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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022069236
(43)【公開日】2022-05-11
(54)【発明の名称】シミュレーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20220428BHJP
   G06F 30/20 20200101ALI20220428BHJP
   G06F 30/10 20200101ALI20220428BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06F17/50 612A
G06F17/50 680Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020178314
(22)【出願日】2020-10-23
(71)【出願人】
【識別番号】306020818
【氏名又は名称】トヨタテクニカルディベロップメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】高木 俊一
(72)【発明者】
【氏名】北川 雅規
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 史博
(72)【発明者】
【氏名】中根 直人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 一人
(72)【発明者】
【氏名】山内 智裕
(72)【発明者】
【氏名】羽澄 英二
(72)【発明者】
【氏名】堀 豊和
(72)【発明者】
【氏名】中野 憲悟
【テーマコード(参考)】
5B046
5B146
5L049
【Fターム(参考)】
5B046AA04
5B046CA06
5B046JA01
5B046JA04
5B146AA05
5B146BA01
5B146DJ11
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】仮想テスト環境において、部品モデルの詳細を解読されることなく車両の仮想テストを行うシミュレーションシステムを提供する。
【解決手段】複数のシミュレーション環境を構築する構築部と、1つのシミュレーション環境において実行される管理対象モデルと、他のシミュレーション環境で実行される管理対象モデルを統括する統括モデルと、シミュレーション環境下で管理対象モデルを動作させるシミュレーションを実行する第1実行部と、第1実行部が実行したシミュレーション結果を、統括モデルに送信する送信部と、他のシミュレーション環境下でシミュレーション結果を用い統括モデルを動作させるシミュレーションを実行する第2実行部を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークがエリア分けされた複数のシミュレーション環境を構築する構築部と、
少なくとも前記複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境において実行される管理対象モデルと、
前記複数のシミュレーション環境のうち、前記1つのシミュレーション環境以外の他のシミュレーション環境において実行される前記管理対象モデルを統括する統括モデルと、
前記1つのシミュレーション環境下で前記管理対象モデルを動作させるシミュレーションを実行する第1実行部と、
前記第1実行部が実行したシミュレーション結果を、前記統括モデルに送信する送信部と、
前記他のシミュレーション環境下で、前記シミュレーション結果を用いて、前記統括モデルを動作させるシミュレーションを実行する第2実行部と、
を備えるシミュレーションシステム。
【請求項2】
前記複数のシミュレーション環境にアクセス可能な管理者は互いに異なり、
各管理者は、自身が管理するシミュレーション環境と、他のシミュレーション環境との間でやり取りされるデータを確認する確認部を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のシミュレーションシステム。
【請求項3】
前記1つのシミュレーション環境に対する管理者により、前記1つのシミュレーション環境下で前記管理対象モデルを作成する作成部を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシミュレーションシステム。
【請求項4】
前記他のシミュレーション環境に対する管理者により、前記他のシミュレーション環境下で前記統括モデルを作成する第2作成部を備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のシミュレーションシステム。
【請求項5】
ネットワークがエリア分けされた複数のシミュレーション環境において、
少なくとも前記複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境において実行される管理対象モデルと、
前記複数のシミュレーション環境のうち、前記1つのシミュレーション環境以外の他のシミュレーション環境において実行される前記管理対象モデルを統括する統括モデルと、を有するシミュ―ションシステムにおいて、
前記1つのシミュレーション環境下で前記管理対象モデルを動作させるシミュレーションを実行する第1実行ステップと、
前記第1実行ステップが実行したシミュレーション結果を、前記統括モデルに送信する送信ステップと、
前記他のシミュレーション環境下で、前記シミュレーション結果を用いて、前記統括モデルを動作させるシミュレーションを実行する第2実行ステップと、
を含むシミュレーション方法。
【請求項6】
コンピュータに、
ネットワークがエリア分けされた複数のシミュレーション環境を構築する構築機能と、
少なくとも前記複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境において実行される管理対象モデルと、
前記複数のシミュレーション環境のうち、前記1つのシミュレーション環境以外の他のシミュレーション環境において実行される前記管理対象モデルを統括する統括モデルと、
前記1つのシミュレーション環境下で前記管理対象モデルを動作させるシミュレーションを実行する第1実行機能と、
前記第1実行機能が実行したシミュレーション結果を、前記統括モデルに送信する送信機能と、
前記他のシミュレーション環境下で、前記シミュレーション結果を用いて、前記統括モデルを動作させるシミュレーションを実行する第2実行機能と、
を実現させるシミュレーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーションシステムに関し、特に、仮想テスト環境において、車両を構成する部品モデルの詳細を解読されることなく車両の仮想テストを行う連携のシミュレーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、提案車両の開発者によって設計された仮想テスト環境において、提案車両の仮想テストが行われている。こういった仮想テスト環境における仮想テストでは、同時に複数の車両モデルの仮想テストを行うことが出来るため、車両モデルを短時間でテストでき、開発者が提案車両の設計を修正すべきか否かを判定することが出来る(特許文献1参照)。
【0003】
図4に示すように、車両開発において、車両システムを開発する際、車両システム開発メーカは、まず要求仕様を作成したのち、アーキテクチャ設計を行い、車両システムモデル開発を行う。一方、車両を構成する各部品の開発メーカは、各部品のモデル開発を行う。図5に示すように、車両システム開発メーカは、車両システムモデルと、各部品開発メーカによって開発された部品モデルとを結合し、評価を行う。この評価のために、各部品開発メーカは、各部品モデルを車両システム開発メーカに提供し、車両システムモデルと各部品モデルの結合/評価の際には評価支援を行う。車両システム開発メーカは、モデル結合/評価による結果を判断する。こういったモデル結合/評価を、上述した仮想テスト環境において、仮想テストとして行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-173309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、部品開発メーカから車両システム開発メーカに部品モデルを受け渡した場合、車両システム開発メーカによって、バリデーション解析や逆アセンブル等により部品モデルの設計情報を推測、解読され、部品モデルの機密が漏洩される恐れがある。
【0006】
また、モデル結合/評価を実施するシミュレーション環境(動作環境)に合わせて、部品モデルを組み込んだ結合モデルを作成する必要がある。部品開発メーカによる部品モデルの開発において、各部品開発メーカは開発の目的に合わせて開発環境のOSや開発ツールを選択しており、各部品モデルの開発環境は部品モデル間で異なる。このため、前提条件や、必要なツールを異なる環境で用いることが出来ない等の各部品の開発環境固有の制約を結合モデルの動作環境に合わせ込む必要があり、大変な手間と時間を要する。
【0007】
さらに、車両システム開発メーカには、部品モデルの詳細な挙動が知らされておらず、また車両システム開発メーカは結合モデルと演算データを部品開発メーカに送信して結合/評価に対する支援を依頼したいが、機密情報となるため、これらを渡すことが出来ない。従って、各部品開発メーカが結合/評価に対して支援するために車両システム開発メーカのもとへ度々出向く必要があり、部品開発メーカの開発者の拘束期間が長くなる。
【0008】
上記問題点を鑑み、本発明は、仮想テスト環境において、車両を構成する部品モデルの詳細を解読されることなく車両の仮想テストを行う連携シミュレーションシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様のシミュレーションシステムは、ネットワークがエリア分けされた複数のシミュレーション環境を構築する構築部と、少なくとも複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境において実行される管理対象モデルと、複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境以外の他のシミュレーション環境において実行される管理対象モデルを統括する統括モデルと、1つのシミュレーション環境下で管理対象モデルを動作させるシミュレーションを実行する第1実行部と、第1実行部が実行したシミュレーション結果を、統括モデルに送信する送信部と、他のシミュレーション環境下で、シミュレーション結果を用いて、統括モデルを動作させるシミュレーションを実行する第2実行部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の態様のシミュレーションシステムにおいて、複数のシミュレーション環境にアクセス可能な管理者は互いに異なり、各管理者は、自身が管理するシミュレーション環境と、他のシミュレーション環境との間でやり取りされるデータを確認する確認部を備えてもよい。
【0011】
本発明の第3の態様のシミュレーションシステムにおいて、1つのシミュレーション環境に対する管理者により、1つのシミュレーション環境下で管理対象モデルを作成する作成部を備えてもよい。
【0012】
本発明の第4の態様のシミュレーションシステムにおいて、他のシミュレーション環境に対する管理者により、他のシミュレーション環境下で統括モデルを作成する第2作成部を備えてもよい。
【0013】
本発明のシミュレーション方法は、ネットワークがエリア分けされた複数のシミュレーション環境において、少なくとも複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境において実行される管理対象モデルと、複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境以外の他のシミュレーション環境において実行される管理対象モデルを統括する統括モデルと、を有するシミュレーションシステムであり、
1つのシミュレーション環境下で管理対象モデルを動作させるシミュレーションを実行する第1実行ステップと、第1実行ステップが実行したシミュレーション結果を、統括モデルに送信する送信ステップと、他のシミュレーション環境下で、シミュレーション結果を用いて、統括モデルを動作させるシミュレーションを実行する第2実行ステップとを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明のシミュレーションプログラムは、コンピュータに、ネットワークがエリア分けされた複数のシミュレーション環境を構築する構築機能と、少なくとも複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境において実行される管理対象モデルと、複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境以外の他のシミュレーション環境において実行される管理対象モデルを統括する統括モデルと、1つのシミュレーション環境下で管理対象モデルを動作させるシミュレーションを実行する第1実行機能と、第1実行機能が実行したシミュレーション結果を、統括モデルに送信する送信機能と、他のシミュレーション環境下で、シミュレーション結果を用いて、統括モデルを動作させるシミュレーションを実行する第2実行機能とを実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のシミュレーションシステムによれば、ネットワークがエリア分けされた複数のシミュレーション環境を構築する構築部と、少なくとも複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境において実行される管理対象モデルと、複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境以外の他のシミュレーション環境において実行される管理対象モデルを統括する統括モデルと、1つのシミュレーション環境下で管理対象モデルを動作させるシミュレーションを実行する第1実行部と、第1実行部が実行したシミュレーション結果を、統括モデルに送信する送信部と、他のシミュレーション環境下で、シミュレーション結果を用いて、統括モデルを動作させるシミュレーションを実行する第2実行部とを備えるため、仮想テスト環境において、車両等を構成する部品モデルの詳細を解読されることなく車両の仮想テストを行うことができ、機密漏洩が生じ難く、シミュレーションに要する作業、時間の負担が回避される。また、シミュレーション方法、シミュレーションプログラムにおいても同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係るシミュレーションシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図2】シミュレーションシステムのクラウドサーバ100内の機能部構成を示すブロック図である。
図3】シミュレーションシステムの主要な制御を示すフローチャートである。
図4】従来の車両システム及び部品モデルの開発手順を説明する図である。
図5】従来の車両システムモデルと部品モデルとの結合/評価手順を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。実施形態に係る図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0018】
又、実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、各構成要素の構成や配置、レイアウト等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
(実施形態)
本発明の実施形態に係るシミュレーションシステムの構成の一例を図1に示す。図1に示すシミュレーションシステム10(連携シミュレーションシステム)は、ネットワークサーバ100と、ネットワークサーバ100内に設置された、B社領域101、A社領域102、C社領域103、B社拠点104、A社拠点105、C社拠点106とから構成される。B社領域101内にはB社シミュレーション領域107、A社領域102内にはA社シミュレーション領域108、C社領域103内にはC社シミュレーション領域109が設置されている。なお、ネットワークサーバ100は、クラウドサーバであっても構わない。
【0020】
B社は部品モデルB110を開発しており、部品モデルB110の開発作業をB社シミュレーション領域107内で行う。同様に、C社は部品モデルC112を開発しており、部品モデルC112の開発作業をC社シミュレーション領域109内で行う。A社はシステムモデルA111を開発しており、A社シミュレーション領域108内において、部品モデルB110及び部品モデルC112をB社及びC社から受信してシステムモデルA111と結合し、評価を行う。
【0021】
シミュレーションシステム10のネットワークサーバ100内の機能部構成は、図2のブロック図のとおり示される。構築部201はネットワークがエリア分けされた複数のシミュレーション環境を構築する。図1のブロック図から理解されるようにネットワークサーバ100内において、A社領域102、B社領域101、C社領域103のように、各開発担当に分かれた複数のシミュレーション環境が構築される。
【0022】
管理対象モデル202は、少なくとも複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境において実行される。図1の例では、A社領域102、B社領域101、C社領域103が複数のシミュレーション環境であり、それらのシミュレーション環境中において、A社シミュレーション領域108、B社シミュレーション領域107、C社シミュレーション領域109として実行される。
【0023】
統括モデル203は、複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境以外の他のシミュレーション環境において実行される管理対象モデルを統括する。図1の例では、1つのシミュレーション環境であるB社領域101が規定された後、その他のシミュレーション環境であるA社領域102とC社領域103において実行される管理対象モデルが統括される。具体的には、B社領域101の部品モデルB110、C社領域103の部品モデルC112が管理対象モデルとなり統括される。
【0024】
図1の例のネットワークサーバ100内において、統括モデル203はシステムモデルA111であり、管理対象モデル202は部品モデルB110である。
【0025】
第1実行部205は、1つのシミュレーション環境下で管理対象モデルを動作させるシミュレーションを実行する。前出の例において、管理対象モデルである部品モデルB110が実行される1つのシミュレーション環境下において、管理対象モデルである部品モデルB110を動作させるシミュレーションが実行される。
【0026】
送信部206は、第1実行部が実行したシミュレーション結果を、統括モデルに送信する。前出の例において、システムモデルA111が実行される1つのシミュレーション環境下において、部品モデルB110に対する第1実行部205の実行の結果、当該実行の結果は、統括モデルのシステムモデルA111へ送信される。
【0027】
第2実行部207は、他のシミュレーション環境下で、シミュレーション結果を用いて、統括モデルを動作させるシミュレーションを実行する。図1の例では、部品モデルB110に対する第1実行部205の実行の結果を用いて、統括モデルのシステムモデルA111を動作させるシミュレーションを実行する。
【0028】
確認部208は、管理者自身が管理するシミュレーション環境と、他のシミュレーション環境との間でやり取りされるデータを確認する。図1の例では、B社に所属する管理者Bが、B社拠点104から、管理者Bが管理するB社シミュレーション領域107と、A社シミュレーション領域108との間でやり取りされるデータを確認する。同様に、A社に所属する管理者は、A社拠点105から、管理者Aが管理するA社シミュレーション領域108と、B社シミュレーション領域107及びC社シミュレーション領域109との間でやり取りされるデータを、C社に所属する管理者Cは、C社拠点106から、管理者Cが管理するC社シミュレーション領域109と、A社シミュレーション領域108との間でやり取りされるデータを確認する。
【0029】
作成部209は、1つのシミュレーション環境に対する管理者により、1つのシミュレーション環境下で管理対象モデルを作成する。
【0030】
第2作成部210は、他のシミュレーション環境に対する管理者により、他のシミュレーション環境下で統括モデルを作成する。
【0031】
図3のフローチャートはシミュレーションシステムの制御方法の全体の流れであり、第1実行ステップ(S301)、送信ステップ(S302)及び第2実行ステップ(S303)を備える。
【0032】
ネットワークがエリア分けされた複数のシミュレーション環境において、少なくとも複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境において実行される管理対象モデルと、複数のシミュレーション環境のうち、1つのシミュレーション環境以外の他のシミュレーション環境において実行される管理対象モデルを統括する統括モデルと、を有するシミュ―ションシステムにおいて、1つのシミュレーション環境下で管理対象モデルを動作させるシミュレーションを実行する(S301;第1実行ステップ)。第1実行ステップが実行したシミュレーション結果を、統括モデルに送信する(S302;送信ステップ)。他のシミュレーション環境下で、シミュレーション結果を用いて、統括モデルを動作させるシミュレーションを実行する(S303;第2実行ステップ)。
【0033】
以上、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【0034】
当該シミュレーションシステム10によると、例えば、部品開発メーカからシステム開発メーカに部品モデルを受け渡すときに、部品モデルの完全な秘匿化が可能となる。また、秘匿化によりシステム開発メーカへの情報提供量を減らすことができる。開発中の部品モデルをシステム開発メーカに受け渡した場合、システムメーカは自由に部品モデルを使用できてしまう。そのため、連携シミュレーションシステム10を構築することにより、バリデーション解析、逆アセンブル等によりモデルの中身が推定、解読されるおそれがある。そのため、技術、知的財産、ノウハウの詰まった部品モデルの機密漏洩が軽減される。
【0035】
また、モデル開発において、各部品メーカは開発目的に合わせてOS、ツールのバージョンを決めている。そのため、各部品モデルの開発環境は部品間で異なる。このため、各部品の開発環境に固有の制約(前提条件、必要なツールを同じ環境で動かせない等)を結合モデルの動作環境に合わせ込む作業が必要であり時間を要するものである。そこで、当該シミュレーションシステム10ではこのような作業、時間の負担が回避される。
【0036】
さらに、システム開発メーカは結合モデルと演算データを部品開発メーカに送付して評価等を依頼したいと考えてはいるものの、機密の点から渡すことができない。このため、部品開発メーカが相手側に出張等して評価等を受けていた。そこで、当該シミュレーションシステム10ではこのような作業、時間の負担が回避される。
【符号の説明】
【0037】
10 シミュレーションシステム(連携シミュレーションシステム)
100 ネットワークサーバ
101 B社領域
102 A社領域
103 C社領域
104 B社拠点
105 A社拠点
106 C社拠点
107 B社シミュレーション領域
108 A社シミュレーション領域
109 C社シミュレーション領域
110 部品モデルB
111 システムモデルA
112 部品モデルC
201 構築部
202 管理対象モデル
203 統括モデル
205 第1実行部
206 送信部
207 第2実行部
208 確認部
209 作成部
210 第2作成部
図1
図2
図3
図4
図5