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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069153
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】計測装置および計測プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/08 20060101AFI20220428BHJP
   G01B 11/14 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
G01B11/08 H
G01B11/14 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178162
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】北浦 竜二
(72)【発明者】
【氏名】徳井 圭
(72)【発明者】
【氏名】有田 真一
(72)【発明者】
【氏名】吉武 謙二
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA12
2F065AA22
2F065AA26
2F065BB12
2F065CC14
2F065FF05
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ31
2F065QQ38
2F065QQ42
(57)【要約】
【課題】ユーザーが計測精度情報を確認可能な計測装置を実現する。
【解決手段】計測装置(100)は、撮像部(101)によって計測対象の鉄筋が撮像された画像に基づいて計測対象を計測する計測部(1031)と、計測精度に関する計測精度情報を画像と対応付けて出力する制御部(103)と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部によって計測対象の鉄筋が撮像された画像に基づいて前記計測対象を計測する計測部と、
計測精度に関する計測精度情報を前記画像と対応付けて出力する制御部と、
を備えていることを特徴とする計測装置。
【請求項2】
前記計測精度情報は、前記撮像部の内部パラメータおよび外部パラメータの少なくとも一方に関する情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の計測装置。
【請求項3】
試行計測対象を計測し、前記試行計測対象の計測結果の計測精度を算出する試行計測部と、
前記試行計測部が算出した前記試行計測対象の計測結果の計測精度を示す試行計測精度情報を記憶する記憶部と、をさらに備え、
前記制御部は、前記計測精度情報に、前記記憶部に記憶されている前記試行計測精度情報を含めることを特徴とする請求項1または2に記載の計測装置。
【請求項4】
前記試行計測対象は、既知の模様を有する物体であることを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項5】
前記試行計測対象は鉄筋であり、
前記試行計測部は、前記試行計測対象の計測結果と、前記試行計測対象の実測値とを比較して、前記試行計測対象の計測結果の計測精度を算出することを特徴とする請求項3に記載の計測装置。
【請求項6】
前記試行計測部は、前記試行計測対象の鉄筋径および鉄筋間隔の少なくとも一方を計測することを特徴とする請求項5に記載の計測装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記画像に基づいて前記撮像部の外部パラメータを算出し、
前記撮像部の外部パラメータの算出日時から予め設定された期間が経過した場合に、その旨を通知する経過通知部をさらに備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項8】
前記計測精度が予め設定された計測精度よりも低い場合に、その旨を通知する計測精度通知部をさらに備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の計測装置。
【請求項9】
請求項1に記載の計測装置としてコンピュータを機能させるための計測プログラムであって、前記計測部および前記制御部として前記コンピュータを機能させるための計測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測装置および計測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、計測対象を撮像したデジタル画像などを画像処理することによって、計測対象の三次元位置を算出する計測装置の開発が進められている。このような計測装置を配筋検査に適用し、鉄筋径および鉄筋間隔などを計測する技術が検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、対象鉄筋に合焦した状態で撮像した画像を取得し、対象鉄筋の径を算出する撮像装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-3364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
鉄筋径および鉄筋間隔を正確に計測するためには、撮像した画像が十分な分解能を有していることが必要となる。そのため、例えば、撮像距離、撮像範囲、焦点距離、画像解像度および複数の撮像部間の距離である基線長などの種々の撮像条件が予め設定された範囲にある状態で撮像が行われる。
【0006】
しかしながら、撮像機器の状態および周囲の環境の変化などによっては、上述した撮像条件がずれ、意図しない撮像条件で撮像が実行される場合がある。そのため、計測結果の信頼性に疑義が生じ、計測結果を有効活用できない場合がある。
【0007】
そこで、本発明の一態様は、計測結果の信頼性への疑義が生じ難い計測装置およびその関連技術を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る計測装置は、撮像部によって計測対象の鉄筋が撮像された画像に基づいて前記計測対象を計測する計測部と、計測精度に関する計測精度情報を前記画像と対応付けて出力する制御部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、計測結果の信頼性への疑義が生じ難い計測装置およびその関連技術を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1に係る計測装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】既知の模様を有する物体の一例を示す図である。
図3】計測結果の表示の一例を示す図である。
図4】計測精度情報の表示の一例を示す図である。
図5】時間と基線長との関係を示すグラフの一例を示す図である。
図6】計測精度情報の表示の一例を示す図である。
図7】実施形態1に係る計測装置の制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】実施形態2に係る計測装置の構成の一例を示すブロック図である。
図9】計測精度情報の表示の一例を示す図である。
図10】実施形態2に係る計測装置の制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】実施形態3に係る計測装置の構成の一例を示すブロック図である。
図12】計測精度情報の表示の一例を示す図である。
図13】実施形態3に係る計測装置の制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、各図における表現は理解しやすいように誇張して記載しており、実際のものとは異なる場合がある。
【0012】
<実施形態1>
〔計測装置100〕
図1は、実施形態1に係る計測装置100の構成の一例を示すブロック図である。計測装置100は、撮像部101と、入力部102と、制御部103と、通知部(経過通知部および計測精度通知部)104と、記憶部105とを備えている。
【0013】
[撮像部101]
撮像部101は、計測対象の鉄筋を撮像する。
【0014】
図1のように、撮像部101は、第1撮像部(撮像部)1011と、第2撮像部(撮像部)1012とを備えている。
【0015】
(第1撮像部1011および第2撮像部1012)
第1撮像部1011および第2撮像部1012は、固体撮像素子およびレンズなどにより構成される。固体撮像素子としては、CCD(Charge Coupled Device)およびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどが挙げられる。
【0016】
第1撮像部1011および第2撮像部1012は、予め設定された露出およびフォーカス位置にて計測対象の鉄筋が撮像された画像を取得する。
【0017】
[入力部102]
入力部102は、予め設定された画素数、焦点距離、基線長および計測誤差など、予め設定された値などを入力する。入力部102は、マウスまたは表示部1041のタッチパネルなどにより構成される。
【0018】
[制御部103]
制御部103は、画像処理および計測処理などを行い、計測装置100を制御する。
【0019】
制御部103は、撮像部101に撮像された画像の被写体の計測対象である鉄筋を計測部1031によって計測し、通知部104および記憶部105の少なくとも一方に計測結果を出力する。また、制御部103は、計測精度に関する計測精度情報を画像と対応付けて通知部104における表示部1041および記憶部105の少なくとも一方に出力する。
【0020】
ここで、計測結果としては、計測範囲における鉄筋径、鉄筋間隔および継手長さの平均値などが挙げられる。また、計測精度情報とは計測精度に関する情報であり、計測精度情報は、撮像部101の配置に関する外部パラメータ、撮像部101の特性に関する内部パラメータ、および、撮像時の環境情報の少なくともいずれかに関する情報を含む。
【0021】
撮像部101の内部パラメータとしては、撮像部101の焦点距離およびレンズ歪などが挙げられる。撮像部101の外部パラメータとしては、基線長および撮像方向などが挙げられる。撮像時の環境情報としては、撮像距離および露光時間などが挙げられる。
【0022】
制御部103は、撮像部101の内部パラメータおよび外部パラメータなどのパラメータに基づいて、撮像部101によって撮像された画像を補正した画像を表示部1041に表示させてもよい。これにより、画像をより好適に表示させることができる。
【0023】
図1のように、制御部103は、計測部1031を備えている。
【0024】
(計測部1031)
計測部1031は、撮像部101によって計測対象の鉄筋が撮像された画像に基づいて鉄筋を計測する。
【0025】
計測部1031は、ソフトウェア処理またはハードウェア処理によって計測処理を行う。
【0026】
ソフトウェア処理は、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)などによって行われる。
【0027】
ハードウェア処理は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)によって行われる。
【0028】
[通知部104]
通知部104は、撮像部101によって取得された画像および計測部1031によって取得された計測結果を通知する。
【0029】
図1のように、通知部104は、表示部1041と音声出力部1042とを備える。
【0030】
(表示部1041)
表示部1041は計測結果を表示する。また、表示部1041は計測精度情報を画像と対応付けて表示する。表示部1041は、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどのディスプレイによって構成される。
【0031】
(音声出力部1042)
音声出力部1042は通知情報を音声によって出力する。音声出力部1042は、計測結果および計測精度情報を音声によって出力してもよい。音声出力部1042は、スピーカ、ヘッドホン、またはイヤホンなどによって構成される。
【0032】
[記憶部105]
記憶部105は、制御部103から出力された画像、計測結果、計測精度情報および入力部102を介して制御部103に入力された予め設定された値などを記憶する。記憶部105は、フラッシュメモリおよび磁気ディスクなどの記録媒体を備えている。
【0033】
〔計測装置100による処理〕
以下、計測装置100による処理について具体的に説明する。
【0034】
[計測精度算出処理]
(撮像処理)
計測装置100の撮像部101における第1撮像部1011および第2撮像部1012は、撮像部101のパラメータを算出するための既知の模様を有する物体を異なる方向から撮像する。
【0035】
図2は、撮像部101のパラメータを算出するための既知の模様を有する物体の一例を示す図である。図2のように、既知の模様を有する物体としては、正方形、菱形および円形などの既知のサイズの図形の繰り返し模様を有するキャリブレーションボードなどが挙げられる。
【0036】
(パラメータ算出処理)
計測装置100の制御部103は、撮像部101によって異なる方向から撮像された既知の模様を有する物体の模様の画像に基づいて、撮像部101の内部パラメータおよび外部パラメータを計測精度として算出する。制御部103は、内部パラメータおよび外部パラメータを組み込んでもよいし、記憶部105に記憶しておき、計測処理を実行する際に記憶部105から読み込んでもよい。
【0037】
[計測処理]
(撮像処理)
計測装置100の撮像部101における第1撮像部1011および第2撮像部1012は、計測対象の鉄筋を撮像する。
【0038】
(画像処理)
制御部103は、撮像部101によって撮像された画像に基づいて視差を算出し、画像内の被写体である計測対象の鉄筋の三次元情報を算出する。視差は、第1撮像部1011および第2撮像部1012によって撮像された2つの画像間の被写体のずれ量である。制御部103は、ブロックマッチングなどにより視差を算出する。ブロックマッチングは、基準となる画像の注目画素に基準窓を設定し、参照する画像に参照窓を順次設定し、基準窓および参照窓の画素の類似度または相違度を評価する方法である。評価にはSAD(Sum of Absolute Difference)またはSSD(Sum of Squared Difference)などが使用される。
【0039】
制御部103は、撮像部101(第1撮像部1011および第2撮像部1012)から被写体までの撮像距離Zと、視差Dと、撮像部101の焦点距離fと、2つの撮像部間の距離を示す基線長Bとの関係式D=f×B/Zに基づいて視差Dを算出する。また、制御部103は、画像上の座標(x、y)と被写体の三次元座標(X、Y、Z)との関係式X=x×Z/fおよびY=y×Z/fに基づき、被写体の三次元座標を算出する。
【0040】
ここで、上述の例では、制御部103は、2つの撮像部によって取得される画像から被写体の三次元情報を算出している。ただし、本実施形態では、制御部103は、被写体の三次元座標を3つ以上の撮像部から算出したり、TOF(Time Of Flight)により取得したりしてもよい。
【0041】
(鉄筋径、鉄筋間隔算出処理)
制御部103における計測部1031は、撮像部101によって撮像された画像に基づき、鉄筋径および鉄筋間隔の算出処理を行う。
【0042】
具体的には、計測部1031は、画像内の被写体である計測対象の鉄筋のエッジ(鉄筋エッジ)を検出する。計測部1031は、検出した鉄筋エッジをハフ変換することによって鉄筋エッジの直線群を検出する。
【0043】
計測部1031は、検出した複数の鉄筋エッジの直線群の傾きおよび位置の組み合わせに基づいて鉄筋エッジの組み合わせを決定する。計測部1031は、鉄筋エッジの組み合わせのうち、互いに沿うように存在する2つの鉄筋エッジの三次元直線間の距離を鉄筋径として算出する。この場合、制御部103は、視差を用いて、2つの鉄筋エッジが同一の鉄筋のものであるかどうか判定することができる。例えば、それらの鉄筋エッジの間にある画素の視差が、隣接画素の視差と連続した値であり、かつ、所定の範囲内にあれば、制御部103は、同一の鉄筋のものであると判定する。
計測部1031は、当該2つの鉄筋エッジのそれぞれの周辺の点の三次元座標を算出し、当該点同士の間の距離を鉄筋径として算出してもよい。
【0044】
制御部103は、算出した鉄筋径に対応する鉄筋規格を計測結果として出力してもよい。また、制御部103は、上述の2つの鉄筋エッジの中心を通る軸を鉄筋の中心軸として算出し、隣接する鉄筋の中心軸間の距離を鉄筋間隔として算出してもよい。この場合、制御部103は、横鉄筋および縦鉄筋ごとに鉄筋間隔の平均値を算出してもよい。
【0045】
[出力処理]
(計測結果出力処理)
制御部103は、通知部104および記憶部105の少なくとも一方に計測結果を出力する。以下、図3を用いて、計測結果の表示の一例を説明する。
【0046】
図3は、計測結果の表示の一例を示す図である。図3のように、制御部103は、画像301と、計測結果306と、鉄筋表示選択領域307と、計測範囲表示選択領域308と、画面切替領域309とを含む画面300を表示部1041に表示させてもよい。
【0047】
図3では、画像301には、撮像部101に対して垂直方向(縦方向)に伸びる縦鉄筋(鉄筋)302、および、水平方向(横方向)に伸びる横鉄筋(鉄筋)303が撮像されており、計測結果304および計測範囲305が重畳表示されている。このように、制御部103は、画像301上に計測結果304および計測範囲305の少なくとも一方が重畳するように表示部1041に表示させてもよい。これにより、計測結果をより好適に表示させることができる。
【0048】
図3では、画像301上の計測結果304に加えて、画像301の右隣に計測結果306が表示されている。図3のように、計測結果304は、縦鉄筋302の鉄筋径304aおよび鉄筋間隔304bと、横鉄筋303の鉄筋径304cおよび鉄筋間隔304dとを含む。また、計測結果は、縦鉄筋302の鉄筋径306aおよび鉄筋間隔306bと、横鉄筋303の鉄筋径306cおよび鉄筋間隔306dとを含む。また、縦鉄筋302の鉄筋径304aと鉄筋径306a、縦鉄筋302の鉄筋間隔304bと鉄筋間隔306b、横鉄筋303の鉄筋径304cと鉄筋径306cおよび横鉄筋303の鉄筋間隔304dと鉄筋間隔306dとはそれぞれ対応している。
【0049】
このように、制御部103は、計測対象の鉄筋が縦方向と横方向とのそれぞれに複数存在する場合には、縦方向の計測結果と、横方向の計測結果とを別々に表示部1041に表示させてもよい。これにより、計測結果をより好適に表示させることができる。
【0050】
鉄筋表示選択領域307は、入力部102を介してユーザーから画像301上に縦鉄筋302および横鉄筋303を表示させるか否かの選択を受け付ける領域である。制御部103は、ユーザーの選択に応じて画像301上の縦鉄筋302および横鉄筋303の表示態様を変更する。これにより、画像をより好適に表示させることができる。
【0051】
計測範囲表示選択領域308は、入力部102を介してユーザーから画像301上に計測範囲305を表示させるか否かの選択を受け付ける領域である。制御部103は、ユーザーの選択に応じて画像301上の計測範囲305の表示態様を変更する。これにより、画像をより好適に表示させることができる。
【0052】
画面切替領域309は、入力部102を介してユーザーから画面300から別の画面への切り替えを受け付ける領域である。制御部103は、ユーザーの選択を受け付けた場合に、画面300を閉じて、後述の図4の画面400のような画像とともに計測精度情報が表示された画面を表示部1041に表示させてもよい。これにより、画面をより好適に切り替えることができる。
【0053】
なお、制御部103は、計測結果をテキストファイルとして表示部1041に表示させてもよい。
(計測精度情報出力処理)
【0054】
制御部103は、撮像部101のパラメータなどの計測精度に関する計測精度情報を画像と対応付けて表示部1041および記憶部105の少なくとも一方に出力する。
【0055】
ここで、計測精度情報を画像と対応付けて出力するとは、計測精度情報と画像とを同一の画面に表示することや同一の記憶部105に記憶することに限られない。
【0056】
例えば、一方を表示部1041に出力するとともに他方を記憶部105に出力すること、計測精度情報と画像とを異なる画面に表示すること、計測精度情報と画像とを異なる記憶部に出力すること、および、同一の画面に時間差をつけて、または切り替え可能に計測精度情報と画像とを表示することなどを含む。
【0057】
これにより、ユーザーは、計測精度情報と画像とを対応付けて認識できるため、計測結果の信頼性を正確に把握することができ、計測結果の信頼性への疑義が生じ難くなる。特に、計測精度情報と画像とを同一の画面に表示した場合には、ユーザーはより計測結果の信頼性を正確に把握しやすくなるため好ましい。
【0058】
上述のように、制御部103は、計測結果を出力する場合に、計測精度情報を画像と対応付けて出力する。以下、図4を用いて、計測精度情報の表示の一例を説明する。
【0059】
図4は、計測精度情報の表示の一例を示す図である。図4のように、制御部103は、画像301および計測結果306の代わりに、画像301Xと、計測精度情報401とを含む画面400を表示部1041に表示させてもよい。
【0060】
図4では、画像301には計測結果304が重畳表示されていない。また、計測精度情報401は、第1撮像部1011および第2撮像部1012の内部パラメータおよび外部パラメータならびにパラメータ算出日時を含む。このように、制御部103は、撮像部101のパラメータに加えて、パラメータ算出日時を表示部1041に表示させてもよい。これにより、ユーザーは、計測結果の信頼性をより正確に把握することができる。
【0061】
ここで、第1撮像部1011および第2撮像部1012の画素数は、鉄筋エッジおよび視差を算出するときの分解能に影響する。また、第1撮像部1011および第2撮像部1012の焦点距離は計測範囲に影響する。例えば、画素数が入力部102を介して制御部103に入力された予め設定された画素数よりも少なく、焦点距離が予め設定された焦点距離よりも短い場合、単位長さ当たりの画素数が少なくなる。そのため、制御部103は計測精度を低いと判定する。このように、画素数が小さすぎたり、焦点距離が短すぎたりすると、計測精度が低下する。
【0062】
そのため、表示部1041に画素数および焦点距離を表示させれば、制御部103の判定と同様に、ユーザーは計測精度が高いかどうかを認識することができる。
【0063】
また、第1撮像部1011および第2撮像部1012の基線長は、計測精度情報に影響する。以下、図5を用いて、第1撮像部1011および第2撮像部1012の基線長による計測精度情報への影響を説明する。
【0064】
図5は、時間と基線長との関係を示すグラフの一例を示す図である。例えば、図5に示す基線長(外部パラメータ)501のように、基線長が予め設定された基線長の下限値である第1の閾値502よりも小さいと、計測誤差が大きいため、制御部103は計測精度を低いと判定する。基線長503のように、基線長が予め設定された基線長の上限値である第2の閾値504よりも大きいと、2つの撮像部に撮像される被写体の画像上での形状が大きく異なり、視差算出精度が低いため、制御部103は計測精度が低いと判定する。このように、基線長が小さすぎたり大きすぎたりすると、計測精度が低下する。そのため、表示部1041に基線長を表示させれば、制御部103の判定と同様に、ユーザーは計測精度が高いかどうかを認識することができる。
【0065】
また、計測対象である鉄筋計測時の撮像距離は、撮像部101のパラメータ算出時の撮像距離などの予め設定された撮像距離と同程度であることが好ましい。撮像距離が予め設定された撮像距離の閾値から外れるなど、大きく異なると計測誤差が大きいため、制御部103は計測精度が低いと判定する。
【0066】
このように、鉄筋計測時の画素数、焦点距離、基線長および撮像距離の少なくとも1つが、パラメータ算出時の画素数、焦点距離、基線長および撮像距離と大きく異なる場合には、ユーザーは計測精度が十分でないと認識することができる。
【0067】
〔計測装置100の制御処理〕
次に、図7を用いて、実施形態1に係る計測装置100の制御処理(制御方法)を説明する。図7は、実施形態1に係る計測装置の制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0068】
ステップS101:計測装置100の計測部1031は、計測装置100の撮像部101によって計測対象の鉄筋が撮像された画像に基づいて計測対象を計測する。
【0069】
ステップS102:計測装置100の制御部103は、計測精度に関する計測精度情報を画像と対応付けて計測装置100の通知部104および記憶部105の少なくとも一方に出力する。
【0070】
〔変形例〕
計測装置100は、以下のように構成されていてもよい。
【0071】
(変形例1)
図4では、制御部103は、計測結果を出力する場合に、算出したパラメータの一部を含む計測精度情報を画像と対応付けて出力している。
【0072】
ただし、本実施形態では、制御部103は、算出したパラメータの全て、または、図4のパラメータとは別のパラメータの一部を含む計測精度情報を表示部1041に表示または記憶部105に記憶させてもよい。これにより、ユーザーは所望のパラメータを含む計測精度情報を確認することができる。
【0073】
(変形例2)
図4では、制御部103は、計測精度情報および画像のみを表示しており、計測結果は切替可能に別の画面に表示している。ただし、本実施形態では、制御部103は、計測精度情報を画像と対応付けて出力すればよく、計測結果を出力しなくてもよい。
【0074】
また、本実施形態では、制御部103は、計測結果と計測精度情報とを同一の画面に表示させてもよい。例えば、制御部103は、図4および6の画像301Xの代わりに、画像301Xに計測結果304が重畳された図3の画像301を表示部1041に表示させてもよい。これにより、ユーザーは、計測精度と計測結果との対応関係をより明確に確認することができる。
【0075】
(変形例3)
図4では、制御部103は、画像301Xの右側に計測精度情報を表示させている。ただし、本実施形態では、制御部103は、画像の上側、下側および左側など、計測精度情報を画面の任意の位置に表示させてもよい。また、制御部103は、画像のタグに計測精度情報を記載することによって、計測精度情報を画像と対応付けてもよい。これにより、計測精度情報を表示させるためのスペースが不要になるため、より大きい画像を表示部1041に表示させることができる。
【0076】
(変形例4)
制御部103は、画素数、焦点距離および撮像距離に基づいて算出した計測誤差を含む計測精度情報を出力してもよい。
【0077】
例えば、制御部103は、画素数、焦点距離および撮像距離に基づき、縦方向および横方向における1画素当たりの長さを算出する。制御部103は、縦方向および横方向における1画素当たりの長さが±0.5画素分ずれたときの値を計測誤差として算出する。換言すれば、制御部103は、解像度によって、画像301Xの計測範囲305の縦方向における1画素当たりの長さ、ならびに、横方向における1画素当たりの長さを割った値を、それぞれ縦方向および横方向における計測誤差として算出する。
【0078】
また、制御部103は、撮像方向(奥行方向)における1画素当たりの長さを算出する。制御部103は、奥行方向における1画素当たりの長さが±0.5画素分ずれたときの値を奥行方向における計測誤差として算出する。換言すれば、制御部103は、視差の値を距離に変換した値を奥行方向における計測誤差として算出する。
【0079】
制御部103は、縦方向、横方向および奥行方向の計測誤差の少なくともいずれかが、予め設定された計測誤差よりも高い場合には計測精度が低いと判定し、それ以外の場合には計測精度が高いと判定する。
【0080】
例えば、制御部103は、図6のように計測誤差を含む計測精度情報を出力してもよい。図6は、計測精度情報の表示の一例を示す図である。図6のように、制御部103は、図4の計測精度情報401の代わりに、計測精度情報401Xを含む画面600を表示部1041に表示させている。
【0081】
図6では、計測精度情報401Xは、撮像部101のパラメータ、外部パラメータおよびパラメータ算出日時の代わりに、上述の方法によって算出した縦方向における計測誤差、横方向における計測誤差、奥行方向における計測誤差および計測精度算出日時を含む。
ここで、図6の画像301Xの奥行方向のベクトルの成分から明らかなように、奥行方向における1画素当たりの長さは、画像301Xの面に平行な分のみ画像301Xに反映される。そのため、奥行方向における1画素当たりの長さは、縦方向および横方向における1画素当たりの長さと異なり、非常に大きな値になる。
これにより、図6に示すように、奥行方向における計測誤差は、縦方向および横方向における計測誤差に比べて情報に大きな値になる。なお、図6に示す計測誤差の値はあくまで一例であり、撮像部101の解像度および基線長などによって異なる。
【0082】
このように、制御部103は、撮像部101のパラメータの代わりに、計測誤差の少なくとも一方を含む計測精度情報を表示部1041に表示させてもよい。また、制御部103は、パラメータ算出日時の代わりに計測精度算出日時を含む計測精度情報を表示部1041に表示させてもよい。
【0083】
このように、制御部103は、理論的に算出可能な計測精度を含む計測精度情報を表示部1041に表示させたり、記憶部105に記憶させたりしてもよい。これにより、画像に基づく計測に詳しくなく、図4に示す画素数、焦点距離および撮像距離だけでは計測精度を推定できないユーザーでも計測精度を容易に認識することができる。
【0084】
(変形例5)
制御部103は、撮像距離の算出などの画像処理を行う際に補間処理を行う場合、補間処理をしていることを示す補間処理情報を計測精度情報に含めて出力してもよい。
【0085】
TOF方式の撮像部101によって取得した画像は、カラー画像に比べて画素数が少ないことが多い。そのため、TOF方式の撮像部101によって取得した画像に基づいて撮像距離を算出する場合、画像処理および計測処理をサブピクセル単位で行うなど、補間処理を行うことがある。
【0086】
このように、補間処理を行う場合、制御部103は、補間処理情報を表示部1041に表示させたり、記憶部105に記憶させたりしてもよい。これにより、ユーザーは、計測結果の信頼性をより正確に把握することができる。
【0087】
(変形例6)
また、制御部103は、視差の算出および鉄筋エッジの検出などの画像処理および計測処理を1画素以下のサブピクセル単位で行い、サブピクセルに関する計測精度情報を出力してもよい。
【0088】
画像処理および計測処理をサブピクセル単位で行う場合、制御部103は、どのくらいのサブピクセル単位で補間処理をしているかを示す計測精度情報を表示部1041に表示させたり、記憶部105に記憶させたりしてもよい。例えば、10分の1画素のサブピクセル単位で、縦および横の画素数が10倍になるように補間処理を行っていることを表示部1041に表示させてもよい。これにより、ユーザーは、計測結果の信頼性をより正確に把握することができる。
【0089】
(変形例7)
図4では、制御部103は、撮像部101の画素数を含む計測精度情報を表示部1041に表示させている。ただし、本実施形態では、制御部103は、撮像部101の画素数に加え、または代わりに撮像部101の解像度を含む計測精度情報を表示部1041に表示させてもよい。
【0090】
この場合、撮像部101は、白および黒の楔が印刷されたチャートを撮影し、制御部103は、画像における楔の白および黒のコントラストに基づいて単位長さ当たりの分解本数を撮像部101の解像度として算出する。
【0091】
これにより、ユーザーは、撮像部101のレンズの精度に関する計測精度情報を確認することができる。
【0092】
(変形例8)
制御部103は、撮像部101の外部パラメータの算出日時から予め設定された期間が経過した場合に、通知部104にその旨を通知させてもよい。
【0093】
具体的には、制御部103は、撮像部101の外部パラメータの有効期間を予め設定し、直近に撮像部101の外部パラメータを算出した日時と、鉄筋の計測日時とを比較する。制御部103は、鉄筋の計測日時が撮像部101の外部パラメータの算出日時から予め設定された期間内であるかどうかを確認する。制御部103は、撮像部101の外部パラメータの算出日時から予め設定された期間が経過した場合に、表示部1041にその旨を表示させたり、音声出力部1042にその旨を出力したりする。
【0094】
外部パラメータは、計測装置100を輸送したり、期間が経過したりすることによって変化する可能性があるが、上述の構成によれば、計測精度情報が変化していないかどうかをユーザーに好適に通知できる。
【0095】
(変形例9)
制御部103は、計測精度が低かったり、計測日時が予め設定された期間よりも前または後であったりする場合に、通知部104にその旨を通知させてもよい。
【0096】
例えば、制御部103は、画素数が予め設定された画素数よりも少ない場合、計測精度が低いと判定し、通知部104にその旨を通知させる。制御部103は、焦点距離が予め設定された焦点距離よりも短い場合、計測精度が低いと判定し、通知部104にその旨を通知させる。制御部103は、単位長さ当たりの画素数が少ない場合、計測精度が低いと判定し、通知部104にその旨を通知させる。また、制御部103は、縦方向、横方向および奥行方向の計測誤差の少なくともいずれかが、予め設定された計測誤差よりも高い場合には計測精度が低いと判定し、通知部104にその旨を通知させる。
【0097】
例えば、ユーザーまたは現場ごとに要求される計測精度および計測日時が決まっている場合には、制御部103は、計測精度および計測日時と予め設定された計測精度および計測日時とを比較する。
【0098】
計測精度の不足および計測日時の不備の少なくとも一方に該当する場合には、制御部103は、表示部1041に表示された画像の文字を赤字で表示させたり、音声出力部1042から音声を出力させたりしてユーザーにその旨を通知する。これにより、ユーザーは、計測精度の不足および計測日時の不備の少なくとも一方に該当することを好適に確認することができる。
【0099】
(変形例10)
図4では、制御部103は、撮像部101のパラメータ算出日時を含む計測精度情報を表示部1041に表示させている。また、図6では、制御部103は、計測日時を含む計測精度情報を表示部1041に表示させている。
【0100】
ただし、本実施形態では、制御部103は、パラメータ算出日時および計測日時に加えて、または代わりに計測場所、計測者および計測プログラムの少なくとも1つに関する情報を含む計測精度情報を表示部1041に表示させてもよい。これにより、ユーザーは、計測結果の信頼性をより正確に把握することができる。
【0101】
計測者に関する情報としては、計測者の氏名および計測者の所属する会社名などが挙げられる。計測プログラムに関する情報としては、計測プログラムの製造者、製造日およびバージョンなどが挙げられる。
【0102】
(変形例11)
図4では、制御部103は、計測精度情報を数値として表示部1041に表示させているが、計測精度情報を記号として表示部1041に表示させてもよい。
【0103】
この場合、例えば、制御部103は、内部パラメータおよび外部パラメータなどの計測精度情報ごとに、対応する予め設定された評価基準を表示部1041にさらに表示させる。また、制御部103は、内部パラメータおよび外部パラメータごとに、高いものから順にA、B、C・・・となるように評価基準を割り当てる。これにより、ユーザーは、計測精度情報をより感覚的に認識することができる。
【0104】
<実施形態2>
実施形態1に係る計測装置100では、撮像部101のパラメータなどに基づいて計測精度を算出し、出力している。ただし、本実施形態に係る計測装置100Xのように、試行計測対象を被写体として撮像した画像に基づいて計測精度を算出し、出力してもよい。
【0105】
以下、図8および9を用いて、実施形態2に係る計測装置100Xについて説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0106】
〔計測装置100X〕
図8は、実施形態2に係る計測装置100Xの構成の一例を示すブロック図である。図8のように、計測装置100Xは、実施形態1における撮像部101と、制御部103と、記憶部105との代わりに、撮像部101Xと、制御部103Xと、記憶部105Xとを備えている。これらの点以外は、実施形態2に係る計測装置100Xは、実施形態1に係る100と同様の構成である。
【0107】
[撮像部101X]
撮像部101Xは、図2に示すような既知の模様を有する物体を試行計測対象として撮像する。図7のように、撮像部101Xは、第1撮像部1011Xと、第2撮像部1012Xとを備えている。
【0108】
(第1撮像部1011Xおよび第2撮像部1012X)
第1撮像部1011Xおよび第2撮像部1012Xは、既知の模様を有する物体が試行計測対象として撮像された画像を取得する。
【0109】
[制御部103X]
制御部103Xは、計測部1031に加え、試行計測部1032をさらに備えている。
【0110】
制御部103Xは、試行計測部1032が算出した試行計測対象の計測結果の計測精度を示す試行計測精度情報をさらに出力する。具体的には、制御部103は、試行計測精度情報を記憶部105Xに記憶させる。制御部103は、記憶部105Xに記憶されている試行計測精度情報を計測精度情報に含め、試行計測精度情報を含めた計測精度情報を画像と対応付けて表示部1041に表示させる。
【0111】
また、制御部103Xは、試行計測対象の計測日時および試行計測対象の計測場所の少なくとも一方をさらに出力してもよい。これらの点以外は、制御部103Xは、実施形態1における制御部103と同様の構成である。
【0112】
(試行計測部1032)
試行計測部1032は、試行計測対象である既知の模様を有する物体の模様のサイズ(例えば、格子点位置および格子点間隔など)を計測し、試行計測対象の計測結果の計測精度を算出する。試行計測対象が既知の模様を有する物体であることにより、試行計測対象の計測結果の計測精度を示す試行計測精度情報を好適に算出することができる。
【0113】
既知の模様を有する物体としては、図2の正方形または菱形の繰り返し模様を有する物体が好ましい。これにより、格子点位置および格子点間隔を容易に計測することができる。
【0114】
試行計測部1032は、既知の模様を有する物体が撮像された画像に基づいて、試行計測対象の計測結果の値と、予め設定された試行計測対象の値とを比較し、試行計測対象の計測結果の計測精度を算出してもよい。この場合、試行計測部1032は、これらの値の比較結果である試行計測誤差を試行計測対象の計測結果の計測精度として算出してもよい。また、試行計測部1032は、試行計測誤差が予め設定された試行計測誤差よりも高い場合、試行計測対象の計測結果の計測精度が低く、それ以外の場合、試行計測対象の計測結果の計測精度を高いと判定してもよい。
【0115】
予め設定された試行計測対象の値としては、試行計測対象の仕様に基づく値ならびにノギスおよびメジャーなどの器具による試行計測対象の実測値などがある。予め設定された試行計測対象の値は、入力部102を介して制御部103Xに入力され、記憶部105Xに記憶される。
【0116】
このように、既知の模様を有する物体を試行計測対象として計測し、計測精度情報に試行計測精度情報を含めることによって、画像とともに試行計測精度情報を含む計測精度情報を表示したり記憶したりすることができる。これにより、ユーザーは、計測結果の信頼性をより正確に把握することができる。
【0117】
[記憶部105X]
記憶部105Xは、試行計測部1032が算出した、試行計測対象である既知の模様を有する物体の模様のサイズの計測結果の計測精度を示す試行計測精度情報および予め設定された試行計測対象の値をさらに記憶する。この点以外は、記憶部105Xは、実施形態1における記憶部105と同様の構成である。
【0118】
〔計測装置100Xによる処理〕
【0119】
制御部103Xは、試行計測対象を計測し、試行計測精度情報を含む計測精度情報を出力する。以下、図9を用いて、計測精度情報の表示の一例を説明する。
【0120】
図9は、計測精度情報の表示の一例を示す図である。図9のように、制御部103Xは、計測精度情報401Xの代わりに、計測精度情報401Yを含む画面900を表示部1041に表示させてもよい。
【0121】
図9では、計測精度情報401Yは、第1撮像部1011および第2撮像部1012の内部パラメータおよび外部パラメータならびにパラメータ算出日時の代わりに、試行計測精度情報901および試行計測精度算出日時を含む。
【0122】
また、図9では、試行計測精度情報901は、格子点位置の誤差および格子点間隔の誤差を含む試行計測誤差として表示されている。制御部103Xは、試行計測精度情報901に加えて、試行計測精度算出日時を表示部1041に表示させてもよい。これにより、ユーザーは、計測結果の信頼性をより正確に把握することができる。
【0123】
〔計測装置100Xの制御処理〕
以下、図10を用いて、計測装置100Xの制御処理(制御方法)について説明する。図10は、実施形態2に係る計測装置100Xの制御処理の一例を示すフローチャートである。図10のステップS203は、図7のステップS101と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0124】
ステップS201:計測装置100Xの試行計測部1032は、試行計測対象である既知の模様を有する物体を計測し、試行計測対象の計測結果の計測精度を算出する。
【0125】
ステップS202:計測装置100Xの制御部103Xは、試行計測対象である既知の模様を有する物体の計測結果の計測精度を示す試行計測精度情報を計測装置100Xの記憶部105Xに記憶させる。
【0126】
ステップS204:制御部103Xは、ステップS202において記憶部105Xに記憶された試行計測精度情報を計測精度情報に含め、試行計測精度情報を含めた計測精度情報を画像と対応付けて出力する。
【0127】
なお、本実施形態では、計測装置100Xは、ステップS202の処理をステップS203とS204との間に行ってもよい。
【0128】
〔変形例〕
計測装置100Xは、以下のように構成されていてもよい。
【0129】
(変形例1)
撮像部101Xは、撮像部101Xのパラメータを算出するために使用した既知の模様を有する物体とは異なる模様を有する物体をさらに撮像してもよい。また、試行計測部1032は、試行計測対象である異なる模様を有する物体が撮像された画像に基づいて、試行計測対象の計測結果の計測精度を算出してもよい。
【0130】
これにより、撮像部101Xのパラメータを算出するために使用した画像と同じ画像に基づいて、試行計測対象の計測結果の計測精度を算出する場合に比べて、正確な試行計測対象の計測結果の計測精度を算出することができる。
【0131】
(変形例2)
図2のように、既知の模様を有する物体の模様およびサイズが固定されている場合、制御部103Xは、撮像部101Xによって撮像された画像における物体の格子点位置および格子点間隔を予め記憶部105Xに記憶してもよい。
【0132】
この場合、制御部103Xにおける試行計測部1032は、画像における試行計測対象である模様を有する物体の格子点位置および格子点間隔を算出し、予め設定された格子点位置および格子点間隔と比較する。試行計測部1032は、比較結果の試行計測誤差を試行計測対象の計測結果の計測精度として算出する。
【0133】
物体の模様およびサイズが固定されていない場合には、制御部103Xは、入力部102を介して、ユーザーから物体の格子点位置および格子点間隔の入力を受け付けたり、模様およびサイズの選択を受け付けたりする。制御部103Xは、受け付けた物体の模様の格子点位置および格子点間隔などのサイズを予め設定された試行計測対象の値とみなして記憶部105Xに記憶させる。
【0134】
この場合、制御部103Xにおける試行計測部1032は、算出した物体の格子点位置および格子点間隔と、予め設定された試行計測対象の値とみなした物体の格子点位置および格子点間隔とを比較する。試行計測部1032は、格子点位置の誤差および格子点間隔の誤差などの試行計測誤差を試行計測対象の計測結果の計測精度として算出する。このように、上述の方法によれば、物体の模様およびサイズが固定されていない場合でも試行計測対象の計測結果の計測精度を好適に算出することができる。
【0135】
(変形例3)
計測対象の鉄筋が撮像部101Xに対して複数の方向に伸びる場合には、試行計測部1032は、複数の方向ごとに試行計測対象の計測結果の計測精度を算出してもよい。
【0136】
例えば、図3、4および6のように、計測対象の鉄筋が縦方向と横方向とに伸びる場合には、試行計測部1032は、縦方向および横方向ごとに試行計測対象の計測結果の計測精度を算出する。
【0137】
これにより、実際の計測に近い環境において試行対象の計測を行うことになるため、ユーザーは計測精度情報をより好適に確認することができる。
【0138】
<実施形態3>
実施形態2に係る計測装置100Xでは、既知の模様を有する物体を試行計測対象として計測しているが、本実施形態に係る計測装置100Yのように、既知の模様を有する物体の代わりに鉄筋を試行計測対象として計測してもよい。
【0139】
以下、図11~13を用いて、実施形態3に係る計測装置100Yについて説明する。なお、説明の便宜上、上述の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0140】
〔計測装置100Y〕
図11は、実施形態3に係る計測装置100Yの構成の一例を示すブロック図である。図11のように、計測装置100Yは、実施形態2における撮像部101Xと、制御部103Xと、記憶部105Xとの代わりに、撮像部101Yと、制御部103Yと、記憶部105Yとを備えている。これらの点以外は、実施形態3に係る計測装置100Yは、実施形態2に係る100Xと同様の構成である。
【0141】
[撮像部101Y]
撮像部101Yは、既知の模様を有する物体の代わりに鉄筋を試行計測対象として撮像する。図11のように、撮像部101Yは、第1撮像部1011Yと、第2撮像部1012Yとを備えている。
【0142】
(第1撮像部1011Yおよび第2撮像部1012Y)
第1撮像部1011Yおよび第2撮像部1012Yは、既知の模様を有する物体が撮像された画像の代わりに、鉄筋が撮像された画像が撮像された画像を試行計測対象が撮像された画像として取得する。
【0143】
[制御部103Y]
制御部103Yは、実施形態2における試行計測部1032Xの代わりに、試行計測部1032Yを備えている。この点以外は、制御部103Yは、実施形態2における制御部103Xと同様の構成である。
【0144】
(試行計測部1032Y)
試行計測部1032Yは、試行計測対象である鉄筋を計測し、試行計測対象の計測結果の計測精度を算出する。例えば、試行計測部1032Yは、鉄筋径および鉄筋間隔の少なくとも一方を計測し、試行計測対象の計測結果を算出する。
【0145】
試行計測部1032Yは、試行計測対象である鉄筋が撮像された画像に基づいて、試行計測対象の計測結果と、予め設定された試行計測対象の値とを比較して、試行計測対象の計測結果の計測精度を算出してもよい。この場合、試行計測部1032Yは、鉄筋径の誤差および鉄筋間隔の誤差などの試行計測誤差を試行計測対象の計測結果の計測精度として算出してもよい。また、試行計測部1032Yは、試行計測誤差が予め設定された試行計測誤差よりも高い場合、試行計測対象の計測結果の計測精度が低く、それ以外の場合、試行計測対象の計測結果の計測精度を高いと判定してもよい。
【0146】
予め設定された試行計測対象の値としては、仕様に基づく鉄筋径および鉄筋間隔の値ならびにノギスおよびメジャーなどの器具による試行計測対象の実測値である鉄筋径および鉄筋間隔の値などがある。予め設定された試行計測対象の値は、入力部102を介して制御部103Yに入力され、記憶部105Yに記憶される。
【0147】
このように、鉄筋を試行計測対象としたり、鉄筋径および鉄筋間隔の少なくとも一方を計測したりすることによって、既知の模様を有する物体よりもさらに試行計測対象の計測環境を実際の鉄筋の計測環境に近づけることができる。そのため、鉄筋を試行計測対象とする試行計測精度情報を計測精度情報に含めた試行計測精度情報を画像とともに表示したり記憶したりすることにより、ユーザー、計測精度情報をさらに好適に確認できる。
【0148】
また、試行計測対象の計測結果と、予め設定された試行計測対象の値とを比較して、試行計測対象の計測結果の計測精度を算出することにより、試行計測対象の計測結果の計測精度を好適に算出することができる。
【0149】
なお、試行計測対象の鉄筋は、実際の計測における計測対象の鉄筋と同じ規格であってもよい。これにより、試行計測対象の鉄筋のサイズと、実際の計測における計測対象の鉄筋のサイズとを近づけることができ、試行計測対象の計測環境を実際の鉄筋の計測環境にさらに近づけることができる。
【0150】
試行計測対象の鉄筋は、現場において使用される鉄筋であってもよい。これにより、試行計測対象の鉄筋のメーカーおよび製造条件は、実際の計測における計測対象の鉄筋のメーカーおよび製造条件と同じになる。また、現場において使用される鉄筋は、曲面および凸凹などにより太陽光の影響を受けたり、錆および汚れなどが存在したりする。そのため、これによっても、試行計測対象の鉄筋のサイズと、実際の計測における計測対象の鉄筋のサイズとを近づけることができ、試行計測対象の計測環境を実際の鉄筋の計測環境にさらに近づけることができる。
【0151】
試行計測対象の鉄筋が、現場において使用される鉄筋である場合、試行計測部1032Yは、実際の計測の直前など、実際の計測時から予め設定された期間内に試行計測対象を計測してもよい。これにより、太陽光などの照明環境を含む試行計測対象の計測環境を実際の鉄筋の計測環境にさらに近づけることができる。
【0152】
[記憶部105Y]
記憶部105Yは、既知の模様を有する物体の代わりに、鉄筋のサイズの計測結果の計測精度を、試行計測対象の計測結果の計測精度を示す試行計測精度情報として記憶する。また、記憶部105Yは、既知の模様を有する物体のサイズの代わりに、鉄筋のサイズを予め設定された試行計測対象の値として記憶する。これらの点以外は、記憶部105Yは、実施形態2における記憶部105Xと同様の構成である。
【0153】
〔計測装置100Yによる処理〕
【0154】
制御部103Yは、試行計測対象を計測し、試行計測精度情報を含む計測精度情報を出力する。以下、図12を用いて、計測精度情報の表示の一例を説明する。
【0155】
図12は、計測精度情報の表示の一例を示す図である。図12のように、制御部103Yは、計測精度情報401Yの代わりに、計測精度情報401Zを含む画面1200を表示部1041に表示させてもよい。
【0156】
図12では、計測精度情報401Zは、試行計測精度情報901の代わりに、試行計測精度情報901Xを含む。また、図12では、試行計測精度情報901Xは、鉄筋径の誤差および鉄筋間隔の誤差を含む試行計測誤差として表示されている。これにより、ユーザーは、計測結果の信頼性をより正確に把握することができる。
【0157】
〔計測装置100Yの制御処理〕
以下、図13を用いて、計測装置100Yの制御処理(制御方法)について説明する。図13は、実施形態3に係る計測装置100Yの制御処理の一例を示すフローチャートである。図13のステップS303は、図7のステップS101および図10のステップS203と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0158】
ステップS301:計測装置100Yの試行計測部1032Yは、試行計測対象である鉄筋を計測し、試行計測対象の計測結果の計測精度を算出する。
【0159】
ステップS302:計測装置100Yの制御部103Yは、試行計測対象である鉄筋の計測結果の計測精度を示す試行計測精度情報を計測装置100Yの記憶部105Yに記憶させる。
【0160】
ステップS304:制御部103Yは、ステップS302において記憶部105Yに記憶された試行計測精度情報を計測精度情報に含め、試行計測精度情報を含めた計測精度情報を画像と対応付けて出力する。
【0161】
なお、本実施形態では、計測装置100Yは、ステップS302の処理をステップS303とS304との間に行ってもよい。
【0162】
〔ソフトウェアによる実現例〕
計測装置100、100Xおよび100Yの制御ブロックは、集積回路(ICチップ)などに形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0163】
後者の場合、計測装置100、100Xおよび100Yは、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えているとともに、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Prоcessing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Real Only Memоry)などの他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Randоm Access Memоry)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークおよび放送波など)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0164】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る計測装置は、撮像部によって計測対象の鉄筋が撮像された画像に基づいて前記計測対象を計測する計測部と、計測精度に関する計測精度情報を前記画像と対応付けて出力する制御部と、を備えている。
【0165】
本発明の態様2に係る計測装置は、上記態様1において、前記計測精度情報は、前記撮像部の内部パラメータおよび外部パラメータの少なくとも一方に関する情報を含んでいてもよい。
【0166】
本発明の態様3に係る計測装置は、上記態様1または2において、試行計測対象を計測し、前記試行計測対象の計測結果の計測精度を算出する試行計測部と、前記試行計測部が算出した前記試行計測対象の計測結果の計測精度を示す試行計測精度情報を記憶する記憶部と、をさらに備え、前記制御部は、前記計測精度情報に、前記記憶部に記憶されている前記試行計測精度情報を含めてもよい。
【0167】
本発明の態様4に係る計測装置は、上記態様3において、前記試行計測対象は、既知の模様を有する物体であってもよい。
【0168】
本発明の態様5に係る計測装置は、上記態様3において、前記試行計測対象は鉄筋であり、前記試行計測部は、前記試行計測対象の計測結果と、前記試行計測対象の実測値とを比較して、前記試行計測対象の計測結果の計測精度を算出してもよい。
【0169】
本発明の態様6に係る計測装置は、上記態様5において、前記試行計測部は、前記試行計測対象の鉄筋径および鉄筋間隔の少なくとも一方を計測してもよい。
【0170】
本発明の態様7に係る計測装置は、上記態様1から6のいずれか1つにおいて、前記制御部は、前記画像に基づいて前記撮像部の外部パラメータを算出し、前記撮像部の外部パラメータの算出日時から予め設定された期間が経過した場合に、その旨を通知する経過通知部をさらに備えていてもよい。
【0171】
本発明の態様8に係る計測装置は、上記態様1から7のいずれか1つにおいて、前記計測精度が予め設定された計測精度よりも低い場合に、その旨を通知する計測精度通知部をさらに備えていてもよい。
【0172】
本発明の各態様に係る計測装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記計測装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより上記計測装置をコンピュータにて実現させる計測装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0173】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0174】
100、100X、100Y 計測装置
101、101X、101Y、 撮像部
103、103X、103Y、 制御部
104 通知部(経過通知部、計測精度通知部)
105、105X、105Y 記憶部
301、301X 画像
302 縦鉄筋(鉄筋)
303 横鉄筋(鉄筋)
304、306 計測結果
304a、304c、306a、306c 鉄筋径
304b、304d、306b、306d 鉄筋間隔
401、401X 計測精度情報
501、503 基線長(外部パラメータ)
1011、1011X、1011Y 第1撮像部(撮像部)
1012、1012X、1012Y 第2撮像部(撮像部)
1031 計測部
1032、1032X、1032Y 試行計測部
1041 表示部
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