(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069118
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 19/04 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
G01L19/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178108
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】000150707
【氏名又は名称】長野計器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】特許業務法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勇磨
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB01
2F055CC02
2F055DD01
2F055EE11
2F055FF02
2F055GG49
(57)【要約】
【課題】絶対圧の検出精度を確保できる圧力センサを提供すること。
【解決手段】圧力センサ1は、外部空間と連通する内部空間が形成された筒状ケース2と、筒状ケース2の内部空間に配置され、被測定流体のゲージ圧を検出可能な圧力検出素子123と、大気圧を検出可能な大気圧検出素子16と、圧力検出素子123にて検出した被測定流体のゲージ圧と、大気圧検出素子16にて検出した大気圧とに基づいて、被測定流体の絶対圧を算出する電子部品42と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空間と連通する内部空間が形成されたケースと、
前記ケースの内部空間に配置され、被測定流体のゲージ圧を検出可能な圧力検出素子と、
大気圧を検出可能な大気圧検出素子と、
前記圧力検出素子にて検出した被測定流体のゲージ圧と、前記大気圧検出素子にて検出した大気圧とに基づいて、被測定流体の絶対圧を算出する演算部と、を備える
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力センサにおいて、
前記大気圧検出素子は、前記ケースの内部空間に配置される
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の圧力センサにおいて、
前記圧力検出素子から出力される検出信号を受信する回路基板と、
前記回路基板と電気的に接続され、前記圧力検出素子の温度を検出可能な温度センサと、を備え、
前記演算部は、前記温度センサにて検出した温度に基づいて、検出した被測定流体のゲージ圧を補正する
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項4】
請求項3に記載の圧力センサにおいて、
前記被測定流体と前記大気圧検出素子との間には、断熱層が形成される
ことを特徴とする圧力センサ。
【請求項5】
請求項4に記載の圧力センサにおいて、
被測定流体が導入される筒体部と、前記筒体部の先端側に設けられ、前記被測定流体と接触する第1面および前記第1面の反対側に設けられ前記圧力検出素子が配置される第2面を有するダイアフラムと、を有するセンサモジュールと、
前記センサモジュールが取り付けられ、前記センサモジュールに前記被測定流体を導入する圧力導入孔が形成された継手と、
前記継手に取り付けられ前記センサモジュールの周囲を囲う筒状の台部材と、を備え、
前記温度センサは、温度を検出する温度検出素子と、前記温度検出素子と前記回路基板とを電気的に接続させるリード線とを有し、
前記台部材には、前記温度検出素子および前記リード線を収容可能な収容部が設けられる
ことを特徴とする圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被測定流体の絶対圧力を測定可能な圧力センサが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1では、ケースの内部空間に圧力基準室を形成し、当該圧力基準室に圧力センサ素子を収容している。これにより、圧力基準室に収容した圧力センサ素子にて、被測定流体の絶対圧を検出できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の圧力センサでは、圧力センサ素子にて絶対圧力を検出するために、ケースの内部空間に圧力基準室を形成する必要がある。そのため、当該内部空間の気密を確保するために、内部空間と外部空間との間の隙間を封止部材にて封止する必要がある。この場合、例えば、振動・衝撃等により封止部材が損傷してしまうと、内部空間の気密が確保できなくなるので、圧力センサ素子による絶対圧の検出精度が悪化してしまうおそれがあるといった問題があった。
【0006】
本発明の目的は、絶対圧の検出精度を確保できる圧力センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の圧力センサは、外部空間と連通する内部空間が形成されたケースと、前記ケースの内部空間に配置され、被測定流体のゲージ圧を検出可能な圧力検出素子と、大気圧を検出可能な大気圧検出素子と、前記圧力検出素子にて検出した被測定流体のゲージ圧と、前記大気圧検出素子にて検出した大気圧とに基づいて、被測定流体の絶対圧を算出する演算部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明では、外部空間と連通するケースの内部空間に、被測定流体のゲージ圧を検出可能な圧力検出素子が配置される。そして、演算部は、圧力検出素子にて検出した被測定流体のゲージ圧と、大気圧検出素子にて検出した大気圧とに基づいて、被測定流体の絶対圧を算出する。これにより、例えば、封止部材等にてケースの内部空間を密閉しなくても、被測定流体の絶対圧を得ることができる。そのため、ケースの内部空間の気密を確保する必要がないので、例えば、封止部材が損傷する等して、被測定流体の絶対圧の精度が悪化してしまうことを防ぐことができる。
【0009】
本発明の圧力センサにおいて、前記大気圧検出素子は、前記ケースの内部空間に配置されることが好ましい。
この構成では、大気圧検出素子がケースの内部空間に配置されるので、ケースの外部空間において、大気圧検出素子を配置する必要がない。そのため、より小さいスペースに圧力センサを配置することができる。
【0010】
本発明の圧力センサにおいて、前記圧力検出素子から出力される検出信号を受信する回路基板と、前記回路基板と電気的に接続され、前記圧力検出素子の温度を検出可能な温度センサと、を備え、前記演算部は、前記温度センサにて検出した温度に基づいて、検出した被測定流体のゲージ圧を補正することが好ましい。
この構成では、温度センサにて検出した温度に基づいて、被測定流体のゲージ圧を補正するので、被測定流体の温度変化が大きい場合でも、絶対圧を精度高く算出することができる。
【0011】
本発明の圧力センサにおいて、前記被測定流体と前記大気圧検出素子との間には、断熱層が形成されることが好ましい。
この構成では、被測定流体と大気圧検出素子との間に断熱層が形成されるので、被測定流体の熱が大気圧検出素子に伝わることを抑制することができる。これにより、大気圧検出素子による大気圧の検出に対して、被測定流体の熱が与える影響を抑制できるので、絶対圧を精度高く算出することができる。
【0012】
本発明の圧力センサにおいて、被測定流体が導入される筒体部と、前記筒体部の先端側に設けられ、前記被測定流体と接触する第1面および前記第1面の反対側に設けられ前記圧力検出素子が配置される第2面を有するダイアフラムと、を有するセンサモジュールと、前記センサモジュールが取り付けられ、前記センサモジュールに前記被測定流体を導入する圧力導入孔が形成された継手と、前記継手に取り付けられ前記センサモジュールの周囲を囲う筒状の台部材と、を備え、前記温度センサは、温度を検出する温度検出素子と、前記温度検出素子と前記回路基板とを電気的に接続させるリード線とを有し、前記台部材には、前記温度検出素子および前記リード線を収容可能な収容部が設けられることが好ましい。
【0013】
この構成では、温度センサの温度検出素子は、圧力検出素子が配置されるセンサモジュールの周囲を囲う筒状の台部材の収容部に収容される。これにより、温度検出素子をセンサモジュールの被測定流体が導入される側とは反対側、すなわち、圧力検出素子が配置される側において、センサモジュールの近傍に配置することができる。そのため、例えば、被測定流体が高温であっても、温度検出素子は、圧力検出素子と同様に周囲の空気によって冷却されるので、圧力検出素子の温度を正確に測定することができる。したがって、圧力検出素子で検出した被測定流体の圧力に対して適切な温度補正をすることができる。
また、温度検出素子およびリード線は、台部材の収容部に収容することができるので、温度検出素子およびリード線を配置するために、継手にこれらの収容部を設ける必要がなく、継手の加工を容易にすることができる。なお、台部材は、例えば、樹脂材料等で製作することにより、温度検出素子およびリード線を収容する収容部を容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る圧力センサの概略を示す斜視図。
【
図2】前記実施形態の圧力センサの一部を破断した斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施形態]
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の圧力センサ1の概略を示す斜視図であり、
図2は、圧力センサ1の一部を破断した斜視図である。
図1、
図2に示すように、圧力センサ1は、筒状ケース2と、蓋部材3と、回路基板4と、信号伝達部材5と、キャップ部材6と、介挿部材7と、センサアッシー10とを備えている。
【0016】
[筒状ケース2]
筒状ケース2は、円筒状に形成された金属製の部材であり、中心軸Rに沿った方向の一方に第1開口21が形成され、他方に第2開口22が形成されている。そして、筒状ケース2は、後述する蓋部材3に設けられた通気孔311によって、内部空間が外部空間と連通している。すなわち、筒状ケース2は、本発明のケースの一例である。
【0017】
また、筒状ケース2の周面には、筒状ケース2の一部が窪んで形成された凹部23が設けられている。そして、筒状ケース2の凹部23の底面に貫通孔24が形成されている。すなわち、貫通孔24は、筒状ケース2の周面部に設けられている。
さらに、第2開口22側には、蓋部材3を嵌合するための嵌合リング25が設けられている。
【0018】
[蓋部材3]
蓋部材3は、樹脂製の所謂コネクタタイプの部材であり、蓋本体31と、筒状部32と、被取付部33とを備える。
【0019】
蓋本体31は円板状に形成されており、前述の嵌合リング25がかしめられることで、筒状ケース2に取り付けられている。また、蓋本体31の側面には、筒状ケース2の内部空間と外部空間とを連通させる通気孔311が形成されている。さらに、蓋本体31の底面には、筒状部32と連通する図示略の連通孔が設けられている。
【0020】
筒状部32は、内周面が信号伝達部材5を収容する取付孔とされている。また、筒状部32の外周面は雄ねじ部とされている。
被取付部33は、キャップ部材6が着脱可能に取り付けられる部材である。
なお、蓋部材3は、上記構成の部材に限られるものではなく、例えば、端子台が設けられた端子箱タイプの部材やワイヤレス出力を可能に構成された部材であってもよい。
【0021】
[回路基板4]
回路基板4は、基板本体41と、基板本体41に配置される電子部品42とを有する。
基板本体41は、筒状ケース2の中心軸Rに沿った方向が長手方向とされる平面矩形状の板部材であり、その正面には図示略の配線パターン等が形成されている。
本実施形態では、基板本体41は、互いに平行に配置された第1基板411と第2基板412とを有する。そして、これらの第1基板411と第2基板412は、図示略の保持部材によって保持されている。なお、基板本体41は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、基板本体41は1枚の基板から構成されていてもよく、あるいは、3枚以上の基板から構成されていてもよい。
電子部品42は、所謂CPU(Central Processing Unit)を備えて構成され、第2基板412に配置されている。そして、電子部品42は、後述するセンサアッシー10の電子回路部14と、図示略の配線等で電気的に接続されている。これにより、電子部品42は、センサアッシー10からの検出信号を受信可能とされている。
【0022】
[信号伝達部材5]
信号伝達部材5は、円筒部材51と、ターミナル端子52とを有する。
円筒部材51は、蓋部材3の筒状部32の内周側に配置される。
ターミナル端子52は、円筒部材51の内部に複数設けられる。本実施形態では、ターミナル端子52は4つ設けられている。なお、ターミナル端子52は、上記構成に限定されるものではなく、例えば、ターミナル端子52は、1つ設けられていてもよく、あるいは、5つ以上設けられていてもよい。
また、ターミナル端子52は、回路基板4の電子部品42と、図示略の配線等で電気的に接続されている。これにより、ターミナル端子52は、電子部品42を介して、後述するセンサアッシー10の電子回路部14と電気的に接続される。
なお、円筒部材51は、円筒状に形成されることに限られず、例えば、四角筒状や六角筒状等の多角筒状に形成されていてもよい。
【0023】
[キャップ部材6]
キャップ部材6は、樹脂製であり、貫通孔24を覆うように取り付けられている。本実施形態では、キャップ部材6は、前述したように、蓋部材3の被取付部33に着脱自在に取り付けられている。
【0024】
[介挿部材7]
介挿部材7は、筒状ケース2の貫通孔24と、キャップ部材6との間に介挿される部材である。本実施形態では、介挿部材7は、ゴムや弾性を有する合成樹脂にて形成されており、キャップ部材6に取り付けられている。
なお、本実施形態では、貫通孔24とキャップ部材6との間に介挿部材7が配置されているが、筒状ケース2は通気孔311によって外部空間と連通しているので、筒状ケース2の内部空間が密閉されているわけではない。
【0025】
[センサアッシー10]
図3は、センサアッシー10の概略を示す斜視図であり、
図4は、センサアッシー10の概略を示す分解斜視図である。
図2~4に示すように、センサアッシー10は、継手11と、センサモジュール12と、台部材13と、電子回路部14と、温度センサ15と、大気圧検出素子16と、を有し、筒状ケース2に取り付けられている。
【0026】
[継手11]
継手11は、金属製の部材であり、筒状ケース2の第1開口21を覆うように、筒状ケース2に取り付けられている。本実施形態では、継手11は、筒状ケース2の第1開口21側の端部に溶接されて接合されている。なお、継手11と筒状ケース2とは溶接により接合されることに限定されず、例えば、継手11は筒状ケース2に螺合されて取り付けられていてもよい。
【0027】
継手11には、被測定流体を導入する圧力導入孔111が形成されている。また、継手11の一端部は、中心から径方向に延びて形成されスパナ等の工具と係合する工具係合部112とされ、他端部は、図示略の被取付部に螺合される雄ねじ部113とされている。
なお、継手11の他端部は雄ねじ部113とされることに限られず、例えば、雌ねじ部とされていてもよい。さらに、継手11の他端部は、被取付部に溶接により取り付けられるように構成されていてもよく、あるいは、Oリング等を介して被取付部に嵌挿するように構成されていてもよい。
【0028】
[センサモジュール12]
センサモジュール12は、金属製の部材であり、筒体部121と、ダイアフラム122と、圧力検出素子123とを有する。
筒体部121は、継手11の一端側に取り付けられている。また、筒体部121は、継手11の圧力導入孔111と連通しており、被測定流体が導入される。
【0029】
ダイアフラム122は、筒体部121の先端側に一体に設けられており、被測定流体と接触する第1面122Aおよび第1面122Aの反対側に設けられる第2面122Bを有する。
圧力検出素子123は、ダイアフラム122の第2面122Bに設けられている。本実施形態では、圧力検出素子123は所謂歪みゲージから構成され、これにより、筒体部121に導入された被測定流体のゲージ圧を検出可能に構成されている。
なお、センサモジュール12は、金属製の部材に限られるわけではなく、例えば、セラミック製の部材であってもよい。
【0030】
[台部材13]
台部材13は合成樹脂製の部材であり、台部材本体部131と、板状部132とを有する。なお、台部材13は、合成樹脂製の部材に限られず、例えば、金属製やセラミック製の部材であってもよい。
台部材本体部131は、円筒状に形成されており、センサモジュール12を囲うように配置されている。なお、台部材本体部131は、円筒状に形成されることに限られず、例えば、四角筒状や六角筒状等の多角筒状に形成されていてもよい。
【0031】
板状部132は、台部材本体部131の周面から四方に向けて突出するように4つ設けられている。本実施形態では、板状部132のそれぞれは、台部材本体部131と一体に設けられている。
そして、4つ設けられた板状部132のうち、1つの板状部132には、後述する温度センサ15の温度検出素子151およびリード線152を収容する収容部133が設けられている。
【0032】
収容部133には、溝部1331と、収容凹部1332と、連通孔1333と、突状ガイド部1334とが設けられている。
溝部1331は、板状部132の外周側に形成されており、後述する温度センサ15のリード線152が収容される。また、溝部1331には、中央部に突状ガイド部1334が設けられている。
収容凹部1332は、板状部132の内周側に形成されている。収容凹部1332には、後述する温度センサ15の温度検出素子151が収容される。すなわち、収容部133は、溝部1331および収容凹部1332により、温度センサ15の温度検出素子151およびリード線152を収容可能に構成される。
連通孔1333は、溝部1331において、台部材本体部131および板状部132の内周側と外周側とを貫通して設けられている。これにより、温度センサ15を台部材本体部131および板状部132の外周側から内周側に亘って配置することができる。
【0033】
[電子回路部14]
電子回路部14は、円盤状の板部材であり、台部材13の一端側において、センサモジュール12のダイアフラム122を覆うように配置される。電子回路部14には、図示略の配線パターン等が形成されており、温度センサ15が電気的に接続されている。また、電子回路部14は、図示略の配線等により、センサモジュール12および回路基板4と電気的に接続されている。これにより、センサモジュール12および温度センサ15から入力された検出信号を、回路基板4の電子部品42に出力することができる。
さらに、本実施形態では、電子回路部14には、ダイアフラム122と対向する面と反対側の面に、大気圧検出素子16が配置されている。そして、電子回路部14は、大気圧検出素子16から入力された検出信号を、回路基板4の電子部品42に出力可能に構成されている。
【0034】
また、電子回路部14は、回路基板4を介さずに、外部機器と電気的に接続することもできる。これにより、センサアッシー10を圧力センサ1に組み込む前の状態、すなわち、センサアッシー10の状態で、センサモジュール12および温度センサ15の検出信号を外部機器に出力することができる。そのため、外部機器により温度補正および温度特性の確認を行った状態でセンサアッシー10を保管することができる。
【0035】
[温度センサ15]
温度センサ15は、温度検出素子151とリード線152とを有する。
温度検出素子151は、所謂測温抵抗体で構成され、台部材13の内周側、すなわち、センサモジュール12側において、収容凹部1332に収容される。これにより、温度検出素子151は、センサモジュール12の被測定流体が導入されない側、つまり、圧力検出素子123が配置される側において、センサモジュール12の近傍に配置される。そのため、例えば、被測定流体が高温であっても、温度検出素子151は、圧力検出素子123と同様に、周囲の空気によって冷却されるので、圧力検出素子123の温度を正確に測定することができる。なお、温度検出素子151は、測温抵抗体で構成されることに限らず、温度を測定可能に構成されていればよい。
【0036】
リード線152は、温度検出素子151と電子回路部14とを電気的に接続する配線であり、第1リード線152Aおよび第2リード線152Bを有する。そして、第1リード線152Aおよび第2リード線152Bは、収容部133の溝部1331において、突状ガイド部1334を挟んで、互いに反対側に配置される。これにより、第1リード線152Aおよび第2リード線152Bは、接触することがないので、被覆等の絶縁処理を施していなくても短絡することを防止できる。
【0037】
[大気圧検出素子16]
大気圧検出素子16は、所謂気圧センサであり、前述したように、電子回路部14におけるダイアフラム122と対向する面と反対側の面に配置されている。つまり、大気圧検出素子16は、筒状ケース2の内部空間に配置され、当該筒状ケース2の内部空間の大気圧を検出可能に構成されている。
【0038】
また、大気圧検出素子16は、電子回路部14に電気的に接続されている。これにより、前述したように、大気圧検出素子16の検出信号を、電子回路部14を介して回路基板4の電子部品42に出力することができる。
なお、大気圧検出素子16は、上記構成に限られるものではなく、例えば、静電容量方式、成膜方式、あるいは、MEMS方式の気圧センサとして構成されていてもよく、筒状ケース2の内部空間の大気圧を検出可能に構成されていればよい。
【0039】
[被測定流体の絶対圧の算出方法について]
次に、被測定流体の絶対圧の算出方法について説明する。
前述したように、圧力検出素子123にて検出された検出信号、つまり、被測定流体のゲージ圧に応じた検出信号が、電子回路部14を介して、回路基板4の電子部品42に入力される。同様に、温度センサ15にて検出された検出信号、および、大気圧検出素子16にて検出された検出信号が、電子回路部14を介して、回路基板4の電子部品42に入力される。
【0040】
電子部品42は、圧力検出素子123にて検出された被測定流体のゲージ圧を、温度センサ15にて検出された温度に基づいて温度補正する。そして、電子部品42は、温度補正されたゲージ圧と、大気圧検出素子16にて検出された大気圧に基づいて、被測定流体の絶対圧を算出する。具体的には、電子部品42は、温度補正されたゲージ圧に大気圧を加算することにより、被測定流体の絶対圧を算出する。なお、電子部品42は、本発明の演算部を構成する。
【0041】
ここで、本実施形態では、大気圧検出素子16は、前述したように、電子回路部14におけるダイアフラム122と対向する面と反対側の面に配置されている。すなわち、被測定流体と接触するダイアフラム122と大気圧検出素子16との間には、空間Sおよび電子回路部14が介在する。
これにより、例えば、被測定流体が高温であっても、その熱は空間Sおよび電子回路部14によって断熱される。そのため、大気圧検出素子16による大気圧の検出に対して、被測定流体の熱が与える影響を抑制できる。
なお、空間Sおよび電子回路部14は、本発明の断熱層の一例である。
【0042】
以上のような本実施形態では、次の効果を奏することができる。
(1)本実施形態では、外部空間と連通する筒状ケース2の内部空間に、被測定流体のゲージ圧を検出可能な圧力検出素子123が配置される。そして、電子部品42は、圧力検出素子123にて検出した被測定流体のゲージ圧と、大気圧検出素子16にて検出した大気圧とに基づいて、被測定流体の絶対圧を算出する。これにより、例えば、封止部材等にて筒状ケース2の内部空間を密閉しなくても、被測定流体の絶対圧を得ることができる。そのため、筒状ケース2の内部空間の気密を確保する必要がないので、例えば、封止部材が損傷する等して、被測定流体の絶対圧の精度が悪化してしまうことを防ぐことができる。
【0043】
(2)本実施形態では、大気圧検出素子16が筒状ケース2の内部空間に配置されるので、筒状ケース2の外部空間において、大気圧検出素子16を配置する必要がない。そのため、より小さいスペースに圧力センサ1を配置することができる。
【0044】
(3)本実施形態では、温度センサ15にて検出した温度に基づいて、検出した被測定流体のゲージ圧を補正するので、被測定流体の温度変化が大きい場合でも、絶対圧を精度高く算出することができる。
【0045】
(4)本実施形態では、被測定流体と大気圧検出素子16との間に断熱層が形成されるので、被測定流体の熱が大気圧検出素子16に伝わることを抑制することができる。これにより、大気圧検出素子16による大気圧の検出に対して、被測定流体の熱が与える影響を抑制できるので、絶対圧を精度高く算出することができる。
【0046】
(5)本実施形態では、温度センサ15の温度検出素子151は、圧力検出素子123が配置されるセンサモジュール12の周囲を囲う筒状の台部材13の収容部133に収容される。これにより、温度検出素子151をセンサモジュール12の被測定流体が導入される側とは反対側、すなわち、圧力検出素子123が配置される側において、センサモジュール12の近傍に配置することができる。そのため、例えば、被測定流体が高温であっても、温度検出素子151は、圧力検出素子123と同様に周囲の空気によって冷却されるので、圧力検出素子123の温度を正確に測定することができる。したがって、圧力検出素子123で検出した被測定流体の圧力に対して適切な温度補正をすることができる。
また、温度検出素子151およびリード線152は、台部材13の収容部133に収容することができるので、温度検出素子151およびリード線152を配置するために、継手11にこれらの収容部を設ける必要がなく、継手11の加工を容易にすることができる。
【0047】
[変形例]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0048】
前記実施形態では、大気圧検出素子16は、筒状ケース2の内部空間に配置されていたが、これに限定されない。例えば、大気圧検出素子は、筒状ケース2の外部の装置等に配置され、信号伝達部材を介して電子部品に電気的に接続されていてもよい。
【0049】
前記実施形態では、センサアッシー10は温度センサ15を備え、電子部品42は温度センサ15にて検出した温度に基づいてゲージ圧を補正するように構成されていたが、これに限定されない。例えば、被測定流体の温度変化が小さい場合等には、センサアッシーに温度センサが設けられていなくてもよい。この場合、電子部品により温度補正を行わなくても、絶対圧を精度高く算出することができる。
【0050】
前記実施形態では、大気圧検出素子16は、電子回路部14に配置されていたが、これに限定されない。例えば、大気圧検出素子は、電子部品が配置された回路基板に配置されていてもよい。この場合、断熱層は、ダイアフラムと電子回路部との間の空間、電子回路部、および、電子回路部と回路基板との間の空間等により構成される。
【0051】
前記実施形態では、台部材13において、溝部1331に突状ガイド部1334が設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、第1リード線および第2リード線に対応するガイド溝が形成されていてもよい。
【0052】
前記実施形態では、台部材13において、台部材本体部131の周面から四方に向けて突出するように板状部132が4つ設けられ、当該板状部132のうちの1つに収容部133が設けられていたが、これに限定されるものではない。例えば、板状部は1つだけ設けられていてもよく、あるいは、4つ以上設けられていてもよい。さらには、台部材本体部に板状部が設けられていない場合も本発明に含まれる。この場合、収容部は、台部材本体部に設けられていてもよい。
【0053】
前記実施形態において、温度センサ15の温度検出素子151は、センサモジュール12の近傍に配置されていたが、これに限定されない。例えば、温度検出素子は、継手の側面に当接して配置されていても良いし、センサモジュールの筒体部の側面に当接して配置されていてもよい。また、温度検出素子が、継手およびセンサモジュールとわずかに隙間を空けて配置されている場合も本発明に含まれる。
【0054】
前記実施形態では、筒状ケース2の周面に貫通孔24が形成されていたが、これに限定されない。例えば、筒状ケースの周面に貫通孔が形成されていない場合も、本発明に含まれる。この場合、当該貫通孔を覆うキャップ部材および介挿部材は設けられない。
【0055】
前記実施形態では、筒状ケース2は、蓋部材3に形成された通気孔311を介して内部空間と外部空間とが連通していたが、これに限定されない。例えば、筒状ケースの側面に形成された貫通孔を介して、内部空間と外部空間とが連通していてもよい。
【0056】
前記実施形態では、圧力検出素子123は、ダイアフラム122に設けられた歪ゲージとして構成されていたが、これに限定されない。例えば、圧力検出素子は、静電容量方式の検出素子として構成されていてもよく、被測定流体のゲージ圧を検出可能に構成されていればよい。
【0057】
前記実施形態では、筒状ケース2および継手11は金属製部材であったが、これに限定されるものではなく、例えば、これらの部材は合成樹脂から形成されていてもよい。
【0058】
前記実施形態では、筒状ケース2は円筒状に形成されていたが、これに限定されるものではない。例えば、筒状ケースは、多角筒状に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1…圧力センサ、2…筒状ケース(ケース)、3…蓋部材、4…回路基板、5…信号伝達部材、6…キャップ部材、7…介挿部材、10…センサアッシー、11…継手、12…センサモジュール、13…台部材、14…電子回路部、15…温度センサ、16…大気圧検出素子、21…第1開口、22…第2開口、23…凹部、24…貫通孔、25…嵌合リング、31…蓋本体、32…筒状部、33…被取付部、41…基板本体、42…電子部品、51…円筒部材、52…ターミナル端子、111…圧力導入孔、112…工具係合部、113…雄ねじ部、121…筒体部、122…ダイアフラム、122A…第1面、122B…第2面、123…圧力検出素子、131…台部材本体部、132…板状部、133…収容部、151…温度検出素子、152…リード線、152A…第1リード線、152B…第2リード線、311…通気孔、411…第1基板、412…第2基板、1331…溝部、1332…収容凹部、1333…連通孔、1334…突状ガイド部、S…空間(断熱層)。