(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069159
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】めっき装置
(51)【国際特許分類】
C25D 21/12 20060101AFI20220428BHJP
G01N 21/59 20060101ALI20220428BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
C25D21/12 C
G01N21/59 C
G01N21/27 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178172
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】391028339
【氏名又は名称】日本カニゼン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100221729
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭介
(72)【発明者】
【氏名】山本 直輝
【テーマコード(参考)】
2G059
【Fターム(参考)】
2G059AA01
2G059BB04
2G059CC03
2G059EE01
2G059EE13
2G059HH02
2G059JJ17
2G059KK01
2G059KK09
2G059MM10
2G059MM12
2G059PP04
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、応答遅れなく、正確にめっき液の成分を検出できるめっき装置を提供することである。
【解決手段】本発明のめっき装置(40)は、第1光ファイバ(55)、及び、第2光ファイバー(57)を有する検出装置(50)と、検出装置(50)を制御する制御装置(60)と、を備え、第1光ファイバー(55)は、白色光を放射し、第2光ファイバー(57)は、第1光ファイバー(55)から放射され、めっき液(42)を透過した光を受光し、制御装置(60)は、受光された光に含まれる三原色の各々の光量を検出し、検出した三原色のうちの1つの光の光量と、三原色全ての光の光量の合計値との比である第1の比Xを算出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の液体が供給されて貯留されるめっき槽と、
第1光ファイバ、及び、第2光ファイバを有する検出装置と、
白色光を発光するとともに光を検出する制御装置と、を備えるめっき装置であって、
前記第1光ファイバ、及び、前記第2光ファイバは、各々の一端部が所定の間隔を隔てて互いに対向した状態で、前記めっき槽に貯留されているめっき液に浸漬されており、
前記第1光ファイバは、制御装置が発光した白色光を伝送して放射し、
前記第2光ファイバは、前記第1光ファイバから放射され、前記めっき液を透過した光を受光して伝送し、
前記制御装置は、前記受光された光に含まれる三原色の各々の光量を検出し、検出した三原色のうち、三原色の1つの光の光量と、三原色の全ての光の光量の合計値との比である第1の比を算出する、めっき装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記めっき液の温度を検出し、前記めっき液の温度が基準めっき温度から外れている時には、前記第1の比を基準めっき温度相当の値に補正する、請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記制御装置は表示部を有し、前記第1の比Xと、前記第1の比Xに対応する基準値とを比較するとともに、その結果に対応した表示を含むめっき液の状態を示す表示を前記表示部に行う、請求項1又は2に記載のめっき装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっき装置に関し、特にめっき液の成分を検出する装置を備えるめっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されているように、金属部材をめっきするめっき槽を備えるめっき装置が用いられている。めっき装置は定期的にメンテナンスが必要であり、特許文献1に開示されているめっき装置では、効率的なメンテナンスが行えるめっき装置が提案されている。めっき液は、めっき処理を繰り返すことで成分が変化する。特に、めっき液に含まれる金属成分は、めっき処理を繰り返すことで徐々に減少する。したがって、めっき処理を効率よく進めるためには、めっき液に含まれる金属成分を一定値に保つ必要がある。
【0003】
このため、めっき液をめっき槽から配管を介してポンプで吸引し、配管に接続されたガラス製のフローセルにめっき液を通し、めっき金属含有量等を調べるサンプリング方式が採用されているめっき装置が知られている。サンプリング方式では、透明なフローセルにめっき液を通し、フローセルの一方面の外側から光をあて、透過する光をフォトセンサで受光し、光の減少分を検出して、めっき金属含有量、等のめっき液成分の変化を検出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記サンプリング方式では、次のような問題があった。常時攪拌されているめっき槽から空気粒を吸い込み、サンプリング用配管中に空気が混入することがある。サンプリング用配管中に空気を分離する機構があるが、混入した空気のうち、細かい空気粒はフローセルを通過するため、検出値にばらつきを生じてしまう。また、めっき槽から取り出しためっき液は、めっき槽とフローセルとは距離が離れており、サンプリング配管をめっき液が通りフローセルに到達する時間もめっき処理は継続されているため、検出値に応答遅れがあった。また、フローセルを通過するめっき液に含まれている泡、不要物、等により光量が変化し、検出値が影響され、正確に検出されないことがあった。また、サンプリング用配管に含まれるコネクタ等のめっき防止として、めっき液を20℃~35℃に下げる必要があり、そのために、冷却水、冷却水を流す冷却用配管、ポンプ、及びフィルタが必要であった。また、サンプリング用配管類はコストがかかる上、サンプリング用配管内のめっき析出、配管の汚れ、詰まりが発生すると、正確な検出ができなくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、上記問題点を低減でき、コスト削減ができる検出装置を備えるめっき装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るめっき装置では、第1光ファイバ、及び、第2光ファイバを有する検出装置と、検出装置を制御する制御装置と、を備え、第1光ファイバは、白色光を放射し、第2光ファイバは、第1光ファイバから放射され、めっき液を透過した光を受光し、制御装置は、受光された光に含まれる三原色の各々の光量を検出し、検出した三原色のうちの1つの光の光量と、三原色全ての光の光量の合計値との比である第1の比Xを算出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、応答遅れなく、正確にめっき液の成分を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係るめっき装置を含むめっき設備全体を示す概要図である。
【
図2】
図1におけるめっき槽41周辺部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態>
以下に、本発明の実施の形態である、検出装置50を備えためっき装置40を説明する。
図1は、めっき装置40、及び、供給装置10、20、30を含むめっき設備全体を示す概要図である。
図2は、
図1におけるめっき槽41周辺部の拡大図であり、検出装置50、及び、制御装置60を備えるめっき装置40が示されている。
【0011】
図1を参照しながら、めっき装置40、及び、供給装置10、20、30を含むめっき設備全体を説明する。供給装置10、20、30は、めっき処理に必要な液体を貯留、及び、供給する装置である。供給装置10は貯留槽11と、貯留槽11に貯留されている補給液12と、貯留槽11からめっき装置40に補給液12を配管を介して移送するポンプ13と、を備えている。供給装置10、20、30は、それぞれ同じように構成されている。供給装置20は貯留槽21と、貯留槽21に貯留されている補給液22と、貯留槽21からめっき装置40に補給液22を配管を介して移送するポンプ23と、を備えている。また、供給装置30は貯留槽31と、貯留槽31に貯留されている補給液32と、貯留槽31からめっき装置40に補給液32を配管を介して移送するポンプ33と、を備えている。また、制御装置60は、白色LEDを含む光送受信装置61、表示部62及びPLC64が設けられた制御盤63を有し、検出装置50に送る光の放出、及び、受光した光の検出を行うとともに、検出した光の演算、及び演算値の基準値との比較、比較結果に応じた表示、及び、補給液の補給、等の制御を行う。
【0012】
貯留槽11、貯留槽21、及び、貯留槽31には、所望の金属めっきを行うのに必要な液がそれぞれ貯留されている。たとえば、Niめっきを行う場合、硫酸Ni液と、次亜リン酸ナトリウム液と、苛性ソーダ液とがそれぞれ貯留される。次亜リン酸ナトリウム液は還元剤として、また、苛性ソーダ液はpH調整剤として用いられる。補給液12、補給液22、及び、補給液32は、それぞれ必要に応じて、適量がめっき装置40に供給される。
【0013】
図2を参照しながら、めっき装置40を説明する。めっき装置40は、めっき槽41と、めっき槽41内に貯留されているめっき液42と、ろ過装置43と、めっき液42を加温するヒータ44と、めっき液42の温度を検出する温度センサ45と、めっき液42のめっき成分濃度を検出する検出装置50と、光の送受信と分析とを行う制御装置60を備えている。
【0014】
めっき槽41は、供給される補給液12、補給液22、及び、補給液32が供給され混合されているためっき液42を貯留する装置である。めっき液42は、処理を行うめっき金属を含んだ液、例えば、硫酸Ni液を含んでいる。加えて、必要に応じて、次亜リン酸ナトリウム液と、苛性ソーダ液(水酸化ナトリウム)とが、めっき金属含有量調整、及び、pH調整のために適量混合されている。
【0015】
ろ過装置43は、めっき液42中に存在する不要物をろ過する装置である。不要物とは、めっき処理中に還元された副産物の析出物である。また、還流するめっき液42により、めっき槽41中のめっき液42の攪拌も行っている。ろ過装置43は、ポンプ43bと、めっき液42をろ過するフィルタ43aと、めっき槽41とフィルタ43aとの間に配置されている送出側配管43cと、ポンプ43bとめっき槽41との間に配置されている還流側配管43dと、を有している。送出側配管43cのめっき槽41側端部は、めっき液42中に漂っている不要物の他に、沈下している不要物も送出しやすいように、めっき槽41の下面に接続されている。また、還流側配管43dのめっき槽41側端部は、めっき槽41のめっき液42の上面より上に配置されており、ろ過されて還流するめっき液42はめっき液42の上面に自然落下する。めっき液42がめっき槽41にこのように還流されることにより、めっき液42が攪拌される。
【0016】
ヒータ44は、めっき液42を所望のめっき処理に好適な温度に加温する。ヒータ44は中空管であり、内部に流される高温蒸気により、めっき液42が加温される。めっき処理の好適な温度範囲は、めっきする金属によって異なるが、例えば85℃~95℃であり、基準値は90℃である。めっき処理を始める前のめっき液42の温度である常温、例えば5℃~30℃程度から、めっき処理温度、例えば90℃まで加温する。
【0017】
温度センサ45は、めっき液42の温度を検出する。温度センサ45は、第1ファイバヘッド56、及び、第2ファイバヘッド58の近傍のめっき液42の温度を測定するため、第1ファイバヘッド56、及び、第2ファイバヘッド58の近傍であり、第1ファイバヘッド56、及び、第2ファイバヘッド58と同じ高さのめっき槽41の内面に固定されている。温度センサ45の種類は適宜選択できるが、例えば、めっき液42に耐性があるステンレス温度抵抗体が用いられている。検出された温度は、制御装置に入力され、めっき液42の温度を最適値に保つように、ヒータ44の加温度合いが調整される。
【0018】
検出装置50は、めっき液42に含まれる成分を検出する装置である。検出装置50は、制御装置60が備えている光送受信装置61から放射された白色光を伝送して放射する第1光ファイバ55と、第1光ファイバ55が放射した光を受光し、光送受信装置61まで伝送する第2光ファイバ57と、第1光ファイバ55、及び、第2光ファイバ57を保持する光ファイバ保持装置51と、を有している。
【0019】
第1光ファイバ55と、第2光ファイバ57とは、同じ光ファイバを用いることができる。第1光ファイバ55は、第1ファイバヘッド56を有し、めっき液42中に浸漬される一端部55aと、制御装置60に接続されている他端部55bとを有する。また、同様に、第2光ファイバ57は、第2ファイバヘッド58を有し、めっき液42中に浸漬される一端部57aと、制御装置60に接続されている他端部58bとを有する。第1ファイバヘッド56と、第2ファイバヘッド58とは、PTFE等によるPFA被覆を有している。例えば、PTFEは、-200℃~260℃までの耐性を有し、耐薬品性も備えている好適なものである。
【0020】
光ファイバ保持装置51は、第1光ファイバ固定部53と、第2光ファイバ固定部54と、めっき槽固定部52とを有している。めっき槽固定部52は、垂直方向に配置されたステンレス製の長手部材である。また、第1光ファイバ固定部53と、第2光ファイバ固定部54とは、めっき槽固定部52の下端において、それぞれ水平方向に配置されたステンレス製の長手部材である。光ファイバ保持装置51により、第1光ファイバ55と、第2光ファイバ57とは、各々の一端部55a、57aが互いに対向し、かつ、直線状に保持された状態でPFA製ジョイントを介して保持されている。第1ファイバヘッド56と、第2ファイバヘッド58との端部同士間の間隔は、30mm~50mmである。光ファイバ保持装置51は、高温めっき液に耐性を有する材質である、ステンレス、PTFE、PFA、ガラスで形成される。
【0021】
その状態で、第1ファイバヘッド56と、第2ファイバヘッド58とは、めっき槽41に貯留されているめっき液42に浸漬されている。すなわち、第1ファイバヘッド56から放出された光が、めっき液42を透過した後、第2ファイバヘッド58にあたり、第2光ファイバ57に入り込むように固定されている。めっき液42中には、第1ファイバヘッド56と、第2ファイバヘッド58とのみが浸漬されている。光ファイバ保持装置51は、第1ファイバヘッド56と、第2ファイバヘッド58とが、互いに向かい合って保持できれば、上記以外の形状でも利用可能である。
【0022】
制御装置60は、制御盤63に設けられた光送受信装置61を有している。光送受信装置61は、白色光を発光する図示しない白色LEDと、入力される光を受光する図示しない受光素子とを有している。光送受信装置61は、第1光ファイバ55に白色光を供給するとともに、めっき液42を透過した透過光が第2光ファイバ57で受光されて伝送された透過光を受光素子で検出する。めっき液42のめっき金属の含有量に応じて、各色の透過光量が異なるので、透過光に含まれている三原色のバランスが変化する。
【0023】
光送受信装置61は、めっき装置40の全体的な動作を制御するPLC64に接続されている。光送受信装置61の受光素子で検出された各色の透過光量は、PLC64に出力される。PLC64では、各色の光量の合計を演算するとともに、赤、青、緑の内の選択された何れか1色について、各色の光量の合計に対する比である、第1の比Xを算出する。算出される第1の比は、あらかじめ決められた、赤色光に関する第1の比Xr、緑色光に関する第1の比Xg、又は、青色光に関する第1の比Xbの何れか1つである。PLC64は、算出された何れか一色に関する第1の比Xから、めっき液42中のめっき金属の含有量を推定する。そのため、算出される何れか一色に関する第1の比Xと、めっき金属のめっき液42中の含有量との関係をあらかじめ測定しておく。また、PLC64は推定されためっき液42中のめっき金属の含有量を元に、補給するめっき液42の量を決めて補給する。
【0024】
以下に、めっき液42中に含まれるめっき金属の含有量と、何れか一色に関する第1の比Xとの関係を説明する。めっきする金属、さらに同じめっき金属であってもめっき液42の種類により、めっき液42中に含まれるめっき金属の含有量と、透過光に含まれている光の三原色の各色のバランスは異なる。したがって、めっき液ごとに、上記関係を把握しておくことが必要である。以下では、所定のめっき液42を用いるNiめっきの場合について説明する。
【0025】
例えば、あるNiめっき液42中のNiの含有量の基準値は、22.5g/Lである。このNiめっき液42中に白色光を透過させると、めっき液42の状態に応じた三原色のバランスの透過光が得られる。光送受信装置61は、透過光の光量を各色ごとに検出し、三原色のうち、予め選択された1色と、三原色の光量の合計との比である第1の比Xを算出する。予め選択された1色は、赤、緑、青の何れかの1色の光である。めっき金属に応じて、めっき金属の減少に一番変化が表れやすい色を、赤、緑、青の何れかから選択する。Niめっきの場合、めっき処理の繰り返しによるNiの減少に対応して、光量の変化が最も表れやすい赤色光とする。所定のNiめっき液42中のNiの含有量が、22.5g/Lから減少した場合、透過光の赤色に関する第1の比Xrの値は増加し、緑色に関する第1の比Xgの値は減少し、青色に関する第1の比Xbはほとんど変化しない。Niの含有量が減少したNiめっき液42に補給液12を供給すると、赤色に関する第1の比Xrの値は減少し、緑色に関する第1の比Xgの値は増加し、青色に関する第1の比Xbはほとんど変化しない。
【0026】
表1は、上記の所定のNiめっき液42中のNiの含有量と、透過光のうちの赤色光に関する第1の比Xrとの関係を示している。例えば、Niの含有量が22.5g/LであるNiめっき液42中に白色光を放射した透過光の赤色に関する第1の比Xrは、1262である。同じ条件において、緑色に関する第1の比Xgは2482、青色に関する第1の比Xbは217、三原色の合計は3961である。一方、Ni含有量が0である水中に、白色光を放射した場合の透過光の赤色光の第1の比Xrは、2689である。上記の2つの結果から、あらかじめめっき液42中に含まれるめっき金属の含有量と、透過光に含まれている赤色光に関する第1の比Xrとの関係が表1に示す一次関数として求められ、PLC64に記録されている。
【0027】
【0028】
めっき液42中のNiの含有量を推定するときには、光送受信装置61がめっき液42中に白色光を放射し、めっき液42を透過した透過光の光量を検出してPLC64に出力する。PLC64は、透過光の光量から例えば透過光の赤色に関する第1の比Xrを算出し、赤色に関する第1の比Xrを表1に示す一次関数に適用して、めっき液42中のNiの含有量を推定する。
【0029】
次に、めっき液温度による第1の比Xの補正について、説明する。めっき液42の温度によりめっき液42の色が変化する。したがって、検出される第1の比Xの値が温度により異なる。めっき温度でのめっき金属含有量を知る必要があるため、めっき液温度による第1の比Xの補正が必要である。これについても、めっき金属ごと、さらにはめっき液ごとに、めっき液温度と第1の比Xとの関係をあらかじめ把握しておく。例えば、Niの含有量が22.5g/LであるNiめっき液42の場合、赤色光に関する第1の比Xrは次の値となる。赤色光に関する第1の比Xrは、25℃では1091、80℃では1243、85℃では1251、90℃では1262、95℃では1270である。このめっき液温度と、第1の比Xとの関係を制御装置60に記憶させておき、温度補正された第1の比Xを出力するようめっき装置40を構成することもできる。
【0030】
制御装置60は表示部62を有し、めっき液42の状態を示す表示をPLC64に接続されている表示部62に行う。PLC64は、第1の比Xと、第1の比Xに対応する基準値とを比較し、その結果に対応した表示、めっき金属の含有量、比較した判定結果、めっき液pH値、めっき液温度、等を前記表示部62に行う。第1の比Xと、第1の比Xに対応する基準値との比較結果に対応した表示とは、例えば、めっき金属の含有量が基準値、又は基準範囲内かどうかを示す青、赤、等の色表示、〇又は×等の図形表示、等、めっき液42の状態がわかる何らかの表示である。
【0031】
次に、めっき処理の繰り返しによるめっき液42の老化による第1の比Xの補正について、説明する。めっき液42は、めっき処理の繰り返しにより徐々に老化する。劣化に伴い、多くのめっき液42の場合、めっき液42の色は濃くなってくる。めっき液42が老化する理由の1つは、次亜リン酸イオンの酸化による亜リン酸イオンと、硫酸イオンとナトリウムイオンとの存在により生成される硫酸ナトリウムとがめっき液中に蓄積するためで、これがめっき速度の低下、異常析出及び被膜物性の劣化等を誘発する。例えば、Niの含有量が22.5g/L、かつ90℃のNiめっき液42の場合、赤色光に関する第1の比Xrは次の値となる。赤色光に関する第1の比Xrは、新液のめっき液42では1262、めっき処理が繰り返された廃棄寸前のめっき液42では1278である。このめっき液42の老化度合いと、第1の比Xとの関係を制御装置60に記憶させておき、老化補正された第1の比Xを出力するようめっき装置40を構成することもできる。
【0032】
本発明のめっき装置40は、白色光を放射する第1光ファイバ55と、第1光ファイバ55から放射され、めっき液42を透過した光を受光する第2光ファイバ57を備え、制御装置60は、受光された光に含まれる三原色の各々の光量を検出し、検出した三原色のうちの1つの光の光量と、三原色全ての光の光量の合計値との比である第1の比を算出する。
【0033】
本発明の上記構成によれば、めっき漕41中のめっき液42のめっき金属含有量を応答遅れなく、かつ、正確に検出することができる。
【0034】
本発明のめっき装置40は、めっき液42の温度を検出し、めっき液42の温度が基準めっき温度から外れている時には、第1の比Xを基準めっき温度相当の値に補正する。
【0035】
本発明の上記構成によれば、めっき液42の温度により変化するめっき液42の色の影響を受けることなく、めっき液42のめっき金属含有量を正確に検出することができる。
【0036】
本発明のめっき装置40は、表示部62を有し、第1の比Xと、第1の比Xに対応する基準値とを比較するとともに、その結果に対応した表示を含むめっき液の状態を示す表示を表示部62に行う。
【0037】
本発明の上記構成によれば、表示部62にめっき液の状態が示されるため、めっき液42の状態を正確に検出することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、めっき装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0039】
40 めっき装置、41 めっき槽、50 検出装置、55 第1光ファイバ、
57 第2光ファイバ、60 制御装置、62 表示部。