(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069128
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】係止具及びフック
(51)【国際特許分類】
D06F 57/00 20060101AFI20220428BHJP
A47G 25/32 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
D06F57/00 380
A47G25/32 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178121
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】507398017
【氏名又は名称】有限会社ツウィンモール
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】山本 和正
【テーマコード(参考)】
3K099
【Fターム(参考)】
3K099AA01
3K099BA03
3K099CA49
3K099DA13
3K099DA15
3K099EA03
(57)【要約】
【課題】フックに外力が作用しても、棒体から外れることを抑制することができる係止具及び該係止具を備えるフックを提供する。
【解決手段】係止具は、一部が欠落した環状をなし、欠落部分を通して内側に棒体を受け入れる受容部の内周面に配置される円弧部と、該円弧部の内周面にて対向配置され、弾性を有する二つの第一弾性部とを備え、前記二つの第一弾性部の対向間距離が、前記受容部が受け入れる棒体の直径よりも小さい。好ましくは、前記円弧部の周方向中央部にて前記円弧部の内周面に配置された弾性を有する少なくとも一つの第二弾性部を更に備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一部が欠落した環状をなし、欠落部分を通して内側に棒体を受け入れる受容部の内周面に配置される円弧部と、
該円弧部の内周面にて対向配置され、弾性を有する二つの第一弾性部と
を備え、
前記二つの第一弾性部の対向間距離が、前記受容部が受け入れる棒体の直径よりも小さい
係止具。
【請求項2】
前記円弧部の周方向中央部にて前記円弧部の内周面に配置された弾性を有する少なくとも一つの第二弾性部を備え、
前記円弧部の径方向における前記第二弾性部の寸法は、前記第一弾性部の寸法よりも小さい
請求項1に記載の係止具。
【請求項3】
一部が欠落した環状をなし、欠落部分を通して内側に棒体を受け入れる受容部と、
該受容部の内側に配置される請求項1又は2に記載の係止具と
を備えるフック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、フックが受け入れる棒体に係止する係止具及び該係止具を有するフックに関する。
【背景技術】
【0002】
対向する第1の挟持部及び第2の挟持部と、第1の挟持部に設置された係止体とを備えるホルダがある。第1の挟持部における第2の挟持部との対向部分には、凹部が形成され、該凹部に係止体が設置されている。係止体は、第2の挟持部に向けて突出し、ゴム又は軟質のプラスチックを材料とした押さえ片を有する。ホルダは、押さえ片と第2の挟持部との間に、被挟持物、例えばメモ用紙を保持することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フックを有する衣服の吊り具は、例えば棒体に引っ掛けられる。ユーザが誤って吊り具に接触した場合、フックが棒体から外れ、吊り具が落下するおそれがある。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、フックに外力が作用しても、棒体から外れることを抑制することができる係止具及び該係止具を備えるフックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る係止具は、一部が欠落した環状をなし、欠落部分を通して内側に棒体を受け入れる受容部の内周面に配置される円弧部と、該円弧部の内周面にて対向配置され、弾性を有する二つの第一弾性部とを備え、前記二つの第一弾性部の対向間距離が、前記受容部が受け入れる棒体の直径よりも小さい。
【0007】
本開示においては、係止具を受容部に取り付けることによって、受容部が棒体を受け入れる場合、第一弾性部は内側に曲がり、棒体は円滑に受け入れられる。棒体から離れる方向への外力が受容部に作用した場合、外力とは逆向きの力が、第一弾性部から受容部に作用する。
【0008】
本開示の一実施形態に係る係止具は、前記円弧部の周方向中央部にて前記円弧部の内周面に配置された弾性を有する少なくとも一つの第二弾性部を備え、前記円弧部の径方向における前記第二弾性部の寸法は、前記第一弾性部の寸法よりも小さい。
【0009】
本開示においては、第二弾性部は、第一弾性部よりも曲がりにくい。即ち剛性が高い。そのため、棒体に対する滑り止めとして機能する。
【0010】
本開示の一実施形態に係るフックは、一部が欠落した環状をなし、欠落部分を通して内側に棒体を受け入れる受容部と、該受容部の内側に配置される上述の係止具とを備える。
【0011】
本開示においては、受容部が棒体を受け入れる場合、第一弾性部は内側に曲がり、棒体は円滑に受け入れられる。棒体から離れる方向への外力が受容部に作用した場合、外力とは逆向きの力が、第一弾性部から受容部に作用する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の一実施形態に係る係止具及びフックにあっては、係止具を受容部に取り付けることによって、受容部が棒体を受け入れる場合、第一弾性部は内側に曲がり、棒体は円滑に受け入れられる。棒体から離れる方向への外力が受容部に作用した場合、外力とは逆向きの力が、第一弾性部から受容部に作用する。そのため、フックに外力が作用しても、受容部の移動が妨げられ、フックが棒体から外れることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】棒体を受け入れたフックの略示拡大正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施の形態に係る吊り具1を示す図面に基づいて説明する。
図1は、吊り具1の略示斜視図である。吊り具1は、一方向に延びた矩形の枠体41を備え、該枠体41には、複数の桟42が設けられている。桟42は枠体41の長手方向に延び、枠体41の内側にて、枠体41の二つの短辺の間に配置されている。複数の桟42は、前記短辺に平行な方向に並ぶ。桟42の両端は両短辺に連結される。枠体41の短辺及び長辺と、桟42とに、複数のピンチ43が連結されている。ピンチ43には、例えば、洗濯物が挟持される。
【0015】
吊り具1は円板2を備える。枠体41の短辺及び長辺に直交する直交方向において、円板2は枠体41の隣に位置する。円板2の軸方向が前記直交方向に平行になるように、円板2は枠体41の中央部に配置されている。円板2と枠体41の四隅とは、連結棒3を介して連結されている。
【0016】
円板2には、フック5が設けられている。フック5は、軸部51と、受容部52とを備える。軸部51は、円板2の中心部から直角に突出する。受容部52は、一部が欠落した環状をなし、欠落部分を通して内側に棒体7を受け入れることができる。本実施の形態において、受容部52は、円環の1/4程度(約90度の位相部分)が欠落した構成を有する。受容部52は、軸部51の突出端部に連なる。受容部52の内周面に、係止具6が取り付けられている。係止具6は、両面テープ又は接着剤等によって、受容部52の内周面に固定されている。なお、係止具6は、受容部52の内周面に取り外し可能に、取り付けられていてもよい。
【0017】
図2は、係止具6の略示斜視図である。係止具6は、弾性部材によって構成されており、例えば、シリコンゴム部材、アクリル樹脂部材、ウレタン樹脂部材等によって、構成されている。係止具6は円弧部60と、四つの第一突出片61a、61b、61c、61dと、三つの第二突出片と、を備える。円弧部60は半円環形をなし、円弧部60の両端それぞれから、円弧部60の径方向内側に、換言すれば円弧部60の曲率中心Cに向けて、第一突出片61a、61bが突出する。第一突出片61a、61bの突出長さは、円弧部60の半径よりも短い。二つの第一突出片61a、61bの突出端部は対向する。
【0018】
円弧部60の一端と曲率中心Cと結ぶ線を基準にして、円弧部60の周縁に沿って、位相を約30度ずらした位置に、第一突出片61cが配置されている。また円弧部60の他端と曲率中心Cと結ぶ線を基準にして、円弧部60の周縁に沿って、位相を約30度ずらした位置に、第一突出片61dが配置されている。これら二つの第一突出片61c、61dも、円弧部60から曲率中心Cに向けて突出し、二つの第一突出片61c、61dの突出端部は対向する。
【0019】
円弧部60の一端と曲率中心Cと結ぶ線を基準にして、円弧部60の周縁に沿って、位相を約60度ずらした位置に、第二突出片62aが配置されている。また円弧部60の他端と円弧部60の曲率中心Cと結ぶ線を基準にして、円弧部60の周縁に沿って、位相を約60度ずらした位置に、第二突出片62bが配置されている。また、円弧部60の一端又は他端と、曲率中心Cと結ぶ線を基準にして、円弧部60の周縁に沿って、位相を約90度ずらした位置に、第二突出片62cが配置されている。これらの第二突出片62a、62b、62cも、円弧部60から、曲率中心Cに向けて突出する。
【0020】
四つの第一突出片61a~61dの突出長さは略同じであり、三つの第二突出片62a~62cの突出長さは略同じである。第二突出片62a~62cの長さは、第一突出片61a~61dの長さよりも短く、例えば、第一突出片61a~61dの長さの約半分である。第一突出片61a~61dの幅(太さ)は、第二突出片62a~62cと略同じである。
【0021】
図2に示すように、円弧部60の両端に位置する二つの第一突出片61a、61bの対向間距離Aは、棒体7(
図3参照)の直径2Rよりも短い。なおRは棒体7の半径である。また、前記二つの第一突出片61c、61dの対向間距離Bは、棒体7(
図3参照)の直径2Rよりも短い。
【0022】
図3は、棒体7を受け入れたフック5の略示拡大正面図である。受容部52が、欠落部分を通して内側に棒体7を受け入れた場合、第一突出片61a~61dは棒体7に接触し、先端が欠落部分の反対側に向くように、湾曲する。各第一突出片61a~61dの先端は棒体7の外周面に接触する。前記基準となる線から位相を約60度ずらした位置にある二つの第二突出片62a、62bは、その先端が欠落部分の反対側に向くように、湾曲する。前記基準となる線から位相を約90度ずらした位置にある第二突出片62cは棒体7の頂点付近に接触する。
【0023】
ユーザが洗濯物を干している場合に、誤って枠体41に接触し、棒体7から離れる方向(
図3の右斜め上方向)への力がフック5に作用することがある。四つの第一突出片61a~61dの先端は、棒体7の外周面に接触し、また、第一突出片61a~61dは、先端が欠落部分の反対側に向くように、湾曲しているので、第一突出片61a~61dは、フック5に対するつっかえ棒のように作用し、フック5が棒体7から離れる方向に移動することを妨げる。即ち、フック5が棒体7から外れることを防止することができる。
【0024】
強風が吹いている場合に、棒体7の軸方向に沿った力が吊り具1に作用することがある。第二突出片62a~62cの突出長さは、第一突出片61a~61dよりも短いので、第一突出片61a~61bに比べて剛性が高い。そのため、棒体7の軸方向に沿った力がフック5に作用した場合に、第二突出片62a~62cと棒体7との間に大きな摩擦力が生じ、フック5が棒体7の軸方向に移動することを妨げることができる。即ち、第二突出片62a~62cはフック5の滑り止めとして機能する。なお、第二突出片62a~62cは、棒体7の周方向におけるフック5の滑り止めとしても機能する。
【0025】
なお、対向間距離A、Bは、好ましくは、半径Rよりも短く、より好ましくはR/2よりも短いとなおよい。対向する二つの第一突出片61a及び61b、又は、61c及び61dは、受容部52が棒体7を受け入れた場合に、棒体7の軸心を通る径方向に延びる線上に配置されるとは限らず、対向間距離A、Bが、直径2Rよりも僅かに短いときには、第一突出片61a及び61b、又は、61c及び61dの先端が棒体7の外周面に接触せず、フック5に対するつっかえ棒のように作用しないからである。
【0026】
例えば、棒体7の直径が約30mmである場合、対向間距離A及びBの範囲は30mm未満であり、第一突出片61a、61b、61c及び61dの先端を棒体7の外周面に接触させて、フック5に対するつっかえ棒のように確実に作用させる為には、好ましくは、5mm<A、B<25mmであり、より好ましくは、10mm<A、B<20mmである。
【0027】
第二突出片62a~62cの幅は、第一突出片61a~61dよりも大きいとなおよい。第二突出片62a~62cの剛性が、より高まるからである。
【0028】
第一突出片の数は四つに限らず、二つ又は五つ以上でもよい。対向間距離が棒体7よりも短いことによって、フック5が棒体7から外れることを防止しやすくなるので、第一突出片の数は偶数であることが好ましい。また第二突出片の数は、単数、二つ又は四つ以上でもよい。
【0029】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0030】
1 吊り具
2 円板
3 連結棒
5 フック
51 軸部
52 受容部
6 係止具
60 円弧部
61a~61d 第一突出片(第一弾性部)
62a~62c 第二突出片(第二弾性部)