(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069215
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】ドア装飾施工方法及びドア装飾部材
(51)【国際特許分類】
E06B 3/70 20060101AFI20220428BHJP
E06B 7/28 20060101ALI20220428BHJP
B44C 3/02 20060101ALI20220428BHJP
【FI】
E06B3/70 Z
E06B7/28 F
B44C3/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178278
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】520034196
【氏名又は名称】油谷 和好
(74)【代理人】
【識別番号】100180644
【弁理士】
【氏名又は名称】▲崎▼山 博教
(72)【発明者】
【氏名】油谷 和好
【テーマコード(参考)】
2E016
【Fターム(参考)】
2E016HA10
(57)【要約】
【課題】介護施設や高齢者施設において要介護者や高齢者が、容易に居住先の部屋を識別可能にするドア装飾施工方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ドア装飾施工方法は、部屋内外を隔てる装飾対象ドア30の表面、及び裏面のいずれか一方又は双方に対して、装飾対象ドア30とは異なる他のドアに係る画像40が印刷されたシート材1を貼り付けるものである。画像40は、高齢者等の自宅に設けられたドア又は玄関の門扉を含む画像40とすることができる。ドア装飾施工方法は、画像40をシート材1に対して印刷するシート材準備工程50と、印刷が施されたシート材1を、装飾対象ドア30の表面及び裏面のいずれか一方又は双方に貼り付ける貼付工程51とを有する。シート材準備工程50では、装飾対象ドア30の大きさに応じて規定される領域にあわせて画像40の大きさを調整して印刷が行われる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部屋の内外を隔てるドアにおいて前記部屋の外側を向く表面、及び前記部屋の内側を向く裏面のいずれか一方又は双方に対してシート材を貼り付けて装飾を施すドア装飾施工方法であって、
装飾対象となる前記ドアとは異なる他のドアに係る画像を前記シート材に対して印刷するシート材準備工程と、
前記シート材準備工程によって印刷が施された前記シート材を、装飾対象となる前記ドアの前記表面及び前記裏面のいずれか一方又は双方に貼り付ける貼付工程と、を有し、
前記シート材準備工程において、装飾対象となる前記ドアの大きさに応じて規定される領域にあわせて前記他のドアに係る画像の大きさを調整して印刷すること、を特徴とするドア装飾施工方法。
【請求項2】
装飾対象となる前記ドアにおいて、当該ドアの開閉操作を行うための開閉操作部が設けられた領域に対し、当該ドアの幅方向に外れた位置を前記シート材の貼り付け領域の幅方向の端部とし、当該端部よりも前記開閉操作部とは反対側の領域の大きさに応じて前記シート材準備工程において前記シート材を準備し、
前記貼付工程において、前記貼り付け領域内に前記シート材を貼り付けること、を特徴とする請求項1に記載のドア装飾施工方法。
【請求項3】
装飾対象となる前記ドアが、介護施設又は高齢者施設において居住者に割り当てられた部屋の内外を隔てるものであり、
前記シート材準備工程において、前記居住者の自宅に設けられたドア又は玄関の門扉を含む画像を前記他のドアの画像として前記シート材に印刷すること、を特徴とする請求項1又は2に記載のドア装飾施工方法。
【請求項4】
前記シート材が、前記他のドアに係る画像の印刷が施される意匠面と、前記意匠面とは反対側の非意匠面と、を有し、
前記シート材準備工程において、前記非意匠面に板状の支持部材を貼り付けた状態として前記シート材が準備され、
前記貼付工程において、前記シート材が、前記支持部材を介して間接的に装飾対象となる前記ドアに対して貼り付けられること、を特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のドア装飾施工方法。
【請求項5】
前記支持部材が、前記シート材と共に屈曲及び伸展可能に形成されており、
前記貼付工程において、前記支持部材及び前記シート材を伸展させた状態において前記装飾対象となる前記ドアに対して貼り付けること、を特徴とする請求項4に記載のドア装飾施工方法。
【請求項6】
前記シート材が、剥離可能な貼付部材を用いて装飾対象となる前記ドアに対して直接的あるいは間接的に貼り付けられること、を特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のドア装飾施工方法。
【請求項7】
前記シート材が、装飾対象となる前記ドアに対して貼付部材を用いて直接的あるいは間接的に貼り付けられるものであり、
前記貼付部材が、装飾対象となる前記ドアの高さ方向を長手方向として設けられること、を特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のドア装飾施工方法。
【請求項8】
部屋の内外を隔てるドアにおいて前記部屋の外側を向く表面、及び前記部屋の内側を向く裏面のいずれか一方又は双方に対して貼り付けることにより、前記ドアに装飾を施すためのドア装飾部材であって、
装飾が施された意匠面、及び前記意匠面とは反対側の非意匠面を有するシート材と、
前記シート材の前記非意匠面に貼り付けられる板状の支持部材と、を有し、
前記支持部材が、前記シート材と共に屈曲及び伸展可能に形成されており、
前記支持部材及び前記シート材を伸展させた状態において、前記支持部材を装飾対象となる前記ドアに対して貼り付け可能であること、を特徴とするドア装飾部材。
【請求項9】
前記支持部材が、複数の板状部材によって構成されており、
前記シート材を複数の前記板状部材に亘って貼り付けることにより、前記板状部材が連結されると共に、隣接する前記板状部材同士の間において前記支持部材が屈曲及び伸展可能とされていること、を特徴とする請求項8に記載のドア装飾部材。
【請求項10】
前記支持部材を装飾対象となる前記ドアに対して貼り付けるための貼付部材が、装飾対象となる前記ドアの高さ方向を長手方向として設けられること、を特徴とする請求項8又は9に記載のドア装飾部材。
【請求項11】
前記シート材の前記意匠面に、装飾対象となる前記ドアとは異なる他のドアに係る画像が印刷されていること、を特徴とする請求項8~10のいずれか一項に記載のドア装飾部材。
【請求項12】
装飾対象となる前記ドアが、介護施設又は高齢者施設において居住者に割り当てられた部屋の内外を隔てるものであり、
前記シート材の前記意匠面に、前記居住者の自宅に設けられたドア又は玄関の門扉を含む画像が印刷されること、を特徴とする請求項8~10のいずれか一項に記載のドア装飾部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドア装飾施工方法及びドア装飾部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドア等の建具や壁を構成するパネル材を装飾する装飾板が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1の装飾板は、基板の内側に着物等からなる装飾布を配置し、当該装飾布の表面に、シーラー層、第1ポリエステル樹脂層、カバー層及び第2ポリエステル樹脂層を順次積層することにより形成されている。また、前記装飾板の表面及び裏面には、ドアノブ等が形成されており、当該装飾板自体がドア本体を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、高齢者の増加に伴い、要介護者も増加している。そのため、介護施設や高齢者施設(以下、高齢者施設等とも称する)に入居する高齢者や要介護者(以下、高齢者等とも称する)も増加している。
【0005】
ところで、高齢者施設等においては、入居する高齢者が快適かつ安全に生活できるようにさまざまな工夫がなされている。しかしながら、高齢者施設等は、入居する高齢者等がそれまでに慣れ親しんできた自宅とは環境が大きく異なることが多い。例えば、高齢者施設等では、高齢者等が居住する部屋のドアが、ほぼ同じ形状や意匠を呈しており、馴染みのある自宅の雰囲気とは大きく異なっている。そのため、高齢者等のなかには、自身の居住スペースとして割り当てられた部屋であっても、自宅で過ごしているときのような安心感が持てないという感情を抱く人もいるという問題がある。また、高齢者施設等においては、部屋の入口にはネームプレートを取り付ける等して、各入居者が自室を認識できるように工夫がなされている。しかしながら、いずれの部屋のドアについても、ほぼ同じ形状や意匠を呈しているため、一見しただけでは識別しにくいという問題がある。これらの問題は、高齢者施設等に限らず、例えば複数人で住居をシェアするシェアハウス等の施設等においても発生するものと想定される。
【0006】
上述した問題を解決するための方法として、上述した特許文献1に係る装飾板をドアに取り付けることが考えられる。特許文献1の装飾板のようなものをドアに取り付ければ、旧来より行っているネームプレート等を取り付ける方法に比べて、自室のドアが識別しやすくなるかも知れない。しかしながら、特許文献1の装飾板は、着物を用いて装飾板を形成するための加工や、装飾板をドアに対して付け外しする作業に手間を要するという問題がある。また、最近では、感染症対策として、高齢者施設等の室内に入ることなく、容易に施工できるドアへの装飾方法が求められている。しかしながら、特許文献1の発明に係る装飾板は、施工するにあたり、現状取り付けられているドアを一旦、取り外して、施工を行う必要がある。しかも、装飾板として形成されたドアを新たに高齢者施設等に設置する必要がある。そのため、コストがかかる問題や感染症対策が実施されている高齢者施設等では、施工することが困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、容易にドアに装飾を施すことが可能なドア装飾施工方法及びドア装飾部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上述した課題を解決すべく提供される本発明のドア装飾施工方法は、部屋の内外を隔てるドアにおいて前記部屋の外側を向く表面、及び前記部屋の内側を向く裏面のいずれか一方又は双方に対してシート材を貼り付けて装飾を施すドア装飾施工方法であって、装飾対象となる前記ドアとは異なる他のドアに係る画像を前記シート材に対して印刷するシート材準備工程と、前記シート材準備工程によって印刷が施された前記シート材を、装飾対象となる前記ドアの前記表面及び前記裏面のいずれか一方又は双方に貼り付ける貼付工程と、を有し、前記シート材準備工程において、装飾対象となる前記ドアの大きさに応じて規定される領域にあわせて前記他のドアに係る画像の大きさを調整して印刷すること、を特徴とするものである。
【0009】
本発明のドア装飾施工方法は、シート材準備工程において装飾対象となるドアとは異なる他のドアの画像をシート材に対して印刷して準備し、これを貼付工程において装飾対象となるドアの表面や裏面に貼り付けるといった容易に行える作業により、ドアの装飾を行うことができる。また、本発明のドア装飾施工方法においては、シート材準備工程において、装飾対象となるドアの大きさに対応する大きさとなるように、他のドアの画像の大きさを調整して印刷したシート材がドアに貼り付けられる。本発明のドア装飾施工方法によれば、装飾対象となるドアの見た目を、あたかも他のドアのように変化させることができる。そのため、シート材に印刷する他のドアの画像として、例えば慣れ親しんだ自宅のドア等の画像にするなどすれば、居住者が安心感や満足感を抱けるものに変貌させることができる。また、このようにして装飾対象となるドアの見た目を変化させることにより、居住者が自室のドアを識別しやすくなる。
【0010】
(2)上述したドア装飾施工方法は、装飾対象となる前記ドアにおいて、当該ドアの開閉操作を行うための開閉操作部が設けられた領域に対し、当該ドアの幅方向に外れた位置を前記シート材の貼り付け領域の幅方向の端部とし、当該端部よりも前記開閉操作部とは反対側の領域の大きさに応じて前記シート材準備工程において前記シート材を準備し、前記貼付工程において、前記貼り付け領域内に前記シート材を貼り付けることが望ましい。
【0011】
かかる方法によれば、装飾対象とされるドアが備える開閉操作部の機能を損なうことなく、ドアを装飾することが可能となる。
【0012】
(3)上述したドア装飾施工方法は、装飾対象となる前記ドアが、介護施設又は高齢者施設において居住者に割り当てられた部屋の内外を隔てるものであり、前記シート材準備工程において、前記居住者の自宅に設けられたドア又は玄関の門扉を含む画像を前記他のドアの画像として前記シート材に印刷することが望ましい。
【0013】
かかる方法によれば、介護施設や高齢者施設のドアを、当該施設に居住している居住者が長年慣れ親しんだ自宅のドアや玄関の門扉であるかのように見た目を変貌させることができる。これにより、介護施設や高齢者施設の居住者に対して大きな安心感や満足感を与えることができる。また、上述した方法によれば、介護施設や高齢者施設のドアを、高齢者等であっても一見して自室であるか否かを識別可能なものとすることができる。
【0014】
ここで、上述したようにシート材をドアに対して貼り付ける作業を行う場合、シート材にシワが生じたり、シート材とドアとの間に空気が入ったりして、シート材をドアに対してきれいに貼り付ける作業が難しい場合がある。かかる問題に対応すべく本発明者らが鋭意検討したところ、予めシート材の裏面側(非意匠面)に板状の部材を貼り付けた状態でシート材を準備しておけば、ドア装飾の施工作業がより一層容易になるとの知見を得た。
【0015】
(4)かかる知見に基づけば、上述したドア装飾施工方法は、前記シート材が、前記他のドアに係る画像の印刷が施される意匠面と、前記意匠面とは反対側の非意匠面と、を有し、前記シート材準備工程において、前記非意匠面に板状の支持部材を貼り付けた状態として前記シート材が準備され、前記貼付工程において、前記シート材が、前記支持部材を介して間接的に装飾対象となる前記ドアに対して貼り付けられることが望ましい。
【0016】
上述したように、シート材準備工程において非意匠面に板状の支持部材を貼り付けた状態としてシート材を準備することとすれば、ドアに対して直接シート材を貼り付ける場合のように、シート材にシワが生じたり、シート材とドアとの間に空気が入ったりするのを抑制できる。そのため、上述した施工方法によれば、ドアを装飾するための作業がより一層行いやすくなる。
【0017】
ここで、上述したように、シート材準備工程において非意匠面に板状の支持部材を貼り付けた状態としてシート材を準備する場合、シートの大きさと同等の大きさの支持部材に対してシートを貼り付ける方法が考えられる。しかしながら、このような支持部材に対してシート材を貼り付けることとした場合は、支持部材に貼り付けたシート材を施工現場に持ち込む作業が大がかりになったり、搬送がしにくかったりするという問題がある。そのため、シート材準備工程において支持部材にシート材を貼り付けて準備することとする場合には、搬送等の観点からさらなる工夫を行うことにより、より一層容易に施工可能なものになると考えられる。
【0018】
(5)かかる知見に基づけば、上述したドア装飾施工方法は、前記支持部材が、前記シート材と共に屈曲及び伸展可能に形成されており、前記貼付工程において、前記支持部材及び前記シート材を伸展させた状態において前記装飾対象となる前記ドアに対して貼り付けるものであると良い。
【0019】
かかる方法によれば、シート材準備工程において支持部材にシート材を貼り付けて準備した後、支持部材とシート材とを一緒に屈曲させた状態にして施工現場に持ち込むことが可能となる。また、施工現場において支持部材及びシート材を伸展させれば、装飾対象となるドアに対して支持部材を介してシート材を貼り付けることができる。従って、上述した方法によれば、ドアを装飾するための作業がより一層行いやすくなる。
【0020】
ここで、上述した高齢者施設等においては、居住者の入れ替わりが生じるものと想定される。また、居住者等の要望に応じて、シート材を取り外したり、変更したりしたいという要望が生じる可能性もある。かかる事態を想定すれば、上述したドア装飾施工方法は、シート材を容易に貼り替え可能なものであることが望ましい。
【0021】
(6)かかる知見に基づけば、上述した本発明のドア装飾施工方法は、前記シート材が剥離可能な貼付部材を用いて装飾対象となる前記ドアに対して直接的あるいは間接的に貼り付けられるものであると良い。
【0022】
かかる構成によれば、例えば居住者の入れ替わりや要望等に応じて、シート材を容易に剥離して、原状復帰させることができる。
【0023】
ここで、上述したようにシート材を剥離可能なものとした場合は、シート材の重量によって、シート材が装飾対象ドアから脱落しやすくなることが考えられる。従って、剥離性を考慮しつつ、シート材が装飾対象ドアから脱落することを抑制する必要がある。
【0024】
(7)かかる知見に基づき、上述した本発明のドア装飾施工方法は、前記シート材が、装飾対象となる前記ドアに対して貼付部材を用いて直接的あるいは間接的に貼り付けられるものであり、前記貼付部材が、装飾対象となる前記ドアの高さ方向を長手方向として設けられることが望ましい。
【0025】
かかる構成によれば、重力などによる負荷をシート材が受けたとしても、ドアに貼り付けられたシート材が脱落するのを抑制できる。これにより、シート材の剥離性を確保しつつ、シート材が装飾対象ドアから脱落することを抑制できる。
【0026】
(8)上述した課題を解決すべく提供される本発明のドア装飾部材は、部屋の内外を隔てるドアにおいて前記部屋の外側を向く表面、及び前記部屋の内側を向く裏面のいずれか一方又は双方に対して貼り付けることにより、前記ドアに装飾を施すためのドア装飾部材であって、装飾が施された意匠面、及び前記意匠面とは反対側の非意匠面を有するシート材と、前記シート材の前記非意匠面に貼り付けられる板状の支持部材と、を有し、前記支持部材が、前記シート材と共に屈曲及び伸展可能に形成されており、前記支持部材及び前記シート材を伸展させた状態において、前記支持部材を装飾対象となる前記ドアに対して貼り付け可能であることが望ましい。
【0027】
本発明のドア装飾部材は、装飾対象となるドアに貼り付けられるシート材が、非意匠面に板状の支持部材を貼り付けたものとされている。そのため、本発明のドア装飾部材は、シート材をそのままドアに対して貼り付ける作業を行う場合に比べて、シート材にシワが生じたり、シート材とドアとの間に空気が入ったりすることなく、容易かつきれいにドアを装飾することができる。また、本発明のドア装飾部材は、シート材の非意匠面に貼り付けられた支持部材が、シート材と共に屈曲及び伸展可能なものとされている。そのため、本発明のドア装飾部材は、支持部材とシート材とを一緒に屈曲させた状態にして施工現場に持ち込むことができる。また、本発明のドア装飾部材は、施工現場において支持部材及びシート材を伸展させることにより、装飾対象となるドアに対して支持部材を介してシート材を貼り付けることができる。従って、本発明によれば、ドアを装飾するための作業を行いやすいドア装飾部材を提供できる。
【0028】
(9)上述したドア装飾部材は、前記支持部材が、複数の板状部材によって構成されており、前記シート材を複数の前記板状部材に亘って貼り付けることにより、前記板状部材が連結されると共に、隣接する前記板状部材同士の間において前記支持部材が屈曲及び伸展可能とされていると良い。
【0029】
かかる構成によれば、支持部材をなす複数の板状部材を、シート材を用いて繋ぐことができる。そのため、上述したドア装飾部材は、複数の板状部材を繋ぐための連結具等を設けたり、板状部材同士を連結するための特殊な構造を設けたりすることなく、シート部材と支持部材とを屈曲及び伸展可能なものとすることができる。そのため、上述したドア装飾部材は、構成がシンプルであり取り扱いやすい。また、上述した構成とした場合、例えば支持部材を持ち運びしやすい大きさにする等すれば、施工現場に容易に搬入することが可能となる。また、上述した構成とした場合、例えば支持部材を郵送等により搬送できる大きさにすれば、遠隔地にドア装飾部材を送付して、現地でドア装飾部材を取り付ける作業を行わせる形態での施工も可能となる。
【0030】
(10)上述したドア装飾部材は、前記支持部材を装飾対象となる前記ドアに対して貼り付けるための貼付部材が、装飾対象となる前記ドアの高さ方向を長手方向として設けられると良い。
【0031】
かかる構成によれば、重力などによる負荷をシート材が受けたとしても、ドアに貼り付けられたシート材が脱落するのを抑制できる。そのため、上述したドア装飾部材は、貼付部材として、例えば剥離可能な接着剤や両面テープなどのように、粘着力が比較的低いものを用いたとしても、シート材が装飾対象ドアから脱落しないように取り付けることができる。
【0032】
(11)上述したドア装飾部材は、前記シート材の前記意匠面に、装飾対象となる前記ドアとは異なる他のドアに係る画像が印刷されているものであると良い。
【0033】
かかる構成によれば、装飾対象となるドアの見た目を、あたかも他のドアのように変化させることが可能なドア装飾部材を提供できる。そのため、上述したドア装飾部材は、シート材に印刷する他のドアの画像として、例えば慣れ親しんだ自宅のドア等の画像にするなどすれば、居住者が安心感や満足感を抱けるものに変貌させることができる。また、このようにして装飾対象となるドアの見た目を変化させることにより、居住者が自室のドアを識別しやすくなる。
【0034】
(12)上述したドア装飾部材は、装飾対象となる前記ドアが、介護施設又は高齢者施設において居住者に割り当てられた部屋の内外を隔てるものであり、前記シート材の前記意匠面に、前記居住者の自宅に設けられたドア又は玄関の門扉を含む画像が印刷されたものであると良い。
【0035】
上述したドア装飾部材によれば、介護施設や高齢者施設のドアを、当該施設に居住している居住者が長年慣れ親しんだ自宅のドアや玄関の門扉であるかのように見た目を変貌させることができる。これにより、介護施設や高齢者施設の居住者に対して大きな安心感や満足感を与えることができる。また、上述したドア装飾部材によれば、介護施設や高齢者施設のドアを、高齢者等であっても一見して自室であるか否かを識別可能なものとすることができる。
【0036】
(13)上述したドア装飾部材は、前記シート材及び前記支持部材が、機能性素材により形成されていると良い。
【0037】
かかる構成によれば、装飾対象とされるドアに対して容易に装着可能であるだけでなく、例えば防水性、防汚性、防火性、難燃性、消臭性等のような機能性素材が備える機能も備えたドア装飾部材を提供できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、容易にドアに装飾を施すことが可能なドア装飾施工方法及びドア装飾部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の一実施形態に係るドア装飾施工方法及びドア装飾部材を説明するための分解斜視図である。
【
図2】(a)~(c)は、本発明の一実施形態ドア装飾施工方法及びドア装飾部材を説明するための分解斜視図である。
【
図3】(a)及び(b)は、
図1に示したドア装飾部材の折り畳み状態を説明するための斜視図である。
【
図4】
図1に示したドア装飾施工方法及びドア装飾部材により装飾対象ドアを装飾した状態を示す斜視図である。
【
図5】変形例に係るドア装飾施工方法を説明するための分解斜視図である。
【
図6】(a)及び(b)は、変形例に係るドア装飾施工方法のシート材準備工程及び貼付工程を説明するための断面図である。
【
図7】変形例に係るドア装飾施工方法及びドア装飾部材を説明するための分解斜視図である。
【
図8】(a)~(c)は、変形例に係るドア装飾施工方法及びドア装飾部材を説明するための分解斜視図である。
【
図9】(a)~(i)は、本発明の一実施例に係るドア装飾施工方法及びドア装飾部材を説明するための説明図である。工程の説明断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の一実施形態に係るドア装飾施工方法及びドア装飾部材10について、図面を参照しつつ詳細を説明する。なお、各図において図示した部材等の大きさや厚み等については、理解が容易なように実際の大きさや厚み、比率と異なって描いていることに留意されたい。
【0041】
本実施形態で例示するドア装飾施工方法は、
図1に示すように、部屋の内外を隔てるドア30を装飾対象とし、ドア30(以下、「装飾対象ドア30」とも称す)において部屋の外側を向く表面、及び部屋の内側を向く裏面のいずれか一方又は双方に対してドア装飾部材10(シート材1)を貼り付けて装飾を施すためのものである。
【0042】
装飾対象ドア30は、例えば一般の住宅において部屋の入口に設けられたものや、シャアハウスのように複数の居住者に対して居住者毎に割り当てられた部屋の入口に設けられたもの等とすることができる。本実施形態では、装飾対象ドア30が、介護施設や高齢者施設において居住者に割り当てられた部屋の内外を隔てるドアである場合について例示する。
【0043】
装飾対象ドア30は、いわゆる開き戸や引き戸、折れ戸など、従来公知の各種のドアとすることができる。本実施形態では、
図1に示すように、装飾対象ドア30が引き戸とされており、敷居に沿ってスライド操作することにより開閉可能とされている。装飾対象ドア30は、幅方向(スライド操作方向)の一方側の領域に開閉操作部31が設けられている。開閉操作部31は、装飾対象ドア30を開閉操作を行うための引き手やハンドル、施解錠するための錠部材等によって構成されている。装飾対象ドア30において、開閉操作部31が設けられた領域に対して幅方向に外れた領域は、本実施形態のドア装飾施工方法(ドア装飾部材10)による装飾の対象となる領域(装飾対象領域)とされる。
【0044】
ドア装飾部材10は、本実施形態のドア装飾施工方法において装飾対象ドア30を装飾するために用いられる部材である。
図1~
図3に示すように、ドア装飾部材10は、シート材1と、支持部材20とを有する。
【0045】
シート材1は、可撓性を有するシート状の部材である。シート材1は、装飾対象ドア30において装飾対象領域の大きさに対応する大きさを有する。シート材1は、例えば紙や樹脂等の素材によって構成可能であり、防水性、防汚性、防火性、難燃性、消臭性等の機能を備えた機能性素材によって構成することも可能である。シート材1は、一方の面が意匠面1aとされ、他方の面が非意匠面1bとされている。
【0046】
意匠面1aは、装飾が施される面である。意匠面1aは、インクジェットプリンターやレーザープリンター、熱転写式プリンタ等の印刷機を用いたり、絵の具やインク、ペンキ等によって描画可能な面である。本実施形態では、意匠面1aは、各種のプリンターを用いることにより、画像をカラー印刷可能なものとされている。意匠面1aには、装飾対象ドア30とは異なる他のドアに係る画像の印刷が施される。本実施形態では、装飾対象ドア30によって隔てられた居室に居住する高齢者施設等の居住者の自宅に設けられたドアや、玄関の門扉を含む画像が意匠面1aに印刷される。
【0047】
非意匠面1bは、シート材1において意匠面1aとは反対側に設けられた面である。非意匠面1bは、装飾対象ドア30をドア装飾部材10を貼り付けて装飾する際に、装飾対象ドア30側に向けて貼り付けられる面である。
【0048】
支持部材20は、シート材1の非意匠面1bに貼り付けられる部材である。支持部材20は、例えば段ボールや厚紙等の紙製のものや、樹脂、金属等の素材によって構成可能である。また、支持部材20は、防水性、防汚性、防火性、難燃性、消臭性等の機能を備えた機能性素材によって構成することができる。支持部材20は、板状の形状とされている。支持部材20は、単一でシート材1と同等の大きさのもの等とすることができるが、本実施形態ではシート材1よりも小さなものを複数組み合わせて構成することができる。本実施形態では、複数(本実施形態では3枚)の板状部材20a,20b,20cによって構成されている。
【0049】
支持部材20は、シート材1と共に屈曲及び伸展可能なものとされている。本実施形態では板状部材20a,20b,20cを並べ、シート材1の非意匠面1bに塗布された貼付部材2によって板状部材20a,20b,20cに亘って貼り付けたものとされている。このような構成とすることにより、板状部材20a,20b,20cがシート材1によって連結される。また、支持部材20及びシート材1は、隣接する板状部材20a,20b,20c同士の境界部分(屈曲予定線22)を境として屈曲及び伸展可能とされる。
【0050】
支持部材20において、シート材1が貼付された面とは反対側の面には、貼付部材21が設けられている。貼付部材21は、支持部材20を取り付けた状態で準備したシート材1を装飾対象ドア30に対して貼り付けるためのものである。貼付部材21は、例えば従来公知の接着剤や両面テープ、面ファスナ等によって構成できるが、本実施形態では両面テープが用いられている。貼付部材21を両面テープによって構成することにより、ドア装飾部材10の準備段階において貼付部材21を支持部材20に取り付けた状態で準備しておくことができる。これにより、施工現場において、貼付部材21をなす両面テープの剥離紙を剥がすだけで、装飾対象ドア30に貼付可能な状態にすることができる。貼付部材21は、その長手方向が、装飾対象ドア30に対して支持部材20とともにシート材1を貼り付けるときに高さ方向となる方向に向くように取り付けられる。
【0051】
本実施形態で例示するドア装飾施工方法は、上述した構成のドア装飾部材10を装飾対象ドア30に応じて準備した後、装飾対象ドア30に対して貼り付けることにより行われる。本実施形態のドア装飾施工方法は、大別してシート材準備工程、及び貼付工程の二工程を経て、装飾対象ドア30に対して施工される。以下、本実施形態のドア装飾施工方法を構成する各工程について、詳細に説明する。
【0052】
シート材準備工程は、シート材1を準備するための工程である。シート材準備工程においては、装飾対象ドア30とは異なる他のドアの画像を、シート材1の意匠面1aに対して印刷する。また、シート材準備工程においては、装飾対象ドア30に応じて、シート材1の大きさを調整するとともに、意匠面1aに印刷する他のドアに関する画像の大きさを調整する。具体的には、装飾対象ドア30において、開閉操作を行うための開閉操作部31が設けられた開閉操作領域からドアの幅方向に外れた所定の位置をシート材1の貼り付け領域の幅方向の端部とし、この端部よりも開閉操作部31とは反対側にある装飾対象ドア30の領域の大きさに応じてシート材1の大きさを規定する。また、このようにして大きさが規定されたシート材1の略全体に、印刷対象となる他のドアに関する画像の大きさを調整し、意匠面1aに印刷する。
【0053】
上述したようにしたシート材1の意匠面1aへの印刷が完了すると、
図2(a)に示すようにシート材1の非意匠面1bに貼付部材2を塗布し、支持部材20に対して貼り付ける。本実施形態では、支持部材20が複数(本実施形態では3枚)の板状部材20a,20b,20cによって構成されている。そのため、シート材準備工程においては、板状部材20a,20b,20cを所定の隙間を介して並べた状態とし、これらの板状部材20a,20b,20cに対してシート材1が貼り付けられる。
【0054】
シート材1を支持部材20に対して貼り付ける際に、板状部材20a,20b,20cは、装飾対象ドア30への施工完了状態において装飾対象ドア30の上下方向となる方向に並ぶように配置される(
図2(a)参照)。また、板状部材20a,20b,20cは、シート材1を支持部材20と共に屈曲及び伸展させるときに互いに干渉しないように、それぞれ所定の隙間をあけて配置される。このようにして準備された支持部材20(板状部材20a,20b,20c)に対してシート材1を貼り付けることにより、シート材1が、板状部材20a,20bの境界部分、及び板状部材20b,20cの境界部分を屈曲予定線22として、支持部材20と共に屈曲及び伸展可能な状態のものとして準備した状態になる。シート材1の準備は、装飾対象ドア30に対してシート材1を貼り付ける作業を行う施工現場で行う必要はなく、他の場所で行うことができる。このようにして支持部材20と共に準備されたシート材1は、屈曲予定線22において屈曲させて折り畳んで保管したり、施工現場への搬送や輸送を行うことができる。
【0055】
上述したシート材準備工程においてシート材1の準備が完了すると、貼付工程に移行する。
図2(c)に示すように、貼付工程は、装飾対象ドア30に対してシート材1を支持部材20を介して貼り付ける工程である。貼付工程においては、支持部材20と共に準備されたシート材1が伸展状態とされる。また、シート材1は、支持部材20の裏面側に設けられた貼付部材21により、支持部材20を介して間接的に装飾対象ドア30に対して貼り付けられる。この際、装飾対象ドア30において開閉操作部31が設けられた領域に対し、装飾対象ドア30の幅方向に外れた所定位置をシート材1の貼り付け領域の幅方向の端部とし、この端部よりも開閉操作部31とは反対側の領域の略全体を覆うようにシート材1が貼り付けられる。これにより貼付工程が完了し、ドア装飾部材10によって装飾対象ドア30を装飾する作業が完了する。これにより、
図4に示すように、装飾対象ドア30において開閉操作部31が設けられた領域を除く他の部分がシート材1によって覆われた状態になる。
【0056】
上述したドア装飾施工方法によりドア装飾部材10を装飾対象ドア30に取り付けると、装飾対象ドア30の外観が、居室に居住する高齢者施設等の居住者の自宅に設けられたドア等であるかのように変貌する。また、ドア装飾部材10を装飾対象ドア30に貼り付けても、ドア装飾部材10が開閉操作部31が設けられた領域に重複しないため、装飾対象ドア30としての機能性が損なわれない。
【0057】
上述した本実施形態のドア装飾施工方法、及びドア装飾部材10によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0058】
上述した本実施形態のドア装飾施工方法、及びドア装飾部材10によれば、シート材準備工程において装飾対象ドア30とは異なる他のドアの画像をシート材1に対して印刷して準備し、これを貼付工程において装飾対象ドア30の表面や裏面に貼り付けるといった容易に行える作業により、装飾対象ドア30の装飾を行うことができる。
【0059】
また、上述したドア装飾施工方法においては、シート材準備工程において、装飾対象ドア30の大きさに対応する大きさとなるように、他のドアの画像の大きさを調整して印刷したシート材1がドアに貼り付けられる。そのため、本実施形態のドア装飾施工方法によれば、装飾対象ドア30の見た目を、あたかも他のドアのように変化させることができる。また、上述したように、シート材1に印刷する他のドアの画像として、慣れ親しんだ自宅のドア等の画像にすることにより、居住者が安心感や満足感を抱けるものに変貌させることができる。また、このようにして装飾対象ドア30の見た目を変化させることにより、居住者が自室のドアを識別しやすくなる。
【0060】
上述した本実施形態のドア装飾施工方法は、装飾対象ドア30において、開閉操作部31が設けられた領域に対し、装飾対象ドア30の幅方向に外れた位置をシート材1(ドア装飾部材10)の貼り付け領域の幅方向の端部として規定する。また、本実施形態のドア装飾施工方法では、シート材準備工程において、装飾対象ドア30における貼り付け領域の大きさに対応する大きさとなるようにシート材1を準備する。本実施形態のドア装飾施工方法では、このようにして装飾対象ドア30の大きさに応じて最適な大きさに形成されたシート材1を、貼付工程において、装飾対象ドア30の貼り付け領域内に貼り付ける。そのため、上述したドア装飾施工方法によれば、装飾対象とされるドアが備える開閉操作部31の機能を損なうことなく、装飾対象ドア30を装飾することが可能となる。
【0061】
なお、本実施形態においては、開閉操作部31が設けられた領域にシート材1(ドア装飾部材10)を貼り付けない構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。具体的には、開閉操作部31が設けられた領域であっても、開閉操作部31と干渉しない部分については、シート材1を貼り付ける等して装飾を施すようにしても良い。
【0062】
上述した本実施形態のドア装飾施工方法では、装飾対象ドア30が、介護施設又は高齢者施設において居住者に割り当てられた部屋の内外を隔てるものであり、シート材準備工程において、居住者の自宅に設けられたドア又は玄関の門扉を含む画像を他のドアの画像としてシート材1に印刷したドア装飾部材10を用いて施工される。このようにすれば、介護施設や高齢者施設のドアの見た目を、施設に居住している居住者が長年慣れ親しんだ自宅のドアや玄関の門扉であるかのように変貌させることができる。これにより、介護施設や高齢者施設の居住者に対して大きな安心感や満足感を与えることができる。また、上述した方法によれば、介護施設や高齢者施設のドアを、高齢者等であっても一見して自室であるか否かを識別可能なものとすることができる。
【0063】
なお、本実施形態では、装飾対象ドア30が、介護施設又は高齢者施設において居住者に割り当てられた部屋の内外を隔てるものであり、シート材1に居住者の自宅に設けられたドア又は玄関の門扉を含む画像を印刷したドア装飾部材10を用いて装飾対象ドア30を装飾する例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、装飾対象ドア30は、一般の住宅において部屋の入口に設けられたドアや、シャアハウスのように複数の居住者に対して居住者毎に割り当てられた部屋の入口に設けられたドアとすることも可能である。また、シート材1の意匠面1aに施す装飾は、居住者の自宅に設けられたドア又は玄関の門扉などの装飾対象ドア30とは異なる他のドアに関するものだけでなく、例えば風景や絵画等としても良い。また、ドア装飾部材10は、意匠面1aにシール等の装飾用の部材を貼付して装飾したもの等であっても良い。
【0064】
また、上述したドア装飾施工方法は、シート材準備工程において、シート材1の非意匠面1bに板状の支持部材20を貼り付けた状態としてシート材1(ドア装飾部材10)を準備しておき、貼付工程において、シート材1が、支持部材20を介して間接的に装飾対象ドア30に対して貼り付けられるものとされている。これにより、装飾対象ドア30に対して直接シート材1を貼り付ける場合のように、シート材1にシワが生じたり、シート材1とドアとの間に空気が入ったりするのを抑制できる。そのため、上述した施工方法によれば、ドアを装飾するための作業が行いやすい。
【0065】
なお、本実施形態で例示したドア装飾施工方法は、シート材1を支持部材20に貼り付けた状態としてから、装飾対象ドア30に対して支持部材20と共にシート材1を貼り付けるものであるが、本発明はこれに限定されない。具体的には、
図5や
図6に示すように、シート材準備工程において、シート材1の意匠面1aに画像を印刷したものを準備し、シート材1を支持部材20に貼り付けることなく、貼付工程においてシート材1をそのまま装飾対象ドア30に対して貼り付けるようにしても良い。なお、シート材1を直接的に装飾対象ドア30に対して貼り付ける場合、シート材1を貼り付けるために用いる貼付部材2は、剥離可能なものであると良い。これにより、装飾対象ドア30により区切られた部屋の居住者が入れ替わる等して、シート材1を取り外したり、別のシート材1に取り替える必要が生じた場合に、シート材1を装飾対象ドア30から取り除く作業を容易に行える。
【0066】
上述したドア装飾施工方法では、シート材1と共に屈曲及び伸展可能に形成された支持部材20を備えたドア装飾部材10が用いられ、貼付工程において、支持部材20及びシート材1を伸展させた状態において装飾対象ドア30に対して貼り付けるものとされている。そのため、上述したドア装飾施工方法、及びドア装飾部材10によれば、シート材準備工程において支持部材20にシート材1を貼り付けて準備した後、支持部材20とシート材1とを一緒に屈曲させた状態にして施工現場に持ち込むことが可能となる。また、施工現場において支持部材20及びシート材1を伸展させれば、装飾対象ドア30に対して支持部材20を介してシート材1を貼り付けることができる。従って、上述したドア装飾施工方法によれば、装飾対象ドア30を装飾するための作業が行いやすい。
【0067】
なお、本実施形態では、支持部材20を複数(本実施形態では3枚)の板状部材20a,20b,20cによって構成し、シート材1と共に屈曲及び伸展可能としたドア装飾部材10を用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図7や
図8に示すように、支持部材20をシート材1と同等の大きさの板体によって構成する等して、屈曲や伸展ができないものを支持部材20として用いても良い。
【0068】
上述したように支持部材20が一枚の板体等によって構成されたドア装飾部材10を用いる場合には、例えば
図8に示すような手順で装飾対象ドア30に対してシート材1を貼り付けることができる。具体的には、先ず
図8(a)に示すように1枚の板体によって構成された支持部材20に対し、意匠面1aに印刷を施したシート材1を貼り付ける。この際、貼付部材21は、
図8(a)に示すように支持部材20に対して予め貼り付けておいても、シート材1を支持部材20に貼り付けた後に貼り付けることとしても良い。このようにして、シート材1を支持部材20に対して貼り付けた状態で準備した後、
図8(b)に示すように支持部材20を装飾対象ドア30側に向けた状態として、シート材1を装飾対象ドア30に対して貼り付ける。これにより、
図8(c)に示すように、装飾対象ドア30の装飾を完了できる。
【0069】
上述した本実施形態のドア装飾施工方法や、これに用いられるドア装飾部材10は、シート材1が剥離可能な貼付部材21を用いることにより、装飾対象ドア30に対し、支持部材20を介して貼り付けるものである。かかる方法によれば、例えば居住者の入れ替わりや要望等に応じて、シート材1を容易に剥離して、原状復帰させることができる。
【0070】
なお、本実施形態では、貼付部材2や貼付部材21として剥離可能な接着剤や両面テープ、面ファスナ等を用いることができるとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、シート材1の交換等を想定しなくても良い場合等には、貼付部材2や貼付部材21として強固に接着可能な接着剤を用いる等しても良い。
【0071】
上述した本実施形態のドア装飾施工方法では、貼付部材21の長手方向が装飾対象ドア30の高さ方向に向くように貼付部材21が取り付けられたドア装飾部材10が用いられる。これにより、重力などによる負荷をシート材1や支持部材20が受けたとしても、装飾対象ドアに貼り付けられたシート材1や支持部材20が脱落するのを抑制できる。なお、本実施形態では、貼付部材21を装飾対象ドア30の上下方向に向くように取り付けた例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、貼付部材21がシート材1や支持部材20を装飾対象ドア30に対してしっかりと固定できる固定強度を発揮できるものである場合等には、施工に際して使用される複数の貼付部材21のうち、一部又は全部を左右方向に延びるように設ける等しても良い。
【0072】
上述したように、本実施形態のドア装飾部材10は、上述したドア装飾施工方法を実現するために適したものである。具体的には、本実施形態のドア装飾部材10は、装飾対象ドア30に貼り付けられるシート材1が、非意匠面1bに板状の支持部材20を貼り付けたものとされている。そのため、ドア装飾部材10は、シート材1をそのままドアに対して貼り付ける作業を行う場合に比べて、シート材1にシワが生じたり、シート材1とドアとの間に空気が入ったりすることなく、容易かつきれいにドアを装飾することができる。また、ドア装飾部材10は、シート材1の非意匠面1bに貼り付けられた支持部材20が、シート材1と共に屈曲及び伸展可能なものとされている。そのため、ドア装飾部材10は、支持部材20とシート材1とを一緒に屈曲させた状態にして施工現場に持ち込むことができる。また、ドア装飾部材10は、施工現場において支持部材20及びシート材1を伸展させることにより、装飾対象ドア30に対して支持部材20を介してシート材1を貼り付けることができる。従って、ドア装飾部材10によれば、上述したドア装飾施工方法により装飾対象ドア30を容易に装飾することができる。
【0073】
上述したように、ドア装飾部材10は、支持部材20が、複数の板状部材20a,20b,20cによって構成されている。また、支持部材20をなす複数の板状部材20a,20b,20cは、シート材1を用いて繋がれている。そのため、上述したドア装飾部材10は、複数の板状部材20a,20b,20cを繋ぐための連結具等を設けたり、板状部材20a,20b,20c同士を連結するための特殊な構造を設けたりすることなく、シート材1と支持部材20とを屈曲及び伸展させることができる。そのため、ドア装飾部材10は、構成がシンプルであり取り扱いやすい。
【0074】
また、ドア装飾部材10は、支持部材20を構成する板状部材20a,20b,20cを持ち運びしやすい大きさにすることにより、施工現場に容易に搬入することが可能となる。また、板状部材20a,20b,20cを郵送等により搬送できる大きさにすれば、遠隔地にドア装飾部材10を送付して、現地でドア装飾部材10を取り付ける作業を行わせる形態での施工も可能となる。従って、このような構成によれば、例えば介護施設等において感染症の予防等のために施工現場への部外者の立ち入りが制限されるような場合であっても、介護施設の職員等が施工現場で容易に取り付けることができる。
【0075】
なお、本実施形態で例示したドア装飾部材10は、支持部材20を複数の板状部材20a,20b,20cによって構成し、シート材1と共に屈曲及び伸展可能なものであるが、本発明はこれに限定されない。上記において
図7や
図8を参照しつつ説明したように、ドア装飾部材10は、例えば搬送等の課題を解決する必要がない場合等においては、支持部材20を一枚の板体等によって構成し、シート材1と共に屈曲や伸展できないものとしても良い。
【0076】
また、本実施形態で例示したドア装飾部材10は、シート材1を用いて板状部材20a,20b,20cを連結した例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、複数の板状部材20a,20b,20cを繋ぐための連結具等を設けたり、板状部材20a,20b,20c同士を連結する連結構造を設けても支障がない場合等には、連結具や連結構造を用いて板状部材20a,20b,20cを連結するようにしても良い。
【実施例0077】
以下、ドア装飾部材10を施工現場とは異なる場所において予め準備して施工現場に送付した後、施工現場においてドア装飾部材10を装飾対象ドア30に取り付ける実施例について説明する。なお、以下に例示するドア装飾部材10については、上記実施形態において例示したもの大部分の構成が共通するが、一部の構成が相違している。そのため、本実施例に例示するドア装飾部材10において、上記実施形態に例示したものと構成が共通する部分については同一の符号を付し、詳細の説明については省略する。
【0078】
図9(a)は、ドア装飾部材10を装飾対象ドア30に取り付けた状態を示す写真である。この写真に示されているように、ドア装飾部材10を装飾対象ドア30に取り付けると、開閉操作を行うためのハンドル等からなる開閉操作部31が設けられた位置を除く他の領域に、ドア装飾部材10が貼り付けられた状態になる。これにより、装飾対象ドア30が、全く異なるドアのように見える状態に装飾された状態になる。
【0079】
図9(a)のように装飾対象ドア30をドア装飾部材10によって装飾する場合には、
図9(b)~(j)に示すような順番で、装飾対象ドア30に対するドア装飾部材10の取り付け作業が行われる。具体的には、先ず
図9(b)に示すように、複数の支持部材20(本実施例では4枚の支持部材20α,20β,20γ,20δ)を並べるとともに、これらの表側にシート材1を貼り付けたものを準備する。シート材1の意匠面1aには、装飾対象ドア30とは異なるドアの画像が印刷される。また、支持部材20α,20β,20γ,20δの裏面(装飾対象ドア30に対して貼り付けられる面)には、両面テープ等からなる貼付部材21が取り付けられる。上記実施形態で示した例においては、3枚の支持部材20a,20b,20cのそれぞれに、上下方向に延びるように貼付部材21を複数設けた例を示したが、本実施例で示す例では、
図9(b)に示すように貼付部材21が設けられている。具体的には、本実施例では、各支持部材20α,20β,20γ,20δの外縁部に上下方向及び左右方向に延びるように貼付部材21を設けるとともに、各支持部材20α,20β,20γ,20δの略中央部において上下方向に延びるように貼付部材21を設けている。
【0080】
また、支持部材20α,20β,20γ,20δのうち、隣接する位置に配置されるもの同士の間には、シート材1とともに折り畳み可能なように隙間が設けられている。上記実施形態においては、3枚の支持部材20a,20b,20cをつづら折りできるように隙間を設けて配置した例を示したが、本実施例においては4枚の支持部材20α,20β,20γ,20δを観音折りできるように配置している。具体的には、支持部材20α,20βの間、及び支持部材20γ,20δの間に支持部材20の2枚分程度の隙間をあけると共に、支持部材20β,20γの間に支持部材20の4枚分程度の隙間をあけている。これにより、先ず支持部材20α,20βの間、及び支持部材20γ,20δの間の間において折り畳んだ後、支持部材20β,20γの間で折り畳むことにより観音折りの状態となるようにドア装飾部材10を折り畳み可能とされている。
【0081】
上記したようにして準備されたドア装飾部材10は、折り畳まれて
図9(c)のように梱包される。これにより、
図9(b)のようにして準備したドア装飾部材10が、郵便や宅配便などの配送業者でも配送可能な状態とされる。また、
図9(c)の状態で施工現場等に届けられたドア装飾部材10は、開梱した後、
図9(d)において矢印で示すように展開することができる。
【0082】
ドア装飾部材10は、施工現場において展開された後、先ず
図9(e)に示すように、装飾対象ドア30にあてがう等することで、取り付け可能な大きさか否かの確認を行うことができる。その後、
図9(f)に示すように、装飾対象ドア30において一番上側に貼り付けられる支持部材20αの裏面側に設けられた貼付部材21(両面テープ)の剥離紙を剥がす。この際、他の支持部材20β,20γ,20δについては、貼付部材21の剥離紙を剥がさない状態にしておく。このようにして準備した後、
図9(g)に示すように、支持部材20αの上端側を装飾対象ドア30の上端側に位置合わせして貼り付ける。
【0083】
上述したようにして一枚目の支持部材20αを装飾対象ドア30に貼り付けると、ドア装飾部材10(支持部材20α)が装飾対象ドア30に対して略真っ直ぐに貼り付けられているか否かを確認できる。確認の結果、問題がなければ、
図9(h)のように、一番下側に位置する支持部材20δ側から支持部材20β,20γ,20δを巻き上げる。その後、上から二枚目の支持部材20βに設けられた貼付部材21の剥離紙を剥がす。この状態で、前述した巻き上げ方向とは逆方向に支持部材20β,20γ,20δを戻すと、支持部材20βが装飾対象ドア30に対して貼り付けられる。以後、同様にして三枚目の支持部材20γの貼り付け作業(
図9(i)参照)、及び四枚目の支持部材20δの貼り付け作業(
図9(j)参照)を行う。これにより、装飾対象ドア30に対するドア装飾部材10の貼り付け施工が完了し、
図9(a)のように装飾対象ドア30がドア装飾部材10によって装飾された状態になる。
【0084】
本発明は、上述した実施形態や実施例、変形例等として示したものに限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲でその教示及び精神から他の実施形態があり得る。上述した実施形態の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また実施形態の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素または発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成してもよい。これらについても本願の補正または分割出願等において権利取得する意思を有する。
本発明のドア装飾施工方法及びドア装飾部材は、各種の建物や家屋のドアに利用することができる。また、本発明のドア装飾施工方法及びドア装飾部材は、介護施設や高齢者施設の居住者用のドアに好ましく利用することができる。