(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069204
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】消音ユニット及び消音組み立て体
(51)【国際特許分類】
G10K 11/16 20060101AFI20220428BHJP
G10K 11/168 20060101ALI20220428BHJP
G10K 11/162 20060101ALI20220428BHJP
B32B 5/24 20060101ALI20220428BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20220428BHJP
【FI】
G10K11/16 120
G10K11/168
G10K11/162
G10K11/16 150
B32B5/24 101
B32B7/022
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178259
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】520415915
【氏名又は名称】ダイワ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115613
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寧司
(72)【発明者】
【氏名】小林 光仁
【テーマコード(参考)】
4F100
5D061
【Fターム(参考)】
4F100AA20B
4F100DB05C
4F100DB17E
4F100DC02A
4F100DC16D
4F100DG01B
4F100DG15B
4F100JH01A
5D061AA04
5D061AA06
5D061AA07
5D061AA11
5D061AA12
5D061AA16
5D061AA22
5D061BB02
5D061BB13
5D061BB21
5D061BB37
5D061CC13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】騒音発生源となる種々の機器に対応でき、簡単に設置及び取り外しができる消音ユニット及びこれを組み立ててなる消音組み立て体を提供する。
【解決手段】消音ユニット11は、軽量で吸音に寄与し板状を維持する吸音ボード20と、吸音ボード20に積層され遮音に寄与する繊維状物からなる遮音マット30と、遮音マット30を覆うメッシュ材40とから形成される板状積層体13と、この板状積層体13の外枠を形成するフレーム50とから構成される。外枠は、ワンタッチ式連結具70を有する。ワンタッチ式連結具70で複数の消音ユニット11を簡単に結合、取り外しでき、消音組み立て体の設置及び解体が容易である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
規則的な中空室を有する吸音ボードと、不織布からなる遮音マットとが積層した板状積層体に、ワンタッチ式連結具を設けてなり騒音を減衰する消音ユニット。
【請求項2】
前記遮音マットをメッシュ材で被覆した請求項1記載の消音ユニット。
【請求項3】
前記中空室の断面がハニカム状であり、不織布が高密度シリカウールからなる請求項1又は請求項2記載の消音ユニット。
【請求項4】
前記吸音ボードの外縁にさらにフレームを有する請求項1~請求項3何れか1項記載の消音ユニット。
【請求項5】
前記フレームには、前記吸音ボードの外周を超えて延伸した延伸部位を有し、当該延伸部位が別体の消音ユニットの外縁に対して係合する請求項4記載の消音ユニット。
【請求項6】
前記遮音マットを前記フレームからはみ出すように設けた請求項4又は請求項5記載の消音ユニット。
【請求項7】
前記ワンタッチ式連結具は、前記板状積層体へ取り付ける本体具と、当該板状積層体とは別の板状積層体へ取り付けるフックの一対からなり、当該本体具には前記板状積層体への取り付け部位となるベースと、前記フックに引っかける接続部と、弾性部材と、前記フックと前記接続部とが接合した状態で前記弾性部材の付勢力に抗した回転で前記2つの板状積層体が結合する操作レバーとを有するものであり、
前記フックを取り付けた前記板状積層体と、前記本体具を取り付けた前記板状積層体と、を別体として備えた複数個からなる請求項1~請求項6何れか1項記載の消音ユニット。
【請求項8】
請求項1~請求項7何れか1項記載の消音ユニットを複数個連結して組み立ててなる消音組み立て体。
【請求項9】
請求項7記載のフックを取り付けた前記板状積層体を有する消音ユニットどうしを対向面に配置し、請求項7記載の接続部を取り付けた前記板状積層体を有する消音ユニットどうしを当該対向面に直行する別の対向面に配置した消音組み立て体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、騒音を発生する機器等の騒音発生源からの騒音を弱める消音ユニットとそれを用いた消音組み立て体に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機や破砕機、プレス機、造粒装置等の様々な機器から発生する大きな音は騒音として近隣に影響を及ぼすだけでなく工場内の作業者をも悩ます問題である。こうした騒音を発生する騒音発生源としての機器に対しては、防音に優れた専用の建屋に設置するか、機器自体の技術革新によって騒音を発生し難い構造に改良するか、あるいはまた騒音発生源自体を防音性の覆いで囲うか等の対策が施されることが好ましい。例えば、騒音発生源としてのドライポンプ全体を覆うことにより防音する装置が特開2009-250153号公報(特許文献1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、防音に優れた専用の建屋を設けるにはスペースが必要であり騒音発生源自体がそれほど大きくないような場合には採算に合わない。また機器自体の改良は機器メーカーが常に検討している事項であるが、既設の機器をそのまま利用することができない場合が多い。さらに、騒音発生源自体を覆う防音箱のような構造体を製造することは好ましいが、例示した公報に記載の技術のように、騒音発生源に適合した装置とする必要があり、汎用性が無く、機器ごとに設計し直す必要が生じる。
【0005】
本発明は、騒音発生源となる種々の機器に対応でき、簡単に設置及び取り外しができる消音ユニットとそれを用いた消音組み立て体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は次の構成を備えるものである。
[1]規則的な中空室を有する吸音ボードと、不織布からなる遮音マットとが積層した板状積層体に、ワンタッチ式連結具を設けてなり騒音を減衰する消音ユニットである。
[2]前記遮音マットをメッシュ材で被覆した消音ユニットである。
[3]前記中空室の断面がハニカム状であり、不織布が高密度シリカウールからなる消音ユニットである。
[4]前記吸音ボードの外縁にさらにフレームを有する消音ユニットである。
[5]前記フレームには、前記吸音ボードの外周を超えて延伸した延伸部位を有し、当該延伸部位が別体の消音ユニットの外縁に対して係合する消音ユニットである。
[6]前記遮音マットを前記フレームからはみ出すように設けた消音ユニットである。
【0007】
[7]前記ワンタッチ式連結具は、前記板状積層体へ取り付ける本体具と、当該板状積層体とは別の板状積層体へ取り付けるフックの一対からなり、当該本体具には前記板状積層体への取り付け部位となるベースと、前記フックに引っかける接続部と、弾性部材と、前記フックと前記接続部とが接合した状態で前記弾性部材の付勢力に抗した回転で前記2つの板状積層体が結合する操作レバーとを有するものであり、前記フックを取り付けた前記板状積層体と、前記本体具を取り付けた前記板状積層体と、を別体として備えた複数個からなる消音ユニットである。
[8]上記何れかの消音ユニットを複数個連結して組み立ててなる消音組み立て体である。
[9]上記フックを取り付けた前記板状積層体を有する消音ユニットどうしを対向面に配置し、上記接続部を取り付けた前記板状積層体を有する消音ユニットどうしを当該対向面に直行する別の対向面に配置した消音組み立て体である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の消音ユニット及び消音組み立て体によれば、既設の機器や状況に対して適用でき、設置スペースを小さくすることができる。また、消音ユニットは軽く、持ち運びが容易であり、複数個の消音ユニットをワンタッチで結合することで容易に消音組み立て体を作製、設置でき、同様に簡単に分解できことから工事現場等における一時的な騒音対策にも便宜であり、作業コストの削減にも叶う。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】一の消音ユニットを示し、分図(A)は消音ユニットの概略断面図、分図(B)は消音ユニットの部分平面図である。
【
図5】ネジ等で遮音マットを吸音ボードに結合した状態を示す概略断面図である。
【
図6】ネジ等で遮音マットを吸音ボードに結合する位置を示す説明図であり、分図(A)、分図(B)はそれぞれ異なる例である。
【
図7】外枠からはみ出したフレームを有する消音ユニットを説明する説明図である。
【
図8】連結具の説明図であり、分図(A)は2つの消音ユニットの水平結合に用いる水平連結具の説明図、分図(B)は2つの消音ユニットの垂直結合に用いるコーナー連結具の説明図である。
【
図9】消音組み立て体の4つの縦壁の組み方を説明するための説明図(平面図)である。
【
図10】消音ユニットの別の態様を説明する説明図(断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、騒音を発生する機器等の騒音発生源からの騒音を弱める消音ユニットとそれを用いた消音組み立て体であり、以下に、具体的な実施形態とその変形例を挙げて詳細に説明するが、これらの例において同一の材料や構造、条件、プロセス、材質、作用、効果等について、重複する部分はその重複説明を省略する。
【0011】
<実施形態>:[
図1~
図8]
いくつかの消音ユニット11を組み合わせて構成した消音組み立て体10の一の実施形態を
図1で示す。この図で示すように、消音組み立て体10は、外観は直方体のボックスを2つ連ねたような形状をしており、各面がそれぞれ板状の消音ユニット11で形成され、内部は空洞である。この内部に、例えば硬質プラスチックの破砕機(図示せず)などの騒音発生源を収容すれば、そこから発生する騒音を消音ユニット11が反射、吸収し、消音組み立て体10の外側では、内部に設置された機器からの騒音が弱められる。
【0012】
図2には、この消音組み立て体10の概略6面図を示す。
図2(A)が正面図、
図2(B)が背面図、
図2(C)が右側面図、
図2(D)が左側面図、
図2(E)が平面図である。これらの図で示すように、正面は、正面上側ユニット11a1と正面下側ユニット11a2(これらをまとめて「正面ユニット11a」ともいう)と便宜状称する2枚の消音ユニット11で構成し、背面は、背面ユニット11bと便宜状称する1枚の消音ユニット11で構成し、右側面は、右側大ユニット11c1と右側小ユニット11c2(これらをまとめて「右側面ユニット11c」ともいう)と便宜状称する2枚の消音ユニット11で構成し、左側面は、左側大ユニット11d1と左側小ユニット11d2(これらをまとめて「左側面ユニット11d」ともいう)と便宜状称する2枚の消音ユニット11で構成し、平面は、平面上側ユニット11e1と平面下側ユニット11e2(これらをまとめて「平面ユニット11e」ともいう)と便宜状称する2枚の消音ユニット11で構成しており、底面には消音ユニットを設けていない。
【0013】
このように消音組み立て体10は、複数の種類の消音ユニット11から構成され、消音ユニット11の平面形状や大きさは異なるものもあるが、各消音ユニット11の内部構造は概略同一である。
即ち、消音ユニット11は、
図3(A)の概略断面図で示すように、軽量で吸音に寄与し板状を維持する吸音ボード20と、この吸音ボード20に積層され遮音に寄与する繊維状物からなる遮音マット30と、遮音マット30を覆うメッシュ材40とから形成される板状積層体13と、この板状積層体13の外枠を形成するフレーム50とから構成され、外枠には、
図3(B)の部分平面図でも示すように、所定の連結具70を有する。消音ユニット11を結合して消音組み立て体10とした際には、吸音ボード20側が消音組み立て体10の外側に、遮音マット30側が消音組み立て体10の内側の騒音発生源に対向する側に、それぞれ向くように組み立てられる。
【0014】
吸音ボード20は、
図4でその概略断面図を示すが、中実な板材や多孔質な板状材とは異なり、板面部21を形成する両平面の間に、この両平面に対して垂直な筒状壁23が複数埋められて、人為的に意図して作製された規則的な複数の中空室24を形成する中抜き形状のある中空体22として形成されることが好ましい。中空室24は前記板面部21に平行な断面で前記筒状壁23を見るとハニカム状(六角形状)であり、当該筒状壁23の上下面を塞ぐ板面部21の一方に外部からこの中空室24に通じる貫通孔25が設けられたものがより好ましい。音波がこの貫通孔25を通じて中空室24に出入りする際に中空室24内の空気が振動する摩擦損失によって吸音されると説明できる。こうした吸音ボード20を利用することで、適当な強度を保持しながら消音ユニット11を薄くすることができる。
【0015】
厚み方向の中空室24が一つに形成される吸音ボード20は、その厚みが10~30mmとすることが好ましい。厚みが10mm未満又は30mmを超えると透過する騒音の減衰効果が劣るようになるからである。また、厚みに対する垂直方向の一つの中空室24の幅は、2~20mmとすることが好ましい。2mm未満とすると製造コストが高くなり、また中空室24の側壁割合が増えて重量が増して好ましくなく、20mmを超えると中空室24を複数個設ける効果が弱まり音の減衰性能も悪化するからである。この吸音ボード20は必要により複数枚重ねて用いることもできる。
【0016】
吸音ボード20を構成する両表面側に設ける板面部21や中空室24の側壁となる筒状壁23はできるだけ軽量のプラスチック材を用いることが好ましく、同一の材質とすることができるが、一方を他方とは異なるエラストマーのような柔軟性材料を用いることはより好ましい。板面部21と筒状壁23の材質の相違が共振範囲の相違をもたらし、音を減衰させるとともに、消音ユニット11自体の振動を減衰させる制震作用が増大するからである。板面部21と筒状壁23の何れか一方をエラストマーで形成する場合は、板面部21をエラストマーで形成した方が好ましい。筒状壁23をエラストマーで形成すると強度が問題になる場合が生じる一方で、板面部21をエラストマーで形成すると中空室24の容積変化が起こり易く、音の消音効果により優れるからである。前記貫通孔25は、一つの中空室24に一つ設けることが好ましく、その大きさは0.5~3mmとすることが好ましい。
【0017】
遮音マット30は、ガラスウールやセラミックウール、ロックウール、カーボンファイバー、その他各種天然又は合成繊維材でなる不織布が用いられるが、これらの中でもシリカウールを用いることが好ましく、さらにはシリカ成分が90%以上の高珪酸ガラス繊維からなるシリカウール(高密度シリカウール)がより好ましい。シリカウール、特にシリカ成分が高いシリカウールが好ましい理由は定かではないが、他の材質と比較して明らかに高い消音性能を発揮することが実験により確認できたからである。また、シリカウールは、断熱性や耐熱性、耐薬品性、耐火性、電気絶縁性、振動減衰性にも優れ、騒音発生源の近くに設置することによる発火、漏電、変質その他の不意の事故を招き難い。
【0018】
遮音マット30の厚みは8~40mmとすることが好ましい。厚みが8mm未満では騒音の減衰効果が劣るようになり、40mmを超えると材料コストに対する音の減衰効果の高まりが見込めないからである。また遮音マット30の密度は100~150kg/m3であることが好ましい。100kg/m3未満では騒音の減衰効果が劣るようになり、150kg/m3を超えると消音ユニット11が重くなるからである。
遮音マット30では、繊維質構造の隙間に空気の粗密波が通過するときの摩擦熱で音のエネルギーが減衰し、一方で繊維質自体が粗密波を受けて変形しエネルギー吸収することでも音のエネルギーが減衰する。
【0019】
メッシュ材40としては、例えば、網戸や防虫ネットとして利用できるメッシュ材を用いることができる。厚みは、好ましくは0.1~0.4mmであり、より好ましくは0.15~0.25mmであり、0.15mm、0.2mm、0.25mmはその一態様である。0.1mmよりも薄いと強度や耐久性が弱くなり、0.4mmよりも厚いと開口の大きさに比べて重量が増し軽量化の要請に反する。0.15~0.25mmとすることで、強度や耐久性が好ましく、重すぎず、加えて後述する穴の大きさと相まってそのメッシュを通過する騒音に対して防音効果が高まるものと考えられる。
【0020】
密度は100~150kg/m3が好ましく、より好ましくは130~140kg/m3であり、130kg/m3、135kg/m3、140kg/m3はその一態様である。100kg/m3よりも軽いと強度や耐久性に劣り、150kg/m3を超えると重量が増して軽量化の要請に反する。また、130~140kg/m3とすることで強度や耐久性が好ましく、重すぎず、加えて上記遮音マット30との接触による何らかの消音効果が高まるものと考えられる。
【0021】
メッシュ材40の材質は、アルミやステンレス等の金属、ポリ塩化ビニルやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン等の合成樹脂とすることができるが、ガラス繊維材をPVCで被覆した素材を用いることは、耐食性、耐久性及び防火性に優れ、しわになりにくいため好ましい一態様である。
メッシュ材40のメッシュの大きさ(メッシュ数)は、10~450メッシュ(ここでは数値+メッシュという表現をしたがメッシュ+数値としても同様である)とすることが好ましく、より好ましくは16~400メッシュである。10メッシュよりも粗いと遮音マット30を被覆する効果が薄れ、450メッシュよりも細かいとメッシュ材40表面で反射する音が多くなり消音効果が薄らぐからである。また、16~400メッシュとすることで遮音マット30の被覆と網目を通る音のバランスが好適となる。
【0022】
メッシュ材40で遮音マット30を覆うことで、遮音マット30からの繊維の脱落を防止し、また後述するように、遮音マット30表面、即ち、騒音発生源に対向する表面に凹凸を形成することができる。そのため、遮音効果が高まると考えられる。
【0023】
吸音ボード20と遮音マット30との結合は、接着剤を用いずにネジやボルト(以下これらをまとめて「ネジ等」ともいう)60を使って両者を結合することが好ましい。接着剤を使用することで吸音ボード20の板面部21の振動が抑制されたり、消音ユニット11の製造時に、誤って吸音ボード20の貫通孔25が接着剤で塞がれたりして、吸音ボード20の吸音性能が十分に生かされないおそれが生じるからである。加えて、遮音マット30の表面に当たった音はそのまま内側に進み、接着剤などが介在しないため、直進して吸音ボード20の板面部21に到達する。そのため、接着剤等の余分な部材による反射等の影響がなく、遮音マット30から吸音ボード20へと連通する消音行程が実行される。
【0024】
ネジ等60の利用では、
図5で示すように、ネジ等60でワッシャー61を挟持し、遮音マット30側から吸音ボード20の板面部21に通すことで遮音マット30と吸音ボード20とを結合する。この際、ネジ等60とともにワッシャー61を通じて遮音マット30が吸音ボード20側に押し込まれるため、遮音マット30の表面からネジ等60で押し込んだ部分がなだらかな凹み62を形成する。これにより、騒音発生源となる機器側に面した表面に凹凸が形成され、その表面積が増大する。一方、メッシュ材40を用いずに直接、ネジ等60で遮音マット30を吸音ボード20に結合させると、ワッシャー61を介してもネジ等60で押し込んだ部分だけが凹み、その表面全体に及ぶなだらかな凹み62は形成され難い。このようにメッシュ材40は遮音マット30の表面に凹凸を生じさせるという機能も有する。前記ワッシャー61にはキャップ63を取り付けることができるものとすれば、ネジ等60の頭を隠すことができ、見栄えを良くすることができる。
【0025】
ネジ等60による結合箇所は、吸音ボード20から遮音マット30の脱落がなく消音ユニット11の取り扱い性が十分である程度の位置、及び個数とすれば良く、例えば
図6(A)、
図6(B)で示す位置及び個数とすることができる。
【0026】
消音ユニット11の外縁12、特にその周囲には、フレーム50を設けることが好ましい。フレーム50を設けることで吸音ボード20の端部が外部に対して剥き出しになるのを防止し、外面を整えるだけでなく、消音組み立て体10を組み立てるときの消音ユニット11どうしの貼り合わせが容易になるからである。加えて、連結具70の取り付け箇所を考慮すると、板状積層体13に連結具70を取り付ける場合に比べて、フレーム50に連結具70を取り付けたほうが、連結具70の脱落や取り付け位置の変形が生じ難く、安定、確実な消音組み立て体10の組み立てができるからである。
【0027】
フレーム50は、吸音ボード20の端部を覆うように、基本的には断面がコ字状に構成される。材質は軽量化の観点から硬質プラスチックやアルミニウムなどの軽くて丈夫な素材であることが好ましい。フレーム50と吸音ボード20との結合は、ネジやボルト等の他、接着剤による接合も可能である。
【0028】
フレーム50は、メッシュ材40で覆った遮音マット30も吸音ボード20とともに囲むように取り付けることもできる。しかしながら、
図3や後述する
図8で示すように、吸音ボード20の端部にのみ設け、遮音マット30を覆わないように設けることが好ましい。遮音マット30まで覆ってしまうと、消音組み立て体10を組み立てた際にその内部にフレーム50の露出部分が表れるのに対し、遮音マット30まで覆わない場合には、遮音マット30がフレーム50からはみ出すように設けられるため、消音組み立て体10の内部にフレーム50の露出部分が生じないように組み立てることが可能となるからである。
【0029】
フレーム50は、
図7(A)で示すように、一つの消音ユニット11だけでなくそれとは別の消音ユニット11に共通するものとして、一つの吸音ボード20の外周を超えてそこから外側にはみ出して延伸するように設けることができる。
図7(A)では、右側大ユニット11c1の下端に設けたフレーム50aは、その長さを長くし、吸音ボード20の外周よりも外側に突出させた延伸部位51を設け、一方で右側小ユニット11c2の下側に設けたフレーム50bの長さを短くして、両ユニット11c1,11c2を結合したときに、右側大ユニット11c1の突き出したフレーム50aの凹溝に、右側小ユニット11c2のフレーム50で覆っていない剥き出しになった吸音ボード20の端部26をはめ込み、両フレーム50a,50bで過不足無く両ユニット11c1,11c2の下側を覆うようにすることができる。
【0030】
消音ユニット11には消音ユニット11どうしを簡単にワンタッチで連結し取り外しできるワンタッチ式連結具(「連結具」ともいう)70が設けられている。連結具70としては2つの物品間を連結し締め付け固定するキャッチクリップやパッチン錠、金属ファスナー等として呼称されるワンタッチ式締結具を用いることが好ましい。
【0031】
一例としての連結具70を
図8(A)及び
図8(B)で示す。
図8(A)で示す連結具70は、2枚の消音ユニット11を水平に連結する場合に利用する水平連結具70aである。水平連結具70aは、予め一方の消音ユニット11に取り付けるフック71と、このフック71とは別体であり、もう一方の消音ユニット11に取り付ける本体具72とが一組となって構成されるものである。本体具72には消音ユニット11に取り付ける部位となるベース73と、ベース73の端部に設けた第1回転支持部74に対して回転可能な操作レバー75と、この操作レバー75に対して回転可能な第2回転支持部76とその第2回転支持部76とは反対側に前記フック71に引っかける接続部77とを有し、第2回転支持部76と接続部77との間隔が広がると狭める方向に付勢する巻きバネ等の弾性部材78とを有する掛け具79を備えている。そしてこれらはステンレス等の金属で形成されている。
【0032】
操作レバー75が開いた状態から、掛け具79の接続部77をフック71に掛け、操作レバー75を動かして前記弾性部材78の付勢力に抗して操作レバー75を閉じると、この連結具70によって連結された2枚の消音ユニット11どうしの連結状態が固定される。連結しようとする2枚の消音ユニット11どうしの位置決めは、連結具70のフック71と接続部77との接合によれば良い。また、操作レバー75が閉じた状態から、前記弾性部材78の付勢力に抗して操作レバー75を回転方向に動かすと、接続部77とフック71の結合が緩み、2枚の消音ユニット11の連結状態を容易に解除することができる。このように、固定の際は、接続部77とフック71の位置合わせと操作レバーの回転、脱着の際は、操作レバーの回転と接続部77とフック71の解除という簡単な操作で、取り付け、取り外しができる連結具70をワンタッチ式連結具70と呼んでいる。ワンタッチ式連結具70によれば、2枚の消音ユニット11を何の道具も持たない手作業で簡単に連結、及び取り外しができ、取扱い性、操作性が格段に優れている。
【0033】
一方、
図8(B)で示す連結具70は、2枚の消音ユニット11を直角に連結する場合に利用するコーナー連結具70bである。コーナー連結具70bもまた水平連結具70aと同様に、予め一方の消音ユニット11に取り付けるフック71と、このフック71とは別体であり、もう一方の消音ユニット11に取り付ける本体具72とが一組となって構成されるものである。本体具72には消音ユニット11に取り付ける部位となるベース73と、ベース73の端部に設けた第1回転支持部74に対して回転可能な操作レバー75と、この操作レバー75に対して回転可能な第2回転支持部76とその第2回転支持部76とは反対側に前記フック71に引っかける接続部77とを有し第2回転支持部76と接続部77との間隔が広がると狭める方向に付勢する巻きバネ等の弾性部材78とを有する掛け具79を備えている。そしてこれらはステンレス等の金属で形成されている。
【0034】
コーナー連結具70bの操作も水平連結具70aと同様であり、操作レバー75を開いた状態で2枚の消音ユニット11の取り付け状態を弱めることができ、操作レバー75を閉じた状態で2枚の消音ユニット11を互いに所定の位置で固定することができる。
【0035】
水平連結具70aとコーナー連結具70bの何れの連結具70のフック71及び接続部77もフレーム50にネジやボルト等の固定具80で固定することが好ましい。フレーム50は吸音ボード20等よりも硬質であり、固定具80に連結具70を取り付ければ、連結具70の脱落が生じ難いからである。
【0036】
さて、上記水平連結具70aもコーナー連結具70bの何れの連結具70も、結合する2つの消音ユニット11の何れか一方にフック71を取り付け、何れか他方に本体具72(より具体的にはベース73)を取り付けるが、連結する際の便宜を考慮して連結具70のフック71又は接続部77をフレーム50に取り付けておくことが好ましい。
【0037】
第1の例としては次のとおりである。消音組み立て体10において縦壁を形成する正面ユニット11a(11a1,11a2)、背面ユニット11b、右側面ユニット11c(11c1,11c2)、左側面ユニット11d(11d1,11d2)のそれぞれに取り付ける連結具70は、これらの各消音ユニット11のうち何れか一方の対向する面を構成する消音ユニット11にはフック71を取り付け、何れか他方の対向する面を構成する消音ユニット11にはベース73を取り付けるようにする。
図9(A)~
図9(C)には四角形を形成する消音組み立て体10の4つの縦壁の組み方を説明するための平面図(縦壁だけを模式的に表示)を示すが、
図9(A)で示すような互い違いに4縦壁を組み合わせるよりも、
図9(B)や
図9(C)で示すように対向面がそれぞれ鏡面となるような配置で組み合わせる方が組み立て易い。
【0038】
図9(B)及び
図9(C)で示す組み立て方を仮に鏡面組み立てと呼ぶと、
図9(B)で示す鏡面組み立てを行うために、正面ユニット11a(11a1,11a2)と背面ユニット11bにコーナー連結具70bのベース73を取り付け、右側面ユニット11c(11c1,11c2)と左側面ユニット11d(11d1,11d2)にはコーナー連結具70bのフック71を取り付けるようにする。一方、
図9(C)で示す鏡面組み立てを行うためには、正面ユニット11a(11a1,11a2)と背面ユニット11bにコーナー連結具70bのフック71を取り付け、右側面ユニット11c(11c1,11c2)と左側面ユニット11d(11d1,11d2)にはコーナー連結具70bのベース73を取り付けるようにする。消音ユニット11ごとにこのようにフック71と本体具72を取り付けることで、現場での組み立て作業をミスなく行うことができる。
【0039】
第2の例として、
図1で示した消音組み立て体10のように、右側面ユニット11c(11c1,11c2)や左側面ユニット11d(11d1,11d2)のようなある一面が、正面ユニット11a(11a1,11a2)や背面ユニット11bのような他の一面よりも消音ユニット11を数多く並べて配置する構成とする場合には、そうした縦壁を構成する消音ユニットは、
図9(B)で示す組み立て方のように、右側面ユニット11c(11c1,11c2)や左側面ユニット11d(11d1,11d2)のような消音ユニット11の枚数の多い面は、その消音ユニット11の先端14が、接続する他の一面、即ち、正面ユニット11a(11a1,11a2)や背面ユニット11bのような消音ユニット11の枚数の少ない面の外縁12に突き当たるように組み立てることが好ましい。このように組み立てる場合には、正面ユニット11a(11a1,11a2)と背面ユニット11b、さらに平面ユニット11e(11e1,11e2)の幅の長さを全て同じ長さに設計できる。
【0040】
そうした一方で、反対に、右側面ユニット11c(11c1,11c2)や左側面ユニット11d(11d1,11d2)の外縁12に、正面ユニット11a(11a1,11a2)や背面ユニット11bの先端14が突き当たるように組み立てる
図9(C)で示すような場合には、正面ユニット11a(11a1,11a2)と背面ユニット11bの幅の長さに対して、平面ユニット11e(11e1,11e2)の幅の長さを、右側面ユニット11c(11c1,11c2)と左側面ユニット11d(11d1,11d2)の厚みの合計長さ分を長くする必要があり、設計が複雑となる不都合が生じる。
このように、ユニット数の多い縦壁側にフック71を取り付け、ユニット数の少ない縦壁側に接続部77を取り付けるようにすることが好ましい。
【0041】
したがって、
図1で示す消音組み立て体10では、2つの消音ユニット11で形成される右側面ユニット11c(11c1,11c2)と左側面ユニット11d(11d1,11d2)にフック71が取り付けられ、1つの消音ユニット11で形成される背面ユニット11bに接続部77が取り付けられている。
【0042】
一般に、空気の粗密波として縦波状態で直進し物体に当たった音は、その波のエネルギーの一部は反射し、一部は物体を透過する際に物体を振動させて減衰する。ここで、空気という質量の小さな粗密波エネルギーが高密度で質量の大きな防音材料に当たれば、ほとんどの音は反射されて、その防音材料自体も音のエネルギーくらいでは振動しないことから、防音効果は高くできる。しかし、こうした材料で防音を図ろうとすると、重く、厚さも厚いものとなり、取り扱い性は悪く、軽量、薄肉化という工業的な要請に反するものとなる。
【0043】
一方で、消音ユニット11に音が当たった場合で説明すると、例えば100dB程度の音を発生する機械装置から出た音は、まず遮音マット30に当たることで反射される音が少なくなる。透過した音も吸音ボード20の表面材で反射すれば再度遮音マット30に向かい遮音マット30でエネルギー減衰が起こることになる。また、ハニカム構造に入り込んだ音は摩擦を起こすことで熱エネルギーが減衰し、あるいは中空室24壁を振動させて熱エネルギーが減衰する。こうした総合的な組み合わせで、消音組み立て体10の外側では70dB程度には消音でき、遮音マット30の材質の選択やメッシュ材40の組み合わせで65dB以下にまで消音できる。
【0044】
加えて、消音ユニット11を用いた消音組み立て体10の組み立て、解体、そして再組み立てが容易にできる。そのため、騒音発生源となる機器の定期的な点検作業時には、機器を覆った消音組み立て体10を解体し、点検作業が終了した時には、再度消音組み立て体10を再組立てすることができるため、機器の稼働率を高めることができる。
実際に、第1実施形態で示した形状で、大きさが幅1m、奥行き2mとした場合に、消音組み立て体10の組み立てに約20分、分解に約15分程度と、短時間での設置及び分解を実現できる。
【0045】
消音ユニット11を複数個組み合わせて組み立てることで消音組み立て体10とした場合の内部空間はいかようにも設けることができる。換言すれば、騒音発生源の機器の形状や、大きさに合わせて消音ユニットを組み合わせることでどのような機器にも対応できる。一例を挙げてより詳しく説明すれば、縦壁となる正面、背面、右側面、左側面を構成する消音ユニット11は、所定の正方形状又は長方形状に形成しておき、水平連結具でそれらを結合するようにすれば、横方向の長さをいくらでも伸ばすことができる。フレーム50の形状を変えた
図7(B)に示したような3パターンの消音ユニット15a~15cを形成しておき、
図7(B)の中央に示す形状の消音ユニット15bの複数個を、
図7(B)の右側及び左側にそれぞれ示す消音ユニット15a及び消音ユニット15cで挟むように構成すれば、いくらでも横方向の長さを長くすることができる。但し、上部を覆う天板には支柱が必要となるため、土台となるフレームのみを縦壁の上部に掛け渡すようにする必要がある。
【0046】
<変形実施形態>:[
図10]
上記構成では、消音ユニット11がグランドに置かれるが、消音ユニット11と設置表面との間の隙間は小さいことから、そこを通り抜ける空気は少なく、たとえ通り抜けても粗密波のエネルギー損失は大きく、その隙間から漏れる音のエネルギーは小さい。しかしながら、設置表面の凹凸が大きかったり、傾斜があったりして隙間が大きくなる場合は次のような改良を行うことができる。例えば、消音ユニット11のうち設置表面に対向する位置では、
図10で示すように、遮音マット30をフレーム50より外側に突出させるように形成することができる。この遮音マット30の突出部分が設置表面の凹凸を埋め隙間をなくすことができる。
【0047】
消音ユニット11は、いくつかの定まった大きさのものを準備しておくことで、異なる大きさ、形状の様々な騒音発生源に対してより適合した大きさの消音組み立て体10を作製することができる。例えば正方形状の消音ユニット11として1辺が70cm、1m、120cmの3パターンを設けておいたり、長方形状の消音ユニット11として縦横比が異なる長方形状の3パターンを設けておいたりすることができる。こうした消音ユニット11から組み立てられる消音組み立て体10は、第1実施形態で示した形状に限定されるものではなく、立方体形状はもちろんのこと、直方体、天井のない枠状体、一方側を開放としたコ字状等の様々な形状とすることができる。
【0048】
各消音ユニット11には、内部を覗く覗き窓や、各種配線を通す穴や溝、空気や原料の通り道、その他の開口等を、要求される騒音の抑制程度を損なわない範囲で設けることができる。
【0049】
上記実施形態では、破砕機等の機器を覆う消音組み立て体10として説明したが、平板状の消音ユニット11を平面方向に連ねるだけで高速道路からの通過する車輌から発生する騒音を防止する防音壁として利用することができる。あるいはまた、既存の建屋の内壁面として消音ユニット11を利用すれば、その建屋を消音構造に改造することができる。
【0050】
上記実施形態は本発明の一例であり、こうした形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に反しない限度において、種々の変更や置換を行い得るものである。
【0051】
<実験例>:
次に説明する試料1~試料11の実験用消音ユニットを作製し、以下の実験用木枠に配置して騒音抑制実験を行った。実験用木枠は、厚み12mmの木板の表面に市販の遮音シート(大建工業社製「遮音シート455H」(商品名))を貼って得た囲い板を、その遮音シートを内側にして、立方体の5面を形成するように組み立て、内面の一辺が30cmとなる木枠としたものである。開放している一面を上にしてこの木枠をコンクリート床の上に置き、木枠の底でその中央に子供用防犯ブザー(音域レベル:3000~5000Hz)を配置した。そして、前記開放している面を前記試料1~11の何れかの実験用消音ユニットで塞ぐことで天板とし、この天板で騒音発生源の入った木枠を密閉した。このようにして得た実験用消音ユニットの天板の中央直上30cmの位置に騒音測定計(カスタム社製、データロガー騒音計)を配置して、31℃±1℃の条件下、防犯ブザーからの音を15秒間測定した。
【0052】
試料1~試料11の詳細は以下のとおりである。
試料1:グラスウール(密度32k)(厚さ25mm)・・・対照
試料2:吸音ボードA(厚さ18mm)+遮音マットa(厚さ10mm)
試料3:吸音ボードA(厚さ18mm)+長繊維グラスウール(厚さ15mm)
試料4:吸音ボードA(厚さ18mm)+ウルトラグラスウール(厚さ15mm)
試料5:吸音ボードA(厚さ18mm)+遮音マットa(厚さ10mm)+長繊維グラスウール(厚さ15mm)
試料6:吸音ボードA(厚さ18mm)+遮音マットa(厚さ10mm)+遮音マットa(厚さ10mm)
試料7:吸音ボードA(厚さ18mm)+不織布(厚さ0.2mm)+遮音マットa(厚さ10mm)
試料8:吸音ボードA(厚さ18mm)+メッシュ材(厚さ0.2mm)+遮音マットa(厚さ15mm)
試料9:遮音マットa(厚さ10mm)
試料10:遮音マットa(厚さ15mm)
試料11:遮音マットa(厚さ15mm)+吸音ボードA
【0053】
ここで、各試料の大きさ(縦×横)は30cm×30cmである。積層材の場合はフレームを使用せず吸音ボードと遮音マットとも上記30cm×30cmの大きさとした。メッシュ材を用いる場合はメッシュ材で遮音マットを被覆した。また、吸音ボードと遮音マットの結合は、四隅から7cm内側に入った部分の4か所と中央に1か所との合計5か所を遮音マット側からワッシャーを使ってネジ留めした。また、積層材の場合は、試料11以外は吸音ボード側の面を騒音発生源に対向するように各試料を置いた。
【0054】
なお、吸音ボードAにはテクセル(岐阜プラスチック工業社製;商品名)を、遮音マットaにはハイシリカマット(日本グラスファイバー工業社製;商品名)を、グラスウール(32k)には旭ファイバーグラス社製を、長繊維グラスウールにはT Co-Lab社製を、ウルトラグラスウール(商品名)はT Co-Lab社製を、不織布には羊毛フェルトを、メッシュ材にはガラス繊維をPVCで被覆したガラス繊維PVC材(18×16メッシュ)を、それぞれ用いた。
【0055】
測定結果は、試料1:43.3dB、試料2:70.9dB、試料3:71.8dB、試料4:77.9dB、試料5:70.6dB、試料6:68.7dB、試料7:69.2dB、試料8:63.1dB、試料9:90.9dB、試料10:86.3dB、試料11:71.0dBであった。これらの結果から中空室を有する吸音ボードと、不織布からなる遮音マットの組み合わせでは70dB前後の騒音まで消音することができ、メッシュ材を介在させた試料8ではそれ以外の試料に比べて騒音を大きく抑制することができたことがわかった。
【符号の説明】
【0056】
10 消音組み立て体、
11 消音ユニット、 11a 正面ユニット、 11a1 正面上側ユニット、 11a2 正面下側ユニット、 11b 背面ユニット、 11c 右側面ユニット、 11c1 右側大ユニット、 11c2 右側小ユニット、 11d 左側面ユニット、 11d1 左側大ユニット、 11d2 左側小ユニット、 11e 平面ユニット、 11e1 平面上側ユニット、 11e2 平面下側ユニット、 外縁12、(板状)積層体13、 14 先端、 15a,15b,15c 消音ユニット
20 吸音ボード、 21 板面部、 22 中空体、 23 筒状壁、 24 中空室、 25 貫通孔、 26 端部、
30 遮音マット、
40 メッシュ材、
50,50a,50b フレーム、51 延伸部位、
60 ネジ等、 61 ワッシャー、 62 凹み、 63 キャップ、
70 連結具、 70a 水平連結具、 70b コーナー連結具、 71 フック、 72 本体具、 73 ベース、 74 第1回転支持部、 75 操作レバー、 76 第2回転支持部、 77 接続部、 78 弾性部材、 79 掛け具、 80 固定具、
P ユニットの先端、 F ユニットの面縁
R1 板面部と中空室部分の拡大断面図
R2 中空体の概略構造を示す拡大説明図