IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山三商事株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-靴 図1
  • 特開-靴 図2
  • 特開-靴 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069180
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 23/02 20060101AFI20220428BHJP
【FI】
A43B23/02 106
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178211
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】399010545
【氏名又は名称】山三商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】巻渕 文彰
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050BC37
(57)【要約】
【課題】足甲頂点付近の血管を圧迫し難く、可及的に全身の血行・血流を阻害し難い靴を提供する。
【解決手段】足甲部2aの外側寄りに、対向状態で複数の紐通し孔11が並設された一対の羽根部12と、この紐通し孔11に挿通される靴紐13とで構成された締付調整部10が設けられ、前記靴紐13として、紐長手方向に前記紐通し孔11の孔径よりも大径に形成されると共に、引っ張り操作により該引っ張り操作方向に伸長弾性変形して前記紐通し孔11の孔径よりも小径に変形するこぶ状部13aが複数並設されたこぶ領域部を有する靴紐13が採用された靴であって、前記靴紐13の両端部を夫々止着可能な止着部14を前記足甲部2aの外側寄りに設ける。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
足甲部の外側寄りに、対向状態で複数の紐通し孔が並設された一対の羽根部と、この紐通し孔に挿通される靴紐とで構成された締付調整部が設けられ、
前記靴紐として、紐長手方向に前記紐通し孔の孔径よりも大径に形成されると共に、引っ張り操作により該引っ張り操作方向に伸長弾性変形して前記紐通し孔の孔径よりも小径に変形するこぶ状部が複数並設されたこぶ領域部を有する靴紐が採用された靴であって、
前記靴紐の両端部を夫々止着可能な止着部が、前記足甲部の外側寄りに設けられていることを特徴とする靴。
【請求項2】
請求項1記載の靴において、踵保持部に踵の抜けを防止する足幅方向に延びる帯状の抜け防止体が設けられていることを特徴とする靴。
【請求項3】
請求項2記載の靴において、爪先保持部を構成する表部材と裏部材との間に該爪先保持部を補強する先芯部材が設けられていないことを特徴とする靴。
【請求項4】
請求項2,3いずれか1項に記載の靴において、前記踵保持部を構成する表部材と裏部材との間に該踵保持部を補強する月型芯部材が設けられていないことを特徴とする靴。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の靴において、前記靴紐は、前記紐通し孔に挿通され前記足甲部に装着された状態にて最後に通過させる紐通し孔を通過して引き出された前記こぶ領域部を引っ張り操作することで、前記紐通し孔の内側に係止するこぶ状部が前記引っ張り操作により伸長弾性変形して前記紐通し孔よりも小径となり、前記紐通し孔を通過移動して締め上げることができ、この締め上げ状態にて前記引っ張り操作を解除することで、前記こぶ状部が、小径状態から大径なもとの状態に戻り変形し、前記最後に通過した紐通し孔に対して戻り通過移動不能な状態となるように構成されていることを特徴とする靴。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の靴において、前記止着部は、前記靴紐の両端部が止着されるものであり、外側の前記羽根部の最上位の紐通し孔および内側の前記羽根部の前記最上位の紐通し孔の鉛直下方位置に設けられていることを特徴とする靴。
【請求項7】
請求項1~6いずれか1項に記載の靴において、外側の前記羽根部の最上位の紐通し孔と内側の前記羽根部の最上位の紐通し孔とは、夫々の鉛直下方への直線が平行となるような位置に設けられていることを特徴とする靴。
【請求項8】
足甲部の外側寄りに、対向状態で複数の紐通し孔が並設された一対の羽根部と、この紐通し孔に挿通される靴紐とで構成された締付調整部が設けられ、
前記靴紐として、紐長手方向に前記紐通し孔の孔径よりも大径に形成されると共に、引っ張り操作により該引っ張り操作方向に伸長弾性変形して前記紐通し孔の孔径よりも小径に変形するこぶ状部が複数並設されたこぶ領域部を有し、前記紐通し孔に挿通され前記足甲部に装着された状態にて最後に通過させる紐通し孔を通過して引き出された前記こぶ領域部を引っ張り操作することで、前記紐通し孔の内側に係止するこぶ状部が前記引っ張り操作により伸長弾性変形して前記紐通し孔よりも小径となり、前記紐通し孔を通過移動して締め上げることができ、この締め上げ状態にて前記引っ張り操作を解除することで、前記こぶ状部が、小径状態から大径なもとの状態に戻り変形し、前記最後に通過した紐通し孔に対して戻り通過移動不能な状態となるように構成された靴紐を採用した靴であって、
爪先保持部を構成する表部材と裏部材との間に該爪先保持部を補強する先芯部材が設けられておらず、且つ、踵保持部を構成する表部材と裏部材との間に該踵保持部を補強する月型芯材が設けられていないものであり、
更に、前記踵保持部に踵の抜けを防止する足幅方向に延びる帯状の抜け防止体が設けられていることを特徴とする靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からある靴の大半は、足甲頂点に靴紐による締付調整部が配置されている。
【0003】
ところで、足には、足甲頂点を中心に太く重要な血管が存在している。そのため、大半の靴では、靴紐を締め上げると、当該血管を圧迫し易い構造となっている。
【0004】
また、締付調整部は、シュータンや靴紐が挿通するハトメ(紐通し孔)が設けられる羽根などにより厚く形成されるため、締付調整部が足甲頂点に位置すると、この点でも足甲頂点付近の血管を圧迫し易い構造となる。
【0005】
足甲頂点付近の血管が圧迫されると、足のむくみや疲労の原因になるのみならず、全身の血行・血流が阻害され、歩行運動による筋肉収縮に伴う血流改善効果も阻害される。
【0006】
なお、特許文献1には、足甲頂点をよけた外側寄り位置に締付調整部が設けられた靴が開示されているが、上述の血管の圧迫に関する知見は何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-357988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、足甲頂点付近の血管を圧迫し難く、可及的に全身の血行・血流を阻害し難い靴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
足甲部2aの外側寄りに、対向状態で複数の紐通し孔11が並設された一対の羽根部12と、この紐通し孔11に挿通される靴紐13とで構成された締付調整部10が設けられ、
前記靴紐13として、紐長手方向に前記紐通し孔11の孔径よりも大径に形成されると共に、引っ張り操作により該引っ張り操作方向に伸長弾性変形して前記紐通し孔11の孔径よりも小径に変形するこぶ状部13aが複数並設されたこぶ領域部を有する靴紐13が採用された靴であって、
前記靴紐13の両端部を夫々止着可能な止着部14が、前記足甲部2aの外側寄りに設けられていることを特徴とする靴に係るものである。
【0011】
また、請求項1記載の靴において、踵保持部19に踵の抜けを防止する足幅方向に延びる帯状の抜け防止体15が設けられていることを特徴とする靴に係るものである。
【0012】
また、請求項2記載の靴において、爪先保持部20を構成する表部材17と裏部材との間に該爪先保持部20を補強する先芯部材が設けられていないことを特徴とする靴に係るものである。
【0013】
また、請求項2,3いずれか1項に記載の靴において、前記踵保持部19を構成する表部材18と裏部材との間に該踵保持部19を補強する月型芯部材が設けられていないことを特徴とする靴に係るものである。
【0014】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の靴において、前記靴紐13は、前記紐通し孔11に挿通され前記足甲部2aに装着された状態にて最後に通過させる紐通し孔11を通過して引き出された前記こぶ領域部を引っ張り操作することで、前記紐通し孔11の内側に係止するこぶ状部13aが前記引っ張り操作により伸長弾性変形して前記紐通し孔11よりも小径となり、前記紐通し孔11を通過移動して締め上げることができ、この締め上げ状態にて前記引っ張り操作を解除することで、前記こぶ状部13aが、小径状態から大径なもとの状態に戻り変形し、前記最後に通過した紐通し孔11に対して戻り通過移動不能な状態となるように構成されていることを特徴とする靴に係るものである。
【0015】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の靴において、前記止着部14は、前記靴紐13の両端部が止着されるものであり、外側の前記羽根部12の最上位の紐通し孔11および内側の前記羽根部12の前記最上位の紐通し孔11の鉛直下方位置に設けられていることを特徴とする靴に係るものである。
【0016】
また、請求項1~6いずれか1項に記載の靴において、外側の前記羽根部12の最上位の紐通し孔11と内側の前記羽根部12の最上位の紐通し孔11とは、夫々の鉛直下方への直線が平行となるような位置に設けられていることを特徴とする靴に係るものである。
【0017】
また、足甲部2aの外側寄りに、対向状態で複数の紐通し孔11が並設された一対の羽根部12と、この紐通し孔11に挿通される靴紐13とで構成された締付調整部10が設けられ、
前記靴紐13として、紐長手方向に前記紐通し孔11の孔径よりも大径に形成されると共に、引っ張り操作により該引っ張り操作方向に伸長弾性変形して前記紐通し孔11の孔径よりも小径に変形するこぶ状部13aが複数並設されたこぶ領域部を有し、前記紐通し孔11に挿通され前記足甲部2aに装着された状態にて最後に通過させる紐通し孔11を通過して引き出された前記こぶ領域部を引っ張り操作することで、前記紐通し孔11の内側に係止するこぶ状部13aが前記引っ張り操作により伸長弾性変形して前記紐通し孔11よりも小径となり、前記紐通し孔11を通過移動して締め上げることができ、この締め上げ状態にて前記引っ張り操作を解除することで、前記こぶ状部13aが、小径状態から大径なもとの状態に戻り変形し、前記最後に通過した紐通し孔11に対して戻り通過移動不能な状態となるように構成された靴紐13を採用した靴であって、
爪先保持部20を構成する表部材17と裏部材との間に該爪先保持部20を補強する先芯部材が設けられておらず、且つ、踵保持部19を構成する表部材18と裏部材との間に該踵保持部19を補強する月型芯材が設けられていないものであり、
更に、前記踵保持部19に踵の抜けを防止する足幅方向に延びる帯状の抜け防止体15が設けられていることを特徴とする靴に係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述のように構成したから、足甲頂点付近の血管を圧迫し難く、可及的に全身の血行・血流を阻害し難い靴となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施例に係る左足用の靴の側面図である。
図2】本実施例に係る左足用の靴の平面図である。
図3】足甲頂点付近の血管と締付調整部との関係を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0021】
締付調整部10が、図3に図示したように、足30の足甲頂点付近の血管31からずれた足甲部2aの外側寄りに設けられることで、締め上げ時の足甲頂点付近の血管31の圧迫、締付調整部10の羽根部等の厚みによる当該血管31の圧迫が生じ難くなる。
【0022】
また、靴紐13として引っ張り操作によりこぶ状部13aを伸長弾性変形可能なものを採用することで、靴紐13による血管の圧迫も可及的に抑制される。
【0023】
更に、靴紐13の両端部をいずれも足甲部2aの外側寄りに設けた止着部14に止着することによっても、足甲頂点付近の重要な血管31の圧迫が可及的に阻止される。即ち、例えば、靴紐の内側の羽根部の最後の紐通し孔を通過して引き出された一端部を足甲部(内側の羽根部)の内側寄りに止着し、外側の羽根部の最後の紐通し孔を通過して引き出された他端部を足甲部(外側の羽根部)の外側寄りに止着した場合には、前記靴紐の一端部側が足甲頂点を跨ぐことで足甲頂点付近の血管を圧迫する可能性があるが、本発明によればこのような問題はない。
【0024】
更に、靴紐13の両端部が共に足甲部2aの外側寄りに揃って設けられることでデザイン上も極めて美しいものとなる。
【0025】
また、例えば、爪先保持部20に先芯部材を設けず、且つ、踵保持部19に月型芯部材を設けずに、踵保持部19に踵の抜けを防止する足幅方向に延びる帯状の抜け防止体15を設けた場合には、踵の抜けを防止しつつ、靴の前後方向(爪先・踵方向)からの圧迫を低減でき、足の血管の圧迫を良好に抑制できるものとなる。
【0026】
従って、本発明は、足甲頂点付近の血管を圧迫し難く、可及的に全身の血行・血流を阻害し難いものとなる。
【実施例0027】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0028】
本実施例は、甲被部2(アッパー部)の足甲部2aの外側寄りに、対向状態で複数の紐通し孔11が並設された一対の羽根部12と、この紐通し孔11に挿通される靴紐13とで構成された締付調整部10を有する靴に本発明を適用した例である。図中、符号1は底部(ソール部)である。
【0029】
本実施例は、靴紐13として、紐長手方向に前記紐通し孔11の孔径よりも大径に形成されると共に、伸縮自在に弾性変形して引っ張り操作により該引っ張り操作方向に伸長弾性変形して前記紐通し孔11の孔径よりも小径に変形するこぶ状部13aが複数並設されたこぶ領域部を有する靴紐13を採用している。
【0030】
この靴紐13は、前記紐通し孔11に挿通され前記足甲部2aに装着された状態にて最後に通過させる紐通し孔11を通過して引き出された前記こぶ領域部を引っ張り操作することで、前記紐通し孔11の内側に係止するこぶ状部13aが前記引っ張り操作により伸長弾性変形して前記紐通し孔11よりも小径となり、前記紐通し孔11を通過移動して締め上げることができ、この締め上げ状態にて前記引っ張り操作を解除することで、前記紐通し孔11を通過した前記こぶ状部13aが、小径状態から紐通し孔11の孔径よりも大径なもとの状態(非変形状態)に戻り変形し、前記最後に通過した紐通し孔11に対して戻り通過移動不能な状態となる。
【0031】
また、本実施例の靴紐13としては、両端部に設けられる前記こぶ領域部の間の略全域(長手方向中央部)にわたって紐通し孔11の孔径よりも小径で且つ略一定の太さに形成される太さ一定領域部が設けられたものを採用している。なお、前記こぶ領域部間に、上述の太さ一定領域部ではなく、紐通し孔11の孔径よりも小径な小径こぶ部が間隔をおいて複数並設された小径こぶ領域部が設けられたものを採用しても良い。
【0032】
また、本実施例の羽根部12同士の間隔は、隙間なくぴったりと閉じることが可能となる間隔に設定されている。即ち、靴紐13の締付調整によって、羽根部12同士の間に隙間がない一直線の境界を呈する外観とすることもできる。
【0033】
また、甲被部2には、前記靴紐11の両端部を夫々止着可能な止着部14が、前記足甲部2aの外側寄りに設けられている。本実施例においては、止着部14は、締付調整部10より外側であって、外側の前記羽根部12の最上位の紐通し孔11および内側の前記羽根部12の前記最上位の紐通し孔11の鉛直下方位置に設けられている。
【0034】
また、外側の前記羽根部12の最上位の紐通し孔11と内側の前記羽根部12の最上位の紐通し孔11とは、夫々の鉛直下方への直線が平行となるような位置(靴の前後方向においてずれた位置)に設けられている。
【0035】
止着部14は、紐通し孔11と同様に、こぶ状部13aが小径状態では通過移動可能で、もとの大径状態では通過移動不能な靴紐挿通孔(図示省略)を有している。具体的には、丸みを帯びたほぼ菱形状の表面部の裏側に靴紐挿通孔が穿設された表面部に隠れる大きさの基部(図示省略)が設けられている。靴紐挿通孔は、鉛直方向(上下方向)を向く孔であり、靴長手方向に2つ平行に並設されている。この靴紐挿通孔に最上位の紐通し孔11を通過した靴紐13の端部を、夫々上記同様に通過させ戻り通過不能とすることで、体裁よく止着することができる。
【0036】
また、靴紐13の長さは、両端が止着部14に止着した状態で地面(床)に接触しない長さとする。具体的には、両端が止着部14に止着した状態でソール部1より上の位置となる長さとする。
【0037】
なお、止着部14を外側寄りと内側寄りに夫々設ける構成としても良い。この場合、外側の羽根部12の最後に通過する紐通し孔11および内側の羽根部12の最後に通過する紐通し孔11を通過した端部を夫々、外側の羽根部12より外側寄りの止着部14および内側の羽根部12より内側寄りの止着部14に夫々止着することになる。また、この場合、靴紐挿通孔は各止着部14に夫々1つずつ設ける。
【0038】
また、本実施例は、爪先保持部20を構成する表部材17と裏部材(図示省略)との間に該爪先保持部20を補強する先芯部材が設けられておらず、且つ、踵保持部19を構成する表部材18と裏部材(図示省略)との間に該踵保持部19を補強する月型芯部材が設けられていない。従って、使用者の爪先および踵が先芯部材および月型芯部材により圧迫されない(動きが阻害され難い。)。
【0039】
本実施例では、踵が抜けないように、踵保持部19(の外側)に踵の抜けを防止する足幅方向に延びる帯状の抜け防止体15が設けられている。抜け防止体15は踵の後側外形状に沿って半円弧状に設けられている。抜け防止体15は、適度な伸縮性を有する素材、例えばシリコン等で作製することができる。図中符号16はプルストラップである。
【0040】
本実施例は上述のように構成したから、締付調整部10が、図3に図示したように、足30の足甲頂点付近の血管31からずれた足甲部2aの外側寄りに設けられることで、締め上げ時の足甲頂点付近の血管31の圧迫、締付調整部10の羽根部等の厚みによる当該血管31の圧迫が生じ難くなる。
【0041】
また、靴紐13として引っ張り操作によりこぶ状部13aを伸長弾性変形可能なものを採用することで、靴紐13による血管の圧迫も可及的に抑制される。
【0042】
更に、靴紐13の(例えば最後にして最上位の紐通し孔11を通過した)両端部をいずれも足甲部2aの外側寄りに設けた止着部14に止着することによっても、足甲頂点付近の重要な血管31の圧迫が可及的に阻止される。
【0043】
更に、靴紐13の両端部が共に足甲部2aの外側寄りに揃って設けられることでデザイン上も極めて美しいものとなる。
【0044】
また、爪先保持部20に先芯部材を設けず、且つ、踵保持部19に月型芯部材を設けずに、踵保持部19に踵の抜けを防止する足幅方向に延びる帯状の抜け防止体15を設けることで、踵の抜けを防止しつつ、靴の前後方向(爪先・踵方向)からの圧迫を低減でき、足の血管の圧迫を良好に抑制できるものとなる。
【0045】
従って、本実施例は、足甲頂点付近の血管を圧迫し難く、可及的に全身の血行・血流を阻害し難いものとなる。
【0046】
なお、図面では左足用の靴について説明しているが、右足用の靴についても(対称となるだけで)同様である。
【符号の説明】
【0047】
2a 足甲部
10 締付調整部
11 紐通し孔
12 羽根部
13 靴紐
13a こぶ状部
14 止着部
15 抜け防止体
17 (爪先保持部の)表部材
18 (踵保持部の)表部材
19 踵保持部
20 爪先保持部
図1
図2
図3