【0058】
本実施例では、複数の支点ガイド16を、糸巻取時の巻取位置と糸掛作業時の糸掛位置との間で移動させる移動機構20を備え、係合解除部材(隣のスライダ21)は、複数の支点ガイド16が糸掛位置に位置するときに、係合部材33とギア部32aとの係合が解除された状態を維持する。このような構成によれば、支点ガイド16への糸掛作業時に支点ガイド16が自由回転可能な状態となっているので、糸Yを支点ガイド16に掛ける際に支点ガイド16を回転させることができる。
【0059】
本実施例では、移動機構20は、複数の支点ガイド16を支持する複数のスライダ21と、複数のスライダ21が摺動可能に取り付けられた案内レール22と、案内レール22に沿って複数のスライダ21を移動させるエアシリンダ23と、を有する。このような移動機構20であれば、スライダ21を案内レール22に沿って移動させれば、支点ガイド16を移動させることができる。
【0060】
本実施例では、複数の支点ガイド16が巻取位置から糸掛位置に移動するときに、案内レール22の長手方向(前後方向)において互いに隣り合うスライダ21同士が近接する。このような構成によれば、複数の支点ガイド16が糸掛位置に位置するときには、複数の支点ガイド16が近接した状態で集合しているので、糸掛作業が容易となる。
【0061】
本実施例では、係合部材33は、複数の支点ガイド16が巻取位置に位置するときに、スライダ21から突出している突出部33aを有し、複数の支点ガイド16が巻取位置から糸掛位置に移動するときに、係合解除部材として隣のスライダ21が突出部33aを押圧することによって、係合部材33とギア部32aとの係合が解除される。このような構成によれば、隣のスライダ21が係合解除部材として機能するので、係合解除部材を新たに設ける必要がなく、部品点数の増加を抑制できる。
【0062】
本実施例では、係合部材33がギア部32aと係合する方向に係合部材33を付勢するばね34が設けられている。このようなばね34を設ければ、糸巻取時に支点ガイド16の回転を係合部材33によって確実に阻止することができる。
【0063】
(回転機構の第2実施例)
回転機構の第2実施例について説明する。第1実施例と共通する構成については適宜説明を省略し、第1実施例と異なる点を主に説明する。
図5は、第2実施例の切換機構40の動作を示す図である。
図5のa図及びb図は、何れも支点ガイド16が巻取位置から糸掛位置に移動している途中の状態を示している。
図6は、第2実施例の係合解除部材44の配置を示す図である。
【0064】
本実施例の切換機構40は、各支点ガイド16を保持する保持部材42に形成されたギア部42aと、各スライダ21に設けられた係合部材43と、案内レール22に固定された1つの係合解除部材44と、を有して構成される。本実施例では、ギア部42a及び係合部材43はスライダ21の裏側(左側)に配置されているが、これらの部材はスライダ21の表側(右側)に配置されてもよい。
【0065】
支点ガイド16及び保持部材32は、第1実施例と同じ構成とされており、支点ガイド16は中心軸周りに自由回転可能である。係合部材43は、ギア部42aと係合することで、ギア部42aの回転を阻止する部材であり、各スライダ21に設けられている。係合部材43は長尺部材であり、その一端部が被押圧部43aであり、その他端部が係合部43bである。被押圧部43aは、スライダ21から下方に突出しており、支点ガイド16が巻取位置から糸掛位置に移動する過程で係合解除部材44に押圧される。係合部43bは、ギア部42aと噛み合ってギア部42aの回転を阻止する部位である。係合部材43の中央部には支点45が配置されており、係合部材43は支点45を中心に回動可能に構成されている。係合部材43にはばね46が連結されており、ばね46によって係合部43bがギア部42aと係合する方向に付勢されている。
【0066】
係合解除部材44は、
図6に示すように、案内レール22の前端部に固定されており、案内レール22の前端部から後方に向かって延びている。係合解除部材44の後端部は、各係合部材43の被押圧部43aを押圧する押圧部44aである。係合解除部材44の押圧部44aは、複数の支点ガイド16が巻取位置に位置するときの係合部材43よりも前方に配置されている。また、係合解除部材44の前後方向に延びている部分は、スライダ21から少しだけ下方に離れた位置に配置されている。このため、係合解除部材44は、スライダ21と接触することはないが、係合部材43の被押圧部43aには接触可能である。なお、被押圧部43aは、スライダ21から上方に突出していてもよく、この場合は、係合解除部材44の前後方向に延びている部分は、スライダ21の上方に配置される。
【0067】
支点ガイド16が巻取位置に位置しているときは、ばね46の付勢力によって係合部材43の係合部43bがギア部42aと係合している。支点ガイド16が巻取位置から糸掛位置への移動を開始してからも、係合部材43の被押圧部43aが係合解除部材44の押圧部44aと接触するまでは、
図5のa図に示すように、係合部材43とギア部42aと係合状態は維持される。支点ガイド16が巻取位置から糸掛位置への移動する途中で、係合部材43の被押圧部43aが係合解除部材44の押圧部44aに接触すると、
図5のb図に示すように、被押圧部43aが後方に押圧されることによって、係合部材43が支点45を中心に
図5の反時計回りに回動する。その結果、係合部材43の係合部43bがギア部42aから外れ、支点ガイド16が自由回転可能な状態に切り換えられる。
【0068】
図6に示すように、すべての支点ガイド16が糸掛位置まで移動すると、すべての係合部材43がギア部42aから外れた状態となり、支点ガイド16は自由回転可能な状態となる。このため、支点ガイド16への糸掛作業の際に、糸Yが支点ガイド16の外面周に接触することによって、糸Yの張力で支点ガイド16を容易に回転させることができる。したがって、次の糸巻取時に糸Yが支点ガイド16と接触する位置を、前回の糸巻取時の位置から変更することができ、支点ガイド16の局所的な摩耗の進行を抑制することができる。
【0069】
支点ガイド16への糸掛作業を終え、支点ガイド16を糸掛位置から巻取位置に戻すと、その過程で各スライダ21の係合部材43は係合解除部材44から離間する。すると、ばね46の付勢力によって係合部材43が時計回りに回動し、係合部材43の係合部43bがギア部42aと噛み合う。したがって、支点ガイド16が巻取位置に戻り糸Yの巻き取りが始まっても、支点ガイド16が糸Yの走行によって高速回転することはない。
【0070】
(第2実施例の効果)
本実施例の効果について説明するが、第1実施例と共通する構成による効果の説明は省略する。本実施例では、係合解除部材44が案内レール22に固定されており、複数の支点ガイド16が巻取位置から糸掛位置に移動するときに、係合解除部材44が係合部材43を押圧することによって、係合部材43とギア部42aとの係合が解除される。このような構成によれば、複数の支点ガイド16に対して係合解除部材44を共通に設けることができるので、係合解除部材44を支点ガイド16ごとに設ける必要がなく、係合解除部材44の数を減らすことができる。なお、本実施例では、係合解除部材44を1つのみ設けるものとしたが、係合解除部材44を2つ以上設けてもよい。また、係合解除部材44を案内レール22に固定することは必須ではなく、係合解除部材44を案内レール22が直接的もしくは間接的に固定されている固定部材(例えば支持フレーム14等)に固定してもよい。
【0071】
(他の実施形態)
上記実施形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。
【0072】
上記実施形態では、支点ガイド16を保持する保持部材32、42の外周面にギア部32a、42aが形成されているものとした。しかしながら、支点ガイド16の外周面にギア部を形成するようにしてもよい。
【0073】
上記実施形態では、複数の支点ガイド16が巻取位置から糸掛位置に移動するときに、切換機構30、40によって支点ガイド16が自由回転可能な状態に切り換えられるものとした。しかしながら、支点ガイド16の移動時以外に支点ガイド16が自由回転可能な状態に切り換えられてもよい。例えば、支点ガイド16が巻取位置に位置しており、且つ、糸Yの巻き取りを行っていないときに、支点ガイド16を自由回転可能な状態に切り換えてもよい。この場合には、上記実施形態における係合部材33、43を駆動するモータ等の駆動部を設け、この駆動部を作動させることによって支点ガイド16を自由回転可能な状態に切り換えてもよい。また、このような構成を採用した場合には、複数の支点ガイド16が巻取位置と糸掛位置との間で移動するように構成することは必須ではない。
【0074】
上記実施形態では、切換機構30、40によってすべての支点ガイド16を糸巻取時以外に自由回転可能な状態に切り換えるものとした。しかしながら、切換機構30、40は、局所的な摩耗が問題となりやすい一部の支点ガイド16(例えば両端の支点ガイド16)のみを自由回転可能な状態に切り換えるものでもよい。この場合、その他の支点ガイド16は、自由回転可能である必要はなく、スライダ21に固定しておけばよい。
【0075】
上記実施形態では、複数の支点ガイド16が糸掛位置に位置するとき、複数の支点ガイド16が互いに近接した状態で案内レール22の前端部に集合しているものとした。しかしながら、隣のスライダ21を係合解除部材として機能させない場合には、複数の支点ガイド16が糸掛位置で互いに近接することは必須ではない。つまり、複数の支点ガイド16が互いの間隔を変えずに、巻取位置と糸掛位置との間で一体的に移動する場合でも、本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
10:糸巻取機
13:ボビンホルダ(巻取軸)
16:支点ガイド
20:移動機構
21:スライダ
22:案内レール
23:エアシリンダ(駆動部)
30、40:切換機構
32、42:保持部材
32a、42a:ギア部
33、43:係合部材
33a:突出部
34、46:ばね(付勢部材)
44:係合解除部材
B:ボビン
Y:糸